説明

微小針を用いた薬物送達装置のための袋構成体

微小針を用いた薬物送達装置のために袋構成体を提供する。袋構成体には、内面、外面、および、外縁部を有する可撓性薄膜がある。袋部材は、可撓性薄膜よりも剛性があり、内面、外面、および、外縁部がある。可撓性薄膜の内面と袋部材の内面は、中に薬を入れるためのチャンバーを画定する。少なくとも1つの微小針が、袋部材に動作可能に連結されている。少なくとも1つの微小針は、入口部と、人の中に入れることができる出口部を有する。弁が少なくとも1つの微小針の入口部と、チャンバーとを動作可能に連結する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、薬物送達装置に関し、特に、人に製薬の定常注入物を送達することができる、微小針を用いた能動経皮薬物送達装置のための袋構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、製薬産業は、患者に製薬を与えるという難問の克服に関し、限られた成功しか収めていない。製薬の経口摂取が薬剤投与の最も安全で、最も便利で、かつ、最も経済的な方法であると考えられている。現在ある代替手段と比べると、製薬を経口で与える場合は、投薬計画を患者が一般的によく受け入れ、守る。しかしながら、多くの製薬は、製薬の分子が大きすぎたり、帯電しすぎたりしていて、小腸を通過して血流に到達することができないために、経口で与えることができない。さらに、消化管の環境に耐えることができない、または、真皮を浸透できない多くの製薬は、患者に注射する必要がある(たとえば、インシュリン、プロテイン)。後述するように、患者に製薬を注射することには、特定の欠点がある。
【0003】
たとえば、インシュリンは、代謝の疾患である糖尿病の治療によく利用される。人が食べた食物の大部分は、体内で、血中の糖の一種であるグルコースに分解される。グルコースは、体にとっての燃料の主な源である。消化された後、グルコースは血流に入り、そこで細胞の成長とエネルギーに利用される。グルコースが細胞に入るためには、インシュリンがなければならない。インシュリンは、グルコースを血液から私たちの細胞に移すために、健康な膵臓によって自動的に生成されるホルモンである。しかし、糖尿病の人々では、膵臓がインシュリンをほとんど、若しくは、まったく生成せず、または、細胞が生成されたインシュリンに適切に反応しないのである。結果として、グルコースが血中に溜まり、溢れて尿に入り、体から排出される。結局、体は、血液に多量のグルコースがあるにもかかわらず、その燃料の主な源を失うのである。
【0004】
体内にあるグルコースを利用するためには、糖尿病患者は、インシュリン注射を毎日しなければならない。人がとるインシュリンの量は、その人の食べ物の摂取量および日常の活動とバランスさせなければならない。したがって、血糖を頻繁に検査することによって、血糖値をしっかりと監視し、血糖値が低くなりすぎたり、高くなりすぎたりしないことを保証しなければならない。特定の糖尿病薬のために血糖値が下がりすぎた場合(低血糖症として知られている状態である)、人は神経質になったり、震えるようになったり、混乱したりすることがある。血糖が下がると、判断力が悪くなることがあり、人は気を失うかもしれない。あるいは、血糖値が上がりすぎた場合にも、これは高血糖症として知られている状態であるが、人は病気になることがある。毎日インシュリンを注射することは大変に不便であるが、糖尿病患者が生き残るためには必要なことである。
【0005】
糖尿病がある大部分の人々は、インシュリンの準備と注射の適切なやり方を習った後、自分自身のインシュリンを投与する。インシュリン投与の目標は、人が消費する食べ物(特に炭水化物)の量を取り扱うのに十分なインシュリンを与えて、血糖値が昼夜を通じて正常値を維持するようにすることである。使用するインシュリンの種類、その人のサイズ、食事を食べた量、種類、および、時間、ならびに、その人の活動および運動パターンなどのさまざまな要因が人に必要なインシュリンの量に影響することが、理解することができる。血糖値を絶えず監視し、何回も必要な注射を繰り返して行うことは、ひたすら我慢をしなければならない。したがって、必要なときに人に製薬を安定に注入する自律的注入システムがあれば、当該技術において著しい進歩となる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の第1の目的および特徴は、必要なときに人に製薬の定常注入物を送達することができる、微小針を用いた能動経皮薬物送達装置のための袋構成体を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的および特徴は、簡単に利用でき、かつ、安価に製造できる、人に製薬の注入物を送達することができる微小流体用の薬物送達装置のための袋構成体を提供することである。
【0008】
本発明によれば、袋構成体が微小流体用の薬物伝達装置のために提供される。袋構成体には、内面および外面を有する第1の可撓性薄膜がある。硬質袋部材には、内面および外面がある。第1の可撓性薄膜の内面および硬質袋部材の内面は、中に薬を入れるためのチャンバーを画定する。袋構成体には、さらに、少なくとも1つの微小針と、少なくとも1つの微小針を硬質袋部材に動作可能に連結している弁構成体とがある。弁構成体は、少なくとも1つの微小針がチャンバー内の薬から流体に関して隔離されている第1の形状構成、および、少なくとも1つの微小針がチャンバー内の薬と流体に関してつながっている第2の形状構成を有する。
【0009】
第1の可撓性薄膜は外縁部を有し、硬質袋部材は外縁部を有する。第1の可撓性薄膜の外縁部と硬質袋部材の外縁部は、気密に締められた密封部を形成するように接合されている。少なくとも1つの微小針が微小針列の内の1つであることも考えられている。硬質袋物質には、薬をチャンバーに注入可能にする、硬質袋物質を貫通する開口部がある。薬をチャンバー内に維持するために、プラグを硬質袋物質の開口部に入れることができる。弁構成体には、逆止弁があってもよい。逆止弁は、チャンバーから少なくとも1つの微小針への第1の方向に薬が流れることを可能にし、少なくとも1つの微小針からチャンバーへの第2の方向に流体が流れることを防止する。
【0010】
本発明の別の態様によれば、袋構成体が微小流体用の薬物伝達装置のために提供される。袋構成体には、内面、外面、および外縁部を有する可撓性薄膜がある。硬質袋部材には、内面、外面、および、可撓性薄膜の外縁部に接合された外縁部がある。可撓性薄膜の内面および硬質袋部材の内面は、中に薬を入れるためのチャンバーを画定している。少なくとも1つの微小針が硬質袋部材に動作可能に連結されている。弁構成体がチャンバーから少なくとも1つの微小針への薬の流れを制御する。
【0011】
可撓性薄膜の外縁部と硬質袋部材の外縁部は、気密な密封部を形成するように接合されている。少なくとも1つの微小針が微小針列の内の1つであることも考えられている。硬質袋部材には、薬をチャンバーに注入可能にする、硬質袋部材を貫通する開口部があり、また、袋構成体は、薬をチャンバー内に維持するために、硬質袋物質の開口部に入れることができるプラグをさらに備えている。弁構成体には逆止弁がある。逆止弁は、チャンバーから少なくとも1つの微小針への第1の方向に薬が流れることを可能にし、少なくとも1つの微小針からチャンバーへの第2の方向に流体が流れることを防止する。薬をチャンバーから少なくとも1つの微小針へ移動させるために、圧力源が可撓性部材と係合可能である。圧力源は、膨張可能なヒドロゲルを含んでいる。ヒドロゲルは、膨張したときに、可撓性部材に圧力を加える。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、袋構成体が微小流体用の薬物伝達装置のために提供される。袋構成体には、内面、外面、および外縁部を有する可撓性薄膜がある。硬質袋部材には、内面、外面、および、外縁部がある。可撓性薄膜の内面および硬質袋部材の内面は、中に薬を入れるためのチャンバーを画定する。少なくとも1つの微小針が硬質袋部材に動作可能に連結されている。少なくとも1つの微小針は、入口部と、人の中に入れることができる出口部を有する。弁が少なくとも1つの微小針の入口部およびチャンバーを動作可能に連結している。
【0013】
圧力源が薬をチャンバーから少なくとも1つの微小針を通して移動させるために可撓性薄膜と係合可能である。可撓性薄膜の外縁部と硬質袋部材の外縁部が気密に締められた密封部を形成するように接合されている。少なくとも1つの微小針は、微小針列の内の1つであり、硬質袋物質には、薬をチャンバーに注入可能にする、硬質袋物質を貫通する開口部があってもよい。薬をチャンバー内に維持するために、硬質袋部材の開口部にプラグを入れることができる。弁が逆止弁であることが考えられている。逆止弁は、チャンバーから少なくとも1つの微小針への第1の方向に薬が流れることを可能にし、少なくとも1つの微小針からチャンバーへの第2の方向に流体が流れることを防止する。少なくとも1つの微小針を支持するためにドッキング・ステーションを使用することであってもよい。ドッキング・ステーションは、硬質袋部材に取り外し可能に連結されている。
【0014】
本明細書に添付の図面は、本発明の好ましい構造を図示するものであり、上記の利点および特徴の他に、図示の実施形態についての以下の説明から容易に理解される他の利点および特徴が明確に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による袋構成体を組み入れた薬物送達装置の等角図である。
【図2】図1の線2−2に沿ってとった、非作動位置にある微小流体用装置の断面の模式的な等角図である。
【図3】非作動位置にある図2の微小流体用装置の模式的な断面図である。
【図4】第1作動位置にある微小流体用装置を示す、図2と同様な断面の模式的な等角図である。
【図5】第1作動位置にある図4の微小流体用装置の模式的な断面図である。
【図6】第2作動位置にある微小流体用装置を示す、図2と同様な断面の模式的な等角図である。
【図7】第2作動位置にある図6の微小流体用装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、本発明による袋構成体が組み込まれた微小流体用装置が符号10で示されている。微小流体用装置10には、本体12があり、本体12は、略円筒形の形状構成をしていて、両側に第1端部14および第2端部16を有する。図2及び図3に示すように、本体12には、空洞部20を画定する内面18がある。本体12の内面18には、後述する理由から、縦方向に間隔をあけて配置された上側溝部19および下側溝部21がある。下側壁部22が本体12の第2端部16から半径方向内側へ突出し、半径方向内側エッジ部24で終端している。下側壁部22の内側エッジ部24は、後述するように、ドッキング・ステーション154を入れるための開口部26を画定している(図4及び図5)。内壁部30は、下側壁部22の内側エッジ部24から縦方向に突出していて、終端部34で終端している。
【0017】
流体容器36は、空洞部20にスライド可能に入っている。流体容器36は、略円筒形の外壁部38を有し、この外壁部38は、本体12の内面18とスライド可能な境界面を形成する外面40を画定している。戻り止め42は、流体容器36の外面40から半径方向外側へと突出しており、また、縦方向に間隔をあけて配置された上側溝部19および下側溝部21の一方に入るようにしてある、弧状の係合面43によって画定されている。流体容器36の外壁部38は、上端部44、下端部46、および、内面48によってさらに画定されている。外壁部38の内面48は、開始流体を中に入れるためのチャンバー50の一部を画定している。
【0018】
流体容器36の上側壁部52は、外壁部38の上端部44から半径方向内側に伸びており、上面54および下面56によって画定されている。充填用開口部55は、上側壁部48の上面54および下面56の間に伸びており、充填用開口部55を介してチャンバー50を開始流体で充填できるようにしている。プラグ58を充填用開口部55に挿入して充填用開口部55を密封し、開始流体がチャンバー50を充填した後に充填用開口部55を通って戻るのを防止することであってもよい。さらに、プラグ58が通気口として機能して、装置10の動作中に、チャンバー50内の圧力増加を軽減させることも考えられている。上側壁部52の上面54には、中央に配置され、弾性材料から形成された凹部60がある。凹部60は、上側壁部52の半径方向内側エッジ部64から垂下している略円筒形の側壁62と、凹部60を閉じる終端壁部66とによって画定されている。凹部60は、押しボタン70の下面69から垂下しているプランジャー68が入るようにしてある。終端壁部66の下面72には、中央に配置されたピン74が垂下している。ピン74は、開口部76と軸位置が合わせてあり、開口部76は、流体容器36の下側壁部78の中央に、下側壁部78の上面80と下面82の間を貫通するように配置されている。
【0019】
流体容器36の下側壁部78は、外壁部38の下端部46から間隔をおいた場所で、外壁部38から半径方向内側へ伸びている。下側壁部78には、中央部分84があり、中央部分84は、略凸状の上面86と、略凹状の下面88とを有する。下側壁部78の外側部分90は、下側壁部78の中央部分84の半径方向外側エッジ部92から外壁部38の内面48まで半径方向外側へ伸びている。下側壁部78の外側部分90には、略平坦で環状形状の上面94と、略平坦で環状形状の下面96とがある。中央部分84の上面86と外側部分90の上面94は、下側壁部78の上面80を画定している。中央部分84の下面88と外側部分90の下面96は、下側壁部78の下面82を画定している。前述したように、流体容器36の下側壁部78には、中央に配置された開口部76があり、開口部76は、終端壁部66の下面72から垂下しているピン74と軸位置が合わせてある。第1円盤形状薄膜100が、下側壁部78の中央部分84の上面86に、開口部76と重なり、チャンバー50内の開始流体が開口部76を通って流れることを防止するように貼り付けてある。芯材102の上面101が流体容器36の下側壁部78の下面82の全体に貼り付けてある。
【0020】
流体容器36の外壁部38の下端部46には、下端部46から半径方向内側に伸びる小突起部104があり、この小突起部104は、以下に述べる袋構成体108の外縁部を受けるようにしてある上面106を有する。袋構成体108には、硬質袋部材110があり、この硬質袋部材110は、略凹状の上面114と、略凸状の下面116によって画定された中央部分112を有する。硬質袋部材110にいくらか柔軟性があるが、後述する可撓性薄膜126の剛性よりも高い剛性を有することも考えられている。硬質袋部材110の略平坦な外側部分118は、硬質袋部材110の中央部分112の半径方向外側エッジ部120から半径方向外側に伸びている。硬質袋部材110の外側部分118には、略平坦で、環状形状の上面121、および、略平坦で、環状形状の下面122がある。
【0021】
袋構成体108には、さらに、上面128と下面130を有する可撓性薄膜126がある。可撓性薄膜126の下面130の外縁部132は、硬質袋部材110の外側部分118の上面121に接合されていて、気密な密封部を形成している。可撓性薄膜126の上面128と芯材102の下面134は、ヒドロゲル圧力源138を中に入れるためのチャンバー136(図4)を画定している。可撓性部材126の下面130と、硬質袋部材110の上面114とは、患者に投与すべき薬または製薬のような流体を入れるためのチャンバー140を画定している。硬質袋部材110の外側部分118の下面122は、可撓性薄膜126と芯材102の外縁部が硬質袋部材110の外側部分118の上面121と下側壁部78の外側部分90の下面96との間で捕らえられるように、小突起部104の上面106に収まっていて、支持されている。
【0022】
図4及び図5に示すように、硬質袋部材110の中央部分112には、中央に配置され、貫通する開口部124があり、チャンバー140に投与すべき流体を充填できるようにしている。充填した後、逆止弁142を開口部124に設けることも考えられている。任意ではあるが、第2の開口部139とプラグ141の組み合わせを硬質袋部材110に設け、チャンバー140に投与すべき流体を充填できるようにしてもよい(図7)。逆止弁142は、余分な流体がチャンバー140に注入されることを防止する。投与すべき流体をチャンバー140から放出して逆止弁142に通すためには、チャンバー140内の流体の圧力が、あるしきい値を上回らなければならない。
【0023】
支持部144は、硬質袋部材110の中央部分112の下面116から垂下しており、終端部146で終端している。支持部144には、本体12の内壁部30の内面150とスライド可能な境界面を形成する外面148と、ドッキング・ステーション154を支持するようにしてある内面152とがある。ドッキング・ステーション154には、硬質袋部材110の中央部分112の下面116と係合可能な上面156と、下面158とがある。下面158には、支持部144の終端部146と実質的に高さが等しい外側部分160と、側壁164によって外側部分160から間隔があけられている凹状部分162とがある。通路174は、ドッキング・ステーション154の下面158の凹状部分162と、ドッキング・ステーション154の上面156との間に伸びている。
【0024】
下面158の凹状部分162と側壁164は、微小針構成体170が入るようにしてある空洞部168を画定している。図6及び図7に示すように、微小針構成体170には、ドッキング・ステーション154の下面158の凹状部分162と係合可能な上面176と、ドッキング・ステーション154の下面158の外側部分160と実質的に高さが同じである下面178と、微小針列172とがある。微小針列172の各微小針173は、通路174とつながっている、そしてそれ故に逆止弁142の出口部とつながっている入口部171と、出口部177とを有する。さらに、各微小針173には、先端部182で終端している略円錐形の外側表面180がある。先端部182は、流体を投与すべき人の皮膚を刺し通すことが意図されている。
【0025】
微小流体用装置10を作動させるために、押しボタン70が設けられている。押しボタン70は、略円盤形状をしており、本体12の内面18とスライド可能な境界面を形成する外縁部184を含んでいる。押しボタン70の外縁部184は、押しボタンの下面69を押しボタンの上面186と相互に連結している。操作時には、戻り止め42を本体12の内面18にある上側溝部19に設置する。流体容器36のチャンバー50を流体容器36の上側壁部52にある充填用開口部55を介して充填し、開プラグ58を充填用開口部55に挿入して、始流体を流体容器36内に保持する。チャンバー136には、開始流体に触れると膨張するヒドロゲル圧力源138で充填し、チャンバー140には、患者に投与すべき流体を充填する。本体12の下側壁部22の下面192は、患者の所望の位置に、本体12の下側壁部22の下面192に貼り付けた粘着パッド190等によって貼り付ける。
【0026】
微小流体用装置10を患者の所望の位置に貼り付けたら(図2及び図3)、押しボタン70を押し下げ、プランジャー68を上側壁部52内の凹部60のバイアスに逆らって移動させ、凹部60が作られている弾性材料が下方に屈曲するようにする(図6及び図7)。終端壁部66の下面72から垂下しているピン74は、第1および第2の薄膜100を破るように、第1薄膜100と係合する。この結果、開始流体が、下側壁部78の開口部76を通って、チャンバー50から、ヒドロゲル圧力源138が充填されているチャンバー136に自由に流れることができる。
【0027】
使用者が押しボタン70を押し続けると(図4及び図5)、流体容器36が本体12内で下方へ動かされ、戻り止め42が本体12の内面18にある下側溝部21に設置されるようになる。流体容器36が下方へ移動すると、袋構成体108が下方へ動かされ、硬質袋部材110の中央部分112の下面116が本体12の下側壁部24の終端部34と係合するまで支持部144が本体12の内壁部30の内面150に沿ってスライドする。下にさげた形状構成の袋構成体では、微小針173の先端部182が患者を刺し通し、患者の皮層とつながっている。開始流体が下側壁部78にある開口部76を通ってチャンバー50からチャンバー136に流れると、チャンバー136にあるヒドロゲル圧力源138が膨張し、それにより、可撓性薄膜126に圧力を加える。圧力がかかった状態では、チャンバー140内の流体は逆止弁142に通され、流体は通路174に流入し、そしてそれ故に、微小針173の入口部171に流入する。その後、流体は微小針173の出口部177から出て、患者の皮層に放出される。押しボタン70を放すと、凹部60を作っている弾性材料により、上側壁部52が元の形状構成に戻る(図4及び図5)ことは明らかである。
【0028】
ヒドロゲル圧力源138の膨張速度により、薬がチャンバー140から患者に流れる速度が調整されることに留意すべきである。したがって、ボーラス注射、定常注入、遅延発症型等の所望の送達プロフィールが、ヒドロゲル圧力源138の化学的性質を変えるだけで可能である。微小針列172を1本の微小針173等だけと置き換えることが、本発明の範囲から逸脱することなくできることにも留意すべきである。さらに、ドッキング・ステーション154および/または微小針列172は、硬質袋部材110と一体に形成してもよい。
【0029】
本発明を実施するための種々の形態が、本発明であるとみなされる主題を具体的に指摘し明確に請求する特許請求の範囲の範囲内にあると考えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面および外面を有する第1の可撓性薄膜と、
内面および外面を含む袋部材であって、前記第1の可撓性薄膜の前記内面および前記袋部材の前記内面が中に薬を入れるためのチャンバーを画定する袋部材と、
少なくとも1つの微小針と、
前記少なくとも1つの微小針を前記硬質袋部材に動作可能に連結している弁構成体であって、前記少なくとも1つの微小針が前記チャンバー内の前記薬から隔離されている第1の形状構成、および、前記少なくとも1つの微小針が前記チャンバー内の前記薬とつながっている第2の形状構成を有する弁構成体と、を備え、
前記袋部材が前記第1の可撓性薄膜よりも剛性がある能動経皮薬物送達装置のための袋構成体。
【請求項2】
前記第1の可撓性薄膜が外縁部を有し、
前記袋部材が外縁部を有し、
前記第1の可撓性薄膜の外縁部と前記袋部材の外縁部が気密な密封部を形成するように接合されている請求項1に記載の袋構成体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの微小針は、微小針列の内の1つである請求項1に記載の袋構成体。
【請求項4】
前記袋物質には、前記薬を前記チャンバーに注入可能にする、前記袋物質を貫通する開口部があり、前記袋構成体は、前記薬を前記チャンバー内に維持するために、前記袋物質の前記開口部に入れることができるプラグをさらに備えている請求項1に記載の袋構成体。
【請求項5】
前記弁構成体には逆止弁があり、前記逆止弁は、前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針への第1の方向に前記薬が流れることを可能にし、前記少なくとも1つの微小針から前記チャンバーへの第2の方向に流体が流れることを防止する請求項1に記載の袋構成体。
【請求項6】
前記薬を前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針まで移動させるために前記可撓性薄膜と係合可能な圧力源をさらに備える請求項1に記載の袋構成体。
【請求項7】
内面、外面、および外縁部を有する可撓性薄膜と、
内面、外面、および、前記可撓性薄膜の前記外縁部に接合された外縁部がある袋部材であって、前記可撓性薄膜の前記内面および前記袋部材の前記内面が中に薬を入れるためのチャンバーを画定している袋部材と、
前記袋部材に動作可能に連結された少なくとも1つの微小針と、
前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針への前記薬の流れを制御する弁構成体と、を備え、
前記袋部材が前記可撓性部材よりも剛性がある薬物送達装置のための袋構成体。
【請求項8】
前記可撓性薄膜の前記外縁部と前記袋部材の前記外縁部が気密な密封部を形成するように接合されている請求項7に記載の袋構成体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの微小針は、微小針列の内の1つである請求項7に記載の袋構成体。
【請求項10】
前記袋部材には、前記薬を前記チャンバーに注入可能にする、前記袋部材を貫通する開口部があり、前記袋構成体は、前記薬を前記チャンバー内に維持するために、前記袋物質の前記開口部に入れることができるプラグをさらに備えている請求項7に記載の袋構成体。
【請求項11】
前記弁構成体には逆止弁があり、前記逆止弁は、前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針への第1の方向に前記薬が流れることを可能にし、前記少なくとも1つの微小針から前記チャンバーへの第2の方向に流体が流れることを防止する請求項7に記載の袋構成体。
【請求項12】
前記薬を前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針へ移動させるために前記可撓性部材と係合可能な圧力源をさらに備える請求項7に記載の袋構成体。
【請求項13】
前記圧力源は膨張可能なヒドロゲルを含んでおり、前記ヒドロゲルは、膨張したときに、前記可撓性部材に圧力を加える請求項12に記載の袋構成体。
【請求項14】
内面、外面、および外縁部を有する可撓性薄膜と、
前記可撓性薄膜よりも剛性があり、内面、外面、および、外縁部がある袋部材であって、前記可撓性薄膜の前記内面および前記袋部材の前記内面が中に薬を入れるためのチャンバーを画定する袋部材と、
前記袋部材に動作可能に連結された少なくとも1つの微小針であって、入口部と、人の中に入れることができる出口部を有する少なくとも1つ微小針と、
前記少なくとも1つの微小針の入口部および前記チャンバーを動作可能に連結している弁と、を備える薬物送達装置のための袋構成体。
【請求項15】
前記薬を前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針を通して移動させるために前記可撓性薄膜と係合可能な圧力源をさらに備える請求項14に記載の袋構成体。
【請求項16】
前記可撓性薄膜の外縁部と前記袋部材の外縁部が気密な密封部を形成するように接合されている請求項14に記載の袋構成体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの微小針は、微小針列の内の1つである請求項14に記載の袋構成体。
【請求項18】
前記袋部材には、前記薬を前記チャンバーに注入可能にする、前記袋部材を貫通する開口部があり、前記袋構成体は、前記薬を前記チャンバー内に維持するために、前記袋部材の前記開口部に入れることができるプラグをさらに備えている請求項14に記載の袋構成体。
【請求項19】
前記弁は逆止弁であり、前記逆止弁は、前記チャンバーから前記少なくとも1つの微小針への第1の方向に前記薬が流れることを可能にし、前記少なくとも1つの微小針から前記チャンバーへの第2の方向に流体が流れることを防止する請求項14に記載の袋構成体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの微小針を支持するためのドッキング・ステーションをさらに備え、前記ドッキング・ステーションは、前記袋部材に取り外し可能に連結されている請求項14に記載の袋構成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−516274(P2013−516274A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548009(P2012−548009)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/059055
【国際公開番号】WO2011/084295
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(507164412)ウィスコンシン・アラムナイ・リサーチ・ファウンデーション (4)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】