説明

微生物燃料電池、該電池の燃料と微生物、およびバイオリアクタとバイオセンサ

【課題】微生物燃料電池の出力を高めるための技術の提供。
【解決手段】グリセロールなどのポリオールを燃料とし、酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を負極側に用いた微生物燃料電池を提供する。この微生物燃料電池では、酸化還元反応を触媒するジアホラーゼなどの酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を負極側に保持させることで、前記反応の速度を高めて高い出力を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、微生物燃料電池、該電池の燃料と正極用微生物、およびバイオリアクタとバイオセンサに関する。より詳しくは、ポリオールを燃料とする微生物燃料電池等に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、正極(空気極)と負極(燃料極)とが電解質(プロトン伝導体)を介して対向した構造を有する。燃料電池では、負極に供給された燃料が酸化されて電子とプロトン(H)とに分離し、電子は負極に渡され、プロトンは電解質を通って正極まで移動する。正極では、プロトンが外部から供給された酸素および負極から外部回路を通って送られた電子と反応して水(HO)を生成する。
【0003】
生物内で行われている生体代謝が高効率なエネルギー変換機構であることに着目し、これを燃料電池に適用する提案がなされている。ここでいう生体代謝には、細胞内で行われる呼吸および光合成などが含まれる。生体代謝は、発電効率が極めて高く、また室温程度の穏やかな条件で反応が進行する。
【0004】
例えば、呼吸は、糖類、脂肪、タンパク質などの栄養素を微生物または細胞内に取り込み、数々の酵素反応ステップにより段階的に分解していく。糖類の場合、解糖系およびトリカルボン酸(TCA)回路を介して二酸化炭素(CO2)を生成する過程で、糖類の化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。すなわち、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に変換し、電子伝達系においてこれらのNADHをプロトン勾配の電気エネルギーに直接変換するとともに酸素を還元し、水を生成する。
【0005】
生体代謝を燃料電池に利用する技術としては、微生物中で発生した電子を微生物外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る微生物燃料電池が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、生体代謝を燃料電池に利用する技術として、正極または負極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素を固定したバイオ燃料電池も開発されてきている(例えば、特許文献2〜11参照)。このバイオ燃料電池は、酵素を触媒として燃料を分解してプロトンと電子を分離するもので、燃料としてメタノールやエタノールのようなアルコール類あるいはグルコースのような単糖類を用いたものなどが開発されている。例えば、グルコースを燃料とするバイオ燃料電池においては、図4に示すように負極でグルコースの酸化反応が進行し、正極で酸素の還元反応が進行する。現在、グルコースおよび酸素に限らず、種々の燃料を用いることが可能なバイオ燃料電池が開発されつつある。
【0007】
これらの微生物電池およびバイオ燃料電池の正極および負極においては、触媒として用いられる微生物または酵素と、電極との間の電子の授受を円滑に行うために、電子メディエーター(電子伝達物質)が用いられている(例えば、特許文献1〜11参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−133297号公報
【特許文献2】特開2003−282124号公報
【特許文献3】特開2004−71559号公報
【特許文献4】特開2005−13210号公報
【特許文献5】特開2005−310613号公報
【特許文献6】特開2006−24555号公報
【特許文献7】特開2006−49215号公報
【特許文献8】特開2006−93090号公報
【特許文献9】特開2006−127957号公報
【特許文献10】特開2006−156354号公報
【特許文献11】特開2007−12281号公報
【特許文献12】特開2007−143493号公報
【特許文献13】特開2008−289398号公報
【特許文献14】特開2008−289419号公報
【特許文献15】特開2008−48703号公報
【特許文献16】米国特許出願公開第2007/196899号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
微生物の生体代謝には、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する反応以外の反応も多く存在する。このため、微生物燃料電池では、望まない反応に化学エネルギーが消費されてしまい、十分なエネルギー変換効率が達成されず、バイオ燃料電池に比べて得られる出力が非常に小さいという問題がある。また、バイオ燃料電池に比べて微生物燃料電池の出力が低い要因として、微生物の生体膜への物質(燃料あるいはメディエータ)の透過が不十分であること、微生物内での電池出力に必要な酵素反応の速度が低いことなどが考えられている。
【0010】
そこで、本技術は、微生物燃料電池の出力を高めるための技術を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題解決のため、本技術は、グリセロールなどのポリオールを燃料とする微生物燃料電池を提供する。
この微生物燃料電池において、微生物には、酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を用いることが好ましい。このような遺伝子組み換えにより、燃料の代謝速度を高めて高い出力を得ることができる。また、一方で、これらの反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素を遺伝子組み換えにより欠失させた微生物を用いることが好ましい。このような遺伝子組み換えにより、化学エネルギーの電気エネルギーへの変換に寄与しない反応を抑制して高いエネルギー変換効率を得ることができる。
この微生物燃料電池において、前記酸化還元反応は、還元型補酵素、例えば還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)や還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)やフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を生成する反応、あるいは酸化型補酵素、例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)やフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)や還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を生成する反応とできる。この場合、前記酸化還元反応を触媒する酵素は、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)や還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)などの還元型補酵素を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)やフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)などの酸化型補酵素を生成するジアホラーゼなどの酵素とされ得る。
【0012】
また、本技術は、ポリオールを含む微生物燃料電池の燃料と、酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物燃料電池の電極用の微生物を提供する。
さらに、本技術は、酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を含むバイオリアクタとバイオセンサをも提供する。
【0013】
ここで、本技術に係る「微生物燃料電池」には、電極上あるいは電極近傍に微生物を保持させて、微生物による燃料の代謝によって菌体内で発生した電子を菌体外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る電池が包含される。加えて、本技術に係る「微生物燃料電池」には、微生物が産生し菌体外に分泌される酵素あるいは外部から添加した酵素を電極上あるいは電極近傍に供給し、この酵素を触媒とした燃料の酸化反応によって電子を取り出し、電流を得る電池も含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本技術により、微生物燃料電池の出力を高めるための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本技術に係る微生物燃料電池の構成を説明するための断面模式図である。
【図2】大腸菌によるグリセロールの酸化反応電子数の測定系を説明する図である(実施例1)。
【図3】大腸菌によるグリセロールの酸化反応電子数を測定した結果を示す図面代用グラフである(実施例1)。
【図4】グルコースを燃料とするバイオ燃料電池の電極での酸化還元反応を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。

1.微生物燃料電池
(1)電池構造
(2)微生物
(3)燃料
(4)電極材料
(5)負極酵素
(6)正極酵素
(7)プロトン伝導体
2.バイオリアクタ・バイオセンサ
【0017】
1.微生物燃料電池
(1)電池構造
図1に、本技術に係る微生物燃料電池の構成を模式的に示す。符号1で示す微生物燃料電池は、負極2および正極3とからなる対電極と、対電極を分離するセパレータ4と、これらを収容する筐体5と、を備える。負極2および正極3は、外部回路9によって電気的に接続されている。筐体5内にはプロトン伝導体が収容されている。セパレータ4は例えばカチオン交換膜やセルロース系不織布、セロファンなどのプロトンを透過可能な材料により形成されている。
【0018】
負極2は、燃料の酸化反応により電子を取り出す。負極2側には、発電に必要な状態で燃料と微生物6が保持されている。負極2では、微生物6の生体代謝を触媒過程に利用して燃料の酸化・分解が行われ、電子の取り出し反応が進行する。
【0019】
正極3の一部は気液分離膜7から筐体5外部に暴露されている。正極3では外部から供給される酸素の還元反応が進行する。負極2側において燃料から電子とともに分離されたプロトンは、セパレータ4を透過して正極3側に移動する。正極3側に移動したプロトンは正極3から電子を受け取り、酸素と結合して水を生成する。
【0020】
(2)微生物
負極2側に保持される微生物6は、酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物であり、野生型の微生物に比して前記酵素をより多く発現する微生物とされる。さらに、微生物6は、酸化還元反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素を遺伝子組み換えにより欠失させたものであることが好ましい。
【0021】
ここで、酸化還元反応とは、微生物による燃料の分解プロセスにおける酸化反応と、この酸化反応に伴って補酵素(例えば、NAD、NADPなど)から補酵素の還元体(例えば、NADH、NADPHなど)が生成され、補酵素の還元体が補酵素酸化酵素(例えば、ジアホラーゼ)により酸化されて電子を生じる反応と、を含む一連の反応をいう。
なお、補酵素には、フラビンアデニンジヌクレオチド(flavin adenine dinucleotide、FAD)、ピロロキノリンキノン(pyrrollo-quinolinequinone、PQQ2+)なども挙げられる。
【0022】
上記反応を触媒する酵素のうち、燃料の分解プロセスにおける酸化反応を触媒する酵素としては以下の酵素が例示される。グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコネート5デヒドロゲナーゼ、グルコネート2デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドレダクターゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシパルベートレダクターゼ、グリセレートデヒドロゲナーゼ、フォルメートデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ガラクトースデヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3リン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、スクロースデヒドロゲナーゼ、ソルボースデヒドロゲナーゼ、ピルベートデヒドロゲナーゼ、イソシレートデヒドロゲナーゼ、2−オキソグルタレートデヒドロゲナーゼ、スクシネートデヒドロゲナーゼ、マレートデヒドロゲナーゼ、アシルーCoAデヒドロゲナーゼ、L−3−ヒドロキシアシルーCoAデヒドロゲナーゼ、3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ、3−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ等。
【0023】
また、上記反応を触媒する酵素のうち、補酵素の還元体を酸化して電子を生じさせる反応を触媒する補酵素酸化酵素としては、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)や還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)やフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を生成する反応を触媒するジアホラーゼなどが挙げられる。以上に挙げた酵素は、遺伝子改変により触媒活性を向上させた変異酵素であってもよい(特許文献12〜16参照)。
【0024】
上記反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素としては、微生物の代謝経路において呼吸鎖に結びつかない経路の代謝反応に関与する一連の酵素が挙げられる。例えば、ピリミジン、アミノ酸、ケトン体、コレステロール、グリコーゲン、リン脂質、トリグリセリドおよびプリンなどの物質の合成のみに関与する酵素群がある。また、核酸の分解にのみ関与する酵素群も挙げられる。
【0025】
微生物には、例えば、通性嫌気性細菌としては、Escherichia, Shigella, Salmonella, Citrobacter, Klebsiella, Enterobacter, Erwinia, Serratia, Hafnia, Edwardsiella, Proteus, Providencia, Morganella, Yersinia, Obesumbacterium, Xenorhabdus, Kluyvera, Rahnella, Cedecea, Tatumella, Vibrio, Photobacterium,Aeromonas, Plesiomonas, Pasteurella, Haemophilus, Actinobacillus, Zymomonas, Chromobacterium, Cardiobacterium, Calymmatobacterium, Gardnerella,Eikenella, Streptobacillusなどの各属に属するものが挙げられる。また、偏性嫌気性細菌としては、Bacteroides, Fusobacterium, Leptotrichia, Butyrivibrio, Succinimonas, Succinivibrio, Anaerobiospirillum, Wolinella, Selenomonas, Anaerovibrio, Pectinatus, Acetivibrio, Lachnospiraなどの各属に属するものが挙げられる。
また、偏性好気性細菌としては、Pseudomonas, Xanthomonas, Frateuria, Zoogloea,Azotobacter, Azomonas, Rhizobium, Bradyrhizobium, Agrobacterium, Phyllobacterium, Methylococcus, Methylomonas, Halobacterium, Halococcus, Acetobacter, Gluconobacter, Legionella, Neisseria, Moraxella, Acinetobacter,Kingella, Beijerinckia, Derxia, Xanthobacter, Thermus, Thermomicrobium,Halomonas, Alteromonas, Flavobacterium, Alcaligenes, Serpens, Janthinobacterium, Brucella, Bordetella, Francisella, Paracoccus, Lampropediaなどの各属に属するものが挙げられる。
さらに、微好気性細菌としては、Aquaspirillum, Spirillum, Asospirillum, Oceanospirillum, Campylobacter, Bdellovibrio, Vampirovibrio などの各属に属するものが挙げられる。
これらのうち、嫌気性細菌が好適である。負極2は、取り出された電子が酸素との反応により消費されないように、嫌気条件下に維持されるためである。
【0026】
遺伝子組み換えによる微生物への酵素(組換え酵素)の導入は、従来公知の手法を用いて行うことができる。組み換え酵素遺伝子のベクター(プラスミド)への挿入は、市販のライゲーションキット等を用いて行うことができる。得られたベクターを宿主に導入する方法は、例えば、コンピテント細胞を塩化カルシウムで処理する方法等を用いればよい。
【0027】
また、遺伝子組み換えによる微生物酵素の欠失(あるいは不活性化)は、例えば、変異原を用いた突然変異による非遺伝子工学的手法や、制限酵素またはリガーゼなどを用いて任意に遺伝子配列の操作を行う遺伝子工学的手法等により行うことができる。遺伝子工学的手法により欠失させる方法としては、酵素遺伝子をあらかじめクローニングしておき、該遺伝子の特定部位に非遺伝子工学的手法もしくは遺伝子工学的手法により突然変異を起こす、該遺伝子の特定部位に遺伝子工学的手法により特定の長さの欠損部位を設ける、または該遺伝子の特定部位に薬剤耐性マーカーなどの外来性遺伝子を導入すること等により、変異遺伝子を含むDNAを準備し、このDNAを微生物に戻す方法が用いられる。
【0028】
微生物6は負極2側の溶液に含まれることにより、発電に必要な状態で負極2側に保持できる。また、微生物6は担体上あるいは負極2上に付着あるいは固定されることにより、負極2側に保持することもできる。担体には、従来、医薬品工業や食品工業あるいは排水処理システムなどのバイオリアクタで利用されている多くの微生物担体を用いることができる。具体的には、例えば、多孔質ガラス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイトなどの粒子状担体のほか、でんぷん、寒天、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチンなどのゲル状担体、セルロース、グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ウレタンポリマーなどの高分子樹脂やイオン交換樹脂などが用いられる。さらに、天然あるいは合成の高分子化合物、例えば綿、麻、パルプ材、あるいは天然物を変性した高分子アセテート、ポリエステル、ポリウレタン、なども利用できる。
【0029】
微生物燃料電池1では、酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物6を負極2側に用いることで、前記反応の速度を高めることができる。このため、微生物燃料電池1では、従来に比べて高い出力が得られる。さらに、微生物燃料電池1では、酸化還元反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素を遺伝子組み換えにより欠失させた微生物6を負極2側に用いることで、化学エネルギーの電気エネルギーへの変換に寄与しない反応を抑制し、電気エネルギーの消費を防止することができる。このため、微生物燃料電池1では、従来に比べて高いエネルギー変換効率が得られる。
【0030】
(3)燃料
負極2側に保持される燃料は、微生物6の栄養素となり得る物質であれば、特に限定されない。燃料として使用可能な物質は、例えば、糖、アルコール、アルデヒド、脂質又はタンパク質などが挙げられる。具体的には、グルコース、フルクトース、ソルボース、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、マルトース、スクロースおよびラクトース等の糖類、エタノールおよびグリセリン等のアルコール類、酢酸およびピルビン酸等の有機酸などが挙げられる。この他にも、脂肪類、タンパク質、およびこれらの糖代謝の中間生成物である有機酸などが挙げられる。
【0031】
実施例において後述するように、本発明者らは、従来嫌気条件下ではグリセロールを代謝できないと考えられていた微生物が、電子伝達メディエータを介した電気化学的酸化系を共役させることによりポリオール代謝を駆動できることを初めて明らかにした。このポリオール代謝は、高効率でグリセロールを酸化して電子の取り出しを行い得るものであった。従って、燃料には、特にポリオールを採用することができる。ポリオールとしては、グリセロールなどの3価の多価アルコール、エチレングリコールなどの2価の多価アルコールなどが挙げられる。このうち、特にグリセロールに関しては、近年、バイオディーゼルの副産物として生じるグリセロールの有効活用が模索されている。微生物燃料電池の燃料としてグリセロールの利用は、この有効活用の一つとなり得る。
【0032】
(4)電極材料
負極2および正極3の材料は、多孔質カーボン、カーボンペレット、カーボンペーパー、カーボンフェルト、炭素繊維又は炭素微粒子の積層体などのカーボン系材料が好適に採用できる。また、負極2および正極3の材料には、以下の金属材料も採用できる。Pt、Ag、Au、Ru、Rh、Os、Nb、Mo、In、Ir、Zn、Mn、Fe、Co、Ti、V、Cr、Pd、Re、Ta、W、Zr、Ge、Hf等の金属。アルメル、真ちゅう、ジュラルミン、青銅、ニッケリン、白金ロジウム、ハイパーコ、パーマロイ、パーメンダー、洋銀、リン青銅等の合金類。HfB2、NbB、CrB2などのホウ化物。TiN、ZrNなどの窒化物。VSi2、NbSi2、MoSi2、TaSi2などのケイ化物。これらの合材。
【0033】
(5)負極酵素
負極2には、微生物6により取り出された電子の電極への受け渡しを円滑に行うための電子伝達メディエータを固定してもよい。電子伝達メディエータとしては、様々な材料を用いることができるが、キノン骨格を有する化合物あるいはフェロセン骨格を有する化合物を使用することが好ましい。キノン骨格を有する化合物としては、特にベンゾキノン類や、ナフトキノン骨格あるいはアントラキノン骨格を有する化合物が好ましい。
【0034】
ベンゾキノン類としては、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,3−ベンゾキノン(2,3-Dimethoxy-5-methyl-1,3-benzoquinone (Q0))などを用いることができる。
ナフトキノン骨格を有する化合物としては、例えば、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ)、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)、2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノン、4−アミノ−1,2−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−メチル−3−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、ビタミンK(2-methyl-3-phyty1,4-naphthoquinone)、ビタミンK(2-farnesyl-3-methyl-1,4-naphtoquinone)、ビタミンK(2-methy 1,4-naphthoquinone)、などを用いることができる。
また、キノン骨格を有する化合物としては、例えば、anthraquinone-1-sulfonate、anthraquinone-2-sulfonateなどのようなアントラキノン骨格を有する化合物やその誘導体を用いることができる。
また、フェロセン骨格を有する化合物としては、例えば、ビニルフェロセン、ジメチルアミノメチルフェロセン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ジメチルフェロセン、フェロセンモノカルボン酸などを用いることができる。
さらに、その他の化合物としては、例えば、鉄(Fe)の金属錯体、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物、ヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物などを用いることができる。より具体的には、例えば、methylene blue、pycocyanine、indigo-tetrasulfonate、luciferin、gallocyanine、pyocyanine、methyl apri blue、resorufin、indigo-trisulfonate、6,8,9-trimethyl-isoalloxazine、chloraphine、indigo disulfonate、nile blue、indigocarmine、9-phenyl-isoalloxazine、thioglycolic acid、2-amino-N-methyl phenazinemethosulfate、azure A、indigo-monosulfonate、anthraquinone-1,5-disulfonate、alloxazine、brilliant alizarin blue、crystal violet、patent blue、9-methyl-isoalloxazine、cibachron blue、phenol red、anthraquinone-2,6-disulfonate、neutral blue、bromphenol blue、anthraquinone-2,7-disulfonate、quinoline yellow、riboflavin、Flavin mononucleotide(FMN)、flavin adenine dinucleotide(FAD)、phenosafranin、lipoamide、safranine T、lipoic acid、indulin scarlet、4-aminoacridine、acridine、nicotinamideadenine dinucleotide(NAD)、nicotinamideadenine dinucleotide phosphate(NADP)、neutral red、cysteine、benzyl viologen(2+/1+)、3-aminoacridine、1-aminoacridine、methyl viologen(2+/1+)、2-aminoacridine、2,8-diaminoacridine、5-aminoacridineなどを用いることができる。なお、化学式中、dienはdiethylenetriamineを、edtaはethylenediaminetetraacetate tetraanioneをそれぞれ示す。
【0035】
(6)正極酵素
正極3上には、外部から供給される酸素の還元反応を触媒する酵素が存在する。このような酵素として、例えば、ラッカーゼやビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、CueO、CotA等が挙げられる。
【0036】
また、正極3には、負極2から送り込まれる電子の受け渡しを円滑に行うための電子伝達メディエータを固定してもよい。正極3に固定し得る電子伝達メディエータは、負極2に用いる電子伝達メディエータに比べて酸化還元電位が高ければよい。
【0037】
具体的には、ABTS(2,2'-azinobis(3-ethylbenzoline-6-sulfonate))、K3[Fe(CN)6]、CuIII/II(H2A3)0/1-、[Fe(dpy)]3+/2+、CuIII/II(H2G3a)0/1-、I3-/I-、ferrocene carboxylic acid、[Fe(CN)6]3-/4-、ferrocene ethanol、Fe3+/2+, malonate、Fe3+/2+, salycylate、[Fe(edta)]1-/2-、[Fe(ox)3]3-/4-、promazine (n=1) [ammonium form]、chloramine-T、TMPDA (N,N,N’,N’-tetramethylphenylenediamine)、porphyrexide、syringaldazine、o-tolidine、bacteriochlorophyll a、dopamine、2,5-dihydroxy-1,4-benzoquinone、p-amino-dimethylaniline、o-quinone/1,2-hydroxybenzene (catechol)、p-aminophenoltetrahydroxy-p-benzoquinone、2,5-dichloro-p-benzoquinone、1,4-benzoquinone、diaminodurene、2,5-dihydroxyphenylacetic acid、2,6,2’-trichloroindophenol、indophenol、o-toluidine blue、DCPIP (2,6-dichlorophenolindophenol)、2,6-dibromo-indophenol、phenol blue、3-amino-thiazine、1,2-napthoquinone-4-sulfonate、2,6-dimethyl-p-benzoquinone、2,6-dibromo-2’-methoxy-indophenol、2,3-dimethoxy-5-methyl-1,4-benzoquinone、2,5-dimethyl-p-benzoquinone、1,4-dihydoxy-naphthoic acid、2,6-dimethyl-indophenol、5-isopropyl-2-methyl-p-benzoquinone、1,2-naphthoquinone、1-naphthol-2-sulfonate indophenol、toluylene blue、TTQ (tryptophan tryptophylquinone) model (3-methyl-4-(3’-methylindol-2’-yl)indol-6,7-dione)、ubiquinone (coenzyme Q)、PMS (N-methylphenaziniummethosulfate)、TPQ (topa quinone or 6-hydroxydopa quinone)、PQQ (pyrroloquinolinequinone)、thionine、thionine-tetrasulfonate、ascorbic acid、PES (phenazine ethosulphate)、cresyl blue、1,4-naphthoquinone、toluidine blue、thiazine blue、gallocyanine、thioindigo disulfonate、methylene blue、vitamin K3 (2-methyl-1,4-naphthoquinone)、などを用いることができる。なお、化学式中、dpyは2,2’-dipyridineを、phenは1,10-phenanthrolineを、Trisはtris(hydroxymethyl)aminomethaneを、trpyは2,2’:6’,2’’-terpyridineを、Imはimidazoleを、pyはpyridineを、thmpyは4-(tris(hydroxymethyl)methyl)pyridineを、bhmはbis(bis(hydroxymethyl)methylを、G3aはtriglycineamideを、A3はtrialanineを、oxはoxalate dianioneを、edtaはethylenediaminetetraacetate tetraanioneを、glyはglycinate anionを、pdtaはpropylenediaminetetraacetate tetraanioneを、trdtaはtrimethylenediaminetetraacetate tetraanioneを、cydtaは、1,2-cyclohexanediaminetetraacetate tetraanioneをそれぞれ示す。
【0038】
(7)プロトン伝導体
プロトン伝導体には、電子伝導性がなく、プロトンの輸送が可能な電解質溶液(電解液)が用いられる。電解液には、特にpH7付近の中性緩衝液が好適に用いられる。緩衝物質としては、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)やリン酸二水素カリウム(KHPO)などが生成するリン酸二水素イオン(HPO−)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(HCO)、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、イミダゾール誘導体(ヒスチジン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボン酸エチル、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、イミダゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、イミダゾール−1−イル−酢酸、2−アセチルベンズイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、N−アセチルイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、N−(3−アミノプロピル) イミダゾール、5−アミノ−2−(トリフルオロメチル) ベンズイミダゾール、4−アザベンズイミダゾール、4−アザ−2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール)などのイミダゾール環を含む化合物などを挙げることができる。また、固体電解質であるナフィオン(登録商標)等も用いることができる。
【0039】
2.バイオリアクタ・バイオセンサ
上述した微生物酵素電池1に用いられる微生物6は、生体触媒を用いて生化学反応を行うバイオリアクタや、該生化学反応による基質特異的な物質の変化により該物質を検出するバイオセンサなどにも適用できる。このようなバイオリアクタあるいはバイオセンサは、微生物担体上に微生物を付着あるいは固定した反応素子を基本構成とする。
【0040】
物質からの電子の取り出し反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物6を反応素子に用いることで、生化学反応の速度を高めることができる。このため、上記のバイオリアクタあるいはバイオセンサでは、従来に比べて高い反応速度で所望の物質の反応を行ったり、高い感度で所望の物質の検出を行ったりできる。さらに、物質からの電子の取り出し反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素を遺伝子組み換えにより欠失させた微生物6を反応素子に用いることで、所望の生化学反応に寄与しない反応を抑制し、従来に比べて高い反応効率や検出感度が得られる。
【0041】
本技術に係る微生物燃料電池は以下のような構成をとることもできる。
(1)ポリオールを燃料とする微生物燃料電池。
(2)前記ポリオールが、グリセロールである上記(1)記載の微生物燃料電池。
(3)酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を含む上記(1)又は(2)記載の微生物燃料電池。
(4)前記微生物は、酸化還元反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素を遺伝子組み換えにより欠失させたものである上記(1)から(3)のいずれかに記載の微生物燃料電池。
(5)前記酸化還元反応は、補酵素の酸化還元体を生成する反応であって、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を生成する反応、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を生成する反応、還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を酸化してフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を生成する反応、あるいはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を還元して還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を生成する反応のいずれかの反応である上記(3)又は(4)4記載の微生物燃料電池。
(6)前記酸化還元反応を触媒する酵素は、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を生成する反応を触媒するジアホラーゼである上記(3)又は(5)記載の微生物燃料電池。
【実施例】
【0042】
<実施例1>
1.大腸菌によるグリセロールの酸化反応電子数の評価
嫌気条件下での野生型大腸菌及び変異型大腸菌によるグリセロールの酸化反応電子数をクーロメトリーにより測定した。
【0043】
測定条件は以下の通りとし、図2に示す測定図のように測定を行った。
嫌気条件
測定温度:37℃
測定セル:全電解用大型セル(200 ml容)
作用極:カーボンフェルト(6 cm×14 cm)
参照極:銀/塩化銀
対極:白金線
印加電位:0.4 V
緩衝液:pH8.0、M9最少培地 150 ml
微生物:野生型大腸菌(E. coli BL21 (DE3)、変異型大腸菌(E. coli BL21 (DE3) pET12a-di Novagen社)、1×1010cell/ml
グリセロール濃度:10 mM
メディエータ:2,3-Dimethoxy-5-methyl-1,3-benzoquinone (Q) 100 μM
【0044】
ジアホラーゼを遺伝子導入した変異型大腸菌は、以下の手順により作成した。配列番号1に示すアミノ酸配列を有する、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来の野生型ジアホラーゼを発現するベクターを構築した。野生型ジアホラーゼ遺伝子の増幅断片をBamH IとNde Iにより処理し、PCR Cleanup Kit(Qiagen社)を使って精製した。また、ベクターpET12a (Novagen社)をBamH IとNde Iにより処理し、同様に精製した。これら2種類の断片をT4 ligaseによりligationした。作製したベクターをE. coli BL21 (DE3)にヒートショック法により導入し、形質転換を行った。SOC中で1hr、37℃で前培養後、LB-amp寒天培地に展開して得たコロニーの一部を液体培養し、ジアホラーゼの発現をSDS-PAGEで確認した。
【0045】
結果を図3に示す。野生型大腸菌及び変異型大腸菌について、グリセロールを添加した際に得られた電気量から、グリセロールを添加せずに菌及びメディエータのみとした際に得られた電気量を差し引き、得られた差分からグリセロールが何電子酸化されているのかを次の式により算出した。
Q(電気量差分)=n(電子数)・F(ファラデー定数)・N(物質量)
【0046】
計算の結果、グリセロールは野生型大腸菌によって約4電子、変異型大腸菌によって約5電子酸化されていることが明らかになった。これは、グリセロールがCOまで完全酸化した場合の理論値に対して野生型大腸菌では約30%、変異型大腸菌では約40%の電解効率に相当する。野生型大腸菌に比べて変異型大腸菌の電解効率が上昇した理由として、律速段階となっていたNADHとQの酸化還元反応がジアホラーゼの遺伝子導入により解消したことが考えられる。また、効率が100%未満である理由として、菌の増殖や未定量の代謝産物、微量にセル中に残っていた酸素などに電子が渡ったことが推測された。
【0047】
<実施例2>
2.グリセロール消費量の評価
定電位差電解時に測定セルから経時的に採取した試料にNAD及びglycerol dehydrogenaseを添加し、生じたNADHの量を340 nmにおける吸光度変化から求め、グリセロール消費量を評価した。
【0048】
溶液組成は以下の通りとした。
pH10 NaHCO/NaOH緩衝液 1 ml
1 M 硫酸アンモニウム溶液 30 μl
10 mM NAD+溶液 100 μl
試料 126μl
上記緩衝液に約300 U / mlで溶解したglycerol dehydrogenase溶液(Cellulomonas sp.、SIGMA ALDRICH)30 μl
【0049】
340 nmにおける吸光度変化を求め、検量線に基づいて試料中のグリセロール濃度を算出した結果、野生型大腸菌及び変異型大腸菌のどちらを用いた場合でも電流の減衰に伴って試料中のグリセロール量は減少し、20時間程度で枯渇していた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本技術に微生物燃料電池は、従来に比べて出力が高められた微生物燃料電池として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1:微生物燃料電池、2:負極、3:正極、4:セパレータ、5:筐体、6:微生物、7:気液分離膜、8:燃料供給口、9:外部回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールを燃料とする微生物燃料電池。
【請求項2】
前記ポリオールが、グリセロールである請求項1記載の微生物燃料電池。
【請求項3】
酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を含む請求項2記載の微生物燃料電池。
【請求項4】
前記微生物は、酸化還元反応に関与しない酵素あるいは該反応を阻害する酵素を遺伝子組み換えにより欠失させたものである請求項3記載の微生物燃料電池。
【請求項5】
前記酸化還元反応は、補酵素の酸化還元体を生成する反応であって、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を生成する反応、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を生成する反応、還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を酸化してフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を生成する反応、あるいはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を還元して還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)を生成する反応のいずれかの反応である請求項4記載の微生物燃料電池。
【請求項6】
前記酸化還元反応を触媒する酵素は、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を酸化してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を生成する反応を触媒するジアホラーゼである請求項5記載の微生物燃料電池。
【請求項7】
ポリオールを含む微生物燃料電池の燃料。
【請求項8】
酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物燃料電池の電極用の微生物。
【請求項9】
酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を含むバイオリアクタ。
【請求項10】
酸化還元反応を触媒する酵素を遺伝子組み換えにより導入した微生物を含むバイオセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−190787(P2012−190787A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−31405(P2012−31405)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】