患者の循環系の循環を操作するための装置及び方法
対象の体の循環系の循環を操作するための装置が記載される。該装置は、対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、該支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、を有する。該支持体は、パッチ及び該パッチ上に設けられた取付け層を有する。前記取付け層は、前記対象の体の部分の皮膚にパッチを取り付けるのに適切な生体適合性接着剤を含む。前記対象の体の部分の皮膚にパッチが接着された時に前記振動発生素子が前記皮膚に振動を伝えるよう、前記振動発生素子が前記支持体の中又は上に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年2月12日に出願された米国仮出願番号第61/151,843号、2009年3月6日に出願された米国仮出願番号第61/158,341号、2009年4月17日に出願された米国仮出願番号第61/170,107号、2009年10月9日に出願された米国仮出願番号第61/250,494号及び2009年12月3日に出願された米国仮出願番号第61/266,327号の優先権を主張する。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当なし
【0003】
本発明は、対象の循環系の循環を操作するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
慢性下肢潰瘍患者は米国で約2.5百人から4.5百万人いるといわれている。この深刻化する臨床的問題は床擦れに加えて高齢者の間で特に顕著である。治癒しない又は治癒が遅い創傷は健康上大きな負担であるとともに資金流出の原因であり、さらにかなりの身体的障害、病的疾患及び費用を生じる。
【0005】
虚血、感染症、高齢、栄養失調、糖尿病、腎疾患などの複数の要因が創傷の治癒低下に寄与していることが分かっている。その他の疾患、例えば心臓や肺の病気、認知機能の低下、内分泌疾患、消化器疾患、血液疾患、失禁、筋骨格損傷、神経疾患、アルコール/薬物依存症、免疫抑制薬、化学療法、ステロイド、喫煙、手術及び不適切な創傷の処置も関係している。
【0006】
創傷の治癒には、表皮及び真皮細胞、細胞外基質、制御された血管形成及び血漿由来タンパク質間の複雑な相互作用が関係し、その全てがサイトカイン配列及び成長因子によって調整される。この動的プロセスは、炎症、増殖及び再構成の三つの重なり相に分けられる。内皮細胞、血小板及び凝固因子間の相互作用を必要とする血栓形成により組織障害後の止血が達成される。また、凝血塊、主に血小板に捕捉された細胞によって、血管拡張物質及び化学誘引物質が放出されるとともに補体カスケードが活性化されて、炎症反応が引き起こされる。
【0007】
炎症−炎症の初期段階においては好中球が支配的であり、酵素の放出及び食作用によって創傷からバクテリアやその他の異物が除去される。炎症の後期段階においては好中球の数が減少しマクロファージに取って代わられる。マクロファージは溶解性メディエータの放出を介する炎症から増殖への遷移をコーディネートする役割を果たし、これには血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、形質転換成長因子β、インスリン増殖因子1などの因子が含まれる。
【0008】
増殖−線維芽細胞は細胞外基質の生成に関係のある重要な細胞である。線維芽細胞は、コラーゲンの生成に加えて、テネイシン、フィブロネクチン、及び肉芽組織を形成するヒアルロン酸などのプロテオグリカンを生成する。新しい組織と周囲組織の収縮の組み合わせは潰瘍の治癒に不可欠である。新しい基質が合成されると同時に、創傷縁の内部及び周囲の現在の基質が、基質メタロプロテイナーゼ及びプラスミノーゲン活性化因子などの種々の酸素系によって分解される。創傷縁におけるケラチン生成細胞のいくつかが急激に増殖し、同時その他の細胞が残骸を食菌して創傷床全体を移動できるよう大きく変形する。創傷の縮小に関連するケラチン生成細胞移動によって、上皮が再形成されるとともに創傷が塞がる。
【0009】
再構成−創傷が塞がると、残った傷跡の再構成が数カ月から数年にわたって行われ、傷跡組織内の細胞の体積及び血流が減少する。
【0010】
生きている細胞への制限された血液供給(虚血)によって細胞の正常な機能が失われることがある。虚血は様々な病気によって引き起こされ得るが、実施されるメカニズムは一般的に血管機能不全と関係する。虚血性細胞への血流の増加(かん流)は細胞機能の回復を促進する。虚血の影響を受けることが知られている状態の一つは、慢性的創傷である。創傷領域内の血液循環が不十分であると、エフェクター細胞及び分子の創傷領域内外への輸送が正常に機能せずに、創傷の治癒が遅れる又は創傷が治癒しない。したがって、創傷領域への血流の増加は虚血性創傷の治癒を促進させる。
【0011】
治癒又は薬剤輸送のために皮膚上に配置される種々の装置が提案されている。米国特許第3,853,121号には、患者の脚に振動を与える方法が記載されている。米国特許出願公開番号第2009/0234258号には血流障害を治療する治療装置が開示されている。米国特許出願公開番号第2004/0077987号及び第2009/0234258号及び米国特許第7,615018号及びPCT特許出願公開番号第WO02/065973号には、動物又は人間の手足に機械的な振動を与える治療装置が記載されている。米国特許出願公開番号第2004/0167461号及び米国特許第7,643,874号には、物質の経皮又は皮内移送のための皮膚パッチが記載されている。米国特許出願公開番号第2008/0234616号にはインフレータブル圧迫包帯が記載されている。
【0012】
しかしながら、創傷の治癒プロセスを促進させるよう部分的な及び/又は局部的な血液循環を操作する方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、一側面において、振動刺激を用いて血管拡張又は血管収縮を含む局所的及び/又は部分的な血液循環を操作する方法及び装置を提供することにより、上記した要求を満たすことを目的とする。
【0014】
虚血性創傷の部位における血液輸送量が増加すると、創傷の治癒プロセスに重要な細胞及び分子の動員が向上する。創傷領域内の細胞及び生体分子の動員が向上すると治癒プロセスが促進され、これにより治癒していない創傷の治癒が改善するとともに治癒の遅い創傷の治癒時間が短縮される。本発明に係る装置は、好ましくは単独型ユニットとして設計された装置であって、コントローラと電源と一以上の振動アクチュエータとが設けられ、それらが創傷領域に適用される一つのユニットを構成する接着性の柔軟な基板を有する。この装置は創傷領域における血液循環を促進させる。このユニットは柔軟性を有するので創傷領域の周り又は近くに適合する。さらにこのユニットは外部電源供給などの追加の装置を必要としない。創傷の周り又はとなりにユニットを適用することにより、装置は創傷周囲の皮膚に振動刺激を与えて血流を刺激する。装置からの振動は組織を刺激して血管を拡張するとともに血流を増加させる。
【0015】
本発明は、別の側面において、血液循環を局所的に促進させる装置を提供することにより、上記した要求を満たすことを目的とする。該装置は、多孔質層及び真空管コネクタを有する流体(例えば空気)シールされた外側層が設けられた皮膚パッチを有する。したがって、多孔質層を体の位置に取り付けて負圧源を真空管コネクタに接続することにより、体の異なる位置に負圧を加えることができるようカスタマイズすることができる。
【0016】
本発明の上記の及びその他の特徴、目的及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲の項の記載からより深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る対象の体の循環系の血液循環を操作する装置の実施形態の一例を示すブロックダイアグラムである。
【図2】本発明に係る対象の体の循環系の血液循環を操作する装置の実施形態の斜視図である。
【図3】ふくらはぎに創傷がある人間の左脚の背面図である。
【図4】本発明に係る対象の循環系の血液循環を操作する装置の別の実施形態の準備に用いる創傷マップの正面図である。
【図5】図4の創傷マップを用いて準備された本発明の装置の実施形態の正面図である。
【図6】図6は図3の脚の背面図であってふくらはぎの創傷に隣接して配置された図5の装置を示す。図6Aは図6のA−A線に沿う断面図である。
【図7】本発明に係る装置の別の実施形態の斜視図であり、周囲シールテープの一部を示す。
【図8】本発明に係る装置のさらに別の実施形態の斜視図であり、周囲シールテープの一部を示す。
【図9】本発明の装置のさらに別の実施形態の下側から見た斜視図である。
【図10】本発明の装置のさらに別の実施形態の下側から斜視図である。
【図11】人間の右足及び足くるぶしの左後ろから見た斜視図であり、本発明の装置のさらに別の実施形態がくるぶし部分及びアーチ部分に配置されている。
【図12】人間の右足の下側から見た図であり、本発明の装置のさらに別の実施形態がアーチ部分に配置されている。
【図13】仙骨上に配置された本発明の装置が使用された患者における時間に対するTHI(全ヘモグロビン指数)を示すグラフである。
【図14】仙骨上に配置された本発明の装置が使用された患者における時間に対する組織酸素化度を示すグラフである。
【図15】仙骨上に配置された本発明の装置が使用された患者における時間に対する組織酸素化度(StO2)及び時間に対する全ヘモグロビン指数(THI)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では図面中の同様の構成要素は同符号を参照して記載される。
【0019】
一実施例において、本発明は、対象の局所的な及び/又は部分的な血液循環を操作する方法及び装置を提供し、該方法及び該装置は対象の体の一以上の領域に振動刺激を与える。前記方法を用いて創傷に隣接する領域に振動刺激を与えることにより、特定の体部位、好ましくは創傷、を囲む部分の血液循環が変化する。標的器官(標的器官は必ずしも刺激した部位ではない)又は創傷領域において血管拡張又は血管収縮が生じ、標的器官又は創傷領域において血液かん流が増加又は減少する。本発明の方法を用いることによりもたらされる臨床上の利点には、手足のかん流の改善、床擦れ創傷(褥瘡性潰瘍)及び虚血性創傷におけるかん流の改善、末梢動脈疾患(PAD)及び末梢血管疾患患者並びに炎症を起こした又は損傷した体部位への制限された血流のかん流の改善、糖尿病性足潰瘍におけるかん流の改善、形成外科及びフラップ手術などの手術による虚血性組織におけるかん流の改善、及び損傷した又は炎症を起こした筋肉組織におけるかん流の改善などが挙げられるが、これらに限られない。
【0020】
慢性的創傷に加えて末梢の虚血は神経線維の進行性消失が特徴である神経障害を含むその他の疾患の進行を引き起こし得る。前記方法を用いて神経障害性組織内又は近接領域に振動刺激を与えて局所的なかん流を増加させることにより神経障害を治療することができ、虚血性神経へのかん流を増加させることで神経線維の消失が減少するとともに神経機能が改善する。
【0021】
振動刺激信号は、単一又は複数の波形から構成され得るとともに時間変化することができる。振動刺激信号の大きさは好ましくは約1マイクロメータから約15ミリメータであり、より好ましくは振動の大きさが0.001ミリメータから2.5ミリメータの間の範囲である。好ましい波形は正弦波形である。振動刺激信号の周波数は好ましくは約1Hzから約15,000Hzの範囲内である。振動刺激の力は好ましくは約0.001ニュートンから100ニュートンの範囲内である。これらの範囲の振動刺激は血管収縮又は血管拡張を引き起こす効果を有する。
【0022】
本発明の別の実施例において、振動刺激信号は着用可能システムにより提供される。このシステムは、対象の体の上に直接着用又は一以上の衣類の層の上から着用することができる。本明細書に記載される「着用可能システム」とは、以下に記載される構成要素の一部又は全てが対象の体上の所望位置に適切に保持される任意の構造を指す。
【0023】
本発明のさらに別の実施例においては、ポリウレタンや織物ベースパッチなどの接着剤又は接着パッチを用いて装置を患者の体の創傷の位置に直接取り付けることによって振動刺激信号を与える。その他の実施形態においては、例えば一以上の弾性バンド、ベルクロ(登録商標)フック及びループファスナ、テープ、クリップ又は包帯などの別のメカニズムを用いて装置が皮膚に押し付けられて保持される。
【0024】
胴体、肩、腕、肘、首、手首及び手を含む個人の上半身並びにウエスト、尻、脚、膝、足首及び足を含む下半身の適切な位置にシステムの構成要素の一部または全てを接着するよう、異なる実施形態を設計することができる。図1のブロックダイアグラムに示すように、着用可能システム10には、振動刺激を与える一以上の出力装置12、信号発生器14、コントローラ16及び配電器18が含まれる。信号発生器14、コントローラ16、電源ユニット18及び増幅器などのその他の電気/電子部品が、別ユニットとして装着されてもよく又は単一構成要素として組み込まれてもよい。出力装置12は着用可能ユニットに対して再配置可能及び/又は取り外し可能である。信号発生器14、コントローラ/駆動装置16及び電源ユニット18は基板から取り外し可能である。システム10は、有線又は無線遠隔コントロールユニットを用いて局所的に又は遠くから制御可能である。刺激の周波数、振幅、力及び持続期間などのシステムの種々のパラメータは、局所的又は遠隔コントロールユニットを用いて修正可能である。システム10は、利用の初期工程又は動作中に、連続的に、リアルタイム又はほぼリアルタイムで振動刺激を較正する手段をさらに含む。システム10は、血流への影響又はその他の生理的パラメータをモニタして対象に与えられる出力振動刺激をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正するための、一以上の閉ループフィードバック/制御回路19をさらに含んでもよい。生理的パラメータの刺激測定は、圧電薄膜センサ、温度センサ、光電脈波センサ、歪み計電脈波センサ、レーザドップラセンサ、超音波センサ又はその他の同様のセンサなどの一以上の振動又はかん流センサ(perfusion sensors)を用いて達成することができる。着用可能システム10は、電気壁ソケット、電池などの携帯用直流電源、その他の電源又は種々の電源の組み合わせによって動作する。
【0025】
本発明の別の実施例において、全ての構成要素12、14、16、18及び19が一つのシステム内に、局性的、局所的又は部分的に、創傷領域の近く又は周囲に組み込まれる。あるいは別の実施形態において、一以上の構成要素、例えば電源18又はコントローラ16、が、着用可能基板の外部に設けられる。例えば、床側コンソールに設けられるか又は着用可能基板に(複数の)ワイヤーを介して又はワイヤレスで電気的に接続される。
【0026】
装置の構成要素は、シリコーン、ポリウレタン、ナイロン、織物、紙又は基板として用いられるその他の重合体材料などの柔軟性のある材料を含む接着性基板を含む。基板の一以上の側面に接着剤が設けられて基板が皮膚又はその他の包帯材料又はぴったりとした衣服に取り付けられ、取り外されるまで取り付けられたままの状態が維持される。装置の構成要素は基板の上又は内部に位置し、振動アクチュエータ、コントローラ及び電源を含む。
【0027】
一実施例において、出力装置は、線形電磁気アクチュエータ、磁歪アクチュエータ(DMA)、水圧式アクチュエータ、非対称質量モータ、音声コイル、電気活性重合体(EPAM)又は圧電アクチュエータ又はその他の同様の装置などの電気機械的な性質のものであってもよい。
【0028】
別の実施形態において、出力装置は気圧式又は水圧式の性質のものであってもよい。これらの出力装置は、機械的な振動刺激を生成して持続させる気体含有共鳴素子又は流体含有共鳴素子を含む。あるいは、出力装置は気体含有袋もしくはチャンバ又は流体含有袋もしくはチャンバを有してもよく、これは振動刺激を生成して袋に伝える電気機械素子と組み合わせて用いられ振動刺激を対象の体表面に与える。
【0029】
さらに別の実施形態においては、本発明は対象の局所的及び/又は部分的な血液循環を操作する方法及び装置を提供し、該方法及び装置は、対象の体の一以上の領域へ一以上の振動刺激信号を与えるとともに熱さや冷たさなどの熱刺激を与える。一実施形態において、加熱コイル及び熱電冷却機などの電気的及び電子的構成要素を用いて熱さ又は冷たさが与えられる。別の実施形態において、熱刺激は、機械的、化学的又はその他の表面加熱及び冷却方法などのその他の方法を用いて与えられる。
【0030】
本発明の装置は使い捨て又は反復使用として設計されてもよく、その場合例えば再チャージ可能に構成されるか、あるいは外部電源を使用する又は皮膚に取り付け可能な素子(接着性基板)を交換する一方で同じ電子装置を使用する。
【0031】
本発明の使用方法の一例において、前記システムは、対象が休んでいる時(例えば座っている又は横になっている時)又はウォーキングのような穏やかな運動をして動いている時に使用されるよう設計されている。装置は血液循環の増加が所望される位置近くに配置され、振動アクチュエータ又は複数のアクチュエータが、皮膚に直接接触して、あるいは皮膚に非常に接近してあるいは十分に薄い包帯の層又は弛みの無い衣服の上から配置される。装置は、対象の特定の要求により決められた所定期間動作する。例えば、装置は15分間使用され非動作間隔が15分間ある。
【0032】
本発明の方法の実施に使用される装置は、振動刺激を用いて局部的な血液循環を操作するために使用される周知の装置に対して複数の改善を提供する。例えば、本発明は、末梢動脈疾患や慢性的創傷などの標的とする適応症の治療機器として機能するための特定の設計及び仕様とする能力を提供する。従来の装置は着用可能ではなく通常は手で持って操作されかつ手によって体の特定の領域に適用されるものであり、ふくらはぎ又は足などの特定の体領域上での単独使用に設計されている。このような従来の装置は、大きな振動表面を使用して広域又は体全体に振動を与えるか、あるいはかなり局所化された刺激のために非常に小さな振動提供装置を使用する。通常これらは交流電流機構を要するので装置の使用及び携帯性が制限され、また連続的な治療向けに設計されてなく、一日一度又は数度の短い期間の治療用に設計されている。さらに、従来の装置にはフィードバックループ(生理的又は機械的)が設けられてなく、また振動刺激をその他のタイプの刺激と組み合わせていない。
【0033】
本発明は、完全に着用可能であり、携帯可能で、さらに電池式で、そして体の任意の部位に簡単に適用することができるシステムを提供する。さらに、本発明は局所的/部分的な効果を奏し、短い反復期間に限られない任意の所望期間(例えば数分から数時間、数週間、数ヶ月間)にわたって連続的な治療を提供する。
【0034】
上記した全ての理由から、本発明は従来の装置に対して大きな改善を提供するとともに本明細書に記載される治療目的に特に適している。
【0035】
応用の観点から、血液循環における振動効果の研究においては、多くの場合、産業用機械から生じる振動による故障の影響又は骨量成長への振動の影響が注目されている。現在の研究は、振動の短期間適用(数秒から数分)に注目している。本発明及び本発明に導いた調査は、振動の連続的な適用及び本明細書に記載されたそれらの具体的な治療目的を対象としている。
【0036】
図2は、本発明に係る装置20の構成の一例を示し、この構成により血液循環が局所的に促進されるとともに末梢動脈疾患又は脚の虚血性創傷に起因する下側手足の痛みが軽減される。装置20は周囲24と、創傷位置27を囲む開口26と、が設けられた基板22を有する。また装置20は上面28及び下面29を有する。装置20の下面29は、対象の体の部位へ取り付けるために接着層でコーティングされてもよい。創傷位置27における創傷は、例えば糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、虚血性創傷、床擦れ、けが、手術、やけど、炎症、筋肉損傷又は内部損傷を含む。
【0037】
基板22は、例えばシリコーン、人工フォーム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、プラスチック、ナイロン、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、織物、ヒドロゲル、コラーゲン、アルギン酸塩、ゼラチン又はそれらの組み合わせから選ばれる材料から形成されている。接着層は、例えばウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート類、メタクリル樹脂及びそれらの組み合わせから選ばれる化合物を含む。
【0038】
基板22の面積及び形状は虚血性潰瘍の位置に基づいて設計することができる。例えば、足の潰瘍用の設計は、顔又は背面の創傷用のものとは異なることが要される。図2に示される実施形態の開口26は創傷位置27を完全に囲むよう設けられるが、基板22及び開口26はその他の形状であってもよく、基板22が創傷位置27を部分的に囲むよう設けられてもよい。例えば、基板22は三日月形状であってもよく、又は基板22を二個の片に分離して対称な平行線状などにしてもよい。
【0039】
装置20にはバッテリ32などの電源が設けられており、該バッテリは再チャージ可能であっても可能でなくてもよい。バッテリ32は電線34、35を介してコントローラ36に接続される。コントローラ36はプログラム可能なマイクロプロセッサでもよい。装置20は電線39を介してコントローラ36と電気通信する広範囲周波数振動エネルギー発生器38を有する。振動発生器38は、血管拡張作用又は血管収縮作用のある周波数を虚血性創傷の周りの組織(例えば足裏又は下肢)に伝えて局所的な血液循環を促進させる。振動発生器38は圧電アクチュエータなどのアクチュエータでもよい。コントローラ36は内部又は外部に格納されたプログラムを実行して振動発生器38に電気信号を与え、該振動発生器38の振動刺激の周波数、振幅、力及び/又はタイミングを調整する。
【0040】
図2の装置20の振動刺激信号は単一又は複数の波形であってもよく、正弦波、矩形波、パルス、三角波又はそれらの組み合わせであってもよく、一方向性又は多方向性でもよく、時間変化してもよい。振動刺激信号の振幅は約1μmから約15ミリメータであることが好ましい。振動刺激信号の周波数は約1Hzから約15,000Hzの範囲内であることが好ましい。振動刺激の力は約0.001ニュートンから約100ニュートンの範囲内であることが好ましい。
【0041】
任意的に、基板22に近接する組織に振動センサ又はかん流センサを適用してもよい。振動センサ又はかん流センサは刺激の所定の周波数及び電力に対する生理的な反応をモニタする。振動センサ又はかん流センサはコントローラ36と電気通信し、コントローラ36は格納されたプログラムを実行して、振動センサ又はかん流センサにより取得された測定値を示す電気信号に基づいて振動刺激の周波数及び電力を調整する。コントローラ36は振動センサ又はかん流センサにより収集されたデータを統合して振動発生器38により送信された振動周波数及びエネルギーを調整する。振動フィードバックは、皮膚センサ、振動発生素子に埋め込まれたセンサ、振動発生素子に取り付けられたセンサ、あるいは振動発生素子による電流及び/又は電圧引き込みを検出してそれに基づき前記素子の性能を推測するコントローラ36のソフトウェア及び/又はハードウェアでもよい。
【0042】
コントローラ36は振動発生器38を制御するために様々なアルゴリズムを用いてプログラム化することができる。一実施例に係るアルゴリズムにおいては、コントローラ36は内部又は外部に格納されたプログラムを実行して、第一期間中、第一電気信号を振動発生素子に提供する。第一電気信号は、振動発生素子の振動の周波数及び/又は振幅及び/又は力を制御する。第一期間が終わると、コントローラ36は、第二期間中、第一電気信号を振動発生素子に提供することを停止する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を減少もしくは増大させる。第二期間が終わると、コントローラ36は、第三期間中、第一電気信号を振動発生素子に提供することを再開する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を増大もしくは減少させる。任意的に、第三期間中の振動発生素子の振動の周波数及び振幅及び力のうちの少なくとも一つが、第一期間中の振動発生素子の振動の周波数及び振幅と異なってもよい。
【0043】
別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は、第四期間中、振動発生素子に第一電気信号を与えることを停止する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を減少もしくは増大させ、その後、第五期間中、第一電気信号を振動発生素子に与えることを再開する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を増大もしくは減少させる。
【0044】
さらに別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は第一電気信号を振動発生素子に提供し、該第一電気信号によって振動発生素子の振動の周波数及び振幅及び力が制御される。またコントローラ36は、振動発生素子の振動の周波数及び振幅及び力のうちの少なくとも一つが変化するよう、振動発生素子に与えられる第一電気信号を変化させる。
【0045】
さらに別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は、第一期間中第一電気信号を振動発生素子に提供して、振動発生素子の振動の周波数及び/又は振幅及び/又は力を制御する。またコントローラ36は、基板22に近接する組織に適用されたかん流センサ又は振動センサから受信した第二電気フィードバック信号に基づいて、振動発生素子へ提供された第一電気信号を変化させることができる。
【0046】
さらに別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は、第一期間中、第一信号を第一振動発生素子に提供して第一振動発生素子の振動の周波数及び/又は振幅及び/又は力を制御し、そして、第二期間中、第一電気信号を第一振動発生素子に提供するのを停止し、そしてその後、第三期間中、第二電気信号を第二振動発生素子に提供して第二振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する。
【0047】
当然ながら、プログラム可能なコントローラ36が、振動発生器38、個別でも振動発生器のグループとしてでもよい、の種々の周波数、振幅及び力での種々の動作又は非動作期間に対する膨大な数のプログラムを含むことができる。例えば、第一期間の間中に振動発生器38が一分間から二時間動作してもよく、その間振動発生器38は第一の周波数、振幅及び力で振動を皮膚に送る。そしてその後、一分間から六時間の第二期間中、振動発生器38は皮膚に振動を送らない。動作のタイミング(例えば一連の期間)は、例えば数日間、数週間、又は数ヶ月間にわたって繰り返し可能である。
【0048】
本発明に係るキットは、バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38、電線39、基板22、かん流センサ、振動センサ及び使用説明書、のうちの一以上を含む。バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39は、基板22の上面28に、接着剤、ベルクロ(登録商標)フック及びループファスナなどのファスナ又は指定のポーチ(pouch)などの適切な取り付け手段を用いて取り付けられる。あるいは、バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39は、基板22の上面28及び第二外基板(図示せず)の間に組み込まれてもよい。あるいは、バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39を、硬い又はやわらかいシェル状のケースに入れて基板22の上面28に取り付ける又は基板22の上面28及び第二外基板の間に組み込んでもよい。バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39を基板22の上面28に取り外し可能に取り付ける(例えばベルクロ(登録商標)フック及びループファスナを用いて取り付ける)ことにより、様々な間隔で(例えば毎日)交換される使い捨て可能な基板上の電気部品を再利用することが可能となる。あるいは、バッテリ32及びコントローラ36を適切なハウジング内に配置し、電線を基盤22上の適切なプラグに差し込んで振動発生器38と電気接続させてもよい。ハウジングはベッド支持体、ベルト又は体の部位(腕や脚など)に取り付けられてもよく、あるいはハウジングはポケットやハンドバッグなどの入れ物の中に配置されてもよい。
【0049】
装置20はその他の治療と同時に使用されてもよい。例えば、装置20は、創傷上に(別々に)配置されたヒドロゲルマトリックスと同時に使用されてもよい。該ヒドロゲルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、その他の多価酸、複数の多価酸の共重合体、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ゼラチン、コラーゲン、セルロース、誘導体化セルロース、キトサン、アルギン酸塩、チオール修飾ヒアルロナン及びそれらの組み合わせ又はそれらの共重合体のうちの一以上を含む。またヒドロゲルは、ケイ素樹脂又は織物などの合成材料からも作成することができる。その他の治療は、血小板由来成長因子の血管内皮成長因子、などの成長因子、幹細胞、前駆細胞、線維芽細胞又はその他の細胞などの細胞療法、遺伝子治療、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。ヒドロゲルマトリックスは、成長因子、幹細胞、前駆細胞、線維芽細胞、遺伝子治療及びそれらの組み合わせから選択される生物活性剤を含んでもよい。基板22は、細胞、前駆体、薬物、酵素、有機触媒、リボザイム、有機金属、タンパク質、糖たんぱく質、ペプチド、ポリアミノ酸、抗体、核酸、ステロイド性分子、抗生物質、抗真菌薬、サイトカイン、成長因子、炭水化物、油分をはじく物質、脂質、調剤、治療薬及びそれらの混合から選択される生物活性剤を含んでもよい。基板22は皮膚の外見を改善するために用いられる化粧品を含んでもよい。その他の治療は、負圧、高圧酸素、圧縮装置、衝撃波及び超音波装置並びに電流刺激から選択されてもよい。
【0050】
装置20は、支持体の下に負圧をかける装置、高圧酸素装置、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置及び電流刺激装置などのその他の装置と組み合わせて使用してもよい。また装置は、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的又は生物活性創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせと組み合わせて使用してもよい。
【0051】
図11は、人間の右足111及びくるぶし112の左後ろから見た斜視図であり、本発明の装置20がくるぶし部分及びアーチ部分に配置されている。図12は人間の右足111の下側から見た図であり、本発明の装置20が足裏に配置されている。装置20は、振動刺激により足及び/又はくるぶしにおいて血管収縮又は血管拡張を生じさせる。装置は右足111及び/又はくるぶし112に適合した形状を有する。
【0052】
図3〜10に、本発明の装置50の別の実施形態を示す。装置50は、形状及び表面調整可能負圧アプリケータ(SSANPA)とも呼ばれる。SSANPA装置50は、皮膚表面に負圧をかける方法を提供する。装置50の形状は負圧がかけられる所望の組織及び領域の形状と適合するようカスタマイズ可能である。また装置50は、正常な皮膚及び/又は創傷周囲領域の皮膚に負圧(真空)をかけるのに特に適している。
【0053】
図3及び図4を参照すると、周囲54を有する慢性的な創傷52が、ヒト患者の下脚58のふくらはぎ56上で診断される。慢性的な創傷52の診断に続いて、創傷測定(例えば創傷52の周囲54)が直接又は画像法を用いて患者から測定される。これらの測定値を用いて図4に示す創傷マップ62が作成される。創傷マップ62は、創傷52の周囲54に対応する内縁64が設けられた開口63を有する。また創傷マップ62は外周65を有する。柔軟なプラスチック材が創傷マップ62の形成に適している。
【0054】
次に図5、図6及び図6Aを参照すると、創傷マップ62を用いて作成された装置50の一実施形態が示される。装置50は、対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な皮膚パッチ70を有する。皮膚パッチ70は多孔質層72を有し、該多孔質層72は流体(例えば空気)が多孔質層72の第一の側74から反対側の多孔質層72の第二の側75に通過できるよう構成されている。皮膚パッチ70は、多孔質層72の第二の側75を覆う不浸透性の外側層76をさらに有する。また皮膚パッチ70は、多孔質層72の第二の側75から外側層76の外表面79にのびる流体通路78をさらに有する。流体通路78は、外側層76の外表面79の中空コネクタ80の位置で終端する。示される実施例では中空コネクタで終端する一つの流体通路を有するが、中空コネクタで終端する一以上の流体通路を装置50に設けてもよい。
【0055】
皮膚パッチ70は創傷マップ62の外周65と類似のカットされていない四角形の形状を有していてもよい。創傷マップ62の外周65はカットされていない皮膚パッチの外周とそろえられ、皮膚パッチは創傷62の内縁64(図4参照)をたどってカットされる。皮膚パッチ70はおよそ半分にカットされて図5及び図6に例示される皮膚パッチ70が形成される。成形された柔軟な皮膚パッチ70は創傷52の隣に配置され、シールテープ82が、柔軟な皮膚パッチ70とヒト患者の下脚58のふくらはぎ56の皮膚との両方を覆うよう皮膚パッチの外周縁に沿って貼られる。管84を用いて真空ポンプをコネクタ80に接続してもよい。
【0056】
一形態において、シールテープ82は、幅が0.1センチから30センチ、より好ましくは0.5センチから5センチの柔軟で伸縮可能なテープである。テープ82の厚さは0.001ミリメータから5ミリメータ、より好ましくは0.01ミリメータから2.5ミリメータである。またシールテープは一方の側が接着剤でコーティングされて、皮膚と皮膚パッチ70の周囲との両方に貼り付けられた時に皮膚パッチ70の気密を保つ。シールテープの接着成分は、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。シールテープ82の基板は、重合体材料、ラテックス、ゴム、シリコーン、織物、セルロース又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0057】
別の実施形態において、シールテープを柔軟な皮膚パッチ70を覆うとともに皮膚を覆う接着フィルムで置き換えて気密チャンバを形成してもよい。接着フィルムは気体及び液体コネクタ(コネクタ80など)を含んでもよく、これにより真空ポンプと接続される。接着フィルムの厚さは0.001ミリメータから5ミリメータでもよく、より好ましくは0.01ミリメータから2.5ミリメータでもよい。またシールテープは一方の側が接着剤でコーティングされて、皮膚と皮膚パッチ70の周囲との両方に貼り付けられた時に皮膚パッチ70の気密を保つ。
【0058】
接着フィルムの接着成分は、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。シールテープ82の基板は、重合体材料、ポリウレタン、ナイロン、ラテックス、ゴム、シリコーン、織物、セルロース又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0059】
例えば、シールフィルムとしてスミスアンドネフュー社製のオプサイト(登録商標)製品及び3M社製のナイロンフィルうであるテガダーム(登録商標)を用いてもよい。オプサイト(登録商標)製品は半浸透性の接着剤コーティングされたポリウレタンフィルムである。シールフィルムの厚さは約0.003インチ(0.076mm)であるが、別の厚さを有する任意の閉塞性又は半閉塞性フィルムであってもよい。シールフィルムは、真空又は負圧が保たれるフィルムの下及び皮膚パッチ70の周りを密封するよう設けられている。
【0060】
図6及び図6Aに示す実施形態において、装置50は、内部で真空を作りそれを創傷52の上方にあるヒト患者の下脚58のふくらはぎ56の皮膚に与える装置として機能する。当然ながら、装置50は患者の体の皮膚のその他の領域に真空を与えるために使用してもよい。装置50に接する皮膚又は組織が装置50の底で密封壁として機能するので、装置50の密封壁として機能する皮膚又は組織に装置50内の負圧が加えられる。管84がコネクタ80及び負圧源(例えば真空ポンプ)に接続されると、皮膚パッチ70の下の体領域上に負圧が加えられて体領域内で血流が増加する。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aに真空ポンプを用いてコネクタ80を介して負圧を加えることにより、1から2000mmHg、より好ましくは25から500mmHgの負圧が生じる。
【0061】
装置50の多孔質層72及び外側層76を組み合わせたものは薄い(1から10ミリメータが好ましいが、10ミリメータから500ミリメータ以上でもよい)。多孔質層72は、例えばオープンセルポリウレタンフォーム及びオープンセルポリビニルアルコールフォームなどの弾力性のある重合体材料、ポリエチレン、エーテル様エステル、スチレン樹脂又はその他の合成物質、生物的又は生分解性重合体、織物、異なる重合体の層、織物層及び/又はそれらの組み合わせから作成される。これにより、負圧治療中に使用される通常の負圧下で皮膚パッチ70が破壊されることが防止されるとともに皮膚パッチ70に屈曲及びカットのための柔軟性を残すことができ、よって皮膚パッチ70を、異なる形状及び地形を覆うように調整する又は異なる形状及び地形を結合して形成するよう調整することができる。皮膚パッチ70の多孔質層72は流体(例えば空気)の流れを許容する。一形態において、多孔質層72の厚さは0.1センチメータから10センチメータであり、より好ましくは0.2ミリメータから2センチメータである。
【0062】
一実施形態において、多孔質層72の基部表面(皮膚と接する側)は少なくとも部分的に接着剤層でコーティングされ、これにより皮膚パッチ70が皮膚又は組織に取り付けられる。別の実施形態では多孔質層72の基部表面は接着剤でコーティングされていない。皮膚パッチ70の外側層76の上面は、流体が上側バリアを横切るのを防ぐ気密重合体の薄層又はその他の材料を適用することにより流体(例えば気体)に対して密封されてもよい。外側層76は、ゴム、ラテックス、シリコーン、ナイロン又はその他の柔軟な重合体材料、織物、及び/又はそれらの組み合わせなどの合成又は天然重合体から作られてもよい。
【0063】
柔軟なシールテープ82は、体に多孔質層72を取り付けた後、皮膚パッチ70を密封するために用いられる。シールテープ82はラテックス(酢酸ビニル、スチレンブタジエン、アクリレート)などの薄い弾性重合体から作成され、その一方の側が接着剤でコーティングされている。シールテープ82は、皮膚又は組織に取り付けられた後に皮膚パッチ70の形状及び地形と合致するために最大の弾性力を有するよう設計される。シールテープ82の幅は、皮膚パッチ70と皮膚又は組織との両方への取付けが便利且つ安全となるような幅であることが好ましい。一実施例において、シールテープ82は真空包帯を全体的に覆う寸法を有し、これによって真空包帯の上部シーリング材として機能する。
【0064】
皮膚パッチは、その形状(元々の形状設計)を修正することなく使用できる。図7及び図9を見ると、装置50aの皮膚パッチ70aは外周86を有する。皮膚パッチ70aの外周86は、シール材88(図7に部分的に示す)を用いてコーティングされ又は覆われて密封されてもよい。皮膚パッチ70aを皮膚に取り付けて真空を保つため、皮膚に接する縁が密封されるべきである。これを達成するために、皮膚パッチ70aの基部側の外周86は、皮膚パッチ70aの上側と同様に気密にされた後、図9に示す接着剤89を用いてコーティングされて、皮膚パッチ70aが皮膚へ取り付けられた時に気密が保たれるよう皮膚に固定され、これにより皮膚パッチ70aと皮膚との間に気密又は半気密(即ち呼吸可能フィルム)空間が作成される。接着剤は例えばウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0065】
図10を参照すると、皮膚パッチ70aを固定して気密空間を作る別の方法において、接着剤を有する又は有さない弾性重合体の薄層91が、外周86に沿って皮膚パッチ70a基部から外側皮膚の方向に(皮膚パッチ70aの中心の反対に向かって)設けられる。これにより、真空が与えられた時に薄い柔軟な層又は複数の層が真空圧により引き込まれて皮膚パッチ70aにおいて空気漏れがなくなる。薄い柔軟な層の幅は例えば0.01から2ミリメータ、より好ましくは0.05から0.5ミリメータである。薄い柔軟な層は断片化され又は連続的で皮膚パッチ70aの周囲に沿って閉じた線を形成していてもよい。薄い柔軟な層の長さ、即ち薄い柔軟な層における接触点から皮膚パッチ70aの基部までの長さ、は、0.01から4センチメータ、より好ましくは0.5から10ミリメータである。そのような密封配置が図10に示される。
【0066】
血流を促進させるために装置をその他の素子と組み合わせてもよい。図8に示す一実施形態では、装置50bは、圧電アクチュエータ、振動モータ、音声コイル、電気活性重合体人工筋肉(EPAM)又はその他の振動素子などの皮膚又は組織に振動を伝える一以上の振動ユニット92を有する。これらの振動は、低周波数が1から1000Hzの範囲で、そして高周波数が1000から20,000Hz又は超音波の範囲で変化してもよい。振動装置を皮膚パッチ70aに埋め込む場合、皮膚パッチ70aに電力入力を取り付けてもよく、コントローラ95、振動ユニット92の電力供給装置及び真空ポンプ96を、接続空気管84及び電線97を介して皮膚パッチ70aに接続してもよい。
【0067】
真空ポンプ96を制御するために、コントローラ95を種々のアルゴリズムを用いてプログラムしてもよい。一実施例において、コントローラ95は内部又は外部プログラムを実行して、第一期間中、真空ポンプ96に第一電気信号を提供して真空ポンプ96を動作させる。第一期間が終了した後、コントローラ95は、第二期間中、真空ポンプ96が動作しないよう第一電気信号を真空ポンプ96に送ることを停止する。第二期間が終了した後、コントローラ95は、第三期間中、真空ポンプ96を動作させるために第一電気信号を真空ポンプ96へ送ることを再開する。当然ながら、プログラム可能なコントローラ95により、真空ポンプ96の動作又は非動作の種々の期間及び種々のポンプ圧を提供する多数のプログラムを用いることが可能となる。また、振動ユニット92を制御するために、コントローラ95を格納されたプログラム内の種々のアルゴリズムを用いてプログラムしてもよい。例としてのアルゴリズムの詳細はコントローラ36を参照して上記した。
【0068】
図8に示す実施形態の振動刺激信号は単一又は複数の波形であってもよく、正弦波、矩形波、パルス、三角波又はそれらの組み合わせであってもよく、一方向性又は多方向性でもよく、時間変化してもよい。振動刺激信号の振幅は約1μmから約15ミリメータであることが好ましい。振動刺激信号の周波数は約1Hzから約15,000Hzの範囲内であることが好ましい。振動刺激の力は約0.001ニュートンから約100ニュートンの範囲内であることが好ましい。
【0069】
皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aの別の実施形態は上記した振動発生器38などの振動素子を含むとともに振動素子の動作を制御するコントローラ95並びに振動素子及びコントローラに電力を与える電力ユニットを含み、これらは皮膚パッチ70aに埋め込まれている。
【0070】
別の実施形態において、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、圧電ポンプ又はモータ駆動ポンプ、真空コントローラなどのマイクロ真空ポンプ及び電力供給装置を含み、これにより皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aを外部の真空ポンプ及びコントローラに接続する必要がなくなる。
【0071】
別の実施形態において、振動素子を含む皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aのなかに真空ポンプ、真空ポンプ用のコントローラ、振動装置用のコントローラ真空ポンプ用の電力供給装置、真空コントローラ、振動コントーラ及び振動素子の両方をさらに含む。
【0072】
別の実施形態において、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70a、(複数の)振動素子の有り無しに関わらず、は、皮膚もしくは組織を加熱する加熱素子又は皮膚もしくは組織を冷却する冷却素子をさらに含む。
【0073】
別の実施形態において、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aを、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aに埋め込まれたあるいは皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aに接続された電気刺激装置と組み合わせてもよい。電気刺激は創傷の治癒において有益であり、両方の技術を使用することにより効能が高まるとともにより良い成果が生じる。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、電気刺激素子に加え、(複数の)薬物デリバリー素子、(複数の)マッサージ素子、(複数の)圧縮素子、(複数の)振動素子及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0074】
本発明に係るキットは、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70a、シールフィルム、真空ポンプ96、真空管84、振動コントローラ95及び取扱説明書を含んでもよい。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的又は生物活性創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせと組み合わせて用いられてもよい。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aはとりわけ、例えばしわやセルライトの減少、治癒の促進による筋肉損傷及び筋肉炎症などのスポーツ損傷の治療、皮膚のかん流を改善することによる皮膚状態の改善、形成外科及び再建外科手術及び/又はそれらの組み合わせにおいて皮膚の外見を改善する化粧用途に適している。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、皮膚の外見を改善するための化粧用途の化粧品を含んでもよい。
【0075】
装置50及び装置50aは多くの利点を有する。例えば、慢性的創傷、外科的切開痕及びその他のタイプの創傷の治療のために負圧を用いることができる。本発明に係る技術は、特に創傷自体でなく創傷を囲む皮膚を標的にする。本発明に係る技術は、介護人が、皮膚パッチを所望の形状にカットして真空皮膚パッチを治療領域に取り付けるだけで、真空付与装置の寸法及び形状の最適化をより柔軟に行うことができるようにする。本発明の技術において、創傷上に与えられた真空が創傷縁の血流に影響を及ぼすと同時に、創傷を囲む皮膚内及び皮下の循環が大幅に改善され、これによって創傷領域内のかん流が改善されて創傷の治癒が促進されるという効果がある。皮膚パッチと振動素子の組み合わせは二つの相補的な血流誘発メカニズムを提供する。これにより、二重反応によって効能が高まり、複数の刺激のうちの一つに患者が確実に反応する可能性が高まることによって治療の反応率が高まる。
【0076】
装置50及び装置50aは、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置及び電流刺激装置などのその他の装置と組み合わせて使用することができる。
【0077】
(例)
本発明をさらに描写するために、以下に例を示すが、以下の例は本発明を限定することを意図していない。
【0078】
(例1)
分析方法及び結果
圧電アクチュエータ(直径1インチ)をコントローラユニットにより制御されるプラスチックの筐体内に封入した。筐体は、接着テープをアクチュエータ上に貼ることによりヒト患者の仙骨に取り付けた。15から30分の順応期間の後、振動刺激を開始(20Hz、8ミル(mils)の振幅)し5分のオン/オフサイクルの断続的な刺激として継続させた。THI(全ヘモグロビン指数)を時間に対して記録した。50分後、THIのレベルは水平状態に到達し、刺激が停止した。減少期間及びTHIレベルの基底線への戻りの後、刺激が再開し、267分で新しいサイクルを開始した。装置を自己制御して血流を長期間にわたり増加させることができるよう、血流刺激サイクルを連続動作アルゴリズムの発展に使用することができる。例えば、図13の時間に対するTHIのプロットから、動作の同等なパラメータを有するアクチュエータが皮膚に取り付けられた場合に5分のオン/オフサイクルで50分間駆動され、その後刺激の新しいサイクルが開始する前に200分間停止されたことが分かる。オンとオフのサイクルは、対象間及び体の位置間で変化可能である。この動的特性がどのように対象間及び/又は体の位置間で変化するかについての測定は、長期(数時間から数日)動作における特定のアルゴリズムの発展に使用することができる。本研究では、InSpectra(登録商標)StO2組織酸素化モニタを用いた。類似の装置又は血流測定に使用されるその他の装置を用いて、振動に基づく血流シミュレーションと共に用いられる長期動作アルゴリズムの発展における組織血流、温度、組織酸素化度(oxygenation)又はTHIを測定することができる。
【0079】
(例2)
例1と同様の振動装置をヒト患者のくるぶしに適用した。レーザドップラスペックル技術を用いる全フィールドビデオフレームレート血流画像化システムであるmoorFLPIシステムを用いた測定によると、この装置により、かかと及び足指(糖尿病及び大動脈足部潰瘍における重要な位置)の血流が二倍増加した。
【0080】
(例3)
例1と同様の振動装置をヒト患者の仙骨に適用した。例1と同様のプロトコルを使用したInSpectra(登録商標)StO2組織酸素化モニタを用いた測定によると、この振動装置により、仙骨(下方背面、床擦れの80%の位置)において組織の酸素化が2.5倍以上増加した。図14を参照されたい。
【0081】
(例4)
振動圧電性素子を含む真空チャンバを仙骨上に配置した。15分間の順応期間に続いて、振動刺激を開始(20Hz、8ミル(mils)の振幅)し5分のオン/オフサイクルの断続的な刺激として継続させた。組織酸素化度(StO2)(図15のチャートa参照)及び全ヘモグロビン(THI)(図15のチャートb参照)が、それぞれ270%及び70%増加した。StO2のレベルが水平状態に近づいている時に断続的な真空(25mmHg)が加えられ、StO2及びTHIがそれぞれ10%及び20%増加した。
【0082】
したがって、本発明は、振動刺激及び/又は負圧を用いて血管拡張又は血管収縮などの局所的及び/又は局部的循環を操作する方法及び装置を提供する。本発明の装置により、血流、組織酸素化度及び患者内の全ヘモグロビンを増加させることができる。したがって、本発明の装置は、皮膚の外見を改善する方法、治癒を促進させることによるスポーツ創傷及びその他の外傷性創傷の治療方法、術後の治癒を促進させる方法(例えば形成外科及び再建外科手術)、対象の末梢動脈疾患又は末梢血管疾患の治療方法、対象の創傷治癒の改善方法、対象の組織酸素化度を増加させる方法、対象の皮膚潰瘍の治癒を改善する方法、性的不能の治療方法、片頭痛の治療方法、抜け毛の治療方法、神経障害の治療方法及び足底筋膜炎の治療方法において有益であると考える。
【0083】
本発明について特定の実施形態を参照して詳細に記載したが、当業者にとって明らかなように、本発明は、描写目的で記載された限定することを意図していない実施形態とは別の形態で実施することができる。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は本明細書に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年2月12日に出願された米国仮出願番号第61/151,843号、2009年3月6日に出願された米国仮出願番号第61/158,341号、2009年4月17日に出願された米国仮出願番号第61/170,107号、2009年10月9日に出願された米国仮出願番号第61/250,494号及び2009年12月3日に出願された米国仮出願番号第61/266,327号の優先権を主張する。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当なし
【0003】
本発明は、対象の循環系の循環を操作するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
慢性下肢潰瘍患者は米国で約2.5百人から4.5百万人いるといわれている。この深刻化する臨床的問題は床擦れに加えて高齢者の間で特に顕著である。治癒しない又は治癒が遅い創傷は健康上大きな負担であるとともに資金流出の原因であり、さらにかなりの身体的障害、病的疾患及び費用を生じる。
【0005】
虚血、感染症、高齢、栄養失調、糖尿病、腎疾患などの複数の要因が創傷の治癒低下に寄与していることが分かっている。その他の疾患、例えば心臓や肺の病気、認知機能の低下、内分泌疾患、消化器疾患、血液疾患、失禁、筋骨格損傷、神経疾患、アルコール/薬物依存症、免疫抑制薬、化学療法、ステロイド、喫煙、手術及び不適切な創傷の処置も関係している。
【0006】
創傷の治癒には、表皮及び真皮細胞、細胞外基質、制御された血管形成及び血漿由来タンパク質間の複雑な相互作用が関係し、その全てがサイトカイン配列及び成長因子によって調整される。この動的プロセスは、炎症、増殖及び再構成の三つの重なり相に分けられる。内皮細胞、血小板及び凝固因子間の相互作用を必要とする血栓形成により組織障害後の止血が達成される。また、凝血塊、主に血小板に捕捉された細胞によって、血管拡張物質及び化学誘引物質が放出されるとともに補体カスケードが活性化されて、炎症反応が引き起こされる。
【0007】
炎症−炎症の初期段階においては好中球が支配的であり、酵素の放出及び食作用によって創傷からバクテリアやその他の異物が除去される。炎症の後期段階においては好中球の数が減少しマクロファージに取って代わられる。マクロファージは溶解性メディエータの放出を介する炎症から増殖への遷移をコーディネートする役割を果たし、これには血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、形質転換成長因子β、インスリン増殖因子1などの因子が含まれる。
【0008】
増殖−線維芽細胞は細胞外基質の生成に関係のある重要な細胞である。線維芽細胞は、コラーゲンの生成に加えて、テネイシン、フィブロネクチン、及び肉芽組織を形成するヒアルロン酸などのプロテオグリカンを生成する。新しい組織と周囲組織の収縮の組み合わせは潰瘍の治癒に不可欠である。新しい基質が合成されると同時に、創傷縁の内部及び周囲の現在の基質が、基質メタロプロテイナーゼ及びプラスミノーゲン活性化因子などの種々の酸素系によって分解される。創傷縁におけるケラチン生成細胞のいくつかが急激に増殖し、同時その他の細胞が残骸を食菌して創傷床全体を移動できるよう大きく変形する。創傷の縮小に関連するケラチン生成細胞移動によって、上皮が再形成されるとともに創傷が塞がる。
【0009】
再構成−創傷が塞がると、残った傷跡の再構成が数カ月から数年にわたって行われ、傷跡組織内の細胞の体積及び血流が減少する。
【0010】
生きている細胞への制限された血液供給(虚血)によって細胞の正常な機能が失われることがある。虚血は様々な病気によって引き起こされ得るが、実施されるメカニズムは一般的に血管機能不全と関係する。虚血性細胞への血流の増加(かん流)は細胞機能の回復を促進する。虚血の影響を受けることが知られている状態の一つは、慢性的創傷である。創傷領域内の血液循環が不十分であると、エフェクター細胞及び分子の創傷領域内外への輸送が正常に機能せずに、創傷の治癒が遅れる又は創傷が治癒しない。したがって、創傷領域への血流の増加は虚血性創傷の治癒を促進させる。
【0011】
治癒又は薬剤輸送のために皮膚上に配置される種々の装置が提案されている。米国特許第3,853,121号には、患者の脚に振動を与える方法が記載されている。米国特許出願公開番号第2009/0234258号には血流障害を治療する治療装置が開示されている。米国特許出願公開番号第2004/0077987号及び第2009/0234258号及び米国特許第7,615018号及びPCT特許出願公開番号第WO02/065973号には、動物又は人間の手足に機械的な振動を与える治療装置が記載されている。米国特許出願公開番号第2004/0167461号及び米国特許第7,643,874号には、物質の経皮又は皮内移送のための皮膚パッチが記載されている。米国特許出願公開番号第2008/0234616号にはインフレータブル圧迫包帯が記載されている。
【0012】
しかしながら、創傷の治癒プロセスを促進させるよう部分的な及び/又は局部的な血液循環を操作する方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、一側面において、振動刺激を用いて血管拡張又は血管収縮を含む局所的及び/又は部分的な血液循環を操作する方法及び装置を提供することにより、上記した要求を満たすことを目的とする。
【0014】
虚血性創傷の部位における血液輸送量が増加すると、創傷の治癒プロセスに重要な細胞及び分子の動員が向上する。創傷領域内の細胞及び生体分子の動員が向上すると治癒プロセスが促進され、これにより治癒していない創傷の治癒が改善するとともに治癒の遅い創傷の治癒時間が短縮される。本発明に係る装置は、好ましくは単独型ユニットとして設計された装置であって、コントローラと電源と一以上の振動アクチュエータとが設けられ、それらが創傷領域に適用される一つのユニットを構成する接着性の柔軟な基板を有する。この装置は創傷領域における血液循環を促進させる。このユニットは柔軟性を有するので創傷領域の周り又は近くに適合する。さらにこのユニットは外部電源供給などの追加の装置を必要としない。創傷の周り又はとなりにユニットを適用することにより、装置は創傷周囲の皮膚に振動刺激を与えて血流を刺激する。装置からの振動は組織を刺激して血管を拡張するとともに血流を増加させる。
【0015】
本発明は、別の側面において、血液循環を局所的に促進させる装置を提供することにより、上記した要求を満たすことを目的とする。該装置は、多孔質層及び真空管コネクタを有する流体(例えば空気)シールされた外側層が設けられた皮膚パッチを有する。したがって、多孔質層を体の位置に取り付けて負圧源を真空管コネクタに接続することにより、体の異なる位置に負圧を加えることができるようカスタマイズすることができる。
【0016】
本発明の上記の及びその他の特徴、目的及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲の項の記載からより深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る対象の体の循環系の血液循環を操作する装置の実施形態の一例を示すブロックダイアグラムである。
【図2】本発明に係る対象の体の循環系の血液循環を操作する装置の実施形態の斜視図である。
【図3】ふくらはぎに創傷がある人間の左脚の背面図である。
【図4】本発明に係る対象の循環系の血液循環を操作する装置の別の実施形態の準備に用いる創傷マップの正面図である。
【図5】図4の創傷マップを用いて準備された本発明の装置の実施形態の正面図である。
【図6】図6は図3の脚の背面図であってふくらはぎの創傷に隣接して配置された図5の装置を示す。図6Aは図6のA−A線に沿う断面図である。
【図7】本発明に係る装置の別の実施形態の斜視図であり、周囲シールテープの一部を示す。
【図8】本発明に係る装置のさらに別の実施形態の斜視図であり、周囲シールテープの一部を示す。
【図9】本発明の装置のさらに別の実施形態の下側から見た斜視図である。
【図10】本発明の装置のさらに別の実施形態の下側から斜視図である。
【図11】人間の右足及び足くるぶしの左後ろから見た斜視図であり、本発明の装置のさらに別の実施形態がくるぶし部分及びアーチ部分に配置されている。
【図12】人間の右足の下側から見た図であり、本発明の装置のさらに別の実施形態がアーチ部分に配置されている。
【図13】仙骨上に配置された本発明の装置が使用された患者における時間に対するTHI(全ヘモグロビン指数)を示すグラフである。
【図14】仙骨上に配置された本発明の装置が使用された患者における時間に対する組織酸素化度を示すグラフである。
【図15】仙骨上に配置された本発明の装置が使用された患者における時間に対する組織酸素化度(StO2)及び時間に対する全ヘモグロビン指数(THI)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では図面中の同様の構成要素は同符号を参照して記載される。
【0019】
一実施例において、本発明は、対象の局所的な及び/又は部分的な血液循環を操作する方法及び装置を提供し、該方法及び該装置は対象の体の一以上の領域に振動刺激を与える。前記方法を用いて創傷に隣接する領域に振動刺激を与えることにより、特定の体部位、好ましくは創傷、を囲む部分の血液循環が変化する。標的器官(標的器官は必ずしも刺激した部位ではない)又は創傷領域において血管拡張又は血管収縮が生じ、標的器官又は創傷領域において血液かん流が増加又は減少する。本発明の方法を用いることによりもたらされる臨床上の利点には、手足のかん流の改善、床擦れ創傷(褥瘡性潰瘍)及び虚血性創傷におけるかん流の改善、末梢動脈疾患(PAD)及び末梢血管疾患患者並びに炎症を起こした又は損傷した体部位への制限された血流のかん流の改善、糖尿病性足潰瘍におけるかん流の改善、形成外科及びフラップ手術などの手術による虚血性組織におけるかん流の改善、及び損傷した又は炎症を起こした筋肉組織におけるかん流の改善などが挙げられるが、これらに限られない。
【0020】
慢性的創傷に加えて末梢の虚血は神経線維の進行性消失が特徴である神経障害を含むその他の疾患の進行を引き起こし得る。前記方法を用いて神経障害性組織内又は近接領域に振動刺激を与えて局所的なかん流を増加させることにより神経障害を治療することができ、虚血性神経へのかん流を増加させることで神経線維の消失が減少するとともに神経機能が改善する。
【0021】
振動刺激信号は、単一又は複数の波形から構成され得るとともに時間変化することができる。振動刺激信号の大きさは好ましくは約1マイクロメータから約15ミリメータであり、より好ましくは振動の大きさが0.001ミリメータから2.5ミリメータの間の範囲である。好ましい波形は正弦波形である。振動刺激信号の周波数は好ましくは約1Hzから約15,000Hzの範囲内である。振動刺激の力は好ましくは約0.001ニュートンから100ニュートンの範囲内である。これらの範囲の振動刺激は血管収縮又は血管拡張を引き起こす効果を有する。
【0022】
本発明の別の実施例において、振動刺激信号は着用可能システムにより提供される。このシステムは、対象の体の上に直接着用又は一以上の衣類の層の上から着用することができる。本明細書に記載される「着用可能システム」とは、以下に記載される構成要素の一部又は全てが対象の体上の所望位置に適切に保持される任意の構造を指す。
【0023】
本発明のさらに別の実施例においては、ポリウレタンや織物ベースパッチなどの接着剤又は接着パッチを用いて装置を患者の体の創傷の位置に直接取り付けることによって振動刺激信号を与える。その他の実施形態においては、例えば一以上の弾性バンド、ベルクロ(登録商標)フック及びループファスナ、テープ、クリップ又は包帯などの別のメカニズムを用いて装置が皮膚に押し付けられて保持される。
【0024】
胴体、肩、腕、肘、首、手首及び手を含む個人の上半身並びにウエスト、尻、脚、膝、足首及び足を含む下半身の適切な位置にシステムの構成要素の一部または全てを接着するよう、異なる実施形態を設計することができる。図1のブロックダイアグラムに示すように、着用可能システム10には、振動刺激を与える一以上の出力装置12、信号発生器14、コントローラ16及び配電器18が含まれる。信号発生器14、コントローラ16、電源ユニット18及び増幅器などのその他の電気/電子部品が、別ユニットとして装着されてもよく又は単一構成要素として組み込まれてもよい。出力装置12は着用可能ユニットに対して再配置可能及び/又は取り外し可能である。信号発生器14、コントローラ/駆動装置16及び電源ユニット18は基板から取り外し可能である。システム10は、有線又は無線遠隔コントロールユニットを用いて局所的に又は遠くから制御可能である。刺激の周波数、振幅、力及び持続期間などのシステムの種々のパラメータは、局所的又は遠隔コントロールユニットを用いて修正可能である。システム10は、利用の初期工程又は動作中に、連続的に、リアルタイム又はほぼリアルタイムで振動刺激を較正する手段をさらに含む。システム10は、血流への影響又はその他の生理的パラメータをモニタして対象に与えられる出力振動刺激をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正するための、一以上の閉ループフィードバック/制御回路19をさらに含んでもよい。生理的パラメータの刺激測定は、圧電薄膜センサ、温度センサ、光電脈波センサ、歪み計電脈波センサ、レーザドップラセンサ、超音波センサ又はその他の同様のセンサなどの一以上の振動又はかん流センサ(perfusion sensors)を用いて達成することができる。着用可能システム10は、電気壁ソケット、電池などの携帯用直流電源、その他の電源又は種々の電源の組み合わせによって動作する。
【0025】
本発明の別の実施例において、全ての構成要素12、14、16、18及び19が一つのシステム内に、局性的、局所的又は部分的に、創傷領域の近く又は周囲に組み込まれる。あるいは別の実施形態において、一以上の構成要素、例えば電源18又はコントローラ16、が、着用可能基板の外部に設けられる。例えば、床側コンソールに設けられるか又は着用可能基板に(複数の)ワイヤーを介して又はワイヤレスで電気的に接続される。
【0026】
装置の構成要素は、シリコーン、ポリウレタン、ナイロン、織物、紙又は基板として用いられるその他の重合体材料などの柔軟性のある材料を含む接着性基板を含む。基板の一以上の側面に接着剤が設けられて基板が皮膚又はその他の包帯材料又はぴったりとした衣服に取り付けられ、取り外されるまで取り付けられたままの状態が維持される。装置の構成要素は基板の上又は内部に位置し、振動アクチュエータ、コントローラ及び電源を含む。
【0027】
一実施例において、出力装置は、線形電磁気アクチュエータ、磁歪アクチュエータ(DMA)、水圧式アクチュエータ、非対称質量モータ、音声コイル、電気活性重合体(EPAM)又は圧電アクチュエータ又はその他の同様の装置などの電気機械的な性質のものであってもよい。
【0028】
別の実施形態において、出力装置は気圧式又は水圧式の性質のものであってもよい。これらの出力装置は、機械的な振動刺激を生成して持続させる気体含有共鳴素子又は流体含有共鳴素子を含む。あるいは、出力装置は気体含有袋もしくはチャンバ又は流体含有袋もしくはチャンバを有してもよく、これは振動刺激を生成して袋に伝える電気機械素子と組み合わせて用いられ振動刺激を対象の体表面に与える。
【0029】
さらに別の実施形態においては、本発明は対象の局所的及び/又は部分的な血液循環を操作する方法及び装置を提供し、該方法及び装置は、対象の体の一以上の領域へ一以上の振動刺激信号を与えるとともに熱さや冷たさなどの熱刺激を与える。一実施形態において、加熱コイル及び熱電冷却機などの電気的及び電子的構成要素を用いて熱さ又は冷たさが与えられる。別の実施形態において、熱刺激は、機械的、化学的又はその他の表面加熱及び冷却方法などのその他の方法を用いて与えられる。
【0030】
本発明の装置は使い捨て又は反復使用として設計されてもよく、その場合例えば再チャージ可能に構成されるか、あるいは外部電源を使用する又は皮膚に取り付け可能な素子(接着性基板)を交換する一方で同じ電子装置を使用する。
【0031】
本発明の使用方法の一例において、前記システムは、対象が休んでいる時(例えば座っている又は横になっている時)又はウォーキングのような穏やかな運動をして動いている時に使用されるよう設計されている。装置は血液循環の増加が所望される位置近くに配置され、振動アクチュエータ又は複数のアクチュエータが、皮膚に直接接触して、あるいは皮膚に非常に接近してあるいは十分に薄い包帯の層又は弛みの無い衣服の上から配置される。装置は、対象の特定の要求により決められた所定期間動作する。例えば、装置は15分間使用され非動作間隔が15分間ある。
【0032】
本発明の方法の実施に使用される装置は、振動刺激を用いて局部的な血液循環を操作するために使用される周知の装置に対して複数の改善を提供する。例えば、本発明は、末梢動脈疾患や慢性的創傷などの標的とする適応症の治療機器として機能するための特定の設計及び仕様とする能力を提供する。従来の装置は着用可能ではなく通常は手で持って操作されかつ手によって体の特定の領域に適用されるものであり、ふくらはぎ又は足などの特定の体領域上での単独使用に設計されている。このような従来の装置は、大きな振動表面を使用して広域又は体全体に振動を与えるか、あるいはかなり局所化された刺激のために非常に小さな振動提供装置を使用する。通常これらは交流電流機構を要するので装置の使用及び携帯性が制限され、また連続的な治療向けに設計されてなく、一日一度又は数度の短い期間の治療用に設計されている。さらに、従来の装置にはフィードバックループ(生理的又は機械的)が設けられてなく、また振動刺激をその他のタイプの刺激と組み合わせていない。
【0033】
本発明は、完全に着用可能であり、携帯可能で、さらに電池式で、そして体の任意の部位に簡単に適用することができるシステムを提供する。さらに、本発明は局所的/部分的な効果を奏し、短い反復期間に限られない任意の所望期間(例えば数分から数時間、数週間、数ヶ月間)にわたって連続的な治療を提供する。
【0034】
上記した全ての理由から、本発明は従来の装置に対して大きな改善を提供するとともに本明細書に記載される治療目的に特に適している。
【0035】
応用の観点から、血液循環における振動効果の研究においては、多くの場合、産業用機械から生じる振動による故障の影響又は骨量成長への振動の影響が注目されている。現在の研究は、振動の短期間適用(数秒から数分)に注目している。本発明及び本発明に導いた調査は、振動の連続的な適用及び本明細書に記載されたそれらの具体的な治療目的を対象としている。
【0036】
図2は、本発明に係る装置20の構成の一例を示し、この構成により血液循環が局所的に促進されるとともに末梢動脈疾患又は脚の虚血性創傷に起因する下側手足の痛みが軽減される。装置20は周囲24と、創傷位置27を囲む開口26と、が設けられた基板22を有する。また装置20は上面28及び下面29を有する。装置20の下面29は、対象の体の部位へ取り付けるために接着層でコーティングされてもよい。創傷位置27における創傷は、例えば糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、虚血性創傷、床擦れ、けが、手術、やけど、炎症、筋肉損傷又は内部損傷を含む。
【0037】
基板22は、例えばシリコーン、人工フォーム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、プラスチック、ナイロン、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、織物、ヒドロゲル、コラーゲン、アルギン酸塩、ゼラチン又はそれらの組み合わせから選ばれる材料から形成されている。接着層は、例えばウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート類、メタクリル樹脂及びそれらの組み合わせから選ばれる化合物を含む。
【0038】
基板22の面積及び形状は虚血性潰瘍の位置に基づいて設計することができる。例えば、足の潰瘍用の設計は、顔又は背面の創傷用のものとは異なることが要される。図2に示される実施形態の開口26は創傷位置27を完全に囲むよう設けられるが、基板22及び開口26はその他の形状であってもよく、基板22が創傷位置27を部分的に囲むよう設けられてもよい。例えば、基板22は三日月形状であってもよく、又は基板22を二個の片に分離して対称な平行線状などにしてもよい。
【0039】
装置20にはバッテリ32などの電源が設けられており、該バッテリは再チャージ可能であっても可能でなくてもよい。バッテリ32は電線34、35を介してコントローラ36に接続される。コントローラ36はプログラム可能なマイクロプロセッサでもよい。装置20は電線39を介してコントローラ36と電気通信する広範囲周波数振動エネルギー発生器38を有する。振動発生器38は、血管拡張作用又は血管収縮作用のある周波数を虚血性創傷の周りの組織(例えば足裏又は下肢)に伝えて局所的な血液循環を促進させる。振動発生器38は圧電アクチュエータなどのアクチュエータでもよい。コントローラ36は内部又は外部に格納されたプログラムを実行して振動発生器38に電気信号を与え、該振動発生器38の振動刺激の周波数、振幅、力及び/又はタイミングを調整する。
【0040】
図2の装置20の振動刺激信号は単一又は複数の波形であってもよく、正弦波、矩形波、パルス、三角波又はそれらの組み合わせであってもよく、一方向性又は多方向性でもよく、時間変化してもよい。振動刺激信号の振幅は約1μmから約15ミリメータであることが好ましい。振動刺激信号の周波数は約1Hzから約15,000Hzの範囲内であることが好ましい。振動刺激の力は約0.001ニュートンから約100ニュートンの範囲内であることが好ましい。
【0041】
任意的に、基板22に近接する組織に振動センサ又はかん流センサを適用してもよい。振動センサ又はかん流センサは刺激の所定の周波数及び電力に対する生理的な反応をモニタする。振動センサ又はかん流センサはコントローラ36と電気通信し、コントローラ36は格納されたプログラムを実行して、振動センサ又はかん流センサにより取得された測定値を示す電気信号に基づいて振動刺激の周波数及び電力を調整する。コントローラ36は振動センサ又はかん流センサにより収集されたデータを統合して振動発生器38により送信された振動周波数及びエネルギーを調整する。振動フィードバックは、皮膚センサ、振動発生素子に埋め込まれたセンサ、振動発生素子に取り付けられたセンサ、あるいは振動発生素子による電流及び/又は電圧引き込みを検出してそれに基づき前記素子の性能を推測するコントローラ36のソフトウェア及び/又はハードウェアでもよい。
【0042】
コントローラ36は振動発生器38を制御するために様々なアルゴリズムを用いてプログラム化することができる。一実施例に係るアルゴリズムにおいては、コントローラ36は内部又は外部に格納されたプログラムを実行して、第一期間中、第一電気信号を振動発生素子に提供する。第一電気信号は、振動発生素子の振動の周波数及び/又は振幅及び/又は力を制御する。第一期間が終わると、コントローラ36は、第二期間中、第一電気信号を振動発生素子に提供することを停止する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を減少もしくは増大させる。第二期間が終わると、コントローラ36は、第三期間中、第一電気信号を振動発生素子に提供することを再開する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を増大もしくは減少させる。任意的に、第三期間中の振動発生素子の振動の周波数及び振幅及び力のうちの少なくとも一つが、第一期間中の振動発生素子の振動の周波数及び振幅と異なってもよい。
【0043】
別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は、第四期間中、振動発生素子に第一電気信号を与えることを停止する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を減少もしくは増大させ、その後、第五期間中、第一電気信号を振動発生素子に与えることを再開する又は振動発生素子に与えられる第一振動信号の強度を増大もしくは減少させる。
【0044】
さらに別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は第一電気信号を振動発生素子に提供し、該第一電気信号によって振動発生素子の振動の周波数及び振幅及び力が制御される。またコントローラ36は、振動発生素子の振動の周波数及び振幅及び力のうちの少なくとも一つが変化するよう、振動発生素子に与えられる第一電気信号を変化させる。
【0045】
さらに別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は、第一期間中第一電気信号を振動発生素子に提供して、振動発生素子の振動の周波数及び/又は振幅及び/又は力を制御する。またコントローラ36は、基板22に近接する組織に適用されたかん流センサ又は振動センサから受信した第二電気フィードバック信号に基づいて、振動発生素子へ提供された第一電気信号を変化させることができる。
【0046】
さらに別の実施例によるアルゴリズムにおいては、コントローラ36は、第一期間中、第一信号を第一振動発生素子に提供して第一振動発生素子の振動の周波数及び/又は振幅及び/又は力を制御し、そして、第二期間中、第一電気信号を第一振動発生素子に提供するのを停止し、そしてその後、第三期間中、第二電気信号を第二振動発生素子に提供して第二振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する。
【0047】
当然ながら、プログラム可能なコントローラ36が、振動発生器38、個別でも振動発生器のグループとしてでもよい、の種々の周波数、振幅及び力での種々の動作又は非動作期間に対する膨大な数のプログラムを含むことができる。例えば、第一期間の間中に振動発生器38が一分間から二時間動作してもよく、その間振動発生器38は第一の周波数、振幅及び力で振動を皮膚に送る。そしてその後、一分間から六時間の第二期間中、振動発生器38は皮膚に振動を送らない。動作のタイミング(例えば一連の期間)は、例えば数日間、数週間、又は数ヶ月間にわたって繰り返し可能である。
【0048】
本発明に係るキットは、バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38、電線39、基板22、かん流センサ、振動センサ及び使用説明書、のうちの一以上を含む。バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39は、基板22の上面28に、接着剤、ベルクロ(登録商標)フック及びループファスナなどのファスナ又は指定のポーチ(pouch)などの適切な取り付け手段を用いて取り付けられる。あるいは、バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39は、基板22の上面28及び第二外基板(図示せず)の間に組み込まれてもよい。あるいは、バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39を、硬い又はやわらかいシェル状のケースに入れて基板22の上面28に取り付ける又は基板22の上面28及び第二外基板の間に組み込んでもよい。バッテリ32、電線34、35、コントローラ36、振動発生器38及び電線39を基板22の上面28に取り外し可能に取り付ける(例えばベルクロ(登録商標)フック及びループファスナを用いて取り付ける)ことにより、様々な間隔で(例えば毎日)交換される使い捨て可能な基板上の電気部品を再利用することが可能となる。あるいは、バッテリ32及びコントローラ36を適切なハウジング内に配置し、電線を基盤22上の適切なプラグに差し込んで振動発生器38と電気接続させてもよい。ハウジングはベッド支持体、ベルト又は体の部位(腕や脚など)に取り付けられてもよく、あるいはハウジングはポケットやハンドバッグなどの入れ物の中に配置されてもよい。
【0049】
装置20はその他の治療と同時に使用されてもよい。例えば、装置20は、創傷上に(別々に)配置されたヒドロゲルマトリックスと同時に使用されてもよい。該ヒドロゲルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、その他の多価酸、複数の多価酸の共重合体、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ゼラチン、コラーゲン、セルロース、誘導体化セルロース、キトサン、アルギン酸塩、チオール修飾ヒアルロナン及びそれらの組み合わせ又はそれらの共重合体のうちの一以上を含む。またヒドロゲルは、ケイ素樹脂又は織物などの合成材料からも作成することができる。その他の治療は、血小板由来成長因子の血管内皮成長因子、などの成長因子、幹細胞、前駆細胞、線維芽細胞又はその他の細胞などの細胞療法、遺伝子治療、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。ヒドロゲルマトリックスは、成長因子、幹細胞、前駆細胞、線維芽細胞、遺伝子治療及びそれらの組み合わせから選択される生物活性剤を含んでもよい。基板22は、細胞、前駆体、薬物、酵素、有機触媒、リボザイム、有機金属、タンパク質、糖たんぱく質、ペプチド、ポリアミノ酸、抗体、核酸、ステロイド性分子、抗生物質、抗真菌薬、サイトカイン、成長因子、炭水化物、油分をはじく物質、脂質、調剤、治療薬及びそれらの混合から選択される生物活性剤を含んでもよい。基板22は皮膚の外見を改善するために用いられる化粧品を含んでもよい。その他の治療は、負圧、高圧酸素、圧縮装置、衝撃波及び超音波装置並びに電流刺激から選択されてもよい。
【0050】
装置20は、支持体の下に負圧をかける装置、高圧酸素装置、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置及び電流刺激装置などのその他の装置と組み合わせて使用してもよい。また装置は、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的又は生物活性創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせと組み合わせて使用してもよい。
【0051】
図11は、人間の右足111及びくるぶし112の左後ろから見た斜視図であり、本発明の装置20がくるぶし部分及びアーチ部分に配置されている。図12は人間の右足111の下側から見た図であり、本発明の装置20が足裏に配置されている。装置20は、振動刺激により足及び/又はくるぶしにおいて血管収縮又は血管拡張を生じさせる。装置は右足111及び/又はくるぶし112に適合した形状を有する。
【0052】
図3〜10に、本発明の装置50の別の実施形態を示す。装置50は、形状及び表面調整可能負圧アプリケータ(SSANPA)とも呼ばれる。SSANPA装置50は、皮膚表面に負圧をかける方法を提供する。装置50の形状は負圧がかけられる所望の組織及び領域の形状と適合するようカスタマイズ可能である。また装置50は、正常な皮膚及び/又は創傷周囲領域の皮膚に負圧(真空)をかけるのに特に適している。
【0053】
図3及び図4を参照すると、周囲54を有する慢性的な創傷52が、ヒト患者の下脚58のふくらはぎ56上で診断される。慢性的な創傷52の診断に続いて、創傷測定(例えば創傷52の周囲54)が直接又は画像法を用いて患者から測定される。これらの測定値を用いて図4に示す創傷マップ62が作成される。創傷マップ62は、創傷52の周囲54に対応する内縁64が設けられた開口63を有する。また創傷マップ62は外周65を有する。柔軟なプラスチック材が創傷マップ62の形成に適している。
【0054】
次に図5、図6及び図6Aを参照すると、創傷マップ62を用いて作成された装置50の一実施形態が示される。装置50は、対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な皮膚パッチ70を有する。皮膚パッチ70は多孔質層72を有し、該多孔質層72は流体(例えば空気)が多孔質層72の第一の側74から反対側の多孔質層72の第二の側75に通過できるよう構成されている。皮膚パッチ70は、多孔質層72の第二の側75を覆う不浸透性の外側層76をさらに有する。また皮膚パッチ70は、多孔質層72の第二の側75から外側層76の外表面79にのびる流体通路78をさらに有する。流体通路78は、外側層76の外表面79の中空コネクタ80の位置で終端する。示される実施例では中空コネクタで終端する一つの流体通路を有するが、中空コネクタで終端する一以上の流体通路を装置50に設けてもよい。
【0055】
皮膚パッチ70は創傷マップ62の外周65と類似のカットされていない四角形の形状を有していてもよい。創傷マップ62の外周65はカットされていない皮膚パッチの外周とそろえられ、皮膚パッチは創傷62の内縁64(図4参照)をたどってカットされる。皮膚パッチ70はおよそ半分にカットされて図5及び図6に例示される皮膚パッチ70が形成される。成形された柔軟な皮膚パッチ70は創傷52の隣に配置され、シールテープ82が、柔軟な皮膚パッチ70とヒト患者の下脚58のふくらはぎ56の皮膚との両方を覆うよう皮膚パッチの外周縁に沿って貼られる。管84を用いて真空ポンプをコネクタ80に接続してもよい。
【0056】
一形態において、シールテープ82は、幅が0.1センチから30センチ、より好ましくは0.5センチから5センチの柔軟で伸縮可能なテープである。テープ82の厚さは0.001ミリメータから5ミリメータ、より好ましくは0.01ミリメータから2.5ミリメータである。またシールテープは一方の側が接着剤でコーティングされて、皮膚と皮膚パッチ70の周囲との両方に貼り付けられた時に皮膚パッチ70の気密を保つ。シールテープの接着成分は、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。シールテープ82の基板は、重合体材料、ラテックス、ゴム、シリコーン、織物、セルロース又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0057】
別の実施形態において、シールテープを柔軟な皮膚パッチ70を覆うとともに皮膚を覆う接着フィルムで置き換えて気密チャンバを形成してもよい。接着フィルムは気体及び液体コネクタ(コネクタ80など)を含んでもよく、これにより真空ポンプと接続される。接着フィルムの厚さは0.001ミリメータから5ミリメータでもよく、より好ましくは0.01ミリメータから2.5ミリメータでもよい。またシールテープは一方の側が接着剤でコーティングされて、皮膚と皮膚パッチ70の周囲との両方に貼り付けられた時に皮膚パッチ70の気密を保つ。
【0058】
接着フィルムの接着成分は、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。シールテープ82の基板は、重合体材料、ポリウレタン、ナイロン、ラテックス、ゴム、シリコーン、織物、セルロース又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0059】
例えば、シールフィルムとしてスミスアンドネフュー社製のオプサイト(登録商標)製品及び3M社製のナイロンフィルうであるテガダーム(登録商標)を用いてもよい。オプサイト(登録商標)製品は半浸透性の接着剤コーティングされたポリウレタンフィルムである。シールフィルムの厚さは約0.003インチ(0.076mm)であるが、別の厚さを有する任意の閉塞性又は半閉塞性フィルムであってもよい。シールフィルムは、真空又は負圧が保たれるフィルムの下及び皮膚パッチ70の周りを密封するよう設けられている。
【0060】
図6及び図6Aに示す実施形態において、装置50は、内部で真空を作りそれを創傷52の上方にあるヒト患者の下脚58のふくらはぎ56の皮膚に与える装置として機能する。当然ながら、装置50は患者の体の皮膚のその他の領域に真空を与えるために使用してもよい。装置50に接する皮膚又は組織が装置50の底で密封壁として機能するので、装置50の密封壁として機能する皮膚又は組織に装置50内の負圧が加えられる。管84がコネクタ80及び負圧源(例えば真空ポンプ)に接続されると、皮膚パッチ70の下の体領域上に負圧が加えられて体領域内で血流が増加する。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aに真空ポンプを用いてコネクタ80を介して負圧を加えることにより、1から2000mmHg、より好ましくは25から500mmHgの負圧が生じる。
【0061】
装置50の多孔質層72及び外側層76を組み合わせたものは薄い(1から10ミリメータが好ましいが、10ミリメータから500ミリメータ以上でもよい)。多孔質層72は、例えばオープンセルポリウレタンフォーム及びオープンセルポリビニルアルコールフォームなどの弾力性のある重合体材料、ポリエチレン、エーテル様エステル、スチレン樹脂又はその他の合成物質、生物的又は生分解性重合体、織物、異なる重合体の層、織物層及び/又はそれらの組み合わせから作成される。これにより、負圧治療中に使用される通常の負圧下で皮膚パッチ70が破壊されることが防止されるとともに皮膚パッチ70に屈曲及びカットのための柔軟性を残すことができ、よって皮膚パッチ70を、異なる形状及び地形を覆うように調整する又は異なる形状及び地形を結合して形成するよう調整することができる。皮膚パッチ70の多孔質層72は流体(例えば空気)の流れを許容する。一形態において、多孔質層72の厚さは0.1センチメータから10センチメータであり、より好ましくは0.2ミリメータから2センチメータである。
【0062】
一実施形態において、多孔質層72の基部表面(皮膚と接する側)は少なくとも部分的に接着剤層でコーティングされ、これにより皮膚パッチ70が皮膚又は組織に取り付けられる。別の実施形態では多孔質層72の基部表面は接着剤でコーティングされていない。皮膚パッチ70の外側層76の上面は、流体が上側バリアを横切るのを防ぐ気密重合体の薄層又はその他の材料を適用することにより流体(例えば気体)に対して密封されてもよい。外側層76は、ゴム、ラテックス、シリコーン、ナイロン又はその他の柔軟な重合体材料、織物、及び/又はそれらの組み合わせなどの合成又は天然重合体から作られてもよい。
【0063】
柔軟なシールテープ82は、体に多孔質層72を取り付けた後、皮膚パッチ70を密封するために用いられる。シールテープ82はラテックス(酢酸ビニル、スチレンブタジエン、アクリレート)などの薄い弾性重合体から作成され、その一方の側が接着剤でコーティングされている。シールテープ82は、皮膚又は組織に取り付けられた後に皮膚パッチ70の形状及び地形と合致するために最大の弾性力を有するよう設計される。シールテープ82の幅は、皮膚パッチ70と皮膚又は組織との両方への取付けが便利且つ安全となるような幅であることが好ましい。一実施例において、シールテープ82は真空包帯を全体的に覆う寸法を有し、これによって真空包帯の上部シーリング材として機能する。
【0064】
皮膚パッチは、その形状(元々の形状設計)を修正することなく使用できる。図7及び図9を見ると、装置50aの皮膚パッチ70aは外周86を有する。皮膚パッチ70aの外周86は、シール材88(図7に部分的に示す)を用いてコーティングされ又は覆われて密封されてもよい。皮膚パッチ70aを皮膚に取り付けて真空を保つため、皮膚に接する縁が密封されるべきである。これを達成するために、皮膚パッチ70aの基部側の外周86は、皮膚パッチ70aの上側と同様に気密にされた後、図9に示す接着剤89を用いてコーティングされて、皮膚パッチ70aが皮膚へ取り付けられた時に気密が保たれるよう皮膚に固定され、これにより皮膚パッチ70aと皮膚との間に気密又は半気密(即ち呼吸可能フィルム)空間が作成される。接着剤は例えばウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0065】
図10を参照すると、皮膚パッチ70aを固定して気密空間を作る別の方法において、接着剤を有する又は有さない弾性重合体の薄層91が、外周86に沿って皮膚パッチ70a基部から外側皮膚の方向に(皮膚パッチ70aの中心の反対に向かって)設けられる。これにより、真空が与えられた時に薄い柔軟な層又は複数の層が真空圧により引き込まれて皮膚パッチ70aにおいて空気漏れがなくなる。薄い柔軟な層の幅は例えば0.01から2ミリメータ、より好ましくは0.05から0.5ミリメータである。薄い柔軟な層は断片化され又は連続的で皮膚パッチ70aの周囲に沿って閉じた線を形成していてもよい。薄い柔軟な層の長さ、即ち薄い柔軟な層における接触点から皮膚パッチ70aの基部までの長さ、は、0.01から4センチメータ、より好ましくは0.5から10ミリメータである。そのような密封配置が図10に示される。
【0066】
血流を促進させるために装置をその他の素子と組み合わせてもよい。図8に示す一実施形態では、装置50bは、圧電アクチュエータ、振動モータ、音声コイル、電気活性重合体人工筋肉(EPAM)又はその他の振動素子などの皮膚又は組織に振動を伝える一以上の振動ユニット92を有する。これらの振動は、低周波数が1から1000Hzの範囲で、そして高周波数が1000から20,000Hz又は超音波の範囲で変化してもよい。振動装置を皮膚パッチ70aに埋め込む場合、皮膚パッチ70aに電力入力を取り付けてもよく、コントローラ95、振動ユニット92の電力供給装置及び真空ポンプ96を、接続空気管84及び電線97を介して皮膚パッチ70aに接続してもよい。
【0067】
真空ポンプ96を制御するために、コントローラ95を種々のアルゴリズムを用いてプログラムしてもよい。一実施例において、コントローラ95は内部又は外部プログラムを実行して、第一期間中、真空ポンプ96に第一電気信号を提供して真空ポンプ96を動作させる。第一期間が終了した後、コントローラ95は、第二期間中、真空ポンプ96が動作しないよう第一電気信号を真空ポンプ96に送ることを停止する。第二期間が終了した後、コントローラ95は、第三期間中、真空ポンプ96を動作させるために第一電気信号を真空ポンプ96へ送ることを再開する。当然ながら、プログラム可能なコントローラ95により、真空ポンプ96の動作又は非動作の種々の期間及び種々のポンプ圧を提供する多数のプログラムを用いることが可能となる。また、振動ユニット92を制御するために、コントローラ95を格納されたプログラム内の種々のアルゴリズムを用いてプログラムしてもよい。例としてのアルゴリズムの詳細はコントローラ36を参照して上記した。
【0068】
図8に示す実施形態の振動刺激信号は単一又は複数の波形であってもよく、正弦波、矩形波、パルス、三角波又はそれらの組み合わせであってもよく、一方向性又は多方向性でもよく、時間変化してもよい。振動刺激信号の振幅は約1μmから約15ミリメータであることが好ましい。振動刺激信号の周波数は約1Hzから約15,000Hzの範囲内であることが好ましい。振動刺激の力は約0.001ニュートンから約100ニュートンの範囲内であることが好ましい。
【0069】
皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aの別の実施形態は上記した振動発生器38などの振動素子を含むとともに振動素子の動作を制御するコントローラ95並びに振動素子及びコントローラに電力を与える電力ユニットを含み、これらは皮膚パッチ70aに埋め込まれている。
【0070】
別の実施形態において、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、圧電ポンプ又はモータ駆動ポンプ、真空コントローラなどのマイクロ真空ポンプ及び電力供給装置を含み、これにより皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aを外部の真空ポンプ及びコントローラに接続する必要がなくなる。
【0071】
別の実施形態において、振動素子を含む皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aのなかに真空ポンプ、真空ポンプ用のコントローラ、振動装置用のコントローラ真空ポンプ用の電力供給装置、真空コントローラ、振動コントーラ及び振動素子の両方をさらに含む。
【0072】
別の実施形態において、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70a、(複数の)振動素子の有り無しに関わらず、は、皮膚もしくは組織を加熱する加熱素子又は皮膚もしくは組織を冷却する冷却素子をさらに含む。
【0073】
別の実施形態において、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aを、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aに埋め込まれたあるいは皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aに接続された電気刺激装置と組み合わせてもよい。電気刺激は創傷の治癒において有益であり、両方の技術を使用することにより効能が高まるとともにより良い成果が生じる。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、電気刺激素子に加え、(複数の)薬物デリバリー素子、(複数の)マッサージ素子、(複数の)圧縮素子、(複数の)振動素子及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0074】
本発明に係るキットは、皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70a、シールフィルム、真空ポンプ96、真空管84、振動コントローラ95及び取扱説明書を含んでもよい。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的又は生物活性創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせと組み合わせて用いられてもよい。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aはとりわけ、例えばしわやセルライトの減少、治癒の促進による筋肉損傷及び筋肉炎症などのスポーツ損傷の治療、皮膚のかん流を改善することによる皮膚状態の改善、形成外科及び再建外科手術及び/又はそれらの組み合わせにおいて皮膚の外見を改善する化粧用途に適している。皮膚パッチ70又は皮膚パッチ70aは、皮膚の外見を改善するための化粧用途の化粧品を含んでもよい。
【0075】
装置50及び装置50aは多くの利点を有する。例えば、慢性的創傷、外科的切開痕及びその他のタイプの創傷の治療のために負圧を用いることができる。本発明に係る技術は、特に創傷自体でなく創傷を囲む皮膚を標的にする。本発明に係る技術は、介護人が、皮膚パッチを所望の形状にカットして真空皮膚パッチを治療領域に取り付けるだけで、真空付与装置の寸法及び形状の最適化をより柔軟に行うことができるようにする。本発明の技術において、創傷上に与えられた真空が創傷縁の血流に影響を及ぼすと同時に、創傷を囲む皮膚内及び皮下の循環が大幅に改善され、これによって創傷領域内のかん流が改善されて創傷の治癒が促進されるという効果がある。皮膚パッチと振動素子の組み合わせは二つの相補的な血流誘発メカニズムを提供する。これにより、二重反応によって効能が高まり、複数の刺激のうちの一つに患者が確実に反応する可能性が高まることによって治療の反応率が高まる。
【0076】
装置50及び装置50aは、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置及び電流刺激装置などのその他の装置と組み合わせて使用することができる。
【0077】
(例)
本発明をさらに描写するために、以下に例を示すが、以下の例は本発明を限定することを意図していない。
【0078】
(例1)
分析方法及び結果
圧電アクチュエータ(直径1インチ)をコントローラユニットにより制御されるプラスチックの筐体内に封入した。筐体は、接着テープをアクチュエータ上に貼ることによりヒト患者の仙骨に取り付けた。15から30分の順応期間の後、振動刺激を開始(20Hz、8ミル(mils)の振幅)し5分のオン/オフサイクルの断続的な刺激として継続させた。THI(全ヘモグロビン指数)を時間に対して記録した。50分後、THIのレベルは水平状態に到達し、刺激が停止した。減少期間及びTHIレベルの基底線への戻りの後、刺激が再開し、267分で新しいサイクルを開始した。装置を自己制御して血流を長期間にわたり増加させることができるよう、血流刺激サイクルを連続動作アルゴリズムの発展に使用することができる。例えば、図13の時間に対するTHIのプロットから、動作の同等なパラメータを有するアクチュエータが皮膚に取り付けられた場合に5分のオン/オフサイクルで50分間駆動され、その後刺激の新しいサイクルが開始する前に200分間停止されたことが分かる。オンとオフのサイクルは、対象間及び体の位置間で変化可能である。この動的特性がどのように対象間及び/又は体の位置間で変化するかについての測定は、長期(数時間から数日)動作における特定のアルゴリズムの発展に使用することができる。本研究では、InSpectra(登録商標)StO2組織酸素化モニタを用いた。類似の装置又は血流測定に使用されるその他の装置を用いて、振動に基づく血流シミュレーションと共に用いられる長期動作アルゴリズムの発展における組織血流、温度、組織酸素化度(oxygenation)又はTHIを測定することができる。
【0079】
(例2)
例1と同様の振動装置をヒト患者のくるぶしに適用した。レーザドップラスペックル技術を用いる全フィールドビデオフレームレート血流画像化システムであるmoorFLPIシステムを用いた測定によると、この装置により、かかと及び足指(糖尿病及び大動脈足部潰瘍における重要な位置)の血流が二倍増加した。
【0080】
(例3)
例1と同様の振動装置をヒト患者の仙骨に適用した。例1と同様のプロトコルを使用したInSpectra(登録商標)StO2組織酸素化モニタを用いた測定によると、この振動装置により、仙骨(下方背面、床擦れの80%の位置)において組織の酸素化が2.5倍以上増加した。図14を参照されたい。
【0081】
(例4)
振動圧電性素子を含む真空チャンバを仙骨上に配置した。15分間の順応期間に続いて、振動刺激を開始(20Hz、8ミル(mils)の振幅)し5分のオン/オフサイクルの断続的な刺激として継続させた。組織酸素化度(StO2)(図15のチャートa参照)及び全ヘモグロビン(THI)(図15のチャートb参照)が、それぞれ270%及び70%増加した。StO2のレベルが水平状態に近づいている時に断続的な真空(25mmHg)が加えられ、StO2及びTHIがそれぞれ10%及び20%増加した。
【0082】
したがって、本発明は、振動刺激及び/又は負圧を用いて血管拡張又は血管収縮などの局所的及び/又は局部的循環を操作する方法及び装置を提供する。本発明の装置により、血流、組織酸素化度及び患者内の全ヘモグロビンを増加させることができる。したがって、本発明の装置は、皮膚の外見を改善する方法、治癒を促進させることによるスポーツ創傷及びその他の外傷性創傷の治療方法、術後の治癒を促進させる方法(例えば形成外科及び再建外科手術)、対象の末梢動脈疾患又は末梢血管疾患の治療方法、対象の創傷治癒の改善方法、対象の組織酸素化度を増加させる方法、対象の皮膚潰瘍の治癒を改善する方法、性的不能の治療方法、片頭痛の治療方法、抜け毛の治療方法、神経障害の治療方法及び足底筋膜炎の治療方法において有益であると考える。
【0083】
本発明について特定の実施形態を参照して詳細に記載したが、当業者にとって明らかなように、本発明は、描写目的で記載された限定することを意図していない実施形態とは別の形態で実施することができる。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は本明細書に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記支持体が、パッチと該パッチに設けられた取付け層とを有し、
前記取付け層が、前記対象の前記体の前記部分の皮膚に前記パッチを取り付ける接着剤であって生体適合性を有する接着剤を有し、そして、
前記対象の前記体の前記部分の皮膚に前記パッチが取り付けられた時に前記振動発生素子が前記皮膚に振動を伝えるよう、前記振動発生素子が前記支持体の内部又は上に配置されている
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項2】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記支持体が開口を有し、該開口の寸法は、前記対象の前記体の前記部分の皮膚の上にパッチが配置された時に前記対象の前記体の前記部分の創傷を完全に又は部分的に囲む寸法に形成され、
前記対象の前記体の前記部分の皮膚に前記パッチが配置された時に前記振動発生素子が前記皮膚に振動を伝えるよう、前記振動発生素子が前記支持体の内部又は上に配置されている
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項3】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、電源と、前記振動発生素子及び前記電源と電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記コントローラはプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(iii)第二期間中、前記振動発生素子に前記第一電気信号を提供することを停止する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させ、
(iv)第三期間中、前記振動発生素子への前記第一電気信号の提供を再開する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項4】
前記コントローラは以下のプログラムをさらに実行するよう構成され、該プログラムにより、
(v)第四期間中、前記振動発生素子に前記第一電気信号を提供することを停止する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させ、
(vi)第五期間中、前記振動発生素子への前記第一電気信号の提供を再開する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる
ことを特徴とする請求項3に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項5】
前記第三期間中の前記振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力のうちの少なくとも一つが、前記第一期間中の前記振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力と異なることを特徴とする請求項3に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項6】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた第一振動発生素子と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた第二振動発生素子と、電源と、前記第一振動発生素子及び前記第二振動発生素子及び前記電源と電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記コントローラはプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記第一振動発生素子に、該第一振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(ii)第二期間中、前記第一振動発生素子に前記第一電気信号を提供することを停止し、
(iii)第三期間中、前記第二振動発生素子に、該第二振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第二電気信号を提供する
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項7】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、電源と、前記振動発生素子及び前記電源と電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記コントローラはプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(iii)前記振動発生素子の振動の周波数又は振幅又は力のうちの少なくとも一つが変化するよう、前記振動発生素子への前記第一電気信号を変化させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項8】
対象の体の第一部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、前記対象の前記体の第二部分を覆うかん流センサと、電源と、前記振動発生素子及び前記電源及び前記かん流センサと電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記対象の前記体の前記第二部分は、前記対象の前記体の前記一部分に隣接する又は該第一部分の内側にあり、
前記コントローラは該コントローラに格納されたプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(ii)前記かん流センサから受信した第二電気信号に基づいて、前記振動発生素子へ提供される前記第一電気信号を変化させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項9】
前記かん流センサは、圧電薄膜センサ、温度センサ、光電脈波センサ、歪み計電脈波センサ、レーザドップラセンサ、レーザスペックルセンサ、赤外イメージング、赤外分光器及び超音波センサから選択されることを特徴とする請求項8に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項10】
対象の体の第一部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、前記対象の前記体の第二部分を覆う振動センサと、電源と、前記振動発生素子及び前記電源及び前記振動センサと電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記対象の前記体の前記第二部分は、前記対象の前記体の前記一部分に隣接する又は該第一部分の内側にあり、
前記コントローラは該コントローラに格納されたプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(ii)前記振動センサから受信した第二電気信号に基づいて、前記振動発生素子へ提供される前記第一電気信号を変化させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項11】
前記装置が、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた複数の振動発生素子を有していることを特徴とする請求項1〜5及び請求項7〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項12】
前記支持体が、シリコーン、人工フォーム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、プラスチック、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、織物、ヒドロゲル、コラーゲン、アルギン酸塩、ゼラチン又はそれらの組み合わせから選択される材料から作成されたパッチを備えることを特徴とする請求項12に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項13】
前記支持体が前記パッチに設けられた接着層をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項14】
前記接着層が、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート類、メタクリル樹脂及びそれらの組み合わせから選択される化合物を備えることを特徴とする請求項13に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項15】
各振動発生素子が、線形電磁気アクチュエータ、非対称質量モータ、音声コイル、電気活性重合体、圧電アクチュエータ、流体含有共鳴素子、気体含有共鳴素子及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項16】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の動作タイミングを制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項17】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の振動の周波数を制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項18】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の振動の振幅を制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項19】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の振動の力を制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項20】
前記コントローラ及び前記電源が前記支持体に埋め込まれている又は取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項21】
前記コントローラ及び前記電源と通信する電線が、プラグを介して前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項22】
前記コントローラ、前記電源及び前記振動発生素子が、前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項23】
前記コントローラ、前記電源及び前記振動発生素子が、フック及びループファスナ、接着剤又はポーチを介して前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項24】
前記電気信号が、(i)単一又は複数の波形、(ii)一方向性又は多方向性、(iii)正弦波、矩形波、パルス、三角波又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項25】
前記振動発生素子の振動が1Hzから15,000Hzであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項26】
前記振動発生素子の振動の振幅が0.001ミリメータから2.5ミリメータであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項27】
前記振動発生素子の振動の力が0.001ニュートンから100ニュートンであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項28】
前記対象の前記体の前記部分が創傷を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項29】
前記創傷が、糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、虚血性創傷、床擦れ、けが、手術、外科的切開痕、手術創傷、やけど、炎症、筋肉損傷、筋肉炎症、筋骨格損傷及び内部損傷からなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項30】
前記装置が、前記対象の前記体の前記部分における血流を増加させるために使用されることを特徴とする請求項29に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項31】
前記装置が血液循環を促進させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項32】
前記対象の前記体の前記部分が創傷を含み、
前記装置が前記創傷を覆うヒドロゲルマトリックスをさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項33】
前記ヒドロゲルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、その他の多価酸、複数の多価酸の共重合体、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ゼラチン、コラーゲン、セルロース、誘導体化セルロース、キトサン、アルギン酸塩、チオール修飾ヒアルロナン、エマルジョン及びそれらの組み合わせ又はそれらの共重合体から選択されることを特徴とする請求項32に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項34】
前記ヒドロゲルマトリックスが、シリコーン、人工フォーム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、プラスチック、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、織物、ヒドロゲル、コラーゲン、アルギン酸塩、ゼラチン又はそれらの組み合わせから選択される合成材料を含むことを特徴とする請求項32に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項35】
前記ヒドロゲルマトリックスが、成長因子、幹細胞、前駆細胞、線維芽細胞、遺伝子治療及びそれらの組み合わせから選択される生物活性剤を含むことを特徴とする請求項32に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項36】
前記支持体が、細胞、前駆体、薬物、酵素、有機触媒、リボザイム、有機金属、タンパク質、糖たんぱく質、ペプチド、ポリアミノ酸、抗体、核酸、ステロイド性分子、抗生物質、抗真菌薬、サイトカイン、成長因子、炭水化物、油分をはじく物質、脂質、調剤、治療薬、化粧品及びそれらの混合から選択される生物活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項37】
前記装置が、前記支持体の下に負圧を加える装置、高圧酸素装置、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置及び電流刺激装置のうちの少なくとも一つをさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項38】
前記装置が前記支持体の下に負圧を加える装置をさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項39】
前記装置が前記支持体に隣接する場所に負圧を加える装置をさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれか一項に記載の装置を、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせと組み合わせて使用することを特徴とする治療方法。
【請求項41】
前記生物学的創傷包帯がヒドロゲルであることを特徴とする請求項40に記載の治療方法。
【請求項42】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に隣接する又は該皮膚上に位置決めする工程と、
前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝える工程と、
を有することを特徴とする皮膚の外見を改善する方法。
【請求項43】
前記支持体が化粧料を含むことを特徴とする請求項42に記載の治療方法。
【請求項44】
前記振動発生素子が前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項43に記載の治療方法。
【請求項45】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする治癒促進によりスポーツ損傷を治療する方法。
【請求項46】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする術後の治癒を促進させる方法。
【請求項47】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の末梢動脈疾患又は末梢血管疾患を治療する方法。
【請求項48】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の創傷の治癒を促進する方法。
【請求項49】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の組織酸素化度を増大する方法。
【請求項50】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めする工程と、
前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝える工程と、
を有することを特徴とする対象の皮膚潰瘍の治癒を促進する方法。
【請求項51】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の虚血性組織への血流を改善する方法。
【請求項52】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする性的不能を治療する方法。
【請求項53】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする片頭痛の治療方法。
【請求項54】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めする工程と、
前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝える工程と、
を有することを特徴とする抜け毛の治療方法。
【請求項55】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする神経障害の治療方法。
【請求項56】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な皮膚パッチを有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記パッチが、多孔質層の第一の側から反対側の該多孔質層の第二の側に流体が通過可能な多孔質層を有し、
前記パッチが前記多孔質層の第二の側を覆う不浸透性の外側層をさらに有し、
前記パッチが前記多孔質層の前記第二の側から前記外側層の外表面にのびる流体通路をさらに有し、
前記流体通路が前記外側層の前記外表面の中空のコネクタの位置で終端しており、
前記パッチの前記多孔質層の前記第一の側が前記対象の前記体の前記部分上に位置決めされ、前記コネクタが負圧源に接続された時に、前記パッチの下の前記対象の前記体の前記部分に負圧が加えられることにより血流が増加するよう、前記コネクタ、前記流体通路及び前記多孔質層が構成されている
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項57】
前記パッチの下の前記対象の前記体の前記部分の皮膚又は組織に振動を与えるために、前記パッチに埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子をさらに有することを特徴とする請求項57に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項58】
前記振動発生素子が、線形電磁気アクチュエータ、非対称質量モータ、振動モータ、音声コイル、電気活性重合体、電気活性重合体人工筋肉、圧電アクチュエータ、流体含有共鳴素子、気体含有共鳴素子及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項57に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項59】
電気刺激素子、薬物デリバリー素子、マッサージ素子、圧縮素子、振動素子、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置、電流刺激装置及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つをさらに有することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項60】
前記多孔質層の前記第一の側が少なくとも部分的に接着剤でコーティングされていることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項61】
前記多孔質層の厚さが0.1センチメータから10センチメータであることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項62】
前記多孔質層の厚さが0.2ミリメータから2センチメータであることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項63】
前記コネクタと係合する寸法に形成された第一端と真空ポンプに接続される第二端とを有する管取り付け素子をさらに有することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項64】
前記多孔質層が重合体材料を備えたことを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項65】
前記重合体材料が、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、エーテル様エステル、スチレン樹脂、その他の生分解性重合体、織物、異なる重合体の層、織物層及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項66】
前記外側層が合成重合体又は天然重合体を備えることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項67】
前記重合体が、ゴム、ラテックス、シリコーン、ナイロン、その他の柔軟な重合体、織物及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項66に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項68】
前記皮膚パッチが、密封され接着剤でコーティングされた縁部を有し、これにより前記パッチが前記対象の前記体の前記部分に位置付けられた時に前記縁部が皮膚と前記皮膚パッチとの間に気密空間を画定することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項69】
前記皮膚パッチが前記対象の前記体の前記部分上の創傷の周囲部分に適合する形状に形成された外縁を有することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項70】
前記皮膚パッチが該皮膚パッチの周囲に適用された重合体材料の柔軟な層を有し、これにより前記パッチの下の前記対象の前記体の前記部分に負圧が加えられた時に、前記柔軟な層が前記負圧により吸引されて前記皮膚パッチの前記周囲の周りに気密バリアを形成することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項71】
前記柔軟な層が接着剤でコーティングされていることを特徴とする請求項70に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項72】
前記接着剤が、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート類、メタクリル樹脂及びそれらの組み合わせから選択される化合物を含むことを特徴とする請求項60、68又は71に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項73】
前記装置が、一方の側が接着剤でコーティングされたシールテープをさらに有し、該シールテープが前記パッチの周囲及び皮膚の両方に取り付けられた時に前記パッチの前記周囲が流体密封されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項74】
前記シールテープが、柔軟かつ伸縮可能であり、0.1センチメータから30センチメータの幅であり、0.001ミリメータから5ミリメータの厚さであることを特徴とする請求項73に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項75】
前記接着剤が、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及びそれらの組み合わせから選択される材料を含むことを特徴とする請求項73に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項76】
前記シールテープが、重合体材料、ポリウレタン、ナイロン、ラテックス、ゴム、シリコーン、織物、セルロース又はそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項73に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項77】
前記外側層が、前記パッチの周囲よりも大きな周囲を有するシールフィルムを備え、これにより前記シールフィルムが前記多孔質層及び皮膚を覆った時に前記パッチの前記周囲が流体密封されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項78】
前記外側層が、前記パッチの周囲よりも大きな周囲を有しかつ一方の側が接着剤でコーティングされたシールフィルムを備え、これにより前記シールフィルムが前記多孔質層及び皮膚に取り付けられた時に前記パッチの前記周囲が流体密封されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項79】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置と、真空ポンプ、真空管、振動コントローラ、シールフィルム及び取扱説明書のうちのいずれか一つと、を備えたことを特徴とするキット。
【請求項80】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置を、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的性創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、ヒドロゲル創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせとともに使用することを特徴とする治療方法。
【請求項81】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする皮膚の外見を改善する方法。
【請求項82】
前記パッチが化粧品を含むことを特徴とする請求項81に記載の皮膚の外見を改善する方法。
【請求項83】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする治癒を促進することによりスポーツ損傷の治療方法。
【請求項84】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする形成外科及び再建外科手術方法。
【請求項85】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の末梢動脈疾患又は末梢血管疾患の治療方法。
【請求項86】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の創傷治癒を改善する方法。
【請求項87】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の組織酸素化度を増大させる方法。
【請求項88】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の皮膚潰瘍の治癒を改善する方法。
【請求項89】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の虚血性組織の血流を改善する方法。
【請求項90】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の性的不能の治療方法。
【請求項91】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の片頭痛の治療方法。
【請求項92】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の抜け毛の治療方法。
【請求項93】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする神経障害の治療方法。
【請求項94】
前記対象が人間であることを特徴とする請求項1〜93の何れか一項に記載の装置又は方法。
【請求項95】
前記対象が人間以外の哺乳動物であることを特徴とする請求項1〜93の何れか一項に記載の装置又は方法。
【請求項96】
対象の体の循環系の循環を操作する方法であって、
(a)(i)多孔質層の第一の側から反対側の該多孔質層の第二の側に流体が通過可能な多孔質層と、(ii)前記多孔質層の前記第二の側を覆う不浸透性の外側層と、(iii)前記多孔質層の前記第二の側から前記外側層の外表面にのびるとともに前記外側層の前記外表面で中空のコネクタの位置で終端する流体通路と、を有する柔軟な皮膚パッチを提供し、
(b)前記対象の前記体の部分に創傷を位置付けし、
(c)前記創傷の周囲に対応する外線を有する領域を含む創傷マップを作成し、
(d)前記創傷マップの前記領域の前記外線をテンプレートとして用いて前記皮膚パッチに縁を作成し、
(e)前記皮膚パッチの前記縁を前記創傷の前記周囲の少なくとも一部と合致させ、前記皮膚パッチの前記多孔質層を前記対象の前記体の前記部分に固定し、
(f)前記皮膚パッチの下の前記対象の前記体の前記部分に負圧が加えられるようコネクタを負圧源に接続して、血流を増加させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する方法。
【請求項97】
前記皮膚パッチの前記縁が、前記創傷の全周囲未満と合致した外縁であることを特徴とする請求項96に記載の対象の体の循環系の循環を操作する方法。
【請求項98】
前記皮膚パッチの前記縁が、前記創傷の全周囲と合致した内縁であることを特徴とする請求項96に記載の対象の体の循環系の循環を操作する方法。
【請求項1】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記支持体が、パッチと該パッチに設けられた取付け層とを有し、
前記取付け層が、前記対象の前記体の前記部分の皮膚に前記パッチを取り付ける接着剤であって生体適合性を有する接着剤を有し、そして、
前記対象の前記体の前記部分の皮膚に前記パッチが取り付けられた時に前記振動発生素子が前記皮膚に振動を伝えるよう、前記振動発生素子が前記支持体の内部又は上に配置されている
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項2】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記支持体が開口を有し、該開口の寸法は、前記対象の前記体の前記部分の皮膚の上にパッチが配置された時に前記対象の前記体の前記部分の創傷を完全に又は部分的に囲む寸法に形成され、
前記対象の前記体の前記部分の皮膚に前記パッチが配置された時に前記振動発生素子が前記皮膚に振動を伝えるよう、前記振動発生素子が前記支持体の内部又は上に配置されている
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項3】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、電源と、前記振動発生素子及び前記電源と電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記コントローラはプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(iii)第二期間中、前記振動発生素子に前記第一電気信号を提供することを停止する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させ、
(iv)第三期間中、前記振動発生素子への前記第一電気信号の提供を再開する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項4】
前記コントローラは以下のプログラムをさらに実行するよう構成され、該プログラムにより、
(v)第四期間中、前記振動発生素子に前記第一電気信号を提供することを停止する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させ、
(vi)第五期間中、前記振動発生素子への前記第一電気信号の提供を再開する又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を増大させる又は前記振動発生素子に提供される前記第一電気信号の強度を減少させる
ことを特徴とする請求項3に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項5】
前記第三期間中の前記振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力のうちの少なくとも一つが、前記第一期間中の前記振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力と異なることを特徴とする請求項3に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項6】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた第一振動発生素子と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた第二振動発生素子と、電源と、前記第一振動発生素子及び前記第二振動発生素子及び前記電源と電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記コントローラはプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記第一振動発生素子に、該第一振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(ii)第二期間中、前記第一振動発生素子に前記第一電気信号を提供することを停止し、
(iii)第三期間中、前記第二振動発生素子に、該第二振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第二電気信号を提供する
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項7】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、電源と、前記振動発生素子及び前記電源と電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記コントローラはプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(iii)前記振動発生素子の振動の周波数又は振幅又は力のうちの少なくとも一つが変化するよう、前記振動発生素子への前記第一電気信号を変化させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項8】
対象の体の第一部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、前記対象の前記体の第二部分を覆うかん流センサと、電源と、前記振動発生素子及び前記電源及び前記かん流センサと電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記対象の前記体の前記第二部分は、前記対象の前記体の前記一部分に隣接する又は該第一部分の内側にあり、
前記コントローラは該コントローラに格納されたプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(ii)前記かん流センサから受信した第二電気信号に基づいて、前記振動発生素子へ提供される前記第一電気信号を変化させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項9】
前記かん流センサは、圧電薄膜センサ、温度センサ、光電脈波センサ、歪み計電脈波センサ、レーザドップラセンサ、レーザスペックルセンサ、赤外イメージング、赤外分光器及び超音波センサから選択されることを特徴とする請求項8に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項10】
対象の体の第一部分を覆う寸法に形成された柔軟な支持体と、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子と、前記対象の前記体の第二部分を覆う振動センサと、電源と、前記振動発生素子及び前記電源及び前記振動センサと電気通信するコントローラと、を有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記対象の前記体の前記第二部分は、前記対象の前記体の前記一部分に隣接する又は該第一部分の内側にあり、
前記コントローラは該コントローラに格納されたプログラムを実行するよう構成され、該プログラムにより、
(i)第一期間中、前記振動発生素子に、該振動発生素子の振動の周波数、振幅及び力を制御する第一電気信号を提供し、
(ii)前記振動センサから受信した第二電気信号に基づいて、前記振動発生素子へ提供される前記第一電気信号を変化させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項11】
前記装置が、前記支持体に埋め込まれた又は取り付けられた複数の振動発生素子を有していることを特徴とする請求項1〜5及び請求項7〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項12】
前記支持体が、シリコーン、人工フォーム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、プラスチック、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、織物、ヒドロゲル、コラーゲン、アルギン酸塩、ゼラチン又はそれらの組み合わせから選択される材料から作成されたパッチを備えることを特徴とする請求項12に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項13】
前記支持体が前記パッチに設けられた接着層をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項14】
前記接着層が、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート類、メタクリル樹脂及びそれらの組み合わせから選択される化合物を備えることを特徴とする請求項13に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項15】
各振動発生素子が、線形電磁気アクチュエータ、非対称質量モータ、音声コイル、電気活性重合体、圧電アクチュエータ、流体含有共鳴素子、気体含有共鳴素子及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項16】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の動作タイミングを制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項17】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の振動の周波数を制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項18】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の振動の振幅を制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項19】
前記装置が、前記振動素子及び電源と電気通信するコントローラをさらに有し、
前記コントローラが、該コントローラに格納されたプログラムを実行することにより、前記振動発生素子に該振動発生素子の振動の力を制御する電気信号を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項20】
前記コントローラ及び前記電源が前記支持体に埋め込まれている又は取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項21】
前記コントローラ及び前記電源と通信する電線が、プラグを介して前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項22】
前記コントローラ、前記電源及び前記振動発生素子が、前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項23】
前記コントローラ、前記電源及び前記振動発生素子が、フック及びループファスナ、接着剤又はポーチを介して前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項24】
前記電気信号が、(i)単一又は複数の波形、(ii)一方向性又は多方向性、(iii)正弦波、矩形波、パルス、三角波又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項25】
前記振動発生素子の振動が1Hzから15,000Hzであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項26】
前記振動発生素子の振動の振幅が0.001ミリメータから2.5ミリメータであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項27】
前記振動発生素子の振動の力が0.001ニュートンから100ニュートンであることを特徴とする請求項3〜19のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項28】
前記対象の前記体の前記部分が創傷を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項29】
前記創傷が、糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、虚血性創傷、床擦れ、けが、手術、外科的切開痕、手術創傷、やけど、炎症、筋肉損傷、筋肉炎症、筋骨格損傷及び内部損傷からなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項30】
前記装置が、前記対象の前記体の前記部分における血流を増加させるために使用されることを特徴とする請求項29に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項31】
前記装置が血液循環を促進させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項32】
前記対象の前記体の前記部分が創傷を含み、
前記装置が前記創傷を覆うヒドロゲルマトリックスをさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項33】
前記ヒドロゲルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、その他の多価酸、複数の多価酸の共重合体、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ゼラチン、コラーゲン、セルロース、誘導体化セルロース、キトサン、アルギン酸塩、チオール修飾ヒアルロナン、エマルジョン及びそれらの組み合わせ又はそれらの共重合体から選択されることを特徴とする請求項32に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項34】
前記ヒドロゲルマトリックスが、シリコーン、人工フォーム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、プラスチック、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、織物、ヒドロゲル、コラーゲン、アルギン酸塩、ゼラチン又はそれらの組み合わせから選択される合成材料を含むことを特徴とする請求項32に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項35】
前記ヒドロゲルマトリックスが、成長因子、幹細胞、前駆細胞、線維芽細胞、遺伝子治療及びそれらの組み合わせから選択される生物活性剤を含むことを特徴とする請求項32に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項36】
前記支持体が、細胞、前駆体、薬物、酵素、有機触媒、リボザイム、有機金属、タンパク質、糖たんぱく質、ペプチド、ポリアミノ酸、抗体、核酸、ステロイド性分子、抗生物質、抗真菌薬、サイトカイン、成長因子、炭水化物、油分をはじく物質、脂質、調剤、治療薬、化粧品及びそれらの混合から選択される生物活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項37】
前記装置が、前記支持体の下に負圧を加える装置、高圧酸素装置、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置及び電流刺激装置のうちの少なくとも一つをさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項38】
前記装置が前記支持体の下に負圧を加える装置をさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項39】
前記装置が前記支持体に隣接する場所に負圧を加える装置をさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれか一項に記載の装置を、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせと組み合わせて使用することを特徴とする治療方法。
【請求項41】
前記生物学的創傷包帯がヒドロゲルであることを特徴とする請求項40に記載の治療方法。
【請求項42】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に隣接する又は該皮膚上に位置決めする工程と、
前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝える工程と、
を有することを特徴とする皮膚の外見を改善する方法。
【請求項43】
前記支持体が化粧料を含むことを特徴とする請求項42に記載の治療方法。
【請求項44】
前記振動発生素子が前記支持体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項43に記載の治療方法。
【請求項45】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする治癒促進によりスポーツ損傷を治療する方法。
【請求項46】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする術後の治癒を促進させる方法。
【請求項47】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の末梢動脈疾患又は末梢血管疾患を治療する方法。
【請求項48】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の創傷の治癒を促進する方法。
【請求項49】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の組織酸素化度を増大する方法。
【請求項50】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めする工程と、
前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝える工程と、
を有することを特徴とする対象の皮膚潰瘍の治癒を促進する方法。
【請求項51】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする対象の虚血性組織への血流を改善する方法。
【請求項52】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする性的不能を治療する方法。
【請求項53】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする片頭痛の治療方法。
【請求項54】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めする工程と、
前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝える工程と、
を有することを特徴とする抜け毛の治療方法。
【請求項55】
請求項1〜39の何れか一項に記載の装置の前記支持体を前記対象の前記体の部分の皮膚に位置決めし、前記装置を駆動させて前記皮膚に振動を伝えることを特徴とする神経障害の治療方法。
【請求項56】
対象の体の部分を覆う寸法に形成された柔軟な皮膚パッチを有する対象の体の循環系の循環を操作する装置であって、
前記パッチが、多孔質層の第一の側から反対側の該多孔質層の第二の側に流体が通過可能な多孔質層を有し、
前記パッチが前記多孔質層の第二の側を覆う不浸透性の外側層をさらに有し、
前記パッチが前記多孔質層の前記第二の側から前記外側層の外表面にのびる流体通路をさらに有し、
前記流体通路が前記外側層の前記外表面の中空のコネクタの位置で終端しており、
前記パッチの前記多孔質層の前記第一の側が前記対象の前記体の前記部分上に位置決めされ、前記コネクタが負圧源に接続された時に、前記パッチの下の前記対象の前記体の前記部分に負圧が加えられることにより血流が増加するよう、前記コネクタ、前記流体通路及び前記多孔質層が構成されている
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項57】
前記パッチの下の前記対象の前記体の前記部分の皮膚又は組織に振動を与えるために、前記パッチに埋め込まれた又は取り付けられた振動発生素子をさらに有することを特徴とする請求項57に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項58】
前記振動発生素子が、線形電磁気アクチュエータ、非対称質量モータ、振動モータ、音声コイル、電気活性重合体、電気活性重合体人工筋肉、圧電アクチュエータ、流体含有共鳴素子、気体含有共鳴素子及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項57に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項59】
電気刺激素子、薬物デリバリー素子、マッサージ素子、圧縮素子、振動素子、圧縮装置、衝撃波装置、加熱装置、冷却装置、発光装置、超音波装置、電流刺激装置及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つをさらに有することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項60】
前記多孔質層の前記第一の側が少なくとも部分的に接着剤でコーティングされていることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項61】
前記多孔質層の厚さが0.1センチメータから10センチメータであることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項62】
前記多孔質層の厚さが0.2ミリメータから2センチメータであることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項63】
前記コネクタと係合する寸法に形成された第一端と真空ポンプに接続される第二端とを有する管取り付け素子をさらに有することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項64】
前記多孔質層が重合体材料を備えたことを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項65】
前記重合体材料が、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、エーテル様エステル、スチレン樹脂、その他の生分解性重合体、織物、異なる重合体の層、織物層及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項66】
前記外側層が合成重合体又は天然重合体を備えることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項67】
前記重合体が、ゴム、ラテックス、シリコーン、ナイロン、その他の柔軟な重合体、織物及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項66に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項68】
前記皮膚パッチが、密封され接着剤でコーティングされた縁部を有し、これにより前記パッチが前記対象の前記体の前記部分に位置付けられた時に前記縁部が皮膚と前記皮膚パッチとの間に気密空間を画定することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項69】
前記皮膚パッチが前記対象の前記体の前記部分上の創傷の周囲部分に適合する形状に形成された外縁を有することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項70】
前記皮膚パッチが該皮膚パッチの周囲に適用された重合体材料の柔軟な層を有し、これにより前記パッチの下の前記対象の前記体の前記部分に負圧が加えられた時に、前記柔軟な層が前記負圧により吸引されて前記皮膚パッチの前記周囲の周りに気密バリアを形成することを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項71】
前記柔軟な層が接着剤でコーティングされていることを特徴とする請求項70に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項72】
前記接着剤が、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート類、メタクリル樹脂及びそれらの組み合わせから選択される化合物を含むことを特徴とする請求項60、68又は71に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項73】
前記装置が、一方の側が接着剤でコーティングされたシールテープをさらに有し、該シールテープが前記パッチの周囲及び皮膚の両方に取り付けられた時に前記パッチの前記周囲が流体密封されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項74】
前記シールテープが、柔軟かつ伸縮可能であり、0.1センチメータから30センチメータの幅であり、0.001ミリメータから5ミリメータの厚さであることを特徴とする請求項73に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項75】
前記接着剤が、ウレタン、エポキシ樹脂、尿素、メラミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、飽和又は不飽和ポリオレフィン、ポリビニル、スルホン酸塩、アクリレート又はメタクリル樹脂化合物及びそれらの組み合わせから選択される材料を含むことを特徴とする請求項73に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項76】
前記シールテープが、重合体材料、ポリウレタン、ナイロン、ラテックス、ゴム、シリコーン、織物、セルロース又はそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項73に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項77】
前記外側層が、前記パッチの周囲よりも大きな周囲を有するシールフィルムを備え、これにより前記シールフィルムが前記多孔質層及び皮膚を覆った時に前記パッチの前記周囲が流体密封されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項78】
前記外側層が、前記パッチの周囲よりも大きな周囲を有しかつ一方の側が接着剤でコーティングされたシールフィルムを備え、これにより前記シールフィルムが前記多孔質層及び皮膚に取り付けられた時に前記パッチの前記周囲が流体密封されることを特徴とする請求項56に記載の対象の体の循環系の循環を操作する装置。
【請求項79】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置と、真空ポンプ、真空管、振動コントローラ、シールフィルム及び取扱説明書のうちのいずれか一つと、を備えたことを特徴とするキット。
【請求項80】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置を、傷負圧治療、皮膚システム、皮膚インプラント、生物学的性創傷包帯、薬物デリバリー創傷包帯、ヒドロゲル創傷包帯、創部ドレナージシステム及びそれらの組み合わせとともに使用することを特徴とする治療方法。
【請求項81】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする皮膚の外見を改善する方法。
【請求項82】
前記パッチが化粧品を含むことを特徴とする請求項81に記載の皮膚の外見を改善する方法。
【請求項83】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする治癒を促進することによりスポーツ損傷の治療方法。
【請求項84】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする形成外科及び再建外科手術方法。
【請求項85】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の末梢動脈疾患又は末梢血管疾患の治療方法。
【請求項86】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の創傷治癒を改善する方法。
【請求項87】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の組織酸素化度を増大させる方法。
【請求項88】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の皮膚潰瘍の治癒を改善する方法。
【請求項89】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の虚血性組織の血流を改善する方法。
【請求項90】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の性的不能の治療方法。
【請求項91】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の片頭痛の治療方法。
【請求項92】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする対象の抜け毛の治療方法。
【請求項93】
請求項56〜78の何れか一項に記載の装置のパッチを皮膚に適用し、前記パッチの下の対象の体の部分の前記皮膚に負圧を加えることを特徴とする神経障害の治療方法。
【請求項94】
前記対象が人間であることを特徴とする請求項1〜93の何れか一項に記載の装置又は方法。
【請求項95】
前記対象が人間以外の哺乳動物であることを特徴とする請求項1〜93の何れか一項に記載の装置又は方法。
【請求項96】
対象の体の循環系の循環を操作する方法であって、
(a)(i)多孔質層の第一の側から反対側の該多孔質層の第二の側に流体が通過可能な多孔質層と、(ii)前記多孔質層の前記第二の側を覆う不浸透性の外側層と、(iii)前記多孔質層の前記第二の側から前記外側層の外表面にのびるとともに前記外側層の前記外表面で中空のコネクタの位置で終端する流体通路と、を有する柔軟な皮膚パッチを提供し、
(b)前記対象の前記体の部分に創傷を位置付けし、
(c)前記創傷の周囲に対応する外線を有する領域を含む創傷マップを作成し、
(d)前記創傷マップの前記領域の前記外線をテンプレートとして用いて前記皮膚パッチに縁を作成し、
(e)前記皮膚パッチの前記縁を前記創傷の前記周囲の少なくとも一部と合致させ、前記皮膚パッチの前記多孔質層を前記対象の前記体の前記部分に固定し、
(f)前記皮膚パッチの下の前記対象の前記体の前記部分に負圧が加えられるようコネクタを負圧源に接続して、血流を増加させる
ことを特徴とする対象の体の循環系の循環を操作する方法。
【請求項97】
前記皮膚パッチの前記縁が、前記創傷の全周囲未満と合致した外縁であることを特徴とする請求項96に記載の対象の体の循環系の循環を操作する方法。
【請求項98】
前記皮膚パッチの前記縁が、前記創傷の全周囲と合致した内縁であることを特徴とする請求項96に記載の対象の体の循環系の循環を操作する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−517324(P2012−517324A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550218(P2011−550218)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/023832
【国際公開番号】WO2010/093753
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511197785)パーフュジア メディカル インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/023832
【国際公開番号】WO2010/093753
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511197785)パーフュジア メディカル インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
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