説明

微結晶構造解析用サンプルマウント

X線結晶構造回折用の生体高分子の微結晶を封入するサンプルマウント(10)が、例えば、小さな金属ロッド(16)の湾曲外面に止着することにより曲率を付与されたパターン化ポリイミド樹脂薄膜(12)を使用して、用意される。パターン化膜(12)は、結晶を保持するテーパ先端(24)を含むことが好ましい。好ましくは、結晶を受承する小さなサンプル開口が膜に配置されている。排出溝によりサンプル開口に接続された第2の大開口が、設けられて、過剰液体の除去と粘性溶液内のより容易な操作を許容する。膜(12)に付与された曲率は、膜の剛性を増加させると共に、結晶を回収するための便利なスコップ状作用をもたらす。ポリイミド樹脂は、背景及び吸収に対する寄与が最小であると共に、所望の疎水性又は親水性を得るように処理することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、X線結晶構造回折用の高分子及びウイルス結晶と他のサンプルを封入及び操作するサンプルマウントと、サンプルマウントを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線のデータ収集と構造決定用の結晶を封入する最も一般的な方法の一つは、それらを典型的に10マイクロメートルの薄壁のガラス又は石英の細管に挿入することである。これらの薄い細管は、X線透明であると共に、比較的に少ない背景散乱を生成する。その細管は、両端を封止されて、結晶のための安定した環境を供給することができる。これは、大量の溶剤(殆ど水)を含有すると共にその構造と秩序を維持するように一定の湿度環境に維持されなけれならないタンパク質及び他の生体高分子の結晶にとって特に重要である。その結晶の環境は細管内で変化させることができる。例えば、少量の飽和塩溶液を細管に注入することにより、結晶を脱水制御できる。結晶は、又、細管内で薬剤分子、小分子リガンドと重原子化合物を含有する溶液に浸漬することができる。細管に封入された結晶は、結晶溶剤の融点から室温よりかなり上までデータ収集に使用することができる。細管は、結晶の過度の無秩序を引き起こさずにデータ収集のためにフラッシュ凍結できない結晶にとって特に重要である。
【0003】
タンパク質と他の生物結晶を細管に封入するのに使用される公知の手法において、最終封入結晶が、X線ビームへの心合せを簡略化するために細管の中心の近くに位置するように、結晶直径に匹敵する直径の細管が最初に選択される。次に、細管の封止端を切り口を付けて破断し、吸引を生じるなんらかの手段がより大径の他端に止着される。細管の開放端が、結晶が存在する液滴に挿入され、少量のこの液体が細管に吸引される。細管は液体から取出され、液体をその端から移動させるように少量の空気が吸引される。次に、細管が液滴に差し戻され、結晶が注意深く吸引される。結晶を囲む過剰液体は、紙芯を使用して除去され、細管の開放端はワックス、グリース等により封止される。吸引装置が大径端から取外され、細管がけがきをされて所望長さに破断され、その端が封止され、次に、細管が、典型的に模型用粘土を使用して、X線測定するためにピン又はゴニオメータに装着される。
【0004】
結晶の封入と操作が用いられる別の領域は、タンパク質、タンパク質−核酸錯体及びウイルスの結晶とX線による放射損傷に鋭敏な他の結晶に広範に使用されるX線低温結晶構造解析である。低温結晶構造解析法の開発と適用は、生体高分子と高分子錯体の構造を解決する速度に劇的な影響を及ぼした。放射損傷が重大になる前にはるかに大きなX線量を吸収することができるので、単一の結晶を使用して完全なデータセットをしばしば収集することができる。
【0005】
各種の方法が、フラッシュ冷却と低温結晶構造解析のデータ収集のための結晶を操作及び封入するために使用されてきた。初期の実験は、結晶をグラスファイバーの端部に止着したり、ミニチュア・ガラスへらの頂部に載置した。低X線吸収材料を用いるループ封入方法は、現在、結晶を操作及び封入するのに断然最も広く使用される方法である。ループ低温マウントは、ループを形成するようにねじられ、次に、小さな中空金属棒に通される細い(10−20μm)直径のナイロン(又は金属)線から成る。この棒は、次に、ゴニオメータに適合する金属又はプラスチックのベースに挿入される。結晶が、ループで捕捉することにより生長して、次に、安定化溶液、重原子化合物溶液、小分子、薬剤又はリガンドを含有する溶液又は凍結保護剤溶液を含む1個以上の溶液間のループを使用して移送されるマザーリカーから、結晶が回収される。ループより大きな結晶はその表面上に載置され得る一方、より小さな結晶は、ループに渡る又はループの側部に付着する液膜内に捉えられる。ループに封入された結晶は、次に、液体窒素又液体プロパンに液浸又は冷間ガス蒸気への挿入により、フラッシュ冷却される。
【0006】
ループは、便利な結晶操作をもたらす。結晶をループの液膜内に保持することにより、別の封入ツール等の硬い表面との潜在的に損傷を招く当接が最小化される。ループ自身は、偶発的な当接による損傷をより少なくするだけ柔軟である。ループは、熱量を最小化すると共に熱伝達のための表面積を最大化するのを助けることにより、冷却速度を増大させ、もって、結晶内及び結晶の回りの6角形の氷形成を防止するのに必要な凍結保護剤の集中を低減する。これらの理由により、ループに基づく封入は、世界中のシンクロトンX線ビームラインにおける大処理量自動低温結晶構造解析の標準として選択された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
結晶構造解析用途においてサンプルを封入する上記の公知の手法は、多数の欠点を有する。特に、細管封入手法は、細管の最初に封止される大径開放端を切断し、次に、封止することを必要とする。これらの操作は、細管が破断して内部の結晶が損傷を受ける機会を増加させる。更に、使用可能で切断に適した強度を与える最小細管壁厚が約10マイクロメートルに制限される。これは、次に、非常に小さい結晶の測定時に全SN比を大幅に低下させる細管の背景X線散乱に対する寄与を固定する。
【0008】
非常に小さい結晶(<50マイクロメートル)に対して、結晶を乱さずに過剰液体を排出することは困難である。結晶と細管壁の間の残留液体は、小結晶のより大きな表面体積比のために、結晶体積に匹敵する体積を有することにより、X線の背景散乱が増大する。結晶と細管の間のどの残留液体も、X線ビームにおける結晶の正確な心合せを困難にするひずみレンズとして、湾曲細管壁と作用する。いくらかの液体は結晶を細管壁に対して所定位置に保持する必要があるものの、もし過剰液体があれば、結晶は、回折測定中に壁に対して摺動することにより、データ解析においてエラーを発生し得る。
【0009】
結晶が細管の半径方向中心で終わるのを確実にするためには、細管直径は結晶寸法に合致しなければならない。従って、多くの直径の細管を貯蔵しておかねばならない。正確な寸法の細管を用いても、X線システムの軸心に対する結晶の垂直及び水平位置がまずく制御されて、各結晶に対する時間のかかる心合せを必要とする。例えば、ゴニオメータヘッドに装着されるベースから特定距離に結晶を位置決めすることは、細管の注意深い操作と注意深い切断を必要とし、これらの作業は非常に時間がかかる。結晶の回収中の吸引装置内の圧力調整は、又、相当の熟練を要する。細管は、その大きな寸法のため、封入すべき結晶の観察を妨げ、小滴に操作することが困難である。結晶回収中の結晶の細管端部及び細管壁との当接は、しばしば、特に板状構造の結晶を損傷させることにより、結晶のモザイク性を増大させる。未変性構造のデータ収集後に結晶をリガンド、薬剤又は重原子化合物に浸漬することは、細管内で行うことができるが、不便であってしばしば結晶を変位させる。
【0010】
低温結晶構造解析において、ループマウントの使用も問題である。特に、ループは、10μm直径のナイロン線の場合は特別、非常に柔軟である。その結果、ループは、溶液からの結晶回収中の液体表面張力で屈曲したり、一旦結晶が封入されると結晶及び回りの液体の重量により屈曲し得る。ループの不規則な空気力学輪郭により、ループは、低温ストリームの抗力により屈曲したり揺れることにより、最小モザイク性結晶に対するX線回折ピークを少し広げたり、結晶モザイク性と入射ビーム発散が合致する時に得られる最大回折SN比を減少させる。
【0011】
更に、ループは、低い結晶位置決め精度とX線スピンドル軸心に対する低い再現性をもたらす。所定の呼びループ径に対するループ形状は、不規則であると共に再現性がない。ループが通される金属ポストに対するループ方位は、剛性を改良するために必要な底部におけるナイロンのねじりにいくぶん基づいて、不規則である。ループ内の結晶の位置決めは、特に非常に小さい結晶の場合は再現性がない。結晶と、凍結液体から剛性を得るループ自身とは、サンプル温度を回りの溶剤の融点及び/又はガラス転移の近く又は上に上げる現場結晶アニーリング又はテンパリングプロトコル中に移動し得ることにより、X線ビーム内の結晶の再心合せを必要とする。
【0012】
ループは、又、結晶の回りのかなりの液体を捉える。特に、結晶がループの内面積より小さい場合に、この液体を排出するのが困難であり得る。残りの液体は、背景散乱を増加させることにより、回折SN比を低減すると共に、熱量を増加させることにより、冷却速度を低減する。更に、回りの液体は、結晶と異なる凍結性と熱膨張挙動を有すると共に、冷却中に損傷力を及ぼし得る。回りの凍結した液体は、又、小さな(50μm未満)結晶の撮像と心合せを困難にする。
【0013】
結晶構造解析者が、X線源、光学及び検出器の改良を続けることにより可能となったより小さな結晶を用いた構造解析を試みるにつれて、ループの限界がより明白になってきている。特に大処理量ロボット式スクリーニングに基づく最初の結晶化試行は、通常、非常に小さな結晶を生じる。これらの結晶からX線データを収集することは、生長最適化プロセスの初期に貴重なフィードバックをもたらすと共に、時々、有用な構造情報を直ちに生じる。特に、高分子錯体と膜タンパク質の場合には、結晶品質の大幅な最適化後でも、結晶寸法は小さいままである。SN比が減少すると共に、放射損傷が増大しても、より小さな結晶は、より迅速にフラッシュ冷却することで、より容易に低温保護される点から望ましい。よって、より大きな結晶に対する低温保護条件が注意深く最適化されなければ、より小さな結晶は、より大きな結晶より優れた回折データセットを生じることができる。
【0014】
50μm未満の結晶に対して、ループを使用することが極めて困難になる。柔軟性拘束が最小ナイロン直径を制限し、このことが、次に、最小ループ内径を制限する。小さな結晶は、しばしば、より大量の液体メニスカス内に保持されなければならないことから、回折SN比を低減すると共に、心合せをより困難にする。大きな液体結晶体積比は、又、熱量と冷却回数の減少を制限する。
【0015】
上記のことから、X線結晶構造回折と低温結晶構造解析用途に使用される微結晶を封入する改良技術への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、解析すべき結晶を支持するためにプラスチック薄膜を用いる微結晶サンプルマウントを提供することにより上記の必要性を手当てする。その膜は、50μm以下の厚さを有すると共に、ポリイミド樹脂から成ることが好ましい。本発明の重要な特徴は、膜の構造剛性をかなり増加するために、膜に曲率を付与することである。剛性の増加は、3−15μm(又は、他のマウント寸法が対応して減少される場合は、もっと薄い)程度の厚さのより薄い膜の使用が可能となり、これは、X線の背景散乱を低減する。
【0017】
必要な曲率を供給するために、結晶構造解析用途の型式に応じて多数の手法を用いることができる。細管が用いられない低温結晶構造解析用途では、ポリイミド樹脂膜は、ロッドやピンの湾曲外面、中空のロッド又はスリーブの湾曲内面、又は、スリーブとロッドの間に装着されることが好ましい。これらの実施の形態では、ロッド、スリーブとマウントが水平面に対して角度を成す時に結晶と結晶開口を見ることできるよう、サンプル位置の視角を最大化するために、ロッド及び/又は中空スリーブは、面取り頂部を有することが好ましい。別のやり方として、プラスチックマウントがロッドに対して傾斜するように、円錐端を有するロッドに膜を止着することにより、平坦面から結晶をこそぎ取ることがより容易となると共に、結晶が軸心上にあることから、心合せがより容易となる。
【0018】
細管を使用する結晶構造解析では、膜が細管に挿入される時に細管自身が必要な曲率を付与するのに十分なだけ膜を大きくすることにより、曲率を付与することができる。この変形例では、膜が細管又は管に挿入できるよう膜に最初に曲率を付与するために、ピンセットを用いることができる。
【0019】
ポリイミド樹脂は、低密度を有すると共に、X線を非常に弱く散乱させる点、又、金色の色合いが高分子結晶と良好な光学的コントラストをもたらす点等の優れた機械的性質のために、膜材料として良い選択である。ポリイミド樹脂膜は、試験されるべき結晶を保持するためのテーパ先端を有するようにマイクロファブリケーションされる。このテーパ加工は、膜の面がX線ビームに平行に設定されている時、その寸法が通常、結晶寸法に合致又はより小さいX線ビーム内の膜の体積を最小化する。第1サンプル開口が、結晶を受承する先端に配置されるが、その開口は必須ではない。この開口は、結晶を正確に位置させると共に、X線ビーム内の膜の体積、よって、膜からの背景散乱を最小化する。溶液内で生長される高分子又はウイルスの結晶の低温結晶構造解析向けのマウントに対しては、サンプル開口からの過剰流体の排出を容易にして結晶に接触する危険を少なくする大開口にサンプル開口を接続する小さな溝を膜に配置することが好ましい。大開口は、又、ポリイミド樹脂の全面積を低減することにより、マウントが、結晶を含有する滴を通過する時に生じる流体抵抗及び流れ乱れを低減する。溝と大開口は、過剰流体が問題とならない無機又は小分子有機材料の乾燥結晶には必要ではない。
【0020】
膜は、膜の平面がX線ビームに平行に設定されている時にポリイミド樹脂膜及び吸着流体からの散乱を低減するように、試験すべき結晶の寸法に応じて5−100μmの小さな固定幅をサンプル開口の回りに有することが好ましい。膜が止着されるロッド又はスリーブから突出するように設けられる膜の頂部の全三角形状は、ロッド又はスリーブのテーパ又は面取り形状と共に、ガス冷却システムにおけるサンプルの揺れを最小化する良好な空気力学輪郭をもたらすことにより、最小モザイク性の結晶となる。
【0021】
このように、本発明は、大処理量結晶構造解析用の既存の又は開発中の技術と完全に両立するものを含む全ての利点を有すると共に、より小さな結晶の封入における全ての又は殆どの問題を解決する、従来のループに対する代替物を提供する。それらの潜在的な利点は、もしより大きな曲率を有すると共により薄くより短い膜が使用されるならば、3マイクロメートル以下の寸法の完全に再現し得るサンプルループ、正確で再現性のあるサンプル位置決め、良好なサンプルとマウントのコントラスト、過剰液体のより容易な除去、最小熱量及びより迅速なフラッシュ冷却、低減された背景散乱と容易なデザイン注文及び大量生産を含む。更に、マウントの色、剛性と再現性は、ロボットを使用して結晶を回収することを可能にすることにより、労力の大きな節約となる。対照的に、ループは、柔軟であると共に滴溶液とのコントラストを殆ど有しないため、ループ型マウントの使用は、結晶構造解析滴から手で回収することを必要とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1A乃至図1Dには、本発明の4個の実施の形態に従って構成されると共に、各々がX線結晶構造回折において使用されるゴニオメータ又は他の標準サンプルホルダ/ポジショナーと特に用いられるように設計された微結晶マウント10のいくつかの変形が図示されている。各実施の形態において、微結晶マウント10は、マイクロファブリケーションされたプラスチック膜12を含む。膜12は、曲率が膜12に付与されるように、曲面を有する構造物に止着される。図1Aの実施の形態において、接着剤、テープ、熱接着等の任意の適当な手段により、膜12は、小径の円筒状プラスチック又は金属のポスト16に止着される。図2Aに図示するように、ポスト16は、ハンプトン・リサーチ社によって販売されているか又は大処理量自動結晶構造解析用高分子結晶構造解析コミュニティによって開発されているプラスチック又は金属の標準磁気ゴニオメータヘッドマウント18に挿入されるか、又は、ゴニオメータヘッド(不図示)に対する膜12とポスト16のより高精度の心合せを可能にするキー付き変形例に挿入されるように、寸法設定される。膜12は、先端24に向けて先細でポスト16に止着される時にスコップ形状を形成するテーパ端を有する。
【0023】
図1Bの実施の形態において、中空の金属又はプラスチックのスリーブ又はロッド14が、ポスト16に関連して用いられ、膜12がこれらの2個の部材の間に保持される。スリーブ14は、膜12をポスト16の湾曲外面26に強固に止着すると共に、膜12をポスト16の曲率に合致させることにより簡単な組立を可能にする。好ましくは、少量のグルーが、スリーブ14とポスト16の間の領域を封止すると共に、スリーブ14をポスト16に対して固定するのに使用される。別のやり方として、スリーブ14を、膜12をスリーブ14とポスト16の間に把持する熱収縮チューブを使用して実施することができる。更に、図1Cに示すように、膜12が、例えば、接着剤、テープ、熱接着等により中空スリーブ14の湾曲内面28に止着されるように、中空スリーブ14を単独で使用することができる。膜12は、又、スリーブ14の片側をつぶすことによりその片側が膜12を湾曲する他方側に押付けるように、スリーブ14の湾曲内面にかしめることができる。
【0024】
図1Aと図1Bの両方の実施の形態において、図3に関連して後で詳述するようにポリイミド樹脂膜12の先端24に位置するサンプル位置の視角を最大化するように、スリーブ14とポスト16は、夫々、面取り頂部20と22を有することが好ましい。同じ目的を達成する別の実施の形態が、膜12が止着される円錐頂部29をポスト16が有する図1Dに図示されている。図示するように、膜12は、ポスト16の垂直縦軸に対してある角度をなして装着されることにより、膜12の先端24はこの縦軸の真上に位置する。その結果、膜12の心合せがより容易となる。もっと重要なことに、平坦面からの結晶のかき取りがより容易になるように、膜12の傾斜配置がそのスコップ状先端を位置決めする。
【0025】
上記実施の形態のいずれかによって付与されるポリイミド樹脂膜12の曲率は、その曲げ剛性を劇的に増大させ、紙の円筒状湾曲部品は、平坦なものより曲げるのがはるかに困難である。この特別の剛性は、膜12を3−15μmの程度と非常に薄くすることにおいて決定的である結果、ポリイミド樹脂膜12からの背景散乱を最小化すると共に、最小結晶を封入するのに必要な小さな横寸法に膜12をパターン化することを許容する。上記したように、膜12のこの曲率は、又、結晶を回収すると共に、結晶損傷の機会を最小化する溶液間で結晶を移送する時に、便利で、穏やかなスコップ状作用を生成する。
【0026】
制御された環境内にサンプル結晶が維持される室温結晶構造解析用途に対して、プラスチック管又はガラスX線細管30がマウント10上を摺動され、管30の先端32が、次に、図2Bに示すように封止される。この実施の形態では、もし望ましければ、中空スリーブ14とポスト16の両方を使用する必要があるわけではない。代わりに、ポリイミド樹脂膜12は、所望の曲率を膜12に与えるピンセットで保持することができる。膜12は、次に、そのピンセットを使用してX線細管30に挿入される。ピンセットを解放する時、膜12の曲率は弛緩する。膜12が、そのばね作用により細管30の中心近傍の所定位置に保持されるように、膜12の幅は、細管30の内径よりも少し大きくなるように選択される。細管30の先端32は、次に、グリース又はワックスを使用して封止することができる。
【0027】
スリーブ14及び/又はポスト16が膜12を支持するのに用いられる場合、狭い切断端を有するX線細管30は、注意深く結晶の上に引上げられると共に、ベース18に引下げられる。ベース18は、油又はグリースで潤滑される一方、細管30との気密シールを供給するように、ゴム又はシリコーンのワッシャー/Oリングが細管30の端部の上に巻かれる。細管30に挿入される円筒部は、X線装置に連結されたベース18の一体部品でもよいし、又は、ポスト16をベース18に挿入する穴を設けた別個の円筒部品でもよく、この時、ポスト16のその穴の内径の間の間隙はグリースで封止される。狭い端部は、次に、グリース、ワックス、グルー等を使用して封止される。別のやり方として、ガラス細管30を、薄肉プラスチック管と置換することができる。例えば、ニューハンプシャー州、サレムのアドバーンスト・ポリマーズ社は、壁厚が0.0002インチ又は5マイクロメートルである通常の低温熱収縮性及び半硬質の透明管を製造している。この場合、管は、結晶上に引上げられると共にベース18に引下げられる。両端の封止は、グリース又は油でなされ、及び/又は、低温熱収縮チューブの場合、外注湾曲先端を有する可変温度はんだこてが使用される。封止を改良するために、任意の材料の小さなプラグが封止の前に開放端に挿入され得る。両方の場合、追加の液体を、封止前に細管/プラスチック管に挿入することができる。又、両方の場合、細管又はプラスチック管の直径が、サンプルマウントの幅よりはるかに大きくされると、サンプルを乱すことなく、細管又はプラスチック管がサンプル上を容易に摺動できる。
【0028】
上記場合の全ての3個において、第2と第3の方法は特に容易である点で好ましいが、結晶は、X線データ収集の後に細管/管から除去されると共に、リガンド、薬剤又は重原子溶液への浸漬等の他の操作をされ、次に、追加のデータ収集のために容易に再挿入され得る。
【0029】
図3は、ポリイミド樹脂膜12の典型的なパターンを示す。膜12は、他のいずれかの適当なプラスチックや他の材料から成ってもよいが、ポリイミド樹脂は、低密度とその成分の低原子番号、従って、低いX線吸収と散乱を有し、X線ビームライン上のテンポラリウインドウのためにカプトン(KAPTON)テープの形で使用されると共に、マイクロエレクトロニクス産業のマイクロリソグラフィー技術を使用して簡単にパターン化されるため、好まれて選択される。それに加えて、黄色―金色ポリイミド樹脂膜と結晶の間の良好なコントラストが、結晶の位置探しと心合せを容易にする。膜12は、解析及び試験すべきサンプル結晶を保持するための狭い先端24において小さなサンプル開口50を含むことが好ましい。サンプル開口50は、溝52を介してずっと大きな開口54に接続されることが好ましい。この構造は、結晶に接触する危険が殆ど無しに、大開口54に挿入された紙芯が結晶の回りから過剰液体を溝52により除去することを可能にする。大開口54は、又、ポリイミド樹脂の全面積を低減することにより、結晶を含有する滴をマウントが通過するにつれて生じる流体抵抗と流れ妨害を低減する。別のやり方として、試験すべき結晶が、例えば、液体の液滴又はポリマーにより、膜12の先端24に直接止着できる時、開口50及び54と溝52のいずれも用いる必要がない。
【0030】
膜12は、サンプル開口50を囲む小さな幅の縁56を有する。膜12の平面がX線ビームに平行に方位設定される時、サンプル開口50は、ポリイミド樹脂膜12及び吸着された流体からの散乱を低減する。縁56は、試験される結晶の寸法に応じて5μmと100μmの間の固定幅を有することが好ましい。自動心合せを助けるのに使用できる小さな十字状開口58が、サンプル開口50と大開口54の下方で膜12の中心に配置されている。使用される心合せアルゴリズムに適合するために、他の心合せ開口を追加することができる。ポスト16を超えて延在する膜12の頂部60全三角形状は、ポスト16のテーパ形状と共に、最低モザイク性結晶に関連するガス冷却ストリームにおけるサンプルのゆれを最小化する良好な空気力学輪郭をもたらす。サンプル開口50は、例えば、棒状結晶の封入を簡略化するために任意の形状に合わせて作ることができる。例えば、サンプル開口50を囲むうね部を形成したり、より強固なベースを供給したり、又は、空気力学を修正するために、膜厚を変更することができるが、一様な厚さは適当な性能以上のものをもたらす。
【0031】
組立の容易さのため、特に、中空スリーブ14の内側への止着のために、テーパ端64を有する延長尾部62を含む。テーパ端64は、膜12のスリーブ14への挿入、細管用途の場合は、プラスチック管又は細管30への容易な挿入を許容する。1対の小さな翼部66が、膜12がスリーブ14に挿入された時に突出すると共に、膜12のスリーブ14内への移動を制限して、再現性のある位置決めをもたらす。膜12をポスト16の外側に止着する場合、正方形端部を有するより短く且つより幅広の尾部を使用することができる。両方の場合、尾部は、接着強さを改良するために、小さな開口68を設けることができる。更に、制御環境細管の実施の形態では、後で細管30内の湿った環境を維持するのに寄与する結晶を含有する滴内に膜12が配置される時、開口68は小さな液滴を捉える。最も薄いポリイミド樹脂膜に対しては、引裂きに対する膜強さを改良するために、応力集中の点である設計内の全ての直角切断を、有限半径の曲線と置き換えることができる。
【0032】
パターン化ポリイミド樹脂膜を加工するために、所望の結晶開口寸法と膜厚に応じて、多数の異なるプロセスを用いることができる。第1の好ましい膜加工プロセスは、フォトディファイナブル・ポリイミド樹脂に基づくと共に、はるかに小さな開口寸法を生成し得る。まず第1に、膜リフトオフ中に犠牲層として使用される1/2μm二酸化珪素層が、清浄なシリコンウエハの表面上に析出される。ウエハは、ポジトーン・フォト露出PWDC1000ポリイミド樹脂でスピンコートされる。定着剤によるプレコーティング又は蒸気プライミング・オーブン内のプレベーキングは、ウエハとポリイミド樹脂の間の良好な接着を確保する。短いベーキングの後、ポリイミド樹脂は、マウントのパターンを含むクロムガラスのマスクを介して軟接触露出され、次に、露出したポリイミド樹脂を除去するために、現像液に沈められる。残りのパターン化ポリイミド樹脂は、次に、窒素雰囲気オーブン内で硬化される。最後に、ウエハは、犠牲二酸化珪素層を除去するために、薄いHFに沈められることにより、パターン化ポリイミド樹脂膜がウエハから離脱して浮遊する。このプロセスは、厚さが3−15μmのポリイミド樹脂膜を加工するのに適しており、ポリイミド樹脂膜は、次に、回折を現在得ることのできる最小高分子結晶を封入するのに適した5μmの開口寸法にパターン化できる。膜の横寸法を低減すると共にその曲率を増大することにより、適当な膜剛性を維持する一方、より薄い膜とより小さい開口寸法を得ることができる。パターン化ポリイミド樹脂膜を有する3インチ・シリコンウエハを使用する試験構成では、130個のサンプルマウントを一度に製造することができる。8インチ・ウエハでは、この数字は1000を超える数字に増大でき、個々のマウントの生産が非常に安価となる。接触印刷と噴霧(インクジェット)印刷等の他の一般的なマイクロファブリケーションプロセスは、特に、より大きな開口寸法を有するマウントに使用することができる。
【0033】
50μmより大きなサンプル開口に対して、フレキシブル電子回路に使用される銅−ポリイミド樹脂−銅シート材料に基づく加工プロセスを用いることができる。シリコンウエハがホトレジストでスピンコートされ、そのウエハ寸法に合致する1片のこのシート材料が、平坦面を確保するように1片のガラスを使用して頂部に押圧される。この組立物が、次に、ホトレジストを硬化すると共に銅−ポリイミド樹脂−銅をウエハに強固に止着するために、ベーキングをされる。第2のホトレジスト層が、次に、銅の頂部に貼られて、ウエハが2回目のベーキングされる。この層は、ウエハ領域を覆うように写し取られたサンプルマウントパターンを含むクロムガラスマスクを介してブロードバンドUVコンタクトアライナー内で露出され、次に、露出されたホトレジストを除去するために現像される。そのパターンが、塩化第2鉄を使用して頂部の銅層にエッチングされ、次に、O−CHFガスプラズマエッチングを使用してポリイミド樹脂にエッチングされる。その後、パターン化された銅−ポリイミド樹脂−銅膜が、ウエハから分離する。パターン化されたシートが、残留ホトレジストを除去するように、シプレー(Shipley)1165の浴内に配置され、次に、ポリイミド樹脂膜の頂部と底部上の全ての残留銅をエッチング除去するように、第2の塩化第2鉄浴内に配置される。
【0034】
本プロセスによって便利に得られる最小特徴部(例えば、開口)寸法は、非垂直エッチング輪郭と、市販のフレキシブル回路の最小の銅厚さ(9μm)及びポリイミド樹脂厚さ(25μm)とによって、約50μmに制限される。
【0035】
オプションとして、異なる溶液内でのマウントの性能を改良するために、加工されたポリイミド樹脂膜の表面特性を修正することができる。ポリイミド樹脂は当然疎水性である。この状態において、サンプルマウントは、溶解性タンパク質のマザーリカーをはじく傾向があると共に、タンパク質結晶を含有する液滴の乱れ生じさせ得る。ポリイミド樹脂の表面特性を修正するために、広範な手法が開発されてきた。本ポリイミド樹脂膜を親水性にするために、好ましいプロセスは、リフトオフと乾燥の後にそれらを酸素ガスプラズマエッチングに短くさらすことである。この処理は、滴乱れを最小化すると共に、結晶を容易に回収させる。しかしながら、練習するにつれて、未処理マウントは、殆ど同様に動作して、過剰液体を低減するように見え、それらの疎水性は、洗浄剤を含有する滴に対してより有用である。
【0036】
先行技術のナイロンループマウントで生成された解像度対拡散X線背景と本発明の実施の形態に従って構成された9μm厚のポリイミド樹脂マウントを比較するために、試験が行われた。その試験は、より剛性のあるポリイミド樹脂マウントが、特に、重要な2−5Å解像度範囲において、はるかに小さな背景散乱を供給することを立証した。一般に、サンプル開口の寸法、形状と方位の再現性と共にスコップ状作用は、特に小さな結晶に対する本マウントの使用をループよりはるかに容易にさせる。一例として、マウントは、封入すると共に、5−7μm高分子結晶から完全なデータセットを得るのに使用されてきた。より厚いポイリミド樹脂膜(10−25μm)が使用される場合、本マウントは、又、数百マイクロメートルの寸法を有する大きな結晶に使用することもできる。全てのサンプル及びマウントの方位、ポリイミド樹脂の低密度と原子番号組成に対するビーム経路における少量のポリイミド樹脂のために、背景散乱に対するその寄与は、非常に小さな結晶に対する乱れた内部及び外部の溶剤のそれと比較して小さい。この量は、曲げ剛性を決定する膜厚とサンプル開口の回りのポリイミド樹脂の幅の間の釣合いを最適化することによって、減少させることができる。エッチ輪郭を手当てするように膜厚を低減すると共に、座屈を防止するように横方向マウント寸法が低減される場合、薄膜プロセスによって加工される同じ基本的設計は、数マイクロメートル以下の開口に適用されるべきである。極端に小さな結晶に対しては、開口は省略できると共に、頂部の小さな湾曲中実部を、結晶の回収と支持に使用することができる。
【0037】
好ましい実施の形態に従って構成されるマウントの別の大きな利点は、それらがループよりもはるかに剛性があることである。それらは、結晶を含有する滴に沈められる時に剛性を維持して、結晶の回収を簡単にする。それらは、回折性を改良するのに使用されるアニーリング又はテンパリング手順中につぶれないと共に、低温ストリーム中のゆれによるモザイク性拡大の証拠を全く示さない。最後に、これらのマイクロファブリケーションされたマウントは、有機及び無機の両方の全ての種類の小さな結晶に対してより一般的に有用であるべきである。乾燥結晶に対しては、排出開口は前述したように消去できると共に、結晶は、グルー又はグリースを使用したり、又は、データ収集の後に洗い流し得るエチルセルロース・エチルアセテート混合物を使用して、強固に止着することができる。
【0038】
好ましい実施の形態に対して多数の追加の変形や修正を加えることができる。例えば、膜は、より良い剛性を付与するために、他のポリマー又は2層以上の異なるポリマーを使用して加工することができる。膜の表面は、より優れた剛性と、最小全質量を有する曲げ特性のためのリブ構造を作るようにパターン化することができる。更に、その表面は、例えば、サンプル開口を撥水性にすると共に「排出」開口を吸水性にするために、化学処理することができる。結晶の自動心合せを容易にするために、パターン心合せマークを膜上のサンプル開口の回りに配置することができる。異なる寸法の結晶を容易にするために、サンプル開口寸法は任意の寸法にできると共に、多数の寸法を単一のポリイミド樹脂シートに作ることができる。次に、開口の回りのポリイミド樹脂の幅は、各結晶寸法に対して最小化して、開口から散乱するX線の量を最小化することができる。サポートが円筒ロッドの使用を含む場合、そのロッドは、プランジ冷却中の熱量と窒素の蒸発を最小化するために、中空であると共に、低比熱及び高熱伝導率の材料から成ることができる。最後に、膜が円筒の一部よりもむしろ円錐の一部内に曲げられるように、膜が止着されるロッドの端部がテーパ加工され得る。所定のサンプル寸法に対する開口寸法の正確な選択と、ロッドのテーパの角度の選択とによって、結晶を、サンプルマウント/ゴニオメータの回転軸心上に配置することができる。
【0039】
結論として、本発明は、現在広く使用されているナイロンループの多くの利点を維持すると共に、同時に、それらの欠点を解消する高分子低温結晶構造解析のために結晶を封入することに対する新たな手法を提供する。マイクロファブリケーションされたポリイミド樹脂膜サンプルマウントは、従来のシンクロトンビームラインにおいて特徴付けられると共に構造ゲノムセンターにおける自動結晶化で大量生産されている非常に小さな結晶の取扱いにより良く適している。これらのマウントは、X線データ収集の自動化を簡略化すべきであると共に、液滴からの結晶の自動回収のための既存の代替策よりも良く適している。それらの加工が標準のマイクロエレクトロニクス産業プロセスに基づくので、これらのマウントは、世界中の構造ゲノム努力によってまもなく必要となる年間数百万個の量を生産することが容易で且つ安価であるべきだ。それらは、全ての種類の小さな有機/無機結晶、特に、X線データ収集のための低温冷却から利益を得る小さな有機/生体分子の結晶に対してより一般的に有用であるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】本発明の4個の実施の形態に従って構成された4個の微結晶サンプルマウントの一つを示す図である。
【図1B】本発明の4個の実施の形態に従って構成された4個の微結晶サンプルマウントの一つを示す図である。
【図1C】本発明の4個の実施の形態に従って構成された4個の微結晶サンプルマウントの一つを示す図である。
【図1D】本発明の4個の実施の形態に従って構成された4個の微結晶サンプルマウントの一つを示す図である。
【図2A】標準X線装置に適合するベースを使用する制御環境細管又は管内に微結晶を位置決めするサンプルマウントの一つを用いる組立物の分解図である。
【図2B】標準X線装置に適合するベースを使用する制御環境細管又は管内に微結晶を位置決めするサンプルマウントの一つを用いる組立物の組立図である。
【図3】本発明の実施の形態において実際の結晶マウントを形成するパターン化ポリイミド樹脂膜を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 微結晶マウント
12 膜
14 スリーブ
16 ポスト
30 細管



【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線結晶構造回折を使用して試験されるべき結晶を保持するマウントにおいて、
結晶を受承するテーパ先端を有する膜と、膜の構造剛性を増加するために膜に曲率を付与する手段とを備えるマウント。
【請求項2】
前記膜がプラスチック材料で形成される請求項1に記載のマウント。
【請求項3】
前記プラスチック材料がポリイミド樹脂である請求項2に記載のマウント。
【請求項4】
前記手段が、膜が止着される湾曲外面を有するロッドを備える請求項1に記載のマウント。
【請求項5】
前記ロッドが、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有する請求項4に記載のマウント。
【請求項6】
前記ロッドが、結晶の視角を増大させるように膜がロッドの長手軸心に対してある角度で止着される円錐頂部を有する請求項4に記載のマウント。
【請求項7】
前記手段が、膜が挿入される中空スリーブを備え、又、膜が中空スリーブ内に配置される時に中空スリーブが曲率を膜に付与するように、膜と中空スリーブが寸法設定されている請求項1に記載のマウント。
【請求項8】
前記中空スリーブが、膜と係合保持される湾曲内面を含む請求項7に記載のマウント。
【請求項9】
前記中空スリーブが、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有する請求項7に記載のマウント。
【請求項10】
前記手段が、湾曲外面を有するロッドを備え、又、ロッドは、湾曲内面を有する中空スリーブに挿入され、更に、膜は、ロッドの湾曲外面と中空スリーブの湾曲内面の間に挿入される請求項1に記載のマウント。
【請求項11】
前記ロッドと前記中空スリーブの各々が、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有する請求項10に記載のマウント。
【請求項12】
前記膜が、50μm以下の厚さを有する請求項1に記載のマウント。
【請求項13】
前記膜が、15μm以下の厚さを有する請求項12に記載のマウント。
【請求項14】
第1サンプル開口が前記膜の前記先端に配置された請求項1に記載のマウント。
【請求項15】
前記膜は更に第2開口を含み、又、第2開口は、第1サンプル開口から離隔すると共に、第1サンプル開口から過剰液体を排出する溝によって第1サンプル開口に接続されている請求項14に記載のマウント。
【請求項16】
第1サンプル開口が、前記膜の前記先端において縁によって囲まれ、該縁は、100μm以下の幅を有する請求項14に記載のマウント。
【請求項17】
前記膜が、前記先端と反対側に第2尾部端を含み、該第2尾部端は、装着スリーブへの膜の挿入を容易にするようにテーパ加工される請求項1に記載のマウント。
【請求項18】
前記膜が、結晶をさらす環境を制御するように封止管内に収納される請求項1に記載のマウント。
【請求項19】
前記膜が、微結晶をさらす環境を制御するのに使用される液滴を保持する複数の開口を含む請求項18に記載のマウント。
【請求項20】
X線結晶構造回折を使用して試験されるべき結晶を保持するマウントにおいて、
50μm以下の厚さを有すると共に結晶を受承するテーパ先端を有する膜と、膜が止着される湾曲外面を有すると共に、膜の構造剛性を増加するために膜に曲率を付与する手段として働くロッドとを備えるマウント。
【請求項21】
前記プラスチック材料がポリイミド樹脂である請求項20に記載のマウント。
【請求項22】
前記ロッドが、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有する請求項20に記載のマウント。
【請求項23】
前記ロッドが、結晶の視角を増大させるように膜がロッドの長手軸心に対してある角度で止着される円錐頂部を有する請求項20に記載のマウント。
【請求項24】
前記ロッドが挿入される中空スリーブを更に含み、該中空スリーブは湾曲内面を有し、更に、膜は、ロッドの湾曲外面と中空スリーブの湾曲内面の間に挿入される請求項20に記載のマウント。
【請求項25】
前記ロッドと前記中空スリーブの各々が、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有する請求項20に記載のマウント。
【請求項26】
前記膜が、15μm以下の厚さを有する請求項20に記載のマウント。
【請求項27】
第1サンプル開口が前記膜の前記先端に配置された請求項20に記載のマウント。
【請求項28】
前記膜は更に第2開口を含み、又、第2開口は、第1サンプル開口から離隔すると共に、第1サンプル開口から過剰液体を排出する溝によって第1サンプル開口に接続されている請求項27に記載のマウント。
【請求項29】
第1サンプル開口が、前記膜の前記先端において縁によって囲まれ、該縁は、100μm以下の幅を有する請求項27に記載のマウント。
【請求項30】
前記膜が、前記先端と反対側に第2尾部端を含み、該第2尾部端は、装着スリーブへの膜の挿入を容易にするようにテーパ加工される請求項20に記載のマウント。
【請求項31】
前記膜が、結晶をさらす環境を制御するように封止管内に収納される請求項20に記載のマウント。
【請求項32】
前記膜が、微結晶をさらす環境を制御するのに使用される液滴を保持する複数の開口を含む請求項31に記載のマウント。
【請求項33】
X線結晶構造回折を使用して試験されるべき結晶を封入する方法において、
結晶を受承するテーパ先端を有する膜を供給するステップと、膜の構造剛性を増加すると共に前記先端をスコップ状に形成するために、膜に曲率を付与するステップと、試験されるべき結晶を溶液から前記先端にすくい入れるステップと、膜をX線結晶構造回折装置内に配置するステップとを備える方法。
【請求項34】
前記膜が、プラスチック材料で形成されるように選択される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記プラスチック材料が、ポリイミド樹脂であるように選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記膜に曲率を付与する前記ステップが、膜をロッドの湾曲外面に止着することを備える請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ロッドが、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有するように選択される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ロッドが、結晶の視角を増大させるように膜がロッドの長手軸心に対してある角度で止着される円錐頂部を有するように選択される請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記膜に曲率を付与する前記ステップが、膜を中空スリーブに挿入することを備え、又、膜が中空スリーブ内に配置される時に中空スリーブが曲率を膜に付与するように、膜と中空スリーブが寸法設定されている請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記中空スリーブが、膜と係合保持される湾曲内面を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記中空スリーブが、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有するように選択される請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記膜に曲率を付与する前記ステップが、湾曲外面を有するロッドと湾曲内面を有する中空スリーブを供給することと、膜をロッドの湾曲外面に止着することと、膜が、ロッドの湾曲外面と中空スリーブの湾曲内面の間に配置されるように、ロッドを中空スリーブに挿入することとを備える請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記ロッドと前記中空スリーブの各々が、結晶の視角を増大させるように面取り頂部を有するように選択される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記膜が、50μm以下の厚さを有するように選択される請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記膜が、15μm以下の厚さを有するように選択される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第1サンプル開口が前記膜の前記先端に配置された請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記膜は更に第2開口を含み、又、第2開口は、第1サンプル開口から離隔すると共に、溝によって第1サンプル開口に接続され、更に、排出材料を第2開口内に配置することにより、第1サンプル開口から過剰液体を排出するステップを備える請求項46に記載の方法。
【請求項48】
第1サンプル開口が、前記膜の前記先端において縁によって囲まれ、該縁は、100μm以下の幅を有する請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記膜が、前記先端と反対側にテーパ加工された第2尾部端を含むように選択され、又、膜をX線結晶構造回折装置内に配置する前記ステップが、膜の第2尾部端を装着スリーブに挿入することを備える請求項33に記載の方法。
【請求項50】
膜をX線結晶構造回折装置内に配置する前記ステップが、結晶をさらす環境を制御するように、膜を管内に封止することを備える請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記膜が、微結晶をさらす環境を制御するのに使用される液滴を保持する複数の開口を含むように選択され、更に、微結晶をさらす環境を制御するように、液滴を前記開口内に配置するステップを備える請求項50に記載の方法。

【図3】
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【公表番号】特表2007−524811(P2007−524811A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508919(P2006−508919)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/006088
【国際公開番号】WO2004/094993
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(592035453)コーネル・リサーチ・ファンデーション・インコーポレイテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】CORNELL RESEARCH FOUNDATION, INCORPORATED
【Fターム(参考)】