説明

情報キャリヤー移送具

この器具は、結合手段(40)に組み合わせられた検出手段(32)を備えた単一の装填具により、異なる寸法の情報キャリヤーの移送を確実のものとする。情報キャリヤーの挿入の際は、結合手段(40)は、挿入された情報キャリヤーの寸法に関連して設定された突起(50A、50B)と協同し、この突起は、挿入された情報キャリヤーの設定をその作動位置に確保するために、クランプ手段及び駆動手段を作動させるスライダー(52)に支持される。これにより、これらのクランプ手段及び駆動手段との間の同期が、前記キャリヤーの寸法に関連して作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録及び/又は再生装置への情報キャリヤー、特に光ディスク、磁気ディスク、CD、DVD、…のような実質的に円形の情報記録の出し入れを確実にするための移送具に関する。より特別には、本発明は、例えば裸のディスク及び特許文献1に開示されたような保護カートリッジ内に収容されたディスクのような寸法及び/又は厚さが異なる2種の仕様を示している情報キャリヤー用の移送具に関する。
【背景技術】
【0002】
裸ディスク及びカートリッジ入りディスクの装填を確実化する特許文献2及び特許文献3に開示されたような異なる仕様の情報キャリヤー用の器具が開発されている。しかし、これらは、それぞれ、キャリヤーを挿入する前に使用者が自分でどちらかの要素を選定するか特許文献2)、或いはキャリヤーの各形式に適した手段、例えば裸ディスク用のもの又はカートリッジ収容のディスク用の別の手段を装填するか(特許文献3)である。かかる器具は複雑、高費用であり、かつ大きな空間を必要とする。
【特許文献1】米国特許第4,377,538号 明細書
【特許文献2】米国特許第5,867,338号 明細書
【特許文献3】欧州特許第1,087,388号 明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、移送中、挿入された情報キャリヤーに対する装置の駆動手段及びクランプ手段を同時にかつ自動的に適合させることにより、実質的に同じ輪郭を有するが寸法及び/又は厚さの異なる仕様の情報キャリヤーの移送を確保する単一で単純、低費用、信頼性があり、かつ小型の器具を提供することにより上述の欠点を克服することである。
【0004】
本発明の更なる目的は、これらに異なった制御を行うことにより、移送具に既に設けられた手段に対する部品、追加費用、全高及び所要空間の増加を限定することである。
【0005】
本発明の別の目的は、装置内へのキャリヤーの挿入前における使用者によるいかなる特別な操作/選択の必要も避けることである。
【0006】
本発明による器具は、主請求項の内容を特徴とする。
【0007】
本発明の更なる特徴、長所、特性は、本発明を限定しない方法で以下説明される好ましい実施例より明らかとなるであろう。またこれに対する更なる改良、変更を、図面を参照し、本発明の範囲から離れることなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
明瞭化及び単純化の目的で、本発明の理解について厳密に必須の要素のみが各図に示される。
【0009】
説明される実施例においては、情報キャリヤーは、裸ディスク(厚さの薄いキャリヤー)又は出願人の特許文献1に説明されたものと同様なカートリッジ入りのディスク(異なった寸法、即ち裸ディスクより厚さ及び直径の大きいキャリヤー)のどちらかを使用するCD、DVD(コンパクトディスク、デジタルヴァーサタイルディスクとも呼ばれる)のような標準の光ディスクである。
【0010】
図面を参照すれば、移送具を組み込んだ装置は、半円形の開口3の設けられた固定フレーム1を備え、この開口のため、排出位置(図2)において、情報キャリヤー5、7を、その中央穴9により容易に取り上げることができる。装置において注目すべきは2対の可動ローラー12、14を備えることであり、これらローラーは、情報キャリヤー5、7に、その移送中、適切な中心合わせ用の力を加えるV字形の輪郭を持つ。ローラー12、14は、本発明の理解のための本質的な要素ではなく、これらはその完全な機構でなく略図で示される。その他のいかなる中心合わせ機構も使うことができる。移送具は、マイクロモーター(図示せず)から歯車列24を経て駆動されるラック22(図3ないし6)を担持している可動フレーム20を備える。この可動フレーム20はサブフレーム21を支持し、このサブフレームは、一方では、フレーム20に設けられた溝26とサブフレーム21に設置されかつ1対のローラー12を担持している軸27との組み合わせにより、他方では、サブフレーム21に設けられた溝28とフレーム20上に設置されたスタッド29との組み合わせにより動くことができる。可動フレーム20は、1対の支持手段30を、検出手段がこれを回って動き得るように、説明された実施例においては、フィーラーを反時計方向に強制する弾性手段(図示せず)の設けられたフィーラー32(図4、6、8)が旋回できるように、1対の支持手段30を横向きに支持する。各フィーラー32は軸34を担持し、ラチェットのような結合手段40がこの軸を回って矢印F(図1ないし2、4A、6A、8)の方向で旋回運動をするように強制するリーフばねのような弾性手段41の作用下で回ることができる。そこで、検出手段又はフィーラー32は、実質的に垂直面内で旋回し、同時に結合手段又はラッチェット40は、フィーラー32とは異なる面、ここでは実質的に直角方向の面内で旋回することができる。これらラチェット40は、それらの端部の一方に、フック状にされた輪郭42(図4A、5A、8)を有し、このフックは、器具の単純化のため、固定フレーム1(図1)に設けられた開口54により支持され案内されるスライダー52(左のものだけが図示される)と一体であることが好ましい。突起50A、50Bは、間隔を空けられた高さに設置される(図7)。
【0011】
各スライダー52は、突起50A、50Bを担持している側とは反対側の外側に2個の溝56、57を担持し(図7)、これらの溝は、例えば、磁石64(図3、5)を作動させるクランプ手段63により、例えば情報キャリヤー5、7を支持しているターンテーブル67を担持しているモーター66を作動させる駆動手段65により、それぞれ支持されるスタッド60、61(図3、4、5、6)を案内するためにS字形の輪郭を持つ。これら二つの手段は、装置の横側2に支持された固定軸70、72の周りを旋回する。そこで、支持の装填中、各スライダー52は、長手方向に動きながら、クランプ手段63及び駆動手段65がそれらの軸70、72の周りで旋回して、情報キャリヤー5、7が作動位置に設定されたとき、前記キャリヤーが裸ディスク7又はカートリッジ5のいずれであっても(図3、5)これを確実にクランプしかつ駆動する。情報キャリヤー5、7の排出の際は、スライダー52は、クランプ手段63及び駆動手段65がキャリヤーから離れるように動くように確実に反対方向に旋回して、キャリヤーが排出/挿入の非作動位置に動くことを許す。クランプ手段及び駆動手段の一方のみを可動とし、これが相対運動をしたときに情報キャリヤー5、7をその作動位置、非作動位置に置くことを考え得ることも言うまでもない。
【0012】
ラチェット40及びスライダー52上の突起50A、50Bは、後で明らかにされるように、ラック22により駆動される可動フレーム20と、作動位置に設定するための手段、例えばクランプ手段63及び駆動手段65とを同期させる。
【0013】
薄い情報キャリヤー7(裸ディスク)の装填の場合は、フィーラー32(図6)は、その弾性手段の作用下で低い高さに留まり、その高さは、これが情報キャリヤー7の表面と接触しない高さであり、一方、ラチェット40はその高い位置にある。そこで、フック42が突起50A(図6、6A)と協同して各スライダー52の運動を可動ラック22及び可動フレーム20の運動に続ける。
【0014】
厚い情報キャリヤー5(カートリッジ)の装填中、前記キャリヤーはフィーラー32に当たり、フィーラーはその弾性手段(図4)に対抗して軸30の周りを旋回し、ラチェット40を下向きに動かし、それらのフック42を強制して突起50B(図4、4A)と協同させて、各スライダー52の運動を、薄い情報キャリヤー7と比較して遅れてラック22の運動に連結させる。
【0015】
フック42の設定は次のとおりである。即ち、フックは、可動フレーム20が矢印Gの方向(図1ないし2、4、5)で動かされたとき、突起50A、50B上に固定され、それらの旋回軸34はフック42とそれらの駆動手段、即ち可動フレーム20との間に置かれる。更に、各ラチェット40は実質的に垂直方向の脚44(図8)を備え、この脚は固定フレーム1(図1、1A)に設けられた開口54から突き出し、更にその輪郭は、ラチェット40のいかなる回転も防止するように前記脚44を固定して、振動又は衝撃を受けた際に突起50A、50B上のフック42を確実に有効に固定するものである。
【0016】
このようにして、使用者の特別な注意又は操作を必要としない1個の機構を作ることにより、フィーラー32及びラチェット40は、情報キャリヤー5、7の移送と作動位置における設定を確実にする手段との間の同期、説明された実施例におけるクランプ手段63、駆動手段65との間の同期を確保する。
【0017】
薄い情報キャリヤー7(裸ディスク)の排出中は、スライダー52は、矢印Gの方向とは逆方向で、ラック22と同期して移動される。フック42の輪郭は次の通りである。即ち、可動フレーム20によりラチェット40に加えられた力が、突起50Aからこれらを外すためにこれらを矢印Fと反対方向に旋回させようとする輪郭である。しかし、この運きは、いかなる旋回も防ぐためにラチェット40の脚44を固定している開口54の輪郭により抵抗される。このとき、前記キャリヤー7は、そのクランプ手段63及び駆動手段65から全く自由である。同時に、各開口54(図1から2)の輪郭に設けられた隙間55が脚44を外し、ラチェット40が軸34の周りを旋回することを許し、結果として、フック42が突起50Aから外れる。このとき、ラチェット40はスライダー52から外される。駆動キャリヤー7を中央穴9により取り出すために、ラック22により駆動される可動フレーム20が、1対のローラー12、14により支持されている情報キャリヤー7の装置からの排出を許す。キャリヤー7が取り去られると、フィーラー32はその弾性手段の作用によりその低い位置に旋回した状態のままであり、ラチェット40はその高い位置に留まり、情報キャリヤー5又は7の挿入に備える。
【0018】
厚い情報キャリヤー5(カートリッジ)の取出しの際は、スライダー52はラック22と同期して矢印Gの方向と反対方向に動かされる。同じ方法で、フックを突起50Bから外すために、フック42の輪郭により、前記フックを矢印Fの方向と反対の方向で旋回させるための牽引力を可動フック20により作ることができる。しかし、この運動は、ラチェット40の脚44を固定している各開口54の輪郭により、この場合も抵抗される。このとき、前記キャリヤー5は、そのクランプ手段63及び駆動手段65から全く自由である。同時に、各開口54の輪郭に設けられた間隙55が脚44を外して、フック42が突起50Bから外れることを許し、従ってラチェット40は、旋回しスライダー52から離れるように動く。ラック22により駆動される可動フレーム20は、1対のローラー12、14により支持された情報キャリヤー5が、中央穴9により取り上げるられ、装置から排出されることを許す。キャリヤー5が取り出されると、フィーラー32は、それ自体の弾性手段の作用によりその下方位置に向かって旋回され、その結果、ラチェット40はその高い位置に置かれ、情報キャリヤー5又は7の挿入に対する準備状態となる。
【符号の説明】
【0019】
1 固定フレーム
2 横壁
3 開口
5、7 情報キャリヤー
9 5、7の中央穴
12、14 可動ローラー
20 可動フレーム
21 サブフレーム
22 ラック
24 歯車列
26 溝
27 軸
28 溝
29 スタッド
30 支持手段/軸
32 検出手段/フィーラー
34 軸
40 結合手段/ラチェット
41 弾性手段/リーフばね
42 プロフィル/フック
44 脚
50A、50B 突起
52 スライダー
54 開口
55 隙間
56、57 溝
60、61 スタッド
63 クランプ手段
64 磁石
65 駆動手段
66 モーター
67 ターンテーブル
70、72 固定軸
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本器具を組み込んだ装置の概略平面図であり、フレームの一部は明瞭化のため切り取られており、前記装置はカートリッジ内に収容されたディスクを機能的に再生する位置にある。
【図1A】図1と同様な部分図であるが、尺度が小さく、キャリヤーは裸ディスクである。
【図2】図1Aと同様であり、装置は排出/挿入の非作動状態にある。
【図3】図1の装置の切断面A−Aに沿った部分断面図である。
【図4】図3を単純化した図であり、本発明の器具の本質的な要素のみを示している。
【図4A】図4の詳細の平面図である。
【図5】図3と同様な図であるが、裸ディスクのための図である。
【図6】図4と同様であるが図5の器具用の図である。
【図6A】図4Aと同様であるが図5及び6に示された器具用の図である。
【図7】図1ないし5の一要素を明らかにする。
【図8】本発明の本質的な要素の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報キャリヤーの移送を確保し、かつ前記情報キャリヤーの作動位置における設置を確保するスライダー(52)と協同する可動フレーム(20)を備える異なった寸法の情報キャリヤー(5、7)用の移送具であって、挿入されたキャリヤーと協同する検出手段(32)を備え、移送を確保する器具と挿入された情報キャリヤー(5、7)の寸法に関して間隔を空けられた高さの作動位置における設置を確保する器具との間の結合を確保するために、前記検出手段がスライダー(52)上に設けられた突起(50A、50B)と協同する可動の結合手段(40)と組み合わせられることを特徴とする移送具。
【請求項2】
検出手段が、可動フレーム(20)により支持される支持手段(30)を回って旋回するフィーラー(32)を備えることを特徴とする請求項1による器具。
【請求項3】
結合手段が、前記検出手段(32)を回って旋回するラチェット(40)を備えることを特徴とする先行請求項のいずれかによる器具。
【請求項4】
結合手段(40)が、検出手段(32)の面と実質的に直角方向の平面内で旋回することを特徴とする先行請求項のいずれかによる器具。
【請求項5】
結合手段(40)の旋回軸(34)が、前記手段(40)のフック(42)と可動フレーム(20)の間に置かれることを特徴とする請求項3又は4による器具。
【請求項6】
スライダー(52)が、間隔を空けられた高さに置かれた突起(50A、50B)を担持することを特徴とする請求項1による器具。
【請求項7】
各結合手段(40)が、実質的に垂直方向に設置された脚(44)を担持することを特徴とする先行請求項のいずれかによる器具。
【請求項8】
固定フレーム(1)が開口(54)を備え、結合手段(40)のいかなる旋回も防ぐために、この開口の輪郭が脚(44)を固定することを特徴とする請求項7による器具。
【請求項9】
脚(44)を外して結合手段(40)を突起(50A、50B)から外すために、各開口(54)の輪郭に隙間(35)が設けられることを特徴とする請求項8による器具。

【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−511002(P2006−511002A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559496(P2004−559496)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/BE2003/000215
【国際公開番号】WO2004/055805
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(591197482)スタール・ソシエテ・アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】STAAR SOCIETE ANONYME
【Fターム(参考)】