説明

情報処理装置、及び、印刷システム

【課題】セキュリティレベルの高い印刷処理を実行できる印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷システム10において、クライアントPC20は、印刷指示を受付ける操作部と、印刷指示に応答して、複数のMFP30のうちのいずれかに対し、画像データを送信するLAN I/Fと、当該クライアントPC20と送信先のMFP30との距離が大きいか否かを判定する第1の判定機能、及び、画像データが重要であるか否かを判定する第2の判定機能を有する制御部と、画像データの送信前であって、少なくとも、第1の判定機能によって距離が大きいと判定された場合、又は、第2の判定機能によって、画像データが重要であると判定された場合に、画像データの送信に対する警告を行なう画面を表示する表示部と、を含み、MFP30は、画像データに基づく画像を印刷するプリンタ部を含むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び印刷システムに関し、特には、セキュリティレベルを向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クライアントPC(Personal Computer)、及び、このクライアントPCとネットワークを介して接続される複数の画像形成装置を含む印刷システムが知られている。このような印刷システムにおいて、クライアントPCのユーザは、複数の画像形成装置から所望の画像形成装置を選択し、選択した画像形成装置に対して所望の画像データの印刷を要求する印刷指示を出すことで、印刷処理を実行できる。
【0003】
近年、上記した印刷システムにおいて、セキュリティレベルを向上させるための様々な技術が提案されている。例えば、後掲の特許文献1に開示される印刷システムでは、ユーザによるコンピュータからの入力操作によって、画像形成装置が選択され、印刷の指示がなされたときに、選択された画像形成装置が当該コンピュータを含む所定のネットワーク範囲内に存在するか否かが判断される。そして、画像形成装置が所定のネットワーク範囲内に存在しないと判断された場合、すなわち画像形成装置とコンピュータとの間の距離が離れている場合には、誤った選択をしている可能性がある旨の警告がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−251863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術では、画像形成装置とコンピュータとの間の距離が考慮されているのみであり、充分なセキュリティレベルを達成できない。
【0006】
本発明の目的は、セキュリティレベルの高い印刷処理を実行できる情報処理装置及び印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面に係る情報処理装置は、画像データに基づく画像を印刷する複数の画像形成装置と、ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、印刷指示を受付ける受付手段と、印刷指示に応答して、複数の画像形成装置のうちのいずれかに対し、画像データを送信する送信手段と、当該情報処理装置と送信先の画像形成装置との距離が大きいか否かを判定する第1の判定手段と、画像データが重要であるか否かを判定する第2の判定手段と、画像データの送信前であって、少なくとも、第1の判定手段によって距離が大きいと判定された場合、又は、第2の判定手段によって、画像データが重要であると判定された場合に、画像データの送信に対する警告を行なう警告手段と、を含む。
【0008】
このように、画像データの送信前であって、少なくとも、印刷指示を行なった情報処理装置と画像データの送信先の画像形成装置との距離が大きい場合、又は、送信する画像データが重要である場合に、画像データの送信に対する警告が行なわれる。したがって、ユーザは、誤って遠くに設置される画像形成装置に印刷処理を行なわせたり、重要な印刷物が安易に印刷されたりすることを防ぐことができる。このように、情報処理装置と画像形成装置との距離だけでなく、画像データの重要度をも考慮された警告がなされるので、セキュリティレベルの高い印刷処理を実行することができる。
【0009】
好ましくは、情報処理装置は、送信先の画像形成装置を変更することを要求する指示を受付ける変更受付手段と、警告がなされた後であって、変更受付手段が指示を受付けない場合には、印刷を行なう前に、送信先の画像形成装置のユーザが正規のユーザであるか否かを判定する認証処理を実行することを推奨するメッセージを表示する表示手段と、をさらに含む。
【0010】
このように、警告がなされたにもかかわらず、送信先の画像形成装置が変更されない場合には、認証処理を実行することを推奨するメッセージが表示される。したがって、認証処理が実行される確率が高くなり、より一層セキュリティレベルの高い印刷処理を実行することができる。
【0011】
より好ましくは、情報処理装置は、変更受付手段が指示を受付けた場合に、当該情報処理装置と複数の画像形成装置との位置関係、並びに、複数の画像形成装置の動作状況を表示することで、変更先の候補となる画像形成装置を表示する候補表示手段をさらに含む。
【0012】
このように、当該情報処理装置と複数の画像形成装置との位置関係、並びに、複数の画像形成装置の動作状況が表示されるので、ユーザは、ユーザの意図に応じた送信先の画像形成装置を容易に選択することができる。したがって、ユーザの利便性がより一層向上する。
【0013】
さらに好ましくは、候補表示手段は、画像形成装置の動作状況として、電源ON/OFF状態に関する情報、及び、認証処理の実行が推奨されるか否かに関する情報を表示する。これによって、ユーザは、電源ON/OFF状態に関する情報、及び、認証処理の実行が推奨されるか否かに関する情報に基づいて、送信先の画像形成装置を選択できるので、ユーザの意図に応じた送信先の画像形成装置をより一層容易に選択することができる。
【0014】
さらに好ましくは、候補表示手段は、電源ON状態の画像形成装置の全てが、当該情報処理装置から遠く離れた位置にある場合には、電源ON状態の画像形成装置の全てを、認証処理の実行を推奨する画像形成装置として表示する。これによって、遠くに設置される画像形成装置に印刷処理を行なわせる場合に、認証処理が実行される確率が高くなる。したがって、遠くに設置される画像形成装置に印刷処理を行なわせる場合には、ユーザがその画像形成装置まで出向き、認証処理を行なった後に印刷処理がなされるようになるので、第三者が印刷物を取得することをより一層確実に回避することができ、セキュリティレベルがさらに向上する。
【0015】
さらに好ましくは、候補表示手段は、当該情報処理装置から遠く離れた位置にあり、かつ、印刷の開始までに時間がかかる状態の画像形成装置を、認証処理を推奨しない画像形成装置として表示する。
【0016】
遠くに設置されていても、ユーザが出向くまでに印刷処理が開始されない可能性の高い画像形成装置に対して印刷処理を行なわせる場合には、認証処理を実行しなくても、第三者が印刷物を取得する可能性が低い。したがって、遠く離れた位置にあり、かつ、印刷の開始までに時間がかかる状態の画像形成装置を、認証処理を推奨しない画像形成装置として表示することで、認証処理が実行されない確率が高くなるので、認証処理に要する手間を省くことができる。
【0017】
さらに好ましくは、候補表示手段は、当該情報処理装置と複数の画像形成装置との位置関係を地図情報として表示し、情報処理装置は、地図情報における画像形成装置の位置を示す領域を選択することで、選択された画像形成装置を、変更先の画像形成装置として受付ける変更先受付手段をさらに含む。
【0018】
このように、当該情報処理装置と複数の画像形成装置との位置関係を示す地図情報が表示されるので、ユーザは、上記位置関係を視覚的に認識し易くなる。また、ユーザは、地図情報における画像形成装置の位置を示す領域を選択することで、変更先の画像形成装置を選択できるので、ユーザの意図に応じた送信先の画像形成装置をさらに容易に選択することができる。したがって、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0019】
本発明の第2の局面に係る印刷システムは、複数の画像形成装置と、複数の画像形成装置とネットワークを介して接続される情報処理装置と、を含む印刷システムであって、情報処理装置は、印刷指示を受付ける受付手段と、印刷指示に応答して、複数の画像形成装置のうちのいずれかに対し、画像データを送信する送信手段と、当該情報処理装置と送信先の画像形成装置との距離が大きいか否かを判定する第1の判定手段と、画像データが重要であるか否かを判定する第2の判定手段と、画像データの送信前であって、少なくとも、第1の判定手段によって距離が大きいと判定された場合、又は、第2の判定手段によって、画像データが重要であると判定された場合に、画像データの送信に対する警告を行なう警告手段と、を含み、画像形成装置は、画像データに基づく画像を印刷する印刷手段を含む。
【0020】
このように、情報処理装置において、画像データの送信前であって、少なくとも、印刷指示を行なった情報処理装置と画像データの送信先の画像形成装置との距離が大きい場合、又は、送信する画像データが重要である場合に、画像データの送信に対する警告が行なわれる。したがって、ユーザは、誤って遠くに設置される画像形成装置に印刷処理を行なわせたり、重要な印刷物が安易に印刷されたりすることを防ぐことができる。このように、情報処理装置と画像形成装置との距離だけでなく、画像データの重要度をも考慮された警告がなされるので、セキュリティレベルの高い印刷処理を実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像データの送信前であって、少なくとも、印刷指示を行なった情報処理装置と画像データの送信先の画像形成装置との距離が大きい場合、又は、送信する画像データが重要である場合に、画像データの送信に対する警告が行なわれる。したがって、ユーザは、誤って遠くに設置される画像形成装置に印刷処理を行なわせたり、重要な印刷物が安易に印刷されたりすることを防ぐことができる。このように、情報処理装置と画像形成装置との距離だけでなく、画像データの重要度をも考慮された警告がなされるので、セキュリティレベルの高い印刷処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る印刷システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】クライアントPCの構成を示すブロック図である。
【図3】管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】デジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【図5】印刷判断処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【図6】印刷判断処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【図7】第1のセキュリティ警告画面の一例を示す図である。
【図8】設定変更画面の一例を示す図である。
【図9】距離警告画面の一例を示す図である。
【図10】第2のセキュリティ警告画面の一例を示す図である。
【図11】印刷先変更画面の一例を示す図である。
【図12】印刷警告画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明をその都度繰返すことはしない。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態に係る印刷システム10の構成を模式的に示すブロック図である。図1を参照して、印刷システム10は、クライアントPC20A〜20Iと、デジタル複合機(以下「MFP(Multifunction Printer)」と記す。)30A〜30Cと、管理サーバ40と、を含む。
【0025】
クライアントPC20A〜20E、及び、MFP30Aは、LAN(Local Area Network)回線11Aに接続される。クライアントPC20F〜20I、及び、MFP30B,30Cは、LAN回線11Bに接続される。管理サーバ40は、LAN回線11Cに接続される。このLAN回線11Cは、ゲートウェイ(図示せず。)を介してLAN回線11A,11Bに接続される。
【0026】
なお、図1には、印刷システム10の各構成部として、クライアントPC20A〜20I、MFP30A〜30C及び管理サーバ40を図示するが、他の周辺機器及び情報端末等が含まれていてもよい。
【0027】
以下、本明細書において、同一の構成を有する部品をそれぞれ区別する場合には、各部品を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表わす。
【0028】
〈ハードウェア構成〉
[クライアントPC20]
図2は、クライアントPC20の構成を示すブロック図である。図2を参照して、クライアントPC20は、制御部100、HDD112、操作部114、表示部116、及び、LAN I/F118を含む。
【0029】
制御部100は、実質的にコンピュータであって、CPU122、ROM124、及び、RAM126を含む。CPU122には、BUSライン128が接続されており、このBUSライン128には、ROM124及びRAM126が電気的に接続される。CPU122は、MFP30及び管理サーバ40等の外部装置又は操作部114等からの指示に応じて各種コンピュータプログラム(以下単に「プログラム」と記す場合がある。)を実行することによって、クライアントPC20の各構成部の動作及び外部装置との通信等の所望の処理を実行する。
【0030】
上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM124に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM124から読出されてRAM126に転送される。CPU122は、CPU122内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM126内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU122はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM126,HDD112及びCPU122内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
【0031】
HDD112は、画像データ等を含む各種データを記憶する。HDD112に記憶される画像データには、画像データ毎にそれぞれ重要度が設定されている。この重要度とは、画像データの重要さの度合いを表す数値であって、操作部114からの入力操作によって、画像データの所有者等によって予め設定される。後述する印刷判断処理においては、画像データの重要度が予め定める設定値より高いか否かに基づいて、画像データが重要であるか否かが判定される。
【0032】
本実施の形態において、HDD112には、クライアントPC20の一般的な動作を実現するためのプログラムとともに、後述する印刷判断処理を実現するためのプログラムが記憶される。このプログラムにおける、印刷判断処理を実現するためのプログラム構造については後述する。
【0033】
BUSライン128には、さらに、HDD112、操作部114、表示部116、及び、LAN I/F118が電気的に接続される。
【0034】
操作部114は、ユーザの指示等に応じた各種入力及び文字入力等を行なう入力装置であるキーボード及びポインティングデバイスであるマウスからなる。表示部116は、クライアントPC20における処理結果等を表示するための、液晶ディスプレイ等からなる表示装置である。操作部114及び表示部116は、インターフェイス(図示せず。)を介してBUSライン128と接続される。
【0035】
クライアントPC20は、LAN I/F118を介してLAN回線11に接続されており、LAN回線11上に接続される各種外部装置とのデータ通信が可能である。
【0036】
クライアントPC20の各構成部には電源(図示せず。)が接続され、この電源から電力が供給されることで、クライアントPC20の各構成部の動作が可能になる。
【0037】
印刷処理を所望するクライアントPC20のユーザは、操作部114からの入力操作によって、印刷先のMFP30の選択及びセキュリティ設定等のプリンタモードにおける各種設定に関する情報を入力する。次いで、印刷を所望する画像データを選択するとともに、印刷実行指示を出す。これによって、後述する印刷判断処理が実行され、処理結果に応じて、画像データを含む各種情報が、選択されたMFP30に対して送信される。なお、上記したセキュリティ設定とは、印刷処理を行なう際に、MFP30にて実行される認証処理に関する設定である。この認証処理は、MFP30のユーザが正規のユーザであるか否かを判定する処理であって、本人認証及びパスワードによる認証のいずれかによって行なわれる。本人認証とは、ユーザIDを記憶するICカードによる認証、及び、指紋等を用いた生体認証等によって行なわれる認証処理である。
【0038】
[管理サーバ40]
図3は、管理サーバ40の構成を示すブロック図である。管理サーバ40は、制御部200、HDD212、操作部214、表示部216、及び、LAN I/F218を含む。制御部200は、CPU222、ROM224、及び、RAM226を含む。CPU222には、BUSライン228が接続されており、このBUSライン228には、ROM224及びRAM226が電気的に接続されるとともに、HDD212、操作部214、表示部216、及び、LAN I/F218が電気的に接続される。
【0039】
管理サーバ40における上記した各構成部の機能は、HDD212に記憶されるデータが異なる点を除いて、クライアントPC20の各構成部の機能と同じである。
【0040】
HDD212は、管理サーバ40の一般的な動作を実現するためのプログラムとともに、位置関係データ等を含む各種データを記憶する。上記した位置関係データとは、MFP30及びクライアントPC20の位置関係を示すデータである。テーブル1に、位置関係データの一例を示す。
【0041】
【表1】

【0042】
テーブル1を参照して、位置関係データには、MFP30及びクライアントPC20の設置場所を示すフロア名、フロア内での位置を示すX座標及びY座標の値、IPアドレス、並びに、装置の種類が、それぞれ関連付けられてテーブル形式で記憶される。位置関係データに記憶される各種情報は、例えば、ユーザによる操作部214からの入力操作によって入力される。又は、MFP30及びクライアントPC20にセンサを予め搭載しておき、各センサの出力結果に基づいて、自動的に入力されてもよい。
【0043】
管理サーバ40は、クライアントPC20からの、クライアントPC20と印刷先として選択されたMFP30との距離に関する問合せを受付けると、HDD212に記憶される位置関係データに基づいて、クライアントPC20と選択されたMFP30との距離を算出する。そして、算出結果を含む距離情報を、問合せ元のクライアントPC20に対して送信する。
【0044】
管理サーバ40は、また、クライアントPC20から位置関係データの送信を要求されると、要求元のクライアントPC20に対し、HDD212に記憶される位置関係データを送信する。
【0045】
[MFP30]
図4は、MFP30の構成を示すブロック図である。図4を参照して、MFP30は、制御部300、スキャナ部302、画像処理装置304、プリンタ部306、操作パネル308、LAN I/F310、及び、電源制御部312を含む。
【0046】
制御部300は、実質的にコンピュータであって、CPU322、ROM324、RAM326及びHDD328を含む。CPU322には、BUSライン330が接続されており、このBUSライン330には、ROM324、RAM326及びHDD328が電気的に接続される。CPU322は、クライアントPC20及び管理サーバ40等の外部装置又は操作パネル308等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、MFP30の各構成部の動作及び外部装置との通信等の所望の処理を実行する。
【0047】
上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM324又はHDD328に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM324又はHDD328から読出されてRAM326に転送される。CPU322は、CPU322内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM326内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU322はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM326、HDD328及びCPU322内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
【0048】
BUSライン330には、さらに、スキャナ部302、画像処理装置304、プリンタ部306、操作パネル308、LAN I/F310、及び、電源制御部312が電気的に接続される。
【0049】
スキャナ部302は、光源を含む原稿走査ユニット、反射ミラー、光学レンズ及びCCD(Charge−Coupled Device)ラインセンサ(以上いずれも図示せず。)を含む。原稿走査ユニットは、ユーザによって手動で、又は、自動原稿搬送装置(図示せず。)によって、原稿載置台(図示せず。)上に載置された原稿の画像表面に対し光源から光を照射することによって反射光像を得る。反射ミラー及び光学レンズは、得られる反射光像をCCDラインセンサ上に結像させる。CCDラインセンサは、結像された反射光像を順次光電変換して画像データとして画像処理装置304に対して出力する。
【0050】
画像処理装置304は、MPU(Micro Processing Unit、図示せず。)を含む。画像処理装置304は、スキャナ部302、又は、クライアントPC20から入力される画像データに対して、領域分離処理及び階調再現処理等の各種画像処理を施して所定の階調の印刷用画像データを作成し、プリンタ部306に対して出力する。
【0051】
プリンタ部306は、画像メモリ332及び印字部334を含む。画像メモリ332は、RAMを含み、画像データをページ単位で一時的に記憶する。画像メモリ332は、制御部300等からの指示に応じて、印字部334に送信するための印刷用画像データをページ単位で一時的に記憶し、記憶した印刷用画像データを印字部334による画像形成に同期して、印字部334に対して出力する。
【0052】
印字部334は、感光体ドラム、帯電器、LSU、現像装置、転写装置、クリーニング装置及び定着装置(以上いずれも図示せず。)、並びに、MFP30に着脱自在に装着されるトナーカートリッジを含む。印字部334は、さらに、MFP30に着脱自在に装着される、手差し給紙トレイ、第1給紙トレイ及び第2給紙トレイ(以上いずれも図示せず。)を含む。これらの給紙トレイは、この順で上下に並ぶように設置され、記録用紙を保持し、用紙搬送部(図示せず。)に記録用紙を送給する。手差し給紙トレイは、ユーザが手動により所望の記録用紙を設置するためのトレイであり、第1給紙トレイ及び第2給紙トレイは、異なる大きさの記録用紙を保持するためのトレイである。印字部334は、制御部300等からの指示に応じて、上記給紙トレイのいずれかから用紙搬送部を介して搬送される記録用紙上に、画像メモリ332から送信される画像データに基づく画像を印刷する。
【0053】
操作パネル308は、液晶ディスプレイからなる表示出力部と、操作ボタン及びタッチパネル等からなる操作インターフェイス部と、を含む。表示出力部は、MFP30の状態及び各種処理の状態に関する情報等をユーザに提供する。操作インターフェイス部は、ユーザがMFP30を操作するためのインターフェイスを提供する。操作パネル308は、また、液晶ディスプレイとタッチパネルとを重ねて構成される、ユーザに対して対話的な操作インターフェイスを提供する。この対話的な操作インターフェイスは、タッチパネルからMFP30全体の動作に対するユーザの指示を受付けて、その指示の内容を液晶ディスプレイに表示するとともに、その指示に応じた制御信号を制御部300又は画像処理装置304のMPUに対して出力する。
【0054】
MFP30は、LAN I/F310を介してLAN回線11に接続されており、LAN回線11上に接続される各種外部装置とのデータ通信が可能である。
【0055】
電源制御部312は、外部電源336と電気的に接続される。電源制御部312は、MFP30の各構成部の動作に必要な電力を外部電源336から取得し、取得した電力をMFP30の各構成部に供給する。
【0056】
MFP30は、上記した各構成部を動作させることによって、操作パネル308からのユーザの入力操作による指示又はクライアントPC20等からの指示に応じて、原稿画像を読取り記録用紙に画像を印刷するコピーモード、クライアントPC20等から送信される画像データを受信して記録用紙に画像を印刷するプリンタモード、及び、原稿画像を読取りクライアントPC20等に画像データを送信するスキャナモード等の各種のモードのいずれかを実行する。
【0057】
〈ソフトウェア構成〉
[クライアントPC20]
図5及び図6は、印刷判断処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。印刷判断処理を実現するためのプログラムは、ユーザによる操作部114からの入力操作によって、プリンタモードにおける各種設定(印刷先のMFP30の選択及びセキュリティ設定等を含む。)に関する情報が入力された後、印刷を所望する画像データが選択されるとともに、印刷実行指示がなされることによって起動される。
【0058】
図5を参照して、このプログラムは、管理サーバ40に対し、クライアントPC20と選択されたMFP30との距離を問合せるステップS101と、管理サーバ40から、距離情報を受信するまで待機するステップS102と、を含む。
【0059】
このプログラムはさらに、ステップS102にて、距離情報を受信したと判定された場合(YESの場合)に実行され、受信した距離情報に基づいて、クライアントPC20と選択されたMFP30との距離が、予め定める所定距離以内であるか否かを判定するステップS103を含む。なお、この所定距離は、クライアントPC20と選択されたMFP30との距離が上記所定距離以内である場合に、PC20と選択されたMFP30との距離が近いと判断されるように、ユーザによって任意に設定されるものである。
【0060】
このプログラムはさらに、ステップS103にて、予め定める所定距離以内であると判定された場合(YESの場合)、すなわち、クライアントPC20と選択されたMFP30との距離が近い場合に実行され、画像データの重要度が、予め定める設定値より高いか否かを判定することで、画像データが重要であるか否かを判定するステップS104を含む。
【0061】
このプログラムはさらに、ステップS104にて、重要度が予め定める設定値よりも高く、重要であると判定された場合(YESの場合)に実行され、表示部116に対し、第1のセキュリティ警告画面を表示させるステップS105を含む。
【0062】
図7は、第1のセキュリティ警告画面600の一例を示す図である。図7を参照して、第1のセキュリティ警告画面600は、画像データの重要度が高いことを通知するとともに、セキュリティ設定の変更を勧めるメッセージ602と、「そのまま印刷」ボタン604と、「再設定」ボタン606と、を含む。
【0063】
このプログラムはさらに、「再設定」ボタン606が押下されたか否かを判定するステップS106と、ステップS106にて、「再設定」ボタン606が押下されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、表示部116に対し、設定変更画面を表示させるステップS107と、を含む。
【0064】
図8は、設定変更画面700の一例を示す図である。図8を参照して、設定変更画面700は、予め設定されるセキュリティ設定に関する情報を変更するための画面である。設定変更画面700は、本人認証モードの有効化を選択するためのチェックボックス702と、パスワードの設定を選択するためのチェックボックス704と、設定するパスワードを入力するためのテキストフィールド706と、OKボタン708と、を含む。
【0065】
このプログラムはさらに、OKボタン708が押下されるまで待機するステップS108を含む。
【0066】
このプログラムはさらに、ステップS108にて、OKボタン708が押下されたと判定された場合(YESの場合)、ステップS104にて、重要度が予め定める設定値以下であり、重要でないと判定された場合(NOの場合)、又は、ステップS106にて、「再設定」ボタン606が押下されなかったと判定された場合(NOの場合)、すなわち「そのまま印刷」ボタン604が押下された場合に実行され、選択されたMFP30に対し、画像データを送信するステップS109を含む。
【0067】
図6を参照して、このプログラムはさらに、ステップS103にて、予め定める所定距離以内ではないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、クライアントPC20と選択されたMFP30との距離が遠い場合に実行され、画像データの重要度が、予め定める設定値より高いか否かを判定することで、画像データが重要であるか否かを判定するステップS110を含む。
【0068】
このプログラムはさらに、ステップS110にて、重要度が予め定める設定値以下であり、重要でないと判定された場合(NOの場合)に実行され、表示部116に対し、距離警告画面を表示させるステップS111を含む。
【0069】
図9は、距離警告画面800の一例を示す図である。図9を参照して、距離警告画面800は、選択されたMFP30が遠くに設置されていることを通知するメッセージ802と、「そのまま印刷」ボタン804と、「印刷先変更」ボタン806と、を含む。
【0070】
このプログラムはさらに、「印刷先変更」ボタン806が押下されたか否かを判定するステップS112と、ステップS112にて、「印刷先変更」ボタン806が押下されなかったと判定された場合(NOの場合)、すなわち、「そのまま印刷」ボタン804が押下された場合に実行され、表示部116に対し、第2のセキュリティ警告画面を表示させるステップS113を含む。
【0071】
図10は、第2のセキュリティ警告画面900の一例を示す図である。図10を参照して、第2のセキュリティ警告画面900は、選択されたMFP30が遠くに設置されていることを通知するとともに、セキュリティ設定の変更を勧めるメッセージ902と、「そのまま印刷」ボタン904と、「再設定」ボタン906と、を含む。
【0072】
このプログラムはさらに、「再設定ボタン」906が押下されたか否かを判定するステップS114を含む。ステップS114にて、「再設定ボタン」906が押下されたと判定された場合(YESの場合)には、制御はステップS107に移行する。ステップS114にて、「再設定」ボタン906が押下されなかったと判定された場合(NOの場合)、すなわち「そのまま印刷」ボタン904が押下された場合には、制御はステップS109に移行する。
【0073】
このプログラムはさらに、ステップS112にて、「印刷先変更」ボタン806が押下されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、管理サーバ40に対し、位置関係データの送信を要求するステップS115と、位置関係データを受信するまで待機するステップS116と、ステップS116にて、位置関係データを受信したと判定された場合(YESの場合)に実行され、表示部116に対し、受信した位置関係データに基づいて、印刷先変更画面を表示させるステップS117と、を含む。
【0074】
図11は、印刷先変更画面1000の一例を示す図である。図11を参照して、印刷先変更画面1000は、地図情報1002を含む。この地図情報1002は、クライアントPC20が設置されるフロアにおける、クライアントPC20とMFP30との位置関係、並びに、MFP30の動作状況を表示する。図11に示す地図情報1002では、フロアAにおける上記した位置関係及び動作状況が表示される。
【0075】
図11に示す地図情報1002において、領域1003は、印刷実行指示を出したクライアントPC20の位置を示す。領域1004は、電源OFF状態であるため使用不可であるMFP30の位置を示す。領域1005A,1005Bは、印刷処理の実行時に認証処理を行なうことを推奨しないMFP30の位置を示す。領域1006は、印刷処理の実行時に認証処理が必須となるMFP30の位置を示す。領域1007は、印刷処理の実行時に認証処理を行なうことを推奨するMFP30の位置を示す。ユーザは、所望のMFP30の位置を示す領域をクリックすることで、所望のMFP30を選択することができる。
【0076】
なお、認証処理の実行を推奨するか否かの判断は、クライアントPC20とMFP30との距離情報及び印刷対象の画像データの重要度等に基づいて行なわれる。例えば、電源ON状態のMFP30の全てが、クライアントPC20から遠く離れた位置にある場合には、それらを、認証処理の実行を推奨するMFP30として表示する。また、領域1005Bに示されるMFP30は、クライアントPC20から遠く離れた位置にあるものの、多くのジョブを受付けており印刷処理に時間がかかる状態であるため、認証処理を推奨しないMFP30として表示される。
【0077】
このプログラムはさらに、MFP30が選択されるまで待機するステップS118と、ステップS118にて、MFP30が選択されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、選択されたMFP30の動作状況に基づいて、セキュリティ設定の変更が必要であるか否かを判定するステップS119と、を含む。ステップS119にて、変更が必要であると判定された場合(YESの場合)には、制御は、ステップS107に移行する。ステップS119にて、変更は必要ないと判定された場合(NOの場合)には、制御はステップS109に移行する。
【0078】
このプログラムはさらに、ステップS110にて、重要度が予め定める設定値よりも高く、重要であると判定された場合(YESの場合)に実行され、表示部116に対し、印刷警告画面を表示させるステップS120を含む。
【0079】
図12は、印刷警告画面1100の一例を示す図である。図12を参照して、印刷警告画面1100は、選択されたMFP30が遠くに設置されていること、及び、画像データの重要度が高いことを通知するとともに、セキュリティ設定の変更及び印刷先の変更を勧めるメッセージ1102と、「そのまま印刷」ボタン1104と、「再設定」ボタン1106と、を含む。
【0080】
このプログラムはさらに、「再設定ボタン」1106が押下されたか否かを判定するステップS121を含む。ステップS121にて、「再設定ボタン」1106が押下されたと判定された場合(YESの場合)には、制御はステップS115に移行する。ステップS121にて、「再設定」ボタン1106が押下されなかったと判定された場合(NOの場合)、すなわち「そのまま印刷」ボタン1104が押下された場合には、制御はステップS109に移行する。
【0081】
〈動作〉
図1〜図12を参照して、印刷システム10は、以下のように動作する。なお、以下に示す動作を除く、印刷システム10の一般的な動作は、従来の印刷システムの動作と同じである。また、以下に説明する動作において、ユーザは図1に示すクライアントPC20Aを使用するものとする。
【0082】
−クライアントPC20AとMFP30との距離が近い場合−
ユーザは、クライアントPC20Aの操作部114からの入力操作によって、プリンタモードにおける各種設定(印刷先のMFP30の選択及びセキュリティ設定等を含む。)に関する情報を入力した後、印刷を所望する画像データを選択して印刷実行指示を出す。このとき、ユーザは、印刷先のMFPとして、クライアントPC20Aが設置される「フロアA」内に設置されるMFP30Aを選択する。また、セキュリティ設定は、本人認証及びパスワードによる認証を行なわないように設定するものとする。
【0083】
印刷実行指示がなされると、クライアントPC20AのCPU122は、管理サーバ40に対し、クライアントPC20Aと選択されたMFP30Aとの距離を問合せる(S101)。
【0084】
管理サーバ40は、問合せに応答して、HDD212に記憶される位置関係データに基づいて、クライアントPC20Aと選択されたMFP30Aとの距離を算出する。そして、算出結果を含む距離情報を、クライアントPC20Aに対して送信する。
【0085】
CPU122は、管理サーバ40から距離情報を受信すると(S102にてYES)、受信した距離情報に基づいて、PC20Aと選択されたMFP30Aとの距離が、予め定める所定距離以内であるか否かを判定する(S103)。
【0086】
選択されたMFP30AはPC20Aと同一フロア内に設置され、両者の距離は近いので、CPU122は、PC20Aと選択されたMFP30Aとの距離は、予め定める所定距離以内であると判定する(S103にてYES)。そして、画像データの重要度が、予め定める設定値より高いか否かを判定することで、画像データが重要であるか否かを判定する(S104)。
【0087】
画像データの重要度が予め定める設定値より高く、画像データが重要である場合(S104にてYES)には、表示部116は、第1のセキュリティ警告画面600(図7参照)を表示する(S105)。第1のセキュリティ警告画面600を確認したユーザによって、「再設定」ボタン606が押下された場合(S106にてYES)には、表示部116は、設定変更画面700(図8参照)を表示する(S107)。設定変更画面700を確認したユーザは、チェックボックス702にチェックを入れた後、又は、チェックボックス704にチェックを入れるとともに、テキストフィールド706にパスワードを入力した後、OKボタン708を押下する。
【0088】
OKボタン708が押下されると(S108にてYES)、CPU122は、選択された画像データをMFP30Aに対して送信する(S109)。送信後、ユーザは、MFP30Aまで出向き、本人認証又はパスワードによる認証を行なう。本人認証又はパスワードによる認証を通過すると、MFP30は、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0089】
一方、第1のセキュリティ警告画面600を確認したユーザによって、「そのまま印刷」ボタン604が押下された場合(S106にてNO)には、CPU122は、選択された画像データをMFP30Aに対して送信する(S109)。MFP30Aは、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0090】
また、画像データの重要度が予め定める設定値以下である場合(S104にてNO)、すなわち画像データが重要でない場合には、CPU122は、選択された画像データをMFP30Aに対して送信する(S109)。MFP30は、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0091】
−クライアントPC20AとMFP30との距離が遠い場合−
ユーザは、クライアントPC20Aの操作部114からの入力操作によって、プリンタモードにおける各種設定(印刷先のMFP30の選択及びセキュリティ設定等を含む。)に関する情報を入力した後、印刷を所望する画像データを選択して印刷実行指示を出す。このとき、ユーザは、印刷先のMFPとして、クライアントPC20Aが設置されるフロアAとは別のフロアである「フロアB」内に設置されるMFP30Bを選択する。また、セキュリティ設定は、本人認証及びパスワードによる認証を行なわないように設定するものとする。
【0092】
印刷実行指示がなされると、クライアントPC20AのCPU122は、管理サーバ40に対し、クライアントPC20Aと選択されたMFP30Bとの距離を問合せる(S101)。
【0093】
管理サーバ40は、問合せに応答して、HDD212に記憶される位置関係データに基づいて、クライアントPC20Aと選択されたMFP30Bとの距離を算出する。そして、算出結果を含む距離情報を、クライアントPC20Aに対して送信する。
【0094】
CPU122は、管理サーバ40から距離情報を受信すると(S102にてYES)、受信した距離情報に基づいて、PC20Aと選択されたMFP30Bとの距離が、予め定める所定距離以内であるか否かを判定する(S103)。
【0095】
選択されたMFP30BはクライアントPC20Aが設置されるフロアAとは異なるフロアB内に設置され、両者の距離は遠いので、CPU122は、PC20Aと選択されたMFP30Bとの距離は、予め定める所定距離以内ではないと判定する(S103にてNO)。そして、画像データの重要度が、予め定める設定値より高いか否かを判定することで、画像データが重要であるか否かを判定する(S110)。
【0096】
画像データの重要度が予め定める設定値以下であり、画像データが重要でない場合(S110にてNO)には、表示部116は、距離警告画面800(図9参照)を表示する。
【0097】
距離警告画面800を確認したユーザによって、「そのまま印刷」ボタン804が押下された場合(S112にてNO)、表示部116は、第2のセキュリティ警告画面900(図10参照)を表示する(S113)。
【0098】
第2のセキュリティ警告画面900を確認したユーザによって、「再設定」ボタン906が押下された場合(S114にてYES)には、表示部116は、設定変更画面700(図8参照)を表示する(S107)。設定変更画面700を確認したユーザは、チェックボックス702にチェックを入れた後、又は、チェックボックス704にチェックを入れるとともに、テキストフィールド706にパスワードを入力した後、OKボタン708を押下する。
【0099】
OKボタン708が押下されると(S108にてYES)、CPU122は、選択された画像データをMFP30Bに対して送信する(S109)。ユーザは、MFP30Bまで出向き、本人認証又はパスワードによる認証を行なう。本人認証又はパスワードによる認証を通過すると、MFP30Bは、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0100】
このように、CPU122は、距離警告画面800によって、選択されたMFP30が遠くに設置されていることを通知したにもかかわらず、ユーザが印刷を続行しようとする場合に、選択されたMFP30が遠くに設置されていることを通知するとともに、セキュリティ設定の変更を勧めるメッセージ902を含む第2のセキュリティ警告画面900を表示する。したがって、重要度の高い画像データに基づく画像が第三者の手に渡ることをより一層回避し易くなる。
【0101】
一方、第2のセキュリティ警告画面900を確認したユーザによって、「そのまま印刷」ボタン904が押下された場合(S114にてNO)には、CPU122は、選択された画像データをMFP30Bに対して送信する(S109)。MFP30Bは、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0102】
また、距離警告画面800を確認したユーザによって、「印刷先変更」ボタン806が押下された場合(S112にてYES)、CPU122は、管理サーバ40に対し、位置関係データの送信を要求する(S115)。
【0103】
管理サーバ40は、CPU122からの要求に応答して、CPU122に対し、位置関係データを送信する。位置関係データを受信すると(S116にてYES)、表示部116は、受信した位置関係データに基づいて、印刷先変更画面1000を表示させる(S117)。
【0104】
ユーザは、印刷先変更画面1000を確認して、所望のMFP30の位置を示す領域をクリックすることで、所望のMFP30を選択する。
【0105】
MFP30が選択されると(S118にてYES)、CPU122は、選択されたMFP30の動作状況に基づいて、セキュリティ設定の変更が必要であるか否かを判定する(S119)。選択された領域が、例えば、認証処理を推奨するMFP30の位置を示す領域1007であり、変更が必要であると判定されると(S119にてYES)、表示部116は、設定変更画面700(図8参照)を表示する(S107)。設定変更画面700を確認したユーザは、チェックボックス702にチェックを入れた後、又は、チェックボックス704にチェックを入れるとともに、テキストフィールド706にパスワードを入力した後、OKボタン708を押下する。
【0106】
OKボタン708が押下されると(S108にてYES)、CPU122は、画像データを選択されたMFP30に対して送信する(S109)。ユーザは、選択されたMFP30まで出向き、本人認証又はパスワードによる認証を行なう。本人認証又はパスワードによる認証を通過すると、選択されたMFP30は、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0107】
一方、選択された領域が、例えば、認証処理を推奨しないMFP30の位置を示す領域1005A,1005Bのいずれかであり、変更は必要ないと判定されると(S119にてNO)、CPU122は、画像データを選択されたMFP30に対して送信する(S109)。選択されたMFP30は、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0108】
また、画像データの重要度が予め定める設定値より高く、画像データが重要である場合(S110にてYES)には、表示部116は、印刷警告画面1100(図12参照)を表示する(S120)。印刷警告画面1100を確認したユーザによって、「そのまま印刷」ボタン1104が押下された場合(S121にてNO)には、CPU122は、選択された画像データをMFP30Bに対して送信する(S109)。MFP30Bは、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0109】
一方、印刷警告画面1100を確認したユーザによって、「再設定」ボタン1106が押下された場合(S121にてYES)には、CPU122は、管理サーバ40に対し、位置関係データの送信を要求する(S115)。
【0110】
管理サーバ40は、CPU122からの要求に応答して、CPU122に対し、位置関係データを送信する。位置関係データを受信すると(S116にてYES)、表示部116は、受信した位置関係データに基づいて、印刷先変更画面1000を表示させる(S117)。このとき、画像データは重要であるので、電源OFF状態であるため使用不可であるMFP30の位置を示す領域1004を除く全ての領域は、印刷処理の実行時に認証処理を行なうことを推奨するMFP30の位置を示すように表示される。
【0111】
ユーザは、印刷先変更画面1000を確認して、領域1004を除く、所望のMFP30の位置を示す領域をクリックすることで、所望のMFP30を選択する。
【0112】
MFP30が選択されると(S118にてYES)、CPU122は、選択されたMFP30の動作状況に基づいて、セキュリティ設定の変更が必要であるか否かを判定する(S119)。CPU122は、変更が必要であると判定し(S119にてYES)、表示部116は、設定変更画面700(図8参照)を表示する(S107)。設定変更画面700を確認したユーザは、チェックボックス702にチェックを入れた後、又は、チェックボックス704にチェックを入れるとともに、テキストフィールド706にパスワードを入力した後、OKボタン708を押下する。
【0113】
OKボタン708が押下されると(S108にてYES)、CPU122は、画像データを選択されたMFP30に対して送信する(S109)。ユーザは、選択されたMFP30まで出向き、本人認証又はパスワードによる認証を行なう。本人認証又はパスワードによる認証を通過すると、選択されたMFP30は、受信した画像データに基づいて、印刷処理を実行する。
【0114】
〈作用・効果〉
上記実施の形態によれば、印刷システム10は、複数のMFP30と、複数のMFP30とLAN回線11を介して接続されるクライアントPC20と、を含む印刷システムである。クライアントPC20は、印刷指示を受付ける操作部114と、印刷指示に応答して、複数のMFP30のうちのいずれかに対し、画像データを送信するLAN I/F118と、当該クライアントPC20と送信先のMFP30との距離が大きいか否かを判定する第1の判定機能、及び、画像データが重要であるか否かを判定する第2の判定機能を有する制御部100と、画像データの送信前であって、少なくとも、第1の判定機能によって距離が大きいと判定された場合、又は、第2の判定機能によって、画像データが重要であると判定された場合に、画像データの送信に対する警告を行なう画面を表示する表示部116と、を含む。MFP30は、画像データに基づく画像を印刷するプリンタ部306を含む。
【0115】
このように、クライアントPC20において、画像データの送信前であって、少なくとも、印刷指示を行なったクライアントPC20と画像データの送信先のMFP30との距離が大きい場合、又は、送信する画像データが重要である場合に、画像データの送信に対する警告を行なう画面が表示される。したがって、ユーザは、誤って遠くに設置されるMFP30に印刷処理を行なわせたり、重要な印刷物が安易に印刷されたりすることを防ぐことができる。このように、クライアントPC20とMFP30との距離だけでなく、画像データの重要度をも考慮された警告がなされるので、セキュリティレベルの高い印刷処理を実行することができる。特に、近くに設置されるMFP30に重要な印刷物を印刷させる場合においても警告を行なう画面が表示されるので、より一層セキュリティレベルが向上する。
【0116】
また上記実施の形態によれば、クライアントPC20において、印刷先変更画面1000及び操作部114は、送信先のMFP30を変更することを要求する指示を受付け、表示部116は、警告がなされた後であって、操作部114が変更の指示を受付けない場合には、印刷を行なう前に、送信先のMFP30のユーザが正規のユーザであるか否かを判定する認証処理を実行することを推奨するメッセージを表示する。
【0117】
このように、警告がなされたにもかかわらず、送信先のMFP30が変更されない場合には、本人認証又はパスワードによる認証等の認証処理を実行することを推奨するメッセージが表示される。したがって、認証処理が実行される確率が高くなり、より一層セキュリティレベルの高い印刷処理を実行することができる。
【0118】
また上記実施の形態によれば、印刷先変更画面1000は、操作部114が送信先のMFP30を変更することを要求する指示を受付けた場合に、当該クライアントPCと複数のMFP30との位置関係、並びに、複数のMFP30の動作状況を表示することで、変更先の候補となるMFP30を表示する。
【0119】
このように、当該クライアントPCと複数のMFP30との位置関係、並びに、複数のMFP30の動作状況が表示されるので、ユーザは、ユーザの意図に応じた送信先のMFP30を容易に選択することができる。したがって、ユーザの利便性がより一層向上する。
【0120】
また上記実施の形態によれば、印刷先変更画面1000は、MFP30の動作状況として、電源ON/OFF状態に関する情報、及び、認証処理の実行が推奨されるか否かに関する情報を表示する。これによって、ユーザは、電源ON/OFF状態に関する情報、及び、認証処理の実行が推奨されるか否かに関する情報に基づいて、送信先のMFP30を選択できるので、ユーザの意図に応じた送信先のMFP30をより一層容易に選択することができる。
【0121】
また上記実施の形態によれば、印刷先変更画面1000は、電源ON状態のMFP30の全てが、当該クライアントPC20から遠く離れた位置にある場合には、電源ON状態のMFP30の全てを、認証処理の実行を推奨するMFP30として表示する。これによって、遠くに設置されるMFP30に印刷処理を行なわせる場合に、認証処理が実行される確率が高くなる。したがって、遠くに設置されるMFP30に印刷処理を行なわせる場合には、ユーザがそのMFP30まで出向き、認証処理を行なった後に印刷処理がなされるようになるので、第三者が印刷物を取得することをより一層確実に回避することができ、セキュリティレベルがさらに向上する。
【0122】
また上記実施の形態によれば、印刷先変更画面1000は、当該クライアントPC20から遠く離れた位置にあり、かつ、印刷の開始までに時間がかかる状態のMFP30を、認証処理を推奨しないMFP30として表示する。
【0123】
遠くに設置されていても、ユーザが出向くまでに印刷処理が開始されない可能性の高いMFP30に対して印刷処理を行なわせる場合には、認証処理を実行しなくても、第三者が印刷物を取得する可能性が低い。したがって、遠く離れた位置にあり、かつ、印刷の開始までに時間がかかる状態のMFP30を、認証処理を推奨しないMFP30として表示することで、認証処理が実行されない確率が高くなるので、認証処理に要する手間を省くことができる。
【0124】
また上記実施の形態によれば、印刷先変更画面1000は、当該クライアントPC20と複数のMFP30との位置関係を地図情報1002として表示し、操作部114は、地図情報1002におけるMFP30の位置を示す領域をクリックすることで、選択されたMFP30を、変更先のMFP30として受付ける。
【0125】
このように、当該クライアントPC20と複数のMFP30との位置関係を示す地図情報1002が表示されるので、ユーザは、上記位置関係を視覚的に認識し易くなる。また、ユーザは、地図情報1002におけるMFP30の位置を示す領域を選択することで、変更先のMFP30を選択できるので、ユーザの意図に応じた送信先のMFP30をさらに容易に選択することができる。したがって、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0126】
なお、上記実施の形態において、画像データが重要であるか否かの判定は、画像データの重要度が予め定める設定値より高いか否かに基づいて行なったが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、印刷物の内容を認識して判断することで、画像データが重要であるか否かを判定してもよい。
【0127】
上記した印刷物の内容を認識して判断する方法としては、当該分野で一般的に使用される方法であれば特に限定されない。例えば、地紋データ及び二次元バーコード等が画像データに付加されている場合に画像データが重要であると判断する方法、及び、画像データの文字領域をOCR(Optical Character Reader)によって文字認識し、認識した文字列の中に、例えば「重要」及び「コピー禁止」等の所定の文字が含まれる場合に、画像データが重要であると判断する方法等を使用できる。
【0128】
また上記実施の形態において、印刷警告画面1100を確認したユーザによって、「再設定」ボタン1106が押下された場合(S121にてYES)には、印刷先変更画面1000において、電源OFF状態であるMFP30の位置を示す領域1004を除く全ての領域は、印刷処理の実行時に認証処理を行なうことを推奨するMFP30の位置を示すように表示されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、電源OFF状態であるMFP30の位置を示す領域1004を除く全ての領域は、印刷処理の実行時に認証処理を行なうことを必須とするMFP30の位置を示すように表示されてもよい。このように、画像データが重要である場合に、電源OFF状態であるMFP30の位置を示す領域1004を除く全ての領域が、印刷処理の実行時に認証処理を行なうことを推奨する、又は、必須とするMFP30の位置を示すように表示されるので、より一層セキュリティレベルを向上させることができる。
【0129】
また、上記実施の形態において、印刷先のMFP30の変更は手動で行なわれたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、クライアントPC20が画像データの重要度を示す情報を管理サーバ40に対して送信し、管理サーバ40が、クライアントPC20とMFP30との距離情報及び印刷対象の画像データの重要度等に基づいて、印刷先のMFP30の変更を自動的に行なう構成であってもよい。
【0130】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0131】
10 印刷システム
11 LAN回線
20 クライアントPC
30 MFP
40 管理サーバ
100,200,300 制御部
112,212,328 HDD
114,214 操作部
116,216 表示部
118,218,310 LAN I/F
122,222,322 CPU
124,224,324 ROM
126,226,326 RAM
128,228,330 BUSライン
302 スキャナ部
304 画像処理装置
306 プリンタ部
308 操作パネル
312 電源制御部
332 画像メモリ
334 印字部
336 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づく画像を印刷する複数の画像形成装置と、ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、
印刷指示を受付ける受付手段と、
前記印刷指示に応答して、前記複数の画像形成装置のうちのいずれかに対し、前記画像データを送信する送信手段と、
当該情報処理装置と前記送信先の画像形成装置との距離が大きいか否かを判定する第1の判定手段と、
前記画像データが重要であるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記画像データの送信前であって、少なくとも、前記第1の判定手段によって前記距離が大きいと判定された場合、又は、前記第2の判定手段によって、前記画像データが重要であると判定された場合に、前記画像データの送信に対する警告を行なう警告手段と、を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記送信先の画像形成装置を変更することを要求する指示を受付ける変更受付手段と、
前記警告がなされた後であって、前記変更受付手段が前記指示を受付けない場合には、前記印刷を行なう前に、前記送信先の画像形成装置のユーザが正規のユーザであるか否かを判定する認証処理を実行することを推奨するメッセージを表示する表示手段と、をさらに含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変更受付手段が前記指示を受付けた場合に、当該情報処理装置と前記複数の画像形成装置との位置関係、並びに、前記複数の画像形成装置の動作状況を表示することで、変更先の候補となる前記画像形成装置を表示する候補表示手段をさらに含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記候補表示手段は、前記画像形成装置の動作状況として、電源ON/OFF状態に関する情報、及び、前記認証処理の実行が推奨されるか否かに関する情報を表示する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記候補表示手段は、電源ON状態の画像形成装置の全てが、当該情報処理装置から遠く離れた位置にある場合には、前記電源ON状態の画像形成装置の全てを、前記認証処理の実行を推奨する画像形成装置として表示する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記候補表示手段は、当該情報処理装置から遠く離れた位置にあり、かつ、印刷の開始までに時間がかかる状態の画像形成装置を、認証処理を推奨しない画像形成装置として表示する、請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記候補表示手段は、当該情報処理装置と前記複数の画像形成装置との位置関係を地図情報として表示し、
前記地図情報における前記画像形成装置の位置を示す領域を選択することで、選択された前記画像形成装置を、変更先の画像形成装置として受付ける変更先受付手段をさらに含む、請求項3〜請求項6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の画像形成装置と、前記複数の画像形成装置とネットワークを介して接続される情報処理装置と、を含む印刷システムであって、
前記情報処理装置は、
印刷指示を受付ける受付手段と、
前記印刷指示に応答して、前記複数の画像形成装置のうちのいずれかに対し、前記画像データを送信する送信手段と、
当該情報処理装置と前記送信先の画像形成装置との距離が大きいか否かを判定する第1の判定手段と、
前記画像データが重要であるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記画像データの送信前であって、少なくとも、前記第1の判定手段によって前記距離が大きいと判定された場合、又は、前記第2の判定手段によって、前記画像データが重要であると判定された場合に、前記画像データの送信に対する警告を行なう警告手段と、を含み、
前記画像形成装置は、
画像データに基づく画像を印刷する印刷手段を含む、印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−81593(P2011−81593A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233181(P2009−233181)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】