説明

心音測定装置

【課題】複数箇所での心雑音の測定が不要で、一箇所で測定した心音信号に含まれる第2心音に基づいて心疾患の有無を解析できる心音測定装置を提供する。
【解決手段】この心音測定装置では、心音帯域抽出部3によって、心音センサ2が出力する心音信号から第2心音信号を検出し、第2心音分裂検出部5が上記第2心音信号に基づいて、少なくとも上記第2心音の分裂の有無を含む上記第2心音の分裂に関する状態を検出する。一方、第2心音パターン記憶部6は、心疾患の有無を含む心疾患状態と第2心音の分裂の有無を含む第2心音の分裂状態とを互いに関連付けた情報として予め記憶している。心疾患判定部9は、第2心音分裂検出部5が検出した分裂に関する状態と、第2心音パターン記憶部6に予め記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無を含む心疾患状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体の心臓から発生する心音を測定して、異常心音の有無を評価する心音測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心音には心疾患に起因する様々な情報が含まれることから、心疾患の初期診断として聴診器を用いた聴診法による検査が行なわれている。
【0003】
この聴診法による診断は専門的な知識と経験が必要であるが、聴覚には個人差があるため、同一の患者でも診断する医師によって診断結果が異なる場合があるなど、客観性や定量性に欠ける懸念がある。
【0004】
このため、特許文献1(特開平3−133426号公報)や特許文献2(特開2009−240527号公報)では、聴診法に代わる方法として、胸壁などの体表に心音を測定するマイク(心音センサ)を装着して、測定した心音信号に含まれる心音や心雑音を解析して心疾患の解析を行う装置が提案されている。
【0005】
これらの装置を利用することによって、医師の聴診能力の個人差に関わらず、客観的かつ定量的な心疾患の診断が実現できる。
【0006】
また、医師以外の専門的な聴診手法を修得していない医療関係者による心疾患の簡易診断や初期スクリーニングへの応用も期待でき、これにより介護施設や在宅、薬局や簡易クリニック等、病院以外の様々な場所でのヘルスケア・サービスの拡大に貢献することも可能となる。
【0007】
すなわち、前述の特許文献1では、心音と心雑音を分離して心雑音の強度分布を算出することにより、心疾患の診断に重要な収縮期心雑音もしくは拡張期心雑音を識別する心音計が提案されている。
【0008】
また、前述の特許文献2では、心音聴診データを1周期心音データ毎に周波数解析することにより、信号強度が最大となる周波数および信号強度閾値とその帯域幅に基づいて心疾患を解析する心音周波数解析装置が提案されている。この心音周波数解析装置の原理は、異常心音には正常心音に比べて雑音成分(すなわち心雑音)が多く含まれ、それだけ周波数帯域幅が広くなることに基づいている。
【0009】
上述のように、特許文献1と特許文献2に開示されている技術では、測定した心音信号に含まれる心雑音成分を解析して心疾患の解析を行なっている。
【0010】
しかし、心雑音は心疾患に起因する器質的変化が生じているごく一部の範囲(測定部位)に限局して測定されるものであるので、心雑音によって心疾患の診断を行うためには、医師が診断に必要とする少なくとも4箇所以上の聴診部位で測定する必要がある。したがって、心雑音による診断のためには、複数の心音センサを被験者に装着して同時に測定するか、一つの心音センサを、部位を変えながら複数箇所で測定する必要があり、診断に手間と時間を要することになる。また、心雑音による診断では、複数の測定部位において、心音センサを正確な位置に配置する必要もあるので、医師以外の正確な各聴診部位の知識に乏しい医療関係者による心疾患の簡易診断や初期スクリーニングへの応用においては好ましくない。
【0011】
また、心雑音は心疾患の症状の度合や、生体の個体差によっても出現の形態(音の大きさや周波数帯域、出現タイミングなど)に差異が生じることから、心雑音だけを解析して心疾患の種別を判別することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平3−133426号公報
【特許文献2】特開2009−240527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、この発明の課題は、複数箇所での心雑音の測定が不要で、一箇所で測定した心音信号に含まれる第2心音に基づいて心疾患の有無を解析できる心音測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の心音測定装置は、生体の心臓から発生する音を検出して心音信号を出力する心音検出部と、
上記心音信号から心音の周波数成分を抽出して心音帯域信号として出力する心音帯域抽出部と、
上記心音帯域信号から第2心音による第2心音信号を抽出する第2心音抽出部と、
上記第2心音抽出部が抽出した第2心音信号に基づいて、少なくとも上記第2心音の分裂の有無を含む上記第2心音の分裂に関する状態を検出して上記分裂に関する情報を生成する第2心音分裂検出部と、
心疾患の有無を含む心疾患状態と第2心音の分裂の有無を含む第2心音の分裂状態とを互いに関連付けた情報を予め記憶する第2心音パターン記憶部と、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記分裂に関する情報と、上記第2心音パターン記憶部に予め記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無を含む心疾患状態を判定する心疾患判定部とを備えたことを特徴としている。
【0015】
この発明の心音測定装置によれば、上記心音帯域抽出部は、上記心音検出部が出力した心音信号から第2心音信号を抽出する。上記心疾患判定部は、上記第2心音分裂検出部が上記第2心音信号から検出した少なくとも上記第2心音の分裂の有無を含む第2心音の分裂に関する状態に基づいて、心疾患の有無を含む心疾患状態を判別できる。よって、この発明によれば、複数箇所での心雑音の測定が不要であり、一箇所で測定した心音信号に含まれる第2心音に基づいて心疾患の有無を含む心疾患状態を解析できる。
【0016】
また、一実施形態の心音測定装置では、さらに、上記生体の呼吸状態を検出して上記呼吸状態を表す呼吸信号を出力する呼吸検出部と、
上記呼吸検出部が出力する呼吸信号から、上記呼吸状態が呼気状態または吸気状態のいずれであるのかを検出して上記呼吸状態を表す呼吸状態情報を生成する呼吸状態検出部とを備え、
上記第2心音パターン記憶部は、
心疾患の有無を含む心疾患状態と、呼気状態および吸気状態における第2心音の分裂状態とを互いに関連付けた情報を記憶しており、
上記心疾患判定部は、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記分裂に関する情報と、上記呼吸状態検出部が生成した呼吸状態情報と、上記第2心音パターン記憶部に予め記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無を含む心疾患状態を判定する。
【0017】
この実施形態の心音測定装置によれば、上記呼吸検出部と呼吸状態検出部とにより呼吸状態が呼気状態または吸気状態のいずれであるのかを検出するから、上記心疾患判定部は、呼吸の状態によって変化する第2心音の分裂状態を識別できる。よって、この実施形態によれば、心疾患の有無および心疾患の種別を正確に判別できる。
【0018】
また、一実施形態の心音測定装置では、上記第2心音分裂検出部は、
上記第2心音信号に基づいて、上記第2心音の分裂の有無と上記第2心音の分裂時間を検出して上記分裂の有無を表す情報と上記分裂時間を表す情報とを上記分裂に関する情報として生成し、
上記第2心音パターン記憶部は、
心疾患の有無および心疾患の種別を含む心疾患状態と、第2心音の分裂の有無および上記第2心音の分裂時間を含む分裂状態とを互いに関連付けた情報を記憶しており、
上記心疾患判定部は、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記第2心音の分裂に関する情報と上記呼吸状態情報とのうちの少なくとも上記第2心音の分裂に関する情報と、上記第2心音パターン記憶部に記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無および心疾患の種別を判定する。
【0019】
この実施形態の心音測定装置によれば、上記第2心音分裂検出部は、上記第2心音が分裂していることを検出した場合に、上記第2心音信号に基づいて、上記第2心音の分裂時間を検出する。よって、上記心疾患判定部は、少なくとも第2心音の分裂の有無と分裂時間とに基づいて、心疾患の有無および心疾患の種別をより精度よく判別できる。
【0020】
また、一実施形態の心音測定装置では、上記第2心音分裂検出部は、
上記第2心音信号に基づいて、少なくとも上記第2心音の分裂の有無および上記第2心音信号の前半信号の大きさと後半信号の大きさを検出して少なくとも上記分裂の有無を表す情報と上記前半信号の大きさと後半信号の大きさとを表す情報を上記分裂に関する情報として生成し、
上記第2心音パターン記憶部は、
心疾患の有無および心疾患の種別を含む心疾患状態と、少なくとも第2心音の分裂の有無および上記第2心音の前半の大きさと後半の大きさとの関係を含む分裂状態とを互いに関連付けた情報を記憶しており、
上記心疾患判定部は、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記分裂に関する情報と上記呼吸状態情報とのうちの少なくとも上記第2心音の分裂に関する情報と、上記第2心音パターン記憶部に記憶された情報とに基づいて、心疾患の有無および心疾患の種別を含む心疾患状態を判定する。
【0021】
この実施形態の心音測定装置によれば、上記第2心音分裂検出部は、上記第2心音が分裂していることを検出した場合に、上記第2心音信号に基づいて、上記第2心音の前半信号の大きさと後半信号の大きさを検出する。したがって、上記心疾患判定部は、少なくとも上記第2心音の分裂の有無と第2心音の前半信号の大きさと後半信号の大きさとに基づいて、心疾患の有無および心疾患の種別をより精度よく判別できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の心音測定装置によれば、心音検出部と心音帯域抽出部によって第2心音信号を検出し、第2心音分裂検出部が上記第2心音信号から検出した第2心音の分裂に関する状態に基づいて、心疾患判定部が心疾患の有無を含む心疾患状態を判別できる。したがって、この発明によれば、一箇所で測定した心音信号に含まれる第2心音(II音)に基づいて、心疾患の有無や心疾患の種別を簡便に識別することができる。
【0023】
これにより、複数の部位での心音の測定が不要となり、心疾患の診断に要する手間と時間を大幅に低減することが可能となる。また、診断に必要となる心音の正確な測定部位として、1箇所だけを取得すればよいので、医師以外の正確な各聴診部位の知識に乏しい医療関係者による心疾患の簡易診断や初期スクリーニングに利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の心音測定装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2A】呼吸状態(吸気時)と第2心音の関係を示す図である。
【図2B】呼吸状態(呼気時)と第2心音の関係を示す図である。
【図3】呼気状態の後半における正常な心音信号の一例を示す波形図である。
【図4】吸気状態の後半における正常な心音信号の一例を示す波形図である。
【図5】呼気状態の後半における異常な心音信号の一例を示す波形図である。
【図6】吸気時と呼気時における第2心音の分裂状態の典型的な複数の状態を示す模式図である。
【図7】第2心音パターン記憶部に記憶される情報テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の心音測定装置の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
(心音測定装置の構成)
図1は、本実施形態の心音測定装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態の心音測定装置は、解析処理部1と心音検出部としての心音センサ2と出力部10を備えている。上記解析処理部1は、心音帯域抽出部3と第2心音抽出部4と第2心音分裂検出部5と第2心音パターン記憶部6と心疾患判定部9とを有する。さらに、この心音測定装置では、呼吸検出部としての呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えている。なお、この呼吸センサ7と呼吸状態検出部8は必ずしも備えていなくてもよい。
【0027】
上記解析処理部1は、図示しないCPUおよびROMとRAM、さらに必要に応じて図示しないAD変換器などを備えたマイクロコンピュータで構成されている。この解析処理部1は、上記CPUが予めROMに格納されたプログラムにより、上記AD変換器や一時記憶部であるRAM等を利用して、心音センサ2や呼吸センサ7から出力される信号の信号処理や解析処理を実行して、その結果を出力部10へ出力する。上記解析処理部1は、心音帯域抽出部3と第2心音抽出部4と第2心音分裂検出部5と第2心音パターン記憶部6と心疾患判定部9の機能を実現している。さらに、上記呼吸状態検出部8を備える場合は、解析処理部1は上記呼吸状態検出部8の機能を実現する。
【0028】
上記心音センサ2は、生体の心臓付近の所定部位に装着されて、生体の心臓から発生する音(つまり心音)を採取して心音信号として出力する。ここでは、一例として、上記心音の測定部位を、第2心音(つまり心音のII音)の生理的分裂(呼吸性分裂)を聴くことができる肺動脈弁部位(第2肋間・胸骨左縁)とした。
【0029】
心音センサ2による心音の検出方法としては、例えば、次のようにしてもよい。すなわち、生体が発生する音を振動として測定するコンタクトマイクを被測定者の胸部にあて(粘着テープなどで固定してもよい)、採取した音を心音センサ2の内部に備えられている圧電素子(図示せず)によって微弱な電気信号に変換し、さらに心音センサ2の内部に備えられている増幅器(図示せず)で増幅したアナログの電気信号を心音信号として出力する。また、心音センサ2の内部に、AD変換器(図示せず)をさらに備えて、電気信号をデジタルデータに変換した心音信号として出力してもよい。なお、心音センサ2による心音の検出方法は上記したものに限定されるものではなく、測定の対象となる生体の心臓から発生する音を採取できる方法であれば、様々な検出方法を採用することができる。
【0030】
次に、上記心音帯域抽出部3は、心音センサ2が出力した心音信号から心音の周波数成分を抽出して心音帯域信号として出力する。この心音帯域抽出部3は、具体的には、心音の主要な周波数帯域(概ね50〜100Hz程度)の信号のみを減衰なく透過させるバンドパスフィルタとして機能する。この心音帯域抽出部3により、例えば肺動脈弁狭窄や大動脈弁狭窄などの心疾患において、第2心音の出現するタイミングに、心雑音が重なって出現するような場合でも、心音よりも周波数が高い心雑音(概ね100〜500Hz程度)の影響を低減することができ、第2心音の分裂状態の検出精度を高めることができる。上記バンドパスフィルタの透過周波数帯域は、50〜100Hz程度に設定すればよいが、心音の周波数帯域には個人差や体調による変化があることから、必要に応じて最適な透過周波数帯域を設定できることが望ましい。
【0031】
なお、上記心音帯域抽出部3を構成するバンドパスフィルタは、心音センサ2から出力される心音信号がアナログの電気信号の場合には、コンデンサと抵抗器、必要に応じてオペアンプを組み合せたアナログのフィルタ回路で実現することができる。この場合、心音帯域抽出部3は解析処理部1の内部ではなく、心音センサ2と解析処理部1の間に位置する。また、心音センサ2から出力される心音信号がデジタルデータの場合には、解析処理部1が備えるマイクロコンピュータ(図示せず)により、デジタルフィルタ処理を行うことで心音帯域抽出部3を実現できる。
【0032】
次に、上記第2心音抽出部4は、心音帯域抽出部3が出力する上記心音帯域信号から心音のII音(つまり第2心音)による第2心音信号を抽出する。具体的には、上記第2心音抽出部4は、上記心音帯域信号を参照して、心音のII音の特徴を示す所定の条件に適合する信号が存在するか否かを判別し、所定の条件を満たす信号が存在する場合には、その信号を心音のII音による第2心音信号と認識して抽出する。
【0033】
心音のII音(第2心音)の特徴を示す所定の条件としては、例えば、上記心音帯域信号に含まれる音の信号の振幅値や振幅回数、持続時間などを用いて判別することができる。たとえば、肺動脈弁部位では心音はI音(第1心音)とII音(第2心音)の2つが測定されるが、この肺動脈弁部位では、通常、I音よりもII音の方が信号の振幅が大きく、I音よりもII音の方が振動回数や持続時間が短い。このことから、所定の条件として信号の振幅値と振動回数,持続時間を検出することによって、上記心音帯域信号から心音のI音による第1心音信号と心音のII音による第2心音信号とを分別可能である。なお、その他、I音とII音との間の時間間隔の違いによってもI音とII音を分別できる。すなわち、I音が発生してからII音が発生するまでの時間は、II音が発生してからI音が発生するまでの時間よりも短いことを利用してI音とII音を分別できる。
【0034】
なお、心音のII音を上記心音帯域信号から抽出する方法は上述の方法に限られることはなく、例えば心電や脈波など心周期に同期した信号を利用して、心周期におけるII音の出現タイミングを特定してII音を抽出する方法を採用してもよい。これらの他にも心音のII音を抽出できる方法であれば、様々な方法を採用できる。
【0035】
次に、第2心音分裂検出部5は、第2心音抽出部4により抽出されたII音信号(第2心音信号)の分裂の有無を検出する。さらに、上記第2心音分裂検出部5は、上記II音信号が分裂している場合には、上記II音信号の分裂時間や分裂したII音信号の大きさを検出することが望ましい。具体的には、上記第2心音分裂検出部5は、心音信号のII音信号を解析することにより、心音信号のII音信号が2つに分裂しているか否かを判別し、心音信号のII音信号が分裂している場合には、II音信号の前半信号と後半信号との間の時間間隔(すなわち分裂時間)と、上記心音信号のII音信号の前半信号と後半信号の各信号の大きさを検出する。
【0036】
ここで、心音のII音(第2心音)の分裂について説明する。心音のII音は、大動脈弁と肺動脈弁の閉鎖によって発生する音であり、大動脈圧は肺動脈圧よりも高いことから大動脈弁が先に閉鎖する。したがって、心音のII音は、前半が大動脈弁の閉鎖音で構成され、後半が肺動脈弁の閉鎖音で構成されており、II音の大動脈成分IIと肺動脈成分IIと呼ばれる。この2つの成分IIとIIの時間間隔は呼吸によっても変化する。吸気時には、呼気時に比べて大動脈成分IIと肺動脈成分IIと間の間隔が長くなり、大動脈成分IIと肺動脈成分IIは分離した信号として観測される。これは、II音の生理的分裂または呼吸性分裂と呼ばれる。一方、呼気時には、吸気時に比べて、大動脈成分IIと肺動脈成分IIとの間隔が短くなり、大動脈成分IIと肺動脈成分IIとはほぼ重なった連続した信号として観測され、II音の分裂が無いと認識される。
【0037】
したがって、心疾患が無い正常な心音では、呼吸周期に合わせて、心音のII音は「分裂有り」の状態と「分裂無し」の状態の間を遷移しており、1回の呼吸周期の間に、分裂が最大の状態と、分裂無し(或いは分裂が最小)の状態との間で分裂時間が変化する。これについて、図2A,図2Bを用いて説明する。図2A,図2Bにおいて、縦軸は振幅、横軸は時間を表している。また、図2A,図2Bにおいて、上段は呼吸状態を示しており、下段は心疾患が無い正常な心音信号を示している。図2A,図2Bでは第2心音の大動脈成分IIを符号「A」で示し、肺動脈成分IIを符号「P」で示している。図2A,図2Bに示す大動脈成分Aと肺動脈成分Pとの間隔つまりII音の分裂時間は、図2Aに矢印(1)で示すように吸気時の終わりに近づくほど長くなり、図2Bに矢印(2)で示すように呼気時の終わりに近づくほど短くなり分裂が無くなる。
【0038】
なお、心疾患がある場合には、呼吸状態に関わらずに、大動脈成分IIと肺動脈成分IIとの間の間隔が長くなり、大動脈成分IIと肺動脈成分IIは分離した信号として観測される。これは、病的分裂と呼ばれる。また、病状(左脚ブロック、大動脈弁狭窄など)によっては、大動脈成分IIと肺動脈成分IIの出現の順番が逆になり、肺動脈成分IIの次に大動脈成分IIの順で分離した信号として観測されることもある。
【0039】
第2心音分裂検出部5によるII音の分裂の有無の検出方法としては、一例として、次のような方法を採用できる。つまり、心音信号のII音信号を形成する波形上のピーク値が、所定の閾値を超えている点(波形の頂点)を抽出し、この抽出した抽出点が1つのみである場合、および上記抽出点が2つ以上あると共に最初と最後の2つの抽出点の間の期間において上記閾値TH以下のピーク値が無い場合にII音の「分裂無し」と判別する。一方、II音信号を形成する波形上のピーク値が、上記所定の閾値を超えている点(波形の頂点)を抽出し、この抽出した抽出点が2つ以上あると共に最初と最後の2つの抽出点の間の期間において上記閾値TH以下のピーク値を有する場合に、II音の「分裂有り」と判別する。
【0040】
なお、上記波形上のピーク値は、絶対値(すなわち、正と負のそれぞれのピーク値)で判断してもよいし、正と負のどちらか一方のみのピーク値で判断してもよい。
【0041】
また、II音の分裂の有無の他の検出方法としては、大動脈成分IIと肺動脈成分IIとの2つピークの間の時間間隔が所定の値(例えば0.02ミリ秒)未満であれば「分裂無し」と判別し、上記2つピークの間の時間間隔が所定の値(例えば0.02ミリ秒)以上であれば「分裂有り」と判別する方法などを採用することができる。さらに、その他にII音の分裂を判別できる方法であれば、様々な検出方法を採用できる。
【0042】
さらに、上記第2心音分裂検出部5は、心音の心音信号のII音信号が分裂していることを検出した場合には、心音信号のII音信号の前半信号のピーク出現タイミングと、上記心音信号のII音信号の後半信号のピーク出現タイミングとの間の時間間隔(分裂時間)を検出する。さらに、上記第2心音分裂検出部5は、上記心音信号のII音信号の前半信号のピークと上記心音信号のII音信号の後半信号のピークの各振幅値(信号の大きさ)を検出する。なお、ここでは、II音信号の大きさを信号の振幅値で代表させたが、信号強度を比較できるものであれば振幅値以外の他の値で信号の大きさを代表させてもよい。
【0043】
次に、図3〜図5を参照して、第2心音分裂検出部5によるII音の分裂状態の検出例を説明する。
【0044】
図3は、呼気状態の後半における正常な心音信号の一例を示す信号波形図である。図3に示す信号波形のように、心音信号のII音信号を形成する波形上の正のピーク値が所定の閾値THを超えている2つの抽出点の間の期間において、上記閾値TH以下の正のピーク値が無い場合に、上記第2心音分裂検出部5は、心音のII音の「分裂無し」を検出する。
【0045】
図4は、吸気状態の後半における正常な心音信号の一例を示す信号波形図である。図4に示す信号波形のように、心音信号のII音信号を形成する波形上の正のピーク値Pa1,Pb1が所定の閾値THを超えている2つの抽出点a1とb1の間の期間T1において、上記閾値TH以下の正のピーク値Pc1が存在している場合に、上記第2心音分裂検出部5は、II音の「分裂有り」を検出する。さらに、上記第2心音分裂検出部5は、このII音の「分裂有り」を検出した場合、2つの抽出点a1とb1の間の期間T1を分裂時間T1として検出する。さらに、上記第2心音分裂検出部5は、上記心音信号のII音信号の前半信号のピーク値の大きさPa1と、上記心音信号のII音信号の後半信号のピーク値の大きさPb1を検出する。図4の信号波形では、上記前半信号が大動脈成分IIに該当し、上記後半信号が肺動脈成分IIに該当する。
【0046】
図5は、呼気状態の後半における異常な心音信号の一例を示す信号波形図である。図5に示す信号波形のように、心音信号のII音信号を形成する波形上の正のピーク値Pa2,Pb2が所定の閾値THを超えている2つの抽出点a2とb2の間の期間T2において、閾値TH以下の正のピーク値Pc2が存在している場合に、上記第2心音分裂検出部5は、II音の「分裂有り」を検出する。さらに、上記第2心音分裂検出部5は、このII音の「分裂有り」を検出した場合、2つの抽出点a2,b2の間の期間T2を分裂時間T2として検出する。さらに、上記第2心音分裂検出部5は、上記心音信号のII音信号の前半信号のピーク値の大きさPa2と、上記心音信号のII音信号の後半信号のピーク値の大きさPb2を検出する。図5の信号波形のように、心疾患がある場合の心音信号の波形では、呼気状態の後半においてII音の長い分裂時間T2が検出される。
【0047】
次に、第2心音パターン記憶部6は、第2心音つまり心音のII音の分裂状態と、心音の異常の有無や心疾患の種別とを互いに関連付けた情報として記憶するものである。さらに、この実施形態の心音測定装置が後述する呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備える場合には、上記第2心音パターン記憶部6は、呼気状態および吸気状態の各状態における第2心音の分裂状態に対して、心疾患の異常の有無および心疾患の種別を互いに関連付けた情報として記憶することが望ましい。
【0048】
具体的には、第2心音の分裂状態としての「分裂の有無」,「分裂時間」,「II音の前半信号の大きさと後半信号の大きさの大小関係」を示す情報をパラメータとして定義し、各パラメータの示す情報の組み合せに対して、心疾患の有無と心疾患の種別を示す情報を対応させることで各情報の関連付けを予め定義して第2心音パターン記憶部6に記憶させておく。さらに、呼吸状態検出部8を備える場合には、上記「分裂の有無」,「分裂時間」,「II音の前半信号の大きさと後半信号の大きさの大小関係」を示すパラメータに加えて、「呼吸状態」を示す情報をパラメータとして定義し、各パラメータの示す情報の組み合せに対して、心疾患の有無と心疾患の種別を示す情報を対応させることで各情報の関連付けを予め定義して第2心音パターン記憶部6に記憶しておく。上記各パラメータの示す情報とその組み合せや、その組み合せに対応する心疾患の有無と心疾患の種別を示す情報は、統計的に求めた情報などに基づいて予め定義しておく。
【0049】
次に、第2心音パターン記憶部6に記憶させる情報の一例を、図6および図7を用いて説明する。
【0050】
図6は、吸気時の後半と呼気時の後半における心音のII音の分裂状態の典型的な状態を分類して示す模式図である。図6では、第2心音の大動脈成分(II)を符号「A」で示し、肺動脈成分(II)を符号「P」で示している。また、図6において、左欄に、吸気時の後半におけるI音信号(第1心音)とII音信号(第2心音)の振幅の大きさを縦棒の長さで示し、右欄に、呼気時の後半におけるI音信号とII音信号の振幅の大きさを縦棒の長さで示している。また、図6では、上段から下段に向かって順に、正常心,心房中隔欠損,右脚ブロック,肺動脈弁狭窄,左脚ブロック,大動脈弁狭窄の各状態に対応するI音信号,II音信号を示している。
【0051】
例えば、図6の最上段に示す心疾患の無い状態では、左欄に示す吸気時の後半におけるII音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値よりも大きく、大動脈成分Aと肺動脈成分Pの分裂時間は約0.02秒である。また、図6の最上段に示す心疾患の無い状態では、右欄に示す呼気時の後半におけるII音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値よりも大きく、大動脈成分Aと肺動脈成分Pの分裂時間は約0.01秒以下である。ここでは、分裂時間が約0.01秒以下である場合を「分裂無し」とみなしている。
【0052】
また、図6の上から二段目に示す心房中隔欠損の状態では、吸気時の後半および呼気時の後半において、II音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値と同等になっていて分裂時間は約0.05秒である。また、図6の上から三段目に示す右足ブロックの状態では、吸気時の後半および呼気時の後半において、II音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値よりも大きく、吸気時後半における分裂時間は約0.08秒であり、呼気時後半における分裂時間は約0.05秒である。また、図6の上から四段目に示す肺動脈弁狭窄の状態では、吸気時の後半および呼気時の後半において、II音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値よりも大きく、吸気時後半における分裂時間は約0.12秒であり、呼気時後半における分裂時間は約0.10秒である。また、図6の上から五段目に示す左脚ブロックの状態では、吸気時の後半および呼気時の後半において、II音信号の肺動脈成分Pが大動脈成分Aよりも先に現れていて、II音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値よりも大きくなっている。また、吸気時後半における分裂時間は約0.02秒であり、呼気時後半における分裂時間は約0.04秒である。また、図6の上から六段目に示す大動脈弁狭窄の状態では、吸気時の後半および呼気時の後半において、II音信号の肺動脈成分Pが大動脈成分Aよりも先に現れていて、II音信号の大動脈成分Aのピーク値が肺動脈成分Pのピーク値とほぼ等しくなっている。また、吸気時後半における分裂時間は約0.02秒であり、呼気時後半における分裂時間は約0.04秒である。
【0053】
図6に示した心疾患毎のII音の分裂状態を示すパラメータと、呼吸の状態を示すパラメータとの関係を定義した情報テーブルの一例を図7に示す。図7の情報テーブルに示すように、II音の分裂状態(すなわち、分裂の有無,分裂時間,II音の前半信号と後半信号の大小関係)は、呼吸状態(呼気状態と吸気状態)によって、心疾患毎にそれぞれ特徴的なパターンを有している。図7の情報テーブルの一例では、各心疾患状態(心疾患無し及び各心疾患)に対して分裂時間を固定値(標準的な単一の値)として定義しているが、上記各心疾患状態に対する分裂時間を標準的な単一の値から幅を持たせて定義してもよい。例えば、上記分裂時間を標準値±0.01秒などと定義してもよい。このように、II音信号から得られる情報テーブルを定義して、第2心音パターン記憶部6に記憶しておく。なお、上記第2心音パターン記憶部6は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなど、書換え可能な不揮発性メモリによって構成することが望ましく、これにより必要に応じて上記情報テーブルを更新して保存することが可能となる。
【0054】
また、呼吸検出部としての上記呼吸センサ7は、生体の呼吸状態を検出して上記呼吸状態を表す呼吸信号として出力する。この呼吸センサ7による呼吸状態の検出方法としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものが挙げられる。
【0055】
(a) 小型のマイクを内蔵した音センサを被測定者の頸部気管上胸部などに装着して呼吸音を採取する方法。
【0056】
(b) 被測定者の胸部に一対の電極を装着してインピーダンス変化を検出する胸郭インピーダンス法。
【0057】
(c) 被測定者に呼吸マスクを装着して呼気吸気の流速を測定する方法。
【0058】
なお、上記呼吸センサ7による呼吸状態の検出方法としては、呼吸状態を採取して呼吸信号として出力できる方法であれば、上記以外にも様々な検出方法を採用できる。
【0059】
また、上記呼吸状態検出部8は、上記呼吸センサ7が出力する呼吸信号に基づいて、呼吸の状態が呼気状態または吸気状態のいずれであるのかを検出する。具体的には、上記呼吸状態検出部8は、上記呼吸センサ7からの呼吸信号を参照して、上記呼吸信号が呼気状態と吸気状態の各特徴を示す所定の条件に適合するか否かを判別する。そして、上記呼吸状態検出部8は、上記呼吸信号が呼気状態の条件に適合する場合には呼吸状態を「呼気状態」と認識し、上記呼吸信号が吸気状態の条件に適合する場合には呼吸状態を「吸気状態」と認識することで、呼吸状態を検出する。
【0060】
上記呼気状態および吸気状態の特徴を示す所定の条件としては、例えば、呼吸センサ7が呼吸音を採取する方法を採用している場合であれば、呼吸音の大きさや吸気と呼気の間の休止期間などが挙げられる。すなわち、吸気音よりも呼気音の方が大きく、また、吸気から呼気の間の休止期間は、呼気から吸気の間の休止期間よりも長い。また、呼吸センサ7が胸郭インピーダンス法を採用している場合であれば、呼吸状態に応じてインピーダンスが変化することに対応する呼吸信号から、0.1〜0.5Hz程度の帯域の周波数の呼吸同期性成分である呼吸脈波を抽出する。この呼吸脈波が増加傾向の場合は「呼気状態」と認識し、上記呼吸脈波が減少傾向の場合には「吸気状態」と認識することで呼吸状態を検出できる。また、呼吸センサ7が呼気吸気の流速を測定する方法を採用している場合であれば、呼吸信号により生体から排出する方向の流速が検出されている場合は「呼気状態」と認識し、生体に吸入する方向の流速が検出されている場合は「吸気状態」と認識することで呼吸状態を検出できる。
【0061】
次に、心疾患判定部9は、第2心音分裂検出部5による心音のII音の分裂状態(分裂の有無,分裂時間,大動脈成分IIと肺動脈成分IIの大小関係)の検出結果である分裂状態情報を、第2心音パターン記憶部6に記憶された情報(図7に示すような情報テーブル)に照合することで、被験者の心疾患の有無を判定し、心疾患が有ると判定した場合は心疾患の種別を判定する。
【0062】
また、心音測定装置が呼吸センサ7および呼吸状態検出部8を備える場合には、心疾患判定部9は、第2心音分裂検出部5による上記検出結果と呼吸状態検出部8による呼吸状態の検出結果を、第2心音パターン記憶部6に記憶された情報(図7の情報テーブル)に照合することで、被験者の心疾患の有無を判定し、心疾患が有ると判定した場合は、心疾患の種別を判定する。この場合、呼吸の状態によって変化する第2心音の分裂状態を識別できるので、心疾患の有無および心疾患の種別を正確に判別できる。
【0063】
具体的には、上記心疾患判定部9には、第2心音分裂検出部5が検出した分裂に関する情報(II音の分裂の有無,II音が分裂している場合の分裂時間,II音の前半信号の大きさと後半信号の大きさ)を表す分裂状態情報である分裂状態信号が入力される。さらに、心疾患判定部9には、呼吸状態検出部8により検出された呼吸状態(「呼気状態」または「吸気状態」)を表す呼吸状態情報としての呼吸状態信号が入力される。そして、心疾患判定部9は、上記分裂状態信号と呼吸状態信号に基づいて、第2心音パターン記憶部6に記憶された情報(図7に示すような情報テーブル)を照合し、被験者の心疾患の有無を判別し、心疾患があると判別した場合には心疾患の種別を判別する。すなわち、上記心疾患判定部9は、第2心音分裂検出部5や呼吸状態検出部8による分裂状態や呼吸状態の検出結果(検出結果が複数の項目である場合は、その複数の項目を組み合わせた結果)に該当する情報を上述した情報テーブル上で参照することにより、心疾患の有無や心疾患の種別を判別する。
【0064】
上記心疾患判定部9は、例えば、図7に示した第2心音パターン記憶部6に記憶された情報テーブルを用いることで、心疾患を判別することができる。なお、心疾患判定部9による心疾患の判別方法は、上記に限られたものではない。例えば、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えておらず、さらに第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無だけを検出する第二例では、最も簡易な判別方法となる。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、『呼気状態で「分裂無し」かつ、吸気状態では「分裂有り」であれば、「心疾患無し」』を定義しておく。そして、心疾患判定部9は、第2心音分裂検出部5が検出したII音の分裂の「有」と「無」の状態が呼吸の周期(一般的に2〜10秒程度の範囲)で繰り返し変化している場合には「心疾患無し」と判定する。一方、第2心音分裂検出部5が、上記分裂の「有」と「無」の繰り返し以外の状態(II音の分裂の「有」の繰り返し等)を検出している場合は心疾患判定部9により「心疾患の可能性有り」と判別する。このように、上記心疾患判定部9による判別手法は様々な態様が考えられ、必要に応じて適切な判別手法を用いればよい。
【0065】
たとえば、第三例では、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えておらず、第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無と分裂時間を検出する。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、図7の情報テーブルのうち呼吸状態の吸気状態と呼気状態とを区別する情報が無く、かつ、II音の分裂状態の分裂有無,分裂時間,前半と後半の大小関係のうちの前半と後半の大小関係の情報が無い。この場合、第2心音分裂検出部5が、II音の分裂の有り,分裂時間0.02秒と分裂無し,分裂時間0.01秒以下の組み合わせが呼吸の周期(一般的に2〜10秒程度の範囲)で繰り返し検出している場合には、上記心疾患判定部9は「心疾患無し」と判定する。一方、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.05秒を上記呼吸の周期で2回検出している場合には、心疾患判定部9は、「心房中隔欠損」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.08秒と分裂有り,分裂時間0.05秒の組み合わせを上記呼吸の周期毎に検出している場合には、心疾患判定部9は、「右脚ブロック」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.12秒と分裂有り,分裂時間0.10秒の組み合わせを上記呼吸の周期毎に検出している場合には、心疾患判定部9は、「肺動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.02秒と分裂有り,分裂時間0.04秒の組み合わせを上記呼吸の周期毎に検出している場合には、心疾患判定部9は、「左脚ブロックまたは大動脈弁狭窄」であると判定する。
【0066】
また、第四例では、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えておらず、さらに第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無とII音の前半信号の大きさとII音の後半信号の大きさを検出する。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、図7の情報テーブルのうち呼吸状態の吸気状態と呼気状態とを区別する情報が無く、かつ、II音の分裂状態の分裂有無,分裂時間,前半と後半の大小関係のうちの分裂時間の情報が無い。この場合、第2心音分裂検出部5が、II音の分裂有りと分裂無しの組み合わせを呼吸の周期で繰り返し検出していてII音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きい場合には、上記心疾患判定部9は「心疾患無し」と判定する。一方、第2心音分裂検出部5が検出した分裂状態が、分裂有りが上記呼吸の周期で2回現れていてII音の前半信号の大きさと後半信号の大きさとが同等である場合には、心疾患判定部9は、「心房中隔欠損または大動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が検出した分裂状態が、分裂有りが上記呼吸の周期で2回現れていてII音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きい場合には、心疾患判定部9は、「右脚ブロックまたは肺動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が検出した分裂状態が、分裂有りが上記呼吸の周期で2回現れていてII音の後半信号の大きさが前半信号の大きさよりも大きい場合には、心疾患判定部9は、「左脚ブロック」と判定する。
【0067】
さらに、第五例では、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えておらず、さらに第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無と分裂時間に加えて、II音の前半信号の大きさとII音の後半信号の大きさを検出する。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、図7の情報テーブルのうち呼吸状態の吸気状態と呼気状態とを区別する情報だけが無い。この場合、第2心音分裂検出部5が、II音の分裂の有り,分裂時間0.02秒と分裂無し,分裂時間0.01秒以下の組み合わせを呼吸の周期で繰り返して検出していてII音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きい場合には、上記心疾患判定部9は「心疾患無し」と判定する。一方、第2心音分裂検出部5が検出した分裂状態が、分裂有り,分裂時間0.05秒を上記呼吸の周期で2回現れていてII音の前半信号の大きさと後半信号の大きさとが同等である場合には、心疾患判定部9は、「心房中隔欠損」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.08秒と分裂有り,分裂時間0.05秒を上記呼吸の周期毎に検出していてII音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きいことを検出した場合は、心疾患判定部9は、「右脚ブロック」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.12秒と分裂有り,分裂時間0.10秒を上記呼吸の周期毎に検出していてII音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きいことを検出した場合には、心疾患判定部9は、「肺動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.02秒と分裂有り,分裂時間0.04秒を上記呼吸の周期毎に検出していてII音の後半信号の大きさが前半信号の大きさよりも大きいことを検出した場合には、心疾患判定部9は、「左脚ブロック」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.02秒と分裂有り,分裂時間0.04秒を上記呼吸の周期毎に検出していてII音の前半信号の大きさと後半信号の大きさとが同等であることを検出した場合には、心疾患判定部9は、「大動脈弁狭窄」と判定する。
【0068】
また、第六例では、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えており、さらに第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無だけを検出する。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、図7の情報テーブルのうち呼吸状態の吸気状態と呼気状態とを区別する情報が有るが、II音の分裂状態の分裂有無,分裂時間,前半と後半の大小関係のうちのII音の分裂状態の分裂有無の情報だけが有る。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、『呼気状態で「分裂無し」かつ、吸気状態では「分裂有り」であれば、「心疾患無し」』を定義しておく。そして、第2心音分裂検出部5が、分裂有りと分裂無しとの組み合わせを上記呼吸の周期で繰り返し検出し、かつ、上記吸気状態で上記分裂有りを検出し、上記呼気状態で上記分裂無しを検出している場合に、心疾患判定部9は、心疾患無しと判別する。一方、第2心音分裂検出部5が、上記以外のII音の分裂の「有」の繰り返し等を検出している場合は心疾患判定部9により「心疾患の可能性有り」と判別する。
【0069】
また、第七例では、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えており、さらに第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無と分裂時間を検出する。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、図7の情報テーブルのうち呼吸状態の吸気状態と呼気状態とを区別する情報が有り、かつ、II音の分裂状態の分裂有無,分裂時間,前半と後半の大小関係のうちの前半と後半の大小関係の情報が無い。この場合、第2心音分裂検出部5が、II音の分裂の有り,分裂時間0.02秒と分裂無し,分裂時間0.01秒以下との組み合わせが呼吸の周期で繰り返し検出し、かつ、上記吸気状態で上記分裂有りを検出し、上記呼気状態で上記分裂無しを検出している場合に、心疾患判定部9は、心疾患無しと判別する。一方、第2心音分裂検出部5が、分裂有り,分裂時間0.05秒を上記呼吸の周期で2回検出している場合には、心疾患判定部9は、「心房中隔欠損」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、吸気状態における分裂有り,分裂時間0.08秒と呼気状態における分裂有り,分裂時間0.05秒の組み合わせを上記呼吸の周期毎に検出している場合には、心疾患判定部9は、「右脚ブロック」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、吸気状態における分裂有り,分裂時間0.12秒と呼気状態における分裂有り,分裂時間0.10秒との組み合わせを上記呼吸の周期毎に検出している場合には、心疾患判定部9は、「肺動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、吸気状態における分裂有り,分裂時間0.02秒と呼気状態における分裂有り,分裂時間0.04秒の組み合せを上記呼吸の周期毎に検出している場合には、心疾患判定部9は、「左脚ブロックまたは大動脈弁狭窄」であると判定する。
【0070】
さらに、第八例では、心音測定装置が呼吸センサ7と呼吸状態検出部8を備えており、さらに第2心音分裂検出部5がII音の分裂の有無とII音の前半信号の大きさとII音の後半信号の大きさを検出する。この場合、第2心音パターン記憶部6に記憶する情報として、図7の情報テーブルのうち呼吸状態の吸気状態と呼気状態とを区別する情報が有り、かつ、II音の分裂状態の分裂有無,分裂時間,前半と後半の大小関係のうちの分裂時間の情報が無い。この場合、第2心音分裂検出部5が、上記吸気状態での分裂有りと上記呼気状態で分裂無しの組み合わせを呼吸の周期で繰り返し検出し、かつ、II音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きい場合には、心疾患判定部9は、心疾患無しと判別する。また、第2心音分裂検出部5が、上記吸気状態での分裂有りと上記呼気状態で分裂無しの組み合わせを呼吸の周期で繰り返し検出し、かつ、II音の前半信号の大きさと後半信号の大きさとが同等である場合には、心疾患判定部9は、「心房中隔欠損または大動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、上記吸気状態での分裂有りと上記呼気状態で分裂無しの組み合わせを呼吸の周期で繰り返し検出し、かつ、II音の前半信号の大きさが後半信号の大きさよりも大きい場合には、心疾患判定部9は、「右脚ブロックまたは肺動脈弁狭窄」と判定する。また、第2心音分裂検出部5が、上記吸気状態での分裂有りと上記呼気状態で分裂無しの組み合わせを呼吸の周期で繰り返し検出し、かつ、II音の後半信号の大きさが前半信号の大きさよりも大きい場合には、心疾患判定部9は、「左脚ブロック」と判定する。
【0071】
次に、出力部10は、心疾患判定部9によって判定された、心疾患の有無、および心疾患がある場合の心疾患の種別を利用者に提示(あるいは、データとして提供)するものである。この出力部10としては、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示ディスプレイや、メモリカード等の記録媒体や、外部の機器にデータを送信する通信インタフェース等、本実施形態の心音測定装置の使用目的に応じて適切な出力手段で実現できる。
【0072】
(心音測定装置の動作)
次に、図8のフローチャートを参照して、この実施形態の心音測定装置による心音の測定動作について説明する。図8は、この実施形態の心音測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0073】
まず、ステップS101では、心音センサ2により、予め設定された所定時間分の心音信号を測定して、心音帯域抽出部3に出力する。また、この心音測定装置が呼吸センサ7を備えている場合には、呼吸信号を心音信号と同時に測定して、この呼吸信号を心音信号と時系列的に関連付けられた信号として解析処理部1が備えるRAM(図示せず)に呼吸信号を逐次記憶する。尚、上記所定時間は、少なくとも一呼吸周期以上の呼吸数に相当する適切な時間を任意に設定すればよいが、外部からのノイズ音などの混入によるに誤検出を防ぐために、できれば5回程度の呼吸に相当する時間を測定することが望ましい。一例として、成人の場合であれば安静時の正常呼吸数は1分間に12〜20回頻度であることから、例えば、呼吸数16回/分と仮定して5回分に相当する18.75秒を測定するために20秒を所定時間とすればよい。
【0074】
次に、ステップS102では、心音帯域抽出部3により、心音信号から心音帯域信号が抽出され出力される。この心音帯域信号は、心音信号と時系列的に関連付けられた信号として解析処理部1が備えるRAM(図示せず)に逐次記憶される。
【0075】
次に、ステップS103では、第2心音抽出部4により、上記心音帯域信号から心音信号のII音信号を抽出して出力される。このII音信号は、心音信号と時系列的に関連付けられた信号として解析処理部1が備えるRAM(図示せず)に逐次記憶される。
【0076】
次に、ステップS104では、第2心音分裂検出部5は、抽出されたII音信号からII音の分裂の有無を検出する。さらに、この第2心音分裂検出部5は、上記II音が分裂している場合には、分裂時間(II音信号の前半信号と後半信号との間の時間間隔)と、上記II音信号の前半信号と後半信号の各信号の大きさを検出することが望ましい。すなわち、上記II音の分裂の有無を検出するだけでは、心疾患判定部9は心疾患の有無しか判定することができないが、分裂時間や分裂したII音の大きさを検出することによって、心疾患の種別まで判定することが可能となる。上記第2心音分裂検出部5により検出したII音の分裂状態を示す情報(II音の分裂の有無,分裂時間,II音の前半信号と後半信号の大きさ等)は、心音信号と時系列的に関連付けられた分裂状態情報として解析処理部1が備えるRAM(図示せず)に逐次記憶される。
【0077】
次に、ステップS105では、呼吸状態検出部8により、上記呼吸センサ7が出力する呼吸信号から、呼吸状態(呼気状態か吸気状態のいずれであるのか)を検出し、この検出した呼吸状態は、心音信号と時系列的に関連付けられた情報として解析処理部1が備えるRAM(図示せず)に逐次記憶される。なお、この実施形態の心音測定装置が呼吸状態検出部8を備えていない場合には、このステップS105は必要ない。
【0078】
次に、ステップS106では、心疾患判定部9は、解析処理部1が備えるRAM(図示せず)に一時的に記憶されたII音の分裂状態を示す情報、および、呼吸状態信号による呼吸状態を示す情報を読み出す。そして、この心疾患判定部9は、上記読み出した各情報(分裂状態情報,呼吸状態情報)を、第2心音パターン記憶部6に記憶された情報と照合することにより、被験者の心疾患の有無、および心疾患が有る場合は心疾患の種別を判定し、その判定結果を出力部10に出力する。上記第2心音パターン記憶部6に記憶された情報とは、上述したように、上記分裂状態情報,呼吸状態情報の組み合わせと心疾患の有無を含む心疾患状態とを関連付けて定義した情報である。
【0079】
なお、上述の如く、この実施形態では、分裂状態情報である分裂状態信号によるII音の分裂状態を示す情報(分裂の有無,分裂時間,II音の前半と後半の信号の大小関係を示す情報)と、呼吸状態信号による呼吸状態を示す情報は、少なくとも一呼吸周期以上の呼吸数に相当する情報を用いる。また、ステップS101で説明したように、外部からのノイズ音などの混入による誤検出を防ぐために、できれば5回程度の呼吸周期に相当する分裂状態,呼吸状態を示す情報を利用して判別することが望ましい。したがって、上記心疾患判定部9は、例えば、5回分の呼吸周期のII音の分裂状態を示す情報を平均化した情報を利用して判別する等、複数回の呼吸周期の情報に基づいて判定することで、より判別の精度を向上することができる。
【0080】
本実施形態の心音測定装置によれば、以上の一連の動作を行うことによって、被験者の生体の一箇所で測定した心音信号に含まれる第2心音(II音)に基づいて、心疾患の有無、および心疾患有りの場合は心疾患の種別を判定して利用者に提示することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 解析処理部
2 心音センサ
3 心音帯域抽出部
4 第2心音抽出部
5 第2心音分裂検出部
6 第2心音パターン記憶部
7 呼吸センサ
8 呼吸状態検出部
9 心疾患判定部
10 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の心臓から発生する音を検出して心音信号を出力する心音検出部と、
上記心音信号から心音の周波数成分を抽出して心音帯域信号として出力する心音帯域抽出部と、
上記心音帯域信号から第2心音による第2心音信号を抽出する第2心音抽出部と、
上記第2心音抽出部が抽出した第2心音信号に基づいて、少なくとも上記第2心音の分裂の有無を含む上記第2心音の分裂に関する状態を検出して上記分裂に関する情報を生成する第2心音分裂検出部と、
心疾患の有無を含む心疾患状態と第2心音の分裂の有無を含む第2心音の分裂状態とを互いに関連付けた情報を予め記憶する第2心音パターン記憶部と、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記分裂に関する情報と、上記第2心音パターン記憶部に予め記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無を含む心疾患状態を判定する心疾患判定部と
を備えたことを特徴とする心音測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の心音測定装置において、
さらに、上記生体の呼吸状態を検出して上記呼吸状態を表す呼吸信号を出力する呼吸検出部と、
上記呼吸検出部が出力する呼吸信号から、上記呼吸状態が呼気状態または吸気状態のいずれであるのかを検出して上記呼吸状態を表す呼吸状態情報を生成する呼吸状態検出部と
を備え、
上記第2心音パターン記憶部は、
心疾患の有無を含む心疾患状態と、呼気状態および吸気状態における第2心音の分裂状態とを互いに関連付けた情報を記憶しており、
上記心疾患判定部は、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記分裂に関する情報と、上記呼吸状態検出部が生成した呼吸状態情報と、上記第2心音パターン記憶部に予め記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無を含む心疾患状態を判定することを特徴とする心音測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の心音測定装置において、
上記第2心音分裂検出部は、
上記第2心音信号に基づいて、上記第2心音の分裂の有無と上記第2心音の分裂時間を検出して上記分裂の有無を表す情報と上記分裂時間を表す情報とを上記分裂に関する情報として生成し、
上記第2心音パターン記憶部は、
心疾患の有無および心疾患の種別を含む心疾患状態と、第2心音の分裂の有無および上記第2心音の分裂時間を含む分裂状態とを互いに関連付けた情報を記憶しており、
上記心疾患判定部は、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記第2心音の分裂に関する情報と上記呼吸状態情報とのうちの少なくとも上記第2心音の分裂に関する情報と、上記第2心音パターン記憶部に記憶された上記情報とに基づいて、心疾患の有無および心疾患の種別を判定することを特徴とする心音測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の心音測定装置において、
上記第2心音分裂検出部は、
上記第2心音信号に基づいて、少なくとも上記第2心音の分裂の有無および上記第2心音信号の前半信号の大きさと後半信号の大きさを検出して少なくとも上記分裂の有無を表す情報と上記前半信号の大きさと後半信号の大きさとを表す情報を上記分裂に関する情報として生成し、
上記第2心音パターン記憶部は、
心疾患の有無および心疾患の種別を含む心疾患状態と、少なくとも第2心音の分裂の有無および上記第2心音の前半の大きさと後半の大きさとの関係を含む分裂状態とを互いに関連付けた情報を記憶しており、
上記心疾患判定部は、
上記第2心音分裂検出部が生成した上記分裂に関する情報と上記呼吸状態情報とのうちの少なくとも上記第2心音の分裂に関する情報と、上記第2心音パターン記憶部に記憶された情報とに基づいて、心疾患の有無および心疾患の種別を含む心疾患状態を判定することを特徴とする心音測定装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157558(P2012−157558A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19543(P2011−19543)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】