説明

微粒子の計測方法

【課題】浮遊微粒子をトラップした際、そのトラップ量が微量であるとしても、分光計測に必要な量の微粒子を確保すること。
【解決手段】計測エリア内を浮遊する微粒子をサンプル上にトラップする第1ステップと、上記ステップでサンプル上のほぼ全域にトラップされて存在する微粒子を該サンプル上の所定小エリアに集積する第2ステップと、上記ステップで上記サンプルの所定の小エリアに集積している微粒子を分光的手段にて計測する第3ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の計測方法にかかり、特には、計測エリア内を浮遊する微粒子を計測することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空中等を浮遊する微粒子には多種多様な物質が含まれている。また、微粒子サイズも多種多様であり、肉眼で観察できるサイズから肉眼で観察不可能なサイズまである。このような微粒子のうち、例えば、CNT(カーボンナノチューブ)はその微粒子サイズがnmオーダーであり、そのため製造段階で人体への曝露を避けるため定量的に計測することが好ましいとされている。CNTに限らず、空中等を浮遊する微粒子を計測するに際しては、その計測の目的のいかんにかかわらず、まず、微粒子をトラップすることが必要である。
【0003】
しかしながら、微粒子サイズがnmオーダーではトラップすること自体が困難である一方、微粒子をトラップし得たとしても、分光計測を行うに必要とする量を確保することが困難である。さらには、微粒子のトラップ量が微量であるために、分光計測に必要な感度を得ることも困難である。なお、上記した微粒子をトラップする方法は種々提案されているが、上記困難を十分に解決しえたものはなかった。なお、特許文献1を下記する。
【特許文献1】特開2005−055299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明においては、浮遊微粒子をサンプル上にトラップした際、そのトラップ量が微量であるとしても、分光計測を行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる微粒子計測方法は、計測エリア内を浮遊する微粒子をサンプル上にトラップする第1ステップと、上記第1ステップでサンプル上にトラップされて存在する微粒子を該サンプル上の所定小エリアに集積する第2ステップと、上記第2ステップで上記サンプルの所定の小エリアに集積している微粒子を分光的手段にて計測する第3ステップと、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明では、特に、第2ステップで微粒子をトラップフィルタ上の所定小エリアに集積する方法として、微粒子を溶媒表面に再分散させ、溶媒を蒸発させる際による微粒子の再凝集の効果や、さらには、溶媒中に浮遊している微粒子を光放射圧の作用や、基板上において、基板の凹凸、親和性により液滴を集積させることにより、微粒子の濃縮を助長させることなどが有効である。
【0007】
こうして微粒子をトラップフィルタ上の所定小エリアに集積させた場合では、微粒子濃度が大きくなり、微粒子計測に好ましい。また、上記集積した微粒子をラマン増感等の増感処理し、増感処理した微粒子を分光的手段で分光して計測するので、浮遊微粒子が微量であっても、その微量の微粒子を効率的に計測することができる。
【0008】
好ましくは、上記第3ステップの実施前に、上記微粒子に分光計測上の感度を増すための増感処理を施す、ことである。
【0009】
本発明方法では、第1ステップで浮遊微粒子に計測対象外の微粒子がトラップされても、第2ステップにより、計測対象の微粒子を他の微粒子と区別して集積することができると共に、微粒子計測に必要な量の微粒子を所定小エリアに集積して確保することができる。
【0010】
なお、本発明は、分光の形態に限定されるものではなんらなく、また、微粒子も、その浮遊形態になんら限定されるものではなく、気中、液中を問わない。
【0011】
さらには、本発明は、微粒子の種類にはなんら限定されない。微粒子の一例としては、例えば、気中、液中に浮遊する炭素系微粒子、有機物含有微粒子、無機物からなる微粒子を例示することができる。炭素系微粒子には例えばCNTがある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浮遊微粒子をトラップした際、そのトラップ量が微量であるとしても、分光計測に必要な量の微粒子を集積して確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る微粒子の計測方法を詳細に説明する。なお、この実施の形態では微粒子としてCNTを例に挙げるが、本発明はあらゆる微粒子の計測に適用できるものであり、CNTに限定されない。
【0014】
図1は、同方法を実施する各処理ステップを示す。この計測方法は、図1で示すように、浮遊微粒子の一例であるCNTをトラップするCNTトラップ処理ステップと、上記CNTトラップ処理ステップでトラップしたCNTを小エリアに集積するCNT集積処理ステップと、上記CNT集積処理ステップで集積したCNTにラマン分光感度を増感させるラマン増感材である金属ナノ粒子を添加するラマン増感処理ステップと、上記ラマン増感処理ステップでラマン分光感度が増感したCNTに対してラマン分光を行うことによりCNT浮遊量を定量計測するラマン分光処理ステップと、を含む。
【0015】
図2を参照して、上記CNTトラップ処理ステップを説明すると、1はCNTトラップ処理ステップの実現手段としてのCNTトラップ装置である。このCNTトラップ装置1は、CNT計測エリア3内の適所に配置され、その計測エリア3内に浮遊するCNT9をトラップ(捕集、捕獲)するものである。CNT計測エリア3は例えばCNT9を扱う作業者等が居るクリーン環境とされたエリアであり、その計測エリア3内には上記作業等によりCNT9が浮遊していると仮定する。また、クリーン環境ではあるが、CNT9以外の粒子も浮遊している可能性はある。
【0016】
CNTトラップ装置1は、CNT9をトラップするために、少なくとも、円筒状のフィルタケース5と、CNTトラップフィルタ7とを具備している。フィルタケース5は、ケース上部でCNT導入の広い間口を構成する円筒状大径部分5aと、ケース下部でCNTを濃縮する狭い間口を構成する円筒状小径部分5bと、大径と小径両部分5a,5bを連成する、下方へ漸次に縮径する連成部分5cとを有し、その小径部分5b内部にCNTトラップフィルタ7が当該小径部分5b内を閉塞する状態でかつ着脱可能に装着されている。この着脱構造は図示を略している。この着脱は自動的に行われる構成としてもよい。
【0017】
CNT計測エリア3内を浮遊するCNT9は、CNTトラップ装置1のフィルタケース5の大径部分5aの広い間口に導入されると共にその内部通路を自重落下していくと共に、ケース下部の小径部分5bの狭い間口に装着しているCNTトラップフィルタ7でトラップされる。
【0018】
CNTトラップフィルタ7の構造を図3を参照して説明する。図3(a)はCNTトラップフィルタ7のSEM写真一部を模式的に示す平面図、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図を示す。
【0019】
CNTトラップフィルタ7は、CNTが通過できない孔径をもつ細孔を多数有する多孔体、実施の形態では、多孔質ガラスで構成されている。多孔質ガラスの作製法としては、ガラスの分相による方法、ゾルゲル法による方法、均一粒子の焼結による方法等がある。図3で示す多孔質ガラスは、ガラスの分相による方法により作製されたものである。
【0020】
図3(a)中、黒色で表示される箇所は多孔質ガラスの細孔部分であり、白色で表示される箇所は多孔質ガラス部分である。この多孔質ガラスの細孔径は6nmないし100nmで分布している。この多孔質ガラスは、SiO2(50−70重量%):B23(20−40重量%):Na2O(5−15重量%)を主成分とする母材ガラス(ホウケイ酸ガラス)をガラス転移点以上、軟化点以下の温度(通常500℃−650℃)で熱処理した後、酸、アルカリによるエッチングを経て作られる。このようにして製造された多孔質ガラスは、石英ガラスのスポンジ構造を有する。このように実施の形態の多孔質ガラスは上記のようにして作られた高ケイ酸タイプの多孔質ガラスである。この多孔質ガラスは多数の細孔を有しており、その細孔径は、上記母材ガラスの組成、分相の熱処理条件、等により制御することができる。
【0021】
CNTトラップ装置1のフィルタケース5は、上記したごとく、上部が大径で、下部が小径で、かつ、その小径部分5bにCNTトラップフィルタ7を装着したので、CNTトラップフィルタ7のフィルタ面積は、フィルタケース5上部の大径部分5aの開口面積より小さく、これによりCNT9をそのフィルタ面にトラップし濃縮することができる。
【0022】
CNT9は、自重によりCNTトラップフィルタ7のフィルタケース5内に導入されるが、下方から図示略の気流吸い込みポンプで吸い込ませるようにすることで、さらに短時間でCNTトラップフィルタのフィルタケース5内に導入させやすくなる。
【0023】
ただし、その場合のCNT9の単位時間当たりのトラップ量はCNT計測エリア3内に居る作業者が単位時間当たりに吸引する可能性があるCNT量より多くなるので、作業者が単位時間当たりに吸引する可能性があるCNT量を測定するには、そのトラップ量を補正する必要がある。
【0024】
CNTトラップフィルタ7にはそのフィルタ面全域の広い範囲でCNT9がトラップされている一方、ラマン分光ではCNTトラップフィルタ7のフィルタ面上の一部小エリアに光照射するので、ラマン分光に必要なCNT9のトラップ量としては不足する。そこで、CNTトラップフィルタ7のフィルタ面上の所定小エリアにCNT9を集積してラマン分光効率を上げるため、CNT9を、図4で示す次の処理ステップであるCNT集積処理ステップで、CNTトラップフィルタ7のラマン分光処理に適した小エリア内に集積する。
【0025】
このようなCNT集積処理ステップを、図4を参照して、説明する。まず、図4(a)で示すように、CNTトラップフィルタ7上には、上記CNTトラップ処理ステップにより、CNTトラップフィルタ7のフィルタ面上へのCNT9の自然落下により、そのフィルタ面全域の広い範囲でCNT9が散在してトラップされている。
【0026】
そして、図4(b)で示すように、CNTトラップフィルタ7上にCNT分散媒の例としてエタノール11を滴下治具13を用いて滴下する。滴下したエタノール11a中に、CNTトラップフィルタ7上のCNT9を分散させる。
【0027】
次いで、図4(c)で示すように、CNTトラップフィルタ7上のCNT9に対して光照射15を行い、この光照射15による力学的作用でCNT7を一定の小エリアに集積させる。例えば、本出願人の実験では、CNT9が直径10mmの広いエリアの円内に散在していたと仮定すると、直径0.1mmの小エリアの円内にCNT9を集積して10000倍に濃縮させることができた。この力学的作用は、CNTトラップフィルタ7上のCNT9に光照射15したときに発生する光放射圧による。この光放射圧の作用方向を操作してCNT9を図4(d)で示すように小エリアに集積させる。この光放射圧によるCNT9の集積作用を説明すると、まず、CNTトラップフィルタ7上のエタノール溶媒11a中への光照射15でエタノール溶媒11a中を伝播する光が屈折率の異なる媒質であるCNT9中に侵入する際、屈折により光の進路方向が変化する。この変化がCNT9には反作用力の光放射圧として働く。この光放射圧が働く方向は、エタノール溶媒11aとCNT9との屈折率関係で決まる。この光放射圧の操作制御によりCNT9を小エリアに集積させることができる。
【0028】
小エリア内にCNT9が集積すると、エタノール溶媒11aを図4(e)で示すように気化させる。こうしてCNTトラップフィルタ7の所定小エリア上にCNT9が集積され濃縮化される。
【0029】
次に、CNT集積処理ステップで小エリア内に集積したCNT9にラマン分光感度を増感させるラマン増感材を添加するラマン増感処理ステップを行う。このラマン増感処理ステップを、図5を参照して説明すると、図5(a)で示すように金や銀等の金属超微粒子(金属ナノ粒子)17aを含むラマン増感材液17を滴下治具19を用いて、CNTトラップフィルタ7上に図4(e)のように集積しているCNT9上に、滴下する。
【0030】
そして、この金属ナノ粒子17aに図5(b)で示すように光照射21すると、金属ナノ粒子17aに表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)が起きる。
【0031】
この表面プラズモン共鳴は、金属ナノ粒子17a表面に光照射21した際に、金属ナノ粒子17a表面の自由電子が励起状態になり、自由電子が図5(c)で示すように集団17bで振動することで、表面プラズモン波が発生し、強い電場が発生する現象である。
【0032】
この場合、CNT9もこの集団17bと共に振動することになる。このようにして上記集積したCNT9上に、銀等の金属ナノ粒子17aを含む溶液を滴下し、光照射21することで、金属ナノ粒子17a表面にプラズモン共鳴を起こさせ、ラマン散乱光強度を表面増強(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)させることができる。
【0033】
次に、ラマン分光処理ステップでは、CNTトラップフィルタ7上でラマン増感処理ステップでラマン散乱光強度が増強したCNT9に対してラマン分光する。ラマン分光については、物質にある波長の光を照射すると、その光と同じ波長の光(レイリー光)以外に、波長が少しずれた光(ラマン光)がごくわずかであるが散乱され、その波長のずれは物質特有であり、ラマン分光では、光照射21して散乱光のラマンスペクトルを測定する。
【0034】
このラマン分光を、図6を参照して、説明する。図6において、レーザ光源23からのレーザ照射光25をそれに対して45度傾けて設けたダイクロイックフィルタ27に照射する。ダイクロイックフィルタ27は、レーザ照射光25の特定波長光を反射するが、他の全ての波長光を通すので、レーザ照射光25は、ダイクロイックフィルタ27で90度反射され、対物レンズ29によってCNT9上に集光させられる。そして、CNT9から拡散する種々の波長の光が対物レンズ29で集光され、ダイクロイックフィルタ27を通過し、レーザ反射光28として、対物レンズ31からCCD検出器33で検出される。この場合、ダイクロイックフィルタ27は、レーザ照射光25と同じ特定波長で反射したレイリー散乱光を除き、他の波長に偏移したラマン光のスペクトルを通す。CCD検出器33で検出した信号は、解析部35で解析され、また、その解析結果としてモニタ装置37のモニタ画面上にはラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)が表示される。上記図6で示したラマン分光装置は一例であり、これに限定されない。
【0035】
図7は、そのラマンスペクトルを示す。ラマンスペクトルは、縦軸にラマン散乱光強度、横軸にラマンシフト(単位は波数、cm-1)をとったグラフで示される。このラマンスペクトルにおいて、1585(cm-1)付近にGピークと呼ばれる結晶性の高いグラファイトに見られるピークがあらわれ、1380(cm-1)付近にDピークと呼ばれるグラファイト結晶に存在する欠陥密度に見られるピークがあらわれる。実施の形態では、CNTトラップフィルタ7上に集積され、かつ、ラマン増感されたCNT9にレーザ照射光25を照射し、CNT9上での散乱光のうちラマン散乱光を計測することで、CNTトラップフィルタ7上のCNT9の量を計測することができる。
【0036】
そして、このCNT9の計測量から、計測エリア3内で浮遊するCNT9の浮遊量が判り、その浮遊量が一定以上超えていれば、CNT9の浮遊量が一定量以下となるように、計測エリア3内の清浄化等の制御を行う。
【0037】
図8は、実施の形態の計測方法を実施するためのCNT計測装置39であり、ハードウエア処理部39aと、ソフトウエア処理部39bとを具備する。ハードウエア処理部39aは、トラップステップを実施するためのCNTトラップ処理装置41と、CNTトラップフィルタ7上にトラップしたCNTを小エリアに集積するCNT集積処理装置43と、CNTトラップフィルタ7上に集積したCNTにラマン分光感度を増感させるラマン増感材を添加するラマン増感処理装置45と、ラマン分光感度を増感されたCNTに対してラマン分光を行うラマン分光処理装置47と、ラマン分光処理装置47による計測結果をモニタするモニタ装置49と、を具備する。
【0038】
CNTトラップ処理装置41は、図2、図3で説明したCNTトラップ装置1と同様の構成であるが、トラップ対象がCNTの場合では、CNTトラップに適したトラップフィルタをセットし、トラップ対象がCNT以外のCNTであれば、それぞれのCNTのトラップに適したトラップフィルタをセット可能にすることができる。このトラップフィルタは着脱ないし交換可能に装置41に設けることができる。
【0039】
CNT集積処理装置43は、図4で説明したCNTを光放射圧で集積させる装置であり、CNTにエタノール等の溶媒を滴下する滴下治具と、溶媒中のCNTに光照射する光照射装置と、溶媒気化装置とを具備する。
【0040】
ラマン増感処理装置45は、図5で説明したCNTのラマン分光感度を増強させる装置であり、CNTにエタノール等の溶媒を滴下する滴下治具と、溶媒中のCNTに光照射する光照射装置と、を具備する。
【0041】
ラマン分光処理装置47は、図6で説明した装置である。
【0042】
ソフトウエア処理部39bは、CPU(プロセッサ)49、ROM51、RAM53、操作部55、トラップ処理装置ドライバ57、CNT集積処理装置ドライバ59、ラマン増感処理装置ドライバ61、ラマン分光処理装置ドライバ63を具備する。
【0043】
CPU49は、CNT計測装置39全体の制御を司る。ROM51には、システムプログラムや上記各処理装置個々のアプリケーションプログラム等が格納されている。RAM53は、CPU49の作業等に用いたりする。操作部55は、装置パネルに配置されてユーザ操作されるキー等である。
【0044】
トラップ処理装置ドライバ57は、CNTトラップ処理装置41を駆動するものであり、CNTトラップ装置1の上部開口に蓋を設けた場合、その蓋の開閉、また、CNTトラップフィルタ7の着脱を行う機構を設けた場合、その機構を駆動する。
【0045】
CNT集積処理装置ドライバ59は、CNT集積処理装置43における滴下装置、光照射装置、CNTトラップフィルタのセット装置等を駆動する。
【0046】
ラマン増感処理装置ドライバ61は、ラマン増感処理装置45における滴下装置、光照射装置、等を駆動する。
【0047】
ラマン分光処理装置ドライバ63は、ラマン分光処理装置47におけるレーザ光源、CCD検出器、解析部、等を駆動制御する。
【0048】
モニタ装置ドライバ65は、モニタ装置49においてモニタ画面上へのラマンスペクトルの表示を制御する。
【0049】
以上説明したように本実施の形態では、空中を浮遊しているCNT9をCNTトラップフィルタ7上にトラップするCNTトラップ処理ステップと、上記CNTトラップ処理ステップでCNTトラップフィルタ7上にトラップされて散在するCNT9を所定小エリアに集積するCNT集積処理ステップと、上記CNTトラップフィルタ7の所定小エリアに集積しているCNT9をラマン分光により計測するラマン分光処理ステップと、を含み、上記CNT集積ステップは、上記CNTトラップフィルタ7上に溶媒を滴下して、CNT9を溶媒中に分散させると共に、上記溶媒中のCNT9に光照射して光放射圧を発生させ、この光放射圧でCNT9を所定小エリアに集積するように操作する操作ステップと、を含むので、空中浮遊するCNT9を他の粒子と区別して集積することができると共に、CNT9の計測に必要な量のCNT9を所定小エリアに集積して確保してラマン分光により浮遊CNT9を定量計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る微粒子計測方法を実施する各ステップを示す図である。
【図2】図2は同方法の中のトラップ処理ステップを実行するCNTトラップ装置を示す図である。
【図3】図3(a)はCNTトラップフィルタの平面、図3(b)はCNTトラップフィルタの断面を示す図である。
【図4】図4は同方法の中のCNT集積処理ステップの説明に供する図である。
【図5】図5は同方法の中の集積したCNTに対するラマン増感材の説明に供する図である。
【図6】図5はラマン分光法を実施する装置の概略構成を示す図である。
【図7】図7はモニタ画面上のラマンスペクトルを示す図である。
【図8】図8は微粒子計測方法を実施する計測装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 CNTトラップ装置
3 計測エリア
7 CNTトラップフィルタ
9 CNT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測エリア内を浮遊する微粒子をサンプル上にトラップする第1ステップと、
上記第1ステップでサンプル上にトラップされて存在する微粒子を該サンプル上の所定小エリアに集積する第2ステップと、
上記第2ステップで上記サンプルの所定の小エリアに集積している微粒子を分光的手段にて計測する第3ステップと、
を含むことを特徴とする微粒子計測方法。
【請求項2】
上記第3ステップの実施前に、上記微粒子に分光計測上の感度を増すための増感処理を施す、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1ステップでは、多孔質ガラスを、上記計測エリア内を微粒子が通過する通過路の途中に配置することで、微粒子をトラップする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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