説明

弾性編み生地及び該弾性編み生地を用いた下着

【課題】 凹凸部が形成される生地により、着用するだけで優れた皮膚マッサージ効果を付与することができる弾性編み生地及び該弾性編み生地を用いた下着を提供すること。
【解決手段】 編み生地表面に凹凸部が形成されてなり、該凸部の弾性が該凹部の弾性よりも大きいことを特徴とする弾性編み生地とする。またこれらの弾性編み生地を含有する編み生地から形成されてなることを特徴とする下着とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性編み生地及び該弾性編み生地を用いた下着に関し、その目的は、好ましい被服圧を生じることができ、着用するだけで優れた皮膚マッサージ効果を付与することができる弾性編み生地及び該弾性編み生地を用いた下着を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
年齢を重ねるとともに、腹部、臀部、大腿部などに皮下脂肪がついて、身体のシルエットが崩れ、美しいボディーラインを保持することができない。このために、補正用下着を着用することが行われている。
【0003】
着用するだけで脂肪燃焼を促進するように、皮膚のマッサージ効果が得られる補正用下着が提案されている。
例えば、特許文献1には、臀部、尻及び腿を含む領域を有し、該領域が、適度な圧縮を生じ、かくして、臀部、尻及び腿にマッサージ作用と爽快作用を生ずるように、平メッシュの編み面に対して浮き上がった交互の波型を有するタックステッチメッシュによって形成されたガードルが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3207808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
凹凸部が形成される生地により、着用者が着用するだけで、該凹凸部が皮膚を適度に刺激することにより皮膚マッサージ効果を与えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、編み生地表面に凹凸部が形成されてなり、該凸部の弾性が該凹部の弾性よりも大きいことを特徴とする弾性編み生地に関する。
請求項2に係る発明は、前記凹凸部が編み生地表面の一方の面にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性編み生地。
請求項3に係る発明は、皮膚又は鼻腔から吸収されることによって、脂肪燃焼を促進、または脂肪吸収を抑制することができる成分が付着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性編み生地に関する。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性編み生地を含有する編み生地から形成されてなることを特徴とする下着に関する。
【発明の効果】
【0007】
以上詳述した如く、請求項1に係る弾性編み生地は、凹凸部が形成されているから、着用者が運動することによって、凹凸部が皮膚を適度に刺激して、皮膚マッサージ効果を与えることができる。請求項2に係る弾性編み生地は、凹凸部が弾性編み生地の一方の面にのみ形成されているから、凹凸が目立たない。請求項3に係る弾性編み生地は、脂肪燃焼成分が付着しているので、弾性編み生地による皮膚マッサージ効果と相まって、優れたダイエット効果を生じることができる。請求項4に係る下着は、適度な被服圧によって着用者の皮膚を刺激して、皮膚マッサージ効果を生じることができ、連続して着用することによって、優れたダイエット効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る弾性編み生地及び該編み生地を用いた下着について説明する。本発明の第一実施形態に係る弾性編み生地について、図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第一実施形態に係る弾性編み生地の一部の概略を示す斜視図であり、図2は図1(a)に示す本発明の第一実施形態に係る弾性編み生地の部分断面図である。
【0009】
第一実施形態に係る弾性編み生地(1)は、弾性を有する基本編地の表面に凹凸部が形成されている。凹凸部の形態は特に限定されないが、図1(a)に示すようなストライプ状、或いは図1(b)に示すような半球状の凸部(10)が格子状に配列して凸部(10)と凹部(11)が形成された形態を例示することができる。
第一実施形態に係る弾性編み生地(1)の編み組織は特に限定されないが、トリコット編み、ミラニーズ編み、ラッセル編み等を例示することができ、好ましい基本編地は、ラッセル編みである。
【0010】
第一実施形態に係る弾性編み生地(1)の表面に形成される凹凸部は、弾性編み生地の両面に形成することもできるが、一方の面に形成することが好ましい。この理由は、例えば、第一実施形態に係る弾性編み生地を用いて下着を製造した際、編み生地の両面に凹凸部が形成されていると、下着の両面に凹凸部が現れることになり、特にタイトな衣服を着用した場合に凹凸部が目立つようなり、好ましくないからである。
【0011】
弾性編み生地の表面に形成される凹凸部は、凸部(10)の弾性が凹部(11)の弾性に比べて大きくなるように構成される。
こうすることで、生地全体に適度な弾性を有する弾性編み生地を得ることができる。
弾性編み生地の表面に凹凸部を形成するには、例えば、基本編地と異なる編み方、例えば凸部は袋編みして、その凸部の下部は主に非弾性繊維、その凸部の上部は主に弾性繊維を使用することによって、生地表面に凹凸部を形成すればよい。
【0012】
凹部(11)を構成する編み生地に交編される繊維としては、ナイロン、ポリエステル等を例示することができる。
また凸部(10)を構成する編み生地に交編される繊維としては、弾性繊維として、ポリウレタン弾性繊維、ナイロンやポリエステル等の長繊維、非弾性繊維として、綿、レーヨン等の紡績糸を例示することができる。
【0013】
凹凸部の大きさは特に限定されないが、図1(a)に示すようなストライプ状の凹凸部を形成する場合、凹部(11)の幅は特に限定されないが、1〜6mm、好ましくは2〜5mm程度とされる。また凸部(10)の幅は特に限定されないが、1〜6mm、好ましくは2〜5mm程度とされる。
さらに、凹部(11)と凸部(10)の高さの差は、0.01〜3mm、より好ましくは0.1〜1.5mmとされる。
また図1(b)に示すような半球状の凸部(10)を形成する場合、凸部(10)の幅は、1〜6mm、より好ましくは2〜5mm程度とされ、凸部(10)同士の間隔を1〜6mm、より好ましくは2〜5mm程度設ければよい。
上述のように、編み生地の表面に凹凸部を形成することによって、例えば、この弾性編み生地から下着を製造した場合、着用者の皮膚を適度にマッサージすることができる。
【0014】
図1(a)で示される第一実施形態に係る弾性編み生地(1)では、生地表面にストライプ状の凹凸部が形成されるが、ストライプ状の凹凸部は、生地の経方向に沿って形成してもよく、また生地の横方法に沿って形成しても構わないが、生地の経方向に沿って形成することが好ましい。
【0015】
第一実施形態に係る弾性編み生地(1)を50%引き伸ばした際の荷重値(幅1cm当り)は、特に限定されないが、第一実施形態に係る弾性編み生地を経方向に引き伸ばした場合1.00〜4.00N、好ましくは1.20〜2.50Nとされる。
また第一実施形態に係る弾性編み生地(1)を横方向に引き伸ばした場合1.50〜6.00N、好ましくは2.00〜4.50Nとされる。
50%引き伸ばし時の荷重値(幅1cm当り)を上記のような範囲内とすることで、適度な被服圧を有する弾性編み生地とすることができる。
【0016】
即ち、第一実施形態に係る弾性編み生地(1)は、生地表面に凹凸部が形成されているから、適度な被服圧によって、皮膚マッサージ効果を得ることができる。
【0017】
次に、第二実施形態に係る弾性編み生地について説明する。第二実施形態に係る編み生地は、上記した第一実施形態に係る弾性編み生地を構成する繊維に、皮膚又は鼻腔から吸収されて脂肪燃焼を促進、または脂肪の吸収を抑制することができる成分(以下、単に脂肪燃焼成分という。)が付着されている。
皮膚から吸収されて脂肪燃焼を促進、または脂肪の吸収を抑制することができる成分としては、カフェイン、クマリン類、フロクマリン類、フタライド類等のラクトン類、ケトン類等を例示することができる。
また鼻腔から吸収されて脂肪燃焼を促進、または脂肪の吸収を抑制することができる成分としては、天然香料や合成香料等の各種香料を例示することができる。
特に本発明では、脂肪燃焼成分として、ラクトン類を使用することが好ましい。
【0018】
上記した成分を繊維に付着させる方法は特に限定されず、例えば、各成分を無機担体などに担持させたものを繊維中に配合する方法や、上記した成分を徐放性のカプセル状に加工して繊維中に配合する方法などを例示することができる。
また耐洗濯性を向上するために、アクリル樹脂エマルション等を使用して上記した成分を繊維中に付着させることもできる。
【0019】
脂肪燃焼成分を第一実施形態に係る弾性編み生地に含有する場合、弾性編み生地に含有する量は特に限定されないが、弾性編み生地の全量中に、0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜2.0重量%程度を配合すればよい。0.5重量%未満の付着量では、脂肪燃焼、脂肪吸収抑制効果を示すことができない場合がある。5.0重量%を超えて添加しても、それ以上の効果が現れない場合がある。
【0020】
第二実施形態に係る弾性編み生地は、第一実施形態に係る弾性編み生地に、脂肪燃焼成分を付着させることにより、第一実施形態に係る弾性編み生地による皮膚マッサージ効果とあいまって、脂肪燃焼効果及び脂肪吸収抑制効果を発揮して、高いダイエット効果を得ることができる。従来の皮膚マッサージ効果をうたった下着に使用される弾性編み生地は、着用者が運動を行っている場合は、ある程度の皮膚マッサージ効果を発揮して、ダイエット効果を示すことができるが、着用者が運動を行っていない場合は、ダイエット効果を発揮することができなかった。
本発明の第二実施形態に係る弾性編み生地は、脂肪燃焼成分を付着させたことによって、着用者が運動している場合には、弾性編み生地による皮膚マッサージ効果と脂肪燃焼成分による脂肪燃焼、脂肪吸収抑制効果によって優れたダイエット効果を発揮することができる。さらに着用者が運動を行っていない場合でも、脂肪燃焼成分による脂肪燃焼、脂肪吸収抑制効果によって、ダイエット効果を発揮することができ、着用者が本発明に係る下着を着用しているときは常にダイエット効果を発揮することができる。
【0021】
次に、本発明に係る下着について説明する。
第一実施形態に係る下着について説明する。本発明の第一実施形態に係る下着は、上述した第一実施形態に係る弾性編み生地を含有する編み生地から構成される。
図3及び図4は、第一実施形態に係る下着を示す平面図であり、図3はショーツ、図4はガードルの形態に形成されている。図5及び図6は、第一実施形態に係る下着を着用した状態を示す図であり、図5は図3に示されるショーツを、図6は図4に示されるガードルを着用した状態を示す図である。尚、図3〜6で示される下着では、ストライプ状に凹凸部が形成されている弾性編み生地を使用した場合について例示している。
【0022】
図3及び図5に示されるショーツ(4)は、前身頃と後身頃から形成されるショーツ本体(40)と、ショーツ本体(40)の上部開口部周縁部(胴回り部)に設けられたベルト部(41)と、ショーツ本体(40)の股回り部に設けられたレース装飾部(42)とから構成される。
図3及び図5に示されるショーツ(4)においては、ベルト部(41)及びレース装飾部(42)以外の部分が第一実施形態に係る弾性編み生地から構成されている。
【0023】
図4及び図6に示されるガードル(5)の場合、前身頃と後身頃から形成されるガードル本体(50)と、ガードル本体(50)の上部開口部周縁部(胴回り部)に設けられたベルト部(51)と、ガードル本体(51)の脚回り部に設けられたレース装飾部(52)とから構成される。
図4及び図6に示されるガードル(5)においては、ベルト部(51)及びレース装飾部(52)以外の部分が第一実施形態に係る弾性編み生地から構成されている。
【0024】
第一実施形態に係る下着において、第一実施形態に係る弾性編み生地表面に設けられる凹凸部は、少なくとも下着の内面側に形成され、好ましくは下着の内面側にのみ形成される。
下着の内面側にのみ形成されることによって、例えばタイトスカートやスリムジーンズなどを着用した場合でも、凹凸が目立ち難くなる。
【0025】
図3及び図5で示されるショーツ(4)の場合、ショーツ(4)の着用者の腹部近傍と接触する部分に形成されるストライプ状の凹凸部は、ショーツを着用した場合に着用者の正中線近傍となる部分から左右斜め上方に向かうように構成されている。その他の部分では、ストライプ状の凹凸部は、ショーツ(4)の周方向と一致するように構成されている。
図4及び図6で示されるガードル(5)の場合、ストライプ状の凹凸部は、ガードル(5)の周方向と一致するように構成されている。
【0026】
図3及び図5に示されるショーツ(4)の場合、ショーツ本体(40)が第一実施形態に係る弾性編み生地から構成されるが、ショーツ本体(40)の周方向が第一実施形態に係る弾性編み生地の経方向と一致するに構成されている。
【0027】
図4及び図6に示されるガードル(5)の場合、ガードル本体(50)が第一実施形態に係る弾性編み生地から構成されるが、ガードル本体(50)の周方向が第一実施形態に係る弾性編み生地の経方向と一致するに構成されている。
【0028】
第一実施形態に係る下着は、着用者の皮膚と接触する面に凹凸部が形成されているために、着用者が動くたびに、下着内面に形成された凹部と凸部が皮膚に刺激を与えて皮膚マッサージ効果を与えることができる。これによって、新陳代謝を高めることができるとともに、血行を促進することができる。身体を動かすたびに、皮膚刺激が与えられるので、皮下脂肪が軽減するという効果を得ることができる。
尚、ストライプ状に凹凸部が形成されている下着について説明したが、他の形態の凹凸部、例えば半球状の凸部が格子状に形成された弾性編み生地を使用した下着についても、上述と同様に構成することができる。
【0029】
次に、第二実施形態に係る下着について説明する。第二実施形態に係る下着は、上述した第二実施形態に係る弾性編み生地から構成される。
第二実施形態に係る弾性編み生地から構成されることによって、第二実施形態に係る下着は、着用者の脂肪燃焼促進効果や脂肪吸収抑制効果を有する。
従来の皮膚マッサージ効果を謳った下着は、着用者が動くことによって皮膚マッサージ効果を与えることができるものであるが、第二実施形態に係る下着は、着用者が動いている場合は、弾性編み生地による皮膚マッサージ効果によって、着用者の新陳代謝を高めることができるとともに、着用者が動いていない場合でも、脂肪分解成分の働きによって着用者の脂肪燃焼を促進することができ、より高いダイエット効果を得ることができる。
【0030】
以上説明した以外の構成については、第一実施形態に係る下着と同様であり、説明を省略する。
【0031】
上述した第一及び第二実施形態に係る下着では、ショーツ及びガードルの形態について、図面を参照しつつ説明したが、下着の形態はこれに限定されるものではなく、この他にも例えば、タンクトップ、ウェストニッパー、ボディースーツ、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどを例示することができ、女性用のインナーウェアーの形態とすることがより好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1の試料の調製>
ナイロン55%、綿10%、ポリウレタン弾性糸35%の混合糸を使用してラッセル機によってラッセル編みの編み組織の弾性編み生地を製造した。これを実施例1の弾性編み生地とした。
【0033】
<試験例1>
上記調製した実施例1の試料について、各試料を50%及び100%伸長した際の荷重値(幅1cm当り)を測定した。結果を表1に記載する。
【0034】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第一実施形態に係る弾性編み生地の概略を示す斜視図であり、(a)はストライプ状の凹凸部が形成された弾性編み生地、(b)は半球状の凸部が格子状に配列した弾性編み生地である。
【図2】第一実施形態に係る弾性編み生地の断面図である。
【図3】第一実施形態に係る下着の平面図である。
【図4】第一実施形態に係る下着の平面図である。
【図5】第一実施形態に係る下着を着用した状態を示す図である。
【図6】第一実施形態に係る下着を着用した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 第一実施形態に係る編み生地
10 凸部
11 凹部
4 ショーツ
40 ショーツ本体
41 ベルト部
42 レース装飾部
5 ガードル
50 ガードル本体
51 ガードル本体
52 レース装飾部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編み生地表面に凹凸部が形成されてなり、該凸部の弾性が該凹部の弾性よりも大きいことを特徴とする弾性編み生地。
【請求項2】
前記凹凸部が編み生地表面の一方の面にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性編み生地。
【請求項3】
皮膚又は鼻腔から吸収されることによって、脂肪燃焼を促進、または脂肪吸収を抑制することができる成分が付着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性編み生地。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性編み生地を含有する編み生地から形成されてなることを特徴とする下着。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−63512(P2006−63512A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319987(P2005−319987)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【分割の表示】特願2003−117661(P2003−117661)の分割
【原出願日】平成15年4月22日(2003.4.22)
【出願人】(502218765)株式会社マルテン天満屋 (6)
【Fターム(参考)】