説明

情報処理サーバ、情報処理方法、プログラム、情報処理システムおよびクライアント端末

【課題】 保留状態に置かれる相手方にとって適当な保留音楽を提供することができると共に、保留音楽の変更などが容易な電話システムを実現するための情報処理サーバ、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムを提供する。
【解決手段】 情報処理サーバ10は、通話機能を有する第1および第2クライアント端末20,30と通信ネットワーク50を通じて接続されている。第1クライアント端末20から第2クライアント端末30に対して保留音楽の配信指示情報および第2クライアント端末30の識別情報を受信する受信部と、第2クライアント端末30の識別情報に基づき、所定の音楽を選択する選択部11aと、選択部11aにより選択された音楽を第2クライアント端末30に送信する送信部13aとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保留中に保留音楽を提供し得る電話システムを実現するための情報処理サーバ、情報処理方法、プログラム、情報処理システムおよびクライアント端末に関する。
【背景技術】
【0002】
電話の保留中に音楽を流すことが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。特許文献1は、複数の屋内交換機を有する構内電話システムにおける保留音の送出の技術について記載されている。具体的には配信センターから予めその電話システム内にあるアダプターに保留音をダウンロードしておき、保留指示があったときにはアダプターから外部電話機に保留音を流す技術が記載されている。特許文献2は、電話機側に音楽データを記憶し、相手に応じた音楽を流す技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−339516号公報
【特許文献2】特開平10−327219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1および特許文献2ともに、保留音は、電話機内部又は構内電話システム側に記憶させておくという技術であり、そのために特別なハードウエア(記憶部など)を設けないといけないため、使用者の負担(費用面の負担や手間の面の負担)は依然として存在する。特許文献1では、相手に応じた保留音を選択することができず、画一的な保留音楽しか流すことができない。
【0004】
本発明の目的は、保留状態に置かれる相手方にとって適当な保留音楽を提供することができると共に、クライアント端末において手を加えることなく保留音楽の変更などが容易な電話システムを実現するための情報処理サーバ、情報処理方法、プログラム、情報処理システムおよびクライアント端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)情報処理サーバ
本発明に係る情報処理サーバは、
通話機能を有する第1および第2クライアント端末と通信ネットワークを通じて接続されている情報処理サーバであって、
前記第1クライアント端末から前記第2クライアント端末に対して保留音声データの配信指示情報および前記第2クライアント端末の識別情報を受信する受信部と、
前記第2クライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択する選択部と、
前記選択部により選択された音声データを前記第2クライアント端末に送信する送信部とを含む。
【0006】
本発明によれば、情報処理サーバ側にて保留音楽を選択し、保留状態に置かれる第2クライアント端末に保留音声データが送信される。したがって、保留を求める側の第1クライアント端末において、特別な保留音声データを記憶する記憶部や保留音声データを選択する選択部を設ける必要がなく、適宜に選択された保留音声データを保留状態に置かれるクライアント端末に送信することができる。また、保留状態に置かれるクライアント端末に応じて、趣向に応じた保留音声データを選択することができるため、保留で待たされる者にとっての精神的苦痛を緩和させることができる。さらに、情報処理サーバ側にて保留音声データを記憶させておくことで、音声データのアップデートも容易に行え、クライアント端末の使用者に音声データのアップデータの負担をかけることがないという利点もある。
【0007】
本発明の一態様において、さらに、前記識別情報に関連づけられて前記識別情報に係る者の特性情報を記憶する記憶部を含み、前記選択部は、前記記憶部に記憶された特性情報に基づき音声データを選択することができる。
【0008】
これによれば、特性情報に応じて音声データが選択されるため、保留状態に置かれる者のより趣向に合った音声データを選択することができる。
【0009】
本発明の一態様において、さらに、前記識別情報に関連づけられた音声データの対応テーブルを記憶する記憶部を含み、前記選択部は、前記記憶部に記憶された対応テーブルに基づき音声データを選択することができる。
【0010】
これによれば、通話相手となることが予想されるクライアント端末ごとに予め音声データを登録しておくことにより、その者に合った保留音声を提供することができる。
【0011】
本発明の一態様において、前記選択部は、前記第2クライアント端末の通話者の音声波形に基づき前記通話者の心理状況を分析した上で、音声データを選択することができる。これによれば、保留状態に置かれる者の音声に基づき心理状態を把握するため、その時点における心理状態に適した音楽を選択することが可能となり、精神的苦痛をより緩和することができる。
【0012】
本発明の一態様において、さらに、音声データの配信に関するトレンド情報を記憶する記憶部を含み、前記選択部は、前記記憶部に記憶されたトレンド情報に基づき音声データを選択する。これによれば、トレンド情報に基づき音声データを選択するため、その時点の流行に沿った保留音声を提供することができる。
【0013】
本発明の一態様において、さらに、前記第1クライアント端末における音声データの配信に関する情報を記憶する記憶部を含むことができる。これによれば、配信記録が残るため、後の課金処理や音声データが音楽の場合には著作権処理を行う上で有用である。
【0014】
本発明の一態様において、前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報を通信ネットワークに接続された他の情報処理サーバに送信する送信部を含むことができる。これによれば、たとえば、音声データがたとえば音楽の場合には、著作権管理団体のサーバに自動的に音楽の使用記録などを送信することができ、著作権管理の上で有用である。
本発明の一態様において、前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報に基づき、前記音声データの配信に応じた料金を算出する処理部を含むことができる。これによれば、課金処理を行うことができ、料金管理に有用である。
【0015】
本発明の一態様において、前記音声データの配信情報の統計処理を行う処理部を含むことができる。統計処理を行う処理部を有することで、保留音声に使われる音声のトレンドを知ることができる。
【0016】
本発明の一態様において、前記通信ネットワークに接続された他の音声データ配信サーバから音声データを受信する受信部を含むことができる。これにより、音声データのアップデートがより容易となる。
【0017】
(2)情報処理方法
本発明に係る情報処理方法は、
通話機能を有する第1クライアント端末および通話機能を有する第2クライアント端末と通信ネットワークを通じて接続されている情報処理サーバの情報処理方法であって、
前記第1クライアント端末から前記第2クライアント端末に対して保留音声データの配信指示情報および前記第2クライアント端末の識別情報を受信するステップと、
前記第2クライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択するステップと、
選択された音声データを前記第2クライアント端末に送信するステップとを含む。
【0018】
本発明によれば、情報処理サーバ側にて保留音声データを選択し、保留状態に置かれる第2クライアント端末に保留音声データが送信される。したがって、保留を求める側の第1クライアント端末において、特別な保留音声データを記憶する記憶部や保留音声データを選択する選択部を設ける必要がなく、適宜に選択された保留音声データを保留状態に置かれるクライアント端末に送信することができる。また、保留状態に置かれるクライアント端末に応じて、趣向に応じた保留音声を選択することができるため、保留で待たされる者にとっての精神的苦痛を緩和させることができる。さらに、情報処理サーバ側にて保留音楽を記憶させておくことで、音声データのアップデートも容易に行え、クライアント端末の使用者に音声データのアップデータの負担をかけることがないという利点もある。
【0019】
本発明の一態様において、前記情報処理サーバは、前記識別情報に関連づけられて前記識別情報に係る者の特性情報を記憶する記憶部を含み、前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記記憶部に記憶された特性情報に基づき音声データを選択することができる。
【0020】
これによれば、特性情報に応じて音楽が選択されるため、保留状態に置かれる者のより趣向に合った音楽を選択することができる。
【0021】
本発明の一態様において、前記情報処理サーバは、前記識別情報に関連づけられた音楽情報の対応テーブルを記憶する記憶部を含み、前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記記憶部に記憶された音声データの対応テーブルに基づき音楽を選択することができる。
【0022】
これによれば、通話相手となることが予想されるクライアント端末ごとに予め音声データを登録しておくことにより、その者に合った保留音声を提供することができる。
【0023】
本発明の一態様において、前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記第2クライアント端末の通話者の音声波形に基づき前記通話者の心理状況を分析した上で、音声データを選択することができる。
【0024】
これによれば、保留状態に置かれる者の音声に基づき心理状態を把握するため、その時点における心理状態に適した音声データを選択することが可能となり、精神的苦痛をより緩和することができる。
【0025】
本発明の一態様において、前記情報処理サーバは、音声データの配信に関するトレンド情報を記憶する記憶部を含み、前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記記憶部に記憶されたトレンド情報に基づき音声データを選択することができる。
【0026】
これによれば、トレンド情報に基づき音声データを選択するため、その時点の流行に沿った保留音声を提供することができる。
【0027】
本発明の一態様において、前記情報処理サーバは、前記第1クライアント端末における音声データの配信に関する情報を記憶する記憶部を含むことができる。これによれば、配信記録が残るため、後の課金処理や音声データが音楽の場合には著作権処理を行う上で有用である。
【0028】
本発明の一態様において、前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報を通信ネットワークに接続された他の情報処理サーバに送信するステップを含むことができる。これによれば、たとえば、音声データが音楽の場合には、著作権管理団体のサーバに自動的に音楽の使用記録などを送信することができ、著作権管理の上で有用である。
【0029】
本発明の一態様において、前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報に基づき、前記音楽情報の配信に応じた料金を算出するステップを含むことができる。これによれば、課金処理を行うことができ、料金管理に有用である。
【0030】
本発明の一態様において、前記音声データの配信情報の統計処理を行うステップを含むことができる。統計処理を行う処理部を有することで、保留音声データに使われる音声のトレンドを知ることができる。
【0031】
本発明の一態様において、前記通信ネットワークに接続された他の音声データ配信サーバから音声データを受信するステップを含むことができる。これにより、音声データのアップデートがより容易となる。
【0032】
(3)プログラム
本発明に係るプログラムは、上記の発明の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのものである。
【0033】
(4)情報処理システム
本発明に係る情報処理システムは、
通話機能を有する第1および第2クライアント端末と、前記第1および第2クライアント端末と通信ネットワークを通じて接続されている情報処理サーバとを含む情報処理システムであって、
前記情報処理サーバは、
前記第1クライアント端末から前記第2クライアント端末に対して保留音声の配信指示情報および前記第2クライアント端末の識別情報を受信する受信部と、
前記第2クライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択する選択部と、
前記選択部により選択された音声データを前記第2クライアント端末に送信する送信部とを含む。
【0034】
(5)クライアント端末
本発明のクライアント端末は、
情報処理サーバと通信ネットワークを通じて接続されるクライアント端末であって、
前記クライアント端末は、前記情報処理サーバに対して保留音声データの配信指示情報および保留音声データの配信先の他のクライアント端末の識別情報を送信する送信部を有し、
前記情報処理サーバは、
前記クライアント端末からの保留音声データの配信指示情報および保留音声を配信する他のクライアント端末の識別情報を受信する受信部と、
前記他のクライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択する選択部と、
前記選択部により選択された音声データを前記他のクライアント端末に送信する送信部とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】
(1)情報処理システムの構成
図1は、情報処理システムの構成例を示す図である。図2は、情報処理サーバの構成例を示す図である。
【0037】
情報処理システム100は、第1クライアント端末20および第2クライアント端末30が通信ネットワーク(たとえば、固定電話通信網、移動体電話通信網、インターネット、)50を介して情報処理サーバ10に接続されている。この情報処理システム100は、第1クライアント端末20が保留指示をした場合に、情報処理サーバ10にて所定の処理にて選択された保留音楽がその情報処理サーバ10から第2クライアント端末30に送信され、その保留音楽が再生される構成となっている。
【0038】
以下、情報処理システムの各構成要素について説明する。
【0039】
情報処理サーバ10は、第1クライアント端末20からの保留音楽の送信要求に基づき、保留音楽を選択し、第2クライアント端末30に送信するものである。情報処理サーバ10は、音楽選択機能、登録機能、統計処理機能、課金機能および音楽ダウンロード機能などを有する。
【0040】
情報処理サーバ10は、処理部11と、記憶部12と、送信部13と、受信部14と、情報記憶媒体15とを含み、これらはバス16により相互に接続されている。
【0041】
処理部11は、音楽情報選択部11aと、登録処理部11bと、統計処理部11cと、課金処理部11dと、波形情報処理部11eと、著作権管理情報処理部11fとを含む。
【0042】
音楽情報選択部11aは、情報処理サーバ10が保留音楽の送信指示を受けた場合に、保留音楽を選択する。登録処理部11bは、クライアント端末から登録指示および登録情報を受信した場合に、登録処理を行う。統計処理部11cは、情報処理サーバ10が過去に配信した音楽情報の内容や配信回数などを統計処理し、その統計処理によりたとえばトレンドを把握する。課金処理部11dは、音楽情報を配信した後に使用者に課金するための課金処理を行う。波形情報処理部11eは、通話者の発声音の波形を処理する。著作権管理情報処理部11fは、配信される音楽に関する著作権管理のための情報(著作権使用料など)を処理する。
【0043】
処理部11の機能は、プロセッサ(たとえばCPU)により実現することができる。
【0044】
記憶部12は、音楽情報記憶部12aと、特性情報記憶部12bと、音楽選択テーブル記憶部12cと、配信情報記憶部12dと、音声波形記憶部12eとを含む。
【0045】
音楽情報記憶部12aは、音楽を記憶するための機能部である。特性情報記憶部12bは、登録されているクライアント端末の使用者の特性(性別、年齢、趣向など)を記憶する。音楽選択テーブル記憶部12cは、登録されているクライアント端末と関連づけて選択される音楽の対応テーブルが記憶されている。配信情報記憶部12dは、配信された音楽情報(音楽名、配信回数など)を記憶する。音声波形記憶部12eは、クライアント端末を通じて通話する通話者の音声の波形を記憶する。この音声波形データは、中継局40に一時的に記憶させておき、中継局40を通じて取得することができる。
【0046】
記憶部12の機能は、公知の記憶手段、たとえば、RAM(Random Access Memory)や、ハードディスクなどで実現することができる。
【0047】
送信部13は、音楽情報送信部13aと、著作権管理情報送信部14bとを含む。音楽情報送信部13aは、音楽情報をクライアント端末に送信する。著作権管理情報送信部14bは、著作権情報管理サーバ60に著作権に関する情報を送信する。送信部13は、公知の送信手段を適用することができる。
【0048】
受信部14は、たとえば、クライアント端末からの音楽情報の送信指示情報を受信する。受信部14は、音楽情報受信部14aと、指示情報受信部14bとを含む。音楽情報受信部14aは、音楽を他の音楽提供サーバ(図示せず)から音楽を受信する。指示情報受信部14bは、クライアント端末からの音楽情報の送信指示を受信する。受信部14は、公知の受信手段を適用することができる。
【0049】
情報記憶媒体15は、情報処理サーバの機能を実現するためのプログラムが格納されている。情報記憶媒体15の機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、またはメモリ(ROM)などのハードウェアにより実現できる。情報処理サーバの機能を実現するためのプログラムは、一般に、ROMに格納される。
【0050】
中継局40は、第1クライアント端末20を通信ネットワーク50に接続すると共に、クライアント端末20からの指示情報を情報提供サーバ10に対して直接的または間接的に送信する役割を有する。ここで間接的に送信とは、中継局40と情報提供サーバ10との間に、他の中継局が介在していることをいう。中継局40は、たとえば、交換機、基地局、ゲートウエイなどである。中継局42も同様にクライアント端末30を通信ネットワーク50に接続する役割を有する。
【0051】
第1および第2クライアント端末20,30は、通話機能を有する端末、たとえば固定電話機、移動通信端末機(たとえば、携帯電話機、自動車電話機、PHS(Personal Handyphone System))などにより構成される。また、VoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した電話(いわゆる、IP電話)の場合には、音声の入出力をすることができる電子計算機(たとえばパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Data Assistants))もクライアント端末20,30として適用することができる。
【0052】
(2)動作
次に、情報処理システム100の具体的な動作例を説明する。ここでは、第1クライアント端末20から保留指示が出され、第2クライアント端末30に保留音楽が流れる態様を説明する。
【0053】
情報処理システム100の情報処理フローの概要について図3を用いて説明する。第1クライアント端末20と第2クライアント端末30との間で通話が開始される(S1)。たとえば第1クライアント端末20が保留指示をすると(S2)、通話が一時切断される(S3)。その保留指示が情報提供サーバ10に送信され、楽曲が選択される(S4)。選択された楽曲は、第2クライアント端末30に送信されて(S5)、保留音楽が再生される(S6)。第1クライアント端末20にて保留が解除されると(S7)、第1クライアント端末20と第2クライアント端末30とが再接続される(S8)。
【0054】
以下、具体的な動作例を説明する。なお、中継局42は、単に、音声情報を中継するに過ぎないため、その処理工程の説明を省略すると共に、フロチャートの記載も省略する。
【0055】
(i)保留開始方法
第1クライアント端末20と第2クライアント端末30とが通話接続されている場合に、第1クライアント端末20の操作者が保留をする場合について図4を用いて説明する。
【0056】
まず、第1クライアント端末20にて、中継局40に対して保留指示を出す(S10)。この保留指示は、第1クライアント端末20にて保留指示の入力部(入力ボタンなど)がある場合には、その入力部により行うことができる。また、第1クライアント端末20にてテンキー操作部がある場合には、そのテンキーの入力により保留指示を出してもよい。
【0057】
次に、保留指示を受けた中継局40は、第1クライアント端末20と第2クライアント端末30との通話接続を一時切断する(S11)。次に、中継局40は、情報処理サーバ10に対して保留音楽の抽出指示をすると共に、保留サービス要求者としての第1クライアント端末20の識別情報(たとえば電話番号)および保留音楽が流される第2クライアント端末30の識別情報(たとえば電話番号)を送信する(S12)。
【0058】
次に、情報処理サーバ10は、音楽情報選択部11aにて保留音楽を選択する(S13)。この選択の仕方としては、たとえば、次のいずれかとすることができる。
【0059】
(a)音楽情報対応テーブル記憶部12cに記憶されたテーブルにしたがって、第1クライアント端末20が登録している第2クライアント端末30に対応した音楽を選択する。
【0060】
(b)特性情報記憶部12bに記憶されている特性情報に基づき、音楽を選択する。すなわち、第1クライアント端末20が登録している第2クライアント端末30の所有者の特性情報(年齢、性別、趣向など)に合致した楽曲を選択する。
【0061】
(c)音声波形記憶部12eに記憶された第2クライアント端末30の通話者の音声波形に基づき、心理状態を把握し、その心理状態に合致した楽曲を選択する。たとえば、音声波形からストレス状態を見出し、その時点の感情などの心理状態を把握することができる。この場合には、音声波形と心理状態との対応データが記憶部12に記憶しておくとよい。
【0062】
(d)相手方端末が登録されていない場合には、トレンド情報を参照しながら、ランダムに選択する。
【0063】
次に、情報処理サーバ10は、第2クライアント端末30に音楽データを送信する(S14)。なお、この音楽データの送信とともに、課金処理部11dにて課金処理を、著作権管理情報処理部11fにて著作権管理処理を、統計処理部11cにて統計処理を行うことができる。
【0064】
情報処理サーバ10から送信されてきた音楽データを受信した第2クライアント端末30は、保留音楽を再生する(S15)。
【0065】
(ii)保留解除方法
第1クライアント端末20の操作者が保留を解除する場合について図5を用いて説明する。
【0066】
まず、第1クライアント端末20が保留解除指示を出す(S20)。この保留解除指示は、第1クライアント端末20にて保留解除指示の入力部(入力ボタンなど)がある場合には、その入力部により行うことができる。また、第1クライアント端末20にてテンキー操作部がある場合には、そのテンキーの入力により保留解除指示を出してもよい。
【0067】
保留解除指示を受信した中継局40は、保留音楽の送信中止指示を情報処理サーバ10に行う(S21)。保留音楽の送信中止指示を受信した情報処理サーバ10は、保留音楽の送信を中止する(S22)。保留音楽の送信を中止した後、送信中止の通知を中継局40に行う(S23)。送信中止の通知を受信した中継局40は、第1クライアント端末20と第2クライアント端末30との通話再開処理を行い(S24)、通話が再開される(S25)。
【0068】
(iii)登録時
次に、第1クライアント端末20から情報処理サーバ10に対して、相手先の情報(音楽情報、特性情報など)の登録手法について図6を用いて説明する。
【0069】
まず、第1クライアント端末20が登録要求を行う(S30)。この登録要求は、第1クライアント端末20にて登録要求の入力部(入力ボタンなど)がある場合には、その入力部により行うことができる。また、第1クライアント端末20にてテンキー操作部がある場合には、そのテンキーの入力により登録要求を出してもよい。
【0070】
次に、中継局40が情報処理サーバ40に対して、登録案内情報を第1クライアント端末20に送信するように要求する(S31)。
【0071】
情報処理サーバ40が中継局40から登録案内情報の送信要求を受信すると、登録案内情報(音声案内、入力案内画面など)を送信する(S32)。
【0072】
中継局40を通じて第1クライアント端末20がその登録案内情報を受信すると、その登録案内に従って、登録情報を入力し(S33)、中継局40を介して情報処理サーバ40に送信する(S34)。その登録情報を受信した情報処理サーバ40は、登録情報を記憶部12、具体的には特性情報記憶部11bや音楽情報対応テーブル記憶部11cに登録する(S35)。すなわち、第1クライアント端末20からの指示に応じて、登録処理部11aが特性情報データや音楽情報対応テーブルを記録、追記録又は記録修正を行う。また、この登録の際に、保留音楽の選択をどのように行うかを登録するステップが含まれてもよい。具体的には、上記の保留音楽の選択ステップ(S13)で説明した選択手法のうち、いずれかの手法を選択する登録ステップが含まれてもよい。
【0073】
(3)作用効果
次に、本実施の形態に係る作用効果を説明する。
【0074】
保留音楽は、どの相手に対しても同一の音楽が流れるのが一般的である。しかし、本実施の形態によれば、相手ごとに保留音楽を選択しているため、相手に対して好きな音楽を流すことができる。これによれば、好みの音楽が流れれば、保留時間が長い場合などにおいても、保留で待たされている相手にとっても待つという精神的負担を軽減できると共に、安らぎの時間としてその時間を提供することも可能となる。
【0075】
また、保留音楽は情報処理サーバ10から第2クライアント端末30に提供されることになるため、クライアント端末側に音楽選択部および保留音楽データの記憶部を設けた場合に比べて次の効果がある。
【0076】
(a)各クライアント端末にて音楽情報を格納する必要がないためにハードウェアの構成が複雑にならない。
【0077】
(b)クライアント端末側にて保留音楽データを記憶し、保留音楽を選択するということになると、そのための保留音楽データの記憶部と保留音楽の選択部を設ける必要がある。このため、既に使われているクライアント端末では、別途、保留音楽データの記憶部や保留音楽の選択部のハードウェアを設けなければならないため、各クライアント端末の使用者に負担をかけることになる。しかし、本実施の形態の情報処理サーバ10によれば、既存のクライアント端末であってもハードウェアを別途付加させる必要がないため、そのサービスを受けるまでにクライアント端末の使用者に負担がかかることはない。
【0078】
(c)クライアント端末側に保留音楽データを記憶させた場合には、トレンドに合わせた音楽を流すためには、逐次、音楽データをアップデートしないとならない。しかし、本実施の形態によれば、情報処理サーバ10にて、トレンドなどを考慮して保留音楽を選択することができるので、トレンドに合った保留音楽をクライアント端末の使用者に負担をかけることなく流すことができる。
【0079】
上記の実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0080】
上記の実施の形態では、第1クライアント端末20から保留指示を出す場合を説明したが、第2クライアント端末30から保留指示を出す場合にも適用することができる。
【0081】
また、保留音声として音楽を例に説明したが、音楽データに限らず、株価関連情報、芸能情報(特に最新の芸能情報)などの音声データを保留音声としてもよい。
【0082】
第1クライアント端末20は発信側のクライアント端末でも受信側のクライアント端末のいずれでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】情報処理サーバの構成例を示す図である。
【図3】情報処理システムの動作の概要を示す図である。
【図4】情報処理システムの保留開始時の情報処理の流れを示す図である。
【図5】情報処理システムの保留解除時の情報処理の流れを示す図である。
【図6】情報処理システムの登録処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 情報処理サーバ
11 処理部
11a 音楽情報選択部
11b 登録処理部
11c 統計処理部
11d 課金処理部
11e 波形情報処理部
11f 著作権管理情報処理部
12 記憶部
12a 音楽情報記憶部
12b 特性情報記憶部
12c 音楽選択テーブル記憶部
12d 配信情報記憶部
12e 音声波形記憶部
13 送信部
13a 音楽情報送信部
13b 著作権管理情報送信部
14 受信部
14a 音楽情報受信部
14b 指示情報受信部
15 情報記憶媒体
16 バス
20 第1クライアント端末
30 第2クライアント端末
40 中継局
50 通信ネットワーク
60 著作権情報管理サーバ
100 情報処理システム




【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話機能を有する第1および第2クライアント端末と通信ネットワークを通じて接続されている情報処理サーバであって、
前記第1クライアント端末から前記第2クライアント端末に対して保留音声データの配信指示情報および前記第2クライアント端末の識別情報を受信する受信部と、
前記第2クライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択する選択部と、
前記選択部により選択された音声データを前記第2クライアント端末に送信する送信部とを含む情報処理サーバ。
【請求項2】
請求項1において、
さらに、前記識別情報に関連づけられて前記識別情報に係る者の特性情報を記憶する記憶部を含み、
前記選択部は、前記記憶部に記憶された特性情報に基づき所定の音声データを選択する情報処理サーバ。
【請求項3】
請求項1において、
さらに、前記識別情報に関連づけられた音声データの対応テーブルを記憶する記憶部を含み、
前記選択部は、前記記憶部に記憶された対応テーブルに基づき音声データを選択する情報処理サーバ。
【請求項4】
請求項1において、
前記選択部は、前記第2クライアント端末の通話者の音声波形に基づき前記通話者の心理状況を分析した上で、音声データを選択する情報処理サーバ。
【請求項5】
請求項1において、
さらに、音楽の配信に関するトレンド情報を記憶する記憶部を含み、
前記選択部は、前記記憶部に記憶されたトレンド情報に基づき音声データを選択する情報処理サーバ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
さらに、前記第1クライアント端末における音声データの配信に関する情報を記憶する記憶部を含む情報処理サーバ。
【請求項7】
請求項6において、
前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報を通信ネットワークに接続された他の情報処理サーバに送信する送信部を含む情報処理サーバ。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報に基づき、前記音声データの配信に応じた料金を算出する処理部を含む情報処理サーバ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、
前記音声データの配信情報の統計処理を行う処理部を含む情報処理サーバ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記通信ネットワークに接続された他の音声データ配信サーバから音声データを受信する受信部を含む情報処理サーバ。
【請求項11】
通話機能を有する第1クライアント端末および通話機能を有する第2クライアント端末と通信ネットワークを通じて接続されている情報処理サーバの情報処理方法であって、
前記第1クライアント端末から前記第2クライアント端末に対して保留音声データの配信指示情報および前記第2クライアント端末の識別情報を受信するステップと、
前記第2クライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択するステップと、
選択された音声データを前記第2クライアント端末に送信するステップとを含む情報処理方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記情報処理サーバは、前記識別情報に関連づけられて前記識別情報に係る者の特性情報を記憶する記憶部を含み、
前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記記憶部に記憶された特性情報に基づき音声データが選択される情報処理方法。
【請求項13】
請求項11において、
前記情報処理サーバは、前記識別情報に関連づけられた音声データの対応テーブルを記憶する記憶部を含み、
前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記記憶部に記憶された音声データの対応テーブルに基づき音声データを選択する情報処理方法。
【請求項14】
請求項11において、
前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記第2クライアント端末の通話者の音声波形に基づき前記通話者の心理状況を分析した上で、音声データを選択する情報処理方法。
【請求項15】
請求項11において、
前記情報処理サーバは、音声データの配信に関するトレンド情報を記憶する記憶部を含み、
前記所定の音声データを選択するステップにおいて、前記記憶部に記憶されたトレンド情報に基づき音楽を選択する情報処理方法。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれかにおいて、
前記情報処理サーバは、前記第1クライアント端末における音声データの配信に関する情報を記憶する記憶部を含む情報処理方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報を通信ネットワークに接続された他の情報処理サーバに送信するステップを含む情報処理方法。
【請求項18】
請求項16または17において、
前記記憶部に記憶された音声データの配信に関する情報に基づき、前記音声データの配信に応じた料金を算出するステップを含む情報処理方法。
【請求項19】
請求項11〜18のいずれかにおいて、
前記音声データの配信情報の統計処理を行うステップを含む情報処理方法。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれかにおいて、
前記通信ネットワークに接続された他の音楽情報配信サーバから音楽情報を受信するステップを含む情報処理方法。
【請求項21】
請求項11〜20のいずれかに記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項22】
通話機能を有する第1および第2クライアント端末と、前記第1および第2クライアント端末と通信ネットワークを通じて接続されている情報処理サーバとを含む情報処理システムであって、
前記情報処理サーバは、
前記第1クライアント端末から前記第2クライアント端末に対して保留音声データの配信指示情報および前記第2クライアント端末の識別情報を受信する受信部と、
前記第2クライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択する選択部と、
前記選択部により選択された音声データを前記第2クライアント端末に送信する送信部とを含む情報処理システム。
【請求項23】
情報処理サーバと通信ネットワークを通じて接続されるクライアント端末であって、
前記クライアント端末は、前記情報処理サーバに対して保留音声データの配信指示情報および保留音声データの配信先の他のクライアント端末の識別情報を送信する送信部を有し、
前記情報処理サーバは、
前記クライアント端末からの保留音声データの配信指示情報および保留音声を配信する他のクライアント端末の識別情報を受信する受信部と、
前記他のクライアント端末の識別情報に基づき、所定の音声データを選択する選択部と、
前記選択部により選択された音声データを前記他のクライアント端末に送信する送信部とを含む、クライアント端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−94746(P2009−94746A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262797(P2007−262797)
【出願日】平成19年10月8日(2007.10.8)
【出願人】(505199739)株式会社五合 (11)
【Fターム(参考)】