説明

弾球遊技機

【課題】コストを抑え且つ誤検出の可能性を低く抑えることができるにも拘わらず盤面配置の自由度を高く維持できる弾球遊技機を提供する。
【解決手段】入賞口62a〜62d等に入賞した遊技球を検出する近接スイッチ64a〜64e等の誤動作を引き起こす特定周波数の電波を検知可能な電波センサを所定位置に配置し、その電波センサの電波検知領域59aの外側に配置された入賞口62aが存在する場合には、その検知領域外入賞口62aに入賞した遊技球を電波検知領域59aの内側に向けて誘導する検知領域誘導通路65を設け、その検知領域誘導通路65上で且つ電波検知領域59a内の位置に、検知領域外入賞口62aに対応する例えば2つの近接スイッチ64a,64eのうちの少なくとも一方を配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の弾球遊技機では、各入賞手段(入球手段)に、入賞口(入球口)に入賞(入球)した遊技球を検出する例えば貫通型の近接スイッチが設けられており、この近接スイッチが遊技球を検出することに基づいて、所定個数の賞球の払出等、遊技者に所定の利益を還元するように構成されている(例えば特許文献1)。この貫通型の近接スイッチは、正規の遊技球が1個通過可能な検出孔を備え、高周波発振回路を構成するリング状の検出コイルがその検出孔を取り囲むように内蔵されており、遊技球が検出孔を通過する際の検出コイルのインピーダンス変化により、非接触でその遊技球の通過を検出可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−187895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで最近、この種のパチンコ機等の弾球遊技機に対して、正規の遊技球よりも若干大きめの鉄球(以下、不正球という)を用いた「大玉ゴト」と呼ばれる不正行為が各地の遊技ホールで確認され、問題となっている。この大玉ゴトの手口は以下のようなものである。即ち、まず不正球を皿に投入して正規の遊技球と同様に発射すると共に、その不正球を磁石等を用いて所定の入賞口に強制的に入賞させ、その入賞口に設けられた近接スイッチの検出孔に停留させてその近接スイッチを常時検出状態にする。そして、その不正球を停留させた近接スイッチに対して遊技機外から特定周波数の強力な電波を照射し、断続的に非検出状態となるようにその近接スイッチを誤作動させることにより、遊技球が連続的に入賞した場合と同様の検出状態を作り出すというものである。
【0005】
このような不正行為に対する対策としては、例えばその不正行為で使用される特定周波数の電波を検知可能な電波センサを遊技盤上等に配置して監視することが考えられる。しかしながら、遊技領域内の全ての入賞口が電波センサの電波検知領域内に入るようにするためには電波センサの数を増やしたり電波検知領域の広い電波センサを用いることが必要となる場合が多く、一般にコスト高となり、またノイズによる誤検出の可能性が高くなる等の問題があった。一方、コストを抑えると共に誤検出の可能性を低くするべく電波検知領域の狭い電波センサを最小限の数だけ配置する場合には、限られた電波検知領域内に全ての入賞口を配置しなければならないため、盤面配置の自由度が大きく制限されるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コストを抑え且つ誤検出の可能性を低く抑えることができるにも拘わらず盤面配置の自由度を高く維持できる弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技盤5の前面側の遊技領域5a内に設けられた複数の入球口32,43,46,53,62a〜62dと、前記各入球口32,43,46,53,62a〜62dに対応して設けられ且つ前記入球口32,43,46,53,62a〜62dに入球した遊技球を検出する近接スイッチ34,45,50,58,64a〜64eとを備え、前記近接スイッチ34,45,50,58,64a〜64eが遊技球を検出することに基づいて遊技者に所定の利益を還元するように構成された弾球遊技機において、前記近接スイッチ34,45,50,58,64a〜64eの誤動作を引き起こす特定周波数の電波を検知可能な電波センサ52を所定位置に配置し、前記複数の入球口32,43,46,53,62a〜62dが、前記電波センサ52の電波検知領域59a,59bの外側に配置された検知領域外入球口62aを含む場合には、その検知領域外入球口62aに入球した遊技球を前記電波検知領域59a,59bの内側に向けて誘導する検知領域誘導通路65を設け、その検知領域誘導通路65上で且つ前記電波検知領域59a,59b内の位置に前記検知領域外入球口62aに対応する近接スイッチ64a,64eを配置したものである。
【0008】
また、前記電波センサ52を前記遊技盤5上に配置してもよいし、前記検知領域誘導通路65を、前記遊技盤5の盤面に沿って配置してもよい。
【0009】
また、前記検知領域外入球口62aに対応して複数の前記近接スイッチ64a,64eを設け、一定期間内にそれら複数の近接スイッチ64a,64eが全て非検出状態から検出状態に変化することに基づいて前記検知領域外入球口62aへの入球があったものと判断するように構成され、前記検知領域外入球口62aに対応する複数の近接スイッチ64a,64eのうちの少なくとも1つを前記検知領域誘導通路65上で且つ前記電波検知領域59a,59b内の位置に配置してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入球口の配置位置に拘わらず、近接スイッチを任意の位置に配置することができるため、電波検知領域の狭い電波センサを最小限の数だけ配置することによりコストを抑え且つ誤検出の可能性を低く抑えることができると共に盤面配置の自由度を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機の全体斜視図である。
【図2】同パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】同パチンコ機の右普通入賞手段及びその近傍の側面断面図である。
【図4】同パチンコ機の上下の始動入賞手段、大入賞手段及びその近傍の側面断面図である。
【図5】同パチンコ機の大入賞手段及びその近傍の平面断面図である。
【図6】同パチンコ機の第1普通入賞手段及びその近傍の側面断面図である。
【図7】同パチンコ機の第1〜第4普通入賞手段及びその近傍の背面断面図である。
【図8】同パチンコ機の制御系のブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るパチンコ機の第1〜第4普通入賞手段及びその近傍の背面断面図である。
【図10】本発明の変更例に係るパチンコ機の第1〜第4普通入賞手段及びその近傍の背面断面図である。
【図11】本発明の変更例に係るパチンコ機の第1〜第4普通入賞手段及びその近傍の背面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図8は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の左右一側、例えば左側のヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4とを備えている。
【0013】
内枠4には、その上部側に図2に示す遊技盤5等が、下部側に発射手段(図示省略)等が夫々配置されており、その内枠4の前側には、遊技盤5の前側を覆うガラス扉6と、そのガラス扉6の下側で発射手段等の前側を覆う下部開閉扉7とがヒンジ3と同じ側のヒンジ8により開閉及び着脱自在に枢着されている。ガラス扉6には、遊技盤5側の遊技領域5aに対応するガラス窓9が設けられ、また下部開閉扉7には、発射手段に供給するための遊技球を貯留する貯留皿10、発射手段を作動させるための発射ハンドル11等が設けられている。
【0014】
遊技盤5の前面側には、図2に示すように、発射手段により発射された遊技球を案内するガイドレール12が略環状に配置されており、そのガイドレール12内の遊技領域5aには、表示ユニット13、ゲートユニット14、始動入賞口ユニット15、大入賞口ユニット16、普通入賞口ユニット17等の遊技部品が着脱自在に装着されている。
【0015】
ガイドレール12は、例えば金属板により形成され、遊技盤5の前面側に立設されている。このガイドレール12は、外レール12aとその内側の内レール12bとが一部内外に重複するように配置されており、それら外レール12aと内レール12bとの間に、発射手段により発射された遊技球を遊技領域5aに案内する発射案内通路18が形成されている。
【0016】
表示ユニット13は、遊技領域5aの略中央に配置され、例えば遊技盤5の裏側に装着される液晶表示手段21と、液晶表示手段21用の表示窓22を備え且つ遊技盤5に設けられた表示ユニット装着孔に前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定される表示枠体23とを備えている。液晶表示手段21は例えば演出図柄表示手段24等を構成している。また、表示枠体23上には、普通図柄表示手段25、特別図柄表示手段26、普通保留個数表示手段27、特別保留個数表示手段28等の各種表示手段の他、ステージ29、右普通入賞手段30等が設けられている。
【0017】
ステージ29は、例えば表示窓22の下側に横長状に配置されており、表示枠体23の左右一側、例えば左側に設けられたステージ入口31に入球した遊技球を左右方向に遊ばせて中央又はその左右の落下部から落下させるようになっている。
【0018】
右普通入賞手段30は、例えば表示枠体23の右側下端部に配置されており、図2,図3に示すように、遊技領域5a内で上向きに開口する右普通入賞口(入球口)32と、この右普通入賞口32に入賞した遊技球を遊技盤5の後側まで案内する略前後方向の後方案内通路33と、右普通入賞口32に入賞した遊技球を検出する近接スイッチ34とを備えている。
【0019】
近接スイッチ34は、例えばその一端側に正規の遊技球(直径11mm)が通過可能な直径(例えば12mm程度)に形成された略円形の検出孔35を有し、高周波発振回路を構成するリング状の検出コイルがその検出孔35を取り囲むように内蔵されており、遊技球が検出孔35を通過する際の検出コイルのインピーダンス変化によって遊技球の通過を検出可能となっている。なお、後述する他の近接スイッチも全てこの近接スイッチ34と同様の構成を有するものとする。
【0020】
右普通入賞手段30では、検出孔35が右普通入賞口32の下側に位置するように、近接スイッチ34を後方案内通路33の上流端側に配置している。そして、近接スイッチ34からの検出信号に基づいて遊技球が右普通入賞口32に入賞したものと判定されることを条件に、1個の入賞につき所定個数の賞球が払い出される(所定の利益の還元)ようになっている。
【0021】
ゲートユニット14は、普通図柄始動手段36を構成するもので、例えば表示ユニット13の左側で、遊技盤5に設けられたゲートユニット装着孔に対して例えば前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されている。普通図柄始動手段36は、遊技領域5a内で上下方向に配置された普通図柄始動ゲート37と、この普通図柄始動ゲート37を通過する遊技球を検出する近接スイッチ38とで構成されている。この普通図柄始動ゲート37は、普通図柄表示手段25による図柄変動を開始させるためのもので、近接スイッチ38からの検出信号に基づいて遊技球がこの普通図柄始動ゲート37を通過したものと判定されることを条件に、普通図柄表示手段25による普通図柄の変動表示が開始されるようになっている。
【0022】
普通図柄表示手段25は、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、遊技球が普通図柄始動ゲート37を通過することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動ゲート37の近接スイッチ38による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
【0023】
また、普通図柄表示手段25の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に遊技球が普通図柄始動ゲート37を通過した場合には、その通過時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段27がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0024】
始動入賞口ユニット15は、例えば表示ユニット13の下側で、遊技盤5に設けられた始動入賞口ユニット装着孔に対して前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されており、図2,図4に示すように、上部始動入賞手段41と下部始動入賞手段42とを上下に備えている。
【0025】
上部始動入賞手段41は、開閉手段等を有しない非作動式の入賞手段で、遊技領域5a内で上向きに開口する上部始動入賞口(入球口)43と、この上部始動入賞口43に入賞した遊技球を遊技盤5の後側まで案内する略前後方向の後方案内通路44と、上部始動入賞口43に入賞した遊技球を検出する近接スイッチ45とを備えている。近接スイッチ45は、例えば後方案内通路44の下流端側に配置されており、上部始動入賞口43に入賞した遊技球を遊技盤5の後側で検出するようになっている。
【0026】
また、下部始動入賞手段42は、開閉可能な作動式の入賞手段で、上部始動入賞口43の下側でその左右両側に向けて開口する一対の下部始動入賞口(入球口)46と、この下部始動入賞口46を例えば遊技球の入賞が不可能な閉状態と入賞容易な開状態とに切り替え可能な左右一対の開閉翼47と、この開閉翼47を駆動する電磁ソレノイド等よりなる開閉駆動手段48と、下部始動入賞口46に入賞した遊技球を遊技盤5の後側まで案内する略前後方向の後方案内通路49と、下部始動入賞口46に入賞した遊技球を検出する近接スイッチ50とを備えており、普通図柄表示手段25の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉駆動手段48の駆動により開閉翼47が所定時間開状態に変化するようになっている。近接スイッチ50は、例えば後方案内通路49の下流端側に配置されており、下部始動入賞口46に入賞した遊技球を遊技盤5の後側で検出するようになっている。
【0027】
これら上部始動入賞手段41及び下部始動入賞手段42は、いずれも特別図柄表示手段26による図柄変動を開始させるためのもので、近接スイッチ45,50からの検出信号に基づいて遊技球が上下の始動入賞口43,46の何れかに入賞したものと判定されることを条件に特別図柄表示手段26による特別図柄の変動表示が開始され、また1個の入賞につき所定個数の賞球が払い出される(所定の利益の還元)ようになっている。
【0028】
特別図柄表示手段26は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、遊技球が上部始動入賞口43と下部始動入賞口46との何れかに入賞することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、上部始動入賞口43又は下部始動入賞口46への入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
【0029】
特別図柄は、例えば数字図柄等ではなく、それ自体としては特別な意味を持たない線と点の組み合わせ等よりなる複数種類の図柄で構成され、それらの図柄のうちの1又は複数が大当たり態様、それ以外が外れ態様に設定されている。また、特別図柄の変動表示中、又は後述する特別利益状態中に上部始動入賞口43又は下部始動入賞口46に遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が所定の上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる特別保留個数表示手段28がその発光個数により大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0030】
特別図柄表示手段26による特別図柄の変動表示中は、例えば演出図柄表示手段24により演出図柄による図柄変動演出が行われる。演出図柄表示手段24は、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に変動表示可能に構成されており、特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。なお、演出図柄表示手段24は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
【0031】
大入賞口ユニット16は、例えば始動入賞口ユニット15の下側で、遊技盤5に設けられた大入賞口ユニット装着孔に対して前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されており、図2,図4,図5に示すように、大入賞手段51と、電波センサ52とを備えている。
【0032】
大入賞手段51は、開閉可能な作動式の入賞手段で、例えば遊技盤5の前面側の位置で前向き開口状に形成された大入賞口(入球口)53と、この大入賞口53を遊技球の入賞が不可能な閉状態と入賞容易な開状態とに切り替え可能な開閉板54と、この開閉板54を駆動する電磁ソレノイド等よりなる開閉駆動手段55と、大入賞口53に入賞した遊技球を受け入れて遊技盤5の後側の入賞球排出口56から下側に落下させる入賞室57と、大入賞口53に入賞した遊技球を検出する近接スイッチ58とを備えており、特別図柄表示手段26の変動後の停止図柄が大当たり態様となって特別利益状態が発生したときに、開閉駆動手段55の駆動により開閉板54が所定のパターンに従って開状態に変化するようになっている。近接スイッチ58は、例えば入賞室57の下流端側、即ち入賞球排出口56に配置されており、大入賞口53に入賞した遊技球を遊技盤5の後側で検出するようになっている。
【0033】
なお、開閉板54はその下端側に設けられた左右方向の回転軸廻りに揺動可能であり、閉状態(図4に実線で示す)では遊技盤5の前面側に沿った姿勢で大入賞口53を閉鎖し、開状態(図4に二点鎖線で示す)では大入賞口53の前側で前斜め上向きとなって遊技領域5aの上側から落下してきた遊技球を大入賞口53内に案内するようになっている。そして、近接スイッチ58からの検出信号に基づいて大入賞口53に遊技球が入賞したものと判定されることを条件に、1個の入賞につき所定個数の賞球が払い出される(所定の利益の還元)ようになっている。
【0034】
電波センサ52は、各入賞口に配置された近接スイッチの誤動作を引き起こす特定周波数の電波を検知するもので、例えばその表裏両面側が電波検知面52a,52bとなっており、これら電波検知面52a,52bに夫々接する所定半径の略球状の領域が電波検知領域59a,59bとなっている。
【0035】
図2,図5に示すように、本実施形態の電波センサ52は、電波検知面52a,52bを左右に向けた状態で大入賞口ユニット16の左後部に装着されており、右普通入賞口32、上部始動入賞口43、下部始動入賞口46、大入賞口53の4つの入賞口は全て右側の電波検知領域59b内に入っており、それらの入賞口32,43,46,53に対応する近接スイッチ34,45,50,58も全て電波検知領域59b内に存在するものとする。従って、これら右普通入賞口32、上部始動入賞口43、下部始動入賞口46、大入賞口53の何れかがいわゆる大玉ゴトの標的とされ、それら各入賞口32,43,46,53に対応する近接スイッチ34,45,50,58に対して強力な電波が照射された場合には、電波センサ52によりその電波を検知できる。
【0036】
普通入賞口ユニット17は、例えば大入賞口ユニット16の左側で内レール12bの内側に沿って配置されており、その長手方向に沿って複数、例えば4つの第1〜第4普通入賞手段61a〜61dが上部側から下部側にかけて一列状に配置されている。この普通入賞口ユニット17は、遊技盤5に設けられた普通入賞口ユニット装着孔に対して前側から着脱自在に装着され、ねじ止め等により遊技盤5に固定されている。
【0037】
第1〜第4普通入賞手段61a〜61dは、図2,図6,図7に示すように、遊技領域5a内で上向きに開口する第1〜第4普通入賞口(入球口)62a〜62dと、この第1〜第4普通入賞口62a〜62dに入賞した遊技球を遊技盤5の後側まで案内する略前後方向の後方案内通路63a〜63dと、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに入賞した遊技球を検出する近接スイッチ64a〜64eとを備えている。また、普通入賞口ユニット17の後部側には、後方案内通路63a〜63dによって遊技盤5の後側まで案内された遊技球を遊技盤5の裏面に沿って下流側に案内する背面案内通路65が設けられている。
【0038】
背面案内通路65は、図7に示すように、内レール12bに沿って例えば略円弧状に配置され且つ遊技球を上流側(上部側)から下流側(下部側)に案内する一本の本線通路66と、後方案内通路63a〜63dの下流端側から例えば下向きに配置され且つ第1〜第4普通入賞口62a〜62dに入賞した遊技球を本線通路66に流入させる第1〜第4支線通路67a〜67dとを備えている。
【0039】
本線通路66には、その下流側端部に流出口68が、上流側端部に最上流側の第1支線通路67aが接続される第1流入口69aが夫々設けられ、更にそれら第1流入口69aと流出口68との間に、上流側から二つ目以降の第2〜第4支線通路67b〜67dが接続される第2〜第4流入口69b〜69dが形成されており、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに入賞した遊技球は、夫々後方案内通路63a〜63dによって遊技盤5の後側まで案内された後、第1〜第4普通入賞口62a〜62dを経て本線通路66に流入し、流出口68から排出されるようになっている。
【0040】
また、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに対しては、夫々上流側の一次検出スイッチと下流側の二次近接スイッチとの2つの近接スイッチが設けられている。近接スイッチ64a〜64dは、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに個別に対応する一次近接スイッチで、例えば後方案内通路63a〜63dから第1〜第4支線通路67a〜67dへの流入部に配置されている。近接スイッチ64eは、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに共通の二次近接スイッチで、例えば本線通路66の下流端側の流出口68の近傍に配置されている。
【0041】
これにより、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに入賞した遊技球は、その入賞口62a〜62dに対応する一次近接スイッチ64a〜64dによって検出された後、更に共通の二次近接スイッチ64eによって検出される。一次近接スイッチ64a〜64d及び二次近接スイッチ64eからの検出信号に基づいて、第1〜第4普通入賞口62a〜62dに遊技球が入賞したものと判定された場合には、1個の入賞につき所定個数の賞球が払い出される(所定の利益の還元)。
【0042】
また、図2,図7に示すように、第1〜第4普通入賞口62a〜62dのうち、最上流側の第1普通入賞口62aを除く第2〜第4普通入賞口62b〜62dについては電波センサ52の左側の電波検知領域59a内に入っており、それら第2〜第4普通入賞口62b〜62dに対応する一次近接スイッチ64b〜64dについても全て電波検知領域59a内に存在しているが、最上流側の第1普通入賞口(検知領域外入球口)62aについては、電波センサ52の電波検知領域59a,59bの外側に配置されており、対応する一次近接スイッチ64aについても電波検知領域59a,59bの外側に存在している。
【0043】
一方、背面案内通路(検知領域誘導通路)65は、第1普通入賞口62aに入賞した遊技球を電波センサ52の電波検知領域59aの内側に向けて誘導するように配置されており、その背面案内通路65上に配置されている二次近接スイッチ64eは電波検知領域59a内に存在している。即ち、第1〜第4普通入賞口62a〜62dのうち、電波センサ52の電波検知領域59a内に配置されている第2〜第4普通入賞口62b〜62dについては、対応する一次近接スイッチ64b〜64dと二次近接スイッチ64eとの何れも電波検知領域59a内に配置されているが、電波センサ52の電波検知領域59a,59bの外側に配置されている第1普通入賞口62aについては、対応する一次近接スイッチ64aと二次近接スイッチ64eとのうち、二次近接スイッチ64eのみが電波検知領域59a内に配置されている。
【0044】
続いて、本パチンコ機の制御系のうち、大玉ゴト等による不正入賞を監視するための構成について説明する。本実施形態の主制御基板71には、図8に示すように、各入賞手段30,41,42,51,61a〜61dへの遊技球の入賞に関する処理を行う入賞処理手段72と、普通図柄表示手段25、特別図柄表示手段26の図柄変動に関する処理を行う図柄処理手段73と、下部始動入賞手段42の開閉翼47、大入賞手段51の開閉板54等の動作に関する処理を行う役物処理手段74とが設けられている。
【0045】
入賞処理手段72は、各入賞手段30,41,42,51,61a〜61dに対応する近接スイッチ34,45,50,58,64a〜64eからの検出信号に基づいて、それら入賞手段30,41,42,51,61a〜61dの入賞口32,43,46,53,62a〜62dへの遊技球の入賞の有無を判定し、入賞があったと判定された場合には賞球の払い出し等の入賞処理が実行されるようになっている。
【0046】
例えば、右普通入賞手段30、上部始動入賞手段41、下部始動入賞手段42及び大入賞手段51に関しては、例えばそれらの近接スイッチ34,45,50,58がOFF (非検出状態)からON(検出状態)に変化することに基づいて遊技球の入賞があったものと判定され、また第1〜第4普通入賞手段61a〜61dに関しては、例えば一次近接スイッチ64a〜64dがONになった後、所定時間以内に二次近接スイッチ64eがONになることに基づいて遊技球の入賞があったものと判定するようになっている。
【0047】
また、例えばこの入賞処理手段72には、電波センサ52による検知信号に基づいて入賞手段30,41,42,51,61a〜61dに関する異常を監視する異常監視手段75が設けられている。この異常監視手段75は、近接スイッチの誤動作を引き起こす特定周波数の電波が電波センサ52によって検知された場合には、所定のエラー処理、例えば液晶表示手段21へのエラー表示、エラー警告音の出力、外部出力端子からのエラー信号出力等によるエラー報知、払い出し処理の停止等の処理が実行されるようになっている。
【0048】
このような構成により、例えばいわゆる大玉ゴトが実行された場合、その標的が第1普通入賞口62a以外の入賞口32,43,46,53,62b〜62dの何れかであった場合には、それらに対応する近接スイッチ34,45,50,58,64b〜64dの何れかにその検出孔35よりも大径の不正球が停留させられ、それらの近接スイッチ34,45,50,58,64b〜64dに対して強力な電波が照射されるが、それらの近接スイッチ34,45,50,58,64b〜64dは全て電波センサ52の電波検知領域59a,59b内にあるため、照射された電波は電波センサ52によって検知され、エラー処理が実行されるため、大玉ゴトによる被害を未然に防止できる。
【0049】
一方、電波センサ52の電波検知領域59a,59bの外側にある第1普通入賞口62aが大玉ゴトの標的とされた場合であっても、その第1普通入賞口62aの二次近接スイッチ64eは電波センサ52の電波検知領域59a内にあり、しかも一次近接スイッチ64aによる検出後に二次近接スイッチ64eによる検出がなければ入賞があったものとは判定されないため、電波センサ52による電波検知を免れつつ第1普通入賞口62aへの入賞があったものと誤判定させることはできず、大玉ゴトによる被害を未然に防止できる。
【0050】
このように、入賞口62aが電波センサ52の電波検知領域59a,59bの外にある場合でも、その入賞口62aに対応する1又は複数の近接スイッチ64a,64eの少なくとも1つを電波センサ52の電波検知領域59a,59b内に配置することにより、大玉ゴトによる被害を免れることができるため、電波検知領域の狭い電波センサ52を最小限の個数だけ配置することにより、コストを抑え且つ誤検出の可能性を低く抑えることができるにも拘わらず盤面配置の自由度を高く維持できる利点がある。
【0051】
図9は本発明の第2の実施形態を例示し、検知領域外入球口である第1普通入賞口62aに対応する近接スイッチを1個のみとし、その近接スイッチ64aを背面案内通路(検知領域誘導通路)65上で且つ電波センサ52の電波検知領域59a内の位置に配置した例を示している。
【0052】
図9に示すように、本実施形態では第1〜第4普通入賞口62a〜62dに対して夫々1個の近接スイッチ64a〜64dのみが設けられている。また、検知領域外入球口である第1普通入賞口62aに対応する近接スイッチ64aは、背面案内通路(検知領域誘導通路)65上で且つ電波センサ52の電波検知領域59a内の位置、即ち例えば本線通路66上における第2流入口69bの上流側近傍に配置されている。
【0053】
このように、検知領域外入球口である第1普通入賞口62aに対応する近接スイッチが1個の場合には、その近接スイッチ64aを背面案内通路(検知領域誘導通路)65上に配置することにより電波センサ52の電波検知領域59a内に設ければ、第1普通入賞口62aが大玉ゴトの標的とされた場合であっても、電波センサ52による電波検知を免れつつ第1普通入賞口62aへの入賞があったものと誤判定させることはできず、大玉ゴトによる被害を未然に防止できる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態では、検知領域外入球口である第1普通入賞口62aに対応する近接スイッチを2つ設け、それらのうちの下流側の近接スイッチ64eのみを電波センサ52の電波検知領域59a内に配置したが、図10に示すように検知領域外入球口に対応する2つの近接スイッチ64a,64eの両方を電波センサ52の電波検知領域59a内に配置してもよい。即ち、検知領域外入球口に対して設けられた1又は複数の近接スイッチのうちの少なくとも1つを、電波センサの電波検知領域内に配置すればよい。
【0055】
また、第1の実施形態では、検知領域外入球口である第1普通入賞口62aに対応する二次近接スイッチ64eを、他の第2〜第4普通入賞口62b〜62dの二次近接スイッチとしても使用した例を示したが、図11に示すように、検知領域外入球口である第1普通入賞口62aのみに対応するように二次近接スイッチ64eを配置してもよい。
【0056】
検知領域外入球口は複数存在してもよい。また、電波センサ52は2個以上配置してもよいが、最小限の数に抑え、また電波検知領域は必要最小限とすることが望ましい。また、電波センサ52は、例えば一面側にのみ電波検知面を有するものなど、どのような仕様であってもよい。
【0057】
実施形態では、電波センサ52を遊技盤5上の大入賞口ユニット16上に配置した例を示したが、遊技盤5上の他のユニット上に配置してもよいし、遊技盤5に対して他のユニットを介すことなく直接的に装着してもよい。また、遊技盤5以外の位置、例えばガラス扉6の裏側、内枠4の裏側等に電波センサ52を配置してもよい。
【0058】
入賞処理手段72は、電波センサ52による異常監視と並行して、近接スイッチからの検出信号に基づく異常監視を行ってもよい。例えば、特定の入賞口に対して所定個数以上連続して入賞した場合に異常であると判定する連続入賞監視処理を実行し、また対応する近接スイッチが複数設けられた入賞口(例えば第1の実施形態における第1〜第4普通入賞口62a〜62d)に対しては、上流側の一次近接スイッチによる検出から下流側の二次近接スイッチによる検出までの経過時間が所定の上限時間を超えている場合には異常であると判定する検出時間間隔監視処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
なお、実施形態ではパチンコ遊技機について例示したが、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の弾球遊技機においても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0060】
5 遊技盤
5a 遊技領域
32 右普通入賞口(入球口)
34 近接スイッチ
43 上部始動入賞口(入球口)
45 近接スイッチ
46 下部始動入賞口(入球口)
50 近接スイッチ
52 電波センサ
53 大入賞口(入球口)
58 近接スイッチ
59a 電波検知領域
59b 電波検知領域
62a 第1普通入賞口(検知領域外入球口)
62b 第2普通入賞口(入球口)
62c 第3普通入賞口(入球口)
62d 第4普通入賞口(入球口)
64a 一次近接スイッチ(近接スイッチ)
64b 一次近接スイッチ(近接スイッチ)
64c 一次近接スイッチ(近接スイッチ)
64d 一次近接スイッチ(近接スイッチ)
64e 二次近接スイッチ(近接スイッチ)
65 背面案内通路(検知領域誘導通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面側の遊技領域内に設けられた複数の入球口と、前記各入球口に対応して設けられ且つ前記入球口に入球した遊技球を検出する近接スイッチとを備え、前記近接スイッチが遊技球を検出することに基づいて遊技者に所定の利益を還元するように構成された弾球遊技機において、前記近接スイッチの誤動作を引き起こす特定周波数の電波を検知可能な電波センサを所定位置に配置し、前記複数の入球口が、前記電波センサの電波検知領域の外側に配置された検知領域外入球口を含む場合には、その検知領域外入球口に入球した遊技球を前記電波検知領域の内側に向けて誘導する検知領域誘導通路を設け、その検知領域誘導通路上で且つ前記電波検知領域内の位置に前記検知領域外入球口に対応する近接スイッチを配置したことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記電波センサを前記遊技盤上に配置したことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記検知領域誘導通路を、前記遊技盤の盤面に沿って配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記検知領域外入球口に対応して複数の前記近接スイッチを設け、一定期間内にそれら複数の近接スイッチが全て非検出状態から検出状態に変化することに基づいて前記検知領域外入球口への入球があったものと判断するように構成され、前記検知領域外入球口に対応する複数の近接スイッチのうちの少なくとも1つを前記検知領域誘導通路上で且つ前記電波検知領域内の位置に配置したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−147955(P2012−147955A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9044(P2011−9044)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】