説明

微小気泡含有組成物、および、微小気泡発生器。

【課題】 より手軽に微小泡を利用する。従来、酸素ボンベ、窒素ボンベ、二酸化炭素ボンベを必要として場所をとる問題を解消する。また、家庭で二酸化炭素微小泡を利用するときに、ドライアイスを購入すればよい、としたい。
【解決手段】大気圧にちかいガス圧で固体または液体の気化を制御する手段を兼備させた。このことによって、既存の渦流ポンプ吸引を用いた微小泡発生器を利用できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、主として生体表面(皮膚)に刺激を与え、表面組織を活性化させる組成物に関する、および、その組成物の製造装置に関するものである。
【0002】
組成物は、いわゆる「微小気泡(マイクロバブル)」であって、バブルをなすガスが、大気、またたとえば窒素(N2)または酸素(O2)または二酸化炭素(CO2)であって、特に大気とN2ーO2ーCO2組成を異にすると、通常の気泡とは異なった性質があり、生体表面(皮膚)にあたえる影響もおおきいことがわかっている。
【0003】
この「マイクロバブル」には、低濃度タイプ:直径が30μm 付近に分布のピークがあり、気泡濃度としては数百個/mL 程度。見た目は水が少し曇った状態のもの。および、高濃度タイプ:10μm付近に気泡分布のピークがあり、気泡個数は数千個/mL 以上。見た目は牛乳のような状態のものがある。
【0004】
本発明の組成物には、この「マイクロバブル」が含有され、かかる気泡が生体表面(皮膚)に刺激を与え、表面組織を活性化させることで、人体に適用すれば健康増進効果がえられる。
【0005】
ここで、この「マイクロバブル」2種:低濃度タイプ(30μm)、高濃度タイプ(10μm)による経験的差異は、概して、高濃度タイプ(10μm)の与える種々の効果の方が、低濃度タイプ(30μm)のそれよりもはるかに大きいということである。
【0006】
ゆえに本発明の実施の際も同様に、高濃度タイプ(10μm)にて実施するのがよりよい効果を与える。
【0007】
高濃度タイプ(10μm)マイクロバブルを生成する技術は、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0008】
それに対し、低濃度タイプ(30μm)あるいは、さらにバブル径が大きな低級(ミリスケール)タイプによる細胞培養技術が特許文献2および特許文献3に記載されている。
【0009】
また、特許文献4および特許文献5には、本発明と同じコンセプトである「固化ガス(ドライアイス)」の気化(昇華)で得られるガスによる微小泡発生について開示している。しかし、マイクロバブルのカテゴリーにはいる前記の微小粒径の泡が効果的に生成されているかどうか疑問である。
【0010】
ひるがえって、特許文献1の気体吸入についての記述は、大気圧で気体吸引をなす、渦流ポンプが用いられている。
【0011】
これら公知技術が、本発明のバックグラウンドである。
【特許文献1】特許第3620797号公報「微細気泡発生装置」アイピーエムエス
【特許文献2】特許第2762372号公報「微細気泡発生装置」小松製作所
【特許文献3】特公平5-60353号公報「液中通気による培養方法及び培養装置」日立製作所
【特許文献4】公開特許公報2005−261888号公報「炭酸ガスを用いた微細気泡医療器及び健康器」光創造研究所
【特許文献5】公開特許公報2005−245990号公報「ドライアイスを用いた炭酸泉医療器及び健康器」光創造研究所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、より手軽に微小泡を利用することである。具体的には、細胞培養の研究フィールドで微小泡を利用するにあたって従来、酸素ボンベ、窒素ボンベ、二酸化炭素ボンベを必要として場所をとる、という問題を解消する。
【0013】
また、一般家庭で二酸化炭素微小泡を利用することでいえば、家庭でドライアイスを購入すればよい、としたい、ということの実現である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前提として、特許文献1の技術による微小泡を利用することがある。その理由は、特許文献1の技術によって生成される微小泡の粒径は、比較的小さく、生成も安定しており、さまざまな微小泡を利用でその有用性が証明されているからである。少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含むバブル生成が実現できている。
【0015】
ここで重要なのは、科学的説明は現在研究中であるが、「大気圧で気体吸引をなす、渦流ポンプポンプの利用」である。ここで、特許文献4および特許文献5の、「固化ガス(ドライアイス)」の気化の方法をみると、気化ででえられるガスによる微小泡発生についての記述をみれば、気化によって大気圧以上となったガス圧でバブリングさせていることが読み取れる。
【0016】
したがって、特許文献1の技術を特許文献4ないしは5の技術に適用できない。
【0017】
そこで、発明者は、上記の問題(特許文献1の技術を特許文献4ないしは5の技術に適用できない)を次のように解決した。
【0018】
すなわち(図1参照、請求項1および4)、装置として、気体吸引手段、液体吸引手段、液体吐出手段、および、これらが接続する微小気体を生成する本体手段を具備した微小気泡発生器であって、該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、前記気体吸引手段に、さらに接続された気相のガス容器(G)、該Gに接続された固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を具備した微小気泡発生器であり、組成物として、気体吸引手段、液体吸引手段、液体吐出手段、および、これらが接続する微小気体を生成する本体手段を具備した微小気泡発生器を用いて製造された微小気泡含有組成物であって、該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、前記気体吸引手段に、さらに接続された、気相のガス容器(G)、該Gに接続された固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を具備した微小気泡発生器によって、固化ガスまたは液化ガスを気化して微小気泡となし、前記液体吐出手段から該微小気泡を吐出してなる微小気泡含有組成物である。
【0019】
また(図1参照、請求項2および5)、固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を昇温して気化させる手段3、および、気相のガス容器(G)のガス圧を検知する手段P、および、該ガス圧を検知する手段の検知圧力に基づいて前記の(SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段3に昇温指令を出す気化制御手段P1、をさらに具備した微小気泡発生器であり、組成物として、固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を昇温して気化させる手段、および、気相のガス容器(G)のガス圧を検知する手段、および、該ガス圧を検知する手段Pの検知圧力に基づいて前記の(SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段3に昇温指令を出す気化制御手段P1、をさらに具備して、気相のガス容器(G)のガス圧を慨ね大気圧に保持しつつ、前記気体吸引手段に固化ガスまたは液化ガスを気化して吸引させてなる組成物である。
【0020】
また当然ながら(請求項3および7)、固化ガスまたは液化ガスは、窒素(N2)または酸素(O2)または二酸化炭素(CO2)である。
【0021】
また(請求項6)、装置において、(SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段に昇温指令を出す気化制御手段が、気相のガス容器(G)のガス圧を慨ね大気圧に保持する制御であることが、渦流ポンプポンプのバブル生成装置本体に適用する場合に好ましい。
【0022】
本発明は、こういった手法の組合わせで次の効果が得られるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によって、より手軽に微小泡を利用することが実現される。たとえば従来、酸素ボンベ、窒素ボンベ、二酸化炭素ボンベを必要として場所をとるという研究現場の問題を、液化ガスの利用で解消できる。
【0024】
また、家庭で二酸化炭素微小泡を利用するときに、ドライアイスを購入すればよい、いった簡単な作業でよくなる。
【0025】
図1の固化ガス容器または液化ガス容器1(SL)、すなわち、ドライアイス容器の模式図の上左部分に描いたように、ドライアイス容器が開閉自在、かつまた、「閉」時に密閉が確保される天蓋状の蓋を具備していることが、実際の利用上好ましい態様である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の微小気泡発生器であって、固化ガスが、固化二酸化炭素(CO2)すなわちドライアイスである場合の模式図
【符号の説明】
【0027】


1 固化ガス容器または液化ガス容器(SL)
2 気相のガス容器(G)であって、図示しないが、圧力緩衝タンクを具備している。圧力緩衝タンクには適切な容量調節手段が兼備されており、これらによって気化ガス圧を概ね大気圧に維持する。
3 (SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段、および、該気化の制御手段。たとえば、電熱ヒータ、ピアジェ素子温度制御デバイス、ドライアイスの場合には水シャワーや水スプレーでもよい。
4 気体吸引手段
10 微小気泡発生器
14 10の液体吸引手段(の先端部分)
15 10の液体吐出手段(の先端部分)
P 気相のガス容器(G)のガス圧を検知する手段
P1 Pの検知圧力に基づいて(3)に昇温指令を出す気化制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体吸引手段、液体吸引手段、液体吐出手段、および
これらが接続する微小気体を生成する本体手段を具備した微小気泡発生器を用いて
製造された微小気泡含有組成物であって、
該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、
前記気体吸引手段に、さらに接続された、気相のガス容器(G)、
該Gに接続された固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を具備した微小気泡発生器によって、
固化ガスまたは液化ガスを気化して微小気泡となし、
前記液体吐出手段から該微小気泡を吐出してなる微小気泡含有組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物において、
固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を昇温して気化させる手段、および、
気相のガス容器(G)のガス圧を検知する手段、および、
該ガス圧を検知する手段の検知圧力に基づいて
前記の(SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段に昇温指令を出す気化制御手段、
をさらに具備して、
気相のガス容器(G)のガス圧を慨ね大気圧に保持しつつ、
前記気体吸引手段に固化ガスまたは液化ガスを気化して吸引させてなる組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2の組成物において、
固化ガスまたは液化ガスが、
窒素(N2)または酸素(O2)または二酸化炭素(CO2)である組成物。
【請求項4】
気体吸引手段、液体吸引手段、液体吐出手段、および
これらが接続する微小気体を生成する本体手段を具備した微小気泡発生器であって、
該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、
前記気体吸引手段に、さらに接続された気相のガス容器(G)、
該Gに接続された固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を具備した微小気泡発生器。
【請求項5】
請求項4の微小気泡発生器において、
固化ガス容器または液化ガス容器(SL)を昇温して気化させる手段、および、
気相のガス容器(G)のガス圧を検知する手段、および、
該ガス圧を検知する手段の検知圧力に基づいて
前記の(SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段に昇温指令を出す気化制御手段、
をさらに具備した微小気泡発生器。
【請求項6】
請求項4の微小気泡発生器において、
(SL)を昇温して固化ガスまたは液化ガスを気化させる手段に昇温指令を出す気化制御手段が、
気相のガス容器(G)のガス圧を慨ね大気圧に保持する制御である微小気泡発生器。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかの微小気泡発生器において、
固化ガスまたは液化ガスが、
窒素(N2)または酸素(O2)または二酸化炭素(CO2)である微小気泡発生器。

【図1】
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【公開番号】特開2011−88080(P2011−88080A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−243940(P2009−243940)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(596174329)
【Fターム(参考)】