説明

役物外装材

【課題】建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形しても、役物外装材を構成する2つの外装片が破断したり損傷したりし難い役物外装材を提供する。
【解決手段】役物外装材10は、第1の外装片1と第2の外装片2とを留め素材3を用いて結合してなるものである。該役物外装材10の表面側を上にして(凸角部11を上向きにして)、支持部材31及びアルミ板32の上に役物外装材10を載せ、該凸角部11に上方から荷重を負荷していく。第1,第2の外装片1,2が破壊するよりも前に、該留め素材3が破断、剥離又は変形する。従って、壁面21,22などの建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、第1,第2の外装片1,2がその変形に追従し得るようになり、第1,第2の外装片1,2が破断ないし損傷し難いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の外装片及び第2の外装片が、各外装片の板面同士が略垂直となるように、留め素材によって結合されてなるL字形の役物外装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出隅部や入隅部にL字型の役物外装材を施工することが行われている。この役物外装材として、種々のものが知られている。
【0003】
例えば、特開昭59−102052号には、化粧板の側端面を斜めに切断し、一対の化粧板の切断面同士をエポキシ系の接着剤で接着させることにより、L型のコーナー化粧材素体を製造することが記載されている。
【0004】
また、特開平7−207813号には、2つのタイル片の傾斜面同士を弾性接着剤によって接着してなる役物タイルが記載されている。同号公報の役物タイルは、弾性接着剤を用いており、可撓性を有していることから、該役物タイルのタイル片同士の角度を調節しながら建物躯体の出隅部に取り付けることができる。また、該役物タイルの該弾性接着剤を該役物タイルの表面より外部にまで露呈させることにより、これら傾斜面のタイル表面側の端部同士が直接に接触して欠損することが防止される。
【特許文献1】特開昭59−102052号
【特許文献2】特開平7−207813号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特開昭59−102052号のL型コーナー化粧材素体は、化粧板の切断面同士が高強度のエポキシ系の接着剤で接着されている。このため、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、これらの化粧板がその変形に追従することができずに割れるという問題がある。
【0006】
また、上記の特開平7−207813号には、弾性接着剤を用いてタイル片同士を接着することにより、役物タイルに可撓性を付与するとの記載はあるが、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形してもタイル片が破損しないように該役物タイルに可撓性を付与することまでは記載されていない。従って、該役物タイルにあっても、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、これらのタイル片がその変形に追従することができずに割れるという問題がある。
【0007】
本発明は、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形しても、役物外装材を構成する2つの外装片が破断したり損傷したりし難い役物外装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の役物外装材は、第1の外装片及び第2の外装片が、各外装片の板面同士が略垂直となるように結合されてなるL字形の役物外装材であって、該第1,第2の外装片の1つの側面が板面に斜交する傾斜面となっており、該傾斜面同士が対面され、該第1,第2の外装片が留め素材によって結合されてなる役物外装材において、水平面及び該水平面から起立する鉛直面を有する支持部材と、板面を水平にして該支持部材に隣接配置されたアルミ板と、該支持部材とアルミ板とに跨って配置された役物外装材を上方から押圧する押圧装置とからなる強度試験装置を用い、該役物外装材をそのL字コーナー部の凸角部が上に凸となる姿勢にして、該役物外装材の一端部を該支持部材の水平面に載置すると共に該鉛直面に接触させ、該役物外装材の他端部を該アルミ板の上面に載置し、かつ該L字コーナー部における内角の二等分線が鉛直となるように該支持部材及びアルミ板の高さを調整した状態において、該役物外装材の該凸角部に徐々に鉛直下向きに荷重を加えたときに、該第1の外装片又は第2外装片が破断又は損傷するよりも前に該留め部材が破断、剥離又は変形することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の役物外装材は、請求項1において、前記第1及び第2の外装片の前記傾斜面同士が前記留め素材によって結合されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の役物外装材は、請求項1において、該第1及び第2の外装片の裏面のみが該留め素材によって結合されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の役物外装材は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記留め素材が破断、剥離又は変形するときの荷重が1N以上であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の役物外装材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、該留め部材がテープであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の役物外装材は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第1及び第2の外装片は、前記傾斜面と板面とが鋭角に交叉する先端部が面取りされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の役物外装材によれば、第1の外装片及び第2の外装片が破断又は損傷するよりも前に、留め素材が破断、剥離又は変形する。従って、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、該留め素材が破断、剥離又は変形し、第1及び第2の外装片がその変形に追従し得るようになる。これにより、第1,第2の外装片が破断ないし損傷し難いものとなる。
【0015】
本発明において、第1及び第2の外装片の傾斜面同士が留め素材によって結合されていてもよい。
【0016】
本発明において、これら第1及び第2の外装片の裏面のみが留め素材によって結合されていてもよい。この場合、これら2つの傾斜面同士が拘束されていないため、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、これら第1及び第2の外装片はその変形に十分に追従し、破断ないし損傷し難い。また、該留め素材は2つの外装片の裏面のみに設けられているため、該留め素材が役物外装材の表面に露呈することがない。よって、露呈した留め素材が劣化して美感を損ねることがなく、また有色の留め素材を用いても美観に影響を及ぼすことがない。
【0017】
本発明において、留め素材が破断、剥離又は変形するときの荷重が1N以上である場合、運搬や施工の際に該役物外装材に多少の応力が加わったとしても、該外装片同士の結合が解消されることがない。このため、運搬が容易であると共に、施工性が良好なものとなる。
【0018】
本発明において、該留め部材はテープであってもよい。なお、該役物外装材を出隅部や入隅部に施工する前に、該テープを除去してもよい。これにより、第1及び第2の外装片の結合が解消され、これら外装片は建築物の下地の変形に対して十分に追従することができる。また、該テープが劣化して美感を損ねることが防止される。
【0019】
なお、該外装片の裏面同士を該テープで接着する場合、該テープを両面テープにすることにより、役物外装材を出隅部や入隅部等に仮留めすることができる。
【0020】
本発明において、第1及び第2の外装片は、傾斜面と板面とが鋭角に交叉する先端部が面取りされていることが好ましい。この場合、該先端部に人体が触れたときに怪我をすることが防止される。また、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形し、該外装片がその変形に追従する際、該先端部が破断ないし損傷することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。第1図は実施の形態に係る役物外装材を裏面側から見た斜視図、第2図(a)は第1図の役物外装材を建物躯体の出隅部に施工した状態を示す斜視図、第2図(b)は第2図(a)の拡大斜視図、第3図は第1図の役物外装材の強度試験装置及び強度試験方法を説明する正面図である。第4図(a)は第1図の役物外装材の凸角部近傍の斜視図、第4図(b)は第4図(a)の留め素材が破断した状態を示す斜視図、第4図(c)は第4図(a)の留め素材が一方の傾斜面から剥離した状態を示す斜視図、第4図(d)は第4図(a)の留め素材が変形した状態を示す斜視図である。
【0022】
第1図の通り、役物外装材10は、第1の外装片1及び第2の外装片2が、各外装片1,2の板面同士が垂直となるように留め素材3を用いて結合されてなるものである。
【0023】
この第1,第2の外装片1,2としては、タイル、石材、セメント板、窯業系ボード、金属系ボード等が用いられる。
【0024】
この留め素材3としては、外装片1,2よりも曲げ強度の小さい接着剤、外装片1,2の曲げ強度未満で変形する弾性接着剤、外装片1,2の曲げ強度未満で破断、剥離又は変形するテープ類及び粘着剤などが挙げられる。ここで、この弾性接着剤としては、変成シリコーン系、シリコーン系、ウレタン系、天然ゴム系、ブチルゴム系、クロロブチレンゴム系、アスファルト、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、酢酸ビニル系、アクリル系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系等が挙げられる。また、テープ類としては、ブチル系、ゴム系、アクリル系のテープや、このテープと、ネット、フィルム、不織布、クロス、金属箔等との合成素材等が挙げられる。粘着剤としては、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリアクリル酸エステル系液状ポリブテン、鉱油系、ポリイソブチレン系等が挙げられる。
【0025】
第1の外装片1は、1つの側面が板面に斜交する傾斜面1aになっている。同様に、第2の外装片2も、1つの側面が板面に斜交する傾斜面2aになっている。これら傾斜面1a,2a同士が留め素材3を介して結合されている。
【0026】
この第1の外装片1は、傾斜面1aと前面とのなす角度が45°になっている。同様に、第2の外装片2は、傾斜面2aと前面とのなす角度が45°になっている。ただし、これらの角度は43〜47°程度であればよい。これら傾斜面1a,2aを結合した状態において、該第1の外装片1と第2の外装片2とのなす内角は90°になっている。ただし、この内角は88〜92°程度であればよい。なお、上記角度が好ましいが、鋭角や鈍角でもよく、下地の角度に適宜合わせる。
【0027】
この役物外装材10は、第1の外装片1のうち傾斜面1aと対向する側面を一端部12とし、第2の外装片2のうち傾斜面2aと対向する側面を他端部13とし、これら第1,第2の外装片1,2の結合部の前面側を凸角部11とする、L字形を有している。
【0028】
接着剤の厚みは0.1〜2mmであるとよい。美感を追求する際は0.1〜0.5mm程度がよい。0.5mm以上にすると下地の動きにタイルが追従し易く、タイルの割れがより生じ難い。
【0029】
第1図において、符号1b,2bは、それぞれ第1,第2の外装片1,2の裏面である。
【0030】
次に、第2図(a)、(b)を用いて、この役物外装材10を建物の出隅部に施工する方法を説明する。
【0031】
第2図(a)、(b)において、建物の壁面21と壁面22とのなす角度は90°になっている。これら壁面21,22よりなる出隅部に対してこの役物外装材10を施工するには、先ず壁面21,22に接着剤(図示略)を塗布する。次いで、この役物外装材10の裏面1b,2bを接着剤が塗布された面に揉み込むようにして押さえ付ける。さらに、押さえ板などで軽く叩き、表面の段差を調整する。
【0032】
次に、第3図を用いて、この役物外装材10の強度試験装置及び強度試験方法について説明する。
【0033】
この強度試験装置は、支持部材31と、アルミ板32と、押圧装置33とからなっている。
【0034】
この支持部材31は略直方体であり、その上面の一辺が切り欠かれて段部31aとなっている。この段部31cは、水平面31b及び鉛直面31cよりなる。この支持部材31は、例えば木材を加工したものである。このアルミ板32の上面32aは平滑面になっている。この押圧装置は、支持部材とアルミ板とに跨って配置された役物外装材を上方から押圧するものである。
【0035】
まず、床面30の上に、支持部材31及びアルミ板32を載置する。次いで、これら支持部材31及びアルミ板32の上に役物外装材10を載せる。このとき、該役物外装材10の表面側を上にして(凸角部11を上向きにして)、一端部12の表面側の縁部を該支持部材31の鉛直面31cに当接させ、該一端部12の裏面1b側の縁部を水平面31bに当接させる。また、該役物外装材10の他端部13の裏面2b側の縁部を、アルミ板32に当接させる。
【0036】
なお、このように該役物外装材10を支持部材31及びアルミ板32の上に載せた状態において、該役物外装材10のL字コーナー部における内角θの二等分線が鉛直となるように、該役物外装材10の寸法に合わせて該水平面31b及びアルミ板32の上面32aの高さが調製されている。
【0037】
次いで、該凸角部11に上方から鉛直下向きに押圧装置33を用いて荷重を負荷していく。該留め素材3が破断、剥離又は変形したときの荷重を該留め素材3の強度とする。
【0038】
第4図(b)は該留め素材3が破断した状態を示しており、第4図(c)は該留め素材3が剥離した状態を示しており、第4図(d)は該留め素材3が変形した状態を示している。
【0039】
この留め素材3に代えて、第1,2の外装片1,2よりも高強度の接着剤を用いて強度試験を行うと、通常の場合、第1,第2の外装片1,2は800N程度又はそれ以下の荷重で破壊する。従って、留め素材3の強度としては、この強度試験を行ったときに該留め素材3が破断、剥離又は変形する荷重が800N未満、特に1N以上400N以下であることが好ましい。該荷重が1N以上である場合、運搬や施工の際に該役物外装材10に多少の応力が加わったとしても、該外装片1,2同士の結合が解消されることがない。このため、運搬が容易であると共に、施工性が良好なものとなる。
【0040】
なお、強度試験を行った際には破断もしくは剥離する方が好ましい。施工の際は角部のずれが生じないよう外装片1,2同士が固定され、施工後は建築物に追従できるよう外装片1,2それぞれ個々に動くことが可能となるためである。
【0041】
本発明では、壁面21,22などの建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、第1,第2の外装片1,2が破壊するよりも前に、該留め素材3が破断、剥離又は変形する。これにより、第1,第2の外装片1,2がその変形に追従し得るようになり、第1,第2の外装片1,2が破断ないし損傷し難い。
【0042】
第5図は異なる実施の形態に係る役物外装材10Aを裏面側から見た斜視図である。第5図の役物外装材10Aでは、第1,第2の外装片1,2の裏面1b,2bを跨ぐようにして、留め素材3Aが設けられている。この留め素材3Aにより、これら第1,第2の外装片1,2が結合されている。
【0043】
この役物外装材10Aは、傾斜面1a,2a同士が留め素材3Aを介して結合されておらず、これら傾斜面1a,2aは互いに拘束されていない。このため、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、第1,第2の外装片1,2がその変形に十分に追従し、これら外装片1,2は破断ないし損傷し難い。
【0044】
また、これら傾斜面1a,2a同士の間に隙間があいている。このため、これら第1,第2の外装片1,2が建築物の変形に対して、より追従し易い。ただし美感を向上させるため隙間を設けなくてもよい。
【0045】
さらに、該留め素材3Aはこれら第1,第2の外装片1,2の裏面1b,2bのみに設けられているため、該留め素材3Aが役物外装材10Aの表面に露呈することがない。よって、露呈した留め素材3が劣化して美感を損ねることがなく、また有色の留め素材3Aを用いても美観に影響を及ぼすことがない。
【0046】
この留め部材3Aはテープであることが好ましい。この場合、該役物外装材3Aを壁面に出隅部に施工する前に、該留め部材3Aを除去してもよい。この場合、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形したときに、第1,第2の外装片1,2がその変形に十分に追従することができるため、これら外装片1,2は破断ないし損傷し難い。また、施工後に該テープが劣化し、美感を損ねることもない。
【0047】
なお、この留め素材3Aを両面テープにする場合、該役物外装材10Aを壁面21,22よりなる出隅部に仮留めすることができる。
【0048】
第6図はさらに異なる実施の形態に係る役物外装材10Bを裏面側から見た斜視図である。この役物外装材10Bでは、第1,第2の外装片1,2の裏面1b,2bを跨ぐようにして、弾性接着剤よりなる留め部材3Bが設けられている。
【0049】
第7図は別の実施の形態に係る役物外装材10Cの平面図である。
【0050】
この役物外装材10Cでは、第1,第2の外装片1,2の傾斜面1a,2aと前面とが鋭角に交叉する先端部が面取りされて面取り部1c,2cが形成されている。これにより、凸角部11に人体が触れたときに怪我をすることが防止される。また、建築物の下地が経年劣化や地震等によって変形し、該外装片がその変形に追従するし、該役物外装材10CのL字コーナー部における内角θが90°以上となるような場合でも、これら外装片1,2の先端部同士が破断ないし損傷し難いものとなる。
【0051】
第8図はさらに別の実施の形態に係る役物外装材10Dの平面図である。この役物外装材10Dでは、面取り部1d,2dが曲面になっている。
【0052】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態に係る役物外装材は出隅部用であったが、入隅部等の他の箇所に用いてもよい。また、外装材表面は平面状に限られず凹凸形状となっていてもかまわない。
【実施例】
【0053】
実施例1〜2及び4〜7については、第1の外装片として、50mm×72mm×14mmのタイルを用い、第2の外装片として、64mm×72mm×14mmのタイルを用いて、強度試験を行った。
【0054】
実施例3,8については、第1の外装片として、50mm×60mm×22mmのタイルを用い、第2の外装片として、164mm×60mm×22mmのタイルを用いて、強度試験を行った。
【0055】
比較例1〜3については、第1の外装片として、50mm×72mm×14mmのタイルを用い、第2の外装片として、164mm×72mm×14mmのタイルを用いて、強度試験を行った。
【0056】
比較例4〜6については、第1の外装片として、50mm×60mm×22mmのタイルを用い、第2の外装片として、164mm×60mm×22mmのタイルを用いて、強度試験を行った。
【0057】
なお、第1,第2の外装片の傾斜面の角度は共に45°とした。また、これら第1,第2の外装片を結合してなる役物外装材において、これら第1,第2の外装片のなす内角は90°とした。
【0058】
実施例1
第5図の通り、第1,第2の外装片の裏面に留め素材を接着することにより役物外装材を得た。留め素材としては、不織布とブチルテープとの合成素材(株式会社INAX製ジョイントテープ、「FATAPE−100」を用いた。強度試験の結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例2〜8
第1図の通り、第1,第2の外装片の傾斜面に留め素材を接着することにより役物外装材を得た。
【0061】
実施例2では、留め素材として布製両面粘着テープ(寺岡製作所製「布両面テープ(712)」)を用いた。
【0062】
実施例3,4では、留め素材として両面ブチルテープ(日東電工株式会社製「全天テープ両面粘着No690(G0050)」)を用いた。
【0063】
実施例5〜8では、留め素材として弾性接着剤(株式会社INAX製「EG−V1」)を用いた。
【0064】
強度試験の結果を表1に示す。
【0065】
比較例1〜6
第1図の通り、第1,第2の外装片の傾斜面に留め素材を接着することにより役物外装材を得た。
【0066】
但し、留め素材として、一般的なエポキシ樹脂接着剤を用いた。強度試験の結果を表1に示す。
【0067】
表1に示す通り、一般的な剛性接着剤ではタイル部分で破壊したが(比較例1〜6)、実施例1〜8では留め素材の部分で破壊した。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態に係る役物外装材を裏面側から見た斜視図である。
【図2】第2図(a)は第1図の役物外装材を建物躯体の出隅部に施工した状態を示す斜視図、第2図(b)は第2図(a)の拡大斜視図である。
【図3】第1図の役物外装材の強度試験装置及び強度試験方法を説明する正面図である。
【図4】第4図(a)は第1図の役物外装材の凸角部近傍の斜視図、第4図(b)は第4図(a)の留め素材が破断した状態を示す斜視図、第4図(c)は第4図(a)の留め素材が一方の傾斜面から剥離した状態を示す斜視図、第4図(d)は第4図(a)の留め素材が変形した状態を示す斜視図である。
【図5】異なる実施の形態に係る役物外装材10Aを裏面側から見た斜視図である。
【図6】さらに異なる実施の形態に係る役物外装材10Bを裏面側から見た斜視図である。
【図7】別の実施の形態に係る役物外装材10Cの平面図である。
【図8】さらに別の実施の形態に係る役物外装材10Dの平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の外装片
2 第2の外装片
1a,2a 傾斜面
1b,2b 裏面
3,3A,3B 留め素材
10,10A,10B,10C,10D 役物外装材
11 凸角部
12 一端部
13 他端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外装片及び第2の外装片が、各外装片の板面同士が略垂直となるように結合されてなるL字形の役物外装材であって、
該第1,第2の外装片の1つの側面が板面に斜交する傾斜面となっており、該傾斜面同士が対面され、該第1,第2の外装片が留め素材によって結合されてなる役物外装材において、
水平面及び該水平面から起立する鉛直面を有する支持部材と、板面を水平にして該支持部材に隣接配置されたアルミ板と、該支持部材とアルミ板とに跨って配置された役物外装材を上方から押圧する押圧装置とからなる強度試験装置を用い、
該役物外装材をそのL字コーナー部の凸角部が上に凸となる姿勢にして、該役物外装材の一端部を該支持部材の水平面に載置すると共に該鉛直面に接触させ、該役物外装材の他端部を該アルミ板の上面に載置し、かつ該L字コーナー部における内角の二等分線が鉛直となるように該支持部材及びアルミ板の高さを調整した状態において、該役物外装材の該凸角部に徐々に鉛直下向きに荷重を加えたときに、該第1の外装片又は第2外装片が破断又は損傷するよりも前に該留め部材が破断、剥離又は変形することを特徴とする役物外装材。
【請求項2】
請求項1において、前記第1及び第2の外装片の前記傾斜面同士が前記留め素材によって結合されていることを特徴とする役物外装材。
【請求項3】
請求項1において、該第1及び第2の外装片の裏面のみが該留め素材によって結合されていることを特徴とする役物外装材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記留め素材が破断、剥離又は変形するときの荷重が1N以上であることを特徴とする役物外装材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該留め部材がテープであることを特徴とする役物外装材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第1及び第2の外装片は、前記傾斜面と板面とが鋭角に交叉する先端部が面取りされていることを特徴とする役物外装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−2083(P2008−2083A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170293(P2006−170293)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】