説明

情報入力装置、情報入力方法及びプログラム

【課題】表示装置の画面上で複数のユーザが共有して操作する場合に、ユーザごとに操作を認識できるようにする。
【解決手段】ユーザ検出部102は、表示装置108の近傍に位置する複数のユーザを検出し、入力取得部101は、表示装置108の画面上における前記複数のユーザによる操作を検出する。領域決定部103は、ユーザ検出部102により検出されたそれぞれユーザに対する操作可能な領域を決定する。入力取得部101がユーザの操作を検出すると、入力制御部104は、検出されたユーザの操作を領域決定部103によって決定された領域ごとに各ユーザの独立した操作として振り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報入力装置、情報入力方法及びプログラムに関し、特に、タッチパネルディスプレイ等の表示装置から情報を入力するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチスクリーン機能を搭載したディスプレイ上に、独立に操作可能な領域を生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、ユーザによりディスプレイ面上へ操作されることによって領域を生成したりレイアウトを生成したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−65558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチスクリーン機能を搭載した1つの大型のディスプレイを複数のユーザが共有して操作すると、ディスプレイ上で複数の操作が同時に行われる。この場合に特許文献1に記載の装置では、例えば、あるユーザがコピー・ペースト等を連続して操作したいときに、途中で他のユーザがコピーする操作を行うとバッファの情報が上書きされ、ユーザがコピーしようと思っていた対象が変わってしまうことがある。また、単にカーソルを合わせるだけの作業についても、他のユーザがポインティングした場合にカーソルが意図していない方向に移動してしまうことがある。このように、個々の操作が同じユーザによって行われたのか否かをディスプレイ側で把握できないため、ユーザの意図したものとは異なる動作を行ってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、表示装置の画面上で複数のユーザが共有して操作する場合に、ユーザごとに操作を認識できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報入力装置は、表示装置の近傍に位置する複数のユーザを検出するユーザ検出手段と、前記表示装置の画面上における前記複数のユーザによる操作を検出する入力取得手段と、前記ユーザ検出手段により検出されたそれぞれユーザに対する操作可能な領域を決定する領域決定手段と、前記入力取得手段によって検出されたそれぞれのユーザによる操作を、前記領域決定手段によって決定された領域ごとに各ユーザの独立した操作として振り分ける入力制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザがわざわざ操作領域を確保するために特別な措置を行うことを不要にして、個々のユーザの操作が他のユーザに影響を及ぼすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る表示型入力装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る表示型入力装置のハード構成例を示すブロック図である。
【図3】入力取得部が取得する入力情報のデータ構造例を示す図である。
【図4】ユーザの操作領域を割り当てる手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】ユーザの操作領域を割り当てる手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】ユーザを検知する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
図1は、本実施形態において、情報入力装置の一例として表示型入力装置100の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態における表示型入力装置100は、入力取得部101、ユーザ検出部102、領域決定部103、入力制御部104、コンテンツアクセス部105、コンテンツデータベース106、及びコンテンツ表示制御部107を備えている。
【0010】
入力取得部101は、表示装置108の画面上に対するユーザからの指またはペン等によるポインティングデバイスを表す接触操作を検出し、図3に示す入力情報301を出力する。図3は、入力情報301のデータ構造例を示す図である。入力情報301は複数の単一入力情報302から構成され、個々の単一入力情報302はポインティング情報303と操作情報304とから構成されている。さらに、ポインティング情報303は、ポインティングの発生した時刻305と表示装置108上の座標306との情報からなり、操作情報304は、カット(切り取り)又はペースト(貼り付け)のうち、いずれかを示す情報である。なお、入力取得部101は、複数の入力情報301を同時に取得できる機能を有する。このような機能は、例えばマルチタッチ型入力デバイス等の従来技術で実現可能である。
【0011】
ユーザ検出部102は、表示型入力装置100の近傍に位置するユーザを検出し、その位置を領域決定部103に通知する。ユーザ検出部102がユーザを検出する具体的な方法としては、カメラで撮影した撮像画像から人物を検出する方法や、赤外線センサーによって検出する方法、表示型入力装置100の周囲に巡らした圧力を検出する方法などである。
【0012】
領域決定部103は、ユーザ検出部102により検出したユーザの位置から、当該ユーザから決められた範囲内に独立で操作可能な領域を割り当てる。入力制御部104は、入力取得部101から入力された入力情報301を領域決定部103で決定した領域ごとの操作に振り分ける。コンテンツアクセス部105は、コンテンツそのものへカット及びペーストの操作を行ったり、描画もしくはポインティング等の操作を行ったりする。コンテンツ表示制御部は、コンテンツアクセス部105により操作されたコンテンツデータをレイアウトして、画像データ(イメージデータ)をそれぞれ生成して表示装置108に表示する。
【0013】
図2は、本実施形態に係る表示型入力装置100の主要部の物理的なハード構成例を示すブロック図である。
図2において、タッチパネルディスプレイ200は入力取得部101及び表示装置108の機能を備え無線通信装置201及びIOコントローラ203はユーザ検出部102の機能を備えている。また、HDD(Hard Disk Drive)205はコンテンツデータベース106として機能し、ディスクコントローラ204によりコンテンツデータ等が読み出される。さらに、バス209を介してCPU206、ROM207及びRAM208上で実行可能なプログラムにより図1のその他の構成がそれぞれ実現される。
【0014】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、ユーザを検出して当該ユーザに対しての操作領域を割り当てる処理の流れを説明する。図4は、本実施形態におけるユーザの操作領域を割り当てる処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、ユーザ検出部102は、表示型入力装置100付近にいるユーザを検出するまで待機し、ユーザを検出すると、ステップS402において、検出したユーザの位置情報を取得する。
【0015】
次に、ステップS403において、領域決定部103は、検出したユーザの位置から一定の範囲の、表示型入力装置100の表示装置108上にユーザが操作可能な領域を確保する。このとき、複数のユーザを検出して各々の位置から一定の範囲で領域を区切る際に領域が重なる場合は、検出した各々のユーザ間の垂直二等分線で領域を切り分けるようにする。そして、処理を終了する。この結果、入力取得部101によりユーザの操作を検出すると、入力制御部104は、領域決定部103により決定された領域ごとに各ユーザの独立した操作として振り分ける。
【0016】
さらに、以上のように図4に示した処理の流れを一定時間の間隔で更新することにより、ユーザの位置が変化した場合でも、検出したユーザ付近に操作可能な領域を移動させることができる。また、本実施形態では、ユーザの位置から一定の範囲で領域を割り当てるようにしたが、割り当てる領域は表示装置108の画面を区画で分割したり、予め決められた形の領域をユーザの位置を中心に割り当てたりしてもよい。このように、ユーザの位置から一定の範囲に限られたものではない。
【0017】
以上のように本実施形態によれば、表示装置108の近傍に位置するユーザを認識し、ユーザの位置からある範囲に操作領域を割り当てるようにしたので、個々のユーザの操作が他のユーザに影響を及ぼすことを防止することができる。
【0018】
(第2の実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2の実施形態について詳細に説明する。なお、第2の実施形態における表示型入力装置の構成は、図1及び図2に示す第1の実施形態と同様であり、その説明は省略する。以下では、第1の実施形態との差分について説明する。
【0019】
本実施形態においては、ユーザ検出部102は表示型入力装置100付近のユーザの位置の変化のみならず、ジェスチャーをも検出する。そして、領域決定部103は、そのユーザのジェスチャーによって、検出したユーザ各々に対応する領域を変更する。これにより、操作領域があまり必要ではないユーザや表示型入力装置100の近傍にいるだけで操作していないようなユーザの操作領域を小さくすることができ、広い操作領域が必要なユーザにはより広い操作領域を割り当てることができる。
【0020】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、ユーザのジェスチャーに応じて操作領域を変更する処理の流れを説明する。図5は、本実施形態におけるユーザの操作領域を割り当てる処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、ユーザ検出部102は、表示型入力装置100付近にいるユーザを検出するまで待機し、ユーザを検出すると、ステップS502において、検出したユーザの位置情報を取得する。
【0021】
次に、ステップS503において、領域決定部103は、検出したユーザの位置から一定の範囲の、表示型入力装置100の表示装置108上にユーザが操作可能な領域を確保する。なお、検出したユーザが複数の場合は、第1の実施形態と同様に振り分ける。そして、ステップS504において、ユーザ検出部102は、ユーザのジェスチャー等を識別する。なお、ユーザのジェスチャー等を識別する方法については後述する。
【0022】
次に、ステップS505において、ユーザ検出部102は、ユーザのジェスチャー等が操作領域のサイズを変更する対象のジェスチャー等と一致するか否かを判断する。この判断の結果、変更する対象のジェスチャー等と一致しない場合は、そのまま処理を終了する。一方、ステップS505の判断の結果、変更する対象のジェスチャー等と一致する場合は、ステップS506に進み、領域決定部103は、操作領域のサイズを変更し、処理を終了する。なお、第1の実施形態と同様に、これらの処理を一定時間の間隔で更新することにより、ユーザの位置やジェスチャー等が変化した場合も対応することができる。
【0023】
次に、図5のステップS504に係るユーザの位置の変化やジェスチャーを識別する方法について説明する。ユーザの位置の変化やジェスチャーを識別する方法としては、例えば図6に示すように、撮像装置等を用いて画像認識を行う。具体的には、操作領域を拡張または縮小する対象となるジェスチャーや形態を予め登録しておき、ユーザ検出部102は、撮像装置等から表示型入力装置100周辺についての画像データを入力する。そして、画像認識により、ユーザの動作と登録したジェスチャー等とが一致した場合に操作領域の変更処理を行う。
【0024】
例えば、ユーザが表示型入力装置100の方を向いていない場合には、そのユーザは作業をしていないものと識別し、ステップS506において、操作領域を縮小または無くすようにする。また、ユーザが表示型入力装置100の方を向いているが、一定時間以上操作が無い場合や動きが無い場合は、ステップS506において、操作領域を縮小または無くすようにする。一方、入力取得部101が、ユーザの領域外であって他のユーザに割り当てられていない領域のコンテンツにユーザが手を伸ばしたことを検出した場合は、一時的に領域を拡大するようにする。なお、これらの画像認識技術については、従来技術により実現可能である。
【0025】
以上のように本実施形態によれば、表示装置108の近傍に位置するユーザのジェスチャーをも認識するようにしたので、ユーザごとに効率よく操作領域を振り分けることができる。
【0026】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0027】
101 入力取得部、102 ユーザ検出部、103 領域決定部、104 入力制御部、108 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の近傍に位置する複数のユーザを検出するユーザ検出手段と、
前記表示装置の画面上における前記複数のユーザによる操作を検出する入力取得手段と、
前記ユーザ検出手段により検出されたそれぞれユーザに対する操作可能な領域を決定する領域決定手段と、
前記入力取得手段によって検出されたそれぞれのユーザによる操作を、前記領域決定手段によって決定された領域ごとに各ユーザの独立した操作として振り分ける入力制御手段とを備えることを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記ユーザ検出手段は、ユーザの位置の変化をも検出し、
前記領域決定手段は、前記検出した位置の変化に応じて前記各ユーザに対応する領域を移動させることを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記ユーザ検出手段は、ユーザのジェスチャーをも検出し、
前記領域決定手段は、前記検出したジェスチャーに応じて前記各ユーザに対応する領域を拡大または縮小することを特徴とする請求項1または2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記ユーザ検出手段は、撮像画像から識別することにより前記ユーザのジェスチャーを検出することを特徴とする請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記領域決定手段は、決定した領域外から前記入力取得手段により操作を検出した場合であって、前記検出した操作があった領域が他のユーザに振り分けられていない領域である場合に、前記操作があった領域を含むように前記操作を行ったユーザに対応する領域を拡大することを特徴とする請求項3または4に記載の情報入力装置。
【請求項6】
前記領域決定手段は、前記ユーザ検出手段により検出されたユーザの位置と前記ユーザの向きとによって、前記ユーザに対応する領域を拡大または縮小することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項7】
前記ユーザ検出手段は、一定時間の間隔でユーザを検出することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項8】
表示装置の近傍に位置する複数のユーザを検出するユーザ検出工程と、
前記表示装置の画面上における前記複数のユーザによる操作を検出する入力取得工程と、
前記ユーザ検出工程において検出されたそれぞれユーザに対する操作可能な領域を決定する領域決定工程と、
前記入力取得工程において検出されたそれぞれのユーザによる操作を、前記領域決定工程において決定された領域ごとに各ユーザの独立した操作として振り分ける入力制御工程とを備えることを特徴とする情報入力方法。
【請求項9】
表示装置の近傍に位置する複数のユーザを検出するユーザ検出工程と、
前記表示装置の画面上における前記複数のユーザによる操作を検出する入力取得工程と、
前記ユーザ検出工程において検出されたそれぞれユーザに対する操作可能な領域を決定する領域決定工程と、
前記入力取得工程において検出されたそれぞれのユーザによる操作を、前記領域決定工程において決定された領域ごとに各ユーザの独立した操作として振り分ける入力制御工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−154546(P2011−154546A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15840(P2010−15840)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】