説明

情報カード対応電気錠ユニット

【課題】情報カードを用いて電気錠の解錠操作を片手で簡単且つ確実に行うことのできる情報カード対応電気錠ユニットを提供する。
【解決手段】非接触式の情報カードに対するアンテナ16と、アンテナの前側に位置して情報カードを押し当てるアンテナカバー5と、アンテナで受信したカード情報を読み取るリーダー部17と、リーダー部に接続したロック制御部19と、ロック制御部からの信号で扉3の施解錠を行う電気錠27とを備える情報カード対応電気錠ユニット40で、アンテナカバー5を押動自在に設け、アンテナカバーの押動操作でスイッチ20を作動させるようにして、スイッチでリーダー部17やロック制御部19への電源の供給を開始する。アンテナカバー5は一端をヒンジ部10で支持して揺動自在に設けた。アンテナカバー5の他端にスイッチ20を配置した。アンテナ16をアンテナカバー5の裏面に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード等の非接触式の情報カードを用いてキャビネットやロッカ等の扉を解錠させる情報カード対応電気錠ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7〜図8は従来の情報カード対応電気錠ユニットの一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
この情報カード対応電気錠ユニットは、鍵を用いることなく、住宅の扉51の電気錠52を施解錠させるためのものであり、入室しようとする者がアンテナカバー53の通信開始用の押しボタン54を指で押して、ICの組み込まれた非接触式の情報カード55をアンテナカバー53に近づけることで、カードデータの認証と電気錠52の自動解錠が省電力で行われる。
【0004】
アンテナカバー53の内側にアンテナ56(図8)とカードリーダーであるCPU(中央処理ユニット)57(図8)が配置され、アンテナカバー53の外面に押しボタン54が設けられている。アンテナ56はA/D変換回路58(図8)を経て制御装置のCPU57に接続され、押しボタン54と電気錠52はそれぞれCPC57に接続されている。CPU57には記憶部59であるROMとRAMが接続されている。
【0005】
入室しようとする者が押しボタン54を押すことで、制御装置に電源が供給され、アンテナ56から電磁波が送信され、情報カード55をアンテナカバー53に近づけることで、情報カード55のデータを電磁誘導等によりアンテナ56で受信し、CPU57が、そのデータが適正なものか否かを記憶部59のデータに基づいて確認し、カード情報が適正である場合に、アンテナ56からの電磁波の送信を停止し、CPU57が電気錠52に解錠信号を送って電気錠52を解錠させると共に、アンテナカバー53のランプ60を点灯させる。
【0006】
上記情報カード対応電気錠ユニットは住宅用の扉51に限らず、図示しないロッカやキャビネット等の扉においても適用可能なものである。何れの場合も、押しボタン54を押すまではアンテナ56からの電磁波の送信が停止されているから、待機電力が削減され、電源の電池化が可能となっている。
【0007】
待機電力を削減して節電を可能とする電気錠ユニットの他の形態としては、本出願人が先に特許文献2で提案したものが挙げられる。
【0008】
この電気錠ユニット(図示せず)は情報カードではなく、IDタグを内蔵した棒状のホルダ(非接触型データキャリア)を用い、ロッカの扉にホルダを挿入する孔部を有する合成樹脂製のカバーを設け、孔部内に押しボタンスイッチを設け、押しボタンスイッチの操作で交信信号発信部を起動させるようにしたものである。
【特許文献1】特開平10−134155号公報(第3頁、図1〜図3)
【特許文献2】特開2004−218304号公報(第6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の情報カード対応電気錠ユニット(図7)にあっては、カード使用者が押しボタンを押す動作と、情報カードをアンテナカバーに近づける動作との二つの動作が必要であり、操作が面倒で、片手では不安定な操作となって操作ミスを起こしやすいという問題があった。
【0010】
また、棒状のホルダ(非接触型データキャリア)を用いた電気錠ユニットにあっては、カード式の非接触型データキャリアには適用できないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、情報カードを用いて電気錠の解錠操作を片手で簡単且つ確実に行うことのできる情報カード対応電気錠ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る情報カード対応電気錠ユニットは、非接触式の情報カードに対するアンテナと、該アンテナの前側に位置して該情報カードを前面に押し当てるアンテナカバーと、該アンテナで受信したカード情報を読み取るリーダー部と、該リーダー部に接続したロック制御部と、該ロック制御部からの信号で扉の施解錠を行う電気錠とを備える情報カード対応電気錠ユニットであって、前記アンテナカバーが押動自在に設けられ、該アンテナカバーの押動操作でスイッチが作動し、該スイッチが前記リーダー部やロック制御部への電源の供給を開始させることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、扉を開けようとする者が片手で情報カードを持ち、情報カードをアンテナカバーの前面に押し付けることで、アンテナカバーが後方に移動してスイッチを作動させる。スイッチはロック制御部やリーダー部に電源電流を供給させ、電源を供給されたリーダー部がアンテナを介して情報カードとの間で交信を行わせ、カード情報を読み取って予め登録済みのデータと比較し、一致した場合にロック制御部を介して電気錠を解錠させる。情報カードとしてはICカードが好ましく、電源としては電池が好ましい。
【0014】
請求項2に係る情報カード対応電気錠ユニットは、請求項1記載の情報カード対応電気錠ユニットにおいて、前記アンテナカバーが一端側をヒンジ部で支持されて揺動自在に設けられたことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、情報カードをアンテナカバーに押し当てた際に、剛性の高い(弾力性のない)アンテナカバーが一端側のヒンジ部を支点に小さな力で確実に押動され、操作者によるアンテナカバーの押動操作すなわちスイッチの駆動操作が確実に行われる。
【0016】
請求項3に係る情報カード対応電気錠ユニットは、請求項2記載の情報カード対応電気錠ユニットにおいて、前記アンテナカバーの他端側に前記スイッチが配置されたことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、アンテナカバーに情報カードを押し当ててアンテナカバーを一端のヒンジ部を支点に揺動させた際に、アンテナカバーの他端側が後方に最大に変位し、他端側のスイッチを大きなストロークで確実に作動させる。
【0018】
請求項4に係る情報カード対応電気錠ユニットは、請求項2又は3記載の情報カード対応電気錠ユニットにおいて、前記アンテナカバーの周囲に環状のホルダが設けられ、該ホルダに該アンテナカバーが前記ヒンジ部で支持され、該ホルダが前記扉に固定されたことを特徴とする。
【0019】
上記構成により、予めホルダにアンテナカバーを揺動自在に組み付けておき、次いでホルダをアンテナカバー組立体の状態で扉の前壁の裏面に固定することで、アンテナカバーの組付を簡単且つ確実に行うことができる。
【0020】
請求項5に係る情報カード対応電気錠ユニットは、請求項1〜4の何れかに記載の情報カード対応電気錠ユニットにおいて、前記アンテナカバーに、前記電気錠の解錠表示を行うLEDランプが設けられたことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、操作者が情報カードを押し当てたアンテナカバーを目視することで、電気錠の解錠の有無を容易且つ確実に確認することができる。また、アンテナカバーに表示用のLEDランプを設けることで、扉にLEDランプ取付用の孔を開ける必要がなくなり、LEDランプの配線は扉のアンテナカバーの取付孔を通ってロック制御部に接続される。
【0022】
請求項6に係る情報カード対応電気錠ユニットは、請求項1〜5の何れかに記載の情報カード対応電気錠ユニットにおいて、前記アンテナカバーの裏面に前記アンテナが固着されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、アンテナがアンテナカバーの裏面に位置することで、操作者が情報カードをアンテナカバーに押し当てた際に、情報カードとアンテナとの間の距離が最も短縮し、且つアンテナと情報カードとの距離が一定に保たれた状態で、情報カードとアンテナとの交信が正確に行われる。
【発明の効果】
【0024】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、情報カードを片手で持ってアンテナカバーに押し付けるというワンタッチ操作で、情報カードの認証を行わせて扉を解錠させることができ、情報カードを用いた解錠操作を極めて容易に行わせることができる。また、情報カードをアンテナカバーに押し付けて初めて電源が入るから、電池を電源とした際の電池の寿命が延び、煩わしい電池交換の作業回数が削減される。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、剛性のアンテナカバーをヒンジ部を支点に小さな力で確実に押動させることができるから、カード情報の読取や電気錠の解錠操作を正確に行わせることができる。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、アンテナカバーの揺動操作でスイッチを大きなストロークで確実に作動させることができるから、カード情報の読取や電気錠の解錠操作を一層正確に行わせることができる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、アンテナカバーをホルダに組み付けた状態で扉に組み付けることで、押動式のアンテナカバーを扉に簡単且つ確実に組み付けることができ、情報カード対応電気錠ユニットの組付性が向上する。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、LEDランプがアンテナカバーにあることで、LEDランプの視認性が向上すると共に、LEDランプの取付作業性が向上する。
【0029】
請求項6記載の発明によれば、情報カードに対するアンテナの位置が最も近く且つ一定になることで、カード情報の読取精度が高まり、規定の情報カードである場合に電気錠の解錠操作が一層正確に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明に係る情報カード対応電気錠ユニットを内蔵するキャビネットの一実施形態を示す正面図、図2は、情報カード対応電気錠ユニットの一実施形態を示すキャビネット扉の要部背面図、図3は同じく情報カード対応電気錠ユニットを示す側面図である。
【0031】
図1のキャビネット1は金属材で形成され、物品収納室を有する筐体2と、収納室の開口を塞ぐ扉3と、扉3を開閉自在に支持するヒンジ4とを備えたものである。筐体2や扉3は上下左右に複数並列に配置されることが多い。
【0032】
扉3の前面のヒンジ4とは反対側の回動端寄りの部分に合成樹脂製のアンテナカバー5が設けられ、アンテナカバー5の斜め下側に内筒非常ロック付ハンドル6が設けられている。内筒非常ロック付ハンドル6は図示しないハンドルを有し、内筒部分に非常解錠用のシリンダ錠7(図3)を有している。アンテナカバー5は絶縁性の合成樹脂を材料として正面視で円形状に形成されている。扉3の前面には内筒非常ロック付ハンドル6の上方に取っ手(図示せず)を設けてもよい。
【0033】
図4〜図5に、情報カード対応電気錠ユニットの要部である待機状態におけるアンテナカバー5とその近傍の構造を詳細に示す如く、アンテナカバー5は、前面側の円板状の押圧操作板8と、押圧操作板8の周囲に一体に形成された環状の周壁9と、周壁9の上端に設けられた垂直な板状のヒンジ部10とで構成されている。
【0034】
周壁9は前半の小径部9aと後半の大径部9bと、小径部9aと大径部9bとの間の段差部9cとで構成され、周壁9の前後幅寸法は上端から下端に向かうに従って長くなるように形成されている。押圧操作板8はIC等を搭載した非接触式の情報カード(図示せず)を押接させる部位であり、情報カードよりも少し大きい面積を有することが好ましい。
【0035】
アンテナカバー5は上端のヒンジ部10を横方向の支軸11で前後方向回動(押動)自在に支持され、好ましくはヒンジ部10において弦巻ばね等の弾性部材(図示せず)で前方に向けて弾性的に付勢され、その状態で押圧操作板8の下端8bが上端8aよりも前方に突出して、押圧操作板8が少し斜め上向きに傾斜して位置し、周壁9の後端面9dは傾きなく垂直に位置している。
【0036】
扉3の前壁12に設けた円形の孔部13に前壁12の裏面側から環状のホルダ14が嵌合固定され、ホルダ14の内側にアンテナカバー5が前後方向揺動自在に配置されている。ホルダ14は、アンテナカバー5のヒンジ部10を回動自在に支持するヒンジ部(受け部)15と、アンテナカバー5の周壁9の外周面に沿う前半の小径部14aと後半の大径部14bと、扉3の前壁12の裏面に当接するフランジ部14dとを有し、ホルダ14の内面側の段差部14cにアンテナカバー5の段差部9cが当接して、アンテナカバー5の押圧操作前の待機状態が維持されている。
【0037】
本実施形態においては、アンテナカバー5の前面の押圧操作板8の裏面に板状のアンテナ16がねじ止めや接着等の手段で固定されている。アンテナ16はアンテナカバー5の押圧操作板8よりも小さく形成されている。アンテナ16は後述のリーダーユニット17に電線等の回路を介して接続されている。
【0038】
なお、アンテナ16の位置はアンテナカバー5の裏面に限るものではなく、例えば後述するリーダーユニット17に直接(一体的に)設けたり、リーダーユニット17の前面に支柱を介してアンテナカバー5に接近させて設けたり、アンテナカバー5とリーダーユニット17との間において扉3の内壁部に固定して設けたりすることも可能である。要は、アンテナ16はアンテナカバー5の後側でアンテナカバー5とリーダーユニット17との間に位置していればよい。
【0039】
アンテナカバー5の押圧操作板8の上端部には解錠確認用のLEDランプ18が設けられ、LEDランプ18は後述するロック制御ユニット19(図2)に電気的に接続されている。アンテナカバー5の周壁9の下端部に対向してホルダ14又は扉3の内壁部にスイッチ20が固定して設けられ、スイッチ20の可動板21がアンテナカバー5の周壁9の後端下部に弾性的に当接ないし若干の隙間を存して位置し、アンテナカバー5の押動操作で可動板21が揺動(押動)してスイッチ20内の接点がオンオフされるようになっている。
【0040】
スイッチ20は後述のロック制御ユニット19(図2)やリーダーユニット17に電気的に接続され、スイッチ20のオンでロック制御ユニット19やリーダーユニット17に電源電流が供給され、スイッチ20のオフでロック制御ユニット19やリーダーユニット17への電源の供給が遮断されるようになっている。
【0041】
アンテナカバー5及びアンテナカバー内のアンテナ16に対向して、リーダーユニット(リーダー部)17としてのリーダー制御基板が垂直に配置されている。本実施形態のリーダー制御基板17はプリント回路基板で構成されている。リーダー制御基板17には、カード情報等を記憶したメモリ(図示せず)や、情報カードからの受信データをA/D変換する回路(図示せず)や、情報カードから受信したカード情報をメモリ内のデータと比較・認証する判定回路等が実装されている。リーダー制御基板17は短い水平な支柱22を介して垂直なベース板23に固定されている。リーダーユニット17によるカード情報の読取や認証等の基本構成は従来におけるものと同様である。
【0042】
図5の如く、アンテナカバー5に情報カード(図示せず)を押し付けることで、アンテナカバー5が上端のヒンジ部10を支点に回動(揺動)して、アンテナカバー5の下部後端がスイッチ20の可動板21を押し下げてスイッチ20をオンさせる。アンテナカバー5の前面の押圧操作板8は扉3の前面と平行に垂直に位置し、アンテナカバー5の周壁9の後端面は斜め上向きに傾斜して位置する。アンテナカバー5の上端のヒンジ部10は外周のホルダ14のフランジ内面(ストッパ面)14d’に当接してそれ以上のアンテナカバー5の回動を阻止する。アンテナカバー5の裏面のアンテナ16はリーダーユニット17に対向して平行に位置する。
【0043】
図2の如く、リーダーユニット17に隣接して並列にロック制御ユニット(ロック制御部)19が配置され、両ユニット17,19は垂直なベース板23にねじ締め等の手段で固定されている。本実施形態のロック制御ユニット19はロック制御基板としてのプリント回路基板で構成されている。ロック制御基板19は後述のソレノイド24の駆動を制御する回路や、リーダーユニット17の作動を制御する回路や、二つの計時用のタイマー等(図示せず)を有している。なお、リーダーユニット17とロック制御ユニット19とを一枚の回路基板で一体的に構成させることも可能である。
【0044】
垂直なベース板23の下側に電源としての電池ユニット25が配置され、電池ユニット25には複数本の電池(図示せず)が直列に接続した状態で収容されている。電池ユニット25の側方に近接して施解錠用のソレノイド24が設けられ、ソレノイド24はブラケット26を介してロックユニット27に固定されて電気錠(符号27で代用)を構成している。
【0045】
リーダーユニット17とロック制御ユニット19とは電線等の回路で相互に接続され、ロック制御ユニット19と電池ユニット25、及びロック制御ユニット19とソレノイド24とは電線等の回路で相互に接続されている。前記スイッチ20(図4)はロック制御ユニット19やリーダーユニット17の電源回路を断続する回路(例えばリレー回路やトランジスタ回路等)に接続されている。なお、電流値の小さな場合は、電池ユニット25からロック制御ユニット19やリーダーユニット17へ電源を供給する回路をスイッチ20自体で直接断続させることも可能である。何れにせよ、スイッチ20のオンオフ操作で電池ユニット25からリーダーユニット17やロック制御ユニット19への電源の供給が断続されるようになっている。
【0046】
扉3を開けようとする者が情報カードをアンテナカバー5の外表面に押し当てることで、アンテナカバー5が図5の如く押し込まれ、スイッチ20がオンし、リーダーユニット17やロック制御ユニット19に電池ユニット25から電源電流が供給され、リーダーユニット17が情報カードのデータを読み取ってメモリデータと比較認証し、その認証信号を受けたロック制御ユニット19がソレノイド24をオンして電気錠27を解錠する。必要な時だけ電源が供給されることで、電池の耐用年数が高まり、電池交換やそれにかかる手間が少なくて済む。
【0047】
ソレノイド24は進退自在なプランジャ28を有し、プランジャ28は例えばソレノイド内のコイル(図示せず)の励磁で引き込まれ、励磁が断たれるとソレノイド内のコイルばね(図示せず)の力で突出する。プランジャ28は金属製の板状のタング29に連結され、プランジャ28の進退動作でタング29が支軸30を中心に回動して扉3の施解錠を行わせる。
【0048】
例えばプランジャ28の先端部がタング29の支軸中心よりも偏心してタング29の基部側に回動自在に連結されることで、プランジャ28の進退動作でタング29が回動自在となっている。タング29は先端側に切欠部31を有し、切欠部31がキャビネット1の筐体2の孔部等に進入係合することで、扉3が開扉不能に施錠される。
【0049】
なお、電池ユニット25やソレノイド24の位置やロック制御ユニット19の位置等は必要に応じて適宜変更可能である。例えば電池ユニット25をロック制御ユニット19の側方に隣接して配置してもよい。図3の如く、ロック制御ユニット19やリーダーユニット17や電池ユニット25や電気錠27は扉3の内側からカバー32で覆われて保護される。
【0050】
図6は、上記情報カード対応電気錠ユニット40の作用を示すフローチャートである。
【0051】
先ず、キャビネット1の扉3を解錠しようとする者が情報カードを片手で持ってアンテナカバー5に押し付ける(ステップ101)。このワンタッチ操作でスイッチ20がオンすなわち電線がオンして(ステップ102)、リーダーユニット17やロック制御ユニット19に電池ユニット25から電源が供給される。アンテナカバー5から情報カードを離すと同時にスイッチ20の可動板21は復帰するが、電源はオンした状態に保持される。
【0052】
上記スイッチ20のオンと同時に第一タイマー(図示せず)がスタートし(ステップ103)、リーダーユニット17が駆動されて(ステップ104)、情報カードとの間で交信を行い、第一タイマーの制限時間内において(ステップ105)、その情報カードのデータが予めリーダーユニット17のメモリに登録済みのものであるか否かを判定し(ステップ106)、情報カードのデータがメモリ内のデータと一致した場合に、その信号をロック制御ユニット19に送り、ロック制御ユニット19が電気錠27のソレノイド24に解錠信号を送って、ソレノイド24をオン(駆動)して、電気錠27を解錠させ、それと同時にアンテナカバー5のLEDランプ18を点灯させる(ステップ107)。
【0053】
電気錠27の解錠と同時に第二タイマー(図示せず)による計時が開始され(ステップ108)、第二タイマーの制限時間が終了した時点で(ステップ109)、ロック制御ユニット19が電気錠27のソレノイド24に施錠信号を送って、ソレノイド24をオフさせ、電気錠27を施錠させ、それと同時にアンテナカバー5のLEDランプ18を消灯させ、且つ電源をオフさせる(ステップ110)。
【0054】
なお、ステップ105で第一タイマーがタイムアップした場合は、スタートに戻り、ステップ106でカード情報が登録済みのデータと一致しない場合は、ステップ105の第一タイマーの計時開始に戻り、ステップ109の第二タイマーがタイムアップするまでは第二タイマーの計時を継続し、ステップ110の電気錠27の自動施錠が完了した後はスタートに戻る。
【0055】
以上のように、情報カードをワンタッチ操作でリーダーユニット17に読み取らせることができ、容易にキャビネット1の扉3を解錠させることができる。例えば扉3を開けようとする者が多くの書類や荷物を抱えた状態でも、片手の操作で簡単にキャビネット1を開くことができる。
【0056】
なお、上記実施形態においては、情報カード対応電気錠ユニット40をキャビネット1の扉3の施解錠に適用したが、キャビネット1以外でも貸しロッカーや住宅の扉等に上記情報カード対応電気錠ユニット40を適用することも可能である。
【0057】
また、上記実施形態においては、電気錠27として、ソレノイド24とタング29とを用いた簡単な構造のものを採用したが、電気錠27はこれに限るものではなく、例えば従来技術の特許文献2に示される電気錠(図示せず)のように、ソレノイドと、ソレノイド24のプランジャに連結されて回動する制御レバーと、制御レバーと一体に解錠方向に回動するストッパレバーと、ストッパレバーで施錠状態を維持するロックプレートと、ロックプレートの切欠孔に係合する扉側のストライカとを備えたものであってもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、アンテナカバー5のヒンジ部10とは反対側にスイッチ20を配置して、スイッチ20の可動板21の変位量を最大に確保したが、スイッチ20の位置はこれに限られるものではなく、例えばアンテナカバー5の左右端の何れかに配置したり、あるいはアンテナカバー5の周壁9の内側に配置して押圧操作板8の裏面に可動板21を接触可能としてもよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、スイッチ20のオフ操作でロック制御ユニット19とリーダーユニット17との両方の電源を遮断したが、例えばリーダーユニット17のみの電源を遮断するように回路配線することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の情報カード対応電気錠ユニットを内蔵するキャビネットの一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係る情報カード対応電気錠ユニットの一実施形態を示す背面図である。
【図3】同じく情報カード対応電気錠ユニットを示す側面図である。
【図4】(a)は情報カード対応電気錠ユニットの要部を示す待機状態の縦断面図、(b)は同じく正面図である。
【図5】(a)は情報カード対応電気錠ユニットのアンテナカバーの操作状態を示す縦断面図、(b)は同じく正面図である。
【図6】情報カード対応電気錠ユニットの作用を示すフローチャートである。
【図7】従来の情報カード対応電気錠ユニットを備える住宅ドアを示す全体斜視図(円内は要部拡大正面図)である。
【図8】同じく従来の情報カード対応電気錠ユニットのブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
3 扉
5 アンテナカバー
10 ヒンジ部
14 ホルダ
16 アンテナ
17 リーダーユニット(リーダー部)
18 LEDランプ
19 ロック制御ユニット(ロック制御部)
20 スイッチ
27 電気錠
40 情報カード対応電気錠ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式の情報カードに対するアンテナと、該アンテナの前側に位置して該情報カードを前面に押し当てるアンテナカバーと、該アンテナで受信したカード情報を読み取るリーダー部と、該リーダー部に接続したロック制御部と、該ロック制御部からの信号で扉の施解錠を行う電気錠とを備える情報カード対応電気錠ユニットであって、
前記アンテナカバーが押動自在に設けられ、該アンテナカバーの押動操作でスイッチが作動し、該スイッチが前記リーダー部やロック制御部への電源の供給を開始させることを特徴とする情報カード対応電気錠ユニット。
【請求項2】
前記アンテナカバーが一端側をヒンジ部で支持されて揺動自在に設けられたことを特徴とする請求項1記載の情報カード対応電気錠ユニット。
【請求項3】
前記アンテナカバーの他端側に前記スイッチが配置されたことを特徴とする請求項2記載の情報カード対応電気錠ユニット。
【請求項4】
前記アンテナカバーの周囲に環状のホルダが設けられ、該ホルダに該アンテナカバーが前記ヒンジ部で支持され、該ホルダが前記扉に固定されたことを特徴とする請求項2又は3記載の情報カード対応電気錠ユニット。
【請求項5】
前記アンテナカバーに、前記電気錠の解錠表示を行うLEDランプが設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の情報カード対応電気錠ユニット。
【請求項6】
前記アンテナカバーの裏面に前記アンテナが固着されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の情報カード対応電気錠ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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