説明

情報再生装置

【課題】 薄型化および小型化が可能な情報再生装置を提供する。
【解決手段】 半導体レーザ3から出射した光PLは、開口7を通過して、コリメータレンズ4aで平行光に変換された後、シリンドリカルレンズ5によって線状集光ビームに絞られる。レーザ出射光PLは、反射プリズム6によって光路を折り曲げられながら線状集光ビームに絞られ、ホログラムメモリ媒体1の側面より、再生されるべき層のコア層に入射される。情報再生装置100Aでは、半導体レーザ3からシリンドリカルレンズ5までの入射光路を、ホログラムメモリ媒体1と2次元光検出器2との間の検出光路に配置している。すなわち、情報再生装置100Aでは、入射光路と検出光路とを、高さ位置だけでなく、3次元的に共有するように配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報再生装置に関し、より特定的には、ホログラムによって記録された情報を再生する情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、持ち運びが容易な情報記録媒体として、磁気カードやIC(Integrated Circuit)カードなどの情報記録カードが広く用いられている。しかし、磁気カードは、安価ではあるものの、外部磁化による情報の劣化や偽造などの危険性が高い。ICカードは、セキュリティが高く偽造されにくいが、1枚あたりのコストが高く、情報記録媒体としてはビット単価が高くなる。
【0003】
このような課題を克服する情報記録媒体の一つとして、ホログラム画像を生成する回折格子を含む平面型シングルモード光導波路を多層に重ねて作った再生専用多重ホログラムカードが提案されている。ここでは、特許文献1,2に開示された、再生専用多重ホログラムカードの情報を再生する情報再生装置を例に説明する。
【0004】
図13は、従来の再生専用多重ホログラムカード110Xの情報を再生する情報読み出し装置100Xの構成を示した概略図である。再生専用多重ホログラムカード110Xは、クラッド層とコア層(コア層104を含む)とが交互に積層された周期層構造となっており、45度にカットされた端面103を有す。各コア層には、散乱要因(ホログラム)105が形成されている。
【0005】
図13を参照して、情報読み出し装置100Xは、シリンドリカルレンズ102によって、レーザ光PLをコア層104の端面103に線状ビームとして集光する。当該集光された線状ビームは、コア層104を伝搬光PWとして伝搬する過程で、散乱要因105によって回折光DFとして散乱される。その結果、ホログラム像200a,200bが生成される。
【0006】
図14は、従来の再生専用多重ホログラムカード110Yの情報を再生する情報再生装置100Yの構成を示した概略図である。再生専用多重ホログラムカード110Yは、クラッド層とコア層とが交互に積層された周期層構造となっており、側面106を有す。各コア層には、散乱要因(ホログラム)が形成されている。
【0007】
図14を参照して、情報再生装置100Yは、シリンドリカルレンズ102によって、レーザ光PLを側面106に線状ビームとして集光する。当該集光された線状ビームは、コア層の一つを進行光PWとして伝搬する過程で、散乱要因によって回折光DFとして散乱される。回折光DFは、再生専用多重ホログラムカード110Yの上面から出射し、結像面200にホログラム画像Imを生成する。
【0008】
ホログラム画像ImをCCD(Charge Coupled Device)などの2次元光検出器アレイ(図示せず)で読み込むことにより、コア層にホログラムとして重畳された情報の読み出しができる。シリンドリカルレンズ102の位置を上下に移動させ、別のコア層に線状光ビームを集光させることにより、他のコア層に記録された情報を個別に再生することができる。
【特許文献1】特開平11−345419号公報
【特許文献2】特開2001−52128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図13に示した情報読み出し装置100Xでは、シリンドリカルレンズ102を含む入射光学系が再生専用多重ホログラムカード110Xの上面に配置されている。そのため、情報読み出し装置100Xの再生光学系全体が厚くなり、情報読み出し装置100Xの薄型化の実現が困難になるという問題があった。
【0010】
また、図14に示した情報再生装置100Yでは、シリンドリカルレンズ102を含む入射光学系が再生専用多重ホログラムカード110Yの側面に隣接して配置され、2次元光検出器アレイ(図示せず)は再生専用多重ホログラムカード110Yの上面にある程度の距離を設けた上で配置されている。そのため、図12で指摘した問題に加えて、情報再生装置100Yの全体の投影面積、すなわち、再生専用多重ホログラムカード110Yの上面から見た再生光学系の占める面積が大きくなるという問題があった。
【0011】
それゆえに、この発明の目的は、薄型化および小型化が可能な情報再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、散乱要因が形成された導波層が複数積層された記録媒体の情報を再生する情報再生装置であって、光を出射する光源と、光源から出射される光を導波層の一つに入射する光学系と、散乱要因によって散乱された回折光を受光する光検出器とを備える。情報再生装置は、光源と光学系との間の入射光路と、記録媒体と光検出器との間の検出光路とを3次元的に共有する。
【0013】
好ましくは、光源および光学系は、入射光路が検出光路を横断するように記録媒体から光検出器までの高さの空間に配置される。
【0014】
好ましくは、光源は、光源から出射される光の一部を遮断する開口を含む。光学系は、光源から出射される光を平行光にするコリメートレンズと、平行光を導波層の一つに集光する集光レンズと、平行光の光路を変える反射プリズムとを含む。
【0015】
好ましくは、光学系は、光源から出射される光を導波層の一つに集光する集光レンズと、光源から出射される光の光路を導波層への入射方向に変える反射プリズムとを含む。
【0016】
好ましくは、光源および光学系を搭載したハウジングをさらに備える。光検出器は、面内方向の一方向の幅が記録媒体の対応する幅と比べて狭まっており、情報再生装置は、ハウジングと光検出器とを一方向に一体的に駆動する。
【0017】
好ましくは、記録媒体と比べて面積の小さい光検出器を搭載したハウジングをさらに備える。情報再生装置は、ハウジングと光検出器とを記録媒体の面内方向に一体的に駆動する。
【0018】
この発明の他の局面によれば、散乱要因が形成された導波層が複数積層された記録媒体の情報を再生する情報再生装置であって、光を出射する光源と、光源から出射される光を導波層の一つに入射する光学系と、散乱要因によって散乱された回折光を受光する光検出器とを備える。光源と光学系との間の入射光路は、記録媒体の周辺部に配置されている。
【0019】
好ましくは、光学系は、光源から出射される光を導波層の一つに集光する集光レンズと、光源から出射される光を異なる2方向に反射することにより光源から出射される光の光路を導波層への入射方向に変換する複合反射プリズムとを含む。
【0020】
好ましくは、散乱要因は、ホログラムである。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、装置の薄型化および小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
[実施の形態1]
図1,2は、この発明の実施の形態1による情報再生装置100Aの再生光学系を示した上面図および側面図である。図1,2を参照して、実施の形態1の情報再生装置100Aは、2次元光検出器2と、半導体レーザ3と、コリメータレンズ4aと、シリンドリカルレンズ5と、反射プリズム6と、開口7(図1では図示せず)とを備える。情報再生装置100Aは、積層導波路型のホログラムメモリ媒体1の導波路内にホログラムとして記録された情報を再生する。
【0024】
光源の一例である半導体レーザ3から出射した光PLは、開口7を通過して、コリメータレンズ4aで平行光に変換された後、シリンドリカルレンズ5によって線状集光ビームに絞られる。開口7は、半導体レーザ3から出射される光PLの形状に合わせて、楕円状に孔が形成されている。レーザ出射光PLは、反射プリズム6によって光路を折り曲げられながら線状集光ビームに絞られ、ホログラムメモリ媒体1の側面より、再生されるべき層のコア層に入射される。
【0025】
当該コア層に入射した光PLは、図13,14でも説明したように、当該コア層を伝搬する過程で、導波路内に形成されたホログラムによって回折光DFとして散乱される。回折光DFは、ホログラムメモリ媒体1の表面から出射し、結像面に配置された2次元光検出器2上にホログラム画像を生成する。2次元光検出器2は、たとえばCCD、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)などである。
【0026】
上記のホログラム画像を2次元的に読み込むことにより、コア層にホログラムとして重畳された情報の読み出しができる。また、シリンドリカルレンズ5の位置を上下に移動させ、別のコア層に線状光ビームを集光させることにより、他のコア層に記録された情報を個別に再生することができる。
【0027】
次に、実施の形態1の情報再生装置100Aの特徴について詳述する。
【0028】
ホログラムメモリ媒体1では、情報の再生画像は、ホログラムで回折された光が重畳して形成される。そのため、再生画像において必要な分解能を得るには、ホログラムメモリ媒体1を2次元光検出器2から一定距離だけ離す必要がある。言い換えると、情報再生装置100Aにおいては、再生原理上、媒体と検出器との間に一定距離が必ず必要であり、両者を密着させてホログラム画像を検出することはできない。
【0029】
そこで、実施の形態1の情報再生装置100Aでは、ホログラムメモリ媒体1と2次元光検出器2との間の空間(以下、検出光路とも呼ぶ)を有効活用している。具体的には、半導体レーザ3からシリンドリカルレンズ5までの光学系(以下、入射光路とも呼ぶ)を検出光路に配置している。情報再生装置100Aでは、入射光路と検出光路とを、高さ位置だけでなく、3次元的に共有するように配置している。
【0030】
なお、検出光路における回折光DFは、ホログラムメモリ媒体1の表面にほぼ垂直な方向に進行するのに対し、入射光路におけるレーザ出射光PLは、ホログラムメモリ媒体1の表面に平行に進行する。ゆえに、共有空間において回折光DFとレーザ出射光PLとがクロス(直交)しても干渉現象は発生しない。
【0031】
また、線状集光ビームを生成するシリンドリカルレンズ5の後方光路には、コーナーキューブ型の反射プリズム6が設けられている。これにより、レーザ出射光PLの進行方向を精度よく反転することができ、ホログラムメモリ媒体1の側面に光を効率的に入射することができる。
【0032】
以上のように、実施の形態1によれば、反射プリズム等の光学素子によって入射光の光路を変更し、入射光路と検出光路とを3次元的に共有化することにより、情報再生装置の薄型化および小型化が可能となる。
【0033】
[実施の形態2]
実施の形態1の情報再生装置100Aでは、コリメータレンズ4aをホログラムメモリ媒体1を挟んで半導体レーザ3と反対側に配置し、半導体レーザ3とコリメータレンズ4aとの間の距離を長くとっている。この場合、半導体レーザ3から出射する光PLのうち、コリメータレンズ4aに入射しない無駄な光(迷光)が生じる。
【0034】
上記の迷光は、2次元光検出器2に直接斜め入射してノイズとなり得る。実施の形態1の情報再生装置100Aは、半導体レーザ3の出射口に開口7を設けることで、このような迷光を遮断している。そこで、実施の形態2では、開口7を用いずに済む光学配置を有する情報再生装置について説明する。
【0035】
図3,4は、この発明の実施の形態2による情報再生装置100Bの再生光学系を示した上面図および側面図である。実施の形態2の情報再生装置100Bは、コリメータレンズ4aがコリメータレンズ4に置き換えられた点においてのみ、実施の形態1の情報再生装置100Aと異なる。したがって、実施の形態1と重複する部分の説明は、ここでは繰返さない。
【0036】
図3,4に示すように、コリメータレンズ4は、ホログラムメモリ媒体1に対して半導体レーザ3と同じ側に配置されている。これにより、コリメータレンズ4に入射しない迷光が発生しないため、実施の形態1の情報再生装置100Aのように開口7を用いる必要がなくなる。
【0037】
なお、コリメータレンズ4は、図4に示すように、少なくともz方向に対してレーザ出射光PLをコリメートしていれば十分である。つまり、図3に示すように、レーザ出射光PLは、y方向に対しては完全にコリメートしていなくてもよい。コリメータレンズ4は、y方向に対しては、レーザ出射光PLの出射角度を変換するNA(Numerical Aperture)変換レンズとして機能している。
【0038】
以上のように、実施の形態2によれば、コリメータレンズを半導体レーザと同じ側に配置することにより、実施の形態1での効果に加えて、開口7を使用しない分だけ、さらに情報再生装置を小型化および低コスト化することが可能となる。
【0039】
[実施の形態3]
図5〜7は、この発明の実施の形態3による情報再生装置100Cの再生光学系を示した上面図、側面図および斜視図である。図5〜7を参照して、実施の形態3の情報再生装置100Cは、2次元光検出器2と、半導体レーザ3と、コリメータレンズ4と、シリンドリカルレンズ5と、反射プリズム6と、ハウジング10と、ガイド軸受け11a,11bと、ガイド軸12a,12bとを備え、ホログラムメモリ媒体1に記録された情報を再生する。
【0040】
実施の形態3の情報再生装置100Cは、2次元光検出器2の面積が、ホログラムメモリ媒体1と比べ、y方向において小さくなっている。情報再生装置100Cは、2次元光検出器2をy方向に1次元駆動させることにより、ホログラムメモリ媒体1の導波路内にホログラムとして記録された情報を再生する。半導体レーザ3から出射した光PLが2次元光検出器2上にホログラム画像を生成する動作については、実施の形態2と同じなので、ここでは説明を繰返さない。
【0041】
図7に示すように、情報再生装置100Cは、ハウジング10上に、半導体レーザ3、コリメータレンズ4、シリンドリカルレンズ5、および反射プリズム6を搭載している。ハウジング10は、上方に2次元光検出器2を配置している。ハウジング10には、ガイド軸受け11a,11b、およびこれらに対応するガイド軸12a,12bがそれぞれ設けられている。
【0042】
情報再生装置100Cは、2本のガイド軸12a,12bを介して、ハウジング10をy方向に移動させる。情報再生装置100Cは、半導体レーザ3、コリメータレンズ4、シリンドリカルレンズ5および反射プリズム6が搭載されたハウジング10と、2次元光検出器2とを、一体でy方向に1次元駆動する。
【0043】
実施の形態1,2の情報再生装置100A,100Bは、ホログラムメモリ媒体1に入射する光PLをホログラムメモリ媒体1の幅全体に一度に入射していた。これに対し、実施の形態3の情報再生装置100Cは、ホログラムメモリ媒体1に入射する光PLをホログラムメモリ媒体1の一部分だけの幅の細い線状集光ビームとして入射する。
【0044】
当該線状集光ビームは、コア層の一つを伝搬する過程で、導波路内に形成されたホログラムによって回折光DFとして散乱される(図6参照)。回折光DFから生成されるホログラム画像は、上記の幅の細い線状集光ビームに対応する必要最小限の幅の2次元光検出器2で検出される。
【0045】
上記のように2次元光検出器2のy方向の幅は必要最小限であるため、ホログラムメモリ媒体1のy方向に対する一度の記録面積は限られる。このため、情報再生装置100Cは、2次元光検出器2をy方向に移動させるたびに、異なるホログラム画像を生成することができる。つまり、情報再生装置100Cは、ホログラムメモリ媒体1の場所的な多重記録に有利となる。
【0046】
また、情報再生装置100Cの2次元光検出器2は、y方向の幅が必要最小限であることから、面積の小さい2次元光検出器アレイ(たとえば、CCD、CMOS)を用いることができる。これにより、2次元光検出器2の小型軽量化を実現できる。その結果、情報再生装置100Cのコストを削減することができる。
【0047】
実施の形態3の情報再生装置100Cは、実施の形態1,2と同様に、入射光路と検出光路とが互いに横切ることで、両者が空間を共有するように光学系全体を配置している。これにより、情報再生装置100Cをホログラムメモリ媒体1に対して上方(図5〜7では+y方向)に配置することができる。その結果、情報再生装置100Cの薄型化および投影面積の小型化が可能となる。
【0048】
以上のように、実施の形態3によれば、ハウジング10と2次元光検出器2とを一体で1次元駆動することにより、実施の形態1での効果に加えて、2次元光検出器2の面積を小さくすることができるとともに、ホログラムメモリ媒体1の場所的な多重記録に有利となる。
【0049】
[実施の形態4]
図8,9は、この発明の実施の形態4による情報再生装置100Dの再生光学系を示した上面図および側面図である。図8,9を参照して、実施の形態4の情報再生装置100Dは、2次元光検出器2と、半導体レーザ3と、コリメータレンズ4と、シリンドリカルレンズ5と、ハウジング10と、ガイド軸受け11a,11bと、ガイド軸12a,12bと、光路変換ミラー14と、複合反射プリズム15とを備え、ホログラムメモリ媒体1に記録された情報を再生する。
【0050】
実施の形態4の情報再生装置100Dは、入射光学系において、半導体レーザ3、コリメータレンズ4、および光路変換ミラー14が固定されている点で、実施の形態3の情報再生装置100Cと異なる。以下、実施の形態4において、半導体レーザ3、コリメータレンズ4および光路変換ミラー14を、固定光学部と呼ぶことにする。
【0051】
半導体レーザ3から出射した光PLは、コリメータレンズ4で平行光に変換された後、光路変換ミラー14によってx方向からy方向に光路が変換される。当該光路が変換された光は、シリンドリカルレンズ5によって線状集光ビームに絞られる。レーザ出射光PLは、複合反射プリズム15によって光路を折り曲げられながら線状集光ビームに絞られ、ホログラムメモリ媒体1の側面より、再生されるべき層のコア層に入射される。
【0052】
上記のコア層に入射した光PLが2次元光検出器2上にホログラム画像を生成する動作については、実施の形態2と同じなので、ここでは説明を繰返さない。以下、実施の形態4において、シリンドリカルレンズ5および複合反射プリズム15を、可動光学部と呼ぶことにする。
【0053】
図10は、図8,9の情報再生装置100Dにおける複合反射プリズム15の具体的な構成の一例を示した図である。図10を参照して、複合反射プリズム15は、第1反射部15aと、第2反射部15bとを含む。y方向から進行してきたレーザ出射光PLは、シリンドリカルレンズ5によって線状集光ビームに絞られる。レーザ出射光PLは、複合反射プリズム15によって光路を折り曲げられながら線状集光ビームに絞られる。
【0054】
複合反射プリズム15は、y方向から入射してきたレーザ出射光PLを、まず第1反射部15aにおいてz方向に変換し、次に第2反射部15bにおいてx方向に変換する。これにより、図8,9のようにホログラムメモリ媒体1のコア層の端面がレーザ出射光PLの方向と全く異なる場合にも、レーザ出射光PLを当該コア層に正確に入射させることが可能となる。
【0055】
実施の形態3の情報再生装置100Cは、検出光路内に、半導体レーザ3、コリメータレンズ4およびシリンドリカルレンズ5等を検出光路内に配置することで、入射光路と検出光路とを共有化していた。これに対し、実施の形態4の情報再生装置100Dは、固定光学部をホログラムメモリ媒体1の周辺部に配置している。これにより、情報再生装置100Dは、固定光学部における光路の自由度を高めることができるとともに、可動光学部の小型軽量化およびそれに伴う移動速度の高速化を図ることができる。
【0056】
情報再生装置100Dは、半導体レーザ3からシリンドリカルレンズ5までの入射光路を、ホログラムメモリ媒体1と2次元光検出器2との間の高さに配置している。これにより、実施の形態4の情報再生装置100Dは、実施の形態1〜3と同様に、ホログラムメモリ媒体1と2次元光検出器2との間の検出光路を有効活用できる。その結果、装置の薄型化を実現できる。
【0057】
以上のように、実施の形態4によれば、固定光学部をホログラムメモリ媒体1の周辺部に配置することにより、実施の形態1での効果に加えて、固定光学部における光路の自由度を高めることができるとともに、可動光学部の小型軽量化およびそれに伴う移動速度の高速化を図ることができる。
【0058】
[実施の形態5]
図11,12は、この発明の実施の形態5による情報再生装置100Eの再生光学系を示した上面図および側面図である。図11,12を参照して、実施の形態5の情報再生装置100Eは、2次元光検出器2と、半導体レーザ3と、コリメータレンズ4と、シリンドリカルレンズ5と、反射プリズム6と、ハウジング10と、ガイド軸受け11a,11bと、ガイド軸12a,12b,13とを備え、ホログラムメモリ媒体1に記録された情報を再生する。
【0059】
実施の形態5の情報再生装置100Eは、2次元光検出器2の面積が、ホログラムメモリ媒体1と比べ、x方向およびy方向において小さくなっている。このため、情報再生装置100Eは、2次元光検出器2として、一般に市販されている小型で低価格な種々のCCD、CMOSを用いることができる。
【0060】
また、2次元光検出器2のx方向およびy方向の幅は必要最小限であるため、ホログラムメモリ媒体1のx方向およびy方向に対する一度の記録面積は限られる。このため、情報再生装置100Eは、2次元光検出器2をx方向およびy方向に移動させるたびに、異なるホログラム画像を生成することができる。つまり、情報再生装置100Eは、ホログラムメモリ媒体1の場所的な多重記録に有利となる。
【0061】
情報再生装置100Eは、2次元光検出器2をx方向およびy方向に2次元駆動させることにより、ホログラムメモリ媒体1の導波路内にホログラムとして記録された情報を再生する。具体的には、情報再生装置100Eは、第一段階として2次元光検出器2をy方向に移動した後、第2段階として2次元光検出器2をx方向に順次移動させる。半導体レーザ3から出射した光PLが2次元光検出器2上にホログラム画像を生成する動作については、実施の形態2と同じなので、ここでは説明を繰返さない。
【0062】
図11に示すように、ハウジング10は、実施の形態3と同様に、ガイド軸受け11a,11bおよびこれらに対応するガイド軸12a,12bを介して、y方向に駆動可能となっている。これに加えて、実施の形態5のハウジング10は、x方向のガイド軸13上に設けられていることから、y方向のみならず、x方向にも駆動可能となっている。情報再生装置100Eは、2次元光検出器2とハウジング10とを一体駆動する。
【0063】
実施の形態5の情報再生装置100Eは、実施の形態3と同様に、入射光路と検出光路とが互いに横切ることで、両者が空間を共有するように光学系全体を配置している。これにより、情報再生装置100Eをホログラムメモリ媒体1に対して上方(図11,12では+y方向)に配置することができる。その結果、情報再生装置100Eの薄型化および投影面積の小型化が可能となる。
【0064】
以上のように、実施の形態5によれば、2次元光検出器2とハウジング10とを一体で2次元駆動することにより、実施の形態3での効果に加えて、2次元光検出器2の面積をより一層小さくすることができるとともに、ホログラムメモリ媒体1の場所的な多重記録にさらに有利となる。
【0065】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態1による情報再生装置100Aの再生光学系を示した上面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による情報再生装置100Aの再生光学系を示した側面図である。
【図3】この発明の実施の形態2による情報再生装置100Bの再生光学系を示した上面図である。
【図4】この発明の実施の形態2による情報再生装置100Bの再生光学系を示した側面図である。
【図5】この発明の実施の形態3による情報再生装置100Cの再生光学系を示した上面図である。
【図6】この発明の実施の形態3による情報再生装置100Cの再生光学系を示した側面図である。
【図7】この発明の実施の形態3による情報再生装置100Cの再生光学系を示した斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態4による情報再生装置100Dの再生光学系を示した上面図である。
【図9】この発明の実施の形態4による情報再生装置100Dの再生光学系を示した側面図である。
【図10】図8,9の情報再生装置100Dにおける複合反射プリズム15の具体的な構成の一例を示した図である。
【図11】この発明の実施の形態5による情報再生装置100Eの再生光学系を示した上面図である。
【図12】この発明の実施の形態5による情報再生装置100Eの再生光学系を示した側面図である。
【図13】従来の再生専用多重ホログラムカード110Xの情報を再生する情報読み出し装置100Xの構成を示した概略図である。
【図14】従来の再生専用多重ホログラムカード110Yの情報を再生する情報再生装置100Yの構成を示した概略図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ホログラムメモリ媒体、2 2次元光検出器、3 半導体レーザ、4,4a コリメータレンズ、5 シリンドリカルレンズ、6 反射プリズム、7 開口、10 ハウジング、11a,11b ガイド軸受け、12a,12b,13 ガイド軸、14 光路変換ミラー、15 複合反射プリズム、100A〜100E,100Y 情報再生装置、100X 情報読み出し装置、102 シリンドリカルレンズ、103 端面、104 コア層、105 散乱要因、106 側面、110X,110Y 再生専用多重ホログラムカード、200 結像面、200a,200b ホログラム像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱要因が形成された導波層が複数積層された記録媒体の情報を再生する情報再生装置であって、
光を出射する光源と、
前記光源から出射される光を前記導波層の一つに入射する光学系と、
前記散乱要因によって散乱された回折光を受光する光検出器とを備え、
前記光源と前記光学系との間の入射光路と、前記記録媒体と前記光検出器との間の検出光路とを3次元的に共有する、情報再生装置。
【請求項2】
前記光源および前記光学系は、前記入射光路が前記検出光路を横断するように前記記録媒体から前記光検出器までの高さの空間に配置される、請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記光源は、前記光源から出射された光の一部を遮断する開口を含み、
前記光学系は、
前記光源から出射される光を平行光にするコリメートレンズと、
前記平行光を前記導波層の一つに集光する集光レンズと、
前記平行光の光路を変える反射プリズムとを含む、請求項1または2に記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記光学系は、
前記光源から出射される光を前記導波層の一つに集光する集光レンズと、
前記光源から出射される光の光路を前記導波層への入射方向に変える反射プリズムとを含む、請求項1または2に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記光源および前記光学系を搭載したハウジングをさらに備え、
前記光検出器は、面内方向の一方向の幅が前記記録媒体の対応する幅と比べて狭まっており、
前記情報再生装置は、前記ハウジングと前記光検出器とを前記一方向に一体的に駆動する、請求項1または2に記載の情報再生装置。
【請求項6】
前記記録媒体と比べて面積の小さい前記光検出器を搭載したハウジングをさらに備え、
前記情報再生装置は、前記ハウジングと前記光検出器とを前記記録媒体の面内方向に一体的に駆動する、請求項1または2に記載の情報再生装置。
【請求項7】
散乱要因が形成された導波層が複数積層された記録媒体の情報を再生する情報再生装置であって、
光を出射する光源と、
前記光源から出射される光を前記導波層の一つに入射する光学系と、
前記散乱要因によって散乱された回折光を受光する光検出器とを備え、
前記光源と前記光学系との間の入射光路は、前記記録媒体の周辺部に配置されている、情報再生装置。
【請求項8】
前記光学系は、
前記前記光源から出射される光を前記導波層の一つに集光する集光レンズと、
前記光源から出射される光を異なる2方向に反射することにより、前記光源から出射される光の光路を前記導波層への入射方向に変換する複合反射プリズムとを含む、請求項7に記載の情報再生装置。
【請求項9】
前記散乱要因は、ホログラムである、請求項1〜8のいずれかに記載の情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−267841(P2006−267841A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88380(P2005−88380)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】