説明

循環材バブリング室の流動空気の制御装置及び制御方法

【課題】循環流動層ボイラの運転中であっても適切な量の異物排出を円滑に行うことができる、循環材バブリング室の流動空気の制御装置及び制御方法を提供すること。
【解決手段】循環流動層ボイラの運転中に循環材バブリング室11の流動空気の供給量を調節する制御装置20であって、循環材バブリング室11内に堆積する異物52の堆積量情報を取得して、異物52を排出すべき場合には、循環材バブリング室11の底部に複数設けられた流動空気導入手段22から循環材バブリング室11内に供給される流動空気の供給量を循環材バブリング室11の底部の位置ごとに調節して異物52が円滑に排出口30に向かうことを可能とし、この流動空気により排出口30へ向かう異物52を循環材バブリング室11の底部から容易に排出し、これにより、循環流動層ボイラの運転中であっても、適切な量の異物排出を円滑に行うことを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環材バブリング室の流動空気の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動層を有する流動層ボイラにおいて、流動層の流動不良を早期に検出して良好な状態を回復する制御方法が知られている(例えば特許文献1)。また、流動層を有する火炉を備え、当該火炉からの排ガスを固気分離するセパレータ(サイクロン)の下方に熱交換室を有し、セパレータで分離された循環材を熱交換室から火炉へ戻す循環流動層ボイラが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−266315号公報
【特許文献2】特許第3609724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の循環流動層ボイラでは、熱交換室内に異物(粗粒流動媒体等)が堆積することにより、流動不良を起こし、シンタリングが発生して循環材を火炉へ戻すことが円滑に行えなくなる虞がある。また、熱交換室内に異物が堆積することにより、熱交換室内の伝熱管に収熱不良が発生すること、及び、異物が伝熱管と接触して伝熱管が摩耗するという問題が生じる。従って、熱交換室内おいて異物の堆積量が増加した場合、ボイラの運転を停止して異物を排出する必要がある。
【0005】
一方、熱交換室に排出管を設けることにより、循環流動層ボイラの運転中に異物を排出することは可能であるが、異物の偏在等により、排出を円滑に行うことができない場合があった。また、異物を過度に排出すると、循環流動層ボイラの運転に不可欠な循環材も一緒に流出して喪失するため、運用上、追加供給すべき循環材の量が多くなり、熱ロスの増加(ボイラ効率の低下)、及び、ランニングコストの増加を招く。
【0006】
そこで本発明は、循環流動層ボイラの運転中であっても適切な量の異物排出を円滑に行うことができる、循環材バブリング室の流動空気の制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討した結果、循環材バブリング室(上記特許文献2の「熱交換室」に相当)から異物を排出する際、循環材バブリング室内に供給する流動空気の供給量(吹き出す強さ)を、循環材バブリング室の底部における供給位置に応じて調整することが、循環流動層ボイラの運転中に異物排出を円滑に行うために有効であることを見出した。
【0008】
本発明は、火炉と、該火炉からの排ガスを固気分離するセパレータと、該セパレータの下方に設けられ、該セパレータで分離された循環材を、供給される流動空気によりバブリングする一方で火炉に戻すと共に底部から異物を排出する循環材バブリング室と、を備えた循環流動層ボイラのその運転中に、流動空気の供給量を調節する制御装置であって、循環材バブリング室内の異物の堆積量情報を取得する異物堆積量取得手段と、循環材バブリング室の底部に複数設けられ流動空気を導入するための流動空気導入手段と、堆積量情報に基づいて、流動空気の供給量を、循環材バブリング室の底部における流動空気導入手段の位置ごとに調節する空気量調節手段と、循環材バブリング室の底部から異物を排出する排出口を有する排出手段と、を備えた循環材バブリング室の流動空気の制御装置を提供する。
【0009】
また本発明は、火炉と、該火炉からの排ガスを固気分離するセパレータと、該セパレータの下方に設けられ、該セパレータで分離された循環材を、供給される流動空気によりバブリングする一方で火炉に戻すと共に底部から異物を排出する循環材バブリング室と、を備えた循環流動層ボイラのその運転中に、流動空気の供給量を調節する制御方法であって、循環材バブリング室内の異物の堆積量情報を取得し、堆積量情報に基づいて、流動空気の供給量を、循環材バブリング室の底部に設けられた複数の流動空気導入手段の位置ごとに調節し、循環材バブリング室の底部に設けられた排出口から異物を排出する、循環材バブリング室の流動空気の制御方法を提供する。
【0010】
上記構成を備える制御装置及び制御方法では、循環材バブリング室内に堆積する異物の堆積量情報が取得され、異物を排出すべき場合には、循環材バブリング室の底部に複数設けられた流動空気導入手段から循環材バブリング室内に供給される流動空気の供給量(吹き出す強さ)が循環材バブリング室の底部の位置ごとに調節されて異物が円滑に排出口に向かうことが可能とされ、この流動空気により排出口へ向かう異物が循環材バブリング室の底部から容易に排出される。従って、循環流動層ボイラの運転中であっても、適切な量の異物排出を円滑に行うことができる。
【0011】
ここで、上記排出手段が、排出口と、排出口からの異物を搬送し排出する搬送手段と、搬送手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備えると、排出する異物の量をより適切なものとし、また排出動作もより円滑なものとすることができる。
【0012】
また、上記堆積量情報が、温度及び圧力に基づくものであると、異物の堆積量を、より正確に推定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、循環流動層ボイラの運転中であっても適切な量の異物排出を円滑に行うことができ、ボイラの運用を健全に維持することが可能となる循環材バブリング室の流動空気の制御装置及び制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】循環流動層ボイラの概要を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の循環材バブリング室の流動空気の制御装置を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態の流動空気の導入例を示す模式図である。
【図4】他の実施形態の流動空気の導入例を示す模式図である。
【図5】流動空気の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、循環流動層ボイラの概要を示す図である。循環流動層ボイラ(以下単に「ボイラ」と呼ぶ)1においては、循環材が流動する流動層を有する火炉3を備え、該火炉3で被処理物を燃焼した燃焼ガスをセパレータ5で固気分離して燃焼ガスを後部煙道7へ誘導し、排ガス9としてボイラ1外に排出する一方で、セパレータ5で固気分離した循環材を、セパレータ5の下方に設けられ内部に伝熱管13を有する循環材バブリング室11へ落下誘導し、流動空気によりバブリングさせ、火炉3へ戻すように構成される。
【0017】
<循環材バブリング室と制御装置>
図2は、本実施形態の循環材バブリング室11の流動空気の制御装置20を示す概略構成図である。循環材バブリング室11は、セパレータ5の下方に設けられた部屋であり、その内部は略鉛直方向に延びる隔壁15で仕切られ、隔壁15より図示右側の入口部分、及び、隔壁15より図示左側で火炉3の下部に通じる出口部分はそれぞれガスシール(図示せず)されている。
【0018】
循環材バブリング室11は、上下方向に延びる多数の伝熱管13を横方向に並べて有し(図示ではまとめて符号13としている)、その底部には、循環材バブリング室11の外部から内部に向けて流動空気を導入するためのノズル(流動空気導入手段)22が複数並設されている(図示ではまとめて符号22としている)。また、循環材バブリング室11の底部には、底部に堆積する異物52を排出するための抜き出し管(排出口)30が略中央に設けられ、当該抜き出し管30の下方には、異物52を搬送して外部に排出するスクリューコンベア32が設けられている。このスクリューコンベア32は、駆動モータ34を有している。
【0019】
循環材バブリング室11は、セパレータ5から落下してくる循環材38を内部に収容し、当該循環材38は、ノズル22から供給される流動空気によりバブリングされる。そして、隔壁15より図示左方向への循環材38の越流分が、火炉3の下部へ戻されることとなる。
【0020】
本実施形態の制御装置20では、循環材バブリング室11に関する異物52の堆積量情報を取得する手段として、循環材バブリング室11内の圧力を取得する層内上部圧力センサ40a及び層内下部圧力センサ40bと、循環材バブリング室11内に挿入され循環材バブリング室11内の温度を取得する第一の層内温度センサ42a及び第二の層内温度センサ42bと、循環材バブリング室11のリフトレグの温度を取得するリフトレグ温度センサ44と、を有する。これらのセンサで取得された堆積量情報は、制御手段(CPU)60に入力される。
【0021】
また、本実施形態の制御装置20では、異物52の堆積量情報として、ノズル22に導入する流動空気の温度(固定値)も、制御手段60に予め入力される。
【0022】
また、本実施形態の制御装置20では、伝熱管13に関して異物52の堆積量情報を取得する手段として、熱交換媒体である水を伝熱管13に導入する配管L1に設けられた温度センサ46a及び圧力センサ48aと、熱交換後の水を排出する配管L2に設けられた温度センサ46b、圧力センサ48b及び流量計50と、を有する。これらのセンサで取得された堆積量情報は、制御手段60に入力される。
【0023】
制御手段60は、空気量調節手段として機能するものであり、上記異物52の堆積量情報を取得する各種手段により取得した異物の堆積量情報(温度、圧力など)に基づいて、後述する計算式により異物堆積量(本実施形態の制御装置でいう「運用限界指数(RX)」)を算出する。そして、運用限界指数が所定の閾値を超えた場合に、ノズル22から供給する流動空気の供給量(吹き出す強さ)を、循環材バブリング室11の底部におけるノズル22の位置ごとに調節し、排出する異物の量を適切なものとする。
【0024】
また、制御手段60は、スクリューコンベア32の駆動を制御する駆動制御手段としての機能も有し、駆動モータ34の駆動を制御することにより、スクリューコンベア32を最適に駆動する。ここで、スクリューコンベア32及び駆動モータ34により搬送手段が構成され、これらの搬送手段、駆動制御手段、及び、上記抜き出し管30により、循環材バブリング室11の底部から異物52を排出する排出手段が構成されている。
【0025】
<異物の堆積量情報に基づいた異物堆積量の算出>
上述のように、制御手段60は、上記異物の堆積量情報(温度、圧力など)に基づいて異物堆積量を算出し、異物堆積量として運用限界指数(RX)を求める。
【0026】
RXは、以下の式により求められる。
RX=(係数1×d1)×(係数2×d2)×(係数3×d3)×(係数4×d4)
ここで、係数1〜4は、実機での測定振れ等を考慮して調整される値である。また、d1〜d4は、次のとおりである。
d1=(tsolid−tcell)/(tsolid−tair
d2=(tsolid−tliftleg)/(tsolid−90)
d3=(運用実績固定値)/dPsh
d4=(運用実績固定値)/Ksh
ここで、
cellは層内温度センサ42a,42bにより測定された層内測定温度(℃)を示し、
liftlegはリフトレグ温度センサ44により測定されたリフトレグ測定温度(℃)を示し、
airはノズル22から供給される流動空気の温度(℃)を示し、
solidは循環材バブリング室11の上方に設置された温度センサ(図示せず)により測定された粒子温度(℃)を示し、
dPshは層内圧力の差(層内下部圧力センサ40bにより測定された層内下部圧力−層内上部圧力センサ40aにより測定された層内上部圧力)を示す。
また、Kshは伝熱管13の熱伝達係数(kW/(m・℃))であり、以下の式により求められる。
sh=Qstm/LMTD/Ash
ここで、
stmは収熱量(kW)であり、以下の式により求められる。
stm=Wstm×(hout−hin)/3600
ここで、
stmは流量計50により測定された流量(kg/h)を示し、
outは圧力センサ48bにより測定された伝熱管圧力pout及び温度センサ46bにより測定された伝熱管温度toutから算出される出口側のエンタルピー(kJ/kg)を示し、
inは圧力センサ48aにより測定された伝熱管圧力pin及び水温度センサ46aにより測定された伝熱管温度tinから算出される入口側のエンタルピー(kJ/kg)を示す。
LMTDは対数平均温度差であり、以下の式により求められる。
LMTD=(dtout−dtin)/ln(dtout/dtin
ここで、
dtoutは伝熱管出口温度差であり、以下の式により求められる。
dtout=(tsolid−tout
dtinは伝熱管入口温度差であり、以下の式により求められる。
dtin=(tsolid−tin
shは有効伝熱面積(固定値)を示す。
【0027】
なお、式中、d2は、複数の層内温度がある場合に追加するものである。また、上記式では、d2を求める式内のtairが90℃に固定されたものとして示した。
【0028】
<流動空気の供給量の調節>
上記のように算出された運用限界指数(RX)は、ボイラ1の運転中に常に算出され、異物の堆積量を反映した指標となる。その値が、所定の閾値を超えていない場合は、ノズル22から供給する流動空気の供給量(吹き出す強さ)を一定にしバブリングしながらボイラ1を運転するが、閾値を超えた場合には、当該供給量を、循環材バブリング室11の底部におけるノズル22の位置ごとに調節し、堆積した異物を排出しやすくする。以下、流動空気の供給量の調節について述べる。
【0029】
図3は、流動空気の導入例を示す模式図である。ここでは、ノズル22に導入する流動空気を、2系統(火炉3に近い側の「系統A」及び火炉3に遠い側の「系統B」)に分けた態様を示している。流動空気は、循環材バブリング室11の下部に設けられた風箱23a,23bを通じて導入され、ノズル22を通じて循環材バブリング室11へ供給される。ボイラ1の通常運転時には、系統Aから風箱23aを通じて供給する流動空気の供給量(吹き出す強さ)が、系統Bから風箱23bを通じて供給する流動空気の供給量と同一又は多くなるように設定されて(以下、このような相対関係を「系統A≧系統B」のように示す)運転される。
【0030】
上記運用限界指数(RX)が所定の閾値を超えた場合は、異物を排出すべきとして、例えば下記(i)〜(iii)のいずれかの手法により、又は、二つ以上を組み合わせて、流動空気の供給量を系統別に調節する。
(i)系統A>系統Bの関係となるようにするため、系統Bから供給する流動空気の供給量は一定としたまま、系統Aから供給する流動空気の供給量を増大させる;
(ii)相対関係を維持しながら供給量を上げるため、系統A及び系統Bから供給する流動空気の供給量を、系統A≧系統Bの関係を保ちながら、ともに増大させる;
(iii)系統A≦系統Bの関係とするため、系統Aから供給する流動空気の供給量は一定としたまま、系統Bから供給する流動空気の供給量を増大させる。
【0031】
このようにノズル22から供給する流動空気の供給量を循環材バブリング室11の底部におけるノズル22の位置ごとに調節することにより、排出すべき異物が抜き出し管30に向かいやすくなる。
【0032】
ここで、循環材のバブリングと異物の移動との関係について、本発明者は次のように考察している。すなわち、上記(i)〜(iii)のような各種パターンにより流動空気の供給量を増大させると循環材のバブリングが激しくなって、局所的に単位容積当たりの循環材の量(密度)が下がることとなり、それを補償すべく周囲からその箇所に循環材が流入してくる。そして、これと物理的に入れ替わるようにして、底部に堆積した異物が反対側へと移動すると考えられる。
【0033】
<制御装置の動作について>
次に、本実施形態の制御装置20の動作を具体的に説明する。図5は、流動空気の制御装置20の動作を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ボイラ1の通常運転(ステップS51)において、上記各センサにより、温度及び圧力等の、異物の堆積量情報を取得する(ステップS52)。続いて、それらの堆積量情報に基づいて、上記計算式により異物堆積量としての運用限界指数(RX)を算出する(ステップS53)。続いて、算出したRXが、予め設定された上記閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS54)。
【0035】
判定の結果、RXが閾値以下である場合は、まだ排出する必要がないとしてステップS52に戻る。一方、判定の結果、RXが閾値を超える場合は、排出すべきとして流動空気の供給量を調節し、異物を排出する(ステップS55)。
【0036】
続いて、再度異物の堆積量情報を取得し(ステップS56)、それらの堆積量情報に基づいて、上記計算式により運用限界指数(RX)を算出する(ステップS57)続いて、算出したRXが、予め設定された閾値をまだ超えているかどうかを判定する(ステップS58)。
【0037】
判定の結果、RXが閾値を超えている場合は、ステップS55に戻って排出を続行する。一方、判定の結果、RXが閾値以下である場合は、異物排出を停止する(ステップS59)。
【0038】
このように、本実施形態においては、循環材バブリング室11内に堆積する異物の堆積量情報が取得され、異物52を排出すべき場合には、循環材バブリング室11の底部に複数設けられたノズル22から循環材バブリング室11内に供給される流動空気の供給量が循環材バブリング室11の底部の位置ごとに調節される。これにより異物52が円滑に抜き出し管30に向かうことが可能とされ、循環材バブリング室11の底部から容易に排出される。従って、本実施形態によれば、循環流動層ボイラ1の運転中であっても、適切な量の異物排出を円滑に行うことができる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、循環材バブリング室11が伝熱管13を有する態様を示したが、伝熱管を有しなくてもよい。このとき、運用限界指数を求める式において、「(係数4×d4)」の項は考慮しない。また、流動空気を導入する手段として、ノズル22の代わりに空気分散板を用いてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、異物の堆積量情報として温度及び圧力等を取得したが、異物の堆積量を検出ないし推定し得る他の手段を用いてもよい。
【0041】
また、上記実施形態は流動空気の供給を2系統に分けた態様を示したが、図4に示すように、これを3系統に分けた態様とすることもできる。図4は、図3の系統Bのうち、抜き出し管30に近い部分を「系統C」として別に設け、ノズル22に導入する流動空気を合計3系統に分けた態様を示している。この態様では、ボイラ1の通常運転時には、系統Aから風箱23aを通じて供給する流動空気の供給量が、系統Bから風箱23bを通じて供給する流動空気、系統Cから風箱23cを通じて供給する流動空気の供給量のそれぞれと同一又は多くなるように設定されて(以下、このような相対関係を「系統A≧系統B=系統C」のように示す)運転される。
【0042】
上記運用限界指数(RX)が所定の閾値を超えた場合は、異物を排出すべきとして、例えば下記(i)〜(iv)のいずれかの手法により、又は、二つ以上を組み合わせて、流動空気の供給量を系統別に調節する。
(i)系統A>系統B=系統Cの関係とするため、系統B及び系統Cから供給する流動空気の供給量は一定としたまま、系統Aから供給する流動空気の供給量を増大させる;
(ii)相対関係を維持しながら供給量を上げるため、系統A、系統B及び系統Cから供給する流動空気の供給量を、系統A≧系統B=系統Cの関係を保ちながら、いずれも増大させる;
(iii)系統A≦系統B=系統Cの関係とするため、系統Aから供給する流動空気の供給量は一定としたまま、系統B及び系統Cから供給する流動空気の供給量を増大させる;
(iv)系統A≧系統B<系統Cの関係とするため、系統A及び系統Bから供給する流動空気の供給量は一定としたまま、系統Cから供給する流動空気の供給量を増大させる。
【0043】
なお、特許文献1の流動層ボイラは、上記循環材バブリング室11に相当する構成を備えておらず、また、常時安定した供給が必要な燃焼空気が、流動空気を兼ねる構成となっているため、異物排出を主眼とした上記のような空気導入手段の位置に応じて空気の供給量を変化させるという操作を行うことができない。この点において、本発明と特許文献1の流動層ボイラの制御方法とは技術的思想が明確に相違する。
【符号の説明】
【0044】
11…循環材バブリング室、20…制御装置、22…ノズル(流動空気導入手段)、30…抜き出し管(排出口)、38…循環材、52…異物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炉と、該火炉からの排ガスを固気分離するセパレータと、該セパレータの下方に設けられ、該セパレータで分離された循環材を、供給される流動空気によりバブリングする一方で前記火炉に戻すと共に底部から異物を排出する循環材バブリング室と、を備えた循環流動層ボイラのその運転中に、前記流動空気の供給量を調節する制御装置であって、
前記循環材バブリング室内の前記異物の堆積量情報を取得する異物堆積量取得手段と、
前記循環材バブリング室の底部に複数設けられ前記流動空気を導入するための流動空気導入手段と、
前記堆積量情報に基づいて、前記流動空気の供給量を、前記循環材バブリング室の底部における前記流動空気導入手段の位置ごとに調節する空気量調節手段と、
前記循環材バブリング室の底部から前記異物を排出する排出口を有する排出手段と、を備えた、循環材バブリング室の流動空気の制御装置。
【請求項2】
前記排出手段は、前記排出口と、前記排出口からの前記異物を搬送し排出する搬送手段と、前記搬送手段の駆動を制御する駆動制御手段と、を備える、請求項1に記載の循環材バブリング室の流動空気の制御装置。
【請求項3】
前記堆積量情報は、温度及び圧力に基づくものである、請求項1又は2に記載の循環材バブリング室の流動空気の制御装置。
【請求項4】
火炉と、該火炉からの排ガスを固気分離するセパレータと、該セパレータの下方に設けられ、該セパレータで分離された循環材を、供給される流動空気によりバブリングする一方で火炉に戻すと共に底部から異物を排出する循環材バブリング室と、を備えた循環流動層ボイラのその運転中に、前記流動空気の供給量を調節する制御方法であって、
前記循環材バブリング室内の前記異物の堆積量情報を取得し、
前記堆積量情報に基づいて、前記流動空気の供給量を、前記循環材バブリング室の底部に設けられた複数の流動空気導入手段の位置ごとに調節し、
前記循環材バブリング室の底部に設けられた排出口から前記異物を排出する、循環材バブリング室の流動空気の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225535(P2012−225535A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91247(P2011−91247)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】