説明

急性心筋梗塞を発症する危険度を測定する方法とキット

AMIなどのCHDに対する疾患感受性や素因と関連する遺伝子、SNPマーカー及びハプロタイプを開示する。AMIリスク遺伝子に存在する多型を用いた診断方法、及び臨床経過やAMIに対する治療の効果を予測するための方法も開示する。本発明の遺伝子、遺伝子産物及び薬剤は、AMIやCHDの予防や治療の効果をモニタリングするのにも有用である。CHDとAMIの診断、治療の選択及び予後判定を行うためのキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急性心筋梗塞(AMI)などの先天性心疾患(coronary heart diesease)(CHD)の診断の分野に関する。より詳細には、本発明は、AMIの素因、発症傾向や感受性を診断又は判定するための方法を提供する。特に本発明は、試験する対象生物から得た生物学的サンプルを提供し、そして生物学的サンプルから、ゲノム上の1種又は数種の一塩基多型(SNP)マーカーの存在又は不存在を検出することを包含する方法に関する。更に本発明は、AMIを発症する確率を提供するスコアを構築するために、遺伝的情報及び表現型の情報に加えて、アンケートで得られた情報をも使用する。また、本発明は、この方法を実施するためのキットを提供する。このキットは、治療的及び予防的介入(例えば、食事についての助言)を行う対象を決めるためのみならず、治験薬や他の介入方法に関する臨床試験の対象を層化するための、病因論に基づくAMIの診断に使用することができる。本発明は、CHDとAMIの治療方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
公衆衛生におけるCVDとCHDの重要性
心血管障害(CVD)(ICD/10コード I00−I99、Q20−Q28)には、他の疾患と共に、虚血性(冠動脈)心疾患(CHD)、高血圧症、脳血管性疾患(脳卒中)及びリュウマチ熱/リュウマチ性心疾患が含まれる(AHA, 2004)。疾病率、死亡率及び費用の観点から、CHDはCVDの中でも最も重要な疾患のグループを形成する。CHD(ICD/10コード I20−I25)には、急性心筋梗塞(AMI)、他の急性虚血性(冠動脈)心疾患、狭心症、アテローム性心血管障害及び他の形態の急性虚血性心疾患が含まれる(AHA, 2004)。ここでは、厳密にはAMIではないが、急性の心事故も“AMI”に含める。AMIと狭心症は屡々アテローム性冠状動脈硬化によって発症するが、常にそれが原因ではない。他の、屡々、寄与性の病理生理学的要因には、動脈血栓症、心収縮及び重度の不整脈が含まれる。これらは、アテローム性動脈硬化による動脈狭窄を伴うことなくAMIを発症させうる。
【0003】
2001年には、推定1,660万人 −即ち地球上の全死亡者数の三分の一− が色々な形のCVD(720万人がCHD、550万人が脳血管障害、そして更に390万人が高血圧又は他の心臓の病態)によって死亡した。少なくとも年間2千万人が心臓麻痺や脳卒中から生還し、その中のかなりの人数が高額な臨床介護を必要とし、長期介護財源に大きな負担を課す。CVDは男性、女性そして子供にとっても、破壊的な疾患であることを認識する必要がある(ADA, 2004)。
【0004】
全世界のCVD死亡者の約80%が、発展途上の低所得国及び中所得国で生じた。2010年までには、CVDは先進国と発展途上国の両方で主な死因となることが推定される。CVD発症率の上昇は、工業化、都市化、経済発展及び食糧市場のグローバリゼーションに伴う、世界中での食習慣、運動量及びタバコ消費量の著しい変化を反映している(WHO, 2004)。これについては比較的最近の環境危険因子及び行動危険因子の役割が強調される。しかし、人種間に見られるCVDの発病率と罹患率の差及び家系間に見られるCVD発症率の偏りは、遺伝性の危険因子が主要な役割を担うことを示唆している。
【0005】
障害調整生存年数(DALY)によって障害を計測すると、CVDは、全世界のDALYの9.7%、先進国のDALYの20.4%、そして発展途上国のDALYの8.3%をもたらした(Murray CJL and Lopez AD, 1997)。
【0006】
NHANES III 研究(1988〜1994)からのデータによると、2001年には、6,440万のアメリカ人が何らかの形態のCVDに罹患していたと推定され、これは有病率22.6%(男性が21.5%、女性が22.4%)に相当する。このうち、1,320万人がCHDを発症していた(有病率は6.4%)。
【0007】
アメリカ合衆国において2004年にCVDに係った費用は、推定3,684億ドル(CHDが1,332億ドル、脳卒中が536億ドル、高血圧症が555億ドル)である。この額には、健康維持に係った費用(直接損害額)及び疾病と死亡に伴う生産性の低下(間接損害額)が含まれている(AHA, 2004)。
【0008】
保健機関にとって、AMIを予防するための戦略を開発することは重要である。AMIの臨床症状がひとたび現れると、心筋の中で不可逆的な細胞死と組織破壊が始まる。不幸なことに、死んだ心筋細胞を生き返らせたり、幹細胞集団で置き換えたりすることはできない。更に、CHDの最初の臨床症状の多くがが突然死である。従って、初めからAMIが発症しないように予防する、即ち、一次予防が好ましい。AMIの危険度を高めるいくつかの臨床危険因子はすでに知られてているが、疾病危険度や感受性をより正確に評価するために必要なAMIに関与する遺伝因子を定義することに対しては、満たされない臨床需要が存在する。
【0009】
CHD:多遺伝子性疾患
CVDの病因論及び病態生理学は複雑であるが、その主要な危険因子には、不健康な生活習慣や行動、そして環境因子と遺伝的因子との複雑な相互作用が含まれることが知られている。4つの主要なCVD危険因子は、習慣的な有害な食生活(主としてコレステロールと飽和脂肪の高摂取)、習慣的な喫煙、異常に高い総コレステロール値で表される脂質代謝異常、及び最適値を超える血圧である(Stamler J et al, 1998)。その他の確立されたCVD危険因子としては、年齢、男性であること、肥満、運動不足及び糖尿病が挙げられる。CVDについて明らかになりつつあるその他の危険因子 −血栓原因因子、ホモシステイン、炎症性マーカー、感染症と遺伝因子− に関しては、危険度の予測及び管理におけるそれらの役割は確立されていない(Wood D, 2001)。
【0010】
早発性CHDの家族歴が陽性であることは、他の主要なCVD危険因子とは独立してCVD発症を予測し(Sholtz RI et al, 1975;Heller RF and Kelson MC, 1983;Barrett-Connor E and Khaw K, 1984;Colditz GA et al, 1986;Hopkins PN et al, 1988;Myers RH et al, 1990;Colditz GA et al, 1009;Jousilahti P et al, 1996;Boer JM et al, 1999;Li R et al, 2000;Hawe E et al, 2003)、家族性の早発性CHD往歴を有する個人で、この点を除けば、標準的な危険因子からは危険性は低いと判定される個人は、この疾患の発症をもたらす実質的な遺伝的成分を有していると考えられる(Heller RF and Kelson MC, 1983;Myers RH et al, 1990)。両親のいずれかが早発性CHD陽性の場合と関連するAMIの危険度は、男性では1.61、女性では1.85である(Jousilahti P et al, 1996)。更に、このような疾患危険度に対する遺伝的寄与を支持する結果が双子に関する研究で得られている。Marenberg et al, 1994 は、CHD発症年齢に高い一致性が見られることを示した。男性では、55歳になる前に双子の一人が死亡しなかった場合と比較して、55歳になる前に双子の一人がCHDで死亡した場合にもう一人がCHDで死亡する相対危険度は、一卵性双生児では8.1、二卵性双生児では3.8である。女性では、65歳になる前に双子の一人が死亡しなかった場合と比較して、65歳になる前に双子の一人がCHD死亡した場合にもう一人がCHDで死亡する相対危険度は、一卵性双生児では15.0、二卵性双生児では2.6である。
【0011】
分子レベルでは、アテローム性動脈硬化は、時間依存的な多段階からなる過程であり、リポタンパク質の代謝(Chisolm GM and Steinberg D, 2000)、リポタンパク質の酸化(Salonen JT et al, 1992)、凝固反応(Tremoli E et al, 1999)及び炎症反応(Ross R. 1999)などの、複数の重要な経路の相互作用を含むものである。これらの経路における遺伝子変異は、危険度に部分的にしか寄与しない。高血圧、糖尿病、喫煙や肥満などの中間的な表現型は、遺伝子−遺伝子相互作用や遺伝子−環境相互作用と同様に、相互作用して危険度が調節される(Stephens JW and Humphries SE, 2003)。本来、全てのCHDが多遺伝子性ではなく、例外は家族性高コレステロール血症(FH)である(Civeira F, 2004)。今では、早期発見と早期治療を開始するために、高リスク個体からFHを引き起こす原因変異をスクリーニングすることができる。
【0012】
アテローム性冠状動脈硬化の他にも、CHDとAMIは、血栓症、血管狭窄や不整脈などの他の機構によって生じる場合がある。アテローム性動脈硬化と同様に、血栓症にも複数の経路が考えられる。血小板機能、即ち、血液凝固及び線溶機構の役割は、アテローム性動脈硬化よりも冠状動脈血栓症において重要であると考えられる。更に、アテローム性動脈硬化の病因と血栓症の病因は互いに相互作用する。
【0013】
単遺伝子性疾患をもたらす稀であり重症の遺伝的欠陥とは異なり、多因子性疾患(例えば、CVD)に対する個体の感受性を調節する遺伝的因子は、遺伝子多型の一般的な、機能的に異なる諸形態であり、単独では通常は中程度の効果しか示さないが、人口に対するその高キャリアー頻度故に、人口寄与危険度と関連付けることができることができるものである。環境因子は、このようなAMIリスク遺伝子の表現型発現を引き起こしたり促進したりすることができる。
【0014】
CHDとの関連が推定される遺伝子が百以上も報告されているものの、広く再現可能なものはほんのわずかである(Fuentes RM, 2004、発行前の報告)。APOA4(Rewers M et al, 1994;Wong WM et al, 2003)、APOB (Chiodini BD et al, 2003、メタアナリシス)、APOE(Eichner JE et al, 1993;Nakai K et al, 1998;Inbal a et al, 1999;Brscic E et al, 2000;Humphries SE et al, 2001;Baroni MG et al, 2003;Kumar P et al, 2003)、F2(Kim RJ and Becker RC, 2003;Burzotta F et al, 2004、共にメタアナリシス)、F5(Kim RJ and Becker RC, 2003、メタアナリシス)、IL6(Rundek T et al, 2002;Georges JL et al, 2001;Humphries SE et al, 2001)、MMP3(Terashima M et al, 1999;Rundek T et al, 2002;Beyzade S et al, 2003)、NOS3(Shimasaki Y et al, 1998;Hibi K et al, 1998;Hingorani AD et al, 1999;Park JE et al, 2000;Cine N et al, 2002)、PON1(Serrato M and Marian AJ, 1995;Sanghera DK et al, 1997;Salonen JT et al, 1999;Senti M et al, 2001)、SERPINE1(Pastinen T et al, 1998;Gardemann A et al, 1999;Ardissino D et al, 1999;Mikkelsson J et al, 2000;Fu L et al, 2001;Zhan M et al, 2003)、及びTHBD(Norlund L et al, 1997;Wu KK et al, 2001;Li YH et al, 2002;Park HY et al, 2002;Chao TH et al, 2004)の関連は、個別のグループによって再現されている。IL6とMMP3の相互作用(Rauramaa R et al, 2000)及び喫煙とAPOE(Humphries SE et al, 2001)、F5(Holm J et al, 1999)、IL6(Humphries SE et al, 2001)、MMP3(Humphries SE et al, 2002)及びPON1(Sen-Banerjee S et al, 2000)のそれぞれとの相互作用が、CHDの危険度に影響を与える遺伝子−遺伝子相互作用及び遺伝子−環境相互作用の例として報告されている。
【0015】
アテローム性冠状動脈硬化の病態生理学
ヒトアテローム性病変の進行: 冠状動脈と大動脈のヒトアテローム性病変は、研究のための標本として、治療的介入の際、又は病気以外の原因で突然死したヒトの検死解剖の際に得ることができる。近年の組織学的基準によると、ヒトのアテローム性動脈硬化は、病変を2つの大きな分類、即ち、微小病変と進行病変、に仕分けすることができる(Stary HC et al, 1994;Stary HC et al, 1995;Stary HC, 2000)。このような大きな分類のそれぞれから、3種の特徴的な型の病変を区別することができる:微小病変からI(初期)型、II(脂肪線状)型とIII(中間、前アテローム)型、そして進行病変からIV(アテローム)型、V(繊維性アテローム)型とVI(合併性)型(図1)。組織学的変化の連続性と特定の変化が顕著となる一生の中の時期は、上記の型がいずれも時間経過における段階又はステージを表していることを示している。
【0016】
それぞれの型の微小病変は局所性で比較的小さく、リポタンパク質とコレステロールエステルの異常な蓄積を含んでいる。細胞数、主としてマクロファージ数の増加と、主としてマクロファージにおける脂質滴の蓄積は、顕微鏡で観察することができる。マトリックスの組成変化及び脈間内膜構造の破壊はないか微量である。病変部に隣接する中膜は罹患しておらず、外膜も冒されていない(Stary HC et al, 1994)。脂質、細胞及び(ミネラル類を含む)マトリックス構成成分の蓄積が、内膜の構造破壊、修復と肥厚のみならず、動脈壁の変形と関連付けられた時に、アテローム性病変が進行したとみなす(Stary HC et al, 1995)。
【0017】
高い感受性を示す位置においては、出生時から動脈内膜が厚いことが知られている。この過程は適応性の内膜肥厚と呼ばれ、動脈全体の全ての点において同じ最適血流を維持するために、流体の機械的な力の正常な非対称性に応答して発達するものである。肥厚は胎児のときから始まり、誕生した時に全ての人に見られる(Stary HC et al, 1992)。厚い内膜は、動脈の分岐点とその近傍及び小さな分岐静脈の開口部で見られ、そこでは局所性且つ遠心性である。人生の早い時期における脂質及びマクロファージ泡沫細胞の初期蓄積は、適応性の内膜肥厚を患う部分集団においてより顕著である。このような場所における流体の機械的な力とは弱い剪断応力である(Stary HC et al, 1992)。剪断応力の低い領域では、循環している血漿内粒子はより長い間、内皮表面と接している。これが粒子の内膜への侵入頻度を増加させる。血漿がリポタンパク質にあまりに富んでいる場合、このような場所に最も多量に蓄積する。その後にアテローマが発見される場合には、最初に見つかるのはここである。
【0018】
I型及びII型の病変のみが乳児及び子供で生じるが、これらは成人でも生じる。III型病変は思春期の後まもなく発生し、IV型病変は20代から先で頻繁に見られるようになる。30代からは、V型病変及びVI型病変の組成が出現し始める。中年及び高齢者では、これらが主な病変の型となる(Stary HC et al, 1995;Stary HC, 2000)。V型病変及びVI型病変は、I型〜IV型とは大部分において異なる機構によって発生し、進行し、I型〜IV型を形成した連続的な脂質蓄積の上に重なって生じる(Stary HC et al, 1994;Stary HC et al, 1995;Steinberg D and Lewis A, 1997;Chisolm GM and Steinberg D, 2000)。IV型病変においては、内膜深部に局在化した細胞外脂質の大きな蓄積(脂質コア)が、内膜構造の乱れのほぼ単独の原因である。V型病変においては、実質的な修復性線維性組織層によって内膜が肥厚する。表面の欠陥、血腫及び血栓性の堆積物(VI型病変)は、更に内膜を破壊、変形及び肥厚化し、臨床的に無症状の状態から明らかに罹患している状態への変化を加速化する。
【0019】
I型、II型及びIII型病変の臨床上の重要性は、将来起こりうる疾患に対する無症状前駆状態としての役割とそれらの可逆的性質の可能性にある。III型病変が始まる年代を認識することは、その年齢、好ましくはそれ以前の集中的な予防策の開始につながるであろう(Stary HC et al, 1995;Stary HC, 2000)。アテローム性動脈硬化による疾病率と死亡率の大部分がIV型病変とV型病変によるものであり、これらは病変表面の破壊、血腫又は出血、及び血栓性の堆積物の発生をもたらし(VI型病変)、急性虚血性動脈症候群と臨床上の相関を示す(Davies MJ, 1990;Libby P, 1995)。
【0020】
ヒト アテローム性病変の分子生物学: アテローム性動脈硬化の病変の形成に先立つ最も早い変化は、内皮で起こる。これらの変化には、酸化窒素、プロスタサイクリン、血小板誘導成長因子、アンジオテンシンII及びエンドセリンの仲介する、リポタンパク質や他の血漿構成成分に対する内皮浸透性の上昇;L−セレクチン、インテグリンと血小板−内皮−細胞接着分子1を含む白血球接着分子の上方制御、及びE−セレクチン、P−セレクチン、細胞内接着分子1と血管−細胞接着分子1を含む内皮接着分子の上方制御;並びに酸化型低比重リポタンパク質、単球走化性タンパク質1、インターロイキン−8、血小板誘導成長因子、マクロファージコロニー刺激因子及びオステオポンチンの仲介する、動脈壁への白血球の遊走が含まれる(Ross R, 1999)。
【0021】
初めのうち脂肪線状は、脂肪を持った単球とマクロファージ(泡沫細胞)と共にTリンパ球からなる。後に種々の数の平滑筋細胞がそこに加わる。この機構に含まれる工程には、血小板誘導成長因子、線維芽細胞成長因子2及びトランスフォーミング成長因子βによって刺激される、平滑筋細胞の遊走;腫瘍壊死因子α、インターロイキン−2、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子の仲介する、T細胞の活性化;酸化型低比重リポタンパク質、マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子α及びインターロイキン−1の仲介する、泡沫細胞の形成;並びにインテグリン、P−セレクチン、フィブリン、トロンボキサンA2、組織因子及び上述した、白血球の接着と遊走を担う因子によって刺激される、血小板の接着と凝固(Ross R, 1999)が含まれる。
【0022】
脂肪線状が中間病変及び進行病変に移行するにつれ、管腔から病変を隔てる線維帽を形成する傾向がある。これは、一種の治癒、即ち、損傷に対する線維性反応を表す。繊維帽は、壊死性コアを形成しうる白血球、脂質および残渣の混合物を覆う。これらの病変は、内皮の機能不全と脂肪線状の形成に関与するのと同じ因子が引き起こす連続的な白血球の接着と侵入によって、その肩の部分から膨張する。マクロファージの蓄積と関連する主要な因子には、マクロファージコロニー刺激因子、単球走化性タンパク質1及び酸化型低比重リポタンパク質が含まれる。壊死性コアは、アポトーシスと壊死、タンパク質分解活性の上昇及び脂肪蓄積の結果を表す。繊維帽は、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子β、インターロイキン−1、腫瘍壊死因子αとオステオポンチンの活性上昇及び結合組織分解の低下の結果として形成される(Ross R, 1999)。
【0023】
線維帽の破裂又は繊維性プラークの潰瘍形成は、急速に血栓症をもたらすことが可能であり、通常は進行病変を覆う線維帽の薄化が生じた部位で発生する。線維帽の薄化は、この部位でメタロプロテナーゼや他のタンパク質分解性酵素を放出するマクロファージの連続的な流入と活性化によることは明らかである。これらの酵素はマトリックスの分解を起こし、それが脈管の血管や動脈の管腔からの出血につながり、結果として血栓形成と動脈の閉塞を招くことがある(Ross R, 1999)。
【0024】
CHDに関するゲノムワイドスキャン研究
遺伝子マーカー地図の使用は、遺伝子マーカーはCHD/AMIをもたらす遺伝子座と共に分離するという考えに基づいている。家族内で受け継ぐ染色体部位は非常に大きく、典型的には数cM単位である。理論的には、全ゲノムを網羅するためには、マイクロサテライトマーカー地図は5,000個〜10,000個のマーカーを含有しなければならない。実際には、ゲノムワイドスキャン(GWS)による家族研究では典型的には400個前後のマーカーを使用しており、これでは疾患遺伝子の大部分を発見するのに不十分である。
【0025】
これまでに、CHDに関する合計6件のGWS研究(Pajukanta P et al, 2000;Francke S et al, 2001; Broeckel U et al, 2002;Harrap SB et al, 2002; Wang Q et al, 2004;Fox CS et al, 2004)と、もとの4件のGWSのデータを含む1件のメタアナリシス(Chiodini BD and Lewis CM, 2003)について報告されている。これら研究の大部分が慢性CHD生存者を含んでいるため、生存率へ偏る傾向にある(表1を参照)。
【0026】
【表1】

【0027】
Pajukanta P et al, 2000 は、156家族(364人の対象者)に対する、たった300個のマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖研究で、2つの大きな連鎖領域として2q22-q23とXq23-q25を発見した。初めの連鎖領域は、それぞれ40cMと30cMだった。平均2.5cMのマーカー間隔といった非常に限られた数のマーカーで詳細なマッピングをいくらか実施した。最も強い連鎖領域に含まれる候補遺伝子が推測された。
【0028】
1613人の対象者を含む428のアメリカ人(主として白色人種から派生した)家族に対する、408個のマイクロサテライトマーカーを用いたより大規模の連鎖研究によって、Wang Q et al, 2004 は、1p36に非常に大きな、32cMの新規な冠状動脈疾患(CAD)/AMI感受性遺伝子座を発見した。
【0029】
他のGWS研究は、急性冠動脈症候群(ACS)に関する連鎖を 2q36-q37、3q26-q27と20q11-q13に見出し(Harrap SB et al, 2002)、頚動脈内膜の内部厚に関する連鎖を 12q24 に見出し(Fox CS et al, 2004)、AMIに関する連鎖を 14q32 に見出し(Broeckel U et al, 2002)、そしてCHDに関する連鎖を 3q27-q29、8q23、10q23と16p13に見出した(Francke S et al, 2001)。Chiodini BD and Lewis CM, 2003 によるメタアナリシスは、遺伝子領域 2q34-q37 と 3q26-q27 はCHDに対するAMIリスク遺伝子を含んでいるかもしれないと結論付けた。
【0030】
まとめると、CHD、AMI又はアテローム性動脈硬化に関するこれまでのGWS連鎖研究による知見は一致していない。それぞれの研究、そして全ての研究が連鎖信号を別の染色体領域から検出している。遺伝子マーカーの数が少ないため、同定された領域は数cMといずれも大きかった。
【0031】
集団遺伝学の機会
CHDとAMIの遺伝的病因学に関連した過去の医学的研究は、その大部分が後向きの対照研究とヒトの家族研究、及び遺伝子組み換え動物に関する研究に基づいている。つい最近になって分ったことであるが、後向きの対照研究は生存率と選択率の偏りが起きやすく、このような研究は、多数の候補遺伝子に関して無数の偏った知見を生み出した。一般的に用いられる手法は、罹患したヒトと罹患していないヒトとの間で遺伝子発現を比較することである。大部分が横断研究による遺伝子発現研究では、原因と結果を分けることはできない。ヒトの病態生理学は独特なので、CHDについて動物モデルから得られた知見をヒトに対して一般化することはできない。ヒト疾病の遺伝的疫学を明確にするための最も重要な手法が遺伝的疫学的研究である理由は、動物研究が役に立たないためである。
【0032】
ヒトにおける前向きコホート研究はこのような問題を解決する。GWS、シークエンシング技術及びデータ解析方法の発展によって、複雑且つ多因子性の性質に係る罹病性遺伝子を特定し、この疾病における遺伝的素因及び環境/生活習慣因子の役割を新たな精密さをもって分析する試みが今では可能となった。遺伝的効果及び環境効果は一生の間に変化し、遺伝子情報データセットにおける縦断研究のみがこのような効果の研究を可能にする。疾病遺伝子の発見において集団遺伝学的手法が他の方法よりも優れる主な利点は、ヒトにおいて有効な診断マーカーが得られる点である。
【0033】
CHDのような主要な公衆衛生問題を引き起こす遺伝子の同定は、以下に示す分子生物学、集団遺伝学及びバイオインフォマティクスにおける最近の発展によって、今では可能になった: 1.操作コストの低下とスループットの増加に劇的な変化をもたらす、新しいジェノタイピング・プラットフォームの入手可能性; 2.高密度マーカー地図(>100,000マーカー)を用いたゲノムスキャンの応用; 3.ハプロタイプ共有分析を用いた、連鎖不平衡を試験するための新しい強力な統計学的手法によるデータ解析;そして 4.遺伝的に均一な集団におけるゲノムスキャンには、従来考えられていたよりも少数の遺伝子マーカーで充分であるという認識。
【0034】
マイクロサテライトマーカーと連鎖解析を用いた古典的なGWSは、一般的な疾病の原因となる遺伝子の発見には成功していない。失敗の一因はGWSに用いた遺伝子マーカーの数があまりにも少なかったことであり、他の一因は研究した集団があまりにも不均一だったことである。ヒトゲノムプロジェクトとジェノタイピング技術の発展により、全ヒトゲノムのマッピングのために、初めての高密度マーカー地図が最近入手可能となった。ユリラブ社(Jurilab)の使用したマイクロアレイは100,000個以上の一塩基多型(SNP)マーカーのためのプローブを含有する。これらのSNPは、AMIの原因となる疾病遺伝子の大部分を発見するのに充分に密集した、全ゲノムを網羅するマーカー地図を始めて形成する。
【0035】
東フィンランド創始者集団における遺伝的均一性
フィンランド人は、約4,000年前と約2,000年前に起きた2つのヒト移民群を先祖とする。Y−染色体ハプロタイプとミトコンドリア配列の両方が、他のヨーロッパ集団と比べて低い遺伝的多様性を示し、フィンランドが長い間孤立していたことを裏付ける(Sajantila A et al, 1996)。300年以上前のグスタヴ・ヴァーサ王の時代(1523年〜1560年)には、後期移住地域(late settlements)と呼ばれる、地域的な孤立集団(regional subisolates)が内部移住によって形成された(Peltonen L et al, 1999)。この中でも最も孤立していた地域が東フィンランドである。
【0036】
東フィンランドの人口は、効果的な遺伝子発見プログラムを実施するのに充分な大きさを有する、現在知られる遺伝的に最も均一な隔離集団である。均一性の理由は、人口の年齢が若いこと(世代数が少ない);創始者が少ないこと;長期に渡る地理的な隔離;そして戦争、飢餓と致死病の流行のよる人口増加の妨害が生じたことである。
【0037】
東フィンランド人口の遺伝的均一性故に、重要な疾病素因遺伝子に含まれる変異とハプロタイプは少なく、罹患した個体は類似した遺伝的背景を共有している。より強力な連鎖不平衡(LD)故に、GWS研究に必要なSNPと対象者はより少数である。
【0038】
発明の概要
本発明は、AMIや他の心事故に対する危険度の変化に関連する一塩基多型(SNP)マーカー、これらマーカーの組み合わせ及びハプロタイプ、並びに該マーカーやこれらマーカーの形成するハプロタイプが位置する遺伝子座が内部又は近傍に存在する、AMIや他の心事故に関連する遺伝子に関する。該SNPマーカーは、AMIを発症する危険度の上昇又はAMIを発症する危険度の低下、即ち、AMIに対する防御、のいずれかに関連する。ここで「予測」又は危険度とは、危険度の上昇又は低下を含意する。
【0039】
従って本発明は、AMI関連SNPマーカー、SNPマーカーの組み合わせ、AMI関連遺伝子領域に含まれるハプロタイプ、公知の遺伝子ではあるがAMIとの関連は知られていない遺伝子、そしてAMIリスク遺伝子に存在する多型を用いた、AMIに対する疾患感受性又は素因を推定するための方法のみならず、AMIの治療の臨床経過及び効果を予測するための方法を提供する。更に本発明は、本願で開示するAMI関連SNPマーカー、SNPマーカーの組み合わせ、ハプロタイプ及び遺伝子に基づく、新規な方法及び組成物を提供する。
【0040】
更に本発明は、AMIに対する個体の疾患感受性や素因を推定するための方法であって、SNPマーカーとハプロタイプの存在を検出するか、表3〜11に示したAMIリスク遺伝子の発現の変化や、表3〜11に示したAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの変化を検出することを包含する方法に関する。変化は、量的変化、質的変化又はその両方である。
【0041】
更に本発明は、AMIに対する個体の疾患感受性や素因を推定するための方法に関する。AMIに対する個体の疾患感受性や素因を推定するための該方法は、個体の核酸配列に存在する、危険性を示すハプロタイプの検出を包含する。
【0042】
更に本発明は、AMIに対する個体の疾患感受性を推定するためのキットであって、その全体又は一部として、SNPマーカーを含有する核酸断片を増幅するための増幅試薬、SNPマーカーのジェノタイピング用の検出試薬、及びデータ解析と危険度の評価のためのソフトウエアを包含する試験キットに関する。
【0043】
1つの態様において本発明は、AMIに対する素因を診断するための方法に関する。AMIに対する個体の素因を診断するための該方法には、AMIを予測するSNPマーカーの存在の検出みならず、該マーカーに関連する遺伝子の発現の変化の検出も含まれる。変化は、量的変化、質的変化又はその両方である。
【0044】
本発明の更なる目的は、対象生物の生物学的サンプルからSNPマーカーを検出することで、AMIとCHDに対する危険度を同定するための方法である。この方法によって得られた情報は、個体に関する他の情報、例えば、血液検査、臨床検査及びアンケート、と組み合わせることができる。血液検査としては、血漿又は血清のコレステロール及び高比重リポタンパク質コレステロールの測定が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アンケートによって集める情報には、性別、年齢、家族歴や病歴、例えばCHDと糖尿病の家族歴に関する情報が含まれる。検査によって集める臨床情報には、例えば、身長、体重、ウエストとヒップのサイズ、収縮期と拡張期の血圧及び心拍数が含まれる。
【0045】
本発明の方法は、疾病発症前又は後のAMIの正確な診断を可能とし、AMIによる衰弱効果を減少又は最小化する。この方法は、臨床症状やCHDの兆候を示さない者、CHDを既に発症した者、CHDの家族歴を有する者、あるいはAMI又はCHDに対する危険因子のレベルが上昇している者に適用することができる。
【0046】
更に本発明は、AMIに対する個体の疾患感受性を診断するための方法を提供する。この方法は、一般的な集団と比べてAMI感受性の個体により高頻度で存在するAMIを予測する、危険性を示すハプロタイプのスクリーニングを行うことを包含し、危険性を示すハプロタイプの存在をAMIに対する疾患感受性の指標とする。「危険性を示すハプロタイプ」は、AMIに対する危険度の上昇ではなく、危険度の低下と関連してもよい。「危険性を示すハプロタイプ」は、AMIと高い関連性を示すマーカーと共に、本願で開示するハプロタイプの1種又は組み合わせを包含する。AMIに対する個体の疾患感受性を診断するためのキットも開示する。
【0047】
当業者は、個体の核酸配列に存在する、1種又は数種の本発明のSNPマーカーに含まれるヌクレオチドの解析は、多型部位に存在するヌクレオチドを決定することのできる方法や技術によって行うことができることを容易に理解する。当業界では明らかなように、SNPマーカーに存在するヌクレオチドは、いずれかの核酸配列又は両方の鎖から検出することができる。
【0048】
本発明の主な利用法には、AMIや他の急性の心事故を発症する危険性の高い者を予測することが含まれる。AMIに寄与する遺伝的因子を特定する診断試験は、単独で使用するか、又は一般的な集団に対する個体の危険度を定義するための公知の臨床危険因子と組み合わせて使用することができる。AMIを発症する危険性を有する個体を同定するためのより良い方法は、より良い予防的及び治療的な養生法につながると考えられ、養生法には、以下に示す現在の臨床危険因子に対するより積極的な管理が含まれる:喫煙、高コレステロール血症、上昇したLDLコレステロール値、低いHDLコレステロール値、高血圧と血圧の上昇、糖尿病、グルコース不耐性、インシュリン耐性、メタボリック症候群、肥満、運動不足、及びC反応性タンパク質レベルや他の炎症性マーカーの上昇によって反映される炎症性成分。遺伝的危険度に関する情報は、特定の患者に生活習慣の調整(例えば、禁煙、カロリー摂取量の削減、運動量の増加)を医師が説得するために使用することもできる。
【0049】
本発明の更なる目的は、薬物の抗動脈効果及び抗高血圧効果を試験するための対象となるヒトを選択するための方法を提供することにある。
【0050】
本発明の更なる目的は、抗動脈薬及び抗高血圧薬を試験するための、臨床試験の対象を選択するための方法を提供することにある。
【0051】
本発明の更なる目的は、AMIリスク遺伝子に存在する多型を用いた、AMIの治療の臨床経過及び効果を予測するための方法を提供することにある。本発明の遺伝子、遺伝子産物及び薬物は、狭心症などの他の臨床事故又は心事故の治療、その治療効果のモニタリング、及び薬物の開発にも有用である。CHDとAMIの診断、治療及び予後判定のためのキットも提供する。
【0052】
本発明の更なる目的は、CHDを発症した対象生物におけるCHDの治療、又はAMIを発症した対象生物におけるAMIの治療のための方法であって、対象となるヒト又は動物の有する本発明の遺伝子のDNA配列、その発現又はタンパク質に影響を与える方法である。これに関連する本発明の目的は、対象生物におけるCHDの発症又は対象生物におけるAMIの発症を予防するための方法であって、対象となるヒト又は動物の有する本発明の遺伝子のDNA配列、その発現又はタンパク質に影響を与える方法である。
【0053】
発明の詳細な説明
典型的な標的集団
AMIを発症する危険がある個体とは、例えば以下に挙げる危険因子の少なくとも1つを有する個体である:AMIの家族歴、喫煙、高コレステロール血症、上昇したLDLコレステロール値、低いHDLコレステロール値、高血圧症や血圧値の上昇、糖尿病、ブドウ糖不耐性、インシュリン耐性、メタボリック症候群、肥満症、運動不足、炎症性マーカーの上昇、及び1種又は数種のAMIリスクSNPマーカーを含む、危険性を示すアレルやハプロタイプ。
【0054】
本発明の別の態様において、AMIを発症する危険性がある個体とは、AMIリスク遺伝子内にリスク増加アレルが存在する個体であり、多型の存在は、AMI感受性が高いことを示す。本明細書で使用する「遺伝子」という用語は、ポリペプチドコード配列内のエレメントのみならず、その上流と下流に位置する調節エレメントの両方を含み、更にmRNAの5'及び3'非翻訳領域と、遺伝子の全てのエクソン配列とイントロン配列(更に選択的スプライシングが行われるエクソンとイントロン)を含有する全長ポリペプチドコード配列を含む全体の総称である。
【0055】
危険性を示すアレルと危険性を示すハプロタイプの評価
遺伝子マーカーは、AMIと関連する「多型部位」に存在する特定の「アレル」である。集団の中に複数の配列をもたらしうるヌクレオチドの位置を、本明細書では「多型部位」と称する。多型部位の長さが1ヌクレオチドの場合は、SNPと称する。例えば、特定の染色体位置のヌクレオチドが、集団に属するある個体ではアデニンであり、同じ集団の別の個体ではチミンの場合、この位置は多型部位であり、より詳細には、この多型部位はSNPである。多型部位は、挿入、欠失、変換又は転座によってその長さが数ヌクレオチドであってもよい。多型部位に見られる各種の配列を、本明細書では、多型部位の「アレル」と称する。従って、上記の例では、SNPとしてアデニンアレルとチミンアレルの両方が可能である。
【0056】
典型的には、特定の遺伝子について参照ヌクレオチド配列に参照する。参照配列と異なるアレルを、「変異型(variant)」アレルと称する。参照ヌクレオチド配列のコードするポリペプチドは、特定の参照アミノ酸配列を有する「参照」ポリペプチドであり、変異型アレルのコードするポリペプチドを、変異型アミノ酸配列を有する「変異型」ポリペプチドと称する。
【0057】
変異型ヌクレオチド配列は、ポリペプチドの特性に作用する変化をもたらすことがある。参照ヌクレオチド配列との比較から明らかになるこうした配列差としては、挿入、欠失、変換及び置換が挙げられ、具体例としては、上記で詳細に説明したような、変異型ポリペプチドを生成するフレームシフトをもたらすことのある、挿入、欠失又は変換;中途終止コドン、アミノ酸の変化又は異常なmRNAスプライシングをもたらすことがある、少なくとも1つのヌクレオチドの置換;ヌクレオチドのコードする1種又は数種のアミノ酸の欠失をもたらすことがある、いくつかのヌクレオチドの欠失;読み枠中のコード配列の中断をもたらすことがある、不均等な組み換えや遺伝子変換などの、いくつかのヌクレオチドの挿入;配列の全て又は一部の重複;トランスポジション;又は詳しく上記したような、ヌクレオチド配列の再編成が挙げられる。このような配列の変化は、AMI感受性遺伝子のコードするポリペプチドを変化させる。例えば、ポリペプチド配列の変化をもたらすヌクレオチドの変化は、ポリペプチドの活性、分布及び安定性の変化、あるいはポリペプチドの特性に別の作用をもたらすことによって、ポリペプチドの生理学的特性を劇的に変化させることができる。
【0058】
あるいはまた、変異型ヌクレオチド配列は、遺伝子の転写又はそのmRNAの翻訳に影響する変化をもたらすことがある。遺伝子の調節領域に存在する多型部位は、組織特異性、転写率、転写因子への応答などの変化によって、遺伝子の転写に変化をもたらすことがある。mRNAに対応する遺伝子領域に存在する多型部位は、安定した二次構造をmRNAに誘導し、mRNAの安定性に影響を与えることなどによって、mRNAの翻訳に変化をもたらすことがある。こうした配列の変化は、AMI感受性遺伝子の発現を変化させることがある。
【0059】
本明細書に記載する「ハプロタイプ」とは、例えば、表4、5、6、7、8、10及び11に示したような、遺伝子マーカー(「アレル」)の全ての組み合わせを意味する。またハプロタイプは、2個以上のアレルを含んでいてもよい。
【0060】
当業者には認知されているように、ハプロタイプを定義するアレルを異なる鎖から求めることによって、同じハプロタイプであっても、異なった形で記載されることがある。例えば、本明細書に記載したハプロタイプ rs834485、rs856283、rs1260817、rs1260772 (T G C A) は、全てのアレルをもう一方の鎖から決定したハプロタイプ rs834485、rs856283、rs1260817、rs1260772 (A C G T) や、1番目のアレルのみをもう一方の鎖から決定したハプロタイプ rs834485、rs856283、rs1260817、rs1260772 (A G C A) と同じである。
【0061】
例えば、表4、5、6、7、8、10及び11に示したような、本発明で開示するハプロタイプは、AMIを有していない個体よりも、AMIを有している個体においてより頻繁に見られるものである。従って、これらのハプロタイプは、個体におけるAMI又はAMI感受性を検出するための予測力を有する。多型部位に存在する配列を検出するための公知の方法によって、ハプロタイプの検出を行うことができる。
【0062】
本発明で開示する、危険性を示すAMI関連アレルと危険性を示すAMI関連ハプロタイプは、本発明のAMI関連遺伝子に存在する他の「多型部位」と関連するとも考えられることが理解されよう。こうした他のAMI関連多型部位は、遺伝子マーカーと同等に有用か、あるいは危険性を示す本発明のアレルとハプロタイプについて観察されるAMIとの関連を説明する、原因性変異型(causative variations)としてより有用である。
【0063】
本明細書で説明したいくつかの方法においては、AMIを発症する危険性のある個体とは、危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプが同定された個体である。1つの態様においては、危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプは、AMIの有意な危険度を示すものである。1つの態様においては、アレル又はハプロタイプと関連する有意性はオッズ比で測定する。更に別の態様においては、有意性は百分率で測定する。1つの態様においては、有意な危険度を示すオッズ比は少なくとも約1.2であり、具体的にはオッズ比が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0及び40.0の場合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、危険度の有意な増加と低下は少なくとも約20%であり、具体的には、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%及び98%が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、危険度の有意な増加は少なくとも約50%である。しかし、危険度が医学的に有意か否かの判定は、特定の疾患、アレルやハプロタイプ、そして屡々環境因子を含む、多様な因子にも依存することが理解されよう。
【0064】
AMIリスク遺伝子内に存在するかAMIリスク遺伝子の一部を包含する、リスクを示すハプロタイプとは、健康な個体(対照者)に存在する頻度と比べて、AMIを発症する危険性のある個体(AMI感受性保持者(affected))に存在する頻度の方がより高いハプロタイプであり、ハプロタイプの存在が、AMIの存在又はAMIに対する疾患感受性の指標となるものである。
【0065】
好ましい対応においては、この方法は、AMIリスク遺伝子内の所定の部位に置けるSNPの存在又は出現頻度を個体について検出することを包含し、健常対照個体と比べて、過剰なSNP又はその出現頻度の上昇は、AMIを発症しているかAMI感受性が高いことを示す。スクリーニング用のツールとして使用することのできるハプロタイプを構成することのできるSNPについては、例えば、表4、5、6、7、8、10及び11を参照。危険性を示すハプロタイプからこのようなSNPマーカーを同定することができる。例えば、危険性を示すハプロタイプには、表4、5、6、7、8、10及び11に示したようなマイクロサテライトマーカー及び/又はSNPが含まれる。ハプロタイプの存在は、AMIの存在又は、AMIに対する疾患感受性が高いことを示すので、本明細書で説明する治療法の標的集団に該当する個体の指標となる。
【0066】
従って、本発明の方法は特に、AMIの指標となる、危険性を示す以下のハプロタイプを定義する、1種又は数種のSNPマーカーの検出に関するものである。
【0067】
1) ハプロタイプ“T G C A”を定義する、rs834485 (C/T)、rs856283 (A/G)、rs1260817
(A/C) と rs1260772 (A/G);
2) ハプロタイプ“C C”を定義する、rs1932818 (C/T) と rs6663269 (C/G);
3) ハプロタイプ“G A”を定義する、rs7605386 (C/G) と rs9288697 (A/C);
4) ハプロタイプ“A T G G A”を定義する、rs3903306 (A/T)、rs6432539 (C/T)、
rs1364703 (C/G)、rs1966530 (A/G) と rs5002908 (A/G);
5) ハプロタイプ“T C”を定義する、rs997274 (C/T) と rs6788511 (A/C);
【0068】
6) ハプロタイプ“T A A G C”を定義する、rs864391 (C/T)、rs854202 (A/G)、
rs2014378 (A/G)、rs952621 (A/G) と rs1877960 (C/T);
7) ハプロタイプ“A A T G”を定義する、rs1445362 (A/G)、rs1O513252 (A/G)、
rs1O513253 (C/T) と rs4610179 (A/G);
8) ハプロタイプ“T A G”を定義する、rs682913 (C/T)、rs725425 (A/C) と rs1423260
(A/G);
9) ハプロタイプ“C A”を定義する、rs919740 (C/T) と rs10515639 (A/G);
10) ハプロタイプ“T A G T”を定義する、rs10499001 (C/T)、rs4144270 (A/G)、
rs4515397 (A/G) と rs10499000 (C/T);
【0069】
11) ハプロタイプ“C T G”を定義する、rs1407658 (C/T)、rs2025272 (G/T) と
rs9283864 (C/G);
12) ハプロタイプ“A C G T”を定義する、rs10503268 (A/C)、rs1038062 (C/T)、
rs10503269 (A/G) と rs1038058 (C/T);
13) ハプロタイプ“C C C G C”を定義する、rs10503616 (C/T)、rs10503617 (C/T)、
rs2717719 (C/T)、rs1488925 (A/G) と rs2035681 (C/T);
14) ハプロタイプ“C G T C”を定義する、rs2994298 (C/T)、rs7463074 (A/G)、
rs2975534 (C/T) と rs2975533 (C/T);
15) ハプロタイプ“G G T T”を定義する、rs1O491744 (A/G)、rs1543587 (A/G)、
rs1O74789 (C/T) と rs7025842 (C/T);
【0070】
16) ハプロタイプ“A C T A”を定義する、rs1O491753 (A/C)、rs13284133 (A/C)、
rs1O491756 (G/T) と rs1O491757 (A/G);
17) ハプロタイプ“G T G C”を定義する、rs1542750 (A/G)、rs10501763 (C/T)、
rs10501764 (A/G) と rs10501765 (C/T);
18) ハプロタイプ“A T C C”を定義する、rs721346 (A/C)、rs1400549 (C/T)、
rs503208 (C/G)、rs7127296 (A/C);
19) ハプロタイプ“C G A”を定義する、rs10483879 (C/T)、rs2885625 (A/G) と
rs6574333 (A/G);
20) ハプロタイプ“A T T A”を定義する、rslO49884 (A/T)、rs1364256 (C/T)、
rs7185078 (C/T) と rs7193075 (A/G);
【0071】
21) ハプロタイプ“G G”を定義する、rs1O521277 (A/G) と rs1O19156 (A/G);
22) ハプロタイプ“G T G G”を定義する、rs223128 (G/T)、rs223154 (G/T) と rs315499
(A/G)、rs10512437 (A/G);
23) ハプロタイプ“T A T”を定義する、rs1O513997 (C/T)、rs1O513998 (A/G) と
rs10514026 (T/G);
24) ハプロタイプ“T G G A”を定義する、rs799275 (C/T)、rs5957801 (A/G)、
rs5909851 (A/G) と rs10521707 (A/G);
25) ハプロタイプ“G A C T”を定義する、rs764198 (A/G)、rs1O521816 (A/G)、
rs1O521817 (C/T) と rs3135496 (C/T);
【0072】
26) ハプロタイプ“C C”を定義する、rs623360 (C/G) と rs627069 (C/G);
27) ハプロタイプ“C T G”を定義する、rs7547716 (A/C)、rs1891174 (C/T) と
rs1O494841 (A/G);
28) ハプロタイプ“C G T G C”を定義する、rs1O493353 (C/T)、rs1323851 (G/T)、
rs834485 (C/T)、rs856283 (A/G) と rs1260817 (A/C);
29) ハプロタイプ“A T A C”を定義する、rs3106653 (A/C)、rs2961958 (A/T)、rs2591169
(A/T) と rs1O497144 (C/G);
30) ハプロタイプ“C G A”を定義する、rs1O497192 (C/T)、rs7605386 (C/G) と
rs9288697 (A/C);
【0073】
31) ハプロタイプ“G C G T”を定義する、rs1851328 (A/G)、rs6711457 (C/T)、
rs10498053 (C/G) と rs6744504 (C/T);
32) ハプロタイプ“A G C A”を定義する、rs9310496 (A/G)、rs10510450 (A/G)、
rs4685356 (A/C) と rs10510452 (A/G);
33) ハプロタイプ“A C T G C”を定義する、rs10510660 (A/G)、rs951973 (C/T)、
rs1487994(G/T)、rs10510661 (C/G) と rs6805290 (C/T);
34) ハプロタイプ“G C G”を定義する、rs1O18341 (G/T)、rs953304 (C/G) と rs1O514726
(G/T);
35) ハプロタイプ“C G T C”を定義する、rs1355533 (C/T)、rs1357287 (A/G)、
rs1403101 (C/T) と rs1356612 (C/T);
【0074】
36) ハプロタイプ“T C”を定義する、rs1O513261 (C/T) と rs1881922 (C/T);
37) ハプロタイプ“A A C A C”を定義する、rs1O23714 (A/T)、rs2400502 (A/G)、
rs2400503 (C/T)、rs10515605 (A/G) と rs7709159 (C/T);
38) ハプロタイプ“G A G G”を定義する、rs1O515495 (A/G)、rs4976445 (A/G)、
rs1O491335 (A/G) と rs6878439 (A/G);
39) ハプロタイプ“A C C C”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs786135 (A/C)、rs1357194 (C/T)、rs9285412 (C/T) と rs9320498 (A/C);
40) ハプロタイプ“A A T T T”を定義する、rs10486559 (A/G)、rs10486562 (A/G)、
rs757397 (C/T)、rs735664 (C/T) と rs720659 (G/T);
【0075】
41) ハプロタイプ “C C T T”を定義する、rs1961352 (A/C)、rs2029832 (C/T)、
rs9741 (C/T) と rs10503616 (C/T);
42) ハプロタイプ“G C C C”を定義する、rs10503555 (A/G)、rs10503557 (C/T)、
rs2410361 (A/C) と rs10503561 (C/T);
43) ハプロタイプ“G C A”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs260816
(C/G)、rs260818 (A/C) と rs361315 (A/G);
44) ハプロタイプ“C C A”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1940357
(A/C)、rs535908 (C/T) と rs510628 (A/T);
45) ハプロタイプ“T C G C G”を定義する、rs2706218 (C/T)、rs897167 (C/T)、rs10506333
(C/G)、rs998401 (C/T) と rs3741673 (A/G);
【0076】
46) ハプロタイプ“C G A A”を定義する、rs762721 (A/C)、rs1O491992 (C/G)、
rs1O491993(A/G) と rs2213177 (A/G);
47) ハプロタイプ“C C T G”を定義する、rs760002 (A/C)、rs10483259 (A/C)、
rs956163 (C/T) と rs1O483261 (A/G);
48) ハプロタイプ“A A T C”を定義する、rs2713961 (A/G)、rs1O512591 (A/G)、
rs2344989 (C/T) と rs2452932 (C/G);
49) ハプロタイプ“T A A G”を定義する、rs10502579 (C/T)、rs627346 (A/G)、
rs10502582 (A/T) と rs10502584 (A/G);
50) ハプロタイプ“A G A C”を定義する、rs5949853 (A/T)、rs4348668 (A/G)、
rs1O521497 (C/T)、rs707289 (A/G) と rs20369 (C/T);
51) ハプロタイプ“G A C T”を定義する、rs764198 (A/G)、rs1O521816 (A/G)、
rs1O521817 (C/T) と rs3135496 (C/T);
52) ハプロタイプ“C G G T G”を定義する、rs1O521773 (C/T)、rs2022565 (A/G)、
rs1569890 (A/G)、rs5977614 (C/T) と rs1O521774 (C/G)。
【0077】
治療の経過のモニタリング
本発明は、1種又は数種のAMIリスク遺伝子の発現(例えば、相対的又は絶対的な発現)に対する、AMI治療の効果をモニタリングするための方法に関する。AMI感受性遺伝子のmRNA、それがコードするポリペプチド、コードするポリペプチドの生物活性は、末梢血又はそこから誘導した細胞のサンプルから測定することができる。発現やポリペプチドの生物活性のレベルは、AMI治療剤による治療を行う前と治療中に評価することができる。
【0078】
例えば、本発明の1つの態様においては、標的集団の一員である個体について、AMI阻害剤による治療に対する応答を評価する。評価は、末梢血中全体又は特定の細胞副画分、あるいは細胞副画分の組み合わせにおける、AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの生物活性、あるいはAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチド又はmRNAの絶対的及び/又は相対的なレベルを測定することで行う。
【0079】
更に、AMIリスク遺伝子の内部又は近傍(1〜数百kbの範囲内)に見られるハプロタイプや変異などの変異型は、AMIやその合併症を予防したり治療したりするための医薬製剤(pharmaceutical agent)に関して行う臨床試験の効力や効率を高めるために、AMIの危険性の高い個体を同定するのに用いることができる。ハプロタイプやその他の変異型は、他の経路が関与するAMIを発症している患者を排除するか分別することで、試験する治療法に適した経路の関与する患者を集め、臨床試験の効力と感受性を増加させるために用いることもできる。このような変異型は、個体のための医薬製剤の選択を手引きする薬理遺伝学的試験(pharmacogenetic test)に用いることもできる。
【0080】
プライマー、プローブ及び核酸分子
「プローブ」や「プライマー」は、塩基特異的な形式で核酸分子の相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。「塩基特異的な形式」とは、プライマーやプローブがハイブリダイズするのに十分な程度のヌクレオチド相補性を2つの配列が有していることを意味する。従って、プライマーやプローブの配列は、テンプレートの配列に対して完全に相補的である必要はない。塩基置換がハイブリダイゼーションを阻害しない限り、非相補的な塩基や修飾塩基がプライマーやプローブ中に散在していてもよい。核酸テンプレートは、プライマーやプローブに対して種々の相補性を示す「非特異的プライミング配列」又は「非特異的配列」を更に包含してもよい。このようなプローブとプライマーとしては、ポリペプチド核酸(polypeptide nucleic acid)が挙げられる(Nielsen PE et al, 1991)。
【0081】
プローブやプライマーは、本発明の核酸の中の連なった少なくとも約15ヌクレオチド、例えば約20〜25ヌクレオチド、特定の態様においては約40、50又は75ヌクレオチド(例えば、連続した核酸の配列)にハイブリダイズする核酸領域を包含する。
【0082】
好ましい態様においては、プローブやプライマーは、100個以下のヌクレオチドを包含し、特定の態様においては6〜50ヌクレオチド、例えば12〜30ヌクレオチドを包含する。別の態様においては、プローブやプライマーは、連続した核酸の配列又はその相補鎖と少なくとも70%同一であり、例えば、少なくとも80%同一、特定の態様においては少なくとも90%同一、別の態様においては少なくとも95%同一である。あるいはプローブやプライマーは、連続した核酸配列又はその相補鎖に選択的にハイブリダイズすることさえ可能である。プローブやプライマーは、屡々、ラジオアイソトープ、蛍光化合物、酵素又は酵素の補因子などの標識を更に包含する。
【0083】
本発明のアンチセンス核酸分子は、表3〜8、10と11のヌクレオチド配列、及び/又は表3〜8、10と11の配列の相補鎖、及び/又は表3〜8、10と11の配列及び/又は表3〜8、10と11の配列の相補鎖の一部、及び/又はアミノ酸配列をコードする配列(但し、これらのいずれも、所望により、表3〜8、10と11に示した多型の少なくとも1種を包含してもよい)に基づいて設計し、公知の方法を用いて、化学合成及び酵素による連結反応によって構築することができる。例えば、アンチセンス核酸分子(アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)は、自然界に見られるヌクレオチドや、もしくは、分子の生物学的安定性の増加や、アンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成される2本鎖の物理的安定性の増加を目的として設計された種々の修飾ヌクレオチド(例えばホスホロチオエート誘導体やアクリジン置換ヌクレオチド)を用いて化学合成することができる。また、アンチセンス核酸分子は、アンチセンスの方向に核酸分子がサブクローニングされた(つまり、挿入した核酸分子から転写したRNAが、目的の標的核酸に対してアンチセンスの方向になるようにした)発現ベクターを用いて生物学的に製造することもできる。
【0084】
本発明で開示するAMI関連遺伝子の核酸配列は、患者の内在性DNA配列と比較することで遺伝的障害(AMI素因又は感受性など)を同定するために用いることができ、また、プローブとして用い、関連するDNA配列とハイブリダイズして発見したり、公知の配列をサンプルから取り除いたりすることができる。核酸配列は更に、遺伝子フィンガープリント法のためのプライマーの誘導、DNA免疫法を用いた抗ポリペプチド抗体の産生、及び抗DNA抗体の産生や免疫応答の誘発のための抗原として用いることができる。本願で同定したヌクレオチド配列(及び対応する完全な遺伝子配列)の一部、即ち断片は、ポリヌクレオチド試薬として種々の用途に用いることができる。例えば、これらの配列は、(i)各配列に対応する遺伝子を染色体上にマッピングすることによる、遺伝性疾患に関連する遺伝子領域の位置の特定;(ii)微小な生物学的サンプルからの個体の同定(組織タイピング);そして(iii)生物学的サンプルの法医学的な同定の補助に用いることができる。加えて、本発明のヌクレオチド配列は、解析、特徴づけ又は治療用途に用いるための組み換えポリペプチドの同定と発現に用いたり、対応するポリペプチドが恒常的に、又は組織分化の際に、又は疾患状態で発現される組織のためのマーカーとして使用したりすることができる。加えて核酸配列は、本発明で開示するスクリーニング及び/又は診断アッセイのための試薬として用いることができ、また本発明で開示するスクリーニング及び/又は診断アッセイに使用するキット(例えば試薬キット)の構成成分として含めることができる。
【0085】
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体
遺伝子産物の1つの形態には特異的に結合するが、遺伝子産物の他の形態には結合しないポリクローナル抗体及び/又はモノクローナル抗体を提供する。変異型又は参照遺伝子産物のいずれかの、1種又は数種の多型部位を含む部分に結合する抗体も提供する。本明細書に記載される「抗体」とは、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部位(即ち、ある抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)の総称である。本発明のポリペプチドに特異的に結合する分子は、該ポリペプチドやその断片には結合するが、サンプル(例えば、天然に該ポリペプチドを含む生物学的サンプル)の中の他の分子とは実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的活性部位の例としては、ペプシンなどの酵素で抗体を処理することによって得られるF(ab) 断片とF(ab')2 断片が挙げられる。本発明は、本発明のポリペプチドと結合するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を提供する。本明細書に記載される「モノクローナル抗体」や「モノクローナル抗体組成物」とは、本発明のポリペプチドの特定のエピトープと免疫反応可能な抗原結合部位の内、同じ1種を含む一群の抗体分子の総称である。従って、典型的なモノクローナル抗体組成物は、この組成物が免疫反応を示す特定の本発明のポリペプチドに対して、1つの結合親和性のみを提示する。
【0086】
ポリクローナル抗体は、当業者に公知の方法、即ち、適切な対象生物を所望の免疫原(例えば、本発明のポリペプチド又はその断片)で免疫することによって製造することができる。免疫した対象生物における抗体力価は、例えば、固定したポリペプチドを用いる酵素免疫測定法(ELISA)などの標準的な方法で、経時的にモニタリングすることができる。所望であれば、ポリペプチドに対する抗体分子を哺乳動物(例えば、その血液)から単離し、更にプロテインAクロマトグラフィー法などの公知の処理方法で精製して、IgG画分を得ることができる。免疫後の適当な時点(例えば、抗体力価が最大値に達した時点)で抗体産生細胞を対象生物から採取し、それを用いて、ハイブリドーマ法(Kohler G and Milstein C, 1975)、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor D et al, 1982)、EBV−ハイブリドーマ法(Cole SP et al, 1994)又はトリオーマ法(Hering S et al, 1988)などの標準的な技術でモノクローナル抗体を製造することができる。ハイブリドーマを製造するためには、不死化細胞株(典型的には骨髄腫)を、上記の免疫原で免疫した哺乳動物に由来するリンパ球(典型的には脾細胞)に融合し、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清のスクリーニングを行って、本発明のポリペプチドと結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
【0087】
リンパ球と不死化細胞株の融合に用いる公知のプロトコルのどれでも、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体の産生に適用することができる(Bierer B et al, 2002)。更に、当業者であれば、同じように有用な、上記の方法のバリエーションも存在することを理解できよう。
【0088】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代わりに、ポリペプチドで組み換え免疫グロブリンコンビナトリアルライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレーライブラリー)のスクリーニングを行い、ポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーのメンバーを単離することで、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を同定して単離することができる(Hayashi N et al, 1995;Hay BN et al, 1992;Huse WD et al, 1989;Griffiths AD et al, 1993)。ファージディスプレーライブラリーを産生し、スクリーニングするためのキットは市販されている。
【0089】
加えて、通常の組み換えDNA法を用いた製造が可能な、ヒト化キメラモノクローナル抗体などの、ヒト由来の部分とヒトに由来しない部分を包含する組み換え抗体も本発明の範囲内に含まれる。こうしたヒト化キメラモノクローナル抗体は、公知の組み換えDNA技術によって製造することができる。
【0090】
一般的に、本発明の抗体(例えばモノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィー法又は免疫沈降法などの標準的な技術で本発明のポリペプチドを単離するために用いることができる。ポリペプチド特異的抗体は、細胞からの天然ポリペプチドの精製と、宿主細胞で発現される、組み換えによって産生されたポリペプチドの精製を容易にする。更に、本発明のポリペプチドに特異的な抗体は、ポリペプチドの発現量と発現パターンを評価するために、(例えば、細胞溶解物、細胞上清又は組織サンプル中の)ポリペプチドの検出に用いることができる。抗体は、AMI感受性を予測するための試験の一部、あるいは臨床試験の手順の一部(例えば、養生法の有効性を決めるための手順)として、組織(例えば血液)に存在するタンパク質のレベルを診断目的でモニタリングするために用いることができる。検出は、抗体を検出可能物質にカップリングさせることによって容易になる。検出可能物質としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料及び放射性材料が挙げられる。好適な酵素の具体例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;好適な補欠分子族複合体の具体例としては、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられ;好適な蛍光材料の具体例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド及びフィコエリトリンが挙げられ;好適な発光材料としては、ルミノールが挙げられ;好適な生物発光材料としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンが挙げられ;好適な放射性材料としては、125I、131I、35S及び3Hが挙げられる。
【0091】
診断アッセイ
本発明で開示するプローブ、プライマー及び抗体は、AMI又はAMI感受性の診断方法のみならず、AMI、AMI感受性やAMI関連疾患や病態に対する感受性の診断に有用なキットにも用いることができる。
【0092】
本発明の1つの態様においては、本発明で開示する危険性を示す1種又は数種のアレル、ハプロタイプ、又はそれらの組み合わせを、本発明で開示する対象生物の核酸から検出することによって、AMI又はAMI感受性の診断(もしくはAMI関連疾患や病態又はAMI関連疾患や病態に対する感受性の診断)を行う。
【0093】
本発明の1つの態様においては、本発明で開示する危険性を示すアレル及び/又はハプロタイプに関連する1種又は数種の多型部位を本発明で開示する対象生物の核酸から検出することによって、AMI又はAMI感受性の診断(もしくはAMI関連疾患や病態又はAMI関連疾患や病態に対する感受性の診断)を行う。診断において最も有用な多型部位は、フレームシフト、中途終止コドン、アミノ酸の変化又は異常なmRNAスプライシングによって、AMI関連遺伝子のポリペプチド構造を変化させる多型部位である。多くの場合、ポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらすヌクレオチドの変化は、ポリペプチドの生理学的特性を変化させ、その結果、ポリペプチドの活性、分布及び安定性が変化したり、その他のポリペプチドの特性が影響を受けたりする。診断において有用な他の多型部位としては、組織特異性の変化、転写率の変化、生理学的状態に対する応答の変化、mRNAの翻訳効率の変化、及びmRNAの安定性の変化によって、AMI関連遺伝子の転写又はそのmRNAの翻訳に影響を与える多型部位である。AMI関連遺伝子のポリペプチド構造の変化や、AMI関連遺伝子の発現の変化を伴う変異型ヌクレオチド配列の存在によって、AMI感受性を有すると診断することができる。
【0094】
診断用途においては、機能的多型と連鎖不平衡の状態にある、疾患危険度を予測するための情報を提供する多型を用いてもよい。こうした機能的多型は、スプライシング部位の変化や、mRNAの安定性又は輸送の変化を伴うか、あるいは核酸の転写と翻訳の変化を伴う。機能的多型に関連する変異型ヌクレオチド配列の存在によって、AMI感受性を有すると診断することができる。
【0095】
我々は限られた数のSNPマーカーについてジェノタイピングを行い、それらを本願の実施例に記載したが、本発明で同定したAMIリスク遺伝子のいずれかにおいて、上述したような機能的変異、調節的変異又は他の変異のいずれかが見られる場合、AMI危険度の予測が可能であると期待される。
【0096】
診断アッセイにおいては、1種又は数種の本発明のAMI関連SNPマーカーに存在するヌクレオチドのみならず、本発明のAMI関連SNPマーカーと関連する多型部位も個体の核酸から検出するが、この検出は、多型部位に存在するヌクレオチドを正確に検出することが可能ないかなる方法や技術で行ってもよい。数多くの好適な方法が当業界では報告されており(Kwok P-Y, 2001;Syvanen A-C, 2001)、そのような方法としては、ハイブリダイゼーションアッセイ、連結反応アッセイ、プライマー伸長アッセイ、酵素開裂アッセイ、化学的開裂アッセイ及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アッセイは、PCR、固相固定工程、修飾オリゴヌクレオチド、標識プローブ又は標識ヌクレオチドを含んでいても、含んでいなくてもよく、アッセイはマルチプレックスでもシングルプレックスでもかまわない。当業界では自明であるように、多型部位に存在するヌクレオチドは、核酸の2本鎖の内の1本又は両方から検出することができる。
【0097】
本発明の別の態様においては、AMI感受性の診断を、1種又は数種のAMI関連遺伝子の転写の検査によって行うことが可能である。転写の変化は、ハイブリダイゼーション法、酵素開裂アッセイ、RT−PCRアッセイ及びマイクロアレイなどの、当業界で報告されている多様な方法で解析することができる。個体から試験サンプルを採取し、サンプル中に含まれるRNAからAMI関連遺伝子の転写の変化を評価する。転写の変化によって、AMI感受性を有すると診断することができる。
【0098】
本発明の別の態様においては、AMI感受性の診断は、AMI感受性ポリペプチドの発現及び/又は構造及び/又は機能の検査によっても行うことが可能である。個体から得た試験サンプルについて、AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの発現及び/又は構造及び/又は機能の変化の存在、あるいはAMIリスク遺伝子のコードする特定の変異型ポリペプチド(例えばイソフォーム)の存在のいずれかを評価する。AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの発現の変化とは、例えば、ポリペプチド発現の量的変化(即ち、産生ポリペプチド量の変化)であり、AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの構造及び/又は機能の変化とは、ポリペプチド発現の質的変化(例えば、変異型AMI感受性ポリペプチド、異なるスプライシング変異体やイソフォームの発現)である。好ましい態様においては、AMIリスク遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体、又はスプライシング変異体の特定のパターンの検出によって、AMIに関連する疾患や病態、又はAMIに関連する疾患や病態に対する感受性を診断することができる。
【0099】
AMI感受性ポリペプチドの発現及び/又は構造及び/又は機能の変化は、当業界でよく知られる多様な方法、例えば、クロマトグラフィー法、分光法、比色分析法、電気泳動法、等電点電気泳動法、特異的開裂法、免疫学的手法、及び生物活性の測定に基づくアッセイや、種々のアッセイの組み合わせによって測定することができる。本明細書において、ポリペプチドの発現又は組成における「変化」とは、対照サンプルにおけるAMIリスク遺伝子によるポリペプチドの発現や、ポリペプチドの組成と比較した際に、試験サンプルに見られる発現と組成の変化である。対照サンプルとは、試験サンプルに対応するサンプル(例えば、同じ種類の細胞から得たもの)であって、AMIを発症していない(not affected)個体から得たものである。対照サンプルと比べて変化した、試験サンプルにおけるポリペプチドの発現と組成は、AMIに対する感受性が高いことを示す。
【0100】
変異型AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドに特異的に結合する上記の抗体、変異していない遺伝子のコードするポリペプチドに特異的に結合する抗体、又はAMIリスク遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体に特異的に結合する抗体を用いたウエスタンブロット法によって、試験サンプルにおける、特定のスプライシング変異体やイソフォーム、又は多型AMIリスク遺伝子や変異型AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの存在、あるいは特定のスプライシング変異体やイソフォーム、又は多型ではない遺伝子や変異していない遺伝子のコードするポリペプチドの不存在を検出することができる。AMIリスク遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体の存在(又は不存在)と同様に、多型遺伝子や変異型遺伝子のコードするポリペプチドの存在、又は多型でない遺伝子や変異していない遺伝子のコードするポリペプチドの不存在によって、AMI感受性を有すると診断することができる。
【0101】
上記方法の1つの態様においては、試験サンプル中のAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドのレベル又は量を、対照サンプル中のAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドのレベル又は量と比較する。試験サンプル中のポリペプチドのレベル又は量が、対照サンプル中のポリペプチドのレベル又は量よりも高いか低く、この差が統計的に有意である場合には、試験サンプル中のポリペプチドのレベル又は量は、AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの発現の変化を示し、これによってAMI感受性を有すると診断することができる。上記方法に代わる方法としては、試験サンプル中のAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの組成を、対照サンプル中のAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの組成(例えば、種々のスプライシング変異体の存在)と比較する。試験サンプル中のポリペプチドの組成と対照サンプル中のポリペプチドの組成の違いによって、AMI感受性を有すると診断することができる。更に別の態様においては、ポリペプチドのレベルや量と組成の両方を試験サンプルと対照サンプルにおいて評価することができる。試験サンプルと対照サンプルとの比較から明らかなポリペプチドの量やレベルの違い、組成の違い、又は量やレベルの違いと組成の違いの両方が、AMIに対する感受性が高いことを示す。
【0102】
別の態様においては、AMIリスク遺伝子の多型又は変異型がコードするポリペプチドのスプライシング変異体やイソフォームを評価することができる。この評価は、直接的に(例えば、ポリペプチドそのものの検査によって)又は間接的に(例えば、mRNAのプロファイリングなどによる、ポリペプチドをコードするmRNAの検査によって)行うことができる。例えば、本発明で開示するプローブやプライマーは、標準的な方法によって、AMIリスク遺伝子のmRNAがどのスプライシング変異体やイソフォームをコードしているのかを決定することができる。
【0103】
AMI又はAMI危険度に関連する特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける存在、又はAMI又はAMI危険度と関連のない特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける不存在によって、AMIリスク遺伝子に関連する疾患や病態、又はAMIリスク遺伝子の関連する疾患や病態に対する感受性を有すると診断することができる。同様に、AMI又はAMI危険度に関連する特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける不存在、又はAMI又はAMI危険度に関連のない特定のスプライシング変異体やイソフォームの試験サンプルにおける存在によって、AMIリスク遺伝子に関連する疾患や病態ではない、又はAMIリスク遺伝子の関連する疾患や病態に対する感受性を有していないと診断することができる。
【0104】
更に本発明は、AMIリスク遺伝子に存在する危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプを同定することによって、個体におけるAMI感受性の診断と同定を行うための方法に関する。1つの態様においては、この危険性を示すアレル又は危険性を示すハプロタイプは、ハプロタイプの存在によってAMIの危険度が有意に増加するアレル又はハプロタイプである。危険度が有意か否かの判定は、特定の疾患、ハプロタイプ、そして屡々環境因子を含む多様な因子に依存すると理解すべきであるが、有意性はオッズ比又は百分率で求めることもできる。更に別の態様においては、有意性は百分率で求める。1つの態様においては、有意な危険度とはオッズ比が0.8以下又は少なくとも約1.2の場合であり、具体的にはオッズ比が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、30.0及び40.0の場合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、オッズ比が少なくとも1.2の場合を有意とする。更に別の態様においては、オッズ比が少なくとも約1.5の場合を有意とする。更に別の態様においては、危険度の有意な増加又は低下とは、オッズ比が少なくとも約1.7の場合である。更に別の態様においては、危険度の有意な増加とは少なくとも約20%の増加であり、具体的には、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%及び98%の増加が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に別の態様においては、危険度の有意な増加又は低下は少なくとも約50%の変化である。しかし、危険度が医学的に有意か否かの判定は、特定の疾患、アレルやハプロタイプ、そして屡々環境因子を含む多様な因子に依存することを理解されよう。
【0105】
本発明はまた、個体におけるAMI又はAMI感受性を診断する方法であって、健常個体(対照)と比較して、AMIに対して感受性の高い(発症している(affected))個体において存在頻度が高まっている、AMIリスク遺伝子に含まれる危険性を示すハプロタイプのスクリーニングを包含し、ハプロタイプの存在が、AMI又はAMIに対する感受性を意味することを特徴とする方法に関する。スクリーニング用のツールとして使用することのできるハプロタイプを構成するSNPマーカーについては、例えば、表4、5、6、7、8、10及び11を参照。これ等の表に列挙したSNPマーカーは危険性を示すハプロタイプを表し、AMIに対する感受性を決定するための診断試験の設計に用いることができる。
【0106】
診断方法に有用なキット(試薬キットなど)は、本明細書で説明したいかなる方法においても有用な構成成分を包含しており、そのような成分としては、例えば、以下のものが挙げられる:PCRプライマー、本明細書で説明したハイブリダイゼーション用のプローブやプライマー(標識したプローブやプライマーなど)、SNPマーカーのジェノタイピングのための試薬、標識分子を検出するための試薬、(RFLP分析などのための)制限酵素、アレル特異的なオリゴヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、標識用酵素、変化した又は変化していない(天然の)AMI感受性ポリペプチドと結合する抗体、1種又は数種のAMIリスク遺伝子を包含する核酸断片を増幅する手段、1種又は数種のAMIリスク遺伝子の核酸配列を分析するための手段、又は1種又は数種のAMI感受性ポリペプチドのアミノ酸配列を分析するための手段。1つの態様においては、AMIに対する感受性を診断するためのキットは、AMIに対する感受性の高い個体において存在頻度が高まっている、危険性を示すハプロタイプを含むAMIリスク遺伝子領域の核酸増幅を行うためのプライマーを包含してもよい。このようなプライマーは、AMIの指標となるSNPに隣接する核酸の一部を用いて設計することができる。
【0107】
本発明は、1回又は少数回のジェノタイピングを行い、AMI及び/又はCHDを予測する能力に基づいて、タイピングする変異を選択するという原理に基づいている。従って、ゲノムDNAサンプル中の変異体のジェノタイピングはいかなる方法を用いてもよい。リアルタイムPCRなどの非並列法を用いる場合には、タイピングは連続して行う。PCR反応は、マルチプレックスで行うか、あるいはそれぞれ独立系で連続して行うか、又は等量を用いて並列に行う。
【0108】
本発明の検出方法は、検出工程で得られた指標を確認するために、本発明の方法(クレーム1参照)の工程b)で得られた結果を、対象生物の年齢;性別;高血圧、糖尿病や高コレステロール血症に関する家族歴、及びCVDと糖尿病の治療歴に関する情報と組み合わせる工程を更に包含してもよい。このような情報には、家族内での高コレステロール血症、喫煙状況、家族内でのCVD、CVDの家族歴、家族内での肥満、及びウエスト/ヒップ比(waist-to-hip circumference ratio)(cm/cm)が含まれていてもよい。
【0109】
本発明の検出方法は、血液、血清又は血漿中の、コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、アポリポタンパクBとAI、フィブリノーゲン、フェリチン、トランスフェリン受容体、C反応性タンパク質、あるいは血清又は血漿インシュリン濃度を測定する工程を更に包含してもよい。
【0110】
AMI又はCHDを発症する確率を予測するスコアは、多変量故障時間モデル(multivariate failure time model)又はロジスティック回帰式を用いて計算することができる。上述した、本発明の方法に付加する更なる工程で得られる結果によって、AMIを発症する確率を以下のロジスティック回帰式で計算する工程が可能となる。
【0111】
AMIを発症する確率 =1/[1+e(−(−a+Σ(bi×Xi))]
式中、eはネーピアの定数であり、XiはAMIに関連した変数であり、biは上記変数のロジスティック関数における係数であり、aはロジスティック関数の定数項であるが、但し、a値とbi値は、この方法を実施する対象の属する集団から求められる値であることが好ましく、Xi値は、この方法を実施する対象の属する集団で測定した変数から選ばれる値であることが好ましい。bi値は−20と20の間であることが好ましく、i値は0(即ち、なし)と100,000の間であることが好ましい。bi値が負の係数であるということは、このマーカーが危険度の低下を示すことを意味し、正の係数であるということは、このマーカーが危険度の増加を示すことを意味する。
【0112】
i値は、SNPマーカーのように0又は1と表されるかコード化される2値変数である。加えてこのモデルには、変数Xiのいかなる相互作用(積)や項(例えば、bii)が含まれてもよい。1年、2年、5年、10年又は20年以内にAMIを発症する危険度を百分率で示す単純な予測を行うために、情報を組み合わせるアルゴリズムも開発されている。
【0113】
これに代わる統計学的モデルとしては、コックスの比例ハザードモデル、他の反復モデル及びニューラルネットワークモデルなどの故障時間モデルが挙げられる。
【0114】
この試験は、AMIを発症する危険度を試験するために健常者に実施することも、スクリーニング又は素因の試験として高リスク患者(即ち、CHDの家族歴、高い血漿コレステロール濃度、高血圧又は糖尿病、あるいはこれらの組み合わせ、あるいは他の心臓病リスク因子の高い者)に実施することもできる。
【0115】
この方法は、成人におけるAMIの予測又は初期診断、臨床試験のための対象者の層化と選択、予防的及び治療的な集中介入を行う対象者の層化と選択に用いることができる。その目的は、治験薬の臨床試験及び健康管理のコスト削減である。
【0116】
医薬組成物
本発明は、本願に記載した薬剤(agent)、特にAMIリスク遺伝子内のヌクレオチド及び/又はAMIリスク遺伝子のコードする他のスプライシング変異体を包含する薬剤;及び/又は本願に記載したように、AMIリスク遺伝子の発現又はAMI感受性遺伝子ポリペプチドの活性を変化(例えば、増強又は阻害)する薬剤を包含する医薬組成物に関する。例えば、ポリペプチド、タンパク質(例えば、受容体)、AMIリスク遺伝子の発現を変化させる薬剤、AMI感受性ポリペプチド結合性物質や結合パートナー、それらの断片、融合タンパク質やプロドラッグ、あるいは本発明のヌクレオチドを包含するヌクレオチド又は核酸構築物(ベクター)、あるいはAMI感受性遺伝子ポリペプチド活性を変化させる薬剤を、生理的に許容される担体や賦形剤と共に処方し、医薬組成物を調製することができる。担体と組成物は滅菌することができる。処方は投与方法に適したものでなければならない。
【0117】
本発明に適した薬学的に許容される担体に特に限定はなく、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、アルコール類、グリセロール、エタノール、アラビアガム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(乳糖、アミロース、デンプンなど)、デキストロース、マグネシウムステアレート、タルク、珪酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンや、これ等の組み合わせなどが挙げられる。所望により医薬組成物は、有効成分と有害な反応を起こさない付加的な成分、例えば、潤滑剤、保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧を調整するための塩類、緩衝剤、着色剤、調味料及び/又は香料などと混合してもかまわない。
【0118】
所望により組成物は更に、微量の浸潤剤か乳化剤又はpH調節剤を含有してもよい。組成物は、溶液、懸濁液、乳状液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性製剤又は粉剤とすることができる。組成物は、古典的なバインダーや担体であるトリグリセリドなどと共に、座薬として処方することもできる。経口製剤は、標準的な担体、例えば、医薬用のマニトール、ラクトース、デンプン、マグネシウムステアレート、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含んでいてもよい。
【0119】
上記の組成物を導入する方法に特に限定はなく、皮内、筋肉内、腹膜内、眼内、静脈内、皮下、局所、経口及び鼻腔内への投与が挙げられる。他の適した導入方法としては、(以下で説明する)遺伝子療法、再充電可能か生体分解可能な機構、粒子加速化装置(“ジーンガン”)及び薬物徐放型高分子機構が挙げられる。本発明の医薬組成物は、他の成分と共に、コンビナトリアル療法の一部として投与することもできる。
【0120】
医薬組成物は、慣例的な手順に従って処方し、ヒトへの投与に適合した医薬組成物とすることができる。例えば、典型的な静脈注射用の組成物は、滅菌済みの等張水性緩衝液の溶液である。必要な場合には、医薬組成物は更に可溶化剤と、注射する部位の痛みを低減するための局所麻酔剤を含んでもよい。一般的に、処方材料はそれぞれ個別に供給するか、投与単位形式に混合したもの(例えば、有効成分の量を表示したアンプルや小袋などの容器に密封した、凍結乾燥品の乾燥粉末又は水を含まない濃縮物)として供給する。医薬組成物を点滴で投与する場合には、医薬組成物は、医薬用の滅菌水、生理食塩水又はデキストロース/水の入った点滴用ビンに分配することができる。医薬組成物を注射によって投与する場合には、投与前に処方材料を混合できるように、注射用の滅菌水又は生理食塩水の入ったアンプルを提供することができる。
【0121】
局所投与のためには、局所投与に適合し、好ましくは水よりも力学的粘性率の高い担体を包含する、非スプレー形態あるいは粘性〜半固体又は固体の形態を用いることができる。適当な処方に特に限定はないが、溶液、懸濁液、乳液、クリーム、軟膏、粉末、浣腸、ローション、ゾル、塗布剤、膏薬、エアゾールなどが挙げられ、これらは、所望により、滅菌してもよいし、また補助剤(例えば、保存料、安定化剤、湿潤剤、浸透圧を調整するための塩類や緩衝剤など)と混合してもかまわない。有効成分は化粧品処方剤に導入してもよい。局所投与にはスプレー可能なエアゾール製剤も適しており、この場合は有効成分を、好ましくは固体状又は液状の不活性担体と共にスクィーズボトルに梱包したり、加圧した揮発性の、通常は気体状の噴射剤(例えば、圧縮空気)と更に混合して梱包したりする。
【0122】
本願に記載した薬剤は、中性の形態でも、塩の形態でも処方することができる。薬学的に許容される塩類としては、塩酸、リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸などから誘導した、遊離アミノ基を有するもの、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導した、遊離カルボキシル基を有するものが挙げられる。
【0123】
薬剤は、治療効果を発揮する量を投与する。特定の疾患又は病態を治療する上で治療効果を発揮する量は、疾患や病態の性質に依存し、標準的な臨床技術で決定することができる。更に、最適投与範囲の同定を助けるために、in vitro又はin vivoのアッセイを所望により用いてもよい。製剤に用いる厳密な量は投与経路及びCHDの病状の重症度にも依存するので、医療従事者の判断と各患者の状況とに基づいて決定しなければならない。効果的な投与量は、in vitroの試験システム又は動物モデルの試験システムから得られた用量−反応曲線から外挿することもできる。
【0124】
更に本発明は、本発明の医薬組成物の1つ以上の材料の入った1つ以上の容器を包含する、医薬用パック又はキットを提供する。所望により、このような容器と関連して、医薬品及び生物学的製品の製造、使用又は販売を監督する政府機関の定める書式に基づく説明書が添付されてもよく、このような説明書は、医薬組成物がヒト投与用としての製造、使用又は販売が政府機関に認められていることを反映する。パックやキットは、投与方法、薬物投与の順序(例えば、個別に、順番に又は一緒に)などの情報を記載したラベルを添付してもよい。パックやキットは、更に患者が薬剤摂取を忘れないようにする手段を含んでもよい。パックやキットは、組み合わせ療法の中の単一投与単位からなるものでも、複数の投与単位からなるものでもよい。特に、薬剤は、個別でも、いかなる組み合わせで混合してもよいし、1つのバイアルや錠剤の形で存在してもかまわない。薬剤は、ブリスターパックや他のディスペンサー手段にまとめられていることが好ましい。本発明の目的においては、単位用量とは、各成分の薬力学に依存する用量を意味し、標準的な投与間隔のもとにFDA許可用量で投与するものである。
【0125】
治療方法
本発明は、AMI治療剤を用いた、CHD、AMI又はAMIに対する感受性を有する個体、例えば、本願明細書で開示した標的集団に属する個体、を治療するための方法(予防方法及び/又は療法)を包含する。「AMI治療剤」とは、AMIリスク作用性のポリペプチド(の酵素活性又は量)及び/又は本願明細書で開示したAMIリスク遺伝子の発現を変化(例えば、増加又は低下)させる薬剤(例えば、AMIのアゴニスト又はアンタゴニスト)である。AMI治療剤は、以下に例示する種々の方法でAMI感受性ポリペプチドの活性又はAMI核酸の発現を変化させることができる:付加的なAMI感受性ポリペプチドの提供、あるいはAMIリスク遺伝子の転写又は翻訳の上方制御;AMI感受性ポリペプチドの翻訳後プロセシングの変更;AMIリスク遺伝子のスプライシング変異体の転写の変更;AMI感受性ポリペプチド活性への(例えば、AMI感受性ポリペプチドに結合することによる)干渉;AMIリスク遺伝子の転写又は翻訳の下方制御;あるいはAMI感受性ポリペプチドの排除の阻害又は向上。
【0126】
特に本発明は、AMI又はAMIに対する感受性(例えば、本願明細書で開示した、危険性を示す集団に属する個体)を治療する方法のみならず、CHDの症状発現やサブタイプの治療方法に関する。CHDとしては、心筋梗塞、狭心症、アテローム性動脈硬化症、急性冠状動脈症候群(例えば、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)又はST上昇型心筋梗塞(STEMI))、下肢閉塞性動脈硬化症、脳卒中、及びAMIの合併症や後遺症(例えば、うっ血性心不全、心肥大や不整脈)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
AMI治療剤の代表例としては、以下のものが挙げられる
本願で開示した核酸、その断片又は誘導体、特に本願で開示したポリペプチドをコードするヌクレオチドや、このような核酸(例えば、遺伝子、cDNA及び/又はmRNA;2本鎖干渉RNA;AMI感受性ポリペプチド、その活性断片や誘導体、又はオリゴヌクレオチド、例えば、表3〜11、をコードする核酸)を包含するベクター;
他のポリペプチド(例えば、AMI感受性受容体);AMI感受性ポリペプチドに対する結合性物質;模倣ペプチド;上記ポリペプチドの融合タンパク質やプロドラッグ、抗体(例えば、上述したような、AMI感受性ポリペプチド変異体に対する抗体、変異体ではないAMI感受性ポリペプチドに対する抗体、AMIリスク遺伝子のコードする特定のスプライシング変異体に対する抗体);リボザイム;他の低分子;
AMIリスク遺伝子の発現又はポリペプチドの活性を変える(例えば、阻害又は拮抗する)薬剤、AMIリスク遺伝子のスプライシング変異体の転写を調節する薬剤(例えば、どのスプライシング変異体が発現されるかに影響を与える薬剤や、発現されるそれぞれのスプライシング変異体の量に影響を与える薬剤)などの他の薬剤;及び
AMIリスク遺伝子の発現又はポリペプチドの活性を変える(例えば、誘導又はアゴナイズする)薬剤、AMIリスク遺伝子のスプライシング変異体の転写を調節する薬剤(例えば、どのスプライシング変異体が発現されるかに影響を与える薬剤や、発現されるそれぞれのスプライシング変異体の量に影響を与える薬剤)などの他の薬剤。
【0128】
所望により、1種を超えるAMI治療剤を同時に使用することもできる。
【0129】
核酸であるAMI治療剤は、AMIの治療に用いられる。本願において「治療」という用語は、疾患に関連した症状を改善することだけでなく、疾患の発症を予防又は遅らせることも意味し、更には、疾患に伴う症状の重症度や頻度を減少させること、疾患又は病態の再発を予防又は遅らせること及び/又は疾患又は病態に伴う症状の重症度や頻度を減少させることも意味する。アテローム性動脈硬化症の場合、「治療」は、更にプラーク発生の最小化又は退縮も意味する。治療法は、個体におけるAMIポリペプチドの活性を変化(例えば、阻害又は増加)、置換又は補足するように設計する。例えば、AMI治療剤は、AMIリスク遺伝子やAMI感受性遺伝子の特定のスプライシング変異体の発現や存在量を上方制御又は増加させるために投与することができ、あるいはそれとは反対に、AMIリスク遺伝子やAMI感受性遺伝子の特定のスプライシング変異体の発現や存在量を下方制御又は低下させるために投与することもできる。本来のAMIリスク遺伝子やその特定のスプライシング変異体の発現や存在量の上方制御又は増加は、欠陥遺伝子や別のスプライシング変異体の発現や活性に干渉したり、補ったりすることができる。又、本来のAMIリスク遺伝子やその特定のスプライシング変異体の発現や存在量の下方制御又は低下は、欠陥遺伝子や別のスプライシング変異体の発現や活性を最小化することで、欠陥遺伝子や特定のスプライシング変異体の影響を最小化することができる。
【0130】
AMI治療剤は、治療効果を発揮する量(即ち、疾患に関連した症状を改善する、疾患の発症を予防又は遅らせる、及び/又は疾患に伴う症状の重症度や頻度を減少させたりすることで、疾患を治療するのに充分な量)を投与する。特定の個体の有する障害又は病状を治療する上で治療効果を発揮する量は、疾患に伴う病状や重症度に依存し、標準的な臨床技術で決定することができる。更に、最適投与範囲の同定を助けるために、in vitro又はin vivoのアッセイを所望により用いてもよい。製剤に用いる厳密な量は投与経路及び疾患又は障害の重症度にも依存するので、医療従事者の判断と各患者の状況とに基づいて決定しなければならない。効果的な量は、in vitroの試験システム又は動物モデルの試験システムから得られた用量−反応曲線から外挿することもできる。
【0131】
1つの態様においては、本発明の核酸(例えば、表3〜11の、AMI感受性ペプチドをコードする核酸であり、所望により表3〜11に示した少なくとも1種の多型を包含するもの);又はAMI感受性ポリペプチド、そのスプライシング変異体、誘導体又は断片をコードする他の核酸を、それぞれ単独で、又は上述した医薬組成物として用いることができる。例えば、AMIリスク遺伝子又はAMI感受性ポリペプチドをコードするcDNAは、単独で又はベクターに入れた形態で細胞に(in vitro又はin vivo)で導入し、細胞に本来のAMI感受性ポリペプチドを産生させる。必要であれば、遺伝子、cDNA、又は遺伝子かcDNAを含むベクターで形質転換した細胞を、疾患に罹患した個体に導入(又は再導入)することができる。こうすることで、天然では本来のAMIリスク遺伝子の発現及び活性を失っているか、AMI変異体の発現又は活性を有するか、又は疾患関連AMIリスク遺伝子のスプライシング変異体を発現する細胞を、AMI感受性ポリペプチド、あるいはAMI感受性ポリペプチド(又はAMI感受性ポリペプチドの別の変異型)の活性断片を発現するように操作することができる。好ましい態様においては、AMI感受性ポリペプチドをコードする核酸、その活性断片又は誘導体を発現ベクター(例えば、ウイルスベクター)に導入し、得られたベクターを動物内の適切な細胞に導入することができる。ウイルス性導入システムと非ウイルス性導入システムを含む他の遺伝子導入システムも用いることができる。また、リン酸カルシウム共沈殿法や機械的技法(例えば、マイクロインジェクション)などの非ウイルス性導入システム、膜融合リポソームによる導入(membrane fusion-mediated transfer)、又はDNAの直接取り込みも用いることができる。
【0132】
本発明の他の態様においては、上記方法の代わりに、本発明の核酸、本発明の核酸に相補的な核酸、又はこのような核酸の一部(例えば、後述するオリゴヌクレオチド)を「アンチセンス」療法に使用する。この場合は、AMIリスク遺伝子のmRNA及び/又はゲノムDNAに特異的にハイブリダイズする核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)を投与するか又はin situで産生する。mRNA及び/又はDNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸は、例えば、翻訳及び/又は転写を阻害することで、AMI感受性ポリペプチドの発現を阻害する。アンチセンス核酸の結合は、型どおりの相補的塩基対の結合によるものでもよいし、あるいは、例えば、2本鎖DNAへの結合のように、二重らせんの主溝との特異的な相互作用によるものでもよい。
【0133】
本発明のアンチセンス構築物は、例えば、上述した発現プラスミドとして送達することができる。細胞内でプラスミドが転写されると、mRNA及び/又はDNAのAMI感受性ポリペプチドをコードする部分と相補的なRNAを産生する。また、アンチセンス構築物は、ex vivoで作製して細胞に導入したオリゴヌクレオチドプローブでもよく、これはAMIリスク遺伝子のmRNA及び/又はゲノムDNAとハイブリダイズすることで発現を阻害する。1つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、in vivoで安定になるように、内在性のヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼ)に耐性の修飾オリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして用いる核酸分子の具体例としては、DNAのホスホロアミデートアナログ、ホスホロチオエートアナログ及びメチルホスホネートアナログが挙げられる。更に、アンチセンス療法に有用なオリゴマーを構築するための一般的な方法が、例えば、van der Krol AR et al, 1988とStein CA and Cohen JS, 1988に記載されている。アンチセンスDNAについては、翻訳開始部位(例えば、AMIリスク遺伝子配列の−10〜+10の領域)から誘導したオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
【0134】
アンチセンス療法を実施するために、AMI感受性ポリペプチドをコードするmRNAに相補的なオリゴヌクレオチド(mRNA、cDNA又はDNA)を設計する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、AMI感受性のmRNA転写産物に結合し、翻訳を防止する。絶対的な相補性が好ましいものの、必ずしも必要ない。本明細書で述べるような、RNAのある部分に「相補的」な配列とは、RNAにハイブリダイズし、安定な2本鎖を形成するのに充分な相補性を有している配列である。2本鎖アンチセンス核酸の場合には、2本鎖DNAの1本鎖を試験するか、又は3本鎖の形成をアッセイする。ハイブリダイズする能力は、上記で詳細に説明したようなアンチセンス核酸の有する相補性の程度と長さの両方に依存する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、そこに含まれる、RNAに対してミスマッチな塩基の数が増えても、安定な2本鎖(場合によっては3本鎖)を形成することができる。当業者は、標準的な方法を用いて許容されるミスマッチの程度を確認することができる。
【0135】
アンチセンス療法に用いるオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、又はそれらのキメラ混合物、誘導体又は修飾したものであり、1本鎖でも2本鎖でもよい。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子やハイブリダイゼーションの安定性を高めるために、その塩基成分、糖成分又はリン酸骨格が修飾されていてもよい。オリゴヌクレオチドには、他の付加的な基が含まれていてもよく、(例えば、in vivoで宿主細胞の受容体のターゲティングを行うための)ペプチドや、細胞膜の通過を容易にする物質(Letsinger RL et al, 1989; Lemaitre M et al, 1987)や血液脳関門の通過を容易にする物質(Jaeger LB and Banks WA, 2004)、更にはハイブリダイゼーションに伴って開裂を引き起こす試薬(hybridization-triggered cleavage agent)(van der Krol AR et al, 1988)やインターカレーション試薬(Zon G, 1988)が含まれていてもよい。そのためにオリゴヌクレオチドは他の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションに伴って架橋を引き起こす試薬(hybridization triggered cross-linking agent)、輸送試薬、又はハイブリダイゼーションに伴って開裂を引き起こす試薬)に結合していてもよい。
【0136】
アンチセンス分子は、in vivoでAMIリスク遺伝子を発現する細胞に送達される。アンチセンスDNA又はRNAの細胞への送達には、数々の方法を用いることができ、例えば、アンチセンス分子を組織部位に直接注射したり、目的の細胞を標的とするように修飾したアンチセンス分子(例えば、標的細胞の表面に発現されている受容体や抗原に特異的に結合するペプチド又は抗体に連結したアンチセンス分子)を全身に投与したりすることができる。又、好ましい態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーター(例えば、pol III又はpol II)の制御下におかれている組み換えDNA構築物を利用する。患者の中の標的細胞をトランスフェクトするためにこのような構築物を使用すると、内在性AMIリスク遺伝子転写産物と相補的な塩基対を形成するのに充分な量の1本鎖RNAが転写され、AMI感受性mRNAの翻訳を防止する。例えば、細胞がベクターを取り込み、アンチセンスRNAの転写を誘導するように、ベクターをin vivoで導入することもできる。このようなベクターは、転写されて目的アンチセンスRNAを産生する限り、エピソームのままでも、染色体に組み込まれてもかまわない。このようなベクターは、上述した標準的な組み換えDNA工学的手法で構築することができる。例えば、プラスミド、コスミド、YAC又はウイルスベクターを用いて組み換えDNA構築物を調製し、調製した構築物を組織部位に直接導入することができる。又、目的の組織に選択的に感染するウイルスベクターを用いて、他の方法(例えば、全身的な方法)で投与を達成することもできる。
【0137】
標的化相同組み換えによってAMIリスク遺伝子又はそのプロモーターを不活化又は「ノックアウト」することで、内在性のAMIリスク遺伝子の発現も減少させることもできる(Smithies O et al, 1985; Thomas KR and Capecchi MR, 1987;Thompson S et al, 1989)。例えば、内在性AMIリスク遺伝子(又はAMIリスク遺伝子のコード領域又は調節領域)に相同なDNAが隣接した、非機能的なAMIリスク遺伝子の変異体(又は全く関係のないDNA配列)を、単独あるいは選択マーカー及び/又は負の選択マーカーと共に用い、AMIリスク遺伝子をin vivoで発現する細胞にトランスフェクトする。標的化相同組み換えによるDNA構築物の挿入は、AMIリスク遺伝子の不活化をもたらす。組み換えDNA構築物は、直接投与するか、又は上述したような適切なベクターを用いることで、必要な部位にin vivoでターゲティングすることができる。代わりに、以下の類似した方法を用いて、変異体ではないAMIリスク遺伝子の発現を増加させることもできる: 変異体ではない機能的なAMIリスク遺伝子(例えば、表3〜11に示したいずれかの遺伝子であって、所望により、表3〜11に示した少なくとも1種の多型を包含するもの)又はその部分配列を包含するDNA構築物を、標的化相同組み換えを用いて、上述したような細胞の有するAMIリスク遺伝子変異体と置き換わるように挿入する。他の態様においては、細胞に存在するものとは異なる変異型AMI感受性ポリペプチドをコードする核酸を包含するDNA構築物を、標的化相同組み換えを用いて挿入する。
【0138】
又、AMIリスク遺伝子の調節領域(即ち、AMIリスク遺伝子のプロモーター及び/又はエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列のターゲティングを行い、体内の標的細胞において、AMIリスク遺伝子の転写を防止する三重らせん構造を形成することで、内在性AMIリスク遺伝子の発現を減少することもできる(Helene C, 1991;Helene C et al, 1992;Maher LJ, 1992)。同様に、AMIタンパク質の1つの正常な生物活性と拮抗する、本願明細書に開示したアンチセンス構築物は、in vivoの組織とex vivoの培養組織の両方において、組織の操作(例えば、組織分化)に用いることができる。更にアンチセンス技術(例えば、アンチセンス分子のマイクロインジェクション、又は転写産物がAMImRNA又は遺伝子配列のアンチセンスとなるプラスミドのトランスフェクション)は、成体組織におけるAMIリスク遺伝子の正常細胞機能のみならず、発生段階におけるAMIリスク遺伝子の役割を研究するために用いることができる。このような技術は、細胞培養に利用することができ、トランスジェニック動物の作製にも使用することできる。
【0139】
本発明の別の態様においては、本明細書に開示した他のAMI治療剤もAMIの治療又は予防に用いることができる。治療剤は、上述したような組成物の形態で送達するか、又は治療剤そのものを送達することができる。治療剤は全身的に投与するか、又は特定の組織にターゲティングすることができる。治療剤は、化学合成、組み換え体による産生、in vivoでの産生(例えば、トランスジェニック動物による産生(Meade H et al, 1990))などの種々の方法で製造し、本願明細書に記載したような標準的な方法で単離することができる。
【0140】
上記の治療方法のいかなる組み合わせ(例えば、変異体ではないAMI感受性ポリペプチドの投与と、AMI感受性mRNA変異体を標的とするアンチセンス療法の組み合わせ;又はAMIリスク遺伝子のコードする第1のスプライシング変異体の投与と、AMIリスク遺伝子のコードする第2のスプライシング変異体を標的とするアンチセンス療法の組み合わせ)も使用することができる。
【0141】
本願は、実施細則801(a)(i) に基づいて電子データとして提出した配列表及び表を含む。
【0142】
本発明を、以下の実施例によって更に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。本明細書で参照する文献の教示の全てが、参照することによって組み込まれたものとする。
【0143】
実施例
フィンランド東部のAMI患者とその表現型の特徴づけ
クオピオ虚血性心疾患危険因子研究(Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study;KIHD)、即ち、AMIやCVDを含む、中年男性に見られる慢性疾患の危険因子を調査するために進行中の、前方視的な集団群研究(prospective population-based study)の参加者を被験者とした(Salonen JT 1988, Salonen JT et al 1999, Tuomainen T-P et al 1999)。研究対象となる集団は、基礎検査を実施した1984年〜1989年の時点で42歳、48歳、54歳又は60歳であったフィンランド東部在住の男性から無作為に抽出した年齢別サンプルである。1984年〜1989年の間に合計2682人の男性を検査した。男性コホートの11年目の追跡調査期間に当たる1998年〜2001年に最初の検査を実施した、人口から無作為に抽出した920人の女性によって、男性コホートを補完した。心事故の追跡調査を2002年の末まで実施したことで、追跡年数が13年間〜18年間にわたった。被験者の募集と検査方法については、既に詳細に報告した(Salonen JT 1988)。この研究は、クオピオ大学研究倫理委員会(University of Kuopio Research Ethics Committee)の承認済みである。全ての参加者から書面による同意を得ている。
【0144】
追跡調査期間中のCHDとAMIに関するデータは、国立電子化退院登録(national computerized hospital discharge registry)とのコンピューターによる記録連鎖(computer record linkage)によって得た。診断情報は病院から集め、全ての心臓麻痺症例を厳格な、既に確立された基準に従って分類した。急性心事故の診断的分類は、症状、心電図による知見、心筋酵素の上昇、解剖知見とCHDの病歴に基づいていた。心事故と推定された症例(ICD−9コード 410−414及びICD−10コード I20−I25)は、次のように分類した: 1)AMIであることが確実な症例、2)AMIと考えられる症例、3)CHDを示す、20分以上続く典型的な急性の胸の痛み、4)蘇生に成功した虚血性心停止、5)急性の心事故なし、又は6)分類不能な致命的な症例。AMIを明示するための本解析には、分類1)〜3)をまとめて使用した。
【0145】
症例群は、AMIであることが確実であるか、又はAMIと考えられるもの、あるいは典型的な長時間の胸の痛みを患い、AMIの家族歴のある(AMI患者(親か兄弟/姉妹)が家族に少なくとも一人いる)ものと定義した。これらの特徴は、対象となる症例の心疾患が遺伝子によって生じたものであり、非遺伝的因子によるものではない可能性を高めるために決定した。類推的理由から、対照群は親にも兄弟/姉妹にもAMIの家族歴がなかった。
【0146】
同じKIHDコホートから、症例群と同じ数の健常対照対象者を選んだ。これらは親にも兄弟/姉妹にもCHDの家族歴がなかった。対照の希薄化による偏り(後からAMIを発症する対照者)を最小化するために、非常に健康な人たちからCHDに罹患していない対照を選んだ。広範にわたって評価しても、対照はCHDに罹患していなかった。GWSのための対照群は、CHDと診断されず、CHDの兆候や兆しがなく、ニトログリセリンの投薬、最大運動試験における虚血性ECGの所見、2型糖尿病や中庸から重症の高血圧がなかった。症例群と対照群のそれぞれの男性の割合は同じだった。交絡を制御するために、対照群は、性別、喫煙状況と居住地が症例群と一致するようにした。この創始者集団に基づく家族性の症例−対照計画において初期のGWSに用いた人数は、症例群も対照群も125人(125人+125人=250人)だった。症例群と対照群の選択した特徴を表2に示した。対照群の特徴は症例群と一致するようにしたので、年齢と一日の喫煙量は2つの群で類似していた。
【0147】
【表2】

【0148】
表2に症例群と対照群について選択した特徴をまとめた。年齢と喫煙量は、インタビューワーの監督下で、自己記入式のアンケートに記入されたものである。空腹時血糖値は、トリクロロ酢酸でタンパク質を沈殿させた後にグルコースデヒドロゲナーゼ法を用いて測定した。血清インシュリンはNovo Biolabsラジオイムノアッセイキット(Novo Nordisk製)で測定した。HDL画分は、超遠心分離と沈殿の組み合わせによって新鮮血清から分離した。リポタンパク質画分のコレステロール含量と血清トリグリセリドは、酵素を用いて測定した。フィブリノーゲンは、希釈血漿の過剰トロンビンによる凝固に基づいて測定した。
【0149】
高血圧は、収縮期血圧(SBP)が165mmHg以上又は拡張期血圧(DBP)が95mmHg以上、又は抗高血圧治療を受けていると定義した。血圧は、朝に看護師によってランダムゼロ水銀血圧計で測定した。測定用プロトコルには、あおむけの状態で3回、立った状態で1回、座った状態で2回の測定を5分間隔で行うことが含まれる。6回の測定の平均値をSBPとDBPとして使用した。
【0150】
対象者の母、父又は兄弟/姉妹にAMIか狭心症の病歴がある場合を、CHDの家族歴が陽性であると定義した。脳卒中と糖尿病の家族歴も同様に定義した。成人期の社会経済状況(SES)は、教育、職業、収入及び物質的な生活状態の評価を包含する指標である。この基準は逆関数であり、低いスコアが高いSESに対応する。これらのデータは自己記入式のアンケートで集めた。
【0151】
血清フェリチンは、市販の2重抗体ラジオイムノアッセイ(英国、アマシャム、Amersham International製)で測定した。高比重リポタンパク質(HDL)と低比重リポタンパク質(LDL)を含むリポタンパク質は、新鮮血清サンプルから、超遠心分離とそれに続く超低比重リポタンパク質(VLDL)の直接的な除去とLDL沈殿によって分離した(Salonen et al 1991)。その後、酵素を用いてコレステロール濃度を測定した。血清C反応性タンパク質は、市販の高感度イムノメトリックアッセイ(Immulite 高感度CRアッセイ;ロサンジェルス、DPC製)で測定した。
【0152】
ゲノムDNAの単離と質的試験
高分子量ゲノムDNAサンプルを、標準的な方法を用いて凍結した静脈全血から抽出し、標準的なTEバッファーに溶解した。各DNAサンプルの量と純度は、260nmと280nmの吸光度を測定することで評価し、単離したDNAサンプルの完全性は、0.9%アガロースゲル電気泳動とエチジウムブロマイド染色によって評価した。A260/A280比が1.7以上であり、アガロースゲル電気泳動で得た単離DNAの平均サイズが20kbを超えた場合に、サンプルはゲノムワイドスキャン(GWS)に使用可能であると判断した。GWS解析の前には、サンプルの濃度が50ng/μlとなるように還元型EDTA−TEバッファー(TEKnova)で希釈した。
【0153】
ゲノムワイドスキャン
Affymetrix GeneChipR ヒト マッピング100Kシステム(Affymetrix GeneChipR human mapping 100k system)の技術アクセスバージョンを用いて、SNPマーカーのジェノタイピングを行った。このアッセイは2つのアレイ、即ち、XbaとHindからなり、これらを用いて各DNAサンプルから126,000個を超えるSNPマーカーのジェノタイピングを行った。アッセイは、製造者の提供する説明書に従って実施した。合計250ngのゲノムDNAをそれぞれのアッセイに付した。DNAサンプルは、Xba I又はHind III(New England Biolabs(NEB)製)で消化した。具体的には、NEバッファー2(1×;NEB製)、ウシ血清アルブミン(1×;NEB製)、及びXba I又はHind III(0.5U/μl;NEB製)からなる混合溶液中で消化反応を+37℃で2時間行い、続いて酵素の不活化を+70℃で20分間行った。Xba Iアダプター又はHind IIIアダプター(0.25μM;Affymetrix製)、T4 DNAリガーゼバッファー(1×;NEB製)及びT4 DNAリガーゼ(250U;NEB製)を消化したDNAサンプルに加えることで、Xba Iアダプター又はHind IIIアダプターをサンプルに連結した。連結反応を+16℃で2時間行い、続いて+70℃で20分間インキュベートした。連結したDNAサンプルを75μlの分子生物学用の水(BioWhittaker Molecular Applications/Cambrex製)で希釈した。
【0154】
10μl等量のDNAサンプルをPfx 増幅バッファー(Pfx Amplification Buffer)(1×;Invitrogen製)、PCRエンハンサー(1×;Invitrogen製)、MgSO4(1mM;Invitrogen製)、dNTP(300μM;Takara製)、PCRプライマー(1μM;Affymetrix製)及びPfx ポリメラーゼ(各0.05U/μl;Invitrogen製)と共に使用することで、希釈したDNAサンプルを100μl容のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に同じ条件下で4回付した。PCRを+94℃で3分間進行させた後に、+94℃で15秒、+60℃で30秒、+68℃で60秒のサイクルを30回行い、そして+68℃で7分の最後の伸長反応を実施した。PCRの性能は、1×TBEバッファー中での標準的な2%アガロースゲル電気泳動を120Vで1時間行うことで確認した。
【0155】
PCR産物の精製は、Affymetrixのマニュアルに従い、MinElute 96 UF PCR精製キット(MinElute 96 UF PCR Purification kit)(Qiagen製)を用い、それぞれのサンプルについて得られた4個のPCR産物をまとめて1回の精製反応に付すことで行った。精製したPCR産物は、40μlのEBバッファー(Qiagen製)で溶出し、産物の収率を260nmの吸光度で測定した。合計40μgの各PCR産物を、0.2U/μlの断片化試薬(Affymetrix製)と1×断片化バッファー(Fragmentation Buffer)からなる断片化反応に付した。断片化反応は+37℃で35分間行い、続いて+95℃で15分間インキュベートすることで酵素を不活化した。断片化したPCR産物について、1×TBEバッファー中での4%アガロースゲル電気泳動(BMA Reliant製のプレキャストゲル使用)を120Vで30〜45分間行うことで、断片化が完全であるかどうかを確認した。
【0156】
断片化したPCR産物は、次に1×ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Terminal Deoxinucleotidyl Transferase)(TdT)バッファー(Affymetrix製)、GeneChip DNA標識試薬(GeneChip DNA Labeling Reagent)(0.214mM; Affymetrix製)とTdT(1.5U/μl; Affymetrix製)を用いて、標識反応を+37℃で2時間行い、続いて+95℃で15分間インキュベートした。標識したDNAサンプルを、0.056MのMES溶液(Sigma製)、5%のDMSO(Sigma製)、2.5×デンハルト溶液(Sigma製)、5.77mMのEDTA(Ambion製)、0.115mg/mlのニシン精子DNA(Promega製)、1×オリゴヌクレオチドコントロール試薬(Oligonucleotide Control reagent)(Affymetrix製)、11.5μg/mlのヒトCot−1(Invitrogen製)、0.0115%のTween-20(Pierce製)及び2.69Mの塩化テトラメチルアンモニウム(Sigma製)からなるハイブリダイゼーションバッファーと混合した。DNA−ハイブリダイゼーション混合物は、対応するXba又はHind GeneChipRアレイとのハイブリダイゼーションを行う前に、+95℃で10分間変性処理し、10秒間氷冷してから、+48℃で2分間インキュベートした。ハイブリダイゼーションは、60rpm、+48℃の Affymetrix GeneChip ハイブリダイゼーションオーブンに16〜18時間入れることで完了した。ハイブリダイゼーションに続いて、アレイの染色と洗浄をGeneChip Fluidics Station 450の中で、推奨されるプロトコルであるMapping 10Kv1_450に従って行った。アレイはGeneChip 3000スキャナーでスキャンし、アレイ上の各SNPマーカーに対するジェノタイプコール(genotype call)は、Affymetrix ジェノタイピングツール(Genotyping Tools)(GTT)ソフトウエアを用いて作製した。SNPコールアルゴリズムにおける信頼スコアを0.20に調整した。
【0157】
統計解析のためのSNPの初期選択
統計解析を行う前に、SNPの質を次の3つの値に基づいて判定した:コール頻度(call rate)(CR)、マイナーアレル頻度(minor allele frequency)(MAF)及びハーディワインバーグ平衡(Hardy-Weinberg equilibrium)(H−W)。コール頻度は、ジェノタイピングの結果が得られたサンプルの比率を示す。この値は、遺伝型が正しいかどうかは考慮しない。コール頻度は、以下の式で求めた:CR=ジェノタイプコールが得られたサンプルの数/サンプルの合計数。マイナーアレル頻度(MAF)は、研究対象サンプルにより低い頻度で出現するアレルの頻度である。MAFは以下の式で求めた:MAF=min(p, q)[但し、pはSNPアレル‘A’の頻度であり、qはSNPアレル‘B’の頻度であり、p=(遺伝型‘AA’を有するサンプルの数+0.5×遺伝型‘AB’を有するサンプルの数)/ジェノタイプコールが得られたサンプルの数であり、q=1−pである]。ホモ接合型(MAF=0)のSNPは遺伝子解析に用いることができないので取り除いた。ハーディワインバーグ(H−W)平衡は、対照のために試験した。この試験は、適合度を求めるための標準的なχ二乗検定に基づいている。観察された遺伝型の分布を、H−W平衡の元で予想される遺伝型分布と比較する。2つのアレルの場合、‘AA’、‘AB’と‘BB’という遺伝型に対する分布はそれぞれp2、2pqとq2である。SNPがH−W平衡にない場合には、それはジェノタイピングの誤り又は未知のポピュレーションダイナミクス(例えば、機会的浮動や選択)によるものと考えられる。
【0158】
CR>50%であり、MAF>1%であり、更にH−W平衡にある(χ二乗検定の統計値<23.93である)SNPのみを統計解析に使用した。合計で107,895個のSNPが上記の基準を満たし、統計解析に含まれた。
【0159】
統計的手法
単一SNP解析
発症例と対照例との間のアレル分布の差を、全107,895個のSNPについてスクリーニングした。スクリーニングは、df=1とした標準的なχ二乗独立検定(アレル分布、2×2のテーブル)で行った。P値が0.005未満(df=1のχ2分布が7.88以上)のSNPを統計的に有意とみなし、更なる解析のために選択した。この条件を満たすSNPが656個あった。
【0160】
ハプロタイプ解析
データのセットは、HPM−Gソフトウエア(Sevon P et al, 2004)又はHPMソフトウエア(Toivonen HT et al, 2000)を用いた、ハプロタイプパターンマイニング(pattern mining)のアルゴリズムて解析した。HPMソフトウエアを用いる場合には、ジェノタイプのフェーズが分っていなければならない、即ち、母から受け継いだアレルと父から受け継いだアレルを判別しなければならない。家族データがない場合は、フェーズを集団データに基づいて推定しなければならない。我々は、フェーズを推定するためにHaploRecプログラム(Eronen L et al, 2004)を用いた。HPM−GとHPMは非常に高速で、1回の処理で大量のSNPを扱うことができる。
【0161】
HPMとHPM−Gとの違いは、HPM−Gはフェーズの分らないジェノタイプデータを扱うことが可能であり、HPMはフェーズの分っている(又はHaploRecや同様のプログラムでフェーズを推定した)データを用いる点である。HPM−Gは、遺伝型構造(genotype configuration)の一致する全てのハプロタイプパターンを検出する。ハプロタイプパターンの長さは色々ある。例えば、4個のSNPがあり、個体がSNP1についてアレルはA/T、SNP2についてアレルはC/C、SNP3についてアレルはC/G、そしてSNP4についてアレルはA/Cの場合、HPM−Gは、(長さが4個のSNPの)ハプロタイプパターンは: ACCA、TCGC、TCCA、ACGC、ACGA、TCCC、TCGA、ACCCと判定する。一方、HPMは(HaploRecで)推定したフェーズと合致するハプロタイプパターンのみを考慮する。推定したフェーズが(母/父からの)ACGAと(父/母からの)TCCCの場合、HPMは、(長さが4個のSNPの)たった2つのハプロタイプパターン:ACGA とTCCCを考慮する。
【0162】
SNPのスコア付けは、症例群と対照群との間で異なるハプロタイプパターンにSNPが含まれる回数に基づいて行われる(χ二乗値の閾値はユーザーが選択することができる)。スコア値の有意性は、順列検定に基づいて評価する。
【0163】
HPM−GプログラムとHPMプログラムにおいて変更することのできるパラメーターとしては、χ二乗閾値(−x)、最大ハプロタイプパターン長さ(−l)、ハプロタイプパターンに含めることのできるワイルドカードの最大数(−w)、及びP値を推定するための順列検定の回数(−p)が挙げられる。ワイルドカードはハプロタイプ内にギャップが存在することを可能にする。HPM−Gプログラムは、パラメーターを次のように設定して実行した:1)5個のSNPによるハプロタイプ解析(−x9 −l5 −w1 −p10000)、と2)8個のSNPによるハプロタイプ解析(−x9 −l8 −w2 −p10000)。HPMプログラムは、パラメーターを次のように設定して実行した:5個のSNPによるハプロタイプ解析(−x9 −l5 −w1 −p10000)。10,000回の反復(−p10000)に基づき、HPM−Gは、P値が0.005未満の時に1067個のSNPが有意であると解析し、HPM解析では802個という結果が得られた。両方の方法によると、P値が0.005未満の時に合計1665個のSNP(その内、204個のSNPが両方の解析で選ばれた)が有意だった。
【0164】
ハプロタイプ解析結果で使用する用語の定義
「ハプロタイプゲノム領域」や「ハプロタイプ領域」という用語は、ハプロタイプ解析(HPM、HPMG又は同様の統計的方法/プログラム)によって、有意であると判定されたゲノム領域である。ハプロタイプ領域は、統計解析(ハプロタイプ解析)に含まれた、最初/最後のSNPの物理的な位置から100Kbp上流/下流の領域であり、統計的に有意と判定された領域と定義する。この領域は、ゲノムビルド(genome build)に基づく塩基対、例えば、NCBIのヒトゲノムビルド35(NCBI Human Genome Build 35)に従ったSNPの物理的位置(塩基対の位置)として得られる。
【0165】
本明細書に記載される「ハプロタイプ」という用語は、任意のアレルの組み合わせを意味し、例えば、ある遺伝子マーカー(例えば、rs834485、rs856283、rs1260817とrs1260772)に存在するT G C A である。定義したハプロタイプは遺伝子マーカー(SNPのdbSNP rs−id)とそのアレルに名前を与える。当業者には認知されているように、ハプロタイプを定義するアレルを異なる鎖から求めることによって、同じハプロタイプであっても、異なった形で記載されることがある。例えば、本明細書に記載したハプロタイプ rs834485、rs856283、rs1260817、rs1260772 (T G C A) は、全てのアレルをもう一方の鎖から決定したハプロタイプ rs834485、rs856283、rs1260817、rs1260772 (A C G T) や、1番目のアレルのみをもう一方の鎖から決定したハプロタイプ rs834485、rs856283、rs1260817、rs1260772 (A G C A) と同じである。
【0166】
本願に記載したハプロタイプ、例えば、表4、5、6、7、8、10と11に示したマーカーを有するものは、AMIに罹患していない個体よりも、AMIに罹患している個体においてより頻繁に見出される。従ってこれらのハプロタイプは、個体からAMIやAMIに対する感受性を検出する上で予測的な価値を有する。ハプロタイプの検出は、多型部位に存在する配列を検出するために当業界で使用される方法で実施することができる。
【0167】
本発明で開示した、AMI関連リスクを示すアレルとハプロタイプは、本発明のAMI関連遺伝子に位置する他の「多型部位」と関連してもよい。他のAMI関連多型部位は、遺伝子マーカーとして同等に有用であるか、あるいはリスク示す本発明のアレルやハプロタイプとAMIとの間に見られる関連性を説明する、病因となる変異としてより有用である。
【0168】
多変量モデリング
656個のSNPが得られた個別のマーカーのスクリーニングと、1665個のSNPが得られたハプロタイプパターン解析によって、2039個のSNP(282個のSNPは2つのスクリーニングに共通していた)を得た。モデリングには、最も強力な予測性SNPマーカー1465個をエントリーのために検定した。これらマーカーは、2つの方法でダミー変数として記録した:a)マイナーアレルのホモ接合体を1とコードし、その他を0とした、そしてb)マイナーアレルのキャリアーを1とコードし、その他を0とした。多変量2値ロジスティック回帰分析は、a)AMIの予測性が最も高いSNPを発見し、そしてb)最も強力にAMIを予測する多変量モデルを構築するために用いた。
【0169】
前向きのステップアップモデル構築体(forward step-up model construction)を、入力するp値を0.01、モデルから除外するp値を0.02として使用した。モデルの予測性は、以下の2つの方法で推定した: NagelkerkeのR2値と、構築したロジスティックモデルに基づく、症例群と対照群に含まれる対象者の再分類。カットオフ値として使用した予測確率は0.5だった。データ還元解析は、ステップダウン及びステップアップロジスティックモデルで実施した。使用した統計処理ソフトウエアはウインドウズ用のSPSS、バージョン11.5である。
【0170】
結果
表3(CDに収めた)には、個別のマーカー解析において、AMIと最も強力な関連性が見出されたSNPマーカーの特徴をまとめた。SNP登録番号は、NCBI dbSNPデータベース ビルド124(NCBI db SNP database build 124)に基づく。SNPの物理的位置は、NCBI ヒト ゲノム ビルド35(NCBI Human Genome Build 35)に基づく。遺伝子座は、NCBI dbSNP データベース ビルド124で報告されたものである。SNP隣接配列は、Affymetrix "csv" 一般アクセス可能なヒトマッピング100Kアレイ アノテーションファイル(Affymetrix "csv" commercial access Human Mapping 100K array annotation files)の提供するものである。
【0171】
表4(CDに収めた)には、5個のSNPを用いたHPM−G解析において、AMIと最も強力な関連性が見出されたハプロタイプゲノム領域の特徴をまとめた。SNP登録番号は、NCBI dbSNP データベース ビルド124に基づく。SNPの物理的位置は、NCBIヒトゲノム ビルド35に基づく。関連遺伝子は、NCBIヒトゲノム ビルド35に基づいて、NCBIマップビューワー(NCBI MapViewer)で見出したハプロタイプゲノム領域の両側に位置するSNPの物理的位置から、100Kbp上流/下流の領域に位置する遺伝子である。SNP隣接配列は、Affymetrix "csv" 一般アクセス可能なヒトマッピング100Kアレイ アノテーションファイルの提供するものである。
【0172】
表5(CDに収めた)には、8個のSNPを用いたHPM−G解析において、AMIと最も強力な関連性が見出されたハプロタイプゲノム領域の特徴をまとめた。SNP登録番号は、NCBI dbSNP データベース ビルド124に基づく。SNPの物理的位置は、NCBIヒトゲノム ビルド35に基づく。関連遺伝子は、NCBIヒトゲノム ビルド35に基づいて、NCBIマップビューワーで見出したハプロタイプゲノム領域の両側に位置するSNPの物理的位置から、100Kbp上流/下流の領域に位置する遺伝子である。SNP隣接配列は、Affymetrix "csv" 一般アクセス可能なヒトマッピング100Kアレイ アノテーションファイルの提供するものである。
【0173】
表6(CDに収めた)には、8個のSNPを用いたHPM解析において、AMIと最も強力な関連性が見出されたハプロタイプゲノム領域の特徴をまとめた。SNP登録番号は、NCBI dbSNP データベース ビルド124に基づく。SNPの物理的位置は、NCBIヒトゲノム ビルド35に基づく。関連遺伝子は、NCBIヒトゲノム ビルド35に基づいて、NCBIマップビューワーで見出したハプロタイプゲノム領域の両側に位置するSNPの物理的位置から、100Kbp上流/下流の領域に位置する遺伝子である。SNP隣接配列は、Affymetrix "csv" 一般アクセス可能なヒトマッピング100Kアレイ アノテーションファイルの提供するものである。
【0174】
表7(CDに収めた)には、HPM−G解析において、AMIと最も強力な関連性が見出されたハプロタイプブロックを列挙した。SNP登録番号は、NCBI dbSNP データベース ビルド124に基づく。
【0175】
表8(CDに収めた)には、HaploRec+HPM解析において、AMIと最も強力な関連性が見出されたハプロタイプブロックを列挙した。SNP登録番号は、NCBI dbSNP データベース ビルド124に基づく。
【0176】
表9(CDに収めた)には、点別の解析又はハプロタイプ解析によって、AMIとの関連性が見出された全ての遺伝子を列挙した。遺伝子の名称は、HUGOの遺伝子専門用語委員会(HUGO Gene Nomenclature Committee)(HGNC)に従った。
【0177】
表10(CDに収めた)には、多変量ロジスティックモデルにおいて、AMIの危険度を最も確実に予測するSNPマーカーとハプロタイプを列挙した。モデルは、入力条件をP=0.01、除外条件をP=0.02としたステップアップ方法で構築した。モデリングのためには、最も予測性の高いSNPマーカー1465個とハプロタイプ27個をエントリーのために検定した。SNP登録番号は、NCBI dbSNP データベース ビルド124に基づく。モデルには、5個のハプロタイプと7個の個別のSNPマーカーが含まれる。12変量モデルはAMIの95.2%を正しく予測する。統計は、1984年〜2002年の間にAMIを発症した125人のKIHD参加者と、KIHD基準値のCHDを有しておらず、2002年に終了した追跡調査期間内に臨床的なAMIを発症していない125人のKIHD参加者に基づく。対照群は、性別、喫煙状況と居住地が症例群と一致するようにした。
【0178】
表11(CDに収めた)には、上述したように最も予測性の高いゲノム領域を選択した後にハプロタイプを構築した、多変量ロジスティックモデルの他の例を示した。モデルは同様に構築した。5個のハプロタイプと7個のSNPマーカーの他に、2つの表現型変数も入力した。モデルはAMIの95.6%を予測した。
【0179】
推測と考察
我々は、家族性の症例群と非常に健康な対照群からなる、集団に基づく前向きなネストされた集合体において、2039個のSNPマーカーとAMIの危険度との間に関連性を見出した。これらの内、656個を個別のSNPの解析で同定し、1665個をハプロタイプ共有解析で同定した。2039個のマーカーの内、283個は両方の統計解析でAMIを予測すると判定された。我々は更にSNPマーカーとハプロタイプの集合体をいくつか同定し、これらは多変量ロジスティックモデルにおいて、実質的に完全にAMIの発症を予測した。
【0180】
点別の解析とハプロタイプ解析の結果によって、AMIと関連する合計978個の遺伝子が同定され、この内、380個の遺伝子には、2039個のSNPマーカーの少なくとも1個が物理的に遺伝子に結合していた。
【0181】
19世紀から一般に知られている学識によると、AMIの原因は虚血性心疾患であり、虚血性心疾患は冠状動脈の血流低下によって起こるものである。血流の低下は、アテローム性動脈硬化症による定常的な動脈の狭窄、動脈の閉塞症や血栓症、一時的な動脈の緊縮、又はこれらの2種又は3種の組み合わせによって生じる。しかし、AMIによって死亡した患者の大部分においては、検出可能な動脈狭窄が検死で発見されることはなかった。この結果は、冠状動脈の狭窄以外の経路もAMIの原因となることを示唆している。我々は、AMIの病因となる4つの主要な経路を同定した:
(1)冠状動脈の狭窄
a.(リポタンパク異常血症、グルコースとインシュリンの代謝異常、高血圧、血小板の過剰活性、血液凝固の増強、繊維素溶解現象の低下、炎症や過剰免疫応答、抗酸化機構や副酸化機構の障害、動脈損傷に対する修復や治療の機能不全のいずれかによる)冠状動脈硬化症やアテローム性動脈硬化症が原因となるもの、
b. 冠状動脈血栓症が原因となるもの、又は
c. 冠状動脈血管収縮が原因となるもの;
(2)心臓性不整脈や刺激伝導障害;
(3)(虚血性以外の)心筋性の現象や機構;及び
(4)胎児期と乳児期における心臓と動脈の発生と成長。
【0182】
本発明の一部として、我々は、遺伝子がAMIの危険度に影響を与えるためのより特定の経路を同定することができた。このような経路は:心筋性の現象や機構;不整脈や心臓の刺激伝導障害;炎症過程や免疫応答;脂質の合成、吸収、分布、代謝、除去と輸送;血小板機能、凝固と繊維素溶解;グルコースとインシュリンの代謝異常;血圧調節と高血圧;内因性の抗酸化機構と副酸化機構;心筋や動脈のアポトーシス;動脈の効果と機構、アテローム性動脈硬化症と動脈硬化症;鉄分の蓄積と代謝;胎児期と乳児期の発生と成長;心臓と動脈の膜内外の輸送;心臓と動脈の細胞性シグナル伝達。
【0183】
発見した遺伝子の中で、心筋の直接的な効果や機構のみならず、胎児の発生と成長の際に働くものは驚くほど多い。我々の発見によると、これら経路のCHDとAMIの原因における役割は過小評価されていた。
【0184】
CHDとAMIの病因論において心筋現象の役割が強調されていたことは、過去の観察結果、即ち、AMIによって死亡した患者の大部分が、重度のアテローム性動脈硬化症や心血栓症を患っていなかったことを説明する。AMIは、従来考えられていたように心筋への血流の低下によって生じる虚血症の結果ではなく、心筋そのもので始まる機構によるものと考えることが妥当である。更に、初めは虚血症による血流の減少によって発症した心筋障害が、心筋に対する直接効果によって悪化することも考えられる(Tun A and Khan IA, 2001;Waller BF et al, 1996;Virmani R et al, 2001;Franz WM et al, 2001;Gomes AV and Potter JD, 2004;Fatkin D and Graham RM, 2002)。
【0185】
今まで考えられていたよりも重要であると思われる、AMIに至る第2の経路は、胎児期と乳児期の発生と成長である。初期発生が心筋と動脈の両方の傷つきやすさに影響すると考えるのは妥当であり、更にこれら両方の防御及び修復機構にも影響を与える可能性があると考えるのも妥当である。我々の知見を支持する過去の証拠はないが、その理由の大部分は、この課題をヒトで研究することの難しさにあると思われる。
【0186】
我々は、その遺伝子マーカーがいずれもAMIの予測に用いることのできる、合計978個のAMI遺伝子を同定した。従って、これらのマーカーは、AMI素因に対する分子診断試験の一部として用いることができる。更に我々は、AMI予測性の2039個のSNPマーカーのセットを開示した。これらマーカーは、抗心臓病性の薬剤や組成物の効果や副作用を予測する薬理遺伝学試験の一部として用いることができる。発見した遺伝子は、新しいAMI治療法、例えば薬物、の標的となる。他の治療法としては、遺伝子導入を含む分子導入が挙げられる。新しい遺伝子は、抗心臓病性の薬剤や化合物を研究するための新規なトランスジェニック動物の開発と製造にも使用することができる。
【0187】
本発明をその好ましい態様に参照しながら具体的に開示し説明したが、当業者は、請求の範囲で定義した本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の形態及びその細部に変更を加えることが可能であることを理解するであろう。
【0188】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】ヒトアテローム病変の発生と進行に係る経路(Stary HC et al, 1995から変更を加えずに転記)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性心筋梗塞(AMI)を発症する危険度やAMIに対する疾患感受性が変化した個体を同定するための方法であって、
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)該個体の個人情報及び臨床情報を集め、
c)表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種の多型部位に含まれるヌクレオチドを該個体の核酸配列から検出して、SNP(一塩基多型)マーカーに関するデータを得、そして
d)SNPマーカーに関するデータを個人情報及び臨床情報と組み合わせて、個体がAMIを発症する危険度を評価する
ことを包含する方法。
【請求項2】
危険度の変化が、AMIを発症する危険度の上昇であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
危険度の変化が、AMIを発症する危険度の低下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
多型部位が、表4、5、6、7、8、10及び11に示したハプロタイプに存在するものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
多型部位が、表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したSNPマーカーに関連することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
多型部位が、表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したSNPマーカーと完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
多型部位が、該方法を実施する集団において完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
AMIを発症する危険度やAMIに対する疾患感受性が変化した個体を同定するための方法であって、
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種の多型部位に含まれるヌクレオチドを該個体の核酸配列から検出して、SNPマーカーに関するデータを得、そして
c)SNPマーカーに関するデータを組み合わせて、個体がAMIを発症する危険度を評価する
ことを包含する方法。
【請求項9】
危険度の変化が、AMIを発症する危険度の上昇であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
危険度の変化が、AMIを発症する危険度の低下であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
多型部位が、表4、5、6、7、8、10及び11に示したハプロタイプに存在するものであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
多型部位が、表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したSNPマーカーに関連することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
多型部位が、表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したSNPマーカーと完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
多型部位が、該方法を実施する集団において完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該1種又は数種の多型部位が、表9に示したAMIリスク遺伝子内に存在するものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
AMIリスク遺伝子が、ハプロタイプパターンマイニングによって定義されるゲノム領域に存在し、該遺伝子は、表4、5、6、10及び11に示したものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
多型部位が、ハプロタイプ領域、ハプロタイプ、又は表4、5、6、7、8、10及び11に示したハプロタイプを定義するSNPマーカーに関連することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
多型部位が、ハプロタイプ領域、ハプロタイプ、又は表4、5、6、7、8、10及び11に示したハプロタイプを定義するSNPマーカーと完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
多型部位が、該方法を実施する集団において完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1種又は数種のSNPマーカーが、以下のハプロタイプ及び個々のSNPからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
a)防御ハプロタイプ“GAGG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs10515495 (A/G) (配列番号509)、rs4976445 (A/G) (配列番号1451)、
rs10491335 (A/G) (配列番号148) と rs6878439 (A/G) (配列番号1584);
b)リスクハプロタイプ“AATTT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs10486559 (A/G) (配列番号88)、rs10486562 (A/G) (配列番号89)、rs757397
(C/T) (配列番号1717)、rs735664 (C/T) (配列番号1695) と rs720659
(G/T) (配列番号1656);
c)防御ハプロタイプ“GCCC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs10503555 (A/G) (配列番号347)、rs10503557 (C/T) (配列番号348)、
rs2410361 (A/C) (配列番号1159) と rs10503561 (C/T) (配列番号350);
d)防御ハプロタイプ“GCA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs260816 (C/G) (配列番号1188)、rs260818 (A/C) (配列番号1189) と
rs361315 (A/G) (配列番号1300);
e)防御ハプロタイプ“CGAA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs762721 (A/C) (配列番号1729)、rs10491992 (C/G) (配列番号170)、
rs10491993 (A/G) (配列番号171) と rs2213177 (A/G) (配列番号1084);
f)リスクアレル“T”のホモ接合体を定義する、rs10509423 (C/T) (配列番号402);
g)リスクアレル保有者の“A”を定義する、rs1004361 (A/G) (配列番号3);
h)リスクアレル保有者の“A”を定義する、rs10483262 (A/C) (配列番号51);
i)リスクアレル保有者の“G”を定義する、rs7342999 (A/G) (配列番号1694);
j)リスクアレル保有者の“T”を定義する、rs1554472 (C/T) (配列番号851);
k)防御アレル保有者の“A”を定義する、rs9294536 (A/C) (配列番号1905) 及び
l)防御アレル保有者の“A”を定義する、rs1125465 (A/G) (配列番号627)。
【請求項21】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10515495 (A/G) (配列番号509)、rs4976445 (A/G) (配列番号1451)、
rs10491335 (A/G) (配列番号148) 及び rs6878439 (A/G) (配列番号1584)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10486559 (A/G) (配列番号88)、rs10486562 (A/G) (配列番号89)、
rs757397 (C/T) (配列番号1717)、rs735664 (C/T) (配列番号1695) 及び
rs720659 (G/T) (配列番号1656)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10503555 (A/G) (配列番号347)、rs10503557 (C/T) (配列番号348)、
rs2410361 (A/C) (配列番号1159) 及び rs10503561 (C/T) (配列番号350)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs260816 (C/G) (配列番号1188)、rs260818 (A/C) (配列番号1189) 及び
rs361315 (A/G) (配列番号1300)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs762721 (A/C) (配列番号1729)、rs10491992 (C/G) (配列番号170)、
rs10491993 (A/G) (配列番号171) 及び rs2213177 (A/G) (配列番号1084)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
SNPマーカーが、rs10509423 (C/T) (配列番号402) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
SNPマーカーが、rs1004361 (A/G) (配列番号3) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
SNPマーカーが、rs10483262 (A/C) (配列番号51) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
SNPマーカーが、rs7342999 (A/G) (配列番号1694) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
SNPマーカーが、rs1554472 (C/T) (配列番号851) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
SNPマーカーが、rs9294536 (A/C) (配列番号1905) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
SNPマーカーが、rs1125465 (A/G) (配列番号627) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
1種又は数種のSNPマーカーが、以下のハプロタイプ及び個々のSNPからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
a)ハプロタイプ“TGCA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs834485
(C/T) (配列番号1830)、rs856283 (A/G) (配列番号1846)、rs1260817 (A/C)
(配列番号653) と rs1260772 (A/G) (配列番号652);
b)ハプロタイプ“GA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs7605386
(C/G) (配列番号1727) と rs9288697 (A/C) (配列番号1891);
c)ハプロタイプ“CGA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10483879
(C/T) (配列番号57)、rs2885625 (A/G) (配列番号1254) と rs6574333 (A/G)
(配列番号1551);
d)ハプロタイプ“GTGG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs223128
(G/T) (配列番号1098)、rs223154 (G/T) (配列番号1099)、rs315499 (A/G)
(配列番号1281) と rs10512437 (A/G) (配列番号453);
e)ハプロタイプ“TGGA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs799275
(C/T) (配列番号1805)、rs5957801 (A/G) (配列番号1492)、rs5909851
(A/G) (配列番号1486) と rs10521707 (A/G) (配列番号603);
f)リスクアレル保有者の“G”を定義する、rs953304 (C/G) (配列番号1991);
g)リスクアレル保有者の“C”を定義する、rs1881922 (C/T) (配列番号926);
h)リスクアレル保有者の“C”を定義する、rs10486619 (C/T) (配列番号91);
i)リスクアレル“C”のホモ接合体を定義する、rs192714 (C/T) (配列番号950);
j)リスクアレル保有者の“C”を定義する、rs7100162 (C/T) (配列番号1619);
k)リスクアレル“C”のホモ接合体を定義する、rs9301916 (C/G) (配列番号1913);及び
l)リスクアレル“C”のホモ接合体を定義する、rs6564876 (C/G) (配列番号1547)。
【請求項34】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs834485 (C/T) (配列番号1830)、rs856283 (A/G) (配列番号1846)、
rs1260817 (A/C) (配列番号653) 及び rs1260772 (A/G) (配列番号652)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs7605386 (C/G) (配列番号1727) 及び rs9288697 (A/C) (配列番号1891)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10483879 (C/T) (配列番号57)、rs2885625 (A/G) (配列番号1254) 及び
rs6574333 (A/G) (配列番号1551)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs223128 (G/T) (配列番号1098)、rs223154 (G/T) (配列番号1099)、
rs315499 (A/G) (配列番号1281) 及び rs10512437 (A/G) (配列番号453)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs799275 (C/T) (配列番号1805)、rs5957801 (A/G) (配列番号1492)、
rs5909851 (A/G) (配列番号1486) 及び rs10521707 (A/G) (配列番号603)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
SNPマーカーが、rs953304 (C/G) (配列番号1991) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
SNPマーカーが、rs1881922 (C/T) (配列番号926) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
SNPマーカーが、rs10486619 (C/T) (配列番号91) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
SNPマーカーが、rs192714 (C/T) (配列番号950) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
SNPマーカーが、rs7100162 (C/T) (配列番号1619) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
SNPマーカーが、rs9301916 (C/G) (配列番号1913) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
SNPマーカーが、rs6564876 (C/G) (配列番号1547) であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
該個体の個人情報及び臨床情報、即ち、非遺伝学的情報に、対象生物の平均血圧と不整脈の家族歴が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
1種又は数種のSNPマーカーが、以下のハプロタイプ及び個々のSNPからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
a)ハプロタイプ“TGCA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs834485
(C/T) (配列番号1830)、rs856283 (A/G) (配列番号1846)、rs1260817 (A/C)
(配列番号653) と rs1260772 (A/G) (配列番号652);
b)ハプロタイプ“CC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1932818
(C/T) (配列番号952) と rs6663269 (C/G) (配列番号1560);
c)ハプロタイプ“GA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs7605386
(C/G) (配列番号1727) と rs9288697 (A/C) (配列番号1891);
d)ハプロタイプ“ATGGA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs3903306
(A/T) (配列番号1342)、rs6432539 (C/T) (配列番号1526)、rs1364703
(C/G) (配列番号706)、rs1966530 (A/G) (配列番号976) と rs5002908 (A/G)
(配列番号1455);
e)ハプロタイプ“TC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs997274 (C/T)
(配列番号2035) と rs6788511 (A/C) (配列番号1574);
f)ハプロタイプ“TAAGC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs864391
(C/T) (配列番号1856)、rs854202 (A/G) (配列番号1842)、rs2014378 (A/G)
(配列番号996)、rs952621 (A/G) (配列番号1985) と rs1877960 (C/T)
(配列番号922);
g)ハプロタイプ“AATG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1445362
(A/G) (配列番号793)、rs10513252 (A/G) (配列番号470)、rs10513253 (C/T)
(配列番号471) と rs4610179 (A/G) (配列番号1395);
h)ハプロタイプ“TAG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs682913
(C/T) (配列番号1581)、rs725425 (A/C) (配列番号1674) と rs1423260
(A/G) (配列番号768);
i)ハプロタイプ“CA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs919740 (C/T)
(配列番号1868) と rs10515639 (A/G) (配列番号511);
j)ハプロタイプ“TAGT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10499001
(C/T) (配列番号265)、rs4144270 (A/G) (配列番号1368)、rs4515397 (A/G)
(配列番号1385) と rs10499000 (C/T) (配列番号264);
k)ハプロタイプ“CTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1407658
(C/T) (配列番号749)、rs2025272 (G/T) (配列番号1005) と rs9283864
(C/G) (配列番号1880);
l)ハプロタイプ“ACGT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10503268
(A/C) (配列番号332)、rs1038062 (C/T) (配列番号41)、rs10503269 (A/G)
(配列番号333) と rs1038058 (C/T) (配列番号40);
m)ハプロタイプ“CCCGC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10503616
(C/T) (配列番号352)、rs10503617 (C/T) (配列番号353)、rs2717719 (C/T)
(配列番号1213)、rs1488925 (A/G) (配列番号816) と rs2035681 (C/T)
(配列番号1009);
n)ハプロタイプ“CGTC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs2994298
(C/T) (配列番号1271)、rs7463074 (A/G) (配列番号1706)、rs2975534
(C/T) (配列番号1267) と rs2975533 (C/T) (配列番号1266);
o)ハプロタイプ“GGTT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10491744
(A/G) (配列番号159)、rs1543587 (A/G) (配列番号844)、rs1074789 (C/T)
(配列番号623) と rs7025842 (C/T) (配列番号1605);
p)ハプロタイプ“ACTA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10491753
(A/C) (配列番号161)、rs13284133 (A/C) (配列番号676)、rs10491756 (G/T)
(配列番号162) と rs10491757 (A/G) (配列番号163);
q)ハプロタイプ“GTGC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1542750
(A/G) (配列番号843)、rs10501763 (C/T) (配列番号299)、rs10501764 (A/G)
(配列番号300) と rs10501765 (C/T) (配列番号301);
r)ハプロタイプ“ATCC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs721346
(A/C) (配列番号1664)、rs1400549 (C/T) (配列番号739)、rs503208 (C/G)
(配列番号1458) と rs7127296 (A/C) (配列番号1633);
s)ハプロタイプ“CGA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10483879
(C/T) (配列番号57)、rs2885625 (A/G) (配列番号1254) と rs6574333 (A/G)
(配列番号1551);
t)ハプロタイプ“ATTA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1049884
(A/T) (配列番号256)、rs1364256 (C/T) (配列番号705)、rs7185078 (C/T)
(配列番号1648) と rs7193075 (A/G) (配列番号1652);
u)ハプロタイプ“GG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10521277
(A/G) (配列番号599)とrs1019156 (A/G) (配列番号11);
v)ハプロタイプ“GTGG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs223128
(G/T) (配列番号1098)、rs223154 (G/T) (配列番号1099)、rs315499 (A/G)
(配列番号1281) と rs10512437 (A/G) (配列番号453);
w)ハプロタイプ“TAT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10513997
(C/T) (配列番号482)、rs10513998 (A/G) (配列番号483) と rs10514026
(T/G) (配列番号486);
x)ハプロタイプ“TGGA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs799275
(C/T) (配列番号1805)、rs5957801 (A/G) (配列番号1492)、rs5909851
(A/G) (配列番号1486) と rs10521707 (A/G) (配列番号603);及び
y)ハプロタイプ“GACT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)、rs764198 (A/G)
(配列番号1735)、rs10521816 (A/G) (配列番号609)、rs10521817 (C/T)
(配列番号610) と rs3135496 (C/T) (配列番号1279)。
【請求項48】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs834485 (C/T) (配列番号1830)、rs856283 (A/G) (配列番号1846)、
rs1260817 (A/C) (配列番号653) 及び rs1260772 (A/G) (配列番号652)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1932818 (C/T) (配列番号952) 及び rs6663269 (C/G) (配列番号1560)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs7605386 (C/G) (配列番号1727) 及び rs9288697 (A/C) (配列番号1891)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs3903306 (A/T) (配列番号1342)、rs6432539 (C/T) (配列番号1526)、
rs1364703 (C/G) (配列番号706)、rs1966530 (A/G) (配列番号976) 及び
rs5002908 (A/G) (配列番号1455)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs997274 (C/T) (配列番号2035) 及び rs6788511 (A/C) (配列番号1574)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs864391 (C/T) (配列番号1856)、rs854202 (A/G) (配列番号1842)、
rs2014378 (A/G) (配列番号996)、rs952621 (A/G) (配列番号1985) 及び
rs1877960 (C/T) (配列番号922)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1445362 (A/G) (配列番号793)、rs10513252 (A/G) (配列番号470)、
rs10513253 (C/T) (配列番号471) 及び rs4610179 (A/G) (配列番号1395)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs682913 (C/T) (配列番号1581)、rs725425 (A/C) (配列番号1674) 及び
rs1423260 (A/G) (配列番号768)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs919740 (C/T) (配列番号1868) 及び rs10515639 (A/G) (配列番号511)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10499001 (C/T) (配列番号265)、rs4144270 (A/G) (配列番号1368)、
rs4515397 (A/G) (配列番号1385) 及び rs10499000 (C/T) (配列番号264)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1407658 (C/T) (配列番号749)、rs2025272 (G/T) (配列番号1005) 及び
rs9283864 (C/G) (配列番号1880)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10503268 (A/C) (配列番号332)、rs1038062 (C/T) (配列番号41)、
rs10503269 (A/G) (配列番号333) 及び rs1038058 (C/T) (配列番号40)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10503616 (C/T) (配列番号352)、rs10503617 (C/T) (配列番号353)、
rs2717719 (C/T) (配列番号1213)、rs1488925 (A/G) (配列番号816) 及び
rs2035681 (C/T) (配列番号1009)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs2994298 (C/T) (配列番号1271)、rs7463074 (A/G) (配列番号1706)、
rs2975534 (C/T) (配列番号1267) 及び rs2975533 (C/T) (配列番号1266)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10491744 (A/G) (配列番号159)、rs1543587 (A/G) (配列番号844)、
rs1074789 (C/T) (配列番号623) 及び rs7025842 (C/T) (配列番号1605)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10491753 (A/C) (配列番号161)、rs13284133 (A/C) (配列番号676)、
rs10491756 (G/T) (配列番号162) 及び rs10491757 (A/G) (配列番号163)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1542750 (A/G) (配列番号843)、rs10501763 (C/T) (配列番号299)、
rs10501764 (A/G) (配列番号300) 及び rs10501765 (C/T) (配列番号301)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs721346(A/C) (配列番号1664)、rs1400549(C/T) (配列番号739)、
rs503208 (C/G) (配列番号1458) 及び rs7127296 (A/C) (配列番号1633)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10483879 (C/T) (配列番号57)、rs2885625 (A/G) (配列番号1254) 及び
rs6574333 (A/G) (配列番号1551)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1049884 (A/T) (配列番号256)、rs1364256 (C/T) (配列番号705)、
rs7185078 (C/T) (配列番号1648) 及び rs7193075 (A/G) (配列番号1652)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10521277 (A/G) (配列番号599) 及び rs1019156 (A/G) (配列番号11)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs223128 (G/T) (配列番号1098)、rs223154 (G/T) (配列番号1099)、
rs315499 (A/G) (配列番号1281) 及び rs10512437 (A/G) (配列番号453)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10513997 (C/T) (配列番号482)、rs10513998 (A/G) (配列番号483) 及び
rs10514026 (T/G) (配列番号486)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs799275 (C/T) (配列番号1805)、rs5957801 (A/G) (配列番号1492)、
rs5909851 (A/G) (配列番号1486) 及び rs10521707 (A/G) (配列番号603)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs764198 (A/G) (配列番号1735)、rs10521816 (A/G) (配列番号609)、
rs10521817 (C/T) (配列番号610) 及び rs3135496 (C/T) (配列番号1279)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
1種又は数種のSNPマーカーが、以下のハプロタイプ及び個々のSNPからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
a)ハプロタイプ“CC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs623360 (C/G)
(配列番号1513) と rs627069 (C/G) (配列番号1515);
b)ハプロタイプ“CTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs7547716
(A/C) (配列番号1713)、rs1891174 (C/T) (配列番号932) と rs10494841 (A/G)
(配列番号201);
c)ハプロタイプ“CGTGC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10493353
(C/T) (配列番号187)、rs1323851 (G/T) (配列番号672)、rs834485 (C/T)
(配列番号1830)、rs856283 (A/G) (配列番号1846) と rs1260817 (A/C)
(配列番号653);
d)ハプロタイプ“ATAC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs3106653
(A/C) (配列番号1274)、rs2961958 (A/T) (配列番号1264)、rs2591169
(A/T) (配列番号1184) と rs10497144 (C/G) (配列番号227);
e)ハプロタイプ“CGA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10497192
(C/T) (配列番号235)、rs7605386 (C/G) (配列番号1727) と rs9288697
(A/C) (配列番号1891);
f)ハプロタイプ“GCGT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1851328
(A/G) (配列番号912)、rs6711457 (C/T) (配列番号1566)、rs10498053 (C/G)
(配列番号252) と rs6744504 (C/T) (配列番号1571);
g)ハプロタイプ“AGCA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs9310496
(A/G) (配列番号1930)、rs10510450 (A/G) (配列番号423)、rs4685356 (A/C)
(配列番号1405) と rs10510452 (A/G) (配列番号425);
h)ハプロタイプ“ACTGC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10510660
(A/G) (配列番号427)、rs951973 (C/T) (配列番号1982)、rs1487994 (G/T)
(配列番号815)、rs10510661 (C/G) (配列番号428) と rs6805290 (C/T)
(配列番号1576);
i)ハプロタイプ“GCG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1018341
(G/T) (配列番号10)、rs953304 (C/G) (配列番号1991) と rs10514726 (G/T)
(配列番号496);
j)ハプロタイプ“CGTC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1355533
(C/T) (配列番号698)、rs1357287 (A/G) (配列番号703)、rs1403101 (C/T)
(配列番号740) と rs1356612 (C/T) (配列番号700);
k)ハプロタイプ“TC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10513261
(C/T) (配列番号472) と rs1881922 (C/T) (配列番号926);
l)ハプロタイプ“AACAC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1023714
(A/T) (配列番号17)、rs2400502 (A/G) (配列番号1157)、rs2400503 (C/T)
(配列番号1158)、rs10515605 (A/G) (配列番号510) と rs7709159 (C/T)
(配列番号1747);
m)ハプロタイプ“GAGG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10515495
(A/G) (配列番号509)、rs4976445 (A/G) (配列番号1451)、rs10491335 (A/G)
(配列番号148) と rs6878439 (A/G) (配列番号1584);
n)ハプロタイプ“ACCC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs786135
(A/C) (配列番号1782)、rs1357194 (C/T) (配列番号702)、rs9285412 (C/T)
(配列番号1884) と rs9320498 (A/C) (配列番号1951);
o)ハプロタイプ“AATTT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10486559
(A/G) (配列番号88)、rs10486562 (A/G) (配列番号89)、rs757397 (C/T)
(配列番号1717)、rs735664 (C/T) (配列番号1695) と rs720659 (G/T)
(配列番号1656);
p)ハプロタイプ“CCTT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1961352
(A/C) (配列番号974)、rs2029832 (C/T) (配列番号1007)、rs9741 (C/T)
(配列番号2021) と rs10503616 (C/T) (配列番号352);
q)ハプロタイプ“GCCC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10503555
(A/G) (配列番号347)、rs10503557 (C/T) (配列番号348)、rs2410361 (A/C)
(配列番号1159) と rs10503561 (C/T) (配列番号350);
r)ハプロタイプ“GCA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs260816
(C/G) (配列番号1188)、rs260818 (A/C) (配列番号1189) と rs361315
(A/G) (配列番号1300);
s)ハプロタイプ“CCA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs1940357
(A/C) (配列番号960)、rs535908 (C/T) (配列番号1470) と rs510628 (A/T)
(配列番号1461);
t)ハプロタイプ“TCGCG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs2706218
(C/T) (配列番号1209)、rs897167 (C/T) (配列番号1862)、rs10506333
(C/G) (配列番号382)、rs998401 (C/T) (配列番号2038) と rs3741673 (A/G)
(配列番号1304);
u)ハプロタイプ“CGAA”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs762721
(A/C) (配列番号1729)、rs10491992 (C/G) (配列番号170)、rs10491993
(A/G) (配列番号171) と rs2213177 (A/G) (配列番号1084);
v)ハプロタイプ“CCTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs760002
(A/C) (配列番号1724)、rs10483259 (A/C) (配列番号48)、rs956163 (C/T)
(配列番号1999) と rs10483261 (A/G) (配列番号50);
w)ハプロタイプ“AATC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs2713961
(A/G) (配列番号1211)、rs10512591 (A/G) (配列番号455)、rs2344989 (C/T)
(配列番号1138) と rs2452932 (C/G) (配列番号1166);
x)ハプロタイプ“TAAG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs10502579
(C/T) (配列番号317)、rs627346 (A/G) (配列番号1516)、rs10502582 (A/T)
(配列番号318) と rs10502584 (A/G) (配列番号320);
y)ハプロタイプ“AGAC”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs5949853
(A/T) (配列番号1489)、rs4348668 (A/G) (配列番号1377)、rs707289 (A/G)
(配列番号1613) と rs20369 (C/T) (配列番号1010);
z)ハプロタイプ“GACT”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、rs764198
(A/G) (配列番号1735)、rs10521816 (A/G) (配列番号609)、rs10521817
(C/T) (配列番号610) と rs3135496 (C/T) (配列番号1279);
aa)ハプロタイプ“CGGTG”(又はその相補鎖のヌクレオチド)を定義する、
rs10521773 (C/T) (配列番号604)、rs2022565 (A/G) (配列番号1001)、
rs1569890 (A/G) (配列番号863)、rs5977614 (C/T) (配列番号1494) と
rs10521774 (C/G) (配列番号605)。
【請求項74】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs623360 (C/G) (配列番号1513) 及びrs627069 (C/G) (配列番号1515)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項75】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs7547716 (A/C) (配列番号1713)、rs1891174 (C/T) (配列番号932) 及び
rs10494841 (A/G) (配列番号201)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項76】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10493353 (C/T) (配列番号187)、rs1323851 (G/T) (配列番号672)、
rs834485 (C/T) (配列番号1830)、rs856283 (A/G) (配列番号1846) 及び
rs1260817 (A/C) (配列番号653)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項77】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs3106653 (A/C) (配列番号1274)、rs2961958 (A/T) (配列番号1264)、
rs2591169 (A/T) (配列番号1184) 及び rs10497144 (C/G) (配列番号227)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項78】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10497192 (C/T) (配列番号235)、rs7605386 (C/G) (配列番号1727) 及び
rs9288697 (A/C) (配列番号1891)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項79】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1851328 (A/G) (配列番号912)、rs6711457 (C/T) (配列番号1566)、
rs10498053 (C/G) (配列番号252) 及び rs6744504 (C/T) (配列番号1571)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項80】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs9310496 (A/G) (配列番号1930)、rs10510450 (A/G) (配列番号423)、
rs4685356 (A/C) (配列番号1405) 及び rs10510452 (A/G) (配列番号425)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項81】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10510660 (A/G) (配列番号427)、rs951973 (C/T) (配列番号1982)、
rs1487994 (G/T) (配列番号815)、rs10510661 (C/G) (配列番号428) 及び
rs6805290 (C/T) (配列番号1576)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項82】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1018341 (G/T) (配列番号10)、rs953304 (C/G) (配列番号1991) 及び
rs10514726 (G/T) (配列番号496)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項83】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1355533 (C/T) (配列番号698)、rs1357287 (A/G) (配列番号703)、
rs1403101 (C/T) (配列番号740) 及び rs1356612 (C/T) (配列番号700)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項84】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10513261 (C/T) (配列番号472) 及びrs1881922 (C/T) (配列番号926)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項85】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1023714 (A/T) (配列番号17)、rs2400502 (A/G) (配列番号1157)、
rs2400503 (C/T) (配列番号1158)、rs10515605 (A/G) (配列番号510) 及び
rs7709159 (C/T) (配列番号1747)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項86】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10515495 (A/G) (配列番号509)、rs4976445 (A/G) (配列番号1451)、
rs10491335 (A/G) (配列番号148) 及び rs6878439 (A/G) (配列番号1584)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項87】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs786135 (A/C) (配列番号1782)、rs1357194 (C/T) (配列番号702)、
rs9285412 (C/T) (配列番号1884) 及び rs9320498 (A/C) (配列番号1951)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項88】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10486559 (A/G) (配列番号88)、rs10486562 (A/G) (配列番号89)、
rs757397 (C/T) (配列番号1717)、rs735664 (C/T) (配列番号1695) 及び
rs720659 (G/T) (配列番号1656)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項89】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1961352 (A/C) (配列番号974)、rs2029832 (C/T) (配列番号1007)、
rs9741 (C/T) (配列番号2021) 及び rs10503616 (C/T) (配列番号352)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項90】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10503555 (A/G) (配列番号347)、rs10503557 (C/T) (配列番号348)、
rs2410361 (A/C) (配列番号1159) 及び rs10503561 (C/T) (配列番号350)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項91】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs260816 (C/G) (配列番号1188)、rs260818 (A/C) (配列番号1189) 及び
rs361315 (A/G) (配列番号1300)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項92】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs1940357 (A/C) (配列番号960)、rs535908 (C/T) (配列番号1470) 及び
rs510628 (A/T) (配列番号1461)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項93】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs2706218 (C/T) (配列番号1209)、rs897167 (C/T) (配列番号1862)、
rs10506333 (C/G) (配列番号382)、rs998401 (C/T) (配列番号2038) 及び
rs3741673 (A/G) (配列番号1304)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項94】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs762721 (A/C) (配列番号1729)、rs10491992 (C/G) (配列番号170)、
rs10491993 (A/G) (配列番号171) 及び rs2213177 (A/G) (配列番号1084)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項95】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs760002 (A/C) (配列番号1724)、rs10483259 (A/C) (配列番号48)、
rs956163 (C/T) (配列番号1999) 及び rs10483261 (A/G) (配列番号50)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項96】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs2713961 (A/G) (配列番号1211)、rs10512591 (A/G) (配列番号455)、
rs2344989 (C/T) (配列番号1138) 及び rs2452932 (C/G) (配列番号1166)
らなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項97】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10502579 (C/T) (配列番号317)、rs627346 (A/G) (配列番号1516)、
rs10502582 (A/T) (配列番号318) 及び rs10502584 (A/G) (配列番号320)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項98】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs5949853 (A/T) (配列番号1489)、rs4348668 (A/G) (配列番号1377)、
rs707289 (A/G) (配列番号1613) 及び rs20369 (C/T) (配列番号1010)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項99】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs764198 (A/G) (配列番号1735)、rs10521816 (A/G) (配列番号609)、
rs10521817 (C/T) (配列番号610) 及び rs3135496 (C/T) (配列番号1279)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項100】
1種又は数種のSNPマーカーが、
rs10521773 (C/T) (配列番号604)、rs2022565 (A/G) (配列番号1001)、
rs1569890 (A/G) (配列番号863)、rs5977614 (C/T) (配列番号1494) 及び
rs10521774 (C/G) (配列番号605)
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項101】
該個体の個人情報及び臨床情報、即ち、非遺伝学的情報に、対象生物の平均血圧と不整脈の家族歴が含まれることを特徴とする、請求項47に記載の方法。
【請求項102】
個体が有する、AMIに対する疾患感受性や素因を評価するための方法であって、表9に示した1種又は数種の遺伝子について、個体における発現レベルの変化を検出することを包含し、発現レベルの変化を、AMIに対する疾患感受性の指標として評価することを特徴とする方法。
【請求項103】
個体が有する、AMIに対する疾患感受性や素因を評価するための方法であって、表9に示した1種又は数種の遺伝子について、個体における転写レベルの変化を検出することを包含し、転写レベルの変化を、AMIに対する疾患感受性の指標とすることを特徴とする方法。
【請求項104】
個体が有する、AMIに対する疾患感受性や素因を評価するための方法であって、表9に示した1種又は数種の遺伝子がコードするmRNAについて、個体における翻訳の変化を検出することを包含し、翻訳の変化を、AMIに対する疾患感受性の指標とすることを特徴とする方法。
【請求項105】
個体が有する、AMIに対する疾患感受性や素因を評価するための方法であって、表9に示した1種又は数種の遺伝子がコードする1種又は数種のポリペプチドについて、個体における生物活性の変化を検出することを包含し、1種又は数種のポリペプチドの生物活性の変化を、AMIに対する疾患感受性の指標とすることを特徴とする方法。
【請求項106】
個体が有する、AMIに対する疾患感受性や素因を評価するための方法であって、表9に示した1種又は数種の遺伝子がコードする1種又は数種のポリペプチドについて、個体における構造の変化を検出することを包含し、1種又は数種のポリペプチドのポリペプチド構造の変化を、AMIに対する疾患感受性の指標とすることを特徴とする方法。
【請求項107】
個体が有する、AMIに対する疾患感受性や素因を評価するための方法であって、表9に示した1種又は数種の遺伝子がコードするポリペプチドの1種又は数種の代謝産物について、個体における量的変化を検出することを包含し、1種又は数種の代謝産物の量的変化を、AMIに対する疾患感受性の指標とすることを特徴とする方法。
【請求項108】
該個体の個人情報及び臨床情報、即ち、非遺伝学的情報が、年齢;性別;行動パターンと習慣;生化学検査の結果;臨床検査の結果;肥満度;先天性心疾患(CHD)、脳血管障害、他の心血管障害、高コレステロール血症、肥満及び糖尿病の家族歴;ウエスト/ヒップ比(cm/cm);社会経済的状態;精神的性向と精神状態;並びに対象生物の治療歴に関するものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項109】
該行動パターンと習慣に、喫煙;運動;食事による栄養摂取、アルコール摂取とその消費パターン;並びにコーヒーの消費量とその質が含まれることを特徴とする、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
該生化学検査に、血液、血清又は血漿のVLDL、LDL、HDLや総コレステロール;トリグリセリド;アポリポタンパクA;フィブリノーゲン;フェリチン、トランスフェリン受容体;C反応性タンパク質;グルコース;あるいは血清又は血漿インシュリン濃度の検査が含まれることを特徴とする、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
非遺伝学的情報が、表11に示したものであることを特徴とする、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
非遺伝学的情報に、対象生物の平均血圧と不整脈の家族歴が含まれることを特徴とする、請求項108に記載の方法。
【請求項113】
下記ロジスティック回帰式を用いて、AMIの危険度を計算する工程を更に包含する、請求項108に記載の方法。
AMIの危険度 =[1+e-(a+Σ(bi×Xi)]-1
式中、eはネーピアの定数であり、XiはAMIの危険度に関連した変数であり、biは上記変数のロジスティック関数における係数であり、aはロジスティック関数の定数項である。
【請求項114】
a値とbi値が、この方法を実施する集団から求められる値であることを特徴とする、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
i値が、この方法を実施する集団で測定した変数から選ばれる値であることを特徴とする、請求項113に記載の方法。
【請求項116】
i値が、表3、4、5、7、8、10又は11のSNPマーカー、表4、5、7、8、10又は11のハプロタイプ領域とハプロタイプ、及び本発明の非遺伝学的変数から選ばれる値であることを特徴とする、請求項113に記載の方法。
【請求項117】
下記条件の少なくとも一方を満足することを特徴とする、請求項113に記載の方法。
i値が−20〜20の範囲内である、及び
i値が、−99999〜99999の範囲以内であるか、0又は1とコード化される変数である。
【請求項118】
i値が0(即ち、なし)〜100,000の範囲内であることを特徴とする、請求項113に記載の方法。
【請求項119】
対象生物がAMIを発症する短期危険度、中期危険度及び長期危険度の少なくとも1つを予測することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項120】
AMIなどのCHDの予防や治療に有用な化合物を同定するための方法であって、
生存細胞において、化合物が、表9に示したAMIリスク遺伝子のコードする1種又は数種のポリペプチドの生物活性に及ぼす影響を測定し、そして
ポリペプチドの生物活性を変化させる化合物を、AMIなどのCHDの予防や治療に有用な化合物と評価する
ことを包含する方法。
【請求項121】
AMIなどのCHDの予防や治療に有用な化合物を同定するための方法であって、
生存細胞において、化合物が、表9に示したAMIリスク遺伝子のコードする1種又は数種のポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路の少なくとも一方に及ぼす影響を測定し、そして
生体ネットワーク及び代謝経路から選ばれる1種又は数種の活性を変化させる化合物を、AMIなどのCHDの予防や治療に有用な化合物と評価する
ことを包含する方法。
【請求項122】
AMIなどのCHDを予防又は治療するための方法であって、
表9に示したAMIリスク遺伝子のコードする1種又は数種のポリペプチドの生物活性を増強又は減退させる化合物、及び
該ポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路から選ばれる1種又は数種の活性を増強又は減退させる化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする方法。
【請求項123】
AMIなどのCHDを予防又は治療するための方法であって、
表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子の発現を増強又は減退させる化合物、及び
該AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路の少なくとも一方に含まれる、1種又は数種の遺伝子の発現を増強又は減退させる化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする方法。
【請求項124】
AMIなどのCHDを予防又は治療するための方法であって、心血管障害に関与し、且つ表9に示したAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドに関連した、1種又は数種の病態生理学的経路の活性を増強又は減退させる化合物の有効量を、薬学的に許容される担体と共に、治療を必要とする哺乳類である対象生物に投与することを特徴とする方法。
【請求項125】
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)発現及び生物活性の少なくとも一方の変化に関連し、且つ、表9に示したAMIリスク遺伝子に存在する、1種又は数種の多型部位に含まれるヌクレオチドを、該個体の核酸配列から検出し、そして
c)多型部位のジェノタイプデータを組み合わせて、対象生物にとって効果的な、AMIなどのCHDの治療法を選択する
ことを包含する、請求項122〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子の発現、及び表9に示したAMIリスク遺伝子のコードする1種又は数種のポリペプチドの生物活性の少なくとも一方を、該個体の生物学的サンプルから検出し、そして
c)発現と生物活性の少なくとも一方について得られたデータを組み合わせて、対象生物にとって効果的な、AMIなどのCHDの治療法を選択する
ことを包含する、請求項122〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項127】
該治療が、遺伝子治療又は遺伝子導入であることを特徴とする、請求項122〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
該治療が、表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子、その変異体、断片又は誘導体の導入を包含することを特徴とする、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
表9に示したAMIリスク遺伝子、その変異体、断片又は誘導体が、AMIなどのCHDの危険度の低下と関連することを特徴とする、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
該治療が、対象生物の体細胞の有する遺伝子調節領域及び遺伝子含有領域の少なくとも一方の処置を包含し、該遺伝子は、表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子、その変異体、断片又は誘導体であることを特徴とする、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
該治療が、幹細胞の有する遺伝子調節領域及び遺伝子含有領域の少なくとも一方の処置を包含し、該遺伝子は、表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子、その変異体、断片又は誘導体であることを特徴とする、請求項131に記載の方法。
【請求項132】
該治療が、心血管障害を発症した組織中の幹細胞の有する遺伝子調節領域及び遺伝子含有領域の少なくとも一方の処置を包含し、該遺伝子は、表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子、その変異体、断片又は誘導体であることを特徴とする、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
該化合物が表9に示したAMIリスク遺伝子、その変異体、断片又は誘導体のコードする組み換えポリペプチドであることを特徴とする、請求項122〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項134】
該治療が、表9に示したAMIリスク遺伝子に対するmRNA及びhnRNAの少なくとも一方とハイブリダイズするsiRNAに基づくことを特徴とする、請求項122〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
該治療が、mRNA及びhnRNAの少なくとも一方とハイブリダイズするsiRNAに基づき、mRNA及びhnRNAは、表9に示したAMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドに関連した生体ネットワーク及び代謝経路の少なくとも一方に含まれる1種又は数種の遺伝子に対するものであることを特徴とする、請求項122〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項136】
該治療方法が、食餌療法又は予防接種であることを特徴とする、請求項124又は125に記載の方法。
【請求項137】
AMIなどのCHDを患うか、AMIなどのCHDの危険度が高まっているヒトを対象とする治療方法であって、表9に示したAMIリスク遺伝子のコードする1種又は数種のポリペプチドの生物活性について、CHDを発症していない健常対象生物と比べて変化が見られるものを、少なくとも部分的に修復する療法を包含することを特徴とする方法。
【請求項138】
AMIなどのCHDを患うか、AMIなどのCHDの危険度が高まっているヒトを対象とする治療方法であって、表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子の発現について、CHDを発症していない健常対象生物と比べて変化が見られるものを、少なくとも部分的に修復する療法を包含することを特徴とする方法。
【請求項139】
対象生物となるヒトにおけるAMIなどのCHDの治療の効果を追跡するための方法であって、
対象生物から得た生物学的試料について、表9に示したAMIリスク遺伝子のmRNAレベル、該AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドのレベル、及び該AMIリスク遺伝子のコードするポリペプチドの生物活性からなる群より選ばれる少なくとも1種を測定し、そして
治療後のmRNAレベル、ポリペプチドレベル又はポリペプチドの生物活性の変化を、治療効果の指標として評価する
ことを包含する方法。
【請求項140】
特定の個体において特定の療法がAMIなどのCHDを予防又は治療する効果を予測するための方法であって、請求項15又は16で定義したAMIリスク遺伝子の1種又は数種の内に、AMI関連SNPマーカー、ハプロタイプ又はハプロタイプ領域が存在するか否かをスクリーニングすることを包含する方法。
【請求項141】
特定の個体において特定の療法がAMIなどのCHDを予防又は治療する効果を予測するための方法であって、
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種の多型部位に含まれるヌクレオチドを該個体の核酸配列から検出して、SNPマーカーに関するデータを得、そして
c)SNPマーカーに関するデータを組み合わせて、個体において特定の療法がAMIなどのCHDを予防又は治療する効果を予測する
ことを包含する方法。
【請求項142】
AMIを発症した個体について、AMIのサブタイプを診断するための方法であって、
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種のSNPマーカーに含まれるヌクレオチドを該個体の核酸配列から検出して、SNPマーカーに関するデータを得、そして
c)SNPマーカーに関するデータを組み合わせて、個体のAMIのサブタイプを評価する
ことを包含する方法。
【請求項143】
AMIを発症した個体について、AMIのサブタイプを診断するための方法であって、
a)個体から得た生物学的サンプルを提供し、
b)該個体の個人情報及び臨床情報を集め、
c)表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種のSNPマーカーに含まれるヌクレオチドを該個体の核酸配列から検出して、SNPマーカーに関するデータを得、そして
d)SNPマーカーに関するデータを個人情報及び臨床情報と組み合わせて、個体のAMIのサブタイプを評価する
ことを包含する方法。
【請求項144】
該1種又は数種のSNPマーカーが、表9に示したAMIリスク遺伝子内に存在するものであることを特徴とする、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
AMIリスク遺伝子が、ハプロタイプパターンマイニングによって定義されるゲノム領域に存在し、該遺伝子は、表4、5、6、7、8、10及び11に示したものであることを特徴とする、請求項143に記載の方法。
【請求項146】
多型部位が、ハプロタイプ領域、ハプロタイプ、又は表4、5、6、7、8、10及び11に示したハプロタイプを定義するSNPマーカーに関連することを特徴とする、請求項143に記載の方法。
【請求項147】
多型部位が、ハプロタイプ領域、ハプロタイプ、又は表4、5、6、7、8、10及び11に示したハプロタイプを定義するSNPマーカーと完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項143に記載の方法。
【請求項148】
多型部位が、該方法を実施する集団において完全な連鎖不平衡状態にあることを特徴とする、請求項143に記載の方法。
【請求項149】
非遺伝学的情報を、請求項121〜141及び143〜148のいずれかの方法で得られた結果と組み合わせる工程を更に包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項150】
該非遺伝学的情報が、年齢;性別;行動パターンと習慣;生化学検査の結果;臨床検査の結果;肥満度;CHD、脳血管障害、他の心血管障害、高コレステロール血症、肥満及び糖尿病の家族歴;ウエスト/ヒップ比(cm/cm);社会経済的状態;精神的性向と精神状態;並びに対象の治療歴に関するものであることを特徴とする、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
該行動パターンと習慣には、喫煙;運動;食事による栄養摂取、アルコール摂取とその消費パターン;並びにコーヒーの消費量とその質が含まれることを特徴とする、請求項149に記載の方法。
【請求項152】
該生化学検査には、血液、血清又は血漿のVLDL、LDL、HDLや総コレステロール;トリグリセリド;アポリポタンパクA;フィブリノーゲン;フェリチン、トランスフェリン受容体;C反応性タンパク質;グルコース;あるいは血清又は血漿インシュリン濃度の検査が含まれることを特徴とする、請求項149に記載の方法。
【請求項153】
非遺伝学的情報が、表11に示したものであることを特徴とする、請求項149に記載の方法。
【請求項154】
非遺伝学的情報に、対象生物の平均血圧と不整脈の家族歴が含まれることを特徴とする、請求項149に記載の方法。
【請求項155】
対象生物から得た生物学的サンプルについて、AMIリスク遺伝子産物であるタンパク質の発現、産生又は濃度を測定するための方法であって、
a)個体から得た、試験に付すための生物学的サンプルを提供し、そして
b)該サンプルにおける該タンパク質の発現、産生又は濃度を検出し、発現、産生又は濃度の変化を該対象生物が心血管障害を発症する危険度の変化の指標とする
ことを包含し、該AMIリスク遺伝子は表9に示したものであることを特徴とする方法。
【請求項156】
対象生物における、AMIを発症する危険度やAMIに対する疾患感受性の変化を検出するための、請求項1の方法に基づく試験キット。
【請求項157】
対象生物における、AMIを発症する危険度の変化を検出するために、表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種のSNPマーカーに含まれるヌクレオチドを、該個体の核酸配列から検出するための試験キット。
【請求項158】
対象生物における、AMIを発症する危険度の変化を検出するために、表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種のSNPマーカーに含まれるヌクレオチドを、該個体の核酸配列から検出するための試験キットであって、
a)表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種のSNPマーカーに含まれるヌクレオチドを検出するための試薬及び材料、並びに
b)検出結果を解析するためのソフトウエア
を包含する試験キット。
【請求項159】
表3、4、5、6、7、8、10及び11に示した1種又は数種のSNPマーカーを含有する核酸断片を、対象生物の核酸配列から増幅するためのPCRプライマーのセットを更に包含する、請求項156に記載の試験キット。
【請求項160】
表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したAMI関連マーカー及びハプロタイプ領域に存在する1種又は数種のSNPマーカーに特異的に結合する捕捉用核酸プローブのセットを包含する、請求項156に記載の試験キット。
【請求項161】
ジェノタイプを評価するためのマイクロアレイ又はマルチウエルプレートを包含する、請求項156に記載の試験キット。
【請求項162】
年齢、性別、身長、体重、ウエストとヒップのサイズ、皮下脂肪や脂肪組織の厚み、体脂肪率、肥満や糖尿病に関する家族歴、及びAMIの治療歴に関する個体情報及び臨床情報を集めるためのアンケートを包含する、請求項156に記載の試験キット。
【請求項163】
表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子内のSNPマーカーを生物学的サンプルから検出するための試験キットであって、該SNPマーカーは、AMIに対する疾患感受性を示さない対象生物から得た生物学的サンプルよりも、AMIに対する疾患感受性を示す対象生物から得た生物学的サンプルにおいて、より高頻度で存在するものであり、
a)表9に示した1種又は数種のAMIリスク遺伝子内のSNPマーカーを検出するための試薬及び材料、並びに
b)検出結果を解析するためのソフトウエア
を包含する試験キット。
【請求項164】
表9に示したAMIリスク遺伝子内のSNPマーカーを含有する核酸断片を、対象生物の核酸配列から増幅するためのPCRプライマーのセットを更に包含する、請求項163に記載の試験キット。
【請求項165】
表9に示したAMIリスク遺伝子内の1種又は数種のSNPマーカーに特異的に結合する、捕捉用核酸プローブのセットを更に包含する、請求項163に記載の試験キット。
【請求項166】
ジェノタイプを評価するためのマイクロアレイ又はマルチウエルプレートを更に包含する、請求項163に記載の試験キット。
【請求項167】
年齢、性別、身長、体重、ウエストとヒップのサイズ、皮下脂肪や脂肪組織の厚み、体脂肪率、肥満や糖尿病に関する家族歴、及びAMIの治療歴に関する個体情報及び臨床情報を集めるためのアンケートを更に包含する、請求項163に記載の試験キット。
【請求項168】
請求項137〜155のいずれかの方法に基づく試験キット。
【請求項169】
表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したAMIリスク遺伝子内のSNPマーカーを含有する核酸断片を、対象生物の核酸配列から増幅するためのPCRプライマーのセットを包含する、請求項168に記載の試験キット。
【請求項170】
表3、4、5、6、7、8、10及び11に示したAMIリスク遺伝子内の1種又は数種のSNPマーカーに特異的に結合する捕捉用核酸プローブのセットを包含する、請求項168に記載の試験キット。
【請求項171】
ジェノタイプを評価するためのマイクロアレイ又はマルチウエルプレートを包含する、請求項168に記載の試験キット。
【請求項172】
年齢、性別、身長、体重、ウエストとヒップのサイズ、皮下脂肪や脂肪組織の厚み、体脂肪率、肥満や糖尿病に関する家族歴、及びAMIの治療歴に関する個体情報及び臨床情報を集めるためのアンケートを包含する、請求項168に記載の試験キット。
【請求項173】
個体の家系を評価するためのマーカーのセットを包含する、請求項156又は168に記載の試験キット。
【請求項174】
個体の家系を評価するためのSNPマーカーのセットを包含する、請求項173に記載の試験キット。
【請求項175】
個体の家系を評価するためのマイクロサテライトマーカーのセットを包含する、請求項173に記載の試験キット。
【請求項176】
個体の家系を評価するためのマーカーのセットを使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項177】
個体の家系を評価するためのSNPマーカーのセットを使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項178】
個体の家系を評価するためのマイクロサテライトマーカーのセットを使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−516595(P2008−516595A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536205(P2007−536205)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050355
【国際公開番号】WO2006/040409
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(502134580)
【Fターム(参考)】