説明

情報処理システム、その制御方法及びプログラム

【課題】オブジェクトから見て有用な方位範囲の地点であるか、そうでない方位範囲の地点であるかに応じて、当該オブジェクトに関するコンピュータグラフィックス画像データの見せ方を変える。
【解決手段】携帯端末10は、自らの位置及び姿勢を検知する。タグ管理サーバ20は、その検知結果に基づいて、現実空間のオブジェクトの位置から見て携帯端末10がどの方位範囲に属するか解析し、携帯端末10において提示させる当該オブジェクトに関するコンピュータグラフィックス画像データを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「時間」、「距離」、「エアタグの種類」を指定すると、指定した条件に合致するタグのみを表示し、煩雑に表示されていたタグを整理する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、タグが集まっているところをユーザが長押しすると、周りのタグが吸い寄せられて、螺旋状に回り出し、奥から手前にタグが順々に回り、ユーザは気になるタグを見つけたらタップして当該タグに係る詳細を参照することができる技術が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
ところで、AR(Augmented Reality)は、現実空間に情報を付加させる技術であり、現実空間に関する情報は、方位が非常に大きな意味を持つ。例えば、「日本に初めて訪れた外国人が、雷門を目印に浅草寺を探し、お参りする」といった場合、往路に至っては雷門の位置を知らせる情報(例えば、“雷門”と大きく書かれたタグ)が価値ある情報であるが、復路に至っては既に知っている情報なので、情報の価値は半減する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sekai Camera Support Center、インターネット<http://support.sekaicamera.com/ja/service>
【非特許文献2】ふぉーんなハナシ セカイカメラのセカイを楽しむ小技、インターネット<http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0910/01/news114.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1、2に開示された技術は何れの場合も、雷門に向けてスマートフォンを翳せば、一様に“雷門”と大きくタグが表示されてしまう。このように現実空間の映像に付加される情報は、方位によって情報の価値は変わるのに、それが考慮されないまま一様に表示されていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、オブジェクトから見て有用な方位範囲の地点であるか、そうでない方位範囲の地点であるかに応じて、当該オブジェクトに関するコンピュータグラフィックス画像データの見せ方を変えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報処理システムは、現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な拡張現実感提示装置を有する情報処理システムであって、前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢を検知する検知手段と、前記検知手段による検知結果に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する第1の解析手段と、前記第1の解析手段による解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替える制御手段とを有することを特徴とする。
本発明の情報処理システムの制御方法は、現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な拡張現実感提示装置を有する情報処理システムの制御方法であって、前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢を検知する検知ステップと、前記検知ステップによる検知結果に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する解析ステップと、前記解析ステップによる解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替える制御ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な拡張現実感提示装置を有する情報処理システムの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢を検知する検知ステップと、前記検知ステップによる検知結果に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する解析ステップと、前記解析ステップによる解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替える制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、オブジェクトから見て有用な方位範囲の地点であるか、そうでない方位範囲の地点であるかに応じて、当該オブジェクトに関するコンピュータグラフィックス画像データの見せ方を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るARタグ表示システムの構成を概略的に示す図である。
【図2−1】本発明の実施形態におけるタグ管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図2−2】本発明の実施形態における携帯端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るARタグ表示システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係るARタグ表示システムの動作を具体的に説明するためのストーリーを示す図である。
【図5−1】図4の401、403に示す経路をユーザが携帯端末を翳しながら歩いている場合におけるARタグ表示システムの動作について説明するための図である。
【図5−2】携帯端末の画面表示例を示す図である。
【図6−1】図4の402、404に示す経路をユーザが携帯端末を翳しながら歩いている場合におけるARタグ表示システムの動作について説明するための図である。
【図6−2】携帯端末の画面表示例を示す図である。
【図7】ユーザが携帯端末の画面上に表示されているタグをタップした場合に起動する処理を示すフローチャートである。
【図8】ユーザによって設定された散歩道に基づいて、タグ管理テーブルの評価値を更新する処理を具体的に説明するための図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るARタグ表示システムの構成を概略的に示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るAR表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS1004〜S1008を具体的に説明するための図である。
【図12】本発明の第4の実施形態において使用する三次元タグの一例を説明するための図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るARタグ表示システムの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るARタグ表示システムの構成を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るARタグ表示システムは、ユーザが所持するカメラ機能付き携帯端末10と、現実空間の映像に合成表示されるタグを管理するためのタグ管理サーバ20とで構成される。なお、図1においては、説明の簡単のため、携帯端末10、タグ管理サーバ20をそれぞれ一つずつ示しているが、実際にはそれぞれが任意数あって構わない。
【0013】
携帯端末10は、位置姿勢検知部101、評価受付部102及び提示部103を備える。提示部103は、タグを表すコンピュータグラフィックス画像データを、現実空間の映像と合成して表示する。即ち、携帯端末10は、カメラによって撮影された現実空間の映像を液晶ディスプレイ等に表示し、表示した現実空間の映像にコンピュータグラフィックス画像データを合成表示することにより、拡張された現実感を演出する。以下では、このように拡張された現実感を与えるコンピュータグラフィックス画像データの合成表示を、AR(Augmented Reality)表示と称することがある。
【0014】
なお、以下で説明する実施形態においては、AR表示を行うデバイスであるAR表示デバイスの例として携帯端末型のAR表示デバイスを挙げているが、これに限られない。例えば、ユーザの頭部に装着される眼鏡型のHMD(Head Mounted Display)も適用できる。HMDは、現実空間の映像に対して整合する位置にコンピュータグラフィックス画像データを表示することにより、拡張された現実感を演出する。また、HMDには、非透過型、ビデオ透過型、光学透過型等の様々な方式がある。合成表示(AR表示)とは、いずれかの方式によってHMDのレンズに映し出される現実空間の映像に対し、その映像に整合する位置にコンピュータグラフィックス画像データを合成表示することであって、例えば、光学透過型方式であれば、シースルーで見る現実空間の映像に対して整合する位置にコンピュータグラフィックス画像データが合成表示され、ビデオ透過型であれば、ビデオカメラで撮影した現実空間の映像に対して整合する位置にコンピュータグラフィックス画像データが合成表示される。その他、移動車両の運転席の視線方向に設置され、光学的に透過して映し出される現実空間の映像にコンピュータグラフィックス画像データを合成表示するようなヘッドアップディスプレイ型のAR表示デバイスであってもよい。
【0015】
また、現実空間の映像に整合させてコンピュータグラフィックス画像データを表示させる際に、現実空間の映像中のオブジェクトとコンピュータグラフィックス画像データとの座標合わせが行われる。座標合わせの手法としては、本実施形態においては、位置姿勢検知部101が携帯端末10の位置(緯度、経度)と姿勢(方向、仰角)とを検知し、提示部103が位置及び姿勢に基づいて携帯端末10を所持するユーザが現実空間のどこを見ているかを推定し、推定した位置に整合するようにコンピュータグラフィックス画像データを合成する。
【0016】
評価受付部102は、携帯端末10の画面上に表示されるタグがユーザによってタップされると、その回数に応じた評価値の入力を受け付ける。例えば、ユーザによって或るタグが3回タップされると、当該タグに対する+3ポイントの評価値の入力を受け付ける。なお、タップに限定する必要はなく、ユーザの音声をマイクロフォンとAD変換器によりデジタル信号として記録し、スペクトラムアナライザなどを用いて音声解析した結果を、評価値の入力として受け付けても良い。例えば、ユーザが「雷門最高!」としゃべると、音声解析の結果とそれを自然言語処理することで、雷門に関するタグに対する+100ポイントの評価値の入力を受け付ける。その他、ユーザの位置をGPS等で計測して、ユーザが当該タグの傍を通過したか否かを判別し、通過すれば当該タグに対する+10ポイントの評価値の入力を受け付けても良い。その他、タグをユーザが凝視する行為等、タグを意識しているとする動作のパターンに応じた評価値の入力動作が考えられる。
【0017】
タグ管理サーバ20は、表示タグ解析部201、タグ表示指示部202、タグ管理テーブル203及び表示態様管理テーブル204を備える。表示タグ解析部201は、携帯端末10から位置及び姿勢を受信し、ユーザが現実空間のどのオブジェクトを見ているか解析する。そして、表示タグ解析部201は、そのオブジェクトから見てユーザがどの方位範囲に位置するかを解析し、オブジェクトのタグのタグID及び解析した方位範囲に対応する評価点をタグ管理テーブル203から取得する。表示タグ解析部201は、オブジェクトのタグのタグID、位置及び評価点をタグ表示指示部202に対して出力する。
【0018】
タグ管理テーブル203には、タグID及び位置毎に、方位範囲、評価点が管理されている。ここでいう位置とは、現実空間におけるオブジェクトの位置であり、当該オブジェクトに対応するタグが合成表示される位置でもある。また、方位範囲とは、オブジェクトの位置を基準として見た方位範囲を意味する。タグ管理サーバ20は、携帯端末10の評価受付部102から評価値を受信すると、タグ管理テーブル203の該当するレコードの評価値を更新する。
【0019】
表示態様管理テーブル204は、評価点に対応する表示態様が管理されている。タグ表示指示部202は、表示タグ解析部201からタグID、位置及び評価点を取得すると、評価点に対応する表示態様を表示態様管理テーブル204から取得する。タグ表示指示部202は、タグIDに対応するコンピュータグラフィックス画像データ、位置及び表示態様を携帯端末10に対して送信する。なお、図1に示す表示態様管理テーブル204では、0から50までの評価点に対しては「小サイズ表示」が対応付けられ、51以上の評価点に対しては「大サイズ表示」が対応付けられている。他の実施形態として、0から50までの評価点に対しては「非表示」、51以上の評価点に対しては「表示」というように表示自体を制御してもよい。その他の表示態様としては、評価点が高い方を、より目立つ色や太い字体で表示する、或いは、重ねて見せる際に評価点が高い方をより前面に表示するなど、評価点に応じて目立つデザインやレイアウトに表示態様を制御してもよい。
【0020】
携帯端末10の提示部103は、コンピュータグラフィックス画像データ、位置及び表示態様を受信すると、コンピュータグラフィックス画像データをその表示態様で現実空間の映像に合成表示する。即ち、「小サイズ表示」の表示態様であれば、提示部103はコンピュータグラフィックス画像データを小サイズで表示し、「大サイズ表示」の表示態様であれば、提示部103はコンピュータグラフィックス画像データを大サイズで表示する。なお、携帯端末10にキャッシュ(高速な記憶装置)機能を備え、上記タグ表示指示部202が携帯端末10に対して送信したコンピュータグラフィックス画像データ等をキャッシュして、処理の高速化を図ってもよい。この場合、提示部103は、キャッシュよりコンピュータグラフィックス画像データ、位置及び表示態様等を受信し、コンピュータグラフィックス画像データをその表示態様で現実空間の映像に合成表示する。
【0021】
図2−1は、本実施形態におけるタグ管理サーバ20のハードウェア構成を示す図である。図2−1において、CPU12101は、システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。ROM12102或いはHDD12105には、CPU12101の制御プログラムであるオペレーティングシステム(OS)や、後述する各種機能を実現するためのプログラムが記憶されている。RAM12103は、CPU12101の主メモリ、ワークエリア、一時退避領域等として機能する。通信I/Fコントローラ12104は、ネットワークを介して外部機器(例えば、携帯端末10)との通信制御処理を実行する。なお、HDD12105の代替手段として、SDD(Solid State Drive)を用いてもよい。
【0022】
図2−2は、本実施形態における携帯端末10のハードウェア構成を示す図である。図2−2において、CPU12201は、システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。ROM12202には、CPU12201の制御プログラムであるOSや、後述する各種機能を実現するためのプログラムが記憶されている。RAM12203は、CPU12201の主メモリ、ワークエリア、一時退避領域等として機能する。通信I/Fコントローラ12204は、ネットワークを介して外部機器(例えば、タグ管理サーバ20)との通信制御処理を実行する。ディスプレイコントローラ12205は、ディスプレイ12206における画像表示を制御する。
【0023】
図3は、本実施形態に係るARタグ表示システムの処理の流れを示すフローチャートである。以下、図1及び図3を参照しながら、本実施形態に係るARタグ表示システムの処理について説明する。
【0024】
携帯端末10の位置姿勢検知部101は、携帯端末10の位置及び姿勢を検知する(ステップS301)。次に、携帯端末10は、位置姿勢検知部101によって検知された位置及び姿勢をタグ管理サーバ20に対して送信する(ステップS302)。
【0025】
タグ管理サーバ20は、携帯端末10から位置及び姿勢を受信する(ステップS303)。次に、タグ管理サーバ20の表示タグ解析部201は、上記位置及び姿勢に基づいて、携帯端末10を所持するユーザがどのオブジェクトを見ているかを解析する。そして、表示タグ解析部201は、オブジェクトから見てユーザがどの方位範囲に位置するかを解析し、オブジェクトのタグのタグID及び当該方位範囲に対応する評価点をタグ管理テーブル203から取得し、タグID、位置及び評価点をタグ表示指示部202に対して出力する(ステップS304)。
【0026】
次に、タグ表示指示部202は、表示タグ解析部201からタグID、位置及び評価点を取得し、評価点に対応する表示態様を表示態様管理テーブル204から取得する(ステップS305)。タグ表示指示部202は、タグIDに対応するコンピュータグラフィックス画像データ、位置及び表示態様を携帯端末10に対して送信する(ステップS306)。
【0027】
携帯端末10は、タグ管理サーバ20から、コンピュータグラフィックス画像データ、位置及び表示態様を受信する(ステップS307)。次に、携帯端末10の提示部103は、その表示態様でコンピュータグラフィックス画像データを現実空間の映像に合成表示する(ステップS308)。
【0028】
以下、具体的なストーリーを例に挙げて、本実施形態に係るARタグ表示システムの動作を具体的に説明する。ここで例に挙げるストーリーは、「ユーザは、浅草駅から雷門を目印に浅草寺に向かい、浅草寺でお参りをした後、仲見世通りにある「雷おこし本舗」にてお土産を買って、浅草駅に帰る」である。図4は、当該ストーリーにおけるユーザの経路を示す図である。図4の401及び402は、当該ストーリーの往路の一部を示しており、403及び404は、当該ストーリーの復路の一部を示している。図4の401は、浅草駅から雷門の近くの地点Aまでの経路である。図4の402は、雷門をくぐって雷おこし本舗の近くの地点Bまでの経路である。図4の403は、浅草寺から雷おこし本舗の近くの地点Cまでの経路である。図4の404は、雷おこし本舗から雷門の近くの地点Dまでの経路である。
【0029】
先ず、図5−1を参照しながら、図4の401に示す経路をユーザが携帯端末10を翳しながら歩いている場合におけるARタグ表示システムの動作について説明する。図5−1(a)に示すように、ユーザが携帯端末10を翳しながら雷門付近の地点Aまで歩いてくると、表示タグ解析部201は、携帯端末10が地点Aに位置するときに受信する携帯端末10の位置及び姿勢に基づいて、ユーザが携帯端末10の画面上で雷門を閲覧しており、且つ、ユーザが雷門の位置(x1,y1)から見て1°〜90°の方位範囲に位置することを解析し、タグ管理テーブル203から該当するレコードの評価点を取得する。
【0030】
図5−1(b)は、タグ管理テーブル203の関連個所を抜粋した図である。表示タグ解析部201は、携帯端末10から受信した携帯端末10の位置及び姿勢に基づいて、ユーザが携帯端末10の画面上でどのオブジェクトをどの方位範囲から見ているかを解析し、その解析結果に該当するレコードの評価点をタグ管理テーブル203から取得する。ここでは、ユーザが見ているオブジェクトは位置(x1,y1)の雷門であり、且つ、ユーザは当該雷門のタグから見て方位範囲1°〜90°に位置する。従って、表示タグ解析部201は、タグ管理テーブル203からレコード501の評価点+90を取得する。
【0031】
表示タグ解析部201は、レコード501から取得した評価点+90、タグID“001”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ及び位置(x1,y1)をタグ表示指示部202に対して出力する。タグ表示指示部202は、タグID“001”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ、「大サイズ表示」を示す表示態様及び位置(x1,y1)を携帯端末10に対して送信する。これにより、携帯端末10の提示部103は、タグID“001”に対応する雷門のタグのコンピュータグラフィックス画像データを、「大サイズ表示」の表示態様で、現実空間の位置(x1,y1)に合成表示する。即ち、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草駅から雷門付近の地点Aに到着すると、携帯端末10の画面上において、雷門のタグのコンピュータグラフィックス画像データが大きなサイズで表示されることになる。
【0032】
図5−2(a)は、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草駅から雷門付近の地点Aに到着した場合における携帯端末10の画面表示例を示す図である。図5−2(a)に示すように、携帯端末10の画面上では、現実空間における雷門の映像521の近傍に、雷門のタグのコンピュータグラフィックス画像データ522が大きなサイズで表示される。
【0033】
次に、同じく図5−1を参照しながら、図4の403に示す経路をユーザが携帯端末10を翳しながら歩いている場合におけるARタグ表示システムの動作について説明する。図5−1(a)に示すように、ユーザが携帯端末10を翳しながら雷おこし本舗から雷門付近の地点Dまで歩いてくると、ユーザは携帯端末10の画面上で位置(x1,y1)の雷門を見ており、且つ、ユーザは雷門の位置(x1,y1)から見て方位181°〜270°の方位範囲に位置する。表示タグ解析部201は、携帯端末10が地点Dに位置するときに受信する携帯端末10の位置及び姿勢に基づいて、これらの事項を解析し、タグ解析テーブル203から該当するレコードの評価点を取得する。従って、表示タグ解析部201は、タグ管理テーブル203からレコード502の評価点+20を取得する。
【0034】
表示タグ解析部201は、レコード502から取得した評価点+20、タグID“001”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ及び位置(x1,y1)をタグ表示指示部202に対して出力する。タグ表示指示部202は、タグID“001”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ、「小サイズ表示」を示す表示態様及び位置(x1,y1)を携帯端末10に対して送信する。これにより、携帯端末10の提示部103は、タグID“001”に対応する雷門のタグのコンピュータグラフィックス画像データを「小サイズ表示」の表示態様で、現実空間の位置(x1,y1)に合成表示する。即ち、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草寺から雷付近の地点Dに到着すると、携帯端末10の画面上において、雷門のタグのコンピュータグラフィックス画像データが小さなサイズで表示されることになる。
【0035】
図5−2(b)は、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草寺から雷門付近の地点Dに到着した場合における携帯端末10の画面表示例を示す図である。図5−2(b)に示すように、携帯端末10の画面上では、現実空間における雷門の映像523の近傍に、雷門のタグのコンピュータグラフィックス画像データ524が小さなサイズで表示される。
【0036】
次に、図6−1を参照しながら、図4の402に示す経路をユーザが携帯端末10を翳しながら歩いている場合におけるARタグ表示システムの動作について説明する。図6−1(a)に示すように、ユーザが携帯端末10を翳しながら雷門から雷おこし本舗付近の地点Bまで歩いてくると、ユーザは携帯端末10の画面上で位置(x2,y2)の雷おこし本舗を見ており、且つ、ユーザは雷おこし本舗の位置(x2,y2)から見て271°〜360°の方位範囲に位置する。表示タグ解析部201は、携帯端末10が地点Bに位置するときに受信する携帯端末10の位置及び姿勢に基づいて、これらの事項を解析し、タグ管理テーブル203から該当するレコードの評価点を取得する。
【0037】
図6−1(b)は、タグ管理テーブル203の関連箇所を抜粋した図である。上述したように、ユーザは携帯端末10の画面上で位置(x2,y2)の雷おこし本舗を見ており、且つ、ユーザは雷おこし本舗(位置(x2,y2))から見て271°〜360°の方位範囲に位置する。そのため、表示タグ解析部201は、タグ管理テーブル203からレコード601の評価点+25を取得する。
【0038】
表示タグ解析部201は、レコード601から取得した評価点+25、タグID“002”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ及び位置(x2,y2)をタグ表示指示部202に対して出力する。タグ表示指示部202は、タグID“002”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ、「小サイズ表示」を示す表示態様及び位置(x2,y2)を携帯端末10に対して送信する。これにより、携帯端末10の提示部103は、雷おこし本舗のタグのコンピュータグラフィックス画像データを、「小サイズ表示」の表示態様で、現実空間の位置(x2,y2)に合成表示する。即ち、ユーザが携帯端末10を翳しながら雷門から雷おこし本舗付近の地点Bに到着すると、携帯端末10の画面上において、雷おこし本舗のタグのコンピュータグラフィックス画像データが小さなサイズで表示されることになる。
【0039】
図6−2(a)は、ユーザが携帯端末10を翳しながら雷門から雷おこし本舗付近の地点Bに到着した場合における携帯端末10の画面表示例を示す図である。図6−2(a)に示すように、携帯端末10の画面上では、現実空間における雷おこし本舗の映像621の近傍に、雷おこし本舗のタグのコンピュータグラフィックス画像データ622が小さなサイズで表示される。
【0040】
次に、同じく図6−1を参照しながら、図4の403に示す経路をユーザが携帯端末10を翳しながら歩いている場合におけるARタグ表示システムの動作について説明する。図6−1(a)に示すように、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草寺から雷おこし本舗付近の地点Cまで歩いてくると、ユーザは携帯端末10の画面上で位置(x2,y2)の雷おこし本舗を見ており、且つ、ユーザは雷おこし本舗の位置(x2,y2)から見て181°〜270°の方位範囲に位置する。表示タグ解析部201は、携帯端末10が地点Cに位置するときに受信する携帯端末10の位置及び姿勢に基づいて、これらの事項を解析し、タグ解析テーブル203から該当するレコードの評価点を取得する。従って、表示タグ解析部201は、タグ管理テーブル203からレコード602の評価点+80を取得する。
【0041】
表示タグ解析部201は、レコード602から参照した評価点+80、タグID“002”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ及び位置(x2,y2)をタグ表示指示部202に対して出力する。タグ表示指示部202は、タグID“002”に対応するコンピュータグラフィックス画像データ、「大サイズ表示」を示す表示態様及び位置(x2,y2)を携帯端末10に対して送信する。これにより、携帯端末10の提示部103は、タグID“002”に対応する雷おこし本舗のタグのコンピュータグラフィックス画像データを、「大サイズ表示」の表示態様で、現実空間の位置(x2,y2)に合成表示する。即ち、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草寺から雷おこし本舗付近の地点Cに到着すると、携帯端末10の画面上において、雷おこし本舗のタグのコンピュータグラフィックス画像データが大きなサイズで表示されることになる。
【0042】
図6−2(b)は、ユーザが携帯端末10を翳しながら浅草寺から雷おこし本舗付近の地点Cに到着した場合における携帯端末10の画面表示例を示す図である。図6−2(b)に示すように、携帯端末10の画面上では、現実空間の雷おこし本舗の映像623の近傍に、雷おこし本舗のタグのコンピュータグラフィックス画像データ624が大きなサイズで表示される。
【0043】
図7は、ユーザが携帯端末10の画面上に表示されているタグをタップした場合に起動する、評価点の設定処理を示すフローチャートである。ここで説明するユーザとは、上述した説明におけるユーザとは必ずしも一致しない。即ち、上述した説明におけるユーザは単に携帯端末10に表示されるタグを頼りにしながら街中を歩く観光者であるのに対し、図7の説明で登場するユーザとは、このような観光者に対して、各オブジェクトについてタグを表示するのに有用であると考える方位範囲を推奨する者である。
【0044】
以下、図7を用いて、評価点の設定処理について説明する。ユーザは、携帯端末10を翳しながら歩いている際に、画面上に表示されるタグのうち、表示が有用であったと考えるタグをタップする。タグがタップされると、携帯端末10の評価受付部102は、タップされた回数を示す回数情報と、タップされたタグのタグIDと、タップされた時点において位置姿勢検知部101が検知した携帯端末10の位置及び姿勢とをタグ管理サーバ20に対して送信する(ステップS701)。
【0045】
タグ管理サーバ20は、携帯端末10から、回数情報とタグIDと携帯端末10の位置及び姿勢とを受信する(ステップS702)。タグ管理サーバ20は、携帯端末10の位置及び姿勢に基づいて、当該タグIDのオブジェクトから見て携帯端末10がどの方位範囲に位置するかを解析し、当該タグID及び解析した方位範囲に該当するレコードの評価点を、回数情報で示される回数分のポイントを加算する(ステップS703)。
【0046】
ユーザは、自分にとって有用であると思ったタグに対してはタップ操作を行うことにより、その時点における当該タグに対応するオブジェクトから見た携帯端末10の属する方位範囲の評価点を加算する。図4の例では、401の経路は雷門を初めて通過する経路であるため、地点Aでは雷門のタグは有用なものとして当該タグをタップする。これにより、図5−1(b)の501のレコードに示すように、評価点が高く設定されることになる。また、図4の402の経路は雷おこし本舗の近くを通過するが、雷おこし本舗は浅草寺にお参りした後に立ち寄るオブジェクトであるため、ユーザは地点Bでは雷おこし本舗のタグをタップしない。従って、図6−1(b)の601のレコードに示すように、評価点は低いままとなる。
【0047】
また、図4の402の経路は浅草寺にお参りした後に雷おこし本舗の近くを通過するものであるが、このとき、雷おこし本舗のタグは有用なものとなるので、地点Cでは雷おこし本舗のタグをタップする。これにより、図5−1(b)の502のレコードに示すように、評価点が高く設定されることになる。また、図4の404の経路は雷おこし本舗を通過して雷門に向かう経路であるが、このとき、雷門は2度目の通過であるため、地点Dでは雷門のタグをタップしない。従って、図6−1(b)のレコードに示すように、評価点は低いままとなる。
【0048】
以上の評価点の設定処理を行うことにより、各オブジェクトから見て有用な方位範囲と考えられる地点では当該オブジェクトのタグを目立つように表示し、そうでないと考えられる方位範囲の地点では当該オブジェクトのタグは目立たないように表示することが可能となる。即ち、本実施形態によれば、オブジェクトから見て有用な方位範囲の地点であるかそうでない方位範囲の地点であるかに応じて、当該オブジェクトのタグの見せ方を変えることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、タップされた回数分、評価値のポイントを加算することについてのみ説明したが、ユーザが所定の操作を行うことにより、評価値のポイントを減算するようにしてもよい。これにより、例えば子供等には案内したくないようなオブジェクトについては、タグの表示を消極的な方向に制御することが可能となる。
【0050】
また、有用なタグをタップするのではなく、ユーザが携帯端末10を操作して、そのタグを含む画像データを撮影し、タグ管理サーバ20に対して送信するようにしてもよい。タグ管理サーバ20は、携帯端末10から送信された画像データを解析することにより、携帯端末10が翳されているオブジェクトと、当該オブジェクトから見てどの方位範囲に携帯端末10が位置するかを判定し、タグ管理テーブル203の該当するレコードの評価値を更新するようにしてもよい。この場合、タグ管理サーバ20は、画像データ解析のために必要な画像マッチング用の画像データを予め準備しており、携帯端末10から受信した画像データと画像マッチング用の画像データとを照合することにより、上述した解析が行われる。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、ユーザがお気に入りの散歩道を設定し、設定された散歩道に従って評価点を更新するものである。なお、ここでの散歩道の設定では、携帯端末10の画面上に表示される地図情報を、オブジェクト間を結ぶようにユーザが指でなぞることにより(例えば、浅草駅→雷門→浅草寺→雷おこし本舗→浅草寺)、散歩道の経路及び進行方向を設定する。散歩道の設定方法は、その経路及び進行方向が設定できればよいため、上記の方法に限定されない。例えば、携帯端末10を所持するユーザが実際に歩いた経路及び進行方向をGPS(global positioning system)で検知し、その検知結果を散歩道として設定してもよい。また、本実施形態に係るARタグ表示システムの構成は、図1に示した構成と同様であるため、以下の説明においても図1の符号を用いるものとする。
【0052】
携帯端末10は、設定された散歩道をタグ管理サーバ20に対して送信する。タグ管理サーバ20は、受信した散歩道から、各オブジェクトについてユーザにとって有用であると推定される方位範囲には評価値を加算し、そうではないと推定される方位範囲には評価値を加算しない。
【0053】
ユーザにとって有用であると推定される方位範囲とは、ユーザの経路が属する方位範囲であって、且つ、その方位範囲がユーザの進行方向とは逆の方位を含む方位範囲である。即ち、ユーザによって有用であると推定される方位範囲とは、ユーザがオブジェクトに対して近付く動きをする方位範囲である。反対に、ユーザにとって有用でないと推定される方位範囲とは、ユーザの経路が属しない方位範囲であるか、或いは、ユーザの経路が属する方位範囲であるが、その方位範囲がユーザの進行方向とは逆の方位を含まない方位範囲である。即ち、ユーザにとって有用でないと推定される方位範囲とは、ユーザがオブジェクトに対して近付く動きをしない方位範囲である。但し、同じオブジェクトを2回目以降に通過する場合には、2回目以降の通過時にはタグの表示価値は低く、2回目以降の通過時に関する有用な方位範囲の推定は行わない。
【0054】
図8は、ユーザによって設定された散歩道に基づいて、タグ管理テーブル203の評価値を更新する処理を具体的に説明するための図である。上述した方位範囲の定義によれば、浅草駅から雷門へ向かう際の地点Aは、雷門から見て1°〜90°の方位範囲に位置し、且つ、この方位範囲はユーザの進行方向の逆の方位を含むため、雷門から見て1°〜90°の方位範囲は、ユーザにとって有用な方位範囲となる。
【0055】
また、雷門から浅草寺に向かう際の地点Bは、雷門から見て181°〜270°の方位範囲に位置するが、この方位範囲はユーザの進行方向の逆の方位を含まない。従って、雷門から見て181°〜270°の方位範囲は、ユーザにとって有用な方位範囲ではない。また、地点Bは、雷おこし本舗から見て271°〜360°の方位範囲に位置するが、この方位範囲はユーザの進行方向の逆の方位を含まない。従って、雷おこし本舗から見て271°〜360°の方位範囲も、ユーザにとって有用な方位範囲ではない。
【0056】
浅草寺から雷おこし本舗に向かう際の地点Cは、雷おこし本舗から見て181°〜270°の方位範囲に位置し、且つ、この方位範囲はユーザの進行方向の逆の方位を含むため、雷おこし本舗から見て181°〜270°の方位範囲は、ユーザにとって有用な方位範囲となる。
【0057】
また、雷おこし本舗から雷門に向かう際の地点Dは、雷門は2回目以降の通過となるため、有用な方位範囲の推定は行われない。従って、図8において、雷門、雷おこし本舗の各オブジェクトについて斜線で示す方位範囲について評価値の加算が行われる。
【0058】
以上により、ユーザのお気に入りの散歩道がタグ管理テーブル203における評価値に反映される。これにより、他のユーザが上記散歩道を携帯端末10を翳しながら歩いた場合、浅草駅から雷門に向かう際の地点Aでは雷門のタグが大きく表示される傾向となる。また、浅草寺から雷おこし本舗に向かう際の地点Cでも雷おこし本舗のタグは大きく表示される傾向となる。このように本実施形態によれば、或るユーザが設定したお気に入りの散歩道から有用な方位範囲を自動的に推定し、その推定結果を他のユーザが同じような散歩道を歩いた場合のタグ表示に反映させている。
【0059】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係るARタグ表示システムの構成を概略的に示す図である。図9に示すように、本実施形態に係るARタグ表示システムは、ユーザが所持するカメラ機能付き携帯端末110と、現実空間の映像に合成表示されるタグを管理するためのタグ管理サーバ120とで構成される。なお、図9においては、説明の簡単のため、携帯端末110、タグ管理サーバ120をそれぞれ一つずつ示しているが、実際にはそれぞれが任意数あって構わない。また、携帯端末110、タグ管理サーバ120のハードウェア構成は図2−1、図2−2に示した構成と同様である。
【0060】
本実施形態における携帯端末110は、位置姿勢検知部1101及び提示部1103を備える。位置姿勢検知部1101は図1の位置姿勢検知部101と同じ構成であり、提示部1103は図1の提示部103と同じ構成である。
【0061】
本実施形態におけるタグ管理サーバ120は、表示タグ解析部1201、広告料金算出部1202及びタグ管理テーブル1203を備える。タグ管理テーブル1203には、現実空間における位置、タグID、方位範囲、広告提供主ID、広告料金(円/日)、広告期間が対応付けて管理されている。例えば、現実空間における位置(x3,y3)に関しては、タグID“003”とタグID“004”とが対応付けられている。即ち、位置(x3,y3)にはタグID“003”とタグID“004”との2つのタグが存在することが定義されている。
【0062】
タグID“003”には、方位範囲1°〜180°が対応付けられている。これは、携帯端末110が位置(x3,y3)から見て方位範囲1°〜180°に位置し、且つ、携帯端末110が位置(x3,y3)側に翳されている場合、タグID“003”のタグのコンピュータグラフィックス画像データが携帯端末110上で表示されることを意味する。また、タグID“004”には、方位範囲181°〜360°が対応付けられている。これは、携帯端末110が位置(x3,y3)から見て方位範囲181°〜360°に位置し、且つ、携帯端末110が位置(x3,y3)側に翳されている場合、タグID“004”のタグのコンピュータグラフィックス画像データが携帯端末110上で表示されることを意味する。
【0063】
例えば、携帯端末110が位置(x3,y3)から見て方位範囲1°〜180°に位置し、携帯端末110が位置(x3,y3)側に翳されているかどうかの判断は、携帯端末110の位置及び姿勢に基づいて行われる。即ち、携帯端末110の位置が位置(x3,y3)から見て方位範囲1°〜180°に属するかどうかが判定され、また、携帯端末110が位置(x3,y3)側に翳されているかどうかは、携帯端末110の位置及び姿勢から携帯端末110のカメラが現実空間の位置(x3,y3)側を向いているかどうかを判定することによって識別される。
【0064】
表示タグ解析部1201は、携帯端末110の位置及び姿勢を携帯端末110から受信すると、携帯端末110がどの位置から見てどの方位範囲に位置し、携帯端末110が当該位置側に翳されているかを解析し、解析結果に合致するレコードをタグ管理テーブル1203から抽出する。例えば、表示タグ解析部1201は、携帯端末110が位置(x3,y3)から見て1°〜180°の方位範囲に位置し、且つ、携帯端末110が位置(x3,y3)に対して翳されていると解析した場合、タグ管理テーブル1203の最上段のレコードを抽出する。レコードを抽出すると、表示タグ解析部1201は、当該レコードにおけるタグID“003”のタグのコンピュータグラフィックス画像データを携帯端末110に対して送信する。携帯端末110は、タグID“003”のタグのコンピュータグラフィックス画像データを、現実空間の位置(x3,y3)に合成表示する。これにより、ユーザは、携帯端末10の画面上においてタグID“003”のタグを閲覧することができる。
【0065】
また、タグID“003”には、広告提供主ID“aaa”が対応付けられており、タグID“004”には、広告提供主ID“bbb”が対応付けられている。これは、タグID“003”のタグは、広告提供主ID“aaa”の広告提供主による広告であり、タグID“004”のタグは、広告提供主ID“bbb”の広告提供主による広告であることを意味している。即ち、タグID“003”のタグ及びタグID“004”のタグは、携帯端末110の画面上で現実空間に合成表示されることによって、それを参照するユーザに対する広告としての機能を果たす。
【0066】
また、タグID“003”には、広告料金(円/日)“10,000”が対応付けられており、タグID“004”には、広告料金(円/日)“5,000”が対応付けられている。これは、タグID“003”のタグの1日当たりの広告料金が10,000円であり、タグID“004”のタグの1日当たりの広告料金が5,000円であることを意味する。
【0067】
また、タグID“003”には、広告期間“H22,8,1〜”が対応付けられており、タグID“004”には、広告期間“H22,8,5〜”が対応付けられている。これは、タグID“003”のタグを広告として掲載(合成表示)している期間が平成20年8月1日から現在に至るまでであることを意味し、タグID“004”のタグを広告として形成(合成表示)している期間が平成20年8月5日から現在に至るまでであることを意味する。
【0068】
広告料金算出部1202は、タグ毎或いは広告提供主毎に広告料金を算出する。タグ毎に広告料金を算出する場合、広告料金算出部1202は、タグ管理テーブル1203のレコード毎に広告料金(円/日)と広告期間とを乗算し、タグIDをキーにして集計する。また、広告提供主毎に広告料金を算出する場合、広告料金算出部1202は、タグ管理テーブル1203のレコード毎に広告料金(円/日)と広告期間とを乗算し、広告提供主IDをキーにして集計する。
【0069】
図10は、本発明の第3の実施形態に係るAR表示システムの動作を示すフローチャートである。先ず携帯端末110は、携帯端末110の位置及び姿勢を検知する(ステップS1001)。次に携帯端末110は、検知した位置及び姿勢をタグ管理サーバ120に対して送信する(ステップS1002)。
【0070】
タグ管理サーバ120は、携帯端末110から位置及び姿勢を受信する(ステップS1003)。次にタグ管理サーバ120は、携帯端末110の位置及び姿勢に基づいて、携帯端末110がどの位置に対して翳され、また、携帯端末110が当該位置から見てどの方位範囲に位置するかを解析する(ステップS1004)。次にタグ管理サーバ120は、ステップS1004の解析結果に合致するレコードをタグ管理テーブル1203から抽出する(ステップS1005)。次にタグ管理サーバ120は、抽出した各レコードのタグIDのタグのコンピュータグラフィックス画像データ及び位置を携帯端末110に対して送信する(ステップS1006)。
【0071】
携帯端末110は、タグ管理サーバ120からタグのコンピュータグラフィックス画像データ及び位置を受信する(ステップS1007)。次に携帯端末110は、タグのコンピュータグラフィックス画像データを現実空間の当該位置に合成表示する(ステップS1008)。
【0072】
図11は、図10のステップS1004〜S1008を具体的に説明するための図である。図11において、携帯端末110が地点Gに位置し、位置(x3,y3)に向けて翳されている場合、タグ管理サーバ120の表示タグ解析部1201は、携帯端末110の位置及び姿勢から、携帯端末110が位置(x3,y3)に翳され、且つ、携帯端末110が位置(x3,y3)から見て1°〜180°の方位範囲に位置すると判定する。従って、表示タグ解析部1201は、タグ管理テーブル1203の最上段のレコードを抽出し、タグID“003”のタグのコンピュータグラフィックス画像データ及び位置(x3,y3)を携帯端末110に対して送信する。これにより、携帯端末110は、タグID“003”のタグのコンピュータグラフィックス画像データを現実空間における位置(x3,y3)に合成表示する。
【0073】
一方、携帯端末110が地点Hに位置し、位置(x3,y3)に向けて翳されている場合、タグ管理サーバ120の表示タグ解析部1201は、携帯端末110の位置及び姿勢から、携帯端末110が位置(x3,y3)に翳され、且つ、携帯端末110が位置(x3,y3)から見て181°〜360°の方位範囲に位置すると判定する。従って、表示タグ解析部1201は、タグ管理テーブル1203の上から2段目のレコードを抽出し、タグID“004”のタグのコンピュータグラフィックス画像データ及び位置(x3,y3)を携帯端末110に対して送信する。これにより、携帯端末110は、タグID“004”のタグのコンピュータグラフィックス画像データを現実空間における位置(x3,y3)に合成表示する。
【0074】
このように本実施形態においては、同じ位置に対して携帯端末110が翳されていても、当該位置から見てどの方位範囲から携帯端末110が翳されているかに応じて異なるタグを当該位置に合成表示させている。例えば、タグの位置から見て交通量が多い方位範囲から翳された携帯端末110には広告料金の高いタグを提示し、交通量の少ない方位範囲から翳された携帯端末110には広告料金の低いタグを提示するようにしてもよい。これにより、方位によって生じる広告効果を考慮した広告を提供することができる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図12は、本発明の第4の実施形態において使用する三次元タグの一例を説明するための図である。本実施形態において、図12に示す三次元タグは現実空間における(x5,y5)の位置に合成表示される。図12(a)は、初期状態における三次元タグの状態を側面から示しており、図12(b)は、初期状態における三次元タグの状態を上方から示している。図12に示す例の三次元タグは円柱形状であり、側面に広告aのタグ、広告bのタグ、広告cのタグ、広告dのタグが配置されている。即ち、図12(b)に示すように、三次元タグの位置(x5,y5)から見て1°〜90°には広告aのタグが配置され、(x5,y5)から見て91°〜180°には広告bのタグが配置され、(x5,y5)から見て181°〜270°には広告cのタグが配置され、(x5,y5)から見て271°〜360°には広告dのタグが配置されている。
【0076】
三次元タグは、ユーザの1回のタップ操作毎に、位置(x5,y5)を軸に90°回転する。初期状態においては、広告aのタグが携帯端末110の画面の正面を向いており、ユーザのタップ操作の度に三次元タグが90°ずつ回転し、広告bのタグ→広告cのタグ→広告d→広告aの順で画面の正面を向くようにしている。
【0077】
図13は、本発明の第4の実施形態に係るARタグ表示システムの構成を概略的に示す図である。図13に示すように、本実施形態に係るARタグ表示システムは、ユーザが所持するカメラ機能付き携帯端末210と、現実空間の映像に合成表示されるタグを管理するためのタグ管理サーバ220とで構成される。なお、図13においては、説明の簡単のため、携帯端末210、タグ管理サーバ220をそれぞれ一つずつ示しているが、実際にはそれぞれが任意数あって構わない。また、携帯端末210、タグ管理サーバ220のハードウェア構成は図2−1、図2−2に示した構成と同様である。
【0078】
本実施形態における携帯端末210は、位置姿勢検知部2101及び提示部2103を備える。位置姿勢検知部2101は図1の位置姿勢検知部101と同じ構成であり、提示部2103は図1の提示部103と同じ構成である。
【0079】
本実施形態におけるタグ管理サーバ220は、表示タグ解析部2201、広告料金算出部2202及びタグ管理テーブル2203を備える。タグ管理テーブル2203には、現実空間における位置、タグID、方位範囲、広告提供主ID、広告料金(円/回数)、参照回数が対応付けられて管理されている。現実空間における位置(x5,y5)に関しては、タグID“007”、タグID“008”、タグID“009”、タグID“010”が対応付けられている。即ち、位置(x5,y5)には、タグID“007”のタグ、タグID“008”のタグ、タグID“009”のタグ、タグID“010”のタグの4つのタグが合成表示されることが定義されている。つまり、図12に示すように、位置(x5,y5)において4つのタグ(広告aのタグ、広告bのタグ、広告cのタグ、広告dのタグ)が配置されていることを意味している。
【0080】
タグ管理テーブル2203においては、第3の実施形態と同様に、位置、タグID、方位範囲、広告提供主ID、広告料金(円/回数)が管理されている。これらを管理する意義は第3の実施形態と同様である。また、タグ管理テーブル2203においては参照回数が管理されている。参照回数は、該当するタグが画面の正面を向くように表示され、ユーザによって閲覧できるようにした回数である。即ち、ユーザのタップ操作によって各タグが順次画面の正面を向くように表示される度に、夫々のタグの参照回数が加算されていく。
【0081】
広告料金算出部2202は、所定の期間毎、又は管理者の操作に応じて、タグ毎或いは広告提供主毎に広告料金を算出する。タグ毎に広告料金を算出する場合、広告料金算出部2202は、タグ管理テーブル2203のレコード毎に広告料金(円/回数)と参照回数とを乗算し、タグIDをキーにして集計する。また、広告提供主毎に広告料金を算出する場合、広告料金算出部1202は、タグ管理テーブル1203のレコード毎に広告料金(円/回数)と参照回数とを乗算し、広告提供主IDをキーにして集計する。
【0082】
上述した実施形態においては、タグ管理サーバが携帯端末の位置及び姿勢に基づいて合成表示させるタグを解析していたが、この解析処理を携帯端末側に実行させるようにしてもよい。即ち、携帯端末側に、上述した表示タグ解析部、タグ表示指示部、タグ管理テーブル及び表示態様管理テーブルを備え、携帯端末が自らの位置及び姿勢に基づいて、合成表示させるタグやその表示サイズを判断すればよい。さらに、携帯端末の位置及び姿勢だけで合成表示させるタグを判定するのではなく、各オブジェクトから携帯端末までの距離に所定の閾値を設け、携帯端末からその閾値より遠い距離のオブジェクトのタグは表示させないようにしてもよい。携帯端末からあまりにも遠い位置にあるオブジェクトのタグは表示させても意味がないので、この閾値を設けることにより不要なタグを振り分けることができる。
【0083】
上述した実施形態においては、説明の分かり易さの便宜上、位置姿勢検知部は方位角を扱っていたが、方位角だけでなく仰角を加えても良い。例えば、地磁気センサーやジャイロセンサーや画像解析等或いはそれら組み合わせによって仰角に関する情報を取得し、位置座標や方位角や仰角によって、タグの表示を制御することができる。これにより、角度によって見え難さが変わる場合を考慮した表示制御が可能になる。
【符号の説明】
【0084】
10、110、210:携帯端末、20、120、220:タグ管理サーバ、101、1101、2101:位置姿勢検知部、102:評価受付部、103、1103、2103:提示部、201、1201、2201:表示タグ解析部、202:タグ表示指示部、203、1203、2203:タグ管理テーブル、204:表示態様管理テーブル、1202、2202:広告料金算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な拡張現実感提示装置を有する情報処理システムであって、
前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する第1の解析手段と、
前記第1の解析手段による解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替える制御手段とを有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の解析手段による解析結果に応じて、前記コンピュータグラフィックス画像データの表示態様を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見た方位範囲毎に評価情報を管理する第1の管理手段と、
前記拡張現実感提示装置において提示される前記コンピュータグラフィックス画像データに対する所定の操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記コンピュータグラフィックス画像データに対する前記所定の操作を受け付けた場合、当該受付時における前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する第2の解析手段と、
前記第2の解析手段による解析結果に応じて、前記第1の管理手段における該当する方位範囲の評価情報を更新する更新手段とを更に有し、
前記制御手段は、前記第1の解析手段による解析結果に対応する前記第1の管理手段における方位範囲の評価情報に従って、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見た方位範囲毎に評価情報を管理する第2の管理手段と、
経路及び進行方向を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された経路及び進行方向に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応するオブジェクトの現実空間の位置から見て有用な方位範囲を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果に応じて、前記第2の管理手段における該当する方位範囲の評価情報を更新する更新手段とを更に有し、
前記制御手段は、前記第1の解析手段による解析結果に対応する前記第2の管理手段における方位範囲の評価情報に従って、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の解析手段による解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データの種類を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記拡張現実感提示装置における所定の操作を受け付けることにより、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データの種類を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記コンピュータグラフィックス画像データの種類毎に、単位期間当たりの料金と提示期間とを管理する第3の管理手段を更に有することを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記コンピュータグラフィックス画像データの種類毎に、単位提示回数当たりの料金と提示回数とを管理する第4の管理手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な拡張現実感提示装置を有する情報処理システムの制御方法であって、
前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢を検知する検知ステップと、
前記検知ステップによる検知結果に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する解析ステップと、
前記解析ステップによる解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替える制御ステップとを含むことを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項10】
現実空間の映像とコンピュータグラフィックス画像データとを合成して提示させることが可能な拡張現実感提示装置を有する情報処理システムの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記拡張現実感提示装置の位置及び姿勢を検知する検知ステップと、
前記検知ステップによる検知結果に基づいて、前記コンピュータグラフィックス画像データに対応する現実空間のオブジェクトの位置から見て前記拡張現実感提示装置がどの方位範囲に属するか解析する解析ステップと、
前記解析ステップによる解析結果に応じて、前記拡張現実感提示装置において提示させる前記コンピュータグラフィックス画像データを切り替える制御ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−118882(P2012−118882A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269635(P2010−269635)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000191076)新日鉄ソリューションズ株式会社 (136)
【Fターム(参考)】