説明

情報処理方法及び装置

【課題】電子文書の表示中の領域から参照される情報を同時に表示可能とすることにより、使用者の作業負担を軽減し、視認性の高い電子文書閲覧を可能とする。
【解決手段】所望の電子文書の内容を主ウインドウ中に表示する(S204)。この主ウインドウ中に表示されている電子文書の表示領域より、他の情報に関連づけられた参照情報が抽出される(S205)。そして、抽出された参照情報によって特定される参照先情報が取得され、取得された参照先情報を上記主ウインドウとは別の副ウインドウ上で表示する(S207)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書等の閲覧を行なうための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IT時代におけるデジタル書類によるコミュニケーションを実現するために、電子文書が普及している。中でも、米国アドビシステム社が開発したPortable Document Format(PDF)は、(1)表示するパソコンのOSや機種を問わない、(2)どのOS・機種で見ても同じ体裁で表示される、(3)文書の作成が容易、(4)文字や図表・画像などが効率よく圧縮されファイル容量が少なくて済む、(5)表現力がHTMLに優る、(6)閲覧に必要なのは無償配布の閲覧ソフト(Acrobat Reader(商標))のみである、等の特徴を有し、現在、配信用電子文書の事実上の世界標準となっている。
【0003】
また、このPDFでは、サムネール機能(ページのアイコンを選択することで、そのページに直接移動する機能)、しおり機能(印をつけた文書内の別の表示またはページに直接移動する機能)、或いはリンク機能(同一文書内の別の場所、別の電子文書またはWebサイトへジャンプする機能)といった文書ナビゲーションのための機能が用意されている。これらの機能使えば、同一文書内、あるいは複数の文書間で、効率的に場所(ページ)を移動することが可能である。
【0004】
しかしながらこのPDFのナビゲーション機能では、リンクが張られた場所(文書ページ)へのスムーズな移動は可能であるが、リンク先に移動せずにリンク先の情報を取得することは困難である。したがって、電子文書内のあるページを閲覧中にそのページに存在する所望のリンク先の情報を取得する場合は、まずリンク先のページに移動し、次に移動したページの情報を確認(取得)し、そして元の電子文書のページに戻るといった多くのステップを踏まなければならなかった。このことは、ユーザに余計な作業負担を強いるだけでなく、ユーザの閲覧効率を著しく低下させる原因となっている。
【0005】
このような問題を解決するため、電子文書中の文字列や図形などに関連付けられた他の情報(参照先の情報)を、同文書が表示されているウィンドウ(これを主ウィンドウという)とは別のウィンドウ(副ウィンドウ)に表示する機能を持った電子文書閲覧用のシステムが提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、表示中の文章中より所望の文字列を選択した際、同一文書内にその文字列に関連付けられて記憶された図形や画像等の関連情報が存在する場合には、その関連情報を独立したウィンドウに表示する情報表示装置が提案されている。また、特許文献2では、Webページを表示する際、元ページと複数のリンクページを同時に表示するページ表示処理装置が提案されている。さらに、特許文献3では、Webブラウザでリンクがはってある場合、マウスクリックすることなく、そのリンク情報を自動で連続的に表示する自動ページ表示装置が提案されている。
【特許文献1】特開平7−78148号公報
【特許文献2】特開平10−40062号公報
【特許文献3】特開平11−143674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜3が提供する電子文書閲覧用のシステムでは、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1では、副ウィンドウ上に表示される情報は同一文書内の情報に限られている。また、Webページの情報への参照については何ら言及されていない。特許文献2では、元になるWebページ全体に含まれるすべてのリンク(参照)に対応するリンクページ(=参照先情報)が、常に複数の副ウィンドウに同時に表示される。このため、現在の表示中の領域以外のリンクページまでもが画面上に表示されることになる。このことは画面の表示状態を煩雑にし、視認性悪化の原因になっていた。また、特許文献2には、Webページに特化した技術が開示されているのみである。更に特許文献3では、元となるWebページ全体のリンク先の情報を自動で連続的に表示している。このため、特許文献2と同様に現在の表示中の領域以外の参照先情報までもが画面上に表示されてしまい、視認性を悪化させていた。また、所望のリンク先情報(参照先情報)を所望の時間確認することはできなかった。また、特許文献3もWebページに特化された技術を開示するのみである。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、電子文書の表示中の領域から参照される情報を同時に表示可能とすることにより、使用者の作業負担を軽減し、視認性の高い電子文書閲覧を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明による情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
電子文書を閲覧するための情報処理装置であって、
電子文書の内容を第1ウインドウ中に表示する第1表示手段と、
前記電子文書の前記第1ウインドウに表示中の領域より、他の情報に関連づけられた参照情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された参照情報によって特定される参照先情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された取得先情報を前記第1ウインドウとは別のウインドウで表示する第2表示手段とを備える。
【0010】
また、上記の目的を達成するための本発明による情報処理方法は、
電子文書を閲覧するための情報処理方法であって、
電子文書の内容を第1ウインドウ中に表示する第1表示工程と、
前記電子文書の前記第1ウインドウに表示中の領域より、他の情報に関連づけられた参照情報を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で抽出された参照情報によって特定される参照先情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された取得先情報を前記第1ウインドウとは別のウインドウで表示する第2表示工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子文書の表示中の領域から参照される情報を同時に表示することが可能となり、使用者の作業負担を軽減するとともに視認性の高い電子文書閲覧を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
<第1実施形態>
まず、本実施形態の電子文書閲覧システムによる電子文書の表示の概念を図3を参照して説明する。図3に示すように、電子文書301のうちの一部の領域が主ウインドウ322に表示されているとする(表示中の領域を表示領域302とする)。表示領域302には同一文書内への参照303、他の文書への参照312、およびWebページへの参照322が含まれている。本実施形態では、電子文書(全体)301内の表示中の領域302(画面321上の主ウィンドウ322内に表示されるもの)に含まれるこれら複数の参照(他の情報に関連付けられた文字列、図表、画像等)の夫々が指し示す参照先の情報(図表、画像、章項節などの見出し区分等の情報)を、同一文書301、文書データベース中の他の文書311、あるいはWWWネットワーク321内のWebサイトから取得して、主ウィンドウ322とは別の副ウィンドウ323へ自動的に表示する。
【0014】
以下、上記のような電子文書閲覧のための表示動作を実現するための具体的な構成について説明するが、本発明はかかる実施形態によって限定されるものではない。
【0015】
図1は第1実施形態による電子文書閲覧システムを実現するための情報処理装置の構成を示すブロック図である。図1において、記憶装置102は不揮発性のメモリ(例えばハードディスク)を含んで構成され、複数の電子文書を格納するのに用いられる。キーボード103やマウス104は、オペレータが文字情報や各種指示等をシステムへ入力するためのデータ入力装置である。
【0016】
CPU101は、電子文書閲覧システム全体の動作を管理・制御する。RAM105は、CPU101が各種処理を実行するための作業領域を提供するものであり、後述の表示領域データや参照情報テーブル等のデータを一時的に記憶するためにも利用される。VRAM106は、表示装置107に表示する情報を展開するVideo用のRandam Access Memoryである。表示装置107は、例えばCRTディスプレイ或いは液晶ディスプレイ等で構成され、本閲覧システムの処理状態をオペレータに知らしめるための表示や、閲覧のための電子文書表示を行なう。通信装置108は、しかるべき通信回線を介してインターネット109との接続を確立するものであり、World Wide Web(WWW)サイトにある情報源(Webサイト)へアクセスする際に用いられる。
【0017】
以上のように構成された電子文書閲覧システムにおいて実行される文書表示処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2は図1に示した情報処理装置によって実行される文書表示処理を説明するフローチャートである。なお、図2に示される、電子文書閲覧システムによる文書表示処理は、例えば、システムのオペレータがマウス104によりシステム起動の指示を与えることにより起動される。
【0018】
まずCPU101は、ステップS201において、表示装置107上に電子文書の選択のためのダイアログを表示する。このダイアログ上には、記憶装置102内の文書データベースに格納されている電子文書名の一覧が表示され、システムオペレータはこの一覧の中から所望の文書を選択できる。文書の選択方法としては、一覧表示された文書からオペレータがマウス104を用いて所望の文書を選択する、或いはキーボード103を用いてファイル名入力欄へ所望のファイル名を入力する等が挙げられる。
【0019】
文書が選択されると、CPU101はその該当する文書データをRAM105上に読み込む。この文書データ中には他の情報への参照を示す参照情報が含まれる。なお、この参照情報には、あらかじめ、同一文書内、他の文書内、或いはWebページの内の参照場所を示す適切な場所データが割り当てられているものとする。本実施形態では、この場所データは、参照先種別(1:同一文書内、2:他の文書、3:Webサイトのいずれか)、および参照領域(参照先の文書や参照先の文書における参照領域を示すデータ)の2つから構成されるものとする。参照領域は、参照先のWebページのURLや文書ファイルへのパスを記述するアドレス部と、当該参照先のページ中もしくはファイル中の参照情報の場所を記述する場所情報部とから構成される。場所情報部中の場所は、例えば、Webページのアンカー、ページ番号、見出し区分(表紙、目次、章、項、付録、索引など)、文書中範囲(開始位置および終了位置)、矩形領域座標値、図表番号などで表す。
【0020】
次に、ステップS202へ進み、CPU101は、ステップS201で読み込んだ電子文書の先頭の適当な領域を表示領域データとして設定し、RAM105内へ格納する。ただしこの表示領域データは、電子文書中の部分領域が適切な形式で示されたデータであるとする。
【0021】
次に、ステップS203において、CPU101は、RAM105内の参照情報テーブルの内容をリセットする。この参照情報テーブルは図5に示したような形式を有し、各行が、参照(文書内から抽出した参照を示す文字列)、状態(0:表示終了、1:情報取得後に表示、2:表示中)、参照先種別(上述の場所データの一項目)、および参照領域(上述の場所データの一項目)を格納するものであるとする。
【0022】
次に、ステップS204において、CPU101は表示装置107の表示画面上に主ウインドウを開き、選択された電子文書の表示領域に該当する部分を当該主ウインドウに表示する。図4は本実施形態による表示装置107への表示の様子を示す図である。CPU101は、本システムの起動後に最初にステップS204を実行する場合、すなわちまだ画面401上に主ウィンドウが表示されていない場合、まず画面401(表示装置107)上へ主ウィンドウ402を表示する。そして、CPU101は、RAM105内の表示領域データを元に、文書内のしかるべき表示領域を主ウィンドウ402上へ表示する。
【0023】
次に、ステップS205において、CPU101は、主ウィンドウ402上の表示領域に含まれる参照、例えば、場所データが割り当てられている文字列とその場所データを抽出する。図4の主ウインドウ402には、場所データが割り当てられている文字列として、403a、403b、404、405が示されている。従って、これら文字列と各々の場所データを抽出し、ステップS206にて参照情報テーブルを更新する。
【0024】
ステップS206における参照情報テーブルの更新処理について図7のフローチャートを参照して説明する。図7は参照情報テーブルの更新処理を説明するフローチャートである。
【0025】
まず、CPU101は、ステップS701において、ステップS205で抽出した複数の参照を示す文字列(403a、403b、404、405)について重複をチェックし、重複するものについては一つだけにする。なお、本実施形態では簡単のため、同一の文字列には同一の参照先情報が関連付けられているものとする。したがって、参照を示す文字列の重複をチェックすることにより、参照の重複を判定することができる。
【0026】
次に、ステップS702以降の処理により、重複チェック後の文字列(複数)の夫々と、図5に示した参照情報テーブル上の参照欄501の文字列とを比較し、以下のように参照情報テーブルのデータを更新する。まず、重複チェック後の文字列がテーブルの参照欄501に存在するかどうかをチェックする(ステップS703)。真の場合、すなわち既に参照情報テーブルに当該文字列が存在する場合は、次の文字列に処理を移すべくステップS702へ戻る。一方、偽の場合、すなわち当該文字列が参照情報テーブルに存在しない場合は、同文字列の参照先の情報が表示中の領域(ページ)に存在するかどうかをチェックする(ステップS704)。
【0027】
ステップS704の判断結果が真の場合、すなわち当該文字列の参照先の情報が表示中の領域に存在する場合は次の文字列に処理を移すべくステップS702へ戻る。この場合の参照先の情報はすでに主ウインドウ内に表示されており、副ウインドウに表示する必要はないからである。一方、偽の場合、すなわち当該文字列の参照先の情報が表示中の領域に存在しない場合は、ステップS705へ進み、参照情報テーブルへ新しい行を追加し、その行へ必要情報を設定する。すなわち、参照欄501へは参照を示す当該文字列を、状態欄502へは「情報取得後に表示」を表す“1”を、参照先種別欄503へは当該文字列に関連づけられている場所データ中の参照先種別のデータを、また、参照領域欄504には当該場所データ中の参照領域のデータをそれぞれ代入する(図5の例ではNo.4、5の参照情報がステップS705で追加された参照情報である)。
【0028】
なお、重複チェック後の文字列がすでにテーブルの参照欄501に存在する場合は、その行は変更しないでそのままにする。図5の例では、No.2とNo.3の参照情報がそのような参照情報の例として示されており、状態欄502には既に「表示中」であることを示す“2”が代入されている。
【0029】
以上のステップS703〜S705の処理を重複チェック後の文字列のすべてに対して行なうと、処理はステップS702からステップS706へ進む。ステップS706において、CPU101は、参照欄501の文字列の中で重複チェック後の文字列中に存在しないものがあるかどうかをチェックする。存在する場合はステップS706へ進み、該当するすべての行の状態欄502を“0”(=情報表示終了)に変更する。図5では、参照情報テーブル中のNo.1がそのような状態を示している(“図1”という文字列は主ウインドウ402の表示領域に含まれなくなったため)。
【0030】
説明を図2のフローチャートに戻す。以上のステップS206によって参照情報テーブルを更新すると、処理はステップS207に進み、参照情報によって指し示される参照先情報を副ウインドウに表示する。ステップS207における、参照先情報表示処理の流れの詳細を図8により説明する。図8は本実施形態の参照先情報の表示処理を説明するフローチャートである。
【0031】
まず、ステップS801において、CPU101はRAM105内の参照情報テーブル(図5参照)の各行についての処理を終えたか否かを判断する。真の場合は、本処理における参照先情報の表示処理を終了する。偽の場合は、処理対象の行を次に進めた(ステップS802)後、その行の状態欄502の値(“0”、“1”、“2”)に応じて処理を分岐する(ステップS803)。
【0032】
状態欄502の値が“0”(=情報表示終了)の場合(例えば、図5のNo.1)はステップS804へ進み、CPU101は、画面401上の既に参照先情報を表示している副ウィンドウをクローズする。そしてステップS805へ進み、参照情報テーブル上のその行を削除する。
【0033】
また、状態欄502の値が“1”(=情報取得後に表示)の場合(例えば、図5のNo.4、5)は、ステップS806へ進み、その参照先種別欄503の値(“1”、“2”、“3”)に応じて、夫々、ステップS807、S808、S809へ分岐する。
【0034】
また、状態欄502の値が“2”(=表示中)の場合(例えば、図5のNo.2,3)は、既にその参照先情報が副ウィンドウ上に表示されており(例えば、図4では406a,b)、その副ウィンドウについてはその表示状態を維持するので、何もしないでステップS801へ戻る。
【0035】
さて、状態欄502の値が“1”であり、参照先種別欄503の値が“1”(=同文書)の場合、処理はステップS807に進む。ステップS807では、まず、RAM105上に展開されている当該文書データの参照501が指し示す位置より、参照領域欄504の情報に基づいて適切な領域のデータを参照先情報として取得する。次に、表示装置107を介して画面401上に新しく適切な大きさの副ウィンドウを作成し、その副ウィンドウを画面401上の適当な位置に配置し、取得した参照先情報を表示する。その後、テーブル上のこの参照情報の状態欄502を“2”(=表示中)に変更する。例えば、図4の主ウインドウ402に始めて場所データが付与された“図2”、“図5”が登場した時点では、この処理により当該文書データより参照先情報が取得され、副ウインドウ406a,bが新規に表示されることになる。
【0036】
状態欄502の値が“1”であり、参照先種別欄503の値が“2”(=他の文書)の場合、処理はステップS808へ進む。ステップS808では、参照領域欄504の情報を参照して、文書データベース(記憶装置102内)における他の電子文書中の、しかるべき領域の情報を参照先情報として取得する。例えば、参照領域欄504の情報は、参照先のデータファイルを特定するアドレス、文書名、並びに参照情報として取得すべき領域情報が含まれる。次に、ステップS807と同様に画面41上に新しく適切な大きさの副ウィンドウ407を作成し、そのウィンドウを画面401上の適当な位置(図4では主ウィンドウ402の右上)に配置した上で、取得した参照先情報を表示する。その後、上記ステップS807と同様に参照情報テーブル上の当該参照情報の状態欄を“2”(=表示中)に変更する。
【0037】
状態欄502の値が“1”であり、参照先種別欄503の値が“3”(=Webサイト)の場合、処理はステップS809へ進む。ステップS809では、参照領域欄504の情報に基づいて、通信装置108を介して、その参照情報が指し示すWebページのしかるべき領域の情報を、インターネット109上のWWWサイトから参照先情報として取得する。ここで、参照領域欄504の情報にはサイトを示すアドレス(URL)や抽出すべき領域を示す情報が含まれる。なお、参照を示す文字列(参照欄501のURL)から、参照先情報を取得すべきWWWページや領域を決定してもよい。
【0038】
この際のWebページを取得するために仕組みは、次のような典型的なものを用いることができる。すなわちまず、クライアントとしての通信装置108がインターネット上にWebサイトを公開しているWebサーバ(httpd)に対して、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)用のTCP/IPのポート番号80でコネクションを張り、所望の場所(URL)にあるWebページを要求する(PUTする)。すると、このWebサーバは要求された場所(URL)にある、HTML(Hyper Text Modeling Language)で記述されたWebページを、HTTPの応答としてクライアント側へ返す(POSTする)。クライアント側では、受取ったWebページ(HTML)の情報を解釈して、適切なレイアウトで画面上に表示する。
【0039】
以上のようにしてWebページの情報を取得した後、CPU101は、上記ステップS807やS808と同様に画面上に新しく適切な大きさの副ウィンドウを作成し、そのウィンドウを画面401上の適当な位置(図4では主ウィンドウ402の右下)に配置した上で、前記取得した参照先情報を表示する(408)。なお、この際、副ウィンドウの代わりに、既存のWebブラウザ(Netscape NavigatorやInternet Explorer等)を用いて表示してもよい。その後、ステップS807やS808と同様に、参照情報テーブル上の当該参照情報の状態欄502の値を“2”(=表示中)に変更する。
【0040】
以上説明したステップS207の処理結果として、図4に示すように、主ウィンドウ402の表示領域に含まれる、同一文書内への参照403a,403b、文書データベース中の他の文書への参照404、Webサイトへの参照405が指し示す参照先の情報が、夫々の情報源から取得された上で、別々の副ウィンドウ(それぞれ406a,406b,407,408)の上に表示される。
【0041】
なお、参照を示す文字列とその参照先情報のウィンドウのタイトルバーを参照先種別に応じて色分けして示してもよい。
【0042】
再び図2に説明を戻す。ステップS207による上記表示処理を終えると、ステップS208へ進み、主ウィンドウ402上でのページ操作の有無を判断する。すなわち、CPU101は、主ウィンドウ上402でページの順次送り(マウス104でスクロールバー421を操作)、ページの拡大・縮小(マウス104でウィンドウサイズ変更ハンドル422を操作)、ページのジャンプ(キーボード103を用いて、ページ表示欄423へジャンプするページを入力)等のページ操作が行われたか否かを判断する。真の場合は、操作後の表示領域をもってRAM105内の表示領域データを更新した後、ステップS204へ戻る。偽の場合はステップS209へ進む。
【0043】
ここで、ステップS208におけるページ操作による参照先情報の表示の変化の様子を図6を用いて説明する。図6は、図4の状態から、スクロールバー621の操作により、ページ(表示領域)が後方に送られた状態を示している。この場合、参照先403a、403bは主ウィンドウ602上の表示領域から外れているので、これら参照先403aと403bの参照先情報を表示していた副ウィンドウ406a、406bを閉じる。そして、新たに表示領域に入った参照先631aと631bに対応する参照先情報を取得し、新たに作成した副ウィンドウ上に表示する(641a,641b)。なお、CPU101は、継続して表示領域に含まれている604と605に対する参照先情報を表示する副ウィンドウ407、408についてはそのままの状態で表示を維持している。
【0044】
以上のように、電子文書の表示領域がページ操作等により変更された際に、画面上に表示する参照先情報をそれに応じて動的に変化させることができる。
【0045】
ステップS209において、CPU101は、コマンド入力装置であるマウス104によって、処理終了の指示が入力されたか否かを判断し、真の場合は本文書閲覧システムの文書表示処理を終了し、偽の場合はステップS208へ処理を戻す。
なお、従来技術における特許文献3では、複数のリンク先情報を次々に自動で切り替えることで、連続的に表示しているため、時間をかけて確認したいリンク先情報があっても途中で止めて見ることができなかったが、本実施形態では主ウィンドウの表示領域中のリンクが当該表示領域内に含まれている間は、そのリンクに対するリンク先情報を表示した副ウィンドウが画面上に保持されるため、表示領域を動かさないようにすることで、所望のリンク先情報を所望の時間確認することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、電子文書の表示中のページ(領域)に含まれる参照を抽出し、抽出した参照に関連付けられた参照先の情報の内、表示中のページ(領域)に含まれないものについて、同一文書、文書データベース内の他の文書、およびWWWネットワークから参照先情報を取得し、取得した参照先情報を副ウインドウ上に表示する。これにより、電子文書の閲覧時に、表示中の領域に含まれる参照先情報を、同一文書、文書データベース内の他の文書、あるいはWWWサイトから容易に取得することが可能となる。また、参照先情報は、表示領域内に含まれる参照に対応するもののみが表示されるので、視認性が良好である。
【0047】
また、ページ送りやウィンドウリサイズ等のページ操作により前記表示中のページ(領域)に含まれる参照の構成が変化した場合、それに応じて副ウィンドウに表示する参照先情報を動的に切り替えることで、常に表示中の領域に関連付けられた参照先の情報のみが副ウィンドウ上に表示される。これにより、オペレータの作業負担を軽減する視認性が良い電子文書閲覧システムの提供が可能となる。
【0048】
なお、上記実施形態では、取得された複数の参照先情報を参照情報毎に異なる複数の副ウインドウで表示したが、これら参照先情報を1つの副ウインドウにまとめて表示するようにしてもよい。
【0049】
また、上記ステップS205では、表示領域から参照を抽出するのに、場所データが付与されているか否かをチェックしたがこれに限られない。例えば、電子文書の文字列を意味的に解釈して、参照として抽出するようにしてもよい。例えば、“http:”で始まる文字列(リンク先情報が付与されていないもの)があったら、WebページのURLへの参照として判断する。また、“XXXX報告書の第4章を参照”のような文字列(同じくリンク先情報が付与されていないもの)が存在したら、ファイル名“XXXX”と、そのファイル中の参照情報の場所“第YY章”を意味的に抽出し、適切なデータベースから当該ファイルを検索してそのファイルパスを算出するといったことが挙げられる。
【0050】
また、上記例では場所データは文字列に付与されているが、電子文書中の文字列以外に、文字域、図表、画像或いは図形等に対して付与することもできる。
【0051】
また、上記参照先情報は、参照領域欄504によって特定される電子文書或いはWebページ中の所定の領域の情報であるが、この所定の領域としては、例えば、見出し区分(表紙、目次、章、項、節、付録、索引など)又は図表を単位とすることができる。また、文書中の何文字目〜何文字目といった形態の指定方法も採用可能である。更に、参照領域欄504によって特定される参照先情報は、電子文書内の情報、当該情報処理装置内の記憶手段に格納された該電子文書以外の電子文書内の情報、或いはネットワーク上のWebページ内の情報のいずれかへ関連付けられるようにもできる。
【0052】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0053】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0054】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0055】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0056】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0057】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0058】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0059】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0060】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態の文書閲覧システムにおける情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した情報処理装置によって実行される文書表示処理を説明するフローチャートである。
【図3】本実施形態の電子文書閲覧システムによる電子文書の表示の概念を説明する図である。
【図4】本実施形態による表示装置107への表示の様子を示す図である。
【図5】本実施形態による参照情報テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図6】図4に示した表示状態から、ページ操作後の画面上の参照先情報の表示の変化の様子について示した図である。
【図7】参照情報テーブルの更新処理を説明するフローチャートである。
【図8】参照先情報表示処理を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書を閲覧するための情報処理装置であって、
電子文書の内容を第1ウインドウ中に表示する第1表示手段と、
前記電子文書の前記第1ウインドウに表示中の領域より、他の情報への参照先を表す参照情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された参照情報によって特定される参照先情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された参照先情報を前記第1ウインドウとは別のウインドウで表示する第2表示手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第2表示手段では、前記第1ウインドウに表示中の領域内に存在しない参照先情報が表示されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2表示手段は、複数の参照先情報を別々のウインドウに表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2表示手段は、更に、参照情報の割り当てられた部分が前記第1ウインドウ中の表示領域の外へ出た場合に、当該参照情報に対応する参照先情報を表示しているウインドウを閉じることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記参照情報は、前記電子文書中の文字列、文字域、図表、画像或いは図形の少なくとも何れかに対して付与されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2表示手段は、前記取得手段で取得された参照先情報を、前記第1ウインドウとは異なる1つのウィンドウにまとめて表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、前記電子文書内の文字列を意味的に解釈して、参照情報として抽出することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記参照情報によって特定される参照先情報は、前記電子文書内の情報、当該情報処理装置内の記憶手段に格納された該電子文書以外の電子文書内の情報、或いはネットワーク上のWebページ内の情報のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記参照先情報は、電子文書或いはWebページ中の所定の領域の情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記所定の領域は、文書を構成する見出し区分又は図表であることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
電子文書を閲覧するための情報処理方法であって、
電子文書の内容を第1ウインドウ中に表示する第1表示工程と、
前記電子文書の前記第1ウインドウに表示中の領域より、他の情報への参照先を示す参照情報を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で抽出された参照情報によって特定される参照先情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された参照先情報を前記第1ウインドウとは別のウインドウで表示する第2表示工程とを備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるための制御プログラムを格納する記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−3999(P2006−3999A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177341(P2004−177341)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】