説明

微生物計測装置

【課題】蛍光染色を行った微生物計測において、励起光源光量を一定にし安定した蛍光発光のえられる微生物計測装置1を提供することを目的とする。
【解決手段】蛍光染色試薬を用いて染色し、励起光を照射して蛍光発光させ、検体中に存在する微生物数を計測する装置において、光源用温度センサー8を備えることで、励起光源103の温度を計測し光源の温度変化による光源光量の温度補正を制御用パソコン4を用いることで行い、光量センサー7と光量センサー用温度センサー9を備えることで、光源光量の計測と光量センサー7の温度変化による温度補正を制御用パソコン4もちいることで行うことにより、より精度の高い励起光源光量の温度補正ができ、安定した蛍光発光が得られる微生物計測装置1が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を蛍光染色し、励起光を照射し蛍光させ、その蛍光箇所の個数や面積を計測することによって微生物の個数を計測する微生物計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の微生物計測装置としては、特許文献1に示されたものが知られている。
【0003】
以下、この種の微生物計測装置について図5を参照しながら説明する。
【0004】
微生物計測装置101としては、微生物を蛍光染色試薬で染色したもの保持した蛍光染色検体102とし、励起光源103より励起光を発生し、励起光分光フィルター104で分光し、光の方向を変えるプリズム105を介して蛍光染色検体102に照射し、蛍光染色検体102上の染色された微生物が前記励起光により発生する蛍光を対物レンズ106により集光し、プリズム105および蛍光のみを分離する蛍光分光フィルター107を介して撮影手段108内に伝達し撮影手段108内で蛍光画像を撮影しその撮影画像を通信ケーブル109を介して微生物判断手段110におくり微生物の個数を計測する微生物計測装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−340072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の微生物計測装置では、励起光源に温度による影響を受ける素子を使用すると光源の周囲温度が変化し光源の光量も変化する。そのため、励起光源光量が一定にならず、よって励起光源により発生する蛍光量も安定しづらいという課題があり、蛍光発光量を安定させるということが要求されている。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、励起光源光量を一定にし安定した蛍光発光の得られる微生物計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微生物計測装置は、上記目的を達成するため、蛍光染色された検体中の微生物の個数を計測する装置において、蛍光染色された検体を蛍光させる光源と、光源の周囲温度を計測する温度センサーと、蛍光と光源の光を分離するための分光フィルターと、分光フィルターを透過する蛍光を集光する体物レンズと、体物レンズに集光された蛍光を撮影する撮影手段と、蛍光染色検体を水平に移動させ光源の照射位置を順次変えて検体移動手段と、光源の点灯または/および消灯または/および光量調整または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離等を制御する制御装置と、制御装置への光源の点灯または/および消灯または/および光量調整値または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離値または/および移動の指令を送るためのパソコンを備え、温度センサーにより光源の周囲温度を検出し、パソコンにより検出した温度と光源の温度特性をパソコンで比較し、周囲温度と温度特性の差の補正値を計算し、パソコンから制御装置へ光源の出力光量の変動の補正を行うよう指示して光源光量の一定化を行う構成としたものである。
【0008】
この構成により、励起光源の周囲温度を温度センサーが検出し、その温度による光源の出力を調整し、どの温度でも出力を一定にでき、励起光源を安定させることができるので、検体から発生する蛍光発行量も安定できる微調整微生物計測装置を提供できる。
【0009】
また他の手段は、温度センサーを微生物計測装置内に設置した構成としたものである。
【0010】
この構成により、微生物計測装置内の温度を正確に計測することができ、こう励起光源の温度補正をより正確にできる微生物計測装置を提供できる。
【0011】
また他の手段は温度センサーを光源に使用する素子の近傍においた構成としたものである。
【0012】
この構成により、光源の発光素子の周囲温度を計測することができ、さらに高精度に光源の温度補正ができる温度微生物計測装置を提供できる。
【0013】
また他の手段は、蛍光染色された検体中の微生物の個数を計測する装置において、蛍光染色された検体を蛍光させる光源と、光源から照射される光の量を計測する光量センサーと、蛍光と光源の光を分離するための分光フィルターと、分光フィルターを透過する蛍光を集光する体物レンズと、体物レンズに集光された蛍光撮影する撮影手段と、蛍光染色検体を水平に移動させ光源の照射位置を順次変えて検体移動手段と、光源の点灯または/および消灯または/および光量調整または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離等を制御する制御装置と、制御装置への光源の点灯または/および消灯または/および光量調整値または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離値または/および移動の指令を送るためのパソコンを備え、光量センサーにより光源の光量を計測し、パソコンにより計測した光量と光源の設定光量をパソコンで比較し、指定光量と計測した光量の差を計算し、パソコンから制御装置へ光源の出力光量の変動の補正を行うよう指示して光源光量の一定化を行う構成としたものである。
【0014】
この構成により、光量センサーにより励起光源の光量を直接計測することができ、光源の周囲温度の変化等で設定光量からずれた場合でも光量を計測し設定光量に調整することでいつでも安定した光源光量がえられる微生物計測装置が提供できる。
【0015】
また他の手段は、光量センサーの周囲温度を計測し光量センサーの温度による特性のずれを補正する温度センサーを備えた構成としたものである。
【0016】
この構成により、光量センサーの温度特性による誤差を調整することができ、より高精度な励起光量の出力ができる微生物計測装置が提供できる。
【0017】
また他の手段は、光量センサーを半導体フォトセンサーとした構成としたものである。
【0018】
この構成により、光の量を電気信号として処理できる微生物計測装置を提供できる。
【0019】
また他の手段は、光量センサーをエリアセンサー(CCD)とした構成としたものである。
【0020】
この構成により、励起光の照射エリア内の光強度の分布を計測でき、光強度の分布に応じた蛍光強度の補正が可能になり、蛍光強度のバラツキの少ない微生物計測装置を提供できる。
【0021】
また他の手段は、光量センサーを検体移動手段内に備えた構成としたものである。
【0022】
この構成により、パソコンより検体移動手段に移動位置を指示することで、光量センサーに検体に照射するのと同様な状態で励起光を光量センサーに照射でき、検体に与える光量と同じ光量の計測が可能な微生物計測装置を提供できる。
【0023】
また他の手段は、光量センサーを着脱可能とした構成としたものである。
【0024】
この構成により、検体と光量センサーを同じ場所に置くことができ、検体に与える光量と同じ光量を計測できる微生物計測装置が提供できる。
【0025】
また他の手段は、光量センサーの取り付け位置の高さ方向の微調整を可能とした構成としたものである。
【0026】
この構成により、検体の位置とセンサーの位置の高さ方向のずれを補正しより高精度な光量設定の可能な微生物計測装置が提供できる。
【0027】
また他の手段は、光量センサーの取り付け位置の左右方向の微調整を可能とした構成としたものである。
【0028】
この構成により、検体の位置とセンサーの位置の左右方向のずれを補正しより高精度な光量設定の可能な微生物計測装置が提供できる。
【0029】
また他の手段は、光量センサーの取り付け位置の前後方向の微調整を可能とした構成としたものである。
【0030】
この構成により、検体の位置とセンサーの位置の前後方向のずれを補正しより高精度な光量設定の可能な微生物計測装置が提供できる。
【0031】
また他の手段は、温度センサーを励起光源近傍と微生物装置内に備えた構成としたものである。
【0032】
この構成により、励起光源素子近傍の温度が変化したことと、光量センサーの周囲温度が変化したことを検知することができ、その変化した温度に対応した光量を調整することができ、高精度な光量設定が可能な微生物計測装置が提供できる。
【0033】
また他の手段は、温度センサーを励起光源近傍と光量センサー近傍に備えた構成としたものである。
【0034】
この構成により、励起光源素子近傍の温度は変化したことと、光量センサーの近傍の温度が変化したことを検知することができ、その変化した温度に対応した光量を調整することができ、より高精度な光量設定が可能な微生物計測装置が提供できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、温度変化による設定光量のずれを、温度センサーにより励起光源、光量センサーの温度特性による光量変動を補正でき、かつ、光量センサーにより励起光源光量を数値的に調整でき、高精度に励起光源光量を設定でき、安定した励起光量により安定した蛍光発光がえられるという効果のある微生物計測装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の請求項1記載の発明は、蛍光染色された検体中の微生物の個数を計測する装置において、蛍光染色された検体を蛍光させる光源と、光源の周囲温度を計測する温度センサーと、蛍光と光源の光を分離するための分光フィルターと、分光フィルターを透過する蛍光を集光する体物レンズと、体物レンズに集光された蛍光を撮影する撮影手段と、蛍光染色検体を水平に移動させ光源の照射位置を順次変えて検体移動手段と、光源の点灯または/および消灯または/および光量調整または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離等を制御する制御装置と、制御装置への光源の点灯または/および消灯または/および光量調整値または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離値または/および移動の指令を送るためのパソコンを備え、温度センサーにより光源の周囲温度を検出し、パソコンにより検出した温度と光源の温度特性をパソコンで比較し、周囲温度と温度特性の差の補正値を計算し、パソコンから制御装置へ光源の出力光量の変動の補正を行うよう指示して光源光量の一定化を行うことにより、励起光源の温度を検出し、励起光源の温度による変動を補正できるという作用を有する。
【0037】
本発明の請求項2記載の発明は、温度センサーを微生物計測装置内に設置したことで、装置内部の温度を計測しより光源に近い温度が計測でき、精度の高い温度光源の温度補正ができるという作用を有する。
【0038】
本発明の請求項3記載の発明は、温度センサーを光源に使用する素子の近傍に設置したことにより、光源の素子のそのものの温度が計測できより精度の高い光源の温度補正ができるという作用を有する。
【0039】
本発明の請求項4記載の発明は、蛍光染色された検体中の微生物の個数を計測する装置において、蛍光染色された検体を蛍光させる光源と、光源から照射される光の量を計測する光量センサーと、蛍光と光源の光を分離するための分光フィルターと、分光フィルターを透過する蛍光を集光する体物レンズと、体物レンズに集光された蛍光撮影する撮影手段と、蛍光染色検体を水平に移動させ光源の照射位置を順次変えて検体移動手段と、光源の点灯または/および消灯または/および光量調整または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離等を制御する制御装置と、制御装置への光源の点灯または/および消灯または/および光量調整値または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離値または/および移動の指令を送るためのパソコンを備え、光量センサーにより光源の光量を計測し、パソコンにより計測した光量と光源の設定光量をパソコンで比較し、指定光量と計測した光量の差を計算し、パソコンから制御装置へ光源の出力光量の変動の補正を行うよう指示して光源光量の一定化を行うことにより、温度による光源出力の変動の補正、光源の経年変化による出力の変動等を補正できるという作用を有する。
【0040】
本発明の請求項5記載の発明は、光量センサーの周囲温度を計測し光量センサーの温度による特性のずれを補正する温度センサーを備えたことで、周囲温度の変化が起こったときに光源の温度変化による出力の補正が適時にでき、より高精度な光源の出力補正ができるという作用を有する。
【0041】
本発明の請求項6記載の発明は、光量センサーを半導体フォトセンサーとしたことで、励起光源の強さを電気信号に変換できるという作用を有する。
【0042】
本発明の請求項7記載の発明は、光量センサーをエリアセンサーとしたことで、励起光の照射エリアの強度分布を検知することができ、強度分布に応じた、蛍光発光強度の補正ができるという作用を有する。
【0043】
本発明の請求項8記載の発明は、光量センサーを検体移動手段内に備えたことで、逐次光源光量の状態を計測することができるという作用を有する。
【0044】
本発明の請求項9記載の発明は、光量センサーを着脱可能としたことで、検体と光量センサーを同じ場所に置くことができ、検体に与える光量と同じ光量を計測できるという作用を有する。
【0045】
本発明の請求項10記載の発明は、光量センサーの取り付け位置の高さ方向の微調整ができる機構を備えたことで、検体の位置とセンサーの位置の高さ方向のずれを補正できるため、より正確な光源光量の補正ができるという作用を有する。
【0046】
本発明の請求項11記載の発明は、光量センサーの取り付け位置の左右方向の微調整ができる機構を備えたことで、検体の位置とセンサーの位置の左右方向のずれを補正できるため、より正確な光源光量の補正ができるという作用を有する。
【0047】
本発明の請求項12記載の発明は、光量センサーの取り付け位置の前後方向の微調整ができる機構を備えたことで、検体の位置とセンサーの位置の前後方向のずれを補正できるため、より正確な光源光量の補正ができるという作用を有する。
【0048】
本発明の請求項13記載の発明は、温度センサーを励起光源近傍と微生物装置内に備えた構成としたことで、励起光源素子近傍の温度が変化したことと、光量センサーの周囲温度が変化したことを知ることができ、その変化した温度に対応した光量を調整することができるという作用を有する。
【0049】
本発明の請求項14記載の発明は、温度センサーを励起光源近傍と光量センサー近傍に備えた構成としたことで、励起光源素子近傍の温度は変化したことと、光量センサーの近傍の温度が変化したことを知ることができ、その変化した温度に対応した光量を調整することができ、より高精度な光量設定ができるという作用を有する。
【0050】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0051】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の構成図の一例である。図1に示すように、微生物計測装置1内に、微生物を蛍光染色検体102に励起光を供給する励起光源103と、励起光源103からの励起光を励起波長のみに分光する励起光分光フィルター104と、励起光分光フィルター104を介した光の進行方向を変えるプリズム105と、プリズム105より進行方向を変えられた光により蛍光染色検体102上の染色された微生物が励起され、発生する蛍光を集光する対物レンズ106と、プリズム105および、蛍光のみを分離する蛍光分光フィルター107を介して到達した蛍光を撮影する撮影手段108内と、撮影手段108内撮影された蛍光画像の画像の取り込み、撮影時間制御、励起光源103の点灯消灯制御、励起光源103の電源供給等を行う制御装置2と微生物計測装置1内の温度を測定する温度センサー3と撮影手段108の撮影タイミングの指示機能、励起光源103の光量設定値の指示する機能、温度センサー3からの温度と、励起光源103の温度特性を比較する機能等を備えたと制御パソコン4と微生物計測装置1が計測できる蛍光染色検体102上の計測面積を増やすために蛍光染色検体を移動させる検体移動手段5と、制御装置2、温度センサー3、励起光源103、検体移動手段5とをリンクさせる、接続線6とを備えた構成としたものである。励起光源103としては、蛍光を励起できればよく、例えばLED、水銀ランプなどがある。
【0052】
上記構成において、励起光源103で出力した励起光は、励起光分光フィルター104で、蛍光励起成分のみを透過させ、プリズム105で直角に対物レンズ106にむかって、進む。対物レンズ106で、蛍光染色検体102上に集光されて、照射される。照射された光で、蛍光染色検体102は励起され、蛍光を発生する。発生した蛍光は、体物レンズ106で集光され、プリズム105を透過して蛍光成分のみを透過させる蛍光分光フィルター107を透過し、撮影手段108に結像され、画像データとして取り込まれる。撮影手段108で取り込まれた蛍光画像データは、接続線6を介して制御装置2に送信され、撮影エリアの画像としてデータ化される。制御装置2で画像化した蛍光画像は、接続線6を介して制御パソコン4に送られ、画像中の蛍光発光点を計測し、微生物の個数を計算し表示する。
【0053】
制御装置2は、励起光源103、温度センサー3、検体移動手段5への電源供給を行う。温度センサー3は、装置内の温度を計測するもので、温度センサー3で計測された値は、制御装置2でデータ化され、制御パソコン4で、励起光源103の発光素子の温度特性データと比較され、温度による出力変動分を計算し、制御装置2へ励起光源103に対する補正値を伝える。
【0054】
制御装置2は、伝えられた補正値により励起光源103に供給する電力値を補正して、一定の光量を出力するよう調整する。このようなわけで、安定した励起光源光量が得られ、励起光源光量が安定していることで、蛍光発光も安定するため、蛍光発光の安定した微生物計測装置1が供給できる。
【0055】
また、温度センサー3を励起光源103の発光素子の近傍に設置することで、発光素子のより正確な周囲温度を得ることができ、その温度で励起光源103の温度補正をすることでより安定した励起光出力が得られ、より蛍光発光の安定した微生物計測装置が提供できる。ここでいう発光素子の近傍とは、半径3cm以内であることが望ましい。
【0056】
またここでいう、微生物とは、大腸菌、黄色ブドウ球菌などをさし、励起光源素子とは、LEDや水銀ランプなどをさし、蛍光染色検体に使用する染色試薬は、DAPI(1,4−ジアミジノ―2−フェニルインドール、)、PI(プロピディウムイオダイド)などをさし、これらの試薬は混合されてもよい。また、励起光分光フィルター104は紫外線や、青光など単一色の光を透過させるフィルターで、蛍光分光フィルター107は、青、緑、赤などの単一色光、もしくは、発生する蛍光波長を含みその波長より長波長の光を透過させるフィルターである。また、撮影手段108は、CCDカメラや、CMOSカメラなどを用い、温度センサー3は、サーミスタなどを用い、検体移動手段5は、電動駆動のXYステージなどを用いる。
【0057】
また、制御装置2は、撮影手段108内撮影された蛍光画像の画像の取り込み、撮影時間制御、励起光源103の点灯消灯制御、励起光源103の電源供給等を行うものであるが、これは、電源回路や画像取り込みようICや光源のON/OFFなどの点灯制御や撮影手段108の炉濃い時間制御等を行うようプログラムされたマイクロコンピューターや検体移動手段5を動作させるためのドライバーICを搭載したプリント基板をいう。
【0058】
図2は、実施の形態2の構成図の一例である。図2に示すように、微生物計測装置1は、図1の構成に対して、温度センサー3を削除し、光量センサー7を備えた構成としたものである。つまり、励起光の照射点に制御パソコン4から、制御装置2に光量センサー7を励起光照射点に来るように指示を出し、制御装置2は、検体移動手段5を動かし、光量センサー7に励起光が照射されるようにする。光量センサー7で得られた値を、制御装置2により、制御パソコン4用データに変換して送り、制御パソコン4は、光量の設定値を比較し、差があれば、制御装置2に光源供給電力を調整するように指示を出す。
【0059】
この構成により、光量を逐次計測することができ、常に一定の励起光源光量が出力され、安定した蛍光発光の得られる微生物計測装置1が提供できる。
【0060】
ここで、光量センサー7としては、半導体フォトセンサー、CCDエリアセンサーなどを用いる。
【0061】
フォトセンサーを用いた場合は、光信号を電気信号に変えて、光量を計測することとなる。また、CCDエリアセンサーを用いた場合は、CCDの各素子にあたる光の量を計測できるため、励起光の照射点の光量分布を計測することができる。本来は一様な光量分布が理想であるが、光量分布があったとしても、光量分布がわかることで励起光照射場所に応じた蛍光光量の補正が行えるので、より安定した蛍光画像を所得することができる。
【0062】
たとえば、励起光の照射エリアの左隅が、中央に比べて70%の光量であったとすれば、この位置で励起されて発生した蛍光光量は、中央の70%になる。よって中央との励起光との光量比の分だけ蛍光光量を補正することで、中央と同じ蛍光光量をえることができる。この場合は、左隅の蛍光光量を0.7で割った数値にすることで、補正は完了する。このときの蛍光光量の計測は、撮影手段108により輝度値として計測される。
【0063】
図3は、実施の形態3の構成図の一例である。図3に示すように、図2に対して、温度センサー3を備えた構成としたものである。
【0064】
微生物計測装置内の温度は、温度センサー3で計測され、この計測された温度は、接続線6を介して制御装置2へ送られ、制御装置2で制御パソコン4が認識できるデータに変換し、制御パソコン4に送られ、制御パソコン4にて励起光源103の温度特性と、光量センサー7の温度特性を微生物計測装置1内温度と比較し、差があれば、制御装置2に、励起光源103光量の補正指示と、光量センサー7への補正指示をだす。
【0065】
上記構成により、微生物計測装置1内の温度を計測するので、微生物計測装置1内の温度変化があった時に適時に、光量の調整をすればよくなることと、光量センサー7の温度特性も補正できるので、効率的で、高精度な微生物計測装置1が提供できることとなる。
【0066】
図4は、実施の形態4の構成図の一例である。図4に示すように、図3に対して、光源用温度センサー8と光量センサー用温度センサー9をそれぞれ、励起光源103の近傍、光量センサー7の近傍に備えた構成としたものである。
【0067】
光源用温度センサー8と、光量センサー用温度センサー9で励起光源103、光量センサー7付近の温度を計測できるので、より精度の高い光源の温度補正と光量センサーの温度補正ができる。光源用温度センサー8、光量センサー用温度センサー9により計測された温度は、接続線6を介して制御装置2へ送られ、制御装置2で制御パソコン4が認識できるデータに変換し、制御パソコン4に送られ、制御パソコン4にて励起光源103の温度特性と、光量センサー7の温度特性を微生物計測装置1内温度と比較し、それぞれ差があれば、制御装置2に、励起光源103光量の補正指示と、光量センサー7の補正指示をだす。
【0068】
上記構成により、光源用温度センサー8と光量センサー用温度センサー9を備えたことで、それぞれ光源の近傍、光量センサーの近傍の温度を計測できるので、励起光源103や光量センサー7の温度変化があった時に適時に、光量の調整をすればよくなることと、光量センサー7の温度特性も適時に補正できるので、効率的であり、励起光源103と光量センサー7の近傍の温度を計測することでさらに高精度な励起光源103、光量センサー7の温度補正のできる微生物計測装置1が提供できることとなる。
【0069】
この構成で使用する光源用温度センサー8、光量センサー用温度センサー9の一例としてサーミスタがある。
【0070】
また、この場合の近傍とは、計測対象の3cm以内が望ましい。
【0071】
また、光量センサー7の位置を上下、前後、左右と微妙に調整する機構を設けることにより、さらに精度のよい励起光の光量計測ができ、より正確な補正が可能となる。
【0072】
微生物計測装置1間の機体差によるバラツキもより正確に吸収できるようになる。
【0073】
また、この場合の微調整とは、少なくも10μm単位以下で動かすことようにする調整である。
【0074】
また、光量センサー7を上記実施の形態では、蛍光染色検体102の設置位置の横に置いたが、この位置に関しては、検体移動手段5内であれば、どこにあっても同じ作用効果が得られる。
【0075】
また、光量センサー7は蛍光染色検体102と同じ位置に取り付け、取り外しが可能となるようにしてもよい。このように取り付け取り外しを可能とすることで、蛍光染色検体102と光量センサー7を同じ場所に置くことができ、検体に与える光量と同じ光量を計測できる、精度の高い光量測定が可能となり。蛍光発光光量の安定した微生物計測装置1が提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の微生物計測装置は、検体に蛍光染色を行い、微生物の蛍光発光を用いて微生物の個数を計測する場合において、励起光源の温度補正を行うことで、一定した励起光、安定した蛍光発光をえられる微生物計測装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態1の微生物計測装置の一例の構成図
【図2】本発明の実施の形態2の微生物計測装置の一例の構成図
【図3】本発明の実施の形態3の微生物計測装置の一例の構成図
【図4】本発明の実施の形態4の微生物計測装置の一例の構成図
【図5】従来技術の微生物計測装置の構成図
【符号の説明】
【0078】
1 微生物計測装置
2 制御装置
3 温度センサー
4 制御パソコン
5 検体移動手段
6 接続線
7 光量センサー
8 光源用温度センサー
9 光量センサー用温度センサー
101 微生物計測装置
102 蛍光染色検体
103 励起光源
104 励起光分光フィルター
105 プリズム
106 対物レンズ
107 蛍光分光フィルター
108 撮影手段
109 通信ケーブル
110 微生物判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光染色された検体中の微生物の個数を計測する装置において、蛍光染色された検体を蛍光させる光源と、光源の周囲温度を計測する温度センサーと、蛍光と光源の光を分離するための分光フィルターと、分光フィルターを透過する蛍光を集光する体物レンズと、体物レンズに集光された蛍光を撮影する撮影手段と、蛍光染色検体を水平に移動させ光源の照射位置を順次変えて検体移動手段と、光源の点灯または/および消灯または/および光量調整または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離を制御する制御装置と、制御装置への光源の点灯または/および消灯または/および光量調整値または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離値または/および移動の指令を送るためのパソコンを備え、温度センサーにより光源の周囲温度を検出し、パソコンにより検出した温度と光源の温度特性をパソコンで比較し、周囲温度と温度特性の差の補正値を計算し、パソコンから制御装置へ光源の出力光量の変動の補正を行うよう指示して光源光量の一定化を行う微生物計測装置。
【請求項2】
温度センサーを微生物計測装置内に設置した請求項1記載の微生物計測装置。
【請求項3】
温度センサーを光源に使用する素子の近傍に設置した請求項1記載の微生物計測装置。
【請求項4】
蛍光染色された検体中の微生物の個数を計測する装置において、蛍光染色された検体を蛍光させる光源と、光源から照射される光の量を計測する光量センサーと、蛍光と光源の光を分離するための分光フィルターと、分光フィルターを透過する蛍光を集光する体物レンズと、体物レンズに集光された蛍光撮影する撮影手段と、蛍光染色検体を水平に移動させ光源の照射位置を順次変えて検体移動手段と、光源の点灯または/および消灯または/および光量調整または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離を制御する制御装置と、制御装置への光源の点灯または/および消灯または/および光量調整値または/および撮影手段の露光時間または/および検体移動手段の移動距離値または/および移動の指令を送るためのパソコンを備え、光量センサーにより光源の光量を計測し、パソコンにより計測した光量と光源の設定光量をパソコンで比較し、指定光量と計測した光量の差を計算し、パソコンから制御装置へ光源の出力光量の変動の補正を行うよう指示して光源光量の一定化を行う微生物計測装置。
【請求項5】
光量センサーの周囲温度を計測し光量センサーの温度による特性のずれを補正する温度センサーを備えた請求項4に記載の微生物計測装置。
【請求項6】
光量センサーを半導体フォトセンサーとした請求項4または5に記載の微生物計測装置。
【請求項7】
光量センサーをエリアセンサーとした請求項4または5に記載の微生物計測装置。
【請求項8】
光量センサーを検体移動手段内に備えた請求項4乃至7のいずれかに記載の微生物計測装置。
【請求項9】
光量センサーを着脱可能とした請求4乃至8のいずれかに記載の微生物計測装置。
【請求項10】
光量センサーの取り付け位置の高さ方向の微調整を可能とした請求項4乃至9のいずれかに記載の微生物計測装置。
【請求項11】
光量センサーの取り付け位置の左右方向の微調整を可能とした請求項4乃至10のいずれかに記載の微生物計測装置。
【請求項12】
光量センサーの取り付け位置の前後方向の微調整を可能とした請求項4乃至11のいずれかに記載の微生物計測装置。
【請求項13】
温度センサーを励起光源近傍に備えた請求項4乃至12のいずれかに記載の微生物計測装置。
【請求項14】
温度センサーを光量センサーの近傍に備えた請求項4乃至13のいずれかに記載の微生物計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−145276(P2008−145276A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333002(P2006−333002)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】