復調装置
【課題】簡易な構成で、より確実にHMW復調をする。
【解決手段】再生されたウォブル信号は、予め、中心周波数2fwobに設定されたBPFに通し、二次高調波成分を強調しておく。そして、BPF通過後のウォブル信号に、二次高調波信号を乗算する。続いて、乗算後の信号のピークエンベロープ信号およびボトムエンベロープ信号をとる。続いて、ピークエンベロープ信号を予め設定された第一閾値で閾値弁別する。この弁別結果が、HMW[1]の検出信号となる。同様に、ボトムエンベロープ信号を予め設定された第二閾値で閾値弁別する。この弁別結果は、HMW[0]の検出信号となる。
【解決手段】再生されたウォブル信号は、予め、中心周波数2fwobに設定されたBPFに通し、二次高調波成分を強調しておく。そして、BPF通過後のウォブル信号に、二次高調波信号を乗算する。続いて、乗算後の信号のピークエンベロープ信号およびボトムエンベロープ信号をとる。続いて、ピークエンベロープ信号を予め設定された第一閾値で閾値弁別する。この弁別結果が、HMW[1]の検出信号となる。同様に、ボトムエンベロープ信号を予め設定された第二閾値で閾値弁別する。この弁別結果は、HMW[0]の検出信号となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMW変調またはMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ディスクのアドレス情報等のデジタル情報を光ディスクのウォブル信号に埋め込む方式が採用されている。Blu−rayディスクに代表される一部の光ディスクでは、MSK変調方式とHMW変調方式とを併用して、デジタル情報を埋め込んでいる。ここで、MSK変調方式では、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍周波数として周波数変調する。したがって、基準キャリア信号をcos(ωt)とすると、「0」はcos(ωt)またはその反転信号−cos(ωt)となり、「1」はcos(1.5ωt)またはその反転信号−cos(1.5ωt)となる。MSK変調マークは、cos(1.5ωt)、−cos(ωt)、−cos(1.5ωt)の3キャリア周期区間で構成される。HMW変調方式では、正弦波のキャリア信号に対して偶数次(例えば2次)の高調波信号を、被変調データの符号に応じて、加算または減算することにより変調する。
【0003】
このMSK変調やHMW変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する技術は従来から多数提案されている。例えば、下記特許文献1には、ヘテロダイン方式と呼ばれる復調方式が開示されている。この方式では、HMW変調された信号を復調する場合、再生したウォブル信号に基づいて偶数次の高調波信号およびデータクロックを生成し、再生したウォブル信号に生成した偶数次の高調波信号を乗算し、乗算して得られた信号をデータクロックごとに積算し、データクロックの終了エッジでの積算値に基づいてアドレス情報の符号を判断する。MSK変調された信号を復調する場合は、高調波信号に代えて基準クロック信号をウォブル信号に乗算する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−123249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、復調結果の信頼性が乏しいという問題がある。すなわち、ウォブル信号に含まれる高調波成分は、通常、キャリア信号の−12dB程度であるが、光ディスク製造上のばらつきや隣接トラックからのクロストークの影響により二次高調波成分が不安定となり、このため高調波成分の検波が困難となり、デジタル情報の復調ができないおそれがある。MSK変調についても同様である。また、特許文献1に記載の技術では、復調回路に乗算器や積算器等を設ける必要があり、その構成が複雑、かつ、高価なものになりやすかった。
【0006】
そこで、本発明では、簡易な構成で、HMW変調あるいはMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報をより確実に復調できる復調装置および光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の復調装置は、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、乗算に先立ってウォブル信号に含まれる高調波成分が強調されているため、高調波成分が不安定であっても、確実にHMW復調ができる。また、乗算後に積算等が不要であるため、装置構成を簡易化できる。
【0009】
他の本発明である復調装置は、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号の二値化信号を生成する同期信号生成手段と、強調されたウォブル信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、強調されたウォブル信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、二値化された高調波信号と第一信号、および、二値化された高調波信号と第二信号との論理積を求める手段と、を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、予めウォブル信号に含まれる高調波成分が強調されているため、高調波成分が不安定であっても、確実にHMW復調ができる。また、乗算や積分等をすることなくHMW復調ができるため、装置構成を簡易化できる。
【0011】
上記二つの発明において、強調手段は、キャリア信号の周波数より高調波信号の周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることが望ましい。特に好適な態様では、強調手段は、高調波信号の周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタである。
【0012】
他の本発明である復調装置は、所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、乗算に先立ってウォブル信号に含まれる異なる周波数成分が強調されているため、異なる周波数成分が不安定であっても、確実にMSK復調ができる。また、乗算後に積算等が不要であるため、装置構成を簡易化できる。
【0014】
他の本発明である復調装置は、所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、強調された信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、ピークホールド信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、ボトムホールド信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、第一信号、および、第二信号との論理積を求める手段と、を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、予めウォブル信号に含まれる異なる周波数成分が強調されているため、異なる周波数成分が不安定であっても、確実にMSK復調ができる。また、乗算や積分等をすることなくMSK復調ができるため、装置構成を簡易化できる。
【0016】
この二つの発明において、強調手段は、キャリア信号の周波数より前記異なる周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることが望ましい。特に好適な態様では、強調手段は、前記異なる周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。この光ディスク装置は、HMW変調方式およびMSK変調方式を併用してデジタル情報をウォブル信号に埋め込んだ光ディスク、例えば、Blu−rayディスク等が取り扱い可能となっている。埋め込まれるデジタル情報としては、アドレス情報や、光ディスクの回転制御用パラメータなどがある。
【0018】
HMW変調方式は、正弦波の基準キャリア信号に、偶数次(例えば二次)の高調波信号を加算、または、減算する変調方式である。本実施形態では、二次の高調波信号を加算または減算することで変調された光ディスクを取り扱い対象とする。したがって、キャリア信号をcos(ωt)とした場合、「0」は{cos(ωt)−A・sin(2ωt)}で、「1」は{cos(ωt)+A・sin(2ωt)}で表現される。
【0019】
MSK変調方式は、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍の周波数として周波数変調する。したがって、基準キャリア信号がcos(ωt)とすると、「0」は{cos(ωt)}または{−cos(ωt)}となり、「1」は{cos(1.5ωt)}または{−cos(1.5ωt)}となる。そして、Blu−rayディスク等では、{cos(1.5ωt)}、{−cos(ωt)}、{−cos(1.5ωt)}の3キャリア周期区間で構成されるMSK変調マークの出現位置によって、デジタル情報の値を表している。
【0020】
光ディスク装置のスピンドルモータ12は、光ディスク10が所定の回転数で回転するように光ディスク10を回転駆動する。スピンドルモータ12は、スピンドルサーボ回路26によりサーボ制御される。
【0021】
ピックアップ14は、レーザダイオードやフォトディテクタを有して光ディスク10に対向配置され、光ディスク10に対してレーザ光を照射してデータを記録するとともに、光ディスク10からの反射光を電気信号に変換して再生信号を出力する。ピックアップ14は、スレッドモータ36(送りモータ)、フォーカス/トラッキングサーボ回路22により光ディスク10に照射するレーザ光の位置が制御される。すなわち、スレッドモータ36は、送りサーボ回路の制御によりピックアップ14を構成するキャリッジを光ディスク10の半径方向に駆動する。また、フォーカス/トラッキングサーボ回路22は、ピックアップ14のフォーカス及びトラッキングアクチュエータを駆動してフォーカス/トラッキング制御を行う。ピックアップ14からの再生信号は、ウォブル信号処理部16及びRFアンプ18に供給される。
【0022】
ウォブル信号処理部16は、再生信号からウォブル信号を抽出し、さらに、当該ウォブル信号に埋め込まれたデジタル情報を復調する。復調されたデジタル情報は、CPU32に供給される。このウォブル信号処理部16の具体的な構成については後に詳説する。
【0023】
RFアンプ18は、再生信号を増幅してエンコード/デコード回路20やフォーカス/トラッキングサーボ回路22、送りサーボ回路24、スピンドルサーボ回路26の各種サーボ回路に供給する。
【0024】
エンコード/デコード回路20は、イコライザや基準クロックを生成するPLL回路、二値化器を備え、再生信号をデコードしてインターフェースバッファコントローラ34に供給する。RAM37は、エンコード/デコード回路20の作業用記憶領域として用いられる。なお、データ記録時には、エンコード/デコード回路20は、記録すべきデータをエンコードして記録補償回路30に供給し、記録補償回路30はエンコードデータに基づいて所定の記録ストラテジでレーザドライバ28を駆動する。レーザドライバ28は駆動電流をピックアップ14内のレーザダイオードに供給して記録パワーのレーザ光を射出させる。
【0025】
インターフェースバッファコントローラ34は、ホストコンピュータとのデータの送受やデータバッファの制御を行う。RAM38は、インターフェースバッファコントローラ34の作業用記憶領域として用いられる。
【0026】
CPU32は、ホストコンピュータからのコマンドに基づき装置全体の制御を行う。ウォブル信号処理部16で抽出されデコードされたウォブル信号は上述したようにCPU32に供給される。CPU32は、ウォブル信号に基づいて光ディスク10のサイズや最適記録パワー、最適再生パワー等を設定して各部を制御する。なお、ウォブル信号の基本周波数fwobは既知であるため、これを回転数制御に用いることもできる。すなわち、ウォブル信号処理部16にてウォブル信号の周波数を検出し、この周波数に基づいてスピンドルサーボ回路26がスピンドルモータ12を制御してもよい。
【0027】
図2は、ウォブル信号処理部16の構成を示すブロック図である。本実施形態の光ディスク装置は、HMW変調方式およびMSK変調方式を併用してデジタル情報をウォブル信号に埋め込んだ光ディスクを取り扱い可能としている。したがって、ウォブル信号処理部には、HMW変調信号を復調するHMW復調部40、および、MSK変調信号を復調するMSK復調部42が設けられている。両復調部40,42により復調された二種類の復調信号は、HMWデコーダ46、または、MSKデコーダ48へと供給される。両デコーダ46,48は、供給された復調信号に基づいて、ウォブルに埋め込まれたデジタルデータをデコードする。Sync検出部44は、MSK復調信号またはHMW復調信号からSync信号を検出する。検出されたSync信号は、CPU32およびMSKデコーダ48に供給され、デジタルデータのデコード等に利用される。
【0028】
図3は、HMW復調部40のより詳細な構成を示すブロック図である。本実施形態のHMW復調部40は、従来のHWM復調回路に比して、簡易な構成であり、また、より確実なHMW復調が可能となっている。すなわち、従来のHMW復調回路としては、特許文献1に開示されているヘテロダイン方式などが知られている。このヘテロダイン方式では、ウォブル信号と二次高調波信号とを乗算し、乗算して得られた信号をデータクロックごとに積算し、データクロックの終了エッジでの積算値に基づいてデジタル情報の符号を判断している。ここで、再生されたウォブル信号に含まれる高調波成分は、通常、キャリア信号の−12dB程度であるが、光ディスク製造上のばらつきや隣接トラックからのクロストークの影響により二次高調波成分が不安定となりやすい。その結果、高調波成分の検波が困難となり、ひいては、デジタル信号の復調が困難であった。また、ヘテロダイン方式では、積分器等が不可欠であり、回路全体が複雑であった。
【0029】
本実施形態のHMW復調部40は、かかる問題点を解決するべく構成されている。以下、本実施形態のHMW復調部40について詳説する。再生されたウォブル信号は、二値化器50およびバンドパスフィルタ(以下「BPF」という)56に入力される。二値化器50は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路52へと出力する。PLL回路52は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、タイミングジェネレータ54に供給される。タイミングジェネレータ54では、ウォブルクロックから、入力されたウォブル信号に同期した二次高調波信号{sin(2ωt)}を生成し、乗算器へと供給される。
【0030】
BPF56は、ウォブル信号から二次高調波成分を抽出する抽出手段として機能するもので、ウォブル信号の高調波成分を強調して出力する。図4は、このBPF56の周波数特性の一例を示す図である。図4において、fwobは基本キャリア信号の基準周波数であり、2fwobは基準周波数の二倍、換言すれば、二次高調波成分の周波数である。本実施形態のBPF56は、二次高調波成分の周波数2fwobを中心周波数としており、高調波成分の周波数2fwobと基準周波数fwobとのゲイン差は約24dBとなっている。なお、図4に図示した周波数特性は一例であり、基準周波数fwobに比して、二次高調波成分の周波数2fwobのほうが高ゲインであれば、異なる周波数特性であってもよい。また、基準周波数fwobに比して、二次高調波成分の周波数2fwobのほうが高ゲインで出力されるのであれば、BPF56に代えてイコライザ等の周波数調整装置を用いてもよい。
【0031】
BPF56により二次高調波成分が強調されたウォブル信号は、乗算器58へと出力される。乗算器58では、タイミングジェネレータ54から供給された二次高調波信号{sin(2ωt)}と、BPF通過後のウォブル信号とを乗算する。乗算された信号は、ピークホールド回路60およびボトムホールド回路62に供給され、そのピークエンベロープおよびボトムエンベロープが検出される。得られたピークエンベロープおよびボトムエンベロープは、それぞれ、予め設定された第一閾値および第二閾値とともに、第一比較器68または第二比較器70に入力されて閾値弁別され、HMW[0]およびHMW[1]が検出される。
【0032】
次に、このHMW復調部40による復調の流れを図面を参照しながら説明する。図5は、再生されたウォブル信号およびBPF通過後のウォブル信号の波形を示す図である。図5において、部分A,Bは変調部分を示しており、部分Aは二次高調波を加算したHMW[1]の部分を、部分Bは二次高調波を減算したHMW[0]の部分を示している。
【0033】
図5において、破線は、再生されたウォブル信号である。再生されたウォブル信号は、HMW[0]の場合は{cos(ωt)−1/4sin(2ωt)}、HMW[1]の場合は{cos(ωt)+1/4sin(2ωt)}、モノトーンの場合は基準キャリア信号{cos(ωt)}となる。このウォブル信号を、図4に図示する周波数特性を備えたBPF56に通過させた際の信号波形が、図5の実線で図示されている。BPF通過後のウォブル信号は、高調波成分が強調された波形となることが分かる。
【0034】
続いて、BPF通過後のウォブル信号は、タイミングジェネレータ54で生成された二次高調波信号{sin(2ωt)}と乗算される。図6は、その際得られる波形を図示したもので、実線はBPF通過後のウォブル信号波形を、破線は乗算後の信号波形をそれぞれ示している。ここで、本実施形態では、乗算に先立って、ウォブル信号をBPF56に通し、二次高調波成分を強調している。そのため、二次高調波成分を加算または減算した変調部分A,Bの振幅が、BPF通過をさせない特許文献1に記載の技術に比して高くなっている。換言すれば、変調部分A,Bと、モノトーン部分との振幅差が従来に比して大きくなっている。その結果、光ディスク製造上のばらつきや隣接トラックからのクロストークの影響により二次高調波成分が不安定になったとしても、二次高調波加算または減算した変調部分A,Bを確実に検出することができる。
【0035】
また、本実施形態では、BPF56により二次高調波成分を強調した上で、二次高調波信号を乗算している。そのため、二次高調波を加算(HMW[1])した部分Aの振幅中心はプラス側に、次高調波を減算(HMW[0])した部分Bの振幅中心はマイナス側に移動している。その結果、乗算後の信号のトップピーク値およびボトムピーク値に基づいて、変調部分と、当該変調が示す値を検出することができる。すなわち、ピークホールド回路60およびボトムホールド回路62で乗算後の信号のエンベロープ信号を検出した後、閾値弁別することにより変調部分および当該変調が示す値を検出できる。換言すれば、従来において必須であった積算器等が不要となり、より簡易な構成でHMW復調が可能となる。
【0036】
図7は、ホールド回路60,62および比較器68,70による復調の様子を示す図である。図7の上段には乗算信号およびエンベロープ信号の波形を、中段には第一比較器68からの出力信号を、下段には第二比較器70からの出力信号を、それぞれ図示している。
【0037】
ピークホールド回路60により検出されたピークエンベロープ信号は、予め設定された第一閾値とともに、第一比較器68に入力される。第一比較器68は、ピークエンベロープ値および第一閾値を比較し、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合には「High」を出力し、ピークエンベロープ値が第一閾値未満の場合には「Low」を出力する。この第一比較器68から出力される信号は、HMW[1]の検出信号となる。
【0038】
同様に、第二比較器70には、予め設定された第二閾値と、ボトムエンベロープ信号が入力される。第二比較器70は、ボトムエンベロープ値と第二閾値とを比較し、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合には「High」を出力し、ボトムエンベロープ値が第二閾値以上の場合には「Low」を出力する。この第二比較器70から出力される信号は、HMW[0]の検出信号となる。
【0039】
なお、第一閾値は乗算後のモノトーン部分のトップピーク値より大きい値が、第二閾値は乗算後のモノトーン部分のボトムピーク値より小さい値がそれぞれ設定されるのであれば固定値でも、可変値でもよい。したがって、例えば、乗算後信号の最大値または最小値のX%を第一閾値または第二閾値として設定してもよい。あるいは、エラーレイトに応じて、第一閾値および第二閾値の値を変動させてもよい。
【0040】
つまり、本実施形態では、乗算後の信号の振幅中心が、HMW[1]部分はプラス側に、HMW[0]部分はマイナス側にシフトしている。そのため、乗算後は、そのエンベロープ信号を閾値弁別するだけで、変調部分および当該変調部分の値を識別できる。その結果、積算器等を必要としていた従来の復調回路に比べて、より簡易な構成で、HMW信号の復調が可能となる。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態のHMW復調部によれば、より簡易に、かつ、より確実にHWM復調が可能となる。
【0042】
次に、本実施形態のMSK復調部42について説明する。ただし、このMSK復調部42の基本的構成は、既述のHWM復調部40と類似しているため、HMW復調部40との相違点のみ重点的に説明する。
【0043】
図8は、MSK復調部42の詳細な構成を示すブロック図である。MSK復調部42にもBPF78が設けられている。ただし、このBPF78の中心周波数は基準周波数fwobの1.5倍である1.5fwobに設定されている。これは、ウォブル信号に含まれるMSK変調成分{cos(1.5ωt)}または{−cos(1.5ωt)}を強調出力するためである。また、タイミングジェネレータ76は、二次高調波信号{sin(2ωt)}ではなく、基準キャリア信号{cos(ωt)}を生成し、乗算器80に供給する。つまり、MSK復調部42では、BPF通過後のウォブル信号と、基準キャリア信号{cos(ωt)}と、が乗算される。また、乗算後は、乗算後信号のピークホールド回路82およびボトムホールド回路83に入力され、そのエンベロープ信号が算出される。算出されたピークエンベロープ信号は、予め設定された第一閾値とともに第一比較器82に供給される。第一比較器82は、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合に「High」を、ピークエンベロープ値が第一閾値未満の場合には「Low」を出力する。同様に、ボトムエンベロープ信号は、予め設定された第二閾値とともに第二比較器87に供給される。第二比較器87は、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合に「High」を、ボトムエンベロープ値が第二閾値以上の場合には「Low」を出力する。第一比較器86および第二比較器87からの出力信号は、OR回路85に入力される。OR回路85は二つの比較器86,87からの出力信号の論理和を算出する。このOR回路85からの出力信号が、MSK変調マークの検出信号となる。なお、1.5fwob周波数成分を基準周波数成分に比して強調出力できるのであれば、BPFに代えてイコライザ等を用いてもよい。
【0044】
図9は、BPF通過後のウォブル信号波形と、乗算後の信号波形と、を示す図である。図9において、実線がBPF通過後のウォブル信号波形を、破線が乗算後の信号波形を示している。図9から明らかなように、乗算後信号のうち、MSK変調部分は、振幅が高くなっており、強調されていることが分かる。
【0045】
乗算後の信号は、ピークホールド回路82およびボトムホールド回路83に入力され、図10に図示するようなピークエンベロープ信号およびボトムホールド信号が算出される。第一比較器86は、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合にのみ「High」を出力し、第一閾値未満の場合には「Low」を出力する。第二比較器87は、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合にのみ「High」を出力する。この比較器86,87の出力信号は、OR回路85に入力される。OR回路85で生成される両信号の論理和信号がMSK変調マークの検出信号となる。
【0046】
ここで、MSK変調マークとは、MSK[0]{cos(1.5ωt)}、モノトーン{cos(ωt)}、MSK[1]{−cos(1.5ωt)}を連続させた部分を指す。MSK変調方式では、このMSK変調マークの出現位置によって、デジタル信号の値を示している。換言すれば、MSK変調においては、このMSKマークの出現位置を特定できれば、変調信号を復調できると言える。本実施形態では、比較器86からの出力信号が、このMSK変調マークの検出信号となる。
【0047】
以上の説明から明らかなように、MSK変調においても、ウォブル信号を、予めBPFに通過させることで、より確実な復調が可能となる。また、BPFにより変調成分を強調しておくことで、乗算後に積分器等を設ける必要がなく、より簡易な構成でMSK変調データの復調が可能となる。
【0048】
HMW復調およびMSK復調された信号は、それぞれ、HWMデコーダ46およびMSKデコーダ48に供給され、デジタルデータのデコードがなされる。また、両復調信号は、Sync検出部44にも供給され、Sync信号検出に利用される。このデコーダ46,48およびSync検出部44の構成は、従来の周知技術を利用することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、BPFにより変調成分を強調しているため、クロストークや、光ディスクの製造上のバラつきの影響を受けにくく、より確実に変調信号の復調ができる。また、復調部全体の構成を簡易化できる。
【0050】
次に、他の実施形態について、図11を用いて説明する。図11は、他の実施形態におけるHMW復調部40の構成を示すブロック図である。このHMW復調部40では、乗算器を設けることなく、確実なHMW復調を可能としている。従来のHMW復調回路では、ウォブル信号と、二次高調波信号と、を乗算するための乗算器が必須であった。しかし、乗算器は、大型かつ高価であるため、復調回路全体としての大型化、コストアップが避けられなかった。本実施形態は、かかる問題を解決するべく、乗算器を利用することなくHMW復調が可能な構成としている。以下、このHMW復調部40について詳説する。
【0051】
このHMW復調部40は、既述のHMW復調部と同様に、再生されたウォブル信号は、二値化器50およびBPF56に入力される。二値化器50は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路52へと出力する。PLL回路52は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、タイミングジェネレータ54に供給される。タイミングジェネレータ54では、ウォブルクロックから、入力されたウォブル信号に同期した二次高調波信号{sin(2ωt)}および四次高調波信号{sin(4ωt)}を生成する。二次高調波信号は、後述するAND回路88,90に、四次高調波信号はフリップフロップ回路(以下「FF回路」という)92,94にそれぞれ供給される。
【0052】
BPF56は、上述の実施形態と同様に、ウォブル信号から二次高調波信号を抽出する抽出手段として機能するもので、その周波数特性は図4に図示する通りである。このBPF56を通過することにより、ウォブル信号は、二次高調波成分が強調された信号となる。BPF通過後の信号は、予め設定された第一閾値および第二閾値とともに、第一比較器68および第二比較器70に供給され、閾値弁別される。閾値弁別された二つの信号は、それぞれ、第一AND回路88および第二AND回路90へと供給され、二次高調波信号との論理積が取られる。AND回路88,90からの出力信号は、タイミングジェネレータからの四次高調波信号ととともに、FF回路92,94に供給される。そして、第一AND回路88および四次高調波信号が入力される第一FF回路92の出力信号が、HMW[1]の検出信号となる。また、第二AND回路90および四次高調波信号が入力される第二FF回路94の出力信号が、HMW[0]の検出信号となる。
【0053】
次に、このHMW復調部40によるHMW復調の流れを図面を参照して説明する。図12は、HMW復調の過程で得られる信号波形を示す図である。破線で図示されたウォブル信号は、BPF通過により、二次高調波成分が強調された波形となる。このBPF通過後の信号を、予め設定された第一閾値および第二閾値で閾値弁別する。すなわち、第一比較器68は、第一閾値以上の部分を「Low」、第一閾値未満の部分を「High」とする出力CMP1を出力する。第二比較器は、第二閾値未満の部分を「High」、第二閾値以上の部分を「Low」とする出力CMP2を出力する。
【0054】
閾値弁別により得られた二種類の信号CMP1,CMP2は、それぞれ、第一AND回路88および第二AND回路90に供給される。第一AND回路88は、第一比較器68からの出力信号CMP1と、二次高調波信号との論理積AND1を算出する。第二AND回路90は、第二比較器70からの出力信号CMP2と、二次高調波信号との論理積AND2を算出する。第一FF回路92には、第一AND回路88の出力信号AND1と、四次高調波信号が入力され、その値の組み合わせに応じた信号を出力する。この第一FF回路92からの出力信号がHMW[1]検出信号なる。第二FF回路94には、第二AND回路90の出力信号AND2と、四次高調波信号が入力され、その値の組み合わせに応じた信号が出力される。この第二FF回路94からの出力信号がHMW[0]検出信号となる。ここで、第一FF回路92は、基準キャリア周期(ウォブル一波)で、図12における「TX」部の判定と、「TY」部の判定の二回の判定を行うことになる。各判定時において、第一FF回路92に入力される信号の組み合わせとしては、四種類が考えられる。すなわち、CMP1信号および四次高調波信号が、LowとLow、LowとHigh、HighとLow、HighとHighとなる四種類の組み合わせが考えられる。この四種類の組み合わせのうち、いずれをHMW[1]と判定するかは適宜、変更してもよい。例えば、HighとHighのときはもちろん、LowとHigh、および、HighとLowの場合にも、HMW[1]と見なしてもよい。また、通常時とエラーリトライ時とで判定基準を変えてもよい。例えば、通常は、HighとHighの場合にのみHMW[1]とし、エラーリトライ時にはLowとHigh、および、HighとLowの場合もHMW[1]と判定するようにしてもよい。
【0055】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、BPF56で二次高調波成分を強調している。そのため、BPF通過後のウォブル信号を直接、閾値弁別すれば、高調波成分部分を選別できる。換言すれば、乗算することなく、高調波成分部分を選別できる。また、その後、閾値弁別された信号と、二次高調波信号と、の論理積をとることで、選別された高調波成分の値を判定することができる。そして、最終的に、四次高調波信号と、論理和信号とをFF回路92,94に入力することで、HMW[1]部分およびHMW[0]を検出できる。つまり、本実施形態によれば、乗算器を用いることなく、確実に、HMW復調ができる。
【0056】
次に、他の実施形態におけるMSK復調部42について図面を参照して説明する。図13は、他の実施形態におけるMSK復調部42の詳細な構成を示す図である。このMSK復調部42も、乗算器は用いることなく構成されている。
【0057】
このMSK復調部42において、再生されたウォブル信号は、既述のMSK復調部と同様に、二値化器72およびBPF78に入力される。二値化器72は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路74へと出力する。PLL回路74は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、デコード部に出力され、デジタルデータのデコードに利用される。
【0058】
BPF78は、既述のMSK復調部と同様に、ウォブル信号から基準周波数fwobの1.5倍周波数成分を抽出する抽出手段として機能するもので、その中心周波数として1.5fwobが設定されている。このBPF78を通過することにより、ウォブル信号は、1.5fwobの周波数成分が強調された信号となる。BPF通過後の信号は、乗算されること無く、直接、ピークホールド回路82およびボトムホールド回路84に入力され、そのエンベロープ信号が検出される。検出されたピークエンベロープ信号は、予め設定された第一閾値とともに第一比較器86に入力され、閾値弁別される。また、ボトムエンベロープ信号も、あらかじめ設定された第二閾値とともに第二比較器96に入力され、閾値弁別される。閾値弁別された二つの信号は、AND回路98に供給され、その論理積が取られる。このAND回路98からの出力信号が、MSK変調マークの検出信号となる。
【0059】
次に、このMSK復調部42によるMSK復調の流れを図面を参照して説明する。図14は、MSK復調の過程で得られる信号波形を示す図である。図14において、破線は、BPF通過後のウォブル信号を示しており、実線は、このウォブル信号のエンベロープ信号を示している。第一比較器86は、ピークエンベロープと第一閾値とを比較し、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合には「High」、ピークエンベロープ値が第一閾値未満の場合には「Low」とする信号CMP1を出力する。第二比較器96は、ボトムエンベロープと第二閾値とを比較し、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合には「High」、ボトムエンベロープ値が第二閾値以上の場合には「Low」とする信号CMP2を出力する。そして、閾値弁別された二種類の信号CMP1,CMP2の論理積をAND回路98で算出することにより、MSK変調マークを示す信号が得られる。
【0060】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、BPF78でMSK変調成分を強調している。そのため、BPF通過後のウォブル信号を直接、エンベロープ検出、閾値弁別すれば、MSK変調マークの開始位置および終了位置を検出できる。そして、閾値弁別された二つの信号の論理積をとることでMSK変調マークを検出できる。つまり、本実施形態によれば、乗算器を用いることなく、簡易な構成で、確実に、MSK復調ができる。
【0061】
なお、本実施形態においても、二次高調波成分、または、1.5fwob周波数成分を、基準周波数成分に比して強調して出力できるのであれば、BPFに代えてイコライザ等を用いてもよい。また、第一閾値、第二閾値の値は、BPF通過後のウォブル信号に応じて設定してもよいし、エラーレイトに応じて設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ウォブル信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】HMW復調部の構成を示すブロック図である。
【図4】BPFの周波数特性を示す図である。
【図5】ウォブル信号波形とBPF通過後の信号波形を示す図である。
【図6】BPF通過後の信号波形と乗算後信号波形を示す図である。
【図7】HMW信号の検出の様子を示す図である。
【図8】MSK復調部の構成を示すブロック図である。
【図9】BPF通過後の信号波形と乗算後信号波形を示す図である。
【図10】MSK変調マークの検出の様子を示す図である。
【図11】他の実施形態におけるHMW復調部の構成を示すブロック図である。
【図12】HMW信号の検出の様子を示す図である。
【図13】他の実施形態におけるMSK復調部の構成を示すブロック図である。
【図14】MSK変調マークの検出の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 光ディスク、14 ピックアップ、16 ウォブル信号処理部、40 HMW復調部、42 MSK復調部、50,72 二値化器、52,74 PPL回路、54,76 タイミングジェネレータ、56,78 BPF、58,80 乗算器、60,82 ピークホールド回路、62,83,84 ボトムホールド回路、68,70,86,96 比較器、88,90,98 AND回路、92,94 FF回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMW変調またはMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ディスクのアドレス情報等のデジタル情報を光ディスクのウォブル信号に埋め込む方式が採用されている。Blu−rayディスクに代表される一部の光ディスクでは、MSK変調方式とHMW変調方式とを併用して、デジタル情報を埋め込んでいる。ここで、MSK変調方式では、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍周波数として周波数変調する。したがって、基準キャリア信号をcos(ωt)とすると、「0」はcos(ωt)またはその反転信号−cos(ωt)となり、「1」はcos(1.5ωt)またはその反転信号−cos(1.5ωt)となる。MSK変調マークは、cos(1.5ωt)、−cos(ωt)、−cos(1.5ωt)の3キャリア周期区間で構成される。HMW変調方式では、正弦波のキャリア信号に対して偶数次(例えば2次)の高調波信号を、被変調データの符号に応じて、加算または減算することにより変調する。
【0003】
このMSK変調やHMW変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する技術は従来から多数提案されている。例えば、下記特許文献1には、ヘテロダイン方式と呼ばれる復調方式が開示されている。この方式では、HMW変調された信号を復調する場合、再生したウォブル信号に基づいて偶数次の高調波信号およびデータクロックを生成し、再生したウォブル信号に生成した偶数次の高調波信号を乗算し、乗算して得られた信号をデータクロックごとに積算し、データクロックの終了エッジでの積算値に基づいてアドレス情報の符号を判断する。MSK変調された信号を復調する場合は、高調波信号に代えて基準クロック信号をウォブル信号に乗算する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−123249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、復調結果の信頼性が乏しいという問題がある。すなわち、ウォブル信号に含まれる高調波成分は、通常、キャリア信号の−12dB程度であるが、光ディスク製造上のばらつきや隣接トラックからのクロストークの影響により二次高調波成分が不安定となり、このため高調波成分の検波が困難となり、デジタル情報の復調ができないおそれがある。MSK変調についても同様である。また、特許文献1に記載の技術では、復調回路に乗算器や積算器等を設ける必要があり、その構成が複雑、かつ、高価なものになりやすかった。
【0006】
そこで、本発明では、簡易な構成で、HMW変調あるいはMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報をより確実に復調できる復調装置および光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の復調装置は、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、乗算に先立ってウォブル信号に含まれる高調波成分が強調されているため、高調波成分が不安定であっても、確実にHMW復調ができる。また、乗算後に積算等が不要であるため、装置構成を簡易化できる。
【0009】
他の本発明である復調装置は、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号の二値化信号を生成する同期信号生成手段と、強調されたウォブル信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、強調されたウォブル信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、二値化された高調波信号と第一信号、および、二値化された高調波信号と第二信号との論理積を求める手段と、を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、予めウォブル信号に含まれる高調波成分が強調されているため、高調波成分が不安定であっても、確実にHMW復調ができる。また、乗算や積分等をすることなくHMW復調ができるため、装置構成を簡易化できる。
【0011】
上記二つの発明において、強調手段は、キャリア信号の周波数より高調波信号の周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることが望ましい。特に好適な態様では、強調手段は、高調波信号の周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタである。
【0012】
他の本発明である復調装置は、所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、乗算に先立ってウォブル信号に含まれる異なる周波数成分が強調されているため、異なる周波数成分が不安定であっても、確実にMSK復調ができる。また、乗算後に積算等が不要であるため、装置構成を簡易化できる。
【0014】
他の本発明である復調装置は、所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、強調された信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、ピークホールド信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、ボトムホールド信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、第一信号、および、第二信号との論理積を求める手段と、を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、予めウォブル信号に含まれる異なる周波数成分が強調されているため、異なる周波数成分が不安定であっても、確実にMSK復調ができる。また、乗算や積分等をすることなくMSK復調ができるため、装置構成を簡易化できる。
【0016】
この二つの発明において、強調手段は、キャリア信号の周波数より前記異なる周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることが望ましい。特に好適な態様では、強調手段は、前記異なる周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。この光ディスク装置は、HMW変調方式およびMSK変調方式を併用してデジタル情報をウォブル信号に埋め込んだ光ディスク、例えば、Blu−rayディスク等が取り扱い可能となっている。埋め込まれるデジタル情報としては、アドレス情報や、光ディスクの回転制御用パラメータなどがある。
【0018】
HMW変調方式は、正弦波の基準キャリア信号に、偶数次(例えば二次)の高調波信号を加算、または、減算する変調方式である。本実施形態では、二次の高調波信号を加算または減算することで変調された光ディスクを取り扱い対象とする。したがって、キャリア信号をcos(ωt)とした場合、「0」は{cos(ωt)−A・sin(2ωt)}で、「1」は{cos(ωt)+A・sin(2ωt)}で表現される。
【0019】
MSK変調方式は、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍の周波数として周波数変調する。したがって、基準キャリア信号がcos(ωt)とすると、「0」は{cos(ωt)}または{−cos(ωt)}となり、「1」は{cos(1.5ωt)}または{−cos(1.5ωt)}となる。そして、Blu−rayディスク等では、{cos(1.5ωt)}、{−cos(ωt)}、{−cos(1.5ωt)}の3キャリア周期区間で構成されるMSK変調マークの出現位置によって、デジタル情報の値を表している。
【0020】
光ディスク装置のスピンドルモータ12は、光ディスク10が所定の回転数で回転するように光ディスク10を回転駆動する。スピンドルモータ12は、スピンドルサーボ回路26によりサーボ制御される。
【0021】
ピックアップ14は、レーザダイオードやフォトディテクタを有して光ディスク10に対向配置され、光ディスク10に対してレーザ光を照射してデータを記録するとともに、光ディスク10からの反射光を電気信号に変換して再生信号を出力する。ピックアップ14は、スレッドモータ36(送りモータ)、フォーカス/トラッキングサーボ回路22により光ディスク10に照射するレーザ光の位置が制御される。すなわち、スレッドモータ36は、送りサーボ回路の制御によりピックアップ14を構成するキャリッジを光ディスク10の半径方向に駆動する。また、フォーカス/トラッキングサーボ回路22は、ピックアップ14のフォーカス及びトラッキングアクチュエータを駆動してフォーカス/トラッキング制御を行う。ピックアップ14からの再生信号は、ウォブル信号処理部16及びRFアンプ18に供給される。
【0022】
ウォブル信号処理部16は、再生信号からウォブル信号を抽出し、さらに、当該ウォブル信号に埋め込まれたデジタル情報を復調する。復調されたデジタル情報は、CPU32に供給される。このウォブル信号処理部16の具体的な構成については後に詳説する。
【0023】
RFアンプ18は、再生信号を増幅してエンコード/デコード回路20やフォーカス/トラッキングサーボ回路22、送りサーボ回路24、スピンドルサーボ回路26の各種サーボ回路に供給する。
【0024】
エンコード/デコード回路20は、イコライザや基準クロックを生成するPLL回路、二値化器を備え、再生信号をデコードしてインターフェースバッファコントローラ34に供給する。RAM37は、エンコード/デコード回路20の作業用記憶領域として用いられる。なお、データ記録時には、エンコード/デコード回路20は、記録すべきデータをエンコードして記録補償回路30に供給し、記録補償回路30はエンコードデータに基づいて所定の記録ストラテジでレーザドライバ28を駆動する。レーザドライバ28は駆動電流をピックアップ14内のレーザダイオードに供給して記録パワーのレーザ光を射出させる。
【0025】
インターフェースバッファコントローラ34は、ホストコンピュータとのデータの送受やデータバッファの制御を行う。RAM38は、インターフェースバッファコントローラ34の作業用記憶領域として用いられる。
【0026】
CPU32は、ホストコンピュータからのコマンドに基づき装置全体の制御を行う。ウォブル信号処理部16で抽出されデコードされたウォブル信号は上述したようにCPU32に供給される。CPU32は、ウォブル信号に基づいて光ディスク10のサイズや最適記録パワー、最適再生パワー等を設定して各部を制御する。なお、ウォブル信号の基本周波数fwobは既知であるため、これを回転数制御に用いることもできる。すなわち、ウォブル信号処理部16にてウォブル信号の周波数を検出し、この周波数に基づいてスピンドルサーボ回路26がスピンドルモータ12を制御してもよい。
【0027】
図2は、ウォブル信号処理部16の構成を示すブロック図である。本実施形態の光ディスク装置は、HMW変調方式およびMSK変調方式を併用してデジタル情報をウォブル信号に埋め込んだ光ディスクを取り扱い可能としている。したがって、ウォブル信号処理部には、HMW変調信号を復調するHMW復調部40、および、MSK変調信号を復調するMSK復調部42が設けられている。両復調部40,42により復調された二種類の復調信号は、HMWデコーダ46、または、MSKデコーダ48へと供給される。両デコーダ46,48は、供給された復調信号に基づいて、ウォブルに埋め込まれたデジタルデータをデコードする。Sync検出部44は、MSK復調信号またはHMW復調信号からSync信号を検出する。検出されたSync信号は、CPU32およびMSKデコーダ48に供給され、デジタルデータのデコード等に利用される。
【0028】
図3は、HMW復調部40のより詳細な構成を示すブロック図である。本実施形態のHMW復調部40は、従来のHWM復調回路に比して、簡易な構成であり、また、より確実なHMW復調が可能となっている。すなわち、従来のHMW復調回路としては、特許文献1に開示されているヘテロダイン方式などが知られている。このヘテロダイン方式では、ウォブル信号と二次高調波信号とを乗算し、乗算して得られた信号をデータクロックごとに積算し、データクロックの終了エッジでの積算値に基づいてデジタル情報の符号を判断している。ここで、再生されたウォブル信号に含まれる高調波成分は、通常、キャリア信号の−12dB程度であるが、光ディスク製造上のばらつきや隣接トラックからのクロストークの影響により二次高調波成分が不安定となりやすい。その結果、高調波成分の検波が困難となり、ひいては、デジタル信号の復調が困難であった。また、ヘテロダイン方式では、積分器等が不可欠であり、回路全体が複雑であった。
【0029】
本実施形態のHMW復調部40は、かかる問題点を解決するべく構成されている。以下、本実施形態のHMW復調部40について詳説する。再生されたウォブル信号は、二値化器50およびバンドパスフィルタ(以下「BPF」という)56に入力される。二値化器50は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路52へと出力する。PLL回路52は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、タイミングジェネレータ54に供給される。タイミングジェネレータ54では、ウォブルクロックから、入力されたウォブル信号に同期した二次高調波信号{sin(2ωt)}を生成し、乗算器へと供給される。
【0030】
BPF56は、ウォブル信号から二次高調波成分を抽出する抽出手段として機能するもので、ウォブル信号の高調波成分を強調して出力する。図4は、このBPF56の周波数特性の一例を示す図である。図4において、fwobは基本キャリア信号の基準周波数であり、2fwobは基準周波数の二倍、換言すれば、二次高調波成分の周波数である。本実施形態のBPF56は、二次高調波成分の周波数2fwobを中心周波数としており、高調波成分の周波数2fwobと基準周波数fwobとのゲイン差は約24dBとなっている。なお、図4に図示した周波数特性は一例であり、基準周波数fwobに比して、二次高調波成分の周波数2fwobのほうが高ゲインであれば、異なる周波数特性であってもよい。また、基準周波数fwobに比して、二次高調波成分の周波数2fwobのほうが高ゲインで出力されるのであれば、BPF56に代えてイコライザ等の周波数調整装置を用いてもよい。
【0031】
BPF56により二次高調波成分が強調されたウォブル信号は、乗算器58へと出力される。乗算器58では、タイミングジェネレータ54から供給された二次高調波信号{sin(2ωt)}と、BPF通過後のウォブル信号とを乗算する。乗算された信号は、ピークホールド回路60およびボトムホールド回路62に供給され、そのピークエンベロープおよびボトムエンベロープが検出される。得られたピークエンベロープおよびボトムエンベロープは、それぞれ、予め設定された第一閾値および第二閾値とともに、第一比較器68または第二比較器70に入力されて閾値弁別され、HMW[0]およびHMW[1]が検出される。
【0032】
次に、このHMW復調部40による復調の流れを図面を参照しながら説明する。図5は、再生されたウォブル信号およびBPF通過後のウォブル信号の波形を示す図である。図5において、部分A,Bは変調部分を示しており、部分Aは二次高調波を加算したHMW[1]の部分を、部分Bは二次高調波を減算したHMW[0]の部分を示している。
【0033】
図5において、破線は、再生されたウォブル信号である。再生されたウォブル信号は、HMW[0]の場合は{cos(ωt)−1/4sin(2ωt)}、HMW[1]の場合は{cos(ωt)+1/4sin(2ωt)}、モノトーンの場合は基準キャリア信号{cos(ωt)}となる。このウォブル信号を、図4に図示する周波数特性を備えたBPF56に通過させた際の信号波形が、図5の実線で図示されている。BPF通過後のウォブル信号は、高調波成分が強調された波形となることが分かる。
【0034】
続いて、BPF通過後のウォブル信号は、タイミングジェネレータ54で生成された二次高調波信号{sin(2ωt)}と乗算される。図6は、その際得られる波形を図示したもので、実線はBPF通過後のウォブル信号波形を、破線は乗算後の信号波形をそれぞれ示している。ここで、本実施形態では、乗算に先立って、ウォブル信号をBPF56に通し、二次高調波成分を強調している。そのため、二次高調波成分を加算または減算した変調部分A,Bの振幅が、BPF通過をさせない特許文献1に記載の技術に比して高くなっている。換言すれば、変調部分A,Bと、モノトーン部分との振幅差が従来に比して大きくなっている。その結果、光ディスク製造上のばらつきや隣接トラックからのクロストークの影響により二次高調波成分が不安定になったとしても、二次高調波加算または減算した変調部分A,Bを確実に検出することができる。
【0035】
また、本実施形態では、BPF56により二次高調波成分を強調した上で、二次高調波信号を乗算している。そのため、二次高調波を加算(HMW[1])した部分Aの振幅中心はプラス側に、次高調波を減算(HMW[0])した部分Bの振幅中心はマイナス側に移動している。その結果、乗算後の信号のトップピーク値およびボトムピーク値に基づいて、変調部分と、当該変調が示す値を検出することができる。すなわち、ピークホールド回路60およびボトムホールド回路62で乗算後の信号のエンベロープ信号を検出した後、閾値弁別することにより変調部分および当該変調が示す値を検出できる。換言すれば、従来において必須であった積算器等が不要となり、より簡易な構成でHMW復調が可能となる。
【0036】
図7は、ホールド回路60,62および比較器68,70による復調の様子を示す図である。図7の上段には乗算信号およびエンベロープ信号の波形を、中段には第一比較器68からの出力信号を、下段には第二比較器70からの出力信号を、それぞれ図示している。
【0037】
ピークホールド回路60により検出されたピークエンベロープ信号は、予め設定された第一閾値とともに、第一比較器68に入力される。第一比較器68は、ピークエンベロープ値および第一閾値を比較し、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合には「High」を出力し、ピークエンベロープ値が第一閾値未満の場合には「Low」を出力する。この第一比較器68から出力される信号は、HMW[1]の検出信号となる。
【0038】
同様に、第二比較器70には、予め設定された第二閾値と、ボトムエンベロープ信号が入力される。第二比較器70は、ボトムエンベロープ値と第二閾値とを比較し、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合には「High」を出力し、ボトムエンベロープ値が第二閾値以上の場合には「Low」を出力する。この第二比較器70から出力される信号は、HMW[0]の検出信号となる。
【0039】
なお、第一閾値は乗算後のモノトーン部分のトップピーク値より大きい値が、第二閾値は乗算後のモノトーン部分のボトムピーク値より小さい値がそれぞれ設定されるのであれば固定値でも、可変値でもよい。したがって、例えば、乗算後信号の最大値または最小値のX%を第一閾値または第二閾値として設定してもよい。あるいは、エラーレイトに応じて、第一閾値および第二閾値の値を変動させてもよい。
【0040】
つまり、本実施形態では、乗算後の信号の振幅中心が、HMW[1]部分はプラス側に、HMW[0]部分はマイナス側にシフトしている。そのため、乗算後は、そのエンベロープ信号を閾値弁別するだけで、変調部分および当該変調部分の値を識別できる。その結果、積算器等を必要としていた従来の復調回路に比べて、より簡易な構成で、HMW信号の復調が可能となる。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態のHMW復調部によれば、より簡易に、かつ、より確実にHWM復調が可能となる。
【0042】
次に、本実施形態のMSK復調部42について説明する。ただし、このMSK復調部42の基本的構成は、既述のHWM復調部40と類似しているため、HMW復調部40との相違点のみ重点的に説明する。
【0043】
図8は、MSK復調部42の詳細な構成を示すブロック図である。MSK復調部42にもBPF78が設けられている。ただし、このBPF78の中心周波数は基準周波数fwobの1.5倍である1.5fwobに設定されている。これは、ウォブル信号に含まれるMSK変調成分{cos(1.5ωt)}または{−cos(1.5ωt)}を強調出力するためである。また、タイミングジェネレータ76は、二次高調波信号{sin(2ωt)}ではなく、基準キャリア信号{cos(ωt)}を生成し、乗算器80に供給する。つまり、MSK復調部42では、BPF通過後のウォブル信号と、基準キャリア信号{cos(ωt)}と、が乗算される。また、乗算後は、乗算後信号のピークホールド回路82およびボトムホールド回路83に入力され、そのエンベロープ信号が算出される。算出されたピークエンベロープ信号は、予め設定された第一閾値とともに第一比較器82に供給される。第一比較器82は、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合に「High」を、ピークエンベロープ値が第一閾値未満の場合には「Low」を出力する。同様に、ボトムエンベロープ信号は、予め設定された第二閾値とともに第二比較器87に供給される。第二比較器87は、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合に「High」を、ボトムエンベロープ値が第二閾値以上の場合には「Low」を出力する。第一比較器86および第二比較器87からの出力信号は、OR回路85に入力される。OR回路85は二つの比較器86,87からの出力信号の論理和を算出する。このOR回路85からの出力信号が、MSK変調マークの検出信号となる。なお、1.5fwob周波数成分を基準周波数成分に比して強調出力できるのであれば、BPFに代えてイコライザ等を用いてもよい。
【0044】
図9は、BPF通過後のウォブル信号波形と、乗算後の信号波形と、を示す図である。図9において、実線がBPF通過後のウォブル信号波形を、破線が乗算後の信号波形を示している。図9から明らかなように、乗算後信号のうち、MSK変調部分は、振幅が高くなっており、強調されていることが分かる。
【0045】
乗算後の信号は、ピークホールド回路82およびボトムホールド回路83に入力され、図10に図示するようなピークエンベロープ信号およびボトムホールド信号が算出される。第一比較器86は、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合にのみ「High」を出力し、第一閾値未満の場合には「Low」を出力する。第二比較器87は、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合にのみ「High」を出力する。この比較器86,87の出力信号は、OR回路85に入力される。OR回路85で生成される両信号の論理和信号がMSK変調マークの検出信号となる。
【0046】
ここで、MSK変調マークとは、MSK[0]{cos(1.5ωt)}、モノトーン{cos(ωt)}、MSK[1]{−cos(1.5ωt)}を連続させた部分を指す。MSK変調方式では、このMSK変調マークの出現位置によって、デジタル信号の値を示している。換言すれば、MSK変調においては、このMSKマークの出現位置を特定できれば、変調信号を復調できると言える。本実施形態では、比較器86からの出力信号が、このMSK変調マークの検出信号となる。
【0047】
以上の説明から明らかなように、MSK変調においても、ウォブル信号を、予めBPFに通過させることで、より確実な復調が可能となる。また、BPFにより変調成分を強調しておくことで、乗算後に積分器等を設ける必要がなく、より簡易な構成でMSK変調データの復調が可能となる。
【0048】
HMW復調およびMSK復調された信号は、それぞれ、HWMデコーダ46およびMSKデコーダ48に供給され、デジタルデータのデコードがなされる。また、両復調信号は、Sync検出部44にも供給され、Sync信号検出に利用される。このデコーダ46,48およびSync検出部44の構成は、従来の周知技術を利用することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、BPFにより変調成分を強調しているため、クロストークや、光ディスクの製造上のバラつきの影響を受けにくく、より確実に変調信号の復調ができる。また、復調部全体の構成を簡易化できる。
【0050】
次に、他の実施形態について、図11を用いて説明する。図11は、他の実施形態におけるHMW復調部40の構成を示すブロック図である。このHMW復調部40では、乗算器を設けることなく、確実なHMW復調を可能としている。従来のHMW復調回路では、ウォブル信号と、二次高調波信号と、を乗算するための乗算器が必須であった。しかし、乗算器は、大型かつ高価であるため、復調回路全体としての大型化、コストアップが避けられなかった。本実施形態は、かかる問題を解決するべく、乗算器を利用することなくHMW復調が可能な構成としている。以下、このHMW復調部40について詳説する。
【0051】
このHMW復調部40は、既述のHMW復調部と同様に、再生されたウォブル信号は、二値化器50およびBPF56に入力される。二値化器50は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路52へと出力する。PLL回路52は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、タイミングジェネレータ54に供給される。タイミングジェネレータ54では、ウォブルクロックから、入力されたウォブル信号に同期した二次高調波信号{sin(2ωt)}および四次高調波信号{sin(4ωt)}を生成する。二次高調波信号は、後述するAND回路88,90に、四次高調波信号はフリップフロップ回路(以下「FF回路」という)92,94にそれぞれ供給される。
【0052】
BPF56は、上述の実施形態と同様に、ウォブル信号から二次高調波信号を抽出する抽出手段として機能するもので、その周波数特性は図4に図示する通りである。このBPF56を通過することにより、ウォブル信号は、二次高調波成分が強調された信号となる。BPF通過後の信号は、予め設定された第一閾値および第二閾値とともに、第一比較器68および第二比較器70に供給され、閾値弁別される。閾値弁別された二つの信号は、それぞれ、第一AND回路88および第二AND回路90へと供給され、二次高調波信号との論理積が取られる。AND回路88,90からの出力信号は、タイミングジェネレータからの四次高調波信号ととともに、FF回路92,94に供給される。そして、第一AND回路88および四次高調波信号が入力される第一FF回路92の出力信号が、HMW[1]の検出信号となる。また、第二AND回路90および四次高調波信号が入力される第二FF回路94の出力信号が、HMW[0]の検出信号となる。
【0053】
次に、このHMW復調部40によるHMW復調の流れを図面を参照して説明する。図12は、HMW復調の過程で得られる信号波形を示す図である。破線で図示されたウォブル信号は、BPF通過により、二次高調波成分が強調された波形となる。このBPF通過後の信号を、予め設定された第一閾値および第二閾値で閾値弁別する。すなわち、第一比較器68は、第一閾値以上の部分を「Low」、第一閾値未満の部分を「High」とする出力CMP1を出力する。第二比較器は、第二閾値未満の部分を「High」、第二閾値以上の部分を「Low」とする出力CMP2を出力する。
【0054】
閾値弁別により得られた二種類の信号CMP1,CMP2は、それぞれ、第一AND回路88および第二AND回路90に供給される。第一AND回路88は、第一比較器68からの出力信号CMP1と、二次高調波信号との論理積AND1を算出する。第二AND回路90は、第二比較器70からの出力信号CMP2と、二次高調波信号との論理積AND2を算出する。第一FF回路92には、第一AND回路88の出力信号AND1と、四次高調波信号が入力され、その値の組み合わせに応じた信号を出力する。この第一FF回路92からの出力信号がHMW[1]検出信号なる。第二FF回路94には、第二AND回路90の出力信号AND2と、四次高調波信号が入力され、その値の組み合わせに応じた信号が出力される。この第二FF回路94からの出力信号がHMW[0]検出信号となる。ここで、第一FF回路92は、基準キャリア周期(ウォブル一波)で、図12における「TX」部の判定と、「TY」部の判定の二回の判定を行うことになる。各判定時において、第一FF回路92に入力される信号の組み合わせとしては、四種類が考えられる。すなわち、CMP1信号および四次高調波信号が、LowとLow、LowとHigh、HighとLow、HighとHighとなる四種類の組み合わせが考えられる。この四種類の組み合わせのうち、いずれをHMW[1]と判定するかは適宜、変更してもよい。例えば、HighとHighのときはもちろん、LowとHigh、および、HighとLowの場合にも、HMW[1]と見なしてもよい。また、通常時とエラーリトライ時とで判定基準を変えてもよい。例えば、通常は、HighとHighの場合にのみHMW[1]とし、エラーリトライ時にはLowとHigh、および、HighとLowの場合もHMW[1]と判定するようにしてもよい。
【0055】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、BPF56で二次高調波成分を強調している。そのため、BPF通過後のウォブル信号を直接、閾値弁別すれば、高調波成分部分を選別できる。換言すれば、乗算することなく、高調波成分部分を選別できる。また、その後、閾値弁別された信号と、二次高調波信号と、の論理積をとることで、選別された高調波成分の値を判定することができる。そして、最終的に、四次高調波信号と、論理和信号とをFF回路92,94に入力することで、HMW[1]部分およびHMW[0]を検出できる。つまり、本実施形態によれば、乗算器を用いることなく、確実に、HMW復調ができる。
【0056】
次に、他の実施形態におけるMSK復調部42について図面を参照して説明する。図13は、他の実施形態におけるMSK復調部42の詳細な構成を示す図である。このMSK復調部42も、乗算器は用いることなく構成されている。
【0057】
このMSK復調部42において、再生されたウォブル信号は、既述のMSK復調部と同様に、二値化器72およびBPF78に入力される。二値化器72は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路74へと出力する。PLL回路74は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、デコード部に出力され、デジタルデータのデコードに利用される。
【0058】
BPF78は、既述のMSK復調部と同様に、ウォブル信号から基準周波数fwobの1.5倍周波数成分を抽出する抽出手段として機能するもので、その中心周波数として1.5fwobが設定されている。このBPF78を通過することにより、ウォブル信号は、1.5fwobの周波数成分が強調された信号となる。BPF通過後の信号は、乗算されること無く、直接、ピークホールド回路82およびボトムホールド回路84に入力され、そのエンベロープ信号が検出される。検出されたピークエンベロープ信号は、予め設定された第一閾値とともに第一比較器86に入力され、閾値弁別される。また、ボトムエンベロープ信号も、あらかじめ設定された第二閾値とともに第二比較器96に入力され、閾値弁別される。閾値弁別された二つの信号は、AND回路98に供給され、その論理積が取られる。このAND回路98からの出力信号が、MSK変調マークの検出信号となる。
【0059】
次に、このMSK復調部42によるMSK復調の流れを図面を参照して説明する。図14は、MSK復調の過程で得られる信号波形を示す図である。図14において、破線は、BPF通過後のウォブル信号を示しており、実線は、このウォブル信号のエンベロープ信号を示している。第一比較器86は、ピークエンベロープと第一閾値とを比較し、ピークエンベロープ値が第一閾値以上の場合には「High」、ピークエンベロープ値が第一閾値未満の場合には「Low」とする信号CMP1を出力する。第二比較器96は、ボトムエンベロープと第二閾値とを比較し、ボトムエンベロープ値が第二閾値未満の場合には「High」、ボトムエンベロープ値が第二閾値以上の場合には「Low」とする信号CMP2を出力する。そして、閾値弁別された二種類の信号CMP1,CMP2の論理積をAND回路98で算出することにより、MSK変調マークを示す信号が得られる。
【0060】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、BPF78でMSK変調成分を強調している。そのため、BPF通過後のウォブル信号を直接、エンベロープ検出、閾値弁別すれば、MSK変調マークの開始位置および終了位置を検出できる。そして、閾値弁別された二つの信号の論理積をとることでMSK変調マークを検出できる。つまり、本実施形態によれば、乗算器を用いることなく、簡易な構成で、確実に、MSK復調ができる。
【0061】
なお、本実施形態においても、二次高調波成分、または、1.5fwob周波数成分を、基準周波数成分に比して強調して出力できるのであれば、BPFに代えてイコライザ等を用いてもよい。また、第一閾値、第二閾値の値は、BPF通過後のウォブル信号に応じて設定してもよいし、エラーレイトに応じて設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ウォブル信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】HMW復調部の構成を示すブロック図である。
【図4】BPFの周波数特性を示す図である。
【図5】ウォブル信号波形とBPF通過後の信号波形を示す図である。
【図6】BPF通過後の信号波形と乗算後信号波形を示す図である。
【図7】HMW信号の検出の様子を示す図である。
【図8】MSK復調部の構成を示すブロック図である。
【図9】BPF通過後の信号波形と乗算後信号波形を示す図である。
【図10】MSK変調マークの検出の様子を示す図である。
【図11】他の実施形態におけるHMW復調部の構成を示すブロック図である。
【図12】HMW信号の検出の様子を示す図である。
【図13】他の実施形態におけるMSK復調部の構成を示すブロック図である。
【図14】MSK変調マークの検出の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 光ディスク、14 ピックアップ、16 ウォブル信号処理部、40 HMW復調部、42 MSK復調部、50,72 二値化器、52,74 PPL回路、54,76 タイミングジェネレータ、56,78 BPF、58,80 乗算器、60,82 ピークホールド回路、62,83,84 ボトムホールド回路、68,70,86,96 比較器、88,90,98 AND回路、92,94 FF回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、
ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、
生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、
乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、
得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、
を備えることを特徴とする復調装置。
【請求項2】
正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、
ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号の二値化信号を生成する同期信号生成手段と、
強調されたウォブル信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、
強調されたウォブル信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、
二値化された高調波信号と第一信号、および、二値化された高調波信号と第二信号との論理積を求める手段と、
を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする復調装置。
【請求項3】
所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、
ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、
生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、
乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、
得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、
を備えることを特徴とする復調装置。
【請求項4】
所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、
強調された信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、
ピークホールド信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、
ボトムホールド信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、
第一信号、および、第二信号との論理積を求める手段と、
を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする復調装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の復調装置であって、
強調手段は、キャリア信号の周波数より高調波信号の周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項6】
請求項5に記載の復調装置であって、
強調手段は、高調波信号の周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項7】
請求項3または4に記載の復調装置であって、
強調手段は、キャリア信号の周波数より前記異なる周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項8】
請求項7に記載の復調装置であって、
強調手段は、前記異なる周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項1】
正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、
ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、
生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、
乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、
得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、
を備えることを特徴とする復調装置。
【請求項2】
正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を加算または減算するHMW変調方式で変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる高調波成分を強調して出力する強調手段と、
ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号の二値化信号を生成する同期信号生成手段と、
強調されたウォブル信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、
強調されたウォブル信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、
二値化された高調波信号と第一信号、および、二値化された高調波信号と第二信号との論理積を求める手段と、
を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする復調装置。
【請求項3】
所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、
ウォブル信号から、当該ウォブル信号と同期した高調波信号を生成する同期信号生成手段と、
生成された同期信号と、強調されたウォブル信号と、を乗算する乗算手段と、
乗算により得られた信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、
得られたピークホールド信号およびボトムホールド信号と、予め設定された第一閾値および第二閾値と、の比較結果に基づいてデジタル信号を復調する手段と、
を備えることを特徴とする復調装置。
【請求項4】
所定周波数のキャリア信号と、当該キャリア信号の周波数と異なる周波数の正弦波信号によりMSK変調されたウォブル信号からデジタル情報を復調する復調装置であって、
ウォブル信号に含まれる前記異なる周波数成分を強調して出力する強調手段と、
強調された信号のピークホールド信号、および、ボトムホールド信号を求めるホールド手段と、
ピークホールド信号を、第一閾値で閾値弁別した第一信号を生成する第一信号生成手段と、
ボトムホールド信号を、第二閾値で閾値弁別した第二信号を生成する第二信号生成手段と、
第一信号、および、第二信号との論理積を求める手段と、
を備え、得られた論理積に基づいてデジタル信号を復調することを特徴とする復調装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の復調装置であって、
強調手段は、キャリア信号の周波数より高調波信号の周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項6】
請求項5に記載の復調装置であって、
強調手段は、高調波信号の周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項7】
請求項3または4に記載の復調装置であって、
強調手段は、キャリア信号の周波数より前記異なる周波数のほうが高ゲインとなるように設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【請求項8】
請求項7に記載の復調装置であって、
強調手段は、前記異なる周波数が中心周波数に設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする復調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−115373(P2007−115373A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308439(P2005−308439)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]