微小流体分析プラットホーム
本発明は、従来のマイクロプレートの新たな改良を開示しており、微小流体チャネルにこのマイクロプレートを統合することで分析操作を簡略化し、操作速度をあげ、試薬消費量を減らしている。本発明は通常のマイクロプレートの代わりに使用でき、マイクロタイタープレート用に設計された既存の機器システムを一切変更することなく簡単に代替できる。本発明は、サンプル充填ウェルに統合した微小流体装置も同様に開示しており、全ての流体処理は、毛管力駆動である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
本出願は、2009年7月20日に出願された米国仮出願第61/226,764号及び2010年1月21日に出願された米国仮出願第61/297,221号の優先権を主張しており、各出願は全体を参照することによって、本明細書に組み込まれている。
[政府の権利]
本開発の一部は国立保健研究機構(NIH)の認可番号R44EB007114号の資金提供により行った。政府は本発明の正当な権利を有する。
[技術分野]
本発明は、マイクロプレート試験の改良、特にマイクロプレートの性能及びその分析性能を改良する微小流体法と通常のマイクロプレート構造の統合に関連している。
【背景技術】
【0002】
イムノアッセイ法は、「定量的イムノアッセイ:アッセイの構築、トラブルシューティング及び臨床応用の実践ガイド(“Quantitative Immunoassay:APractical Guide for Assay Establishment,Troubleshooting and Clinical Applications;James Wu;AACC Press;2000”」に記されているような、様々なアプリケーションに広く使用されている。最も一般的なイムノアッセイ法は非競合アッセイであり、この例は、幅広く知られているサンドイッチイムノアッセイであり、分析物の検出に2つの結合試薬を使用する。そして競合アッセイは、分析物の検出に単一の結合試薬のみを必要とする。
【0003】
サンドイッチイムノアッセイの最も基礎的な形は、下記の通りである。まず第1結合試薬としての捕獲抗体を固相担体(一般的に)に被覆する。捕獲抗体は、分析物に特異的親和力を提供するだけでなく、理想的には、その他の分析物と反応しないように選択される。この工程の後、標的分析物を含む溶液をこの領域に導入することで、標的分析物が捕獲抗体と結合する。余剰の分析物を洗浄した後、第2結合試薬としての第2検出抗体をこの領域に添加する。この検出抗体も、同様に分析物に特異的な親和力を提供するだけでなく、理想的には、その他の分析物と反応しない。更に、検出抗体は一般的にレポータ試薬により「標識化」されている。このレポーター試薬は、光学的(蛍光画像法又は化学発光画像法又は大面積画像法)、電気的、磁気的、又は他の手段などの様々な検出方法の一つによって検出できるように設計されている。この分析手順では、検出抗体が、更に、分析物−捕獲抗体複合体に結合する。余剰の検出抗体を除去した後、最終的に検出抗体のレポータ試薬を適切な手法を用いて探知する。この方式では、レポータ試薬の信号はサンプル中の分析物の濃度に比例している。いわゆる「競合的」分析では、検出抗体と(検出抗体+分析物)の複合体の競合反応が生じる。分析物、又は分析物類似体を固相に直接的に被覆した固相分析物(又は類似体)に結合している検出抗体の量は、溶液中の検出抗体と未結合の分析物の相対濃度に比例している。イムノアッセイ法の利点は、結合試薬の使用によって与えられる標的分析物に対する検出の特異性である。
【0004】
上記の方法は、タンパク質の検出等、本分析法の最も一般的な形式であることに留意すべきである。同様に、イムノアッセイ法は、酵素、核酸及びその他等の目的とする分析物にも使用できるが、これらに限定されない。更に、同様の概念が、例えば「捕獲」抗体と検出分析物を用いた分析物抗体の検出などを含めてその他の変形例に幅広く適用されている。
【0005】
「マイクロプレート」、「96ウェルプレート」、「96ウェルマイクロプレート」とも呼ばれる96ウェルマイクロタイタープレートは、生化学研究所で役立ってきた。マイクロプレートはイムノアッセイ(分析)に基づいた検出法を含む多種多様な用途に使用されている。マイクロタイタープレートの他の用途を2、3例をあげると、保存用細胞培養用、化合物のスクリーニング用の培地である。現在、96ウェルプレートは、生化学研究所に偏在しており、自動分配装置、自動プレート洗浄システムといった機器がかなりの程度まで発達している。実際、Society for Biomolecular Sciences(SBS)と米国国家規格協会(ANSI)は、マイクロプレートの特定の寸法のガイドラインを公表しており、殆どの機器メーカーが、これに従って、これらのプレートを取り扱う機器を調和させている。上述した基本的な自動機器に加え、マイクロプレートの性能の特定の側面を改良する特殊な計装システムのいくつもの例が開発された。例えば、米国特許第7488451号は、マイクロプレートに微小粒子を充填することに焦点をあてた微小粒子分配装置を開示しており、この特許は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。一方で、米国特許第5234665号は、細胞分析用マイクロプレート中の凝集パターンを分析する方法を開示しており、この特許も全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。
【0006】
96ウェルプラットホームは、非常に定評があり一般的に認知されているが、いくつかの顕著な欠点がある。各反応工程は、50乃至100μlの試薬量を要し、各インキュベーション工程で満足のいく反応が得られるまでに1乃至8時間のインキュベーションの時間を要する。このインキュベーション時間は、一般的に特定の工程における試薬濃度に依存している。プレートあたりの効果を上げ、反応液量を(結果的に、プレートあたりの操作コスト)を減らすように;研究者は、384や1536ウェルマイクロプレートなど密度の高い形式を開発してきた。これらは、96ウェルと同じ型であるが、ウェル密度とウェル間のスペースが異なる。例えば、典型的な1536ウェルでは、1回の分析工程につき用いる試薬は、わずか2乃至5μlである。1536ウェルは、試薬量の大幅な節約を提供するものの極端に小容量の液体は容易に蒸発するため分析反応溶液の正味濃度が変わるという再現性の問題がある。1536ウェルプレートはいわゆるハイスループットスクリーニング(HTS)法における専用ロボットシステムによって操作される。実際に、国際公開公報05028110B1号に公開されているような研究者が更にプレートの「密度」(所定の領域におけるウェルの数)を増加させた革新的な例があり、ここでは約6144ウェルのアレイを作ってナノリットルサイズの液量を処理できるようにしている。この例は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。この例は当然、関連する米国特許第7407630号に開示されている専用の装置システムも必要とする。この特許も全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。研究者は斬新なデザインを開発すべく殆どの場合SBS/ANSIのガイドラインの制限の中でマイクロプレートの設計を変更に莫大なエネルギーを注いできた。この一例が全体を参照することにより本明細書に組み込まれている米国特許第7033819号、米国特許第6699665号と米国特許第6864065号を含む特許に開示されている。ここではミクロンサイズのウェルの二次アレイが通常の96ウェルマイクロプレートの底に作られている。これらの小型ウェルは、細胞を捕捉して、この形式を用いて分析できるものの中でもとりわけ運動パターンの研究に用いられている。米国特許第7371563号とそれに関連する米国特許出願第6803205号には、ウェルの底を選択的に取り付け、取り外すことによりマイクロプレートの取扱いの柔軟性が説明されている。両出願は全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。全体を参照することによって本明細書に組み込まれている米国特許第7138270号と国際公開公報第03059518A3号は同じ形で同じウェルレイアウトの96ウェルプレートを用いているが、プレートあたりの液量を著しく減らした技術を開示している。ろ過及び/又は抽出用に一体的に梱包したカラムを使用する高度な機能性が米国特許第7374724号の実施例に示されており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。研究者らは米国出願公開第20040247490A1号に開示されているように、マイクロプレートの基底部で(a)ろ過のアプリケーションと(b)貫流分析(through flow assay)のアプリケーション用に膜を一体化した。これは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。還流のアプリケーションには、膜孔が小さい膜フィルターは、膜から液体を除去するために非常に強い置換力を要する。
【0007】
小型化と自動化の次の段階は微小流体システムの開発であった。米国特許第6429025号、米国特許第6620625号及び米国特許第6881312号に開示されているように微小流体システムは理想的には分析ベースの反応に適している。これらの特許は全体を参照することによって、本明細書などに組み込まれている。微小流体システムは、アッセイベースの分析に加え、分析学の研究にも使用できる。例えば、米国出願公開第20080247907A1号と国際公開公報2007120515A1号は、分析反応の反応速度論を調べる方法を記載しており、両出願は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国特許第7534331号、米国特許第7326563号及び米国特許第6900021号に記載されているように、細胞の操作及び細胞ベースの分析などのアプリケーション用の微小流体システムも開示されている。これらの出願は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。微小流体システムの主要な利点は、スループットが高く、反応液量が非常に高い大規模な並列反応を実現できることにある。この例は、米国特許第7143785号、米国特許第7413712号及び米国特許第7476363号に開示されており、これらは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。全体を参照することによって本明細書に組み込まれている米国出願公開第20020006359A1号、米国特許第6495369号、及び米国出願公開第20060263241Al号に記載されているように、ハイスループット微小流体用の計装システムも同様に幅広く研究され、開発されてきた。同時に、主要な問題点は、微小流体システムのWorld−to−chipインタフェースの問題が未だに解決されていないことである。この問題に対して研究者は通常、専用の液体を開発しており、この一例が米国特許第6951632号に開示されており、全体を参照することによって、方法に応じて本明細書に組み込まれている。この一つの問題が、微小流体システムの広範な普及の重要なボトルネックになっている。微小流体の広範な普及に関するもう一つの問題は、規格化したプラットホームがないことである。ほとんどの微小流体デバイスは、所定のアプリケーションに適した特定の設計をしているが入口と出口が異なる位置にある。実際に、もし共通点があるならば、当該技術分野において周知である微小流体装置の外形又は厚さである。
【0008】
この流れにおける次の理論的な段階はもちろん96又は384又は1536ウェルの統合が自然である。ほとんどの場合、「微小流体」マイクロプレートは従来のマイクロプレートと同じ外形を使用しているが、その桟機能は米国出願公開第20060029524A1号と米国特許第7476510号に開示されている例にあるように、細胞分析用に非常に特化している。両出願は全体を参照することによって本明細書の組み込まれている。研究者は微小流体装置の構築に標準的なマイクロプレートの型を広く使用している。この例は、多くの文献で見られる。「DNAとRNAのハイスループット抽出用96ウェルポリカーボネートに基づく微小流体タイタープレート」Anal.Chem.2008,80(9),pp3483−3491,WitekとPark et al.;及び「タイタープレートに基づくスループット核酸精製用の高分子微小流体装置」Biomedical Microdevices;Volume10,Number1/February,2008;21−33;と「微小流体チップ光活性ポリカーボネート(PPC)中の96ウェルSPRIリアクタ」Micro Electro Mechanical Systems,2007.MEMS.IEEE 20th International Conference on,21−25Jan.2007 Page(s):433−436;及びChoiらの「ハイスループットキネティックを有する光結晶バイオセンサ内部統合型光学微小流体複製鋳型網96ウェルマイクロプレート;生物分子相互作用分析」Lab Chip,2007,7,1−8,及び更にTolanらの研究による「効率的な薬剤開発に関するマイクロタイター法と微小流体法の融合」JALA,Volume13,Issue5,Pages 275−279(October2008);及びjooらの更なる研究「マイクロプレートリーダーに互換性のある酵素分析用の微小流体装置」Sensors and actuators.B,Chemical;2005,vol.107,no2,pp.980−985;がある。細胞分析用に特化したものでは、マイクロプレートと同一の外形を用いる微小流体構成がLeeらの記載「自動細胞分析用微小流体システム」Journal of the Association for Laboratory Automation,Volume12,Issue6,Pages363−367に記載されており;及びCellAsic社(http://www.cellasic.com/M2.html)による市販製品とにも提供されている。これら全てが微小流体装置の例であり、96(又384)ウェルプレートと同じ外形であるが、全ての密度を使っていない。
【0009】
米国特許第6742661号と米国出願公開第20040229378A1号は、96ウェル構造と微小流体チャネル網を一体化した例を開示しており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国特許第6742661号の好ましい実施例に記載されているように、ウェルのアレイは貫通孔ポートを介して微小流体回路に連結されている。好ましい態様では、この微小流体回路はH型又はT型拡散装置である。米国特許第6742661号はこの装置の液体の動きを制御する手段についても記載している。この装置は静水力と毛管力を組み合わせて液体の移動を達成している。米国特許第6742661号により、より詳細に説明されているように、静水力は(a)付加ウェル層を積み重ねることでマイクロプレート構造に更に厚みを加えるか、又は(b)外部ポンプで駆動させた圧力を既存の静水力に追加することで制御できる。米国特許第6742661号は、主に、静水力(上記のいずれかの方法を使用して改変した)を使用しており、微小流体回路への異なる注入口間で静水力が異なる。特に、微小流体回路の異なる注入口に連結されたウェルにおける液柱の高さ(深さ)の違いによって静水圧の変化が生じていると推定される。米国特許第6742661号に図解されているこの装置の概念は、層流拡散インターフェイス(LFDI)型の微小流体デバイスを96ウェル構造に一体化させる明らかに斬新なソリューションである。しかし、米国特許第6742661号は、この開示された装置のウェルから派生し、ウェルに終結する自己完結流体フローパターンを想定しているだけである。更に、米国特許第6742661号に記載されている流量調整法は、大分類である「圧力駆動」流の分類に入り、液柱の静水圧が流体特性を制御している。最も重要なことは、米国特許第6742661号は、本発明で想定している微小流体チャネルから又は微小流体チャネルへの追加的な結合をせずにウェル構造から水管構造へ液体を移動させる単一のチャネルの使用を想定していないことである。米国特許第6742661号は、上述の観点から本発明と著しくはっきりと異なっている。
【0010】
米国出願公開第20030049862A1号は、標準的な96ウェル構造に微小流体を一体化させようと試みている別の例示的な実施例であり、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国出願公開第20030049862A1号が従来受け入れられている方法と少し変わった方法で「微小流体」を定義していることに注意することが非常に重要である。米国出願公開第20030049862A1号では、「流体基材中、又はプレート自体に流体チャネルが位置している現在の技術と異なり、本発明は各流体モジュールに流体チャネルを設置している」と定義している。これは名目上適合するマイクロプレートの円柱状ウェルに適切なサイズの円柱状の挿入体を挿入することで達成される。挿入されたシリンダの上面とウェルの底表面に一定の間隔をとることによってマイクロチャネルが定義されている。更に、米国出願公開第20030049862A1号に開示されている装置構成は、微小ポンプといった自動的手段かそれとも又はピペットの使用といった手動手段かによる外部の流量制御に本質的に依存している。米国出願公開第20030049862A1号は本発明で定義する、(a)マイクロチャネル構造を定義する手段と(b)流体移動制御手段に関して本発明と著しく異なる。本発明に開示している構造と装置は、外部流量制御を必要としない単純な貫流構成である。
【0011】
米国特許第20030224531Al号は、電子噴霧法用のウェル構造(標準的な96、384、1536ウェルプレートを含む)微小流体を連結する実施例も開示しており、これは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国特許第20030224531A1号は、ミクロン又はサブミクロンサイズの深さである浅い処理区(shallow process zone)の別のアレイに連結している試薬ウェルのアレイを使用しており、この処理区は一端が試薬ウェルに、他端が電子スプレー放射チップに連結している。流体を移動させる動力(米国特許第20030224531A1号では推進力と定義されている)は、好ましくは、流体カラムにかかる電位、又は、カラムにかかる圧力差によって提供される。これは、流体移動が純粋に毛管力である本発明と大きく異なる。処理区は、マイクロチャネルの入口と出口を介して連結してよく、マイクロチャネルは更なる機能(標識又は精製など)を提供するように構成されている。米国特許第20030224531Al号と本発明の主要な違いは、米国特許第20030224531Al号は質量分析機の最終分析用のサンプル処理方法として、本質的に(ウェル+微小流体)構造を使用していることである。好ましい実施態様では、本発明は、基本的に、充填ウェルとしての基板の反対側の同じ位置にマイクロチャネル形状の幾何学的配置の使用を記載しており、更に、それによって反応チャンバを形成し充填ウェル内部でも生ずる反応を促進し、更に、この反応信号は従来の96プレートに使用できるリーダーによる光学的手段で計測することができるのみである。
【0012】
国際公開公報第03089137A1号は、96ウェルプレートのスループットを高める斬新な方法を更に開示しており、これは全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。この発明では、分析は金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウムでできた基材中のナノメーターサイズのチャネルで行う。国際公開公報第03089137A1号に開示されているように、個々のウェルは底部に取り付けた金属酸化膜基材を有している。作動中、各ウェルは個別に密封されており、共通の源から真空(又は圧力)を適用して、ウェル内の液体を基材の底にむけて(又は底から離すように)力を加える。この方法では分析試薬を膜上の非常に小さい開口間を行き来させることで分析性能の大幅な改良を達成している。国際公開公報03089137Al号に記載されている発明は、金属酸化物基材中の液体の移動の調節を真空源及び/又は圧力源に依存しており、最適な性能を発揮するには正確な圧力制御装置を要する。
【0013】
一見したところ本発明と類似する発明が米国出願公開第20090123336A1号に開示されおり、全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。米国出願公開第20090123336A1号は、一連のウェルに連結したマイクロチャネルアレイの使用を開示しており384ウェルプレートの形式のウェルを使用している。米国出願公開第20090123336A1号の記載では384ウェルプレート上に位置している「ウェル」のそれぞれが複数の検出チャンバのための共通の入口としての役割を担っている。これはここに更に開示されている別の更なる使用方法における本発明の1つの実施態様でありうる。さらに重要なことに米国出願公開第20090123336A1号は、単一の充填ポイント連結した複数の検出チャンバの使用に限定されており、不可能ではないものの極めて困難な課題である高密度微小流体チャネル網が相互連結した微小流体装置の作成による。このことは米国出願公開第20090123336A1号の発明の使用方法を限定し、直列に連結した各チャンバの独創的なアレイを実現するのに特殊な操作工程を要する。具体的には、米国出願公開第20090123336A1号に開示されているように一連の結合した各チャンバで独創的な分析を実施する唯一の方法は、チャネル表面を密封する前に、チャネル表面に捕獲抗体ONを付着させることである。この工程は、(a)所望の液量を(b)正確に画定した位置に、高い精度で供給する複雑な分配システムを要し、これがシステム全体のコストに加わる。その他の実施態様では、チャネル路の一端を溶液に浸すことで共通の溶液を直列に連結したチャネルのアレイに引き込んでいる。この発明者らは又、「共通の充填チャネルがある場合、試薬は毛管力又は圧力差によって全てのチャネルに同時に充填できる」旨を請求している。理論的には正しいが、複数の分岐チャネルの流れを単一源から制御するのは現実的には不可能であることは微小流体の分野の当業者には周知である。このような複数チャネル間の分析のばらつきは、分岐チャネルの少なくとも1つが常に優先的に高流量であることから示唆される。
【0014】
本明細書に記載する本発明の開示から、より明確になるように、上述の公知技術は全て以下に挙げた点で本発明と異なっている。
1.従来の開示は全て、ウェルへ及びウェルから液体を移動させるのに何らかのポンプを使用している。
2.従来の開示の殆どは、従来のマイクロプレートの外形とウェル位置の配置を使用して同じ微小流体装置の複製を組み込んでいるだけである。更に、殆どの微小流体装置は複数の入口及び/又は出口を有する。
3.従来の開示の殆どは、サンプルの導入又は抽出に、同じく複雑な微小流体world−to−chipインターフェース法を必要としている。
4.従来の開示の殆どは、特に所定の微小流体の構成に適用した液体をハンドリングする専用の機器システムを要する。
【0015】
ベッドサイド試験(point−of−care test(POCT))のアプリケーションでは、上述のようなアプリケーション用の幅広いダイナミックレンジを越えて検出できるイムノアッセイベースの試験方法の使用が頻繁に望まれている。POC試験に最も一般的に使用されている技術は、いわゆる「ラテラルフロー試験」(LFA)法の使用による。LFA法の実施例は、米国出願公開第20060051237A1号、米国特許第7491551号、国際公開公報2008122796A1号、米国特許第5710005号に記載されており全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。特に斬新なLFA用の技術が記載されている国際公開公報2008049083A2号では、市販の紙を基材として使用し流路の境界が非浸透性(水)の写真石版型によって画定されており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。高度なLFA技術は米国出願公開第20060292700A1号などに開示されており、拡散パッドを使用するることで複合体の均一性を改良し分析効率を向上させており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。国際公開公報9113998A1号、国際公開公報03004160A1号、米国出願公開第20060137434A1号は、いわゆる「微小流体」法を使用してLFA装置を更に開発しており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。
【0016】
微小流体LFA装置は、マイクロチャネル又はマイクロチャネル+精密流体抵抗パターンの製造の精度により、膜(又は多孔質パッド)ベースのLFA装置よりも再現性が高いと当然に考えられる。米国特許第20070042427A1号などのいくつかのケースでは、微小流体とLFAの両技術分野で共通して使われる技術を結合してしおり、これは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国出願公開第20070042427A1号では蛇腹型のポンプによって流動が開始し、その後、吸収パッドで維持される。
【0017】
したがって、本発明は、上記のような従来技術の欠点に対処し、標準化されたマイクロプラットホームと微小流体技術の利点を統合した簡便で信頼性の高い構成を開発しようと試みている。本発明の技術は、本発明を用いて構築した「微小流体マイクロプレート」が同じサイズの従来のマイクロプレート用に設計された全ての機器と互換性があるという点でもユニークである。
【発明の概要】
【0018】
この発明は、微小流体チャネルが従来のマイクロプレートのウェル構造と一体化している改良型「微小流体マイクロプレート」に焦点をあてている。マイクロプレートの全体寸法とウェルの配置が、SBS/ANSI規格による96又は384又は1536のウェル形式に適合している。この微小流体マイクロプレートは、基材の片面上に画定されたウェルの列から成る。各ウェルはウェルの底面に適宜に設計された貫通孔を通して基材の反対面にある微小流体チャネルに連結している。微小流体チャネルはマイクロチャネルの一端(出口)に開口部を有する追加のシール層によって密封されている。更に、このシール層は吸収パッドと接触している。
【0019】
液体がウェルに導入されると、毛管力によってマイクロチャネルに吸い込まれる。液体は吸収パッドに到達するまでマイクロチャネルに沿って移動する。吸収パッドは、マイクロチャネルよりも強い毛管力を発揮し、液体をチャネルの外に吸い出す。好ましくは、液体がウェルから出て吸収パッドへ流れ、液体の後端部がウェルとマイクロチャネルの間の界面に「はまり込む」。この段階では、ウェルの液体は完全に空であり、一方でチャネルは未だに液体で満たされている。ここで第2の液体がウェルに充填されると、第1の液体を保持している毛管バリアが崩壊し、パッドによる毛管現象が再開し、第2の液体もチャネルを介してパッドに吸い込まれる。この手順はイムノアッセイシーケンスが終了するまで何回でも反復できる。したがって、本発明の装置は、マイクロプレートプラットホーム上での微小流体イムノアッセイシーケンスを可能にする。更に、このプレートを使用する方法は従来のマイクロプレートと同一であり、本発明の装置は、従来のマイクロプレート用に開発された適切な自動装置とも互換性がある。本発明の装置のその他の実施態様は、細胞ベースの分析法などのアプリケーションに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施態様の平面図であり、96ウェルのアレイが96個の各マイクロチャネルに貫通孔を通じて連結されている。
【図2】図2は、本発明の実施態様の一部の断面図であり、ウェル構造、マイクロチャネル構造、シール層、及び吸収パッドの相対的位置を図解している。
【図3】図3は、微小流体マイクロプレートとそれに関連する容器から成る本発明の実施態様の詳細な部品の3次元描写である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施態様を示しており、一定の規則に従って貫通孔がウェルとマイクロチャネルを連結している。
【図4B】図4Bは、本発明の代替の好ましい実施態様であり、ウェルとマイクロチャネルを連結している貫通孔がテーパー部を具えている。
【図5】図5は、ウェルの底面で貫通孔に連結している本発明装置内の異なるマイクロチャネル部を示している。
【図6】図6は、本発明の一態様であり、流路に通気孔が組み込まれている。
【図7】図7は、チャネル構成の別の実施態様を示している。
【図8】図8は、チャネル構成の更なる実施態様を示している。
【図9】図9は、チャネル設計の更に別の実施態様を示しており、流量と蒸発率に関連するこれらの効果を示している。
【図10】図10は、感度を上げるためにポリマービーズを用いた実施態様を示している。
【図11】図11は、微小流体マイクロプレートのセルの取り扱いに適した実施態様を示している。
【図12】図12は、更に別のチャネル構成の実施態様を示している。
【図13】図13は、ある特殊な吸収パッドを各マイクロチャネルに連結した実施態様を示している。
【図14】図14Aと図14Bは、吸収パッドを圧縮した結果を示す本装置の断面図を示している。
【図14C】図14Cは、突出構造を使用することで吸収パッドと微小流体チャネルの間に信頼性のある接触を保証した代替の実施態様を示している。
【図15】図15は、吸収パッドの配置の代替的な実施態様を示しており、吸収パッドはマイクロチャネルのアレイ又は柱に共通している。
【図16】図16は、吸収パッドの配置の代替的な実施態様を示しており、吸収パッドはマイクロチャネルの列又は柱に共通しており;更に吸収パッドは、マイクロチャネルの反対側の基材にある。
【図17】図17は、一実施態様を示しており、マイクロチャネルの追加的な部分を給水パッドの代わりのキャピラリポンプと汚水リザーバとして使用している。
【図18】図18は、装置の代替実施態様であり、代わりに単一の連続する基材に代えて微小流体挿入プレートを使用している。
【図19】図19は、本装置の代替的な態様を示しており、単一の連続する基材に代えて微小流体を挿入プレートに使用しており検出中の光学的クロストークを最小化する追加層が使用されている。
【図20】図20は、複数の微小流体プレートが使用されている点を除いて図18と同じ実施態様を示している。
【図21A】図21Aは、複数の微小流体反応チャンバが共通の充填ウェルに直列に連結している本発明の一実施態様を示している。
【図21B】図21Bは、充填ウェルと微小流体反応チャンバが視覚上の同一縦線上にない一実施態様を示している。
【図21C】図21Cは複数の実施態様を示しており、複数の充填ウェルが単一の微小流体反応チャンバに連結している半自動微小流体マイクロプレートを示している。
【図21D】図21Dは複数の実施態様を示しており、複数の充填ウェルが単一の微小流体反応チャンバに連結している半自動微小流体マイクロプレートを示している。
【図22】図22は、特に、長時間の低流量に適した実施態様を示している。
【図23】図23は、化学発光ベース検出の実施態様を示している。
【図24】図24は、発明に適した完全手動型ベッドサイド分析試験に適応させた実施態様を示している。
【図25】図25は、微小流体マイクロプレートの画像を示している。
【図26】図26は、微小流体マイクロプレートの他の実施態様の画像を示している。
【図27】図27は、微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートとを比較した化学発光試験結果を示している。
【図28】図28は、微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートとを比較した化学発光試験結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者は、本発明の明細書記載の好ましい実施態様の変更例又は変形例は、本発明の本質的な新規性から逸脱することなく作られていることを認識すべきである。これら全ての変更例と変形例は本明細書に組み込まれる本発明の範囲内にあることを意図している。
本明細書のμF96又はμf96又はOptimiser(商標)とは96ウェル微小流体マイクロプレートを指しており、各ウェルは少なくとも1つの微小流体チャネルに連結している。特段に指定の記載がない限り、3つの機能層、すなわち、基材層(ウェル、貫通孔構造及びマイクロチャネルを伴う)、シールテープ層、及び吸収パッド層から作られているものと仮定し、「96」とは、96ウェルの配置を指し、同様にμf384は384ウェルの配置を指すものとする。同様にOptimiser(商標)の用語も、本発明の記載に使用し、Optimiser(商標)−96は96ウェルの配置を指し、同じようにOptimiser(商標)−384は384ウェルの配置などを指すものとする。更に、「マイクロチャネル」と「微小流体チャネル」と「チャネル」は文脈から明白に異なる意味が要求されない限り、全て同じ流体構造を指す。「界面孔」又は「貫通孔」又は「孔を介して」との用語は、文脈から明白に異なる意味が要求されない限り、マイクロチャネル構造にウェル構造が連結している同じ構造を指す。「セル」という用語は、微小流体マイクロプレートの機能単位の説明に使用し、微小流体マイクロプレートは基本的に同一である複数の「セル」を具えており、マイクロプレート全体を構成している。
【0022】
本発明は、本明細書に添付されている図を検討することにより容易に理解できる。図1と図2と図3を概観することで基本構想を理解できる。図1は微小流体96ウェルプレート又は微小流体マイクロプレートの平面図を示している。このプレートは従来のマイクロプレート(ANSIの基準に規定されている)の寸法に一致している。ウェルの位置も同様にANSIの基準に適合する。各ウェルは、基材の反対側の面のマイクロチャネルに連結している。図1に示す実施態様では、ウェルとマイクロチャネルは同じ基材層上に成形されている。本発明の特筆すべき特徴は図1より理解でき、充填位置(液体試薬添加用)と検出領域は同じ垂直面にあり、従来のマイクロプレートと完全に一致する。
【0023】
図2は、1単位の96個のマイクロプレートの一部の断面図を分解図と組立図で示している。図3Aは、マイクロプレート、シール層及び吸収パッドの3次元図を分解図で示している。図3Bは、マイクロプレート、シール層、吸収パッド、及び容器の3次元図を分解図で示している。各ウェルは、基材の反対面側の面上のマイクロチャネルに連結している。マイクロチャネルはマイクロチャネルの他端(ウェルの底の貫通孔に連結している面に対して)に開口部を有するシール層によって密封されている。シール層の開口部は、他端で吸収パッドに連結している。好ましい態様では、吸収パッドのアレイは、吸収パッドが充填ウェルとチャネルと視覚上、同一の縦線にならないように使用されている。代替的に、図3に示すように吸収パッドは96マイクロチャネルの全ての出口に連結された単一の連続的な断片である。液体をウェルに導入すると、液体は毛管力によってマイクロチャネルに吸い込まれ、テープ中の開放部に到着するまでマイクロチャネルを移動する。その結果、液体の最前部が吸収パッドに接すると、より強い毛管力を発揮し、ウェルが空になるまで液体を引き込む。好ましい実施態様では、貫通孔、微小流体構造及び吸収パッドは、液体がウェルから出たときに、液柱の後端部が貫通孔とマイクロチャネルの間の界面を通過できないように設計されている。その結果、ウェルは液体内容物を完全に空にし、液体は吸収パッドに一部が吸収され、一方で、一部の液体は完全に微小流体チャネルを占めている。この構成は、イムノアッセイベースのインキュベーション工程に使用できる。
【0024】
ウェルに第2の液体が添加されると第2の液体が貫通孔とマイクロチャネルの間の界面で第1の液体の後端と接触する。この段階で、吸収パッドからマイクロチャネルと貫通孔を介してウェルへ伸長する連続した液柱が再び形成される。ウェルを満たす液体の低い表面張力が流れを再開させ、第1の液体はチャネルから完全に引き出され、第2の液体に置き換えられる。第2の液体も、第2の液体の後端が貫通孔とマイクロチャネルの間の界面に到達し、再度流れが止まるまでチャネルから引き出される。このシーケンスはイムノアッセイに必要な全ての工程が完了するまで、繰り返される。これは本発明の特に有利な側面すなわち操作シーケンスが液体の添加工程だけであることを説明している。液体が自動的に流れ出るのでウェルから液体を除去する必要がない。これは微小流体マイクロプレートの作業に必要な工程の数を大幅に減らし、工程を簡易化する。また、上述したように、好ましい態様では、吸収パッドは、パッドが反応チャンバと同一の視覚上の縦線にならないように位置している。この配置では、パッドを微小流体マイクロプレートと一体化することができ、一方で、所望ならば、例えば図3に示す実施態様の場合、パッドを最後の液体を充填する工程の後に処分できる取り外し可能な部品とすることができる。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、ウェル、貫通孔、及びマイクロチャネルを具える基材は透明である。これによって、マイクロプレートの底からだけでなく上からも信号を光学的にモニタできる。これは当該技術分野で幅広く使われているマイクロプレートリーダの共通の特徴である。他の実施態様では、基材はチャネルを具える面からのみマイクロチャネルからの光学的信号を計測できるような不透明材料でよい。例えば、図2に示す実施態様では、基材が不透明材料の場合、「底」からのみ信号を計測できる。後述するように挿入層の回転を使用して不透明な基材材料を上から計測できる更に別の方法がある。
【0026】
微小流体マイクロプレートは、従来の射出成形プロセスにより製造でき、射出成形プロセスに適した一般的に使用される全ての熱プラスチックを微小流体マイクロプレート用の基材材料として使用することができる。一部の好ましい実施態様では、微小流体マイクロプレートは、マイクロプレートに適した材料として当該技術分野で周知なポリスチレン材料から作ることができる。他の好ましい実施態様では、微小流体マイクロプレートは、低い自発蛍光を示し、その結果、蛍光又は吸収ベースの検出法におけるバックグラウンドノイズを下げることが当該技術分野で周知である環状オレフィン共重合体(COC)又は環状オレフィン重合体(COP)材料から作られる。
【0027】
本発明を使用したサンドイッチイムノアッセイの分析手順の実施例を以下に述べる。この分野で周知な方法を使用し、本発明による微小流体マイクロプレートでこのような幅広い分析を行うことができる。この説明ですぐに明らかになるように、試薬添加の全ての工程は現在のマイクロプレートの形式で液体を取扱うように設計された自動システムを変更する必要なく実行できる。
【0028】
操作
1.流動を発生させるために、第1の液体をウェルにピペットする。
2.ウェルに充填する液体量は、少なくともチャネルの内部容積を上回る容積である必要がある。
3.液体は微小流体チャネルに引き込まれ、毛管力によって持続的に移動する。
4.液体はウェルからチャネルを通過して吸収パッドに接触する出口に到達するまで流れる。
5.この後、吸収パッドは、ウェルの全ての液体が空になるまでチャネルに、次いでパッドに引き込む。液体の流れは、液柱の後端がウェルの底の貫通孔とチャネルの間の界面に到達すると止まる。
6.この構成中における流量は、(a)液体の種類;(b)ウェルとチャネルと界面ポート(すなわち貫通孔)の形状(c)μf96(又はOptimiser(商標))マイクロプレートの材料特性、特に表面特性;及び(d)パッドの吸収特性により、完全に制御される。
a.流量は、パラメーターのいずれかを変えることで操作できる。
b.当初の「充填」流量は、パッドから独立しており、チャネルの特性のみに基づいている。
c.その後、チャネルは固定抵抗として作用し(液体が空になる最後の最後を除いて)、パッドは真空(毛細管吸引)源としての役割を果たす。
d.所望ならば、分析工程は、分析反応の流量変動の影響が最小源であることを保証する静的なインキュベーション下にあってもよい。
7.この後、第2の液体を添加し、同じシーケンスを繰り返す。
a.代替的に、第2の液体を第1の液体が空になると同時に充填してよい。これによって、第1及び第2の液体の間に止まることのない連続的な液柱ができる。
8.添加すべき最後の液体がこのシステムを通過した後に、所望ならば吸収パッドを取り除いてよい。更なる毛管力がないため、液体の移動は確実に止まる。
9.プレートはウェルの上面又は底面から計測することができ、ウェル構造が光学的信号と干渉する場合はμf96(又はOptimiser(商標))を反転させてチャネル側から計測できる。後者が必要な場合は、プレート構造をSBS/ANSIの96ウェルプレート用の標準ホルダに適合するように改造するべきである。
【0029】
結果としての分析
1.捕獲抗体を添加し、流す−捕獲抗体はチャネル表面に非特異的に吸着する。捕獲抗体溶液を繰り返し注入することで潜在的に表面濃度を高くすることができる。
2.捕獲抗体溶液が完全にウェルに吸引されるまで待つ。マイクロチャネルは完全に捕獲抗体溶液で満たされている。チャネル表面に捕獲抗体が結合するようにインキュベートする。
3.ブロッキング緩衝液を添加し、流す;残りのチャネル表面に、ブロッキング媒体を結合させるようにインキュベートする。
4.サンプルを添加し、流す;ターゲット分析物が捕獲抗体と結合するようにインキュベートする。
a.選択的に、サンプルの注入を繰り返すことで検出感度を上げることができる。
5.(選択的に)再度、洗い流す。
6.標識化検出抗体を添加して流す;捕獲したターゲット分析物に検出抗体が結合するようにインキュベートする。
7.緩衝液で洗い流す。
8.蛍光ベースの分析では、ここでプレートをリーダーに移してよい。
9.発光ベースの分析では、基質を添加して、チャネルを満たしインキュベートする。
10.発光ベースの分析では、ここでプレートをリーダーに移してよい。
【0030】
図2のウェル構造は、直線部分(円柱状の)と先細部分(円錐状の)から成る。円柱ウェル構造の底部に小さな貫通孔を有するのとは反対に先細構造によりウェル内容物を完全に洗い流すことができる。容易に理解できるように、この基本構成案では幅広い構成が可能である。例えば、貫通孔がウェルの中央ではなく、一方にずれている場合;又は、マイクロチャネルパターンが異なる構成;又は、吸収パッドが異なる場所に位置している;又はプレート全体の厚さ(SBS/ANSI基準による14.35mmの設定)に対するウェル構造とマイクロチャネルの相対的な深度、及び/又は位置が変化する。実際には標準化が非常に望ましいが、所定の実施例において、Optimiser(商標)微小流体マイクロプレートはANSI/SBS規格に一致しない寸法で作ることもできる。これらのいくつかを、本構成概念の可能な実施態様の実施例として記載している。本明細書に記載の実施例は、本発明の柔軟性を説明しているにすぎず、いかなる方法でも本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0031】
図3の3次元(3D)図は、ある好ましい一実施態様を示している。図3の拡大図に示すように、ウェルは上部の「直線」部分を有さず、先細部分のみである。これはウェルの垂直璧から先細部分へ変わる位置の残渣が残りにくくする。又、図2と図3に示すように、ウェルは、基材がウェルを完全に囲むか、又は、基材を囲む部分に唇の形状になるように構成されている。後者は、この部分に必要なポリマー材料の量を減らし、従ってコストが削減される。この構成では、射出成形の間にウェルが収縮すると貫通孔、及びマイクロチャネルパターンに歪曲を引き起こすため、少ない材料でもあまり収縮しない「リップ構造」の使用が射出成形作業に向いており、有利である。
【0032】
図4Aは本発明の好ましい一態様を示している。図4Aに示すように、好ましくは孔の幅(w)は、孔の奥行(深さ)(d)より大きく、少なくとも等しくなくてはならない。これによって、ウェルに液体を導入した際、液体の前縁メニスカスがシーリングテープの表面に「浸り」、接触できる。このメニスカスは、孔の一部に(上述の引用図の左手側)連結しているマイクロチャネルの4つの「壁」の全てとも接触する。その後、毛管力によって、液体をウェルから引き込みマイクロチャネルを満たす。液体がマイクロチャネルを確実に満たすためには、マイクロチャネルの壁の一部が親水性でなくてはならない。好ましい実施態様では、シール層は適切な粘着フィルムであり、その粘着剤は親水作用を示す。これはウェルに液体を充填し、前縁メニスカスがシーリングテープに接触した際、液体がテープの上に「広がり」、液体がマイクロチャネル部分に接触して、その後、マイクロチャネルに引き込まれ続けることを保証する。更に好ましい実施態様では、シール層は、ウェルとチャネル構造の製作に使用するプラスチックに類似する他のプラスチックでよく、2、3例をあげると熱接着、粘着性フィルム介在結合、レーザー又は、超音波結合などの周知技術によりこの2つのプラスチックが結合する。代替的実施態様において、チャネル内に第1の液体を進めることによってチャネルに「呼び水」を入れるようにしてもよい。これは、ピペットチップ又は適切な液体操作器具をインターフェイス孔に対して配置して、これが合理的なシールを形成するようにすることで容易に達成できる。次いで、液体の注入によって、チャネルに注入されている液体の少なくとも一部ができ、その後は、毛管力によって確実にチャネルに液体を満たし続ける。他の好ましい実施態様では、これを更に拡張させ、初回工程だけでなく、全ての分析工程がチャネルに直接的に溶液を注入することで簡単に実行でき、ウェル構造はピペット用ガイド又はその他の液体充填具に使用されるだけである。本発明の更なる実施態様では、チャネルの全ての壁はこの分野で周知な表面処理を適切に選択して、親水性になるように処理する。更なる実施態様では、全てのマイクロチャネルの壁を含む基材材料が、この分野で周知な方法を使用して親水性の状態にして、疎水性のシーリングテープを使用してもよい。表面処理(すなわち、液体に対する壁の最終表面張力)の選択は、予定するアッセイのアプリケーションによる。殆どの場合に、疎水性の表面を有して、疎水性相互作用に基づく生体分子の結合を可能にすることが好ましい。その他の場合では、結合表面と分子の親水性相互作用に親水性表面がより適している。更に別の場合は、両タイプの生体分子の結合を可能にする疎水性と親水性表面を組み合わせることが望ましい。
【0033】
本発明の更なる実施態様では、第1の「呼び水」の液体を用いてチャネルを満たす。イソプロピルアルコール等の液体は、殆どのポリマーと非常に小さい接触角を示し、非常に良好なウイッキングを示す。このような液体は、チャネル壁の親水性又は疎水性に関わらずチャネルを満たす。液体が一旦吸収パッドに接触すると充填ウェルに連続的な水路が形成される。次いで添加された液体が自動的にチャネル内に引き込まれる。マイクロチャネル表面と組み合わせて、ウェル表面も液柱にかかる毛管力を促進又は減衰させるように改変してもよい。例えば、ウェル表面に強い親水性処理をした場合、後縁メニスカスは強い凹形状となり、メニスカスの膨隆はウェルの底を向いている。このメニスカスの形状は、液柱の前端のメニスカス形状と競合し(吸収パッドに接する前)緩慢な充填を保証する。一方で、ウェル表面を強い疎水性にした場合、後縁メニスカスを凸形にすることができ、メニスカスの膨隆はウェルの上部を向く。このメニスカスの形状は水柱の前端部に毛管力を加え、より早い流速を生じさせる。
【0034】
他の好ましい態様では、シール層はマイクロチャネル基材に可逆的に取り付けるように設計してよい。この構成では、流体工程の一部でシール層を除去できる。例えば、吸光度測定の際にシール層を緩やかに取り外すことができ、吸収反応を止める停止溶液を添加する。更に他の実施態様では、シール層は他のアッセイ分析法に適した特殊な材料でよい。例えば、シール層は、関連するアッセイから得た生成物による免疫沈降に特に適するように選択することができる。
【0035】
図4Bに示す別の実施態様では、貫通穴の構造自体が図4Aに示すような垂直な側壁を有する筒状というよりは、むしろ先細の形状になっている。先細の形状は、ウェルから貫通孔を通じて少なくとも1の親水性のマイクロチャネル壁に液体を引き込む際に毛管作用を促進する。更に他の実施態様では図4A又は図4Bに示すウェルと貫通孔構造は選択的に処理して異なる表面機能を与えるようにもしてもよい。例えば、基材層は、実質的にウェルの内側表面のみが疎水性で、貫通孔は親水性に処理するようにしてよい。次いで、基材層を親水性テープでシールする。従って、この構成では、ウェルから貫通孔を通じてマイクロチャネルの基底部(テープ)まで連続する親水性水路があり、これが気泡が入ることなく、マイクロチャネルを一貫して確実に液体を満たす。
【0036】
本発明の他の好ましい実施態様を図5に示す。図5は、ウェルとマイクロチャネル間の界面孔におけるマイクロチャネル構成の実施態様を示している。図5Aでは貫通孔の断面からマイクロチャネルの断面へ急激な変化がある。チャネルの断面積がずっと小さいため、ウェルを出る液体は界面で止まる。図5Bでは、マイクロチャネルが界面孔よりわずかに大きく、更にチャネル断面は最終寸法に向けて徐々に先細になっている。この場合、液体がウェルを出るときマイクロチャネルが完全に空になるまで(吸収パッドに)液体が流れ続ける。代替的に非常に高い毛管力の吸収パッドを用いて図5Aの構成でもマイクロチャネルが完全に空にできる。前者の場合は、次の液体が添加されるまでマイクロチャネル中に液体が残っており、この状況はインキュベーションの工程に使用できる。この場合、分析性能は、純粋な貫流分析を使用した場合に生ずる流量の僅かな変動から比較的独立しているため、この構成を使用するのは有利である。液体チャネル内で止まららない後者の場合は、代替的に連続フロー、又は貫流分析と呼ばれ、分析操作が非常に速くなる。この方法は、ベッドサイドテストのように精度の管理よりも反応時間が重要な方法において有利である。この貫流モードも、検出感度を高めるのに有利に利用できる。例えば、第1結合試薬(捕獲抗体)が既にマイクロチャネル壁に被覆されており、残りの未結合部分がブロックされている場合は、より多い量のサンプル(標的抗原又は分析物を含む)をウェルに充填できる。液体がチャネル壁をゆっくり流れるため、多量の抗原が表面の捕獲抗体に結合できる。実際に、貫流モードは、結合部位の大部分が抗原と結合するまで、結合部位に暴露されたターゲットの抗原/分析物の供給を手助けする。次に前述したように検出抗体又は2次抗体が結合したターゲットに結合し、このスキームにより所定のサンプル中から非常に低い濃度のターゲットを検出できる。マイクロスケールでの迅速反応速度論は液体がチャネル中で貫流モードにある短い期間(数秒)に大部分の抗原が捕獲抗体と結合できることを保証する。
【0037】
図6は、インキュベーション工程に要する流出手順の信頼性のある性能を更に高める役割を担う構成の特徴を示している。図6に示すように、通気孔がマイクロチャネルの出口に向けて、テープ上の出口孔に極めて近接して設置されている。この構成ではウェルから液体がなくなると、貫通孔とマイクロチャネルの間の界面で液体の後端が「動かなく」なる。同様に、強い毛管力の吸収パッドが毛管力をかけ続けて通常のマイクロチャネルを空にする。事実、吸収パッドは真空源として作用し、液柱の前端に負圧を作り出す。吸収パッドによって液体が吸い出されるため、液柱はマイクロチャネル内に「引き戻される」。通気孔を通じて大気圧によって負圧(パッドからの)が相殺されるので、液体チャネル前端部は通気孔を超えて回収され、パッドの毛管現象は停止する。通気孔は、シールテープの出口の全周内部に位置してもよい。後者の構成により確実に、液体が少量回収された(パッドによる連続吸収によって)後、直ちに通気孔が負圧を解消する。更に記載すると、液体は後方に、すなわち出口から確実に離れるように回収される必要がある。液体が(出口で)動かなくなり、その代わりとして液柱の後端がチャネル内部に(貫通孔界面で)すなわち入口から離れてチャネル内部に移動するとウェル内部に追加の液体を充填したときに気泡が形成される。2種の異なる液体間における気泡の介在は毛管力を停止させて、更なる操作を妨げる。
【0038】
本発明の重要な態様は、従来のマイクロプレートのウェル構造とは対照的に、イムノアッセイを実行する微小流体チャネルの使用である。、マイクロチャネルの高い体積対表面積比が(a)制限された拡散距離と(b)少ない反応液量により迅速反応を可能にすることはこの分野では周知である。様々なマイクロチャネル構成を本発明の実施に使用できる。下記の表に示すように、チャネルを完全に満たすのに必要な液量の減少に付随してチャネルサイズが小さくすると、この体積対表面積比が大きくなる。チャネルの寸法は流量、表面積及び体積対表面積比(SAV)の要件に基づいて決定される。例えば500μmの充填ウェルがが中央にあり、最も太いらせん状チャネルの半径が約3mmであると仮定すると、下記の構成をとり得る。このような全ての変形例は本発明の範囲内にある。
【0039】
当然、上記説明した図に示すらせん状構成に加え、多様なチャネル構成も可能である。図7Aは、本発明に同じように適している蛇行チャネルを示している。更に、チャネルは、入口から出口までの連続的な先細構造を含みうる。この先細構造によって、先細になっていない場合より液柱の前端部の毛管力が強くなり流速が異なる。他の実施態様では、先細構造は入口から出口に向けて徐々に幅広くなるように設計されている。これは、第1の先細構造、又は先細構造がない場合と比較し、更に異なる流速を生じさせる。流速の差は、連続フロー分析、貫流分析、又は静的インキュベーション分析における液体が満ちた状態の挙動に重要な影響を有し、有利に使用して更なる柔軟な設計を提供できる。他の実施態様では、チャネルは、非対称にすなわち、幅と奥行きと間隔とが又はこれらの組み合わせが同等でないように設計されている。
【0040】
マイクロチャネルの他の好ましい実施態様が図8に描かれている。図8Aに示すようにマイクロチャネルは、複合的な形状を有しており、色違いに表示されたマイクロチャネル断面の端部における寸法は、マイクロチャネルの残りの部分の断面と比較して異なっている。マイクロチャネルの端部はマイクロチャネルの残りの部分と比較して少なくとも1の大きな寸法を有している。例えば、この端部は幅300μm×奥行200μmであるのに対して残りの部分は幅200μm×奥行200μmである。これによって、先行のチャネルよりも端部流体抵抗が確実に低くなる。この構成は静的なインキュベーションで適切な流体性能を保証する。図6の説明に関連して上述したように、出口から液体を逆に戻すように、吸収パッドの連続動作が液体を引き戻すことが好ましい。図8に示す構成によれば、液柱前端(出口に近い側)の流体抵抗が液柱後端(貫通孔界面)の流体抵抗よりも低いため、液体が常に出口から逆に「戻る」。
【0041】
図8Bに示すものと同様の作用を達成することができる他の好ましい実施態様では、強調した開始部分はマイクロチャネルの残りの部分と比較して断面の寸法が異なっている。マイクロチャネルの開始部分は、残りのマイクロチャネルの残りの部分と比較して少なくとも1の小さい寸法を有している。例えば、開始部分は幅100μm×奥行200μmであり、一方で、残りのマイクロチャネルは幅200μm×奥行200μmである。これにより開始部分は残りの部分よりも確実に流体抵抗が高くなる。これによっても、液体が常に逆に戻ることを、すなわち液体が入口から離れてチャネル内に回収されるよりもむしろ出口から離れていくことを保証している。更に、マイクロチャネルの開始部分に高い抵抗を使用することも、連続フロー又は貫流モードでの流体制御に有利である。図9とそれに関連する表に示すように、マイクロチャネル内の流速はマイクロチャネルの寸法に高く依存している。貫流モードは(1)再現性能を保証する流速の正確な制御と(2)液体中の生体化合物のチャネル壁のリガンドへの吸着/結合を最大限確実にするために、チャネルを通る液流の滞留時間を十分にするように低い流速で流す能力とを必要とする。図9とそれに関連する表に示す様々な寸法に示すように、低い流速で流す能力とを必要とする。図9とそれに関連する表に示す様々な寸法に示すように、これらの実施態様の組み合わせを使用して追加の構成を柔軟にすることもできる。
【0042】
代替的な構成が図12に示されており、ここではウェル構造とマイクロチャネル構造は2つの異なる基材上に規定されている。この構成では、マイクロチャネルが基材の2つの面に規定されており、一方の面上の壁領域に対応し、逆もそのようになっている。これによりウェル底面の水平方向の外形に無駄な空間がなくなり、より高いアッセイ信号を生成できる。
【0043】
前述の説明のように、従来の尺度分析チャンバのマイクロチャネルの利点は、チャネル内の高い体積対面積比にある。これは、更にこの技術分野で周知である様々な技術を使用して更に拡大することができる。このような方法が図10Aに示されており、チャネルにはビーズのアレイが詰められている。2、3例を挙げると磁性、非磁性ビーズ、ポリマービーズ、シリカビーズ、ガラスビーズなどの多様なビーズを使用することができる。代替的に、チャネルは自己集合又は他の適切な集合方法を使用して作ったモノリシックポリマーコラムを有してもいてもよい。これらの全ての方法、及び当該技術分野で周知であるその他の方法は、マイクロチャネル内部の正味の表面積を著しく増加させることができ、マイクロチャネル装置よりも更に早い反応時間にする。後述するようにビーズの使用は装置の制御を、より柔軟性のあるものにできる。ビーズ(ポリマー又は別のもの)を使用する場合、これらはウェルの底で適切なサイズの穴に直接分配される。チャネルの寸法は、ビーズがチャネルを自由に通るように選択される。次いで、ビーズは、更なるビーズの動きを妨げる吸着パッドに到着するまで出口への全ての経路を流れ続ける。この段階では必要があれば、ビーズをけん濁させている溶液の残渣を除去するために吸着パッドを交換してもよい。更なる工程は同じである。代替的に、ビーズは自己集合方法又はスラリー充填方法を使用して、詰めるようにしてもよい。
【0044】
特に好ましい態様では、ビーズはUltralink Biosupport(商標)寒天ゲルビーズである。これらのビーズはビーズの表面領域を拡大する多孔性の表面領域を提供している。更に、ビーズは捕獲抗体のような生体化合物の共有結合に適している。表面に高濃度で結合し捕獲抗体がビーズ表面に結合した後、ビーズ表面の残りの部分は効率的に不動態化して非特異適吸着を最小限にする。通常、Ultralink Biosupport(商標)は、高速蛋白質液体クロマトグラフィー(FPLC)等の親和性液体カラムクロマトグラフィーに使用されており、微小流体チャネルでこれを使用することで感度を途方もなく高めることができる。FPLCのアプリケーションでは、ビーズは捕獲体の共有結合と試験管等の液体溶液器の中でのつづく不動態化によって「調整」され、次いでFPLCカラムにビーズを充填する。微小流体マイクロプレートに、同様の方法を用いることができ、代替的に、これらの工程をまずビーズを適当な設計の形状で捕捉し、次に結合化合物と不動態化溶液を連続して追加することにより実行できる。これは、予めビーズを充填した「通常」のマイクロプレートの提供に高い柔軟性を提供し、エンドユーザーが所望の化学的性質をビーズに結合するのを可能にする。
【0045】
図10Aに示す実施態様は、極めて高い感度を要するアプリケーションに特に適している。図10Bにはマイクロビーズを使用した代替態様を示している。図10Bに示すように、ビーズはウェルをチャネルに結合している貫通孔においてのみ捕捉されている。実際、チャネル寸法はチャネルが捕捉する形状としての役割を果たし、チャネルにビーズが入ることができない狭い寸法に設計されている。本実施態様では、小ビーズを充填したカラムが「反応チャンバ」であり、この微小流体チャネルは、ビーズカラムの底から出口に液体を輸送する役割を果たすのみであり、結果的に直線部分のみである。Ultralink Biosupport(商標)ビーズの極めて高い結合能力を使用することで、図10Bに図解されている非常に小さな「ビーズカラム」を使用しても免疫測定アプリケーションに適した感度にできる。この実施態様は384ウェル及び1536ウェル構成のような高密度のマイクロプレートに特に適している。
【0046】
上述したように、ビーズ(Ultraink Biosupport(商標)又は他のビーズ)を使用する方法はビーズを所望の薬剤で被覆し、チャネル(又は貫通孔)に充填することである。この方法には、マイクロプレートを被覆した捕獲分子に反応する抗原に制限する。同時に、「予め被覆する」ことはビーズ表面を親水性にしてビーズ充填カラムに毛管流を生じさせる。未被覆ビーズを使用している「通常」のマイクロプレートでは、毛管力は完全に阻害しないとしても未被覆/非不動態化ビーズの疎水性表面が低下する。この問題を回避するために、処理済みと未処理のビーズを使用する。例えば、ビーズを充填用に調整する際(製造設備内で)、未処理(疎水性)と不動態化(表面を親水性にした)したビーズを適切な比率で混合し、チャネル又は貫通孔に充填する。これにより、充填したビーズカラムは少なくなった結合部分(不動態化ビーズ上の)を犠牲にして、毛管作用を支援できる。結合部位の減少にかかわらず、結合部位の正味数はマイクロチャネルの壁上のみの結合部位よりも大幅に多い。
【0047】
本発明は、アッセイ分析のみに限定されない。例えば、図11に示す構成は、細胞ベースの分析に使用できる。チャネル内の柱列は、細胞をウェルから輸送し、正確に規定された場所で捕らえてチャネル内で捕捉することができる。その後、細胞を様々な化学物質に暴露し、所定の細胞機能についてのこのような化学物質に対するの効果を研究する。所定の場合、反応は細胞から放出された化学物質の形であってもよい。この場合、分析手順は、細胞溶液を添加した後、刺激化学物質の添加前に吸収パッドを新しいパッドに交換する。したがって、細胞から放出された化学物質は吸収パッド中に回収して、更に分析できる。その他の実施態様では、マイクロチャネルの表面を、細胞が確実に接着できるように壁を適切に処理してよい。この実施例では、まず細胞を播種し、マイクロチャネル内で培養し、次いで試験化合物に暴露する。
【0048】
本発明の全ての実施態様では、吸収パッドは全ての流体を操作する工程において共通であり、各溶液の操作工程後又は、選択した工程の一式の後に交換するように設計してよい。更に、吸収パッドは最後の流体処理工程の後に取り外してよく、微小流体マイクロプレートに埋めたままでもよい。好ましい実施態様では、吸収パッドはマイクロチャネル及び/又はウェル構造に重複しないように構成する。これにより、吸収パッドを取り外すことなく分析シグナルを検出する光学的に透明な光路を確保する。図13は、このような実施態様を示しており、独特な吸収パッドが各ウェル+チャネル構造と共に使用されている。又、図13に示すように、吸収パッドはマイクロプレート上に位置してもよく、又は、分離層上に位置してもよい。後者の場合、適切な治具構成を使用して微小流体マイクロプレートを吸収パッドを保持している基材の上に配置する。当然、全ての場合、吸収パッドは微小流体マイクロプレートの全てのウェルに共通する連続的なシートでもよい。
【0049】
完全に透明な構成で連続的な吸収パッドを使用することの潜在的な問題は、パッドが全ての試薬(透明な活性成分を含む)を吸収することである。次に、パッドに吸収された成分からの化学信号とマイクロチャネルからの光学信号を区別することができない。殆どの実施態様では、シールテープが透明線上の親水性接着剤として想定している。吸収パッドは連続的なシートである場合、シールテープは親水性接着剤が不透明ライナー上に被覆されるように選択してよい。テープをパンチカットして上述のものと同様に、出口を作る。マイクロチャネルの端部と出口孔は、ウェルとらせん状マイクロチャネルパターンが垂直窓部分から離れて位置している。不透明テープライナーのこの構成は、パッドの「窓」のみがシールフィルムがパンチカットされ観察窓から離れているため、光学クロストーク効果が生ずることなく連続する吸収パッドシートを使用することができる。微小流体マイクロプレートは、「上面測定」モードに限定されるが;しかし、パッドはマイクロプレートの一部として一体化させるホルダーの必要性をなくすことができる。この構成は、例えば手動で使用するアプリケーションにより部分的に決まり。取り外し可能なパッドは計測前にオペレーターによって簡単に取り外すことができ、一方で自動装置を用いたハイスループットスクリーニング用には現在の機器に互換性のある一体化したパッドを有することが好ましい。
【0050】
図5に示すように、ウェルの底の貫通孔からマイクロチャネルへの急激な変化は、液柱の表面張力の急激な変化を引き起こし、界面で流れを停止させる。同様の状況が図14Aに示す出口の端でも生じる。図14Bに示すように、吸収パッドを圧縮する追加的なベース層の使用により、比較的柔軟な吸収パッドがシーリングフィルムに作られた空洞内へ膨隆する。膨隆は、更にマイクロチャネルが出口孔と干渉しているマイクロチャネル断面に直接的に接触する。これによって吸収パッドが常に液体と確実に「接触」する。代替的に、図14Cに示すように、マイクロチャネルの端部の排出部分に突出構造を成形してよい。この突出構造(基材から離れた)は、その平坦表面がシーリングテープ(基材表面から離れた)の表面におおよそ整列するように設計されており、これによって転移効果を最小限にしている。図14Cは、突出構造の作成に使用することができる形状の範囲を示している。
【0051】
図15は別の実施態様を示しており、ここでは吸収パッドがストリップとして設計されており、さらに吸収パッドの一ストリップがウェル+チャネル構造の列(又は行)に共通している。図16は、更に他の実施態様を示しており、ここでは吸収パッドのストリップが「上部」から、すなわちマイクロチャネルに対向する面に位置している。従って、本発明の精神から離れることなく吸収パッドの配置に多様なデザインを使用することができる。
【0052】
たやすく理解できるように、マイクロチャネルによって与えられる力より強い毛管力を発揮する任意の材料を吸収パッドに好適に使用できる。フィルター紙、無菌室ティシュ等の多様な材料が、容易に明白な例である。他の秘伝の吸収「パッド」は、例えばウェル構造中のミクロンサイズのシリカビーズといった濃密な配置を含む。これらは、極めて強い毛管力を発揮し、全ては本発明の内の吸収パッドとして想定内にある。
【0053】
実際に、マイクロチャネル自体をキャピラリポンプと廃水リザーバとして用いた構成を図17に示す。図17に示すように、96ウェル配置の少ないウェルが「機能的」になるようにアーキテクチャを変更している。各ウェルは貫通孔を通じてマイクロチャネルに連結している。この実施態様は、マイクロチャネルは「機能的」チャネルと「汚水」チャネルの2つの領域に分けられている。汚水チャネルは複数ステップの分析手順の間に添加する全ての液体を収納するように設計されている。第1の液体を添加すると、この液体がチャネルの初期「機能的」部分を貫流し、チャネル壁で上述した分析反応が生じる。その後、第1の液体が連続するマイクロチャネルの「汚水」部分に到達する。親水性テープは毛管力を発揮し続け、ウェルの外へ液体を引き抜くように連結する。チャネルの「汚水」部分の広範な断面積を使用することで、「汚水」チャネルにおける毛管力が貫通孔における毛管力より弱くなる。これによってマイクロチャネル界面は、第1の液体がウェルから引き抜かれたときに流れを停止させる。ウェルに第2の液を添加すると、貫通孔の底の毛管バリアがなくなり、第2の液体がウェルから引き抜かれるまで流れが再開する。この構成により吸収パッドを必要としない完全一体型の装置構成にすることができる。更に、この実施態様では、「機能」チャネル部分と「汚水」チャネル部分の寸法の違いによって流れが自動的に制御されるので、通気孔も要しない。この実施態様は、使用する部品の数を最小化することで、より高い信頼性が得られる。更に、別の実施態様では、汚水チャネルはマイクロプレートを形成する基材層に延在する貫通孔(「上方」を向いている)のみである。この適度に厚い基材層は厚さが統一されておらず、「汚水ウェル」の十分な液体の貯留を可能にする。この実施態様は、ウェルの数を犠牲にすることなく微小流体キャピラリポンプの概念に使用できる。
【0054】
ここまで、微小流体チャネルとウェルは96ウェルプレートの外形に適合する外形を規定する同一構造の一部として記載されている(図12に示した実施態様を除いて、ウェルはマイクロプレートの一部である)。図18に示す実施態様の使用はより有利である。図18に示すように微小流体挿入プレートは周囲の囲いと共に使用されており、この囲いは従来のマイクロプレートの形状と外形(外周囲に沿って)を規定しており、マイクロプレート挿入構造は、ウェル構造とマイクロチャネル構造を有している。この2つのパーツは微小流体挿入プレートを囲いから取り外すことができるように設計されている。図18には、この使用が説明されており、ウェルが上向きである一方向において装置を分析の流体手順に使用し、微小流体挿入プレートのマイクロチャネル部分が上向きである別の方向においては、装置は分析の分析検出手順に使用されている。微小流体挿入プレートをマイクロチャネルを光検出器を同じ焦点面に確実に配置することでマイクロチャネルからの最良の光学信号を保証する最適な高さに微小流体挿入プレートが位置するように囲いを設計してよい。この実施態様は、蛍光検出に特に適しており指向性ビームを使用して蛍光を生じさせる。化学発光アプリケーションには図19に示す実施態様がより適切である。この実施態様では、追加のプレートが反転した微小流体挿入プレートの上に位置している。この追加プレートは、微小流体挿入プレートの領域に開口を具えており、ここにマイクロチャネルが位置し、一方で、これら開口を形成する構造体の壁は不透明である。これにより、「光学的クローストーク」効果が著しく減少して一の反応チャンバからの信号が複数の光検出器に達する。図18の実施態様は、回転後に上面計測型のマイクロプレートリーダーでチャネル側を測定できる不透明材料を伴う使用にも適切である。別の代替的実施態様では、図12の装置は、「ウェル」部分が不透明材料で作られており、一方で「チャネル」部分は透明材料でできるように形成してよい。更に図20に示す代替的な実施態様では、複数の微小流体挿入プレートを使用している。挿入体のアレイは〜25mm×〜75mmの標準的なガラススライドの外形などの特定の寸法で、例えば、同時に4挿入物を同時に操作できるように設計したマイクロプレート用の液体操作器具と各微小流体挿入体を別々に計測するスライドリーダーなどが選んで組み合わせる方式に設計できる。
【0055】
図21Aは、基材の反対面に完全に対向する1のマイクロチャネル構造と、マイクロプレートのその他のウェルが通常ある位置にある複数のウェルに単一の充填ウェルが連結している実施態様を示している。例えば図21Aに示すように、列4と列5のアレイは24のウェルの4つの反応チャンバに各々連結している。一つのアプリケーションでは、この装置を従来のマイクロプレートベースの分析で1サンプルにつき3回又はそれ以上の計測によって4つの反応チャンバの各々からの同一シグナルを用いて分析結果を検証する通常の分析に使用する。別の実施態様では、ビーズの使用により、装置の柔軟性を大きく高めている。例えば、共通の充填ウェルに充填した第1の液体はビーズ懸濁液を含んでおり、ビーズには特定の捕獲抗体が結合している。溶液1の容量は、ビーズを下流側の反応チャンバに充填したとき(前述した吸収パッドによるパック)ビーズのみが特定のマイクロチャネル構造を満たすように設計する。別の抗体に結合しているビーズを含む第2ビーズ溶液2を追加できる。次いで、これらは最も下流側の反応チャンバから2番目のチャンバを充填する。従って、各反応チャンバは、分析操作の間、共通のサンプル源から異なる分析物を検出するように構成することができる。選択的に、様々な捕獲抗体の列をスクリーニングして、共通の分析物又はその他に対する感度を検査する。このような試験をこの構成を用いて実行することができる。充填ウェルに直列した各反応チャンバが分析特性の違いを保証する異なる物理的構造を有するようにこの構成を改変してもよい。
【0056】
図21Bは本発明の別の実施態様を示しており、ここでは充填ウェルと微小流体チャネルが、鉛直面に沿って切り離されている。図21Bに示すように円柱構造の形状のより簡便(及び高容量)なウェル構造は、一方の側部で微小流体チャネルの一端に連結して使用できる。次に、この微小流体チャネルは、標準96ウェル配置の別のウェルの外形に位置するらせん状の(又は他の適切な形状)検出領域につながる。従って、この構成では「96ウェル」構成を48ウェル構成に減らしてずっと簡単な物理的構造になっている。更に、この構成では、らせん状微小流体チャネルの上の非常に薄いプラスチック材が反応チャンバとして働く。設計では貫通孔のある充填ウェル(先細の)はマイクロチャネルと視覚上同じ鉛直線上にあり;上記のマイクロチャネルのプラスチックの厚さは相当であり、非均一である。特に、蛍光ベースの検出アプリケーションでは自発蛍光がプラスチック材の厚さと部分的に関連しているので、このことがプラスチック材自体からの自発蛍光を増加させる。図21Bの構成では、微小流体反応チャンバの上部を非常に薄い(〜250乃至500μm)プラスチック材にでき、プラスチック材自体からの自発蛍光によるバックグラウンド信号を最小化できる。
【0057】
図21Cと図21Dは特に半自動操作に適した微小流体マイクロプレートの実施態様である。
【0058】
図21Cは本発明の一実施態様を示しており、ここでは簡略化した充填ウェルの列が1の反応チャンバに連結している。概略図は、3つの充填ウェルが1つの反応チャンバに連結している場合を示しており、この構成により、単一の反応チャンバにつながる多数の充填ウェルにすることができることが容易に理解できる。図21Cのインサートに示すように、第1簡略化充填ウェルの後の簡略化充填ウェルも微小流体チャネルに連結する特殊形状を使用している。第1の簡略化充填ウェルを先頭とする連結チャネルは緩やかに先細になり充填ウェルに連結している。マイクロチャネルの一部が充填ウェルに連結するように、残りの2つのウェルの連結チャネルは充填ウェルの底に巻きついている。この形状は、充填ウェルに2重の目的を与えている;すなわち充填ウェルと通気孔とである。操作中は、3充填ウェルは、全てがマルチチャネルピペットを使用して同時に液体を満たす。上記に概説した全ての変形例が等しく効果的こ作用することを踏まえて、疎水性基材と親水性シーリングテープを仮定すると、3つの液体をウェルに充填すると、これらの液体は底部(シーリングテープ)に接触し、親水性力が液体をチャネルに引き込みはじめる。この記載では、ウェル1が反応チャンバに最も近くウェル2は2番目に上流のウェルである。ウェル1中の液体は反応チャンバに向かい、吸収パッドの下流に向かう遮るものがない流路を有しており、ウェル1からの液体は直ちににチャンバに向かって流れる。ウェル2に向かう液体の戻り流は介在する空気(チャネル中の)を逃がす場所がないため妨害される。同様にウェル2からの液体は空気逃路がないため、どちらの方向へも移動できない。従って、ウェル1以外の全てのウェルの液体は適所で「捕捉」される。液体が完全にウェル1から出ると、ウェル2からの液体は移動を開始できる。ウェル2の液体の前にある空気は、ここで空になったウェル1から逃れ得る。チャネルは連続部分であり、全てのポイントが親水性表面(テープ)で連結しているため、ウェル2からの液体がウェル1の辺縁に横断するとウェル2からの液体が反応チャンバを貫流して空になるまで流れ続ける。これらの全ての場合、反応チャンバに狭い寸法が使用されておりウェルの内容物が完全に空になることを保証することに留意すべきである。この流れの事象の順番は、連続するウェル(ウェル3、ウェル4...)へ続き、次いで試薬が反応チャンバを通って移動する。充分な量(表面結合反応を完全にするため)の液体を確保することで、全ての分析手順を、ただ一回の充填ステップで完了できる。この実施態様は2つの異なる利益を与えている:(a)分析手順を行うのに必要な労務を著しく減らし、(b)全ての流体シーケンスが「自動的」に調整されているので非常に反復性の高い結果になる。追加の液体は2つの方法で収納することができる。(a)追加のウェルを直列に連結させる(例えば、反応チャンバへ注入すべき5つの連続する試薬とサンプル用の6つの充填ウェルを有する)又は(b)充填手順を反復する(例えば、まず試薬1、2及びサンプルを注入し、3つ全てが反応チャンバに移動した後に試薬を3、4及び5に同時に添加する)。
【0059】
図21Dは、本発明に係る「半自動」微小流体マイクロプレートの実施態様の様々な変形例を示している。この実施態様では、共通の合流チャネルに連結されたチャネルに各ウェルから液体が流れる。図21Cとの主要な構成の違いは、合流チャネルにつながる各マイクロチャネルの長さ(つまり容積)が著しく異なることである。ここでも上述の実施例と同じ命名規則を使用する。ウェル1は反応チャンバまで非常に短い経路長を有しており、一方でウェル2は少なくとも10倍等の経路長を有している。この構成では、それぞれのウェルに全ての液体を同時にピペットするため、全てのチャネルで同時に流れが開始する。初めに液体1(ウェル1からの)が反応チャンバに到達し、反応チャンバには、この液体のみがある。その後、液体2(ウェル2からの)が合流チャネルに到達し、液体1と液体2の混合液が反応チャンバに流れ込む。各ウェルの量は少量の反応液が反応チャンバを通過した後、ウェル1が完全に空になるように設計できる。その後、液体2が単独で液体3(ウェル3からの)が合流チャネルに到達するまで反応チャンバに流れ続ける。この実施態様は反応チャンバに充填する前に2つの試薬を混合すべきときに特に有用である。実施例は競合イムノアッセイ等の標識化した抗原とサンプル抗原の混合物といった二成分の化学発光基質を含むがこれらに限定されない。更に、流体手順は、3つ(又はそれ以上)の試薬の混合物が望ましい間隔で反応チャンバを通過するように設計することもできる。
【0060】
図22は、更に別の実施態様を示している。本発明の本実施態様は、長いインターバルに低流速が望まれているアプリケーションに非常に適しており、マイクロプレートを特殊な固定台に装着している。固定具はエアポンプに連結しており、室温又は高温で吸収パッドの下側を通る固定具を通して空気を汲み出すことができる。流れのシーケンスは、長期間にわたり、低く一定の流量が望まれているステップの前に、吸収パッドをそれ以上吸収できないように大量の液体を加えて完全に飽和させるように設計されている。次いで所望の液体をウェルに添加し、ウェルの上部をシールして各ウェルのシールに小さな通気孔構造で蒸発損失を防ぐ。更に、パッドからの液体の蒸発損失が起こる固定具において空気流を開始する。パッドが液量を失うので、長期間低定流で更なる液量がウェルから汲み出される。吸収パッドは各ウェルに共通するパッド又は各ウェルごとに別のパッドでもよい。この実施態様は、細胞の生残率を維持するのに低底流の培養液を必要とする細胞増殖の研究などのアプリケーションに適している。
【0061】
上述した「一体型」の実施態様は、透明基材上に製造すると、光学的に透明なウェル間の光学クロストークにより化学発光に基づいた検出に不適切である。蛍光ベースの検出では、光学シグナルは蛍光体を伴うマイクロチャネルが蛍光体を伴う励起したときのみに生成され、励起源を取り除くと光学シグナルはほとんど即座にゼロになる。化学的発光の場合、チャネルに基質を添加すると、各マイクロチャネルユニットは連続的にシグナルを発する。従って、検出器が所定のウェルの下にあるチャネルを「計測」する際、隣接チャネルからの迷光も拾ってしまい、この「クロストーク」が測定において許容できないエラーを引き起こす。いくつかの実施態様で記載したように不透明基材を使用した場合、この実施態様は化学発光ベースの検出には適しているが、底面計測モード又はチャネルを有する側を上にする回転が必要となる。ほとんどの光測定装置は上面モード計測用に設計されているし、回転させるステップは自動化に適していない。
【0062】
図23は、化学発光に基づいた検出アプリケーションに特に適した本発明の微小流体マイクロプレートの実施態様を示している。図23の実施態様、ツーピース構成を使用しており不透明なツーピースで微小流体マイクロプレートの「セル」である各ウェル+貫通孔+チャネルを完全に取り囲んでいる。この構成により各セルは、ほぼ完全に他のセルから分離され、連続するテープを使用した場合、この光路のみがシーリングテープを通る。他の実施態様では、各セルも個別にシールされており、このセルは他のセルから完全に独立している。図23の実施態様では、微小流体マイクロプレートのセル間のクロストークを著しく最小限にし、信頼性の高い化学発光ベースの検出を可能にしている。
【0063】
図24はベッドサイドテスト(point−of−care tests(POCT))に特に適した実施態様を示している。これは、単にマイクロプレートの構成を減らしたバージョンであり完全に手動のベッドサイド(POC)分析システムに使用できる。図24Aは、充填/検出構造の数を減らした以外は前述した方法と同じであり、一方、図24Bは代替的な実施態様を示しており、ここではマイクロチャネル構造が、充填ウェルと視覚的に同一の鉛直線上にない。図21Cと図21Dに示して、前述した「半自動」微小流体マイクロプレートの設計は半自動POCTによく適している。
【0064】
図25は、本発明に従って作成したOptimiser(商標)マイクロプレートであり、従来の96ウェルの外形とウェル配置を有しており、図26は微小流体マイクロプレートの他の実施態様である。図27は、微小流体マイクロプレートの比較データを示しており、化学発光ベース分析を使用した微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートの比較データを示しており、微小流体マイクロプレートにおける試料/試薬の節約と速度に関する利点がはっきり強調されている。
1)従来の96ウェルを用いたIL−6分析
・抗IL−6捕獲抗体(100μl、2μg/ml)を添加し、37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)(T20−>Tween20界面活性剤);各工程に300μlの緩衝液
・ブロッキング、300μL、37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・連続濃度のIL−6抗原を100μL、37℃で1.5時間インキュベーシン
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・抗IL−6検出抗体、2μg/ml、100μL、37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・HRP標識抗IL−6抗検出抗体、5μg/mL、100μLを37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・50μLの化学発光基質を添加
・Biotek FLX−800蛍光リーダー蛍光検出器を使用して化学蛍光を検出
2)マイクロチャネル96ウェル
・抗IL−6捕獲抗体(7μl、2μg/ml)を添加して、室温で5分間インキュベーション(〜23℃)
・ブロッキング、7μL、室温で5分
・IL−6抗原、連続濃度、30μL(又は100μl)、室温で5分
・抗IL−6検出抗体、2μg/mL、7μL、室温で5分インキュベーション
・HRP標識抗IL−6抗検出抗体、5μg/mL、7μL、室温で5分
・洗浄(TBS−20、TBS);各ステップを20μlの洗浄緩衝液
・化学蛍光基質7μL
・Biotek FLX−800蛍光リーダーを使用した化学蛍光信号の検出
【0065】
図28は、化学発光ベースの分析を使用した本発明に係る微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートの試験データを示している。微小流体マイクロプレートは、前述した化学発光の光学「クロストーク」を防ぐために分析を1回に1ウェル(すなわち、本実験においては1ウェルのみを1回行った)で行ったことに留意されたい。
3)従来の96ウェル:
・捕獲ミオグロビン抗体、1μg/mL、100μL、37℃で1.5時間のインキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・ブロッキング、300μL、37℃で1.5時間
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・連続濃度のミオグロビン抗原、100μL、37℃で1.5時間のインキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・AP結合検出ミオグロビン抗体、1μg/mL、100μL、37℃で1.5時間
・洗浄(TBS−T20 3回、TBS2回)
・50μLのAP基質
・Turner Biosystem GloRunnerルミノメーター を使用して、化学発光信号の検出
4)マイクロチャネル96ウェル
・捕獲ミオグロビン抗体、20μg/mL、5μL、室温(23℃)で5分インキュベート
・ブロッキング、10μL、室温で5分
・ミオグロビン抗原、連続濃度、室温(23℃)で5分インキュベーション
・AP結合ミオグロビン抗体、20μg/mL、5μL、室温(23℃)で5分間のインキュベーション
・洗浄:TBS−T20、30μL、2回、TBS、30μL、1回
・5μLのAP基質
・Biosystem GloRunnerルミノメーターを使用して、化学発光信号を検出
【0066】
予想どおり、基質量の低下により本発明のマイクロプレートからの絶対的なシグナルが低下した。図28に示すように、より重要なことはデータ傾向は両プラットホームに類似していることであり、微小流体マイクロプレートは化学発光検出モードに実行可能な分析プラットホームであることを示している。明らかなことだが、微小流体マイクロプレートのマイクロチャネルに適切な距離で電極パターンのアレイを配置することで電気化学検出をする他の検出モダリティーも可能である。
【0067】
要約すると、本発明は、SBS/ANSIの基準に合致するプラットホームのウェルのアレイに微小流体チャネルを一体化させ単純な手段を有利に提供している。例えば、本発明は思いがけなく発見されたものであり後述する利点を提供して、通常のマイクロプレートにおきかえて多くのアプリケーションに使用できる。
【0068】
利点
1.μf96(又はOptimiser(商標))プレートは微小流体アプローチの迅速性と多用途性を確立されている96ウェルプラットホームを結び付けている。
2.ユーザーに関する限り、操作は従来の96ウェルプレートと全く同じであり、実際にはステップ数が少ない。
3.μf96プレート(又はOptimiser(商標))は、潜在的に試薬の消費量及び/又は必要なサンプル量を著しく減らす。比較的に多量なサンプルではサンプル量は0.4μl程度で十分である(50μmらせん状構成)。これは、例えば、イムノアッセイ法の抗体といった少ない試薬量で使用する際にも重要である。
4.μf96プレート(又はOptimiser(商標))は、イムノアッセイ等のアプリケーションでは従来の96ウェルプレートよりも著しく速い。96アッセイを全セット完了するのに通常の96ウェルプレートは数時間かかるのに対して5乃至30分でできる可能性がある。
5.μf96プレート(又はOptimiser(商標))のコストは、同様に単一の鋳型を使用するため従来のマイクロプレートのコストは比較することができる。(a)一方の側の微細加工した種型により若干のコストが追加されるが、(b)少ない試薬消費量と速い分析時間によってパッド層が申し分なく相殺される。
6.基本的なアプローチは非常に多彩であり、実験室の設定だけでなくベッドサイド試験装置における幅広いアプリケーションに役に立つ。
7.流れは形状と材料の効率のみで支配されるため、オペレータのエラーが減少して再現性が高まる。
8.96ウェルと、同様に、μf96(又はOptimiser(商標))プレートの操作は完全に自動化できる。実際μf96(又はOptimiser(商標))はプレート操作とロボット型試薬分配システムのみを必要とする。(i)プレート操作システム;(ii)ロボット型試薬分配システム;(iii)インキュベーションシステム(長時間のインキュベーションによる);及び(iv)プレート洗浄システムを必要とする96ウェルプレートと比較すると、完全自動化のための機器の負荷が少ない。
【0069】
本発明の追加的な実施形態並びに、特徴、利益及び利点は、本発明の好ましい実施形態の前述の説明を考慮すれば当業者には自明である。したがって、本発明は、いかなる方法であっても前述のような好ましい実施態様に限定して構成されているものと解釈すべきでなく、同時に、本明細書に明確に記載した様々な変更及び修正を本発明に加えることができ、このような全ての変更及び修正は本発明の範囲内にあることを意図している。この制限は添付の特許請求の範囲によって定義されているものとして解釈すべきである
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
本出願は、2009年7月20日に出願された米国仮出願第61/226,764号及び2010年1月21日に出願された米国仮出願第61/297,221号の優先権を主張しており、各出願は全体を参照することによって、本明細書に組み込まれている。
[政府の権利]
本開発の一部は国立保健研究機構(NIH)の認可番号R44EB007114号の資金提供により行った。政府は本発明の正当な権利を有する。
[技術分野]
本発明は、マイクロプレート試験の改良、特にマイクロプレートの性能及びその分析性能を改良する微小流体法と通常のマイクロプレート構造の統合に関連している。
【背景技術】
【0002】
イムノアッセイ法は、「定量的イムノアッセイ:アッセイの構築、トラブルシューティング及び臨床応用の実践ガイド(“Quantitative Immunoassay:APractical Guide for Assay Establishment,Troubleshooting and Clinical Applications;James Wu;AACC Press;2000”」に記されているような、様々なアプリケーションに広く使用されている。最も一般的なイムノアッセイ法は非競合アッセイであり、この例は、幅広く知られているサンドイッチイムノアッセイであり、分析物の検出に2つの結合試薬を使用する。そして競合アッセイは、分析物の検出に単一の結合試薬のみを必要とする。
【0003】
サンドイッチイムノアッセイの最も基礎的な形は、下記の通りである。まず第1結合試薬としての捕獲抗体を固相担体(一般的に)に被覆する。捕獲抗体は、分析物に特異的親和力を提供するだけでなく、理想的には、その他の分析物と反応しないように選択される。この工程の後、標的分析物を含む溶液をこの領域に導入することで、標的分析物が捕獲抗体と結合する。余剰の分析物を洗浄した後、第2結合試薬としての第2検出抗体をこの領域に添加する。この検出抗体も、同様に分析物に特異的な親和力を提供するだけでなく、理想的には、その他の分析物と反応しない。更に、検出抗体は一般的にレポータ試薬により「標識化」されている。このレポーター試薬は、光学的(蛍光画像法又は化学発光画像法又は大面積画像法)、電気的、磁気的、又は他の手段などの様々な検出方法の一つによって検出できるように設計されている。この分析手順では、検出抗体が、更に、分析物−捕獲抗体複合体に結合する。余剰の検出抗体を除去した後、最終的に検出抗体のレポータ試薬を適切な手法を用いて探知する。この方式では、レポータ試薬の信号はサンプル中の分析物の濃度に比例している。いわゆる「競合的」分析では、検出抗体と(検出抗体+分析物)の複合体の競合反応が生じる。分析物、又は分析物類似体を固相に直接的に被覆した固相分析物(又は類似体)に結合している検出抗体の量は、溶液中の検出抗体と未結合の分析物の相対濃度に比例している。イムノアッセイ法の利点は、結合試薬の使用によって与えられる標的分析物に対する検出の特異性である。
【0004】
上記の方法は、タンパク質の検出等、本分析法の最も一般的な形式であることに留意すべきである。同様に、イムノアッセイ法は、酵素、核酸及びその他等の目的とする分析物にも使用できるが、これらに限定されない。更に、同様の概念が、例えば「捕獲」抗体と検出分析物を用いた分析物抗体の検出などを含めてその他の変形例に幅広く適用されている。
【0005】
「マイクロプレート」、「96ウェルプレート」、「96ウェルマイクロプレート」とも呼ばれる96ウェルマイクロタイタープレートは、生化学研究所で役立ってきた。マイクロプレートはイムノアッセイ(分析)に基づいた検出法を含む多種多様な用途に使用されている。マイクロタイタープレートの他の用途を2、3例をあげると、保存用細胞培養用、化合物のスクリーニング用の培地である。現在、96ウェルプレートは、生化学研究所に偏在しており、自動分配装置、自動プレート洗浄システムといった機器がかなりの程度まで発達している。実際、Society for Biomolecular Sciences(SBS)と米国国家規格協会(ANSI)は、マイクロプレートの特定の寸法のガイドラインを公表しており、殆どの機器メーカーが、これに従って、これらのプレートを取り扱う機器を調和させている。上述した基本的な自動機器に加え、マイクロプレートの性能の特定の側面を改良する特殊な計装システムのいくつもの例が開発された。例えば、米国特許第7488451号は、マイクロプレートに微小粒子を充填することに焦点をあてた微小粒子分配装置を開示しており、この特許は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。一方で、米国特許第5234665号は、細胞分析用マイクロプレート中の凝集パターンを分析する方法を開示しており、この特許も全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。
【0006】
96ウェルプラットホームは、非常に定評があり一般的に認知されているが、いくつかの顕著な欠点がある。各反応工程は、50乃至100μlの試薬量を要し、各インキュベーション工程で満足のいく反応が得られるまでに1乃至8時間のインキュベーションの時間を要する。このインキュベーション時間は、一般的に特定の工程における試薬濃度に依存している。プレートあたりの効果を上げ、反応液量を(結果的に、プレートあたりの操作コスト)を減らすように;研究者は、384や1536ウェルマイクロプレートなど密度の高い形式を開発してきた。これらは、96ウェルと同じ型であるが、ウェル密度とウェル間のスペースが異なる。例えば、典型的な1536ウェルでは、1回の分析工程につき用いる試薬は、わずか2乃至5μlである。1536ウェルは、試薬量の大幅な節約を提供するものの極端に小容量の液体は容易に蒸発するため分析反応溶液の正味濃度が変わるという再現性の問題がある。1536ウェルプレートはいわゆるハイスループットスクリーニング(HTS)法における専用ロボットシステムによって操作される。実際に、国際公開公報05028110B1号に公開されているような研究者が更にプレートの「密度」(所定の領域におけるウェルの数)を増加させた革新的な例があり、ここでは約6144ウェルのアレイを作ってナノリットルサイズの液量を処理できるようにしている。この例は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。この例は当然、関連する米国特許第7407630号に開示されている専用の装置システムも必要とする。この特許も全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。研究者は斬新なデザインを開発すべく殆どの場合SBS/ANSIのガイドラインの制限の中でマイクロプレートの設計を変更に莫大なエネルギーを注いできた。この一例が全体を参照することにより本明細書に組み込まれている米国特許第7033819号、米国特許第6699665号と米国特許第6864065号を含む特許に開示されている。ここではミクロンサイズのウェルの二次アレイが通常の96ウェルマイクロプレートの底に作られている。これらの小型ウェルは、細胞を捕捉して、この形式を用いて分析できるものの中でもとりわけ運動パターンの研究に用いられている。米国特許第7371563号とそれに関連する米国特許出願第6803205号には、ウェルの底を選択的に取り付け、取り外すことによりマイクロプレートの取扱いの柔軟性が説明されている。両出願は全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。全体を参照することによって本明細書に組み込まれている米国特許第7138270号と国際公開公報第03059518A3号は同じ形で同じウェルレイアウトの96ウェルプレートを用いているが、プレートあたりの液量を著しく減らした技術を開示している。ろ過及び/又は抽出用に一体的に梱包したカラムを使用する高度な機能性が米国特許第7374724号の実施例に示されており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。研究者らは米国出願公開第20040247490A1号に開示されているように、マイクロプレートの基底部で(a)ろ過のアプリケーションと(b)貫流分析(through flow assay)のアプリケーション用に膜を一体化した。これは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。還流のアプリケーションには、膜孔が小さい膜フィルターは、膜から液体を除去するために非常に強い置換力を要する。
【0007】
小型化と自動化の次の段階は微小流体システムの開発であった。米国特許第6429025号、米国特許第6620625号及び米国特許第6881312号に開示されているように微小流体システムは理想的には分析ベースの反応に適している。これらの特許は全体を参照することによって、本明細書などに組み込まれている。微小流体システムは、アッセイベースの分析に加え、分析学の研究にも使用できる。例えば、米国出願公開第20080247907A1号と国際公開公報2007120515A1号は、分析反応の反応速度論を調べる方法を記載しており、両出願は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国特許第7534331号、米国特許第7326563号及び米国特許第6900021号に記載されているように、細胞の操作及び細胞ベースの分析などのアプリケーション用の微小流体システムも開示されている。これらの出願は全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。微小流体システムの主要な利点は、スループットが高く、反応液量が非常に高い大規模な並列反応を実現できることにある。この例は、米国特許第7143785号、米国特許第7413712号及び米国特許第7476363号に開示されており、これらは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。全体を参照することによって本明細書に組み込まれている米国出願公開第20020006359A1号、米国特許第6495369号、及び米国出願公開第20060263241Al号に記載されているように、ハイスループット微小流体用の計装システムも同様に幅広く研究され、開発されてきた。同時に、主要な問題点は、微小流体システムのWorld−to−chipインタフェースの問題が未だに解決されていないことである。この問題に対して研究者は通常、専用の液体を開発しており、この一例が米国特許第6951632号に開示されており、全体を参照することによって、方法に応じて本明細書に組み込まれている。この一つの問題が、微小流体システムの広範な普及の重要なボトルネックになっている。微小流体の広範な普及に関するもう一つの問題は、規格化したプラットホームがないことである。ほとんどの微小流体デバイスは、所定のアプリケーションに適した特定の設計をしているが入口と出口が異なる位置にある。実際に、もし共通点があるならば、当該技術分野において周知である微小流体装置の外形又は厚さである。
【0008】
この流れにおける次の理論的な段階はもちろん96又は384又は1536ウェルの統合が自然である。ほとんどの場合、「微小流体」マイクロプレートは従来のマイクロプレートと同じ外形を使用しているが、その桟機能は米国出願公開第20060029524A1号と米国特許第7476510号に開示されている例にあるように、細胞分析用に非常に特化している。両出願は全体を参照することによって本明細書の組み込まれている。研究者は微小流体装置の構築に標準的なマイクロプレートの型を広く使用している。この例は、多くの文献で見られる。「DNAとRNAのハイスループット抽出用96ウェルポリカーボネートに基づく微小流体タイタープレート」Anal.Chem.2008,80(9),pp3483−3491,WitekとPark et al.;及び「タイタープレートに基づくスループット核酸精製用の高分子微小流体装置」Biomedical Microdevices;Volume10,Number1/February,2008;21−33;と「微小流体チップ光活性ポリカーボネート(PPC)中の96ウェルSPRIリアクタ」Micro Electro Mechanical Systems,2007.MEMS.IEEE 20th International Conference on,21−25Jan.2007 Page(s):433−436;及びChoiらの「ハイスループットキネティックを有する光結晶バイオセンサ内部統合型光学微小流体複製鋳型網96ウェルマイクロプレート;生物分子相互作用分析」Lab Chip,2007,7,1−8,及び更にTolanらの研究による「効率的な薬剤開発に関するマイクロタイター法と微小流体法の融合」JALA,Volume13,Issue5,Pages 275−279(October2008);及びjooらの更なる研究「マイクロプレートリーダーに互換性のある酵素分析用の微小流体装置」Sensors and actuators.B,Chemical;2005,vol.107,no2,pp.980−985;がある。細胞分析用に特化したものでは、マイクロプレートと同一の外形を用いる微小流体構成がLeeらの記載「自動細胞分析用微小流体システム」Journal of the Association for Laboratory Automation,Volume12,Issue6,Pages363−367に記載されており;及びCellAsic社(http://www.cellasic.com/M2.html)による市販製品とにも提供されている。これら全てが微小流体装置の例であり、96(又384)ウェルプレートと同じ外形であるが、全ての密度を使っていない。
【0009】
米国特許第6742661号と米国出願公開第20040229378A1号は、96ウェル構造と微小流体チャネル網を一体化した例を開示しており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国特許第6742661号の好ましい実施例に記載されているように、ウェルのアレイは貫通孔ポートを介して微小流体回路に連結されている。好ましい態様では、この微小流体回路はH型又はT型拡散装置である。米国特許第6742661号はこの装置の液体の動きを制御する手段についても記載している。この装置は静水力と毛管力を組み合わせて液体の移動を達成している。米国特許第6742661号により、より詳細に説明されているように、静水力は(a)付加ウェル層を積み重ねることでマイクロプレート構造に更に厚みを加えるか、又は(b)外部ポンプで駆動させた圧力を既存の静水力に追加することで制御できる。米国特許第6742661号は、主に、静水力(上記のいずれかの方法を使用して改変した)を使用しており、微小流体回路への異なる注入口間で静水力が異なる。特に、微小流体回路の異なる注入口に連結されたウェルにおける液柱の高さ(深さ)の違いによって静水圧の変化が生じていると推定される。米国特許第6742661号に図解されているこの装置の概念は、層流拡散インターフェイス(LFDI)型の微小流体デバイスを96ウェル構造に一体化させる明らかに斬新なソリューションである。しかし、米国特許第6742661号は、この開示された装置のウェルから派生し、ウェルに終結する自己完結流体フローパターンを想定しているだけである。更に、米国特許第6742661号に記載されている流量調整法は、大分類である「圧力駆動」流の分類に入り、液柱の静水圧が流体特性を制御している。最も重要なことは、米国特許第6742661号は、本発明で想定している微小流体チャネルから又は微小流体チャネルへの追加的な結合をせずにウェル構造から水管構造へ液体を移動させる単一のチャネルの使用を想定していないことである。米国特許第6742661号は、上述の観点から本発明と著しくはっきりと異なっている。
【0010】
米国出願公開第20030049862A1号は、標準的な96ウェル構造に微小流体を一体化させようと試みている別の例示的な実施例であり、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国出願公開第20030049862A1号が従来受け入れられている方法と少し変わった方法で「微小流体」を定義していることに注意することが非常に重要である。米国出願公開第20030049862A1号では、「流体基材中、又はプレート自体に流体チャネルが位置している現在の技術と異なり、本発明は各流体モジュールに流体チャネルを設置している」と定義している。これは名目上適合するマイクロプレートの円柱状ウェルに適切なサイズの円柱状の挿入体を挿入することで達成される。挿入されたシリンダの上面とウェルの底表面に一定の間隔をとることによってマイクロチャネルが定義されている。更に、米国出願公開第20030049862A1号に開示されている装置構成は、微小ポンプといった自動的手段かそれとも又はピペットの使用といった手動手段かによる外部の流量制御に本質的に依存している。米国出願公開第20030049862A1号は本発明で定義する、(a)マイクロチャネル構造を定義する手段と(b)流体移動制御手段に関して本発明と著しく異なる。本発明に開示している構造と装置は、外部流量制御を必要としない単純な貫流構成である。
【0011】
米国特許第20030224531Al号は、電子噴霧法用のウェル構造(標準的な96、384、1536ウェルプレートを含む)微小流体を連結する実施例も開示しており、これは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国特許第20030224531A1号は、ミクロン又はサブミクロンサイズの深さである浅い処理区(shallow process zone)の別のアレイに連結している試薬ウェルのアレイを使用しており、この処理区は一端が試薬ウェルに、他端が電子スプレー放射チップに連結している。流体を移動させる動力(米国特許第20030224531A1号では推進力と定義されている)は、好ましくは、流体カラムにかかる電位、又は、カラムにかかる圧力差によって提供される。これは、流体移動が純粋に毛管力である本発明と大きく異なる。処理区は、マイクロチャネルの入口と出口を介して連結してよく、マイクロチャネルは更なる機能(標識又は精製など)を提供するように構成されている。米国特許第20030224531Al号と本発明の主要な違いは、米国特許第20030224531Al号は質量分析機の最終分析用のサンプル処理方法として、本質的に(ウェル+微小流体)構造を使用していることである。好ましい実施態様では、本発明は、基本的に、充填ウェルとしての基板の反対側の同じ位置にマイクロチャネル形状の幾何学的配置の使用を記載しており、更に、それによって反応チャンバを形成し充填ウェル内部でも生ずる反応を促進し、更に、この反応信号は従来の96プレートに使用できるリーダーによる光学的手段で計測することができるのみである。
【0012】
国際公開公報第03089137A1号は、96ウェルプレートのスループットを高める斬新な方法を更に開示しており、これは全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。この発明では、分析は金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウムでできた基材中のナノメーターサイズのチャネルで行う。国際公開公報第03089137A1号に開示されているように、個々のウェルは底部に取り付けた金属酸化膜基材を有している。作動中、各ウェルは個別に密封されており、共通の源から真空(又は圧力)を適用して、ウェル内の液体を基材の底にむけて(又は底から離すように)力を加える。この方法では分析試薬を膜上の非常に小さい開口間を行き来させることで分析性能の大幅な改良を達成している。国際公開公報03089137Al号に記載されている発明は、金属酸化物基材中の液体の移動の調節を真空源及び/又は圧力源に依存しており、最適な性能を発揮するには正確な圧力制御装置を要する。
【0013】
一見したところ本発明と類似する発明が米国出願公開第20090123336A1号に開示されおり、全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。米国出願公開第20090123336A1号は、一連のウェルに連結したマイクロチャネルアレイの使用を開示しており384ウェルプレートの形式のウェルを使用している。米国出願公開第20090123336A1号の記載では384ウェルプレート上に位置している「ウェル」のそれぞれが複数の検出チャンバのための共通の入口としての役割を担っている。これはここに更に開示されている別の更なる使用方法における本発明の1つの実施態様でありうる。さらに重要なことに米国出願公開第20090123336A1号は、単一の充填ポイント連結した複数の検出チャンバの使用に限定されており、不可能ではないものの極めて困難な課題である高密度微小流体チャネル網が相互連結した微小流体装置の作成による。このことは米国出願公開第20090123336A1号の発明の使用方法を限定し、直列に連結した各チャンバの独創的なアレイを実現するのに特殊な操作工程を要する。具体的には、米国出願公開第20090123336A1号に開示されているように一連の結合した各チャンバで独創的な分析を実施する唯一の方法は、チャネル表面を密封する前に、チャネル表面に捕獲抗体ONを付着させることである。この工程は、(a)所望の液量を(b)正確に画定した位置に、高い精度で供給する複雑な分配システムを要し、これがシステム全体のコストに加わる。その他の実施態様では、チャネル路の一端を溶液に浸すことで共通の溶液を直列に連結したチャネルのアレイに引き込んでいる。この発明者らは又、「共通の充填チャネルがある場合、試薬は毛管力又は圧力差によって全てのチャネルに同時に充填できる」旨を請求している。理論的には正しいが、複数の分岐チャネルの流れを単一源から制御するのは現実的には不可能であることは微小流体の分野の当業者には周知である。このような複数チャネル間の分析のばらつきは、分岐チャネルの少なくとも1つが常に優先的に高流量であることから示唆される。
【0014】
本明細書に記載する本発明の開示から、より明確になるように、上述の公知技術は全て以下に挙げた点で本発明と異なっている。
1.従来の開示は全て、ウェルへ及びウェルから液体を移動させるのに何らかのポンプを使用している。
2.従来の開示の殆どは、従来のマイクロプレートの外形とウェル位置の配置を使用して同じ微小流体装置の複製を組み込んでいるだけである。更に、殆どの微小流体装置は複数の入口及び/又は出口を有する。
3.従来の開示の殆どは、サンプルの導入又は抽出に、同じく複雑な微小流体world−to−chipインターフェース法を必要としている。
4.従来の開示の殆どは、特に所定の微小流体の構成に適用した液体をハンドリングする専用の機器システムを要する。
【0015】
ベッドサイド試験(point−of−care test(POCT))のアプリケーションでは、上述のようなアプリケーション用の幅広いダイナミックレンジを越えて検出できるイムノアッセイベースの試験方法の使用が頻繁に望まれている。POC試験に最も一般的に使用されている技術は、いわゆる「ラテラルフロー試験」(LFA)法の使用による。LFA法の実施例は、米国出願公開第20060051237A1号、米国特許第7491551号、国際公開公報2008122796A1号、米国特許第5710005号に記載されており全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。特に斬新なLFA用の技術が記載されている国際公開公報2008049083A2号では、市販の紙を基材として使用し流路の境界が非浸透性(水)の写真石版型によって画定されており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。高度なLFA技術は米国出願公開第20060292700A1号などに開示されており、拡散パッドを使用するることで複合体の均一性を改良し分析効率を向上させており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。国際公開公報9113998A1号、国際公開公報03004160A1号、米国出願公開第20060137434A1号は、いわゆる「微小流体」法を使用してLFA装置を更に開発しており、全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。
【0016】
微小流体LFA装置は、マイクロチャネル又はマイクロチャネル+精密流体抵抗パターンの製造の精度により、膜(又は多孔質パッド)ベースのLFA装置よりも再現性が高いと当然に考えられる。米国特許第20070042427A1号などのいくつかのケースでは、微小流体とLFAの両技術分野で共通して使われる技術を結合してしおり、これは全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。米国出願公開第20070042427A1号では蛇腹型のポンプによって流動が開始し、その後、吸収パッドで維持される。
【0017】
したがって、本発明は、上記のような従来技術の欠点に対処し、標準化されたマイクロプラットホームと微小流体技術の利点を統合した簡便で信頼性の高い構成を開発しようと試みている。本発明の技術は、本発明を用いて構築した「微小流体マイクロプレート」が同じサイズの従来のマイクロプレート用に設計された全ての機器と互換性があるという点でもユニークである。
【発明の概要】
【0018】
この発明は、微小流体チャネルが従来のマイクロプレートのウェル構造と一体化している改良型「微小流体マイクロプレート」に焦点をあてている。マイクロプレートの全体寸法とウェルの配置が、SBS/ANSI規格による96又は384又は1536のウェル形式に適合している。この微小流体マイクロプレートは、基材の片面上に画定されたウェルの列から成る。各ウェルはウェルの底面に適宜に設計された貫通孔を通して基材の反対面にある微小流体チャネルに連結している。微小流体チャネルはマイクロチャネルの一端(出口)に開口部を有する追加のシール層によって密封されている。更に、このシール層は吸収パッドと接触している。
【0019】
液体がウェルに導入されると、毛管力によってマイクロチャネルに吸い込まれる。液体は吸収パッドに到達するまでマイクロチャネルに沿って移動する。吸収パッドは、マイクロチャネルよりも強い毛管力を発揮し、液体をチャネルの外に吸い出す。好ましくは、液体がウェルから出て吸収パッドへ流れ、液体の後端部がウェルとマイクロチャネルの間の界面に「はまり込む」。この段階では、ウェルの液体は完全に空であり、一方でチャネルは未だに液体で満たされている。ここで第2の液体がウェルに充填されると、第1の液体を保持している毛管バリアが崩壊し、パッドによる毛管現象が再開し、第2の液体もチャネルを介してパッドに吸い込まれる。この手順はイムノアッセイシーケンスが終了するまで何回でも反復できる。したがって、本発明の装置は、マイクロプレートプラットホーム上での微小流体イムノアッセイシーケンスを可能にする。更に、このプレートを使用する方法は従来のマイクロプレートと同一であり、本発明の装置は、従来のマイクロプレート用に開発された適切な自動装置とも互換性がある。本発明の装置のその他の実施態様は、細胞ベースの分析法などのアプリケーションに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施態様の平面図であり、96ウェルのアレイが96個の各マイクロチャネルに貫通孔を通じて連結されている。
【図2】図2は、本発明の実施態様の一部の断面図であり、ウェル構造、マイクロチャネル構造、シール層、及び吸収パッドの相対的位置を図解している。
【図3】図3は、微小流体マイクロプレートとそれに関連する容器から成る本発明の実施態様の詳細な部品の3次元描写である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施態様を示しており、一定の規則に従って貫通孔がウェルとマイクロチャネルを連結している。
【図4B】図4Bは、本発明の代替の好ましい実施態様であり、ウェルとマイクロチャネルを連結している貫通孔がテーパー部を具えている。
【図5】図5は、ウェルの底面で貫通孔に連結している本発明装置内の異なるマイクロチャネル部を示している。
【図6】図6は、本発明の一態様であり、流路に通気孔が組み込まれている。
【図7】図7は、チャネル構成の別の実施態様を示している。
【図8】図8は、チャネル構成の更なる実施態様を示している。
【図9】図9は、チャネル設計の更に別の実施態様を示しており、流量と蒸発率に関連するこれらの効果を示している。
【図10】図10は、感度を上げるためにポリマービーズを用いた実施態様を示している。
【図11】図11は、微小流体マイクロプレートのセルの取り扱いに適した実施態様を示している。
【図12】図12は、更に別のチャネル構成の実施態様を示している。
【図13】図13は、ある特殊な吸収パッドを各マイクロチャネルに連結した実施態様を示している。
【図14】図14Aと図14Bは、吸収パッドを圧縮した結果を示す本装置の断面図を示している。
【図14C】図14Cは、突出構造を使用することで吸収パッドと微小流体チャネルの間に信頼性のある接触を保証した代替の実施態様を示している。
【図15】図15は、吸収パッドの配置の代替的な実施態様を示しており、吸収パッドはマイクロチャネルのアレイ又は柱に共通している。
【図16】図16は、吸収パッドの配置の代替的な実施態様を示しており、吸収パッドはマイクロチャネルの列又は柱に共通しており;更に吸収パッドは、マイクロチャネルの反対側の基材にある。
【図17】図17は、一実施態様を示しており、マイクロチャネルの追加的な部分を給水パッドの代わりのキャピラリポンプと汚水リザーバとして使用している。
【図18】図18は、装置の代替実施態様であり、代わりに単一の連続する基材に代えて微小流体挿入プレートを使用している。
【図19】図19は、本装置の代替的な態様を示しており、単一の連続する基材に代えて微小流体を挿入プレートに使用しており検出中の光学的クロストークを最小化する追加層が使用されている。
【図20】図20は、複数の微小流体プレートが使用されている点を除いて図18と同じ実施態様を示している。
【図21A】図21Aは、複数の微小流体反応チャンバが共通の充填ウェルに直列に連結している本発明の一実施態様を示している。
【図21B】図21Bは、充填ウェルと微小流体反応チャンバが視覚上の同一縦線上にない一実施態様を示している。
【図21C】図21Cは複数の実施態様を示しており、複数の充填ウェルが単一の微小流体反応チャンバに連結している半自動微小流体マイクロプレートを示している。
【図21D】図21Dは複数の実施態様を示しており、複数の充填ウェルが単一の微小流体反応チャンバに連結している半自動微小流体マイクロプレートを示している。
【図22】図22は、特に、長時間の低流量に適した実施態様を示している。
【図23】図23は、化学発光ベース検出の実施態様を示している。
【図24】図24は、発明に適した完全手動型ベッドサイド分析試験に適応させた実施態様を示している。
【図25】図25は、微小流体マイクロプレートの画像を示している。
【図26】図26は、微小流体マイクロプレートの他の実施態様の画像を示している。
【図27】図27は、微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートとを比較した化学発光試験結果を示している。
【図28】図28は、微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートとを比較した化学発光試験結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者は、本発明の明細書記載の好ましい実施態様の変更例又は変形例は、本発明の本質的な新規性から逸脱することなく作られていることを認識すべきである。これら全ての変更例と変形例は本明細書に組み込まれる本発明の範囲内にあることを意図している。
本明細書のμF96又はμf96又はOptimiser(商標)とは96ウェル微小流体マイクロプレートを指しており、各ウェルは少なくとも1つの微小流体チャネルに連結している。特段に指定の記載がない限り、3つの機能層、すなわち、基材層(ウェル、貫通孔構造及びマイクロチャネルを伴う)、シールテープ層、及び吸収パッド層から作られているものと仮定し、「96」とは、96ウェルの配置を指し、同様にμf384は384ウェルの配置を指すものとする。同様にOptimiser(商標)の用語も、本発明の記載に使用し、Optimiser(商標)−96は96ウェルの配置を指し、同じようにOptimiser(商標)−384は384ウェルの配置などを指すものとする。更に、「マイクロチャネル」と「微小流体チャネル」と「チャネル」は文脈から明白に異なる意味が要求されない限り、全て同じ流体構造を指す。「界面孔」又は「貫通孔」又は「孔を介して」との用語は、文脈から明白に異なる意味が要求されない限り、マイクロチャネル構造にウェル構造が連結している同じ構造を指す。「セル」という用語は、微小流体マイクロプレートの機能単位の説明に使用し、微小流体マイクロプレートは基本的に同一である複数の「セル」を具えており、マイクロプレート全体を構成している。
【0022】
本発明は、本明細書に添付されている図を検討することにより容易に理解できる。図1と図2と図3を概観することで基本構想を理解できる。図1は微小流体96ウェルプレート又は微小流体マイクロプレートの平面図を示している。このプレートは従来のマイクロプレート(ANSIの基準に規定されている)の寸法に一致している。ウェルの位置も同様にANSIの基準に適合する。各ウェルは、基材の反対側の面のマイクロチャネルに連結している。図1に示す実施態様では、ウェルとマイクロチャネルは同じ基材層上に成形されている。本発明の特筆すべき特徴は図1より理解でき、充填位置(液体試薬添加用)と検出領域は同じ垂直面にあり、従来のマイクロプレートと完全に一致する。
【0023】
図2は、1単位の96個のマイクロプレートの一部の断面図を分解図と組立図で示している。図3Aは、マイクロプレート、シール層及び吸収パッドの3次元図を分解図で示している。図3Bは、マイクロプレート、シール層、吸収パッド、及び容器の3次元図を分解図で示している。各ウェルは、基材の反対面側の面上のマイクロチャネルに連結している。マイクロチャネルはマイクロチャネルの他端(ウェルの底の貫通孔に連結している面に対して)に開口部を有するシール層によって密封されている。シール層の開口部は、他端で吸収パッドに連結している。好ましい態様では、吸収パッドのアレイは、吸収パッドが充填ウェルとチャネルと視覚上、同一の縦線にならないように使用されている。代替的に、図3に示すように吸収パッドは96マイクロチャネルの全ての出口に連結された単一の連続的な断片である。液体をウェルに導入すると、液体は毛管力によってマイクロチャネルに吸い込まれ、テープ中の開放部に到着するまでマイクロチャネルを移動する。その結果、液体の最前部が吸収パッドに接すると、より強い毛管力を発揮し、ウェルが空になるまで液体を引き込む。好ましい実施態様では、貫通孔、微小流体構造及び吸収パッドは、液体がウェルから出たときに、液柱の後端部が貫通孔とマイクロチャネルの間の界面を通過できないように設計されている。その結果、ウェルは液体内容物を完全に空にし、液体は吸収パッドに一部が吸収され、一方で、一部の液体は完全に微小流体チャネルを占めている。この構成は、イムノアッセイベースのインキュベーション工程に使用できる。
【0024】
ウェルに第2の液体が添加されると第2の液体が貫通孔とマイクロチャネルの間の界面で第1の液体の後端と接触する。この段階で、吸収パッドからマイクロチャネルと貫通孔を介してウェルへ伸長する連続した液柱が再び形成される。ウェルを満たす液体の低い表面張力が流れを再開させ、第1の液体はチャネルから完全に引き出され、第2の液体に置き換えられる。第2の液体も、第2の液体の後端が貫通孔とマイクロチャネルの間の界面に到達し、再度流れが止まるまでチャネルから引き出される。このシーケンスはイムノアッセイに必要な全ての工程が完了するまで、繰り返される。これは本発明の特に有利な側面すなわち操作シーケンスが液体の添加工程だけであることを説明している。液体が自動的に流れ出るのでウェルから液体を除去する必要がない。これは微小流体マイクロプレートの作業に必要な工程の数を大幅に減らし、工程を簡易化する。また、上述したように、好ましい態様では、吸収パッドは、パッドが反応チャンバと同一の視覚上の縦線にならないように位置している。この配置では、パッドを微小流体マイクロプレートと一体化することができ、一方で、所望ならば、例えば図3に示す実施態様の場合、パッドを最後の液体を充填する工程の後に処分できる取り外し可能な部品とすることができる。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、ウェル、貫通孔、及びマイクロチャネルを具える基材は透明である。これによって、マイクロプレートの底からだけでなく上からも信号を光学的にモニタできる。これは当該技術分野で幅広く使われているマイクロプレートリーダの共通の特徴である。他の実施態様では、基材はチャネルを具える面からのみマイクロチャネルからの光学的信号を計測できるような不透明材料でよい。例えば、図2に示す実施態様では、基材が不透明材料の場合、「底」からのみ信号を計測できる。後述するように挿入層の回転を使用して不透明な基材材料を上から計測できる更に別の方法がある。
【0026】
微小流体マイクロプレートは、従来の射出成形プロセスにより製造でき、射出成形プロセスに適した一般的に使用される全ての熱プラスチックを微小流体マイクロプレート用の基材材料として使用することができる。一部の好ましい実施態様では、微小流体マイクロプレートは、マイクロプレートに適した材料として当該技術分野で周知なポリスチレン材料から作ることができる。他の好ましい実施態様では、微小流体マイクロプレートは、低い自発蛍光を示し、その結果、蛍光又は吸収ベースの検出法におけるバックグラウンドノイズを下げることが当該技術分野で周知である環状オレフィン共重合体(COC)又は環状オレフィン重合体(COP)材料から作られる。
【0027】
本発明を使用したサンドイッチイムノアッセイの分析手順の実施例を以下に述べる。この分野で周知な方法を使用し、本発明による微小流体マイクロプレートでこのような幅広い分析を行うことができる。この説明ですぐに明らかになるように、試薬添加の全ての工程は現在のマイクロプレートの形式で液体を取扱うように設計された自動システムを変更する必要なく実行できる。
【0028】
操作
1.流動を発生させるために、第1の液体をウェルにピペットする。
2.ウェルに充填する液体量は、少なくともチャネルの内部容積を上回る容積である必要がある。
3.液体は微小流体チャネルに引き込まれ、毛管力によって持続的に移動する。
4.液体はウェルからチャネルを通過して吸収パッドに接触する出口に到達するまで流れる。
5.この後、吸収パッドは、ウェルの全ての液体が空になるまでチャネルに、次いでパッドに引き込む。液体の流れは、液柱の後端がウェルの底の貫通孔とチャネルの間の界面に到達すると止まる。
6.この構成中における流量は、(a)液体の種類;(b)ウェルとチャネルと界面ポート(すなわち貫通孔)の形状(c)μf96(又はOptimiser(商標))マイクロプレートの材料特性、特に表面特性;及び(d)パッドの吸収特性により、完全に制御される。
a.流量は、パラメーターのいずれかを変えることで操作できる。
b.当初の「充填」流量は、パッドから独立しており、チャネルの特性のみに基づいている。
c.その後、チャネルは固定抵抗として作用し(液体が空になる最後の最後を除いて)、パッドは真空(毛細管吸引)源としての役割を果たす。
d.所望ならば、分析工程は、分析反応の流量変動の影響が最小源であることを保証する静的なインキュベーション下にあってもよい。
7.この後、第2の液体を添加し、同じシーケンスを繰り返す。
a.代替的に、第2の液体を第1の液体が空になると同時に充填してよい。これによって、第1及び第2の液体の間に止まることのない連続的な液柱ができる。
8.添加すべき最後の液体がこのシステムを通過した後に、所望ならば吸収パッドを取り除いてよい。更なる毛管力がないため、液体の移動は確実に止まる。
9.プレートはウェルの上面又は底面から計測することができ、ウェル構造が光学的信号と干渉する場合はμf96(又はOptimiser(商標))を反転させてチャネル側から計測できる。後者が必要な場合は、プレート構造をSBS/ANSIの96ウェルプレート用の標準ホルダに適合するように改造するべきである。
【0029】
結果としての分析
1.捕獲抗体を添加し、流す−捕獲抗体はチャネル表面に非特異的に吸着する。捕獲抗体溶液を繰り返し注入することで潜在的に表面濃度を高くすることができる。
2.捕獲抗体溶液が完全にウェルに吸引されるまで待つ。マイクロチャネルは完全に捕獲抗体溶液で満たされている。チャネル表面に捕獲抗体が結合するようにインキュベートする。
3.ブロッキング緩衝液を添加し、流す;残りのチャネル表面に、ブロッキング媒体を結合させるようにインキュベートする。
4.サンプルを添加し、流す;ターゲット分析物が捕獲抗体と結合するようにインキュベートする。
a.選択的に、サンプルの注入を繰り返すことで検出感度を上げることができる。
5.(選択的に)再度、洗い流す。
6.標識化検出抗体を添加して流す;捕獲したターゲット分析物に検出抗体が結合するようにインキュベートする。
7.緩衝液で洗い流す。
8.蛍光ベースの分析では、ここでプレートをリーダーに移してよい。
9.発光ベースの分析では、基質を添加して、チャネルを満たしインキュベートする。
10.発光ベースの分析では、ここでプレートをリーダーに移してよい。
【0030】
図2のウェル構造は、直線部分(円柱状の)と先細部分(円錐状の)から成る。円柱ウェル構造の底部に小さな貫通孔を有するのとは反対に先細構造によりウェル内容物を完全に洗い流すことができる。容易に理解できるように、この基本構成案では幅広い構成が可能である。例えば、貫通孔がウェルの中央ではなく、一方にずれている場合;又は、マイクロチャネルパターンが異なる構成;又は、吸収パッドが異なる場所に位置している;又はプレート全体の厚さ(SBS/ANSI基準による14.35mmの設定)に対するウェル構造とマイクロチャネルの相対的な深度、及び/又は位置が変化する。実際には標準化が非常に望ましいが、所定の実施例において、Optimiser(商標)微小流体マイクロプレートはANSI/SBS規格に一致しない寸法で作ることもできる。これらのいくつかを、本構成概念の可能な実施態様の実施例として記載している。本明細書に記載の実施例は、本発明の柔軟性を説明しているにすぎず、いかなる方法でも本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0031】
図3の3次元(3D)図は、ある好ましい一実施態様を示している。図3の拡大図に示すように、ウェルは上部の「直線」部分を有さず、先細部分のみである。これはウェルの垂直璧から先細部分へ変わる位置の残渣が残りにくくする。又、図2と図3に示すように、ウェルは、基材がウェルを完全に囲むか、又は、基材を囲む部分に唇の形状になるように構成されている。後者は、この部分に必要なポリマー材料の量を減らし、従ってコストが削減される。この構成では、射出成形の間にウェルが収縮すると貫通孔、及びマイクロチャネルパターンに歪曲を引き起こすため、少ない材料でもあまり収縮しない「リップ構造」の使用が射出成形作業に向いており、有利である。
【0032】
図4Aは本発明の好ましい一態様を示している。図4Aに示すように、好ましくは孔の幅(w)は、孔の奥行(深さ)(d)より大きく、少なくとも等しくなくてはならない。これによって、ウェルに液体を導入した際、液体の前縁メニスカスがシーリングテープの表面に「浸り」、接触できる。このメニスカスは、孔の一部に(上述の引用図の左手側)連結しているマイクロチャネルの4つの「壁」の全てとも接触する。その後、毛管力によって、液体をウェルから引き込みマイクロチャネルを満たす。液体がマイクロチャネルを確実に満たすためには、マイクロチャネルの壁の一部が親水性でなくてはならない。好ましい実施態様では、シール層は適切な粘着フィルムであり、その粘着剤は親水作用を示す。これはウェルに液体を充填し、前縁メニスカスがシーリングテープに接触した際、液体がテープの上に「広がり」、液体がマイクロチャネル部分に接触して、その後、マイクロチャネルに引き込まれ続けることを保証する。更に好ましい実施態様では、シール層は、ウェルとチャネル構造の製作に使用するプラスチックに類似する他のプラスチックでよく、2、3例をあげると熱接着、粘着性フィルム介在結合、レーザー又は、超音波結合などの周知技術によりこの2つのプラスチックが結合する。代替的実施態様において、チャネル内に第1の液体を進めることによってチャネルに「呼び水」を入れるようにしてもよい。これは、ピペットチップ又は適切な液体操作器具をインターフェイス孔に対して配置して、これが合理的なシールを形成するようにすることで容易に達成できる。次いで、液体の注入によって、チャネルに注入されている液体の少なくとも一部ができ、その後は、毛管力によって確実にチャネルに液体を満たし続ける。他の好ましい実施態様では、これを更に拡張させ、初回工程だけでなく、全ての分析工程がチャネルに直接的に溶液を注入することで簡単に実行でき、ウェル構造はピペット用ガイド又はその他の液体充填具に使用されるだけである。本発明の更なる実施態様では、チャネルの全ての壁はこの分野で周知な表面処理を適切に選択して、親水性になるように処理する。更なる実施態様では、全てのマイクロチャネルの壁を含む基材材料が、この分野で周知な方法を使用して親水性の状態にして、疎水性のシーリングテープを使用してもよい。表面処理(すなわち、液体に対する壁の最終表面張力)の選択は、予定するアッセイのアプリケーションによる。殆どの場合に、疎水性の表面を有して、疎水性相互作用に基づく生体分子の結合を可能にすることが好ましい。その他の場合では、結合表面と分子の親水性相互作用に親水性表面がより適している。更に別の場合は、両タイプの生体分子の結合を可能にする疎水性と親水性表面を組み合わせることが望ましい。
【0033】
本発明の更なる実施態様では、第1の「呼び水」の液体を用いてチャネルを満たす。イソプロピルアルコール等の液体は、殆どのポリマーと非常に小さい接触角を示し、非常に良好なウイッキングを示す。このような液体は、チャネル壁の親水性又は疎水性に関わらずチャネルを満たす。液体が一旦吸収パッドに接触すると充填ウェルに連続的な水路が形成される。次いで添加された液体が自動的にチャネル内に引き込まれる。マイクロチャネル表面と組み合わせて、ウェル表面も液柱にかかる毛管力を促進又は減衰させるように改変してもよい。例えば、ウェル表面に強い親水性処理をした場合、後縁メニスカスは強い凹形状となり、メニスカスの膨隆はウェルの底を向いている。このメニスカスの形状は、液柱の前端のメニスカス形状と競合し(吸収パッドに接する前)緩慢な充填を保証する。一方で、ウェル表面を強い疎水性にした場合、後縁メニスカスを凸形にすることができ、メニスカスの膨隆はウェルの上部を向く。このメニスカスの形状は水柱の前端部に毛管力を加え、より早い流速を生じさせる。
【0034】
他の好ましい態様では、シール層はマイクロチャネル基材に可逆的に取り付けるように設計してよい。この構成では、流体工程の一部でシール層を除去できる。例えば、吸光度測定の際にシール層を緩やかに取り外すことができ、吸収反応を止める停止溶液を添加する。更に他の実施態様では、シール層は他のアッセイ分析法に適した特殊な材料でよい。例えば、シール層は、関連するアッセイから得た生成物による免疫沈降に特に適するように選択することができる。
【0035】
図4Bに示す別の実施態様では、貫通穴の構造自体が図4Aに示すような垂直な側壁を有する筒状というよりは、むしろ先細の形状になっている。先細の形状は、ウェルから貫通孔を通じて少なくとも1の親水性のマイクロチャネル壁に液体を引き込む際に毛管作用を促進する。更に他の実施態様では図4A又は図4Bに示すウェルと貫通孔構造は選択的に処理して異なる表面機能を与えるようにもしてもよい。例えば、基材層は、実質的にウェルの内側表面のみが疎水性で、貫通孔は親水性に処理するようにしてよい。次いで、基材層を親水性テープでシールする。従って、この構成では、ウェルから貫通孔を通じてマイクロチャネルの基底部(テープ)まで連続する親水性水路があり、これが気泡が入ることなく、マイクロチャネルを一貫して確実に液体を満たす。
【0036】
本発明の他の好ましい実施態様を図5に示す。図5は、ウェルとマイクロチャネル間の界面孔におけるマイクロチャネル構成の実施態様を示している。図5Aでは貫通孔の断面からマイクロチャネルの断面へ急激な変化がある。チャネルの断面積がずっと小さいため、ウェルを出る液体は界面で止まる。図5Bでは、マイクロチャネルが界面孔よりわずかに大きく、更にチャネル断面は最終寸法に向けて徐々に先細になっている。この場合、液体がウェルを出るときマイクロチャネルが完全に空になるまで(吸収パッドに)液体が流れ続ける。代替的に非常に高い毛管力の吸収パッドを用いて図5Aの構成でもマイクロチャネルが完全に空にできる。前者の場合は、次の液体が添加されるまでマイクロチャネル中に液体が残っており、この状況はインキュベーションの工程に使用できる。この場合、分析性能は、純粋な貫流分析を使用した場合に生ずる流量の僅かな変動から比較的独立しているため、この構成を使用するのは有利である。液体チャネル内で止まららない後者の場合は、代替的に連続フロー、又は貫流分析と呼ばれ、分析操作が非常に速くなる。この方法は、ベッドサイドテストのように精度の管理よりも反応時間が重要な方法において有利である。この貫流モードも、検出感度を高めるのに有利に利用できる。例えば、第1結合試薬(捕獲抗体)が既にマイクロチャネル壁に被覆されており、残りの未結合部分がブロックされている場合は、より多い量のサンプル(標的抗原又は分析物を含む)をウェルに充填できる。液体がチャネル壁をゆっくり流れるため、多量の抗原が表面の捕獲抗体に結合できる。実際に、貫流モードは、結合部位の大部分が抗原と結合するまで、結合部位に暴露されたターゲットの抗原/分析物の供給を手助けする。次に前述したように検出抗体又は2次抗体が結合したターゲットに結合し、このスキームにより所定のサンプル中から非常に低い濃度のターゲットを検出できる。マイクロスケールでの迅速反応速度論は液体がチャネル中で貫流モードにある短い期間(数秒)に大部分の抗原が捕獲抗体と結合できることを保証する。
【0037】
図6は、インキュベーション工程に要する流出手順の信頼性のある性能を更に高める役割を担う構成の特徴を示している。図6に示すように、通気孔がマイクロチャネルの出口に向けて、テープ上の出口孔に極めて近接して設置されている。この構成ではウェルから液体がなくなると、貫通孔とマイクロチャネルの間の界面で液体の後端が「動かなく」なる。同様に、強い毛管力の吸収パッドが毛管力をかけ続けて通常のマイクロチャネルを空にする。事実、吸収パッドは真空源として作用し、液柱の前端に負圧を作り出す。吸収パッドによって液体が吸い出されるため、液柱はマイクロチャネル内に「引き戻される」。通気孔を通じて大気圧によって負圧(パッドからの)が相殺されるので、液体チャネル前端部は通気孔を超えて回収され、パッドの毛管現象は停止する。通気孔は、シールテープの出口の全周内部に位置してもよい。後者の構成により確実に、液体が少量回収された(パッドによる連続吸収によって)後、直ちに通気孔が負圧を解消する。更に記載すると、液体は後方に、すなわち出口から確実に離れるように回収される必要がある。液体が(出口で)動かなくなり、その代わりとして液柱の後端がチャネル内部に(貫通孔界面で)すなわち入口から離れてチャネル内部に移動するとウェル内部に追加の液体を充填したときに気泡が形成される。2種の異なる液体間における気泡の介在は毛管力を停止させて、更なる操作を妨げる。
【0038】
本発明の重要な態様は、従来のマイクロプレートのウェル構造とは対照的に、イムノアッセイを実行する微小流体チャネルの使用である。、マイクロチャネルの高い体積対表面積比が(a)制限された拡散距離と(b)少ない反応液量により迅速反応を可能にすることはこの分野では周知である。様々なマイクロチャネル構成を本発明の実施に使用できる。下記の表に示すように、チャネルを完全に満たすのに必要な液量の減少に付随してチャネルサイズが小さくすると、この体積対表面積比が大きくなる。チャネルの寸法は流量、表面積及び体積対表面積比(SAV)の要件に基づいて決定される。例えば500μmの充填ウェルがが中央にあり、最も太いらせん状チャネルの半径が約3mmであると仮定すると、下記の構成をとり得る。このような全ての変形例は本発明の範囲内にある。
【0039】
当然、上記説明した図に示すらせん状構成に加え、多様なチャネル構成も可能である。図7Aは、本発明に同じように適している蛇行チャネルを示している。更に、チャネルは、入口から出口までの連続的な先細構造を含みうる。この先細構造によって、先細になっていない場合より液柱の前端部の毛管力が強くなり流速が異なる。他の実施態様では、先細構造は入口から出口に向けて徐々に幅広くなるように設計されている。これは、第1の先細構造、又は先細構造がない場合と比較し、更に異なる流速を生じさせる。流速の差は、連続フロー分析、貫流分析、又は静的インキュベーション分析における液体が満ちた状態の挙動に重要な影響を有し、有利に使用して更なる柔軟な設計を提供できる。他の実施態様では、チャネルは、非対称にすなわち、幅と奥行きと間隔とが又はこれらの組み合わせが同等でないように設計されている。
【0040】
マイクロチャネルの他の好ましい実施態様が図8に描かれている。図8Aに示すようにマイクロチャネルは、複合的な形状を有しており、色違いに表示されたマイクロチャネル断面の端部における寸法は、マイクロチャネルの残りの部分の断面と比較して異なっている。マイクロチャネルの端部はマイクロチャネルの残りの部分と比較して少なくとも1の大きな寸法を有している。例えば、この端部は幅300μm×奥行200μmであるのに対して残りの部分は幅200μm×奥行200μmである。これによって、先行のチャネルよりも端部流体抵抗が確実に低くなる。この構成は静的なインキュベーションで適切な流体性能を保証する。図6の説明に関連して上述したように、出口から液体を逆に戻すように、吸収パッドの連続動作が液体を引き戻すことが好ましい。図8に示す構成によれば、液柱前端(出口に近い側)の流体抵抗が液柱後端(貫通孔界面)の流体抵抗よりも低いため、液体が常に出口から逆に「戻る」。
【0041】
図8Bに示すものと同様の作用を達成することができる他の好ましい実施態様では、強調した開始部分はマイクロチャネルの残りの部分と比較して断面の寸法が異なっている。マイクロチャネルの開始部分は、残りのマイクロチャネルの残りの部分と比較して少なくとも1の小さい寸法を有している。例えば、開始部分は幅100μm×奥行200μmであり、一方で、残りのマイクロチャネルは幅200μm×奥行200μmである。これにより開始部分は残りの部分よりも確実に流体抵抗が高くなる。これによっても、液体が常に逆に戻ることを、すなわち液体が入口から離れてチャネル内に回収されるよりもむしろ出口から離れていくことを保証している。更に、マイクロチャネルの開始部分に高い抵抗を使用することも、連続フロー又は貫流モードでの流体制御に有利である。図9とそれに関連する表に示すように、マイクロチャネル内の流速はマイクロチャネルの寸法に高く依存している。貫流モードは(1)再現性能を保証する流速の正確な制御と(2)液体中の生体化合物のチャネル壁のリガンドへの吸着/結合を最大限確実にするために、チャネルを通る液流の滞留時間を十分にするように低い流速で流す能力とを必要とする。図9とそれに関連する表に示す様々な寸法に示すように、低い流速で流す能力とを必要とする。図9とそれに関連する表に示す様々な寸法に示すように、これらの実施態様の組み合わせを使用して追加の構成を柔軟にすることもできる。
【0042】
代替的な構成が図12に示されており、ここではウェル構造とマイクロチャネル構造は2つの異なる基材上に規定されている。この構成では、マイクロチャネルが基材の2つの面に規定されており、一方の面上の壁領域に対応し、逆もそのようになっている。これによりウェル底面の水平方向の外形に無駄な空間がなくなり、より高いアッセイ信号を生成できる。
【0043】
前述の説明のように、従来の尺度分析チャンバのマイクロチャネルの利点は、チャネル内の高い体積対面積比にある。これは、更にこの技術分野で周知である様々な技術を使用して更に拡大することができる。このような方法が図10Aに示されており、チャネルにはビーズのアレイが詰められている。2、3例を挙げると磁性、非磁性ビーズ、ポリマービーズ、シリカビーズ、ガラスビーズなどの多様なビーズを使用することができる。代替的に、チャネルは自己集合又は他の適切な集合方法を使用して作ったモノリシックポリマーコラムを有してもいてもよい。これらの全ての方法、及び当該技術分野で周知であるその他の方法は、マイクロチャネル内部の正味の表面積を著しく増加させることができ、マイクロチャネル装置よりも更に早い反応時間にする。後述するようにビーズの使用は装置の制御を、より柔軟性のあるものにできる。ビーズ(ポリマー又は別のもの)を使用する場合、これらはウェルの底で適切なサイズの穴に直接分配される。チャネルの寸法は、ビーズがチャネルを自由に通るように選択される。次いで、ビーズは、更なるビーズの動きを妨げる吸着パッドに到着するまで出口への全ての経路を流れ続ける。この段階では必要があれば、ビーズをけん濁させている溶液の残渣を除去するために吸着パッドを交換してもよい。更なる工程は同じである。代替的に、ビーズは自己集合方法又はスラリー充填方法を使用して、詰めるようにしてもよい。
【0044】
特に好ましい態様では、ビーズはUltralink Biosupport(商標)寒天ゲルビーズである。これらのビーズはビーズの表面領域を拡大する多孔性の表面領域を提供している。更に、ビーズは捕獲抗体のような生体化合物の共有結合に適している。表面に高濃度で結合し捕獲抗体がビーズ表面に結合した後、ビーズ表面の残りの部分は効率的に不動態化して非特異適吸着を最小限にする。通常、Ultralink Biosupport(商標)は、高速蛋白質液体クロマトグラフィー(FPLC)等の親和性液体カラムクロマトグラフィーに使用されており、微小流体チャネルでこれを使用することで感度を途方もなく高めることができる。FPLCのアプリケーションでは、ビーズは捕獲体の共有結合と試験管等の液体溶液器の中でのつづく不動態化によって「調整」され、次いでFPLCカラムにビーズを充填する。微小流体マイクロプレートに、同様の方法を用いることができ、代替的に、これらの工程をまずビーズを適当な設計の形状で捕捉し、次に結合化合物と不動態化溶液を連続して追加することにより実行できる。これは、予めビーズを充填した「通常」のマイクロプレートの提供に高い柔軟性を提供し、エンドユーザーが所望の化学的性質をビーズに結合するのを可能にする。
【0045】
図10Aに示す実施態様は、極めて高い感度を要するアプリケーションに特に適している。図10Bにはマイクロビーズを使用した代替態様を示している。図10Bに示すように、ビーズはウェルをチャネルに結合している貫通孔においてのみ捕捉されている。実際、チャネル寸法はチャネルが捕捉する形状としての役割を果たし、チャネルにビーズが入ることができない狭い寸法に設計されている。本実施態様では、小ビーズを充填したカラムが「反応チャンバ」であり、この微小流体チャネルは、ビーズカラムの底から出口に液体を輸送する役割を果たすのみであり、結果的に直線部分のみである。Ultralink Biosupport(商標)ビーズの極めて高い結合能力を使用することで、図10Bに図解されている非常に小さな「ビーズカラム」を使用しても免疫測定アプリケーションに適した感度にできる。この実施態様は384ウェル及び1536ウェル構成のような高密度のマイクロプレートに特に適している。
【0046】
上述したように、ビーズ(Ultraink Biosupport(商標)又は他のビーズ)を使用する方法はビーズを所望の薬剤で被覆し、チャネル(又は貫通孔)に充填することである。この方法には、マイクロプレートを被覆した捕獲分子に反応する抗原に制限する。同時に、「予め被覆する」ことはビーズ表面を親水性にしてビーズ充填カラムに毛管流を生じさせる。未被覆ビーズを使用している「通常」のマイクロプレートでは、毛管力は完全に阻害しないとしても未被覆/非不動態化ビーズの疎水性表面が低下する。この問題を回避するために、処理済みと未処理のビーズを使用する。例えば、ビーズを充填用に調整する際(製造設備内で)、未処理(疎水性)と不動態化(表面を親水性にした)したビーズを適切な比率で混合し、チャネル又は貫通孔に充填する。これにより、充填したビーズカラムは少なくなった結合部分(不動態化ビーズ上の)を犠牲にして、毛管作用を支援できる。結合部位の減少にかかわらず、結合部位の正味数はマイクロチャネルの壁上のみの結合部位よりも大幅に多い。
【0047】
本発明は、アッセイ分析のみに限定されない。例えば、図11に示す構成は、細胞ベースの分析に使用できる。チャネル内の柱列は、細胞をウェルから輸送し、正確に規定された場所で捕らえてチャネル内で捕捉することができる。その後、細胞を様々な化学物質に暴露し、所定の細胞機能についてのこのような化学物質に対するの効果を研究する。所定の場合、反応は細胞から放出された化学物質の形であってもよい。この場合、分析手順は、細胞溶液を添加した後、刺激化学物質の添加前に吸収パッドを新しいパッドに交換する。したがって、細胞から放出された化学物質は吸収パッド中に回収して、更に分析できる。その他の実施態様では、マイクロチャネルの表面を、細胞が確実に接着できるように壁を適切に処理してよい。この実施例では、まず細胞を播種し、マイクロチャネル内で培養し、次いで試験化合物に暴露する。
【0048】
本発明の全ての実施態様では、吸収パッドは全ての流体を操作する工程において共通であり、各溶液の操作工程後又は、選択した工程の一式の後に交換するように設計してよい。更に、吸収パッドは最後の流体処理工程の後に取り外してよく、微小流体マイクロプレートに埋めたままでもよい。好ましい実施態様では、吸収パッドはマイクロチャネル及び/又はウェル構造に重複しないように構成する。これにより、吸収パッドを取り外すことなく分析シグナルを検出する光学的に透明な光路を確保する。図13は、このような実施態様を示しており、独特な吸収パッドが各ウェル+チャネル構造と共に使用されている。又、図13に示すように、吸収パッドはマイクロプレート上に位置してもよく、又は、分離層上に位置してもよい。後者の場合、適切な治具構成を使用して微小流体マイクロプレートを吸収パッドを保持している基材の上に配置する。当然、全ての場合、吸収パッドは微小流体マイクロプレートの全てのウェルに共通する連続的なシートでもよい。
【0049】
完全に透明な構成で連続的な吸収パッドを使用することの潜在的な問題は、パッドが全ての試薬(透明な活性成分を含む)を吸収することである。次に、パッドに吸収された成分からの化学信号とマイクロチャネルからの光学信号を区別することができない。殆どの実施態様では、シールテープが透明線上の親水性接着剤として想定している。吸収パッドは連続的なシートである場合、シールテープは親水性接着剤が不透明ライナー上に被覆されるように選択してよい。テープをパンチカットして上述のものと同様に、出口を作る。マイクロチャネルの端部と出口孔は、ウェルとらせん状マイクロチャネルパターンが垂直窓部分から離れて位置している。不透明テープライナーのこの構成は、パッドの「窓」のみがシールフィルムがパンチカットされ観察窓から離れているため、光学クロストーク効果が生ずることなく連続する吸収パッドシートを使用することができる。微小流体マイクロプレートは、「上面測定」モードに限定されるが;しかし、パッドはマイクロプレートの一部として一体化させるホルダーの必要性をなくすことができる。この構成は、例えば手動で使用するアプリケーションにより部分的に決まり。取り外し可能なパッドは計測前にオペレーターによって簡単に取り外すことができ、一方で自動装置を用いたハイスループットスクリーニング用には現在の機器に互換性のある一体化したパッドを有することが好ましい。
【0050】
図5に示すように、ウェルの底の貫通孔からマイクロチャネルへの急激な変化は、液柱の表面張力の急激な変化を引き起こし、界面で流れを停止させる。同様の状況が図14Aに示す出口の端でも生じる。図14Bに示すように、吸収パッドを圧縮する追加的なベース層の使用により、比較的柔軟な吸収パッドがシーリングフィルムに作られた空洞内へ膨隆する。膨隆は、更にマイクロチャネルが出口孔と干渉しているマイクロチャネル断面に直接的に接触する。これによって吸収パッドが常に液体と確実に「接触」する。代替的に、図14Cに示すように、マイクロチャネルの端部の排出部分に突出構造を成形してよい。この突出構造(基材から離れた)は、その平坦表面がシーリングテープ(基材表面から離れた)の表面におおよそ整列するように設計されており、これによって転移効果を最小限にしている。図14Cは、突出構造の作成に使用することができる形状の範囲を示している。
【0051】
図15は別の実施態様を示しており、ここでは吸収パッドがストリップとして設計されており、さらに吸収パッドの一ストリップがウェル+チャネル構造の列(又は行)に共通している。図16は、更に他の実施態様を示しており、ここでは吸収パッドのストリップが「上部」から、すなわちマイクロチャネルに対向する面に位置している。従って、本発明の精神から離れることなく吸収パッドの配置に多様なデザインを使用することができる。
【0052】
たやすく理解できるように、マイクロチャネルによって与えられる力より強い毛管力を発揮する任意の材料を吸収パッドに好適に使用できる。フィルター紙、無菌室ティシュ等の多様な材料が、容易に明白な例である。他の秘伝の吸収「パッド」は、例えばウェル構造中のミクロンサイズのシリカビーズといった濃密な配置を含む。これらは、極めて強い毛管力を発揮し、全ては本発明の内の吸収パッドとして想定内にある。
【0053】
実際に、マイクロチャネル自体をキャピラリポンプと廃水リザーバとして用いた構成を図17に示す。図17に示すように、96ウェル配置の少ないウェルが「機能的」になるようにアーキテクチャを変更している。各ウェルは貫通孔を通じてマイクロチャネルに連結している。この実施態様は、マイクロチャネルは「機能的」チャネルと「汚水」チャネルの2つの領域に分けられている。汚水チャネルは複数ステップの分析手順の間に添加する全ての液体を収納するように設計されている。第1の液体を添加すると、この液体がチャネルの初期「機能的」部分を貫流し、チャネル壁で上述した分析反応が生じる。その後、第1の液体が連続するマイクロチャネルの「汚水」部分に到達する。親水性テープは毛管力を発揮し続け、ウェルの外へ液体を引き抜くように連結する。チャネルの「汚水」部分の広範な断面積を使用することで、「汚水」チャネルにおける毛管力が貫通孔における毛管力より弱くなる。これによってマイクロチャネル界面は、第1の液体がウェルから引き抜かれたときに流れを停止させる。ウェルに第2の液を添加すると、貫通孔の底の毛管バリアがなくなり、第2の液体がウェルから引き抜かれるまで流れが再開する。この構成により吸収パッドを必要としない完全一体型の装置構成にすることができる。更に、この実施態様では、「機能」チャネル部分と「汚水」チャネル部分の寸法の違いによって流れが自動的に制御されるので、通気孔も要しない。この実施態様は、使用する部品の数を最小化することで、より高い信頼性が得られる。更に、別の実施態様では、汚水チャネルはマイクロプレートを形成する基材層に延在する貫通孔(「上方」を向いている)のみである。この適度に厚い基材層は厚さが統一されておらず、「汚水ウェル」の十分な液体の貯留を可能にする。この実施態様は、ウェルの数を犠牲にすることなく微小流体キャピラリポンプの概念に使用できる。
【0054】
ここまで、微小流体チャネルとウェルは96ウェルプレートの外形に適合する外形を規定する同一構造の一部として記載されている(図12に示した実施態様を除いて、ウェルはマイクロプレートの一部である)。図18に示す実施態様の使用はより有利である。図18に示すように微小流体挿入プレートは周囲の囲いと共に使用されており、この囲いは従来のマイクロプレートの形状と外形(外周囲に沿って)を規定しており、マイクロプレート挿入構造は、ウェル構造とマイクロチャネル構造を有している。この2つのパーツは微小流体挿入プレートを囲いから取り外すことができるように設計されている。図18には、この使用が説明されており、ウェルが上向きである一方向において装置を分析の流体手順に使用し、微小流体挿入プレートのマイクロチャネル部分が上向きである別の方向においては、装置は分析の分析検出手順に使用されている。微小流体挿入プレートをマイクロチャネルを光検出器を同じ焦点面に確実に配置することでマイクロチャネルからの最良の光学信号を保証する最適な高さに微小流体挿入プレートが位置するように囲いを設計してよい。この実施態様は、蛍光検出に特に適しており指向性ビームを使用して蛍光を生じさせる。化学発光アプリケーションには図19に示す実施態様がより適切である。この実施態様では、追加のプレートが反転した微小流体挿入プレートの上に位置している。この追加プレートは、微小流体挿入プレートの領域に開口を具えており、ここにマイクロチャネルが位置し、一方で、これら開口を形成する構造体の壁は不透明である。これにより、「光学的クローストーク」効果が著しく減少して一の反応チャンバからの信号が複数の光検出器に達する。図18の実施態様は、回転後に上面計測型のマイクロプレートリーダーでチャネル側を測定できる不透明材料を伴う使用にも適切である。別の代替的実施態様では、図12の装置は、「ウェル」部分が不透明材料で作られており、一方で「チャネル」部分は透明材料でできるように形成してよい。更に図20に示す代替的な実施態様では、複数の微小流体挿入プレートを使用している。挿入体のアレイは〜25mm×〜75mmの標準的なガラススライドの外形などの特定の寸法で、例えば、同時に4挿入物を同時に操作できるように設計したマイクロプレート用の液体操作器具と各微小流体挿入体を別々に計測するスライドリーダーなどが選んで組み合わせる方式に設計できる。
【0055】
図21Aは、基材の反対面に完全に対向する1のマイクロチャネル構造と、マイクロプレートのその他のウェルが通常ある位置にある複数のウェルに単一の充填ウェルが連結している実施態様を示している。例えば図21Aに示すように、列4と列5のアレイは24のウェルの4つの反応チャンバに各々連結している。一つのアプリケーションでは、この装置を従来のマイクロプレートベースの分析で1サンプルにつき3回又はそれ以上の計測によって4つの反応チャンバの各々からの同一シグナルを用いて分析結果を検証する通常の分析に使用する。別の実施態様では、ビーズの使用により、装置の柔軟性を大きく高めている。例えば、共通の充填ウェルに充填した第1の液体はビーズ懸濁液を含んでおり、ビーズには特定の捕獲抗体が結合している。溶液1の容量は、ビーズを下流側の反応チャンバに充填したとき(前述した吸収パッドによるパック)ビーズのみが特定のマイクロチャネル構造を満たすように設計する。別の抗体に結合しているビーズを含む第2ビーズ溶液2を追加できる。次いで、これらは最も下流側の反応チャンバから2番目のチャンバを充填する。従って、各反応チャンバは、分析操作の間、共通のサンプル源から異なる分析物を検出するように構成することができる。選択的に、様々な捕獲抗体の列をスクリーニングして、共通の分析物又はその他に対する感度を検査する。このような試験をこの構成を用いて実行することができる。充填ウェルに直列した各反応チャンバが分析特性の違いを保証する異なる物理的構造を有するようにこの構成を改変してもよい。
【0056】
図21Bは本発明の別の実施態様を示しており、ここでは充填ウェルと微小流体チャネルが、鉛直面に沿って切り離されている。図21Bに示すように円柱構造の形状のより簡便(及び高容量)なウェル構造は、一方の側部で微小流体チャネルの一端に連結して使用できる。次に、この微小流体チャネルは、標準96ウェル配置の別のウェルの外形に位置するらせん状の(又は他の適切な形状)検出領域につながる。従って、この構成では「96ウェル」構成を48ウェル構成に減らしてずっと簡単な物理的構造になっている。更に、この構成では、らせん状微小流体チャネルの上の非常に薄いプラスチック材が反応チャンバとして働く。設計では貫通孔のある充填ウェル(先細の)はマイクロチャネルと視覚上同じ鉛直線上にあり;上記のマイクロチャネルのプラスチックの厚さは相当であり、非均一である。特に、蛍光ベースの検出アプリケーションでは自発蛍光がプラスチック材の厚さと部分的に関連しているので、このことがプラスチック材自体からの自発蛍光を増加させる。図21Bの構成では、微小流体反応チャンバの上部を非常に薄い(〜250乃至500μm)プラスチック材にでき、プラスチック材自体からの自発蛍光によるバックグラウンド信号を最小化できる。
【0057】
図21Cと図21Dは特に半自動操作に適した微小流体マイクロプレートの実施態様である。
【0058】
図21Cは本発明の一実施態様を示しており、ここでは簡略化した充填ウェルの列が1の反応チャンバに連結している。概略図は、3つの充填ウェルが1つの反応チャンバに連結している場合を示しており、この構成により、単一の反応チャンバにつながる多数の充填ウェルにすることができることが容易に理解できる。図21Cのインサートに示すように、第1簡略化充填ウェルの後の簡略化充填ウェルも微小流体チャネルに連結する特殊形状を使用している。第1の簡略化充填ウェルを先頭とする連結チャネルは緩やかに先細になり充填ウェルに連結している。マイクロチャネルの一部が充填ウェルに連結するように、残りの2つのウェルの連結チャネルは充填ウェルの底に巻きついている。この形状は、充填ウェルに2重の目的を与えている;すなわち充填ウェルと通気孔とである。操作中は、3充填ウェルは、全てがマルチチャネルピペットを使用して同時に液体を満たす。上記に概説した全ての変形例が等しく効果的こ作用することを踏まえて、疎水性基材と親水性シーリングテープを仮定すると、3つの液体をウェルに充填すると、これらの液体は底部(シーリングテープ)に接触し、親水性力が液体をチャネルに引き込みはじめる。この記載では、ウェル1が反応チャンバに最も近くウェル2は2番目に上流のウェルである。ウェル1中の液体は反応チャンバに向かい、吸収パッドの下流に向かう遮るものがない流路を有しており、ウェル1からの液体は直ちににチャンバに向かって流れる。ウェル2に向かう液体の戻り流は介在する空気(チャネル中の)を逃がす場所がないため妨害される。同様にウェル2からの液体は空気逃路がないため、どちらの方向へも移動できない。従って、ウェル1以外の全てのウェルの液体は適所で「捕捉」される。液体が完全にウェル1から出ると、ウェル2からの液体は移動を開始できる。ウェル2の液体の前にある空気は、ここで空になったウェル1から逃れ得る。チャネルは連続部分であり、全てのポイントが親水性表面(テープ)で連結しているため、ウェル2からの液体がウェル1の辺縁に横断するとウェル2からの液体が反応チャンバを貫流して空になるまで流れ続ける。これらの全ての場合、反応チャンバに狭い寸法が使用されておりウェルの内容物が完全に空になることを保証することに留意すべきである。この流れの事象の順番は、連続するウェル(ウェル3、ウェル4...)へ続き、次いで試薬が反応チャンバを通って移動する。充分な量(表面結合反応を完全にするため)の液体を確保することで、全ての分析手順を、ただ一回の充填ステップで完了できる。この実施態様は2つの異なる利益を与えている:(a)分析手順を行うのに必要な労務を著しく減らし、(b)全ての流体シーケンスが「自動的」に調整されているので非常に反復性の高い結果になる。追加の液体は2つの方法で収納することができる。(a)追加のウェルを直列に連結させる(例えば、反応チャンバへ注入すべき5つの連続する試薬とサンプル用の6つの充填ウェルを有する)又は(b)充填手順を反復する(例えば、まず試薬1、2及びサンプルを注入し、3つ全てが反応チャンバに移動した後に試薬を3、4及び5に同時に添加する)。
【0059】
図21Dは、本発明に係る「半自動」微小流体マイクロプレートの実施態様の様々な変形例を示している。この実施態様では、共通の合流チャネルに連結されたチャネルに各ウェルから液体が流れる。図21Cとの主要な構成の違いは、合流チャネルにつながる各マイクロチャネルの長さ(つまり容積)が著しく異なることである。ここでも上述の実施例と同じ命名規則を使用する。ウェル1は反応チャンバまで非常に短い経路長を有しており、一方でウェル2は少なくとも10倍等の経路長を有している。この構成では、それぞれのウェルに全ての液体を同時にピペットするため、全てのチャネルで同時に流れが開始する。初めに液体1(ウェル1からの)が反応チャンバに到達し、反応チャンバには、この液体のみがある。その後、液体2(ウェル2からの)が合流チャネルに到達し、液体1と液体2の混合液が反応チャンバに流れ込む。各ウェルの量は少量の反応液が反応チャンバを通過した後、ウェル1が完全に空になるように設計できる。その後、液体2が単独で液体3(ウェル3からの)が合流チャネルに到達するまで反応チャンバに流れ続ける。この実施態様は反応チャンバに充填する前に2つの試薬を混合すべきときに特に有用である。実施例は競合イムノアッセイ等の標識化した抗原とサンプル抗原の混合物といった二成分の化学発光基質を含むがこれらに限定されない。更に、流体手順は、3つ(又はそれ以上)の試薬の混合物が望ましい間隔で反応チャンバを通過するように設計することもできる。
【0060】
図22は、更に別の実施態様を示している。本発明の本実施態様は、長いインターバルに低流速が望まれているアプリケーションに非常に適しており、マイクロプレートを特殊な固定台に装着している。固定具はエアポンプに連結しており、室温又は高温で吸収パッドの下側を通る固定具を通して空気を汲み出すことができる。流れのシーケンスは、長期間にわたり、低く一定の流量が望まれているステップの前に、吸収パッドをそれ以上吸収できないように大量の液体を加えて完全に飽和させるように設計されている。次いで所望の液体をウェルに添加し、ウェルの上部をシールして各ウェルのシールに小さな通気孔構造で蒸発損失を防ぐ。更に、パッドからの液体の蒸発損失が起こる固定具において空気流を開始する。パッドが液量を失うので、長期間低定流で更なる液量がウェルから汲み出される。吸収パッドは各ウェルに共通するパッド又は各ウェルごとに別のパッドでもよい。この実施態様は、細胞の生残率を維持するのに低底流の培養液を必要とする細胞増殖の研究などのアプリケーションに適している。
【0061】
上述した「一体型」の実施態様は、透明基材上に製造すると、光学的に透明なウェル間の光学クロストークにより化学発光に基づいた検出に不適切である。蛍光ベースの検出では、光学シグナルは蛍光体を伴うマイクロチャネルが蛍光体を伴う励起したときのみに生成され、励起源を取り除くと光学シグナルはほとんど即座にゼロになる。化学的発光の場合、チャネルに基質を添加すると、各マイクロチャネルユニットは連続的にシグナルを発する。従って、検出器が所定のウェルの下にあるチャネルを「計測」する際、隣接チャネルからの迷光も拾ってしまい、この「クロストーク」が測定において許容できないエラーを引き起こす。いくつかの実施態様で記載したように不透明基材を使用した場合、この実施態様は化学発光ベースの検出には適しているが、底面計測モード又はチャネルを有する側を上にする回転が必要となる。ほとんどの光測定装置は上面モード計測用に設計されているし、回転させるステップは自動化に適していない。
【0062】
図23は、化学発光に基づいた検出アプリケーションに特に適した本発明の微小流体マイクロプレートの実施態様を示している。図23の実施態様、ツーピース構成を使用しており不透明なツーピースで微小流体マイクロプレートの「セル」である各ウェル+貫通孔+チャネルを完全に取り囲んでいる。この構成により各セルは、ほぼ完全に他のセルから分離され、連続するテープを使用した場合、この光路のみがシーリングテープを通る。他の実施態様では、各セルも個別にシールされており、このセルは他のセルから完全に独立している。図23の実施態様では、微小流体マイクロプレートのセル間のクロストークを著しく最小限にし、信頼性の高い化学発光ベースの検出を可能にしている。
【0063】
図24はベッドサイドテスト(point−of−care tests(POCT))に特に適した実施態様を示している。これは、単にマイクロプレートの構成を減らしたバージョンであり完全に手動のベッドサイド(POC)分析システムに使用できる。図24Aは、充填/検出構造の数を減らした以外は前述した方法と同じであり、一方、図24Bは代替的な実施態様を示しており、ここではマイクロチャネル構造が、充填ウェルと視覚的に同一の鉛直線上にない。図21Cと図21Dに示して、前述した「半自動」微小流体マイクロプレートの設計は半自動POCTによく適している。
【0064】
図25は、本発明に従って作成したOptimiser(商標)マイクロプレートであり、従来の96ウェルの外形とウェル配置を有しており、図26は微小流体マイクロプレートの他の実施態様である。図27は、微小流体マイクロプレートの比較データを示しており、化学発光ベース分析を使用した微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートの比較データを示しており、微小流体マイクロプレートにおける試料/試薬の節約と速度に関する利点がはっきり強調されている。
1)従来の96ウェルを用いたIL−6分析
・抗IL−6捕獲抗体(100μl、2μg/ml)を添加し、37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)(T20−>Tween20界面活性剤);各工程に300μlの緩衝液
・ブロッキング、300μL、37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・連続濃度のIL−6抗原を100μL、37℃で1.5時間インキュベーシン
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・抗IL−6検出抗体、2μg/ml、100μL、37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・HRP標識抗IL−6抗検出抗体、5μg/mL、100μLを37℃で1.5時間インキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・50μLの化学発光基質を添加
・Biotek FLX−800蛍光リーダー蛍光検出器を使用して化学蛍光を検出
2)マイクロチャネル96ウェル
・抗IL−6捕獲抗体(7μl、2μg/ml)を添加して、室温で5分間インキュベーション(〜23℃)
・ブロッキング、7μL、室温で5分
・IL−6抗原、連続濃度、30μL(又は100μl)、室温で5分
・抗IL−6検出抗体、2μg/mL、7μL、室温で5分インキュベーション
・HRP標識抗IL−6抗検出抗体、5μg/mL、7μL、室温で5分
・洗浄(TBS−20、TBS);各ステップを20μlの洗浄緩衝液
・化学蛍光基質7μL
・Biotek FLX−800蛍光リーダーを使用した化学蛍光信号の検出
【0065】
図28は、化学発光ベースの分析を使用した本発明に係る微小流体マイクロプレートと従来のマイクロプレートの試験データを示している。微小流体マイクロプレートは、前述した化学発光の光学「クロストーク」を防ぐために分析を1回に1ウェル(すなわち、本実験においては1ウェルのみを1回行った)で行ったことに留意されたい。
3)従来の96ウェル:
・捕獲ミオグロビン抗体、1μg/mL、100μL、37℃で1.5時間のインキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・ブロッキング、300μL、37℃で1.5時間
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・連続濃度のミオグロビン抗原、100μL、37℃で1.5時間のインキュベーション
・洗浄(TBS−T20で3回、TBSで2回)
・AP結合検出ミオグロビン抗体、1μg/mL、100μL、37℃で1.5時間
・洗浄(TBS−T20 3回、TBS2回)
・50μLのAP基質
・Turner Biosystem GloRunnerルミノメーター を使用して、化学発光信号の検出
4)マイクロチャネル96ウェル
・捕獲ミオグロビン抗体、20μg/mL、5μL、室温(23℃)で5分インキュベート
・ブロッキング、10μL、室温で5分
・ミオグロビン抗原、連続濃度、室温(23℃)で5分インキュベーション
・AP結合ミオグロビン抗体、20μg/mL、5μL、室温(23℃)で5分間のインキュベーション
・洗浄:TBS−T20、30μL、2回、TBS、30μL、1回
・5μLのAP基質
・Biosystem GloRunnerルミノメーターを使用して、化学発光信号を検出
【0066】
予想どおり、基質量の低下により本発明のマイクロプレートからの絶対的なシグナルが低下した。図28に示すように、より重要なことはデータ傾向は両プラットホームに類似していることであり、微小流体マイクロプレートは化学発光検出モードに実行可能な分析プラットホームであることを示している。明らかなことだが、微小流体マイクロプレートのマイクロチャネルに適切な距離で電極パターンのアレイを配置することで電気化学検出をする他の検出モダリティーも可能である。
【0067】
要約すると、本発明は、SBS/ANSIの基準に合致するプラットホームのウェルのアレイに微小流体チャネルを一体化させ単純な手段を有利に提供している。例えば、本発明は思いがけなく発見されたものであり後述する利点を提供して、通常のマイクロプレートにおきかえて多くのアプリケーションに使用できる。
【0068】
利点
1.μf96(又はOptimiser(商標))プレートは微小流体アプローチの迅速性と多用途性を確立されている96ウェルプラットホームを結び付けている。
2.ユーザーに関する限り、操作は従来の96ウェルプレートと全く同じであり、実際にはステップ数が少ない。
3.μf96プレート(又はOptimiser(商標))は、潜在的に試薬の消費量及び/又は必要なサンプル量を著しく減らす。比較的に多量なサンプルではサンプル量は0.4μl程度で十分である(50μmらせん状構成)。これは、例えば、イムノアッセイ法の抗体といった少ない試薬量で使用する際にも重要である。
4.μf96プレート(又はOptimiser(商標))は、イムノアッセイ等のアプリケーションでは従来の96ウェルプレートよりも著しく速い。96アッセイを全セット完了するのに通常の96ウェルプレートは数時間かかるのに対して5乃至30分でできる可能性がある。
5.μf96プレート(又はOptimiser(商標))のコストは、同様に単一の鋳型を使用するため従来のマイクロプレートのコストは比較することができる。(a)一方の側の微細加工した種型により若干のコストが追加されるが、(b)少ない試薬消費量と速い分析時間によってパッド層が申し分なく相殺される。
6.基本的なアプローチは非常に多彩であり、実験室の設定だけでなくベッドサイド試験装置における幅広いアプリケーションに役に立つ。
7.流れは形状と材料の効率のみで支配されるため、オペレータのエラーが減少して再現性が高まる。
8.96ウェルと、同様に、μf96(又はOptimiser(商標))プレートの操作は完全に自動化できる。実際μf96(又はOptimiser(商標))はプレート操作とロボット型試薬分配システムのみを必要とする。(i)プレート操作システム;(ii)ロボット型試薬分配システム;(iii)インキュベーションシステム(長時間のインキュベーションによる);及び(iv)プレート洗浄システムを必要とする96ウェルプレートと比較すると、完全自動化のための機器の負荷が少ない。
【0069】
本発明の追加的な実施形態並びに、特徴、利益及び利点は、本発明の好ましい実施形態の前述の説明を考慮すれば当業者には自明である。したがって、本発明は、いかなる方法であっても前述のような好ましい実施態様に限定して構成されているものと解釈すべきでなく、同時に、本明細書に明確に記載した様々な変更及び修正を本発明に加えることができ、このような全ての変更及び修正は本発明の範囲内にあることを意図している。この制限は添付の特許請求の範囲によって定義されているものとして解釈すべきである
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析を行う複数のウェルを有する微小流体マイクロプレートにおいて、微小流体の流体チャネルが当該マイクロプレートに一体化されていることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロプレートにおいて、前記流体チャネルが、少なくとも96ウェルを有するマイクロプレートに一体化されていることを特徴とするマイクロプレート。
【請求項3】
実質的に同一のセルを複数具える微小流体マイクロプレートにおいて、各セルは;
a.充填ウェルと;
b.前記充填ウェルの基部で一方の端部に充填ウェルと、他方の端部に微小流体チャネルを連結している貫通孔と;
c.一方の端部の前記貫通孔と、他方の端部の出口を連結する封入された微小流体チャネルであって、更に、前記微小流体チャネルの少なくとも一の壁が親水性の挙動を示し、前記微小流体チャネルの3つの壁が基材によって規定されて、前記微小流体チャネルの1の壁がシーリング手段によって規定されている微小流体チャネルと;
d.前記微小流体チャネルの出口に連結している吸収パッドと;
のそれぞれを少なくとも1つを具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項4】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記充填ウェルが、基本的に円形状であり、垂直な側壁を含む構造を具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項5】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記充填ウェルが、基本的に円形状であり、垂直な側壁と先細の側壁であって、当該先細の側壁上に前記垂直な側壁を有する先細の側壁とを含む構造を具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項6】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記充填ウェルが、基本的に円形状であり、先細の側壁のみを含む構造を具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項7】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記微小流体チャネルが、前記ウェルと前記貫通孔を収容している前記同一の基材に収容されていることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項8】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記微小流体チャネルが前記ウェルと前記貫通孔を収容している別の基材に収容されていることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項9】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記吸収パッド材が、前記微小流体チャネルよりも高い毛管力を示すことを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項10】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが、前記充填ウェル、前記貫通孔、及び前記微小流体チャネルを収容する実質的に1つの基材から成り、単一部分の外形がANSI/SBS規格のマイクロプレートに適合することを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項11】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが複数の基材から成り、この基材の少なくとも1つが前記充填ウェル、前記貫通孔、及び前記微小流体チャネルを収容する複ことを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項12】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが複数の基材から成り、この基材の少なくとも1つが前記充填ウェル、前記貫通孔、及び前記微小流体チャネルの少なくとも1つのセルを収容することを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項13】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが複数の基材から成り、基材のアレイが充填ウェル、貫通孔、及び微小流体チャネルを収容する1つのセルのみを具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項14】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記基材の少なくとも1つが光学的に透明な材料であり、前記基材の少なくとも1つが光学的に不透明な材料であることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項15】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記基材材料の少なくとも1つが熱可塑材料であることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項1】
分析を行う複数のウェルを有する微小流体マイクロプレートにおいて、微小流体の流体チャネルが当該マイクロプレートに一体化されていることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロプレートにおいて、前記流体チャネルが、少なくとも96ウェルを有するマイクロプレートに一体化されていることを特徴とするマイクロプレート。
【請求項3】
実質的に同一のセルを複数具える微小流体マイクロプレートにおいて、各セルは;
a.充填ウェルと;
b.前記充填ウェルの基部で一方の端部に充填ウェルと、他方の端部に微小流体チャネルを連結している貫通孔と;
c.一方の端部の前記貫通孔と、他方の端部の出口を連結する封入された微小流体チャネルであって、更に、前記微小流体チャネルの少なくとも一の壁が親水性の挙動を示し、前記微小流体チャネルの3つの壁が基材によって規定されて、前記微小流体チャネルの1の壁がシーリング手段によって規定されている微小流体チャネルと;
d.前記微小流体チャネルの出口に連結している吸収パッドと;
のそれぞれを少なくとも1つを具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項4】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記充填ウェルが、基本的に円形状であり、垂直な側壁を含む構造を具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項5】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記充填ウェルが、基本的に円形状であり、垂直な側壁と先細の側壁であって、当該先細の側壁上に前記垂直な側壁を有する先細の側壁とを含む構造を具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項6】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記充填ウェルが、基本的に円形状であり、先細の側壁のみを含む構造を具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項7】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記微小流体チャネルが、前記ウェルと前記貫通孔を収容している前記同一の基材に収容されていることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項8】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記微小流体チャネルが前記ウェルと前記貫通孔を収容している別の基材に収容されていることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項9】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記吸収パッド材が、前記微小流体チャネルよりも高い毛管力を示すことを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項10】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが、前記充填ウェル、前記貫通孔、及び前記微小流体チャネルを収容する実質的に1つの基材から成り、単一部分の外形がANSI/SBS規格のマイクロプレートに適合することを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項11】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが複数の基材から成り、この基材の少なくとも1つが前記充填ウェル、前記貫通孔、及び前記微小流体チャネルを収容する複ことを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項12】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが複数の基材から成り、この基材の少なくとも1つが前記充填ウェル、前記貫通孔、及び前記微小流体チャネルの少なくとも1つのセルを収容することを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項13】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記マイクロプレートが複数の基材から成り、基材のアレイが充填ウェル、貫通孔、及び微小流体チャネルを収容する1つのセルのみを具えることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項14】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記基材の少なくとも1つが光学的に透明な材料であり、前記基材の少なくとも1つが光学的に不透明な材料であることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【請求項15】
請求項3に記載の微小流体マイクロプレートにおいて、前記基材材料の少なくとも1つが熱可塑材料であることを特徴とする微小流体マイクロプレート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2012−533757(P2012−533757A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521715(P2012−521715)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042506
【国際公開番号】WO2011/011350
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512016009)シロアム バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SILOAM BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042506
【国際公開番号】WO2011/011350
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512016009)シロアム バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SILOAM BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】
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