説明

弾球遊技機

【課題】中央役物の設置スペースを自由にすると共に、機外への回収球を減少させるようにした弾球遊技機を提供する。
【解決手段】アウト球排出口23より下方に位置して球タンク25を設けると共に、前記球タンク25の上方に位置して入賞口18及びアウト球排出口23から排出される入賞球及びアウト球を該球タンク25に導く誘導経路24を設け、前記球タンク25に所定量の遊技球が貯留されるように遊技球を補給する補給手段52と遊技球を排出する排出手段38を設け、前記球タンク25に貯留された遊技球を球払出装置28により賞球又は貸球として打球供給皿7に払出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を遊技盤面に打ち込んで遊技をする弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機を代表するパチンコ機は、遊技盤の裏面に機構板が設けられ、その機構板の上部に補給樋から補給される遊技球を貯留する球タンクが設けられると共にその下流側に球誘導樋が設けられ、前記球タンクの遊技球を貸球又は賞球として払出す球払出装置に整列して導くようにしている。また、遊技盤の前面に形成される遊技領域のほぼ中央には、可変表示装置等の中央役物が設けられ、その周囲には遊技盤面に打ち込まれた遊技球が入球すると所定数の賞球が獲得できる入賞口や大入賞口が設けられている。そして、遊技領域の最下端には入賞口に入賞しなかった遊技球をアウト球として回収するアウト球排出口が設けられている。遊技盤面に打ち込まれた遊技球は、入賞球又はアウト球となって遊技盤の裏面側で機外に放出され回収樋に回収される。そして、所定量の遊技球が回収樋に回収されると研磨機を駆動して、回収した遊技球を研磨布又はペレットにより磨きながら補給樋に導き、常に補給樋に所定量の遊技球を貯留させて該補給樋から再度パチンコ機に補給するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、最近では、可変表示装置による表示形態等の遊技性のマンネリ化を打破するために中央役物が多様化・大型化するのに伴って、その大型化した中央役物に対応するスペースを確保するように、球誘導樋を本体から張出したパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−89654号公報
【特許文献2】特開平11−197298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のパチンコ機は、遊技盤に打ち込まれた遊技球が入賞球又はアウト球として必ず機外に放出されるため、遊技球がそれ程汚れていなくても回収樋に回収されてしまうことになる。しかも、回収樋に所定量の遊技球が回収されると、貸球等の払出しにより必然的に補給樋の遊技球の貯流量が減少することになる。そのため、補給樋に球不足が生じてパチンコ機への補給が中断することのないように、補給樋に所定量の遊技球を貯留しなければならず、その結果頻繁に研磨機を稼動させて遊技球を補給樋に補給することになり、電気代が嵩むものとなっていた。さらに、研磨機を稼動することにより遊技球はそれ程汚れていなくても研磨されながら補給樋に導かれるため、必要以上に研磨布又はペレットを消費することになり、無駄な経費の増大につながっていた。
【0005】
また、最近の中央役物は変動表示部を大型化するだけではなく、その変動表示部の周囲に、さらに遊技性を高めるために電気的駆動源によって可動する可動体を設ける等して、遊技盤の上方へも大型化している。しかし、特許文献2記載のように球誘導樋を本体から張出して大型化した中央役物に対するスペースを確保しても、遊技盤の裏面上方には遊技球を貯留する球タンクが存在するため、中央役物の上方への大型化には限度があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、入賞球及びアウト球を球タンクに回収させるようにして、機外へ回収される遊技球を極力少なくし、研磨機の稼働率を少なくすることで、遊技球を磨く研磨布又はペレット等の消費量を削減すると共に電気代等の経費を削減することを目的としている。さらに、球タンクをアウト球排出口より下方に設けるようにして、遊技盤の裏面において該遊技盤に装備される中央役物等の大きさを制限することのないスペースを確保するようにした弾球遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、遊技盤に遊技球が入賞球として流入する入賞口が設けられ、前記入賞口より下方に遊技球がアウト球として流入するアウト球排出口を設け、前記入賞球により獲得される所定個数の賞球又は有価物により購入される貸球を打球供給皿に払出す球払出装置を前記遊技盤の裏面側に備え、前記打球供給皿の遊技球を発射装置により前記遊技盤面に打ち込むようにした弾球遊技機において、前記アウト球排出口より下方に位置して球タンクを設けると共に、前記球タンクの上方に位置して前記入賞口及びアウト球排出口から排出される入賞球及びアウト球を該球タンクに導く誘導経路を設け、前記球タンクに所定量の遊技球が貯留されるように遊技球を補給する補給手段と遊技球を排出する排出手段を設け、前記球タンクに貯留された遊技球を前記球払出装置により賞球又は貸球として前記打球供給皿に払出すようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記誘導経路は可撓性を有する管体によって形成され、前記球タンクに前記管体の終端を嵌着する取着部を設けたことを特徴とする。取着部は球タンクに対して着脱移動自在に設けるのが好ましい。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記誘導経路に前記入賞球及びアウト球を計数する検知センサを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記球タンクを一側方に下傾状に設け、前記球タンクの上方開放部に該球タンクに流入する入賞球及びアウト球を受けて該入賞球及びアウト球を該球タンクの上流側に導く球受板を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明において、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記排出手段は前記球タンクに余剰球が流出する溢出口を開設すると共に該溢出口から流出する余剰球を機外に導く排出樋を設けたことを特徴とする。溢出口は球タンクの上流側に位置して設けるのが好ましい。
【0012】
前記誘導経路の流出口を前記球タンクの上流側に位置して設けるのが好ましい。
【0013】
前記球タンクの横幅を前記遊技盤の横幅とほぼ同幅に形成するのが好ましい。このように、球タンクの横幅を前記遊技盤の横幅とほぼ同幅に形成することにより、入賞球及びアウト球を遊技盤の裏面からそのまま直下に流下させても、確実に球タンク内に流入させることができる。
【0014】
前記誘導経路として入賞口及びアウト球排出口のそれぞれ個々に球タンクに遊技球を導く球誘導樋を設けるのが好ましい。
【0015】
前記取着部は一側を開放して弾性を付与した環状に形成され、環状の内径を管体の直径より小径に設定し、管体を弾性保持するようにするのがよい。また、前記取着部はほぼ水平な取着板を有し、該取着板に管体の終端が嵌挿する支持孔を開設するのがよく、複数開設する支持孔は球タンクの短手方向に開設するようにして、球タンクの長手方向の所定位置(例えば上流側)に流入させるようにするのが好ましい。
【0016】
前記球払出装置は球タンクの下流側に直接設けるのが好ましい。球タンクに球払出装置を直接設けることで、機構板をコンパクト化することができ、さらに打球供給皿への導出口をアウト球排出口の高さ位置に近づけることができる。
【0017】
前記アウト球排出口を前記球タンクの上流側にずらして設けるのが好ましい。アウト球排出口を上流側にずらすことで遊技領域を広くすることができ、誘導経路を設けることなくアウト球を球タンクの上流側に流入させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、球タンクをアウト球排出口より下方に位置して設け、遊技盤面に打ち込まれた遊技球を球タンクに直接回収するようにしたので、機外に回収される遊技球が極端に少なくなるため、研磨機等の稼働率が少なくなり電気代及び研磨布・ペレット等の経費の低減化を図ることができる。さらに、前記球タンクをアウト球排出口より下方に位置して設けることで、遊技盤の裏面上部のスペースを自由に使用することができる。
【実施例1】
【0019】
次に、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。弾球遊技機としてのパチンコ機は、図1及び図2に示すように方形枠状に形成された機枠1の前面に前面枠2が開閉自在に装着され、前面枠2の裏面側に設けられる遊技盤取付枠4を介して遊技盤5が着脱自在に取着されている。遊技盤5は前面枠2の前面に開閉自在に設けられる透明板扉枠6を介して視認し得るように設けられる。さらに、透明板扉枠6の下方には、液晶表示部9を介して遊技球を後述する発射装置13に整列して供給する機能を備えた球受皿としての打球供給皿7及び該打球供給皿7の余剰球を貯留する機能を備えた余剰球受皿8が設けられている。液晶表示部9には、CM及び遊技説明等のメッセージが表示される。そして、余剰球受皿8の側方に遊技球の打力を調整する操作ハンドル10が設けられている。なお、打球供給皿7と余剰球受皿8とを個々に設けることなく、それぞれの機能を備えた1つの球受皿を設けるようにしてもよい。
【0020】
前記遊技盤取付枠4は、図3に示すように前後に開放し、遊技盤5の下端を支持する下部側枠4aと、遊技盤5の上部及び側方を支持する上部側枠4b及び左右側枠4c,4dとにより、遊技盤5が取付けられる設置領域11が形成されている。そして、遊技盤取付枠4の遊技盤設置領域11の周縁には遊技盤5の後面を支持する帯状の支持片12が設けられている。また、下部側枠4aの前面には発射装置13の打球杆により打球を発射する発射レール14が設けられると共にファール球回収口を介してファール樋15が設けられる。
【0021】
前記遊技盤5は、図3に示すように所定の厚さを有してほぼ方形状に形成され、前面に遊技球を案内するガイドレール16により遊技領域5aがほぼ円形に形成され、その遊技領域5aのほぼ中央に中央役物としての可変表示装置17が設けられる。そして、その周囲には入賞口として一般入賞口18や可変表示装置17の図柄を変動させるチューリップタイプの始動入賞口19、また可変表示装置17の表示が予め設定された図柄の組合せに停止することにより開放する大入賞口20等が設けられ、適宜個所に遊技球の流下方向を変化させる障害釘21及び風車22を配設している。また、遊技領域5aの最下端には、入賞口に入賞しなかったすべての遊技球をアウト球として回収するアウト球排出口23が開設されている。なお、一般入賞口18,始動入賞口19,大入賞口20には、それぞれ入賞球を検知する検知センサ18a,19a,20aが設けられ、検知センサ18a,19a,20aにより入賞球が検知されると、後述する球払出装置28から所定個数の賞球が払出される。
【0022】
また、遊技盤5の裏面には前記した可変表示装置17の後面が突出し、前記一般入賞口18,始動入賞口19,大入賞口20に対応する貫通孔が開設されている。そして、誘導通路24aを形成した扁平箱枠状の誘導経路としての誘導樋部材24が遊技盤5の裏面を覆うように設けられている。誘導通路24aの下方には集合樋24bが形成され、その下流端に流出口24cが設けられている。
【0023】
遊技盤5の裏面側下方には、機構板26が着脱開閉自在に装着されている。機構板26には、アウト球排出口23より下方に位置し、前記誘導樋部材24の下流端が上方に臨むように遊技球を貯留する球タンク25を一方に下傾状に設けられ、前記集合樋24bに集められた遊技球は、流出口24cより球タンク25に流出するようにしている。このとき、流出口24cが球タンク25の上流側に位置するように設けるのが好ましい。また、球タンク25の下方に球タンク25の遊技球を整列して流下させる供給樋27を設けている。さらに、その下流端に貸球又は賞球を払出す球払出装置28が接続されている。そして、球払出装置28の下流には球払出装置28から払出された貸球又は賞球を打球供給皿7に導く球払出樋29が接続される。このため、球タンク25は打球供給皿7より僅か上方に位置している。また、供給樋27の下方には、パチンコ機全体の遊技動作を制御する遊技制御基板が収納されている基板ボックス30が設けられている。なお、機構板26は機枠1の内側に一側を軸支して他側を係止具により係止して、着脱開閉自在に設けるようにしてもよい。このように機構板26を機枠1に設けることで、前面枠2の開放時に遊技球の荷重がかからないため、ヒンジに負荷がかからず前面枠2の開閉動作がスムーズとなる。
【0024】
前記球タンク25は、図4乃至図6に示すように底部31及び前後左右の四側壁32〜35により上方が開放し、所定の奥行を有し遊技盤5の横幅とほぼ同幅の平面略長方形の箱状に形成され、底部31が一側方(図上左側壁34)に向って緩やかに下傾しており、その下流部であり機構板26側に位置して、遊技球の略2個分(約24mm〜30mm)の幅員を有し複数の遊技球が同時に流出し得る長さの球導出口36が開設されている。また、上流側の底部31には、球タンク25の貯留球量が所定量以上となった余剰球を機外に排出する排出手段として、遊技球約1個分の高さのリブ壁37により囲まれた溢出口38が開設されており、溢出口38の下方に溢れ出た余剰球を機外に排出する排出樋39が連設されている。そして、球タンク25の貯留球量が所定量以上となると、貯留球はリブ壁37を越えて溢出口38から流出し排出樋39を介して機外に排出され、図示しない回収タンクを介して回収樋により研磨機に導かれる。なお、溢出口38は後側壁33から所定間隔(実施例において誘導樋部材24の厚さ以上)隔てて設けられ、誘導樋部材24から流入する入賞球及びアウト球が直接溢出口38から流出しないようにしている。また、球タンク25には図示しない補給経路から補給手段としての蛇腹状の補給管52により遊技球が供給される。実施例において球タンク25の横幅を遊技盤5の横幅とほぼ同幅としたが、このようにすることで遊技盤5の裏面から流出する入賞球及びアウト球をそのまま直下に流下するようにしても、確実に球タンク25内に流入させることができる。なお、球タンク25には600〜900個の遊技球が貯留されるが、球タンク25の大きさは任意で変更可能である。
【0025】
前記供給樋27は、遊技球ほぼ1個分の通路幅を有する供給路27aと該供給路27aの下流側で合流する補助通路27bを有し、供給路27aの下流側に多段に積み重なった遊技球を整流する球均し40が設けられている。
【0026】
前記球払出装置28は、図7に示すように箱枠状のケース体41に供給路27aと連通する球通路42と、該球通路42に臨み最先の遊技球を制御支持し遊技球の荷重により回転する払出回転体43と、払出回転体43の回転を制御する制御手段44と、球抜き手段45とを備え構成している。そして、払出回転体43の下流側に払出された遊技球を検出するセンサ46を設けている。また、球抜き手段45には最先の遊技球を支持する球抜き弁を備え、球抜き弁の下方には球抜き樋45aが接続されている。球抜き樋45aと前記排出樋39の終端は、図4に示すように互いに隣接し、球抜きした遊技球は図示しない回収タンクを介して機外に排出され回収樋により研磨機に導かれる。
【0027】
前記払出回転体43は、図7に示すように外周に凹凸歯47,48を複数(本実施例において5個)設けたスプロケットタイプで、球通路42内で遊技球を凹歯47に受入れて、該遊技球の重量が払出回転体43に回転トルクを及ぼすように軸支して、遊技球を凹凸歯47,48で支持し遊技球を自重で流下させることにより、順方向に従動回転するようにしている。払出回転体43は、凸歯48の頂点から背面にわたり、払出回転体43の回転中心からの距離が漸次減少する巴形状として、凸歯48で支持された遊技球を凹歯47に素早く受入れるようにしている。このため、高速回転による払出しに対応することができる。
【0028】
前記制御手段44は、図7に示すように払出回転体43の軸方向の側方に位置して前記凹凸歯47,48と同ピッチで放射状に突出して設けられる制御用突出体としての立壁49と、電気的駆動源としてのソレノイド50の作動によって立壁49,49間に進退動し払出回転体43の回転停止制御を行う作動体51とを備えている。
【0029】
上記構成の球払出装置28は、図7鎖線に示すようにソレノイド50を励磁して作動体51を可動させ立壁49との係合を解除させると、払出回転体43が球通路42を流下する遊技球の荷重により回転して、凹歯47に咥えた遊技球を排出路に払出し、所定個数の遊技球がセンサ46により検出されるとソレノイド50を消磁する。そして、ソレノイド50の消磁にともなって、作動体51が立壁49,49間に入り込み、立壁49に係止して払出回転体43の回転を確実に阻止する。
【0030】
上記構成のパチンコ機は、図示しない台間サンドに現金,プリペードカード等の有価物を投入することにより貸球が購入され、球払出装置28から打球供給皿7に貸球が払出される。そして、発射装置13により発射レール14から遊技盤5面に遊技球が打ち出されると、遊技球は遊技領域5aを流下し一般入賞口18或いは始動入賞口19に入賞して入賞球として遊技盤5の裏面に流出するか、そのまま遊技領域5aを流下してアウト球排出口23からアウト球として遊技盤5の裏面に流出する。一般入賞口18或いは始動入賞口19に入賞した遊技球はそれぞれに設けられるセンサ18a,19aによって入賞球として検知され、その検知信号により球払出装置28から所定個数の賞球が打球供給皿7に払出される。そして、遊技盤5の裏面に流出した入賞球は、誘導樋部材24によって球タンク25の上流側に導かれる。なお、遊技球が始動入賞口19に入賞し可変表示装置17の変動表示部の図柄が所定の図柄に停止したときには、大入賞口20が開放し大量の入賞球を発生させる。このときの入賞球も、すべて誘導樋部材24を介して球タンク25の上流側に回収される。また、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球は、アウト球排出口23からアウト球として遊技盤5の裏面側に流出し、そのまま下方に流下して球タンク25に回収される。すなわち、遊技領域5aに打ち込まれた遊技球は、すべて入賞球又はアウト球として球タンク25に回収される。このとき、アウト球排出口23から流出するアウト球を検出する計数センサ23aを誘導樋部材24に設けるのが好ましく、入賞口に入賞した入賞球と共に遊技盤5面への打ち込み球数としてカウントされ、パチンコ機の利益率の算出や不正により賞球が払出されたかを発見することができる。なお、アウト球も入賞球と同様に誘導樋部材24を介して球タンク25の上流側に流入させるようにしてもよい。また、入賞球を検知する検知センサ18a,19a,20aをそれぞれの入賞口に設けることなく、それぞれの入賞口に対応して設けられる誘導樋部材24に設けるようにしてもよい。そして、どの入賞口にもほとんど入球しない状態が続きアウト球しか発生しないときには、賞球が払出されることがないため球タンク25の遊技球が減らず、流入したアウト球によって球タンク25の貯留球量が増える状態となる。そんなときには、球タンク25の貯留球量が所定量以上にならないように、溢出口38から余分な遊技球が排出樋39を介して機外に排出されるため、球タンク25の前側壁32及び左右側壁34,35を越して遊技球が溢れ出ることはない。なお、誘導樋部材24の集合樋24bに入賞球及びアウト球を集め、終端の流出口24c近傍に入賞球及びアウト球を計数する計数センサを配設し、この1つの計数センサにより遊技盤5に打ち込まれた打球の全てを計数するようにしてもよい。
【0031】
このように、球タンク25をアウト球排出口23より下方に位置させて、遊技領域5aに打ち込まれた遊技球を、アウト球又は入賞球として誘導樋部材24を介して球タンク25に回収するようにしたので、遊技中に機外に排出される遊技球がほとんど発生することがない。このため、図示しない研磨装置を頻繁に稼動して補給樋に送り込むことがなく、研磨装置を作動させる電気代や遊技球を研磨する研磨布又はペレットの消費量が減り、経費の低減化に大きく寄与することができる。また、島全体の遊技球の保有量も減らすことができコストの削減となる。さらに、遊技盤5の裏面を覆う障害となるものが何もないため、中央役物をいかなる大きさにしても対応することができる。そのため、新しい機種毎に中央役物の大きさを気にして機構板26を変更することがなく、機構板26及び球タンク25等の金型を半永久的に使用することができる。
【0032】
実施例において、誘導経路を誘導樋部材24として入賞球及びアウト球を球タンク25に直接流入させるようにしたが、図8に示すように球タンク25に誘導経路で導かれた入賞球及びアウト球を受けて、球タンク25の上流側へ導く球受板53を設けるようにしてもよい。この実施例において、球受板53は球タンク25の周側壁に嵌着される下向きコ字状の取着部53aによって、球タンク25に着脱自在に設けられ、入賞球及びアウト球を受ける球受板部53bが球タンク25の球貯留部内に位置するように設けられる。このように、球タンク25に球受板53を設けることで入賞球及びアウト球を直接下方に流下させればよく、誘導経路を簡素化することができる。このとき、球受板53の表面にはゴム板等の衝撃緩衝部材を貼着するなどして、誘導経路から落下する入賞球及びアウト球が跳ねて球タンク25の外に飛び出さないようにするのが好ましく、遊技球を確実に球タンク25の上流側へ導くようにするのがよい。
【0033】
また、誘導経路を可撓性を有する管体54により形成し、一般入賞口18,始動入賞口19,大入賞口20,アウト球排出口23の遊技盤5に開設した貫通孔に対応して管体54の一端を接続し、該管体54の他端を球タンク25に導き入れ、遊技球を球タンク25に回収するようにしてもよい。このとき、貫通孔に対応して管体を接続する接続具を設けるのが好ましく、接続具に管体の一端が着脱自在に係止される係止部を設けるのがよい。誘導経路が可撓性を有する管体54で形成されることにより、遊技盤5の裏面側に突出する可変表示装置17等を自由に避けることができ、盤面部品の配設位置に左右されることがないため、遊技盤5の交換による機種変更にも対応することができ、コストの低減に寄与することができる。管体54は、蛇腹管であってもスプリングコイルのように金属製または合成樹脂製の線材を螺旋状に形成したものであってもよい。また、球タンク25に管体54の終端を固定する取着部としての取着部材55を設け、アウト球又は入賞球を球タンク25に安定して導くようにするのが好ましい。取着部材55は、例えば図9に示すように球タンク25の一側壁に着脱移動自在に設けられるように、球タンク25の後側壁33の上端を跨ぐ固定部56と管体54を保持する保持部57が形成される板状部58を有している。保持部57は一端を開放して弾性を付与した環状に形成され、環状の内径を管体54の直径より小径に設定し、管体54の終端を弾性保持するようにしている。取着部材55は、球タンク25の後側壁33の範囲内で移動可能であり、入賞球及びアウト球の流入位置を変更することができる。このとき、取着部材55を移動させても誘導経路が可撓性を有する管体54で形成されることにより、管体54が変形し取着部材55の移動が可能となる。なお、前記管体54の断面形状は円形に限定されるものではなく、方形状であっても多角形であっても遊技球が通過し得る径を有している管状であればよい。
【0034】
さらに、図10は取着部材の他の実施例を示している。この実施例の取着部材55Aは、球タンク25の一側壁を跨ぐ固定部59と水平板部60を有し、水平板部60に管体の終端が嵌挿される保持孔61を開設するようにしてもよい。保持孔61は球タンク25の長手方向に開設することなく短手方向に並列させて、管体54により導かれた入賞球及びアウト球を球タンク25の上流部に導くようにしてもよい。
【0035】
図11は球タンクの貯留量を増大させるようにした実施例を示している。この実施例において、遊技盤取付枠4の下部側枠4aを貫通して球タンク25を前方に突出させて設けている。その前端は、ガイドレール16の前端面に達している。そして、ガイドレール16の下方に位置する球タンク25の上面には、閉鎖板33aにより閉鎖され、ファール球が誤って球タンク25内に流入しないようにしている。また、アウト球は誘導樋部材24を介することなく遊技盤5を誘導経路として切欠きして、アウト球排出口23から流入したアウト球を遊技盤5の直下に流出させ、球タンク25に流入させるようにしている。このように、球タンク25を遊技盤5の前面側に突出させて球タンク25の貯留量を増大させることで、溢出口38から機外に流出する遊技球を少なくすることができ、研磨機を無駄に稼働させることがなく、経費の削減に寄与することができる。なお、球タンク25の突出部は一部であってもよく、発射装置13をほぼ直上に打ち上げるタイプにすることで、発射位置を正面視して左方に移動させることができ、球タンク25の長手方向のほぼ幅全体を前方に突出させることができる。さらに、打球供給皿7の取付け板7aを前方に膨出させ、球タンク25を打球供給皿7の上方に臨むようにすることも可能である。このとき、取付け板7aを透光性樹脂により形成し、球タンク25の内部が視認できるようにしてもよく、今までにない斬新なデザインに遊技者の興趣を向上させることができる。このように、球タンク25が視認できるようにすることができるのは、球タンク25をアウト球排出口23より下方に設けるようにしたからであり、従来のように遊技盤5の裏面上方位置に球タンクを設けた構成では到底できないことである。
【0036】
実施例においてアウト球排出口23を遊技盤5の中央最下端に開設するようにしたが、図12に示すように遊技盤5を正面からみてアウト球排出口23を右側方にずらして設け、遊技領域5aを右側方に拡大するようにしてもよい。このように、アウト球排出口23を一側方にずらすことで、図13に示すようにアウト球排出口23を球タンク25の上流側に位置させることができる。なお、この実施例において、球タンク25は前記した実施例とは異なり、アウト球排出口23が球タンク25の上流側となるように図上左側を上流側として形成され、球タンク25の下流端に供給樋27を介すことなく球払出装置28を設けるようにしている。球払出装置28は、図14に示すように位相をずらしたスプロケットを重ね合わせた形状の払出体62をモータ63を駆動源として、球タンク25の下流端に開設された開口64に払出体62を臨ませ、払出された遊技球を球払出樋29に放出し、打球供給皿7に導くようにしている。なお、払出体62の上方に庇部を設け、球タンク25内の貯留球の球圧が払出体62に集中しないようにするのが好ましい。また、この実施例において排出手段を前記実施例と同様に、球タンク25に溢出口38を開設すると共に該溢出口38から流出する余剰球を機外に導く排出樋39を設けようにしてもよいが、球タンク25に所定の貯留球量を検知する検知スイッチ65を、検知板66を介して設けると共に球払出樋29を分岐して、その分岐部に切替え弁67を介して排出樋39を設け、検知スイッチ65が所定貯留球量を検知すると切替え弁67をソレノイド等の電気的駆動源により切替えて、球払出装置28を検知スイッチ65が球量を検知しなくなるまで駆動して、余剰球を機外に回収するようにしてもよい。このとき、排出樋39を介して球抜きも行われ、ホールコンピュータからの遠隔操作により切替え弁を切替えると共に球払出装置28を作動させて球タンク25の貯留球を球抜きすることができる。前記所定貯留球量を検知する検知スイッチ65は、光電スイッチ等により直接球量を検知するようにしてもよい。
【0037】
また、実施例において球タンク25の上端をアウト球排出口23の下方に位置するようにしたが、球タンク25の後側壁33にアウト球排出口23が臨む開口を開設して該開口からアウト球が球タンク25内に流入するようにしてもよい。このようにすることで、球タンク25を下方に下げることなく遊技領域5aを下方に広くすることができる。また、アウト球排出口23は遊技盤5に開設することなく、遊技盤取付枠4に開口するようにしてもよい。
【0038】
なお、実施例において弾球遊技機をパチンコ機として説明したが、弾球遊技機とは遊技球を盤面に打ち込むことにより遊技する遊技機であり、パチンコ機の他にアレンジボール機,雀球遊技機等がある。
【0039】
また、本願は弾球遊技機としてアウト球排出口23より下方に球タンク25を設けて、打球を球タンク25に回収するようにしたが、近年パチンコ球を発射することなく所定単位で賭球として回収し、遊技者が任意で回転ドラムの図柄を停止させ、所定の図柄で停止すると所定個数の賞球を払出す所謂「パロット」といわれる回胴式遊技機がある。「パロット」は図15に示すように、機枠1の前面に前面枠2が開閉自在に設けられ、透明板扉枠6から3つの回転ドラム69a〜69cの図柄が視認し得るようになっている。そして、その下方に前方に膨出した操作部70が形成され、その下方に賭球として回収される遊技球が貯留される球受皿71が設けられている。操作部70には、賭数を設定するベットスイッチ72,最高の賭数(3)を設定するマックスベットスイッチ73が設けられ、操作部70の前面に賭球が回収されたことを条件に回転ドラム69a〜69cを回転させるスタートレバー74と、それぞれの回転ドラム69a〜69cを停止させるストップボタン75a〜75cとを設けている。前面枠2の裏面には、球受皿71の遊技球流入口76より上方であり、前記操作部70の後面に位置して球タンク25が設けられ、球タンク25の遊技球が賞球として球払出装置28によって供給樋27を介して球受皿71に払出される。また、球受皿71の裏面には、球受皿71の遊技球を所定個数(例えば5個)単位で回収する賭球回収装置77が設けられ、ベットスイッチ72の押圧により1単位ずつ回収され、マックスベットスイッチ73の押圧により3単位の賭球が回収される。そして、この「パロット」は、球受皿71に所定個数以上の遊技球が貯留されていることを条件に、賭数をベットスイッチ72又はマックスベットスイッチ73で選択し、賭球回収装置77を作動させて賭球を回収する。そして、スタートレバー74を操作して回転ドラム69a〜69cを回転させ、ストップボタン75a〜75cを押すことにより各回転ドラム69a〜69cが停止して、所定の図柄が揃うと球払出装置28を駆動して所定個数の賞球を遊技球流入口76から球受皿71に払出すようにしている。このように、球タンク25を球受皿71の遊技球流入口76より上方であり回転ドラム69a〜69cより下方に下げて設けることで、裏機構部品を下方に集約することができ、「パロット」の裏面上方を何の障害もなくすっきりさせることができる。このため、回転ドラム69a〜69cの設計変更を容易とし大型化に寄与することができる。なお、球タンク25は膨出して形成された操作部70内に臨むように球タンク25の前面側を延出して設けるようにしてもよく、その延出した分、球タンク25の貯留量を増量させることができる。このため、多量の賞球を払出す「大当り」時には球切れを起こすことなく球受皿71に払出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】パチンコ機の正面図である。
【図2】パチンコ機の裏面図である。
【図3】ガラス扉枠を開放し遊技盤を取外した状態の斜視図である。
【図4】球タンク部分の正面図である。
【図5】球タンク部分の要部断面図である。
【図6】球タンクの斜視図である。
【図7】球払出装置部分の正面図である。
【図8】他の実施例の球タンクの正断面図である。
【図9】取着部の斜視図である。
【図10】取着部の他の実施例の斜視図である。
【図11】他の実施例の球タンクの要部側断面図である。
【図12】他の実施例の遊技盤の正面図である。
【図13】他の実施例の球タンク部分の正面図である。
【図14】図13の球払出装置部分の要部断面図である。
【図15】回胴式遊技機の正面図である。
【符号の説明】
【0041】
5 遊技盤
5a 遊技領域
7 打球供給皿
18 一般入賞口(入賞口)
19 始動入賞口(入賞口)
20 大入賞口(入賞口)
23 アウト球排出口
23a 検知センサ
24 誘導樋部材(誘導経路)
25 球タンク
28 球払出装置
38 溢出口(排出手段)
39 排出樋(排出手段)
52 補給管(補給手段)
53 球受板
54 管体(誘導経路)
55 取着部材(取着部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に遊技球が入賞球として流入する入賞口が設けられ、前記入賞口より下方に遊技球がアウト球として流入するアウト球排出口を設け、前記入賞球により獲得される所定個数の賞球又は有価物により購入される貸球を打球供給皿に払出す球払出装置を前記遊技盤の裏面側に備え、前記打球供給皿の遊技球を発射装置により前記遊技盤面に打ち込むようにした弾球遊技機において、
前記アウト球排出口より下方に位置して球タンクを設けると共に、前記球タンクの上方に位置して前記入賞口及びアウト球排出口から排出される入賞球及びアウト球を該球タンクに導く誘導経路を設け、前記球タンクに所定量の遊技球が貯留されるように遊技球を補給する補給手段と遊技球を排出する排出手段を設け、前記球タンクに貯留された遊技球を前記球払出装置により賞球又は貸球として前記打球供給皿に払出すようにしたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記誘導経路は可撓性を有する管体によって形成され、前記球タンクに前記管体の終端を嵌着する取着部を設けたことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記誘導経路に前記入賞球及びアウト球を計数する検知センサを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記球タンクを一側方に下傾状に設け、前記球タンクの上方開放部に該球タンクに流入する入賞球及びアウト球を受けて該入賞球及びアウト球を該球タンクの上流側に導く球受板を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記排出手段は前記球タンクに余剰球が流出する溢出口を開設すると共に該溢出口から流出する余剰球を機外に導く排出樋を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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