説明

情報処理保持装置、および、ディスク装置

【課題】ターンテーブルを簡単な構成で適切な位置に移動させることができるディスク装置の提供。
【解決手段】ディスク装置に、台座基部211の長手方向と略直交する仮想回動軸C1を中心に回動可能に長手方向の一端側がケース体に軸支された台座部210と、ターンテーブルが設けられる保持部材本体241と、この保持部材本体241に設けられた第1,第2回動軸244,245と、台座部210に設けられ第1,第2回動軸244,245を受ける第1,第2軸受部270,280と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状記録媒体を保持するターンテーブルを備えディスク状記録媒体に記録された情報を処理する情報処理部を、保持する情報処理保持装置、および、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク状の記録媒体を処理するディスク装置が知られている。(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、軸により揺動変位自在に支持されたフレームを昇降させることにより、ターンテーブルも昇降させる構成がとられている。
【0004】
特許文献2に記載のものは、傾斜ガイド孔を有するスライド枠を移動させ、傾斜ガイド孔に係合されたピンを有する昇降ホルダを上昇あるいは下降させることにより、この昇降ホルダに設けられたスピンドルモータも上昇、下降させる構成がとられている。
【0005】
特許文献3に記載のものは、ヨークとマグネットで構成された磁場内を通るコイルに通電することにより、駆動するキャリッジを備えている。そして、このキャリッジを駆動させ、伝達板に当接させて下方へ押し下げる。さらに、この押し下げられた伝達板のフォーク状部がチャックに当接し、チャックおよびスピンドルモータを下方に押し下げる構成がとられている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−38483号公報
【特許文献2】特開平5−298799号公報
【特許文献3】特開平6−150620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような構成では、フレームが光ディスクから離れる方向に回動した際に、ターンテーブルの面方向が光ディスクの面方向に対して傾斜する状態となるため、ターンテーブルおよび光ディスクの間に十分なクリアランスを形成できないおそれがある。
また、特許文献2のような構成では、傾斜ガイド孔によりピンを案内することによりスピンドルモータを昇降させているため、傾斜ガイド孔およびピンにおけるがたなどの影響により、光ピックアップ装置などとの位置関係が適切に保てないおそれがある。
また、特許文献3のような構成では、キャリッジの駆動によりスピンドルモータを昇降させているため、キャリッジを構成する機構にディスクのクランプ力を上回る力が必要になり、キャリッジの動力源にトルクが大きいモータなどが必要になるおそれがある。
そして、特許文献2,3のような構成では、スピンドルモータを上下方向に直線運動させて昇降させるため、自由度が大きくなり、昇降の規制が困難になるおそれがある。
【0008】
本発明は、ターンテーブルを簡単な構成で適切な位置に移動させることが可能な情報処理保持装置、および、ディスク装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、略箱状のケース体内に挿入されたディスク状記録媒体を保持するターンテーブルを備え前記ディスク状記録媒体に記録された情報を処理する情報処理部を、前記ディスク状記録媒体に対して進退可能に保持する情報処理部保持装置であって、略枠状に形成され、一縁側が前記ディスク状記録媒体の略中央に対して進退する状態で、他縁側が前記ケース体の側縁近傍に回動可能に軸支される保持装置本体と、前記ターンテーブルを保持するターンテーブル保持部材と、前記保持装置本体の前記一縁側および前記ターンテーブル保持部材のうちいずれか一方に設けられ、いずれか他方に向けて略棒状に突出する保持部材回動軸と、前記保持装置本体の前記一縁側および前記ターンテーブル保持部材のうちいずれか他方に設けられ、前記保持部材回動軸を受ける軸受部と、を具備したことを特徴とした情報処理部保持装置である。
【0010】
請求項12に記載の発明は、略箱状に形成されディスク状記録媒体を収納可能なケース体と、このケース体内に挿入されたディスク状記録媒体を保持するターンテーブルを備え前記ディスク状記録媒体に記録された情報を処理する情報処理部と、この情報処理部を前記ディスク状記録媒体に対して進退可能に保持する請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の情報処理部保持装置と、を具備したことを特徴としたディスク装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔ディスク装置の構成〕
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、ディスク状記録媒体としての光ディスクに情報を記録および読み出すいわゆるスロットインタイプのディスク装置を例示して説明する。また、ディスク装置は、読取処理あるいは記録処理の一方のみを実施する構成としてもよい。さらに、ディスク状記録媒体としては、光ディスクに限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなどのいずれのディスク状の記録媒体を対象とすることができる。
図1は、本実施の形態に係るディスク装置の概略構成を示す一部を切り欠いた平面図である。図2は、ディスク処理部を示す底面図である。図3は、ターンテーブル保持部を示す平面図である。図4は、第1軸受部を示す側面図である。図5は、第2軸受部を示す平面図である。図6は、第2軸受部を示す側面図である。図7は、第2軸受部を示すガイドシャフト側から見た図である。
【0012】
図1において、100はディスク装置で、このディスク装置100は、例えば携帯型のパーソナルコンピュータなどの電気機器に装着されるいわゆる薄型のスロットインタイプである。このディスク装置100は、着脱可能に装着されるディスク状記録媒体としての円板状の光ディスクXにおける少なくとも一面に設けられた図示しない記録面に記録された情報を読み出す情報処理である読取処理および記録面へ各種情報を記録する情報処理である記録処理をする。そして、ディスク装置100は、例えば金属製で内部空間を有する略箱形状のケース体110を有している。
このケース体110には、一側面に例えば合成樹脂にて細長板状に形成された化粧板111が設けられている。この化粧板111には、長手方向に沿ってスリット状に設けられた図示しない開口部が設けられている。また、ケース体110を構成する下面112の略中央には、ケース体110内に向けて略半球状に突出する後退時回動補助部としての回動補助突出部113が設けられている。そして、ケース体110内には、いわゆるトラバースメカと称されるディスク処理部200と、図示しない搬送手段と、駆動部450と、図示しない制御回路部と、が配設されている。
【0013】
ディスク処理部200は、光ディスクXの処理、すなわち光ディスクXの記録面に対して読取処理および記録処理を実施する。このディスク処理部200は、駆動部450により回動可能にケース体110内に配設されている。そして、ディスク処理部200は、保持装置本体としての台座部210と、情報処理部を構成するディスク回転駆動手段230と、情報処理部を構成する移動処理手段350と、情報処理部を構成するピックアップ装置430と、などを備えている。
【0014】
台座部210は、例えば図1および図2に示すように、例えば金属板にて平面視で扁平八角形状に形成された長手枠状の台座基部211を備えている。この台座基部211には、扁平八角形状の中央に向けて延出する台座延出部212が設けられている。そして、この台座延出部212の先端により、台座開口部213が形成されている。
【0015】
台座基部211の長手方向の一端側には、扁平八角形状の外側に向けて平面視で略コ字状の板状に突出する第1台座取付部214Aが設けられている。
また、台座基部211の長手方向の他端側には、扁平八角形状の外側に向けてそれぞれ略棒状に突出する、第1台座係合部216Aと、第2台座係合部216Bとが設けられている。第1台座係合部216Aは、台座基部211の長手方向に対して一方側に傾いた方向へ、第2台座係合部216Bは、台座基部211の長手方向に対して他方側に傾いた方向へ、それぞれ突出する状態で設けられている。
【0016】
さらに、台座延出部212における第1台座係合部216A近傍には、第2台座係合部216B側に延出する舌片状に形成された進出時回動位置決め部を構成する回動規制手段としての回動規制爪部218が設けられている。この回動規制爪部218は、ターンテーブル保持部240の後述する回動規制爪当接部247と当接して、ターンテーブル保持部240の後述する保持部材本体241のテーブル配置面241Bの面方向と、台座基部211の台座上端面211Aの面方向と、が略平行となる状態(以下、テーブル台座平行状態と称す)に、保持部材本体241の回動を規制可能に設けられている。ここで、保持部材本体241が回動して、テーブル配置面241Bおよび台座上端面211Aの面方向が交差する状態を、テーブル台座交差状態と称して説明する。
【0017】
そして、台座部210は、第1台座取付部214Aが弾性部材220を介してねじ部材221によりケース体110に取り付けられるとともに、第1,第2台座係合部216A,216Bが後述する移動カム460に係合する状態でケース体110内に配設される。つまり、台座部210は、詳しくは後述するが、第1台座取付部214Aを含む状態で設定され、台座基部211の長手方向と略直交する仮想回動軸C1を中心に回動可能に、長手方向の一端側がケース体110に軸支されている。
【0018】
ディスク回転駆動手段230は、光ディスクXを着脱可能に軸支して回転させる。このディスク回転駆動手段230は、ターンテーブル保持部240と、保持部材取付部260と、回転用電動モータ300と、ターンテーブル310と、などを備えている。
【0019】
ターンテーブル保持部240は、図2および図3に示すように、回路基板により略円板状に形成されたターンテーブル保持部材としての保持部材本体241を備えている。
この保持部材本体241の一面は、回転用電動モータ300が設けられるモータ配置面241Aとされ、他面は、ターンテーブル310が設けられるテーブル配置面241Bとされている。また、保持部材本体241には、テーブル配置面241Bの一縁から垂直方向に突出する第1突出部242と、ターンテーブル310に対して第1突出部242と反対側の他縁から第1突出部242と同方向に突出する第2突出部243と、が設けられている。
第1突出部242には、保持部材本体241の面外方向に突出する状態で略丸棒形状の保持部材回動軸としての第1回動軸244が設けられている。また、第2突出部243には、保持部材本体241の面外方向に突出し、かつ、第1回動軸244と同一軸上に位置する状態で略丸棒形状の保持部材回動軸としての第2回動軸245が設けられている。
そして、第1,第2回動軸244,245は、モータ配置面241Aに配置された回転用電動モータ300の中心を通る軸上に位置する状態で設けられている。また、第1回動軸244は、第2回動軸245よりも長い形状を有している。
【0020】
また、保持部材本体241における第1突出部242に隣接する位置には、保持部材本体241の面外方向に略三角形板状に突出するばね端当接部246が設けられている。
さらに、保持部材本体241における第2突出部243に隣接する位置には、保持部材本体241の面外方向に略台形板状に突出する回動規制爪当接部247が設けられている。
【0021】
保持部材取付部260は、ターンテーブル保持部240の保持部材本体241を台座部210に回動可能に取り付ける。そして、保持部材取付部260は、図2に示すように、保持部材本体241の第1回動軸244を受ける第1軸受部270と、第2回動軸245および後述するガイドシャフト351を受ける第2軸受部280と、第1回動軸244が挿通する状態で設けられる回動付勢ばね部材および軸方向付勢ばね部材としても機能する回動軸方向付勢ばね部材290と、を備えている。
【0022】
第1軸受部270は、図4に示すように、側面視で略コ字状に形成された第1軸受基部271と、径方向規制手段を構成する径方向付勢手段としての第1軸受ばね部材275と、を備えている。
第1軸受基部271は、一隅が切り欠かれた略長方形板状の軸受底部272と、この軸受底部272における対向する一対の側縁から軸受底部272の一面と略直交する方向に突出する一対の第1軸受側部273と、にて、略コ字状に形成されている。
軸受底部272の一面には、側面視で略V字状の第1V溝部272Aが設けられている。この第1V溝部272Aは、面方向が略直交する一対の径方向規制手段を構成する外周面当接部としての第1V溝面272A1にて、側面視で略V字状に形成されている。また、一対の第1軸受側部273は、互いに対向する第1対向面273Aが略平行となり、かつ、その間隔が第1回動軸244の径寸法よりも若干大きくなる状態で設けられている。
第1軸受ばね部材275は、1本の針金275Aを螺旋状に巻回して形成されたいわゆるコイルばねであり、その径寸法が第1対向面273Aの間隔よりも若干小さい形状に形成されている。
【0023】
第2軸受部280は、図5〜図7に示すように、略長方形ブロック状の軸方向移動規制部を構成する軸受基部材281と、径方向規制手段を構成する径方向付勢手段としての第2軸受ばね部材283と、シャフト受ばね部材284と、シャフト位置決め板部材285と、シャフト位置決めねじ部材286と、を備えている。ここで、軸受基部材281の図6における上側の面、下側の面、右側の面、左側の面、紙面の前側の面、紙面の後側の面を、軸受基部材281の第1面281A、第2面281B、第3面281C、第4面281D、第5面281E、第6面281F(図7参照)と、それぞれ称して説明する。
【0024】
軸受基部材281の第5面281Eにおける第3面281C側には、図6に示すように、第1面281Aから第2面281Bにかけて開口形成された第2軸受基部281Jが設けられている。この第2軸受基部281Jは、第2面281B側に側面視で略V字状の第2V溝部281J1を備えている。この第2V溝部281J1は、面方向が略直交する一対の径方向規制手段を構成する外周面当接部としての第2V溝面281J11にて、側面視で略V字状に形成されている。さらに、第2V溝部281J1における略V字状の開口側には、第1面281A側に向けて、互いに略平行となる状態に対向し、かつ、その間隔が第2回動軸245の径寸法よりも若干大きくなる状態で形成された一対の第2対向面281J2が設けられている。
また、軸受基部材281には、略中央において第1面281Aから第2面281Bにかけて貫通する孔状のばね配置孔部281Kが設けられている。さらに、軸受基部材281には、図7に示すように、第3面281Cからばね配置孔部281Kにかけて開口形成され、ガイドシャフト351の一端に設けられたシャフト端部351Aが係合される略U字状のシャフト係合溝281Lが設けられている。そして、軸受基部材281には、図6に示すように、ばね配置孔部281Kに隣接する状態で設けられ、止めねじ部材289が挿通される第1止めねじ挿通孔281Mが設けられている。
【0025】
第2軸受ばね部材283は、1本の針金283Aを螺旋状に巻回して形成されたいわゆるコイルばねであり、その径寸法が第2対向面281J2の間隔よりも若干小さい形状に形成されている。
シャフト受ばね部材284は、1本の針金284Aを螺旋状に巻回して形成されたいわゆるコイルばねである。
シャフト位置決め板部材285は、平面視で軸受基部材281と略等しい長方形板状に形成されている。このシャフト位置決め板部材285におけるばね配置孔部281Kに略対応する位置には、シャフト位置決めねじ部材286が螺合されるねじ孔部285Aが設けられている。さらに、シャフト位置決め板部材285における第1止めねじ挿通孔281Mに略対応する位置には、止めねじ部材289が挿通される第2止めねじ挿通孔285Bが設けられている。
【0026】
回動軸方向付勢ばね部材290は、1本の針金290Aを螺旋状に巻回して形成された軸方向移動規制部を構成するばね基部としても機能する軸方向付勢手段としてのコイルばね部291を備えている。このコイルばね部291は、螺旋状の軸方向への弾性力を有し、螺旋状の軸方向の長さ寸法が、第1,第2軸受部270,280で第1,第2回動軸244,245が受けられた際の第1突出部242および第1軸受部270間の寸法L1よりも大きくなる形状に形成されている。
また、このコイルばね部291を構成する針金290Aの一端側は、コイルばね部291の軸方向一端側から螺旋状の接線方向に直線状に突出する進出時回動位置決め部を構成する回動付勢手段としての第1ばね端突出部292とされている。さらに、針金290Aの他端側は、コイルばね部291の軸方向他端側から螺旋状の接線方向に直線状に突出する進出時回動位置決め部を構成する回動付勢手段としての第2ばね端突出部293とされている。この第2ばね端突出部293は、第1ばね端突出部292に対して略平行な状態で設けられている。
【0027】
そして、第1軸受部270の第1軸受基部271は、図2および図4に示すように、第1回動軸244が第1V溝部272Aに当接し、かつ、第1回動軸244および台座延出部212の間に第1軸受ばね部材275が位置する状態で、第1軸受側部273の突出方向の先端面が台座延出部212における第2台座係合部216B近傍に取り付けられている。
さらに、第2軸受部280の軸受基部材281は、図2、図5〜図7に示すように、第2回動軸245が第2V溝部281J1に当接し、かつ、第2回動軸245および台座延出部212の間に第2軸受ばね部材283が位置する状態で、止めねじ部材289が第1,第2止めねじ挿通孔281M,285Bに挿通されて台座延出部212の螺合孔212Aに螺合されることにより、台座延出部212の第1台座係合部216A近傍に取り付けられている。
つまり、第1,第2軸受部270,280は、台座基部211における長手方向の他端側で保持部材本体241を支持する状態で設けられている。さらに、面方向が交差する第1,第2V溝面部272A1,281J11にて第1,第2回動軸244,245の周面を支持するとともに、第1,第2軸受ばね部材275,283にて第1,第2回動軸244,245を第1,第2V溝部272A,281J1に押し付ける状態に付勢することにより、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の径方向への移動を規制しつつ、回動可能に支持する状態で設けられている。
【0028】
また、第1,第2軸受部270,280は、図2に示すように、第1,第2回動軸244,245の軸方向が台座部210の仮想回動軸C1の軸方向と略平行となる状態で、保持部材本体241を支持している。さらに、第1,第2軸受部270,280は、回動規制爪当接部247におけるモータ配置面241Aと、回動規制爪部218と、が対向し、これらの当接により、保持部材本体241の回動が規制される状態で保持部材本体241を支持している。また、第1,第2軸受部270,280は、保持部材本体241がケース体110の下面112に近づく方向へ回動した際に、モータ配置面241Aにおける略中央に対して第1台座取付部214Aと反対側の側縁近傍部分241A1が回動補助突出部113に当接する状態で、保持部材本体241を支持している。
【0029】
さらに、軸受基部材281は、シャフト係合溝281Lにシャフト端部351Aが係合し、かつ、シャフト端部351Aおよび台座延出部212の間にシャフト受ばね部材284が位置する状態で設けられている。そして、シャフト位置決め板部材285に螺合されたシャフト位置決めねじ部材286は、先端がシャフト端部351Aに当接する状態で設けられ、螺合状態の調整によりシャフト端部351Aをシャフト受ばね部材284の方向に付勢して、ガイドシャフト351の径方向の調整を可能な構成とされている。
【0030】
また、回動軸方向付勢ばね部材290は、図2に示すように、コイルばね部291の内部に第1回動軸244が挿通する状態で設けられている。さらに、回動軸方向付勢ばね部材290は、第1ばね端突出部292がばね端当接部246におけるテーブル配置面241Bと当接し、かつ、第2ばね端突出部293が台座延出部212に当接する状態で設けられている。
このとき、回動軸方向付勢ばね部材290は、上述したように、コイルばね部291の軸方向の長さ寸法が寸法L1よりも大きくなる形状に形成されているため、第1突出部242および第1軸受基部271の間において、コイルばね部291が軸方向に縮む状態に変形する。これにより、回動軸方向付勢ばね部材290は、コイルばね部291が縮んだ際の反力で第1突出部242を第1軸受基部271から離れる方向に付勢して、第2突出部243を軸受基部材281に押し付けることにより、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向への移動を規制する。
さらに、回動軸方向付勢ばね部材290は、上述したように、第1,第2ばね端突出部292,293が略平行な状態で設けられているため、ばね端当接部246および台座延出部212の間において、第1,第2ばね端突出部292,293の突出方向の先端側が互いに近づく状態に変形する。これにより、回動軸方向付勢ばね部材290は、第1,第2ばね端突出部292,293が近づく状態に変形した際の反力で、ばね端当接部246を台座延出部212から離れる方向に付勢して、保持部材本体241を回動させる。
【0031】
ここで、台座部210、回動規制爪部218、保持部材本体241、第1,第2回動軸244,245、第1,第2軸受部270,280、第1,第2V溝面272A1,281J11、第1,第2軸受ばね部材275,283、軸受基部材281および、回動軸方向付勢ばね部材290により、本発明の情報処理部保持装置が構成されている。
【0032】
保持部材本体241のモータ配置面241Aに設けられる回転用電動モータ300は、例えばスピンドルモータで制御回路部に制御されて駆動する。
保持部材本体241のテーブル配置面241Bに設けられるターンテーブル310は、光ディスクXの中心に開口形成された軸孔X1(図8参照)に嵌挿して軸支する略円柱状のテーブル回転軸311と、このテーブル回転軸311の外周面にフランジ状に突設され光ディスクXの軸孔X1の周縁が載置されるテーブル載置面312Aを有するテーブル鍔部312と、などを備えている。そして、ターンテーブル310は、回転用電動モータ300の回転駆動により回転し、光ディスクXを回転させる。
【0033】
移動処理手段350は、図1および図2に示すように、台座部210に配設され、ピックアップ装置430を台座部210の長手方向で移動させる。
この移動処理手段350は、一対のガイドシャフト351と、移動用電動モータ352と、リードスクリュ353と、移動駆動機構保持部360と、などを備えている。
ガイドシャフト351は、例えば金属製の細長棒状に形成され、軸方向が台座基部211の長手方向に略沿う状態でそれぞれ略平行に台座延出部212に配設されている。
移動用電動モータ352は、例えばステッピングモータである。この移動用電動モータ352は、略箱状のモータ本体352Aと、このモータ本体352Aの軸突出面352A1から突出する図示しない出力軸と、などを備え、制御回路部に制御されて駆動する。
リードスクリュ353は、例えば金属製の細長棒状で、外周面に螺旋状の係合溝353Aが設けられている。このリードスクリュ353は、移動用電動モータ352の出力軸に連結され、移動用電動モータ352の駆動により回転する。
【0034】
移動駆動機構保持部360は、移動用電動モータ352およびリードスクリュ353を保持する。
この移動駆動機構保持部360は、略長方形板状に形成された取付基部361を備えている。この取付基部361には、長手方向に沿って2個の図示しない取付孔部が開口形成されている。そして、取付基部361は、取付孔部に挿通されたねじ部材363により、長手方向が台座基部211の長手方向と略一致する状態で台座延出部212に取り付けられる。
【0035】
また、取付基部361の短手方向の一側縁には、移動用電動モータ352およびリードスクリュ353が配置される機構保持配置部362が一体的に設けられている。この機構保持配置部362は、リードスクリュ353がガイドシャフト351に近接して略平行に位置する状態に、移動用電動モータ352およびリードスクリュ353を保持する。
【0036】
ピックアップ装置430は、光ディスクXに対する読取処理および記録処理を実施するための装置で、ガイドシャフト351に移動可能に軸支されている。このピックアップ装置430は、ピックアップベース431と、このピックアップベース431に搭載されるピックアップ432と、を備えている。
ピックアップベース431は、例えばアルミニウム合金などにて形成され、一対のガイドシャフト351間に架橋する状態に移動可能に支持される。このピックアップベース431には、リードスクリュ353に係合する移動規制爪部431Aが設けられている。そして、ピックアップベース431は、移動用電動モータ352の駆動によりリードスクリュ353が回転することで、ガイドシャフト351を移動する。
ピックアップ432は、制御回路部に送受信可能に接続され、制御回路部の制御により電力が適宜供給され、光ディスクXの記録面に記録された各種情報を読み取る読取処理や、制御回路部からの各種情報を記録面に記録する記録処理を実施する。このピックアップ432は、図示しない光源と、対物レンズ432Aを含む各種レンズ群と、図示しない光センサと、などを備えている。
【0037】
搬送手段は、光ディスクXをケース体110内外へ搬送する。この搬送手段は、複数の図示しないアームを備えている。各アームは、細長板状に適宜形成され、それぞれ長手方向の一端部がケース体110に回動可能に軸支され、他端部が光ディスクXの周縁に当接可能となっている。そして、各アームは、制御回路部の制御により回動し、長手方向の各他端部を光ディスクXの周縁に適宜当接させ、開口部を介してケース体110内へ光ディスクXを記録面に沿って搬入あるいはケース体110外へ搬出する。
【0038】
駆動部450は、制御回路部からの制御によりディスク処理部200を適宜回動させる。この駆動部450は、ケース体110に配設され制御回路部に動作制御される図示しないモータと、このモータの駆動により移動する移動カム460と、を備えている。
移動カム460は、台座部210の第1,第2台座係合部216A,216Bに係合するとともにモータに係合し、モータの駆動により移動されて台座部210を回動させる。具体的には、移動カム460は、移動に伴い第1,第2台座係合部216A,216Bをケース体110の下面112に対して進退させ、台座基部211の長手方向と略直交する仮想回動軸C1を中心に台座部210を回動させる。
この台座部210の回動は、搬送手段により光ディスクXが搬送される移動経路上に、ターンテーブル310が進退する状態である。具体的には、ターンテーブル310が光ディスクXの移動経路上に進出する進出位置と、ターンテーブル310が光ディスクXの移動経路上から後退して待避する後退位置との位置間で回動させる。
【0039】
制御回路部は、例えば各種電気部品が搭載された複数の回路基板470上に構成され、ディスク装置100全体の動作を制御する。
すなわち、制御回路部は、上述したように、搬送手段のアームを回動させて光ディスクXをケース体110内外へ搬送する処理、駆動部450を制御して光ディスクXの搬送状況に対応してディスク処理部200を回動させる処理、ディスク回転駆動手段230を制御して光ディスクXを適宜回転させる処理、移動処理手段350を制御してピックアップ装置430を適宜移動させる処理、ピックアップ432の制御による光ディスクXの処理、などを実施する。
【0040】
〔ディスク装置の動作〕
次に、上述したディスク装置100の動作として、台座部210の回動動作について説明する。
図8は、台座部が進出位置まで回動した状態を示す模式図である。図9は、台座部が後退位置まで回動した状態を表す模式図である。
【0041】
ディスク装置100の台座部210は、光ディスクXがケース体110内に挿入された際に、図8に示すような進出位置に位置する。
この進出位置では、台座部210に回動可能に設けられた保持部材本体241は、回動軸方向付勢ばね部材290により、図8における時計回り方向に付勢される。そして、保持部材本体241は、時計回り方向に付勢されると、回動規制爪当接部247が回動規制爪部218に当接して時計回り方向への回動が規制され、テーブル配置面241Bおよび台座基部211の台座上端面211Aの面方向が略平行となるテーブル台座平行状態となる。そして、台座部210が進出位置に位置する際、テーブル鍔部312のテーブル載置面312Aが上面114と略平行となり、ディスク装置100は、ターンテーブル310で光ディスクXを保持する。
【0042】
また、台座部210は、例えば光ディスクXの排出時や挿入待機時に、図9に示すように、進出位置から後退位置まで回動する。
この後退位置まで回動する際に、台座部210に回動可能に設けられた保持部材本体241は、ケース体110の下面112に近接する方向へ移動して、側縁近傍部分241A1が回動補助突出部113に当接する。さらに、保持部材本体241がさらに下面112に近接する方向へ移動すると、側縁近傍部分241A1は、回動補助突出部113により下面112と対向する上面114側に押圧される。そして、側縁近傍部分241A1が上面114側に押圧されると、保持部材本体241は、回動軸方向付勢ばね部材290の付勢力に抗して、図9における反時計回り方向に回動して、テーブル配置面241Bおよび台座基部211の台座上端面211Aの面方向が交差するテーブル台座交差状態となる。
このように、保持部材本体241がテーブル台座交差状態となると、ターンテーブル310のテーブル回転軸311の回転軸上面311Aが上面114と略平行になり、回転軸上面311Aおよび上面114の間に挿入スペースS1が形成される。
ここで、保持部材本体241が台座部210に対して回動しない場合、台座部210が後退位置まで回動したとしても、テーブル台座平行状態が保たれる。そして、図9の想像線で示すように、回転軸上面311Aが上面114に対して傾斜する状態となる、つまり、保持部材本体241が回動する構成と比べて、回転軸上面311Aの図9における右側の部分が上面114側に位置する状態となるため、挿入スペースS1が狭くなる。
【0043】
〔ディスク装置の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、ディスク装置100に、台座基部211の長手方向と略直交する仮想回動軸C1を中心に回動可能に長手方向の一端側がケース体110に軸支された台座部210と、ターンテーブル310が設けられる保持部材本体241と、この保持部材本体241に設けられた第1,第2回動軸244,245と、台座部210に設けられ第1,第2回動軸244,245を受ける第1,第2軸受部270,280と、を設けている。
このため、台座部210を、仮想回動軸C1を中心に後退位置まで回動させた際に、第1,第2回動軸244,245を中心に保持部材本体241を台座部210に対して回動させて、台座上端面211Aおよびテーブル配置面241Bの面方向が略平行となるテーブル台座平行状態から、面方向が交差するテーブル台座交差状態に移行させることにより、面方向が略平行な回転軸上面311Aおよび上面114により構成される挿入スペースS1を形成することができる。
ここで、保持部材本体241が台座部210に対して回動しない構成の場合、台座部210が後退位置まで回動したとしても、テーブル台座平行状態が保たれるため、回転軸上面311Aが上面114に対して傾斜する状態、つまり、保持部材本体241が回動する構成と比べて回転軸上面311Aの図9における右側の部分が上面114側に位置する状態となり、上記実施の形態と比べて狭い挿入スペースS1が形成される。
したがって、台座部210および保持部材本体241をそれぞれ独立的に回動させて、回転軸上面311Aおよび上面114の面方向を略平行にすることにより、台座部210が回動しない従来の構成と比べて、広い挿入スペースS1を形成することができる。また、傾斜ガイド孔によりピンを移動させて保持部材本体241を昇降させる従来の構成と比べて、がたの影響を抑制でき、ピックアップ装置430などとの位置関係を適切に保つことができる。また、台座部210を回動させることにより保持部材本体241を昇降させるので、一般的な構造を利用することができ、従来の構成のようにトルクが大きいモータなどを設ける必要がない。さらに、保持部材本体241を2個の回動軸を中心に回動させることにより昇降させるため、上下方向に直線運動させて昇降させる構成と比べて、自由度を小さくでき、昇降の規制を容易にできる。
よって、ターンテーブル310を簡単な構成で適切な位置に移動させることができる。
さらに、保持部材本体241が台座部210に対して回動しない構成と比べて広い挿入スペースS1を形成できるので、ディスク装置100の薄型化を容易に図ることができる。
【0044】
さらに、台座部210が進出位置まで回動した際に、保持部材本体241を回動させてテーブル台座平行状態に位置決めする構成を設けている。
このため、台座部210が進出位置まで回動した際に、保持部材本体241をテーブル台座平行状態に位置決めするので、このような位置決めする構成を設けない場合と比べて、光ディスクXをテーブル載置面312Aに適切に載置させることができる。
【0045】
そして、保持部材本体241をテーブル台座平行状態に位置決めする構成として、保持部材本体241を回動させる状態に付勢する第1,第2ばね端突出部292,293と、保持部材本体241の回動規制爪当接部247が当接されることによりテーブル台座平行状態に位置決めする回動規制爪部218と、を適用している。
このため、第1,第2ばね端突出部292,293により保持部材本体241を一方向に回動させる状態に付勢して、回動規制爪部218で回動を規制するだけの簡単な構成で、保持部材本体241をテーブル台座平行状態に確実に位置決めできる。
【0046】
また、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向への移動を規制する構成を設けている。
このため、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向の移動を規制するので、ターンテーブル310の面方向へのがたつきを防止した状態で、保持部材本体241をより回動させることができる。
【0047】
そして、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向への移動を規制する構成として、保持部材本体241を第1,第2回動軸244,245の軸方向に沿って第2軸受部280の方向に付勢するコイルばね部291と、保持部材本体241の第2突出部243が当接されることにより保持部材本体241の移動を規制する軸受基部材281と、を適用している。
このため、コイルばね部291により保持部材本体241を一方向に付勢して、軸受基部材281で移動を規制するだけの簡単な構成で、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向への移動を確実に規制できる。
【0048】
さらに、保持部材本体241を第1,第2回動軸244,245の軸方向に沿って付勢するコイルばね部291と、保持部材本体241を回動させる状態に付勢する第1,第2ばね端突出部292,293と、を備えた回動軸方向付勢ばね部材290を適用している。
このため、保持部材本体241を第1,第2回動軸244,245の軸方向に沿って付勢する構成と、保持部材本体241を回動させる状態に付勢する構成と、を別体で設ける構成と比べて、部品点数を減らすことができ、ディスク装置100の組立てを容易にできる。
【0049】
また、保持部材本体241の回動中心である第1,第2回動軸244,245を、台座部210の回動中心である仮想回動軸C1と略平行に設けている。
ここで、第1,第2回動軸244,245を仮想回動軸C1と交差する状態に設けた場合、後退位置において保持部材本体241が台座部210に対して回動したとしても、図9における反時計回り方向への回動量が上記実施の形態の構成と比べて小さくなる。
したがって、第1,第2回動軸244,245を仮想回動軸C1と交差する状態に設ける構成と比べて、広い挿入スペースS1を形成することができ、ディスク装置100のさらなる薄型化を容易に図ることができる。
【0050】
そして、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向への移動を規制する構成を設けている。
このため、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向の移動を規制するので、ターンテーブル310の面方向と交差する方向へのがたつきを防止した状態で、保持部材本体241をさらに回動させることができる。
【0051】
また、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向への移動を規制する構成として、面方向が略直交する一対の第1V溝面272A1と、第1回動軸244を第1V溝面272A1の方向へ付勢する第1軸受ばね部材275と、を適用している。
このため、第1軸受ばね部材275により第1回動軸244を一方向に付勢して、第1V溝面272A1で移動を規制するだけの簡単な構成で、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向への移動を確実に規制できる。
【0052】
さらに、ケース体110に、台座部210が後退位置まで回動した際に、保持部材本体241に当接して回動させることにより、テーブル台座平行状態からテーブル台座交差状態に移行させる回動補助突出部113を設けている。
このため、台座部210が後退位置まで回動した際に、保持部材本体241を確実にテーブル台座交差状態に移行させることができる。したがって、十分な広さの挿入スペースS1を確実に形成でき、良好な光ディスクXの挿排を実現できる。
【0053】
そして、軸受基部材281に、ガイドシャフト351の位置決め機能と、第2回動軸245の位置決め機能と、を設けている。
このため、光ディスクXと、ピックアップベース431と、の位置決めを精度よくすることができる。
【0054】
〔実施の形態の変形〕
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0055】
すなわち、上記実施の形態では、ディスク装置100は、ノート型パーソナルコンピュータなどに搭載可能な薄型ディスク装置を例示したが、これに限定されず、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータなどに搭載される比較的大型のディスク装置にも適用することができる。
【0056】
また、第1軸受部270の代わりに、図10に示すような軸受部700を適用してもよい。
この軸受部700は、側面視で略コ字状に形成された軸受基部701と、径方向規制手段を構成する径方向付勢手段としての軸受板ばね部材705と、を備えている。
軸受基部701は、略長方形板状の軸受底部702と、この軸受底部702における対向する一対の側縁から軸受底部702の一面と略直交する方向に突出する一対の軸受側部703と、にて、略コ字状に形成されている。
軸受底部702の一面には、第1V溝部702Aが設けられている。この第1V溝部702Aは、面方向が略直交する一対の径方向規制手段を構成する外周面当接部としての第1V溝面702A1にて、側面視で略V字状に形成されている。また、一対の軸受側部703は、互いに対向する対向面703Aが略平行となり、かつ、その間隔が第1回動軸244の径寸法よりも若干大きくなる状態で設けられている。
そして、軸受基部701は、軸受側部703の突出方向の先端から、一対の第1V溝面702A1の交線までの寸法が、第1回動軸244の径寸法よりも若干大きくなる形状に形成されている。
軸受板ばね部材705は、例えば矩形板形状の板ばね基部705Aを備えている。この板ばね基部705Aの一側縁には、面方向が板ばね基部705Aの面方向と交差する状態で設けられた板ばね中間部705Bが一体的に設けられている。さらに、この板ばね中間部705Bの先端には、面方向が板ばね中間部705Bの面方向と交差する状態で設けられた板ばね先端部705Cが一体的に設けられている。
【0057】
そして、軸受部700の軸受基部701は、第1回動軸244が第1V溝部702Aに当接する状態で、軸受側部703の突出方向の先端面が台座延出部212に取り付けられている。さらに、軸受板ばね部材705は、板ばね中間部705Bにより第1回動軸244を第1V溝部702Aに押し付ける状態に付勢するように、板ばね基部705Aが台座延出部212に取り付けられている。
つまり、軸受部700は、面方向が交差する第1V溝面部702A1にて第1回動軸244の周面を支持するとともに、軸受板ばね部材705にて第1回動軸244を第1V溝部702Aに押し付ける状態に付勢することにより、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向への移動を規制しつつ、回動可能に支持する状態で設けられている。
このような構成にしても、上記実施の形態の第1軸受部270と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
そして、台座部210が進出位置まで回動した際に保持部材本体241をテーブル台座平行状態に位置決めする構成、つまり、本発明の進出時回動位置決め部を構成する回動規制爪部218および回動軸方向付勢ばね部材290を設けない構成としてもよい。
また、本発明の進出時回動位置決め部として、例えば第1回動軸244に設けたギアと、このギアに噛合し台座部210の回動に伴い移動するラックや回転するギアと、を適用してもよい。
【0059】
さらに、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向への移動を規制する構成、つまり、本発明の軸方向移動規制部を構成する回動軸方向付勢ばね部材290を設けない構成としてもよい。
また、本発明の軸方向移動規制部として、第2突出部243および軸受基部材281の間に設けられたばね部材と、回動軸方向付勢ばね部材290と、を適用し、ばね部材および回動軸方向付勢ばね部材290の付勢力のバランスにより、保持部材本体241の第1,第2回動軸244,245の軸方向への移動を規制する構成としてもよい。
【0060】
そして、保持部材本体241を第1,第2回動軸244,245の軸方向に沿って付勢する本発明の軸方向付勢手段と、保持部材本体241を回動させる状態に付勢する本発明の回動付勢手段と、を別体で構成し、例えば軸方向付勢手段を第1突出部242および第1軸受基部271の間に設け、回動付勢手段を第2突出部243および軸受基部材281の間に設ける構成としてもよい。
このような構成の場合、軸方向付勢手段として、針金を螺旋状に巻回して形成された軸方向付勢ばね部材や、樹脂などで構成された弾性部材などを適用して、軸方向付勢ばね部材や弾性部材が伸ばされた状態、あるいは、縮められた状態に変形された際の反力により、第1回動軸244の軸方向に沿って移動させてもよい。また、回動付勢手段として、針金を屈曲させて形成されたばね基部、および、このばね基部を構成する針金の両端側が互いに略対向する状態で略直線状に突出して構成された一対のばね端突出部を備えた回動付勢ばね部材、金属板を略U字状に屈曲させた板ばね部材、樹脂などで構成された弾性部材などを適用して、回動付勢ばね部材のばね端突出部が近づく状態、あるいは、離れる状態に変形された際の反力、弾性部材が伸ばされた状態あるいは縮められた状態に変形された際の反力により、回動させてもよい。
そして、回動付勢手段として、おもりを適用して、このおもりの重みにより、回動させてもよい。
【0061】
さらに、第1,第2回動軸244,245を仮想回動軸C1と交差する状態、具体的には、仮想回動軸C1と直交しない状態に設けてもよい。
そして、第1,第2回動軸244,245を回転用電動モータ300の中心を通る軸上に設けなくてもよい。
【0062】
また、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向への移動を規制する構成、つまり、本発明の径方向移動規制部を構成する第1V溝面272A1および第1軸受ばね部材275を設けずに、第1軸受基部271に第1回動軸244が挿通される略円形状に軸受孔部を設け、この軸受孔部にて第1回動軸244を軸受けする構成としてもよい。
さらに、本発明の径方向移動規制部として、第1軸受ばね部材275に対向する位置に設けられたばね部材と、第1軸受ばね部材275と、を適用し、ばね部材および第1軸受ばね部材275の付勢力のバランスにより、保持部材本体241の第1回動軸244の径方向への移動を規制する構成としてもよい。
【0063】
そして、ケース体110に、回動補助突出部113を設けずに、例えば台座部210に、保持部材本体241をテーブル台座平行状態からテーブル台座交差状態に移行させる構成を設けてもよい。ここで、このような移行させる構成としては、例えば第1回動軸244に設けたギアと、このギアに噛合し台座部210の回動に伴い移動するラックや回転するギアと、を適用してもよい。
【0064】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0065】
〔実施の形態の効果〕
上述したように、上記実施の形態では、ディスク装置100に、仮想回動軸C1を中心に回動可能に長手方向の一端側がケース体110に軸支された台座部210と、ターンテーブル310が設けられる保持部材本体241と、この保持部材本体241に設けられた第1,第2回動軸244,245と、台座部210に設けられ第1,第2回動軸244,245を受ける第1,第2軸受部270,280と、を設けている。
このため、台座部210を、仮想回動軸C1を中心に後退位置まで回動させた際に、第1,第2回動軸244,245を中心に保持部材本体241を台座部210に対して回動させて、台座上端面211Aおよびテーブル配置面241Bの面方向が略平行となるテーブル台座平行状態から、面方向が交差するテーブル台座交差状態に移行させることにより、面方向が略平行な回転軸上面311Aおよび上面114により構成される挿入スペースS1を形成することができる。
したがって、台座部210および保持部材本体241をそれぞれ独立的に回動させて、回転軸上面311Aおよび上面114の面方向を略平行にすることにより、台座部210が回動しない従来の構成と比べて、広い挿入スペースS1を形成することができる。また、傾斜ガイド孔によりピンを移動させて保持部材本体241を昇降させる従来の構成と比べて、がたの影響を抑制でき、ピックアップ装置430などとの位置関係を適切に保つことができる。また、台座部210を回動させることにより保持部材本体241を昇降させるので、一般的な構造を利用することができ、従来の構成のようにトルクが大きいモータなどを設ける必要がない。さらに、保持部材本体241を2個の回動軸を中心に回動させることにより昇降させるため、上下方向に直線運動させて昇降させる構成と比べて、自由度を小さくでき、昇降の規制を容易にできる。
よって、ターンテーブル310を簡単な構成で適切な位置に移動させることができる。
さらに、保持部材本体241が台座部210に対して回動しない構成と比べて広い挿入スペースS1を形成できるので、ディスク装置100の薄型化を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態に係るディスク装置の概略構成を示す一部を切り欠いた平面図である。
【図2】前記一実施の形態におけるディスク処理部を示す底面図である。
【図3】前記一実施の形態におけるターンテーブル保持部を示す平面図である。
【図4】前記一実施の形態における第1軸受部を示す側面図である。
【図5】前記一実施の形態における第2軸受部を示す平面図である。
【図6】前記一実施の形態における第2軸受部を示す側面図である。
【図7】前記一実施の形態における第2軸受部を示すガイドシャフト側から見た図である。
【図8】前記一実施の形態における台座部が進出位置まで回動した状態を示す模式図である。
【図9】前記一実施の形態における台座部が後退位置まで回動した状態を表す模式図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係る第1軸受部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0067】
100…ディスク装置
110…ケース体
113…後退時回動補助部としての回動補助突出部
210…情報処理部保持装置を構成する保持装置本体としての台座部
218…情報処理部保持装置および進出時回動位置決め部を構成する回動規制手段としての回動規制爪部
230…情報処理部を構成するディスク回転駆動手段
241…情報処理部保持装置を構成するターンテーブル保持部材としての保持部材本体
244,245…情報処理部保持装置を構成する保持部材回動軸としての第1,第2回動軸
270,280…情報処理部保持装置を構成する第1,第2軸受部
272A1,281J11,702A1…情報処理部保持装置および径方向規制手段を構成する外周面当接部としての第1,第2V溝面
275,283…情報処理部保持装置および径方向規制手段を構成する径方向付勢手段としての第1,第2軸受ばね部材
281…情報処理部保持装置および軸方向移動規制部を構成する軸受基部材
290…情報処理部保持装置を構成する回動付勢ばね部材および軸方向付勢ばね部材としても機能する回動軸方向付勢ばね部材
290A…針金
291…情報処理部保持装置および軸方向移動規制部を構成するばね基部としても機能する軸方向付勢手段としてのコイルばね部
292,293…情報処理部保持装置および進出時回動位置決め部を構成する回動付勢手段としての第1,第2ばね端突出部
312A…テーブル載置面
350…情報処理部を構成する移動処理手段
430…情報処理部を構成するピックアップ装置
700…情報処理部保持装置を構成する軸受部
705…情報処理部保持装置および径方向規制手段を構成する径方向付勢手段としての軸受板ばね部材
C1…仮想回動軸
X…ディスク状記録媒体としての光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状のケース体内に挿入されたディスク状記録媒体を保持するターンテーブルを備え前記ディスク状記録媒体に記録された情報を処理する情報処理部を、前記ディスク状記録媒体に対して進退可能に保持する情報処理部保持装置であって、
略枠状に形成され、一縁側が前記ディスク状記録媒体の略中央に対して進退する状態で、他縁側が前記ケース体の側縁近傍に回動可能に軸支される保持装置本体と、
前記ターンテーブルを保持するターンテーブル保持部材と、
前記保持装置本体の前記一縁側および前記ターンテーブル保持部材のうちいずれか一方に設けられ、いずれか他方に向けて略棒状に突出する保持部材回動軸と、
前記保持装置本体の前記一縁側および前記ターンテーブル保持部材のうちいずれか他方に設けられ、前記保持部材回動軸を受ける軸受部と、
を具備したことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理部保持装置であって、
前記ターンテーブルは、前記ディスク状記録媒体が載置されるテーブル載置面を備え、
前記保持装置本体の前記一縁側が前記ディスク状記録媒体に対して進出した際に、前記ターンテーブル保持部材を前記保持装置本体に対して回動させて、前記テーブル載置面の面方向が前記ディスク状記録媒体の面方向と略平行となる状態に位置決めする進出時回動位置決め部を具備した
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理部保持装置であって、
前記進出時回動位置決め部は、前記ターンテーブル保持部材を前記回動させる状態に付勢する回動付勢手段と、前記ターンテーブル保持部材に当接して、前記回動付勢手段の付勢による前記ターンテーブル保持部材の回動を前記テーブル載置面の面方向が前記ディスク状記録媒体の面方向と略平行となる状態で規制する回動規制手段と、を備えた
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理部保持装置であって、
前記回動付勢手段は、針金を屈曲させて形成されたばね基部、および、このばね基部を構成する前記針金の両端側が互いに略対向する状態で突出して構成された一対のばね端突出部を備え、一方の前記ばね端突出部が前記保持装置本体に係止され、他方の前記ばね端突出部が前記ターンテーブル保持部材に係止された状態で設けられ、前記一対のばね端突出部が互いに近づく状態または離れる状態で変形された際の反力により前記ターンテーブル保持部材を前記保持装置本体に対して回動させる状態に付勢する回動付勢ばね部材である
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の情報処理部保持装置であって、
前記ターンテーブル保持部材の前記保持部材回動軸の軸方向への移動を規制する軸方向移動規制部を具備した
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理部保持装置であって、
前記軸方向移動規制部は、前記ターンテーブル保持部材を前記保持部材回動軸の軸方向へ付勢する軸方向付勢手段と、前記ターンテーブル保持部材に当接して、前記軸方向付勢手段の付勢による前記ターンテーブル保持部材の前記保持部材回動軸の軸方向への移動を規制する軸方向規制手段と、を備えた
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理部保持装置であって、
前記軸方向付勢手段は、針金を螺旋状に巻回して形成され、前記螺旋状の軸方向の一端側が前記保持装置本体に係止され、前記軸方向の他端側が前記ターンテーブル保持部材に係止された状態で設けられ、前記軸方向の両端側が互いに近づく状態または離れる状態で変形された際の反力により前記ターンテーブル保持部材を前記保持部材回動軸の軸方向へ付勢する軸方向付勢ばね部材である
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理部保持装置であって、
前記ターンテーブルは、前記ディスク状記録媒体が載置されるテーブル載置面を備え、
針金を螺旋状に巻回して形成されたコイルばね部、および、このコイルばね部を構成する前記針金の両端側が前記コイルばね部の螺旋状の接線方向に互いに略対向する状態で突出して構成された一対のばね端突出部を備え、前記コイルばね部の螺旋状の軸方向の一端側が前記保持装置本体に係止され、前記軸方向の他端側が前記ターンテーブル保持部材に係止され、一方の前記ばね端突出部が前記保持装置本体に係止され、他方の前記ばね端突出部が前記ターンテーブル保持部材に係止された状態で設けられ、前記コイルばね部の軸方向の両端側が互いに近づく状態または離れる状態で変形された際の反力により前記ターンテーブル保持部材を前記保持部材回動軸の軸方向へ付勢するとともに、前記一対のばね端突出部が互いに近づく状態または離れる状態で変形された際の反力により前記ターンテーブル保持部材を前記保持装置本体に対して回動させる状態に付勢する回動軸方向付勢ばね部材と、
前記ターンテーブル保持部材に当接して、前記コイルばね部の付勢による前記ターンテーブル保持部材の前記保持部材回動軸の軸方向への移動を規制する軸方向規制手段と、
前記ターンテーブル保持部材に当接して、前記ばね端突出部の付勢による前記ターンテーブル保持部材の回動を前記テーブル載置面の面方向が前記ディスク状記録媒体の面方向と略平行となる状態で規制する回動規制手段と、
を具備したことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の情報処理部保持装置であって、
前記保持部材回動軸は、前記保持部本体の回動における回動軸と略平行となる状態で設けられた
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の情報処理部保持装置であって、
前記ターンテーブル保持部材の前記保持部材回動軸の径方向への移動を規制する径方向移動規制部を具備した
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理部保持装置であって、
前記径方向移動規制部は、面方向が交差する状態で設けられ前記保持部材回動軸の外周面に当接する一対の外周面当接部と、前記保持部材回動軸の外周面に当接し、前記保持部材回動軸を前記一対の外周面当接部の方向へ付勢する径方向付勢手段と、を備えた
ことを特徴とした情報処理部保持装置。
【請求項12】
略箱状に形成されディスク状記録媒体を収納可能なケース体と、
このケース体内に挿入されたディスク状記録媒体を保持するターンテーブルを備え前記ディスク状記録媒体に記録された情報を処理する情報処理部と、
この情報処理部を前記ディスク状記録媒体に対して進退可能に保持する請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の情報処理部保持装置と、
を具備したことを特徴としたディスク装置。
【請求項13】
請求項12に記載のディスク装置であって、
前記ターンテーブルは、前記ディスク状記録媒体が載置されるテーブル載置面を備え、
前記ケース体は、前記情報処理保持装置の前記保持装置本体の前記一縁側が前記ディスク状記録媒体に対して後退した際に、前記テーブル載置面の面方向が前記ディスク状記録媒体の面方向と略平行となる状態に、前記ターンテーブル保持部材を前記保持装置本体に対して回動させる後退時回動補助部を備えた
ことを特徴としたディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−146774(P2008−146774A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334362(P2006−334362)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】