説明

情報コード読取装置

【課題】 短時間で確実に情報コードの読み取りができる情報コード読取装置を提供する。
【解決手段】 低解像度にて情報コードの画像を取得し(S12)、該低解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断し(S18)、読み取り可能と判断した際に(S18:Yes)、当該低解像度の情報コードの画像からデコードを行う(S20)。低解像度の画像でデコードするため、高解像度の画像を取得しデコードするのに比べて、短時間で情報コードの読み取りができる。一方、低解像度の情報コードの画像からのデコードが不可能と判断した際に(S18:No)、高解像度の情報コードの画像からデコードを行う(S32)。このため、確実に情報コードを読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等の一次元情報コード、QRコード(登録商標)等の二次元情報コードを読み取る情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報コード読取装置では、バーコード等の一次元情報コード、QRコード等の二次元情報コードの画像を撮像素子で取得し、デコードを行って情報を読み取っている。近年、イメージセンサ等の撮像素子の画素数を増大させ画像の解像度を高めることで、読み取り精度を向上させてきたが、反面、デコードを行う情報量が増えて、デコード処理時間が長くなるという問題が生じてきた。さらに、画素数の大きな画像をメモリに取り込むため、取り込み時間も飛躍的に長くなっている。
【0003】
係る課題に対応するため、特許文献1に、二次元コードの画像を高解像度で撮像してメモリに記憶し、この画像を縮小し、縮小した画像から二次元コードを切り出す二次元コード読み取り装置が提案されている。
【特許文献1】特開2000−259761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の二次元コード読み取り装置では、高解像度で撮像してメモリに記憶しているため、撮像に時間が掛かるという課題がある。即ち、二次元コードを構成するセルの大きさ様々であり、ファインピッチのセルを用いている二次元コードに対しては、高解像度で撮像しないと読み取りれないことがあるが、通常の大きさのセルより成る二次元コードに対しては、不必要に高い解像度で撮像することになってしまい、撮像・デコードに時間が掛かり、読み取り時間が長くなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、短時間で確実に情報コードの読み取りができる情報コード読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、情報コードを読み取る情報コード読取装置10であって:
実質的に同じ撮像領域において、低い解像度にて情報コードの画像を取得する低解像度画像取得手段(S12)と、低解像度画像取得手段よりも高い解像度にて該情報コードの画像を取得する高解像度画像取得手段(S30)と;
前記低い解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断する判断手段(S18)と;
前記判断手段により読み取り可能と判断された際に(S18:Yes)、当該低い解像度の情報コードの画像からデコードを行い、不可能と判断された際に(S18:No)、前記高い解像度の情報コードの画像からデコードを行うデコード手段(S30、S32)とを備えることを技術的特徴とする。
【0007】
請求項1では、低い解像度にて情報コードの画像を取得し(S12)、該低い解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断し(S18)、読み取り可能と判断した際に(S18:Yes)、当該低い解像度の情報コードの画像からデコードを行う(S20)。低い解像度の画像でデコードするため、高い解像度の画像を取得しデコードするのに比べて、短時間で情報コードの読み取りができる。一方、低い解像度の情報コードの画像からのデコードが不可能と判断した際に(S18:No)、高い解像度の情報コードの画像からデコードを行う(S32)。このため、確実に情報コードを読み取ることができる。特に、低い解像度の画像で実際にデコードを行い、デコードが失敗した際に、高い解像度の画像でデコードするのと比べて、予め低い解像度の画像でのデコードが可能か否かを判断するため、情報コードの読み取り時間を短縮可能である。
【0008】
請求項2では、低い解像度の画像から情報コードの存在している領域E1を検出する(S14)。そして、高い解像度の情報コードの画像からデコードを行う際に、検出された情報コードの存在している領域E2をデコードする(S32)。このため、例え、低い解像度の情報コードの画像からのデコードが不可能で、高い解像度の情報コードの画像からデコードを行う際にも、情報コードの存在している最小限の領域E2のみをデコードするため、デコードに時間が掛からず、短時間で情報コードの読み取りができる。
【0009】
請求項3では、低い解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを、低い解像度の画像中で情報コードを構成する明暗Cの最小単位の少なくとも一方が、予め設定された画素数以上かにより判断する(S18)。このため、低い解像度の画像でデコードを試みることなく、情報コードの読み取りが可能か否かを判断できる。これにより、低い解像度の画像で実際にデコードを行い、デコードが失敗した際に、高い解像度の画像でデコードするのと比べて、情報コードの読み取り時間を短縮可能である。
【0010】
請求項4では、低い解像度の情報コードの画像でデコードを失敗した場合に(S22:Yes)、デコードを失敗した領域ERを特定する(S24)。そして、高い解像度の画像からのデコードを失敗した領域ERで行い、低い解像度の画像から行ったデコードの失敗を補完する(S28)。このため、例え、低い解像度の情報コードの画像からのデコードに失敗して、高い解像度の情報コードの画像からデコードを行う際にも、低い解像度の画像で既に完了しているデコードを用い、デコードに失敗した最小限の領域ERのみをデコードするため、デコードに時間が掛からず、短時間で情報コードの読み取りができる。
【0011】
請求項5では、低い解像度の画像では情報コードの読み取り不可能と判断された際に(S18:No)、高い解像度にて該情報コードの画像を取得する(S30)。即ち、低い解像度にて情報コードの画像を取得し、該低い解像度の画像から情報コードの読み取りが可能と判断した際に、当該低い解像度の情報コードの画像からデコードを行い、高い解像度の画像を取得しないため、短時間で情報コードの読み取りができる。
【0012】
請求項6では、情報コードが一次元コードか二次元コードかを識別し(S29)、一次元コードと識別された際に(S29:Yes)、水平方向のみに高い解像度にて該情報コードの画像を取得し(S31)、二次元コードと識別された際にのみ(S29:No)、水平・垂直方向の高い解像度にて該情報コードの画像を取得する(S30)。即ち、垂直方向への高解像度が必要とされない一次元コードに対しては、水平方向のみに高い解像度にて画像を取得するため、短時間で一次元コードの読み取りができる。
【0013】
請求項7の発明は、情報コードを読み取る情報コード読取装置10であって:
実質的に同じ撮像領域において、低解像度にて情報コードの画像を取得する低解像度画像取得手段(S52)と、低解像度画像取得手段よりも高い中解像度にて該情報コードの画像を取得する中解像度画像取得手段(S60)と、当該中解像度画像取得手段よりも更に高い高解像度にて該情報コードの画像を取得する高解像度画像取得手段(S62)と;
前記低解像度の画像中で情報コードを構成する明暗の最小単位の少なくとも一方の画素が、第1の予め設定された数以上である場合に当該低解像度の画像から情報コードの読み取りが可能であると判断する第1判断手段(S54)と;
第1判断手段で不可能と判断された際に(S54:No)、前記最小単位の画素数が前記第1の数よりも少ない第2の予め設定された数よりも多いか否かにより前記中解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断する第2判断手段(S56)と;
前記第1判断手段によって低解像度の画像で読み取り可能と判断された際に(S54:Yes)、当該低解像度の情報コードの画像からデコードを行い、低解像度の画像不可能と判断され(S54:No)、且つ、前記第2判断手段によって中解像度の画像から情報コードの読み取りが可能と判断された際に(S56:Yes)、前記中解像度画像取得手段(S60)にて取得した中解像度の画像からデコードを行い、前記第2判断手段によって中解像度の画像から情報コードの読み取りが不可能と判断された際に(S56:No)、前記高解像度画像取得手段(S62)にて取得した高解像度の画像からデコードを行うデコード手段(S66)と、を備えることを技術的特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、少なくとも低解像度、中解像度、高解像度、即ち、3段階以上の解像度で該情報コードの画像を取得できる。低解像度の画像中で情報コードを構成する明暗の最小単位の少なくとも一方の画素が、第1の予め設定された数以上の場合に当該低解像度の画像から情報コードの読み取りが可能であると判断する(S54)。そして、低い解像度の画像で読み取り可能と判断した際に(S54:Yes)、当該低い解像度の情報コードの画像からデコードを行う(S66)。一方、低解像度の画像からは読み取り不可能と判断した際に(S54:No)、最小単位の画素数が第1の数よりも少ない第2の予め設定された数よりも多いか否かにより中解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断する(S56)。そして、中解像度の画像から情報コードの読み取りが可能と判断した際に(S56:Yes)、中解像度の画像を取得してデコードを行い(S60、S66)、中解像度の画像から情報コードの読み取りが不可能と判断した際に(S56:No)、高解像度の画像を取得してデコードを行う(S62、S60)。低解像度の画像を基に、読み取りに必要とされる解像度を判断するため、確実に情報コードを読み取ることができ、また、必要最小限の解像度で情報コードを読み取るため、情報コードの読み取り時間を短縮することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取装置の第1実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係る情報コード読取装置10の構成概要を図1、図2に基づいて説明する。
図1に示すように、情報コード読取装置10は、主に、縦長のほぼ矩形箱状なすハウジング11と、このハウジング11内に収容される回路部20と、同じくこのハウジング11内に収容されて回路部20に駆動電力を供給する電池49と、により構成されている。
【0016】
ハウジング11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部品で、その一端側に、ハウジング11の裏面方向に前傾するように「首曲がり形状」をなす読取口11aを備えている。この読取口11aは、後述する回路部20の受光センサ23に入射する入射光を導入可能な開口部である。一方、このハウジング11の他端側には、電池49を収容可能な図略の電池ボックスが形成されている。また、ハウジング11の表面側には液晶表示器46を取付可能な開口部も形成されており、情報コード読取装置10の使用者が液晶表示器46に表示する表示内容を視覚的に把握可能に構成している。
【0017】
回路部20は、ハウジング11の内部に収容されているプリント配線板15、16に実装される各種の電子部品18等によって構成されている。即ち、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。そして、これらはプリント配線板15、16に実装されたり、あるいはハウジング11内に内装されている。
【0018】
ここで、回路部20の構成について図2を参照して後述する。図2に示すように、回路部20を構成する光学系は、照明光源21、受光センサ23、マーカ光源25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、図1には記載されていないが、照明光発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本実施形態では受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ハウジング11の読取口11aを介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。
【0019】
なお、本実施形態では、赤色のLEDを用いているが、例えば青色、白色等といった多種多様な発光色を、当該2次元コードQを読み取り得る2次元バーコードリーダ(光学情報読取装置)の照明光Lfの発光色に合わせても良い。これにより、2次元バーコードリーダの照明光の発光状態に近い状態で、照明光源21から照明光Lfを照射できる。
【0020】
受光センサ23は、読取対象物Rや2次元コードQに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子をm行n列の2次元に配列したエリアセンサが相当し、640×480画素を備える。この受光センサ23の受光センサ23aには、ハウジング11の外から読取口11aを介して外観可能に構成されており、受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光センサ23aで受光可能にプリント配線板15に実装されている。
【0021】
マーカ光源25は、情報コード読取装置10の使用者に対して適切な読取位置を知らせるためのマーカ光Mfを発光可能なマーカ光源として機能するもので、例えばレーザダイオードとこのレーザダイオードの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズやマーカ光MfによるセンターマークMXやコーナーマークMLといったパターンを形成可能なスリット盤、結像レンズ、絞り盤から構成されている。
【0022】
結像レンズ27は、外部からハウジング11を介して入射する入射光を集光して受光センサ23の受光センサ23aに像を結像可能な結像光学系として機能しうるもので、例えば鏡筒とこの鏡筒に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。なお、図2には示されていないが、図1に示すように、2次元コードQ等に反射して読取口11aに入射した反射光Lrの光路を変更する反射鏡26が読取口11a内に設けられている。
【0023】
次にマイコン系の構成概要を説明する。図2に示すように、マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能しうる制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系により撮像された2次元コードQの画像信号等をハードウエア的およびソフトウエア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該情報コード読取装置10の全体のシステムに関する制御も行っている。液晶表示器46は、上述した640×480画素の受光センサ23で撮像した画像を320×240画素で映し出すビューファインダを構成している。
【0024】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号は、増幅回路31に入力されることで所定原因で増幅した後、A/D変換回路33に入力されるとアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、デジタル化された画像信号、つまり画像データはメモリ35に入力されると所定の入力バッファに蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいてメモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0025】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えば読取対象物RAM(DRAM、SRAM等)や読取対象物ROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、所定のバッファ領域やこのほか制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理に利用する作業領域等も確保可能に構成されている。また、ROMには、所定のプログラムやその他、照明光源21、受光センサ23やマーカ光源25等の各ハードウェアの制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0026】
制御回路40は、情報コード読取装置10全体の制御を可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェースとからなり、メモリ35と共に情報処理装置を構成し情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等を接続している。これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取った2次元コードQの評価結果を表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部機器とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、操作スイッチ42には、照明光源21による照明光Lfの照射を指示するトリガースイッチ14が含まれている。
【0027】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等に構成されており、制御回路40により管理されている電源スイッチ41のオンオフによって、前述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な二次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0028】
引き続き、第1実施形態の情報コード読取装置10による情報コードの読み取り処理について図3(A)、図5、図7を参照して説明する。
図3(A)は第1実施形態の情報コード読取装置10での解像度切り替えの模式図であり、図5(A)は解像度を切り替えて撮像したQRコードの説明図である。
第1実施形態の情報コード読取装置10は、低解像度(320×240)と高解像度(640×480)とを切り替えて撮像できるように構成されている。該情報コード読取装置10は、先ず、低解像度でQRコードを撮像し、当該低解像度でQRコードがデコードできるかを判断し、デコード可能な際は、撮像した低解像度の画像でQRコードのデコードを開始する。一方、低解像度でデコードが不可能と判断した際には、高解像度でQRコードを撮像し、該高解像度の画像からQRコードをデコードする。ここで、低解像度でデコードが不可能と判断した際には、図5(A)左図に示すように当該低解像度の画像でQRコードQの存在している領域E1を特定しておき、高解像度の画像からデコードを行う際に、図5(A)右図に示すように高解像度の画像中の該当領域E2をデコードすることで、デコードを行う範囲を狭め、デコード時間の短縮を図っている。
【0029】
図7は、情報コード読取装置10によるQRコードの読み取り処理を示すフローチャートである。
先ず、低解像度(320×240)でQRコードQの画像を取得する(S12)。この低解像度の画像としては、ビューファインダを構成する液晶表示器46用の画像を流用することができる。そして、該低解像度画像で、QRコードの大まかな位置(図5(A)左図の領域E1)、及び、モジュール(セル)サイズを確認する(S14)。ここで、QRコードの大まかな位置の探索には、特開2000−353210号の手法を用いる。一方、モジュールサイズとは、図5(B)中に示すQRコードを構成するモジュール(セル)Cの大きさを意味し、具体的には、情報コード読取装置10がセルCの有る(B)無し(W)を暗(セル有り)明(セル無し)で識別しており、このセルCが当該低解像度(320×240)での何画素に相当するかによりサイズを確認する。次に、QRコードが画像内にデコードするのに十分あるか、即ち、操作者によりQRコードが適切に捉えられ、画像内にQRコードが存在しているかを判断する(S16)。ここで、QRコードが適切に捉えられていない場合には(S16:No)、一旦処理を終了する。
【0030】
QRコードが画像内にデコードするのに十分ある際には(S16:Yes)、上記S14で確認した、モジュールのサイズがデコード可能な大きさか、即ち、低解像度の画像からQRコードがデコードできるか否かを判断する(S18)。ここでは、図5(B)中に示す1個のモジュールCのサイズが、4画素以上かを判断する。ここで、モジュールCのサイズは、モジュール有り(暗B)を基準として判断することも、モジュール無し(明W)を基準として判断することも、両方併用して判断することも可能である。
【0031】
モジュールのサイズがデコード可能な4画素以上の場合、即ち、低解像度の画像からQRコードがデコードできる際には(S18:Yes)、当該低解像度の画像からQRコードのデコードを行う(S20)。そして、デコードが成功した際には(S22:No)、デコードを終了し、読み取り結果を出力して(S34)、処理を終了する。
【0032】
他方、低解像度でのデコードが失敗した際には(S22:Yes)、図5(C)左図に示すように、失敗した領域ERを特定する(S26)。そして、高解像度(640×480)で画像を取得し(S26)、低解像度画像にてデコードを失敗した領域ERをデコードし(図5(C)右図参照)、これを低解像度終えているデコードに補完することで、デコードを完了させる(S28)。そして、読み取り結果を出力して(S34)、処理を終了する。
【0033】
一方、上述したS18の低解像度の画像からQRコードがデコードできないと判断した際には(S18:No)、高解像度(640×480)で画像を取得し(S30)、S32で低解像度画像にてQRコードの存在を特定した領域E2をデコードする(図5(A)右図参照)。そして、読み取り結果を出力して(S34)、処理を終了する。
【0034】
第1実施形態の情報コード読取装置10では、低解像度でQRコードの位置(領域E1)を特定し、高解像度画像中でその領域E2のみをデコードしたが、図6(A)左側に示すように、低解像度でQRコードの位置を特定し、図6(A)右側に示すように当該QRコードが存在している領域E3(例えば、低解像度と同じ320×240画素分)のみを高解像度(640×480相当)で撮像することも可能である。
【0035】
第1実施形態の情報コード読取装置10では、低解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断し、読み取り可能と判断した際に、当該低解像度の情報コードの画像からデコードを行う。低解像度の画像でデコードするため、高解像度の画像を取得しデコードするのに比べて、短時間で情報コードの読み取りができる。一方、低解像度の情報コードの画像からのデコードが不可能と判断された際に、高解像度の情報コードの画像からデコードを行う。このため、確実に情報コードを読み取ることができる。特に、低解像度の画像で実際にデコードを行い、デコードが失敗した際に、高解像度の画像でデコードするのと比べて、予め低解像度の画像でのデコードが可能か否かを判断するため、情報コードの読み取り時間を短縮可能である。
【0036】
また、情報コード読取装置10は、低解像度の画像から情報コードの存在している領域E1を検出する。そして、高解像度の情報コードの画像からデコードを行う際に、検出された情報コードの存在している領域E2をデコードする。このため、例え、低解像度の情報コードの画像からのデコードが不可能で、高解像度の情報コードの画像からデコードを行う際にも、情報コードの存在している最小限の領域E2のみをデコードするため、デコードに時間が掛からず、短時間で情報コードの読み取りができる。
【0037】
更に、第1実施形態の情報コード読取装置10では、低解像度の画像からQRコードの読み取りが可能か否かを、低解像度の画像中でQRコードを構成するモジュールCが、予め設定された画素数(4)以上かにより判断する。このため、低解像度の画像でデコードを試みることなく、QRコードの読み取りが可能か否かを判断できる。
【0038】
更にまた、第1実施形態の情報コード読取装置10では、低解像度の情報コードの画像でデコードを失敗した場合に、デコードを失敗した領域ERを特定する。そして、高解像度の画像からのデコードを失敗した領域ERで行い、低解像度の画像から行ったデコードの失敗を補完する。このため、例え、低解像度の情報コードの画像からのデコードに失敗して、高解像度の情報コードの画像からデコードを行う際にも、低解像度の画像で既に完了しているデコードを用い、デコードに失敗した最小限の領域のみをデコードするため、デコードに時間が掛からず、短時間で情報コードの読み取りができる。
【0039】
なお、上述した第1実施形態では、低解像度の画像と高解像度の画像とを別々のタイミングで取得したが、これを同時に取得することも、また、予め取り込んだ高解像度の画像から低解像度の画像を生成することも可能である。
【0040】
[第2実施形態]
図3(B)及び図6(B)を参照して第2実施形態に係る情報コード読取装置10について説明する。
第2実施形態の情報コード読取装置10は、上述した第1実施形態と同様に低解像度での読み取りが出来ない場合には、高解像度で情報コードを読み取る。但し、第2実施形態では、情報コードがバーコードかQRコードかを識別し、バーコード(一次元コード)と識別された際に、水平方向のみに高い解像度にて該バーコードの画像を取得し、QRコード(二次元コード)と識別された際にのみ、水平・垂直方向の高い解像度にて該QRコードの画像を取得する。即ち、垂直方向への高解像度が必要とされないバーコード(一次元コード)に対しては、水平方向のみに高い解像度にて画像を取得することで、短時間でバーコードの読み取りを可能にしている。
【0041】
この第2実施形態の情報コード読取装置10によるバーコード、QRコードの読み取り処理を図8に示すフローチャートを参照して説明する。
S12〜S28までの処理は、図7を参照して上述した第1実施形態と同様である。ここで、S18でのモジュールのサイズがデコード可能な大きさか、即ち、低解像度の画像から情報コードがデコードできるか否かを判断で、低解像度でデコードできないと判断した際には(S18:No)、情報コードの形状(正方形か矩形か)に基づきバーコードかQRコードかを判断する(S29)。ここで、バーコードであると判断した際には(S29:Yes)、図6(B)に示すように、水平方向のみに解像度を高めた高解像度(640×240)で画像を取り込む(S31)。なお、ここでは、バーコードに対しては、操作者がバーコードの水平方向と、情報コード読取装置10の水平方向とがほぼ一致するようにして撮像しているものとする。但し、解像度の低い画像で、バーコードの向きが垂直方向であることが判別された場合には、垂直方向に解像度を高くした画像を取り込みようにしても良い。
【0042】
他方、QRコードであると判断した際には(S29:No)、図6(C)に示すように、水平、垂直方向への解像度を高めた高解像度(640×480)で画像を取り込む(S30)。以降の処理は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
[第3実施形態]
図4を参照して第3実施形態に係る情報コード読取装置10について説明する。
第1、第2実施形態の情報コード読取装置10は、低解像度と高解像度との2段階の解像度での撮像が可能であった。これに対して、図4に示すように第3実施形態の実施形態では、低解像度(320×240)、中解像度(640×480)、高解像度(1280×960)、高高解像度(2560×19200)の4段階の解像度の切り替えが可能に構成されており、低解像度(320×240)の画像を基に、読み取りに必要とされる解像度を判断し、必要最小限の解像度で撮像し、情報コードを読み取る。
【0044】
この第3実施形態の情報コード読取装置10によるQRコードの読み取り処理を図9に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、低解像度(320×240)でQRコードQの画像を取得する(S52)。そして、モジュールCのサイズがデコード可能な大きさか、即ち、低解像度の画像からQRコードがデコードできるか否かを、モジュールC(図5(B)参照)のサイズが4画素以上かにより判断する(S54)。ここで、モジュールCのサイズがデコード可能な4画素以上の場合、即ち、低解像度の画像からQRコードがデコードできる際には(S54:Yes)、当該低解像度(320×240)の画像からQRコードのデコードを行う(S66)。
【0045】
一方、モジュールCのサイズが4画素未満の場合、即ち、低解像度(320×240)の画像からQRコードがデコードできない場合には(S54:No)、モジュールCのサイズが4画素未満で3画素以上、即ち、3画素で中解像度(640×480)でデコード可能かを判断する(S56)。ここで、中解像度の画像からQRコードがデコードできる際には(S56:Yes)、中解像度(640×480)の画像を取得し(S60)、取得した中解像度の画像からQRコードのデコードを行う(S66)。
【0046】
一方、モジュールCのサイズが3画素未満の場合、即ち、中解像度(640×480)の画像からQRコードがデコードできない場合には(S56:No)、モジュールCのサイズが3画素未満で2画素以上、即ち、2画素で高解像度(1280×960)でデコード可能かを判断する(S58)。ここで、高解像度の画像からQRコードがデコードできる際には(S58:Yes)、高解像度(1280×960)の画像を取得し(S62)、取得した高解像度の画像からQRコードのデコードを行う(S66)。
【0047】
一方、モジュールCのサイズが2画素未満の場合、即ち、高解像度(1280×960)の画像でもデコードできない場合には(S58:No)、高高解像度(2560×1920)の画像を取得し(S64)、取得した高高解像度の画像からQRコードのデコードを行う(S66)。
【0048】
第3実施形態の情報コード読取装置10では、低解像度の画像を基に読み取りに必要な解像度を決定するため、確実に情報コードを読み取ることができ、また、必要最小限の解像度で情報コードを読み取るため、情報コードの読み取り時間を短縮することが可能である。なお、第3実施形態では、解像度を4段階用意したが、3段階以上であれば、何段であっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の回路部の構成概要を示すブロック図である。
【図3】図3(A)は第1実施形態の情報コード読取装置での解像度切り替えの模式図であり、図3(B)は第2実施形態の情報コード読取装置での解像度切り替えの模式図である。
【図4】第3実施形態の情報コード読取装置での解像度切り替えの模式図である。
【図5】図5(A)、図5(C)は、第1実施形態の情報コード読取装置で解像度を切り替えて撮像したQRコードの説明図であり、図5(B)はQRコードを構成するモジュール(セル)の説明図である。
【図6】図6(A)は、第1実施形態の別例に係る情報コード読取装置で解像度を切り替えて撮像したQRコードの説明図であり、図6(B)は第2実施形態の情報コード読取装置で解像度を切り替えて撮像したバーコードの説明図であり、図6(C)は第2実施形態の情報コード読取装置で解像度を切り替えて撮像したQRコードの説明図である。
【図7】第1実施形態に係る情報コード読取装置によるQRコードの読み取り処理を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る情報コード読取装置によるバーコード、QRコードの読み取り処理を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態に係る情報コード読取装置によるQRコードの読み取り処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10 情報コード読取装置
20 回路部
23 受光センサ
35 メモリ
40 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを読み取る情報コード読取装置であって:
実質的に同じ撮像領域において、低い解像度にて情報コードの画像を取得する低解像度画像取得手段と、低解像度画像取得手段よりも高い解像度にて該情報コードの画像を取得する高解像度画像取得手段と;
前記低い解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断する判断手段と;
前記判断手段により読み取り可能と判断された際に、当該低い解像度の情報コードの画像からデコードを行い、不可能と判断された際に、前記高い解像度の情報コードの画像からデコードを行うデコード手段とを備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記低い解像度の画像から情報コードの存在している領域を検出する存在領域検出手段を備え、
前記デコード手段が、前記高い解像度の情報コードの画像からデコードを行う際には、前記存在領域検出手段により検出された情報コードの存在している領域をデコードすることを特徴とする請求項1の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記判断手段は、低い解像度の画像中で情報コードを構成する明暗の最小単位の少なくとも一方が、予め設定された画素数以上である場合に情報コードの読み取りが可能であると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記デコード手段は、
前記低い解像度の情報コードの画像からデコードを行い、デコードを失敗した場合に、デコードを失敗した領域を特定し、
高い解像度の画像から前記デコードを失敗した領域のデコードを行い、前記低い解像度の画像から行ったデコードの失敗を補完することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記判断手段により読み取り不可能と判断された際に、前記高解像度画像取得手段が高い解像度にて該情報コードの画像を取得することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1の情報コード読取装置。
【請求項6】
情報コードが一次元コードか二次元コードかを識別する情報コード識別手段を備え、
一次元コードと識別された際に、前記高解像度画像取得手段が水平方向のみに高い解像度にて該一次元コードの画像を取得し、
二次元コードと識別された際に、前記高解像度画像取得手段が水平・垂直方向の高い解像度にて該二次元コードの画像を取得することを特徴とする請求項5の情報コード読取装置。
【請求項7】
情報コードを読み取る情報コード読取装置であって:
実質的に同じ撮像領域において、低解像度にて情報コードの画像を取得する低解像度画像取得手段と、低解像度画像取得手段よりも高い中解像度にて該情報コードの画像を取得する中解像度画像取得手段と、当該中解像度画像取得手段よりも更に高い高解像度にて該情報コードの画像を取得する高解像度画像取得手段と;
前記低解像度の画像中で情報コードを構成する明暗の最小単位の少なくとも一方の画素が、第1の予め設定された数以上である場合に当該低解像度の画像から情報コードの読み取りが可能であると判断する第1判断手段と;
第1判断手段で可能でないと判断された際に、前記最小単位の画素数が前記第1の数よりも少ない第2の予め設定された数よりも多いか否かにより前記中解像度の画像から情報コードの読み取りが可能か否かを判断する第2判断手段と;
前記第1判断手段によって低解像度の画像で読み取り可能と判断された際に、当該低解像度の情報コードの画像からデコードを行い、低解像度の画像不可能と判断され、且つ、前記第2判断手段によって中解像度の画像から情報コードの読み取りが可能と判断された際に、前記中解像度画像取得手段にて取得した中解像度の画像からデコードを行い、前記第2判断手段によって中解像度の画像から情報コードの読み取りが不可能と判断された際に、前記高解像度画像取得手段にて取得した高解像度の画像からデコードを行うデコード手段と、を備えることを特徴とする情報コード読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−133566(P2007−133566A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324831(P2005−324831)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】