循環器疾患の予防および/または治療のための薬草薬剤組成物ならびにその調製方法
本発明は、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジン(またはアメリカニンジン)の抽出物を含む薬草薬剤組成物を提供する。前記薬草薬剤組成物は、高血圧または虚血の治療、血管内皮の変性からの保護、ならびに血圧の低下または安定な血圧の維持に効果的である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、2001年12月21日に提出された台湾の出願第90131897号の優先権を主張する、2002年6月10日に提出された米国特許出願第10/164,568号の部分継続出願(CIP)である。両出願の内容は参照として本明細書中に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、血管拡張の改善および/または正常な血管拡張の維持;血圧の低下および安定な血圧の維持、ならびに血管の内皮細胞の変性からの保護のための、スクラテリア(scutellaria)の根(黄ごん(Radix Scutellariae))、オウレン(coptis)の根茎(黄連(Rhizoma Coptidis))、ダイオウ(rhubarb)の根/根茎(大黄(Radix et Rhizoma Rhei))、およびニンジン(ginseng)の根(人参(Radix Ginseng))からの抽出物を含む薬剤組成物に関する。本発明はまた、薬草薬剤組成物の調製または使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
世界保健機関(WHO)のデータに基づくと、循環器疾患は1999年の全世界における死亡の1/3を占め、2010年までには発展途上国の主な死亡原因になると予想されている。循環器疾患は、特に制限されないが、高血圧、冠状動脈性心臓病(心臓発作)、脳血管疾患(発作)、末梢血管疾患、心臓麻痺、リウマチ性心疾患、先天性心疾患、および心筋症を含む心臓および血管の障害の群の名称である。
【0004】
高血圧は圧倒的に最も広くみられる循環器疾患である。45歳以上のアメリカ人の1/3以上が高血圧であり、その中で、50%以上が60歳以上である。未治療の高血圧は、例えば発作、冠状動脈性心臓病、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、心臓麻痺、腎不全および失明などの、深刻で命にかかわる合併症を引き起こしうる。
【0005】
高血圧に関する第7次米国合同委員会報告(JNC VII)に示されるように、高血圧の現在の治療は、利尿薬、α−遮断薬、β−遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ACE阻害剤、およびアンジオテンシン拮抗薬を含む。これらの薬剤は、単剤としてまたは組み合わせて用いられうる。しかしながら、これらの薬剤のほとんどは、症状を改善するが疾患を治癒しない。これらの薬剤はまた、しばしば副作用を伴う。
【0006】
ヒトの高血圧を引き起こす主なメカニズムのひとつは、内皮の機能障害である。内皮は、心臓ならびに血管およびリンパ管のキャビティに並ぶ上皮細胞の層である。その主な役割は、血管拡張および血管収縮のメディエーターを生成することによって血管の調子と構造との両方を調節することである。
【0007】
アセチルコリンのような特定の作用薬に活性化されると、内皮細胞は、内皮NOシンターゼ(「eNOS」)の活性を介したL−アルギニンの分解によって生じる不安定な物質である一酸化窒素(「NO」)を生成する。NOは、さらに血小板凝集を阻害し、筋肉細胞の増殖を円滑にする強力な弛緩剤である。
【0008】
高血圧または加齢などの病的状態の下では、内皮のアゴニスト誘導性の刺激は、シクロオキシゲナーゼ経路を活性化し、その結果トロンボキサンA2またはプロスタグランジンH2、またはフリーラジカル(例えばスーパーオキシドアニオン)を含むシクロオキシゲナーゼ依存性因子を生成する。機能障害の内皮はまた、血管損傷、特にアテローム性動脈硬化を引き起こしうる。
【0009】
シクロオキシゲナーゼには2つのアイソフォームであるシクロオキシゲナーゼ1および2(COX−1およびCOX−2)がある。これはプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ1および2とも呼ばれ、アラキドン酸のプロスタグランジン、トロンボキサン、および他のエイコサノイドへの変換において鍵となる酵素である。COX−1およびCOX−2は、その組織発現および調節における著しい違いによって、異なった生理的機能を有すると考えられている。COX−1は、常時体内に存在し、胃粘膜の完全性の維持、正常な血小板機能の媒介、および腎血流の調節などの恒常性維持機能に重要な細胞保護プロスタグランジンの生成に関与する構成酵素である。対照的にCOX−2は、炎症性プロスタグランジンの生成をもたらす、シクロオキシゲナーゼの速い誘導型である。COX−2の発現は基本条件に強く制限されるが、炎症時は大きく上方調節される。COX−2の関与およびプロスタグランジンの生成の上昇は、高濃度のNOが存在する疾患および障害に加えて、脳虚血および癌などのさまざまな疾患および障害に関連する。
【0010】
NOは、COX−2の活性を調節し、炎症および自己免疫が媒介する組織の破壊に関与する。NOのCOX−2に対する効果は投与量に依存する。低濃度のNOはCOX−2を活性化する。一方、誘導型一酸化窒素合成酵素(「iNOS」)によって生成された大量のNOはCOX−2の誘導を阻害し、COX−2代謝産物の生成を抑制しうる。
【0011】
iNOSは、心筋梗塞(MI)後の心筋層において、および心臓麻痺において発現する。心筋層は、心筋から形成される心臓壁の中央の最も厚い層である。iNOSの上方調節および過剰発現は、軽度の炎症細胞の浸潤、心臓繊維症、肥大および膨張に関連する。心臓肥大はうっ血性心不全(CHF)の進行の重要な危険因子である。iNOSの過剰発現はNOの過剰生産をもたらし、心筋機能障害およびCHFの原因となる。
【0012】
CHFは、弱くなった心臓機能が付随する浮腫とともに存在する心臓疾患の形態である。CHFは、血液を心筋に供給する動脈の狭窄(冠状動脈性心臓病)、正常な電子心臓機能を妨げるのに十分な大きさ、または配置の瘢痕組織をもたらす事前の心臓発作(心筋梗塞)、高血圧などを含む多くの異なる原因がある。CHFは、成人に発生する最も深刻な循環器疾患のひとつである。400万人以上の人がCHFを有し、発生率は上昇している。この疾患または状態の発生率は、人口の加齢に伴って上昇し、現在は高齢者の入院の最も多い原因である。CHFに関する米国ヘルスケアの総支出は年間50億ドルを超える。
【0013】
心房細動(AF)は、心房心筋の速いランダムな収縮を特徴とする心房性不整脈であり、全体的に不規則な、しばしば速い心拍数を引き起こす。AFは炎症によって促される心房の構造変化によって持続しうる。C反応性タンパク質(CRP)は、AFの一般的な続発症である心血管系疾患および発作を予測する全身性炎症マーカーである。CRPはまた、内皮細胞による接着分子の発現を誘導する。
【0014】
長年西洋医学において万能薬が探索されてきたが、研究者はさまざまな疾患の薬物治療に用いる伝統的な漢方薬に転換した。漢方薬は、数千年間さまざまな疾患を治療するために存在し、用いられてきた。
【0015】
例えば、San−Huang−Hsie−Hsin−Tangは、Chin−Kuei−Yao−Lueh(英語に訳すと「金のチャンバからの処方」)に初めて記載された、「火をパージし3つの胴をクリアにする」のための古い薬草の煎じ薬であり、不十分な心臓の「Chi」、吐血および鼻出血に対して示されるものである。前記煎じ薬は、等量のスクテラリアの根(黄ごん)、オウレンの根茎(黄連)、ならびにダイオウの根および根茎(大黄)から作製された。前記煎じ薬は苦味を有し、寒性である。前記煎じ薬は、うっ血、紅潮、落ち着きのなさ、肩こり、胃の閉塞性の下降、便秘、および強い脈を有する患者に対するものである。しかしながら、前記煎じ薬は、長引く出血、著しい貧血、およびきわめて弱い脈の症状のある患者には禁忌であるか、適さない。
【0016】
米国特許第5,443,839号には、特にスクテラリアの抽出物を含む、抗炎症、抗アレルギー、または抗老化の活性を有する組成物が開示されている。この組成物が循環器疾患および高血圧の治療に効果があることは示唆されていない。
【0017】
米国特許第6,274,177号には、抗炎症および抗血小板凝集に強力なショウガ(Zingiber officinale)からの抽出物を調製する方法が開示されている。この薬草組成物が循環器疾患および高血圧の治療に効果があることは示唆されていない。
【0018】
米国特許第6,340,480号には、全身血管の弛緩および拡張を促進することによる、高血圧を含む循環状態を治療するための組成物および方法が開示されている。前記組成物は、経口でまたは局所的に投与される形態の、L−アルギニン、ニンジン、およびタイソウ(Zizyphi fructus)の天然の組み合わせである。この組み合わせは相乗的に働いてNOを合成し、これによって全身の血管の弛緩および拡張を促進する。組み合わされる成分は、それ自体がNOを製造しえない領域においてNOの臨界しきい値を維持するように働き、これによって高血圧を抑えるために全身の血管の弛緩および拡張を促進しうる。しかしながら、循環器疾患の治療において薬草組成物が効果的であるかどうかは明らかではない。
【0019】
親出願である米国特許出願第10/164,568号には、スクテラリアの根(黄ごん)の抽出物、オウレンの根茎(黄連)の抽出物、ダイオウの根/根茎(大黄)の抽出物、およびニンジンの根(人参)またはアメリカ人参の根(Radix Panacis Quinquefolii)の粉末を含む薬草薬剤組成物が記載されている。この薬草薬剤組成物は、循環器疾患の予防および治療の双方に効果がある。前記組成物はまた無毒であり、したがって、虚弱、高齢、および衰弱した人を含むすべての年齢および健康状態の患者に用いられうる。
【0020】
このCIP出願には、ニンジンの根(人参)の粉末がニンジンの根の抽出物で置き換えられている、わずかに異なる薬草薬剤組成物が記載されている。本発明の薬草薬剤組成物は、循環器疾患の予防と治療との両方において同様の効果を示すだけでなく、血管拡張の改善および/または正常な血管拡張の維持において優れた機能を、血管の内皮細胞において、特に内皮細胞の変性を防止することによって、保護機能を示す。
【発明の開示】
【0021】
発明の概要
本発明は、黄ごん(Radix Scutellariae)(スクテラリア(sctellaria)の根)、黄連(Rhizoma Coptidis)(オウレン(coptis)の根茎)、大黄(Radix et Rhizoma Rhei)(ダイオウ(rhubarb)の根/根茎)、および人参(Radix Ginseng)(ニンジン(ginseng)の根)の抽出物を含み、前記抽出物が、水およびエチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒で前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根をそれぞれ抽出することによって製造される、薬草薬剤組成物を提供する。
【0022】
本発明の薬剤組成物の、前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根および根茎、ならびに前記ニンジンの根は、約1〜2:1〜2:1〜2:1〜2、好ましくは約1:1:2:1の重量比である。好ましくは、前記スクテラリアの根および前記オウレンの根茎は水で約98±5℃で抽出され;前記ダイオウの根/根茎は約95%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出され;前記ニンジンの根は約50%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出される。
【0023】
本発明の薬剤組成物の抽出物は、抽出、濾過および濃縮によってそれぞれ処理される。これによって、それぞれの薬草のそれぞれの抽出物は濃縮ペーストになる。それぞれの濃縮ペーストはその後さらに乾燥されてそれぞれ濃縮粉末になる。任意で、製薬上許容される担体が、濃縮段階の前に、濃縮ペーストの乾燥を促進するために添加されうる。それぞれの薬草の濃縮粉末はさらに混合され、一体化されて造粒されて、カプセルに入れられうる顆粒を形成する。
【0024】
本発明の薬剤組成物は、哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する;血圧を低下させる、および/または安定な血圧を維持する;ならびに血管の内皮細胞を変性から保護する効果を有する。血管拡張は、血管の拡張、特に血管の一部への血流の増加をもたらす細動脈の拡張を意味する。
【0025】
本発明はさらに、以下の段階:(1)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根を溶媒(水、エチルアルコールまたはこれらの混合物)でそれぞれ抽出して、スクテラリアの根の抽出物、オウレンの根茎の抽出物、ダイオウの根/根茎の抽出物、およびニンジンの根の抽出物を個々に形成する;(2)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根からのそれぞれの抽出物を、個々に濾過し、濃縮して、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根の個々の薬草ペーストを形成する;(3)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの薬草ペーストを個々に乾燥させて、スクテラリアの根、オウレンの根、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの濃縮粉末を形成する;(4)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの濃縮粉末を混合して薬草粉末混合物を形成する;および(5)前記薬草粉末混合物を造粒して前記薬草薬剤組成物の顆粒を形成する;を含む、本発明の薬草薬剤組成物を調製する方法を提供する。任意で製薬上許容される賦形剤または担体を、乾燥段階の前に各薬草ペーストにそれぞれ添加してもよい。薬剤組成物の顆粒をカプセルに入れてもよい。
【0026】
最後に、本発明は、本発明の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与することによって、例えばヒトなどの哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する;例えばヒトなどの哺乳類の安定な血圧を低下させる、および/または維持する;ならびに例えばヒトなどの哺乳類の血管の内皮細胞を変性から保護するための方法を提供する。薬草薬剤組成物は好ましくは経口で哺乳類に投与される。
【0027】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の薬剤組成物を製造するための製造工程のフローチャートを示す。QC:品質管理。QC工程には、(a)薬草成分段階(原料を含む);(b)原薬段階(各薬草の濃縮粉末を含む);(c)半製品段階(混合顆粒を含む);および(d)完成製剤段階(カプセルを含む)の、4つの試料捕集点がある。
【0028】
図2は、さまざまな週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:SHR−12Wコントロール(●);SHR−15Wコントロール(□)SHR−18Wコントロール(▲)およびSHR−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がSHR−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0029】
図3は、12週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0030】
図4は、15週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0031】
図5は、18週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0032】
図6は、25週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0033】
図7は、さまざまな週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:WKY−12Wコントロール(◆);WKY−15Wコントロール(□)WKY−18Wコントロール(▲)およびWKY−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がWKY−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0034】
図8は、12週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0035】
図9は、15週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0036】
図10は、18週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0037】
図11は、25週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0038】
図12は、細胞培地中にみられる乳酸脱水素酵素(LDH)活性(細胞溶解物の%として表す)(n=3)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。LDH活性の結果を、(SB221なしに細胞を成長させた)基礎LDH値および(細胞が収集されて均一化された)全細胞溶解物と比較した。全細胞溶解物を100%LDH値として表した。この研究の結果は、基礎群とSB221群との間にLDH活性に統計的に有意な差がなかったことを示す(10−6〜10−3g/mlの間)。HUVECの基礎LDH活性は、全溶解物の約14%であり、SB221群のLDH活性は基礎群のそれと3%以内の差であった。基礎群およびSB221群の双方においてLDH活性は全細胞溶解物のものと有意に異なっていた。
【0039】
図13は、SB221処理細胞および基礎値を与えるコントロール細胞(すなわちSB221処理をしない細胞)から収集した細胞培地のMTTテトラゾリウム塩熱量分析(n=7)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。データ解析は、one−factor ANOVAを用いて行った。この結果は、基礎群とSB221群との間に統計的に有意な差がなかったことを示す。
【0040】
図14は、SHRコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12Wコントロール、(B)SHR−15Wコントロール、(C)SHR−18Wコントロール、および(D)SHR−25Wコントロール。CD31は、白血球(TおよびB細胞、単球、顆粒球、血小板、骨髄細胞の40%)、内皮、および平滑筋細胞上にみられる、質量130〜140kDの、広く分布した単一鎖の糖タンパク質である。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は、血管の空洞が並ぶ細胞の層を形成する内皮細胞を示す。(C)および(D)に示される内皮(内皮細胞の層)は、中皮層のいくつかを見せる、不均一で部分的にはがれた表面を含む。
【0041】
図15は、SB221で治療されたSHRラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12W SB221、(B)SHR−15W SB221、(C)SHR−18W SB221、および(D)SHR−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。不均一で部分的にはがれた表面を有したSB221治療をしない18週齢および25週齢のラットの内皮細胞(図14(C)および(D)を参照)と対照的に、SB221での治療後、全ての週齢群において内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【0042】
図16は、WKYコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12Wコントロール、(B)WKY−15Wコントロール、(C)WKY−18Wコントロール、および(D)WKY−25Wコントロール。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。WKYコントロールラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【0043】
図17は、SB221で治療されたWKYラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12W SB221、(B)WKY−15W SB221、(C)WKY−18W SB221、および(D)WKY−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。SB221(本発明の薬剤組成物)での治療後、WKYラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明は、高齢者および衰弱した人を含む全ての年齢およびさまざまな健康状態の患者に適した、循環器疾患の予防および治療のための新しい薬草薬剤組成物を提供する。
【0045】
循環器疾患の科学的および医学的な理解の最近の進歩は、これらの疾患における、内皮の損傷、一酸化窒素(NO)、炎症反応、およびC反応性タンパク質(CRP)の関与に関してより多くの知識を提供する。内皮NOシンターゼ(eNOS)によって内皮で生じるNOは、強力な血管拡張剤であるだけでなく、血小板凝集を阻害し、筋肉細胞の増殖、単球接着および接着分子の発現を円滑にし、したがって内皮組織の完全性を維持する。プロスタノイドおよび酸素フリーラジカルを含むシクロオキシゲナーゼ(COX)依存性の因子の生成は、内皮の機能障害のおもな原因となりうる。機能障害の内皮は、したがって、より深刻な循環器疾患をさらにもたらしうる血管損傷を引き起こすおもなメカニズムの1つになりうる。シクロオキシゲナーゼの阻害は、本質的な高血圧においてNOが媒介する血管拡張を回復させうるため、抗炎症介入は治療的有用性を有しうる。
【0046】
疾患の状態、例えば心臓肥大、心筋梗塞(MI)、虚血、心筋炎および敗血性ショックの間、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の過剰発現は、NOの生成の増加をもたらす。高いNOレベルは、例えば心筋機能障害、うっ血性心臓麻痺および突然心臓死などのより深刻な合併症をもたらしうる。
【0047】
炎症過程の間、急性反応物質であるC反応性タンパク質(CRP)が生成する。CRPはしばしば、接着分子の発現を促進し、血管炎症、特にアテローム性動脈硬化の発症に直接的な役割をはたしうる、全身性炎症マーカーとして用いられる。CRPは、血管の危険因子ならびに一般のおよび偶発的なアテローム性循環器疾患、すなわち冠状動脈性心臓病、発作、および末梢動脈疾患と関連付けられてきた。
【0048】
循環器疾患の治療の新しいアプローチは、疾患のすべての態様を考慮するべきである。例えば、抗高血圧活性に加えて、新しい薬剤は健康な内皮を保護するだけでなく、機能障害の内皮の機能を改善するべきである。
【0049】
本発明は、循環器疾患を治療し予防するために、高い血圧を低下させ、正常な血圧を維持する;血管拡張を改善し、および/または正常な血管拡張を維持する;ならびに血管の内皮細胞を変性から保護する機能を有する薬草薬剤組成物を提供する。
【0050】
本発明の薬草薬剤組成物は、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジンの根の4つの薬草を含む。前記組成物に用いられる薬草は、上述の薬草の任意の変種でありうる。例えば、スクテラリアの根は、Scutellaria baicalensis Georgi、Scutellaria viscidula Bge.、およびScutellaria amoena C.H.Wrightの3つの近縁関係にある変種を有する。オウレンの根は、Coptis chinensis Franch.、Coptis deltoidea C.Y.Cheng et Hsiao、Coptis teetoides C.Y.Cheng、およびCoptis omeiensis(Chen)C.Y.Chengの4つの近縁関係にある変種を有する。ダイオウの根および根茎は、Rheum palmatum L.、Rheum tanguticum Maxim.、およびRheum officinale Baillの3つの近縁関係にある変種を有する。
【0051】
スクテラリアの薬剤効果は乾燥した根にあり、黄ごんの薬物名を有する。スクテラリアはシソ(Labiatse)科に属する。この薬草は主に中国の河北省、陝西省、および内蒙古で生産される。この薬草の最大の収穫期は春または秋である。スクテラリアの根は日光の下で乾燥され、薄く切られ、調製されずに用いられるか、または酒で撹拌ベークされるか炭に撹拌ベークされる。この薬草は苦味があり寒性である。伝統的な漢方薬によれば、この薬草は肺、胆嚢、胃、および大腸の経路における疾患の治癒に用いられうる。特にこの薬草は、患者の湿熱の除去、毒性の中和、止血および流産の予防に用いられうる。
【0052】
スクテラリアの根は、特に制限されないが、バイカリン(baicalin)、オロキシリンA−グルクロニド(oroxylin A−glucuronide)、オウゴニン−7−O−グルクロニド(wogonin−7−O−glucuronide)、バイカレイン(baicalein)、オウゴニン(wogonin)およびオロキシリンA(oroxylin A)などの活性成分を含む。バイカリンは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0053】
オウレンの薬剤効果はオウレンの乾燥した根茎にあり、黄連の薬物名を有する。オウレンはキンポウゲ(Ranunculaceae)科に属する。これは、主に中国の四川、湖北、および雲南で生産される。好ましい収穫期は秋である。オウレンの根茎は、細根および土が除去された後、日光の下で乾燥され、調製されずにまたはショウガ汁で撹拌ベークされて用いられる。この薬草は苦味があり寒性である。伝統的な漢方薬によれば、この薬草は心臓、胃、肝臓、および大腸の経路における疾患の治癒に用いられうる。
【0054】
オウレンの根茎は、特に制限されないが、ベルベラスチン(berberastine)、コロンバミン(columbamine)、ジャトロリジン(jatrorrhizine)、エピベルベリン(epiberberine)、コプチシン(coptisine)、パルマチン(palmatine)、およびベルベリン(berberine)などの活性成分を含む。ベルベリンは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0055】
ダイオウの薬剤効果はダイオウの乾燥した根および根茎にあり、大黄の薬物名を有する。ダイオウはタデ(Polygonaceae)科に属する。これは、主に中国の青海州および四川州で生産される。ダイオウの根および根茎は、その茎および葉が枯れ始める晩秋、または植物が発芽し始める前の春先に掘られる。収穫された薬草は乾燥され、薄く切られる。ダイオウの根および根茎は調製されずに、酒で撹拌ベークされて、または炭化されて用いられうる。これは苦味があり寒性である。伝統的な漢方薬によれば、ダイオウの根および根茎は脾臓、大腸、肝臓、および心臓の経路における疾患の治癒に用いられうる。
【0056】
ダイオウの根および根茎は、特に制限されないが、センノシドB(sennoside B)、センノシドA(sennoside A)、アロエーエモジン(aloe−emodin)、レイン(rhein)、エモジン(emodin)、およびクリソファノール(chrysophanol)などの活性成分を含む。センノシドAおよび/またはエモジンは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0057】
人参(ニンジンの根)およびRadio Panacis Quinquefolii(アメリカニンジン、Panax quinquefollum Lの根)の2種のニンジンがある。人参(ニンジンの根)は、本発明の薬草薬剤組成物に用いられる。人参は、ウコギ科に属するPanax ginseng C.A.Meyである。ニンジン(人参)は、主に中国の吉林、遼寧、および黒竜江省で生産される。吉林の撫松で生産されるニンジンは特に品質がよい。この薬草は、栽培することもでき、野生にみられるニンジンを称する「山ニンジン」に対して、「園芸用ニンジン」と呼ばれる。栽培されたニンジンは秋に収穫される。収穫されたニンジンは、「天日乾燥ニンジン」と称されるように日光で乾燥されるか焼かれるか、「赤ニンジン」と称されるように蒸気に当てられた後乾燥されるか、または「砂糖加工ニンジン」として知られるようにシロップに漬けられる。繊維質の細根は細根ニンジンとして知られている。日光で乾燥させた野生のニンジンは日光乾燥野生ニンジンとして知られている。この薬草は薄く切って使用される。この薬草は甘く、少し苦味があり、中性である。伝統的な漢方薬によれば、ニンジンは肺、脾臓、および心臓の経路における疾患の治癒に特に優れる。
【0058】
ニンジンの薬剤効果はその乾燥した根にある。ニンジンはまた、中枢神経系に効果がある。ニンジンは、中枢神経系において促進および阻害の両方の過程を高め、これによって神経の応答の順応性を高める。ニンジンはまた、血中グルコースおよびコレステロールを低下させうる。ニンジンはまた、消化性潰瘍の治療および予防の効果を示す。
【0059】
ニンジンの根の活性成分は、特に制限されないが、ジンセノサイド(ginsenoside)Rgl、ジンセノサイドRe、およびジンセノサイドRblを含み、中でも、ジンセノサイドRblは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0060】
本発明に用いられる薬草の薬物名、植物名、科名、慣用名、および主な成分を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
伝統的に、植物、動物、または鉱物源の成分を含む漢方薬は、調製方法に基づいて以下の投与形態に分類されうる:wan(丸薬)、san(粉末)、gao(シロップ、柔らかい抽出物またはプラスター)、dan(特殊な丸薬またはヴァーミリアン丸薬)およびtang(煎じ薬)。中でも、煎じ薬および粉末は最も一般的な投与形態である。伝統的に、煎じ薬は、薬草処方の薬草成分を混合し、その後混合物を水または他の媒体中で煮沸することによって調製される。粉末の投与形態は、薬草処方の薬草成分を混合し、混合物を直接粉砕して粉末にすることによって調製される。伝統的な濃縮された漢方薬は、薬草処方に従って薬草成分を集め、前記成分を合わせて混合し、混合物を煮沸し、濾過し、濃縮し、適当な量の賦形剤を添加し、造粒し、最後に丸薬、粉末、カプセルおよび錠剤に調製される。
【0063】
特に制限されないが、栽培の場所および条件、収穫、選択、貯蔵の時期および方法、調製の方法を含むさまざまな因子が薬草調製の質に影響する。漢方薬を製造する現在の手法は、一般に、質の制御の目的で生の薬草、半製品、および完成品の試料を収集する。図1に示すように、よりよい質の制御を提供するために、本発明は、薬剤組成物の質が一貫してよく制御されることを保証するために、薬草成分段階(QC、サンプリング点1、図1);原薬段階(QC、サンプリング点2);半製品段階(QC、サンプリング点3);および最終の完成品段階(QC、サンプリング点4)の4点サンプリングを用いる。
【0064】
製造工程の各点から採取した試料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけ、各薬草成分の質を保証する目的で各薬草の成分を決定した。HPLC法および本発明の薬草成分の試験結果は以下の通りである:
A.HPLCのための薬草抽出物の調製
1.薬草成分の試料0.5gを正確に秤量し、50mLのサンプル瓶に入れた。
【0065】
2.70%メタノール20mLを(1)のサンプル瓶に加えた。
【0066】
3.(2)の混合物を室温で15分間超音波処理して、さらに40℃の水浴で160rpmで20分間振とうした。その後2層の溶液が形成されるまで30分以上放置した。
【0067】
4.溶液の透明な上層を取り出し、英国Whatman社製の0.45μmのPVDFフィルターを通過させた。
【0068】
5.約20μLの濾過した溶液を、定量分析のためにHPLCに注入した。
【0069】
B.HPLC分析の装置
用いた装置は、Waters 600Eポンプ、Waters 7l7Plus オートサンプラー、およびWaters 996フォトダイオードアレイ検出器を含む。
【0070】
C.HPLC条件および各薬草の結果
【0071】
【表2】
【0072】
(b)結果:
ダイオウの根/根茎のHPLCクロマトグラムは、センノシドB、センノシドA、アロエ−エモジン、レイン、エモジン、およびクリソファノールの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表2に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
(b)結果:
スクテラリアの根のHPLCクロマトグラムは、バイカリン、オロキシリンA−グルクロニド、オウゴニン−7−O−グルクロニド、バイカレイン、オウゴニン、およびオロキシリンAの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表3に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
(b)結果:
オウレンの根茎のHPLCクロマトグラムは、ベルベラスチン、コロンバミン、ジャトロリジン、エピベルベリン、コプチシン、パルマチン、およびベルベリンの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表4に示す。
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
(b)結果:
ニンジンの根のHPLCクロマトグラムは、ジンセノサイドRgl、ジンセノサイドRe、およびジンセノサイドRblの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表5に示す。
【0082】
【表9】
【0083】
薬剤組成物
本発明の薬剤組成物において、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジンは、溶媒抽出と、その後の抽出物の濃縮および乾燥によって最も適切に調製される。任意で製薬上の賦形剤が乾燥前に濃縮物に添加されうる。例えば、特に限定されないが、コーンスターチが挙げられる。
【0084】
本発明の薬剤組成物において、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジンの根の重量比は、約1〜2:1〜2:1〜2:1〜2であり、最も好ましくは1:1:2:1である。
【0085】
本発明の薬剤組成物は以下の手順で調製された(図1):
(1)薬草抽出物の調製
薬草は好ましくはそれぞれ溶媒で抽出される。溶媒は水または抽出の目的で製薬上許容される有機溶媒、または水と有機溶媒との混合物でありうる。好ましい有機溶媒はエチルアルコールである。スクテラリアの根およびオウレンの根茎は水で98±5℃で;ダイオウの根および根茎はアルコール、特に95%(v/v)のアルコール水溶液で70±5℃で;そしてニンジンの根はアルコール、特に50%(v/v)のアルコール水溶液で70±5℃で抽出されることが好ましい。前記抽出物はそれぞれさらに濾過される。
【0086】
(2)薬草ペーストの調製
抽出によって調製された薬草について、それぞれの薬草抽出物は、それぞれ濾過される。濾過後、各薬草抽出物はそれぞれ減圧下で水浴(50℃に維持される)中で、各薬草ペーストが形成されるまで濃縮される。
【0087】
(3)濃縮粉末の調製
濃縮物は、好ましくはそれぞれ乾燥され、濃縮粉末が製造される。任意で製薬上適切な賦形剤が濃縮物に添加されてもよく、得られた混合物は乾燥されて抽出物(原薬)が製造される。前記賦形剤は、好ましくは、特に制限されないが、デンプン、アミロース、アミロペクチン、ゼラチン、スターチ1500、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびキトサンを含む多糖類製品である。最も好ましい賦形剤はコーンスターチである。
【0088】
(4)顆粒の調製
各薬草の濃縮粉末を混合し、ふるいを通して粉末混合物のサイズが一定の範囲内であることを確実にする。さらに、ステアリン酸マグネシウムなどの製薬上適切な賦形剤を粉末混合物に添加し、混合物を完全に混合し造粒する。造粒は流動床(Flow bed)を用いて熱乾燥段階で行われる。得られた顆粒はふるいを通して顆粒のサイズが一定の範囲内であることを確実にし、半製品を形成する。さらに、前記半製品の顆粒は、ステアリン酸マグネシウムなどの製薬上適切な賦形剤と完全に混合され、当業者、特に製薬産業においてよく知られた処方によって、錠剤、ボール、粉末、カプセル、および顆粒に加工されうる。
【0089】
以下の実施例は説明のためのものであって、発明の範囲を限定しようとするものではない。正当な当業者に理解されるような正当な変形は、本発明の範囲を逸脱することなく行われうる。
【実施例】
【0090】
実施例1
薬草薬剤組成物(SB221)の調製
本発明の薬草薬剤組成物1は以下のように調製した:
1.それぞれ約20gのスクテラリアの根、オウレンの根茎、およびニンジン、ならびに約40gのダイオウの根/根茎を、煎じて使用できる薬草の小さな薄い薄片を含む「Yin Plan(「飲用小片」の意味)」の形態で、それぞれ秤量した。
【0091】
2.(1)の薬草は、それぞれグラインダーで、それぞれの粉末の形態に粉砕された。
【0092】
3.それぞれ秤量したスクテラリアの根およびオウレンの根茎の薬草を個々に、約20体積の水で約60分間煮る、および/または茹で、スクテラリアの根およびオウレンの根茎の薬草抽出物をそれぞれ製造した。
【0093】
4.それぞれ秤量したダイオウの根/根茎の薬草を約20体積のアルコール:水(95:5,v/v)で約60分間還流下で抽出しダイオウの抽出物を製造した。
【0094】
5.それぞれ秤量したニンジンの根の薬草を約20体積のアルコール:水(50:50,v/v)で約60分間還流下で抽出しニンジンの抽出物を製造した。
【0095】
6.それぞれ濾過した(6)の薬草抽出物を、50℃の水浴で加圧下で、薬草ペーストが形成されるまで個々に濃縮した。
【0096】
7.適当な量のコーンスターチ(賦形剤)を、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの薬草ペーストに添加して完全に混合し、コーンスターチが添加された各薬草ペーストを、各薬草ペーストが濃縮粉末になるまで乾燥処理した。
【0097】
8.4つの薬草ペースト(すなわちスクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根)のすべてからの濃縮粉末を完全に混合し、100メッシュのふるいでふるって混合粉末を形成した。
【0098】
9.任意で、さらにコーンスターチを混合粉末に加え、その後流動床で造粒して顆粒を形成した。
【0099】
10.前記顆粒を再びふるい、本発明の薬剤組成物の半製品とされるSB221顆粒を形成する。
【0100】
11.SB221顆粒をサイズ0のハードゲルカプセルに充填し、本発明の薬剤組成物の完成製剤とした。
【0101】
薬理学的研究
研究1
WKYおよびSHRラットの血管拡張におけるSB221の効果
I.研究デザイン:
装置および機器:
血圧測定装置(Biopac System MP150);バイオセーフ滅菌オペレーティングステーション;Dynex MRX Revelationマイクロプレートリーダー;Nikon TRADE SECRET−100倒立顕微鏡;Galaxy R CO2インキュベータ。
【0102】
試薬:
CD31(PECAM−I)(Santa Cruz Cat.SC−1506);コラゲナーゼ(Sigma Cat.C−5138);内皮細胞成長サプリメント,ECGs(Sigma Cat.E−9640);アセチルコリン,ACh(Sigma Cat.A6625);NW−ニトロ−L−アルギニン(L−NNA)(Sigma Cat.N−5501);塩化テトラエチルアンモニウム(Sigma Cat.T−2265);フェニレフリン(L−型)(Sigma Cat.P−6125);N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸,HEPES(Sigma Cat.H−3375);ウシアルブミン,BSA(Sigma Cat.A−4503);エチレンジアミン四酢酸,EDTA(Sigma Cat.EDS);グルコース(Sigma Cat.G−8270);硫酸マグネシウム,MgSO4(Sigma Cat.M−7506);3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド,MTT(Sigma Cat.M−5655);コラーゲン(Vitrogen 100);ウシ胎仔血清,FBS(Gibco Cat.10270−106);グルタミン(Gibco Cat.25030−081);M199(Gibco Cat.31100−35);ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Gibco Cat.15140−122);ピルビン酸塩(Gibco Cat.11360−070);トリプシン−EDTA(Gibco Cat.15400−054);乳酸脱水素酵素,LDH(Promega Cat.G1780);リン酸二水素カリウム,KH2PO4(Merck Cat.1.04873.0250);塩化ナトリウム,NaCl(Merck Cat.1.06404.1000),炭酸水素ナトリウム,NaHCO3(Merck Cat.1.06329.0500);ジメチルスルホキシド(DMSO)(Cat.1.09678.0100);塩化カリウム,KCl(Showa Cat.SE−3439K);無水塩化カルシウム,CaCl2(Junsei Cat.4−22)。
【0103】
研究動物:
本研究では、チャールズ リバー ラボラトリーズから入手した8週齢の雄のWKYラットおよび高血圧自然発生ラット(SHR)を用いた。動物を空調管理された動物室で22±2℃、12時間の暗/明サイクル(7:00〜19:00を明)下に保った。前記動物は制限されずに水と食物を与えられた。
【0104】
試験溶液:
a.Krebs−Henseleit(KH)緩衝液;pH7.4;NaCl 118mM;NaHCO3 24mM;KCl 4.7mM;KH2PO4 1.2mM;MgSO4 1.2mM;CaCl2 1.7mM;EDTA30μM;グルコース10mM;を二回蒸留水中に含む。
【0105】
b.M199 pH7.4溶液;NaHCO3 2.2g;HEPES 4.8g;M199 1パック;P/S 10mL;ヘパリン15〜17mg、ピルビン酸塩10mL、およびグルタミン10mLを1Lの二回蒸留水に溶解して調製される。
【0106】
II.方法:
処理:
WKYおよびSHRラットをそれぞれの週齢によって4つの群に分けた:(a)12週、(b)15週、(c)18週および(d)25週。各週齢の群は、さらにコントロールおよびSB221の部分群に細分された。SB221治療群は、胃管栄養を介して180mg/kgのSB221で治療された(10mL/kgで18mg/mLのSB221溶液を投与)。コントロール群は等体積の水を与えられた。動物は4週間連続して毎日治療された。治療の完了後の日の間のあらかじめ設定された制限時間内に前記動物を殺して血管試験および免疫組織化学染色分析の試料をとった。
【0107】
血管切片の調製:
a.実験開始前に循環水浴を作動させ、温度を37℃に設定した。
【0108】
b.約10〜20mLのKH緩衝液を、3つのペトリ皿にそれぞれ入れた。前記緩衝液を95%O2/5%CO2でエアレートした。
【0109】
c.動物を麻酔した後、動物の胸腔を開いて心臓を露出した。血液を心臓から取り出した。大動脈のアーチから隔膜の上の胸部大動脈までの部分を解剖し、速やかに酸素処理ペトリ皿に入れた。
【0110】
d.胸部大動脈の結合組織および血管枝を眼科用鋏を用いて切り取った。大動脈の血壊を注意深く洗浄した後、大動脈を外科用ブレードを用いて2〜4の切片(それぞれ約2〜3mm長さ)に切断した。大動脈の各切片を血管フックを用いて掛け、注意深くチャンバに入れた。動物の数に応じて大動脈の切片を4〜8のチャンバに分けてもよい。
【0111】
e.大動脈の切片の基礎張力を2gに調整して30分間維持し、その後張力測定を行った。
【0112】
血管拡張試験:
大動脈の切片をはじめに10−6Mのフェニレフリンで収縮させた。収縮が安定した後、10−9〜10−6Mのアセチルコリン(ACh)を大動脈の切片に加えた。大動脈の切片の血管拡張率を観察し、内皮細胞の機能が正常であるかどうかを決定した。
【0113】
統計的分析
張力の変化を弛緩%で表した。最大収縮を、誘導因子の最大濃度における収縮張力で表した。各動物は試験化学物質に対して異なる応答を示しうるのみならず、同じ動物の異なる大動脈の切片もまた試験化学物質に対して異なる応答を示しうる。したがって、各大動脈の切片の結果はデータ解析の際に独立したデータとして扱い、結果を平均±標準偏差(SD)として表した。群間の比較をtwo−factor ANOVAを用いて行った。ANOVAにおいて有意な差がみられたデータについてさらにStudent−Newman−Keuls’testを用いた事後解析を行った。有意のレベルをp<0.05に設定した。
【0114】
結果
図2に示すように、AchはSHRコントロールラットの大動脈において血管拡張を誘起した。弛緩%(すなわち血管拡張)は、Ach濃度が10−9Mから10−7Mまで増加するにしたがって増加し、10−7Mで血管拡張率の最大値を示した。Achが10−8MのときSHR−25Wコントロールラットの平均血管拡張率は、SHR−15Wコントロールラットと約14%異なった(これは統計的に有意である[p<0.05])。Achが10−7Mのとき25週齢のSHRコントロールラットの平均血管拡張率は、SHR−12WおよびSHR−15Wコントロールラットと約29%異なった(これは統計的に有意である[p<0.05])。Achが10−6Mのとき25週齢のSHRコントロールラットの平均血管拡張率は、SHR−12WおよびSHR−15Wコントロールラットと、それぞれ13%および16%の有意な差を示した。これらの結果は、SHRコントロールラットの血管拡張機能がラットの加齢にしたがって低下したことを示し、これは血管の内皮細胞の機能が時間とともに低下したことを示唆している。
【0115】
図3および4に示すように、SHR−12W SB221、SHR−12Wコントロール、SHR−15W SB221およびSHR−15Wコントロールラットの平均最大弛緩%(すなわち血管拡張)はそれぞれ83%、95%、91%および96%であった。コントロール群とSB221群との間に血管拡張の有意な差はなかった。これは12週齢および15週齢のラットにおいてSB221治療は有意な効果がなかったことを示している。
【0116】
図5に示すように、SHR−18W SB221およびSHR−18Wコントロールラットの最大弛緩%(すなわち血管拡張)はAchが10−7Mで起こり、SHR−18W SB221ラットで約90.7%の、SHR−18Wコントロールラットで約68%の最大弛緩%を与えた。これは約23%の統計的に有意な差を与えた。Achが10−8Mのとき、SHR−18W SB221ラットは、SHR−18W SB221とSHR−18Wコントロールラットとの間に約37%の統計的に有意な差(P<0.05)を示した。この結果は、SB221治療は18週齢のSHRラットの最大弛緩%を増加させることによって内皮細胞の機能を改善したことを示す。
【0117】
図6に示すように、SHR−25W SB221およびコントロール群は、Achが10−7Mで最大弛緩%(すなわち血管拡張)を示し、SHR−25W SB221およびコントロールラットの最大弛緩%はそれぞれ約90%および約67%であった。これは約23.2%の統計的に有意な差を示した。Achが10−8および10−6Mのとき、SHR−25W SB221ラットは、SHR−25Wコントロールラットに対して約19%および約12%の最大弛緩%の有意な差を示した。この結果は、SB221治療は25週齢のSHRラットの内皮細胞の機能を改善したことを示す。
【0118】
図7に示すように、Achが10−8Mのとき、WKY−25Wコントロールラットは、WKY−12Wコントロール、WKY−15WコントロールおよびWKY−18Wコントロールラットに対して、それぞれ約21%、約25%、および約13%の最大弛緩%(すなわち血管拡張)の有意な差を示した。Achが10−7MのときWKY−25Wコントロールラットは、WKY−12Wコントロール、WKY−15WコントロールおよびWKY−18Wコントロールラットに対して、それぞれ約35%、約31%、および約21%の最大弛緩%の有意な差を示した。Achが10−6MのときWKY−25Wコントロールラットは、WKY−12WコントロールおよびWKY−15Wコントロールラットに対して、それぞれ25%および23%の血管拡張の有意な差を示した。これらの結果は、WKYコントロールラットの血管拡張機能は、ラットの加齢にしたがって低下したことを示し、これは内皮細胞の機能の低下を示唆している。
【0119】
図8および9に示すように、WKY−12WおよびWKY−15ラットの最大弛緩%(すなわち血管拡張)は、Ach濃度が10−9Mから10−6Mまで増加するにしたがって増加し、10−6Mで血管拡張の最大値を示した。10−9、10−7、および10−6Mのとき、WKY−12W SB221とコントロールラットとの弛緩%は約5%以下の差であった。10−8Mのとき、WKY−12W SB221とコントロールラットとの最大弛緩%の間に約28%の有意な差があった。WKY−15W SB221ラットおよびコントロールラットの最大弛緩%はそれぞれ約100%および約95%であった。この結果はSB221治療にかかわらず、WKY−15Wラットの内皮細胞の機能において有意な差を示さない。
【0120】
図10に示すように、WKY−18W SB221およびコントロール群は、Achが10−7および10−6Mで最大弛緩%(すなわち血管拡張)を示した。WKY−18W SB221ラットおよびコントロールラットの最大弛緩%はそれぞれ約94%および約86%であった。SB221群とコントロール群との間に血管拡張の有意な差はなかった。これはWKY−18Wラットの内皮細胞の機能においてSB221治療は有意な効果がなかったことを示している。
【0121】
図11に示すように、WKY−25Wラットの最大弛緩%(すなわち血管拡張)は、Ach濃度が10−9Mから10−6Mまで増加するにしたがって増加した。WKY−25W SB221ラットとコントロールラットとの最大弛緩%はそれぞれ約78%および約73%であった。SB221群とコントロール群との間に血管拡張の有意な差はなかった。これはWKY−25Wラットの血管の内皮細胞においてSB221治療は有意な効果がなかったことを示している。
【0122】
つまり、正常血圧(WKY)ラットの血管拡張の研究の結果は、正常なラットの最大弛緩%は一般に、および有意に、加齢によって減少することを示し(図7)、加齢による血管の内皮細胞の機能の低下を示した。しかしながら、WKYラットに対するSB221治療は、血管拡張に有意な差を示さず、正常血圧のラットにおけるSB221の効果は有意ではないことが示唆された(図8〜11)。
【0123】
しかしながら、WKYラットでの知見とは対照的に、SHRラットがさまざまな週齢の動物の血管拡張の効果の研究に用いられた場合、図2に示されるように、最大弛緩%は、12W群と15W群との間で加齢によって有意に減少し(p<0.05)、WKYラットで起こったのと同様に加齢が血管拡張の変化に寄与することを示した。しかしながら、WKYラットの場合(図7)と異なって、最大のAch(10−6M)が与えられると、25W−WKYラットの約70%(図7)に対して、SHR−25W群における最大弛緩%は約50%であり(図2)、SHRラットは老化すると潜在的な高血圧が進行することが示された。また、図8〜11に示すように、SHRラットのコントロールとSB221群との間に最大弛緩%の有意な差があり(p<0.05)、SB221が高血圧の進行および血管拡張の低下を阻害する効果を示すことが示唆された。
【0124】
この研究の結果は、正常血圧のラットにはSB221の効果は有意ではないことを示した。しかしながら、SB221は、おそらく血管内皮における内皮細胞の変性を防止する保護効果を通して、血管の拡張を有意に増加させることによって高血圧の動物において有意な血圧低下効果を示した。
【0125】
議論
内皮依存性血管拡張剤(すなわちACh)を用いた機能試験を通して、内皮細胞の変性に対する予防効果を示すことがわかった。
【0126】
WKYおよびSHRラットの双方における加齢による内皮細胞の変性は、おそらく以下の理由による:(1)Gaiタンパク質の損傷;(2)NO、プロスタサイクリン、および内皮由来過分極因子(EDHF)の分泌の減少;(3)エンドペロキシドの分泌の増加;(4)活性酸素種の生成の増加;(5)エンドセリン−1の生成の増加;および(6)NO、プロスタサイクリンおよびEDHFに対する血管平滑筋細胞の感度の低下。同様の現象が高齢者および高血圧の人の患者にもみられた。上腕の動脈血流の測定を通して、これらの2つの人口集団はNO経路の機能を失い、シクロオキシゲナーゼ依存性血管収縮剤の生成を増加させる傾向にあることがわかった。
【0127】
結論
この研究は、18週齢またはそれ以上のSHRラットにおいて、SB221が血圧低下効果を有するだけでなく内皮保護効果も有することを示した。
【0128】
研究2
内皮細胞におけるSB221の保護効果:CD31免疫組織化学法を用いた形態学的研究
血小板/内皮細胞接着分子−1(PECAM−1)は、CD31とも呼ばれ、単球、好中球、血小板、およびある種のT細胞、内皮細胞の表面に発現する糖タンパク質である(本明細書中に参照として組み込まれるSimmons et al. J.Exp.Med.1990;171:2147−2152;Berman et al.J.Immunol.1996;156:1515−1524を参照)。CD31は130〜140kDの単一鎖の糖タンパク質である。ウエスタンブロット法、免疫沈降および免疫組織化学(パラフィン包埋切片を用いた)による、PECAM−1抗体を用いたCD31の検出が内皮細胞の形態学的研究において用いられてきた。
【0129】
以下の段落では、上述の研究1に従って調製した大動脈の切片の形態学的研究を、免疫組織化学法によって、CD31を検出するためにマウス由来のPECAM−1のカルボキシ末端でのペプチドマッピングに対して生じる、アフィニティー精製したヤギのポリクローナル抗体を用いて行った。
【0130】
方法:
装置/機器、試薬、試験溶液、動物、動物の処理、および血管切断は上記研究1と同様である。
【0131】
CD31免疫組織化学染色
大動脈の切片を10%ホルマリンに浸し、その後パラフィンに包埋し、切断した。パラフィン切片にCD31免疫組織化学染色を行った。いくつかの染色チャンバを、キシレン1(100%キシレンを含む)、キシレン2(100%キシレン)、キシレン3(100%キシレン)、100%エタノール、95%エタノール、75%エタノール1、50%エタノール、および100%水として準備した。パラフィン切片を、はじめにキシレン1、キシレン2、およびキシレン3に10分間ずつ順次入れ、次いで100%、95%、75%、50%エタノールに、その後水に5分間ずつ順次入れた。次にパラフィン切片を3%H2O2/メタノール(1/4)溶液の入った容器に10分間入れ、過剰の溶液をすすぎ、その後0.1%トリプシンに37℃で30分間、および3%BSAブロティングに70分間、順次入れた。溶液を捨て、CD31の一次抗体を1:300で加えた後、パラフィン切片を4℃で一晩浸した。その後パラフィン切片を溶液から取り出し、続けてリンク抗体溶液、ストレプトアビジンペルオキシダーゼ溶液に15分間ずつ入れた。パラフィン切片をDABで染色した。溶液の交換の間、切片をPBSで5分間ずつ5回洗浄した。染色後、パラフィン断片を顕微鏡下で観察した。
【0132】
統計的分析
CD31免疫組織化学染色の結果を可視的に評価した。
【0133】
結果:
図14に示すように、SHR−12Wコントロールラット(A)およびSHR−15Wコントロールラット(B)の内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面であった。しかしながら、SHR−18Wコントロールラット(C)およびSHR−25Wコントロールラット(D)の内皮は、それぞれ平坦でない、部分的に剥離した表面を有した。この結果は、18週齢またはそれ以上の週齢のSHRラットは損傷された内皮を有することを示した。
【0134】
図15(A)〜(D)に示すように、SHR−12W SB221、SHR−15W SB221、SHR−18W SB221およびSHR−25W SB221ラットの内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面を有した。この結果は、SB221は、SHRラットの内皮細胞に保護効果を有し、18週齢またはそれ以上の週齢以降、細胞を損傷から保護することを示す。
【0135】
図16に示すように、WKY−12Wコントロールラット、WKY−15Wコントロールラット、WKY−18Wコントロールラット、およびWKY−25Wコントロールラットの内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面を有した。この結果は、12〜25週齢では、WKYラットの内皮細胞は劣化しなかったことを示す。
【0136】
図17に示すように、WKY−12W SB221、WKY−15W SB221、WKY−18W SB221、およびWKY−25W SB221ラットの内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面を有した。この結果は、SB221はWKYラットの内皮細胞の形態に影響を与えなかったことを示した。
【0137】
研究3
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究
豊富で利用しやすい内皮細胞の型として、HUVECは血管形成および心臓病を調べる循環器研究のツールとしてしばしば用いられる。
【0138】
HUVECにおけるSB221の細胞毒性効果を、乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイおよびMTTアッセイを用いて研究した。細胞の原形質膜が試験薬物によって崩壊すると、細胞質LDHは周囲の媒質中に放出される。したがって、より低いLDH活性の計測値は、試験薬物のより低い細胞毒性を示す。一方、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)は水溶性のテトラゾリウム色素である。生きた細胞の活性なミトコンドリアの脱水素酵素は、黄色がかったMTTを不溶性の濃い紫色のホルマザンに変換する。この変換は死んだ細胞では起こらない。水に不溶のホルマザンは単離され、有機溶媒に溶解され分光光度法で定量されうる。したがって、より高いホルマザンの計測値は、試験薬物のより低い細胞毒性を示す。
【0139】
材料:
HUVECは、台湾台北県中和の龍山婦人小児科病院の院長であるDr.K.C.Linによって提供された。ヒトの臍帯の試料を滅菌PBS緩衝液に入れた。I型コラゲナーゼを溶液に入れた。内皮細胞を溶液の吸引/放出を繰り返すことによって洗浄した。細胞を、20%の血清、内皮培養増殖溶液(ECGs)15mg/mLを含むM199培地で、37℃で、5%CO2/95%空気のインキュベータで培養した。培地を次の日に換え、その後1日おきに換えた(Jaffe et al.J.Clin.Invest.1973;52:2745−2756)。
【0140】
他の試薬は上記研究1に記載したものと同様であった。
【0141】
方法:
1.LDHアッセイ
HUVEC細胞が培養瓶中に密集した後、細胞をトリプシン−EDTA溶液で懸濁させた。次いで、懸濁させた細胞を96ウェル培養プレートに5×103細胞/ウェルで入れた。細胞毒性のない基礎参照値を得るために、コントロール群をFBSを含まないM199培地で成長させた。実験群をさまざまな濃度のSB221を含むM199培地で成長させた。4時間後、培地を回収し、等体積のLDHキット試薬と均一に混合した。混合物を露光から保護して室温に30分間保持した。その後、培地と等体積の停止試薬を混合物に加えた。次いで、反応の結果を490nmの波長で検出した。細胞の全溶解物もまた、100%の細胞毒性の参照値を得るために実験に含められた。LDH活性の結果は、細胞の溶解物の%で表され、全溶解物群の吸収を100%として計算された。
【0142】
2.MTTアッセイ
HUVEC細胞が培養瓶中に密集した後、細胞をトリプシン−EDTA溶液を培地に加えて懸濁させた。細胞を96ウェル培養プレートに5×103細胞/ウェルで入れた。その後、細胞をM199培地中で24時間インキュベートした。次いで、基礎参照値を得るためにコントロール群をM199培地で培養した。試験群をさまざまな濃度のSB221を含むM199培地で培養した。24時間後、培地を0.5mg/LのMTTを100μL含む新しい培地で置き換えた。細胞を37℃のインキュベータで2時間培養した。MTTを除去した後、DMSOを各ウェルに加えて細胞を溶解させた。ELISAリーダーを用いて550nmでの溶液の吸光度を測定した。吸光度の差を決定し、基礎コントロール群の吸光度の差を100%としてパーセンテージを計算した。
【0143】
統計的分析
LDHおよびMTTアッセイの結果を平均±標準偏差(SD)として表した。群間の差はone−factor ANOVAを用いて解析した。さらに、ANOVA解析において有意な差を示したデータについてPost Hoc Tukey試験を行った。有意のレベルをp<0.05に設定した。
【0144】
結果
図12に示すように、コントロール群(基礎値、細胞毒性を示さない)のLDH活性は、全溶解物群(100%の細胞毒性を示す)と比べて約14%であった。1×10−6〜1×10−3mg/mLのSB221で処理されたHUVEC細胞のLDH活性は、基礎値のものに対して3%以内の差であり、基礎値のものと有意な差はなかった。LDHアッセイの結果は、SB221は内皮細胞に対して毒性がないことを示す。
【0145】
図13に示すように、SB221はHUVECに対して細胞毒性効果を有さない。1×10−6〜1×10−3mg/mLのSB221で処理されたHUVEC細胞によるMTT変換は、コントロール群(基礎値、細胞毒性なし)のものと比較して、125.4%から80.0%まで変化した。基礎値とSB221群の値との間に有意な差はなかった。MTTアッセイの結果は、SB221は内皮細胞に対して毒性がないことを示す。
【0146】
結論:
SB221はHUVECに対して細胞毒性がなかった。
【0147】
本発明は、例として好ましい実施形態を記載したものであって、本発明は開示された実施形態に制限されないと理解されるべきである。むしろ、当業者に明らかであろう様々な変更を含むことを意図する。したがって、特許請求の範囲は、これらの変更のすべてを包含するように最も広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の薬剤組成物を製造するための製造工程のフローチャートを示す。QC:品質管理。QC工程には、(a)薬草成分段階(原料を含む);(b)原薬段階(各薬草の濃縮粉末を含む);(c)半製品段階(混合顆粒を含む);および(d)完成製剤段階(カプセルを含む)の、4つの試料捕集点がある。
【図2】さまざまな週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:SHR−12Wコントロール(●);SHR−15Wコントロール(□)SHR−18Wコントロール(▲)およびSHR−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がSHR−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図3】12週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図4】15週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図5】18週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図6】25週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図7】図7は、さまざまな週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:WKY−12Wコントロール(◆);WKY−15Wコントロール(□)WKY−18Wコントロール(▲)およびWKY−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がWKY−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図8】図8は、12週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図9】15週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図10】18週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図11】25週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図12】細胞培地中にみられる乳酸脱水素酵素(LDH)活性(細胞溶解物の%として表す)(n=3)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。LDH活性の結果を、(SB221なしに細胞を成長させた)基礎LDH値および(細胞が収集されて均一化された)全細胞溶解物と比較した。全細胞溶解物を100%LDH値として表した。この研究の結果は、基礎群とSB221群との間にLDH活性に統計的に有意な差がなかったことを示す(10−6〜10−3g/mlの間)。HUVECの基礎LDH活性は、全溶解物の約14%であり、SB221群のLDH活性は基礎群のそれと3%以内の差であった。基礎群およびSB221群の双方においてLDH活性は全細胞溶解物のものと有意に異なっていた。
【図13】SB221処理細胞および基礎値を与えるコントロール細胞(すなわちSB221処理をしない細胞)から収集した細胞培地のMTTテトラゾリウム塩熱量分析(n=7)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。データ解析は、one−factor ANOVAを用いて行った。この結果は、基礎群とSB221群との間に統計的に有意な差がなかったことを示す。
【図14】SHRコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12Wコントロール、(B)SHR−15Wコントロール、(C)SHR−18Wコントロール、および(D)SHR−25Wコントロール。CD31は、白血球(TおよびB細胞、単球、顆粒球、血小板、骨髄細胞の40%)、内皮、および平滑筋細胞上にみられる、質量130〜140kDの、広く分布した単一鎖の糖タンパク質である。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は、血管の空洞が並ぶ細胞の層を形成する内皮細胞を示す。(C)および(D)に示される内皮(内皮細胞の層)は、中皮層のいくつかを見せる、不均一で部分的にはがれた表面を含む。
【図15】SB221で治療されたSHRラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12W SB221、(B)SHR−15W SB221、(C)SHR−18W SB221、および(D)SHR−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。不均一で部分的にはがれた表面を有したSB221治療をしない18週齢および25週齢のラットの内皮細胞(図14(C)および(D)を参照)と対照的に、SB221での治療後、全ての週齢群において内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【図16】WKYコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12Wコントロール、(B)WKY−15Wコントロール、(C)WKY−18Wコントロール、および(D)WKY−25Wコントロール。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。WKYコントロールラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【図17】SB221で治療されたWKYラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12W SB221、(B)WKY−15W SB221、(C)WKY−18W SB221、および(D)WKY−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。SB221(本発明の薬剤組成物)での治療後、WKYラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、2001年12月21日に提出された台湾の出願第90131897号の優先権を主張する、2002年6月10日に提出された米国特許出願第10/164,568号の部分継続出願(CIP)である。両出願の内容は参照として本明細書中に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、血管拡張の改善および/または正常な血管拡張の維持;血圧の低下および安定な血圧の維持、ならびに血管の内皮細胞の変性からの保護のための、スクラテリア(scutellaria)の根(黄ごん(Radix Scutellariae))、オウレン(coptis)の根茎(黄連(Rhizoma Coptidis))、ダイオウ(rhubarb)の根/根茎(大黄(Radix et Rhizoma Rhei))、およびニンジン(ginseng)の根(人参(Radix Ginseng))からの抽出物を含む薬剤組成物に関する。本発明はまた、薬草薬剤組成物の調製または使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
世界保健機関(WHO)のデータに基づくと、循環器疾患は1999年の全世界における死亡の1/3を占め、2010年までには発展途上国の主な死亡原因になると予想されている。循環器疾患は、特に制限されないが、高血圧、冠状動脈性心臓病(心臓発作)、脳血管疾患(発作)、末梢血管疾患、心臓麻痺、リウマチ性心疾患、先天性心疾患、および心筋症を含む心臓および血管の障害の群の名称である。
【0004】
高血圧は圧倒的に最も広くみられる循環器疾患である。45歳以上のアメリカ人の1/3以上が高血圧であり、その中で、50%以上が60歳以上である。未治療の高血圧は、例えば発作、冠状動脈性心臓病、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、心臓麻痺、腎不全および失明などの、深刻で命にかかわる合併症を引き起こしうる。
【0005】
高血圧に関する第7次米国合同委員会報告(JNC VII)に示されるように、高血圧の現在の治療は、利尿薬、α−遮断薬、β−遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ACE阻害剤、およびアンジオテンシン拮抗薬を含む。これらの薬剤は、単剤としてまたは組み合わせて用いられうる。しかしながら、これらの薬剤のほとんどは、症状を改善するが疾患を治癒しない。これらの薬剤はまた、しばしば副作用を伴う。
【0006】
ヒトの高血圧を引き起こす主なメカニズムのひとつは、内皮の機能障害である。内皮は、心臓ならびに血管およびリンパ管のキャビティに並ぶ上皮細胞の層である。その主な役割は、血管拡張および血管収縮のメディエーターを生成することによって血管の調子と構造との両方を調節することである。
【0007】
アセチルコリンのような特定の作用薬に活性化されると、内皮細胞は、内皮NOシンターゼ(「eNOS」)の活性を介したL−アルギニンの分解によって生じる不安定な物質である一酸化窒素(「NO」)を生成する。NOは、さらに血小板凝集を阻害し、筋肉細胞の増殖を円滑にする強力な弛緩剤である。
【0008】
高血圧または加齢などの病的状態の下では、内皮のアゴニスト誘導性の刺激は、シクロオキシゲナーゼ経路を活性化し、その結果トロンボキサンA2またはプロスタグランジンH2、またはフリーラジカル(例えばスーパーオキシドアニオン)を含むシクロオキシゲナーゼ依存性因子を生成する。機能障害の内皮はまた、血管損傷、特にアテローム性動脈硬化を引き起こしうる。
【0009】
シクロオキシゲナーゼには2つのアイソフォームであるシクロオキシゲナーゼ1および2(COX−1およびCOX−2)がある。これはプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ1および2とも呼ばれ、アラキドン酸のプロスタグランジン、トロンボキサン、および他のエイコサノイドへの変換において鍵となる酵素である。COX−1およびCOX−2は、その組織発現および調節における著しい違いによって、異なった生理的機能を有すると考えられている。COX−1は、常時体内に存在し、胃粘膜の完全性の維持、正常な血小板機能の媒介、および腎血流の調節などの恒常性維持機能に重要な細胞保護プロスタグランジンの生成に関与する構成酵素である。対照的にCOX−2は、炎症性プロスタグランジンの生成をもたらす、シクロオキシゲナーゼの速い誘導型である。COX−2の発現は基本条件に強く制限されるが、炎症時は大きく上方調節される。COX−2の関与およびプロスタグランジンの生成の上昇は、高濃度のNOが存在する疾患および障害に加えて、脳虚血および癌などのさまざまな疾患および障害に関連する。
【0010】
NOは、COX−2の活性を調節し、炎症および自己免疫が媒介する組織の破壊に関与する。NOのCOX−2に対する効果は投与量に依存する。低濃度のNOはCOX−2を活性化する。一方、誘導型一酸化窒素合成酵素(「iNOS」)によって生成された大量のNOはCOX−2の誘導を阻害し、COX−2代謝産物の生成を抑制しうる。
【0011】
iNOSは、心筋梗塞(MI)後の心筋層において、および心臓麻痺において発現する。心筋層は、心筋から形成される心臓壁の中央の最も厚い層である。iNOSの上方調節および過剰発現は、軽度の炎症細胞の浸潤、心臓繊維症、肥大および膨張に関連する。心臓肥大はうっ血性心不全(CHF)の進行の重要な危険因子である。iNOSの過剰発現はNOの過剰生産をもたらし、心筋機能障害およびCHFの原因となる。
【0012】
CHFは、弱くなった心臓機能が付随する浮腫とともに存在する心臓疾患の形態である。CHFは、血液を心筋に供給する動脈の狭窄(冠状動脈性心臓病)、正常な電子心臓機能を妨げるのに十分な大きさ、または配置の瘢痕組織をもたらす事前の心臓発作(心筋梗塞)、高血圧などを含む多くの異なる原因がある。CHFは、成人に発生する最も深刻な循環器疾患のひとつである。400万人以上の人がCHFを有し、発生率は上昇している。この疾患または状態の発生率は、人口の加齢に伴って上昇し、現在は高齢者の入院の最も多い原因である。CHFに関する米国ヘルスケアの総支出は年間50億ドルを超える。
【0013】
心房細動(AF)は、心房心筋の速いランダムな収縮を特徴とする心房性不整脈であり、全体的に不規則な、しばしば速い心拍数を引き起こす。AFは炎症によって促される心房の構造変化によって持続しうる。C反応性タンパク質(CRP)は、AFの一般的な続発症である心血管系疾患および発作を予測する全身性炎症マーカーである。CRPはまた、内皮細胞による接着分子の発現を誘導する。
【0014】
長年西洋医学において万能薬が探索されてきたが、研究者はさまざまな疾患の薬物治療に用いる伝統的な漢方薬に転換した。漢方薬は、数千年間さまざまな疾患を治療するために存在し、用いられてきた。
【0015】
例えば、San−Huang−Hsie−Hsin−Tangは、Chin−Kuei−Yao−Lueh(英語に訳すと「金のチャンバからの処方」)に初めて記載された、「火をパージし3つの胴をクリアにする」のための古い薬草の煎じ薬であり、不十分な心臓の「Chi」、吐血および鼻出血に対して示されるものである。前記煎じ薬は、等量のスクテラリアの根(黄ごん)、オウレンの根茎(黄連)、ならびにダイオウの根および根茎(大黄)から作製された。前記煎じ薬は苦味を有し、寒性である。前記煎じ薬は、うっ血、紅潮、落ち着きのなさ、肩こり、胃の閉塞性の下降、便秘、および強い脈を有する患者に対するものである。しかしながら、前記煎じ薬は、長引く出血、著しい貧血、およびきわめて弱い脈の症状のある患者には禁忌であるか、適さない。
【0016】
米国特許第5,443,839号には、特にスクテラリアの抽出物を含む、抗炎症、抗アレルギー、または抗老化の活性を有する組成物が開示されている。この組成物が循環器疾患および高血圧の治療に効果があることは示唆されていない。
【0017】
米国特許第6,274,177号には、抗炎症および抗血小板凝集に強力なショウガ(Zingiber officinale)からの抽出物を調製する方法が開示されている。この薬草組成物が循環器疾患および高血圧の治療に効果があることは示唆されていない。
【0018】
米国特許第6,340,480号には、全身血管の弛緩および拡張を促進することによる、高血圧を含む循環状態を治療するための組成物および方法が開示されている。前記組成物は、経口でまたは局所的に投与される形態の、L−アルギニン、ニンジン、およびタイソウ(Zizyphi fructus)の天然の組み合わせである。この組み合わせは相乗的に働いてNOを合成し、これによって全身の血管の弛緩および拡張を促進する。組み合わされる成分は、それ自体がNOを製造しえない領域においてNOの臨界しきい値を維持するように働き、これによって高血圧を抑えるために全身の血管の弛緩および拡張を促進しうる。しかしながら、循環器疾患の治療において薬草組成物が効果的であるかどうかは明らかではない。
【0019】
親出願である米国特許出願第10/164,568号には、スクテラリアの根(黄ごん)の抽出物、オウレンの根茎(黄連)の抽出物、ダイオウの根/根茎(大黄)の抽出物、およびニンジンの根(人参)またはアメリカ人参の根(Radix Panacis Quinquefolii)の粉末を含む薬草薬剤組成物が記載されている。この薬草薬剤組成物は、循環器疾患の予防および治療の双方に効果がある。前記組成物はまた無毒であり、したがって、虚弱、高齢、および衰弱した人を含むすべての年齢および健康状態の患者に用いられうる。
【0020】
このCIP出願には、ニンジンの根(人参)の粉末がニンジンの根の抽出物で置き換えられている、わずかに異なる薬草薬剤組成物が記載されている。本発明の薬草薬剤組成物は、循環器疾患の予防と治療との両方において同様の効果を示すだけでなく、血管拡張の改善および/または正常な血管拡張の維持において優れた機能を、血管の内皮細胞において、特に内皮細胞の変性を防止することによって、保護機能を示す。
【発明の開示】
【0021】
発明の概要
本発明は、黄ごん(Radix Scutellariae)(スクテラリア(sctellaria)の根)、黄連(Rhizoma Coptidis)(オウレン(coptis)の根茎)、大黄(Radix et Rhizoma Rhei)(ダイオウ(rhubarb)の根/根茎)、および人参(Radix Ginseng)(ニンジン(ginseng)の根)の抽出物を含み、前記抽出物が、水およびエチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒で前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根をそれぞれ抽出することによって製造される、薬草薬剤組成物を提供する。
【0022】
本発明の薬剤組成物の、前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根および根茎、ならびに前記ニンジンの根は、約1〜2:1〜2:1〜2:1〜2、好ましくは約1:1:2:1の重量比である。好ましくは、前記スクテラリアの根および前記オウレンの根茎は水で約98±5℃で抽出され;前記ダイオウの根/根茎は約95%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出され;前記ニンジンの根は約50%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出される。
【0023】
本発明の薬剤組成物の抽出物は、抽出、濾過および濃縮によってそれぞれ処理される。これによって、それぞれの薬草のそれぞれの抽出物は濃縮ペーストになる。それぞれの濃縮ペーストはその後さらに乾燥されてそれぞれ濃縮粉末になる。任意で、製薬上許容される担体が、濃縮段階の前に、濃縮ペーストの乾燥を促進するために添加されうる。それぞれの薬草の濃縮粉末はさらに混合され、一体化されて造粒されて、カプセルに入れられうる顆粒を形成する。
【0024】
本発明の薬剤組成物は、哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する;血圧を低下させる、および/または安定な血圧を維持する;ならびに血管の内皮細胞を変性から保護する効果を有する。血管拡張は、血管の拡張、特に血管の一部への血流の増加をもたらす細動脈の拡張を意味する。
【0025】
本発明はさらに、以下の段階:(1)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根を溶媒(水、エチルアルコールまたはこれらの混合物)でそれぞれ抽出して、スクテラリアの根の抽出物、オウレンの根茎の抽出物、ダイオウの根/根茎の抽出物、およびニンジンの根の抽出物を個々に形成する;(2)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根からのそれぞれの抽出物を、個々に濾過し、濃縮して、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根の個々の薬草ペーストを形成する;(3)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの薬草ペーストを個々に乾燥させて、スクテラリアの根、オウレンの根、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの濃縮粉末を形成する;(4)スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの濃縮粉末を混合して薬草粉末混合物を形成する;および(5)前記薬草粉末混合物を造粒して前記薬草薬剤組成物の顆粒を形成する;を含む、本発明の薬草薬剤組成物を調製する方法を提供する。任意で製薬上許容される賦形剤または担体を、乾燥段階の前に各薬草ペーストにそれぞれ添加してもよい。薬剤組成物の顆粒をカプセルに入れてもよい。
【0026】
最後に、本発明は、本発明の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与することによって、例えばヒトなどの哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する;例えばヒトなどの哺乳類の安定な血圧を低下させる、および/または維持する;ならびに例えばヒトなどの哺乳類の血管の内皮細胞を変性から保護するための方法を提供する。薬草薬剤組成物は好ましくは経口で哺乳類に投与される。
【0027】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の薬剤組成物を製造するための製造工程のフローチャートを示す。QC:品質管理。QC工程には、(a)薬草成分段階(原料を含む);(b)原薬段階(各薬草の濃縮粉末を含む);(c)半製品段階(混合顆粒を含む);および(d)完成製剤段階(カプセルを含む)の、4つの試料捕集点がある。
【0028】
図2は、さまざまな週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:SHR−12Wコントロール(●);SHR−15Wコントロール(□)SHR−18Wコントロール(▲)およびSHR−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がSHR−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0029】
図3は、12週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0030】
図4は、15週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0031】
図5は、18週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0032】
図6は、25週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0033】
図7は、さまざまな週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:WKY−12Wコントロール(◆);WKY−15Wコントロール(□)WKY−18Wコントロール(▲)およびWKY−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がWKY−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0034】
図8は、12週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【0035】
図9は、15週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0036】
図10は、18週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0037】
図11は、25週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【0038】
図12は、細胞培地中にみられる乳酸脱水素酵素(LDH)活性(細胞溶解物の%として表す)(n=3)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。LDH活性の結果を、(SB221なしに細胞を成長させた)基礎LDH値および(細胞が収集されて均一化された)全細胞溶解物と比較した。全細胞溶解物を100%LDH値として表した。この研究の結果は、基礎群とSB221群との間にLDH活性に統計的に有意な差がなかったことを示す(10−6〜10−3g/mlの間)。HUVECの基礎LDH活性は、全溶解物の約14%であり、SB221群のLDH活性は基礎群のそれと3%以内の差であった。基礎群およびSB221群の双方においてLDH活性は全細胞溶解物のものと有意に異なっていた。
【0039】
図13は、SB221処理細胞および基礎値を与えるコントロール細胞(すなわちSB221処理をしない細胞)から収集した細胞培地のMTTテトラゾリウム塩熱量分析(n=7)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。データ解析は、one−factor ANOVAを用いて行った。この結果は、基礎群とSB221群との間に統計的に有意な差がなかったことを示す。
【0040】
図14は、SHRコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12Wコントロール、(B)SHR−15Wコントロール、(C)SHR−18Wコントロール、および(D)SHR−25Wコントロール。CD31は、白血球(TおよびB細胞、単球、顆粒球、血小板、骨髄細胞の40%)、内皮、および平滑筋細胞上にみられる、質量130〜140kDの、広く分布した単一鎖の糖タンパク質である。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は、血管の空洞が並ぶ細胞の層を形成する内皮細胞を示す。(C)および(D)に示される内皮(内皮細胞の層)は、中皮層のいくつかを見せる、不均一で部分的にはがれた表面を含む。
【0041】
図15は、SB221で治療されたSHRラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12W SB221、(B)SHR−15W SB221、(C)SHR−18W SB221、および(D)SHR−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。不均一で部分的にはがれた表面を有したSB221治療をしない18週齢および25週齢のラットの内皮細胞(図14(C)および(D)を参照)と対照的に、SB221での治療後、全ての週齢群において内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【0042】
図16は、WKYコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12Wコントロール、(B)WKY−15Wコントロール、(C)WKY−18Wコントロール、および(D)WKY−25Wコントロール。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。WKYコントロールラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【0043】
図17は、SB221で治療されたWKYラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12W SB221、(B)WKY−15W SB221、(C)WKY−18W SB221、および(D)WKY−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。SB221(本発明の薬剤組成物)での治療後、WKYラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明は、高齢者および衰弱した人を含む全ての年齢およびさまざまな健康状態の患者に適した、循環器疾患の予防および治療のための新しい薬草薬剤組成物を提供する。
【0045】
循環器疾患の科学的および医学的な理解の最近の進歩は、これらの疾患における、内皮の損傷、一酸化窒素(NO)、炎症反応、およびC反応性タンパク質(CRP)の関与に関してより多くの知識を提供する。内皮NOシンターゼ(eNOS)によって内皮で生じるNOは、強力な血管拡張剤であるだけでなく、血小板凝集を阻害し、筋肉細胞の増殖、単球接着および接着分子の発現を円滑にし、したがって内皮組織の完全性を維持する。プロスタノイドおよび酸素フリーラジカルを含むシクロオキシゲナーゼ(COX)依存性の因子の生成は、内皮の機能障害のおもな原因となりうる。機能障害の内皮は、したがって、より深刻な循環器疾患をさらにもたらしうる血管損傷を引き起こすおもなメカニズムの1つになりうる。シクロオキシゲナーゼの阻害は、本質的な高血圧においてNOが媒介する血管拡張を回復させうるため、抗炎症介入は治療的有用性を有しうる。
【0046】
疾患の状態、例えば心臓肥大、心筋梗塞(MI)、虚血、心筋炎および敗血性ショックの間、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の過剰発現は、NOの生成の増加をもたらす。高いNOレベルは、例えば心筋機能障害、うっ血性心臓麻痺および突然心臓死などのより深刻な合併症をもたらしうる。
【0047】
炎症過程の間、急性反応物質であるC反応性タンパク質(CRP)が生成する。CRPはしばしば、接着分子の発現を促進し、血管炎症、特にアテローム性動脈硬化の発症に直接的な役割をはたしうる、全身性炎症マーカーとして用いられる。CRPは、血管の危険因子ならびに一般のおよび偶発的なアテローム性循環器疾患、すなわち冠状動脈性心臓病、発作、および末梢動脈疾患と関連付けられてきた。
【0048】
循環器疾患の治療の新しいアプローチは、疾患のすべての態様を考慮するべきである。例えば、抗高血圧活性に加えて、新しい薬剤は健康な内皮を保護するだけでなく、機能障害の内皮の機能を改善するべきである。
【0049】
本発明は、循環器疾患を治療し予防するために、高い血圧を低下させ、正常な血圧を維持する;血管拡張を改善し、および/または正常な血管拡張を維持する;ならびに血管の内皮細胞を変性から保護する機能を有する薬草薬剤組成物を提供する。
【0050】
本発明の薬草薬剤組成物は、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジンの根の4つの薬草を含む。前記組成物に用いられる薬草は、上述の薬草の任意の変種でありうる。例えば、スクテラリアの根は、Scutellaria baicalensis Georgi、Scutellaria viscidula Bge.、およびScutellaria amoena C.H.Wrightの3つの近縁関係にある変種を有する。オウレンの根は、Coptis chinensis Franch.、Coptis deltoidea C.Y.Cheng et Hsiao、Coptis teetoides C.Y.Cheng、およびCoptis omeiensis(Chen)C.Y.Chengの4つの近縁関係にある変種を有する。ダイオウの根および根茎は、Rheum palmatum L.、Rheum tanguticum Maxim.、およびRheum officinale Baillの3つの近縁関係にある変種を有する。
【0051】
スクテラリアの薬剤効果は乾燥した根にあり、黄ごんの薬物名を有する。スクテラリアはシソ(Labiatse)科に属する。この薬草は主に中国の河北省、陝西省、および内蒙古で生産される。この薬草の最大の収穫期は春または秋である。スクテラリアの根は日光の下で乾燥され、薄く切られ、調製されずに用いられるか、または酒で撹拌ベークされるか炭に撹拌ベークされる。この薬草は苦味があり寒性である。伝統的な漢方薬によれば、この薬草は肺、胆嚢、胃、および大腸の経路における疾患の治癒に用いられうる。特にこの薬草は、患者の湿熱の除去、毒性の中和、止血および流産の予防に用いられうる。
【0052】
スクテラリアの根は、特に制限されないが、バイカリン(baicalin)、オロキシリンA−グルクロニド(oroxylin A−glucuronide)、オウゴニン−7−O−グルクロニド(wogonin−7−O−glucuronide)、バイカレイン(baicalein)、オウゴニン(wogonin)およびオロキシリンA(oroxylin A)などの活性成分を含む。バイカリンは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0053】
オウレンの薬剤効果はオウレンの乾燥した根茎にあり、黄連の薬物名を有する。オウレンはキンポウゲ(Ranunculaceae)科に属する。これは、主に中国の四川、湖北、および雲南で生産される。好ましい収穫期は秋である。オウレンの根茎は、細根および土が除去された後、日光の下で乾燥され、調製されずにまたはショウガ汁で撹拌ベークされて用いられる。この薬草は苦味があり寒性である。伝統的な漢方薬によれば、この薬草は心臓、胃、肝臓、および大腸の経路における疾患の治癒に用いられうる。
【0054】
オウレンの根茎は、特に制限されないが、ベルベラスチン(berberastine)、コロンバミン(columbamine)、ジャトロリジン(jatrorrhizine)、エピベルベリン(epiberberine)、コプチシン(coptisine)、パルマチン(palmatine)、およびベルベリン(berberine)などの活性成分を含む。ベルベリンは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0055】
ダイオウの薬剤効果はダイオウの乾燥した根および根茎にあり、大黄の薬物名を有する。ダイオウはタデ(Polygonaceae)科に属する。これは、主に中国の青海州および四川州で生産される。ダイオウの根および根茎は、その茎および葉が枯れ始める晩秋、または植物が発芽し始める前の春先に掘られる。収穫された薬草は乾燥され、薄く切られる。ダイオウの根および根茎は調製されずに、酒で撹拌ベークされて、または炭化されて用いられうる。これは苦味があり寒性である。伝統的な漢方薬によれば、ダイオウの根および根茎は脾臓、大腸、肝臓、および心臓の経路における疾患の治癒に用いられうる。
【0056】
ダイオウの根および根茎は、特に制限されないが、センノシドB(sennoside B)、センノシドA(sennoside A)、アロエーエモジン(aloe−emodin)、レイン(rhein)、エモジン(emodin)、およびクリソファノール(chrysophanol)などの活性成分を含む。センノシドAおよび/またはエモジンは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0057】
人参(ニンジンの根)およびRadio Panacis Quinquefolii(アメリカニンジン、Panax quinquefollum Lの根)の2種のニンジンがある。人参(ニンジンの根)は、本発明の薬草薬剤組成物に用いられる。人参は、ウコギ科に属するPanax ginseng C.A.Meyである。ニンジン(人参)は、主に中国の吉林、遼寧、および黒竜江省で生産される。吉林の撫松で生産されるニンジンは特に品質がよい。この薬草は、栽培することもでき、野生にみられるニンジンを称する「山ニンジン」に対して、「園芸用ニンジン」と呼ばれる。栽培されたニンジンは秋に収穫される。収穫されたニンジンは、「天日乾燥ニンジン」と称されるように日光で乾燥されるか焼かれるか、「赤ニンジン」と称されるように蒸気に当てられた後乾燥されるか、または「砂糖加工ニンジン」として知られるようにシロップに漬けられる。繊維質の細根は細根ニンジンとして知られている。日光で乾燥させた野生のニンジンは日光乾燥野生ニンジンとして知られている。この薬草は薄く切って使用される。この薬草は甘く、少し苦味があり、中性である。伝統的な漢方薬によれば、ニンジンは肺、脾臓、および心臓の経路における疾患の治癒に特に優れる。
【0058】
ニンジンの薬剤効果はその乾燥した根にある。ニンジンはまた、中枢神経系に効果がある。ニンジンは、中枢神経系において促進および阻害の両方の過程を高め、これによって神経の応答の順応性を高める。ニンジンはまた、血中グルコースおよびコレステロールを低下させうる。ニンジンはまた、消化性潰瘍の治療および予防の効果を示す。
【0059】
ニンジンの根の活性成分は、特に制限されないが、ジンセノサイド(ginsenoside)Rgl、ジンセノサイドRe、およびジンセノサイドRblを含み、中でも、ジンセノサイドRblは、薬草の量的なまたは質的な制御のための基準として用いられうる。
【0060】
本発明に用いられる薬草の薬物名、植物名、科名、慣用名、および主な成分を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
伝統的に、植物、動物、または鉱物源の成分を含む漢方薬は、調製方法に基づいて以下の投与形態に分類されうる:wan(丸薬)、san(粉末)、gao(シロップ、柔らかい抽出物またはプラスター)、dan(特殊な丸薬またはヴァーミリアン丸薬)およびtang(煎じ薬)。中でも、煎じ薬および粉末は最も一般的な投与形態である。伝統的に、煎じ薬は、薬草処方の薬草成分を混合し、その後混合物を水または他の媒体中で煮沸することによって調製される。粉末の投与形態は、薬草処方の薬草成分を混合し、混合物を直接粉砕して粉末にすることによって調製される。伝統的な濃縮された漢方薬は、薬草処方に従って薬草成分を集め、前記成分を合わせて混合し、混合物を煮沸し、濾過し、濃縮し、適当な量の賦形剤を添加し、造粒し、最後に丸薬、粉末、カプセルおよび錠剤に調製される。
【0063】
特に制限されないが、栽培の場所および条件、収穫、選択、貯蔵の時期および方法、調製の方法を含むさまざまな因子が薬草調製の質に影響する。漢方薬を製造する現在の手法は、一般に、質の制御の目的で生の薬草、半製品、および完成品の試料を収集する。図1に示すように、よりよい質の制御を提供するために、本発明は、薬剤組成物の質が一貫してよく制御されることを保証するために、薬草成分段階(QC、サンプリング点1、図1);原薬段階(QC、サンプリング点2);半製品段階(QC、サンプリング点3);および最終の完成品段階(QC、サンプリング点4)の4点サンプリングを用いる。
【0064】
製造工程の各点から採取した試料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけ、各薬草成分の質を保証する目的で各薬草の成分を決定した。HPLC法および本発明の薬草成分の試験結果は以下の通りである:
A.HPLCのための薬草抽出物の調製
1.薬草成分の試料0.5gを正確に秤量し、50mLのサンプル瓶に入れた。
【0065】
2.70%メタノール20mLを(1)のサンプル瓶に加えた。
【0066】
3.(2)の混合物を室温で15分間超音波処理して、さらに40℃の水浴で160rpmで20分間振とうした。その後2層の溶液が形成されるまで30分以上放置した。
【0067】
4.溶液の透明な上層を取り出し、英国Whatman社製の0.45μmのPVDFフィルターを通過させた。
【0068】
5.約20μLの濾過した溶液を、定量分析のためにHPLCに注入した。
【0069】
B.HPLC分析の装置
用いた装置は、Waters 600Eポンプ、Waters 7l7Plus オートサンプラー、およびWaters 996フォトダイオードアレイ検出器を含む。
【0070】
C.HPLC条件および各薬草の結果
【0071】
【表2】
【0072】
(b)結果:
ダイオウの根/根茎のHPLCクロマトグラムは、センノシドB、センノシドA、アロエ−エモジン、レイン、エモジン、およびクリソファノールの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表2に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
(b)結果:
スクテラリアの根のHPLCクロマトグラムは、バイカリン、オロキシリンA−グルクロニド、オウゴニン−7−O−グルクロニド、バイカレイン、オウゴニン、およびオロキシリンAの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表3に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
(b)結果:
オウレンの根茎のHPLCクロマトグラムは、ベルベラスチン、コロンバミン、ジャトロリジン、エピベルベリン、コプチシン、パルマチン、およびベルベリンの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表4に示す。
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
(b)結果:
ニンジンの根のHPLCクロマトグラムは、ジンセノサイドRgl、ジンセノサイドRe、およびジンセノサイドRblの指示的な成分を含む。これらの成分の保持時間および最大吸収波長を表5に示す。
【0082】
【表9】
【0083】
薬剤組成物
本発明の薬剤組成物において、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジンは、溶媒抽出と、その後の抽出物の濃縮および乾燥によって最も適切に調製される。任意で製薬上の賦形剤が乾燥前に濃縮物に添加されうる。例えば、特に限定されないが、コーンスターチが挙げられる。
【0084】
本発明の薬剤組成物において、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根および根茎、ならびにニンジンの根の重量比は、約1〜2:1〜2:1〜2:1〜2であり、最も好ましくは1:1:2:1である。
【0085】
本発明の薬剤組成物は以下の手順で調製された(図1):
(1)薬草抽出物の調製
薬草は好ましくはそれぞれ溶媒で抽出される。溶媒は水または抽出の目的で製薬上許容される有機溶媒、または水と有機溶媒との混合物でありうる。好ましい有機溶媒はエチルアルコールである。スクテラリアの根およびオウレンの根茎は水で98±5℃で;ダイオウの根および根茎はアルコール、特に95%(v/v)のアルコール水溶液で70±5℃で;そしてニンジンの根はアルコール、特に50%(v/v)のアルコール水溶液で70±5℃で抽出されることが好ましい。前記抽出物はそれぞれさらに濾過される。
【0086】
(2)薬草ペーストの調製
抽出によって調製された薬草について、それぞれの薬草抽出物は、それぞれ濾過される。濾過後、各薬草抽出物はそれぞれ減圧下で水浴(50℃に維持される)中で、各薬草ペーストが形成されるまで濃縮される。
【0087】
(3)濃縮粉末の調製
濃縮物は、好ましくはそれぞれ乾燥され、濃縮粉末が製造される。任意で製薬上適切な賦形剤が濃縮物に添加されてもよく、得られた混合物は乾燥されて抽出物(原薬)が製造される。前記賦形剤は、好ましくは、特に制限されないが、デンプン、アミロース、アミロペクチン、ゼラチン、スターチ1500、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびキトサンを含む多糖類製品である。最も好ましい賦形剤はコーンスターチである。
【0088】
(4)顆粒の調製
各薬草の濃縮粉末を混合し、ふるいを通して粉末混合物のサイズが一定の範囲内であることを確実にする。さらに、ステアリン酸マグネシウムなどの製薬上適切な賦形剤を粉末混合物に添加し、混合物を完全に混合し造粒する。造粒は流動床(Flow bed)を用いて熱乾燥段階で行われる。得られた顆粒はふるいを通して顆粒のサイズが一定の範囲内であることを確実にし、半製品を形成する。さらに、前記半製品の顆粒は、ステアリン酸マグネシウムなどの製薬上適切な賦形剤と完全に混合され、当業者、特に製薬産業においてよく知られた処方によって、錠剤、ボール、粉末、カプセル、および顆粒に加工されうる。
【0089】
以下の実施例は説明のためのものであって、発明の範囲を限定しようとするものではない。正当な当業者に理解されるような正当な変形は、本発明の範囲を逸脱することなく行われうる。
【実施例】
【0090】
実施例1
薬草薬剤組成物(SB221)の調製
本発明の薬草薬剤組成物1は以下のように調製した:
1.それぞれ約20gのスクテラリアの根、オウレンの根茎、およびニンジン、ならびに約40gのダイオウの根/根茎を、煎じて使用できる薬草の小さな薄い薄片を含む「Yin Plan(「飲用小片」の意味)」の形態で、それぞれ秤量した。
【0091】
2.(1)の薬草は、それぞれグラインダーで、それぞれの粉末の形態に粉砕された。
【0092】
3.それぞれ秤量したスクテラリアの根およびオウレンの根茎の薬草を個々に、約20体積の水で約60分間煮る、および/または茹で、スクテラリアの根およびオウレンの根茎の薬草抽出物をそれぞれ製造した。
【0093】
4.それぞれ秤量したダイオウの根/根茎の薬草を約20体積のアルコール:水(95:5,v/v)で約60分間還流下で抽出しダイオウの抽出物を製造した。
【0094】
5.それぞれ秤量したニンジンの根の薬草を約20体積のアルコール:水(50:50,v/v)で約60分間還流下で抽出しニンジンの抽出物を製造した。
【0095】
6.それぞれ濾過した(6)の薬草抽出物を、50℃の水浴で加圧下で、薬草ペーストが形成されるまで個々に濃縮した。
【0096】
7.適当な量のコーンスターチ(賦形剤)を、スクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根のそれぞれの薬草ペーストに添加して完全に混合し、コーンスターチが添加された各薬草ペーストを、各薬草ペーストが濃縮粉末になるまで乾燥処理した。
【0097】
8.4つの薬草ペースト(すなわちスクテラリアの根、オウレンの根茎、ダイオウの根/根茎、およびニンジンの根)のすべてからの濃縮粉末を完全に混合し、100メッシュのふるいでふるって混合粉末を形成した。
【0098】
9.任意で、さらにコーンスターチを混合粉末に加え、その後流動床で造粒して顆粒を形成した。
【0099】
10.前記顆粒を再びふるい、本発明の薬剤組成物の半製品とされるSB221顆粒を形成する。
【0100】
11.SB221顆粒をサイズ0のハードゲルカプセルに充填し、本発明の薬剤組成物の完成製剤とした。
【0101】
薬理学的研究
研究1
WKYおよびSHRラットの血管拡張におけるSB221の効果
I.研究デザイン:
装置および機器:
血圧測定装置(Biopac System MP150);バイオセーフ滅菌オペレーティングステーション;Dynex MRX Revelationマイクロプレートリーダー;Nikon TRADE SECRET−100倒立顕微鏡;Galaxy R CO2インキュベータ。
【0102】
試薬:
CD31(PECAM−I)(Santa Cruz Cat.SC−1506);コラゲナーゼ(Sigma Cat.C−5138);内皮細胞成長サプリメント,ECGs(Sigma Cat.E−9640);アセチルコリン,ACh(Sigma Cat.A6625);NW−ニトロ−L−アルギニン(L−NNA)(Sigma Cat.N−5501);塩化テトラエチルアンモニウム(Sigma Cat.T−2265);フェニレフリン(L−型)(Sigma Cat.P−6125);N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸,HEPES(Sigma Cat.H−3375);ウシアルブミン,BSA(Sigma Cat.A−4503);エチレンジアミン四酢酸,EDTA(Sigma Cat.EDS);グルコース(Sigma Cat.G−8270);硫酸マグネシウム,MgSO4(Sigma Cat.M−7506);3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド,MTT(Sigma Cat.M−5655);コラーゲン(Vitrogen 100);ウシ胎仔血清,FBS(Gibco Cat.10270−106);グルタミン(Gibco Cat.25030−081);M199(Gibco Cat.31100−35);ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Gibco Cat.15140−122);ピルビン酸塩(Gibco Cat.11360−070);トリプシン−EDTA(Gibco Cat.15400−054);乳酸脱水素酵素,LDH(Promega Cat.G1780);リン酸二水素カリウム,KH2PO4(Merck Cat.1.04873.0250);塩化ナトリウム,NaCl(Merck Cat.1.06404.1000),炭酸水素ナトリウム,NaHCO3(Merck Cat.1.06329.0500);ジメチルスルホキシド(DMSO)(Cat.1.09678.0100);塩化カリウム,KCl(Showa Cat.SE−3439K);無水塩化カルシウム,CaCl2(Junsei Cat.4−22)。
【0103】
研究動物:
本研究では、チャールズ リバー ラボラトリーズから入手した8週齢の雄のWKYラットおよび高血圧自然発生ラット(SHR)を用いた。動物を空調管理された動物室で22±2℃、12時間の暗/明サイクル(7:00〜19:00を明)下に保った。前記動物は制限されずに水と食物を与えられた。
【0104】
試験溶液:
a.Krebs−Henseleit(KH)緩衝液;pH7.4;NaCl 118mM;NaHCO3 24mM;KCl 4.7mM;KH2PO4 1.2mM;MgSO4 1.2mM;CaCl2 1.7mM;EDTA30μM;グルコース10mM;を二回蒸留水中に含む。
【0105】
b.M199 pH7.4溶液;NaHCO3 2.2g;HEPES 4.8g;M199 1パック;P/S 10mL;ヘパリン15〜17mg、ピルビン酸塩10mL、およびグルタミン10mLを1Lの二回蒸留水に溶解して調製される。
【0106】
II.方法:
処理:
WKYおよびSHRラットをそれぞれの週齢によって4つの群に分けた:(a)12週、(b)15週、(c)18週および(d)25週。各週齢の群は、さらにコントロールおよびSB221の部分群に細分された。SB221治療群は、胃管栄養を介して180mg/kgのSB221で治療された(10mL/kgで18mg/mLのSB221溶液を投与)。コントロール群は等体積の水を与えられた。動物は4週間連続して毎日治療された。治療の完了後の日の間のあらかじめ設定された制限時間内に前記動物を殺して血管試験および免疫組織化学染色分析の試料をとった。
【0107】
血管切片の調製:
a.実験開始前に循環水浴を作動させ、温度を37℃に設定した。
【0108】
b.約10〜20mLのKH緩衝液を、3つのペトリ皿にそれぞれ入れた。前記緩衝液を95%O2/5%CO2でエアレートした。
【0109】
c.動物を麻酔した後、動物の胸腔を開いて心臓を露出した。血液を心臓から取り出した。大動脈のアーチから隔膜の上の胸部大動脈までの部分を解剖し、速やかに酸素処理ペトリ皿に入れた。
【0110】
d.胸部大動脈の結合組織および血管枝を眼科用鋏を用いて切り取った。大動脈の血壊を注意深く洗浄した後、大動脈を外科用ブレードを用いて2〜4の切片(それぞれ約2〜3mm長さ)に切断した。大動脈の各切片を血管フックを用いて掛け、注意深くチャンバに入れた。動物の数に応じて大動脈の切片を4〜8のチャンバに分けてもよい。
【0111】
e.大動脈の切片の基礎張力を2gに調整して30分間維持し、その後張力測定を行った。
【0112】
血管拡張試験:
大動脈の切片をはじめに10−6Mのフェニレフリンで収縮させた。収縮が安定した後、10−9〜10−6Mのアセチルコリン(ACh)を大動脈の切片に加えた。大動脈の切片の血管拡張率を観察し、内皮細胞の機能が正常であるかどうかを決定した。
【0113】
統計的分析
張力の変化を弛緩%で表した。最大収縮を、誘導因子の最大濃度における収縮張力で表した。各動物は試験化学物質に対して異なる応答を示しうるのみならず、同じ動物の異なる大動脈の切片もまた試験化学物質に対して異なる応答を示しうる。したがって、各大動脈の切片の結果はデータ解析の際に独立したデータとして扱い、結果を平均±標準偏差(SD)として表した。群間の比較をtwo−factor ANOVAを用いて行った。ANOVAにおいて有意な差がみられたデータについてさらにStudent−Newman−Keuls’testを用いた事後解析を行った。有意のレベルをp<0.05に設定した。
【0114】
結果
図2に示すように、AchはSHRコントロールラットの大動脈において血管拡張を誘起した。弛緩%(すなわち血管拡張)は、Ach濃度が10−9Mから10−7Mまで増加するにしたがって増加し、10−7Mで血管拡張率の最大値を示した。Achが10−8MのときSHR−25Wコントロールラットの平均血管拡張率は、SHR−15Wコントロールラットと約14%異なった(これは統計的に有意である[p<0.05])。Achが10−7Mのとき25週齢のSHRコントロールラットの平均血管拡張率は、SHR−12WおよびSHR−15Wコントロールラットと約29%異なった(これは統計的に有意である[p<0.05])。Achが10−6Mのとき25週齢のSHRコントロールラットの平均血管拡張率は、SHR−12WおよびSHR−15Wコントロールラットと、それぞれ13%および16%の有意な差を示した。これらの結果は、SHRコントロールラットの血管拡張機能がラットの加齢にしたがって低下したことを示し、これは血管の内皮細胞の機能が時間とともに低下したことを示唆している。
【0115】
図3および4に示すように、SHR−12W SB221、SHR−12Wコントロール、SHR−15W SB221およびSHR−15Wコントロールラットの平均最大弛緩%(すなわち血管拡張)はそれぞれ83%、95%、91%および96%であった。コントロール群とSB221群との間に血管拡張の有意な差はなかった。これは12週齢および15週齢のラットにおいてSB221治療は有意な効果がなかったことを示している。
【0116】
図5に示すように、SHR−18W SB221およびSHR−18Wコントロールラットの最大弛緩%(すなわち血管拡張)はAchが10−7Mで起こり、SHR−18W SB221ラットで約90.7%の、SHR−18Wコントロールラットで約68%の最大弛緩%を与えた。これは約23%の統計的に有意な差を与えた。Achが10−8Mのとき、SHR−18W SB221ラットは、SHR−18W SB221とSHR−18Wコントロールラットとの間に約37%の統計的に有意な差(P<0.05)を示した。この結果は、SB221治療は18週齢のSHRラットの最大弛緩%を増加させることによって内皮細胞の機能を改善したことを示す。
【0117】
図6に示すように、SHR−25W SB221およびコントロール群は、Achが10−7Mで最大弛緩%(すなわち血管拡張)を示し、SHR−25W SB221およびコントロールラットの最大弛緩%はそれぞれ約90%および約67%であった。これは約23.2%の統計的に有意な差を示した。Achが10−8および10−6Mのとき、SHR−25W SB221ラットは、SHR−25Wコントロールラットに対して約19%および約12%の最大弛緩%の有意な差を示した。この結果は、SB221治療は25週齢のSHRラットの内皮細胞の機能を改善したことを示す。
【0118】
図7に示すように、Achが10−8Mのとき、WKY−25Wコントロールラットは、WKY−12Wコントロール、WKY−15WコントロールおよびWKY−18Wコントロールラットに対して、それぞれ約21%、約25%、および約13%の最大弛緩%(すなわち血管拡張)の有意な差を示した。Achが10−7MのときWKY−25Wコントロールラットは、WKY−12Wコントロール、WKY−15WコントロールおよびWKY−18Wコントロールラットに対して、それぞれ約35%、約31%、および約21%の最大弛緩%の有意な差を示した。Achが10−6MのときWKY−25Wコントロールラットは、WKY−12WコントロールおよびWKY−15Wコントロールラットに対して、それぞれ25%および23%の血管拡張の有意な差を示した。これらの結果は、WKYコントロールラットの血管拡張機能は、ラットの加齢にしたがって低下したことを示し、これは内皮細胞の機能の低下を示唆している。
【0119】
図8および9に示すように、WKY−12WおよびWKY−15ラットの最大弛緩%(すなわち血管拡張)は、Ach濃度が10−9Mから10−6Mまで増加するにしたがって増加し、10−6Mで血管拡張の最大値を示した。10−9、10−7、および10−6Mのとき、WKY−12W SB221とコントロールラットとの弛緩%は約5%以下の差であった。10−8Mのとき、WKY−12W SB221とコントロールラットとの最大弛緩%の間に約28%の有意な差があった。WKY−15W SB221ラットおよびコントロールラットの最大弛緩%はそれぞれ約100%および約95%であった。この結果はSB221治療にかかわらず、WKY−15Wラットの内皮細胞の機能において有意な差を示さない。
【0120】
図10に示すように、WKY−18W SB221およびコントロール群は、Achが10−7および10−6Mで最大弛緩%(すなわち血管拡張)を示した。WKY−18W SB221ラットおよびコントロールラットの最大弛緩%はそれぞれ約94%および約86%であった。SB221群とコントロール群との間に血管拡張の有意な差はなかった。これはWKY−18Wラットの内皮細胞の機能においてSB221治療は有意な効果がなかったことを示している。
【0121】
図11に示すように、WKY−25Wラットの最大弛緩%(すなわち血管拡張)は、Ach濃度が10−9Mから10−6Mまで増加するにしたがって増加した。WKY−25W SB221ラットとコントロールラットとの最大弛緩%はそれぞれ約78%および約73%であった。SB221群とコントロール群との間に血管拡張の有意な差はなかった。これはWKY−25Wラットの血管の内皮細胞においてSB221治療は有意な効果がなかったことを示している。
【0122】
つまり、正常血圧(WKY)ラットの血管拡張の研究の結果は、正常なラットの最大弛緩%は一般に、および有意に、加齢によって減少することを示し(図7)、加齢による血管の内皮細胞の機能の低下を示した。しかしながら、WKYラットに対するSB221治療は、血管拡張に有意な差を示さず、正常血圧のラットにおけるSB221の効果は有意ではないことが示唆された(図8〜11)。
【0123】
しかしながら、WKYラットでの知見とは対照的に、SHRラットがさまざまな週齢の動物の血管拡張の効果の研究に用いられた場合、図2に示されるように、最大弛緩%は、12W群と15W群との間で加齢によって有意に減少し(p<0.05)、WKYラットで起こったのと同様に加齢が血管拡張の変化に寄与することを示した。しかしながら、WKYラットの場合(図7)と異なって、最大のAch(10−6M)が与えられると、25W−WKYラットの約70%(図7)に対して、SHR−25W群における最大弛緩%は約50%であり(図2)、SHRラットは老化すると潜在的な高血圧が進行することが示された。また、図8〜11に示すように、SHRラットのコントロールとSB221群との間に最大弛緩%の有意な差があり(p<0.05)、SB221が高血圧の進行および血管拡張の低下を阻害する効果を示すことが示唆された。
【0124】
この研究の結果は、正常血圧のラットにはSB221の効果は有意ではないことを示した。しかしながら、SB221は、おそらく血管内皮における内皮細胞の変性を防止する保護効果を通して、血管の拡張を有意に増加させることによって高血圧の動物において有意な血圧低下効果を示した。
【0125】
議論
内皮依存性血管拡張剤(すなわちACh)を用いた機能試験を通して、内皮細胞の変性に対する予防効果を示すことがわかった。
【0126】
WKYおよびSHRラットの双方における加齢による内皮細胞の変性は、おそらく以下の理由による:(1)Gaiタンパク質の損傷;(2)NO、プロスタサイクリン、および内皮由来過分極因子(EDHF)の分泌の減少;(3)エンドペロキシドの分泌の増加;(4)活性酸素種の生成の増加;(5)エンドセリン−1の生成の増加;および(6)NO、プロスタサイクリンおよびEDHFに対する血管平滑筋細胞の感度の低下。同様の現象が高齢者および高血圧の人の患者にもみられた。上腕の動脈血流の測定を通して、これらの2つの人口集団はNO経路の機能を失い、シクロオキシゲナーゼ依存性血管収縮剤の生成を増加させる傾向にあることがわかった。
【0127】
結論
この研究は、18週齢またはそれ以上のSHRラットにおいて、SB221が血圧低下効果を有するだけでなく内皮保護効果も有することを示した。
【0128】
研究2
内皮細胞におけるSB221の保護効果:CD31免疫組織化学法を用いた形態学的研究
血小板/内皮細胞接着分子−1(PECAM−1)は、CD31とも呼ばれ、単球、好中球、血小板、およびある種のT細胞、内皮細胞の表面に発現する糖タンパク質である(本明細書中に参照として組み込まれるSimmons et al. J.Exp.Med.1990;171:2147−2152;Berman et al.J.Immunol.1996;156:1515−1524を参照)。CD31は130〜140kDの単一鎖の糖タンパク質である。ウエスタンブロット法、免疫沈降および免疫組織化学(パラフィン包埋切片を用いた)による、PECAM−1抗体を用いたCD31の検出が内皮細胞の形態学的研究において用いられてきた。
【0129】
以下の段落では、上述の研究1に従って調製した大動脈の切片の形態学的研究を、免疫組織化学法によって、CD31を検出するためにマウス由来のPECAM−1のカルボキシ末端でのペプチドマッピングに対して生じる、アフィニティー精製したヤギのポリクローナル抗体を用いて行った。
【0130】
方法:
装置/機器、試薬、試験溶液、動物、動物の処理、および血管切断は上記研究1と同様である。
【0131】
CD31免疫組織化学染色
大動脈の切片を10%ホルマリンに浸し、その後パラフィンに包埋し、切断した。パラフィン切片にCD31免疫組織化学染色を行った。いくつかの染色チャンバを、キシレン1(100%キシレンを含む)、キシレン2(100%キシレン)、キシレン3(100%キシレン)、100%エタノール、95%エタノール、75%エタノール1、50%エタノール、および100%水として準備した。パラフィン切片を、はじめにキシレン1、キシレン2、およびキシレン3に10分間ずつ順次入れ、次いで100%、95%、75%、50%エタノールに、その後水に5分間ずつ順次入れた。次にパラフィン切片を3%H2O2/メタノール(1/4)溶液の入った容器に10分間入れ、過剰の溶液をすすぎ、その後0.1%トリプシンに37℃で30分間、および3%BSAブロティングに70分間、順次入れた。溶液を捨て、CD31の一次抗体を1:300で加えた後、パラフィン切片を4℃で一晩浸した。その後パラフィン切片を溶液から取り出し、続けてリンク抗体溶液、ストレプトアビジンペルオキシダーゼ溶液に15分間ずつ入れた。パラフィン切片をDABで染色した。溶液の交換の間、切片をPBSで5分間ずつ5回洗浄した。染色後、パラフィン断片を顕微鏡下で観察した。
【0132】
統計的分析
CD31免疫組織化学染色の結果を可視的に評価した。
【0133】
結果:
図14に示すように、SHR−12Wコントロールラット(A)およびSHR−15Wコントロールラット(B)の内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面であった。しかしながら、SHR−18Wコントロールラット(C)およびSHR−25Wコントロールラット(D)の内皮は、それぞれ平坦でない、部分的に剥離した表面を有した。この結果は、18週齢またはそれ以上の週齢のSHRラットは損傷された内皮を有することを示した。
【0134】
図15(A)〜(D)に示すように、SHR−12W SB221、SHR−15W SB221、SHR−18W SB221およびSHR−25W SB221ラットの内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面を有した。この結果は、SB221は、SHRラットの内皮細胞に保護効果を有し、18週齢またはそれ以上の週齢以降、細胞を損傷から保護することを示す。
【0135】
図16に示すように、WKY−12Wコントロールラット、WKY−15Wコントロールラット、WKY−18Wコントロールラット、およびWKY−25Wコントロールラットの内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面を有した。この結果は、12〜25週齢では、WKYラットの内皮細胞は劣化しなかったことを示す。
【0136】
図17に示すように、WKY−12W SB221、WKY−15W SB221、WKY−18W SB221、およびWKY−25W SB221ラットの内皮は、それぞれ無傷で滑らかな表面を有した。この結果は、SB221はWKYラットの内皮細胞の形態に影響を与えなかったことを示した。
【0137】
研究3
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究
豊富で利用しやすい内皮細胞の型として、HUVECは血管形成および心臓病を調べる循環器研究のツールとしてしばしば用いられる。
【0138】
HUVECにおけるSB221の細胞毒性効果を、乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイおよびMTTアッセイを用いて研究した。細胞の原形質膜が試験薬物によって崩壊すると、細胞質LDHは周囲の媒質中に放出される。したがって、より低いLDH活性の計測値は、試験薬物のより低い細胞毒性を示す。一方、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)は水溶性のテトラゾリウム色素である。生きた細胞の活性なミトコンドリアの脱水素酵素は、黄色がかったMTTを不溶性の濃い紫色のホルマザンに変換する。この変換は死んだ細胞では起こらない。水に不溶のホルマザンは単離され、有機溶媒に溶解され分光光度法で定量されうる。したがって、より高いホルマザンの計測値は、試験薬物のより低い細胞毒性を示す。
【0139】
材料:
HUVECは、台湾台北県中和の龍山婦人小児科病院の院長であるDr.K.C.Linによって提供された。ヒトの臍帯の試料を滅菌PBS緩衝液に入れた。I型コラゲナーゼを溶液に入れた。内皮細胞を溶液の吸引/放出を繰り返すことによって洗浄した。細胞を、20%の血清、内皮培養増殖溶液(ECGs)15mg/mLを含むM199培地で、37℃で、5%CO2/95%空気のインキュベータで培養した。培地を次の日に換え、その後1日おきに換えた(Jaffe et al.J.Clin.Invest.1973;52:2745−2756)。
【0140】
他の試薬は上記研究1に記載したものと同様であった。
【0141】
方法:
1.LDHアッセイ
HUVEC細胞が培養瓶中に密集した後、細胞をトリプシン−EDTA溶液で懸濁させた。次いで、懸濁させた細胞を96ウェル培養プレートに5×103細胞/ウェルで入れた。細胞毒性のない基礎参照値を得るために、コントロール群をFBSを含まないM199培地で成長させた。実験群をさまざまな濃度のSB221を含むM199培地で成長させた。4時間後、培地を回収し、等体積のLDHキット試薬と均一に混合した。混合物を露光から保護して室温に30分間保持した。その後、培地と等体積の停止試薬を混合物に加えた。次いで、反応の結果を490nmの波長で検出した。細胞の全溶解物もまた、100%の細胞毒性の参照値を得るために実験に含められた。LDH活性の結果は、細胞の溶解物の%で表され、全溶解物群の吸収を100%として計算された。
【0142】
2.MTTアッセイ
HUVEC細胞が培養瓶中に密集した後、細胞をトリプシン−EDTA溶液を培地に加えて懸濁させた。細胞を96ウェル培養プレートに5×103細胞/ウェルで入れた。その後、細胞をM199培地中で24時間インキュベートした。次いで、基礎参照値を得るためにコントロール群をM199培地で培養した。試験群をさまざまな濃度のSB221を含むM199培地で培養した。24時間後、培地を0.5mg/LのMTTを100μL含む新しい培地で置き換えた。細胞を37℃のインキュベータで2時間培養した。MTTを除去した後、DMSOを各ウェルに加えて細胞を溶解させた。ELISAリーダーを用いて550nmでの溶液の吸光度を測定した。吸光度の差を決定し、基礎コントロール群の吸光度の差を100%としてパーセンテージを計算した。
【0143】
統計的分析
LDHおよびMTTアッセイの結果を平均±標準偏差(SD)として表した。群間の差はone−factor ANOVAを用いて解析した。さらに、ANOVA解析において有意な差を示したデータについてPost Hoc Tukey試験を行った。有意のレベルをp<0.05に設定した。
【0144】
結果
図12に示すように、コントロール群(基礎値、細胞毒性を示さない)のLDH活性は、全溶解物群(100%の細胞毒性を示す)と比べて約14%であった。1×10−6〜1×10−3mg/mLのSB221で処理されたHUVEC細胞のLDH活性は、基礎値のものに対して3%以内の差であり、基礎値のものと有意な差はなかった。LDHアッセイの結果は、SB221は内皮細胞に対して毒性がないことを示す。
【0145】
図13に示すように、SB221はHUVECに対して細胞毒性効果を有さない。1×10−6〜1×10−3mg/mLのSB221で処理されたHUVEC細胞によるMTT変換は、コントロール群(基礎値、細胞毒性なし)のものと比較して、125.4%から80.0%まで変化した。基礎値とSB221群の値との間に有意な差はなかった。MTTアッセイの結果は、SB221は内皮細胞に対して毒性がないことを示す。
【0146】
結論:
SB221はHUVECに対して細胞毒性がなかった。
【0147】
本発明は、例として好ましい実施形態を記載したものであって、本発明は開示された実施形態に制限されないと理解されるべきである。むしろ、当業者に明らかであろう様々な変更を含むことを意図する。したがって、特許請求の範囲は、これらの変更のすべてを包含するように最も広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の薬剤組成物を製造するための製造工程のフローチャートを示す。QC:品質管理。QC工程には、(a)薬草成分段階(原料を含む);(b)原薬段階(各薬草の濃縮粉末を含む);(c)半製品段階(混合顆粒を含む);および(d)完成製剤段階(カプセルを含む)の、4つの試料捕集点がある。
【図2】さまざまな週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:SHR−12Wコントロール(●);SHR−15Wコントロール(□)SHR−18Wコントロール(▲)およびSHR−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がSHR−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図3】12週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図4】15週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図5】18週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図6】25週齢のSHRラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図7】図7は、さまざまな週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:WKY−12Wコントロール(◆);WKY−15Wコントロール(□)WKY−18Wコントロール(▲)およびWKY−25Wコントロール(○)。*は特定の群の血管拡張がWKY−25Wコントロール群のものと統計的に異なっていたことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図8】図8は、12週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。*はSB221群とコントロール群との間で血管拡張に統計的に有意な差があったことを示す(p<0.05,two−factor ANOVA)。
【図9】15週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図10】18週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図11】25週齢のWKYラットのアセチルコリンに応答する血管拡張を比較する:コントロール(■)およびSB221(◇)群。SB211群は本発明の薬剤組成物を与えられた。
【図12】細胞培地中にみられる乳酸脱水素酵素(LDH)活性(細胞溶解物の%として表す)(n=3)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。LDH活性の結果を、(SB221なしに細胞を成長させた)基礎LDH値および(細胞が収集されて均一化された)全細胞溶解物と比較した。全細胞溶解物を100%LDH値として表した。この研究の結果は、基礎群とSB221群との間にLDH活性に統計的に有意な差がなかったことを示す(10−6〜10−3g/mlの間)。HUVECの基礎LDH活性は、全溶解物の約14%であり、SB221群のLDH活性は基礎群のそれと3%以内の差であった。基礎群およびSB221群の双方においてLDH活性は全細胞溶解物のものと有意に異なっていた。
【図13】SB221処理細胞および基礎値を与えるコントロール細胞(すなわちSB221処理をしない細胞)から収集した細胞培地のMTTテトラゾリウム塩熱量分析(n=7)に基づくヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるSB221の細胞毒性の研究の結果を示す。データ解析は、one−factor ANOVAを用いて行った。この結果は、基礎群とSB221群との間に統計的に有意な差がなかったことを示す。
【図14】SHRコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12Wコントロール、(B)SHR−15Wコントロール、(C)SHR−18Wコントロール、および(D)SHR−25Wコントロール。CD31は、白血球(TおよびB細胞、単球、顆粒球、血小板、骨髄細胞の40%)、内皮、および平滑筋細胞上にみられる、質量130〜140kDの、広く分布した単一鎖の糖タンパク質である。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は、血管の空洞が並ぶ細胞の層を形成する内皮細胞を示す。(C)および(D)に示される内皮(内皮細胞の層)は、中皮層のいくつかを見せる、不均一で部分的にはがれた表面を含む。
【図15】SB221で治療されたSHRラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)SHR−12W SB221、(B)SHR−15W SB221、(C)SHR−18W SB221、および(D)SHR−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。不均一で部分的にはがれた表面を有したSB221治療をしない18週齢および25週齢のラットの内皮細胞(図14(C)および(D)を参照)と対照的に、SB221での治療後、全ての週齢群において内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【図16】WKYコントロールラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12Wコントロール、(B)WKY−15Wコントロール、(C)WKY−18Wコントロール、および(D)WKY−25Wコントロール。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。WKYコントロールラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【図17】SB221で治療されたWKYラットの胸部大動脈組織の断面のCD31免疫組織化学染色を示す:(A)WKY−12W SB221、(B)WKY−15W SB221、(C)WKY−18W SB221、および(D)WKY−25W SB221。図は、CD31抗体を1:300の濃度で用いて、光学顕微鏡下で400×で撮影した。矢印は内皮細胞を示す。SB221(本発明の薬剤組成物)での治療後、WKYラットの内皮細胞は滑らかで均一な表面を有した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄ごん(Radix Scutellariae)(スクテラリア(scutellaria)の根)の抽出物;
黄連(Rhizoma Coptidis)(オウレン(coptis)の根茎)の抽出物;
大黄(Radix et Rhizoma Rhei)(ダイオウ(rhubarb)の根および根茎)の抽出物;および
人参(Radix Ginseng)(ニンジン(ginseng)の根)の抽出物;
を含み、前記スクラテリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根および根茎の抽出物、前記ニンジンの根の抽出物が、水およびエチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒で前記スクラテリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根を抽出することによって製造される、薬草薬剤組成物。
【請求項2】
前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根および根茎、ならびに前記ニンジンの根は、約1〜2:1〜2:1〜2:1〜2の重量比である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根および根茎、ならびに前記ニンジンの根は、約1:1:2:1の重量比である、請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記スクテラリアの根は水で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記スクテラリアの根は約98±5℃で抽出される、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記オウレンの根茎は水で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記オウレンの根茎は約98±5℃で抽出される、請求項6に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記ダイオウの根および根茎は約95%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記ニンジンの根は約50%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記スクテラリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根/根茎の抽出物、および前記ニンジンの根の抽出物は、それぞれ濾過され濃縮されてそれぞれ前記スクテラリアの根、前記オウレンの根、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根の濃縮粉末を形成し、前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根の前記それぞれ濃縮された粉末は混合され造粒されて前記薬剤組成物の顆粒が製造される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
製薬上許容される賦形剤または担体が前記濃縮の前に添加される、請求項10に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記薬剤組成物が、哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記薬剤組成物が、血管の内皮細胞を変性から保護する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記薬剤組成物が、哺乳類の血圧を低下させる、および/または安定な血圧を維持する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根を前記溶媒でそれぞれ抽出して前記スクテラリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根/根茎の抽出物、および前記ニンジンの根の抽出物を個々に形成すること;
前記スクテラリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根/根茎の抽出物、および前記ニンジンの根の抽出物を個々に濾過し、濃縮してスクテラリアの根の薬草ペースト、オウレンの根茎の薬草ペースト、ダイオウの根/根茎の薬草ペースト、およびニンジンの根の薬草ペーストにすること;
前記スクテラリアの根の薬草ペースト、前記オウレンの根茎の薬草ペースト、前記ダイオウの根/根茎の薬草ペースト、および前記ニンジンの根の薬草ペーストを個々に乾燥させてスクテラリアの根の濃縮粉末、オウレンの根茎の濃縮粉末、ダイオウの根/根茎の濃縮粉末、およびニンジンの根の濃縮粉末を形成すること;
前記スクテラリアの根の濃縮粉末、前記オウレンの根茎の濃縮粉末、前記ダイオウの根/根茎の濃縮粉末、および前記ニンジンの根の濃縮粉末を混合して薬草粉末混合物を形成すること;および
前記薬草粉末混合物を造粒して前記薬草薬剤組成物の顆粒を形成すること;
を含む、請求項1に記載の薬草薬剤組成物の製造方法。
【請求項16】
前記乾燥段階の前に、製薬上許容される賦形剤または担体を前記それぞれの薬草ペーストに添加する段階をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与すること;
を含む、哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する方法。
【請求項18】
請求項1に記載の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与すること;
を含む、哺乳類の血管内皮を変性から保護する方法。
【請求項19】
請求項1に記載の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与すること;
を含む、哺乳類の血圧を低下させる、および/または安定な血圧を維持する方法。
【請求項1】
黄ごん(Radix Scutellariae)(スクテラリア(scutellaria)の根)の抽出物;
黄連(Rhizoma Coptidis)(オウレン(coptis)の根茎)の抽出物;
大黄(Radix et Rhizoma Rhei)(ダイオウ(rhubarb)の根および根茎)の抽出物;および
人参(Radix Ginseng)(ニンジン(ginseng)の根)の抽出物;
を含み、前記スクラテリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根および根茎の抽出物、前記ニンジンの根の抽出物が、水およびエチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒で前記スクラテリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根を抽出することによって製造される、薬草薬剤組成物。
【請求項2】
前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根および根茎、ならびに前記ニンジンの根は、約1〜2:1〜2:1〜2:1〜2の重量比である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根および根茎、ならびに前記ニンジンの根は、約1:1:2:1の重量比である、請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記スクテラリアの根は水で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記スクテラリアの根は約98±5℃で抽出される、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記オウレンの根茎は水で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記オウレンの根茎は約98±5℃で抽出される、請求項6に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記ダイオウの根および根茎は約95%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記ニンジンの根は約50%のエチルアルコールで約70±5℃で抽出される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記スクテラリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根/根茎の抽出物、および前記ニンジンの根の抽出物は、それぞれ濾過され濃縮されてそれぞれ前記スクテラリアの根、前記オウレンの根、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根の濃縮粉末を形成し、前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根の前記それぞれ濃縮された粉末は混合され造粒されて前記薬剤組成物の顆粒が製造される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
製薬上許容される賦形剤または担体が前記濃縮の前に添加される、請求項10に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記薬剤組成物が、哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記薬剤組成物が、血管の内皮細胞を変性から保護する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記薬剤組成物が、哺乳類の血圧を低下させる、および/または安定な血圧を維持する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記スクテラリアの根、前記オウレンの根茎、前記ダイオウの根/根茎、および前記ニンジンの根を前記溶媒でそれぞれ抽出して前記スクテラリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根/根茎の抽出物、および前記ニンジンの根の抽出物を個々に形成すること;
前記スクテラリアの根の抽出物、前記オウレンの根茎の抽出物、前記ダイオウの根/根茎の抽出物、および前記ニンジンの根の抽出物を個々に濾過し、濃縮してスクテラリアの根の薬草ペースト、オウレンの根茎の薬草ペースト、ダイオウの根/根茎の薬草ペースト、およびニンジンの根の薬草ペーストにすること;
前記スクテラリアの根の薬草ペースト、前記オウレンの根茎の薬草ペースト、前記ダイオウの根/根茎の薬草ペースト、および前記ニンジンの根の薬草ペーストを個々に乾燥させてスクテラリアの根の濃縮粉末、オウレンの根茎の濃縮粉末、ダイオウの根/根茎の濃縮粉末、およびニンジンの根の濃縮粉末を形成すること;
前記スクテラリアの根の濃縮粉末、前記オウレンの根茎の濃縮粉末、前記ダイオウの根/根茎の濃縮粉末、および前記ニンジンの根の濃縮粉末を混合して薬草粉末混合物を形成すること;および
前記薬草粉末混合物を造粒して前記薬草薬剤組成物の顆粒を形成すること;
を含む、請求項1に記載の薬草薬剤組成物の製造方法。
【請求項16】
前記乾燥段階の前に、製薬上許容される賦形剤または担体を前記それぞれの薬草ペーストに添加する段階をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与すること;
を含む、哺乳類の血管拡張を改善する、および/または正常な血管拡張を維持する方法。
【請求項18】
請求項1に記載の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与すること;
を含む、哺乳類の血管内皮を変性から保護する方法。
【請求項19】
請求項1に記載の薬草薬剤組成物の有効量を哺乳類に投与すること;
を含む、哺乳類の血圧を低下させる、および/または安定な血圧を維持する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−511629(P2008−511629A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530068(P2007−530068)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/030040
【国際公開番号】WO2006/026284
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507062163)サンテン フィトテック カンパニー,リミテッド (3)
【出願人】(507062015)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/030040
【国際公開番号】WO2006/026284
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507062163)サンテン フィトテック カンパニー,リミテッド (3)
【出願人】(507062015)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]