説明

弾性不織シート

【課題】個人向けの衛生製品の製造用に適切な伸縮性不織シートを提供する。
【解決手段】ネック付き不織機材を弾性ポリマー溶液での処理によって、ネック付き不織基材に弾性ポリマーをほぼ均一に含浸させることにより伸縮性不織シートを作製する。該伸縮性不織シートはネック方向に140%まで3回伸ばされた後に、100%伸びにおける3回目の無負荷状態のサイクル力/100%伸びにおける3回目の負荷状態のサイクル力の比が、少なくとも0.3:1であり、おむつや他の衛生製品の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人向けの衛生製品の製造用に適切な伸縮性不織シートに関する。さらに具体的には、上記伸縮性不織シートは、弾性ポリマーをネック付き(necked)不織基材にほぼ均一に含浸させて、作製される。
【背景技術】
【0002】
弾性不織材料は、当技術分野では公知である。弾性不織材料の例として、「伸縮接合」および「ネック接合」ラミネートが挙げられる。伸縮接合ラミネートは、弾性層が伸長される条件内である間に、層を弛緩する際ギャザー可能な層が集められるように、ギャザー可能な層を弾性層に接合することによって作製される。ネック接合ラミネートは、弾性フィルムまたは繊維層を有するネックされた非弾性層を接合して、製造される。弾性層は、一般的に、弾性フィルムまたは弾性不織ウェブを含んでなる。これらの弾性不織ラミネートは、少なくとも2つの別々の不織層またはフィルム層の作製を必要とする。
【0003】
リーデル(Riedel)に付与された特許文献1(リーデル)は、引裂することなく、少なくとも30%の延伸が可能である伸長性布帛を少なくとも50重量パーセントと、布帛の孔を埋めなくても布帛に含浸されるエラストマーを少なくとも15重量パーセントとを含んでなる通気性の弾性包帯材料を記載する。
【0004】
モルマン(Morman)に付与された特許文献2(モルマン)は、ネック可能な材料が、ネックされる条件内でネック付き材料に接合される弾性層を形成する間に、弾性前駆体をネック可能な材料(例、不織ウェブ)にあてがい、該ネック可能な材料をネック延伸し、弾性前駆体を処理(例、加熱)することにより、伸縮性複合材を作製する方法を記載する。好適な弾性前駆体は、ラテックスまたは熱硬化性エラストマーを含んでなる。弾性前駆体は、5g/m〜約50g/mの量、ネック可能な材料に適用される。弾性層が、ウェブに約2〜約10の繊維厚さ浸透し、該弾性前駆体の浸透度は、弾性層が適用される側と反対のウェブ側を通り抜けないように、制御されるのが好ましい。結果として形成される伸縮性複合材は、弾性層を含んでなる側にフィルム様の手触りを有し、かつ弾性層の反対側にネック可能な材料の元来の滑らかな手触りを保持する。
【0005】
特許文献3は、繊維状ウェブ(例、メルトブローン繊維の不織ウェブ等)を含むZ方向での圧縮性と回復とを有する弾性の飽和不織材料、すなわち、高分子物質(例、弾性アクリルラテックス、ポリウレタンラテックス、またはニトリルゴムラテックス等)で飽和された不織材料を記載する。
【0006】
特許文献4は、ニードルパンチ不織布にゴムまたは合成樹脂を含浸させることにより作製される、コンベヤーベルトおよび伝動用ベルトに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,366,814号明細書
【特許文献2】米国特許第5,910,224号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0472942号明細書
【特許文献4】特開昭47−24479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
経済的に生産され、滑らかな伸縮および良好な保持力を有し、両面に布のような手触りを有する弾性シート材料に対する持続した必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、伸縮性不織シートを作製する方法に関し、
厚さ、第一および第二の外面、流れ方向および横方向を有するネック付き不織基材を提供し、ネック付き不織基材は、横方向に少なくとも30%の伸び率パーセントを有し、
溶媒中で溶解される弾性ポリマーを含んでなる溶液をネック付き不織基材にほぼ均一に含浸させ、
湿潤凝集により含浸不織基材から溶媒を除去して、不織基材の第一または第二外面のどちらの側にも、弾性ポリマーが実質的に連続する層を形成せずに、不織基材の厚さ全体にわたってほぼ均一に弾性ポリマーを沈着する工程を含んでなる。
【0010】
本発明は、ネック方向でネックされ、弾性ポリマーをほぼ均一に含浸させる不織基材を含んでなる伸縮性不織シートにも関し、伸縮性不織シートは、伸縮性不織シートがネック方向に140%まで3回伸ばされた後に、100%伸びにおける3回目の無負荷状態のサイクル力/100%伸びにおける3回目の負荷状態のサイクル力の比が、少なくとも0.3:1である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、伸縮性複合不織シートは、溶媒と弾性ポリマーを含んでなる溶液をネック付き不織基材に含浸させることにより、提供される。上記のネック付き不織基材は、それらのどちらの表面にもポリマー層を形成せずに、不織基材のほぼ均一な含浸を実現する条件下で、含浸される。溶媒の除去後に、通気性の含浸不織シートが獲得され、それは、横方向での負荷状態のサイクル力と比較すると無負荷状態の高いサイクル力(良好な保持力と滑らかな伸縮のため)と、織物にふさわしい手触りとの意外な組み合わせである。さらに、本発明のシートは、典型的に、より容易に作製され、且つ従来型の多層伸縮性ラミネートよりも薄い。例えば、本発明のシートは、約0.25mm〜0.75mmの典型的な厚さを有すことが可能であるが、伸縮性ラミネートは、一般的に1.3mmよりも厚い。
【0012】
本明細書で用いる用語「ポリマー」には、これに限定されないが、一般的に、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、および交互コポリマー等)、ターポリマー等、およびそれらのブレンドおよび修飾体が含まれる。さらに、特に限定しない限り、用語「ポリマー」には、上記材料の可能性のある幾何学的配置が含まれうる。これらの配置には、これに限定されないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびランダム対称が含まれる。
【0013】
本明細書で用いる用語「ポリエステル」は、少なくとも85%の繰り返し単位が、エステル単位の生成によって生じる結合を有するジカルボン酸とジヒドロキシアルコールの縮合物であるポリマーを含むことを意図する。上記には、芳香族、脂肪族、飽和、および不飽和の二塩基酸およびジアルコールが含まれる。本明細書で用いる用語「ポリエステル」にも、コポリマー(例、ブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマー等)、それらのブレンドおよび修飾体が含まれる。ポリエステルの一般的な例は、エチレングリコールとテレフタル酸の縮合物であるポリ(エチレンテレフタラート)(PET)である。
【0014】
本明細書で用いる用語「ポリウレタン」には、ジイソシアネートを有する二官能価のポリオールと二官能価の連鎖延長剤とを縮合することによって、合成されるブロックコポリマーが含まれる(以下に詳細に説明する)。
【0015】
本明細書で用いる用語「ポリオレフィン」は、炭素と水素とのみからなるほとんど飽和された開鎖高分子炭化水素類の全てを意味する。典型的なポリオレフィンには、これに限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、およびエチレンモノマー、プロピレンモノマー、およびメチルペンテンモノマーの様々な組み合わせが含まれる。
【0016】
本明細書で用いる用語「ポリエチレン」は、エチレンのホモポリマーだけでなく、少なくとも85%の繰り返し単位が、エチレン単位であるコポリマーも含むことを意図する。
【0017】
本明細書で用いる用語「ポリプロピレン」は、プロピレンのホモポリマーだけでなく、少なくとも85%の繰り返し単位が、プロピレン単位であるコポリマーも含むことを意図する。
【0018】
本明細書で用いる用語「弾性ポリマー」は、シート、繊維、またはフィルムに作製される際と、バイアス力を加える際とに、その弛緩された無バイアスの長さの少なくとも約160パーセントである延伸長さまで引き伸ばすことが可能であり、伸びたバイアス力を緩める際に、その伸びの少なくとも55パーセントを回復する全てのポリマーを意味する。例えば、少なくとも1.6センチメートルまで引き伸ばし可能な材料の1センチメートルのサンプルは、力を加えることによって1.6センチメートルまで伸びる際に、力を除去すると1.27センチメートル以下の長さまで回復する。それらの弛緩長さの60%をかなり上回る(例えば、100パーセント以上)まで、伸長されうる弾性材料が多く存在し、それらの多くは、伸長力を除去する際に、ほぼそれらの元来の弛緩長さまで(例えば、それらの元来の弛緩長さの105パーセント以内まで)回復する。
【0019】
本明細書で用いる用語「不織布」または「不織ウェブ」は、編み物または織物とは対照的に、ランダムな方法で配置され、識別可能な模様のない平面材料を形成する、個々の繊維、フィラメント、または加工糸の構造を意味する。
【0020】
本明細書で用いる用語「スパンボンド」フィラメントは、押出されるフィラメントの直径を有する紡糸口金の複数の細かく通常円形の毛細管からのフィラメントとして、溶融熱可塑性ポリマー材料を押出すことにより成形された後に、延伸により急速に縮小されるフィラメントを意味する。他のフィラメントの断面形状(例、楕円形、多葉形状等)も、使用できる。スパンボンドフィラメントは、一般的に、連続的であり、約5マイクロメーターを超える平均直径を有する。スパンボンド不織布またはウェブは、取付け表面(有孔のスクリーンまたはベルト)上に、ランダムにスパンボンドフィラメントを積層することにより、作製される。スパンボンドウェブは、一般的に、当技術分野で公知の方法(例、ホット・ロールカレンダー加工、または加圧状態で飽和水蒸気チャンバにウェブを通過させる方法等)で、接合される。上記のウェブも、スパンボンド布帛全体に位置する複数の熱接合点で、先端を熱接合することが可能である。
【0021】
本明細書で用いる用語「流れ方向(MD)」は、不織ウェブが製造される方向を意味する。用語「横方向(XD)」は、一般的に、流れ方向に垂線な方向を意味する。
【0022】
本明細書で用いる用語「ネッキング」は、例えば不織布を加力方向に伸ばすために不織布の流れ方向に平行に、例えば伸びの方向に垂直でその幅を縮小させるために横方向に、制御された方法で、所望の量まで不織布に加力することに関連する方法を意味する。延伸力に垂直な方向は、本明細書では、「ネック方向」として表す。制御された伸長およびネッキングは、室温で、或いは室温よりも高い温度または低い温度で起こり、布帛の引裂または破壊が避け難くなる伸びに至るまで伸ばされる、該方向での全長における増大を制限する。
【0023】
本明細書で用いる用語「ネック付き不織布」および「ネック付き不織基材」は、延伸等のプロセスによって、少なくとも一方向に収縮された全ての不織布を意味する。「ネック可能な不織布」は、ネッキングプロセスにおいて、少なくともある寸法において収縮されうる不織布を意味する。用語「ネックダウンパーセント」は、ネックされていない寸法とネック付き寸法(ネック方向で測定される)の差異を測定した後に、該差異をネックされていない寸法で割って、その結果得る比率に100を掛けて求めると定義される比率を意味する。ネック付き不織布および不織基材は、ネックダウンパーセントに対応する(しかし、比例関係ではない)量により、ネッキング中に、一般的にネック方向に伸長することが可能である。本明細書では、ネック付き不織布の伸長性は、織布内の個々の繊維を延伸せず、不織布内の繊維と繊維の接合を破壊させず、または不織布を引裂しない最大限度まで、ネック方向に、ネック付き不織布を延伸することによる伸び率パーセントとして測定される。
【0024】
用語「湿潤凝集」は、溶媒に溶解した弾性ポリマーを含んでなる溶液を不織基材に含浸した不織基材が、弾性ポリマーには非溶剤であるが、弾性ポリマー溶液を作るのに用いる溶媒と混和性である凝集液と接触するプロセスを説明するために、本明細書で使用される。凝集液も、不織基材を溶解しないように選択される。凝集液は、高分子物質を凝固させて、該溶媒を凝集液中に取り出させる。凝集液は、空気乾燥または加熱等によって、ポリマーを含浸した不織布から、続いて除去される。
【0025】
本発明において使用するのに適するネック可能な不織布には、スパンボンドウェブ、接合されたカードウェブ、および水交絡されたウェブが含まれる。ネック可能な不織布は、当技術分野で公知の方法を用いて、横方向にネックされて、約25%〜約75%のネックダウンパーセントを実現し、約30%〜約300%の横方向の伸びを有するネック付き不織基材を獲得するのが、好ましい。本発明に有用なネック可能な不織布は、非弾性ポリオレフィン(例、ポリエチレン等)、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、およびポリ−4−メチルペンテン−1をはじめとする多種の熱可塑性ポリマーから、作製される。ネック可能な不織布は、ポリプロピレン、ポリエステル、またはポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーを含んでなるのが好ましい。好適な一実施形態において、上記のネック可能な不織布は、スパンボンドポリプロピレン布帛またはカーディングした熱接合のポリプロピレンまたはポリエステル布帛である。開始時のネック可能な不織基材は、約10g/m〜約50g/mの坪量を有するのが好ましい。相対的に低坪量のネック可能な不織物は、約10g/m〜約20g/mの坪量を有するのが特に好ましい。不織基材は、水蒸気透過性であるのが好ましい。ネック可能な不織基材は、一般的に、約15g/mを上回る坪量を有するネック付き不織基材を提供するように、ネックされている。
【0026】
ネック付き不織布は、当技術分野では公知であり、一般的に、横方向にネックされるネック付き不織布を提供するように、ネック可能な不織布を流れ方向に伸長することにより、作製される。ネッキングプロセスの例は、例えば、米国特許第4,443,513号明細書(マイトナー(Meitner)ら(マイトナー(Meitner))、米国特許第4,965,122号明細書、同4,981,747号明細書、および同5,114,781号明細書(全てモルマン)に開示されている。好適なネッキングプロセスは、米国再発行特許第35,206号(ハッセンボエーレル(Hassenboehler)Jr.ら(ハッセンボエーレル))に開示されている。米国再発行特許第35,206号は、米国特許第5,244,482号明細書の再発行出願である。ハッセンボエーレルのプロセスに従ってネックされた不織ウェブは、「圧密ウェブ(consolidated web)」として、本明細書に引用される。
【0027】
ネック付き不織物は、比較的低コストのプロセスを用いて作製され、より高いレベルの横方向の伸長性を有し、横方向に不織物を伸ばすのに、相対的に低い伸び(負荷)力を必要とするので、他の伸長性不織布よりも好適である。さらに、ネック付き不織布は、一般的に、流れ方向に十分伸長性があり、つまり、流れ方向におけるバイアス力に影響を受ける場合に、約5%未満の伸び率パーセントを有する。実質的に一方向の伸縮は、以下に考察するように、特定の最終用途において、非常に望まれる。
【0028】
好適な一実施形態において、ネック付き不織基材は、ハッセンボエーレルに記載される方法を用いて作製される圧密ウェブである。上記の方法には、相対的に低い加工伸びを有する接合された熱可塑性不織ウェブを過熱ゾーン(例、オーブン)に通過させて、ウェブの温度を高分子ウェブの軟化温度と融点の間の温度までウェブの温度を上げる一方、流れ方向にウェブを延伸して、それによって、横方向に延伸した繊維を可塑性に変形し、横方向にウェブを圧密する(ネッキング)ことが含まれる。延伸は、第一線速度で、ウェブを上記のゾーンに通過させ、第一速度を上回る第二線速度で、ウェブを回収して、実施される。第二速度/第一速度の比率は、約1.1:1〜約2:1の範囲が好ましい。開始時の接合不織ウェブは、非弾性のネック可能な不織布であり、2500%/分を超えるひずみ速度(伸長速度)、軟化点より高く高分子ウェブの融点よりも少なくとも10°F低い温度で、過熱延伸される間に測定された、約4.0:1未満で約1.4:1より大きい熱処理中の破壊延伸率を有するように選択される。破壊時の室温の伸び(ひずみ)は、インストロン(Instron)引張試験機を用いるASTM D 1117−77試験方法を基準として2〜40パーセントであるのが好ましく、5〜20パーセントであるのがさらに好ましい。
【0029】
開始時のウェブ中の繊維は、繊維と繊維の融合、繊維交絡、または熱接合(例、点接合等)により接合されうる。ネック可能な不織布中の繊維が、小さい平均繊維直径(例えば、約50マイクロメーター未満)を有するのが好ましい。ウェブの元の状態に影響を与えずに、フィラメントセグメントを局所的に延伸して、締めて、曲げるために、スパンボンド前駆体における接合は、強力である(例、高温の点接合)のが好ましい。点接合において、接合点および接合パターンは、一般的に、接合点の領域が、ウェブ領域の約5〜約25%であるように選択される。接合点の形状は、ダイヤモンド形状か、或いは当技術分野で公知の多くの他の形状であってよい。
【0030】
加熱される延伸工程は、繊維の大部分が一般的に延伸する方向(流れ方向)に一直線に合わせるように、横方向繊維を可塑性変形させ、ウェブを圧密する。ウェブは、横方向に圧密され、長手方向に延伸され、開始時の不織物に関連して熱処理される。
【0031】
少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%の横方向伸びを有するネック付き不織基材は、本発明の弾性不織シートを調達するのに用いることが可能である。圧密プロセス中の不織ウェブのネックダウンパーセントは、約100%〜300%、約150%〜250%の伸長性に各々対応して、好ましくは約50%〜約75%、さらに好ましくは、約60%〜70%である。
【0032】
ネック付き不織ウェブの坪量は、開始時のネック可能な不織ウェブの坪量よりも、3倍以上大きくなりうる。ネック付きウェブの坪量は、約15g/m〜約70g/mが好ましく、約20g/m〜約70g/mがさらに好ましく、約25g/m〜約70g/mが最も好ましい。ネック付き不織基材の坪量は、所望の最終用途に従って選ばれる。例えば、弾性心地として用いられる場合は、ネック付き不織の坪量は、約30g/m〜70g/mが好ましいのに対して、衛生製品の最終用途(例、おむつのウェストバンド等)に対しての坪量は、約15g/m〜40g/mが好ましい。ネック付き不織基材の坪量は、最終の含浸不織に所望の弾性を実現するように、選択されるべきである。よ
り大きい坪量の不織基材は、さらに多くの弾性ポリマーを不織物に含浸させ、含浸不織シートの無負荷状態の強さを増大させる。
【0033】
ハッセンボエーレルに記載されるネッキングプロセスにおける相対的に小さい坪量の不織物の使用は、本発明に従って作製される材料を作製するのに好適である。一緒に用いて、弾性ポリマーを含浸させた後、上記の要素は、材料を伸長する(負荷状態の強さ)必要がある相対的に弱い力と、弛緩される(無負荷状態の強さ)際に材料によって加わる相対的に強い収縮力とを有する、伸縮性不織物を提供するために、組み合わせられる。上記の性質は、上記の材料向けに想定された最終用途に、好適である。負荷状態の強さに対する無負荷状態の強さの関係は、弾性不織物のヒステリシスに相関する。少なくとも150%の横方向の伸び率パーセントを有する本発明の好適な製品に関して、含浸不織物を140%まで3回伸長し、伸長の間に弛緩した後、100%伸びでの無負荷状態の強さ/100%伸びでの負荷状態の強さの比率は、少なくとも0.3:1であり、好ましくは、0.45:1より大きい。
【0034】
本発明における有用な弾性ポリマーには、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、およびポリエーテル−エステルブロックコポリマーが含まれる。好適な一実施形態において、上記の弾性ポリマーは、ポリウレタンである。
【0035】
本発明に有用な弾性ポリウレタンは、グリコールポリマーとジイソシアネートを反応させて、キャッピングされているグリコールを合成し、該キャッピングされているグリコール(適切な溶媒中の)を溶解した後、キャッピングされているグリコールと活性水素原子を有する二官能価の連鎖延長剤とを反応させることにより、作製されうる。上記のポリウレタンは、ジイソシアネートと連鎖延長剤から誘導された「硬質」ウレタンと尿素セグメントと、主にグリコールポリマーから誘導された「軟質」セグメントとからなるので、上記のポリウレタンは、「セグメントされる」と定義される。上記のポリマーの溶液を作製するのに適切な溶媒は、アミド溶媒(例、ジメチルアセトアミド(「DMAc」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、およびN−メチル−ピロリドン等)であるが、他の溶媒(例、ジメチルスルホキシドおよびテトラメチル尿素等)も用いることができる。
【0036】
弾性ポリウレタンの作製に使われるグリコールポリマーには、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、およびそれらのコポリマーが含まれる。上記のグリコールの例として、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−ブチレンアジパート)グリコール、ポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカノエート)グリコール、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)グリコール、およびポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)グリコールが挙げられる。
【0037】
有用なジイソシアネートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼン、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサンイソシアネート、および2,4−トリレンイソシアネートが含まれる。
【0038】
連鎖延長剤は、ジオールまたはジアミンでありうる。有用なジオールには、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびそれらの混合物が含まれる。ジオールの連鎖延長剤の使用は、結果としてポリウレタンを導く。有用なジアミンには、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、1,4−シクロヘキサン−ジアミン、1,3―シクロヘキサンジアミン、およびそれらの混合物が含まれる。上記の場合、合成
されるポリマーは、ポリウレタン尿素(ポリウレタンの亜類)である。ポリエーテルグリコールとジアミン連鎖延長剤を利用する場合、合成されるポリマーは、ポリエーテルウレタン尿素であり、ポリエステルグリコールをジアミン連鎖延長剤との組み合わせで利用する場合、ポリエステルウレタン尿素が合成される。単官能基のアミン連鎖停止剤(例、ジエチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等)を添加して、ポリマーの分子量を制御できる。好適な一実施形態において、弾性ポリマーは、ジアミン増量ポリウレタンエラストマーである。
【0039】
弾性ポリマー溶液を作製するのに適切な溶媒には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、およびN−メチル−ピロリドンが含まれる。弾性ポリマー溶液の粘性は、溶液中の高分子物質の濃度に直接相関し、その結果、溶液の粘性は、ネック付き不織布中のポリマーの浸透度と沈着するポリマーの量の両方に影響を及ぼしうる。溶液の粘性が非常に低い場合、不足する量のエラストマーが、ネック付き不織基材に沈着され、結果として無負荷状態の弱い力となる。溶液の粘性が、非常に高い場合、不織基材への溶液の浸透が減少し、その結果として、不織物中のポリマーの含浸が不完全または不均一になるか、或いは、ポリマー層が、ネック付き不織物の表面上に、不完全または不均一に形成される。ネック付き不織基材に含浸される弾性ポリマー溶液は、好ましくは約1,000〜300,000センチポアズ(「cPs」)、さらに好ましくは10,000〜40,000cPsの溶液粘性を有する。上記溶液は、約5重量%〜20重量%のポリマーを含んでなることが可能である。
【0040】
ネック付き不織基材が、ポリマー溶液を吸収でき、かつポリマー溶液が、ほぼ完全にかつ均一に不織基材に含浸することが必要である。従って、ネック付き不織基材は、コーティングされるべきではなく、そうでないにせよ、ポリマー溶液がネック付き不織布に吸収されるのを妨げるような方法で取り扱われるべきでない。弾性ポリマー溶液および/または不織布は、界面活性剤を含有して、ポリマー溶液によるウェブの含浸を促進させることが可能である。適切な界面活性剤には、非イオン系湿潤剤(例、高分子界面活性剤等)が含まれる。
【0041】
添加剤(例えば、顔料、酸化防止剤、紫外線安定剤、および潤滑剤)を少量、上記の添加剤が本発明の利益から逸脱されないことを条件として、弾性ポリマー溶液に添加してもよい。
【0042】
弾性ポリマー溶液は、溶液に分散された非常に短く、細かい繊維(例、木材パルプ製のセルロース繊維、綿粉、または約0.10インチ(2.5mm)未満、好ましくは、0.5mm未満の長さを有する他の合成繊維もしくは天然繊維)を含有してもよい。上記繊維は、含浸工程中に、不織布に完全に浸透できるくらい十分小さいのが好ましい。含浸不織シート中に、約3〜約12重量パーセント(不織物/弾性ポリマー複合材料の総重量を基準として算出)の短繊維を沈着するのに十分な量において、ポリマー溶液に短繊維を加えてもよい。短繊維、弾性ポリマー、および溶媒の総重量を基準として、好ましくは約10〜約30重量パーセント、さらに好ましくは約10〜約20重量パーセント、短繊維を弾性ポリマー溶液に加える。粉末セルロースを含有する弾性ポリマー溶液をネック付き不織布に含浸させることにより作製される本発明の不織シートは、短繊維を含有しない含浸溶液を用いて作製されたシートよりも滑らかな手触りを有しうる。ポリマー溶液中に用いるのに適切な非常に細かい繊維の微粒子材料の例として、米国ミシガン州スクールクラフトのジェイ・レッテンマイエル(J.Rettenmaier USA(Schoolcraft,Michigan)から入手可能な「アーボセル30(Arbocel30)」の商標名で入手可能な粉末セルロースが挙げられる。
【0043】
ネック付き不織基材上に弾性ポリマー溶液をコーティングするのに適切な全ての方法、
もしくは別の、ネック付き不織基材に該ポリマー溶液を含浸させるのに適切な全ての方法は、布帛が均一に含浸され、コーティングがネック付き不織基材の一表面またはもう一方の表面に集中されない限り、使用されることが可能である。コーティング方法は、ネック付き不織基材を弾性ポリマー溶液で処理するように用いてもよいが、溶液および不織の特性とコーティングプロセス条件は、ポリマー層が不織基材のどちらの表面上にも形成されないように、ポリマー溶液がネック付き不織基材を完全に湿潤するか、さもなければ、ポリマー溶液が不織基材に完全に吸収されるかもしくは不織基材中に押しやられるように選択されることを明記するべきである。一般的に、コーティング中に塗布されるポリマー溶液の量を、ネック付き不織布上に所定の距離をおくコーティング器具を利用して、制御することができる。ネック付き不織基材中において、溶液を機械圧縮することもできる。本発明のプロセスにおいて、コーティング器具として、ローラー、プラテン、スクレーパー、ナイフ等を用いることが可能である。ネック付き不織基材上に溶液をスプレーすることは、弾性溶液がほぼ完全にかつ均一に不織基材に含浸するとすれば、効果的でありうる。良好な浸透の獲得を促進するように、スプレーの強さを調節できる。繊維状のウェブを浸漬した後に、さもなければ、弾性ポリマー溶液を含有するタンクに浸した後に、ニップロール間等で圧搾して、過剰のポリマー溶液を除去する、「浸漬および圧搾」方法として、当技術分野で公知のプロセスを用いて、ネック付き不織基材に弾性ポリマー溶液を含浸させる。上記の方法は、伸縮性複合不織シートの2つの表面間の差を小さくするのに好適である。
【0044】
ネック付き不織基材に十分なポリマー溶液を含浸させて、最終の含浸不織シートにおいて、所望の無負荷/負荷状態の強さの比率を提供する。ネック付き不織基材に十分なポリマー溶液を含浸させ、弾性ポリマーと不織基材の総重量を基準として、好ましくは約15〜約55重量パーセントの弾性ポリマー、さらに好ましくは約30〜約50重量パーセントの弾性ポリマーを該不織基材に沈着する。エラストマーの量が少なすぎる場合、負荷状態の強さに対する無負荷状態の強さの比が、低下しうることは望ましくなく、エラストマーの量が多すぎる場合、シート表面の手触りが、ねばねばしうることは望ましくない。溶液の濃度および/またはネック付き不織布に含浸される溶液量を調節して、含浸シートに所望のポリマー含有量を実現できる。例えば、溶液の塗布中に、ニップロール間の大きな隙間を用いて、含浸シート上に同程度のエラストマー含有量を保ちながら、溶液中でより低い濃度のポリマーを用いると、改良された均衡の取れた手触りおよび無負荷/負荷状態の強さの比を有する製品が付与されることが観察されている。
【0045】
一旦、不織基材に溶媒と弾性ポリマーを含有する溶液を含浸させると、溶媒は除去される。溶媒が湿潤凝集によって除去された後に、凝集液が除去される。湿潤凝集は、熱乾燥よりも驚くほど滑らかで、さらに布のような手触りを有する製品を提供する。湿潤凝集プロセスは、当技術分野では公知であり、人工皮の生産に一般的に使用されている。水は、手で扱い易く、低コストなので、凝集液として好適である。他の適切な凝集液には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、またはメチルエチルケトンが含まれる。弾性ポリマーの溶媒(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、またはN−メチル−ピロリドン等)、もしくは他の添加剤(例、界面活性剤)を凝集液に加えて、凝集速度を修正してもよい。さらに、凝集浴の温度を調整して、凝集速度を変えることもできる。より遅い凝集速度は、溶媒が除去された後に、さらに魅力的な手触りを含浸不織物に付与する。
【0046】
本発明の含浸不織シートにおいて、ネック付き不織基材全体に均一に配分された弾性ポリマー相は、通気性を備える。さらに、含浸不織シートは、水蒸気透過性であるのが好ましい。
【0047】
含浸シート表面上の繊維を立てて、その結果滑らかな手触りになるように、研磨または
ナッピングにより、含浸不織シートの手触りを改善することが可能である。ナッピングは、布帛に効果的にブラシをかける小さな金属の点を含む回転ロール上に布帛を通過させて、表面に繊維を立てることを伴う。研磨において、サンドペーパーで覆われた回転ロールが、金属ブラシに代わって使われる。含浸布帛は、ナッピングされるかまたはその両面を研磨されるのが好ましい。例えば、布帛は、80〜200グリットのサンドペーパーを使って研磨されうる。
【0048】
本発明の伸縮性含浸不織シートは、約40g/m〜約100g/mの坪量を有するのが好ましい。上記シートは、おむつのウェストバンドまたは側面、および他の使い捨ての個人用衛生衣類に、特に有用である。おむつは、長い高速ライン上で、大量生産されて組み立てられ、該ラインにおいて、おむつを構成する様々な部分が、流れ方向に加えられ、プロセスの遅れを回避するのが好ましい。これは、殊に弾性物質に関して事実であり、挿入に先立って、通例、引き伸ばされる。おむつには、高速製造プロセス中に、おむつ上の正しい位置に、全て正確に置かれる必要がある一般的に約20以上の個々の構成部分が含まれる。構成部分(テープ、シート、繊維等)が、おむつが移動しているのと同じ方向に供給されるならば、上記のことは、かなり容易く実現される。横方向に構成部分を加えるためには(例、ウェストバンド)、流れ方向におけるテープのように、おむつ製造プロセスに材料を供給できるように、材料自体が横方向に伸びるのが好ましい。例えば、上記のテープは、シートから切断され、7インチ幅、僅か1インチ長の断片で、おむつまたは他の使い捨ての肌着に接着される。上記のプロセスにおいて、プロセスに供給されるおむつ構成部分が、プロセスへの供給を促進するために、流れ方向にほとんど伸長性がないことも好ましい。本発明の伸縮性不織シートは、流れ方向にほとんど伸長性がなく、横方向にかなり高い回復可能な伸縮性を有し、該シートを上記のプロセスで使用するのに特に適するようにする。
【0049】
試験方法
坪量
不織シートの長方形サンプル約1.0インチ×8.0インチ(2.54cm×20.32cm)は、ひだまたはしわを含まないように、該サンプルを注意して弛緩する。上記サンプルの長さおよび幅をミリメートルの単位で近似した値で測定し、該サンプルを1ミリグラムの10分の1の単位で近似した値で秤量する。該重量を計算上の面積で割って、0.1グラムの単位で近似した値で1平方メートル当りのグラムにより、その答えを表す。
【0050】
負荷および無負荷状態の強さの解析
マーリン・データ・コレクション・ソフトウェア・システム(Merlin data
collection software system)を搭載したインストロンモデル(Instron Model)5565上で、本解析を実施した。マーリン・システムとハードウェアは両方とも、マサチューセッツ州ブレーントリーのインストロン・コーポレーション(Instron Corporation(Braintree,Massachusetts))から入手可能である。幅1インチ±0.05インチ(2.54cm±0.13cm)、長さ約8インチ(20.32cm)の不織シートのサンプルを、3.00インチ(7.62cm)に設定したサンプル長さを有するインストロン機のジョーに固定する。不織物の横方向にサンプルの長さを一直線に合わせるように、サンプルを作製する。1分当り6インチ(15.24cm/分)の速度で、サンプルを140%の伸びまで延伸した後、その元の長さまで弛緩する。これをさらに2回繰り返し、3回目のサイクルで、伸長サイクル(負荷状態の強さ)の材料によって加わる力を、元来のサンプルの長さを基準として、50%、100%、および135%の伸びで記録する。同様に、3回目の弛緩サイクル(無負荷状態の強さ)で、材料によって加わる力も、同じ伸び点で記録する。結果を、3回サイクルの負荷および無負荷状態の強さとして、適切な伸び率パーセントにおいて、グラムで表す。
【0051】
伸び率解析
ひだまたはしわのない1.0インチ(2.54cm)幅、約8インチ(20.32cm)長の不織布の弛緩ストリップを、印が布帛の端からほぼ等しい距離になるように、4.0インチ(10.2cm)間隔で2点をペンで印をつけた後、布帛の端を親指と各手の指でしっかりと握り、サンプルを十分伸ばすが、サンプルが引裂もしくは同様な機械的損傷を受けるまでは、伸ばさない。最大伸び点は、布帛による伸びに対する抵抗の著しい増大として、試験実施者に視覚的にはっきり認識される。その後、不織物上の2つの印をつけた点間の長さを測定し、伸び率パーセントを以下の式で計算する(式中、最初の長さは、10.2cm)。
伸び率パーセント={(延伸した長さ−最初の長さ)/最初の長さ}×100%
【0052】
ネック方向において、伸び率パーセントを測定する場合、布帛サンプルを横方向(ネック方向)に一直線に合わせる長さに切断する。
【実施例】
【0053】
イスラエルのアブゴレ・ノンウヴンズ(Avgol Nonwovens,Israel)により製造される30インチ(76.2cm)幅、15g/mの湿潤可能なスパンボンドポリプロピレン不織物を、1分当り89フィート(27m/分)でニップロールを介して供給し、290°F(143℃)で72インチ(1.83m)長の強制空気炉を通して、1分当り115フィート(35m/分)で稼動する2番目のニップロールに送った後、引き取りロールに送った。上記のプロセスにおいて、30インチ(76.2cm)幅の不織物を均一にかつ滑らかに横方向に、10インチ(25.4cm)の幅まで、圧密(「ネックキング」)した。その幅は、最小の力を加えて、その元来の30インチ(76.2cm)まで、横方向幅に伸ばして戻すことが可能である。ネック付き不織物は、ほぼ0の流れ方向伸び、および32.0g/mの坪量を有した。
【0054】
15ミル(mil)(0.38mm)のドクターナイフと、分子量1800のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン(ジイソシアネート/グリコールのモル比1.69)、連鎖延長剤(9:1のモル比でのエチレンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミン)、およびジエチルアミンから誘導された20重量%のポリウレタン尿素のジメチルアセトアミド(DMAC)溶液とを用いて、一方の表面上にネック付き不織物を被覆した。以下の添加剤も用いた:ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン)と(3−t−ブチル−3−アザ−1,5−ペンタンジオール)のポリマー(本出願人のメタクロール(Methacrol)(登録商標)2462B)0.5重量%、二酸化チタン0.3重量%、シリコーン油0.6重量%、2,4,6−トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸エステル(サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)のサイアノックス(Cyanox)(登録商標)1790)1.4重量%、ハンタイトと水菱苦土石の混合物4重量%(全てのパーセントはポリウレタン尿素の重量を基準とする)。ポリウレタン尿素−DMAC溶液を不織物に十分湿らせた。
【0055】
被覆した不織物を、約1分間、空中にほぼ垂直に吊るし、不織物中にポリマー溶液を十分浸透させた後に、水中に40容量%のDMACの70°F(21℃)の浴に浸した。1分後、含浸した布帛を連続して、30容量%、20容量%、および10容量%のDMAC/水の溶液に各々1分間移し、最後に100%の水の浴に、2分間浸した。含浸した布帛を室温で、空気乾燥させた。
【0056】
結果として生じた含浸不織シートは、両面に同一の(乾燥、織物様)手触りおよびきめ
を有した。含浸不織シートの断面の顕微鏡写真は、材料厚さを通して均一な複合構造を示し、またどちらの表面上にも連続的なポリウレタンの領域が殆どないことを示した。
【0057】
その後、220グリットのサンドペーパーを用いて、不織シートを軽く研磨した。その結果生じる材料は、顕著に滑らかな感触を有し、研磨前の突起した繊維を伴わない完全に平滑な面と比べると、表面から突起した沢山の個々の短繊維が目視により観察された。上記の加工処理が、シートの視覚的美的感覚または弾性特性をあまり損なわずに、より滑らかな手触りを付与するのに成功したことは、予期していないことだった。
【0058】
結果として生じた含浸不織シートは、71.4g/mの坪量を有し、1平方メートル当り39.4グラムのポリウレタン尿素含有量、または約55重量%の弾性ポリマーを示した。
【0059】
結果として生じた材料を横方向に手で引っ張った際の伸びは、約160%〜180%の伸びを示した。
【0060】
負荷および無負荷状態の強さの解析は、以下の結果を示した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
表のデータを比較すると、100%伸びにおける負荷状態の強さに対する無負荷状態の強さは、0.54であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性ポリマーをほぼ均一に含浸させたネック付き不織基材を含んでなる伸縮性不織シートであって、伸縮性不織シートは、伸縮性不織シートがネック方向に140%まで3回伸ばされた後に、100%伸びにおける3回目の無負荷状態のサイクル力/100%伸びにおける3回目の負荷状態のサイクル力の比が、少なくとも0.3:1である伸縮性不織シート。
【請求項2】
無負荷/負荷状態の強さの比が、0.45:1より大きいことを特徴とする請求項1に記載の伸縮性不織シート。
【請求項3】
シートが、弾性ポリマーと不織基材の総重量を基準として30〜50重量パーセントの弾性ポリマーを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性不織シート。
【請求項4】
不織シートが、40g/m〜100g/mの坪量を有することを特徴とする請求項1に記載の伸縮性不織シート。
【請求項5】
請求項1に記載の伸縮性不織シートを含んでなる個人用衛生衣類。
【請求項6】
衣類が、おむつを含んでなることを特徴とする請求項5に記載の個人用衛生衣類。

【公開番号】特開2010−65373(P2010−65373A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256199(P2009−256199)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2003−586417(P2003−586417)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(599088656)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (11)
【Fターム(参考)】