説明

循環流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの運転方法

【課題】循環材の循環不良を早期に検出することが可能な循環流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの運転方法を提供する。
【解決手段】循環流動層ボイラ1は、燃料を燃焼させる燃焼炉3と、燃焼炉3で発生した燃焼ガスから固体粒子である循環材を分離するサイクロン7と、サイクロン7で分離された循環材を下方に送るダウンカマー9と、ダウンカマー9から送られた循環材によって当該循環材の循環流路50をシールし燃焼炉3からダウンカマー9への燃焼ガスの逆流を防止するループシール部11と、ダウンカマー9の圧力とループシール部11の下部の圧力との差圧を取得する圧力センサ31,33と、上記差圧に関する情報に基づいて、循環材の循環不良の発生の有無を判定する制御コンピュータ35と、を備え、制御コンピュータ35は、上記差圧の標準偏差に基づいて、循環不良の発生の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の流動層ボイラが知られている。この種のボイラでは、燃料に含まれる低沸点化合物により、流動媒体としての流動砂の粒子同士が接合され塊化することで、流動媒体の流動不良が発生し得る。特許文献1のボイラでは、石灰石が流動媒体として用いられ、当該流動媒体の流動不良を検出するため、流動層の高さ方向のガス圧力損失又は流動層下部の温度によって、流動層下部の局部的な流動不良を検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−266315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような局部的な流動不良が循環流動層ボイラの循環路で発生すると、流動媒体の循環不良が発生する。そして、流動砂の粒子の塊化が更に進行すれば、循環材の流動が停止する流動停止に至り、ボイラの運転停止に至る可能性もある。従って、循環不良の発生を早期に検出し、早期に適切な措置を取る必要がある。しかしながら、特許文献1のように、流動層の高さ方向のガス圧力損失又は流動層下部の温度によって局部的な流動不良を検出する方式では、循環不良の発生を十分に早い時期に検出できるとは言い難い。循環流動層ボイラにおいては、循環不良発生時に早期に適切な措置を取るためにも、循環不良を更に早期に検出することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、循環材の循環不良を早期に検出することが可能な循環流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、循環流動層ボイラのダウンカマーの圧力とループシール部の下部の圧力との差圧が、循環材の循環状態に関連するとの仮定の下で鋭意研究を行った。そして本発明者らは、循環材の循環状態の悪化が、上記差圧の標準偏差に対して、より早期の段階で顕著に影響を与えることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の循環流動層ボイラは、燃料を燃焼させる燃焼炉と、燃焼炉で発生した燃焼ガスから固体粒子である循環材を分離するサイクロンと、サイクロンで分離され燃焼炉の下部に返送される循環材をサイクロンから下方に送るダウンカマーと、ダウンカマーから送られた循環材によって循環材の循環流路をシールし燃焼炉からダウンカマーへの燃焼ガスの逆流を防止するループシール部と、ダウンカマーの圧力とループシール部の下部の圧力との差圧を取得する差圧取得部と、差圧取得部で取得された差圧に関する情報に基づいて、循環材の循環不良の発生の有無を判定する循環不良判定部と、を備え、循環不良判定部は、差圧の標準偏差に基づいて、循環不良の発生の有無を判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の循環流動層ボイラの運転方法は、燃料を燃焼させる燃焼炉と、燃焼炉で発生した燃焼ガスを排ガスと循環材とに分離するサイクロンと、サイクロンで分離され燃焼炉の下部に返送される循環材をサイクロンから下方に送るダウンカマーと、ダウンカマーから送られた循環材によって循環材の循環流路をシールし燃焼炉からダウンカマーへの燃焼ガスの逆流を防止するループシール部と、を備えた循環流動層ボイラの運転方法であって、ダウンカマーの圧力とループシール部の下部の圧力との差圧を取得する差圧取得工程と、差圧取得工程で取得された差圧に関する情報に基づいて、循環材の循環不良の発生の有無を判定する循環不良判定工程と、を備え、循環不良判定工程では、差圧の標準偏差に基づいて、循環不良の発生の有無を判定することを特徴とする。
【0009】
本発明の循環流動層ボイラ及び運転方法によれば、ダウンカマーの圧力とループシール部の下部の圧力との差圧が取得され、その差圧の標準偏差に基づいて循環不良の発生の有無が判定される。上記差圧の標準偏差には、循環材の循環状態の悪化がより早期の段階で反映されるので、循環不良の発生を早期に検出することができる。
【0010】
また、本発明の循環流動層ボイラでは、ループシール部には循環材を外部に排出する排出口が設けられており、循環不良判定部によって循環材の循環不良が発生していると判定された場合には、排出口から循環材の一部が排出されることとしてもよい。
【0011】
また、本発明の循環流動層ボイラの運転方法では、ループシール部には循環材を外部に排出する排出口が設けられており、循環不良判定工程によって循環材の循環不良が発生していると判定された場合には、排出口から循環材の一部を排出する循環材排出工程を行うこととしてもよい。
【0012】
これらの循環流動層ボイラ及び運転方法の構成によれば、循環材の循環不良が発生していると判定された場合に、流動性が悪化した循環材の一部がループシール部の排出口から排出されるので、全体として循環材の流動性が改善され、循環不良が更に進行することを回避することができる。
【0013】
また、本発明の循環流動層ボイラでは、循環不良判定部は、差圧の標準偏差が減少傾向にある場合に、循環不良が発生していると判定することとしてもよい。
【0014】
また、本発明の循環流動層ボイラの運転方法においては、循環不良判定工程では、差圧の標準偏差が減少傾向にある場合に、循環不良が発生していると判定することとしてもよい。
【0015】
本発明者らは、循環不良が発生した場合には、ダウンカマーの圧力とループシール部の下部の圧力との差圧の標準偏差が減少傾向になることを見出した。上記の循環流動層ボイラ及び運転方法の構成によれば、差圧の標準偏差の減少傾向によって、循環不良の発生を検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の循環流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの運転方法によれば、循環材の循環不良を早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の循環流動層ボイラの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1のボイラの制御の処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)は運転試験1、(b)は運転試験2におけるループシール差圧の推移を示すグラフである。
【図4】(a)は運転試験1、(b)は運転試験2におけるループシール差圧の標準偏差の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る循環流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの運転方法の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1に、本実施形態の外部循環型の循環流動層ボイラ(CirculatingFluidized Bed型ボイラ)1を示す。この循環流動層ボイラ1は、バイオマス燃料を用いることが想定されており、モミガラ、EFB(Empty Fruit Bunches)などの低品位のバイオマス燃料が、循環流動層ボイラ1の燃料として用いられる。
【0020】
循環流動層ボイラ1は、縦長箱体形状をなす流動層型の燃焼炉3を備えている。燃焼炉3の中間部には燃料を投入する燃料投入部2aが設けられている。また、燃焼炉3には、後述する流動砂を燃焼炉3内に投入する流動砂投入部2bと、後述するアグロメレーション抑制用の添加剤を燃焼炉3内に投入する添加剤投入部2cと、が更に設けられている。燃焼炉3の上部には燃焼ガスを排出するガス出口3bが設けられている。
【0021】
燃焼炉3のガス出口3bには固気分離装置として機能するサイクロン7が接続されている。サイクロン7のガス排出口7aはガスラインを介して後段のガス処理系に接続されている。また、サイクロン7の底部出口からはダウンカマー9が下方に延びており、ダウンカマー9の下端はループシール部11を介して燃焼炉3の下部側面に接続されている。
【0022】
燃焼炉3内では、下部の給気ライン3cから導入される燃焼・流動用の空気により、燃料投入口から投入された燃料を含む固形物が流動し、燃料は流動しながら約800〜900℃で燃焼する。サイクロン7には、燃焼炉3で発生した燃焼ガスが固体粒子を同伴しながら導入される。サイクロン7は、燃焼ガスを、遠心分離作用によって固体粒子と気体(排ガス)とに分離する。固体粒子には、流動砂や、未燃焼の燃料、灰など含まれている。これらの固体粒子は「循環材」と呼ばれ、燃焼炉3、サイクロン7、ダウンカマー9、ループシール部11の順にボイラ1内を循環する。すなわち、ボイラ1においては、燃焼炉3上部、サイクロン7、ダウンカマー9、ループシール部11、及び燃焼炉3下部を順に環状に結ぶ循環流路50が形成され、当該循環流路50を循環材が循環する。なお、流動砂は、前述の流動砂投入部2bから燃焼炉3内に投入されて熱媒体として機能するものであり、燃焼炉3内で発生する燃焼熱を、発電用の熱として燃焼炉3の内壁面の熱回収部に伝導させる。
【0023】
サイクロン7で分離された循環材は、ダウンカマー9を通じて下方に送られ、ループシール部11に導入される。ループシール部11は、ダウンカマー9から送られた循環材によって循環流路50(燃焼炉3の下部とダウンカマー9との間)をシールし、燃焼炉3下部からダウンカマー9への燃焼ガスの逆流を防止する。また、ループシール部11は、噴出口11aから内部に空気を噴出して循環材の流動を補助する機能も有している。すなわち、ループシール部11における噴出空気により、循環材の一定の流動性が確保され、ダウンカマー9から燃焼炉3下部への循環材の返送が円滑に行われる。また、ループシール部11には、循環材を排出させるための排出シュート11bが設けられている。
【0024】
サイクロン7で分離された排ガスは、ガス排出口7aからガスラインを通じて後段のガス処理系に送出される。ガス処理系は、サイクロン7のガス排出口7aにガスラインを介して接続されたガス熱交換装置13と、このガス熱交換装置13の排出口13aにガスラインを介して接続されたバグフィルタ(集塵器)15とを備えている。ガス熱交換装置13には、排ガスの流路を横切るように水を流動させるボイラチューブ13bが設けられている。サイクロン7から送られた高温の排ガスがこのボイラチューブ13bに接触することで、排ガスの熱がチューブ内の水に回収され、発生した高温の水蒸気がボイラチューブ13bを通じて発電用のタービンに送られる。バグフィルタ15は、この可燃性ガスに未だ同伴している飛灰等の微粒子を除去する。バグフィルタ15の排出口15aから排出された清浄なガスはガスライン及びポンプ17を経由して煙突19から外部に排出される。
【0025】
更に、ボイラ1は各部を制御する制御コンピュータ35を備えている。前述の燃料投入部2a、流動砂投入部2b、添加剤投入部2c、及び排出シュート11bの駆動は、制御コンピュータ35によって制御されている。
【0026】
このボイラ1においては、前述のとおり、燃焼炉3、サイクロン7、ダウンカマー9、ループシール部11の順に流動砂が循環している。流動砂には、燃料に含まれる原因物質により、流動砂の粒子同士が接合され塊化するアグロメレーションと呼ばれる現象が発生し得る。アグロメレーションは、流動砂の主成分であるSiOと、バイオマス燃料に多く含まれるアルカリ成分(例えばKO)との化学反応に起因するものと考えられる。ボイラ1においては、アグロメレーションを抑制するために、前述のとおり、添加剤投入部2cから燃焼炉3内に添加剤を投入している。添加剤としては、ドロマイトや石灰石等の鉱物が好適に用いられる。
【0027】
しかしながら、アグロメレーションが発生した場合、循環材の流動性が低下し、循環材の循環不良が発生する。そして、循環不良の状態でアグロメレーションが更に進行すれば、循環材の流動が停止する流動停止に至る可能性もある。外部循環型の循環流動層ボイラ1の場合、特に、ループシール部11において循環不良が発生しやすい。そこで、流動停止を回避するために、流動停止の前兆である循環不良の状態を、可能な限り早期に検出することが望まれる。特に、低品位のバイオマス燃料を用いる場合は、燃料がアルカリ成分を多く含むのでアグロメレーションが発生し易い傾向にあり、循環不良の早期検出の仕組みを確立する必要性が高い。その中でもモミガラやEFB等は、カリウム成分(例えば、KO)を多く含んでいるので、モミガラやEFB等を燃料とする場合にはアグロメレーションが発生し易く、循環不良の早期検出の仕組みを確立する必要性が特に高い。
【0028】
そこで、このボイラ1は、ループシール部11の下部の圧力を計測する圧力センサ31と、その上方でダウンカマー9の圧力を計測する圧力センサ33とを備えている。そして、制御コンピュータ35は、2つの圧力センサ(差圧取得部)31,33による計測値に基づいて、以下の制御を行うこととしている。
【0029】
図2に示すように、制御コンピュータ(循環不良判定部)35は、2つの圧力センサ31,33による計測値の差により、ダウンカマー9の圧力とループシール部11の下部の圧力との差圧を継続的に取得している(S201:差圧取得工程)。ダウンカマー9の圧力とループシール部11の下部の圧力との差圧は、「ループシール差圧」などとも呼ばれる。なお、ボイラ1の正常運転中においては、ループシール部11内に循環材が一定量滞留していると考えられ、循環材の滞留範囲の上端はダウンカマー9の下部に掛かる場合もある。このような場合、圧力センサ33は、ダウンカマー9のうち上記滞留範囲の上端よりも上方の位置の圧力を「ダウンカマー9の圧力」として計測する。
【0030】
制御コンピュータ35は、継続的に上記ループシール差圧を取得すると共に、ループシール差圧の標準偏差(差圧に関する情報)を継続的に算出する(S203)。例えば、制御コンピュータ35は、所定の単位時間(例えば1分間)内に変動するループシール差圧値の標準偏差を継続的に算出する。
【0031】
そして、制御コンピュータ35は、上記標準偏差に基づいて、循環不良の発生の有無を判定する(S205:循環不良判定工程)。すなわち、ボイラ1の燃焼条件が変化しない前提の下で、上記標準偏差が減少傾向にある場合には(S205でYes)、循環材の循環不良が発生していると判定する。ここでは、例えば、所定の経過時間における標準偏差の減少分が所定値を超えた場合に、上記「減少傾向」であるとする。上記の「燃焼条件が変化しない」とは、燃料の種類や燃焼温度に変更がないことを言う。
【0032】
制御コンピュータ35は、循環不良が発生していると判定した場合には、排出シュート11bを開いて循環材の一部を排出させる(S207:循環材排出工程)。更に、制御コンピュータ35は、流動砂投入部2bを駆動して、排出された分の循環材を補うべく、流動砂を燃焼炉3内に投入する(S209)。この操作により、塊化した流動砂が新しい流動砂に入れ替わることになり、流動停止に至る可能性が低減される。なお、上記の流動砂を入れ替える措置に代えて、例えば、燃焼炉3の燃焼温度を低下させたり、アグロメレーション抑制用の添加剤の添加量を増加させたりすることを行ってもよい。このような操作も、アグロメレーションの進行を抑制するので、流動停止に至る可能性が低減される。
【0033】
続いて、図3及び図4を参照しながら、上述の循環流動層ボイラ1による作用効果について説明する。
【0034】
本発明者らは、循環流動層ボイラ1の運転試験を行い、ボイラ1を正常運転させる試験(以下「運転試験1」)と、循環不良が発生する運転試験(以下「運転試験2」)とを行った。運転試験1では、循環流動層ボイラ1を正常に運転した。運転試験2では、循環材の循環不良が発生したため、グラフ横軸の2800分の時点で試験終了とした。運転試験1,2では、1分ごとにループシール差圧と、その標準偏差とを取得している。図3(a)は、運転試験1におけるループシール差圧の推移を示したグラフであり、図3(b)は、運転試験2におけるループシール差圧の推移を示したグラフである。図4(a)は、運転試験1におけるループシール差圧の標準偏差の推移を示したグラフであり、図4(b)は、運転試験2におけるループシール差圧の標準偏差の推移を示したグラフである。
【0035】
循環流動層ボイラ1では、アグロメレーションによってループシール部11における流動性が低下すると、ループシール差圧が低下すると考えられる。従って、ループシール差圧の低下を、循環不良発生の判断基準とすることも考えられる。しかしながら、図3(a),(b)を比較して判るように、運転試験2のループシール差圧は、グラフ横軸の1000分以降においても目立った低下傾向などは見られず、運転試験1(正常運転)のループシール差圧の傾向との差異はほとんど判別できなかった。このように、少なくとも循環不良発生の初期の段階においては、循環不良発生が、ループシール差圧には顕著に反映されないことが判った。従って、ループシール差圧を循環不良発生の判断基準としても、循環不良発生の早期検出は困難である。
【0036】
その一方、図4(a),(b)に示されるように、運転試験2におけるループシール差圧の標準偏差は、線分Bに沿うように特にグラフ横軸の1200分以降に減少傾向が現れ、運転試験1(正常運転)における傾向との差異が判別可能であった。このように、循環不良発生は、初期の段階から、ループシール差圧の標準偏差に顕著に反映され、当該標準偏差の減少傾向として表れることが判った。従って、ループシール差圧の標準偏差を循環不良発生の判断基準とすることにより、循環不良発生の早期検出が可能である。例えば、ここでは、標準偏差の減少率(単位時間当たりの減少値)が所定値以上の場合には、循環不良が発生したと判定すればよい。また例えば、図4(b)の線分Bの傾きが所定値以下(線分Bの傾きの絶対値が所定値以上)である場合に、循環不良が発生したと判定すればよい。
【0037】
以上の試験結果から理解されるとおり、本実施形態の循環流動層ボイラ1及び上述の運転方法によれば、ループシール差圧の標準偏差の減少傾向をもって循環不良発生と判定するので、循環不良の発生を早期に検出することができる。
【0038】
また、循環流動層ボイラ1及び運転方法によれば、循環材の循環不良が発生していると判定された場合に、流動性が悪化した循環材の一部がループシール部11の排出シュート11bから排出されるので、全体として循環材の流動性が改善され、循環不良が更に進行することを回避することができる。更に、流動砂投入部2bが駆動され、排出された分の循環材を補うべく、流動砂が燃焼炉3内に投入されるので、塊化した流動砂が新しい流動砂に入れ替わることになり、流動停止に至る可能性が低減される。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…循環流動層ボイラ、3…燃焼炉、7…サイクロン、9…ダウンカマー、11…ループシール部、11b…排出口、31…圧力センサ(差圧取得部)、33…圧力センサ(差圧取得部)、35…制御コンピュータ(循環不良判定部)、50…循環流路、S201…差圧取得工程、S205…循環不良判定工程、S207…循環材排出工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させる燃焼炉と、
前記燃焼炉で発生した燃焼ガスから固体粒子である循環材を分離するサイクロンと、
前記サイクロンで分離され前記燃焼炉の下部に返送される前記循環材を前記サイクロンから下方に送るダウンカマーと、
前記ダウンカマーから送られた前記循環材によって前記循環材の循環流路をシールし前記燃焼炉から前記ダウンカマーへの燃焼ガスの逆流を防止するループシール部と、
前記ダウンカマーの圧力と前記ループシール部の下部の圧力との差圧を取得する差圧取得部と、
前記差圧取得部で取得された前記差圧に関する情報に基づいて、前記循環材の循環不良の発生の有無を判定する循環不良判定部と、を備え、
前記循環不良判定部は、
前記差圧の標準偏差に基づいて、前記循環不良の発生の有無を判定することを特徴とする循環流動層ボイラ。
【請求項2】
前記ループシール部には前記循環材を外部に排出する排出口が設けられており、
前記循環不良判定部によって前記循環材の循環不良が発生していると判定された場合には、前記排出口から前記循環材の一部が排出されることを特徴とする請求項1に記載の循環流動層ボイラ。
【請求項3】
前記循環不良判定部は、
前記差圧の前記標準偏差が減少傾向にある場合に、前記循環不良が発生していると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の循環流動層ボイラ。
【請求項4】
燃料を燃焼させる燃焼炉と、
前記燃焼炉で発生した燃焼ガスを排ガスと循環材とに分離するサイクロンと、
前記サイクロンで分離され前記燃焼炉の下部に返送される前記循環材を前記サイクロンから下方に送るダウンカマーと、
前記ダウンカマーから送られた前記循環材によって前記循環材の循環流路をシールし前記燃焼炉から前記ダウンカマーへの燃焼ガスの逆流を防止するループシール部と、を備えた循環流動層ボイラの運転方法であって、
前記ダウンカマーの圧力と前記ループシール部の下部の圧力との差圧を取得する差圧取得工程と、
前記差圧取得工程で取得された前記差圧に関する情報に基づいて、前記循環材の循環不良の発生の有無を判定する循環不良判定工程と、を備え、
前記循環不良判定工程では、
前記差圧の標準偏差に基づいて、前記循環不良の発生の有無を判定することを特徴とする循環流動層ボイラの運転方法。
【請求項5】
前記ループシール部には前記循環材を外部に排出する排出口が設けられており、
前記循環不良判定工程によって前記循環材の循環不良が発生していると判定された場合には、
前記排出口から前記循環材の一部を排出する循環材排出工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の循環流動層ボイラの運転方法。
【請求項6】
前記循環不良判定工程では、
前記差圧の前記標準偏差が減少傾向にある場合に、前記循環不良が発生していると判定することを特徴とする請求項4又は5に記載の循環流動層ボイラの運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−15266(P2013−15266A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148546(P2011−148546)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】