説明

情報再生装置

【課題】位相誤差検出精度を向上させる。
【解決手段】記録媒体の記録情報を読み取る情報読み取り部と、その出力信号をディジタル信号に変換するADコンバータ(122)と、位相誤差を求める位相誤差検出回路(126)とを設ける。上記位相誤差検出回路は、位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める位相誤差検出部(262)と、上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントよりも上記位相誤差検出ポイントに近い位置でのデータを補完する補間部(263)とを含む。上記補間により位相誤差検出精の向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーシャルレスポンス最尤復号処理(Partial Response Maximum Likelihood:以後、「PRML」と略記する)を用いた情報再生技術、さらには同期信号生成のための位相誤差検出回路を用いた情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PRMLを用いた情報再生装置は、例えば特許文献1に記載されているように、光ピックアップ回路は、記録媒体である光ディスクに記録された情報を、レーザー光を集光して媒体上に照射し、その反射光量あるいは偏向を検出し再生する。このとき、サーボ回路はフォーカス方向とトラック方向に正確に追従させる。光ピックアップ回路により読み出された再生信号は、デジタル化され、等化回路によりPR信号に等化され、最尤復号回路により復号される。システム制御回路は、例えば、サーボ回路を介して、ディスクの種類などの情報を収集し、どの再生チャネルあるいは変調符号を用いたディスクであるかを検出する。そして、等化回路には各媒体に対応したチャネル特性を得るようにタップ係数を設定し、最尤復号回路には等化回路で設定したチャネル特性に対応する基準レベルなどを入力する。等化回路からのPR信号は、さらに、補間部により変換され、位相誤差検出回路に入力される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−326871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の情報再生装置においては、光ピックアップ回路からのアナログ信号出力の振幅がゼロになるサンプリングタイミングを位相誤差検出ポイント(ゼロクロスポイント)として位相誤差を検出すようにしている。位相誤差検出ポイントで検出された振幅値のみを用いて位相誤差を算出すると、被測定信号の振幅値が異なる場合に、算出される位相誤差が異なる。そこで正規化が必要とされる。被測定信号の振幅が同じと仮定すると、検出される振幅値は位相誤差の値に比例するので、算出された位相誤差に計数(ゼロクロス間振幅値の逆数)を掛けて実際の位相誤差を得ることで正規化が行われる。位相誤差検出ポイントと、位相誤差ポイントを挟んだ2点との計3点を結ぶ線が直線なることが、位相誤差検出で検出された振幅値と実際の位相誤差とが比例関係を持つための前提条件とされる。
【0005】
しかしながら、被測定信号の振幅が小さい場合、若しくは信号周期が短い場合、位相誤差の値に誤差を生ずる。これは、被測定信号の振幅が小さい場合、若しくは信号周期が短い場合に、位相誤差検出ポイントを挟んだ2点が曲線領域に入ってしまい、そのために、位相誤差検出ポイントを含んだ3点を結ぶ線が直線にならないことに起因する。この結果、位相誤差が振幅値に比例しなくなり、振幅値に基づいて正規化した場合に、再生データと再生に用いられるクロック信号との位相誤差検出精度が低下する。
【0006】
本発明の目的は、記録媒体からの再生データと再生に用いられるクロック信号との位相誤差検出精度を向上させることにある。
【0007】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0009】
すなわち、記録媒体に記録されている情報を読み取る力する情報読み取り部と、そこから出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換するADコンバータと、位相誤差を求める位相誤差検出回路とを設ける。上記位相誤差検出回路は、位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める位相誤差検出部と、上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントよりも上記位相誤差検出ポイントに近い位置でのデータを、上記ADコンバータから出力されるデータを補間して求める補間部と、補間されたデータに基づいてゼロクロス間振幅値を取得可能なゼロクロス間振幅取得部と、上記位相誤差を、上記ゼロクロス間振幅値に基づいて正規化する位相誤差正規化部とを含む。上記補間部によって補間されたデータを用いてゼロクロス間振幅値が求められ、それが位相誤差正規化部に伝達されて位相誤差が正規化される。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、記録媒体からの情報読み出し信号に含まれる再生データとクロック信号との位相誤差検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.代表的な実施の形態
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0013】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報再生装置(100)は、記録媒体に記録されている情報を読み取って上記情報に応じたアナログ信号を出力する情報読み取り部(11)と、上記情報読み取り部から出力されたアナログ信号をクロック信号に同期するサンプリングポイントでサンプリングしてディジタル信号に変換するADコンバータ(122)と、上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差を求める位相誤差検出回路(126)とを含む。
【0014】
上記位相誤差検出回路は、上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める位相誤差検出部(262)と、上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントよりも上記位相誤差検出ポイントに近い位置でのデータを、上記ADコンバータから出力されるデータを補間して求める補間部(263)と、上記補間部で補間されたデータに基づいてゼロクロス間振幅値を取得可能なゼロクロス間振幅取得部(264)と、上記位相誤差検出回路で得られた位相誤差を、上記ゼロクロス間振幅値に基づいて正規化する位相誤差正規化部(266)とを含む。
【0015】
上記の構成によれば、ゼロクロス間振幅取得部では、上記補間部によって補間されたデータを用いてゼロクロス間振幅値が求められ、それが位相誤差正規化部に伝達されて位相誤差が正規化されるので、ゼロクロス間振幅値を用いて位相誤差の正規化が行われる場合に比べて、再生データとクロック信号との位相誤差検出精度を向上させることができる。
【0016】
〔2〕上記情報読み取り部は、情報読み取り対象とされる情報記録媒体の種類を判別して記録媒体判別信号を出力する機能を含み、上記位相誤差検出回路は、上記記録媒体判別信号に基づいて、上記補間部の出力信号と、上記補間部を迂回した信号とを選択的に上記ゼロクロス間振幅取得部に供給可能な選択回路(265)を含めることができる。
【0017】
〔3〕また、上記情報再生装置(100)は、記録媒体に記録されている情報を読み取って上記情報に応じたアナログ信号を出力する情報読み取り部(11)と、上記情報読み取り部から出力されたアナログ信号をクロック信号に同期するサンプリングポイントでサンプリングしてディジタル信号に変換するADコンバータ(122)と、上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差を求める位相誤差検出回路(126)と、所定メディアが再生される場合には、それ以外のメディアが再生される場合よりも上記クロック信号の周波数を高めることにより、オーバーサンプリングを可能とするコントローラ(14)とを含めることができる。このとき、上記位相誤差検出回路は、上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める位相誤差検出部(262)と、上記ADコンバータの出力データに基づいてゼロクロス間振幅値を取得可能なゼロクロス間振幅取得部(264)と、上記位相誤差検出回路で得られた位相誤差を、上記ゼロクロス間振幅値に基づいて正規化する位相誤差正規化部(266)とを含む。上記オーバーサンプリングによって、上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントを、所定メディア以外のメディアが再生される場合よりも上記位相誤差検出ポイントに近づけるようにする。
【0018】
〔4〕上記情報再生装置は、上記ADコンバータの出力データについて最尤化を行う最尤化回路(125)を含む。上記位相誤差検出回路は、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致するか否かを判別し、その判別結果に基づいて、上記位相誤差正規化回路で正規化された位相誤差を補正するため位相誤差補正部(502)を含む。
【0019】
〔5〕上記情報再生装置には、上記ADコンバータの出力データについて最尤化を行う最尤化回路(125)を含めることができる。そして、上記位相誤差検出回路には、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致するか否かを判別し、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致した場合には、上記位相誤差正規化回路で正規化された位相誤差を後段回路に伝達し、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致しない場合には、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとのずれ方に基づいて、上記位相誤差正規化回路で正規化された位相誤差を補正し、その補正結果を後段回路に供給するための位相誤差補正部(502)を含めることができる。
【0020】
〔6〕上記最尤化回路における最尤化処理に必要とされる時間を考慮して、上記位相誤差正規化回路の出力信号を遅延可能な遅延調整部(501)を上記位相誤差補正部の前段に配置することができる。
【0021】
2.実施の形態の説明
次に、実施の形態について更に詳述する。
【0022】
<実施形態1>
図2には、本発明にかかる情報再生装置の構成例が示される。
【0023】
図2に示される情報再生装置100は、特に制限されないが、記録媒体の一例である光ディスク10に記録されている情報を光学的に読み取り、その情報に応じたアナログ信号を出力可能な光学読み取り部11、上記光学読み取り部11から出力されたアナログ信号の処理を行い、ディジタル信号に変換して出力するためのアナログフロントエンド(AFE)部12、上記アナログフロントエンド部12のからのディジタル信号を取り込んで信号処理することで復号データを得るディジタルシグナルプロセッサ(DSP)13、情報再生装置100における各部の動作制御を司るシステムコントローラ14を含む。上記ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)13により得られた復号データは、図示されない後段回路に伝達される。
【0024】
図3には、上記アナログフロントエンド部12の構成例が示される。
【0025】
上記アナログフロントエンド部12は、特に制限されないが、上記光学読み取り部11から伝達されたアナログ信号を検出するための信号検出部121、上記信号検出部121で検出されたアナログ信号をディジタル信号に変換するためのアナログ・ディジタル・コンバータ(「ADコンバータ」という)122、上記ADコンバータ122から出力されたディジタル信号のパーシャルレスポンス最尤復号処理を行うPRML部123、上記ADコンバータ122から伝達されたディジタル信号を取り込んで位相誤差を検出するための位相誤差検出回路126、上記位相誤差検出回路126の出力信号から交流成分を削除するためのループフィルタ127、上記ループフィルタ127の出力信号をアナログ信号に変換するためのディジタル・アナログ・コンバータ(DAコンバータ)128、上記DAコンバータ128の出力電圧に応じた周波数のクロック信号を生成するための電圧制御発振器(「VCO」という)129を含む。上記PRML部123は、再生信号が直前の信号の影響を受ける(符号間干渉)というメディア特性を考慮してもとの波形を得るためのPR等価回路124と、記録信号の特徴に基づき、再生信号から最も確からしい(確率の高い)データを得るための最尤化回路125とを含む。上記VCO129によって得られたクロック信号CLKは、上記ADコンバータ122、PR等価回路124、及び最尤化回路125に供給される。上記ADコンバータ122では、伝達されたクロック信号CLKに同期してアナログ信号をサンプリングし、それをディジタル信号に変換する。
【0026】
図1には、上記位相誤差検出回路126の構成例が示される。
【0027】
上記位相誤差検出回路126は、特に制限されないが、位相比較回路261、位相誤差検出部262、補間部263、ゼロクロス間振幅取得部264、選択回路265、位相誤差正規化部266、位相誤差分類部267、及び再生クロック制御部268を含む。
【0028】
上記位相比較回路261は、入力データのパターン判別のための位相比較を行う。青紫色半導体レーザー世代の光ディスクの規格として、HDDVD(エイチディー・ディーブイディー)と、Blu-ray Disc(BDという)が挙げられ、BDにおけるパターン長は最短で2T、HDDVDにおけるパターン長は最短で3Tとされる。ここで、Tはサンプリング周期を意味する。位相誤差検出部126は、上記ADコンバータ122の出力データに基づいて位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める。補間部263は、上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントよりも上記位相誤差検出ポイントに近い位置でのデータを、上記ADコンバータから出力されるデータを補間して求める。ゼロクロス間振幅取得部264は、上記補間部263で補間されたデータに基づいてゼロクロス間振幅値を取得する。上記選択回路265は、システムコントローラ14からの記録媒体判別信号に基づいて、2Tを含むBD,HDDVDメディアの再生時には上記補間回路263の出力データを選択的にゼロクロス間振幅取得回路264に供給し、それ以外のメディアの再生時には、上記補間部263を迂回したデータ、つまり、上記補間部263で補間されていないデータを選択的にゼロクロス間振幅取得回路264に供給する。メディアの判別はサーボにより光学的に行われる。上記位相誤差分類部267は、上記位相誤差正規化部266で正規化された位相誤差に基づいて、パターン毎に位相誤差を分類する。この分類結果は、光ディスクへの記録の際に照射される記録レーザのパワーの調整に用いることができる。
【0029】
ここで、位相誤差検出ポイントについて説明する。
【0030】
図4には、アナログ信号のサンプリングタイミングが示される。図4(A)は理想状態であり、図4(B)は位相誤差がある場合の一例である。、アナログ信号401のサンプリングタイミング(404で示される)は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期する。図4(A)に示される理想状態では、アナログ信号401のゼロクロスポイントと位相誤差検出ポイント(403で示される)とが一致する。しかし、位相誤差がある場合、図4(B)に示されるように、位相誤差検出ポイント(403で示される)がアナログ信号401のゼロクロスポイントからずれる。本例では、ADコンバータ122に入力されるアナログ信号401の振幅がゼロになるサンプリングのタイミングを位相誤差検出ポイントとして位相誤差を検出する。位相誤差は、位相誤差検出部262において、位相誤差検出ポイントでの振幅値(402で示される)から算出される。
【0031】
次に、位相誤差の正規化について説明する。
【0032】
例えば図5において501,502で示されるように、被測定信号の振幅値が互いに異なる場合には、振幅ゼロのポイント(503で示される)が一致していても、位相誤差検出ポイント403で検出された振幅値のみを用いて位相誤差を検出すると、得られる位相誤差が異なる。
【0033】
ここで、被測定信号のフル振幅の振幅値が同じと仮定すると、検出される振幅値は位相誤差の値に比例するので、算出された位相誤差に係数を掛けて実際の位相誤差を得る。このような処理を正規化といい、正規化処理は上記位相誤差正規化部266で行われる。上記係数は、ゼロクロス間振幅値の逆数とされる。ゼロクロス間振幅値は、位相誤差検出ポイント403を挟んだ二つのサンプリングポイントでの振幅値を指す。例えば被測定信号501のゼロクロス間振幅値は504で示され、被測定信号502のゼロクロス間振幅値は505で示される。
【0034】
位相誤差検出ポイントと、位相誤差検出ポイントを挟む二つのサンプリングポイントとの計3点が直線上にあることが位相誤差検出ポイントで検出された振幅値と実際の位相誤差が比例関係を持つための前提条件とされる。ここで、上記アナログ信号401(被測定信号)の振幅が、例えば図4(C)に示されるように、比較的小さい場合、位相誤差の値に誤差を生ずる。つまり、被測定信号の振幅が比較的小さい若しくは信号周期が比較的短い場合には、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイントが、位相誤差検出ポイント403を含む直線(407で示される)上から外れてしまうために、位相誤差が振幅値に比例しなくなる。このような状態で得られた振幅値に基づいて正規化すると誤差を生ずる。
【0035】
そこで、本例では、図7に示されるように、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイント705,706よりも上記位相誤差検出ポイント403に近い位置(703,704で示される)でのデータを、上記ADコンバータから出力されるデータを補間部263で補間して求め、そのような補間データを用いてゼロクロス間振幅取得部264においてゼロクロス間振幅値を得るようにしている。つまり、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイントが、位相誤差検出ポイント403を含む直線(407で示される)上から外れてしまうポイント705,706でのゼロクロス間振幅値(702で示される)を用いた場合には誤差を生ずることになるが、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイント705,706よりも上記位相誤差検出ポイント403に近い位置(703,704で示される)は、位相誤差検出ポイント403を含む直線(407で示される)上に位置するため、そのようなポイントでのゼロクロス間振幅値(701)を用いることで位相誤差検出の精度向上を図ることができる。
【0036】
図8には、上記補間部263の構成例が示される。
【0037】
上記補間部263は、特に制限されないが、3個のラッチ回路801,802,803、4個の乗算器804,805,806,807、及び1個の加算器808を含んで構成することができる。上記ADコンバータ122の出力データは、ラッチ回路801,802,803に順次ラッチされる。上記ADコンバータ122の出力データ、ラッチ回路801の出力データ、ラッチ回路802の出力データ、ラッチ回路803の出力データに対して、それぞれ対応する乗算器804,805,806,807において、周波数特性によって決定される係数が乗算される。ここで、乗算器804,805,806,807での乗算に用いられる係数は、特に制限されないが、それぞれ「3/32」,「19/32」,「19/32」,「3/32」などとされる。このような係数が乗算されたものを、加算器808で加算することで、データ補間を行うことができ、そのようなデータ補間により、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイント705,706よりも上記位相誤差検出ポイント403に近い位置(703,704で示される)を求めることができる。そして、ゼロクロス間振幅取得部264では、上記補間部263によって補間されたデータを用いてゼロクロス間振幅値701が求められ、それが位相誤差正規化部266に伝達され、位相誤差が正規化される。
【0038】
上記例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0039】
(1)補間部263でのデータ補間により、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイント705,706よりも上記位相誤差検出ポイント403に近い位置(703,704で示される)を求めることができ、ゼロクロス間振幅取得部264では、上記補間部263によって補間されたデータを用いてゼロクロス間振幅値701が求められ、それが位相誤差正規化部266に伝達されて位相誤差が正規化されるので、ゼロクロス間振幅値702を用いて位相誤差の正規化が行われる場合に比べて、光ディスク10からの再生データとクロック信号との位相誤差検出精度を向上させることができる。
【0040】
(2)2Tを含むBD,HDDVDメディア以外の再生が行われる場合には、補間部263でのデータ補間が不要であるため、選択回路265によって補間部263が迂回される。このため、2Tを含むBD,HDDVDメディア以外の再生が行われる場合において、余計な処理を行わずに済む。
【0041】
<実施形態2>
図6には、上記位相誤差検出回路126における別の構成例が示される。
【0042】
図6に示される位相誤差検出回路126が図1に示されるのと大きく相違するのは、補間部263及び選択回路265が省略された代わりに、システムコントローラ14の制御により、2Tを含むBD,HDDVDメディアの再生時には、オーバーサンプリングが行われるようになっている。つまり、図9に示されるように、2Tを含むBD,HDDVDメディアの再生時には、クロック信号2CLKに同期してADコンバータ122へのアナログ信号の取り込みが行われ、2Tを含むBD,HDDVDメディア以外の再生時には、クロックク信号CLKに同期してADコンバータ122へのアナログ信号の取り込みが行われる。クロック信号2CLKは、クロック信号CLKの2倍の周波数とされる。このようにクロック信号2CLKに同期してADコンバータ122へのアナログ信号の取り込みが行われることにより、クロック信号CLKに基づくアナログ信号の取り込みでは得られないポイント、すなわち、位相誤差検出ポイント403の直前及び直後のサンプリングポイント705,706よりも上記位相誤差検出ポイント403に近い位置(703,704で示される)を求めることができる。従って、上記実施形態1の場合と同様に、ゼロクロス間振幅取得部264では、上記補間部263によって補間されたデータを用いてゼロクロス間振幅値701が求められ、それが位相誤差正規化部266に伝達されて位相誤差が正規化されるので、ゼロクロス間振幅値702を用いて位相誤差の正規化が行われる場合に比べて、光ディスク10からの再生データとクロック信号との位相誤差検出精度を向上させることができる。
【0043】
<実施形態3>
光学読み取り部11で得られるアナログ信号の品質が特に悪く、例えば50%以上の位相誤差が発生するような場合には、上記実施形態1,2での処理では位相誤差を検出できないことが考えられる。例えば図1や図6に示される位相誤差検出回路126において、図10に示されるように、ADコンバータ122の出力データの4Tパターンに位相誤差が含まれると判断される場合を考える。かかる場合において、最尤化回路125(図3参照)において、5Tパターンに訂正された場合(50%以上の位相誤差が発生した場合)には、5Tパターンに位相誤差が含まれるとしたい。しかしながら、位相誤差検出回路126では、4Tパターンに位相誤差が含まれると判断しており、5Tパターンに位相誤差が含まれるという判断は行われないので、位相誤差を正しく検出できない。
【0044】
図11には、位相誤差を含む信号の例が示される。思想的な2Tに比べて、位相誤差を含む2Tのほうが時間的に長くなっている。
【0045】
図12には、最尤化回路125で最尤化される場合の例が示される。最尤化回路125では、記録信号の特徴に基づき、再生信号から最も確からしい(確率の高い)データを得ることができる。このため、図12に示されるように、2T(長め)−4T(短め)と見える信号でも、PRML後で3T−3Tと判断された場合には、PRML後の判断結果を優先すべきである。換言すれば、ADコンバータ122での処理後の信号で位相誤差を判定した場合、2T(長め)−4T(短め)と誤判定してしまうのに対して、PRML部123での処理後のパターンを用いれば3T(短め)−3T(長め)と正しく判断することができる。しかしながらPRML部123での処理後はパターン情報のみとなり、位相誤差情報が含まれていない。そこで、本実施形態では、図13に示されるように、最尤化回路125での最尤化結果を位相誤差検出回路126にフィードバックすることにより、位相誤差検出の適正化を図るようにしている。
【0046】
図14には、図13に示される位相誤差検出回路126の構成例が示される。
【0047】
図14に示される位相誤差検出回路126が、図1に示されるのと大きく相違するのは、位相誤差正規化部266の後段に遅延調整部901及び位相誤差補正部902が設けられている点である。遅延調整部901は、位相誤差正規化部266の出力信号を所定時間だけ遅延させる。位相誤差補正部902は、最尤化回路125での最尤化結果に基づいて位相誤差を補正する。上記遅延調整部901で与えられる遅延時間は、PR等価回路124での処理、及び最尤化回路125での処理に要する時間に等しくされる。このような遅延時間の付与により、位相誤差補正部902での処理パターンの遅延を合わせることができるので、位相誤差補正部902での補正処理が容易になる。
【0048】
図15には、上記位相誤差補正部902での補正処理の流れが示される。
【0049】
先ず、上記位相誤差補正部902では、位相誤差正規化後(ADコンバータ122での処理後)のパターンと、最尤化後のパターンとが一致するか否かの判別が行われる(S10)。この判別において、両パターンが一致する(Yes)と判断された場合、パターンとしては位相誤差正規化後又は最尤化後のものを採用し、位相誤差としては、位相誤差正規化後のものを採用する(S11)。
【0050】
また、上記ステップS10の判別において、両パターンが一致しない(No)と判断された場合(図12参照)、パターとしては、最尤化後のもを採用し、位相誤差としては、位相誤差正規化後のものを採用する(S12)。そして、位相誤差正規化後と最尤化後とのパターンのずれ方に基づいて、位相誤差正規化後の位相誤差を補正する(S13)。さらに、位相誤差補正部902での処理結果に基づいて、位相誤差分類部267及び再生クロック制御部268において、それぞれパターン毎に位相誤差の分類や、再送クロック制御が行われる(S14)。
【0051】
尚、図14に示される構成において、実施形態1での補間処理や、実施形態2でのオーバーサンプリングを行うようにしても良い。
【0052】
上記の例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0053】
(1)位相誤差補正部902は、最尤化回路125での最尤化結果に基づいて位相誤差を補正する。上記位相誤差補正部902では、位相誤差正規化後(ADコンバータ122での処理後)のパターンと、最尤化後のパターンとが一致するか否かの判別が行われ、両パターンが一致しない(No)と判断された場合(図12参照)、パターとしては、最尤化後のもが採用され、位相誤差としては、位相誤差正規化後のものが採用され、位相誤差正規化後と最尤化後とのパターンのずれ方に基づいて、位相誤差正規化後の位相誤差が補正されるようになっているため、光学読み取り部11で得られるアナログ信号の品質が特に悪く、例えば50%以上の位相誤差が発生するような場合においても、位相誤差検出を正しく行うことができる。
【0054】
(2)図14に示される構成において、実施形態1での補間処理や、実施形態2でのオーバーサンプリングを行うことにより、50%以下の位相誤差、及び50%以上の位相誤差の双方に対応することができ、光ディスク10からの再生データとクロック信号との位相誤差検出精度をさらに向上させることができる。
【0055】
以上本発明者によってなされた発明を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明にかかる情報再生装置に含まれる位相誤差検出回路の構成例ブロック図である。
【図2】上記情報再生装置の全体的な構成例ブロック図である。
【図3】上記情報再生装置に含まれるアナログフロントエンド部の構成例ブロック図である。
【図4】上記位相誤差検出回路における位相誤差検出ポイントの説明図である。
【図5】上記位相誤差検出回路における位相誤差正規化の説明図である。
【図6】本発明にかかる情報再生装置に含まれる位相誤差検出回路の別の構成例ブロック図である。
【図7】上記位相誤差検出回路における位相誤差検出ポイントの説明図である。
【図8】図1に示される補間部の構成例ブロック図である。
【図9】上記位相誤差検出回路における位相誤差検出ポイントの説明図である。
【図10】位相誤差を正しく検出できない場合の説明図である。
【図11】位相誤差を含む信号の説明図である。
【図12】PRMLで最尤化される場合の説明図である。
【図13】本発明にかかる情報再生装置における主要部の別の構成例ブロック図である。
【図14】図13に示される情報再生装置に含まれる位相誤差検出回路の構成例ブロック図である。
【図15】図14に示される位相誤差検出回路における処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
11 光学読み取り部
100 情報再生装置
122 ADコンバータ
124 PR等価回路
126 位相誤差検出回路
261 位相比較部
262 位相誤差検出部
263 補間部
264 ゼロクロス間振幅取得部
265 選択回路
266 位相誤差正規化部
267 位相誤差分類部
268 再生クロック制御部
501 遅延調整部
502 位相誤差補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録されている情報を読み取って上記情報に応じたアナログ信号を出力する情報読み取り部と、
上記情報読み取り部から出力されたアナログ信号をクロック信号に同期するサンプリングポイントでサンプリングしてディジタル信号に変換するADコンバータと、
上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差を求める位相誤差検出回路と、を含み、
上記位相誤差検出回路は、上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める位相誤差検出部と、
上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントよりも上記位相誤差検出ポイントに近い位置でのデータを、上記ADコンバータから出力されるデータを補間して求める補間部と、
上記補間部で補間されたデータに基づいてゼロクロス間振幅値を取得可能なゼロクロス間振幅取得部と、
上記位相誤差検出回路で得られた位相誤差を、上記ゼロクロス間振幅値に基づいて正規化する位相誤差正規化部と、を含むことを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
上記情報読み取り部は、情報読み取り対象とされる情報記録媒体の種類を判別して記録媒体判別信号を出力する機能を含み、
上記位相誤差検出回路は、上記記録媒体判別信号に基づいて、上記補間部の出力信号と、上記補間部を迂回した信号とを選択的に上記ゼロクロス間振幅取得部に供給可能な選択回路を含む請求項1記載の情報再生装置。
【請求項3】
記録媒体に記録されている情報を読み取って上記情報に応じたアナログ信号を出力する情報読み取り部と、
上記情報読み取り部から出力されたアナログ信号をクロック信号に同期するサンプリングポイントでサンプリングしてディジタル信号に変換するADコンバータと、
上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差を求める位相誤差検出回路と、
所定メディアが再生される場合には、それ以外のメディアが再生される場合よりも上記クロック信号の周波数を高めることにより、オーバーサンプリングを可能とするコントローラと、を含み、
上記位相誤差検出回路は、上記ADコンバータの出力データに基づいて位相誤差検出ポイントでの位相誤差を求める位相誤差検出部と、
上記ADコンバータの出力データに基づいてゼロクロス間振幅値を取得可能なゼロクロス間振幅取得部と、
上記位相誤差検出回路で得られた位相誤差を、上記ゼロクロス間振幅値に基づいて正規化する位相誤差正規化部と、を含み、
上記オーバーサンプリングによって、上記位相誤差検出ポイントの直前及び直後のサンプリングポイントを、所定メディア以外のメディアが再生される場合よりも上記位相誤差検出ポイントに近づけることを特徴とする情報再生装置。
【請求項4】
上記情報再生装置は、上記ADコンバータの出力データについて最尤化を行う最尤化回路を含み、
上記位相誤差検出回路は、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致するか否かを判別し、その判別結果に基づいて、上記位相誤差正規化回路で正規化された位相誤差を補正するため位相誤差補正部を含む請求項1又は3記載の情報再生装置。
【請求項5】
上記情報再生装置は、上記ADコンバータの出力データについて最尤化を行う最尤化回路を含み、
上記位相誤差検出回路は、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致するか否かを判別し、
ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致した場合には、上記位相誤差正規化回路で正規化された位相誤差を後段回路に伝達し、
ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとが一致しない場合には、ADコンバータ後のパターンと、上記最尤化回路での最尤化後のパターンとのずれ方に基づいて、上記位相誤差正規化回路で正規化された位相誤差を補正し、その補正結果を後段回路に供給するための位相誤差補正部を含む請求項1又は3記載の情報再生装置。
【請求項6】
上記最尤化回路における最尤化処理に必要とされる時間を考慮して、上記位相誤差正規化回路の出力信号を遅延可能な遅延調整部を上記位相誤差補正部の前段に配置して成る請求項4又は5記載の情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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