説明

情報処理装置、その制御方法、およびその制御プログラム

【課題】ユーザのタッチパネル上での操作性を向上させることが可能な情報処理装置、その制御方法、およびその制御プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、タッチ操作の入力を受け付け可能な表示部と、表示部の表示制御に用いられる、表示部において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶部と、記憶部に格納されている表示態様情報に基づいて表示部の表示制御を行なうための制御部とを含む。制御部は、所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するユーザ操作取得部と、表示部に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために表示態様情報を補正する補正部とを含む。補正部は、取得された第1の操作情報と、予め記憶部に格納されている第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて表示態様情報を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを介して表示画面を操作可能な情報処理装置、その制御方法、およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ機能付きの表示画面を有するコンピュータ、携帯端末装置などの電子機器は、直感的な操作で情報の入出力を行なうことができることから、特に近年注目されている。タッチ機能付きの表示画面には、その前面に透明なタッチパネルが設置されており、使用者が表示画面に表示された画像やピクトグラムなどを指やペンなどで触れることで情報を入力したり、外部に情報を発信したりする。そして、タッチパネルを搭載した電子機器の普及に伴い、各種のタッチ機能付き電子機器が提案されている。
【0003】
例えば、特開平11−102274号公報(特許文献1)には、タッチパネルに接触している指の数を検出することで、タッチパネル上で指スライドによるスクロール操作を、オブジェクトのドラッグ操作と区別するスクロール装置が提案されている。
【0004】
例えば、特開2006−277588号公報(特許文献2)には、タッチパネル上で指先のスライド方向に応じた処理(例えばボリュームUP/DOWN等)を行う場合、スライドさせる方向に応じて検出感度を変化させることにより、スライド操作によるユーザへの負担を軽減する電子機器が提案されている。
【0005】
例えば、特開2009−140210号公報(特許文献3)には、指でタッチパネルを押して上下方向または左右方向にスライドさせたとき、タッチパネルに指がタッチし始めた開始点と、指の動きが止まった終了点の二点の情報から、どの方向を上下方向にしようとしているか、また操作キーを配置する基準位置がどこかを求め、当該求めた方向と基準位置に基づいて操作キーを配置することにより、ユーザのブラインド入力を可能とした情報入力装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−102274号公報
【特許文献2】特開2006−277588号公報
【特許文献3】特開2009−140210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記に示された技術によると、タッチパネル上におけるユーザのタッチ操作時の癖や、ユーザの手の大きさなどのような、タッチ操作に影響を与えるユーザ固有の特徴が考慮されたものではないため、ユーザにとってはタッチパネル上での操作性が必ずしもよくないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、ユーザのタッチパネル上での操作性を向上させることが可能な情報処理装置、その制御方法、およびその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に従う情報処理装置は、タッチ操作の入力を受け付け可能な表示部と、表示部の表示制御に用いられる、表示部において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶部と、記憶部に格納されている表示態様情報に基づいて表示部の表示制御を行なうための制御部とを含む。制御部は、表示部に表示される所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するユーザ操作取得部と、表示部に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために表示態様情報を補正する補正部とを含む。補正部は、取得された第1の操作情報と、予め記憶部に格納されている第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて表示態様情報を補正する。
【0010】
好ましくは、制御部は、補正された表示態様情報に基づいて表示部の表示制御をする。
好ましくは、表示態様情報は、所定のタッチ操作をした際の表示画面の移動量を示す移動量情報を含み、補正部は、比較結果に基づいて移動量情報を補正する。
【0011】
好ましくは、表示態様情報は、所定のタッチ操作をした際の表示画面の移動速度を示す移動速度情報を含み、補正部は、比較結果に基づいて移動速度情報を補正する。
【0012】
好ましくは、表示態様情報は、所定のタッチ操作をした際の表示画面の移動方向を示す移動方向情報を含み、補正部は、比較結果に基づいて移動方向情報を補正する。
【0013】
好ましくは、表示態様情報は、所定のタッチアップのタッチ操作に従い位置の変化を示すタッチ挙動情報を含み、補正部は、比較結果に基づいてタッチ挙動情報を補正する。
【0014】
好ましくは、補正部は、表示部に表示される所定のタッチ操作によって所定の画面移動量で移動させる所定の画面においてユーザのタッチ操作に応じて取得されたタッチ操作回数と、予め記憶部に格納されている基準タッチ操作回数とを比較し、比較結果に基づいて移動量情報あるいは移動速度情報を補正する。
【0015】
好ましくは、補正部は、表示部に表示される所定のタッチ操作によって所定の画面移動方向で移動させる所定の画面においてユーザのタッチ操作に応じて取得された移動方向と、予め記憶部に格納されている基準タッチ移動方向とを比較し、比較結果に基づいて移動方向情報を補正する。
【0016】
好ましくは、補正部は、表示部に表示される所定のタッチ操作によって所定の領域内でタッチアップさせる所定の画面においてユーザのタッチ操作に応じて取得されたタッチ挙動情報と、予め記憶部に格納されている基準タッチ挙動情報とを比較し、比較結果に基づいてタッチ挙動情報を補正する。
【0017】
本発明の別の局面に従うと、タッチ操作の入力を受け付け可能な表示手段と、表示手段の表示制御に用いられる、表示手段において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶手段とを含む情報処理装置の制御方法が提供される。情報処理装置の制御方法は、記憶手段に格納されている表示態様情報に基づいて表示手段の表示制御を行なうステップと、表示手段に表示される所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するステップと、表示手段に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために表示態様情報を補正するステップとを含む。補正するステップは、取得された第1の操作情報と、予め記憶手段に格納されている第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて表示態様情報を補正することを含む。
【0018】
本発明のさらに別の局面に従うと、タッチ操作の入力を受け付け可能な表示手段と、表示手段の表示制御に用いられる、表示手段において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶手段とを含む情報処理装置のコンピュータに実行させる制御プログラムが提供される。記憶手段に格納されている表示態様情報に基づいて表示手段の表示制御を行なうステップと、表示手段に表示される所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するステップと、表示手段に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために表示態様情報を補正するステップとを実行させる。補正するステップは、取得された第1の操作情報と、予め記憶手段に格納されている第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて表示態様情報を補正することを含む。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によって、ユーザのタッチパネル上での操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に従う情報処理装置の外観を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う情報処理装置の主な処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に従う情報処理装置の主な機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報を取得するための操作例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報を格納する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に従う情報処理装置における移動量情報を補正する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に従うフリック操作の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う移動方向情報の補正に用いられるユーザ操作情報を取得するための操作例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う移動方向情報の補正に用いられるユーザ操作情報(角度情報)を格納する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に従う情報処理装置における移動方向情報を補正する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に従う移動方向情報の補正方式を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態に従うタッチアップ挙動情報の補正に用いられるユーザ操作情報を取得するための操作例を示した図である。
【図14】本発明の実施の形態に従うタッチアップ挙動情報の補正に用いられるユーザ操作情報(位置変化量情報)を格納する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に従う情報処理装置におけるタッチアップ挙動情報を補正する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態に従うタッチアップ挙動情報の補正方式を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての同一部分については、その詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
[用語]
本明細書においては、スライド操作とは、タッチパネルに指やペンで接触している状態で、タッチパネルを指やペンで触れたまま移動させる操作のことである。タッチアップ操作とは、タッチパネルに接触していた指やペンを離した操作であり、タッチダウン操作とは、タッチパネルに指やペンで接触する操作のことである。
【0023】
また、フリック操作とは特に素早くスライドさせる操作をいう。具体的には、フリック操作とは、タッチパネル上に指を触れたままで動かして、そのまま離す操作であり、言い換えればタッチパネル上を指ではじくようになぞるスライド操作のことである。
【0024】
また、表示態様情報とは、タッチパネルへのタッチ操作態様に対するディスプレイの表示制御方式を示す情報である。具体的には、例えば、タッチパネル上でスライド操作させた際の移動量(スライド量)、移動速度(スライド速度)、移動方向(スライド方向)に対応する、表示画面の移動量を示す移動量情報、移動速度を示す移動速度情報、移動方向を示す移動方向情報である。また、表示態様情報とは、タッチアップ操作した際のタッチ位置の位置変化量に対する表示画面の移動変化量を示すタッチアップ挙動情報も含む。
【0025】
[1.全体構成]
まず、本発明の実施の形態に従う情報処理装置の全体構成について説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置の外観を示す模式図である。
図1を参照して、情報処理装置1は、表示部としてのディスプレイ140と、ディスプレイ140に関連付けられたタッチパネル130と、各種の操作を行なうための入力キー群121とを含む。ディスプレイ140には、アプリケーションのコンテンツやデータなどが表示される。例えば、ディスプレイ140は液晶ディスプレイであるが、これに限らず有機ELディスプレイなどであってもよい。また、ディスプレイ140には透明なタッチパネル130が取り付けられており、ユーザからのタッチ操作に伴う各種の指示を受け付けることが可能である。また、入力キー群121は、表示画面を遷移させる画面遷移キー、所定の指示に対する確定キー、キャンセルキーなどを含む。
【0027】
[2.ハードウェア構成]
次に、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1のハードウェア構成について説明する。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0029】
図2を参照して、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)100と、通信部110と、入力部120と、出力部122と、入出力ポート124と、タッチパネル130と、タッチパネルドライバ132と、ディスプレイ140と、表示ドライバ142と、メモリ150と、ROM(Read Only Memory)160とを含む。
【0030】
CPU100は、後述するROM160などに記憶されたプログラムを読み出して実行することで、情報処理装置1の全体処理を実現する。より詳細にはCPU100は、当該プログラムを実行することによって、後述する情報処理装置1の処理(ステップ)の各々を実現する。なお、CPU100は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)およびその他の演算機能を有する回路のいずれであってもよい。
【0031】
通信部110は、ネットワークインターフェイスなどによって実現される。通信部110は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介して外部装置との間でデータを送受信する。例えば、通信部110は、インターネットを介してコンテンツ情報を取得したりする。
【0032】
入力部120は、入力キー群121、マイクロフォン、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのメモリ装着部などを含む。入力キー群121から入力される各キーに対応する信号は、入出力ポート124を介してCPU100によって処理され、操作された入力キーに対応する制御を行う。
【0033】
出力部122は、CPU100から入出力ポート124を介して得られる信号を出力する。出力部122は、スピーカを含み、入出力ポート124から得られた信号に対応する音声を出力可能である。したがって、音声データを含むコンテンツデータを再生する際にスピーカを介して音が発生する。
【0034】
入出力ポート124は、入力部120および出力部122と、CPU100との間に介在されて、入力部120および出力部122と、CPU100とで用いられる信号の変換を行う。
【0035】
タッチパネルドライバ132は、ディスプレイ140に設けられたタッチパネル130の駆動制御を行なうものであり、ユーザからのタッチ操作を検出すると、座標、感度、及び接触数といった情報をCPU100に出力する。なお、タッチパネルドライバ132は、図2のようにハードウェアとして設けられていてもよいし、CPU100が適切なプログラムを実行することによって、ソフトウェアとして設けられてもよい。
【0036】
表示ドライバ142は、CPU100がプログラムを実行することによって生成した情報に基づいて、ディスプレイ140においてアプリケーションのコンテンツやデータなどを表示させるための画像情報を生成する。なお、表示ドライバ142は、図2のようにハードウェアとして設けられていてもよいし、CPU100が適切なプログラムを実行することによって、ソフトウェアとして設けられてもよい。
【0037】
メモリ150は、典型的には不揮発性メモリとして機能するHDD(Hard disk drive)やCPU100によって生成されたデータを一時的に格納し、いわゆるワーキングメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)を含む。メモリ150は、所定の設定画面において得られるユーザ固有の操作情報(以下、ユーザ操作情報とも称す)を格納するユーザ操作情報格納部152と、予め設定されている基準の操作情報を格納する基準操作情報格納部154と、その他の情報を格納する基本情報格納部156とを含む。例えば、基本情報格納部156には、画面を表示する際に必要な各種の情報(例えば、表示態様情報)を含む。
【0038】
ROM160は、情報処理装置1を構成するために予め入力されたデータを格納する。具体的には、ROM160は、文字を表示するためのフォントやグラフィックなどを格納するデータ部162と、情報処理装置1の種々の機能と本発明を実現するためのプログラムを記憶したプログラム格納部164とを含む。例えば、CPU100が実行するファームウェア、アプリケーションプログラムその他のソフトウェア等を含む。
【0039】
[3.処理概要]
まず、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における主な処理手順について説明する。
【0040】
図3は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1の主な処理手順を示すフローチャートである。図3に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164から所定のプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0041】
まず、情報処理装置1は、ユーザからのタッチ操作もしくはキー操作を受け付けて、所定のアプリケーションを起動して対応するコンテンツ情報をディスプレイ140に表示する(ステップS10)。
【0042】
次に、情報処理装置1は、ユーザからのタッチ操作を受け付けると(ステップS12)、タッチパネルドライバ132を介して当該タッチ操作を検出する(ステップS14)。
【0043】
次に、情報処理装置1は、ユーザ操作情報がメモリ150に格納されているか否かを判断する(ステップS16)。情報処理装置1は、ユーザ操作情報が格納されていないと判断すると(ステップS16においてNOの場合)、ステップS20から処理を実行する。一方、情報処理装置1は、ユーザ操作情報が格納されていると判断すると(ステップS16においてYESの場合)、ユーザ操作情報と予めメモリ150に格納されている基準操作情報との比較結果に基づいて、表示態様情報を補正する(ステップS18)。なお、ユーザ操作情報の格納方式および上記比較結果に基づく表示態様情報の補正方式についての詳細は後述する。
【0044】
次に、情報処理装置1は、表示態様情報に基づいてディスプレイ140の表示制御を行ない、タッチ操作を反映した表示画面を表示して(ステップS20)、処理を終了する。
【0045】
以上から、ユーザは予め自身のタッチ操作情報(ユーザ操作情報)を格納しておくことで、当該ユーザ操作情報を反映した補正された表示態様情報に基づいて表示制御がなされる。すなわち、タッチ操作に対して、ユーザが意図する表示画面のスクロール移動量、移動速度、移動方向などを反映した表示制御がなされる。したがって、ユーザは指スライドによる表示画面のスクロール操作を快適に行うことができ、タッチパネル上の操作性を向上させることができる。
【0046】
[4.機能構成]
次に、上述のような本発明の実施の形態1に従う情報処理装置1の処理を実現するための機能構成について説明する。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1の主な機能構成を示すブロック図である。図4に示す各機能ブロックは、主として、CPU100がプログラムを実行することで、タッチパネルドライバ132と、表示ドライバ142と、メモリ150と、ROM160とを連係動作することで実現される。すなわち、CPU100は情報処理装置1の動作全体を制御する制御部としての機能を有する。
【0048】
図4を参照して、情報処理装置1は、その機能構成として、ユーザ操作情報格納部152と、基準操作情報格納部154と、タッチ操作検出部170と、ユーザ操作情報取得部180と、補正部190と、表示制御部200とを含む。
【0049】
タッチ操作検出部170は、タッチパネル130を介してユーザからのタッチ操作を検出すると、当該検出結果に対応する信号をユーザ操作情報取得部180や表示制御部200に出力する。
【0050】
ユーザ操作情報取得部180は、所定の設定画面においてユーザによって行なわれたタッチ操作の検出結果からユーザ固有の操作情報を取得し、ユーザ操作情報格納部152に格納する。例えば、後述するスクロール量設定画面においてユーザが行なったフリック回数情報などを取得する。
【0051】
補正部190は、ユーザ操作情報格納部152に格納されているユーザ操作情報と、基準操作情報格納部154に格納されている基準操作情報とを読み出す。続いて、両者を比較して表示態様情報の補正量を算出し、当該補正量に基づいて基本情報格納部156に格納されている表示態様情報を補正し、補正後の表示態様情報を表示制御部200に出力する。
【0052】
表示制御部200は、タッチ操作検出部における検出結果と表示態様情報とに基づいて、ユーザのタッチ操作態様に対応するディスプレイ140の表示制御を行なう。たとえば、表示制御部200は、ユーザ操作情報格納部152にユーザ操作情報がある場合には、補正部190から出力される、補正された表示態様情報に基づいてディスプレイ140の表示を制御し、ユーザ操作情報格納部152にユーザ操作情報がない場合には、予め基本情報格納部156に格納された補正されていない表示態様情報に基づいてディスプレイ140の表示を制御する。
【0053】
[5.表示態様情報の補正方式]
次に、本発明の実施の形態に従う表示態様情報の補正方式について説明する。ここでは、表示態様情報の補正に用いられるユーザ操作情報を格納する格納方式を説明した後、表示態様情報の補正方式について説明する。また、上述したように表示態様情報には、タッチ操作に対応する表示画面の移動量情報、移動速度情報、移動方向情報、タッチアップ挙動情報を含むため、順に各々の情報の補正方式について説明する。
【0054】
<5−1.移動量情報について>
最初に、移動量情報の補正方式について説明する。当該補正は、ユーザがタッチパネル上で行なうスライド量と表示画面の移動量との関係を補正するものであり、より具体的には、スライド量に対して予め定められた表示画面の画面移動量を所定の条件に基づいて増減させるものである。
【0055】
(5−1−1.ユーザ操作情報の格納方式)
まず、本発明の実施の形態に従う移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報の格納方式について説明する。
【0056】
図5は、本発明の実施の形態に従う移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報を取得するための操作例を示した図である。図5(a)は、ユーザ操作情報を取得するためにユーザに連続したフリック操作を促す確認画面を示す図である。図5(b)は、ユーザの下方向へのフリック操作態様の一例を示す図である。図5(c)は、図5(b)の拡大図であり、フリック操作によって表示画面が移動する様子を示した図である。
【0057】
図5(a)を参照して、ユーザのフリック操作に伴うスライド量に対する表示画面の移動(以下、スクロールとも称す)量を調整するための確認画面(以下、スクロール量調整画面とも称す)において、ユーザによってOKボタンが押下されると、図5(b)に示すように画面下方向にフリック操作が繰り返される。図5(c)を参照して、ユーザによってフリック操作が行なわれることで、リスト1〜リスト300まで表示画面が下方向までスクロールされると、スライド量に対する表示画面のスクロール量を調整するためのフリック操作確認は終了する。このとき、情報処理装置1のCPU100は、リスト1〜リスト300まで到達するためにユーザが行なったフリック回数を取得し、当該フリック回数情報を移動量情報を補正するために用いられるユーザ操作情報としてメモリ150に格納する。
【0058】
次に、当該ユーザ操作情報を取得し格納するための具体的な処理内容について説明する。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態に従う移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報を格納する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、CPU100によって所定の調整画面が表示され、当該調整画面においてなされたユーザのフリック操作によりフリック操作回数が取得される。取得されたフリック操作回数は、CPU100によってメモリ150に格納される。図6に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
【0060】
図6を参照して、情報処理装置1がユーザからタッチパネル130もしくは入力キー群121を介してスクロール量調整画面の選択を受け付けると(ステップS102)、表示制御部200は、ディスプレイ140にスクロール量調整画面(例えば、図5(a))を表示する(ステップS104)。
【0061】
次に、タッチ操作検出部170がタッチパネル130を介して所定のフリック操作を受け付けると(ステップS106)、ユーザ操作情報取得部180は、タッチ操作検出部170からのフリック操作の検出結果を取得して、フリック操作がなされた回数(フリック操作回数)を算出する(ステップS108)。
【0062】
次に、ユーザ操作情報取得部180は、当該フリック操作回数を移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報として、ユーザ操作情報格納部152に格納して(ステップS110)、処理を終了する。
【0063】
(5−1−2.移動量情報の補正方式)
次に、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動量情報の補正方式について説明する。すなわち、図3のステップS18における詳細な処理手順について説明する。
【0064】
図7は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動量情報を補正する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、ユーザ操作情報(フリック回数情報)がユーザ操作情報格納部152に格納されているものとする。図7に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
【0065】
図7を参照して、タッチ操作検出部170がユーザからのタッチ操作(フリック操作)を検出すると、表示制御部200は、ユーザ操作情報格納部152にユーザ操作情報があると判断して、補正部190に対して表示画面を移動させる移動量を示す移動量情報(表示態様情報)を基本情報格納部156から取得させる(ステップS152)。
【0066】
次に、補正部190は、ユーザ操作情報格納部152からユーザ固有のフリック回数情報を読み出し(ステップS154)、基準操作情報格納部154から予め定められている基準フリック回数情報を読み出す(ステップS156)。続いて、ユーザ固有のフリック回数と基準フリック回数とを比較し、当該比較結果に基づいて当該取得した移動量情報を補正して(ステップS158)、処理を終了する。具体的には、ユーザ固有のフリック回数をa回、基準フリック回数をb回、補正前の移動量情報に基づく画面移動量をL、補正後の移動量情報に基づく画面移動量をL’とすると、L’は次式(1)を用いて算出される。
【0067】
L’= L×(a/b)…(1)
これは、例えばaの値が17であり、bの値が15のように、基準フリック回数よりもユーザ固有のフリック回数の方が多い場合は、ユーザはより多くの画面移動量を期待しているとして、スライド量に対する画面移動量が大きくなるように、基本情報として格納している移動量情報を補正することを意味している。これにより、スライド量に対する表示画面の移動量が基準よりも大きい操作が可能となる。
【0068】
上記では、下方向についてのフリック操作に対する画面移動量調整について説明したが、上方向や左右方向についても同様な方式により調整してもよい。
【0069】
図8は、本発明の実施の形態に従うフリック操作の一例を示す図である。
図8(a)は、画面上方向にフリック操作を行なう例を示す図であり、図8(b)は、画面左方向にフリック操作を行なう例を示す図であり、図8(c)は、画面右方向にフリック操作を行なう例を示す図である。
【0070】
各々の方向に対応する図5に示すような所定の設定画面において、図8に示すようなフリック操作をユーザに行なわせることで、各々の方向についてフリック操作に伴うスライド量に対する画面移動量を調整することができる。したがって、フリック操作に伴うスライド量が方向に依存する場合については、よりユーザのタッチパネル上での操作性を向上させることが可能となる。
【0071】
<5−2.移動速度情報について>
次に、移動速度情報の補正方式について説明する。当該補正は、ユーザが行なうスライド速度と表示画面の移動速度との関係を補正するものであり、より具体的には、スライド速度に対して、予め定められた、表示画面の移動速度を所定の条件に基づいて増減させるものである。
【0072】
(5−2−1.ユーザ操作情報の格納方式)
本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動速度情報の補正に用いられるユーザ操作情報の格納方式は、上述した移動量情報の格納方式と基本的に同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。すなわち、ユーザ操作情報格納部152に移動速度情報の補正に用いられるユーザ操作情報(フリック回数)が格納される。
【0073】
(5−2−2.移動速度情報の補正方式)
本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動量情報の補正方式についても上述した移動量情報の補正方式と基本的に同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0074】
すなわち、ユーザ固有のフリック回数と基準フリック回数とを比較し、当該比較結果に基づいて移動速度情報を補正する。したがって、基準フリック回数よりもユーザ固有のフリック回数の方が多い場合は、ユーザはより大きな画面移動量を期待しているとして、スライド速度に対する表示画面の移動速度が大きくなるように移動速度情報を補正して、結果として画面移動量を大きくする。これにより、スライド速度に対する表示画面の移動速度が基準よりも大きい操作が可能となる。より詳細には、例えば、フリック操作時の初速を大きくすることにより最終的な画面移動量を大きくする。また、移動速度情報に関しても、図8に示すようなフリック操作をユーザに行なわせることで下方向だけではなく上方向や左右方向について調整しても良い。
【0075】
なお、フリック操作に対する画面移動量をユーザ用に調整するために、移動量情報を補正するのか、移動速度情報を補正するのかはユーザが任意に定めることのできる事項である。たとえば、所定の設定画面において、移動量情報または移動速度情報のうち、どちらの情報を補正するのかがユーザによって設定されると、当該設定された情報に対応する所定のプログラムが起動し、上記のように移動量情報または移動量速度が補正される。あるいは、移動量情報または移動速度情報のうち、どちらの情報が補正されるのかが所定のプログラムによって予め定められていても良い。
【0076】
<5−3.移動方向情報について>
次に、移動方向情報の補正方式について説明する。当該補正は、ユーザのスライド方向と表示画面の移動方向との関係を補正するものであり、より具体的には、所定の角度方向へのスライドに対して表示画面を所定の角度方向に移動させるのではなく、当該所定の角度方向を角度ズレであると許容して水平方向へのスライドとみなして表示画面を水平方向に移動させるように補正するものである。なお、移動方向は、タッチダウン時の座標とタッチアップ時の座標との情報に基づいて算出される。
【0077】
(5−3−1.ユーザ操作情報の格納方式)
本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動方向情報の補正に用いられるユーザ操作情報の格納方式について説明する。
【0078】
図9は、本発明の実施の形態に従う移動方向情報の補正に用いられるユーザ操作情報を取得するための操作例を示した図である。図9(a)は、ユーザ操作情報を取得するためにユーザに水平左方向へのスライド操作を促す確認画面を示す図である。図9(b)は、左方向へのスライド操作の一例を示す図である。図9(c)は、図9(b)の拡大図であり、スライド操作によって表示画面がスクロールされる様子を示した図である。なお、当該操作例はこれに限られず、例えばユーザに対して画面のページを切り替えるようなスライド操作をさせてもよい。
【0079】
図9(a)を参照して、ユーザのタッチパネル上でのスライド方向に対する表示画面の移動方向(以下、スクロール方向)を調整するための確認画面(以下、スクロール方向調整画面とも称す)において、ユーザによってOKボタンが押下されると、図9(b)に示すように水平左方向にスライド操作がなされる。図9(c)を参照して、ユーザによってスライド操作が行なわれることで、表示画面が左方向にスクロールされると、表示画面のスクロール方向を調整するためのタッチ操作確認は終了する。このとき、情報処理装置1のCPU100は、ユーザのスライド方向の水平方向に対する角度情報を取得し、当該角度情報は角度ズレ許容範囲として移動方向情報を補正するために用いられるユーザ操作情報としてメモリ150に格納する。
【0080】
なお、スライド方向が水平方向に対して所定の角度以上である場合には、角度ズレとして許容できる範囲を超えるとして、エラー警告をして再操作を促しても良い。当該角度ズレを許容する範囲は、ユーザが任意に定めることができる範囲である。
【0081】
次に、当該ユーザ操作情報を取得し格納するための具体的な処理内容について説明する。
【0082】
図10は、本発明の実施の形態に従う移動方向情報の補正に用いられるユーザ操作情報(角度情報)を格納する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、CPU100によって所定の調整画面が表示され、当該調整画面においてなされたユーザのスライド操作により所定の角度情報が取得される。取得された角度情報は、CPU100によってメモリ150に格納される。図10に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
【0083】
図10を参照して、情報処理装置1がユーザからタッチパネル130もしくは入力キー群121を介してスクロール方向調整画面の選択を受け付けると(ステップS202)、表示制御部200は、ディスプレイ140にスクロール方向調整画面(例えば、図9(a))を表示する(ステップS204)。
【0084】
次に、タッチ操作検出部170がタッチパネル130を介して所定のスライド操作を受け付けると(ステップS206)、ユーザ操作情報取得部180は、タッチ操作検出部170からのスライド操作の検出結果を取得して、スライド方向の水平方向に対する角度を算出する(ステップS208)。
【0085】
次に、ユーザ操作情報取得部180は、当該算出した角度情報を移動量情報の補正に用いられるユーザ操作情報として、ユーザ操作情報格納部152に格納し(ステップS210)、処理を終了する。
【0086】
(5−3−2.移動方向情報の補正方式)
次に、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動方向情報の補正方式について説明する。すなわち、図3のステップS18における詳細な処理手順について説明する。
【0087】
図11は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1における移動方向情報を補正する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、ユーザ操作情報(角度情報)がユーザ操作情報格納部152に格納されているものとする。図11に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
【0088】
図11を参照して、タッチ操作検出部170がユーザからのスライド操作を検出すると、表示制御部200は、ユーザ操作情報格納部152にユーザ操作情報があると判断して、補正部190に対して当該検出結果に対する表示画面の移動方向を示す移動方向情報(表示態様情報)を基本情報格納部156から取得させる。(ステップS252)。
【0089】
次に、補正部190は、ユーザ操作情報格納部152からユーザ固有の角度情報を読み出し(ステップS254)、基準操作情報格納部154から予め定められている基準角度情報を読み出す(ステップS256)。続いて、ユーザ固有の角度情報と基準角度情報とを比較し、当該比較結果に基づいて当該取得した移動方向情報を補正して(ステップS258)、処理を終了する。以下に、当該補正方式について具体的に説明する。
【0090】
図12は、本発明の実施の形態に従う移動方向情報の補正方式を説明するための図である。図12(a)は、ユーザ固有の角度情報に基づく方向(ユーザ固有方向)と基準角度に基づく方向(基準方向)との関係を示した図である。図12(b)は、移動方向情報の補正前後における、ユーザのスライド方向に基づく画面スクロール方向を示す図である。
【0091】
図12(a)を参照して、本例ではユーザが水平左方向への画面スクロールをするように、スライド操作を促された結果、ユーザのスライド方向は水平方向に対する角度がα°(ユーザ固有の角度情報がα°)であることを示している。また、予め定められた基準のスライド方向は水平方向に対する角度が0°(基準角度情報が0°)であることを示している。すなわち、基準時においてはスライド方向が画面スクロール方向にそのまま反映され、水平左方向に画面スクロールするためには、スライド方向を水平左方向(角度0°)とする必要がある。このとき、図12(b)を参照して、スライド方向に対する表示画面の移動方向を示す移動方向情報が補正される前は、ユーザが行なったスライド方向は水平方向(左方向)に対する角度がα°であるため、表示画面の移動調整はされず水平方向に対する角度α°の方向に画面スクロールする。しかし、水平方向に対する角度α°を角度ズレであると許容し角度0°とするように移動方向情報が補正されると、ユーザのスライド方向が水平方向から角度α°であったとしても、表示画面の移動調整がされて水平方向(角度0°)に画面スクロールされることとなる。
【0092】
この場合、角度ズレを許容する範囲は、水平方向からα°までとなり、スライド方向が当該角度ズレ許容範囲に含まれる場合には、上記の補正をすることで表示画面の移動方向を制御する。一方、スライド方向が当該角度ズレ許容範囲を超えた場合は、角度ズレとはみなさずに、当該角度方向に従う表示画面の移動がなされる。
【0093】
なお、移動方向情報についても図8に示すようなスライド操作を行なわせることで、各々の方向についてユーザのスライド方向に対する表示画面の移動方向を調整しても良い。スライド方向が上下方向である場合は、ユーザが垂直方向にスライド操作をするように促された結果、ユーザのスライド方向の垂直方向に対する角度を算出して(例えば、β°)、ユーザ固有の角度情報とし、基準角度情報は垂直方向に対する角度が0°であるとする。このとき、垂直方向に対する角度β°を角度ズレであると許容し角度0°とするように移動方向情報が補正され、ユーザのスライド方向が垂直方向から角度β°であったとしても、表示画面の移動は垂直方向(角度0°)に画面移動されることとなる。
【0094】
<5−4.タッチアップ挙動情報について>
次に、タッチアップ挙動情報の補正方式について説明する。当該補正は、ユーザのタッチアップ時のタッチ位置の位置変化と表示画面の移動変化との関係を補正するものであり、より具体的には、タッチアップ時にタッチ位置が所定量移動したことに対して表示画面を所定量移動させるのではなく、当該タッチ位置変化を位置ズレであると許容して表示画面は移動させないように補正するものである。なお、スライド方向がそれまでの移動方向と異なる方向に移動を開始した時点から、タッチアップ時点までの時間が所定の時間内であった場合に、当該移動を開始した時点から、当該タッチアップ時点までの位置変化量をタッチアップ時の位置ズレであるとする。すなわち、所定の時間内にタッチアップされない場合は、タッチアップ時の位置ズレではなく単に当該異なる方向へのスライド操作であるとみなされる。
【0095】
(5−4−1.ユーザ操作情報の格納方式)
本発明の実施の形態に従う情報処理装置1におけるタッチアップ挙動情報の補正に用いられるユーザ操作情報の格納方式について説明する。
【0096】
図13は、本発明の実施の形態に従うタッチアップ挙動情報の補正に用いられるユーザ操作情報を取得するための操作例を示した図である。図13(a)は、ユーザ操作情報を取得するためにユーザに所定方向へのスライド操作と所定領域でのタッチアップ操作を促す確認画面を示す図である。図13(b)は、下方向のスライド操作の一例を示す図である。図13(c)は、図13(b)の拡大図であり、所定のスライド操作およびタッチアップ操作を示した図である。
【0097】
図13(a)を参照して、ユーザのタッチアップ時のタッチ位置移動量に対する表示画面の移動量を調整するための確認画面(以下、タッチアップ挙動調整画面とも称す)において、ユーザによってOKボタンが押下されると、図13(b)に示すように所定の位置から下方向にスライド操作がなされる。図13(c)を参照して、ユーザによって所定の位置からスライド操作が行なわれて、所定の領域においてタッチアップ操作がなされると、タッチアップ挙動を調整するためのタッチ操作確認は終了する。このとき、情報処理装置1のCPU100は、タッチアップ操作に伴うタッチ位置変化量を取得し、当該位置変化量は位置ズレ許容範囲としてタッチアップ挙動情報を補正するために用いられるユーザ操作情報としてメモリ150に格納する。
【0098】
なお、タッチアップ時のタッチ位置変化量が所定の値以上である場合には、位置ズレとして許容できる範囲を超えるとして、エラー警告をして再操作を促しても良い。当該位置ズレを許容する範囲は、ユーザが任意に定めることができる範囲である。
【0099】
次に、当該ユーザ操作情報を取得し格納するための具体的な処理内容について説明する。
【0100】
図14は、本発明の実施の形態に従うタッチアップ挙動情報の補正に用いられるユーザ操作情報(位置変化量情報)を格納する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、CPU100によって所定の調整画面が表示され、当該調整画面においてなされたユーザのスライド操作およびタッチアップ操作により所定の位置変化量情報が取得される。取得された位置変化量情報は、CPU100によってメモリ150に格納される。図14に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
【0101】
図14を参照して、情報処理装置1がユーザからタッチパネル130もしくは入力キー群121を介してタッチアップ挙動調整画面の選択を受け付けると(ステップS302)、表示制御部200は、ディスプレイ140にタッチアップ挙動調整画面(例えば、図13(a))を表示する(ステップS304)。
【0102】
次に、タッチ操作検出部170がタッチパネル130を介して所定のスライド操作およびタッチアップ操作を受け付けると(ステップS306)、ユーザ操作情報取得部180は、タッチ操作検出部170からのスライド操作およびタッチアップ操作の検出結果を取得して、タッチアップ時の位置変化量を算出する(ステップS308)。
【0103】
次に、ユーザ操作情報取得部180は、当該算出した位置変化量情報をタッチアップ挙動情報の補正に用いられるユーザ操作情報として、ユーザ操作情報格納部152に格納して(ステップS310)、処理を終了する。
【0104】
(5−4−2.タッチアップ挙動情報の補正方式)
次に、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1におけるタッチアップ挙動情報の補正方式について説明する。すなわち、図3のステップS18における詳細な処理手順について説明する。
【0105】
図15は、本発明の実施の形態に従う情報処理装置1におけるタッチアップ挙動情報を補正する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、ユーザ操作情報(位置変化量情報)がユーザ操作情報格納部152に格納されているものとする。図15に示す各ステップは、基本的には、CPU100がプログラム格納部164に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
【0106】
図15を参照して、タッチ操作検出部170がユーザからのタッチアップ操作を検出すると、表示制御部200は、ユーザ操作情報格納部152にユーザ操作情報があると判断して、補正部190に対して、当該検出結果に対応する表示画面の移動変化量を示すタッチアップ挙動情報(表示態様情報)を基本情報格納部156から取得させる(ステップS352)。
【0107】
次に、補正部190は、ユーザ操作情報格納部152からユーザ固有の位置変化量情報を読み出し(ステップS354)、基準操作情報格納部154から予め定められている基準位置変化量情報を読み出す(ステップS356)。続いて、ユーザ固有の位置変化量情報と基準位置変化量情報とを比較し、当該比較結果に基づいて当該取得したタッチアップ挙動情報を補正して(ステップS358)、処理を終了する。以下に、当該補正方式について具体的に説明する。
【0108】
図16は、本発明の実施の形態に従うタッチアップ挙動情報の補正方式を説明するための図である。図16(a)は、タッチアップ時にユーザがスライドした変化量(位置変化量)を示した図である。図16(b)は、タッチアップ挙動情報の補正前後における、ユーザのスライド操作およびタッチアップ操作に基づく画面スクロール変化を示す図である。
【0109】
図16(a)を参照して、本例ではユーザが垂直下方向へのスライド操作および所定領域でのタッチアップ操作を促されて、タッチアップ時に上方向へスライドしたこと(タッチアップ時の位置変化量がXである)を示している。また、予め定められた基準のタッチアップ時の位置変化量は0である。すなわち、基準時においてはタッチアップ時のスライド量が画面スクロール量にそのまま反映され、タッチアップ時に画面スクロールさせないためには、タッチアップ時にスライドしないようにする必要がある。このとき、図16(b)を参照して、タッチアップ時の表示画面の位置変化量を示すタッチアップ挙動情報が補正される前は、ユーザが行なったタッチアップ時の位置変化量は上方向へ距離Xであるため、表示画面の移動調整はされず表示画面も上方向へ距離Xだけスクロールする。しかし、当該位置変化量Xは位置ズレであり、当該位置変化量は0とするようににタッチアップ挙動情報が補正されると、ユーザのタッチアップ時における位置変化量がXであったとしても、表示画面の移動調整がされて当該操作に伴う表示画面の移動量は0であるとして表示画面は移動しない。
【0110】
この場合、位置ズレを許容する範囲は、移動方向と異なる方向への移動が開始した時点から距離Xであり、タッチアップ時の位置変化量が当該位置ズレ許容範囲に含まれる場合には、上記の補正をすることで表示画面の移動量を制御する(すなわち、移動させない)。一方、位置変化量が当該位置ズレ許容範囲を超えた場合は、位置ズレとはみなさずに、当該位置変化量に従う表示画面の移動がなされる。
【0111】
[6.利点]
本実施の形態によれば、以下のような利点が得られる。ユーザの手の大きさやタッチ操作時の癖などを考慮して、ユーザの意図する表示画面のスクロール操作を行なうことができ、ユーザのタッチパネル上での操作性を向上することができる。
【0112】
[7.その他の実施の形態]
上記では、ユーザからタッチパネル上へのタッチ操作があったときに、ユーザ操作情報と基準操作情報とに基づいて表示態様情報を補正し、当該補正された表示態様情報に基づいてディスプレイの表示制御を行なう例について説明した。一方で、初期設定としてユーザ操作情報と基準操作情報とに基づいて補正された表示態様情報をメモリに格納しておき、以後は当該メモリに格納された補正済みの表示態様情報を呼び出してタッチ操作に対するディスプレイの表示制御を行なっても良い。
【0113】
また、上記では、たとえば、ユーザが水平方向に画面スクロールさせたい場合において、ユーザのスライド操作が水平方向から若干ずれたスライド操作であっても、スライド操作に対する表示画面の移動方式(移動のさせ方)を調整し、画面を水平方向にスクロールさせる例について説明した。しかし、これに限られず、ユーザが水平方向に画面スクロールさせたい場合において、ユーザが水平方向から若干ずれたスライド操作を行なった際に、当該スライド操作による入力自体を調整し、水平方向へのスライド操作とみなして、画面を水平方向にスクロールさせてもよい。
【0114】
なお、コンピューターを機能させて、上述のフローで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピューターに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリーカードなどの一時的でないコンピューター読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピューターに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0115】
なお、プログラムは、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0116】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0117】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0118】
100 CPU、110 通信部、120 入力部、121 入力キー群、122 出力部、124 入出力ポート、130 タッチパネル、132 タッチパネルドライバ、140 ディスプレイ、142 表示ドライバ、150 メモリ、152 ユーザ操作情報格納部、154 基準操作情報格納部、156 基本情報格納部、160 ROM、162 データ部、164 プログラム格納部、170 タッチ操作検出部、180 ユーザ操作情報取得部、190 補正部、200 表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作の入力を受け付け可能な表示部と、
前記表示部の表示制御に用いられる、前記表示部において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶部と、
前記記憶部に格納されている前記表示態様情報に基づいて前記表示部の表示制御を行なう制御部とを備え、
前記制御部は、
前記表示部に表示される所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するユーザ操作取得部と、
前記表示部に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために前記表示態様情報を補正する補正部とを含み、
前記補正部は、前記取得された第1の操作情報と、予め前記記憶部に格納されている前記第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて前記表示態様情報を補正する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、補正された表示態様情報に基づいて前記表示部の表示制御をする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示態様情報は、所定のタッチ操作をした際の表示画面の移動量を示す移動量情報を含み、
前記補正部は、前記比較結果に基づいて前記移動量情報を補正する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示態様情報は、所定のタッチ操作をした際の表示画面の移動速度を示す移動速度情報を含み、
前記補正部は、前記比較結果に基づいて前記移動速度情報を補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示態様情報は、所定のタッチ操作をした際の表示画面の移動方向を示す移動方向情報を含み、
前記補正部は、前記比較結果に基づいて前記移動方向情報を補正する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示態様情報は、所定のタッチアップのタッチ操作に従い位置の変化を示すタッチ挙動情報を含み、
前記補正部は、前記比較結果に基づいて前記タッチ挙動情報を補正する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記表示部に表示される所定のタッチ操作によって所定の画面移動量で移動させる所定の画面において前記ユーザのタッチ操作に応じて取得されたタッチ操作回数と、予め前記記憶部に格納されている基準タッチ操作回数とを比較し、比較結果に基づいて移動量情報あるいは移動速度情報を補正する、請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記補正部は、前記表示部に表示される所定のタッチ操作によって所定の画面移動方向で移動させる所定の画面において前記ユーザのタッチ操作に応じて取得された移動方向と、予め前記記憶部に格納されている基準タッチ移動方向とを比較し、比較結果に基づいて移動方向情報を補正する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記補正部は、前記表示部に表示される所定のタッチ操作によって所定の領域内でタッチアップさせる所定の画面において前記ユーザのタッチ操作に応じて取得されたタッチ挙動情報と、予め前記記憶部に格納されている基準タッチ挙動情報とを比較し、比較結果に基づいてタッチ挙動情報を補正する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
タッチ操作の入力を受け付け可能な表示手段と、前記表示手段の表示制御に用いられる、前記表示手段において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶手段とを含む情報処理装置の制御方法であって、
前記記憶手段に格納されている前記表示態様情報に基づいて前記表示手段の表示制御を行なうステップと、
前記表示手段に表示される所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するステップと、
前記表示手段に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために前記表示態様情報を補正するステップとを備え、
前記補正するステップは、前記取得された第1の操作情報と、予め前記記憶手段に格納されている前記第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて前記表示態様情報を補正することを含む、情報処理装置の制御方法。
【請求項11】
タッチ操作の入力を受け付け可能な表示手段と、前記表示手段の表示制御に用いられる、前記表示手段において受け付けられるタッチ操作に従う表示態様情報を格納する記憶手段とを含む情報処理装置のコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
前記記憶手段に格納されている前記表示態様情報に基づいて前記表示手段の表示制御を行なうステップと、
前記表示手段に表示される所定の画面においてユーザの所定のタッチ操作に応じた第1の操作情報を取得するステップと、
前記表示手段に対するユーザ固有のタッチ操作に合わせた表示制御を実行するために前記表示態様情報を補正するステップとを実行させ、
前記補正するステップは、前記取得された第1の操作情報と、予め前記記憶手段に格納されている前記第1の操作情報との比較に用いられる第2の操作情報との比較結果に基づいて前記表示態様情報を補正することを含む、情報処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−92927(P2013−92927A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234956(P2011−234956)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】