説明

情報伝達票付き包装体の製造方法

【課題】商品の運搬や陳列の際に包装体から情報伝達票が剥がれ落ちることがない情報伝達票付き包装体を容易に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】搬送路2上において、複数個の箱状物品4を整列して箱状物品集合体6を構成する整列工程50と、再剥離性粘着剤が塗工された粘着シール8を情報伝達票10の外縁から粘着面の一部がはみ出すように情報伝達票10に貼着する粘着シール貼着工程52と、情報伝達票10の粘着シール8が貼着された側の縁部12が搬送路2の川下18側に位置し、情報伝達票10の縁部12と対向する縁部14が搬送路2の川上16側に位置するように、粘着シール8によって箱状物品集合体6の表面に情報伝達票10を貼着する情報伝達票貼着工程54と、情報伝達票10が貼着された箱状物品集合体6を透光性フィルム20で被包して包装する包装工程56と、を備えた情報伝達票付き包装体1Aの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の購買意欲を喚起し得る情報等が表示された情報伝達票が付された、箱状物品の包装体を製造する方法に関するものである。より具体的には、カートンティシュ等の箱状物品の集合体が透光性フィルムで被包されており、更に情報伝達票が付されている情報伝達票付き包装体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カートンティシュ等の箱状物品は、樹脂等からなる透光性フィルムにより被包された包装体の状態で市販されてきた。このような包装体は、汚れや濡れから箱状物品を保護するのみならず、箱表面に描かれたデザインや説明文等の視認性を損なうことがない点で有益なものである。
【0003】
このような包装体においては、商品説明や商品宣伝の目的で、箱表面に描かれたデザイン等とは別に、商品説明や商品宣伝等の情報が表示されたカード等を付することが行われている。例えば、箱の外面をフィルムで包んだ包装物に弱粘着テープによりカードを貼着した包装物が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装物は、商品の運搬や陳列の際に包装物からカードが剥がれ易いという問題があった。そこで、弱粘着手段により被包装物品の表面に情報が表示された情報伝達票を貼着し、その情報伝達票が付された被包装物品を透光性の樹脂フィルムで被覆した包装体が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−59258号公報
【特許文献2】特開2009−107681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の包装体は、情報伝達票が被包装物品の表面に直接貼着され、樹脂フィルムで被覆されているため、商品の運搬や陳列の際に包装体から情報伝達票が剥がれ落ちる不具合を防止することができる。しかしながら、このような包装体は、製造に際し情報伝達票又は被包装物品に弱粘着性の接着剤を塗工する煩瑣な工程が必要であることに加え、接着剤補給装置、乾燥設備等の製造設備が必要になるという面で製造が困難なものであった。
【0007】
即ち、特許文献2に記載の包装体は、商品の運搬や陳列の際に包装体から情報伝達票が剥がれ落ちる不具合を防止するという点で優れているものの、製造の容易さという点では未だ改良の余地を残すものであった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたものであって、商品の運搬や陳列の際に包装体から情報伝達票が剥がれ落ちることがない情報伝達票付き包装体を容易に製造することができる製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、1)粘着シールを用いて箱状物品集合体の表面に情報伝達票を貼着すること、及び2)情報伝達票における箱状物品集合体の搬送路川下側の縁部を粘着シールで貼着すること、によって上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、以下の製造方法が提供される。
【0010】
[1]搬送路上において、複数個の箱状物品をその天面と底面とが当接するように整列して、前記箱状物品が複数個連なる箱状物品集合体を構成する整列工程と、再剥離性粘着剤が塗工された粘着面を有する粘着シールを、情報が表示された情報伝達票の外縁から前記粘着面の一部がはみ出すように前記情報伝達票に貼着する粘着シール貼着工程と、前記情報伝達票の前記粘着シールが貼着された側の縁部が前記搬送路の川下側に位置し、前記情報伝達票の前記縁部と対向する縁部が前記搬送路の川上側に位置するように、前記粘着シールによって前記箱状物品集合体の表面に前記情報伝達票を貼着する情報伝達票貼着工程と、前記情報伝達票が貼着された箱状物品集合体を透光性フィルムで被包して包装する包装工程と、を備えた情報伝達票付き包装体の製造方法。
【0011】
[2]前記情報伝達票として矩形状伝達票を用いるとともに、前記粘着シールとして前記矩形状伝達票の横幅より幅広な幅広シールを用い、前記矩形状伝達票の一端を覆い、かつ、前記矩形状伝達票の両側縁からはみ出すように、前記幅広シールを前記矩形状伝達票に貼着する前記[1]に記載の製造方法。
【0012】
[3]前記情報伝達票として懸賞応募はがきを用いるとともに、前記粘着シールとして応募シールを用い、前記応募シールによって前記箱状物品集合体の表面に前記懸賞応募はがきを貼着する前記[1]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法は、商品の運搬や陳列の際に包装体から情報伝達票が剥がれ落ちることがない情報伝達票付き包装体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の製造方法の一の実施形態を模式的に示す工程図である。
【図2】本発明の製造方法の粘着シール貼着工程及び情報伝達票貼着工程の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の製造方法の粘着シール貼着工程及び情報伝達票貼着工程を実施するための装置の一の実施形態を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の製造方法の粘着シール貼着工程及び情報伝達票貼着工程を実施するための装置の別の実施形態を模式的に示す側面図である。
【図5】本発明の製造方法の包装工程の一の実施形態を模式的に示す工程図である。
【図6】本発明の製造方法により得られる情報伝達票付き包装体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の製造方法により得られる情報伝達票付き包装体の別の例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の製造方法を実施するための形態について、カートンティシュ包装体の製造例により、図面を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える製造方法を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[1]本発明の製造方法の特徴:
本発明の製造方法は、図1に示すように、1)粘着シール8を用いて箱状物品集合体6の表面に情報伝達票10を貼着する点、及び2)情報伝達票10における搬送路2の川下18側の縁部12を粘着シール8で貼着する点に特徴がある。
【0017】
粘着シール8を用いることで、情報伝達票10や箱状物品4に接着剤を塗工する煩瑣な工程が不要となり、接着剤の塗工に伴う接着剤補給装置、乾燥設備等の製造設備が不要になる。
【0018】
また、情報伝達票10における搬送路2の川下18側の縁部12を箱状物品集合体6に貼着することで、情報伝達票10を貼着した後、透光性フィルム20による包装が完了するに至るまでの搬送時において、情報伝達票10が搬送時の風圧等で捲れたり、剥がれたりする不具合を抑制することができる。
【0019】
更に、特許文献2に記載の包装体と同様に、情報伝達票を箱状物品の表面に直接貼着し、透光性フィルムによって被包して包装するため、商品の運搬や陳列の際に包装体から情報伝達票が剥がれ落ちる不具合を防止することができる。
【0020】
[2]本発明の製造方法の構成:
本発明の製造方法は、図1に示すように、必須工程として、整列工程50、粘着シール貼着工程52、情報伝達票貼着工程54、及び包装工程56を備えた情報伝達票付き包装体1Aの製造方法である。以下、工程毎に説明する。
【0021】
[2−1]整列工程:
図1に示すように、整列工程50は、搬送路2上において、複数個の箱状物品4をその天面と底面とが当接するように整列して、箱状物品4が複数個連なる箱状物品集合体6を構成する工程である。
【0022】
整列工程は、搬送路上において行われる。「搬送路」とは、例えばベルトコンベア等の箱状物品を搬送する経路を意味する。
【0023】
整列工程では、複数個の箱状物品をその天面と底面とが当接するように整列する。「箱状物品」は、外形が箱状の物品である限り特に限定されないが、例えば、カートンティシュのようなカートン包装された衛生用紙等を挙げることができる。「複数個」の個数は特に限定されないが、カートンティシュの場合であれば、3個又は5個とすることが多い。
【0024】
「天面と底面とが当接するように整列」とは、一の箱状物品の天面に他の箱状物品の底面を当接させる関係を繰り返して、複数の箱状物品を並べることを意味する。なお、カートンティシュの場合、「天面」とはティシュの取出口が形成される面(即ち、取出口を形成すべき領域の外縁に沿ってミシン目等の切込線が形成されている面)を指し、「底面」とは天面と対向する面を指す。図1に示す製造方法では、3個の箱状物品4(カートンティシュ)を、取出口形成用切込線22が形成された天面24と、これと対向する面である底面26とが当接するように整列している。
【0025】
図1に示すように、整列工程50は、例えばシリンダー等のアクチュエーターによって搬送路2上に突出するように構成された可動ストッパー28を設置しておき、所定の個数の箱状物品4が搬送路2を通過するごとに、可動ストッパー28を搬送路2上に突出させる操作を繰り返すことで、箱状物品4が複数個連なる箱状物品集合体6を構成する等の方法で行うことができる。
【0026】
図1に示すように、整列工程50によって、複数の箱状物品4が相互に拘束されることなく複数個連なり、一体的な集合体を形成している箱状物品集合体6が得られる。
【0027】
[2−2]粘着シール貼着工程:
図1に示すように、粘着シール貼着工程52は、再剥離性粘着剤が塗工された粘着面を有する粘着シール8を、情報が表示された情報伝達票10の外縁から粘着面の一部がはみ出すように情報伝達票10に貼着する工程である。
【0028】
「情報伝達票」とは、情報が表示された媒体を意味し、例えば、情報が表示された紙片やプラスチックカード等を挙げることができる。
【0029】
「情報伝達票」は、貼付される粘着シールの剥離を容易とするため、その表面のうち少なくとも粘着テープを貼着する部分が平滑面となっていることが好ましい。特に「情報伝達票」として紙片を用いる場合には、非塗工紙に比して表面平滑性に優れるという理由から、その紙片を塗工紙により構成することが好ましい。塗工紙としては、従来公知の塗工紙、例えば、ポリエチレンラミネート、水系樹脂コート、フィルムタイプその他の塗工紙を用いることができる。
【0030】
「情報」の種類は特に限定されないが、顧客の購買意欲を喚起し得る情報であることが好ましい。例えば、懸賞・キャンペーン情報、割引・優待情報等を挙げることができる。「情報伝達票」の具体例としては、懸賞応募はがき、広告チラシ、アンケート用紙、割引券、引換券、回数券、優待券、会員証、入店証等を挙げることができる。
【0031】
なお、「情報」の表示方法としては、視覚を通じて認識されるもののみならず、電子的・磁気的な方法により認識されるものも含まれる。従って、「情報伝達票」には、磁気カード、ICカード、非接触カード等も含まれる。また、バーコード、QRコード、ICタグ等により情報を表示したものであってもよい。
【0032】
「粘着シール」は、再剥離性粘着剤が塗工された粘着面を有するシールである。粘着シールを用いることで、情報伝達票や箱状物品4に接着剤を塗工する煩瑣な工程が不要となり、接着剤の塗工に伴う接着剤補給装置、乾燥設備等の製造設備が不要になる。また、粘着シールによって情報伝達票を貼着することにより、情報伝達票や箱状物品に塗工された再剥離性粘着剤によって情報伝達票を貼付した場合と比較して、情報伝達票や箱状物品の表面に粘着剤が残り難く、情報伝達票や箱状物品が購買者の手指や衣服、或いは別の物品に意図せず付着して情報伝達票や箱状物品の取り扱いを不便なものとしたり、汚れの原因となったりすることが少ない。
【0033】
本発明においては「粘着シール」は情報伝達票の貼着手段として用いられる。従って、粘着テープ、粘着ラベル、粘着ステッカー等、同様の貼着用途で使用可能な従来公知の粘着手段を広く包含するものとする。粘着シールは、通常、紙片や樹脂シート等からなるシール基材の一方の表面に、再剥離性粘着剤が塗工されて形成された粘着面を有している。
【0034】
「再剥離性粘着剤」とは、被着体に対して一度貼着した後でも粘着層が被着体に殆ど残ることなく再度剥離し、更に貼着することができる弱粘着性の接着剤である。再剥離性粘着剤を使用することで、情報伝達票や箱状物品の表面を破損することなく箱状物品から情報伝達票を剥離することができる。
【0035】
「再剥離性粘着剤」としては、従来公知の再剥離性接着剤の中から粘着力等を考慮して適宜選択すればよい。例えば、固形分濃度35〜45%の酢酸ビニル樹脂接着剤の他、エマルションタイプのアクリル樹脂系粘着剤等を挙げることができる。より具体的には、弱粘着再剥離用のホットメルト接着剤(例えば、商品名「モレスコメルトLT−170」、松村石油研究所社製)等を好適に用いることができる。
【0036】
「情報伝達票の外縁から粘着面の一部がはみ出すように」とは、図2に示すように、情報伝達票10の外縁を跨ぐように粘着シール8が情報伝達票10に貼着されていることを意味する。情報伝達票の貼着を確実なものとし、情報伝達票が剥がれ落ちるのを防止するべく、粘着シールの粘着面の全面積のうち40〜60面積%が情報伝達票の外縁からはみ出すように、粘着シールが貼着されていることが好ましい。なお、「情報伝達票の外縁」とは、情報伝達票の輪郭である。例えば、矩形状の情報伝達票の場合はその四辺、円形の情報伝達票の場合はその円周が「外縁」となる。
【0037】
本発明の製造方法においては、図1及び図2に示すように、情報伝達票10として矩形状伝達票30を用いるとともに、粘着シール8として矩形状伝達票30の横幅より幅広な幅広シール32を用い、矩形状伝達票30の一端を覆い、かつ、矩形状伝達票30の両側縁からはみ出すように、幅広シール32を矩形状伝達票30に貼着することが好ましい。
【0038】
前記のような方法は、矩形状伝達票の一端及び2つの角部を完全に被覆することができるため、情報伝達票の貼着を確実なものとし、情報伝達票が剥がれ落ちるのを防止する効果が高い点で好ましい。
【0039】
「矩形状伝達票」とは、矩形状に形成された情報伝達票を意味し、矩形状の角部をラウンドとしたもの等、準矩形状も含まれる。情報伝達票の具体例として列挙した懸賞応募はがき、広告チラシ、アンケート用紙、割引券、引換券、回数券、優待券、会員証、入店証等は、矩形状に形成された紙片又はプラスチックカードであることが多いため、その殆どが「矩形状伝達票」の範疇に含まれる。
【0040】
「幅広シール」とは、矩形状伝達票の横幅より幅広な粘着シールを意味する。図1及び図2に示す製造方法は、矩形状伝達票30として懸賞応募はがきを用いており、粘着シール8として懸賞応募はがきの横幅より幅が広い幅広シール32を用いた例である。
【0041】
幅広シールは、矩形状伝達票の貼着を確実なものとし、情報伝達票が剥がれ落ちるのを防止するという観点から、図2に示すように、情報伝達票10の縁部12から2〜10mm、情報伝達票10の両側縁34,36から各々1〜10mmはみ出すように、情報伝達票10に貼着されていることが好ましい。
【0042】
[2−3]情報伝達票貼着工程:
図1に示すように、情報伝達票貼着工程54は、情報伝達票10の粘着シールが貼着された側の縁部12が搬送路2の川下18側に位置し、情報伝達票10の縁部と対向する縁部14が搬送路の川上16側に位置するように、粘着シール8によって箱状物品集合体6の表面に情報伝達票10を貼着する工程である。
【0043】
「搬送路の川下側」とは搬送路の進行方向前方側を意味し、「搬送路の川上側」とは搬送路の進行方向後方側を意味する。粘着シールが情報伝達票における搬送路の川下側の縁部に位置するように情報伝達票を箱状物品集合体に貼着することで、搬送時の風圧等を受け易い搬送路川下側において情報伝達票が箱状物品集合体に固定されることになる。従って、情報伝達票を貼着した後、透光性フィルムによる包装が完了するに至るまでの搬送時において、情報伝達票が搬送時の風圧等で捲れたり、剥がれたりする不具合を抑制することができる。
【0044】
情報伝達票を貼付する位置は特に限定されず、箱状物品集合体の側面のいずれの面に貼着してもよい。但し、箱状物品としてカートンティシュを用いる場合には、情報伝達票の視認性を高める観点から、箱状物品集合体の4つの側面の中でも面積が広い2つの側面のいずれかに貼着することが更に好ましい。
【0045】
また、同様に情報伝達票の視認性を高める観点から、情報伝達票は箱状物品集合体の天面を構成する箱状物品(即ち、箱状物品集合体における最上位に位置する箱状物品)の側面に貼着することが好ましく、当該箱状物品の4つの側面の中でも面積が広い2つの側面のいずれかに貼着することが更に好ましい。図1及び図2に示す製造方法は、箱状物品集合体6の4つの側面の中でも面積が広い2つの側面の一方であって、かつ、箱状物品集合体6の天面を構成する箱状物品4の4つの側面の中でも面積が広い2つの側面の一方に情報伝達票10を貼着する例である。
【0046】
情報伝達票の貼着工程について更に具体的に説明する。例えば図3に示すような装置70により実施することができる。図3に示す装置70は回転貼付ユニット78を利用して箱状物品集合体82に対して情報伝達票72を貼着するための装置である。
【0047】
この装置70では、ラベラー74から供給される粘着シール76を非粘着面側から回転貼付ユニット78のアーム先端部に吸引固定する。これとともに、積層状態の情報伝達票72を徐々に押し出し、回転貼付ユニット78のアーム先端部に吸引固定された粘着シール76の粘着面に対して情報伝達票72の一部を押圧して粘着シール76の粘着面の一部を情報伝達票72の一部に貼着する。
【0048】
次いで、回転貼付ユニット78を駆動してそのアームを回転させることにより、粘着シール76が貼着された情報伝達票72を箱状物品80が複数個連なる箱状物品集合体82の側面に対向する位置に供給する。
【0049】
更に、粘着シール76の粘着面のうち、情報伝達票72からはみ出している部分に対して箱状物品集合体82の側面を押圧する。これにより、粘着シール76を介して情報伝達票72を箱状物品集合体82の側面に貼着させる。
【0050】
この際、次に情報伝達票72を貼着される箱状物品80は可動ストッパー84により保持されており、所定の個数ごとにまとめられた箱状物品集合体82として送り出される。前段の箱状物品集合体82に情報伝達票72を貼着した後は、回転貼付ユニット78のアーム先端部における粘着シール76の吸引状態を解放する。これにより情報伝達票72が貼着された箱状物品集合体82が包装工程に供される。
【0051】
また、図4に示すような装置により実施してもよい。図4に示す装置100はサクションコンベアー108を利用して箱状物品集合体112に対して情報伝達票102を貼着するための装置である。
【0052】
この装置100では、ラベラー104から供給される粘着シール106をサクションコンベアー108に固定して送り出す。これとともに、積層状態の情報伝達票102を一枚ずつ搬送し、サクションコンベアー108で送り出された粘着シール106の粘着面に対して情報伝達票102の一部を押圧して粘着シール106の粘着面の一部を情報伝達票102の一部に貼着する。
【0053】
次いで、サクションコンベアー108を駆動してその貼付ローラーを回転させることにより、粘着シール106が貼着された情報伝達票102を箱状物品110が複数個連なる箱状物品集合体112の側面に対向する位置に供給する。
【0054】
更に、粘着シール106の粘着面のうち、情報伝達票102からはみ出している部分に対して箱状物品集合体112の側面を押圧する。これにより、粘着シール106を介して情報伝達票102を箱状物品集合体112の側面に貼着させる。
【0055】
この際、次に情報伝達票102を貼着される箱状物品110は可動ストッパー114により保持されており、所定の個数ごとにまとめられた箱状物品集合体112として送り出される。前段の箱状物品集合体112に情報伝達票102を貼着した後は、サクションコンベアー108のアームは元の位置に戻る。これにより情報伝達票102が貼着された箱状物品集合体112が包装工程に供される。
【0056】
[2−4]包装工程:
図1に示すように、包装工程56は、情報伝達票10が貼着された箱状物品集合体6を透光性フィルム20で被包して包装する工程である。
【0057】
「透光性フィルム」とは、情報伝達票に表示された情報が視認可能な透光性を有するフィルムを意味し、通常、樹脂フィルムが用いられる。透光性の程度としては、JISK7105に準拠して測定したヘイズ値が3〜5%の範囲にあることが特に好ましい。透光性フィルムの材質については特に制限はなく、通常、包装袋に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。中でも、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが好ましい。透光性フィルムの厚さは、箱状物品の種類や質量によっても異なるが、箱状物品がカートンティシュである場合には、その厚さを20〜40μmとすることが好ましい。
【0058】
包装工程に関しては、従来公知の包装方法又は包装装置を好適に用いることができる。例えば、透光性フィルムを巻回して箱状物品集合体全体を被包し、その状態で透光性フィルム同士を貼り合わせて封着する方法等により包装を行えばよい。具体的には、キャラメルやタバコのパッケージ包装で汎用されるキャラメル包装等を採用することができる。
【0059】
「キャラメル包装」とは、被包装物より幅広な包装フィルムを用い、この包装フィルムを被包装物の両端部からはみ出すように被包装物に対して巻回した後、包装フィルムが筒状となるように被包装物に密着させて接合し、次いで、包装フィルムのうち被包装物の両端部からはみ出した部分を被包装物の天面側及び底面側に折り畳んで接合し、被包装物を封入する包装形態である。
【0060】
図1及び図5に示す製造方法においてもキャラメル包装を採用しており、箱状物品集合体6より幅広な透光性フィルム20を用い、この透光性フィルム20を箱状物品集合体6の両端部からはみ出すように箱状物品集合体6に対して巻回した後、透光性フィルム20が筒状となるように箱状物品集合体6に密着させて接合し、次いで、透光性フィルム20のうち箱状物品集合体6の両端部からはみ出した部分を箱状物品集合体6の天面側及び底面側に折り畳んで接合することにより箱状物品集合体6を封入している。
【0061】
透光性フィルム同士の接合は、例えばヒートシール(熱接合)、超音波溶着又は接着剤による接着等の従来公知の方法を用いることができる。但し、簡易な設備で確実な接着を行うことができる点でヒートシールによる接合が好ましい。ヒートシールの条件は、透光性フィルムの筒状接合時においては180〜220℃で3〜5秒加熱することが好ましく、透光性フィルムの天面側及び底面側への折り畳み接合時においては180〜210℃で1〜3秒加熱することが好ましい。
【0062】
なお、予め透光性フィルムに開封テープを付設し、或いはミシン目等の切り込み線を形成しておくことにより、包装体の開封を容易にすることができる。包装体を構成する透光性フィルムのうち包装体内部の情報伝達票の近傍に相当する位置に、開封テープを付設し、或いはミシン目等の切り込み線を形成しておくことにより、情報伝達票の取り出しを容易にすることも可能である。
【0063】
以上説明したような、整列工程、粘着シール貼着工程、情報伝達票貼着工程及び包装工程を備えた製造方法により、図6に示すような、粘着シール8によって情報伝達票10が貼着された箱状物品集合体6を透光性フィルム20で被包してなる情報伝達票付き包装体1Aを得ることができる。
【0064】
図6に示す情報伝達票付き包装体1Aは、粘着シール8として幅広シール32を用いた例であるが、図7に示す情報伝達票付き包装体1Bのように、情報伝達票10として懸賞応募はがき40を用いるとともに、粘着シール8として応募シール42を用い、応募シール42によって箱状物品集合体6の表面に懸賞応募はがき40を貼着することも好ましい。
【0065】
本発明の製造方法では、情報伝達票となる懸賞応募はがきに再剥離性粘着剤を直接塗工しないため、懸賞応募はがきに粘着層が残存してベタついたり、懸賞応募はがきが他の物品に意図せず付着したりする不具合を防止することができる。また、再剥離性粘着剤を用いているため、懸賞応募はがきから応募シールを剥離することも容易となる。これは懸賞応募はがき及び応募シールの剥離後の再利用が容易となることを意味する。従って、購買者にその応募シールを懸賞応募はがきに貼付させてキャンペーンに参加させることも可能となる。なお、応募シールの形態としては、粘着シールの非粘着面(粘着面の裏面等)に文字や模様を付す等の方法を挙げることができる。
【0066】
[2−5]その他の工程:
本発明の製造方法は、既に説明した整列工程、粘着シール貼着工程、情報伝達票貼着工程及び包装工程以外の工程を備えていてもよい。
【0067】
例えば、図6に示す情報伝達票付き包装体1A又は図7に示す情報伝達票付き包装体1Bのように、包装体の天面に運搬用の把手44を備えた情報伝達票付き包装体を製造する場合には、把手取り付け工程を備えていてもよい。
【0068】
把手取り付け工程に関しては、従来公知の把手付け方法又は把手付け装置を好適に用いることができる。例えば、包装体を構成する透光性フィルムに対して帯状の樹脂フィルムをヒートシール(熱融着)等で接合する方法を採用することができる。ヒートシールの条件は、180〜210℃で1〜3秒加熱することが好ましい。また、把手付け装置の例としては、特開2007−238157号公報に記載されたテープ貼り付け装置等を挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の製造方法は、顧客の購買意欲を喚起し得る情報等が表示された情報伝達票が付された、箱状物品の包装体を製造する方法として利用することができる。特に複数個のカートンティシュが透光性フィルムで被包され、更に情報伝達票を付された包装体を製造する方法として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1A,1B:情報伝達票付き包装体、2:搬送路、4:箱状物品、6:箱状物品集合体、8:粘着シール、10:情報伝達票、12:縁部、14:縁部、16:川上、18:川下、20:透光性フィルム、22:取出口形成用切込線、24:天面、26:底面、28:可動ストッパー、30:矩形状伝達票、32:幅広シール、34,36:側縁、40:懸賞応募はがき、42:応募シール、44:把手、50:整列工程、52:粘着シール貼着工程、54:情報伝達票貼着工程、56:包装工程、70,100:装置、72,102:情報伝達票、74,104:ラベラー、76,106:粘着シール、78:回転貼付ユニット、108:サクションコンベアー、80,110:箱状物品、82,112:箱状物品集合体、84,114:可動ストッパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上において、複数個の箱状物品をその天面と底面とが当接するように整列して、前記箱状物品が複数個連なる箱状物品集合体を構成する整列工程と、
再剥離性粘着剤が塗工された粘着面を有する粘着シールを、情報が表示された情報伝達票の外縁から前記粘着面の一部がはみ出すように前記情報伝達票に貼着する粘着シール貼着工程と、
前記情報伝達票の前記粘着シールが貼着された側の縁部が前記搬送路の川下側に位置し、前記情報伝達票の前記縁部と対向する縁部が前記搬送路の川上側に位置するように、前記粘着シールによって前記箱状物品集合体の表面に前記情報伝達票を貼着する情報伝達票貼着工程と、
前記情報伝達票が貼着された箱状物品集合体を透光性フィルムで被包して包装する包装工程と、を備えた情報伝達票付き包装体の製造方法。
【請求項2】
前記情報伝達票として矩形状伝達票を用いるとともに、前記粘着シールとして前記矩形状伝達票の横幅より幅広な幅広シールを用い、
前記矩形状伝達票の一端を覆い、かつ、前記矩形状伝達票の両側縁からはみ出すように、前記幅広シールを前記矩形状伝達票に貼着する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記情報伝達票として懸賞応募はがきを用いるとともに、前記粘着シールとして応募シールを用い、
前記応募シールによって前記箱状物品集合体の表面に前記懸賞応募はがきを貼着する請求項1に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−6138(P2011−6138A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154142(P2009−154142)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】