説明

情報処理システム及び情報処理プログラム

【課題】サービスの実行に必要なエンティティに対する識別子の割り振りを効率的に実施できるようにした情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムのカテゴリー識別子受付手段は、カテゴリー識別子を受け付け、サブスペース記憶手段は、サブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶し、エンティティ識別子発行手段は、サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行し、共通識別子生成手段は、サブスペース識別子とカテゴリー識別子とエンティティ識別子とを合成して、共通識別子を生成し、エンティティ記憶手段は、共通識別子の発行を要求し、共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティとを対応させて記憶し、サービス提供手段は、指定された共通識別子に応じて、エンティティを実行することによってサービスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子的なサービスを提供するためには、様々な管理対象を体系的に管理し、それらに対する処理を適切に実行する必要がある。
そのために、電子的なサービスを提供する際のユーザー管理については、いくつかの方法が提案されている。例えば、IDフェデレーション技術を使用すれば、1人のユーザーが複数のサービスを利用できる環境を提供することが可能である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術は、このIDフェデレーションの基本的な方式に関するものである。すなわち、特許文献1には、サービス提供サイトでのユーザー認証をユーザーID/パスワード(認証情報)により行う場合、認証情報はサービス提供サイトごとに管理されているため、ユーザーはサービス提供サイトごとの認証情報を記憶する必要があり、また、ユーザーが認証情報を忘れた場合、サービス提供サイトへのアクセス中止や認証情報再入手手続きなど、サービス提供サイトでの運用コスト負担も問題となることを課題とし、ユーザー認証管理サイトを設け、各サービス提供サイトで管理しているユーザー認証情報を統合管理することで、ユーザーは一つの認証情報により常にサービス提供サイトへアクセスできるようにすることが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2に記載の技術は、登録した個人情報を他のサービスと共有するための機構に関するものである。すなわち、特許文献2には、利用者が各種サービス機関のサービス提供を受けようとする際に必要となる個人情報の管理を効率化し、利用者の利便性を向上することを課題とし、情報管理機関が各種サービス機関との間及び利用者との間に個人情報授受の契約を締結し、前記利用者の個人情報を一括管理するとともに、前記利用者が前記サービス機関のサービス提供を受ける際に必要に応じて前記サービス機関に対して個人情報を提供することが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3に記載の技術は、コンビニエンスストア等において、ユーザー認証後に画像データをサーバーへ送信する機能が提供されている。すなわち、特許文献3には、ネットワーク接続可能な画像処理装置をコンビニエンスストア等の店舗に設置して、カメラ付き携帯電話等に記録した画像データを容易かつ信頼性の高い方法で保管することを課題とし、画像処理装置は、印刷装置を有する画像処理ユニット、該画像処理ユニットに接続された情報処理ユニットからなり、サーバー装置とネットワークを介して接続され、前記情報処理ユニットは、ユーザーのID情報、指紋データ、顔写真データを含む会員登録情報を記憶した記憶装置、認証手段、アップロード手段を有し、ユーザーから指紋が入力された場合に該指紋データと、記憶装置の指紋データとを照合し、両者が一致した場合に前記指紋データに応じたID情報及び顔写真データを記憶装置から抽出して画面上に表示し、前記ユーザーのカメラ付き携帯電話等の機器に記録された画像データを前記サーバー装置のあらかじめ決められた保管領域にアップロードすることが開示されている。
【0006】
また、一般に文書データベースに文書を保存する場合や通常のOSのファイルシステムにおいてファイルにIDを付与することは、広く知られている一般的な手法である。
【特許文献1】特開2004−078622号公報
【特許文献2】特開2001−344379号公報
【特許文献3】特開2005−020582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実際に電子的なサービスを提供する場合には、ユーザーや文書だけでなく、サービス機能、契約、プリンタ、スキャナ、ユーザークライアント、サーバー等々様々な対象を管理する必要がある。さらに、場合によってはユーザーや文書も1種類ではなく、多くの種類となる可能性がある。例えば、自社で管理しているユーザーと顧客企業で管理しているユーザー、スキャン文書や加工済み文書等々である。
また、サービスの提供が多方面にわたり大規模になる場合には、サービスを提供するシステムが分散化することは避けられず、これら分散サブシステムが自律的に動作するように構成する必要がある。
このように大規模で、分散化し、自律的に動作するシステム上で種類の異なる複雑な管理対象であるエンティティを組み合わせてサービスを提供する際には、管理対象に識別子を割り振り、識別子のユニーク性を保証し、効率的に識別子付与対象を保管・検索することは、このようなシステムで実現するサービスの基本となるものである。
【0008】
そこで、本発明は、多種類のエンティティを管理する分散化したシステムにあって、サービスの実行に必要なエンティティに対する識別子の割り振りを効率的に実施できるようにした情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[請求項1] カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティとを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
指定された共通識別子に応じて、前記エンティティ記憶手段によって記憶されているエンティティを実行することによってサービスを提供するサービス提供手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【0010】
[請求項2] カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティである基本サービスを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスの組合せをサービスとして記憶するエンティティ組合せ記憶手段と、
指定されたサービスに応じて、前記エンティティ組合せ記憶手段に記憶されているサービスを構成する前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスを実行する基本サービス実行手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【0011】
[請求項3] 前記基本サービス実行手段によって実行可能な基本サービスの条件を検証する実行条件検証手段
をさらに具備し、
前記基本サービス実行手段は、前記実行条件検証手段によって実行可能であると検証された場合に、基本サービスを実行すること
を特徴とする[請求項2]に記載の情報処理システム。
【0012】
[請求項4] コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティとを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
指定された共通識別子に応じて、前記エンティティ記憶手段によって記憶されているエンティティを実行することによってサービスを提供するサービス提供手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0013】
[請求項5] コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティである基本サービスを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスの組合せをサービスとして記憶するエンティティ組合せ記憶手段と、
指定されたサービスに応じて、前記エンティティ組合せ記憶手段に記憶されているサービスを構成する前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスを実行する基本サービス実行手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0014】
[請求項6] 前記コンピュータを、
前記基本サービス実行手段によって実行可能な基本サービスの条件を検証する実行条件検証手段
としてさらに機能させ、
前記基本サービス実行手段は、前記実行条件検証手段によって実行可能であると検証された場合に、基本サービスを実行すること
を特徴とする[請求項5]に記載の情報処理プログラム。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の情報処理システムによれば、多種類のエンティティを管理する分散化したシステムにあって、本構成を有していない場合に比較して、サービスの実行に必要なエンティティに対する識別子の割り振りをより効率的に実施できる。
【0016】
請求項2に記載の情報処理システムによれば、多種類のエンティティを管理する分散化したシステムにあって、本構成を有していない場合に比較して、サービスの実行に必要な基本サービスに対する識別子の割り振りをより効率的に実施でき、その基本サービスの組合せであるサービスをより容易に定義することができるようになる。
【0017】
請求項3に記載の情報処理システムによれば、本構成を有していない場合に比較して、基本サービスの組合せごとに制限を課すことができ、より柔軟なサービス制御を行うことができるようになる。
【0018】
請求項4に記載の情報処理プログラムによれば、多種類のエンティティを管理する分散化したシステムにあって、本構成を有していない場合に比較して、サービスの実行に必要なエンティティに対する識別子の割り振りをより効率的に実施できる。
【0019】
請求項5に記載の情報処理プログラムによれば、多種類のエンティティを管理する分散化したシステムにあって、本構成を有していない場合に比較して、サービスの実行に必要な基本サービスに対する識別子の割り振りをより効率的に実施でき、その基本サービスの組合せであるサービスをより容易に定義することができるようになる。
【0020】
請求項6に記載の情報処理プログラムによれば、本構成を有していない場合に比較して、基本サービスの組合せごとに制限を課すことができ、より柔軟なサービス制御を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態を説明する。
本実施の形態は、複数の単純サービスを連携して複合的なサービスを提供するためのものである。つまり、個別の小さなサービス機能(以下、プリミティブサービスと呼ぶ)を組み合わせて、全体で一つの大きなサービス(以下、連携サービスと呼ぶ)を提供する際に、柔軟でかつセキュリティレベルの高い連携サービスを提供するために、プリミティブサービスを起動可能なサーバーをグループ単位で制限するものである。
【0022】
(サービスID管理装置の全体構成)
図1、図2は、本発明の一実施の形態の概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはプログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続を含む。
また、システムとは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。
以下、利用者として、法人、個人であるユーザー(管理者等を含む)を主に例示して説明する。そして、説明上の記載を簡便にするために、ユーザー等が主体となって動作するように記載する場合もあるが、これはそのユーザー等による操作に応じて、システムが動作するものである。
【0023】
図1は、本実施の形態のサービスID(IDentification、識別子)管理装置の中核となる共通ID発行モジュール6内の概念的なモジュール構成図である。
サービスID管理装置は、全体が複数の機能単位(サービス提供モジュール14の共通ID発行モジュール6内のサブスペースID2に対応する機能)により構成されている。この機能単位のことを、サブスペースと呼ぶ。ID管理の視点から見ると、サブスペースは装置全体のID空間を複数の排他的な部分空間に分割したものである。そして、このサブスペースごとに一意のID(サブスペースID)が管理者によって割り振られている。
また、従来からあるシステムも共通IDによる論理空間内に包含できるように、このサブスペースをそのシステムに割り振られるようにしてもよい。
【0024】
また、本サービスID管理装置は、IDによって同定する対象を管理する装置である。この管理する対象に関する情報(管理する対象が情報そのものである場合には情報そのもの)をエンティティと呼ぶ。具体的には、本実施の形態では、プリミティブ(基本)サービスを実行するスクリプト(script、プログラム)等が含まれ、プリミティブサービスを組み合わせた連携サービスを実行するスクリプト等を含んでもよい。エンティティの種類をカテゴリーと呼ぶ。カテゴリーには、管理者によって一意に識別できるID(カテゴリーID)が割り振られている。また、カテゴリーIDは、複数の種類(体系、論理的な空間、論理的な領域、対象とする世界、提供するサービス等)を一括に扱うためのものである。
エンティティは、一意に識別できるID(エンティティID)がエンティティID発行モジュール4によって割り振られる。
【0025】
そして、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDを含めた全ID空間内におけるエンティティを一意に同定するためのIDを共通IDと呼ぶ。
なお、サブスペースID、カテゴリーIDは、管理者によって割り振られるとしたが、本サービスID管理装置が一定のアルゴリズム(例えば、発生順に順次番号を割り振る等)によって割り振るようにしてもよい。
【0026】
共通ID発行モジュール6は、共通ID発行受付モジュール1、サブスペースID2、共通ID生成モジュール3、エンティティID発行モジュール4、発行済エンティティID管理DB5を有している。そして、サブスペースごとに共通ID発行モジュール6がある。
共通ID発行受付モジュール1は、図1に示すように、共通ID生成モジュール3と接続されており、共通ID発行モジュール6の外部からカテゴリーIDとともに共通IDの発行要求を受け付け、共通ID発行の処理を開始する。
エンティティID発行モジュール4は、図1に示すように、共通ID生成モジュール3、発行済エンティティID管理DB5と接続されており、サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティIDを発行する。
発行済エンティティID管理DB5は、図1に示すように、エンティティID発行モジュール4と接続されており、エンティティIDの一意性を保証するための記録を記憶する。
サブスペースID2は、図1に示すように、共通ID生成モジュール3と接続されており、サブスペースを一意に特定するサブスペースIDである。サブスペースID2は、メモリ等の記憶装置に記憶されている。
共通ID生成モジュール3は、図1に示すように、共通ID発行受付モジュール1、サブスペースID2、エンティティID発行モジュール4と接続されており、サブスペースID2から取り出したサブスペースID、共通ID発行受付モジュール1によって受け付けられたカテゴリーID、エンティティID発行モジュール4によって発行されたエンティティIDを合成して共通IDを生成する。
【0027】
図2は、サービスID管理装置の構成を示すモジュール構成図である。
図2に示したサービスID管理装置は、サービス提供モジュール14、エンティティ配信モジュール20、サービス連携管理モジュール25を有している。これらは、通信回線等であるチャネル26によって互いに接続されている。なお、サービス提供モジュール14は複数あってもよいし、エンティティ配信モジュール20、サービス連携管理モジュール25も複数あってもよい。また、サービス提供モジュール14、エンティティ配信モジュール20、サービス連携管理モジュール25は、それぞれサーバーとして実現してもよく、その場合、独立して構成しているが、例えばエンティティ配信モジュール20とサービス連携管理モジュール25とを組み合わせて1つのサーバーとしてもよく、その組合せは任意である。
【0028】
サービス提供モジュール14は、図2に示すように、図1のモジュール構成図で示した共通ID発行モジュール6、共通ID発行要求モジュール7、エンティティ生成モジュール8、連携サービス実行モジュール9、エンティティ管理モジュール10、実行条件検証モジュール11、プリミティブサービス実行モジュール12、エンティティ保管DB13を有している。
共通ID発行要求モジュール7は、図2に示すように、共通ID発行モジュール6、エンティティ生成モジュール8と接続されており、カテゴリーIDを指定して共通ID発行モジュール6へ共通IDの発行を要求し、共通ID発行モジュール6から共通IDを受け取る。そして、その共通IDをエンティティ生成モジュール8へ渡す。
エンティティ生成モジュール8は、図2に示すように、共通ID発行要求モジュール7、連携サービス実行モジュール9、エンティティ管理モジュール10と接続されており、共通ID発行モジュール6が発行した共通IDを共通ID発行要求モジュール7より受け取り、その共通IDに対して管理対象となるエンティティを生成する。生成したエンティティをエンティティ管理モジュール10を介して、エンティティ保管DB13に保管する。また、連携サービス実行モジュール9によるサービス実行時にエンティティ生成の指示を受け、エンティティを生成する。
【0029】
連携サービス実行モジュール9は、図2に示すように、エンティティ生成モジュール8、エンティティ管理モジュール10、プリミティブサービス実行モジュール12と接続されており、連携サービスを実行する。その際に、プリミティブサービス実行モジュール12に対して、連携サービスを構成するプリミティブサービスを実行させる指示を行い、連携サービスに必要なエンティティをエンティティ管理モジュール10に対して要求し、また、連携サービス実行時に生成が必要となったエンティティをエンティティ生成モジュール8に対して指示する。
エンティティ管理モジュール10は、図2に示すように、エンティティ生成モジュール8、連携サービス実行モジュール9、エンティティ保管DB13と接続されており、エンティティ生成モジュール8により生成されたエンティティをエンティティ保管DB13に保管させ、連携サービス実行モジュール9からの要求に応じて、エンティティ保管DB13から要求されたエンティティを読み出して連携サービス実行モジュール9に渡す等を行ってエンティティ保管DB13を管理する。
実行条件検証モジュール11は、図2に示すように、プリミティブサービス実行モジュール12と接続されており、プリミティブサービス実行モジュール12が実行するプリミティブサービスの実行条件をチェックする。
プリミティブサービス実行モジュール12は、図2に示すように、連携サービス実行モジュール9、実行条件検証モジュール11と接続されており、連携サービス実行モジュール9からの指示に基づいて、プリミティブサービスを実行する。その実行の際に、実行条件検証モジュール11によるチェックを受け、実行可能であると判断された場合に実行する。
エンティティ保管DB13は、図2に示すように、エンティティ管理モジュール10と接続されており、エンティティ生成モジュール8によって生成されたエンティティをエンティティ管理モジュール10を介して保管する。
【0030】
エンティティ配信モジュール20は、図2に示すように、エンティティ配信先管理モジュール16、エンティティ配信先DB17、エンティティグループ管理モジュール18、エンティティグループDB19を有している。
エンティティ配信先管理モジュール16は、図2に示すように、エンティティ配信先DB17と接続されており、エンティティ配信先DB17にアクセスし、エンティティの持つサブスペース及びカテゴリーごとの配信先情報を管理する。
エンティティ配信先DB17は、図2に示すように、エンティティ配信先管理モジュール16と接続されており、エンティティの持つサブスペース及びカテゴリーごとの配信先情報を記憶している。
エンティティグループ管理モジュール18は、図2に示すように、エンティティグループDB19と接続されており、エンティティグループDB19にアクセスし、エンティティのグループ情報を管理する。
エンティティグループDB19は、図2に示すように、エンティティグループ管理モジュール18と接続されており、エンティティのグループ情報を記憶している。
【0031】
サービス連携管理モジュール25は、図2に示すように、プリミティブサービス配信モジュール21、プリミティブサービス保管DB22、サービス連携スクリプト配信モジュール23、サービス連携スクリプト保管DB24を有している。
プリミティブサービス配信モジュール21は、図2に示すように、プリミティブサービス保管DB22と接続されており、プリミティブサービス保管DB22にアクセスし、必要に応じてプリミティブサービスを実行するためのスクリプトを各サブスペース(サービス提供モジュール14)へ配信する。
プリミティブサービス保管DB22は、図2に示すように、プリミティブサービス配信モジュール21と接続されており、プリミティブサービスを実行するためのスクリプトを記憶している。
サービス連携スクリプト配信モジュール23は、図2に示すように、サービス連携スクリプト保管DB24と接続されており、サービス連携スクリプト保管DB24にアクセスし、必要に応じて連携サービスを実行するためのスクリプトを各サブスペース(サービス提供モジュール14)へ配信する。
サービス連携スクリプト保管DB24は、図2に示すように、サービス連携スクリプト配信モジュール23と接続されており、プリミティブサービスの組合せによって連携サービスを表現するサービス連携スクリプトを記憶している。
【0032】
図3は、連携サービス提供装置を具体的に実現した場合の設置例を表した図である。
例えば、オフィス等には、複合機(多機能複写機とも呼ばれ、スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等の機能を有している、以下、MFP(Multi Function Peripherals)ともいう)等の機器やパーソナルコンピュータ等(サービス提供モジュール14)が配置されている。また、他のサービス提供モジュール14は、データセンター等のサーバーに構築されている。そして、これらのサービス提供モジュール14がチャネル26の一種であるインターネットによって接続されている。
つまり、このシステムは、オフィス等にあるサービス提供モジュール14である機器を利用者が利用して、データセンター内にあるサービス提供モジュール14を連携させ、統合的なサービスを提供する。
【0033】
(共通IDの発行)
図4は、共通IDの発行処理例を示したフローチャートである。
共通ID発行要求モジュール7が発行すべき共通IDのカテゴリーIDとともに共通IDの発行依頼を共通ID発行モジュール6へ渡す。
そのカテゴリーID及び共通IDの発行要求は、共通ID発行受付モジュール1の入力となる(ステップS402)。
【0034】
共通IDの発行要求を受け付けた共通ID発行受付モジュール1は、共通ID生成モジュール3へカテゴリーIDを渡す。
共通ID生成モジュール3は、エンティティID発行モジュール4へエンティティIDの発行を要求する。
エンティティID発行モジュール4は、この共通ID発行モジュール6の管理するサブスペース内のカテゴリーにおいてユニークとなるIDを発行する。
発行済エンティティID管理DB5は、今までに発行したエンティティIDを記憶しており、エンティティID発行モジュール4は、この発行済エンティティID管理DB5が記憶しているエンティティIDと重複しないようにエンティティIDを発行する(ステップS404)。
【0035】
エンティティIDの発行が終了すると、その発行したエンティティIDを発行済エンティティID管理DB5に記憶させる(ステップS406)。
なお、発行済エンティティID管理DB5は、データベースの形態をとらなくとも、カテゴリーごとの不揮発性のカウンタを持ち、エンティティIDの発行ごとにカウンタをカウントアップするような単純な構成をとることも可能である。
また、図4で示したフローチャートは、エンティティ一般に共通IDを発行させているが、このエンティティには、サービス実行に必要なスクリプト(プリミティブサービスを実行するためのスクリプト、連携サービスを実行するためのスクリプト)が含まれる。
【0036】
そして、共通ID生成モジュール3は、サブスペースIDとカテゴリーIDとエンティティIDとを合成して(ステップS408)、共通IDを発行する(ステップS410)。
図5を用いて、サブスペースIDとカテゴリーIDとエンティティIDを合成した共通IDにおける論理構造の例を説明する。サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDの順序に合成して、共通IDを構成しているが、もちろん、これらの順序はあらかじめ決まってさえいれば、どのようなものでもかまわない。
【0037】
共通IDのデータ構造では、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDのそれぞれが、長さ情報と実際のIDとの組合せで表現される。つまり、サブスペースIDはサブスペースID長とサブスペースID実データからなり、サブスペースID長はサブスペースID実データのデータ長(8ビットを1単位としている、以下同様)を示しており、サブスペースID実データはサブスペースIDの本体(実体)であるデータを示している。カテゴリーIDはカテゴリーID長とカテゴリーID実データからなり、カテゴリーID長はカテゴリーID実データのデータ長を示しており、カテゴリーID実データはカテゴリーIDの本体であるデータを示している。エンティティIDはエンティティID長とエンティティID実データからなり、エンティティID長はエンティティID実データのデータ長を示しており、エンティティID実データはエンティティIDの本体であるデータを示している。
【0038】
より具体的には、「02−0051 : 02−0003 : 04−000000FF」といった共通IDが生成される。実際には人間が可読となるような区切りは不要であるが、ここでは説明のため、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティIDの間の区切りを「:」で表現している。また、ID長とID自体との区切りに「−」を入れ、16進数(8ビットで表現される英数文字であってもよい)で表現している。「02−0051 : 02−0003 : 04−000000FF」は、電子文書保管サービスのためのサブスペースIDとして「0051」(長さ2)が、企業ユーザーのためのカテゴリーIDとして「0003」(長さ2)が、特定のユーザーのエンティティIDとして「000000FF」(長さ4)が割り当てられていると仮定している。そこで、これらを合成し「02−0051 : 02−0003 : 04−000000FF」が共通IDとなる。
【0039】
(エンティティの生成)
図6は、共通IDを発行しエンティティを生成する処理例を示したフローチャートである。
まず、共通ID発行要求モジュール7が、カテゴリーIDを指定して共通IDの発行を共通ID発行モジュール6に対して要求する(ステップS602)。
カテゴリーIDを受け取った共通ID発行モジュール6は、図4に示したフローチャートによる処理を実行して共通IDを発行する(ステップS604)。
エンティティ生成モジュール8が、ステップS604で発行された共通IDを受け取り、エンティティを共通IDに付与する(ステップS606)。
【0040】
そして、エンティティ生成モジュール8はエンティティ管理モジュール10へ、エンティティを付与した共通IDを送付する(ステップS608)。
エンティティ管理モジュール10は、エンティティ配信モジュール20内のエンティティ配信先管理モジュール16にエンティティの配信先を問い合わせ、エンティティ配信先情報を参照する(ステップS610)。なお、エンティティ配信先情報は、エンティティ配信先DB17に図7に示す形態で記憶されている。つまり、エンティティ配信先情報は、その番号を表す「No.」、サブスペースID、カテゴリーID、エンティティを保管(又は配信)すべき第1の場所を示す保管先#1、エンティティを保管(又は配信)すべき第2の場所を示す保管先#2を有している。
そしてエンティティ管理モジュール10は、そのエンティティを保管先#1又は保管先#2へ配信する(ステップS612)。
保管先#1又は保管先#2のエンティティ管理モジュール10は、エンティティ保管DB13にエンティティを記憶させる(ステップS614)。保管先が同一のサブスペースの場合もあり(送付したエンティティ管理モジュール10と受信したエンティティ管理モジュール10が同一のサービス提供モジュール14内にある場合)、その場合には、ローカルに記憶することになる。
【0041】
このようにして生成されたエンティティの例を示す。図8は、複合機の管理情報エンティティの例を示している。つまり、その複合機が設置されている設置会社名、業種、部署名等からなる印刷・スキャンサーバー管理情報に対して、共通ID(図8の一つの例では「02−0001 : 02−0001 : 04−000000FF」)が付与されている。
図9は、スキャンイメージエンティティの例を示している。つまり、スキャナで読み取られた画像に対して、共通ID(図9の一つの例では「02−0023 : 02−0010 : 04−00FFDDCC」)が付与されている。
【0042】
(連携サービスの提供)
図10を用いて、プリミティブサービス保管DB22に記憶されている連携サービスを構成する基本的なサービス(プリミティブサービス)のスクリプト例を説明する。
プリミティブサービスのスクリプトは、サービス提供の基本単位であり、特定のサブスペース(サービス提供モジュール14)内での処理を記述したものである。プリミティブサービスのスクリプトは、特定のプラットフォームで実行可能な形態であればどのようなものでもかまわないが、ここでは、サーバーや複合機上で実行するスクリプトを想定している。このプリミティブサービスのスクリプト自体もエンティティとしてエンティティ配信モジュール20によって配信され、各サブスペース(サービス提供モジュール14)のエンティティ保管DB13に記憶される。つまり、図10の例では、共通IDとして、「02−0003 : 02−0E0E : 04−000000FF」が付与されている。なお、カテゴリーIDの「0E0E」は、実行用のスクリプトであることを示している。
【0043】
図11及び図12を用いて、エンティティグループDB19に記憶されており、エンティティグループ管理モジュール18によって管理されるエンティティのグループ化情報の一例を説明する。
図11に示すデータ構造は、サブスペースID及びカテゴリーIDによってグループ化したものである。つまり、グループID欄、それに対応するサブスペースID欄、カテゴリーID欄を有しており、グループID欄にはそのグループを示す共通IDを記憶し、そのグループを構成するエンティティを特定するサブスペースID、カテゴリーIDをそれぞれサブスペースID欄、カテゴリーID欄が記憶している。例えば、図11の2行目は、サブスペースIDの実データが0003であり、カテゴリーIDは不特定であるエンティティ群をグループ化しており、そのエンティティ群にグループIDとしての共通IDである「02−0003 : 02−0F0A : 04−00000001」を付与していることを表している。このように、エンティティのグループ化は、サブスペースIDのみで指定する場合(カテゴリーIDの実データ及びエンティティIDの実データを不特定とする場合)、サブスペースID及びカテゴリーIDによって指定する場合(エンティティIDの実データを不特定とする場合)がある。「0F0A」は、サブスペースとカテゴリーによって規定されるグループタイプであることを示している。
図12に示すデータ構造は、特定のエンティティをグループ化したものである。つまり、1つ1つのエンティティの共通IDを列挙して、その列挙したエンティティ群に対して、グループIDである共通IDを付与(図12の例では、「02−0003 : 02−0F0B : 04−00000004」)したものである。「0F0B」は、具体的なエンティティ指定によって規定されるグループタイプであることを示している。
つまり、両者を比較して説明すると、図11に示すデータ構造は、サブスペースIDやカテゴリーIDによって指定可能な比較的広い範囲のグループを表現するのに使用し、図12に示すデータ構造では、特定のエンティティを狭い範囲でグループ化するのに使用するものである。
特に、図11及び図12に示すデータ構造内のエンティティをサービス提供モジュール14のエンティティとすることによって、その連携サービスを実行できるサービス提供モジュール14を特定することができるようにしてもよい。また、エンティティをコンテンツのエンティティとすることによって、特定のコンテンツに対してのみ連携サービスができるようにしてもよい。
【0044】
図13を用いて、サービス連携スクリプト保管DB24に記憶されている連携サービスのスクリプト例を説明する。
図13のデータ構造は、連携サービスの処理順を記憶する「STEP」欄と、その「STEP」に対応する処理の実行単位を示すIDを記憶する「EXEC−ID」欄と、その処理に対応するグループのIDを記憶する「グループID」欄を有している。なお、「EXEC−ID」欄に記憶するIDは共通IDであってもよく、共通IDのサブセットであってもよい。
ここでは、説明の単純化のため上から順次実行していく構成となっている。各実行単位は、実行するプリミティブサービスのスクリプトのIDと実行可能とするグループIDとが対になって構成されている。つまり、特定のグループ条件を満たす環境においてのみ、このプリミティブサービスが実行可能であることが表現されている。
【0045】
図14は、複数のプリミティブサービスを一定のグループ条件のもとで連携させて実行する処理を示したフローチャートである。
まず、ユーザーによる操作によって、実際に使用しているサービスモジュール(特定のサブスペース(サービス提供モジュール14))において、図13に示したようなサービス連携スクリプトのIDが指定され、連携サービスが起動される(ステップS1402)。
連携サービス実行モジュール9は、ステップS1402で指定されたIDを用いて、サービス連携管理モジュール25内のサービス連携スクリプト保管DB24から連携サービススクリプトをサービス連携スクリプト配信モジュール23を介して取得する(ステップS1404)。
【0046】
連携サービス実行モジュール9は、現在の再帰呼び出しレベルを取得する。ユーザーによる操作によって指定されて実行を開始した場合には、1番目となる。この処理は、連携サービスが再帰的に呼び出される前提であるため、必要な処理である(ステップS1406)。
次に、プリミティブサービス実行モジュール12によるプリミティブサービスを実行する前に、実行条件検証モジュール11が、実行条件をチェックする。ここでは、エンティティ配信モジュール20内のエンティティグループDB19に記憶されている情報をエンティティグループ管理モジュール18を介して参照し、サービス連携スクリプトによって規定されたグループIDの条件が、指定された条件と合致しているかを検証する(ステップS1408)。合致していなければ、現在の環境では実行できない旨をユーザーに表示して終了する。
そして、合致している場合は、プリミティブサービス実行モジュール12は、1番目のプリミティブサービスを実行する(ステップS1410)。
【0047】
サービス連携スクリプトの実行が終了しているか否かを判断する(ステップS1412)。終了している場合はステップS1418の処理へ進み、終了していない場合はステップS1414の処理へ進む。
以上の処理を再帰的に呼び出す。その際、次のプリミティブサービスを実行するサブスペース(サービス提供モジュール14)を取得する。サブスペースID情報は、グループIDから抽出したり、個々のプリミティブサービス内の条件から抽出する場合等がある(ステップS1414)。
そして、連携先のサブスペースにおいて、本フローチャートの処理を再帰的に起動する(ステップS1416)。
当然、この呼び出し先の処理は、ユーザーからの直接の起動ではないので、ステップS1406での再帰呼び出しレベル取得の処理は、2番目以降の値となって実行される。そして、ステップ1410の処理のプリミティブサービス実行処理においても、2番目以降の実行がなされる。
このようにして、最後のスクリプトまで実行した場合には、再帰呼び出しが順次解除され、1番目の呼び出しレベルまで戻って、必要に応じて結果を表示し(ステップS1418)、処理を終了する(ステップS1420)。
【0048】
ここでは、処理の一例として、再帰呼び出しによる実行を例に説明したが、単純にスクリプトを順次手続き的に実行したり、実行を中央のサーバーで管理しながら実行したりする場合も処理の本質は変わらない。
連携サービスには、ユーザーインタラクションを含むものと含まないものとが存在する。ユーザーインタラクションを含まない連携サービスの場合には、ユーザーはサービスの開始を指示するだけであるが、実際にはユーザーから見えないところで複数のサービスを連携させ、結果をユーザーに提示等する。ユーザーインタラクションを含む場合には、サービスの途中でユーザーとのインタラクションが発生し、ユーザーの意志を確認するステップが含まれることになる。場合によっては、利用するサーバーが変化する場合がある。本実施の形態においては、この両方を含めて連携サービスと位置づけている。
この実施の形態の説明では、説明簡易化のため、ユーザーインタラクションがないサービスを想定して説明したが、プリミティブサービスのスクリプト及びサービス連携スクリプトにおいて、ユーザーインタラクションを記述することで、ユーザーインタラクションのあるサービスにも対応するようにしてもよい。
【0049】
図15を用いて、図14で示したフローチャートによる処理として、図3で示した実際の装置上で動作する様子の一例を説明する。
この連携サービスは、(No.1)オフィス等にあって、サービス提供モジュール14である複合機を用いて文書をスキャンし、(No.2)オフィス等にあって、そのスキャンした情報に対して、ユーザーのサービス提供モジュール14であるノートPCによってコメントをつけ、(No.3)データセンター等にあって、サービス提供モジュール14である文字認識サーバーで文字認識を実行し、(No.4)データセンター等にあって、サービス提供モジュール14であるネットワークストレージへ保存する処理を示している。
つまり、ユーザーは、No.1の処理で、複合機を使用して紙文書をスキャンする。No.2の処理では、ユーザーのノートPCでコメントをつける。そして、No.3の処理で文字認識サーバーが起動され、結果がNo.4の処理でネットワークストレージに保管される。
そして、この処理は、ユーザーが所属する会社内の複合機、ユーザーのノートPC、ユーザーが所属する複数の会社が提供する文字認識サービス群、ユーザーが契約している特定のネットワークストレージで実行されるよう実行条件検証モジュール11によって制限されている。つまり、セキュリティレベルの高いサービスを提供するようにしてもよい。一方で、社内の複合機であれば、どれを使用してもよく、文字認識等のサービスをいくつかの候補の中から選ぶことが可能であるといった柔軟性を兼ね備えたサービスを提供するようにしてもよい。
【0050】
(ハードウェア構成等)
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図16に示すように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。共通ID発行受付モジュール1、共通ID生成モジュール3、エンティティID発行モジュール4、連携サービス実行モジュール9、実行条件検証モジュール11、プリミティブサービス実行モジュール12、エンティティ配信先管理モジュール16、プリミティブサービス配信モジュール21等のプログラムを実行するCPU(マイクロプロセッサ)1601と、そのプログラムやデータを記憶するRAM(ランダムアクセスメモリ)1602と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM(リードオンリメモリ)1603と、補助記憶装置であるHD(ハードディスク)1604と、キーボード、マウス等のデータを入力する入力装置1606と、CRTや液晶ディスプレイ等の出力装置1605と、例えばネットワークを介して他の装置と通信を行うための通信回線インタフェース1607、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス1608により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0051】
なお、図16に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図16に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図16に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0052】
前記実施の形態においては、図5、図7〜図13で示したデータ構造は、これらのデータ構造に限らず他のデータ構造であってもよい。例えば、テーブル構造のものはリンク構造等であってもよい。また、データ項目は、これらに図示したものに限られず、他のデータ項目を有していてもよい。
【0053】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】共通ID発行モジュール内の概念的なモジュール構成図である。
【図2】連携サービス提供装置の全体の概念的なモジュール構成図である。
【図3】連携サービス提供装置の構築例を示す説明図である。
【図4】共通IDの発行処理例を示したフローチャートである。
【図5】共通IDの実現構造の例を示す説明図である。
【図6】エンティティの生成処理例を示すフローチャートである。
【図7】エンティティ配信先DBによって管理される配信先情報の例を示す説明図である。
【図8】サービス提供モジュールの管理情報エンティティの例を示す説明図である。
【図9】エンティティ保管DBによって管理されるスキャンデータの例を示す説明図である。
【図10】プリミティブサービス保管DBによって管理されるプリミティブサービスに関する情報の例を示す説明図である。
【図11】エンティティグループDBによって管理されるエンティティグループ定義情報(サブスペース及びカテゴリー指定)の例を示す説明図である。
【図12】エンティティグループDBによって管理されるエンティティグループ定義情報(個別エンティティ指定)の例を示す説明図である。
【図13】サービス連携スクリプト保管DBによって管理されるサービス連携スクリプトの例を示す説明図である。
【図14】連携サービスの処理例を示すフローチャートである。
【図15】連携サービスの実行例を示す説明図である。
【図16】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1…共通ID発行受付モジュール
2…サブスペースID
3…共通ID生成モジュール
4…エンティティID発行モジュール
5…発行済エンティティID管理DB
6…共通ID発行モジュール
7…共通ID発行要求モジュール
8…エンティティ生成モジュール
9…連携サービス実行モジュール
10…エンティティ管理モジュール
11…実行条件検証モジュール
12…プリミティブサービス実行モジュール
13…エンティティ保管DB
14…サービス提供モジュール
16…エンティティ配信先管理モジュール
17…エンティティ配信先DB
18…エンティティグループ管理モジュール
19…エンティティグループDB
20…エンティティ配信モジュール
21…プリミティブサービス配信モジュール
22…プリミティブサービス保管DB
23…サービス連携スクリプト配信モジュール
24…サービス連携スクリプト保管DB
25…サービス連携管理モジュール
26…チャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティとを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
指定された共通識別子に応じて、前記エンティティ記憶手段によって記憶されているエンティティを実行することによってサービスを提供するサービス提供手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティである基本サービスを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスの組合せをサービスとして記憶するエンティティ組合せ記憶手段と、
指定されたサービスに応じて、前記エンティティ組合せ記憶手段に記憶されているサービスを構成する前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスを実行する基本サービス実行手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
前記基本サービス実行手段によって実行可能な基本サービスの条件を検証する実行条件検証手段
をさらに具備し、
前記基本サービス実行手段は、前記実行条件検証手段によって実行可能であると検証された場合に、基本サービスを実行すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティとを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
指定された共通識別子に応じて、前記エンティティ記憶手段によって記憶されているエンティティを実行することによってサービスを提供するサービス提供手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項5】
コンピュータを、
カテゴリーを一意に識別できるカテゴリー識別子を受け付けるカテゴリー識別子受付手段と、
識別子空間を排他的な空間に分割するサブスペースを一意に特定できるサブスペース識別子を記憶しているサブスペース記憶手段と、
サブスペース内におけるカテゴリー別のエンティティの一意性を保証するエンティティ識別子を発行するエンティティ識別子発行手段と、
前記サブスペース記憶手段によって記憶されているサブスペース識別子と前記カテゴリー識別子受付手段によって受け付けられたカテゴリー識別子と前記エンティティ識別子発行手段によって発行されたエンティティ識別子とを合成して、識別子空間全体における識別子である共通識別子を生成する共通識別子生成手段と、
前記カテゴリー識別子受付手段に対して、カテゴリー識別子とともに共通識別子の発行を要求し、前記共通識別子生成手段によって生成された共通識別子を受け取り、該共通識別子とサービスの実行に必要なエンティティである基本サービスを対応させて記憶するエンティティ記憶手段と、
前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスの組合せをサービスとして記憶するエンティティ組合せ記憶手段と、
指定されたサービスに応じて、前記エンティティ組合せ記憶手段に記憶されているサービスを構成する前記エンティティ記憶手段によって記憶されている基本サービスを実行する基本サービス実行手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記基本サービス実行手段によって実行可能な基本サービスの条件を検証する実行条件検証手段
としてさらに機能させ、
前記基本サービス実行手段は、前記実行条件検証手段によって実行可能であると検証された場合に、基本サービスを実行すること
を特徴とする請求項5に記載の情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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