説明

弾性波装置および弾性波装置の製造方法

【課題】 回路基板と、回路基板に実装される弾性波素子とを備える弾性波装置であって、回路基板におけるインダクタパターンのインダクタンス値を安定にすることができ、安定した周波数特性を有する弾性波装置を提供する。
【解決手段】 弾性波装置10は、回路基板1と、回路基板1に実装される弾性波素子2とを備える。そして、回路基板1において、回路基板内層11Bに形成されるインダクタパターン121は、平面透視したときに、回路基板裏面11Cに形成される第1接地パターン114aの平行な2辺を横切って第1接地パターン114aからはみ出すように形成された横断部121aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板と、回路基板に実装される弾性波素子とを備える弾性波装置および弾性波装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末装置には、分波器またはアンテナ共用器とも呼ばれるデュプレクサが搭載されている。このデュプレクサは、周波数の異なる送信信号と受信信号とを分離するものであり、送信信号が通過する送信用フィルタと、受信信号が通過する受信用フィルタとを備える。
【0003】
特許文献1には、送信用フィルタおよび受信用フィルタとして弾性表面波フィルタ部を有する弾性波素子を、回路基板上に実装してなる分波器が開示されている。送信用フィルタには、整合回路としての機能を果たすインダクタパターンが接続されているのが一般的であり、送信用フィルタは、接地パターンに接続されるインダクタパターンを介して接地されている。
【0004】
インダクタパターンおよび接地パターンは、誘電体を多層に積層してなる回路基板における別層に形成される。接地パターンは、回路基板において実装基板に対する実装面となる裏面に形成され、インダクタパターンは、回路基板の内層に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−115748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
誘電体を多層に積層してなる回路基板を作製するときに、積層ずれや印刷ずれなどの影響で、回路基板の内層に形成されるインダクタパターンが、回路基板の裏面に形成される接地パターンに対してずれた状態で配置される場合がある。このような場合、平面透視したときに、インダクタパターンと接地パターンとが重なる面積が変化してしまい、その重なり面積の変化に応じてインダクタパターンのインダクタンス値が変化してしまう。
【0007】
このように、インダクタパターンのインダクタンス値が変化すると、分波器の周波数特性が不安定になってしまうという問題が生じる。
【0008】
したがって本発明の目的は、回路基板と、回路基板に実装される弾性波素子とを備える弾性波装置であって、回路基板においてインダクタパターンが接地パターンに対してずれた状態で配置されている場合であっても、インダクタパターンのインダクタンス値を安定にすることができ、安定した周波数特性を有する弾性波装置および弾性波装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様にかかる弾性波装置は、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する回路基板と、
前記回路基板の第1の面に実装される弾性波素子と、
を備え、
前記回路基板は、
前記第2の面に配置された矩形状の接地パターンと、
前記回路基板の前記接地パターンが配置された前記第2の面と別の面に配置され、且つ平面透視したときに前記接地パターンの平行な2辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有するインダクタパターンと、を含むものである。
【0010】
また本発明の一態様にかかる弾性波装置は、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する回路基板と、
前記回路基板の第1の面に実装される弾性波素子と、
を備え、
前記回路基板は、
第1乃至第4の辺を有するとともに前記第1の辺に対し前記第2、第3の辺が直交する位置関係にある矩形状の接地パターンであって、前記第2の面に配置された接地パターンと、
前記回路基板の前記接地パターンが配置された第2の面と別の面に配置され、且つ平面透視したときに前記接地パターンの前記第1、第2の辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された第1横断部と、前記第1の横断部が配置された面と同じ面に配置され、且つ平面透視したときに前記接地パターンの前記第1、第3の辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された第2横断部と、を有し、前記第1横断部の前記第1の辺側にはみ出した部分と前記第2横断部の前記第1の辺側にはみ出した部分とが接続されているインダクタパターンと、を含むものである。
【0011】
また本発明の一態様にかかる弾性波装置の製造方法は、矩形状の接地パターンを有する第1シートを形成する第1シート作製工程と、インダクタパターンを有する第2シートを形成する第2シート作製工程と、前記第2シートを前記第1シート上に前記接地パターンが形成された面とは反対側に積層する積層工程と、を含む回路基板の作製工程と、
前記回路基板に前記インダクタパターンと接続される弾性波素子を実装する実装工程と、
を備え、
前記積層工程において、前記第1シートおよび前記第2シートを平面透視したときに前記インダクタパターンは、前記接地パターンの平行な2辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有するものである。
【0012】
また本発明の一態様にかかる弾性波装置の製造方法は、主面に矩形状の接地パターンを有し、他主面にインダクタパターンを有する第1シートを形成する第1シート作製工程と、前記第1シートの他主面側に第2シートを積層する積層工程と、を含む回路基板の作製工程と、
前記回路基板に前記インダクタパターンと接続される弾性波素子を実装する実装工程と、
を備え、
前記第1シート作製工程において、前記第1シートを平面透視したときに前記インダクタパターンは、前記接地パターンの平行な2辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
上記の弾性波装置および弾性波装置の製造方法によれば、回路基板と、回路基板に実装される弾性波素子とを備える弾性波装置であって、回路基板においてインダクタパターンが接地パターンに対してずれた状態で配置されている場合であっても、インダクタパターンのインダクタンス値を安定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態である弾性波装置10の構成を示す図である。
【図2】回路基板1のパターン配置およびビア配置を示す図である。
【図3】回路基板1の各層のパターン配置およびビア配置を示す図である。
【図4】弾性波装置10に組込まれる送信側領域の回路の構成を示す図である。
【図5】回路基板100におけるインダクタパターン221の配置を示す図である。
【図6】実施例に係る弾性波装置の周波数特性を示すグラフである。
【図7】比較例に係る弾性波装置の周波数特性を示すグラフである。
【図8】比較例に係る弾性波装置における回路基板のパターン配置およびビア配置を示す図である。
【図9】比較例に係る弾性波装置における回路基板の各層のパターン配置およびビア配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る弾性波装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0016】
また、本発明の実施形態に係る弾性波装置は、分波器またはアンテナ共用器とも呼ばれるデュプレクサや、ラダー型フィルタとして用いることができる。以下では、弾性波装置をデュプレクサとして用いた場合を例にして説明する。
【0017】
(弾性波装置)
図1は、本発明の実施の一形態である弾性波装置10の構成を示す図である。図1(a)は弾性波装置10の斜視図を示し、図1(b)は弾性波装置10に組込まれた回路のブロック図を示す。弾性波装置10は、回路基板1と、第1フィルタ21と第2フィルタ22とを有する弾性波素子2とから主に構成されている。
【0018】
弾性波素子2は、第1フィルタ21および第2フィルタ22が設けられた面(以下、「弾性波素子主面」ともいう)を、回路基板1の第1の面である上面(以下、「回路基板主面」ともいう)に向かい合わせた状態で、回路基板1にフリップチップ実装される。弾性波素子2は、回路基板1より一回り小さいサイズに設定され、全体が封止樹脂体3により覆われて保護されている。なお、弾性波素子2は、回路基板1に必ずしもフリップチップ実装される必要はなく、フェイスアップ実装した後、回路基板1にワイヤーボンディングなどの方法で接続してもよい。
【0019】
弾性波装置10では、第1フィルタ21は、アンテナ端子112と不平衡信号端子111との間に配置されて、インダクタパターン121を介して接地パターンにより接地されている。本実施形態において第1フィルタ21は、高い耐電力性を有するラダー型の表面弾性波(Surface Acoustic Wave;以下、「SAW」と略記することがある)フィルタである。また、第2フィルタ22は、アンテナ端子112と第1平衡信号端子113aおよび第2平衡信号端子113bとの間に配置される、縦結合共振子型SAWフィルタである。
【0020】
弾性波装置10に接続された信号源から発信されて不平衡信号端子111から入力される送信信号は、第1フィルタ21を通過し、送信側通過周波数帯域(周波数1920〜1980MHz)の信号がアンテナ端子112から出力される。また、アンテナ端子112から入力される受信信号は、第2フィルタ22を通過し、受信側通過周波数帯域(周波数2110〜2190MHz)の信号が、第1平衡信号端子113aおよび第2平衡信号端子113bから出力される。
【0021】
弾性波装置10において不平衡信号端子111、アンテナ端子112、第1平衡信号端子113a、第2平衡信号端子113b、インダクタパターン121および接地パターンは、回路基板1に設けられている。
【0022】
回路基板1は、誘電体を多層に積層してなる。回路基板1を構成する誘電体の材料としては、たとえばアルミナを主成分とするセラミックスや、低温で焼結可能なガラスセラミックス、または有機材料を主成分とするガラスエポキシ樹脂などが用いられる。セラミックスやガラスセラミックスを用いる場合には、セラミックスなどの金属酸化物と有機バインダとを有機溶剤などで均質混練したスラリーをシート状に成型したグリーンシートを作製し、所望の導体パターンやビアを形成した後、これらグリーンシートを積層し圧着することにより一体形成して焼成することによって作製される。
【0023】
回路基板1において、アンテナ端子112、第1平衡信号端子113a、第2平衡信号端子113b、インダクタパターン121および接地パターンは、各誘電体層の表面に導体で形成され、誘電体層間は導体を充填したビアで接続される。ここで導体としては、銀、銀にパラジウムを添加した合金、タングステン、銅および金などを用いることができる。これらの導体パターンは、金属導体をスクリーン印刷、あるいは蒸着やスパッタリングなどの成膜法とエッチングとの組合せにより形成される。第1フィルタ21および第2フィルタ22と直接接続される導体パターンや、PCB(Printed Wiring Board、プリント回路基板)などの実装基板に弾性波装置10を搭載する際に接続する端子には、ニッケルまたは金などのめっきを施してもよい。
【0024】
図2は、回路基板1のパターン配置およびビア配置を示す図である。また、図3は、回路基板1の各層のパターン配置およびビア配置を示す図である。図3(a)は、回路基板1の弾性波素子2が実装される面である回路基板主面11Aに形成される導体パターンの配置を示し、図3(b)は、回路基板1の内層(以下、「回路基板内層」ともいう)11Bに形成される導体パターンの配置を示し、図3(c)は、回路基板1の実装基板に対する実装面(以下、「回路基板裏面」ともいう)11Cに形成される導体パターンの配置を示す。なお、回路基板裏面11Cは、本発明の第2の面の一態様である。
【0025】
図3(a)には、回路基板主面11Aに形成される導体パターンと、回路基板内層11Bに形成される導体パターンとの間を接続するビアの配置も示している。また、図3(b)には、回路基板内層11Bに形成される導体パターンと、回路基板裏面11Cに形成される導体パターンとの間を接続するビアの配置も示している。
【0026】
図3(a)に示すように、回路基板主面11Aには、弾性波素子2の第1フィルタ21および第2フィルタ22と直接接続される導体パターンである、第1主面側導体パターン131a、第2主面側導体パターン131b、第3主面側導体パターン131c、第4主面側導体パターン131d、第5主面側導体パターン131e、第6主面側導体パターン131f、第7主面側導体パターン131gおよび第8主面側導体パターン131hが形成されている。
【0027】
また、図3(b)に示すように、回路基板内層11Bには、インダクタパターン121、第1内層導体パターン122a、第2内層導体パターン122b、第3内層導体パターン122c、第4内層導体パターン122d、第5内層導体パターン122e、第6内層導体パターン122f、第7内層導体パターン122gおよび第8内層導体パターン122hが形成されている。
【0028】
また、図3(c)に示すように、回路基板裏面11Cには、不平衡信号端子111、アンテナ端子112、第1平衡信号端子113a、第2平衡信号端子113b、第1接地パターン114a、第2接地パターン114b、第3接地パターン114cおよび第4接地パターン114dが形成されている。
【0029】
不平衡信号端子111は、第2裏面側接続ビア1232を介して第1内層導体パターン122aと接続され、さらに第1内層導体パターン122aが第1主面側接続ビア1321を介して第1主面側導体パターン131aに接続されている。この第1主面側導体パターン131aは、第1フィルタ21に接続されている。
【0030】
アンテナ端子112は、第7裏面側接続ビア1237を介して第6内層導体パターン122fと接続され、さらに第6内層導体パターン122fが第5主面側接続ビア1325を介して第3主面側導体パターン131cに接続されている。この第3主面側導体パターン131cは、第1フィルタ21および第2フィルタ22に接続されている。
【0031】
第1平衡信号端子113aは、第8裏面側接続ビア1238を介して第7内層導体パターン122gと接続され、さらに第7内層導体パターン122gが第3主面側接続ビア1323を介して第6主面側導体パターン131fに接続されている。この第6主面側導体パターン131fは、第2フィルタ22に接続されている。第2平衡信号端子113bは、第9裏面側接続ビア1239を介して第8内層導体パターン122hと接続され、さらに第8内層導体パターン122hが第2主面側接続ビア1322を介して第5主面側導体パターン131eに接続されている。この第5主面側導体パターン131eは、第2フィルタ22に接続されている。
【0032】
また、第2接地パターン114bは、第3裏面側接続ビア1233を介して第2内層導体パターン122bと接続されている。第3接地パターン114cは、第4裏面側接続ビア1234を介して第3内層導体パターン122cと接続され、さらに第3内層導体パターン122cが第6主面側接続ビア1326を介して第2主面側導体パターン131bに接続されている。この第2主面側導体パターン131bは、第1フィルタ21に接続されている。第4接地パターン114dは、第5裏面側接続ビア1235を介して第4内層導体パターン122dと接続され、さらに第4内層導体パターン122dが第8主面側接続ビア1328を介して第4主面側導体パターン131dに接続されている。この第4主面側導体パターン131dは、第1フィルタ21および第2フィルタ22に接続されている。第5接地パターン114eは、第6裏面側接続ビア1236を介して第5内層導体パターン122eと接続され、さらに第5内層導体パターン122eが第4主面側接続ビア1324を介して第7主面側導体パターン131gに接続されている。この第7主面側導体パターン131gは、第2フィルタ22に接続されている。
【0033】
そして、インダクタパターン121は、その一端が第1裏面側接続ビア1231を介して第1接地パターン114aと接続され、他端が第7主面側接続ビア1327を介して第8主面側導体パターン131hと接続されている。この第8主面側導体パターン131hは、第1フィルタ21に接続されている。
【0034】
また、第1接地パターン114aは、長方形であり2つの長辺である第1、第4の辺と2つの短辺である第2、第3の辺を有する。本実施形態の弾性波装置10においてインダクタパターン121は、図2に示すように、平面透視したときに、矩形状の第1接地パターン114aの平行な2辺(第1、第4の辺)を横切って、第1接地パターン114aからY方向にはみ出すように形成された横断部121aを有する。ここで、Y方向とは、矩形状の第1接地パターン114aの2つの長辺に直交する方向であり、このY方向と直交する方向をX方向とする。
【0035】
誘電体を多層に積層してなる回路基板1を作製するときに、積層ずれや印刷ずれなどの影響で、回路基板内層11Bに形成されるインダクタパターン121が、回路基板裏面11Cに形成される第1接地パターン114aに対してずれた状態で配置される場合がある。あるいは、弾性波装置10の使用時に高温環境下におかれた状態等で回路基板1に歪みが生じ、回路基板内層11Bに形成されるインダクタパターン121と回路基板裏面11Cに形成された第1接地パターン114aとの位置関係にずれが生じる場合がある。このような位置ずれによって、インダクタパターン121と第1接地パターン114aとの重なり面積が所望の値から大きく変化すると、それに応じてインダクタパターン121のインダクタンス値が大きく変化してしまい、弾性波装置10の周波数特性が不安定になる。
【0036】
これに対して、本実施形態の弾性波装置10においてインダクタパターン121は、前記横断部121aを有するように構成されているので、回路基板1においてインダクタパターン121が第1接地パターン114aに対してずれた状態で配置された場合、あるいは弾性波装置10の使用時にインダクタパターン121と第1接地パターン114aとの位置関係にずれが生じた場合であっても、インダクタパターン121と第1接地パターン114aとの重なり面積が大きく変化するのを防止することができ、インダクタパターン121のインダクタンス値が所望の値から大きくずれることがない。したがって、弾性波装置10は、安定した周波数特性を有するものとなる。
【0037】
また、本実施形態の弾性波装置10においてインダクタパターン121は、横断部121aの第1接地パターン114aからはみ出した部分の一方側の先端部に第1屈曲点1211を有するように折れ曲がり、第1接地パターン114aの前記2辺に平行に延びる第1屈曲部121bと、横断部121aの他方側の先端部に第2屈曲点1212を有するように折れ曲がり、第1接地パターン114aの前記2辺に平行に延びる第2屈曲部121cとを、さらに有する。なお屈曲点とは、インダクタパターン121の内周に沿ってみたときの屈曲している点のことをいう。インダクタパターン121は、平面透視したときに、第1屈曲点1211と最も近接する位置にある第1接地パターン114aの辺との距離G、および、第2屈曲点1212と最も近接する位置にある第1接地パターン114aの辺との距離Gが50μm以上、好ましくは50μm以上400μm以下に設定されている。
【0038】
すなわち、インダクタパターン121は、平面透視したときに、第1接地パターン114aの平行な第1、第4の辺のそれぞれと交差する横断部121aの交差部分から屈曲点までの距離Gが、50μm以上、好ましくは50μm以上400μm以下に設定されている。
【0039】
またインダクタパターン121は、横断部121aが第1接地パターン114aの長手方向の中央付近を通るように形成されていることが好ましい。これにより、通常想定される程度のX方向の積層ずれが起きた場合でも横断部121aと第1接地パターン114aとが重なった状態が維持され、インダクタパターン121のインダクタンス値が所望の値から大きくずれることがない。具体的には、第1接地パターン114aの長辺の長さが900μm、横断部121aの線幅が75μmの場合、横断部121aが第1接地パターン114aの短辺である第2、第3の辺それぞれから50μm以上、より好ましくは75μm以上離れて第1接地パターン114aの中央付近に配置させることが好ましい。
【0040】
これによって、インダクタパターン121の第1接地パターン114aに対するずれ量の許容範囲を充分に確保することができ、インダクタパターン121と第1接地パターン114aとの重なり面積が変化するのを確実に防止することができる。そのため、インダクタパターン121のインダクタンス値を安定にすることができる。
【0041】
なお第1接地パターン114aの形状は、概ね矩形状であればよく、例えば位置認識のために、その一部に切り欠きを有するようなものであってもよい。
【0042】
次に、インダクタパターン121と第1フィルタ21との接続関係について、図4を用いて説明する。図4は、弾性波装置10に組込まれる送信側領域の回路の構成を示す図である。本実施形態の弾性波装置10において弾性波素子2の第1フィルタ21は、複数の1ポートSAW共振子がラダー型に接続して構成されるラダー型SAWフィルタであり、たとえば、図4(a)に示す第1フィルタ21Aのような構成でもよく、図4(b)に示す第1フィルタ21Bのような構成でもよい。
【0043】
図4(a)に示す第1フィルタ21Aは、不平衡信号端子111とアンテナ端子112との間に直列接続される、第1共振子211、第2共振子212、第3共振子213および第4共振子214と、不平衡信号端子111と第1共振子211との間で分岐して接続される第5共振子215と、第1共振子211と第2共振子212との間で分岐して接続される第6共振子216と、第2共振子212と第3共振子213との間で分岐して接続される第7共振子217と、第3共振子213と第4共振子214との間で分岐して接続される第8共振子218とを含む。
【0044】
第1フィルタ21Aに対して、インダクタパターン121は、第5共振子215および第6共振子216からなる並列共振子に並列接続される。このようにラダー型SAWフィルタの並列腕の共振子に対しインダクタパターンを接続させ、共振子の容量値とインダクタパターンのインダクタンス値とを所定の値に調整することによって、所定の共振周波数を有する直列共振を起こすことができる。この直列共振により通過帯域外に減衰極を形成すれば、帯域外減衰量を大きくすることができる。
【0045】
図4(b)に示す第1フィルタ21Bは、不平衡信号端子111とアンテナ端子112との間に直列接続される、第1共振子211、第2共振子212、第3共振子213および第4共振子214と、不平衡信号端子111と第1共振子211との間で分岐して接続される第5共振子215と、第1共振子211と第2共振子212との間で分岐して接続される第6共振子216と、第2共振子212と第3共振子213との間で分岐して接続される第7共振子217と、第3共振子213と第4共振子214との間で分岐して接続される第8共振子218とを含む。
【0046】
このように構成される第1フィルタ21Bに対して、インダクタパターン121は、第1共振子211、第2共振子212、第3共振子213および第4共振子214からなる直列共振子に直列接続される。このようにラダー型SAWフィルタの直列腕の共振子に対し所定のインダクタンス値を有するインダクタパターンを接続させることによって通過帯域外のインピーダンスを無限大にすることができ、帯域外減衰量を大きくすることができる。
【0047】
また、本実施形態の弾性波装置10は、回路基板1に代えて図5に示す回路基板100を備えるように構成することができる。図5は、回路基板100におけるインダクタパターン221の配置を示す図である。回路基板100は、内層に形成されるインダクタパターン221の形状が回路基板1と異なり、その他の構成は回路基板1と同じである。
【0048】
回路基板100のインダクタパターン221は、平面透視したときに、矩形状の第1接地パターン114aの直交する第1辺1141および第2辺1142を横切って、第1接地パターン114aからY方向にはみ出すように形成された第1横断部221aと、第1辺1141および第2辺1142の対辺である第3辺1143を横切って、第1接地パターン114aからY方向にはみ出すように形成された第2横断部221bとを有する。インダクタパターン221において第1横断部221aと第2横断部221bとは、第1接地パターン114aの第1辺1141に平行な接続部221cによって互いに接続されている。ここで、Y方向とは、第1接地パターン114aの第2辺1142および第3辺1143に直交する方向であり、このY方向と直交する方向をX方向とする。
【0049】
本実施形態の弾性波装置10においてインダクタパターン221は、前記第1横断部221aおよび前記第2横断部221bを有するように構成されているので、回路基板1においてインダクタパターン221が第1接地パターン114aに対してずれた状態で配置されている場合であっても、インダクタパターン221と第1接地パターン114aとの重なり面積が変化するのを防止することができ、インダクタパターン221のインダクタンス値を安定にすることができる。したがって、弾性波装置10は、安定した周波数特性を有するものとなる。
【0050】
また、本実施形態の弾性波装置10においてインダクタパターン221は、第1横断部221aの第1接地パターン114aからはみ出した部分の先端部に第1屈曲点2211を有するように折れ曲がり、第1接地パターン114aから離反して延びる第1屈曲部221dと、第2横断部221bの先端部に第2屈曲点2212を有するように折れ曲がり、第1接地パターン114aの第3辺1143に平行に延びる第2屈曲部221eとを、さらに有する。
【0051】
そして、インダクタパターン221は、平面透視したときに、第1屈曲点2211と最も近接する位置にある第1接地パターン114aの第2辺1142との距離G、および、第2屈曲点2212と最も近接する位置にある第1接地パターン114aの第3辺1143との距離Gが50μm以上、好ましくは50μm以上400μm以下に設定されている。すなわち、インダクタパターン221は、平面透視したときに、第1接地パターン114aの第2辺1142と交差する第1横断部221aの交差部分から第1屈曲点2211までの距離G、および、第3辺1143と交差する第2横断部221bの交差部分から第2屈曲点2212までの距離Gが、50μm以上、好ましくは50μm以上400μm以下に設定されている。これによって、インダクタパターン221の第1接地パターン114aに対するずれ量の許容範囲を充分に確保することができ、インダクタパターン221と第1接地パターン114aとの重なり面積が変化するのを確実に防止することができる。そのため、インダクタパターン221のインダクタンス値を安定にすることができる。
【0052】
(弾性波装置の製造方法)
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る弾性波装置の製造方法は、回路基板作製工程と、実装工程とを含み、前述した弾性波装置10を製造する方法である。
【0053】
回路基板作製工程は、誘電体シート作製工程と、第1シート作製工程と、第2シート作製工程と、積層工程とを含む。誘電体シート作製工程では、誘電体からなる誘電体シートを作製する。誘電体の材料としては、たとえばアルミナを主成分とするセラミックスや、低温で焼結可能なガラスセラミックス、または有機材料を主成分とするガラスエポキシ樹脂などが用いられる。セラミックスやガラスセラミックスを用いる場合には、セラミックスなどの金属酸化物と有機バインダとを有機溶剤などで均質混練したスラリーをシート状に成型したグリーンシートを作製する。
【0054】
次に、第1シート作製工程では、導体からなる矩形状の接地パターンおよび各端子の導体パターンを有する第1シートを作製する。具体的には、スクリーン印刷、あるいは蒸着やスパッタリングなどの成膜法とエッチングとを組合せることによって、グリーンシート上に各導体パターンおよびビアを形成し、第1シートを得る。
【0055】
第2シート作製工程では、導体からなるインダクタパターンおよび導体パターンを有する第2シートを作製する。具体的には、スクリーン印刷、あるいは蒸着やスパッタリングなどの成膜法とエッチングとを組合せることによって、グリーンシート上に各導体パターンおよびビアを形成し、第2シートを得る。
【0056】
ここで、導体としては、銀、銀にパラジウムを添加した合金、タングステン、銅および金などを用いることができる。また、実装工程において回路基板に実装する弾性波素子と直接接続される導体パターンや、PCB(Printed Wiring Board、プリント回路基板)などの実装基板に弾性波装置を搭載する際に接続する端子には、ニッケルまたは金などのめっきを施してもよい。
【0057】
次に、積層工程では、第2シートを第1シート上に接地パターンが形成された面とは反対側に積層し圧着することで、積層体を得る。積層工程において、積層される第1シートおよび第2シートを平面透視したときに、インダクタパターンは、接地パターンの平行な2辺を横切って接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有している。また、インダクタパターンは、横断部の接地パターンからはみ出した部分の先端部に屈曲点を有するように折れ曲がっており、平面透視したときに、屈曲点と最も近接する位置にある接地パターンの辺との距離が50μm以上とされているのが好ましい。これによって、第1シートと第2シートとが位置ずれして積層された場合であっても、インダクタパターンと接地パターンとの重なり面積が変化するのを防止することができ、インダクタパターンのインダクタンス値を安定にすることができる。
【0058】
このように積層された積層体を焼成することによって、誘電体を多層に積層してなる回路基板を作製することができる。
【0059】
次に、実装工程では、回路基板にインダクタパターンと接続される弾性波素子を実装して、弾性波装置を得る。弾性波素子を回路基板に実装する方法は、フリップチップ実装でもよいし、ワイヤーボンディング法でもよい。
【0060】
回路基板に実装される弾性波素子は、並列共振子および直列共振子を有するラダー型の第1フィルタを含み、回路基板のインダクタパターンと並列共振子とが接続されるようにしてもよいし、インダクタパターンと直列共振子とが接続されるようにしてもよい。
【0061】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る弾性波装置の製造方法は、回路基板作製工程と、実装工程とを含み、前述した弾性波装置10を製造する方法である。回路基板作製工程は、誘電体シート作製工程と、第1シート作製工程と、積層工程とを含む。誘電体シート作製工程では、前述の第1実施形態と同様にして、誘電体からなるグリーンシートを作製する。
【0062】
第1シート作製工程では、主面に矩形状の接地パターンおよび各端子の導体パターンを有し、他主面にインダクタパターンおよび導体パターンを有する第1シートを作製する。具体的には、スクリーン印刷、あるいは蒸着やスパッタリングなどの成膜法とエッチングとの組合せることによって、グリーンシート上に各導体パターンおよびビアを形成し、第1シートを得る。
【0063】
第1シート作製工程において、第1シートを平面透視したときに、インダクタパターンは、接地パターンの平行な2辺を横切って接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有している。また、インダクタパターンは、横断部の接地パターンからはみ出した部分の先端部に屈曲点を有するように折れ曲がっており、平面透視したときに、屈曲点と最も近接する位置にある接地パターンの辺との距離が50μm以上とされているのが好ましい。これによって、第1シートにおいて、スクリーン印刷などによって主面側に形成される接地パターンと、他主面側に形成されるインダクタパターンとが位置ずれして形成された場合であっても、インダクタパターンと接地パターンとの重なり面積が変化するのを防止することができ、インダクタパターンのインダクタンス値を安定にすることができる。
【0064】
次に、積層工程では、第1シートの他主面側にグリーンシートからなる第2シートを積層し圧着することで、積層体を得る。このように積層された積層体を焼成することによって、誘電体を多層に積層してなる回路基板を作製することができる。
【0065】
次に、実装工程では、回路基板にインダクタパターンと接続される弾性波素子を実装して、弾性波装置を得る。弾性波素子を回路基板に実装する方法は、フリップチップ実装でもよいし、ワイヤーボンディング法でもよい。
【0066】
回路基板に実装される弾性波素子は、並列共振子および直列共振子を有するラダー型の第1フィルタを含み、回路基板のインダクタパターンと並列共振子とが接続されるようにしてもよいし、インダクタパターンと直列共振子とが接続されるようにしてもよい。
【0067】
(実施例)
以下、本発明の実施形態についての実施例を示す。なお、これらの実施例はあくまで本発明の実施形態の一例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
実施例1は、図2に示した回路基板1を備える弾性波装置10である。
【0069】
<弾性波素子の作製>
LiTaOからなる圧電基板を用意し、その主面上にTi薄膜層を形成し、その上にAl−Cu薄膜層を形成した。次に、レジスト塗布装置により、Ti/Al−Cu積層膜の上にフォトレジストを塗布した。そして、縮小投影露光機(ステッパ)により、共振子や信号線、接地線、パッド電極等となるフォトレジストパターンを形成した。その後、現像装置により、不要部分のフォトレジストをアルカリ現像液で溶解させた。
【0070】
次に、RIE(Reactive Ion Etching)装置により、必要な箇所を残して残りをエッチングで除去し、回路パターンを形成した。次に、回路パターンの所定領域上に保護膜を作製した。すなわち、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置により、圧電基板の主面上に電極パターンおよびSiO膜を形成した。そして、フォトリソグラフィによってフォトレジストのパターニングを行い、RIE装置等でフリップチップ用電極部のSiO膜のエッチングを行った。
【0071】
次に、スパッタリング装置を使用し、SiO膜を除去した部分に、Cr,Ni,Auよりなる積層電極を成膜した。そして、フォトレジストおよび不要箇所の積層電極をリフトオフ法により同時に除去し、積層電極が形成された部分を、フリップチップ用バンプを接続するためのフリップチップ用電極部とした。その後、圧電基板に設けられたダイシング線に沿ってダイシング加工を施し、圧電基板上に電極パターンが形成されてなる状態の弾性波素子を得た。
【0072】
<回路基板の作製>
前述した本発明の第1実施形態に係る弾性波装置の製造方法に従って、平面透視したときに、接地パターンの平行な2辺を横切って接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有するインダクタパターンが内部に形成された、積層構造の回路基板1を得た。回路基板1の寸法は、長辺が2.5mm、短辺が2.0mmである。第1接地パターン114aの寸法は、長辺が900μm、短辺が400μmである。インダクタパターンの線幅は、75μmである。
【0073】
<弾性波装置の作製>
弾性波素子を回路基板にフリップチップ実装し、実施例1の弾性波装置を得た。
【0074】
(比較例1)
回路基板の構成が異なること以外は、実施例1と同様にして比較例1の弾性波装置を得た。比較例1の弾性波装置に備えられる回路基板は、図8および図9に示す回路基板30である。図8は、比較例に係る弾性波装置における回路基板のパターン配置およびビア配置を示す図である。また、図9は、比較例に係る弾性波装置における回路基板の各層のパターン配置およびビア配置を示す図である。
【0075】
比較例1の弾性波装置に備えられる回路基板30は、回路基板内層31Bに形成されるインダクタパターン321の構成が、実施例1とは異なる。具体的には、回路基板30においてインダクタパターン321は、平面透視したときに、接地パターンの平行な2辺を横切って接地パターンからはみ出す横断部を有していない。
【0076】
(実施例1および比較例1の弾性波装置の周波数特性)
実施例1および比較例1の弾性波装置について、周波数特性を評価した。図6は、実施例に係る弾性波装置の周波数特性を示すグラフである。図7は、比較例に係る弾性波装置の周波数特性を示すグラフである。図6および図7のグラフにおける横軸は周波数(MHz)を、縦軸は減衰量(dB)を表している。
【0077】
また、図6および図7のグラフにおいて、実線A1,B1は、インダクタパターンが接地パターンに対して位置ずれなく形成された基準状態時の透過特性曲線を示し、破線A2,B2は、インダクタパターンが接地パターンに対してY方向に50μm位置ずれして形成された状態時の透過特性曲線を示す。また、実線C1は、インダクタパターンが接地パターンに対して位置ずれなく形成された基準状態時のアイソレーション特性曲線を示し、破線C2は、インダクタパターンが接地パターンに対してY方向に50μm位置ずれして形成された状態時のアイソレーション特性曲線を示す。
【0078】
また、図6(a)および図7(a)には、前記基準状態時の透過特性およびアイソレーション特性と、インダクタパターンが接地パターンに対してY方向一方側に位置ずれして形成された状態時の透過特性およびアイソレーション特性を示している。図6(b)および図7(b)には、前記基準状態時の透過特性およびアイソレーション特性と、インダクタパターンが接地パターンに対してY方向他方側に位置ずれして形成された状態時の透過特性およびアイソレーション特性を示している。
【0079】
また、実施例1および比較例1の弾性波装置についての送信側のRx帯減衰量およびRx帯アイソレーションを表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
表1、図6および図7に示す結果から明らかなように、横断部を有するインダクタパターンが内部に形成された回路基板1を備える実施例1の弾性波装置は、インダクタパターンが接地パターンに対してずれた状態で配置されている場合であっても、Rx帯減衰量の変化幅が小さく、安定した周波数特性を有するものであった。
【符号の説明】
【0082】
1,30,100 回路基板
2 弾性波素子
10 弾性波装置
114a 第1接地パターン
121,221,321 インダクタパターン
121a 横断部
221a 第1横断部
221b 第2横断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する回路基板と、
前記回路基板の第1の面に実装される弾性波素子と、
を備え、
前記回路基板は、
前記第2の面に配置された矩形状の接地パターンと、
前記回路基板の前記接地パターンが配置された前記第2の面と別の面に配置され、且つ平面透視したときに前記接地パターンの平行な2辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有するインダクタパターンと、を含む弾性波装置。
【請求項2】
前記弾性波素子は並列共振子および直列共振子を有するラダー型フィルタ部を含み、
前記インダクタパターンが前記並列共振子に接続されている請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記弾性波素子は並列共振子および直列共振子を有するラダー型フィルタ部を含み、
前記インダクタパターンが前記直列共振子に接続されている請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項4】
第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する回路基板と、
前記回路基板の第1の面に実装される弾性波素子と、
を備え、
前記回路基板は、
第1乃至第4の辺を有するとともに前記第1の辺に対し前記第2、第3の辺が直交する位置関係にある矩形状の接地パターンであって、前記第2の面に配置された接地パターンと、
前記回路基板の前記接地パターンが配置された第2の面と別の面に配置され、且つ平面透視したときに前記接地パターンの前記第1、第2の辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された第1横断部と、前記第1の横断部が配置された面と同じ面に配置され、且つ平面透視したときに前記接地パターンの前記第1、第3の辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された第2横断部と、を有し、前記第1横断部の前記第1の辺側にはみ出した部分と前記第2横断部の前記第1の辺側にはみ出した部分とが接続されているインダクタパターンと、を含む弾性波装置。
【請求項5】
矩形状の接地パターンを有する第1シートを形成する第1シート作製工程と、インダクタパターンを有する第2シートを形成する第2シート作製工程と、前記第2シートを前記第1シート上に前記接地パターンが形成された面とは反対側に積層する積層工程と、を含む回路基板の作製工程と、
前記回路基板に前記インダクタパターンと接続される弾性波素子を実装する実装工程と、
を備え、
前記積層工程において、前記第1シートおよび前記第2シートを平面透視したときに前記インダクタパターンは、前記接地パターンの平行な2辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有している弾性波装置の製造方法。
【請求項6】
前記インダクタパターンは、前記横断部の前記接地パターンからはみ出した部分の先端部に屈曲点を有するように折れ曲がっており、
平面透視したときに前記屈曲点と最も近接する位置にある前記接地パターンの辺との距離が50μm以上とされている請求項5に記載の弾性波装置の製造方法。
【請求項7】
主面に矩形状の接地パターンを有し、他主面にインダクタパターンを有する第1シートを形成する第1シート作製工程と、前記第1シートの他主面側に第2シートを積層する積層工程と、を含む回路基板の作製工程と、
前記回路基板に前記インダクタパターンと接続される弾性波素子を実装する実装工程と、
を備え、
前記第1シート作製工程において、前記第1シートを平面透視したときに前記インダクタパターンは、前記接地パターンの平行な2辺を横切って前記接地パターンからはみ出すように形成された横断部を有している弾性波装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−139316(P2011−139316A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298195(P2009−298195)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】