弾まないばねとその製造方法および振動減衰装置
【課題】コイルスプリングと軟質樹脂を一体化することで、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねとその製造方法および振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置を提供する。
【解決手段】コイルスプリングである芯材1と軟質樹脂2からなる構造体であって、該芯材1は該軟質樹脂2に被覆されるとともに、上記軟質樹脂2と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねA、とその製造方法および振動減衰特性のある弾まないばねAを備えた振動減衰装置C。
【解決手段】コイルスプリングである芯材1と軟質樹脂2からなる構造体であって、該芯材1は該軟質樹脂2に被覆されるとともに、上記軟質樹脂2と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねA、とその製造方法および振動減衰特性のある弾まないばねAを備えた振動減衰装置C。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動減衰特性のある弾まないばねに関する。さらに詳しくは軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねおよびその製造方法、弾まないばねを備えた振動減衰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動減衰特性のある弾まないばねとしてはコイルばねに粘弾性体シートを周着するダンピングコイルばねが、従来、用いられている。特許文献1によればダンピングコイルばねは、粘弾性体シートをコイルばねに周着させ、該コイルばねのコイル間の隙間に該シートを入れ込むという製造方法が用いられている。
【特許文献1】特開2005−207589
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
振動減衰特性のある弾まないばねとしてはコイルばねに粘弾性体シートを周着するものがある。この方法ではコイルばねと粘弾性体シートが一体化していないので、コイルばねと粘弾性体シートの接着がはがれるという、耐久性の問題がある。
【0004】
また、粘弾性体シート間をコイルばねに周着させ、該コイルばねのコイル間の隙間に該シート間を入れ込む方法では、作業性が悪く、製造にバラツキが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明においては、次のような技術的手段を講じている。すなわち、本願第一発明においては、コイルスプリングである芯材と軟質樹脂からなる構造体であって、該芯材は該軟質樹脂に被覆されるとともに、上記軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねが提供される。
【0006】
上記芯材がコイルスプリングで構成されることが好ましく用いられる。コイルスプリングは、圧縮コイルスプリング、引っ張りコイルスプリング、ねじりコイルスプリングが好ましく使用できる。
【0007】
上記軟質樹脂としては、伸び率の高いウレタン樹脂系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系が好ましく使用できる。軟質樹脂の成形形状は所要の特性を考慮して決めることができる。粘弾性の高い軟質樹脂を使用することで、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねが提供できる。
【0008】
さらに、本願第二発明によれば、台座のついたタワー状の型枠に芯材を搭載し、外周の半分となる型枠に合うように位置を調整し、残り半分の外周となる型枠を嵌合する。注入口より軟質樹脂を注型し、硬化反応終了後、外周となる型枠を開放し、台座のついたタワー状の型枠から離型して、上記芯材が軟質樹脂と一体成形された、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねの製造方法が提供される。
【0009】
本願第三発明によれば、本願第一発明の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本願第一発明は上記のとおりであり、コイルスプリングである芯材と軟質樹脂からなる構造体であって、該芯材は該軟質樹脂に被覆されるとともに、上記軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされているため、弾性力の相互作用によって振動減衰特性のある弾まないばねを得ることができる。
【0011】
上記軟質樹脂が、該芯材と一体化することで、はがれなど接着部の耐久性が改善される。
【0012】
請求項2に記載の本願第二発明は上記のとおりであり、台座のついたタワー状の型枠に芯材を搭載し、外周の半分となる型枠に合うように位置を調整し、残り半分の外周となる型枠を嵌合する。注入口より軟質樹脂を注型し、硬化反応終了後、外周となる型枠を開放し、台座のついたタワー状の型枠から離型して、振動減衰特性のある弾まないばねを製造するため、簡単で作業性が良く、芯材が均一に軟質樹脂と一体成形された振動減衰特性のある弾まないばねを得ることができる。
【0013】
請求項3に記載の本願第三発明は上記のとおりであり、本願第一発明の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1は、本発明にかかる振動減衰特性のある弾まないばねAの構成を示す断面図である。図1から明らかなように、上記振動減衰特性のある弾まないばねAは、コイルスプリングである芯材1に軟質樹脂2を被覆、一体化して形成されている。以下、上記振動減衰特性のある弾まないばねAについて、その製造方法にも言及しながら詳細に説明する。
【0015】
振動減衰特性のある弾まないばねAの、芯材1を被覆する軟質樹脂2の形態は、図2、図3、図4があり、図5の従来用いられているダンピングコイルばねBとは異なり、いずれも芯材1と軟質樹脂2は一体化されている。
【0016】
上記芯材1に使われるコイルスプリングは、圧縮コイルスプリング、引っ張りコイルスプリング、ねじりコイルスプリング等が好ましく使用される。上記芯材を軟質樹脂2に被覆、一体化して本発明の振動減衰特性のある弾まないばねを得るのであるが、その製造方法は型枠を用いる注型法により行われる。
【0017】
以下、注型法により上記振動減衰特性のある弾まないばねを製造する方法について説明する。まず、図6に示すように、平面視逆T字型の型枠5の垂直部分に芯材1をセットする。次に図7に示すように、型枠6に合わせて芯材1の位置を調整し、図8に示すように、型枠7を嵌合し、型枠6と型枠7を結合する。図9に示すように、シリコーン粘着剤などの軟質樹脂2を注入口8から注型し、芯材1を被覆する。これを真空槽に入れることで、軟質樹脂が均等になるようにする。その後、常圧にて硬化させ、硬化反応終了後、図10に示すように型枠6、7を開放し、図11に示すように型枠5から離型し、図1に示すように本発明の振動減衰特性のある弾まないばねAを得る。あらかじめ型枠5、6、7に離型剤を塗布したり、芯材1に接着性を高める前処理をすることが好ましく用いられる。
【0018】
上記注型法に限定されず、射出成形法やブロー成形法など他の方法により本発明の振動減衰特性のある弾まないばねAを製造することも可能である。
【実施例】
【0019】
小ロットを扱う場合、注型法ではなく、次の方法を取り入れることができる。図12に示すように軟質樹脂2と接着しないシート9に硬化前の軟質樹脂2を塗布し、図13に示すように芯材1に貼り合わせた後、図14に示すように形状を整え硬化させ、硬化後、軟質樹脂2と接着しないシート9を取り除くことで、振動減衰特性のある弾まないばねAを得ることができる。図15に示すように軟質樹脂2の塗布量を調整することで、芯材1と軟質樹脂2の被覆状態を調整することができる。
【0020】
本願第三発明である、本願第一発明の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置の実施例として、振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を付けた振動減衰装置Cがあり、製造方法も含め詳細に説明する。
【0021】
図16で示すようにナット付き取付板10、11と芯材1と軟質樹脂2からなる振動減衰装置Cである。
【0022】
ナット付き取付板は、図17に示す一体型12でも、図18に示す取付板にボルトを取り付けたもの13でもよい。
【0023】
図19において、取付板11の上部に芯材1を載せ、図20に示すように型枠14に合わせた位置に調整する。図21に示すように取付板10を芯材1の上部に取り付け、型枠14に合わせる。図22に示すように型枠15を型枠14と嵌合し結合する。図23に示すように型枠の注入口16から粘弾性の軟質樹脂2を注型し、エアーなどの気体を注型する。気体は粘弾性の軟質樹脂2の種類によって選び、温度や圧力の管理を行う。型枠14、15には注入口16とエアー抜き口17を備えることで、粘弾性の軟質樹脂2が型枠14、15に均一に塗布される。粘弾性の軟質樹脂2の硬化後、型枠14、15を開放し、離型することで、図16に示す振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置Bを得ることができる。
【0024】
別の製造方法でも、振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置Cを得ることができる。図24のように、振動減衰特性のある弾まないばねAとナット付き取付板10、11を接着性樹脂18で接着する方法である。この場合、位置合わせを行うだけの治具19を用意することで、振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置Cを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の振動減衰特性のある弾まないばねは、使用するコイルスプリングである芯材と軟質樹脂の特性によって、自由に所要の特性を得ることができる。このため産業上の利用は極めて広汎である。たとえば、振動を嫌う光学系製造装置や計測機器の機構部品としての実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる振動減衰特性のある弾まないばねAの構成を示す断面図である。
【図2】軟質樹脂がコイルスプリング全面に被覆された斜図である。
【図3】軟質樹脂がコイルスプリング外面に被覆された斜図である。
【図4】軟質樹脂がコイルスプリング内面に被覆された斜図である。
【図5】公知の粘弾性体シートを周着してなるダンピングコイルばねの図である。
【図6】本発明にかかる製造方法において、型枠5にコイルスプリングをセットした断面図である。
【図7】型枠6に図6のコイルスプリングを合わせたときの断面図である。
【図8】型枠6と型枠7を嵌合したときの断面図である。
【図9】軟質樹脂を注型するときの断面図である。
【図10】軟質樹脂が硬化後、型枠6、7を開放したときの断面図である。
【図11】振動減衰特性のある弾まないばねAを型枠5から離型したときの断面図である。
【図12】シートに軟質樹脂を塗布した図である。
【図13】軟質樹脂を塗布したシートをコイルスプリングに貼り合わせたときの断面図である。
【図14】軟質樹脂を塗布したシートの形状を整えたときの断面図である。
【図15】軟質樹脂の被覆状態を示す図である。
【図16】振動減衰特性のある弾まないばねAの上端・下端に、ナット付き取付板を付けた振動減衰装置Cを示す断面図である。
【図17】一体型のナット付き取付板を示す形状図である。
【図18】取付板にボルトを取り付けたナット付き取付板を示す形状図である。
【図19】本発明にかかる振動減衰装置の製造において、取付板にコイルスプリングを載せた図である。
【図20】型枠14に図19のコイルスプリングを合わせたときの断面図である。
【図21】取付板を型枠14に合わせたときの断面図である。
【図22】型枠14と型枠15を嵌合したときの断面図である。
【図23】軟質樹脂を注型するときの断面図である。
【図24】本発明にかかる振動減衰装置を製造する別の方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
A 本発明にかかる振動減衰特性のある弾まないばね
B 公知の粘弾性シートを周着してなるダンピングコイルばね
C 振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置
1 芯材
2 軟質樹脂
3 圧縮コイルばね
4 粘弾性体シート
5 型枠
6 型枠
7 型枠
8 注入口
9 軟質樹脂と接着しないシート
10 ナット付き取付板
11 ナット付き取付板
12 一体型ナット付き取付板
13 取付板にボルトを取り付けたナット付き取付板
14 型枠
15 型枠
16 注入口
17 エアー抜き口
18 接着性樹脂
19 位置合わせ治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動減衰特性のある弾まないばねに関する。さらに詳しくは軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねおよびその製造方法、弾まないばねを備えた振動減衰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動減衰特性のある弾まないばねとしてはコイルばねに粘弾性体シートを周着するダンピングコイルばねが、従来、用いられている。特許文献1によればダンピングコイルばねは、粘弾性体シートをコイルばねに周着させ、該コイルばねのコイル間の隙間に該シートを入れ込むという製造方法が用いられている。
【特許文献1】特開2005−207589
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
振動減衰特性のある弾まないばねとしてはコイルばねに粘弾性体シートを周着するものがある。この方法ではコイルばねと粘弾性体シートが一体化していないので、コイルばねと粘弾性体シートの接着がはがれるという、耐久性の問題がある。
【0004】
また、粘弾性体シート間をコイルばねに周着させ、該コイルばねのコイル間の隙間に該シート間を入れ込む方法では、作業性が悪く、製造にバラツキが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明においては、次のような技術的手段を講じている。すなわち、本願第一発明においては、コイルスプリングである芯材と軟質樹脂からなる構造体であって、該芯材は該軟質樹脂に被覆されるとともに、上記軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねが提供される。
【0006】
上記芯材がコイルスプリングで構成されることが好ましく用いられる。コイルスプリングは、圧縮コイルスプリング、引っ張りコイルスプリング、ねじりコイルスプリングが好ましく使用できる。
【0007】
上記軟質樹脂としては、伸び率の高いウレタン樹脂系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系が好ましく使用できる。軟質樹脂の成形形状は所要の特性を考慮して決めることができる。粘弾性の高い軟質樹脂を使用することで、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねが提供できる。
【0008】
さらに、本願第二発明によれば、台座のついたタワー状の型枠に芯材を搭載し、外周の半分となる型枠に合うように位置を調整し、残り半分の外周となる型枠を嵌合する。注入口より軟質樹脂を注型し、硬化反応終了後、外周となる型枠を開放し、台座のついたタワー状の型枠から離型して、上記芯材が軟質樹脂と一体成形された、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねの製造方法が提供される。
【0009】
本願第三発明によれば、本願第一発明の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本願第一発明は上記のとおりであり、コイルスプリングである芯材と軟質樹脂からなる構造体であって、該芯材は該軟質樹脂に被覆されるとともに、上記軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされているため、弾性力の相互作用によって振動減衰特性のある弾まないばねを得ることができる。
【0011】
上記軟質樹脂が、該芯材と一体化することで、はがれなど接着部の耐久性が改善される。
【0012】
請求項2に記載の本願第二発明は上記のとおりであり、台座のついたタワー状の型枠に芯材を搭載し、外周の半分となる型枠に合うように位置を調整し、残り半分の外周となる型枠を嵌合する。注入口より軟質樹脂を注型し、硬化反応終了後、外周となる型枠を開放し、台座のついたタワー状の型枠から離型して、振動減衰特性のある弾まないばねを製造するため、簡単で作業性が良く、芯材が均一に軟質樹脂と一体成形された振動減衰特性のある弾まないばねを得ることができる。
【0013】
請求項3に記載の本願第三発明は上記のとおりであり、本願第一発明の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1は、本発明にかかる振動減衰特性のある弾まないばねAの構成を示す断面図である。図1から明らかなように、上記振動減衰特性のある弾まないばねAは、コイルスプリングである芯材1に軟質樹脂2を被覆、一体化して形成されている。以下、上記振動減衰特性のある弾まないばねAについて、その製造方法にも言及しながら詳細に説明する。
【0015】
振動減衰特性のある弾まないばねAの、芯材1を被覆する軟質樹脂2の形態は、図2、図3、図4があり、図5の従来用いられているダンピングコイルばねBとは異なり、いずれも芯材1と軟質樹脂2は一体化されている。
【0016】
上記芯材1に使われるコイルスプリングは、圧縮コイルスプリング、引っ張りコイルスプリング、ねじりコイルスプリング等が好ましく使用される。上記芯材を軟質樹脂2に被覆、一体化して本発明の振動減衰特性のある弾まないばねを得るのであるが、その製造方法は型枠を用いる注型法により行われる。
【0017】
以下、注型法により上記振動減衰特性のある弾まないばねを製造する方法について説明する。まず、図6に示すように、平面視逆T字型の型枠5の垂直部分に芯材1をセットする。次に図7に示すように、型枠6に合わせて芯材1の位置を調整し、図8に示すように、型枠7を嵌合し、型枠6と型枠7を結合する。図9に示すように、シリコーン粘着剤などの軟質樹脂2を注入口8から注型し、芯材1を被覆する。これを真空槽に入れることで、軟質樹脂が均等になるようにする。その後、常圧にて硬化させ、硬化反応終了後、図10に示すように型枠6、7を開放し、図11に示すように型枠5から離型し、図1に示すように本発明の振動減衰特性のある弾まないばねAを得る。あらかじめ型枠5、6、7に離型剤を塗布したり、芯材1に接着性を高める前処理をすることが好ましく用いられる。
【0018】
上記注型法に限定されず、射出成形法やブロー成形法など他の方法により本発明の振動減衰特性のある弾まないばねAを製造することも可能である。
【実施例】
【0019】
小ロットを扱う場合、注型法ではなく、次の方法を取り入れることができる。図12に示すように軟質樹脂2と接着しないシート9に硬化前の軟質樹脂2を塗布し、図13に示すように芯材1に貼り合わせた後、図14に示すように形状を整え硬化させ、硬化後、軟質樹脂2と接着しないシート9を取り除くことで、振動減衰特性のある弾まないばねAを得ることができる。図15に示すように軟質樹脂2の塗布量を調整することで、芯材1と軟質樹脂2の被覆状態を調整することができる。
【0020】
本願第三発明である、本願第一発明の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置の実施例として、振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を付けた振動減衰装置Cがあり、製造方法も含め詳細に説明する。
【0021】
図16で示すようにナット付き取付板10、11と芯材1と軟質樹脂2からなる振動減衰装置Cである。
【0022】
ナット付き取付板は、図17に示す一体型12でも、図18に示す取付板にボルトを取り付けたもの13でもよい。
【0023】
図19において、取付板11の上部に芯材1を載せ、図20に示すように型枠14に合わせた位置に調整する。図21に示すように取付板10を芯材1の上部に取り付け、型枠14に合わせる。図22に示すように型枠15を型枠14と嵌合し結合する。図23に示すように型枠の注入口16から粘弾性の軟質樹脂2を注型し、エアーなどの気体を注型する。気体は粘弾性の軟質樹脂2の種類によって選び、温度や圧力の管理を行う。型枠14、15には注入口16とエアー抜き口17を備えることで、粘弾性の軟質樹脂2が型枠14、15に均一に塗布される。粘弾性の軟質樹脂2の硬化後、型枠14、15を開放し、離型することで、図16に示す振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置Bを得ることができる。
【0024】
別の製造方法でも、振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置Cを得ることができる。図24のように、振動減衰特性のある弾まないばねAとナット付き取付板10、11を接着性樹脂18で接着する方法である。この場合、位置合わせを行うだけの治具19を用意することで、振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置Cを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の振動減衰特性のある弾まないばねは、使用するコイルスプリングである芯材と軟質樹脂の特性によって、自由に所要の特性を得ることができる。このため産業上の利用は極めて広汎である。たとえば、振動を嫌う光学系製造装置や計測機器の機構部品としての実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる振動減衰特性のある弾まないばねAの構成を示す断面図である。
【図2】軟質樹脂がコイルスプリング全面に被覆された斜図である。
【図3】軟質樹脂がコイルスプリング外面に被覆された斜図である。
【図4】軟質樹脂がコイルスプリング内面に被覆された斜図である。
【図5】公知の粘弾性体シートを周着してなるダンピングコイルばねの図である。
【図6】本発明にかかる製造方法において、型枠5にコイルスプリングをセットした断面図である。
【図7】型枠6に図6のコイルスプリングを合わせたときの断面図である。
【図8】型枠6と型枠7を嵌合したときの断面図である。
【図9】軟質樹脂を注型するときの断面図である。
【図10】軟質樹脂が硬化後、型枠6、7を開放したときの断面図である。
【図11】振動減衰特性のある弾まないばねAを型枠5から離型したときの断面図である。
【図12】シートに軟質樹脂を塗布した図である。
【図13】軟質樹脂を塗布したシートをコイルスプリングに貼り合わせたときの断面図である。
【図14】軟質樹脂を塗布したシートの形状を整えたときの断面図である。
【図15】軟質樹脂の被覆状態を示す図である。
【図16】振動減衰特性のある弾まないばねAの上端・下端に、ナット付き取付板を付けた振動減衰装置Cを示す断面図である。
【図17】一体型のナット付き取付板を示す形状図である。
【図18】取付板にボルトを取り付けたナット付き取付板を示す形状図である。
【図19】本発明にかかる振動減衰装置の製造において、取付板にコイルスプリングを載せた図である。
【図20】型枠14に図19のコイルスプリングを合わせたときの断面図である。
【図21】取付板を型枠14に合わせたときの断面図である。
【図22】型枠14と型枠15を嵌合したときの断面図である。
【図23】軟質樹脂を注型するときの断面図である。
【図24】本発明にかかる振動減衰装置を製造する別の方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
A 本発明にかかる振動減衰特性のある弾まないばね
B 公知の粘弾性シートを周着してなるダンピングコイルばね
C 振動減衰特性のある弾まないばねの上端・下端に、ナット付き取付板を接着した振動減衰装置
1 芯材
2 軟質樹脂
3 圧縮コイルばね
4 粘弾性体シート
5 型枠
6 型枠
7 型枠
8 注入口
9 軟質樹脂と接着しないシート
10 ナット付き取付板
11 ナット付き取付板
12 一体型ナット付き取付板
13 取付板にボルトを取り付けたナット付き取付板
14 型枠
15 型枠
16 注入口
17 エアー抜き口
18 接着性樹脂
19 位置合わせ治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルスプリングである芯材と軟質樹脂からなる構造体であって、該芯材は該軟質樹脂に被覆されるとともに、上記軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばね。
【請求項2】
台座のついたタワー状の型枠に芯材を搭載し、外周の半分となる型枠に合うように位置を調整し、残り半分の外周となる型枠を嵌合する。注入口より軟質樹脂を注型し、硬化反応終了後、外周となる型枠を開放し、台座のついたタワー状の型枠から離型して、上記芯材が軟質樹脂と一体成形された、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置。
【請求項1】
コイルスプリングである芯材と軟質樹脂からなる構造体であって、該芯材は該軟質樹脂に被覆されるとともに、上記軟質樹脂と一体化して塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばね。
【請求項2】
台座のついたタワー状の型枠に芯材を搭載し、外周の半分となる型枠に合うように位置を調整し、残り半分の外周となる型枠を嵌合する。注入口より軟質樹脂を注型し、硬化反応終了後、外周となる型枠を開放し、台座のついたタワー状の型枠から離型して、上記芯材が軟質樹脂と一体成形された、塑性変形可能とされた振動減衰特性のある弾まないばねの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の振動減衰特性のある弾まないばねを備えた振動減衰装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−197936(P2009−197936A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41382(P2008−41382)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(708000878)株式会社コーディアルテック (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(708000878)株式会社コーディアルテック (5)
【Fターム(参考)】
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