説明

微細気泡発生装置

【課題】微細な気泡を発生させるために必要なエネルギーを大きく減少させ、しかも、気泡をより微細にして気泡が液体に溶解する速度を増して溶解濃度を向上させたり、種々の化学反応する速度を増して十分な量の化学反応生成物を必要とする場所へ供給したりできるようにする。
【解決手段】流体配管12の途中または端部に液体中に浸漬させて配置され、内部に導入した気体を表面に設けた散気孔38aを通して気泡として液体中に散気させる散気部28と、散気部28を液体中で回転させる駆動部16と、散気部28へ気体を供給する気体通路を有し、散気部28は、反回転方向に向けて厚みが減少する横断面が翼形形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気等の気体を微細な数多くの気泡にして水等の液体中に分散させて液体と共に吐出す微細気泡発生装置に係り、特に、水等の液体に微細な数多くの微細な気泡を分散させて所望の気体の溶解濃度を得ることができるようにした微細気泡発生装置に関する。本発明の微細気泡発生装置は、例えば水処理槽、化学反応槽、河川、湖沼または養殖用水槽等で使用することにより、(a)水中の溶存酸素量を高めて水質を改善し、種々の有用な生物が繁殖しやすくしたり、(b)オゾンの溶解度を高めたオゾン水など、医療等に用いるために有益な気体を液体中に微細な気泡として分散させたり、(c)有益な気体を溶解させた液体を製造したり、(d)液体中の物質と気体とを短時間で化学反応させて有益な物質を製造したりするのに用いられる。また、微細な気泡は人体や生物の健康に良い影響を及ぼすと言われており、微細気泡発生装置は浴槽にも使用されている。
【0002】
なお、本発明で「溶解濃度」とは、ある物質(溶質)が他の物質(溶媒)に実際に溶解している溶液中における溶質の濃度のことを言う。これは溶解度という用語の意味が「溶質が溶媒に溶解する限度を言い、飽和溶液中における溶質の濃度で表わされる」ことと区別するためである。
【背景技術】
【0003】
液体中に気泡を微細化して分散させ、液体中の酸素等の気体溶解濃度を増加させたり、化学反応を起させたりする微細気泡発生装置としては、中空で、少なくとも一面に微細な散気孔を有する多孔質散気板または微細な孔の開いた散気膜等を取付けた散気部を備え、この散気部を散気槽(処理槽)内の液体中へ浸漬させ、散気部の内部に導入した気体を微細な散気孔から散気槽内の液体に気泡として散気させるようにしたものが一般に知られている。
【0004】
また、いわゆるエアレータ式の微細空気発生装置として、回転して散気槽内の液体を旋回させるプロペラ翼の翼面に散気孔を設け、この散気孔を通して気体を散気槽内の液体中に散気させるようにしたもの(特許文献1参照)や、回転して散気槽内の液体を旋回させるポンプの吐出し口の近傍に気体注入口を設け、この気体注入口から注入される気体を散気槽内の液体中に散気させるようにしたものが知られている。
【0005】
また、液体中に散気する気泡の気泡径を小さくするため、例えば下記のような装置が提案されている。
(1)気体を含む液体を加圧して気体を液体中に溶解させた後に、気体を溶解させた液体を多孔質散気板あるいは散気孔を通過させて急激に減圧させることによって、微細な気泡を発生させる装置(特許文献2参照)。
(2)円筒状の容器(散気槽)内に液体で旋回流を起こしてその中心に気体を入れ、気体を剪断によって微細な気泡にして液体中に散気する装置(特許文献3参照)。
(3)円筒状の容器(散気槽)の内周面に突起を設けて、液体と気体の混合した流体を旋回させながら突起にぶつけて流体を撹拌して気泡を小さくする装置(特許文献4参照)。
(4)液体と気体の混合した流体を回転する物体で撹拌して気泡を小さくする装置(特許文献5参照)。
【0006】
これらの装置の内、例えば水深が5mから10m程度の散気槽内に配置され、空気を水中に散気させて水を浄化する装置においては、現在では、微細な散気孔を有する、静止させた多孔質散気板や散気膜の該散気孔から気泡を水中に散気させる装置(以下、静置式散気装置ともいう)が、単位エネルギー(kWh)当りの液体に溶解させることができる酸素質量(kg)(酸素移動動力効率)を一番大きくできる。
【0007】
微細な散気孔を有する多孔質板や多孔質膜の該散気孔から気泡を液体中に散気する別の装置として、スクリュープロペラを水槽の中にスクリュープロペラの軸がほぼ水平方向に向くように設置し、スクリュープロペラに取付けた多孔部材から気体を散気して水平方向の流れを起こし、その水平方向の流れに気泡を搬送させている装置(特許文献3および特許文献4参照)がある。しかし、この装置では、水中に気泡を散気するためのエネルギーの他に、水を水平方向に流動させるための大きなエネルギーが必要となるので、酸素移動動力効率は低くなってしまう。
【0008】
一方、気体を含む液体を加圧して気体を液体に溶解させた後に、気体の溶解した液体を多数の散気孔を有する多孔質板や散気膜の該散気孔を通過させて急激に減圧させることによって、液体中に微細な気泡を発生させている方法は、非常に微細な気泡を多く発生させることができる利点を有するものの、酸素移動動力効率は非常に低い。
このように、有用な気体を微細気泡として液中に散気して気体の所望の溶解濃度を有する液を得るための従来の微細気泡発生装置にあっては、十分な省エネルギー化が図られていないのが現状であった。
【0009】
【特許文献1】特開2000−107792号公報
【特許文献2】特開2003−265938号公報
【特許文献3】国際公開WO00/69550号
【特許文献4】特開2001−62269号公報
【特許文献5】特開平9−313908号公報
【特許文献6】特開昭63−178899号公報
【特許文献7】特開平10−216794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
液体中に散気する気泡径を小さくすると気液界面が増加し、気泡中の気体が液体に溶解する速度が速くなるとともに、気泡が液体中を上昇する速度が遅くなり、気泡が液体中に滞留する時間が長くなる。このため、気泡径が小さいほど、気泡中の気体を液体に溶解させ易いので、液体中に散気した気体を有効に利用することができる。また気泡中の気体が液体に溶解する速度が速くなるため、種々の化学反応が促進される。そのため、従来から液体中に気体を微細な気泡にして分散させるための種々の装置および方法が提案されている。
【0011】
静置式散気装置は、動力が他の方法と比較して少なくて済むため非常に多く使われているが、散気孔の径を小さくすると、気体を液体中に散気するための圧力損失が多くなるため、通常の散気槽の場合には、現状では気泡径は1mm程度になっている。
【0012】
水深が5mから10m程度の通常の散気槽においては、散気槽内の流体を旋回させるポンプ内の翼面に散気孔を設けて散気するエアレータ(特許文献1参照)や、散気槽内の流体を旋回させるポンプ内の吐出し口近傍に気体注入口を設けて散気するエアレータ方式の例が知られている。しかし、水深5m近傍で気泡の液体中への散気を行っているため、散気槽内の小さい領域で発生させた気泡を散気槽内の隅まで運ぶために散気槽内で流体を旋回させる必要があり、この流体旋回のために多くの動力を費やしている。
【0013】
気体を含む液体を加圧して気体を液体に溶解させた後に、気体の溶解した液体を多数の散気孔を有する多孔質板や散気膜の該散気孔を通過させて急激に減圧させることによって、微細な気泡を発生させている装置(特許文献2参照)では、非常に微細な気泡が発生する。しかし、気体を含む液体を加圧するためと、液体と気体を混合して気体を液体に溶解させるために非常に大きな動力が必要である。更に、液体の吐出し部に設けたメッシュや多孔板等によって急激に減圧させるところで流体が持っている動力の殆ど全てを損失として捨てているため、微細な気泡を発生させるために、非常に大きな動力を用いている。
【0014】
円筒状の容器(散気槽)内に液体で旋回流を起こしてその中心に気体を入れ、気体を剪断によって微細な気泡にして散気している装置(特許文献3参照)、円筒状の容器(散気槽)の内周面に突起を設けて、液体と気体の混合した流体を旋回させながら突起にぶつけて流体を撹拌して気泡を小さくする装置(特許文献4参照)、または液体と気体の混合した流体を回転する物体で撹拌して気泡を小さくする装置(特許文献5参照)では、流体の速度を速くしたり、流体を撹拌したりするために多くの動力が必要である。
【0015】
水深が5m程度の散気槽で空気を水中に散気して水を浄化する装置にこれらの従来の装置を適用すると、気泡を微細化するために非常に多くのエネルギーを使用しているため、酸素移動動力効率は、従来のごく一般的な気泡発生装置である静置式散気装置の10分の1以下になる。また、エアレータ方式を採用した従来の装置の酸素移動動力効率は、従来のごく一般的な気泡発生装置である静置式散気装置と比べ、同程度から2分の1程度になる。したがって、現在では、従来のごく一般的な気泡発生装置である静置式散気装置が簡単でほぼ最も効率が良く、単位質量の気体を液体中に溶解するために必要なエネルギーが少なくて済む。
【0016】
エアレータの羽根やスクリュープロペラに設けた微細な散気孔から気泡を液体中に散気する場合、駆動部を水中に設けると、電気のケーブルなどの電気系統が水中に浸かることになり、駆動部のシールが複雑になると共に、駆動部のメンテナンスが困難となる。
羽根の前縁近傍のみに散気孔を開けて該散気孔から液体中に気泡を発生させるようにすると、気泡を発生させる散気孔の総面積が少なくなり、微細な気泡を大量に発生させることができない。
【0017】
また、特許文献6及び7に記載のように、スクリュープロペラを散気槽の中にスクリュープロペラの回転駆動軸がほぼ水平方向に向くように設置し、スクリュープロペラに取付けた多孔部材から液体中に気泡を散気して水平方向の流れを起し、その水平方向の流れに気泡を搬送させる装置では、スクリュープロペラがほぼ鉛直面内で回転している。そのため、スクリュープロペラに取付けた多孔部材にかかる水圧は、鉛直方向に大きな圧力差が生じることになり、下方にある多孔部材より上方にある多孔部材から気泡が発生しやすくなり、鉛直方向の上下で気泡の発生が不均一になる。この気泡発生を均一にして、一層広範囲の水域に気泡を分散供給するためには、多孔部材の流動抵抗、すなわちスクリュープロペラが上方に移動したときに、例えば多孔部材などの圧力損失を増やすように構成して、スクリュープロペラ全体に渡って気泡発生のための抵抗を均一化する必要がある。しかし、多孔部材の圧力損失を増やすとそのために気泡発生の動力が多くなる。
【0018】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、微細な気泡を発生させるために必要なエネルギーを大きく減少させ、しかも、気泡をより微細にして気泡が液体に溶解する速度を増して溶解濃度を向上させたり、種々の化学反応する速度を増して十分な量の化学反応生成物を必要とする場所へ供給したりすることが可能な微細気泡発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の発明は、流体配管経路の途中または端部に液体中に浸漬させて配置され、内部に導入した気体を表面に設けた散気孔を通して気泡として液体中に散気させる散気部と、前記散気部を液体中で回転させる駆動部と、前記散気部へ気体を供給する気体通路を有し、前記散気部は、反回転方向に向けて厚みが減少する横断面が翼形形状に形成されていることを特徴とする微細気泡発生装置である。
【0020】
このように、横断面が翼形形状の散気部を液体中で回転させることにより、散気部と液体との間の境界層の厚さを薄くし、境界層内の流体に作用する剪断力によって、散気部の表面に設けた散気孔から吐出される気体を、より少ない動力で微細気泡化することができる。しかも、散気部を流体配管経路の内部または端部に配置し、散気部を配置した場所の圧力を大気圧程度に下げることによって、供給される気体の吐出し圧力を下げ、気体供給のための動力を少なくすることができる。即ち、散気部を翼形形状とすることと、液体中に供給する気体が空気である場合には、散気部が設置された場所の液体圧力を大気圧程度の低い圧力とすることが動力低減のために重要である。
【0021】
更に、散気部を流体配管経路の途中または配管経路の入口端部に配置することにより、配管中を流れる液体またはその液体中に含まれる物質と、気泡中の気体との化学反応を配管内で行うことが可能になり、化学反応生成物を必要とする場所に輸送できる。また、散気部を流体配管経路の途中などに設け、配管の吐出し口を微細な気泡が含まれた液体が必要な所や化学反応の生成物が必要な所に設ければ、配管で気泡や化学反応生成物を必要なところに運ぶことが可能になる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、前記散気孔は、前記横断面が翼形形状の散気部の上面または下面の面積の50%以上の領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置である。
これにより、散気部の上面または下面の面積に対する、散気部の表面で散気孔を設けた面積の割合を100%の場合の1.4倍程度で抑えて、微細気泡発生装置の寸法をコンパクトにすることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、前記散気部は、該散気部が回転する平面に対して、その翼形形状の翼弦を傾斜させて配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の微細気泡発生装置である。
これによって、散気部の回転に伴って、流体配管経路内に流体の流れを起こすことができ、流体配管経路内の液体を流動させるためにポンプなどの構成要素を別途備えることなく、微細気泡発生装置自体を液体流動機構としても兼用できる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、前記散気部は、該散気部が回転する平面に対して、その翼形形状の翼弦の傾き角を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の微細気泡発生装置である。
これにより、散気部の回転運動方向に対する傾きを変えることによって、流体配管内の流量を変えることが可能になる。さらに、散気部に供給する空気量を変えることによって、配管内の液体の流量に対する気体の流量を変えることが可能になり、気体流量の変化は散気孔からの空気吐出速度の変化を意味するから、気泡径を制御することが可能になる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、前記駆動部は、前記散気部が含まれる配管の外部または前記流体配管経路内の液体の液面上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
これにより、駆動部の漏電等の危険を減少させると共に、メンテナンスを容易となすことができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、前記散気部は、前記流体配管経路内の液体の液面近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
これにより、気体の吐出圧力を低くし、気体が空気であるときには、空気供給ブロワの動力を低く抑えることができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、前記駆動部の駆動に伴って回転する回転軸を有し、該回転軸と前記散気部はアームを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
【0028】
請求項8に記載の発明は、前記回転軸は、前記駆動部によって直接に回転駆動されるか、または前記駆動部から回転伝達機構を介して伝達された回転トルクで回転駆動されることを特徴とする請求項7記載の微細気泡発生装置である。
回転伝達機構として、例えば互いに噛合う傘歯車やチェーン等を使用し、傘歯車の歯数を変えたり、チェーンと噛合うスプロケットの歯数を変えたりすることで、散気部の移動速度、すなわち散気部の回転速度を気泡の発生のために最適な回転速度に設定することが可能になる。
【0029】
請求項9に記載の発明は、前記流体配管経路には散気室が備えられ、前記散気部は該散気室の内部に収容されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
【0030】
請求項10に記載の発明は、前記散気部の近傍に、該散気部が回転する平面に対して略垂直方向に延びる整流板を配置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
これにより、散気部の周囲の液体が散気部と共に移動しないようにして、散気部と液体との間の境界層の厚さを適切な範囲内に抑え、横断面が翼形形状の散気部で安定した微細な気泡を発生させることができる。
【0031】
請求項11に記載の発明は、前記散気部は、前記流体配管経路の内部または端部の旋回流が生じる位置に配置され、該旋回流と反対の方向に向けて回転することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
これにより、例えば散気部を上下方向に多段に設置した場合に、上下の散気部が同じ方向に回転することを防止し、上下に位置する散気部の間に整流板等を配置する必要をなくして、微細気泡発生装置の全長を短くコンパクトにすることができる。
【0032】
請求項12に記載の発明は、前記散気部は、複数段に設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の微細気泡発生装置である。
1段の散気部で液体単位体積当りに必要な気泡の量が足りない場合に、流体配管経路の途中または端部に入れる散気部28を複数段にすることによって、必要な気泡の量を確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、大幅な省エネルギー化を図りつつ、微細な散気孔を有する散気部を液体中で回転させることによって、気体をより微細な気泡にして散気孔から液体中に散気し、気泡径を小さくして気泡が液体に溶解する速度を増して溶解濃度を増すと共に、液中に散気された微細気泡の一層の効果的活用が可能な微細気泡発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の形態の微細気泡発生装置10を示す。この微細気泡発生装置10は、図1及び図2に示すように、流体配管12の途中に設けられた円筒状の散気室14内に配置され、流体配管12に沿って流れる流体中に散気室14で気体を微細気泡として散気させるように構成されている。これにより、流体配管12に沿って流れる液体またはその液体中に含まれる物質と気泡中の気体との化学反応を流体配管12内で行うことができる。また、流体配管12の散気室14の吐出し口から延びる吐出し部12aを、微細な気泡が含まれた液体、気泡中の気体が溶解した液体、または化学反応の生成物が必要な所まで延ばすことで、これらの有用な物質を流体配管12の吐出し部12aを通して必要な所に運ぶことができる。
【0035】
微細空気発生装置10は、散気室14の上部において、流体配管12に固定された駆動部としてのモータ16と、鉛直方向に下方に延び、モータ(駆動部)16の回転に伴って回転する回転軸(駆動軸)18を有しており、この回転軸18の下端は、散気室14の底部に設けた支持体20に回転自在に支承されている。モータ16と回転軸18との間、及び回転軸18と支持体20の間は、一対のシールリング22でそれぞれ気密的にシールされている。
【0036】
回転軸18には、この例では、互いに直交する方向に水平に延びる4本のアーム24が取付けられ、この各アーム24の先端に、横断面が翼形形状で、内部に中空部26を有する散気部28がそれぞれ取付けられている。この散気部28は、回転軸18の軸心に垂直な平面に対する投影形状および同じく平行な平面に対する投影形状は、共に矩形状を呈している。
【0037】
支持体20の内部には、シールリング22でシールされた空気室20aが設けられ、この空気室20aは、外部から延びる気体配管30に連通している。更に、回転軸18の内部に前記空気室20aに開口する気体通路18aが、各アーム24の内部に回転軸18の気体通路18aと散気部28の中空部26とを繋ぐ気体通路24aがそれぞれ設けられている。これにより、ブロワ等によって送り込まれた気体は、気体配管30を通って支持体20の空気室20a内に達し、更に回転軸18の気体通路18a、アーム24の気体通路24aをそれぞれ通って散気部28の中空部26内に導入される。
【0038】
流体配管12の散気室14の吸込み口に接続される吸込み部12bの該吸込み口付近から散気室14の全域に亘って、流体配管12の底部には、複数の整流板32が流れ方向に沿って間隔が徐々に拡がるように配置されている。これにより、散気部28の下方に該散気部28の回転に同伴されて、その回転方向に沿った液体の水平方向の流れが生じることを抑制して、液体に対する散気部28の相対速度を維持し、散気部28の表面に形成される液体の境界層厚さを薄く維持することにより、微細気泡の発生状態を良好に継続することが可能になる。
【0039】
散気部28は、図3及び図4に詳細に示すように、平板状の素材を移動方向に平行な断面が翼形形状となるように折り曲げて形成された外殻36で囲まれた中空部26を有しており、この外殻36の上部には開口部36aが設けられ、この開口部36aに、多数の微細な散気孔38aを有する、例えば多孔質体からなる散気板(多孔質散気板)38が、該散気板38の表面が外殻36の表面と面一となるように取付けられている。これにより、散気部28の中空部26内に導入された気体は、散気板38の散気孔38aを通して、微細な気泡となって散気室14内の液体中に散気される。この散気板38の代わりに、多数の微細な散気孔が加工された散気膜や散気板などを使用しても良い。
【0040】
この例では、散気板38の面積は、散気部28の上面の面積の50%以上を占めている。これにより、散気部28の上面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aを設けた散気板38の面積の割合を100%の場合の1.4倍程度で抑えて、微細気泡発生装置10の寸法をコンパクトにすることができる。
【0041】
この散気部28の横断面は、円弧状の前縁40を有し、この前縁40から後縁42に向けて肉厚が一旦徐々に増加し、その後徐々に減少する横断面翼形形状に形成されている。この前縁40は、回転方向の前方に位置し、後縁42は回転方向の後方に位置し、これによって、反回転方向に向けて厚みが減少するように構成されている。散気部28は、前縁40と後縁42とを結ぶ翼弦44と水平面との間に傾き角として、所定の迎え角βが生じるようにアーム24に取付けられている。これによって、モータ16の駆動に伴う回転軸18の回転運動によって散気部28が略同一水平面内に沿って回転し、この散気部28の回転運動に伴って、流体配管12の散気室14内の液体に鉛直下方に向かう速度成分を有する旋回流が生じるようになっている。
【0042】
このように、散気部28の回転に伴って、流体配管12の散気室14内に流体の流れを起こすことで、流体配管経路内の液体を流動させるためにポンプなどの構成要素を別途備えることなく、微細気泡発生装置自体を液体流動機構としても兼用できる。
【0043】
この例にあっては、アーム24の基端に円板状の支持板50を取付け、この支持板50に設けた円周方向に沿って延びる長孔52内にボルト54の軸部を挿通させて、散気部28を有するアーム24を回転軸18に取付けるようにしている。これにより、散気部28の前縁40と後縁42とを結ぶ翼弦44と水平面との間の傾き角として迎え角βを、任意の角度に調整しつつ、散気部28を有するアーム24を回転軸18に取付けることができる。
【0044】
散気板38に設けられる散気孔38aの大きさは、実効直径(散気孔を通して液体中に気泡を実際に散気させている時の散気孔の直径)で5μm以上、350μm以下となるように設定されている。散気孔38aの実効直径は、散気孔38aから液体中に散気される気泡の径を考慮すると小さい程好ましいが、一方で、散気孔38aを小さくするほど気体の単位質量当りの液体中への気体供給動力が増加すること、過度に小さい径の散気孔は一般に製造が難しいこと、さらには気体の溶解濃度増大については気泡径の実質的な下限値がある(即ち、実用上の散気槽と気泡散気装置とを前提とした場合、気泡径を大略ある一定の下限値以下にしても溶解率向上の効果はほとんど無い)ことなどがある。
【0045】
このように、散気部28を翼形形状にして液体中で回転させることにより、散気部28と液体間の境界層厚さを薄くし、散気部28の散気孔38aから吐出させた気体流を境界層内の液体により剪断することによって小さな気泡を発生させることができる。しかも、液体を流動させるための動力は気泡微細化のための動力より遥かに大きいため、流体の大部分の主流速度を必要最小限の低速に抑えることにより、発生させた微細気泡を運搬するための動力を大幅に少なくすることができる。
【0046】
なお、横断面が翼形形状の散気部28を水平断面内、すなわち回転軸18を鉛直断面内に置くと、散気部28に鉛直方向に大きな圧力差が生じにくくなる。このため、散気部28の圧力損失を少なくし、しかも気泡を均一に発生させることが可能になり、気泡発生の動力が少なくてすむ。散気部28の直径が小さい場合には、散気部28の回転軸18を水平に置いても、散気部28に鉛直方向に大きな圧力差が生じにくくなるため、散気部28の回転軸18を水平においても良い。
【0047】
このように、流体配管12の途中に設けた散気室14内に翼形形状の散気部28を設けて該散気部28を回転させることにより、流体配管12中を流れる液体に気泡を分散させることができ、また流体配管12中を流れる液体またはその液体中に含まれる物質と、気体配管30を通して散気部28内に供給され、気泡となって液体中に散気される該気泡中の気体との化学反応を流体配管12内で行うことができる。
【0048】
散気部28をその翼弦44が散気部28の回転移動方向に対して傾斜させて配置することで、流体配管12に流れを起こすことができる。このとき、翼形形状の散気部28が通過する主流方向、すなわち鉛直方向の速度を必要最小限の低速に抑えることにより、微細の気泡を発生させるための動力が大幅に少なくなる。さらに、散気部28の回転移動方向に対する傾きを変えることによって、流体配管12内の液体の流量を変えることが可能になる。
【0049】
散気部28に供給する気体の量を変えることによって、流体配管12内の液体の流量に対する気体の流量を変えることができ、図10に示すように、気体の流量を変えて、散気孔38aを通過する気体の流速を変えることによって、気泡径を制御することができる。図9に示すように、散気部28の回転速度を変えることによっても、気泡径を制御することができる。液体またはその液体中に含まれる物質と、気泡中の気体との化学反応を流体配管12内で行う場合は、化学反応で必要な各物質の量に合わせて、液体の流量、気体の流量、および気泡径を変えて反応を行わせることができる。
【0050】
図5(a)に示すように、外殻36の下部に開口部36bを設け、この開口部36bに、多数の散気孔38aを有する、例えば多孔質体からなる散気板38を、該散気板38の表面が外殻36の表面と面一となるように取付けるようにしてもよい。この散気板38の代わりに、多数の散気孔が加工された散気膜や散気板などを使用してもよい。また、図5(b)に示すように、散気部28の幅方向に沿った一部に、翼弦44と平行な平坦部28aを設けて、散気部28の製作の便を図るようにしてもよい。このことは、以下の例においても同様である。なお、図3乃至図5においては、散気部28の上面または下面のみに散気板38を供えた例を示したが、上下両面にこれを備えることも勿論可能である。
【0051】
次に、この例の微細気泡発生装置10によって、従来例と比較して、どの程度動力を低減できるかを説明する。
液体中に散気させる気泡の径を小さくすると、ある一定量の気体に対して気液界面の面積(比表面積)が増加して気泡中の気体が液体に溶解する速度が速くなり、また液体中を浮力により浮上する気泡の場合、気泡が液体中を上昇する速度が遅くなって、気泡が液体中に滞留する時間が長くなる。このため、径が小さい気泡ほど、気泡を液体中に溶解させ易く気体を有効に利用することができる。
【0052】
まず、液体中の気泡の上昇速度について説明する。
地球上の重力場中に静止した液体中の気泡の上昇速度は、浮力fbuと抗力fdrの釣合いでほぼ決まる。気泡をほぼ球形とし、気泡の半径をR(m)、気泡の液体に対する上昇速度をUbr(m/S)、液体の密度をρ(kg/m)、気泡が液体中を上昇する際の抗力係数をC、重力加速度をg(m/s)とし、液体に対して気体の密度は非常に小さいため無視すれば、一つの気泡による浮力fbuおよび抗力fdrに関して式(1)が成り立つ。
【数1】

【0053】
したがって、抗力係数Cは、式(2)となる。
【数2】

一方、水中の空気泡の場合、気液界面は気泡に対してほぼ静止した状態になるとみなせるため、気泡が小さい場合には、抗力係数Cは、式(3)となる。
【数3】

【0054】
ここに、Reは気泡レイノルズ数で、液体の動粘度をν(m/s)とすると、気泡レイノルズ数Reは、式(4)で表される。
【数4】

したがって、式(1)〜(4)より、式(5)が得られる。
【数5】

【0055】
直径は半径の2倍であるから、式(5)から気泡径(直径)dと気泡の液体に対する上昇速度Ubrの関係が求まる。一例として、水中における空気の気泡径(直径)dと気泡上昇速度Ubrの関係を図6に示す。
【0056】
次に、液体中に気泡がある場合の溶解速度について説明する。
液体中の気体の拡散係数をD(m/s)とし、気泡中の純度100%の気体が液体に溶解する際の液相基準の総括物質移動係数をα(m/s)とすると、シャーウッド数Sh(=2Rα/D)とペクレ数Pe=(2Rbr/D)の関係は、式(6)となる。
【数6】

【0057】
気泡径dから、気泡の液体に対する上昇速度Ubr、ペクレ数Pe、気泡レイノルズ数Re、シャーウッド数Shが決まり、気泡中の純度100%の気体が液体に溶解する際の液相基準の総括物質移動係数αは、式(7)で求まる。
【数7】

【0058】
気体のボイド率がθで、気泡が全て同じ径である場合、単位体積当りの流体中に溶解する気体の量である液相基準の総括物質移動容量係数Aは式(8)となる。なお、本発明で言う気体のボイド率とは、気体と液体とが均一に(それぞれ気相、液相のままで)混合した流体の、ある一定体積に占める気体(気泡)の体積のことを言い、気体が流体(液体と気体の混合物)に占める体積の割合のことである。
【数8】

【0059】
一例として、液体が水で気体が酸素の場合、水の動粘性係数ν=1.01×10−6/s、重力加速度g=9.806m/s、水中の酸素の拡散係数D=2.06×10−9/sであり、気体のボイド率θ=0.01とすると、気泡半径Rと液相基準の総括物質移動容量係数Aの関係は、図7に示すようになる。したがって、気泡が小さくなれば急速に気泡中の気体が液体中に溶解しやすくなる。
【0060】
液体中に気泡を発生させ、発生させた気泡を液体で搬送する形式の微細気泡発生装置に必要な動力は、気体を液体中に吹き込むためのブロワの動力と、気体を微細な気泡にするための動力と、発生させた気泡を液体で搬送するための動力の合計である。
【0061】
液体流中に気泡を分散させて該液体を搬送する装置においては、通常、気体の流量が液体の流量の最大5%程度になっている。そのため、例えば、水中に空気を散気する場合で、液体の流量Q=1(m/min)とし、気体の流量が液体の流量の5%で、気体の流量Q=0.05(m/min)として、本発明の微細気泡発生における動力と従来の微細気泡発生における動力の比較を行う。
まず気体を液体中に吹き込むためのブロワの動力について説明する。
【0062】
ブロワが必要な動力L(kW)は、必要な供給空気体積流量をQ(m/min)、ブロワの吸込口絶対圧力をPSA(kPa)、ブロワの吐出し絶対圧力をPDA(kPa)、比熱比をκ、ブロワ効率をηとすると、式(9)で表せる。
【数9】

【0063】
いま、散気槽水面近傍の水深Hが0.4(m)の位置に散気部を設置した場合と、水深Hが5(m)の位置に散気部の設置した場合を比較する。ブロワの吸込絶対圧力PDA=101.33(kPa)、比熱比κ=1.4、ブロワ効率η=0.55、散気板の微細な散気孔における絞りによる損失も含めたブロワ吸込口から散気板吐出し点までの圧力損失を1(mHO)と仮定する。散気部の設置位置が水深0.4(m)の場合、ブロワの吐出し絶対圧力PDA=115.06(kPa)で、ブロワの所要動力L(kW)は、式(9)で求まり、0.0199(kW)となる。水深5(m)の場合、ブロワの吐出し絶対圧力PDA=160.17(kPa)で、ブロワの所要動力L(kW)は、0.0751(kW)となる。
【0064】
後述で示すように、散気部の孔径が小さくなると散気孔における絞りによる圧力損失が増加する。図11に示すように、散気部の孔径が20(μm)程度に小さくなると、通常の散気槽で用いられる孔径が200(μm)程度の散気部の場合より、散気部の散気孔前後で圧力損失が12(kPa)程度増加することを考慮すると、散気部の設置位置を散気槽水面近傍の水深0.4(m)としたの場合、ブロワの吐出し絶対圧力PDA=125.06(kPa)となり、ブロワの所要動力L(kW)は、式(9)で求まり、0.0359(kW)となる。水深5(m)に散気部を設置した場合、ブロワの吐出し絶対圧力PDA=170.17(kPa)となり、ブロワの所要動力L(kW)は、0.0879(kW)となる。
【0065】
したがって、散気部をできるだけ液体の液面の近傍に配置するか、配管内でできるだけ圧力の低い位置に設置することにより、気体を液体中に吐出するための動力を少なくすることができる。これに対して、例えば特許文献1、特許文献6及び特許文献7に記載されているように、微細気泡発生装置を散気槽の底面近傍に設置すると、気体を液体中に吹き込むためのブロワの動力が大きくなる。
【0066】
次に本発明で示すように、回転する散気部28に微細な散気孔38aを設けた場合における該散気部28を回転させるために必要な動力について説明する。
横断面が翼形形状の散気部28の翼弦長をc、最大厚さをh、(翼)幅をb、(翼)枚数をNimp、全散気部28の抗力による動力(即ち、回転させるために必要な動力)をLimp,d(kW)、水の密度をρ(kg/m)、散気部(翼)28の速度をUimp(m/s)とし、散気部(翼)28の抗力係数をCimpとすると、全散気部(翼)28の抗力による動力Limp,d(kW)は、式(10)で表せる。
【数10】

【0067】
散気部の気体吐出面(気体吹出し面)であって、多数の散気孔を有する多孔板または多孔膜(散気板)の単位面積当りの散気量は、通常30(m/mh)=0.6(m/mmin)程度である。このため、一例として、散気部の翼弦長c=0.15(m)、最大(翼)厚さh=0.03(m)、(翼)幅b=0.15(m)とすると、気体の流量Q=0.05(m/mmin)の場合、必要な散気部の数Nimp=4(=0.05/0.6/0.15/0.15)になる。
【0068】
液体中で回転する翼形形状の散気部28の平均移動速度(液体に対する散気部の相対速度)を3(m/s)、散気部(翼)28の抗力係数Cimp=0.1、水の密度ρ=998.3(kg/m)とすると、散気部(翼)28の抗力に対して必要な動力Limp,d(kW)は、式(10)で求まり、0.0243(kW)となる。
上記の他に、微細気泡発生装置10で発生させた気泡を含む液体を、流体配管12内を搬送するためのポンプ動力が必要になる。
【0069】
いま、ポンプの吸込み口に対する吐出し口の差圧をP(kPa)、ポンプの流量をQ(m/min)、ポンプの効率をηとすると、液体を搬送するための動力L(kW)は、式(11)で表される。
【数11】

【0070】
次に本発明の微細気泡発生装置において、発生させた気泡を液体で搬送するために必要な動力について説明する。本発明の微細気泡発生装置の場合、流体と翼形の散気部の間の境界層を薄くして気泡を微細化しているため、流体と翼形の散気部との相対速度を速くしても、配管内および微細気泡発生装置内における大部分の液体の流速を3m/s程度、またはそれ以下に抑えることが可能である。いま、微細気泡発生装置内に大きな曲がりが2回あると仮定する。曲がりの曲率半径が管の相当直径程度とすると、一つの曲がりによる損失係数は、ξ=0.51程度である。また、微細気泡発生装置内の散気部以外の静止した構造物と液体間の摩擦や通路の拡大等による損失があるが、微細気泡発生装置内の流体が移動する距離が短いことと、流れを大きく妨げる形状の構造物がないことから、主流の速度を基準として、損失係数ξ=1.0程度と予想される。さらに気泡を含む液体を排出する配管出口における動圧損失がある。
【0071】
従って、微細気泡発生装置内の散気部以外の静止した構造物と液体間の摩擦や通路の拡大等による圧力損失、すなわち微細気泡発生装置に液体を流すポンプの吸込口に対する吐出し口の圧力差P(kPa)は、微細気泡発生装置内の液体の主流流速をv(m/s)、液体の密度をρ(kg/m)とし、上記の損失を仮定すれば、式(12)程度の値になる。
【数12】

【0072】
いま、微細気泡発生装置内の液体の主流流速v=3.0(m/s)、液体の密度ρ=998.3(kg/m)とすると、微細気泡発生装置に液体を流すポンプの吸込口に対する吐出し口の圧力差P(kPa)は、式(12)から、14.36(kPa)程度になる。
従って、本発明で示す微細気泡発生装置において発生させた気泡を液体で搬送するために必要な動力Lは、ポンプの効率ηを0.75とすると、式(11)で求まり、0.3196(kW)程度となる。
【0073】
液体中に気泡を発生させ、発生させた気泡を液体で搬送する形式の微細気泡発生装置の場合に必要な動力は、気体を液体中に吹き込むためのブロワの動力と、気体を微細な気泡にするための動力と、発生させた気泡を液体で搬送するための動力の合計である。従って、本発明で示す微細気泡発生装置において気泡を発生させて液体で搬送するために必要な動力は、ブロワの所要動力として、散気部の散気孔の孔径が20(μm)程度に小さく、散気部の設置位置を散気槽水面近傍の水深H=0.4(m)の場合における値を用いると、0.0359+0.0243+0.3196=0.3798(kW)である。
【0074】
本発明における気泡を発生させて散気する散気孔38aは、図3に示すように、翼形形状の散気部28の表面、つまり翼面上に設けている。
散気部28の表面(翼面上)に設けた散気孔38aから水中に空気を吐出したとき、散気部(翼)28の移動速度をパラメータとした場合の散気孔径と気泡径の関係の解析結果を図8に、散気孔径をパラメータとして、散気部(翼)28の移動速度と気泡径の関係の解析結果を図9に、散気孔径をパラメータとし、散気孔38aを通過して水中に吐出される際の空気の散気孔38a出口における吐出速度(水中への空気流入速度V)と気泡径の関係の解析結果を図10に示す。図8〜図10に示すように、散気孔径、散気部(翼)の移動速度、または空気の散気孔出口における吐出速度を変えることによって、気泡径を変えることが可能である。
【0075】
散気部28の表面(翼面上)に設けた散気孔38aから水中に空気を吐出したとき、散気部(翼)28の移動速度をパラメータとした場合の、散気部28の散気孔38aの孔径と該散気孔38aにおける圧力損失の関係の解析結果を図11に示す。図11に示すように、散気孔38aが小さくなると、散気孔38aにおける圧力損失は大きくなる。散気部28の散気孔38aの孔径が20(μm)程度になると、散気部28の散気孔38aにおける圧力損失Pは14(kPa)程度になる。一方、通常の散気槽で用いられる、孔径が200(μm)程度の散気部の場合は、散気部の散気孔における圧力損失Pは2(kPa)程度になる。従って、散気部の孔径が20(μm)程度に小さくなると、通常の散気槽で用いられる孔径が200(μm)程度の散気部の場合より、散気部の孔における圧力損失が12(kPa)程度増加する。
【0076】
次に従来例に対比させて、本発明で示す気泡を微細にして散気する装置の場合を説明する。
従来の微細気泡発生装置としては、例えば、例えば特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載のように、気泡を微細化するためと気泡を搬送するために液体に通常より速い速度を液体に与えている微細気泡発生装置がある。これらの内で、特許文献3に記載の形式の微細気泡発生装置では、微細気泡発生装置内に旋回流を発生させて気泡を微細化しており、微細気泡発生装置内に旋回流を発生させるために、ポンプの吸込口に対する吐出し口の圧力差Pは、通常300(kPa)程度になっている。
【0077】
特許文献4及び特許文献5に記載の形式の微細気泡発生装置では、流体の通路中に突起や孔のような障害物を設けて流れに乱れを起して気泡を微細化しているため、乱れを発生するために多くの動力が必要で、ポンプの吸込口に対する吐出し口の差圧Pは、通常60(kPa)程度になっている。
【0078】
従来の微細気泡発生装置の内、例えば特許文献2に記載のように、加圧して気体を一度液体に溶解させた後に、微細孔を通して気泡を発生させる溶解式の場合は、ポンプの吸込口に対する吐出し口の圧力差Pは、通常300(kPa)以上になっている。
【0079】
従来の微細気泡発生装置の中で、発生させた気泡を液体で搬送するための動力が最も少ない、流体の通路中に突起や孔のような障害物を設けて流れに乱れを起して気泡を微細化している微細気泡発生装置の場合の、ポンプの吸込口に対する吐出し口の差圧P(kPa)は、通常60(kPa)程度である。このため、ポンプの効率ηを0.75とすると、この場合のポンプの動力Lは、式(11)で求まり、1.333(kW)程度となる。
【0080】
これらの従来の微細気泡発生装置において、散気部の設置位置を散気槽水面近傍の水深0.4(m)で、ブロワの吸込絶対圧力PSA=101.33(kPa)、比熱比κ=1.4、ブロワ効率η=1.55、散気板の微細な散気孔における絞りによる損失も含めたブロワ吸込口から気体を液体中に注入するまでの圧力損失を1(mHO)と仮定すると、ブロワの吐出し絶対圧力PDA=115.06(kPa)となり、ブロワの所要動力L(kW)は、式(9)で求まり、0.0199(kW)となる。
【0081】
これらの従来の微細気泡発生装置の場合に必要な動力は、気体を液体中に吹き込むためのブロワの動力と、気泡を発生させて液体で搬送するための動力の合計であるため、1.333+0.0199=1.363(kW)程度である。
本発明で示す微細気泡発生装置において気泡を発生させて液体で搬送するために必要な動力は0.3798(kW)程度であるため、従来の微細気泡発生装置より大幅に必要な動力を低減することが可能になる。
【0082】
本発明で示す微細気泡発生装置10の散気部28において、散気部28の表面に設けられる多数の散気孔38aを互いに接近させると、多数の散気孔38aから吐出された気体が微細な気泡として液体中に分散される前に合体して大きな気泡になる。このため、多数の散気孔38a間にはある程度の距離が必要になる。そのため、通常の水処理場の散気槽において用いられる散気部の場合、単位面積当りの散気量が0.6(m/mmin)程度になっており、単位面積当りに散気できる気泡の量が少ない。本発明で示す微細気泡発生装置では、微細気泡発生装置を通過する流体に微細な気泡を多く分散させるため、散気部28の表面で散気孔38aを有している面積をできる限り大きくしている。つまり、翼形形状の散気部28の液体と接する上面または下面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aを設けている面積の割合を、できる限り大きくして、微細気泡発生装置をコンパクトにしている。
【0083】
翼形形状の散気部28がある通路において、散気部28の近傍の形状を相似形にした場合、発生させる気泡の量を同じにしようとすると、散気部28の液体と接する上面または下面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aを設けている面積の割合と、翼形の散気部28がある通路の断面積とは、反比例させる必要がある。すなわち、散気部28の近傍の寸法は、散気部28の液体と接する上面または下面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aが設けられている面積の割合の、逆数の平方根に比例することになる。
従って、散気部28の近傍の寸法を、散気部28の液体と接する上面または下面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aが設けられている面積の割合を50%以上にすれば、散気部28の液体と接する上面または下面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aが設けられている面積の割合が100%の場合の1.4倍程度で抑えることができ、微細気泡発生装置の寸法をコンパクトにすることができる。このため、本発明の散気部28では、散気部28の液体と接する上面または下面の面積に対する、散気部28の表面で散気孔38aが設けられている面積の割合を少なくとも50%以上にしている。
【0084】
本発明の微細気泡発生装置10では、散気部28を翼形形状にして液体中で回転させることにより、散気部28と液体間の境界層厚さを薄くし、散気部28の散気孔38aから吐出させた気体流を境界層内の液体により剪断することによって小さな気泡を発生させると共に、液体を流動させるための動力は、気泡微細化のための動力より遥かに大きいため、流体の大部分の主流速度を必要最小限の低速に抑えることにより、発生させた微細気泡を運搬するための動力を大幅に少なくしている。また、散気部28を水平断面内、すなわち散気部28の回転軸18を鉛直断面内に置くことで、散気部28に鉛直方向に大きな圧力差が生じにくくして、散気部28の圧力損失を少なくし、しかも気泡を均一に発生させて、気泡発生の動力が少なくてすむようにしている。
【0085】
図12及び図13は、本発明の他の実施の形態の微細気泡発生装置10aの概要を示す。この例の微細気泡発生装置10aは、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10とほぼ同様の形状で、流体配管12の途中の散気室14中に設置されている。しかし、ほぼ水平断面内で回転させる横断面が翼形形状の散気部28として、回転軸18の方向に投影した形状が扇形となるようにしたものを使用し、この散気部28を、アーム24(図3参照)を介することなく、回転軸18に、該散気部28の中空部26を回転軸18の気体通路18aに連通させて、直接連結している。
この例では、このように、アームを設けないことによって、アームで発生する流体的な損失を減らすことができる。
【0086】
図14は、本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置10bの概要を示す。この例の微細気泡発生装置10bは、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10aとほぼ同様の形状で、流体配管12の途中の散気室14中に設置されている。しかし、流体配管12として、滑らかに湾曲したものが使用されている。また、散気部28は、回転軸18にアーム24を介して取付けられ、モータ16から延びる駆動軸60と回転軸18との間に、互いに噛合う傘歯車62a,62bが設けられている。これによって、傘歯車62a,62bを介して、駆動軸60から回転軸18に動力が伝達される。
【0087】
この例によれば、傘歯車62a,62bの歯数を変えることによって、回転軸18に取付けた散気部28の移動速度、すなわち散気部28の回転速度を気泡の発生のために最適な回転速度に設定することが可能になる。
【0088】
図15は、本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置10cの概要を示す。この例の微細気泡発生装置10cは、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10とほぼ同様な構成の微細気泡発生部64を流体配管12の途中に直列に二段に設置して構成されている。また、各微細気泡発生部64の散気部28は、それぞれ回転軸18に取付けてあり、回転軸18及びモータ16の駆動軸60には、それぞれスプロケット66,68が設けられている。そして、各スプロケット66,68間には、チェーン70がそれぞれ介装され、これによって、チェーン70を介して、駆動軸60から各回転軸18に動力が伝達される。
【0089】
微細気泡発生装置が一段の場合は、微細気泡発生装置の散気部28の外径が決まると散気部28を囲む流体配管12の断面積が決まるため、気体中における気泡の発生量に限界が生じる。この例のように、微細気泡発生部(微細空気発生装置)64を流体配管12内に直列に多段に設置することにより、単位液体中の気泡の数および気体の量を増やし、しかも、必要な気泡の量に合わせて、微細気泡発生部(微細空気発生装置)64の段数を変えることができる。また、複数段の微細気泡発生部64の各散気部28の回転軸18と、モータ16(駆動源)の駆動軸60との間を、スプロケット66,68およびチェーン70で繋いで動力を伝達するようにすることで、一つのモータ16で複数段の微細気泡発生部64の散気部28を回転させることができる。また、回転軸18と駆動軸60に取付けたスプロケット66,68の歯数を変えることによって、回転軸18に取付けられた散気部28の移動速度、すなわち散気部28の回転速度を気泡の発生のために最適な回転速度に設定することができる。
【0090】
この例にあっては、1段の散気部28で液体単位体積当りに必要な気泡の量が足りない場合は、流体配管12に途中または端部に入れる翼形形状の散気部28を複数段にすることによって、必要な気泡の量を確保することができる。なお、散気部28を複数段にする場合、複数段の散気部28を一つの回転軸に設けることも、個々に回転軸を設けることも、さらに両者を併用することもできる。
【0091】
図16及び図17は、本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置10dの概要を示す。この例の微細気泡発生装置10dは、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10とほぼ同様な構成の微細気泡発生部64を、流体配管12の散気室14内に、回転軸18を共通にして、直列に上下二段に配置して構成されている。また、上方に位置する微細気泡発生部64の翼形形状の散気部28の周囲の液体が、下方に位置する微細気泡発生部64の翼形形状の散気部28の回転に伴って該散気部28と同じ方向に旋回することを防止するために、上下に位置する散気部28の間および近傍に第2の整流板72を設けている。
【0092】
この例では、図15に示す例と同様に、散気部28が一段の場合は、散気部28の外径が決まると散気部28を囲む流体配管12の断面積が決まるため、気泡の発生量に限界が発生するが、散気部28を直列に多段に設置することにより、単位液体中の気泡の数および気体の量を増やすことが可能になり、必要な気泡の量に合わせて散気部28の段数を変えることができる。
【0093】
図18及び図19は、本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置10eの概要を示す。この例の微細気泡発生装置10eは、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10とほぼ同様な構成の微細気泡発生部64を、流体配管12の散気室14内に、回転軸18を共通にして、直列に上下二段に配置して構成されている。更に、この例では、回転軸18にボス部74を取付け、このボス部74の内部に設けた気体通路74aと各散気部28の中空部26とを連通させて、アームを省略している。そして、流体配管12の散気室14の吸込み口に接続される吸込み部12bを、回転する散気部28の中心軸からずらした位置で散気室14に接続して、流体配管12の吸込み部12bから散気室14内に流入する液体によって、散気部28を囲む散気室14の上流に旋回流が発生するようになっている。
【0094】
この例では、散気部28の上流に発生する旋回流の回転方向と反対方向に散気部28が回転するように設定すれば、散気部28の上流に旋回流がない場合より散気部28に対する流体の相対速度が大きくなるため、散気部28で発生させる気泡の径が大きくなることを防ぐことができる。また、下方に位置する散気部28の上流側における旋回流が強ければ、下方に位置する散気部28を通過した後でも、上下に位置する微細気泡発生部64の散気部28の間にある流体が、下方に位置する散気部28の上流側における旋回流と同じ方向に旋回することになり、上方に位置する散気部28と同じ方向に回転する恐れがなくなるため、流体が上方に位置する散気部28と同じ方向に回転することを抑える整流板72(図16及び図17参照)を上下に位置する散気部28の間に取付ける必要がなくなり、微細気泡発生装置の全長を短くしてコンパクトにすることができる。
【0095】
図20は、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10の他の設置例を示す概要図である。この例は、図1乃至図4に示す微細気泡発生装置10を、内部に液体(処理液)80を溜める散気槽82の上部と下部を繋ぐ流体配管12の上部に設けた散気室14内に、翼形形状の散気部28が散気槽82内の液体80の液面80aの近傍に位置するように設置している。これにより、気体の吐出圧力を低くし、気体が空気であるときには、空気供給ブロワの動力を低く抑えてことができる。さらに、ほぼ散気部28を水平断面内で回転させることによって、微細な気泡を散気室14内に分散するようにしている。また、翼形形状の散気部28によって流体配管12内に流れを起し、流体配管12で散気槽82の底部へ流れを導くことによって、微細な気泡を散気槽82の底部に吐出すことができるため、水等の流体を流動させるためのポンプなど別途の設備が不要になる。しかも、モータ(駆動部)16を流体配管12の外に設置しているため、モータ16や電気系統が気体中にあり、漏電等の危険減少すると共にメンテナンスが容易になる。
【0096】
図21は、図16及び図17に示す微細気泡発生装置10eの他の設置例を示す概要図である。なお、この図21に示す例では、図16及び図17に示す微細気泡発生装置10eにおけるアーム24をボス部74に置き換えている。そして、この例は、微細気泡発生装置10eを散気槽82内に設置している。図20に示す例の場合、流体配管12を散気槽41の外部に設けているが、この例では、流体配管12を散気槽82の内部に入れている。
【0097】
この例によれば、翼形形状の散気部28を散気槽82の液体80の液面80aの近傍に設置することで、気体の吐出圧力を低くし、気体が空気であるときには、空気供給ブロワの動力を低く抑えている。更に、散気部28をほぼ水平断面内で回転させることによって、微細な気泡を流体配管12内に分散するようにしている。また翼形形状の散気部28によって流れを起し、流体配管12で散気槽82の底部へ流れを導くことによって、微細な気泡を散気槽82の底部に吐出すことができるから、水を流動させるためのポンプなど別途の設備が不要になる。しかも、モータ(駆動部)16が流体配管12の外に設置されているため、モータ16や電気系統が気体中にあり、漏電等の危険減少すると共にメンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態の微細気泡発生装置が流体配管内に設置された状態を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】図1の散気部及びその周辺を示す斜視図である。
【図4】図1に示す散気部の横断面図である。
【図5】本発明の散気部の他の例を示す断面図である。
【図6】水中における空気泡の気泡径と上昇速度の関係を示すグラフである。
【図7】水槽中にボイド率が0.01の酸素気泡がある場合の気泡径と液相基準の総括物質移動容量係数の関係を示すグラフである。
【図8】散気部の移動速度を固定し、水中で散気部を移動させて空気の気泡を発生させたときの散気孔径と気泡径の関係を示すグラフである。
【図9】散気孔径を固定し、水中で散気部を移動させて空気の気泡を発生させたときの散気部の移動速度と気泡径の関係を示すグラフである。
【図10】水中で翼形形状の散気部を移動させて空気の気泡を発生させたときの散気孔径の空気流入速度と気泡径の関係を示すグラフである。
【図11】水中で翼形形状の散気部を移動させて空気の気泡を発生させたときの散気孔径と散気孔における圧力損失の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の他の実施の形態の微細気泡発生装置が流体配管内に設置された状態を示す断面図である。
【図13】図12のA−A線矢視図である。
【図14】本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置が流体配管内に設置された状態を示す断面図である。
【図15】本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置が流体配管内に設置された状態を示す断面図である。
【図16】本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置が流体配管内に設置された状態を示す断面図である。
【図17】図16のA−A線矢視図である。
【図18】本発明の更に他の実施の形態の微細気泡発生装置が流体配管内に設置された状態を示す断面図である。
【図19】図18のA−A線矢視図である。
【図20】図1乃至図4に示す微細気泡発生装置の他の設置例を示す断面図である。
【図21】図16及び図17に示す微細気泡発生装置の他の設置例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0099】
10,10a,10b,10c,10d,10e 微細気泡発生装置
12 流体配管
14 散気室
16 モータ(駆動部)
18 回転軸
20 支持体
22 シールリング
24 アーム
26 中空部
28 散気部
30 気体配管
32 整流板
36 外殻
38 散気板
38a 散気孔
40 前縁
42 後縁
44 翼弦
50 支持板
52 長孔
54 ボルト
60 駆動軸
62a,62b 傘歯車
64 微細気泡発生部
66,68 スプロケット
70 チェーン
72 整流板
80 液体
82 散気槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体配管経路の途中または端部に液体中に浸漬させて配置され、内部に導入した気体を表面に設けた散気孔を通して気泡として液体中に散気させる散気部と、
前記散気部を液体中で回転させる駆動部と、
前記散気部へ気体を供給する気体通路を有し、
前記散気部は、反回転方向に向けて厚みが減少する横断面が翼形形状に形成されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記散気孔は、前記横断面が翼形形状の散気部の上面または下面の面積の50%以上の領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記散気部は、該散気部が回転する平面に対して、その翼形形状の翼弦を傾斜させて配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記散気部は、該散気部が回転する平面に対して、その翼形形状の翼弦の傾き角を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記散気部が含まれる配管の外部または前記流体配管経路内の液体の液面上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項6】
前記散気部は、前記流体配管経路内の液体の液面近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項7】
前記駆動部の駆動に伴って回転する回転軸を有し、該回転軸と前記散気部はアームを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項8】
前記回転軸は、前記駆動部によって直接に回転駆動されるか、または前記駆動部から回転伝達機構を介して伝達された回転トルクで回転駆動されることを特徴とする請求項7記載の微細気泡発生装置。
【請求項9】
前記流体配管経路には散気室が備えられ、前記散気部は該散気室の内部に収容されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項10】
前記散気部の近傍に、該散気部が回転する平面に対して略垂直方向に延びる整流板を配置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項11】
前記散気部は、前記流体配管経路の内部または端部の旋回流が生じる位置に配置され、該旋回流と反対の方向に向けて回転することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【請求項12】
前記散気部は、複数段に設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−268376(P2007−268376A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95541(P2006−95541)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】