説明

弾性装荷コネクタ

【課題】不整合を克服し、及び/又は良好なシールド、及び/又は比較的大電力を扱える弾性装荷コネクタ、例えばばね装荷コネクタを提供する。
【解決手段】本コネクタは、レセプタクルとアダプターを含んでいる。該レセプタクルは、本体および該本体内に中心コンタクトを備える。該アダプターはプラグを備え、該プラグは本体および差し入れられた絶縁体と共に上記本体に搭載された中心コンタクトを備えている。レセプタクルの本体は、第1テーパ面、第2テーパ面および該第1と第2のテーパ面の間の円筒面を含む内側表面を有する。アダプターはまた、弾性構造体、例えば、ばねを備える。アダプターのプラグの中心コンタクトは、レセプタクルの中心コンタクトと協働するように構成された少なくとも1つのスロットを備える。レセプタクルの中心コンタクトは、例えばプラグの中心コンタクト内へ受け取られる。プラグの本体の表面は、本体とプラグが接続されるとき、レセプタクルの本体の内側表面に接触する。プラグの本体の上記表面はレセプタクルの第2テーパ面に接触する。そのような同軸コネクタは、軸および半径方向不整合の大きな量を補償しえて、良好な高周波シールド、大電力の処理および良好な高周波性能を提供しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
基地局設計の動向は、寸法を最小化し、送信機(TX)モジュールおよび受信機(RX)モジュールを同じプリント回路基板(PCB; printed circuit board)に一体化することである。しかしながら、送信電力が増加するにつれ、半径方向及び/又は軸方向不整合および高周波漏洩を克服する要請も増している。
【0003】
基板間接続への適用(後ほど基板間(BTB)適用として言及する)にとって、製作および組み立ての許容範囲のために、同軸コネクタ組み立て中の位置決めに対する水平および垂直の許容誤差が必要でありうるが、該許容誤差は同軸コネクタの半径方向及び軸方向の整合性に直接に影響しうる。
【0004】
そのような軸方向及び/又は半径方向の不整合のせいで、1対のプリント回路基板における基板間コネクタの数は少ないままでなければならず、そのことは基板間接続技術およびモジュール開発に影響を与えうる。
【0005】
基板間接続に対する幾つかの既存技術が存在する。
1.ケーブル組立による受信機モジュールおよび送信機モジュールの接続。 ケーブルの柔軟性のおかげで、この種の接続は、プリント回路基板に対する位置許容誤差に対する要求は少ない。しかし、この種の接続は、モジュール設計および一体化設計に関して欠陥をもち、かつ組立コストおよび最終使用者にとっての複雑性をも増加させる傾向がある。この種の接続はまた、将来の保守および修理に関する問題点を提起する可能性がある。
2.標準的な同軸コネクタ、例えばSMBおよびMCXの直接の使用。
この種の接続においては、不整合は、コネクタのスロット付き外側コンタクト(接触子)と中心コンタクト(接触子)との弾性変形によって主として克服される。著しい不整合を克服するためには、コネクタコンタクトの比較的重要な変形が望ましいが、これらの変形は、接点が作られている材料によって耐えられうる最大許容応力によって制限される。例えば、中心コンタクトが著しい不整合によって生み出された変形を補償するように過負荷をかけられるとき、中心コンタクトは破壊されうる。したがって、これらの標準コネクタは、非常に小さな不整合を克服できるのみでありうる。その結果として、これらのコネクタは、軸方向及び/又は半径方向の不整合を適切には補償出来ない可能性がある。
3.NMBXおよびSMPシリーズの使用。
この種の設計は、リセプタクル・アダプター・リセプタクル構造(これは比較的大きな不整合を与えうるものである)を使用する。この種のコネクタが外部コンタクトと内部コンタクトとにスロット付きデザインを使用するとき、不整合の補償に対する制限は依然として存在する。MNBXシリーズでは、半径方向の不整合は約±0.4mm、一方、軸方向の不整合は約±0.3mmである。SMPシリーズでは、半径方向の不整合は約±0.25mm、一方、軸方向不整合は約±0.25mmである。
さらに、コネクタの外部コンタクトに備えられたスロットのために、比較的大きな高周波漏洩が生じえて、これは電磁妨害を発生させ勝ちである。これはそのようなコネクタの特性を低品質にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述した不整合及び/又は高周波漏洩という欠陥を克服した同軸コネクタを提供する必要性が依然として存在する。
【0007】
本発明の実施態様は、大きな半径方向及び/又は軸方向不整合にも拘わらず、効果的な同軸コネクタ、特に大きな半径方向及び/又は軸方向の不整合を克服することが可能な同軸コネクタ、及び/又は良好なシールド、及び/又は比較的大電力の処理、及び/又は良好な電気的高周波特性を有する同軸コネクタ、を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施態様は、それ故に弾性装荷の、例えば、ばね装荷のコネクタであって、
本体と該本体内の中心コンタクトとを備えているレセプタクル、および
プラグを有している少なくとも1つのアダプター、ここで、該プラグは、本体および前記本体と中心コンタクトとの間に入れられた絶縁体を伴って前記本体に搭載されている中心コンタクトを備える、
を備え、
該アダプターと該レセプタクルは、該アダプターの1端部で相互に接続されるように構成されており、
該レセプタクルの本体の内側表面はテーパ面(「第2テーパ面」としてまた後ほど言及される)を含み、該アダプターは弾性要素(例えば、ばね)を有し、該プラグの本体は該レセプタクルの本体内に導かれるように構成された部分を含み、該プラグの本体の上記部分は、該アダプターとレセプタクルとが結合されているとき、特に接続されるときには、該レセプタクルの内側表面の前記テーパ面と接触しているスロット無し表面を有している、コネクタを提供する。
【0009】
本発明の別の実施態様は、レセプタクルおよび該レセプタクルと接続されるアダプターを含んでいる、ばね装荷コネクタを提供する。
【0010】
該レセプタクルは、本体および上記本体内の中心コンタクトを備える。
【0011】
該アダプターは、プラグを有しうる。該プラグは、本体および上記本体と中心コンタクトとの間に入れられた絶縁体を伴って上記本体に搭載されている中心コンタクトを備えうる。
【0012】
レセプタクルの本体の内側表面は第2テーパ面を含みうる;該アダプターは、ばね構造を持っている要素を有しうる。該アダプターの本体は、該レセプタクルの本体の内側表面の第2テーパ面と接触しうるスロット無し表面を有している挿入部分を備えうる。
【0013】
該レセプタクルの中心コンタクトは、前部表面を有しうる。
【0014】
該アダプターのプラグの中心コンタクトは、該アダプターとレセプタクルとが相互に接続されるときには、レセプタクルの中心コンタクトを、特に上記中心コンタクトの前部表面を受け取るように構成された少なくとも1つのスロットを有しうる。
【0015】
該レセプタクルの内側表面は、少なくとももう1つのテーパ面(「第1テーパ面」として後にまた言及される)および該第1テーパ面と該第2テーパ面との間に置かれた少なくとも1つの円筒面を備えうる。
【0016】
該アダプターの本体の表面は連続的または不連続的な表面でありうる。
【0017】
同軸コネクタは、さらに上記アダプターのもう1つの端部でアダプターへ接続されるように構成された第2のレセプタクルを含みうる。第2のレセプタクルは、本体、中心コンタクトおよび該アダプターを第2のレセプタクルに係止するように構成された留め具を備えうる。
【0018】
本発明の別の実施態様はまた、弾性装荷コネクタであって、
本体と該本体内の中心コンタクトとを備えているレセプタクル、および
プラグを有している少なくとも1つのアダプター、ここで、該プラグは、本体および介在させられた絶縁体を伴って前記本体に搭載されている中心コンタクトを備える、
を備え、該アダプターと該レセプタクルは、該アダプターの1端部で相互に接続されるように構成されており、
該レセプタクルの本体の内側表面はテーパ面(「第2テーパ面」としてまた後に言及される)を含み、該アダプターは弾性要素(例えば、ばね)を有し、該アダプターの中心コンタクトは前部表面を有し、該プラグの本体は該レセプタクルの本体内に導かれるように構成された部分を備え、該プラグの本体の上記部分は、該レセプタクルの本体の前記テーパ面と接触しているスロット無し表面を有しており、
該レセプタクルの中心コンタクトは、該アダプターと該レセプタクルが接続されるとき、該アダプターの中心コンタクトの前部表面を受け取るように構成された少なくとも1つのスロットを備えている、
上記コネクタを提供する。
【0019】
本発明の別の実施態様は、レセプタクルと少なくとも1つのアダプターとを備えているコネクタを提供する。
【0020】
該レセプタクルは、本体と該本体内の中心コンタクトを備えうる。
【0021】
該アダプターはプラグを有しうる。該プラグは本体および上記本体と中心コンタクトとの間に入れられた絶縁体を伴い上記本体に搭載されている中心コンタクトを備えうる。
【0022】
該レセプタクルの本体の内側表面は、第2テーパ面を含むことができ、アダプターは、ばね構造を持つ要素を有する。該アダプターの中心コンタクトは、前部表面を有しうる。該アダプターの本体の挿入部分は、該レセプタクルの本体の内側表面の第2テーパ面と接触するように構成されたスロット無し表面を有しうる。
【0023】
該レセプタクルの中心コンタクトは、該アダプターと該レセプタクルとが相互に接続されるときに、該アダプターのプラグの中心コンタクトの表面と接触するように構成された少なくとも1つのスロット、例えば複数のスロットを有しうる。
【0024】
本発明の上記の実施態様に従うコネクタは、次のような利点を提供しうる。該レセプタクルのテーパ面は、該アダプターがある角度に傾けられるとき、良好な接触部がアダプターの表面とで確立されることを可能にしうる。
【0025】
さらに、該レセプタクルの中心コンタクトの表面は、アダプターのプラグの本体の表面と良好な同心性を有することが可能であり、このことは、アダプターおよびレセプタクルのうちの1つが或る角度に傾けられるときに、良好な接触部が確立されることを保証する。そのようなコネクタは、±2mmまで、すなわち少なくとも±2mmの値を有する半径方向不整合にも拘わらず効果的でありうる。
【0026】
該アダプターの弾性要素によって発生された力は、動作範囲内のとき、該レセプタクルへの該力の発揮を可能にしうる。このことは小さな接触抵抗をもたらしえて、そしてそれ故にコネクタの電力処理を増加させうる。このことは、またコネクタが、±1mmまで、すなわち少なくとも±1mmの値を有する軸方向不整合にも拘わらず動作することを可能にしうる。
【0027】
該レセプタクルの本体内に導入されるように構成された該アダプターのプラグの本体の部分のスロット無し構造は、この接続の高周波シールドを改善しうる。
【0028】
そのようなコネクタによって、軸方向及び/又は半径方向の不整合は克服されうる。このことは、プリント回路基板の製造中のコネクタの位置許容誤差への要件を低下させうる。その結果として、プリント回路基板およびコネクタの製造のコストは削減されうる。
【0029】
本発明の上記の実施態様はまた、多くのケーブルをまたはケーブルさえも利用する必要なしに、2枚のプリント回路基板の間でより多くの同軸接続対が作られることを可能にしえて、基地局のモジュール式の、システマティックでかつ小規模な開発を可能にする。小さな高周波漏洩は、信号干渉を防止しえて、送信機(TX)および受信機(RX)モジュールの一体化に関する満足な結果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施態様に従うレセプタクルの断面図である。
【図2】本発明の実施態様に従うアダプターの部分断面図である。
【図3】一端で図1の該レセプタクル、他端で第2のレセプタクルへ接続されたときの図2の該アダプターの部分断面図である。
【図4】本発明の実施態様に従うアダプターとレセプタクルとの間の接続構成を示す部分断面図である。各レセプタクルはアダプターの一端で接続されている。
【図5】図4とは異なる、本発明の実施態様に従うアダプターとレセプタクルとの間の接続構成を示す部分断面図である。各レセプタクルはアダプターの一端で接続されている。
【図6】本発明の実施態様に従う第2のレセプタクルの断面図である。
【図7】図3のコネクタの変更例を示す部分断面図である。
【図8】本発明の実施態様に従うBTB(基板間)適用を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施態様に従うMTM適用を示す斜視図である。
【図10】アダプターに接続される2つのレセプタクル間に半径方向の不整合が生じていない場合の接続構成を示す部分断面図である。
【図11】図10の同一のアダプターに接続されるべき2つのレセプタクル間に生じうる半径方向の不整合を強調して示した接続構成の部分断面図である。
【図12】従来技術に係る同軸コネクタの1例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
幾つかの実施態様が以下において記載されるが、これらに限定する意図ではない。
【0032】
図1〜3は、本発明に従う高周波同軸コネクタの実施態様を示す。
【0033】
図1〜3の高周波同軸コネクタは、レセプタクル(1)および該レセプタクル(1)にその一端で接続されるように構成されたアダプター(2)を備えている。
【0034】
上述のレセプタクル(1)は、本体(11)およびハウジング内に受け取られる中心コンタクト(12)を含んでおり、上記ハウジングは、例えば本体(11)の真ん中に配置される。図1の実施態様においては、レセプタクル(1)の内側表面は、3つの異なる部分を備え、これらの部分は、案内に使われるホーン構造体である第1テーパ面(11c)と、第2テーパ面(11a)と、該第1テーパ面(11c)と第2テーパ面(11a)との間に置かれた円筒面(11b)とを含んでいる。該円筒面(11b)は、長手方向軸(X)の周りに延在しうる。この軸(X)は、レセプタクル(1)の対称軸を規定しうる。
【0035】
レセプタクルの内側表面の円筒面の直径(A)は、例えば6および7mmの間にあり、そのような直径(A)は、例えばアダプター(2)のプラグの本体(21)の一部分の最大直径(B)よりも0〜1mm大きく、前記部分は、レセプタクル(1)の本体(11)内へと導かれるように構成されている。レセプタクル本体(11)の内側表面の第2テーパ面(11a)のテーパ角(K)は、82度から101度の間である。図1に示されたように、テーパ角(K)は、第2テーパ面(11a)の2つの部分の間の角であり、上記2つの部分の各々は、軸(X)を含む平面内でこの軸(X)の異なる側に延在している。
【0036】
レセプタクル(1)の内側表面の第1テーパ面(11c)の最大直径(T)は、例えば、13mmと15.5mmとの間である。そのような直径は、軸(X)を含んでいる平面内において、第1テーパ面(11c)の自由端(例えば、第1テーパ面(11c)がホーンを形成しているときにはホーン構造体の自由端)で、第1テーパ面(11c)の2つの部分の間で測られる。
【0037】
図1は、ホーン構造体を形成している第1テーパ面を有するレセプタクルを示しているけれども、本発明は、そのようなレセプタクルに限定されるものではない。いくつかの実施態様(図示せず)においては、レセプタクルの内側表面は、そのような第1テーパ面を有さないことができ、第2テーパ面(11a)と円筒面(11b)によってのみ構成されうる。すなわち、案内に使われるホーン構造体は取り除きうる。
【0038】
図1に示されたように、レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)は、4つの部分、すなわち、後部、中間部、前部および先端部を包含しうる。
【0039】
後部は、例えば約1.1〜1.5mmの直径(H)を有する円柱でありうる。中間部はまた、後部の直径(H)よりも小さい直径を有する円柱でありうる。記載された実施態様によると、上記の2つの直径は軸(X)に垂直に測定される。
【0040】
前部は、アダプター(2)とレセプタクルとを接続するために、以下において詳細に記載されるところのアダプター(2)の中心コンタクト(22)のスロット付き内側表面(22a)と協働するように構成された前表面(12a)を有しうる。
【0041】
先端部(12b)はテーパ状でありえて、例えば0.7mmと1mmとの間にある最大直径(J)を有しうる。上述した直径と対照的に、該最大直径(J)は、中心コンタクトの先端部(12b)の最大の横方向寸法に対応している。そのような寸法は横方向に測りうるが、軸(X)に対して必ずしも垂直でなくてよい。
【0042】
中心コンタクト(12)の先端部(12b)は、アダプター(2)と向き合う中心コンタクトの端部を形成しうる。
【0043】
アダプター(2)はプラグを含む。プラグは、本体(21)および中心コンタクト(22)を備えており、該中心コンタクト(22)は、本体(21)と中心コンタクト(22)の間に入れられた絶縁体(26)を伴って本体(21)に搭載されている。本体(21)は、長手方向軸(Y)に沿って延在している。
【0044】
図2に示されるように、アダプター(2)は、さらに、弾性構造体、例えば今説明されている実施態様に従うばね(23)を有している要素(23)を備えている。上記ばねはプラグの本体(21)の周りに延在している。
【0045】
図2に見ることができるように、アダプター(2)のプラグの中心コンタクト(22)は、中心コンタクト(12)、特に該中心コンタクト(12)の前部(12a)および後部(12b)を受け取るように構成されたスロット(22a)を有しうる。
【0046】
アダプター(2)のプラグの本体(21)は、さらに、レセプタクルの本体(11)内に挿入されるように構成された部分を備えることができ、プラグの本体(21)の該部分は、アダプターとレセプタクルが接続されるときに、レセプタクル(1)の内側表面の第2テーパ面(11a)に接触するスロット無し表面(21a)を有している。
【0047】
図3ないし5に示すように、アダプター(2)のもう一方の端部は、レセプタクル(1)の構造と類似のまたは異なる構造を有する第2のレセプタクル(3)に接続されうる。
【0048】
図3に示された実施態様においては、アダプターは、図6に示され且つ図1のレセプタクル(1)とは異なる構造を有するレセプタクル(3)のもう一方の側で接続される。
【0049】
この第2のレセプタクル(3)は、本体(31)、中心コンタクト(33)および留め具(32)を含んでいる。別の実施態様においては、留め具(32)は、リング、例えばCリングによって置き換えられうる。
【0050】
レセプタクル(31)の本体(31)の内側表面は、図1のレセプタクル(1)の第2テーパ部分に類似の単一のテーパ部分(31a)を備えている。図6に示された本体(31)の内側表面はまた、アダプター(2)と接触すべき本体の自由端の近くに溝(31b)を備えている。留め具(32)は、この溝(31b)内に受け取られる。留め具(32)は、アダプター(2)と第2のレセプタクル(3)との接続の前または後に、溝(31b)内に設定されうる。
【0051】
第2のレセプタクル(3)のそれ以外の要素、すなわち本体(31)の内側表面のそれ以外の部分および中心コンタクト(33)は、レセプタクル(1)のそれらと同じでありえる。
【0052】
第2のレセプタクル(3)に接続されるように構成されたアダプター(2)のもう一方の端部は、レセプタクル(1)(既に前に説明した)に接続されるように構成された端部と同一の構造を有することができ、該端部は、本体(24)およびこれら(本体と中心コンタクト(25))の間に入れられている絶縁体(27)と共に上記本体に搭載された中心コンタクト(25)を備えたプラグを含んでいる。同様に、これまで記載されてきたことに対して、プラグの本体(24)は、第2のレセプタクル(3)の本体内へ導かれるように構成された部分を備えることができ、プラグの本体の上記部分は、アダプター(2)とレセプタクル(3)とが接続されるときに、第2のレセプタクル(3)の内側表面の第2テーパ面と接触するスロット無し表面(24a)を有している。中心コンタクト(25)はまた、スロット(25a)を備えうる。
【0053】
アダプターは、それ故にその両端部の両方で同一または異なる構造のレセプタクル(1)および(3)へ接続されうる。
【0054】
上記の実施態様においては、アダプター(2)の本体(21)は、ばね(23)と共に組み立てられうる。
【0055】
アダプター(2)の本体(21)の表面は、連続面(例えば、1つの弧によって構成され面)または不連続面(例えば、数個の弧によって構成されている面)を規定しうる。しかし、本発明の他の実施態様においては、本体(21)の球面は、中心位置を動作条件の下に維持するという条件のもとで、任意の他の形状によって置換されうる。
【0056】
レセプタクル(1)または(3)とアダプター(2)との間の不整合があるとき、アダプターの本体(21)または(24)とレセプタクル(1)または(3)の本体との間の接触部は、連続的な円を形成しうる。アダプター(2)とレセプタクル(1)または(3)との間の圧力は、今説明されている実施態様においては、ばね(23)に最小変形を起こす予負荷によって生成される。
【0057】
この同軸コネクタが動作範囲にあるとき、レセプタクル(1)および(3)の中心コンタクトとアダプター(2)の中心コンタクトとの間の電気的接触部は、アダプター本体の回転中心に置かれうる。
【0058】
上記実施態様の全てまたは幾つかにおいては、アダプター(2)がレセプタクル(1)のテーパ面(11a)内に完全に挿入されるとき、スロット無し面(21a)の中心は、レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)の表面の中心に対して1mmの直径の同心性を有している。アダプター(2)の他の側は、スロット付き中心コンタクト(25)を有している。アダプター(2)の本体(24)は、スロット無し面(24a)を有している。絶縁体(26)または(27)は中心コンタクト(22)または(25)と本体(21)または(24)との間にある。
【0059】
レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)の前部のテーパ角(I)は、例えば、18度から26度の間に入っている。アダプター(2)のいずれかの側がレセプタクル(1)または(3)内へ完全に挿入されるとき、表面の2つの中心の間の同心性は、例えば1mmである。
【0060】
本発明は、上記の実施態様に限定されない。レセプタクル(1)または(3)の中心コンタクトはピンを有する必要はなく、かつアダプターの中心コンタクト(22)または(25)はスロットをもつ必要はない。図7のコネクタは、中心コンタクト(12)および(33)が、アダプター(2)の中心コンタクト(22)および(25)によって支持されたピンを受け取るように構成されているスロットを備えるという事実によって、図1のコネクタとは異なっている。
【0061】
図8および9はここで説明される。図示されたように、それへアダプター(2)の1端部が接続されるところのレセプタクル(3)は、プリント回路基板へ固定されうる。図1の実施例に示されたように、図8のレセプタクル(1)は、第1テーパ面(11c)を備える本体を有し、この第1テーパ面(11c)はホーン構造体を形成している。このホーン構造体のおかげで、レセプタクル(1)へ接続されるアダプター(2)の端部は、アダプター(2)とレセプタクル(1)との間の半径方向不整合(この半径方向不整合は或る範囲に入っている)にも拘わらず、レセプタクル(1)内へ導かれうる。基板間距離が動作範囲に入ると、ばね構造部分は圧縮されうる。
【0062】
アダプターの本体の表面は、レセプタクル(1)の内側へ受け取られ、かつレセプタクル(1)の本体の内側表面と接触する。ばねまたは弾性構造を有している任意のばねに類似する要素によって発生される力のおかげで、アダプターの本体の表面は、レセプタクルの本体の第2テーパ面と正接するように交わり、そして環状接触部を生成し、それ故に接触抵抗を結果的に低減することを可能にする。
【0063】
その結果、本発明の実施態様と矛盾しないコネクタは、非常に大きな電力を扱いうる。そして、アダプター(2)の本体(21)の表面(21a)とレセプタクル(1)のテーパ面(11a)との間の接触の故に、アダプター(2)が許容誤差のせいでプリント回路基板の製造によって傾けられるときも、アダプター(2)とレセプタクル(1)との間の接触は一定に維持されえて、それ故に、アダプター(2)が傾けられたときにも、コネクタの電気的性能を一定にすることを可能にする。
【0064】
第1のテーパ面(11a)の案内機能の故に、および第1のテーパ面(11a)が中心コンタクト(12)の前面部分(12a)よりもアダプター(2)に近く置かれている故に、レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)は、アダプター(2)の中心コンタクト(22)内に比較的容易な仕方で導き入れられうる。アダプター(2)がレセプタクル(1)内に挿入されるときに、レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)は、アダプター(2)の中心コンタクト(22)内に正確に挿入されている。
【0065】
レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)の表面とアダプターの本体の表面(21a)との間の同心性、例えば1mmの直径に対応している同心性の故に、アダプター(2)が或る角度に従って傾けられるときに、レセプタクル(1)の中心コンタクト(12)とアダプター(2)の中心コンタクト(22)との間の接触部は一定の円状に保たれうる。言い換えれば、接触抵抗は、アダプター(2)が傾けられたときも、同一に維持されえて、同時に、アダプターが傾けられるとき、一定の電気的性能が保証される。本発明の実施態様に従う同軸コネクタは、それ故に比較的大きな半径方向不整合を補償しうる。
【0066】
図12に見られうるように、従来技術に従いかつ半径方向不整合をうけた同軸コネクタは、スロット付き本体またはスロット付き外側コンタクト構造を有し、高周波伝送において発生された著しい高周波漏洩をもたらす。
【0067】
本発明の実施態様に従うと、アダプター(2)の本体(21)または(24)はスロット付き構造を有していない。動作状態にあるとき、アダプターの本体(21)または(24)およびレセプタクル(1)及び/又は(3)の本体は、例えアダプター(2)が傾けられても、非常に良好な円状の接触部を有している。この構造は、高周波漏洩を大幅に防ぐことが可能であり、それ故に高周波シールドを改善する。
【0068】
アダプターの1端部が、先に記載されたように第2テーパ面を有しているレセプタクル(1)または(3)の内側に挿入されるとき、アダプター(2)のもう1つの端部は、例えば基板間接続への応用に対しては、内側第2テーパ面をも有しているもう1つのレセプタクル内に挿入されうる。基板と基板との距離が設計動作範囲に入るときに、弾性要素(23)によって発生された力のために、アダプターの表面はレセプタクルの第2テーパ面にしっかりと接触可能である。コネクタの軸方向不整合は、それ故に、L1からL2へと変化しうる(図4および5を見よ)。このことはコネクタの電気的性能を一定に保つことを可能にしえて、そしてまたコネクタの処理電力を維持しうる。
【0069】
本発明は、従来技術に従うコネクタを上回って次のような利点を提供しうる。
【0070】
レセプタクルのテーパ面の故に、アダプターが或る角度に傾けられるとき、アダプターの表面での良好な接触部が得られうる。レセプタクルの中心コンタクトの表面は、アダプターの本体の表面と良好な同心性を有することができ、その良好な同心性によってレセプタクルとアダプターとの間の良好な接触部を提供しうる。±2mmまでの半径方向不整合もまた克服されうる。
【0071】
アダプターの弾力構造の要素によって発生された力は、動作範囲にあるとき、レセプタクルに対して力を働かせうる。このことはコネクタが低い接触抵抗から利益を受けることを可能にでき、および±1mmまで、すなわち最小±1mmの軸方向の不整合を克服しうる。
【0072】
アダプターの本体のスロット無し構造は、また他との接続の高周波シールドに係る改良をもたらしうる。
【0073】
著しい軸方向および半径方向の不整合は、本発明の上記実施態様のいくつかでまたは全てで克服されうる。このことは、プリント回路基板を製造する間のコネクタの位置許容誤差に係る要件を低下させうる。したがって、プリント回路基板の製造のコストおよびプリント回路基板と上記コネクタの組立のコストは低下させられうる。
【0074】
本発明の上記の実施態様はまた、ケーブルを利用しないで、2つのプリント回路基板間でより多くの同軸接続対が作られることを可能にしえて、基地局のモジュール式の、システマティックでかつ小規模な開発を可能にする。小さな高周波漏洩は、信号干渉から基地局を守ることができ、送信機(TX)および受信機(RX)モジュールの一体化に係る満足できる保証を提供する。
【0075】
本発明はここでは特定の実施態様を参照して記載されたけれども、これらの実施態様は、本発明の基本および応用の単なる説明であることが理解されるべきである。したがって、数多くの変更が説明のための実施態様に対してなされうること、および、添付された請求項によって定義されている本発明の精神と範囲を離れない限り、別の構成が工夫されうることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0076】
1 レセプタクル
11 本体(レセプタクルの)
11a 第2テーパ面
11b 円筒面
11c 第1テーパ面
12 中心コンタクト(レセプタクルの)
12b 先端部
2 アダプター
21,24 本体(アダプターの)
22,25 中心コンタクト(アダプターの)
22a スロット付き内側表面
23 ばね
25a スロット
26,27 絶縁体
3 第2のレセプタクル
31 本体
31a テーパ部分
31b 溝
32 留め具
33 中心コンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性装荷コネクタであって、
− 本体(11)と該本体(11)内の中心コンタクト(12)とを備えているレセプタクル(1)、および
− プラグを有している少なくとも1つのアダプター(2)、ここで、該プラグは、本体(21)および前記本体(21)と中心コンタクト(22)との間に入れられた絶縁体(26)を伴って前記本体(21)に搭載されている中心コンタクト(22)とを備える、
を備え、
該アダプター(2)と該レセプタクル(1)は、該アダプター(2)の1端部で相互に接続されるように構成されており、
該レセプタクル(1)の本体(21)の内側表面はテーパ面(11a)を含み、該アダプター(2)は弾性要素(23)を有し、該プラグの本体(21)は該レセプタクルの本体(11)内に導かれるように構成された部分を含み、該プラグの本体(21)の前記部分は、該アダプターと該レセプタクルとが結合されるときには、該レセプタクル(1)の内側表面の前記テーパ面(11a)と接触しているスロット無し表面(21a)を有している、上記弾性装荷コネクタ。
【請求項2】
該レセプタクル(1)の該中心コンタクト(12)は前部表面(12a)を有し、かつ該アダプター(2)の該中心コンタクト(22)は、該アダプター(2)が該レセプタクル(1)に接続されるときには、該レセプタクル(1)の該中心コンタクト(12)の該前部表面を受け取るように構成された少なくとも1つのスロット(22a)を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
該レセプタクル(1)の本体(11)の内側表面は、さらに少なくとももう1つ別のテーパ面(11c)および少なくとも1つの円筒面(11b)を備え、該円筒面(11b)は該テーパ面(11a)とそれ以外のテーパ面(11c)との間に置かれる、請求項1または2のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項4】
さらに、該アダプター(2)のもう一つの端部で該アダプターへ接続されるように構成された第2のレセプタクル(3)を備え、ここで該第2のレセプタクル(3)は、本体(31)、中心コンタクト(33)および該アダプター(2)を係止するように構成された留め具(32)を備える、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
弾性体装荷コネクタであって、
− 本体と該本体内の中心コンタクトとを備えているレセプタクル、および
− プラグを有している少なくとも1つのアダプター、ここで、該プラグは、本体および上記本体と中心コンタクトとの間に介在させられた絶縁体を伴い上記本体に搭載されている中心コンタクトとを備える、
を備え、
前記アダプターは、前記レセプタクルに接続されるように構成されており、
該レセプタクルの本体の内側表面はテーパ面を含み、該アダプターは弾性要素を有し、該アダプターの該中心コンタクトは前部表面を有し、該プラグの本体は該レセプタクルの本体内に導かれるように構成された部分を備え、該プラグの本体の上記部分は、該レセプタクルの本体の上記テーパ面と接触しているスロット無し表面を有している、
該レセプタクルの中心コンタクトは、該アダプターと該レセプタクルが接続されるとき、該アダプターの中心コンタクトの前部表面を受け取るように構成された少なくとも1つのスロットを備えている、上記弾性装荷コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−501339(P2013−501339A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523417(P2012−523417)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053520
【国際公開番号】WO2011/015992
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(591132380)ラディアル (6)
【Fターム(参考)】