説明

微酸性電解水噴霧器

【課題】噴霧により、環境に悪影響を与えず、長時間の自動連続噴霧が可能で、居住空間等実用的な空間にも対応できる能力があり、効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うことが可能な噴霧器を提供すること。
【解決手段】噴霧により、環境に悪影響を与えず、効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うことが可能な液体としては微酸性電解水以外にないこと、さらに、長時間の自動連続噴霧が可能で、居住空間等実用的な空間にも対応できる能力のある噴霧器としては、微酸性電解水の連続生成器を内蔵すること以外にないことから、微酸性電解水の連続自動生成器を内蔵する微酸性電解水噴霧器を本課題解決手段とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧器に関する。より詳細には、微酸性電解水を生成し、それを噴霧する噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
空中に液体を噴霧拡散する目的は色々ある。空中湿度を維持するための加湿、空気の脱臭、空気への加香、空気の殺菌あるいは冷房などである。これらの手法は以前から行われており、噴霧する液体も、目的に応じて、水の他、薬剤の溶液、香料なども用いられている。噴霧の方法もいくつか用いられており、超音波方式、遠心方式、衝突方式、加圧噴出方式、加熱方式あるいはそれらを組み合わせた方式など多種多様である。
【0003】
最も広く行われている加湿は、空中湿度を快適な範囲に維持し、室内の居住品質を高め、さらに乾燥による感染症の予防を目的としている。しかし、噴霧に用いている水は長時間器内に貯留されることが多いため、有害微生物が繁殖することがあり、加熱以外の方式の利用が困難になったこともあった。超音波方式は比較的安価に製作できるため、広く普及しており、多数の加湿機が使用できなくなったのである。しかし、殺菌効果のある液体を用いることによってこのような問題は解消される。しかも、加湿のみではなく、空気の殺菌あるいは除臭が同時に行われると極めて便宜性の高いものになる。
【0004】
しかし、このような目的に用いる液体にはいくつかの条件がある。まず、噴霧しても殺菌や除臭の効果があること、噴霧により火災等の危険性が無いこと、人が吸入したり、皮膚にかかっても毒性が無く傷害を起こさないことである。さらには、室内汚染や電気製品障害の原因になる塩分などの固形物を含まないことも必須の条件である。
【0005】
空気殺菌等の目的で、食塩等を電解して生成した、次亜塩素酸塩溶液を空中噴霧する技術はいくつか公開されている。特許文献1には電解水を貯留する容器と、電解水を噴霧する仕組みを備えた装置が記載されている。
【0006】
一方、特許文献2には、塩素化合物の溶液と、その溶液を電解する機構を同一の容器内に収納した手動式の噴霧器が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−312188号公報
【特許文献2】特開2004−130266号公報
【特許の開示】

【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の特許文献1に記載された方法は、噴霧する薬剤がタンクに貯留され分だけであるので、貯留分を噴霧し終わると噴霧は中断し、薬剤を人が補給しなければならない。従って、連続的に噴霧するには不都合である。さらに、別途殺菌剤の生成装置を購入するか、殺菌剤を購入する必要がある。
【0009】
一方又、前記特許文献2に記載された方法は、容器内に電解装置を内蔵しているために薬剤及び薬剤の生成装置は必要ないが、人手による噴霧であり、用途は極限られている。
【0010】
他にも、食塩などの塩素化合物溶液を電気分解し噴霧する方法は既に複数件開示されている。しかし、塩類を原料とすれば、生成された殺菌剤は、当然塩を含んでおり、噴霧使用するには向かない。もし、塩を含んだ殺菌剤をむやみに噴霧すると、液体は乾燥消失しても、含まれている塩はそのまま残留するので、塩の微粉末を人が吸入し続けることになり、健康障害の原因になる。又、塩類の蓄積により使用場所は汚染され、電気器具や精密機械の内部にも侵入し、重大な障害を引き起こす。
【0011】
そこで、噴霧により、環境に悪影響を与えず、長時間の自動連続噴霧が可能で、居住空間等実用的な空間にも対応できる能力があり、効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うことが可能な噴霧器を提供することを、本発明が解決しようとする課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が解決しようとして挙げた課題のうち、噴霧により、環境に悪影響を与えず、効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うことが可能な液体としては微酸性電解水以外にないこと、さらに、長時間の自動連続噴霧が可能で、居住空間等実用的な空間にも対応できる能力のある噴霧器としては、微酸性電解水の連続生成器を内蔵すること以外にないとの結論に到り、微酸性電解水を噴霧する噴霧器であって、微酸性電解水の連続自動生成器を内蔵する噴霧器を、本課題解決手段の第1の態様とした。
【0013】
又さらに、一層効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うために、第1の態様において、微酸性電解水の霧化が超音波式で行われかつ、送風ファンによって霧を強制拡散する噴霧器を、本課題解決手段の第2の態様とした。
【0014】
又、第1又は2の態様において、長時間の自動連続噴霧を合理的かつ効率よく行うために、微酸性電解水の連続自動生成器の運転停止が、内蔵された微酸性電解水貯留タンクの液面を検出することにより行われる噴霧器を、本課題解決手段の第3の態様とした。
【0015】
又、第1乃至3の態様において、噴霧をなお一層効率よく行うために、噴霧口に排出パイプを配設し、その向きにより吹き出し方向を制御する噴霧器を、本課題解決手段の第3の態様とし、本課題を解決した。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果はまず、本発明者が課題解決のために、微酸性電解水を噴霧する噴霧器であって、微酸性電解水の連続自動生成器を内蔵する噴霧器を提供したことにより、噴霧により、環境に悪影響を与えず、効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うことが可能となり、さらに、長時間の自動連続噴霧が可能で、居住空間等実用的な空間においても効果的な噴霧が可能になった。
【0017】
又さらに、微酸性電解水の霧化が超音波方式で行われかつ、送風ファンによって霧を強制拡散する噴霧器を提供したことにより、一層効果的な空気殺菌、脱臭、加湿或いは冷却を行うことが可能になった。
【0018】
又、微酸性電解水の連続自動生成器の運転停止が、内蔵された微酸性電解水電解水タンクの液面を検出することにより行われる噴霧器を提供したことにより、長時間の自動連続噴霧を合理的かつ効率よく行うことが可能になった。
【0019】
又、噴霧口に排出パイプを配設し、その向きにより吹き出し方向を制御する噴霧器を提供したことにより、噴霧をなお一層効率よく行うことが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の的確な理解に資するために、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するが、本記述によって本発明の範囲を限定する趣旨は無い。微酸性電解水とは、希塩酸を電解し、水で希釈して調製するもので、主成分として含まれる分子状次亜塩素酸により強力な殺菌効果を示すものである。噴霧に用いるものは有効塩素濃度が10ppm以上、40ppm以下のものが望ましい。微酸性電解水の一般的な生成装置には、塩素発生効率の良い、酸化イリジウム、ルテニウム、白金等の触媒を固定した陽電極と、不溶性の陰極で構成した、無隔膜電解槽を用いる。電解電圧は塩酸の濃度にもよるが2〜5V程度が最適である。
【0021】
噴霧器に用いる霧化装置としては一般に用いられているいずれの方式も利用できる。つまり、超音波式、遠心式、加熱式やそれらを組み合わせた方式などである。中でも超音波式は装置が小型に構成できることや安価であること等の点で適している。
【0022】
発生した霧を周囲に散布するには、自然の対流や風の流れに任せる方法でも十分であるが、より広範囲に短い時間で行き亘らせるには、送風ファンなどを用いて強制的に風の流れを作るのが良い。送風ファンとしてはどのような形式のものでも利用可能である。
【0023】
噴霧器を長時間連続運転するには、噴霧機と微酸性電解水生成装置が連動しなければならない。最も単純な連動方法は微酸性電解水の生成量と噴霧量を同一にして連続運転すればよいが、この方法では噴霧量の自由な変更が容易ではない。双方の能力に関係なく自由に噴霧量を設定することができるようにするには、生成された微酸性電解水を一旦タンクに貯留し、そこから噴霧する方法が望ましい。その時、生成装置の発停はタンクの液量を検知することによっても行うことができる。液量の検知には、例えば、液面レベル計や、タンク全体の重量計などを用いることができる。
【0024】
又、霧を好みの方向に噴霧する場合は、噴霧口に排出パイプを設けその向きを変えることによって自由に行うことができる。また、その向きを自動的に変更して均一な噴霧を行うこと等も可能である。
【実施例】
【0025】
次に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図1に示した本発明の実施例の図面で実施例装置を説明する。▲12▼は装置の正面透視図、▲13▼は側面透視図、▲11▼は上面図である。▲2▼が微酸性電解水生成装置、▲3▼がその原液タンク、▲5▼が生成した微酸性電解水の貯留タンクで、貯留タンクには液面センサー(図示せず)が配設されている。▲1▼はダイヤフラムポンプ、▲4▼は超音波霧化器である。液面センサーの信号を受けて、タンクに貯留された微酸性電解水がダイヤフラムポンプによって超音波霧化器に供給される。霧化された微酸性電解水は▲8▼のクロスフローファンによって運ばれ、▲10▼の噴出口から外部に噴出される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】微酸性電解水噴霧器図面
【符号の説明】
6 装置筐体
7 制御装置
9 冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微酸性電解水を噴霧する噴霧器であって、微酸性電解水の連続自動生成器を内蔵することを特徴とする噴霧機
【請求項2】
微酸性電解水の霧化が超音波式で行われかつ、送風ファンによって霧を強制拡散することを特徴とする、請求項1記載の噴霧機
【請求項3】
微酸性電解水の連続自動生成器の運転停止が、内蔵された微酸性電解水電解水タンクの液面を検出することにより行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の噴霧機
【請求項4】
噴霧口に排出パイプを配設し、その向きにより吹き出し方向を制御することを特徴とする、請求項1乃至3に記載の噴霧機

【図1】
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【公開番号】特開2010−131337(P2010−131337A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335884(P2008−335884)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(391008179)株式会社ホクエツ (24)
【Fターム(参考)】