説明

情報処理装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体

【課題】タッチパネル上でのタッチ操作部材のレイアウトを制限することなく、タッチパネルへの誤操作をより確実に低減する。
【解決手段】タッチ検出手段と、表示手段上の特定の領域へのタッチの継続時間を計時する計時手段と、表示手段上へのタッチが離されるタッチアップを検出するタッチアップ検出手段と、特定のモードで前記特定の領域へのタッチを検出していた状態からタッチアップを検出した際に、特定の領域へのタッチ継続時間が前記所定時間に達していた場合は、該タッチアップに応じては前記特定の領域に割り当てられた機能を実行せず、特定のモードでない場合には、前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した場合には、前記特定の領域へのタッチの継続時間が前記所定時間に達していても、前記特定の領域に割り当てられた機能を実行するように制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに対する誤操作を防止するための情報処理装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示部にタッチパネルを備え、直感的な操作が可能となったデジタル機器が登場している。このような機器では、タッチパネルで構成される表示画面上に置かれているボタンアイコンに対するタップと呼ばれる操作で、ボタンアイコンに割り当てられた機能を実行させるものが一般的に用いられている。ボタンアイコンに対するタップとは、ボタンアイコンにタッチ(接触)した後に離す操作で、離した時点で操作が確定して機能が実行される。
【0003】
また、タッチパネルを備えたデジタル機器は、タッチパネルの搭載によって物理的な操作部材の部品点数を減らせるメリットから機器本体の小型化が進む一方で、視認性の向上を目的にタッチパネル部の大型化が進んでいる。このように、機器本体の大きさに占めるタッチパネルの面積の割合が増加すると、機器本体を持つ手が意図せずにタッチパネル面に触れてしまい、誤操作の原因になってしまう場合があった。
【0004】
そこで、タッチパネルの誤操作、誤動作への対策として、従来、以下のようなものが提案されている。
【0005】
特許文献1では、タッチパネル上に操作禁止エリアを設け、そこに触れた際はアイコンを消す、或いは誤入力である旨を表示するようにして、ユーザに対して誤った状況を認識させ、誤設定や誤操作等を未然に防止する方法が開示されている。
【0006】
また特許文献2では、所定時間連続して同じ位置がタッチされていると、その位置のタッチを検出する素子が故障しているとみなし、以後その位置のタッチ入力は無効とする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−009424号公報
【特許文献2】特開平5−298027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、操作禁止エリアを設けてしまうため、そのエリアに操作可能なボタンアイコン等のタッチ操作部材を配置する事が不可能となる。すなわち、タッチパネル上の領域を有効に活用できず、タッチ操作部材の配置レイアウトに制約を受ける事となる。
【0009】
また、特許文献2の方法は、タッチ位置の検出素子が正常であるにも関わらず、ユーザが実際に所定時間以上連続して同じ位置をタッチしていた場合にも故障とみなして無効としてしまう。そして、以後その位置へのタッチは無効とされてしまうために、以後その位置にボタンアイコン等のタッチ操作部材を配置することができない。すなわち、特許文献1と同様に、タッチパネル上の領域を有効に活用できず、タッチ操作部材の配置レイアウトに制約を受ける事となる。
【0010】
本発明は上述の課題に鑑み、タッチパネル上でのタッチ操作部材のレイアウトを制限することなく、タッチパネルへの誤操作をより確実に低減できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、
表示手段上へのタッチを検出するタッチ検出手段と、
前記表示手段上の特定の領域へのタッチの継続時間を計時する計時手段と、
前記表示手段上へのタッチが離されるタッチアップを検出するタッチアップ検出手段と、
特定のモードである場合に前記タッチ検出手段によって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した際に、前記計時手段によって計時した継続時間が所定時間に達していない場合は前記特定の領域に割り当てられた機能を実行し、
前記特定のモードである場合に前記タッチ検出手段によって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した際に、前記計時手段によって計時した継続時間が前記所定時間に達していた場合は、該タッチアップに応じては前記特定の領域に割り当てられた機能を実行せず、
前記特定のモードでない場合には、前記タッチ検出手段によって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した場合には、前記特定の領域へのタッチの継続時間が前記所定時間に達していても、前記特定の領域に割り当てられた機能を実行するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タッチパネル上でのタッチ操作部材のレイアウトを制限することなく、タッチパネルへの誤操作をより確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラ100の外観構成の一例を示す図である。
【図2】デジタルカメラ100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】デジタルカメラ100の持ち方の例である。
【図4】撮影モード処理の例を示すフローチャートである。
【図5】表示部28に表示される撮影待機画面の表示例である。
【図6】SW1が操作された場合の処理のフローチャートである。
【図7】(a)表示部28に表示される警告1の表示例である。(b)表示部28に表示される警告2の表示例である。
【図8】(a)抵抗膜方式のタッチパネルにおける単一のタッチ位置の検出を説明する図である。(b)抵抗膜方式のタッチパネルにおける単一のタッチ位置の検出を説明する図である。(c)抵抗膜方式のタッチパネルにおける複数のタッチ位置の検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
図1に本発明の情報処理装置の一例としてのデジタルカメラの外観図を示す。表示部28は画像や各種情報を表示する表示部である。また、表示部28の表面には後述する操作部70の一種としてのタッチパネルが配されており、表示部28への接触を検知可能である(タッチ検出手段)。シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部である(シャッター操作部材)。操作部70はユーザーからの各種操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン、パネル等の操作部材より成る操作部である。操作部70に含まれるコントローラーホイール73は回転操作可能な操作部材である。操作部70に含まれるズーム操作部71は撮影モードにおいて光学ズームや電子ズームを、再生モードにおいて電子ズームや表示画像枚数切り替え等を行うための操作部である。コネクタ112は接続ケーブルとデジタルカメラ100とのコネクタである。72は電源スイッチであり、電源オン、電源オフを切り替える。記録媒体200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体スロット201は記録媒体200を格納するためのスロットである。記録媒体スロット201に格納された記録媒体200は、デジタルカメラ100との通信が可能となる。蓋203は記録媒体スロット201の蓋である。
【0016】
図2は、本実施形態によるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図2において、103はフォーカスレンズを含む撮影レンズ、101は絞り機能を備えるシャッター、22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像部である。23はA/D変換器であり、アナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。102はバリアであり、デジタルカメラ100の、撮影レンズ103を含む撮像部を覆うことにより、撮影レンズ103、シャッター101、撮像部22を含む撮像系の汚れや破損を防止する。
【0018】
24は画像処理部であり、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0019】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0020】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。13はD/A変換器であり、メモリ32に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部28に供給する。こうして、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器13を介して表示部28により表示される。表示部28は、LCD等の表示器上に、D/A変換器13からのアナログ信号に応じた表示を行う。
【0021】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御回路50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0022】
50はシステム制御部であり、デジタルカメラ100全体を制御する。前述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。52はシステムメモリであり、RAMが用いられる。システムメモリ52には、システム制御回路50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開する。また、システム制御部はメモリ32、D/A変換器13、表示部28等を制御することにより表示制御も行う。
【0023】
第1シャッタースイッチ62、第2シャッタースイッチ64、操作部70はシステム制御回路50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。
【0024】
第1シャッタースイッチ62(SW1)は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号を発生する。第1シャッタースイッチ信号により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作を開始する。
【0025】
第2シャッタースイッチ64(SW2)は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号を発生する。システム制御回路50は、第2シャッタースイッチ信号により、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0026】
モード切替スイッチ60は、操作部70に含まれる操作部であり、システム制御回路50の動作モードを撮影モード、再生モード等のいずれかに切り替える。撮影モードには、以下の複数のモードが含まれる。計測された露出値に基づいてデジタルカメラ100に組み込まれたプログラムにより自動的にカメラの各種パラメータが決定されるオート撮影モード。カメラの各種パラメータをユーザが自由に変更可能なマニュアルモード。撮影シーンに適したシャッター速度や絞り値、ストロボ発光状態、感度設定等の組み合わせが自動で設定されるシーンモード。尚、シーンモードには以下のようなモードが含まれる。ポートレートモード、夜景モード、風景モード、ナイト&スナップモード、キッズ&ペットモード、新緑&紅葉モード、パーティーモード、スノーモード、ビーチモード、花火モード、水族館モード、水中モード等。
【0027】
操作部70の各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。利用者は、表示部28に表示されたメニュー画面と、物理ボタンである4方向ボタンやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0028】
コントローラーホイール73は、操作部70に含まれる回転操作可能な操作部材であり、方向ボタンと共に選択項目を指示する際などに使用される。コントローラーホイール73を回転操作すると、操作量に応じて電気的なパルス信号が発生し、このパルス信号に基づいてシステム制御回路50はデジタルカメラ100の各部を制御する。このパルス信号によって、コントローラーホイール73が回転操作された角度や、何回転したかなどを判定することができる。なお、コントローラーホイール73は回転操作が検出できる操作部材であればどのようなものでもよい。例えば、ユーザの回転操作に応じてコントローラーホイール73自体が回転してパルス信号を発生するダイヤル操作部材であってもよい。また、タッチセンサよりなる操作部材で、コントローラーホイール73自体は回転せず、コントローラーホイール73上でのユーザの指の回転動作などを検出するものであってもよい(いわゆる、タッチホイール)。
【0029】
80は電源制御部であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0030】
30は電源部であり、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。18はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、メモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0031】
なお操作部70の一つとして、表示部28に対する接触を検知可能なタッチパネルを有する。システム制御回路50はタッチパネルへの以下の操作を検出できる。タッチパネルを指やペンで触れたこと(以下、タッチダウンと称する)。タッチパネルを指やペンで触れている状態であること(以下、タッチオンと称する)。タッチパネルを指やペンで触れたまま移動していること(以下、ムーブと称する)。タッチパネルへ触れていた指やペンを離したこと(以下、タッチアップと称する)。タッチパネルに何も触れていない状態(以下、タッチオフと称する)。これらの操作や、タッチパネル上に指やペンが触れている位置座標は内部バス111を通じてシステム制御回路50に通知され、システム制御回路50は通知された情報に基づいてタッチパネル上にどのような操作が行なわれたかを判定する。ムーブについてはタッチパネル上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。またタッチパネル上をタッチダウンから一定のムーブを経てタッチアップをしたとき、ストロークを描いたこととする。素早くストロークを描く操作をフリックと呼ぶ。フリックは、タッチパネル上に指を触れたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作であり、言い換えればタッチパネル上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行なわれたと判定できる。また、所定距離以上を、所定速度未満でムーブしたことが検出された場合はドラッグが行なわれたと判定するものとする。
【0032】
以下、図3〜図8を参照して、本実施形態の動作を説明する。
【0033】
本実施形態では、タッチパネル上のボタンアイコン領域で所定時間以上タッチオンを検出していた場合は、タッチアップしても接触していたボタンアイコンの機能を発動(実行)しないように制御する例を述べる。このような制御をするのは、ボタンアイコン上で所定時間以上タッチオンを検出していた場合は、ユーザにボタンアイコンを操作する意図はないとみなすためである。
【0034】
図3に、デジタルカメラ100を片手で保持した場合の例を図示する。撮影モードで撮影を行おうとした場合、シャッターボタン61やズーム操作部71をユーザの右手(利き手)人差し指301で操作するために、右手人差し指301をシャッターボタン61やズーム操作部71の傍に置いて図3のように保持することが多い。その場合、右手の親指302が、タッチパネルである表示部28の上に自然に置かれる場合がある。これはユーザがタッチパネルを操作しようと意図的に表示部28に触れたわけではない。この際、タッチパネル上の親指302が接触している位置にボタンアイコンが配されていると、ユーザがボタンアイコンを操作する意図がなかったとしても、親指302を離したときにボタンアイコンの機能が発動されてしまう。すなわち誤動作してしまう可能性がある。そこで本実施形態では、ボタンアイコンの位置で所定時間以上のタッチオンを検出した場合は、図3のようにユーザが意図せずにタッチパネルをタッチして保持してしまった場合等であるとみなしてタッチアップがあってもボタンアイコンの機能を発動しない。
【0035】
図4は、撮影モードにおけるシステム制御回路50の処理の流れを示したフローチャートである。このフローチャートおける各処理は、システム制御回路50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0036】
デジタルカメラが撮影モードで起動するか、再生モード等の他のモードで起動していた場合に操作部70に含まれるモード切替スイッチ60の操作により撮影モードに切り替えられると、図4の処理を開始する。
【0037】
S401ではまず、撮影待機画面を表示する。図5に表示部28に表示される撮影待機画面の表示例を示す。表示部28には、撮像部22でリアルタイムに撮像された画像であるスルー画像500が表示される。ボタンアイコン501〜503はタップすることで各種機能が発動するボタンアイコンであるとともに、現在のデジタルカメラ100の撮像に関する設定内容を表している。ボタンアイコン501はモード切替ボタンであり、タップすることで複数の撮影モードの中から所望の撮影モードに設定を変更することが可能である。また、図5の例では、複数の撮影モードのうちのポートレートモード(シーンモードのうちの1つ)に設定されていることを表している。ボタンアイコン502はフラッシュ設定ボタンであり、タップすることでフラッシュの設定を切り替えることができる。また、図4の例では、現在はフラッシュ発光禁止に設定されていることを表している。ボタンアイコン503は、露出補正ボタンであり、タップすることで露出補正が可能である。また、図4の例では、現在は露出補正が±0に設定されていることを表している。アイコン504はデジタルカメラの現在の姿勢を表すアイコンである。アイコン505は現在の電池残量を表すアイコンである。アイコン506は、記録媒体200に現在の設定で残り何枚の静止画を記録可能であるかを示すアイコンである。アイコン507は、現在の記録画素数の設定と現在の圧縮率の設定を表すアイコンである。
【0038】
S401で撮影待機次画面を表示すると、続くS402にて、ボタンアイコン501がタッチされているか否かを判定する。ボタンアイコン501の位置で指をタッチダウンするか、他の位置で接触していた指が移動してきて、ボタンアイコン501の位置でタッチオンの状態となっていると、ボタンアイコン501がタッチされていると判定する。ボタンアイコン501がタッチされていると判定するとS408へ進み、タッチされていないと判定するとS403へ進む。
【0039】
S403では、ボタンアイコン502がタッチされているか否かを判定する。ボタンアイコン502の位置で指をタッチダウンするか、他の位置で接触していた指が移動してきて、ボタンアイコン502の位置でタッチオンの状態となっていると、ボタンアイコン502がタッチされていると判定する。ボタンアイコン502がタッチされていると判定するとS404へ進み、タッチされていないと判定するとS436へ進む。
【0040】
S404は、タッチ位置がボタンアイコン502の領域外へ移動(ムーブ)したか否かを判定する。移動したと判定するとS436へ進み、移動していないと判定するとS405へ進む。S405ではSW1がオンとなったか否かを判定する。SW1がオンとなったと判定すると図6のS601に進む。図6の処理については後述する。SW1がオンとなっていないと判定するとS406へ進む。
【0041】
S406ではボタンアイコン502からのタッチアップがあったか否かを判定する。ボタンアイコン502からのタッチアップがあったと判定するとS407へ進み、タッチアップがなかったと判定するとS404へ処理を戻す。
【0042】
S407では、ボタンアイコン502に割り当てられた機能を実行する。図5の例では、ボタンアイコン502にはフラッシュの設定の切り替えが割り当てられているため、フラッシュの設定の切り替えを実行するように制御する。ボタンアイコン502の機能を実行するとS436へ進む。
【0043】
一方S408では、ボタンアイコン501に対するタッチを検出したため、ボタンアイコン501がタッチオンとなっている期間を計時するためのタイマーをスタートする。
【0044】
S409では、タッチ位置がボタンアイコン501の領域外へ移動(ムーブ)したか否かを判定する。移動したと判定するとS410へ進み、S408でスタートしたタイマーをストップし、クリアしてS402の処理へ戻る。移動していないと判定するとS411へ進む。
【0045】
S411では、S408でスタートしたタイマーが所定時間に達したか否かを判定する。これは、ボタンアイコン501に対するタッチが所定時間以上継続したか否かの判定である。この所定時間は、ユーザがボタンアイコン501に対してタップ(タッチダウンしてすぐにタッチアップする操作)をする意図があったか否かを判定するための時間であり、例として300msec程度である。所定時間に達したと判定するとS416に進み、所定時間に達していないと判定するとS412に進む。
【0046】
S412ではSW1がオンとなったか否かを判定する。SW1がオンとなったと判定すると図6のS601に進む。図6の処理については後述する。SW1がオンとなっていないと判定するとS413へ進む。
【0047】
S413では、タッチアップがあったか否かを判定する(タッチアップ検出手段)。ここでタッチアップがあった場合とは、ボタンアイコン501に接触開始してから所定時間以内に、ボタンアイコン501からタッチアップした場合である。タッチアップがあったと判定するとS414に進み、タッチアップがないと判定するとS409へ処理を戻す。
【0048】
S414では、S408でスタートしたタイマーをストップしてクリアし、S415でボタンアイコン501に割り当てられた機能を実行する。図5の例では、ボタンアイコン501には撮影モードの切替が割り当てられているため、複数の撮影モードの中から所望の撮影モードに設定を変更するための機能を実行する。ボタンアイコン501に割り当てられた機能を実行するとS436へ進む。
【0049】
一方S416では、ステップS408でスタートしたタイマーをストップしてクリアする。続くS417では、ボタンアイコン501に対するタッチの継続時間が所定時間に達したため、ユーザにはボタンアイコン501対するタップの操作をする意図が無かったとみなし、警告1(第1の警告表示)を表示する。
【0050】
図7(a)に警告1の表示例を示す。図7(a)は、図5の撮影待機画面を表示していたデジタルカメラ100を、図3で説明したように保持した場合の、表示部28の右上周辺の様子を示している。ユーザの親指が、意図せずにボタンアイコン501に触れてしまっており、S411で所定時間を越えてボタンアイコン501がタッチオン状態であると判定されたため、警告1(701)を表示している。警告1(701)は、ボタンアイコン501にタッチし続けている旨を表しているとともに、後述するように、この状態から指を離してもボタンアイコン501の機能は発動しない旨をユーザに示している。これによって、タッチアップして機能が発動されなかった際に、それが装置の故障のためであるとユーザが誤認することを防げる。なお、S402でボタンアイコン501へのタッチを検出した時点で、ボタンアイコン501が押下されていることを示すボタンダウン表示にボタンアイコン501の表示形態を変更し、警告1を表示するタイミングでボタンダウン表示を解除しても良い。また、S411で所定時間を越えてボタンアイコン501がタッチオン状態であると判定されると、警告1を表示せずに、ボタンアイコン501のボタンダウン表示を解除してもとの表示形態に戻すのみであってもよい。ボタンダウン表示の解除のみでも、この状態から指を離してもボタンアイコン501の機能は発動しない旨をユーザに示すことが可能である。
【0051】
図4のステップS417に続いて、S418では、SW1がオンとなったか否かを判定する。SW1がオンとなったと判定するとS419に進み、警告1を消去(警告1の表示を終了)してから図6のS601に進む。図6の処理については後述する。SW1がオンとなっていないと判定するとS420へ進む。
【0052】
S420では、物理ボタン等、操作部70に含まれるタッチパネル以外の操作部に対する操作があったか否かを判定する。タッチパネル以外の操作部に対する操作があったと判定するとS421に進み、タッチパネル以外の操作部に対する操作がなかったと判定するとS423へ進む。S421では、警告1を消去(警告1の表示を終了)する。続いてS422では、S420で操作されたと判定した操作部の操作に応じた処理を実行する。すなわち、ボタンアイコン501にタッチしたままの状態で他の操作部材が操作されれば、他の操作部材への操作が優先され、ボタンアイコン501に関する警告である警告1は消去する。S422の処理を終えるとS402に処理を戻す。
【0053】
S423では、ボタンアイコン501がタッチされたまま、他の指等により別の位置がタッチされたか否かを判定する(多点タッチ判定手段)。ここでの判定の詳細については、図8を用いて後述する。別の位置がタッチされたと判定するとS426へ進み、別の位置がタッチされていないと判定するとS424へ進む。
【0054】
S424では、タッチ位置がボタンアイコン501の領域外へ移動(ムーブ)したか否かを判定する。移動したと判定するとS435へ進み、移動していないと判定するとS425へ進む。
【0055】
S425では、タッチアップがあったか否かを判定する(タッチアップ検出手段)。タッチアップがあった場合はS435へ進み、タッチアップがなかった場合はS418へ処理を戻す。ここでタッチアップがあった場合とは、ボタンアイコン501上で所定時間以上タッチオンを検知した後に、ボタンアイコン501からタッチアップした場合である。この場合にタッチアップがあったと判定すると、ボタンアイコン501に割り当てられた機能は実行しない。すなわち、ボタンアイコン501をタッチしたまま所定時間が経過するとボタンアイコン501が一時的に無効となり、ボタンアイコン501上でタッチアップしても、ボタンアイコン501に割り当てられた機能(撮影モードの切り替え)を実行しない。
【0056】
一方、S426では警告1に加えて警告2(第2の警告表示)を表示する。警告2の表示例を図7(b)に示す。図7(b)は、図5の撮影待機画面を表示していたデジタルカメラ100を、図3で説明したように保持し、かつ他の指によってタッチパネル上の別の位置がタッチされた様子を示している。この場合、ユーザは右手の親指でボタンアイコン501をタッチしてしまっていることに気づかずに、他の指によってタッチパネルに対して操作しようとしている可能性がある。しかし、先にボタンアイコン501へのタッチを検出しているために、システム制御回路50は他の指によるタッチでの操作を受け付けることができない。そのため、警告2(702)のように、他の指による操作は不可能である旨を表示する。ボタンアイコン501に対する操作以外のタッチ操作としては、ボタンアイコン502〜503に対するタップの他に、例えばタッチAFがある。タッチAFとは、表示部28に表示されているスルー画像500のうち任意の被写体をタッチすることで、タッチした被写体に合わせてフォーカスを調整する機能である。このタッチAFは、ボタンアイコン501がタッチされた状態行うことはできないため、図7(b)の警告2(702)では、タッチAFが実行不可能である旨を表示している。なお、警告2(702)は、表示部28に表示された図5の撮影待機画面に警告1(701)が重畳表示された表示状態に加えて重畳表示されるものとする。すなわち、図7(b)に図示が無いが、アイコン504〜507と、側部の黒帯も表示されているものとする。
【0057】
図4のステップS426に続いて、S427では、SW1がオンとなったか否かを判定する。SW1がオンとなったと判定するとS428に進み、警告1と警告2を消去(警告1と警告2の表示を終了)してから図6のS601に進む。図6の処理については後述する。SW1がオンとなっていないと判定するとS429へ進む。S429では、物理ボタン等、操作部70に含まれるタッチパネル以外の操作部に対する操作があったか否かを判定する。タッチパネル以外の操作部に対する操作があったと判定するとS430に進み、タッチパネル以外の操作部に対する操作がなかったと判定するとS432へ進む。S430では、警告1と警告2を消去(警告1と警告2の表示を終了)する。続いてS431では、S429で操作されたと判定した操作部の操作に応じた処理を実行する。S431の処理を終えるとS402に処理を戻す。S432では、S423でタッチされていると判定した別の位置でのタッチがタッチアップされたか否かを判定する。タッチアップされていないと判定するとS427に処理を戻し、タッチアップされたと判定するとS433へ進む。
【0058】
S433では警告1の表示は保持したまま、警告2の表示のみ消去する。S434では、ボタンアイコン501が引き続きタッチオンされているか否かを判定し、タッチされたままであると判定するとS418へ処理を戻し、タッチされていないと判定するとS434へ進む。タッチされていない場合とは、他の指等によって別の位置がタッチされている間に、ボタンアイコン501へのタッチがボタンアイコン501の領域外へ移動したか、タッチアップが行われた場合である。しかしこの場合もS425でのタッチアップと同様に、ボタンアイコン501へのタッチオンが所定時間以上継続した後なので、ボタンアイコン501は一時的に無効となっており、ボタンアイコン501の機能は実行しない。
【0059】
ステップS435では、警告1を消去する。
【0060】
ステップS436では、SW1がオンとなったか否かを判定する。SW1がオンとなったと判定すると図6のS601に進む。図6の処理については後述する。SW1がオンとなっていないと判定するとS437に進む。S437では、その他の操作があったか否かを判定する。その他の操作とは、操作部70のうちタッチパネル以外の操作部に対する操作や、ボタンアイコン501とボタンアイコン502以外に対する操作(例えばボタンアイコン503に対する操作や前述したタッチAF等)がある。その他の操作があったと判定するとS438に進んでその他の操作に応じた処理を実行し、S439に進む。その他の操作が無かったと判定するとそのままS439へ進む。
【0061】
S439では、撮影モードの終了操作があったか否かを判定する。撮影モードの終了操作とは、モード切替スイッチ60の操作により撮影モード以外のモード(例えば再生モード)に切り替える操作や、電源スイッチ72の操作によって電源がオフとされる操作等である。終了操作がなかったと判定するとS402に処理を戻し、終了操作があったと判定すると撮影モード処理を終了する。
【0062】
図6に、図4で前述した撮影モード処理中にSW1がオンとなった場合の処理のフローチャートを示す。このフローチャートおける各処理は、システム制御回路50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0063】
S601では、図5でボタンアイコン501〜503、アイコン504〜507を消去する。S602では、AF、AE等の撮影準備動作を実行する。ここで合焦した場合は、スルー画像500に重畳して合焦枠を表示する。S603では、SW2がオンとなったかを判定する。SW2がオンとなった場合はS605に進む、SW2がオンとなっていない場合はS604へ進む。S604ではSW1がオンのままであるか否かを判定する。SW1がオンのままである場合はS603へ処理を戻し、SW1がオンのままでない場合はS607に進み、撮影待機画面を表示する。この処理は図4のS401で前述した処理と同様の処理であり、S601で消去されたボタンアイコン501〜503、アイコン504〜507を再び表示する。一方、S603でSW2がオンであると判定された場合は、S605で、露光、画像処理を含む撮像処理(本撮影)行う。S606では本撮影で生成された画像ファイルを記録媒体200に記録する。続いてS607で撮影待機画面を表示し、図4のS402に処理を戻す。
【0064】
図8を用いて、図4のS423(多点タッチ判定手段)での、ボタンアイコン501がタッチされたまま、他の指等により別の位置がタッチされたか否かの判定方法について説明する。
【0065】
タッチパネルのデバイスの方式として、静電容量方式等の多点検知が可能なデバイスでは、図4のS423にてボタンアイコン501上でのタッチ位置(第1のタッチ位置)と、別のタッチ位置(第2のタッチ位置)とが同時に検出可能である。したがって特に工夫する必要はなく、ボタンアイコン501上でのタッチ位置と同時に、別の位置でタッチダウンを検出すると、ボタンアイコン501がタッチされたまま、他の指等により別の位置がタッチされたと判定する。
【0066】
一方、タッチパネルのデバイスの方式として、多点検知ができず単一のタッチ位置しか検出できない抵抗膜方式等のタッチパネルも広く利用されている。その場合は下記のようにして、ボタンアイコン501がタッチされたまま、他の指等によりボタンアイコン501の領域以外の別の位置がタッチされたか否かを判定する。
【0067】
まず、抵抗膜方式のタッチパネルでのタッチ位置の検出について説明する。抵抗膜方式のタッチパネルでは、タッチされた位置が図7(a)、(b)のように一点のみの場合、表示部28上に設定されたX軸及びY軸それぞれの抵抗値が検出され、タッチされた位置が特定される。図7(a)では、タッチ位置である点801について、X軸及びY軸それぞれの抵抗値が検出され、表示部28上でのX座標、Y座標が取得され、タッチされた位置が特定される。図7(b)でも同様に、タッチ位置である点802について表示部28上でのX座標、Y座標が取得され、タッチされた位置が特定される。
【0068】
しかしながら抵抗膜方式の場合、複数のポイントを同時にタッチした場合、抵抗値はX軸Y軸共に各々タッチされた複数ポイントの中点のみが検出される。例えば、図7(c)のように、表示部28上の点804と点805を同時にタッチしていたとすると、検出されるのは点804と点805の中点806の1点のみである。したがって複数のタッチ位置が同時に検出することができない。しかし、2点同時にタッチされていた場合はその中点が検出されるという性質を利用して、1点がタッチされ、そのタッチ位置を取得した後に、1点目がタッチされたまま2点目がタッチされたか否かを判定することができる。
【0069】
図4のS423の判定方法について説明する。図8においてボタンアイコン501の領域を領域803、表示部28の中心点を中心点808、表示部28のうち中心点808よりも右上の領域を右上領域807(X座標が中心点以上に右、Y座標が中心点以上に上の領域)であるものとする。この場合、領域803に含まれる1点と、他の領域との任意の1点との中点は、ほとんどの場合右上領域807内に収まる。逆に、領域807に収まらない点は領域803に含まれる1点と、他の領域との任意の1点との中点ではないとみなせる。したがって本願のS423では、領域803内の1点がタッチ位置として検出されていた状態から、タッチアップを検出せずに領域807の範囲内のタッチ位置を検出した場合は、ボタンアイコン501と同時に他の指等により別の位置がタッチされたと判定する。例えば図8(c)の例で、点804が検出された後にタッチアップを検出せずに点806が検出された場合、点806を中心として点804と点対称の位置である点805を、点804と同時にタッチしたと推測できる。そのため、点805の位置に割り当てられている、タッチAFが不可能である旨の警告2を表示する。以上の方法により、抵抗膜方式でのタッチパネルにおいても、複数の位置が同時にタッチされたことを検知する。
【0070】
以上説明したように、本発明によれば、タッチパネル上の特定の領域(ボタンアイコン501)が所定時間継続してタッチされた場合は、その領域に割り当てられた機能を一時的に無効とし、タッチアップしてもその領域の機能を発動しない。この無効状態は一時的であり、図4のフローチャートが示すように、タッチアップの後、再度タッチして所定時間内にタッチアップすれば機能を実行することができる。このようにすることで、ユーザが意図せずにタッチパネル上にタッチした場合の機能発動を抑制でき、誤操作を低減することができる。また、無効状態がタッチアップが行われるまでの一時的な状態であるため、ボタンアイコン501に割り当てられた機能を実行したい場合には、単にもう一度ボタンアイコン501をタップしなおせばよく、無効状態を解除するための特別な操作は必要ない。すなわち、操作性を損ねずに誤操作を防止することができる。さらに、ユーザが無意識にタッチしやすいタッチパネル上の箇所であっても、上述のボタンアイコン501のように、誤操作する可能性を低減したボタンアイコンを配置できるので、タッチパネル上でのタッチ操作部材のレイアウトの制限も緩和することができる。
【0071】
図4の例では、所定時間以上タッチし続けると一時的に無効となるボタンアイコンを、ボタンアイコン501(特定の領域)のみとし、ボタンアイコン502などの他のボタンアイコン(他の領域)はタッチオンの継続時間に関わらず有効とした。ボタンアイコン501は、表示部28のうちシャッターボタン61に最も近い頂点(表示部28の右上頂点)から、最も近い位置にあるボタンアイコンである。シャッターボタンを備える撮像装置においては、図3で説明した持ち方をすることが多いため、表示部28のうちシャッターボタン61に最も近い頂点ほど、誤ってタッチしてしまう可能性が高い。逆に、表示部28のうちシャッターボタン61に近い頂点から遠い位置を誤ってタッチしてしまう可能性は低く、シャッターボタン61から遠い位置でタッチを検出したのであればユーザが意図的に行ったものである可能性が高い。したがって、所定時間以上のタッチ継続で無効とするボタンアイコンを、表示部28のうちシャッターボタン61に最も近い頂点から、最も近い位置にあるボタンアイコンのみにすることで、ユーザの無意識なタッチと意図的なタッチを的確に判別する。
【0072】
なお、図4の例では、所定時間以上タッチし続けると一時的に無効となるボタンアイコンを、ボタンアイコン501のみとしたが、これに限るものではなく、所定時間以上のタッチ継続で無効とするボタンアイコンは、1つでなくてもよい。すなわち、所定時間以上のタッチ継続で無効とするボタンアイコンを複数のボタンアイコンのうちのいくつか、あるいは全てのボタンアイコンとしてもよい。例えば、図3で示した例のように、表示部28のうち、Y座標がシャッターボタン61に近い位置では、表示部28の下のほうであっても右手親指の腹で誤ってタッチしてしまう可能性がある。そこで、シャッターボタン61からのY座標の距離が近い複数のボタンアイコンを所定時間以上のタッチ継続で無効とするボタンアイコンとしてもよい。また、複数のボタンアイコンを、配置されている位置に応じて異なるタッチ継続時間で無効としてもよい。この場合、誤ってタッチしてしまう可能性の位置による違いを考慮して、シャッターボタンからの距離に応じて、距離が近いほどタッチアップ時の機能発動を無効とするまでのタッチ継続時間(閾値)を短くすることが考えられる。
【0073】
例えば、ボタンアイコン502についても一定時間以上タッチし続けると一時的に無効とする場合を考える。この場合、図4のS403でボタンアイコン502(第2の領域)がタッチされたと判定(Yesと判定)されるとタイマーをスタートし、ボタンアイコン502がタッチオン状態である継続時間を計時する(第2の計時手段)。そして、ボタンアイコン502がタッチオン状態である継続時間が、ボタンアイコン501(特定の領域)の機能発動を無効とするまでのタッチ継続時間(S411での所定時間)よりも長い第2の時間以上となったか否かを判定する。そして、S406でボタンアイコン502からのタッチアップが検出された際に、タイマーで計時したボタンアイコン502へのタッチ継続時間が第2の時間に達していない場合には、ボタンアイコン502に割り当てられた機能を実行する。一方、S406でボタンアイコン502からのタッチアップが検出された際に、タイマーで計時したボタンアイコン502へのタッチ継続時間が第2の時間に達していた場合には、ボタンアイコン502に割り当てられた機能を実行しない。S411での所定時間よりも第2の時間を長くしたのは、ボタンアイコン502(第2の領域)がボタンアイコン501(特定の領域)に比べて、表示部28のうちシャッターボタン61に最も近い頂点(表示部28の右上頂点)から遠いためである。このように、シャッターボタン62に近いほど誤ってタッチしてしまう可能性が高いとみなして、シャッターボタンからの距離が近いほどタッチアップ時の機能発動を無効とするまでのタッチ継続時間を短くする。これによって、シャッターボタンからの距離が近いほど、ユーザがより明確に意図的な操作をしない限りは機能を実行しないこととして、誤操作を防止することができる。
【0074】
また、誤操作の可能性として、デジタルカメラ100をカバンに入れて持ち歩いたり、タッチパネルの配されている表示部28を下向きにして置いた場合などにも、ユーザが意図せずに、なんらかの物体がタッチパネルにタッチしてしまう可能性がある。このような意図しないタッチによる誤操作を防ぐ場合にも本発明は有効である。このような場合のタッチはある程度の期間継続されることが予測される。したがって本発明のように所定時間継続するタッチを一時的に無効とすることで、意図せぬタッチによる誤操作を防ぐことが可能である。この場合は、表示部28におけるボタンアイコンの位置は誤操作の可能性とは関連がないので、全てのボタンアイコンについて一定時間以上タッチが続けば一時的に無効とするのが好ましい。
【0075】
さらに、図4では撮影モード処理について説明したが、再生モードでは撮影モードとは異なり、ボタンアイコン501と同じ位置あるいは少なくとも一部が重複する領域に配置されるボタンアイコンについて、タッチの継続時間に関わらず有効としてもよい。これは、再生モードでは撮影モードとは異なり、図3のようにシャッターボタンに手を掛けるような持ち方をしない可能性が高いためである。したがって、再生モードにおいては所定時間以上のタッチ継続で無効とするボタンアイコンを設けない構成とする。あるいは、再生モードにおいては、再生モードの際のデジタルカメラ100の保持の仕方を鑑みて、所定時間以上のタッチ継続で無効とするボタンアイコンを撮影モードとは異なる位置に配置する。
【0076】
また、デジタルカメラ100は姿勢検出センサを備えるものとしてもよい。姿勢検出センサは、加速度センサや縦横検知センサ等の、重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検出可能なセンサである。姿勢検出センサによって、デジタルカメラ100が横向き(第1の姿勢)であることが検出された場合は図3で前述したように保持のされている可能性が高い。しかし、姿勢検出センサでデジタルカメラが縦向き(第2の姿勢)であることが検出された場合には、デジタルカメラ100は縦に構えられ、前述した図3とは異なる構え方をされている可能性が高い。その場合、図3の場合とは異なる位置を誤ってタッチしてしまう可能性が高い。従って、姿勢検出センサでデジタルカメラ100が縦向きであることが検出された場合には、横向きであることが検出された場合とは異なる位置のボタンアイコンを、所定時間以上タッチし続けると一時的に無効となるボタンアイコンとするのが好ましい。例えば、姿勢検出センサで横向きであることが検出された場合には図4で説明したように、ボタンアイコン501を所定時間以上タッチし続けると一時的に無効となるボタンアイコンとし、その他のボタンアイコンはタッチオンの継続時間に関わらず有効とする。一方、姿勢検出センサで縦向きであることが検出された場合には、ボタンアイコン501以外のボタンアイコン、例えばボタンアイコン503を所定時間以上タッチし続けると一時的に無効となるボタンアイコンとする。そして、ボタンアイコン503以外のボタンアイコン(ボタンアイコン501を含む)はタッチオンの継続時間に関わらず有効とする。このようにすることで、装置の姿勢に応じてより確実に誤操作を防止することができる。
【0077】
なお、本発明を適用可能なタッチパネルの方式は、表示部への接触操作が検知可能なものであればどのようなものでもよく、上述した抵抗膜方式や静電容量方式の他にも、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等にも適用可能である。
【0078】
上述の実施形態は撮像装置に関してのものであるが、タッチパネルを搭載した表示装置を制御するものであれば撮像装置に限らず、本発明を適用可能である。例えば、タッチパネルを搭載した携帯電話、PDA、音楽プレーヤー、画像ビューワー、ゲーム機、印刷装置、カーナビゲーション等、タッチパネルを搭載したどのような装置にも適用可能である。撮像装置以外に本発明を適用する場合、それぞれの機器の保持のされ方や使用場面を鑑みて、複数のボタンアイコンを配置されている位置に応じて異なるタッチ継続時間で無効とするのがよい。
【0079】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0080】
なお、上述した制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0081】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段上へのタッチを検出するタッチ検出手段と、
前記表示手段上の特定の領域へのタッチの継続時間を計時する計時手段と、
前記表示手段上へのタッチが離されるタッチアップを検出するタッチアップ検出手段と、
特定のモードである場合に前記タッチ検出手段によって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した際に、前記計時手段によって計時した継続時間が所定時間に達していない場合は前記特定の領域に割り当てられた機能を実行し、
前記特定のモードである場合に前記タッチ検出手段によって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した際に、前記計時手段によって計時した継続時間が前記所定時間に達していた場合は、該タッチアップに応じては前記特定の領域に割り当てられた機能を実行せず、
前記特定のモードでない場合には、前記タッチ検出手段によって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した場合には、前記特定の領域へのタッチの継続時間が前記所定時間に達していても、前記特定の領域に割り当てられた機能を実行するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置はさらに、
撮像手段と、
少なくとも撮影モードと再生モードとを含む複数のモードの中から1つのモードに切り替えるモード切替手段とを有し、
前記特定のモードは前記撮影モードであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定のモードである場合に前記特定の領域に割り当てられた機能は、前記情報処理装置の備える撮像手段による撮像に関する機能であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記タッチ検出手段によって前記特定の領域とは異なる他の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した場合には、前記他の領域へのタッチの継続時間が前記所定時間に達していても、前記他の領域に割り当てられた機能を実行するように制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示手段上の前記特定の領域とは異なる第2の領域へのタッチの継続時間を計時する第2の計時手段を更に有し、
前記制御手段は、前記タッチ検出手段によって前記第2の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した際に、前記第2の計時手段によって計時した継続時間が前記所定時間よりも長い第2の時間に達していない場合は、前記第2の領域に割り当てられた機能を実行し、
前記タッチ検出手段によって前記第2の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出手段によってタッチアップを検出した際に、前記第2の計時手段によって計時した継続時間が前記第2の時間に達していた場合は、該タッチアップに応じては前記第2の領域に割り当てられた機能を実行しないように制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置はさらに、
撮像手段による撮像の指示をユーザから受け付けるためのシャッター操作部材を有し、
前記特定の領域は、前記表示手段のうち前記シャッター操作部材から最も近い頂点から最も近い位置に表示されたボタンアイコンの領域であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置はさらに、
撮像手段による撮像の指示をユーザから受け付けるためのシャッター操作部材を有し、
前記特定の領域は、前記表示手段のうち前記シャッター操作部材から最も近い頂点に対して、前記他の領域よりも近い位置に表示されたボタンアイコンの領域であることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置はさらに、
撮像手段による撮像の指示をユーザから受け付けるためのシャッター操作部材を有し、
前記特定の領域は、前記表示手段のうち前記シャッター操作部材から最も近い頂点に対して、前記第2の領域よりも近い位置に表示されたボタンアイコンの領域であることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置はさらに、
前記計時手段によって計時した継続時間が前記所定時間に達した場合に、第1の警告を前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の警告は、前記特定の領域がタッチされていることを表す警告であることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置はさらに、前記特定の領域以外の領域が前記特定の領域と同時にタッチされたか否かを判定する多点タッチ判定手段を有し、
前記表示制御手段はさらに、前記第1の警告を表示した状態で、前記多点タッチ判定手段によって前記特定の領域以外の領域が前記特定の領域と同時にタッチされたと判定された場合に、第2の警告を前記表示手段に表示するように制御することを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2の警告は、前記タッチによる操作が不可能であることを表す警告であることを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記タッチ検出手段は、前記表示手段上における単一のタッチ位置のみを検出可能であり、
前記多点タッチ判定手段は、前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から、前記タッチアップ検出手段でタッチアップを検出せずに、前記表示手段上の所定の範囲内に対するタッチを検出した場合には、前記特定の領域以外の位置が前記特定の領域と同時にタッチされたと判定することを特徴とする請求項11または12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第2の警告は、前記所定の範囲内に対する前記タッチの位置を中心として前記特定の領域で検出されたタッチの位置と点対称の位置に割り当てられた機能が実行不可能であることを表す警告であることを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
当該情報処理装置の姿勢を検出する姿勢検出手段を更に有し、
前記姿勢検出手段で検出された姿勢に応じて、前記表示手段上の異なる位置を前記特定の領域として扱うことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
表示手段上へのタッチを検出するタッチ検出ステップと、
前記表示手段上の特定の領域へのタッチの継続時間を計時する計時ステップと、
前記表示手段上へのタッチが離されるタッチアップを検出するタッチアップ検出ステップと、
特定のモードである場合に前記タッチ検出ステップによって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出ステップによってタッチアップを検出した際に、前記計時ステップによって計時した継続時間が所定時間に達していない場合は前記特定の領域に割り当てられた機能を実行し、
特定のモードである場合に前記タッチ検出ステップによって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出ステップによってタッチアップを検出した際に、前記計時ステップによって計時した継続時間が前記所定時間に達していた場合は、該タッチアップに応じては前記特定の領域に割り当てられた機能を実行せず、
前記特定のモードでない場合には、前記タッチ検出ステップによって前記特定の領域へのタッチを検出していた状態から前記タッチアップ検出ステップによってタッチアップを検出した場合には、前記特定の領域へのタッチの継続時間が前記所定時間に達していても、前記特定の領域に割り当てられた機能を実行するように制御する制御ステップと
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1乃至15のいずれか1項に記載された情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータを、請求項1乃至15のいずれか1項に記載された情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−47973(P2013−47973A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232911(P2012−232911)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2009−189330(P2009−189330)の分割
【原出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】