説明

情報処理システムにおける接続装置の制御方法、制御プログラム及び情報処理装置

【課題】複数の共有記憶装置の格納情報が非対称になることを効果的に防止することを目的とする。
【解決手段】第1の接続装置に第1の共有記憶装置との接続を解除させ、第2の接続装置に第2の共有記憶装置との接続を解除させ、第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に第1の共有記憶装置と接続させ第2の接続装置に第2の共有記憶装置と接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理システムにおける接続装置の制御方法、制御プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のクラスタと称される情報処理装置と、そのクラスタから共有される多重化されたメモリ(System Storage Unit、以下単にSSUと称する)とを有する大規模計算機システム(以下マルチクラスタシステムと称する)がある。当該システムにおいて、各クラスタには、SSUと物理的に接続するための接続装置(System Storage eXtender、以下単にSSXと称する)が設けられている。
【0003】
図1はこのようなマルチクラスタシステムの一例の構成を示す。同図に示す如く、当該マルチクラスタシステムは、2台のクラスタ10,20及び、各々が同クラスタ10,20によって共有される2台のSSU51,52を有する。各クラスタ10,20には、同クラスタを制御するために設けられたシステム制御装置(Service Processor,以下単にSVPと称する)12',22'が接続されている。又SVP12'には、操作者(Customer Engineer,以下単にCEと称する)のための操作端末装置としてのコンピュータ(以下コンソールと称する)11が接続されている。各クラスタ10,20には、SSU51,52とそれぞれ接続するためのSSX10−1,10−2,20−1,20−2が設けられている。
【0004】
このようなマルチクラスタシステムにおいて、何らかの理由によりSSX10−1を活性交換する状況を想定する。ここで活性交換とは、交換対象のSSX10−1に接続されたSSU51を停止し当該マルチクラスタシステムの運用を継続した状態で行う当該SSX10−1の交換を意味する(以下同様)。このSSXの活性交換の作業を行う場合につき、図2とともに説明する。
【0005】
CEがコンソール上でSSX10−1の交換を指示する(ステップS1)と、SVP12'がこれに応じ、クラスタ10のSSX10−1にSSU51との間の接続を解除させる(ステップS2,S3)。その状態でCEがクラスタ10を起動させるための操作を行うと(ステップS4),クラスタ10は上記接続が解除されたSSU51以外の接続中のSSU52との間でのみオンライン状態となる(ステップS5乃至S8)。
【0006】
このような状態でクラスタ10からSSUの格納情報の更新がなされると、上記オンライン状態のSSU52の格納情報は更新されるが、上記接続が解除された状態のSSU51の格納情報は更新されない。すなわち当該多重化されたメモリであるSSU51,52の格納情報間の対称性が崩れてしまうという問題点がある。
【0007】
又このような状態で上記オンライン状態の側のSSU52に障害が発生した場合(ステップS9)、クラスタ10は他のSSU51とのオンライン状態に切り替えようとする。ところが上記の如く当該SSU51との接続に係るSSX10−1は当該SSU51との接続を解除している。したがってクラスタ10は当該SSU51とのオンライン状態に切り替えることができない。その結果クラスタ10はSSUの切り替え失敗のエラーによりダウンしてしまうという問題点がある。
【特許文献1】特開昭62−103756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点に鑑み、複数の情報処理装置で複数の共有記憶装置を共有する情報処理システムにおいて、共有記憶装置との接続に係る接続装置の交換の場合に複数の共有記憶装置の間で格納情報の対称性が維持され得る構成を提供することを目的とする。またそのような場合でも共有記憶装置の切り替え失敗によるダウンが生じないような構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
情報処理システムにおける接続装置の制御方法では、第1の接続装置に第1の情報処理装置と第1の共有記憶装置との接続を解除させ、第2の接続装置に第1の情報処理装置と第2の共有記憶装置との接続を解除させる。また第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に第1の情報処理装置を起動させる。また第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させ、第2の接続装置に第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させる。
【0010】
このように、当該情報処理システムにおける接続装置の制御方法によれば、第1の接続装置を交換する際、第1の接続装置に第1の情報処理装置と第1の共有記憶装置との接続を解除させ、第2の接続装置に第1の情報処理装置と第2の共有記憶装置との接続を解除させる。その結果第1の情報処理装置は第1の共有記憶装置及び第2の共有記憶装置のいずれも使用することができず第1の情報処理装置の運用ができない。その結果多重化された第1の共有記憶装置及び第2の共有記憶装置の間で格納情報の非対称状態が発生することが確実に防止される。更に第1の情報処理装置の運用が行われその運用中に共有記憶装置の切り替え失敗によるダウンが生ずるという事態が確実に防止される。
【発明の効果】
【0011】
このように当該情報処理システムにおける接続装置の制御方法によれば、多重化された共有記憶装置の間で格納情報の非対称状態が発生することが確実に防止される。更に当該情報処理システムにおいて共有記憶装置を使用した情報処理装置の運用中に共有記憶装置の切り替え失敗によるダウンが生ずる事態が確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例に係る情報処理システムによれば、SSXの活性交換の作業時、交換対象のSSXを有するクラスタが有する全てのSSXに、その接続に係るSSUとの接続を解除させる。なおこの場合のSSUとの接続の解除は、SSUとの物理的な接続の解除を意味する。なお物理的な接続については以下に図4とともに詳述する。このようにSSUとの物理的な接続が解除された状態を物理的切断状態と称する。
【0014】
このSSUとの物理的切断状態でCEが誤って当該クラスタのOS(Operating System,以下同様)による起動(Initial Program Loading,すなわちIPL、以下同様)の動作を実行させるための操作を行ったとする。この場合でも、上記したように全てのSSUとの接続が解除されており、SSUの初期化の動作を含む当該起動の動作が失敗に終わる。その結果当該クラスタが使用している多重化されたSSU間で格納情報の非対称状態が生ずる事態が確実に回避される。また当該クラスタはこの状態では上記の如く全てのSSUとの接続が解除となっているため運用することができない。したがって当該クラスタの運用がなされその運用中に上記SSUの切り替え失敗によるダウンが生ずる事態が確実に回避される。
【0015】
以下に図3とともに実施例に係る情報処理システムの構成につき詳細に説明する。
【0016】
図3は実施例に係る情報処理システム、いわゆるマルチクラスタシステムの構成を示す。同図に示す如く、当該マルチクラスタシステムは、2台のクラスタ10,20を有する。クラスタ10、20は、SSU51を共有する。またクラスタ10、20は更にSSU52をも共有する。このようなマルチクラスタシステムでは、各クラスタ、例えばクラスタ10は、SSU51,SSU52を多重化されたメモリとして使用する。すなわちSSU51,SSU52のそれぞれの格納情報が常に相互に一致する状態が維持されるように、クラスタ10はSSU51,SSU52に対する情報の書き込み、書き換え等の更新を行う。SSU51,SSU52の格納情報が相互に一致する状態を対称状態と称し、相互に一致しない状態を非対称状態と称する。マルチクラスタシステムではこのように各クラスタ10,20が各々複数のSSU51,52を多重化されたメモリとして使用する。その結果、多重化されたSSU中の一のSSUに障害が生じ格納情報が破壊された場合、他のSSUが有する同一の格納情報を利用し得る。したがって情報の損失という事態を防止し、高信頼性の情報処理システムを実現し得る。
【0017】
各クラスタ10,20は、使用するSSUを接続するためのSSX10−1,10−2,20−1,20−2を有する。クラスタ10では、SSX10−1が、クラスタ10内部のメモリ10−6とSSU51との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行うことで、クラスタ10とSSU51との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行う。同様にSSX10−2が、同メモリ10−6とSSU52との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行うことで、クラスタ10とSSU52との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行う。同様にクラスタ20では、SSX20−1が、クラスタ20内部のメモリ(図示を省略)とSSU51との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行うことで、クラスタ20とSSU51との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行う。同様にSSX20−2が、同メモリとSSU52との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行うことで、クラスタ20とSSU52との間の物理的な接続を行い或いはその接続の解除を行う。
【0018】
各クラスタ、例えばクラスタ10は、CPU10−5及びメモリ10−6を有する。メモリ10−6にはOS10−10が格納されている。CPU10−5はOS10−10の制御下、CEの要求等に応じ、適宜メモリ10−6を使用して当該クラスタ10の動作を制御し、或いは各種演算処理を行う。又各クラスタ、例えばクラスタ10は、SSX10−1,10−2によるSSU51,52との物理的な接続を行わせ或いはその解除を行わせるための値を設定するレジスタ(以下メンテナンスレジスタと称する)10−7を有する。
【0019】
各クラスタ、例えばクラスタ10は、後述するSVP12からの制御情報を受信するSCI(System Control Interface,以下同様)10−8を有する。当該制御情報はSVP12が当該クラスタ10の動作を外部から制御するための情報である。当該制御情報には、例えば上記メンテナンスレジスタ10−7の設定値を設定するための情報が含まれる。
【0020】
又各クラスタ10,20には、同クラスタ10,20をそれぞれ制御するためのSVP12,22が接続されている。又これらSVP12,22,例えばSVP12には、CEのための操作端末装置(或いは表示装置)としてのコンソール11が接続されている。
【0021】
各SVP12,22,例えばSVP12はCPU12−1及びメモリ12−2を有する。CPU12−1は適宜メモリ12−2を利用して当該SVPの動作を制御する。メモリ12−2にはファームウェア12−5(すなわち制御プログラム)が格納されている。CPU12−1はファームウェア12−5を実行することによりクラスタ10を制御する動作を行う。
【0022】
又各SVP、例えばSVP12は、SCIA(System Control Interface Adapter、以下同様)12−3を有する。SCIA12−3は、上記クラスタ10に設けられたSCI10−8と接続され、SVP12がクラスタ10の動作を制御するための制御情報をクラスタ10へ伝達するためのインタフェースを提供する。
【0023】
次に図4とともに、上記物理的な接続及び切断並びにオンライン及びオフラインの各用語の意味につき説明する。
【0024】
まず物理的な切断及び接続につき説明する。ここでクラスタ、例えば上記クラスタ10は、上記の如く、メンテナンスレジスタ10−7を有する。メンテナンスレジスタ10−7は当該クラスタ10が有する2個のSSX10−1,10−2のそれぞれに対し設けられている。例えばSSX10−1用のメンテナンスレジスタ10−7に"1"が設定されると、当該SSX10−1は、クラスタ10が有するメモリ10−6とSSU51との間の物理的な接続を解除する。具体的には、例えばSSX10−1は双方向のゲート回路を有し、メンテナンスレジスタ10−7がその制御端子に接続される。そしてメンテナンスレジスタ10−7の設定値が"1"の場合、当該ゲート回路はその入出力端子間での信号の伝達が阻止される構成とされる。その結果クラスタ10のメモリ10−6とSSU51との間で信号の伝達がなされ得なくなる。このような状態を、クラスタ10のメモリ10−6とSSU51との間の物理的な接続(或いはクラスタ10とSSU51との間の物理的な接続)が解除された状態と称する(以下同様)。或いはこのような状態を、クラスタ10のメモリ10−6とSSU51との間の物理的切断状態(或いはクラスタ10とSSU51との間の物理的切断状態)と称する(以下同様)。
【0025】
他方SSX10−1用のメンテナンスレジスタ10−7に"0"が設定されると、当該SSX10−1は、クラスタ10が有するメモリ10−6とSSU51との間の物理的な接続を解除する。すなわち前記ゲート回路ではその入出力端子間での信号の伝達が可能とされ、クラスタ10のメモリ10−6とSSU51との間で信号の伝達が可能となる。このような状態を、クラスタ10のメモリ10−6とSSU51との間が物理的に接続された状態(或いはクラスタ10とSSU51との間が物理的に接続された状態)と称する(以下同様)。或いはこのような状態を、クラスタ10のメモリ10−6とSSU51との間の物理的接続状態(或いはクラスタ10とSSU51との間の物理的接続状態)という(以下同様)。
【0026】
次にオンライン状態及びオフライン状態につき説明する。クラスタ、例えばクラスタ10において、SSU、例えばSSU51がオンライン状態かオフライン状態かは、クラスタ10のOS10−10が有する内部情報で表される。より具体的には、例えば上記OS10−10はその管理下にSSU毎にレジスタ(以下オンラインレジスタと称する)を有し、上記オンライン状態かオフライン状態かは当該オンラインレジスタの設定値で表される。例えばSSU51のオンラインレジスタに"1"が設定された場合、OS10−10は現在のSSU51の状態をオンライン状態と認識し、"0"が設定された場合、OS10−10は現在のSSU51の状態をオフライン状態と認識する。なおオンライン状態を論理的接続状態とも称し、オフライン状態を論理的非接続状態とも称する。
【0027】
以上クラスタ10とSSU51との間の関係を例に挙げて説明してきたが、クラスタ10とSSU52との関係、クラスタ20とSSU51との関係、及びクラスタ20とSSU52との関係の各々についても同様である。
【0028】
またクラスタ10におけるSSU51,52との間のオンライン状態は、当該SSU51,52との間の物理的な接続が前提とされている。したがってSSU51,52との間の物理的な接続が解除されていた場合、当該SSU51,52との間がオンライン状態にはなり得ない。具体的にはSVP12のファームウェア12−5がSSU51或いは52について上記オンラインレジスタの設定値をオンライン状態を示す値に設定しようとする場合、まず当該SSU51或いは52との間の物理的な接続を判断する。この判断は、例えば上記メンテナンスレジスタ10−7の設定値を参照することにより可能である。当該判断の結果当該SSU51或いは52との間の物理的な接続がなされていればファームウェア12−5は該当するオンラインレジスタをオンライン状態に設定する。他方、当該判断の結果当該SSU51或いは52との間の物理的な接続が解除されていればファームウェア12−5は該当するオンラインレジスタをオンライン状態に設定することができない。
【0029】
このマルチクラスタシステムにおいて、何らかの理由によりSSX10−1を活性交換する状況を想定する。このSSXの活性交換の作業を行う場合につき、図5とともに説明する。なお以下の説明において上記SVP12のCPU12−1が上記ファームウェア12−5を実行することにより行う動作について述べる場合、説明の便宜上当該ファームウェア12−1自体が当該動作を行うものとして述べる。
【0030】
CEがコンソール11上で、SSX10−1の活性交換を開始するためのコマンドを入力する操作を行う(ステップS21)。当該コマンドを受けたSVP12の上記ファームウェア12−5は、前記活性交換開始のコマンドに係るSSX10−1につき上記メンテナンスレジスタ10−7の設定を"1"、すなわちオンとする(ステップS22)。又ファームウェア12−5は更に、当該活性交換開始のコマンドに係るSSX10−1以外の当該クラスタ10が有するSSX(本実施例の場合SSX10−2)についてもメンテナンスレジスタ10−7の設定を"1"、すなわちオンとする(ステップS22)。
【0031】
このようにクラスタ10のSSX10−1、10−2につきメンテナンスレジスタ10−7の設定がオンとされたことに応じ、各SSX10−1,10−2は、それぞれが物理的な接続を行っているSSU51,52との間の当該物理的な接続を解除する(ステップS23)。
【0032】
次にこの状態でCEがクラスタ10を起動(すなわちIPL)するための操作を行った(ステップS24)場合を想定する。この場合、SVP12のファームウェア12−5は、各SSU51,52との間をオンライン状態とすべく、まず当該SSU51,52との物理的な接続の有無を判断する(ステップS25)。ここで上記の如くステップS23にてSSX10−1、10−2は、それぞれ対応するSSU51,52との間の物理的な接続を解除している。したがってファームウェア12−5はSSU51,52との物理的な接続がなされていないと判断する。その結果ファームウェア12−5はSSU51,52との間をオンライン状態とすることができない。
【0033】
次にファームウェア12−5はクラスタ10のOS10−10に、クラスタ10を起動させるための動作を行う(ステップS26)。ここで上記クラスタ10のOS10−10による起動の動作はSSUの初期化の動作を含み、SSUの初期化が正常に行われないとクラスタの起動の動作は失敗となる。したがってクラスタ10の起動の動作が正常になされるためには、そのSSU51或いは52がクラスタ10に物理的に接続され且つ論理的に接続(すなわちオンライン状態に)されていることが必須となる。ここで上記の如く、クラスタ10が有するSSU51,52との物理的な接続は解除となっておりオンライン状態とすることができない。このため、クラスタ10に物理的に接続され且つ論理的に接続されているSSUは存在しない。その結果OS10−10はSSUの初期化の動作を行い得ないためクラスタ10の起動を正常に行うことができず、クラスタ10の起動が失敗する(ステップS27)。この場合、SVP12のファームウェア12−5を介し、当該起動の失敗の通知、すなわちエラーの旨がコンソール11の画面に表示される。CEは当該コンソール11上の表示を見ることによりクラスタ10の起動の失敗を認識し得る。
【0034】
次にこの状態でCEは実際にSSX10−1を交換する作業を実行する(ステップS28)。ここでSSX10−1は例えばプリント基板(或いはボード、以下同様)の形態を有する。このため上記交換の作業では、現在クラスタ10のスロットに挿入された状態の交換対象のSSX10−1のプリント基板を引き抜き、これとは別の、新たなSSX10−1としてのプリント基板を同スロットに挿入する。
【0035】
同交換の作業が終了すると、CEはコンソール11上で、SSX10−1の交換が終了した旨のコマンドを入力する操作を行う(ステップS29)。同操作に応じ、SVP12のファームウェア12−5は、SSX10−1,10−2の両方につき、メンテナンスレジスタ10−7の設定を"0"、すなわちオフとする(ステップS30)。メンテナンスレジスタ10−7の設定がオフとされたことに応じ、対応するSSX10−1,10−2は、それぞれ対応するSSU51,52との間の物理的な接続を行う(S31)。
【0036】
この状態でCEがコンソール11上で、上記したステップS24の場合と同様の、クラスタ10を起動するための操作を行う(ステップS32)。この場合も上記したステップS25の場合と同様に、SVP12のファームウェア12−5は、各SSU51,52との間をオンライン状態とするための動作を実行する。すなわち、ファームウェア12−5はまず当該SSU51,52との間の物理的な接続の有無を判断する(ステップS33)。ここで上記の如くステップS31にてSSX10−1、10−2は、それぞれ対応するSSU51,52との間の物理的な接続を行っている。したがってファームウェア12−5はSSU51,52はSSU51,52がそれぞれ物理的に接続されていると判断し、SSU51,52との間をオンライン状態にする(ステップS35)。その結果SSU51,52は各々がクラスタ10に物理的に接続され且つ論理的に接続された状態となる。
【0037】
次にファームウェア12−5はクラスタ10のOS10−10に、クラスタ10を起動する動作を実施させる(ステップS34)。上記の如くSSU51,52は各々クラスタ10に物理的に接続され且つ論理的に接続されているため、OS10−10はSSUの初期化の動作を行い得る。その結果OS10−10はクラスタ10の起動を完了し得る。このようにしてクラスタ10の起動が完了した後、クラスタ10の通常の運用が開始される(ステップS36)。
【0038】
このように実施例に係るSVP12は、CEから、クラスタ10が使用するSSU51,52を接続するSSX10−1、10−2のうちの一のもの(図5の例ではSSU10−1)を交換する旨のコマンドが入力された場合、以下の動作を行う。すなわちSVP12のファームウェア12−5は、クラスタ10において各SSU51,52を接続している全てのSSX10−1,10−2にSSU51,52との物理的な接続を解除させる。その結果、上記の如く、たとえこの状態でクラスタ10の起動が実行された場合であっても失敗し、起動され得ない。その結果、前記交換対象のSSX10−1以外のSSX10−2が接続するSSU52のみを接続した状態でクラスタ10が起動されることが防止される。したがってこのような状態でクラスタ10が起動され、当該接続に係るSSU52についてのみ格納情報が更新され上記非対称状態が生ずる事態が回避される。またSSU52のみが接続された状態でクラスタ10が運用され運用中の当該SSU52の障害発生によるSSUの切り替え失敗によるクラスタ10のダウンが回避される。
【0039】
以上情報処理装置としての2台のクラスタ10,20、それらに共有される共有記憶装置としての2台のSSU51,52を有する情報処理システムとしてのマルチクラスタシステムにつき説明してきた。しかしながらこのようなシステムに限定される必要はない。変形例として、情報処理装置としての3台以上のクラスタ、それらに共有される共有記憶装置としての3台以上のSSUを有する情報処理システムとしてのマルチクラスタシステムの実施も可能である。その場合、各クラスタにおいては、共有するSSUのそれぞれを接続するSSXが設けられ、そのうちの一台のSSXの交換の際、当該クラスタのSVPのファームウェアは交換対象のSSX以外のSSXを含む全てのSSXにSSUとの接続を解除させる。そして当該交換終了後は、同ファームウェアは、上記全てのSSXにSSUとの接続を行わせる。その結果前記交換作業中は当該クラスタを起動し得ず、交換対象のSSXに係るSSU以外のSSUのみが接続された状態での当該クラスタの運用が防止される。その結果多重化された複数のSSU間で格納情報の非対称状態が生ずることが確実に防止され得る。また、交換対象のSSXに係るSSU以外のSSUのみが接続された状態での当該クラスタの運用中に当該接続に係るSSUの障害によるSSUの切り替え失敗に起因するクラスタのダウンが防止される。このように当該変形例においても上記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0040】
以上の実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1及び第2の接続装置と第1のシステム制御装置とを有する第1の情報処理装置と、第3及び第4の接続装置と第2のシステム制御装置とを有する第2の情報処理装置と、前記第1及び第3の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第1の共有記憶装置と、前記第2及び第4の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第2の共有記憶装置とを有することを特徴とする情報処理システムにおける接続装置の制御方法において、
前記第1のシステム制御装置が、前記第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に、前記第1の情報処理装置を起動させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させるステップとを有することを特徴とする制御方法。
(付記2)
前記第1のシステム制御装置は更に表示装置を有し、前記第1の情報処理装置を起動させるステップにおいて、前記第1の情報処理装置が起動しない場合には、エラーを前記表示装置に出力することを特徴とする付記1記載の制御方法。
(付記3)
前記第1のシステム制御装置は、前記第1の接続装置の交換に係る指示を受け、前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させるステップと前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させるステップとを実行することを特徴とする付記1に記載の制御方法。
(付記4)
前記第1のシステム制御装置が前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させるステップは、前記第1のシステム制御装置が前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との物理的な接続を解除させるステップを有し、
前記第1のシステム制御装置が前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させるステップは、前記第1のシステム制御装置が前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との物理的な接続を解除させるステップを有し、
前記第1のシステム制御装置が前記第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させるステップは、前記第1のシステム制御装置が前記他の第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを物理的に接続させるステップを有し、
前記第1のシステム制御装置が前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させるステップは、前記第1のシステム制御装置が前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを物理的に接続させるステップを有し、
前記第1のシステム制御装置が前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に前記第1の情報処理装置を起動させるステップの前に、前記第1のシステム制御装置が前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを論理的に接続させるステップと、前記第1のシステム制御装置が前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを論理的に接続させるステップとを更に有する付記1に記載の制御方法。
(付記5)
第1及び第2の接続装置と第1のシステム制御装置とを有する第1の情報処理装置と、第3及び第4の接続装置と第2のシステム制御装置とを有する第2の情報処理装置と、前記第1及び第3の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第1の共有記憶装置と、前記第2及び第4の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第2の共有記憶装置とを有することを特徴とする情報処理システムにおいて前記第1のシステム制御装置の動作を制御するコンピュータを動作させるための制御プログラムであって、
前記第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させる手段と、
前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させる手段と、
前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に、前記第1の情報処理装置を起動させる手段と、
前記第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させる手段と、
前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させる手段としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
(付記6)
前記第1のシステム制御装置は更に表示装置を有し、前記情報処理装置制御部に前記第1の情報処理装置を起動させる手段によっても前記第1の情報処理装置が起動しない場合にエラーを前記表示装置に出力する手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする付記5記載の制御プログラム。
(付記7)
前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させる手段及び前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させる手段は、前記第1の接続装置の交換に係る指示を受け、前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させ、前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させることを特徴とする付記5に記載の制御プログラム。
(付記8)
前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させる手段は、前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との物理的な接続を解除させ、
前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させる手段は、前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との物理的な接続を解除させ、
前記第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させる手段は、前記他の第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを物理的に接続させ、
前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させる手段は、前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを物理的に接続させ、
前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に前記第1の情報処理装置を起動させる手段が前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に前記第1の情報処理装置を起動させる前に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを論理的に接続させ、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを論理的に接続させることを特徴とする付記5に記載の制御プログラム。
(付記9)
付記5乃至8のうちの何れか一項に記載の制御プログラムがインストールされ、当該制御プログラムによってその動作が制御される前記第1のシステム制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の問題点を説明するための図(その1)である。
【図2】従来の問題点を説明するための図(その2)である。
【図3】実施例による情報処理システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図4】物理的接続状態及び物理的切断状態を説明するためのブロック図である。
【図5】実施例による情報処理システムにおける動作の流れを説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0042】
10,20 クラスタ(情報処理装置)
10−1,10−2,20−1,20−2 SSX(第1及び第2の接続装置、或いは他の第1の接続装置)
10−7 メンテナンスレジスタ
10−10 OS(情報処理装置制御部)
11 コンソール(表示装置)
12,22 SVP(システム制御装置)
12−5 ファームウェア(制御プログラム)
51,52 SSU(共有記憶装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の接続装置と第1のシステム制御装置とを有する第1の情報処理装置と、第3及び第4の接続装置と第2のシステム制御装置とを有する第2の情報処理装置と、前記第1及び第3の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第1の共有記憶装置と、前記第2及び第4の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第2の共有記憶装置とを有することを特徴とする情報処理システムにおける接続装置の制御方法において、
前記第1のシステム制御装置が、前記第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に、前記第1の情報処理装置を起動させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させるステップと、
前記第1のシステム制御装置が、前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させるステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記第1のシステム制御装置は更に表示装置を有し、前記第1の情報処理装置を起動させるステップにおいて、前記第1の情報処理装置が起動しない場合には、エラーを前記表示装置に出力することを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記第1のシステム制御装置は、前記第1の接続装置の交換に係る指示を受け、前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させるステップと前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させるステップとを実行することを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
第1及び第2の接続装置と第1のシステム制御装置とを有する第1の情報処理装置と、第3及び第4の接続装置と第2のシステム制御装置とを有する第2の情報処理装置と、前記第1及び第3の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第1の共有記憶装置と、前記第2及び第4の接続装置を介して、前記第1及び第2の情報処理装置を接続する第2の共有記憶装置とを有することを特徴とする情報処理システムにおいて前記第1のシステム制御装置の動作を制御するコンピュータを動作させるための制御プログラムであって、
前記第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させる手段と、
前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させる手段と、
前記第1の情報処理装置を制御する情報処理装置制御部に、前記第1の情報処理装置を起動させる手段と、
前記第1の接続装置とは異なる交換された他の第1の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置とを接続させる手段と、
前記第2の接続装置に、前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置とを接続させる手段としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項5】
前記第1のシステム制御装置は更に表示装置を有し、前記情報処理装置制御部に前記第1の情報処理装置を起動させる手段によっても前記第1の情報処理装置が起動しない場合にエラーを前記表示装置に出力する手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項4記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させる手段及び前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させる手段は、前記第1の接続装置の交換に係る指示を受け、前記第1の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第1の共有記憶装置との接続を解除させ、前記第2の接続装置に前記第1の情報処理装置と前記第2の共有記憶装置との接続を解除させることを特徴とする請求項4に記載の制御プログラム。
【請求項7】
請求項4乃至6のうちの何れか一項に記載の制御プログラムがインストールされ、当該制御プログラムによってその動作が制御される前記第1のシステム制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−288987(P2009−288987A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140118(P2008−140118)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】