説明

弾性器具結合体を有する固定具アセンブリのための方法および装置

本発明は、例えば、ワークピースに固定具を取り付けるための、固定具および弾性部材を有する固定具アセンブリを提供する。この固定具は、開口部を備え、かつワークピースとはまり合って、上記固定具を保持するように適合されている。上記弾性部材は、上記開口部に固定された第一の部分、およびファスナー駆動器具のノーズピースとの摩擦的の係合のために適合されている第二の部分を備える。上記弾性部材は、高さおよび幅を有し、この高さの幅に対する比は、1未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ワークピースに取付け具を取り付けるための固定具、およびファスナー駆動器具(例えば、釘打ちガン(nail gun))を用いて固定具をワークピースに固定するための方法に関する。より具体的には、本発明は、固定具をファスナー駆動器具のノーズピースに結合するためのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ワークピースに取付け具を取り付けるための固定具、およびファスナー駆動器具(例えば、釘打ちガン)を用いて固定具をワークピースに固定するための方法は、公知である。特許文献1は、磁化可能な鋼で作られた座金板をワークピースに固定するためのファスナー駆動器具を開示する。ファスナーのストリップは、ポリマースリーブによって結合され、この器具内に送られる。この器具は、ノーズピースを有し、このノーズピースは、ノーズピースからワークピースへと、ファスナーを一度に一個駆動するように適合されている。ワークピースに接触するプローブは、2個の永久磁石を備え、そしてノーズピースとワークピースとの間に磁力によって座金板を保持するために、このノーズピースに取り付けられている。ファスナーは、このノーズピースから、ワークピースに接触するプローブによって保持された座金板を通って、このワークピースへと駆動される。特許文献2においては、釘を固定されるべき対象中に駆動するためのハンマーヘッドアセンブリは、中空の取り付け基部に取り付けられた釘保持具、およびこの釘保持具内部に提供されて、ワークピース中に駆動するように釘を引きつける磁石を備える。
【特許文献1】米国特許第5,484,094号明細書
【特許文献2】米国特許第6,598,775号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ファスナー駆動器具のノーズピースに容易に取り付けられ得、代表的にファスナー(釘もしくはピン)を用いてワークピースに固定される任意の種々の固定具とともに使用するように適合され得、そしてノーズピースに固定具を保持するためにファスナー駆動器具のノーズピースに対してアダプターもしくは他の特別な取り付け部品を使用する必要がない、取付け具をワークピースに固定するための固定具を有することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明の固定具アセンブリによって、上記の必要性は満たされ、そして先行技術の欠点は克服される。特に、本発明は、ファスナー駆動器具のノーズピースに容易に取付け可能な、固定具アセンブリを提供する。一旦取付けられると、この固定具は、ファスナー駆動器具を用いて、ワークピース上に都合よく配置され得る。本発明は、上記固定具に取付けられた弾性部材を(例えば、ノーズピース中に押し込んではめ込まれ得る変形可能な円盤として)利用する。上記固定具は、ノーズピースに対して保持され得、そしてファスナーは、固定具をノーズピースに保持するための取り付け部品もしくはアダプターを使用する必要なしに、この固定具を通って、ワークピースへと駆動され得る。
【0005】
一実施形態によると、固定具アセンブリは、ワークピースに取り付けられるように適合された固定具、およびこの固定具に固定され、そしてファスナー駆動器具のファスナー出口と係合するように適合されている、円盤形の変形可能な片を備える。この円盤形の片は、高さおよび幅を有し得、この高さは、幅より小さい。この円盤形の片は、実質的に平坦な上面を有し得る。
【0006】
別の実施形態において、固定具アセンブリは、ワークピースに取り付けられるように適合された固定具、ならびに該固定具に固定された第一の部分およびファスナー駆動器具のファスナー排出部分との摩擦的の係合のために適合された第二の部分を有する、弾性部材を備える。この第二の部分は、ファスナー排出部分の入口の直径よりも大きい直径を有する、円盤のような形状であり得る。上記固定具は、上記弾性部材の第一部分を受けるための開口部を備え得る。上記固定具は、座金のような形状であり得る。
【0007】
別の実施形態において、ファスナー駆動器具を用いてワークピースへ固定具を取付ける方法が提供される。ファスナー駆動器具は、ファスナーを含むマガジン(magazine)およびノーズピースからファスナーを放出するための発射チャンバーを有する型のものであり得る。この方法は、上記固定具上に弾性部材を提供する工程、上記器具のノーズピースに上記弾性部材を固定する工程、上記固定具をワークピース上に配置する工程、上記発射チャンバー中にファスナーを進める工程、および上記固定具中にファスナーを駆動して、上記ワークピースにその固定具を固定する工程を包含し得る。上記弾性部材は、摩擦力によって上記固定具を上記ノーズピースに保持するために、このノーズピースにこの弾性部材を摩擦的に係合することによって固定され得る。上記弾性部材は、この弾性部材と上記ノーズピースの内壁とを係合することによって固定され得る。上記弾性部材の一部を上記固定具に固定するために、この固定具に開口部が提供され得る。
【0008】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明から示されるか、または以下の記載から明らかである。本発明の特徴および利点は、本明細書の記載された説明および特許請求の範囲ならびに添付の図面において具体的に示される構造および方法によって、認識され、かつ達成される。
【0009】
上述の一般的説明および以下の詳細な説明の双方が、例示的かつ説明的なものであり、そして、特許請求されている本発明の範囲を限定することなくさらなる説明を提供するように意図されていることが、理解されるべきである。
【0010】
付随する図面は、本発明のさらなる理解を提供するように含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の好ましい実施形態を説明し、そして本明細書とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の固定具アセンブリは、固定具およびこの固定具に固定された弾性部材を提供する。これらの例は、添付の図面に図示されている。上記固定具は、座金、クリップ、チャネル、ブラケット、または取付け具をワークピースに取付けるために使用される任意の他の型の固定具であり得る。上記弾性部材は、ファスナー駆動器具のファスナー出口開口部(代表的には、ノーズコーンに相当する)において固定され得る。上記弾性部材は、弾性材料から作製され得、それによって、この弾性部材は、(例えば、ノーズピースの開口部内へのプレスばめによって)ノーズピースに容易に固定できるようにされる。好ましくは、上記弾性部材は、ノーズピースにはめられる場合に弾力的に変形される。したがって、好ましい材料は、比較的高度に弾性のある材料(例えば、ゴムもしくは軟質プラスチック)である。上記弾性部材はまた、この弾性部材がノーズピース開口部に挿入される場合に非弾性の変形を受けるような様式で構築され得る。例えば、この弾性部材は、ノーズピースに取るつけられる場合に可塑的に変形する材料から作製され得る。このような実施形態は、ノーズピースにより堅固な保持部を提供し得、したがって、使用の間ノーズピースに比較的重い固定具が固定されるべき状況において好ましくあり得る。これらの実施形態のいずれもが企図され、どの実施形態においても、上記弾性部材は、任意の型のノーズピースに固定可能であるように形成され得る。したがって、この器具は、アダプターまたは取り付けを必要としないはずである。他の実施形態において、上記弾性部材は、ノーズピースの外部構造へのスナップまたはプレスばめ(例えば、ファスナー出口の近くに配置されたリムまたはフランジ)であるように適合され得る。
【0012】
ノーズピースへの弾性部材の取付けは、ファスナー駆動器具に対して固定具を一時的に保持し、それによって、使用者は、ファスナーが固定具を通じてワークピースに挿入され得る前に、ファスナー駆動器具に対して固定具を別に保持することなく、またはワークピースに対して固定具を別に配置することなく、ワークピース上にファスナー駆動器具および固定具を配置し得る。図4に示されるように、使用者が固定具のためのワークピースの位置を決める場合、固定具は、バレルの端部に固定されて、それに対して保持される。
【0013】
ワークピースに固定具を固定するように適合された任意の型のファスナー駆動器具が、本発明の固定具アセンブリとともに使用され得る。このような器具の例は、米国特許第6,260,519号(この特許の開示は、あらゆる目的のため、参考として援用される)に記載されている。これらの型の器具において、ファスナーは、代表的に、マガジンに入れられるファスナーの並んだストリップとして提供される。このデバイスが使用できる状態にある場合、このファスナーは、マガジンから、発射チャンバー内に進められて、ハンマーもしくは発射ピンによって打たれる。
【0014】
本発明の固定具アセンブリ20の好ましい実施形態は、図1〜2において、ファスナー駆動器具のノーズピースとともに記載される。固定具アセンブリ20は、以下により詳細に記載されるように、固定具22および弾性部材24を備える。図2Aおよび2Bを参照すると、弾性部材24は、好ましくは、ファスナー駆動器具10のバレル12へのプレスばめであり、したがって、弾性部材24は、バレル12の内壁12aを摩擦的に係合する。上記のように、弾性部材は、種々の大きさおよび重量の固定具をノーズピースに保持し得る大きさであり得る。
【0015】
図3Aは、弾性部材24の側面図を示す。図1および3Aを参照すると、弾性部材24は、第一の部分26およびほぼ円盤形をとる第二の部分28を備える。他の実施形態において、第二の部分28は、例えば、変形可能な球状の片のような形状(例えば、球および楕円)であり得る。別の実施形態において、第二の部分28は、第一の部分26から延びた複数の変形可能な腕の形状を取り得る。これらの実施形態の各々において、弾性部材24は、軟質プラスチックもしくはゴムまたは比較的非弾性のプラスチック(例えば、ノーズピース内に挿入される場合に変形されて、それによってノーズピースの内壁に対して摩擦的の保持を生じるもの)から作製され得る。第一の部分26は、好ましくは、第二の部分28から延びる細長い片として形成される。図3A、3B、3C、および3Dを参照すると、第一の部分26を受けるため、固定具22に開口部34が形成され得る。弾性部材24は、拡大された先端32を形成することによって開口部34内に保持され得、それによって弾性部材24が固定具22から分離することを防ぐ。弾性部材24は、開口部34を通して第一の部分26を押し込んではめることによって固定具22に固定され得るか、または弾性部材24は、直接的に固定具22に成形され得る。
【0016】
好ましい実施形態において、第一の部分26は、直径(d)を有する先端32を有する。直径(d)は、開口部34の直径(d)よりも大きい。先端32は、先端32が弾性であるので、開口部34を通して強制的に挿入され得る。第一の部分26が開口部34内に配置される場合、先端32は、開口部34を超えて延び、固定具22の下部表面36と係合する。この様式で、先端32は固定具22に弾性部材24を固定する。別の実施形態において、第一の部分26は、接着剤を用いて固定具22の頂面38に固定され得る。
【0017】
図3B〜3Cは、固定具22の一例(例えば、座金)を示す。一般的に、固定具22は、ワークピースに取付け具を固定するために使用される任意の型の固定具に対応し得る。例えば、固定具22は、図6に示されるように、ケーブルクリップ50を有するように形成され得る。固定具22は、頂面38、底面36、そして頂面38と底面36との間に延びる側面42を有する。固定具22は、中心軸A−Aを囲んで配置された、頂面38と底面36との間に延びる開口部34を備え得る(上記で考察したように、弾性部材24を固定するため)。固定具22は、図1に示されるように、貫通孔40か、または固定具に関する特定用途を与えられた他の構造を有し得る。ここでも、ファスナー駆動器具を用いて固定可能な任意の型の固定具は、弾性部材を備え得る。したがって、特定の型の固定具は、本発明の範囲の限定であるとはみなされない。
【0018】
図3Aを参照すると、弾性部材24の第二の部分28は、好ましくは、バレル12の内径よりも大きな幅(w)(それによってバレル12に対する摩擦的の保持を容易にする)および高さ(h)を有する。好ましい実施形態において、この幅に対する高さの比、またはアスペクト比は、1(すなわち「1(unity)」)未満である。
【0019】
図4を参照して、本発明の、固定具をワークピースに固定する方法が、図1〜3に記載される本発明の好ましい実施形態を用いてここで考察される。固定具アセンブリ20は、弾性部材24とノーズピースとを係合することによって(例えば、図2Bに記載されるように、ノーズピースの内壁12aに対して弾性部材24を押し込んではめ込むことによって)、ファスナー駆動器具のノーズピースに固定される。一旦ノーズピースに固定された場合、使用者は、ファスナー駆動器具を用いてワークピース44上に固定具22を配置し得る。使用者は、ノーズピースと固定具アセンブリ20とをワークピースに対して押し込み、マガジンから発射チャンバーへとファスナーを進めて、固定具アセンブリ20内、次いでワークピース44へとファスナーを放出し得る。図5は、ファスナー48によってワークピース44に固定された固定具20を示す。弾性部材22の残りは、必要次第で、所定の位置に残されても、除去されてもよい。
【0020】
図6は、固定具22aに取付けられた取付け具によってワークピース44に固定された固定具アセンブリ20の固定具22aを示す。この例では、固定具22aは、ケーブル取付け具52に取り付けられたケーブルクリップ50である。
【0021】
上述の記載は本発明の好ましい実施形態に関するが、他の変更および改変が、当業者によって理解され、かつ本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、ファスナー駆動器具のノーズピースを備える、本発明の原理を組み込んだ固定具アセンブリの好ましい実施形態の斜視図である。
【図2A】図2Aは、ノーズピースに取付けられた図1の固定具アセンブリの斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの固定具アセンブリが取付けられたノーズピースの断面図である。
【図3A】図3Aは、固定具アセンブリの弾性部材の側面図である。
【図3B】図3Bは、固定具アセンブリの固定具の側面図である。
【図3C】図3Cは、図3Bの固定具の平面図である。
【図3D】図3Dは、固定具アセンブリの側面図である。
【図4】図4は、ワークピースに対して配置された固定具部材によってノーズピースに取付けられた図1の固定具アセンブリの側面図である。
【図5】図5は、ファスナーによってワークピースに固定された固定具アセンブリの側面図である。
【図6】図6は、ファスナーによってワークピースに固定された固定具アセンブリの第二の実施形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定具アセンブリであって、以下:
ワークピースに取り付けられるように適合された固定具;および
該固定具に固定され、そしてファスナー駆動器具のファスナー出口と係合するように適合されている、円盤形の変形可能な片
を備える、固定具アセンブリ。
【請求項2】
前記円盤形の片が、高さおよび幅を有し、該高さが該幅よりも小さい、請求項1に記載の固定具アセンブリ。
【請求項3】
前記円盤形の片が、実質的に平坦な上面を備える、請求項1に記載の固定具アセンブリ。
【請求項4】
固定具をワークピースに取り付ける方法であって、該方法は、ファスナー駆動器具を使用し、該ファスナー駆動器具は、ファスナーを含むマガジンおよび該ファスナー駆動器具のノーズピースからファスナーを放出するための発射チャンバーを有する型のものであり、該方法は、以下:
該固定具上に弾性部材を提供する工程;
該器具のノーズピースに該弾性部材を固定する工程;
該ワークピース上に固定具を配置する工程;
該発射チャンバー中にファスナーを進める工程および
該固定具中にファスナーを駆動し、それによって該ワークピースに該固定具を固定する工程
を包含する、方法。
【請求項5】
前記固定する工程が、前記弾性部材を前記ノーズピースに対して摩擦的に係合して、摩擦力によって前記固定具を該ノーズピースに保持する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固定する工程が、前記弾性部分と前記ノーズピースの内壁とを係合する工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記提供する工程が、前記弾性部材の一部を前記固定具に固定するために、該固定具に開口部を提供する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
固定具アセンブリであって、以下:
ワークピースに取り付けられるように適合された固定具;ならびに
弾性部材であって、該固定具に固定された第一の部分およびファスナー駆動器具のファスナー排出部分との摩擦的の係合のために適合された第二の部分を有し、該弾性部材は、高さおよび幅を有し、該高さの該幅に対する比が1未満である、弾性部材
を備える、固定具アセンブリ。
【請求項9】
前記第二の部分が、円盤に似ている、請求項8に記載の固定具アセンブリ。
【請求項10】
前記円盤が、前記ファスナー排出部分の入口の直径よりも大きい、直径を有する、請求項9に記載の固定具アセンブリ。
【請求項11】
前記固定具が、前記弾性部材の第一部分を受けるための開口部を備える、請求項8に記載の固定具アセンブリ。
【請求項12】
前記固定具が座金である、請求項8に記載の固定具アセンブリ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−510118(P2007−510118A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538309(P2006−538309)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/036017
【国際公開番号】WO2005/044519
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503168234)パワーズ ファスナーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】