説明

微細で鋭利な針状構造の規則配列体、及びその複製物の製造方法

【課題】任意の側壁角度を有する鋭利な針状構造の規則配列体を、精密な切削加工または研削加工とエッチング技術を併用することで、容易な手段で製造する。
【解決手段】単結晶シリコン基板11の表面に酸化膜21を形成する。ダイヤモンドホイールを用いた研削加工にて、テーパー角10°、深さ300ミクロンの溝12を加工し、更に、基板を90°回転して溝加工を行うことで、最終的に先端平坦部18を有する単結晶シリコン微細構造体17の規則配列体を得る。単結晶シリコン微細構造体17をエッチングし、先端平坦部18が尖った先端部15になるまでエッチングする。鋭利な先端部15が形成されたことを確認した後、残った保護微細構造体22をフッ酸水溶液によって除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密な切削加工または研削加工と微細エッチング技術を併用して、任意の側壁テーパー角度を有する鋭利な針状構造の規則配列体を容易に製作する方法に関する物である。
【背景技術】
【0002】
医療、創薬における分野において、痛みを伴わない無痛針として微細な針状構造の開発が進められている。この微細な針状構造の作成法、特にこの針状構造を規則的に配列した構造体としては、シリコンを加工する事により構造を形成する試みが一般的に行われている。シリコンは、MEMSデバイスや半導体製造用途にも使用されているように安価で、且つ微細加工に適した材料である。また、半導体製造工程を応用することで、特定のパターンを繰り返し配置する規則配列構造体の製造が非常に容易である。
【0003】
シリコン製の針状構造の作成方法としては、シリコンウェハの両面に酸化膜を形成してパターニングを施し、その表面から結晶異方性エッチング加工を施し、裏面からドライエッチング加工を施すようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、同じくシリコン製の針状構造を作成する方法として、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせた製造法が提案されている(例えば特許文献2,3参照)。
【0005】
これらの方法により、例えば長さ500μm以上、幅200μm以下の針状構造を作成することができる。また、その針状構造を規則的に配列することによって採血の確実性を増すことができるが、これらの方法によれば、一度に大面積のシリコンウェハ上に大量の針状構造を形成出来ることから、低コストで大量のシリコン針状構造の規則配列体を製造することが出来る。
【0006】
前記のエッチングを用いた製造法に対し、ワイヤカッティングなどの精密機械加工を少なくとも2方向で行うことで、多角形の底面を持つ針状の構造物を形成する方法も提案されている(例えば特許文献4参照)。この方法では、特許文献1の方法に比べ、針状構造の数が増えるにつれて加工速度が大幅に低下する問題がある。このため、成型した物をそのまま用いるのではなく、樹脂等の複製物を製造するための原版を作成する方法に向いていると言える。
【特許文献1】特開2002−369816号公報
【特許文献2】特開2002−239014号公報
【特許文献3】特開2005−199392号公報
【特許文献4】特表2006−513811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
結晶異方性エッチングを用いる特許文献1の方法では、作成される針状構造の形状がシリコンの結晶異方性に依存するため、形状の自由度が低いという課題が存在する。特に、先端部の鋭さ(針先角度)が結晶面の成す角度によって規定されるため、必ずしも十分に先鋭な先端部を得ることができないと言う点が大きな課題である。
【0008】
これに対し、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせる特許文献2,3の方法では、原理的にはある程度自由な形状の針状構造を製造することが出来る。しかし実際には、所望の角度を得るのに最適なエッチング条件を決定するのが容易ではなく、かつ針状構造の高さや配列密度などによっても、最適なエッチング条件が変化すると言う問題がある。
【0009】
更に、例えば数百μmといった高さの針状構造を特許文献1〜3の手法で製造する場合、非常に深いエッチングを実施するための特殊なドライエッチング装置が必要となる点も、課題の一つとして挙げられる。
【0010】
これらの方法に対し、ワイヤーカット加工を用いる特許文献4の方法では、加工装置の動作を設定することで、容易に所望の形状の加工を行うことが出来る。加工条件、被加工材の材質にもよるが、形状の自由度と言う点では特許文献1の方法より優れていると考えられる。
【0011】
しかし、ワイヤーカットを含めた精密機械加工全般の欠点として、加工の微細性に関してはエッチングを用いる方法に比べて劣っている。特に針状構造においては鋭利な先端形状が必要となるため、この先端部のみが欠けてしまうといった問題が容易に生じ得る。
【0012】
本発明は、精密機械加工と微細エッチング技術を併用し、各々の加工法の利点を組み合わせることによって、前記の課題を解決し、比較的容易な方法で効率良く、任意の側壁角度を有する鋭利な微細針状構造の規則配列体を製造することを目的とする。
【0013】
また、精密機械加工の手法として、加工工具先端形状によって加工形状を規定できる、切削又は検索加工を用いることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、基材に規則的に配列された多数の鋭利な微細な針状突起を製造する方法であって、平坦な上面を有する基材を用意し、前記基材の上面に、切削または研削による溝加工を互いに交差する2方向に施すことによって、前記基材の上部に、前記平坦な上面の部分が残された上面部と、前記上面部の周囲から前記基材の上部を除いた残りの下部に延在するテーパー状の側面部とからなり、その断面が前記上面部から前記下部に至るにつれて次第に大きくなる微細な凸部を多数形成する第1の工程と、前記上面部に鋭利な先端が残るまで前記側面部のみをエッチングして前記凸部を細らせ、前記下部上に規則的に配列され先端が鋭利となった多数の微細な針状突起を形成する第2の工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記基材の上面には、前記第2の工程のエッチング時にエッチングマスクとして機能する保護膜が予め形成され、前記第1の工程において、前記残された平坦な上面の部分と共に、この上面の部分の上に前記保護膜を残存させ、前記第2の工程の後に、前記上面に残存した前記保護膜が取り除かれることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の工程において、前記溝加工は直交する2方向において行なわれることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の工程において、前記側面部は、80°の角度でテーパー状に形成されることを特徴とする。
また、本発明は、上記の製造方法で作製した針状構造を母型とし、前記母型の形状を転写した凹凸反転版を作り、前記凹凸反転版を用いて基材に規則的に配列された多数の鋭利な微細な針状突起を転写加工成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
すなわち、本発明においては、図1に示すように、基材11に対してテーパー溝12を、最低限X,Yの2方向から精密な切削又は研削加工を行い、四角錘等に類似した形状の微細な針状構造14(微細な針状突起)の規則配列体13を作成する。

針状構造規則配列体13の一部を、真横から見て模式的に表したものが図2となる。テーパー溝12を隣接して加工することによって、鋭利な先端部15を有する針状構造14が形成されている。
【0016】
しかし、前記の加工で鋭利な先端部15を形成しようとすると、図3に示したような先端部の欠け16が発生する可能性が非常に高い。これは、鋭利な先端部15は機械的強度が非常に弱く、加工中に加わる振動や衝撃によって容易に破損するためである。
【0017】
この様な問題を解決するためには、通常、加工速度等のパラメータを最適化し、極力振動や衝撃が加わらないような状態で加工を行う。しかし、針状構造のように、先端部を極度に鋭利にする必要がある構造では、このような最適化にも限界が有る。そこで、本発明においては、精密な切削又は研削加工を実施する際に、鋭利な構造を形成することを避け、別途エッチング工程を加えることで、鋭利な先端部15を形成することとした。
【0018】
具体的には、前記の加工の完了段階では図4に示すように、先端平坦部18を有する微細構造体17(微細な凸部)を形成するように、加工ピッチ等の条件を調整する。この先端平坦部18を残すことによって、先端部の欠け16を防ぐことが可能となる。
【0019】
先端平坦部18の大きさが十分小さければ、このままでも無痛針として使用できる可能性が有るが、一般的にはより先端を鋭利にする必要が有る。そこで、先端平坦部18を有する微細構造体17の全体が細くなるように、基材11全体のエッチングを行う。
【0020】
但し、単純にエッチングを行うと、微細構造体全体17は細くなるものの、先端平坦部18がそのまま残ってしまい、鋭利な先端部15を形成する事が出来ない。そこで、先端平坦部18上に保護微細構造22を形成する。なお、保護微細構造22の材質は、エッチングに対し耐性の有る材質を選択する。
【0021】
この保護微細構造22がエッチング時にマスクとして働くため、先端平坦部18が深さ方向へエッチングされるのを防ぐ。この結果、エッチングはテーパー面から横方向と、底面部から下方向に向かってのみ生じることとなる。
【0022】
先端平坦部18はエッチングによって細くなって行き、横方向へのエッチング量が先端平坦部18の初期幅の1/2にほぼ等しくなったとき、鋭利な先端部15が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図5を参照して説明する。図5(a)は、被加工基板となる基材11の断面形状を示す。基材11として平坦な上面を有するものを用意する。基材11の材料としては、後述する加工が容易なものを選択するが、例えば単結晶シリコンやガラス基板、アルミナなどに代表されるセラミクス基板、アクリルやポリ乳酸などの樹脂基板などが挙げられる。
【0024】
基材11の表面にミクロンオーダーの加工を行うので、基材11の厚さ及びその面内ばらつき、平坦性、あるいは表面仕上げ等については十分な精度を必要とする。
【0025】
次に、図5(b)に示すように、基材11の表面に、薄い保護膜21を成膜する。この保護膜21は、最終的に保護微細構造22に加工され、基材11のエッチングマスクとして用いられるので、基材11と保護膜21は相互に選択的なエッチングが可能な材料が必要となる。また、精密機械加工時に剥離が生じないように、基材11と保護膜21は十分に高い密着力を持つ必要が有り、これに適した材質の組み合わせ、及び成膜方法を選択する必要がある。
【0026】
次に、図5(c)に示すように、テーパー溝12を繰り返し加工し、先端平坦部18(基材11の平坦な上面の部分が残された上面部)を有する微細構造体17、及び保護微細構造22を形成する。ここで、微細構造体17とは、基材11の平坦な上面の部分が残された上面部と、前記上面部の周囲から前記基材の上部を除いた残りの下部に延在するテーパー状の側面部とからなり、その断面が前記上面部から前記下部に至るにつれて次第に大きくなる微細な凸部である。また、保護微細構造22とは、基材11の平坦な上面の部分が残された上面部と共に、この上面部の上に残された保護膜21の部分である。図5(c)は断面図であるため、テーパー溝12は一方向のみ加工した様に表現されているが、実際には図1に示すように、最低限XY2方向より加工を行う(第1の工程)。
【0027】
テーパー溝12を形成する精密機械加工法としては、加工工具先端形状で溝形状を規定できる、切削加工または研削加工を用いる。これらの加工法を用いることで、加工時の動作は非常に簡便となる。どちらの加工方式を採用するかについては、基材11の加工特性を考慮して決定する必要がある。例えば、基材11として金属や樹脂平板を用いる場合は切削加工が、ガラス・セラミクス・単結晶シリコンなどを用いる場合は研削加工が適当であろう。また、加工方式に加え、ミクロンサイズの構造体を加工するために十分高い精度で基材11の位置決めが可能な移動機構を有した加工装置が必要である。
【0028】
次に、図5(d)に示すように、基材11をエッチング雰囲気31中に置いて、基材11全体のエッチングを行う。ここで重要な点は、基材11のみがエッチングされて、保護微細構造22はエッチングされないという選択性を有するエッチング雰囲気31を選択する点である。この選択性によって、先端平坦部18が横方向にのみエッチングされ、細くなって行く。
【0029】
エッチング方式としては、反応性溶液を用いるウェットエッチングと、反応性ガス又はプラズマを用いるドライエッチングが考えられる。本発明に関してはこれらの方式について特に限定せず、基材11と保護微細構造22に対する選択性さえ確保されていれば、どちらの方式でも使用可能である。
【0030】
エッチングを続け、図5(e)に示したように、鋭利な先端部15を有する針状構造14(微細な針状突起)が形成されたら、エッチング雰囲気31より取り出して、エッチングを終了する(第2の工程)。すなわち、第2の工程では、前記上面部に鋭利な先端が残るまで前記側面部のみをエッチングして前記凸部を細らせ、前記下部上に規則的に配列され先端が鋭利となった多数の微細な針状突起が形成される。
その後、残留した保護微細構造22をエッチングによって除去して、図5(f)に示した、針状構造14の規則配列体13を得る。更に、基材11の不要部分を切断除去して、最終的に針状構造の規則配列体チップ19として使用する(図5(g))。
【0031】
この様にして得られた、前記のチップ19をそのまま使うことも可能であるが、チップ化前の規則配列体13を母型として複製物を製造することも可能である。一つの母型から多数の複製物を作成することで、全体的な製造コストを大幅に低減し、生産性を高める事が可能となる。
【0032】
また、前記複製物の材料を生体適合樹脂(医療用シリコン樹脂や、マルトース、ポリ乳酸、デキストラン等)とすることで、生体への負荷を低減することが可能となる。また複製を前提にすれば、母型の規則配列体13の材料として、仮に生体適合性が低くても加工性の優れた材料を使用する事が可能となり、より精密な加工が容易となる。
【0033】
複製物の製造方法を、図6を参照して説明する。まず、図6(a)に示した様に、母型となる規則配列体13上に、形状を転写するための金属やワックスなどを十分な厚さに堆積させ、凹凸反転版41を作成する。所望の厚さまで堆積した後、凹凸反転版41を剥離する(図6(b))。
【0034】
次に、図6(c)に示したように、前記凹凸反転版41上に、再度凹凸の反転した複製物51を成形する。この複製物の成形法としては、材料樹脂等を融解して流し込む、あるいは軟化させた材料樹脂等を押し付けるといった手法が考えられる。
【0035】
更に、前記複製物51を剥離した(図6(d))後、不要部分を切断して、チップ化された複製物52を得る。
【0036】
以下、本発明を2つの実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
【0037】
表面に熱酸化膜が形成された単結晶シリコン基板を用いて、精密研削加工とプラズマエッチングにより高さ300ミクロン、側壁角度10°の針状構造の規則配列体を製造する実施例について、図5を参照しながら説明する。この場合、基材11、保護膜21の材質はそれぞれ単結晶シリコン、熱酸化膜となる。
【0038】
まず、単結晶シリコン基板11(図5(a))の表面を熱酸化し、表面に緻密な酸化膜21を形成する(図5(b))。なお、実際には既に熱酸化膜が表面に形成されたシリコン基板も容易に入手可能な状態で市販されているので、これを用いることで、大規模な熱酸化炉を準備することなく、より容易に工程を進める事が可能となる。
【0039】
次に、外周刃方式のダイヤモンドホイールを用いた研削加工にて、テーパー角10°、深さ300ミクロンの溝12を加工する。用いるダイヤモンドホイール61は、図7に示したように、あらかじめ先端部62の両側面が80°のテーパー形状となるように成形しておく。なお、先端部62のテーパー角を変えたホイールを使用することによって、任意角度のテーパー溝12を得る事が可能である。
【0040】
ダイヤモンドホイール61を用いて、図8に示すように、先端平坦部18を形成するようなピッチで、深さ300ミクロンの研削溝加工を繰り返す。更に、基板を90°回転して溝加工を行うことで、最終的に先端平坦部18を有する単結晶シリコン微細構造体17の規則配列体を得る(図5(c))。なお、先端平坦部18を有する微細構造体17の形状を保ったまま、配列のピッチを広げたい場合は、テーパー溝12が重なるように複数本の溝加工を行い、所望の溝幅にした後に、先端平坦部18を形成するようなピッチで溝加工を行えばよい。
【0041】
続いて、フッ素プラズマを用いたドライエッチング装置によって、単結晶シリコン微細構造体17をエッチングし、先端平坦部18が尖った先端部15になるまでエッチングする(図5(d))。なお、プラズマエッチング以外の手法として、XeF2ガスを用いたドライガスエッチングや、フッ酸・硝酸混合水溶液を用いたウェットエッチングを用いても良い。
【0042】
鋭利な先端部15が形成されたことを確認した(図5(e))後、残った保護微細構造体22をフッ酸水溶液によって除去する(図5(f))。これにより、鋭利な先端部15を有する針状構造14の規則配列体13が得られる。最後に規則配列体13の不要部分を切断除去し、チップ化された針状構造の規則配列体19を得る。
(実施例2)
【0043】
次に、実施例1で得られたシリコン製の規則配列体を用いて、ニッケルの凹凸反転版を作成し、最終的にポリ乳酸の複製物を作る方法について、図6を参照し、具体的な材料名等を当てはめながら説明する。
【0044】
まず、実施例1で得られたシリコン針状規則配列体13表面に、厚さ500ミクロン以上の金属ニッケルを電鋳して、形状を転写したニッケル凹凸反転版41を製作する(図6(a))。
【0045】
前記のニッケル凹凸反転版41を剥離(図6(b))し、続いて剥離したニッケル凹凸反転版41にポリ乳酸を加熱・溶融して流し込んだ後、固化する(図6(c))ことで、形状が複製されたポリ乳酸複製物51を得る。
【0046】
前記ポリ乳酸複製物51を剥離(図6(d))した後、不要部分を断裁して、ポリ乳酸複製物のチップ52を得る(図6(e))。
【0047】
以上説明したように、本発明の針状構造の規則配列体の製造方法によれば、任意の側壁角度を有する、先端の先鋭な針状構造の規則配列体を、簡便な工程で、歩留まり良く製造する事が可能となる。
【0048】
側壁角度は、加工工具の先端形状を変更することで、多様な形状を得ることが出来るため、形状の自由度が高い。さらに、様々なテーパー角の針状構造をほぼ同じ製造方法・条件で製造することが出来る。また、針状構造の高さや配列ピッチが異なる規則配列体を製造する場合でも、やはりほぼ同じ製造方法で製造することが出来る。
【0049】
また、規則配列体を母型として、複製物を製造することにより、生体への負荷の小さい材質で、針状構造の規則配列体を、低いコストで製造することが可能である。この母型として、本発明によって製造した針状構造の規則配列体を使用することで、より先端の鋭利な複製物を得る事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)本発明において製造する針状構造の規則配列体を示す外観概略図であり、(b)は図1(a)の針状構造が規則的に配列された部分を拡大した概略図である。
【図2】精密機械加工で製造する針状構造の規則配列体の理想的な断面形状を示す概略図である。
【図3】精密機械加工で製造した場合に生じ得る、針状構造の先端の破損を示す概略図である。
【図4】図3の問題に対する、本発明での解決法を示す概略図である。
【図5】本発明に係る針状構造の規則配列体の製造工程を説明する概略図である。
【図6】本発明に係る針状構造の規則配列体の複製物の製造工程を説明する概略図である。
【図7】実施例1で使用するダイヤモンドホイールを説明する概略図である。
【図8】実施例1での溝加工を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0051】
11・・・基材
12・・・基材に形成されるテーパー溝
13・・・基材に形成される針状構造の規則配列体
14・・・鋭利な針状構造
15・・・鋭利な先端部
16・・・鋭利な先端部に生じる破損
17・・・平坦な先端を有する擬似針状構造
18・・・平坦な先端部
19・・・13の不要部分を切断したチップ
21・・・保護膜
22・・・溝加工によって21を微細化した保護構造体
31・・・エッチング雰囲気
41・・・13を母型として転写した凹凸反転版
51・・・13の複製物
52・・・51を切断したチップ
61・・・ダイヤモンドホイール
62・・・80°のテーパー形状を有するダイヤモンドホイール先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に規則的に配列された多数の鋭利な微細な針状突起を製造する方法であって、
平坦な上面を有する基材を用意し、
前記基材の上面に、切削または研削による溝加工を互いに交差する2方向に施すことに
よって、前記基材の上部に、前記平坦な上面の部分が残された上面部と、前記上面部の周囲から前記基材の上部を除いた残りの下部に延在するテーパー状の側面部とからなり、その断面が前記上面部から前記下部に至るにつれて次第に大きくなる微細な凸部を多数形成する第1の工程と、
前記上面部に鋭利な先端が残るまで前記側面部のみをエッチングして前記凸部を細らせ、
前記下部上に規則的に配列され先端が鋭利となった多数の微細な針状突起を形成する第2の工程と、
を備えることを特徴とする微細針状突起の製造方法。
【請求項2】
前記基材の上面には、前記第2の工程のエッチング時にエッチングマスクとして機能する保護膜が予め形成され、
前記第1の工程において、前記残された平坦な上面の部分と共に、この上面の部分の上に前記保護膜を残存させ、
前記第2の工程の後に、前記上面に残存した前記保護膜が取り除かれる、
ことを特徴とする請求項1記載の微細針状突起の製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程において、前記溝加工は直交する2方向において行なわれる、
ことを特徴とする請求項1記載の微細針状突起の製造方法。
【請求項4】
前記第1の工程において、前記側面部は、80°の角度でテーパー状に形成される、
ことを特徴とする請求項1記載の微細針状突起の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法で作製した針状構造を母型とし、前記母型の形状を転写した
凹凸反転版を作り、
前記凹凸反転版を用いて基材に規則的に配列された多数の鋭利な微細な針状突起を転写加工成形する、
ことを特徴とする針状構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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