説明

弾球遊技機

【課題】高い興趣性を奏し得る弾球遊技機を提供する。
【解決手段】本体枠3に取付けられる遊技盤4と、本体枠3に回転可能に取付けられる前扉6を有する弾球遊技機1であって、遊技盤4はレール4bによって区画される遊技領域4cと外側領域4dを有し、外側領域4dに遊技盤装飾部材4eが設けられる。前扉6は遊技領域4cの前方に配されて遊技者が遊技領域4cを視認し得る透明度を具備する前扉中央透明部8と、外側領域4dの前方に配されて遊技者が遊技盤装飾部材4eを視認し得る透明度を具備する前扉外側透明部7aとを有する。遊技盤装飾部材4eと前扉外側透明部7aの間には、所定の透明度を有する中間透明部材5と、中間透明部材5に取付けられた中間装飾部材10とが設けられる。遊技者が前扉外側透明部7aを通して中間装飾部材10を視認できかつ前扉外側透明部7aと中間透明部材5を通して遊技盤装飾部材4eを視認できる構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの弾球遊技機は、一般に本体枠に取付けられる遊技盤と、本体枠の一側部に回転可能に取付けられて遊技盤の前側を開閉する前扉を有している。従来、前扉にはランプなどの装飾部材が設けられ、これにより遊技機の興趣性が向上されている。あるいは特許文献1に記載のパチンコ機も知られている。該パチンコ機は、遊技盤と別体に形成された装飾部を有しており、遊技盤の上位置において装飾部が本体枠に取付けられる。そして遊技盤と装飾部を視認し得る透明な材料によって前扉が形成され、これにより遊技機の興趣性が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし興趣性をさらに向上させたいという要望がある。そこで本発明は、より高い興趣性を奏し得る弾球遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える弾球遊技機であることを特徴とする。請求項1に記載の発明によると、遊技盤は、弾球の移動を制限するレールによって区画される遊技領域と、該遊技領域の外に位置する外側領域とを有し、外側領域に遊技盤装飾部材が設けられている。前扉は、遊技領域の前方に配されて遊技者が遊技領域を視認し得る透明度を具備する前扉中央透明部と、外側領域の前方に配されて遊技者が遊技盤装飾部材を視認し得る透明度を具備する前扉外側透明部とを有している。遊技盤装飾部材と前扉外側透明部の間には、所定の透明度を有する中間透明部材と、中間透明部材に取付けられた中間装飾部材とが設けられる。そして遊技者が前扉外側透明部を通して中間装飾部材を視認できかつ前扉外側透明部と中間透明部材を通して遊技盤装飾部材を視認できる構成になっている。
【0006】
したがって奥行きのある演出が奏され得る。すなわち前扉の奥に位置する中間装飾部材と、さらにその奥に位置する遊技盤装飾部材を遊技者が視認することができる。これにより奥行きのある特別な演出効果が奏されて、興趣性が向上する。また遊技盤装飾部材は、遊技盤と別体ではなく、遊技盤に取付けられている。そのため遊技盤装飾部材は、遊技盤と別体に設けられた装飾部材等に比べて、遊技盤の表示部等と一体性の有る演出、例えば関連性やダイナミック性の有る演出を容易に奏することができる。
【0007】
また請求項2に記載の発明によると、中間透明部材に配線が設けられ、配線によって供給された電気によって中間装飾部材が制御される。したがって中間透明部材は、配線から供給された電気によって点灯等し得る。これにより弾球遊技機の趣向性が向上する。
【0008】
また請求項3に記載の発明によると、前扉は、所定の透明度を有する樹脂材から形成されて前扉外側透明部を構成する樹脂体と、ガラスから形成されて前扉中央透明部を構成するガラス体と、ガラス体を樹脂体の開口部に保持するフレームを有している。フレームは、ガラス体を保持する保持部と、保持部の外側位置にて樹脂体に取付けられる取付部を一体に有している。保持部と取付部の間に形成された開口部を介して遊技者が遊技盤装飾部材を視認できる構成になっている。
【0009】
したがって前扉は、樹脂体によって複雑な形状等も成形が容易になる。またガラス体によって耐久性が向上し得る。またフレームに開口部が設けられているために、遊技者は開口部を通して遊技盤に設けられた遊技盤装飾部材を視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パチンコ機の分解斜視図である。
【図2】遊技盤と中間部材の正面図である。
【図3】遊技盤と中間部材の側面図である。
【図4】パチンコ機の正面図である。
【図5】パチンコ機の側面図である。
【図6】他の実施の形態のパチンコ機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一つの実施の形態を図1〜5にしたがって説明する。図1に示すようにパチンコ機(弾球遊技機)1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4および前扉6を有している。外枠2は、矩形状の矩形枠部2aと、矩形枠部2aの一側部(左側部)の上下部に取付けられたヒンジ部2bを有している。ヒンジ部2bに本体枠3が回転可能に取付けられる。
【0012】
本体枠3は、図1に示すように矩形状であって、本体枠3の下部に上皿3bと下皿3cとハンドル3dが取付けられる。本体枠3の下部裏側には発射装置3fが設けられ、発射装置3fは、ハンドル3dを操作することで上皿3bからの弾球を遊技盤4の遊技領域4cに発射する。
【0013】
遊技盤4は、図1に示すように本体枠3の枠内に取付けられる本体板部4aを有している。本体板部4aの裏面には、制御基盤などが取付けられており、表面には、円弧状のレール4bが取付けられている。本体板部4aの表面は、レール4bによって遊技領域4cと四つの外側領域4dとに区画される。
【0014】
図1,2に示すように遊技領域4cは、レール4bの内側であって本体板部4aの中央に位置する。外側領域4dは、レール4bの外側であって本体板部4aの四隅に位置する。遊技領域4cには、表示部4gと装飾部4hが装着される。表示部4gは、液晶表示等であって、制御基盤によって制御されて画像を表示する。装飾部4hは、レンズであって、表示部4gから放射線状に延出しており、光を集めたり屈折したりすることで演出効果を奏する。遊技領域4cにはさらに図示省略の複数の釘と入賞口等も装着される。
【0015】
図1,2に示すように各外側領域4dには、遊技盤装飾部材4eと中間透明部材5が取付けられる。遊技盤装飾部材4eは、サーチライトであって、本体板部4aに回転可能に取付けられるライト本体と、ライト本体に設けられて所定の方向に光を発する発光部を有している。ライト本体は、制御基盤によって制御される駆動部によって回転され、発光部が制御基盤によって点灯・消灯するように制御される。
【0016】
図1,3に示すように各外側領域4dに複数の支柱4fが立設され、支柱4fに中間透明部材5が取付けられる。中間透明部材(透明基板)5は、板状の本体板部5aと配線5bを有している。本体板部5aは、所定の透明度を有する樹脂材料から成形されている。配線5bは、所定の透明度と導電性を有する導電性塗料を原料として、本体板部5aの表面あるいは裏面あるいは内部に設けられる。
【0017】
中間透明部材5には、図1,2に示すように複数の中間装飾部材10が装着される。中間装飾部材10は、光を発する発光ダイオードなどの発光体であって、配線5b上に設けられる。配線5bが支柱4fと電気的に接続され、支柱4fが制御基盤と電気的に接続されている。したがって制御基盤によって中間装飾部材10が点灯・消灯するように制御され得る。
【0018】
前扉6は、図1に示すように樹脂体7とガラス体8とフレーム9を有している。樹脂体7は、所定の透明度を有する樹脂材によって一体的に成形されている。樹脂体7は、略平面状でかつ環状の前扉外側透明部7aと、前扉外側透明部7aの外周縁に起立する外周部7bと、前扉外側透明部7aの内周縁に起立する内周部7cを一体に有している。樹脂体7の中央には、遊技領域4cと略同じ径を有する略円形の開口部7dが形成されており、開口部7dにガラス体8がフレーム9によって保持される。
【0019】
ガラス体(前扉中央透明部)8は、図1に示すように円盤状であって、所定の透明度を有するガラスから形成されている。フレーム9は、金属製であって、矩形環状の取付部9aと円環状の保持部9bを有している。保持部9bは、上下左右部が取付部9aの内周面に取付けられ、内周にガラス体8が嵌め込まれる。フレーム9の四隅には、保持部9bの外周面と取付部9aの内周面によって開口部9cが形成される。
【0020】
取付部9aは、図1に示すように樹脂体7の外周部7bの内周側に取付けられる。取付部9aの一側部には、本体枠3に回転可能に取付けられるヒンジ部9dが設けられている。前扉6は、ヒンジ部9dを中心に遊技盤4を覆う閉じ位置と解放する開き位置との間で回転する。図4に示すように前扉6が閉じ位置の際、樹脂体7の前扉外側透明部7aが遊技盤4の外側領域4dの前側に位置し、ガラス体8が遊技領域4cの前側に位置する。
【0021】
ガラス体8が遊技領域4cの前側に位置することで、遊技領域4cを流下する弾球がガラス体8によって前方に移動することが規制され、かつ厚み方向に弾み得る。樹脂体7は、外側領域4dの前側に位置することで、外側領域4dの前方を視認可能に覆う。図5に示すように樹脂体7を閉じ位置にすることで、中間透明部材5と遊技盤装飾部材4eは、フレーム9の開口部9cを通って樹脂体7内に位置する。
【0022】
以上のように前扉6は、図1に示すように遊技領域4cの前方に配されて遊技者が遊技領域4cを視認し得る透明度を具備する前扉中央透明部(ガラス体8)と、外側領域4dの前方に配されて遊技者が遊技盤装飾部材4eを視認し得る透明度を具備する前扉外側透明部7aとを有している。遊技盤装飾部材4eと前扉外側透明部7aの間には、所定の透明度を有する中間透明部材5と、中間透明部材5に取付けられた中間装飾部材10とが設けられている。そして遊技者が前扉外側透明部7aを通して中間装飾部材10を視認できかつ前扉外側透明部7aと中間透明部材5を通して遊技盤装飾部材4eを視認できる。
【0023】
したがって奥行きのある演出が奏され得る。すなわち前扉6の奥に位置する中間装飾部材10と、さらにその奥に位置する遊技盤装飾部材4eを遊技者が視認することができる。これにより奥行きのある特別な演出効果が奏されて、興趣性が向上する。また遊技盤装飾部材4eは、遊技盤4に取付けられている。そのため遊技盤装飾部材4eは、遊技盤4と別体に設けられた装飾部材等に比べ、遊技盤4の表示部4g等と一体性の有る演出、例えば関連性やダイナミック性の有る演出を容易に奏することができる。
【0024】
また図1に示すように中間透明部材5に所定の透明度を有する配線5bが設けられ、配線5bによって供給された電気によって中間装飾部材10が制御される。したがって遊技者は、配線5bを通して遊技盤装飾部材4eを視認することができる。また中間透明部材5は、配線5bから供給された電気によって点灯等し得る。これによりパチンコ機1の趣向性が向上する。
【0025】
また前扉6は、図1に示すように樹脂体7とガラス体8とフレーム9を有している。フレーム9は、ガラス体8を保持する保持部9bと、保持部9bの外側位置にて樹脂体7に取付けられる取付部9aを一体に有している。保持部9bと取付部9aの間に形成された開口部9cを介して遊技者が遊技盤装飾部材4eを視認できる。
【0026】
したがって前扉6は、樹脂体7によって複雑な形状等も成形が容易になる。またガラス体8によって耐久性が向上し得る。またフレーム9に開口部9cが設けられているために、遊技者は開口部9cを通して遊技盤4に設けられた遊技盤装飾部材4eを視認し得る。
【0027】
また前扉6は、所定の透明度を有する樹脂体7とガラス体8を有している。したがって機種変更の際、前扉6を変えることなく、遊技盤4と中間透明部材5のみを変えることで機種変更が可能である。そのため前扉6を共通部品として再利用することが可能である。
【0028】
また前扉6は、図4に示すように遊技盤4の前面の略全体を覆い、かつ略全体において所定の透明度を有している。そのため遊技者は、遊技盤4の略全面における演出を視認することができる。また外側領域4dは、遊技盤4の四隅に位置している。したがって遊技領域4cは、遊技盤4の上下縁近傍に至る大きな上下長さを有して比較的大きい。そのため弾球が移動し得る面積が比較的大きくなって、趣向性が向上され得る。
【0029】
(他の実施の形態)
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。
(1)遊技盤4は、図4に示す遊技盤装飾部材4e、装飾部4h、表示部4gを有している。しかしこれらに代えて図6に示す遊技盤装飾部材4j、装飾部4k、表示部4mを有していても良い。表示部4mは、遊技領域4cの略中央に設けられ、装飾部4kは、レンズであって遊技領域4c内において表示部4mから放射方向に延出している。遊技盤装飾部材4jは、レンズであって外側領域4dにおいて表示部4mと同方向に延出している。
(2)図2に示す遊技盤4は、四隅に外側領域4dを有しており、各外側領域4dに遊技盤装飾部材4eが設けられている。しかしいずれか一つ、二つ、または三つの隅のみの外側領域4dに遊技盤装飾部材4eが設けられても良い。
(3)図1に示す前扉6は、前扉中央透明部としてガラス体8を有し、前扉外側透明部として樹脂体7を有している。しかし前扉が前扉中央透明部と前扉外側透明部を一体に有しており、これらが所定の透明度を有する樹脂材またはガラスから形成されても良い。
(4)図1に示す中間装飾部材10は、配線5bによって供給される電気によって発光する発光体である。しかし中間装飾部材が配線によって供給される電気によって動く部材などであっても良い。
(5)図1に示す中間透明部材5は配線5bを有している。しかし中間透明部材が配線を有しておらず、中間透明部材に二次元または三次元のアニメのキャラクタ等が設けられていても良い。
(6)図2に示す表示部4gは、遊技領域4cの略中央に位置している。しかし表示部が遊技領域を超えて外側領域に位置するように配設されても良く、例えば表示部が遊技盤の大きさと略同じ大きさを有する形態であっても良い。
(7)図3に示す中間透明部材5は、遊技盤4に取付けられている。しかし中間透明部材が前扉のフレームまたは樹脂体に取付けられても良い。
(8)図5に示す遊技盤4と前扉6の間には、中間透明部材5が一層設けられている。しかしこれらの間に中間透明部材が複数層設けられても良い。
(9)図3に示す遊技機はパチンコ機1であるが、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの他の弾球遊技機であっても良い。
(10)図1に示すフレーム9の取付部9aと保持部9bの間には開口部9cが形成されている。しかし開口部9cに所定の透明度を有する透明部材が嵌め込まれていても良い。
(11)図1に示す配線5bは所定の透明度を有している。しかし配線が透明度を有しておらず、遊技者が配線を通して奥側の部材を視認できない形態であっても良い。
(12)図1に示すフレーム9は金属製であるが、フレームが樹脂製であっても良い。樹脂製のフレームの場合、図1に示す開口部9cに対応する位置が開口していても良いが、所定の透明度を有する樹脂材でかつ開口部9cを覆う部分がフレームに一体に設けられていても良い。また樹脂製のフレームの場合、四隅にフレームを補強するための金属製のステーが設けられても良い。
【符号の説明】
【0030】
1…パチンコ機(弾球遊技機)
2…外枠
3…本体枠
4…遊技盤
4c…遊技領域
4d…外側領域
4e,4j…遊技盤装飾部材
5…中間透明部材
5b…配線
6…前扉
7…樹脂体
7a…前扉外側透明部
7d…開口部
8…ガラス体(前扉中央透明部)
9…フレーム
9a…取付部
9b…保持部
10…中間装飾部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体枠に取付けられる遊技盤と、前記本体枠の一側部に回転可能に取付けられて前記遊技盤の前側を開閉する前扉とを有する弾球遊技機であって、
前記遊技盤は、弾球の移動を制限するレールによって区画される遊技領域と、該遊技領域の外に位置する外側領域とを有し、前記外側領域に遊技盤装飾部材が設けられ、
前記前扉は、前記遊技領域の前方に配されて遊技者が前記遊技領域を視認し得る透明度を具備する前扉中央透明部と、前記外側領域の前方に配されて前記遊技者が前記遊技盤装飾部材を視認し得る透明度を具備する前扉外側透明部とを有し、
前記遊技盤装飾部材と前記前扉外側透明部の間には、所定の透明度を有する中間透明部材と、前記中間透明部材に取付けられた中間装飾部材とが設けられ、前記遊技者が前記前扉外側透明部を通して前記中間装飾部材を視認できかつ前記前扉外側透明部と前記中間透明部材を通して前記遊技盤装飾部材を視認できる構成になっていることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機であって、
中間透明部材に配線が設けられ、前記配線によって供給された電気によって中間装飾部材が制御されることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弾球遊技機であって、
前扉は、所定の透明度を有する樹脂材から形成されて前扉外側透明部を構成する樹脂体と、ガラスから形成されて前扉中央透明部を構成するガラス体と、前記ガラス体を前記樹脂体の開口部に保持するフレームを有し、
前記フレームは、前記ガラス体を保持する保持部と、前記保持部の外側位置にて前記樹脂体に取付けられる取付部を一体に有し、前記保持部と前記取付部の間に形成された開口部を介して遊技者が遊技盤装飾部材を視認できる構成になっていることを特徴とする弾球遊技機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−36594(P2011−36594A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189164(P2009−189164)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(390005120)株式会社森創 (89)
【Fターム(参考)】