説明

循環給湯システム

【課題】CO2などの大気汚染物質を含む燃焼ガスなどを発生しない省エネ型の循環給湯システムを提案すること。
【解決手段】循環給湯システム1は、浴槽2の水を回収して、ろ過器7等を通してろ過した後に、熱交換器8に通して加熱し、レジオネラ菌対策用のろ過器9を通して殺菌処理し、さらに、塩素滅菌処理を行った後に再び浴槽2に戻す。浴槽2の水を加熱するために用いる原水は、原水水槽21において水素ガスを燃料とするバーナー25によって加熱される。水素ガスは、水素燃料ユニット26において原水を電気分解することにより得られる。ボイラーなどのような一般的な加熱装置を用いる場合とは異なり、CO2などの大気汚染物質を含む燃焼ガスが発生せず、また、効率良く原水を加熱できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温泉浴場などにおいて用いられる循環給湯システムに関し、特に、CO2などの大気汚染物質を排出することなく、浴槽に還流させる温泉水を効率良く沸かすことのできる循環給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
温泉浴場などに設置されている循環給湯システムは、一般に、浴槽から排出された水をろ過して異物を除去した後に、熱交換器を介して再加熱して、浴槽に還流させるように構成されている。熱交換器に供給される熱媒を加熱するためにボイラーなどの加熱装置が用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ボイラーなどの加熱装置からはCO2を含む燃焼ガスが発生するので、大気汚染を防止するという観点からは好ましくない。また、ボイラーなどの燃焼装置は一般に加熱効率が悪いという問題点がある。
【0004】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、燃焼ガスを発生させることなく効率良く温泉水を加熱することのできる循環給湯システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、浴槽から回収した水に含まれている異物を除去する異物除去手段と、異物が除去された後の水を加熱して40℃以上の温水とする加熱手段と、温水を塩素殺菌するための塩素滅菌手段とを有し、塩素滅菌後の温水を前記浴槽に還流させる循環給湯システムにおいて、
前記加熱手段は、
熱媒として用いる加熱された原水と、前記浴槽から回収した水との間で熱交換を行って、当該水を加熱する熱交換器と、
水素・酸素ガス発生装置と、
この水素・酸素ガス発生装置から得られる水素燃料を用いるバーナーと、
このバーナーによって加熱された水道水、井戸水などの原水を貯留する原水水槽と、
この原水水槽から前記熱交換器に供給される40〜45℃の加熱水と、前記熱交換器から前記原水水槽に還流する還流水との間で熱交換を行って、前記熱交換器に供給される加熱水の温度を50〜55℃に高めるチラーユニットとを備えていることを特徴としている。
【0006】
ここで、熱交換器から得られる前記温水に含まれているレジオネラ菌などを殺菌する殺菌手段を有していることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の循環給湯システムでは、熱交換器の熱媒として用いる原水を加熱するための加熱源として、水素・酸素ガス発生装置と、ここから発生する水素燃料を用いるバーナーを備えている。CO2などの大気汚染物質を含む燃焼ガスを発生させることなく、しかも、効率良く原水を加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した温泉の循環給湯システムを説明する。
【0009】
図1は本例の循環給湯システムを示す概略構成図であり、図2はその概略平面構成図である。本例の循環給湯システム1は、浴槽水循環系Aと、浴槽水を再加熱するための原水循環系Bとを備えている。
【0010】
浴槽水循環系Aは、浴槽2の水を、循環ポンプ3を用いて、浴槽2の吸入口4から回収して給湯口5から再び浴槽2に還流させる。この循環系Aには、循環経路に沿って、異物除去手段としてのヘアーキャッチャ6およびろ過器7と、熱交換器8と、殺菌手段としてのレジオネラ菌対策用のろ過器9と、塩素滅菌手段としての自動塩素滅菌装置10が配置されている。
【0011】
浴槽2の吸入口4から排出された浴槽水は、ヘアーキャッチャ6においてヘヤーが除去された後に、循環ポンプ3を介してろ過器7に供給される。ろ過器7内に充填されているろ材7aを流下する間に、浴槽水に含まれている異物がろ過される。ろ過後の水は、熱交換器8に供給され、ここで熱交換により加熱された後に、ろ過器9を通ってレジオネラ菌の殺菌処理が行われる。そして、自動塩素滅菌装置10によって塩素滅菌処理が行われた後に、40〜42℃の温水状態で給湯口5から浴槽2に供給される。
【0012】
一方、原水循環系Bは、原水水槽21に貯留されている熱媒としての原水を、循環ポンプ22、23を用いて、原水水槽21の供給口21aから、チラーユニット24および熱交換器8を経由した後に再びチラーユニット24を通して、原水水槽21の回収口21bから原水水槽21に回収する。
【0013】
原水水槽21にはバーナー25が付設されており、バーナー25によって原水水槽21に貯留されている原水が加熱される。バーナー25は水素ガスを燃料としており、水素ガスは水素・酸素ガス発生装置である水素燃料ユニット26から供給される。水素燃料ユニット26には原水が供給され、原水を電気分解することにより得られる水素ガスが燃料としてバーナー25に供給される。
【0014】
原水水槽21の原水はバーナー25によって加熱されて40〜45℃の温水状態で供給口22から循環ポンプ22を介してチラーユニット24に供給される。チラーユニット24において、供給された温水が、還流する原水が放出する熱によって50〜55℃まで過熱される。チラーユニット24から出た温水は、循環ポンプ23を介して、熱交換器8に供給される。熱交換器8の内部において、浴槽2から回収された浴槽水との間の熱交換によって熱を放出した後は、チラーユニット24を経由して更に熱を放出し、20〜30℃程度の温度状態で回収口21bから原水水槽21に戻る。
【0015】
ここで、水素燃料ユニット26は、例えば、WO2003/048424に開示の構成とすることができる。また、レジオネラ菌対策用のろ過器9は、例えば、特開2002−191680号公報に開示の構成とすることができる。
【0016】
以上説明したように、本例の循環給湯システム1では、浴槽水を加熱するために用いる原水を、水素燃料ユニット26から供給される水素ガスを燃料とするバーナー25を用いて加熱している。したがって、一般的なボイラーなどの加熱装置を用いる場合のような大気汚染物質を含む燃焼ガスが発生しない。また、効率良く原水を加熱することができる。よって、CO2などを発生しない省エネ型の循環給湯システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した循環給湯システムの概略構成図である。
【図2】図1の循環給湯システムの概略平面構成図である。
【符号の説明】
【0018】
1 循環給湯システム
A 浴槽水循環系
B 原水循環系
2 浴槽
3 循環ポンプ
4 吸入口
5 給湯口
6 ヘヤーキャッチャ
7、9 ろ過器
8 熱交換器
10 自動塩素滅菌装置
21 原水水槽
21a 供給口
21b 回収口
22、23 循環ポンプ
24 チラーユニット
25 バーナー
26 水素燃料ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽から回収した水に含まれている異物を除去する異物除去手段と、
異物が除去された後の水を加熱して40℃以上の温水とする加熱手段と、
温水を塩素殺菌するための塩素滅菌手段とを有し、
塩素滅菌後の温水を前記浴槽に還流させる循環給湯システムにおいて、
前記加熱手段は、
熱媒として用いる加熱された原水と、前記浴槽から回収した水との間で熱交換を行って、当該水を加熱する熱交換器と、
水素・酸素ガス発生装置と、
この水素・酸素ガス発生装置から得られる水素ガスを燃料として用いるバーナーと、
このバーナーによって加熱された水道水、井戸水などの原水を貯留する原水水槽と、
この原水水槽から前記熱交換器に供給される前の40〜45℃の加熱水と、前記熱交換器から原水水槽に還流する還流水との間で熱交換を行って、前記熱交換器に供給される加熱水の温度を50〜55℃に高めるチラーユニットと、
を備えていることを特徴とする循環給湯システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記熱交換器から得られる前記温水に含まれているレジオネラ菌などを殺菌する殺菌手段を有していることを特徴とする循環給湯システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−298253(P2007−298253A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128596(P2006−128596)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(592120081)
【Fターム(参考)】