説明

情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム

【課題】取引契約に関わる文書を長期間安全に保管できるとともに契約者に安心感を与えることができるようにする。
【解決手段】PC1は、取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成する契約内容記述機能30aと、この機能30aにより作成された文書に対し契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的な特徴を有する個性情報を電子的に付与する個性付与機能40aと、この機能40aにより個性情報が付与された文書を送信するインターフェース5aとを有する。サーバ2は、PC1から送信されてくる文書を受けて電子的に保管する保管機能70bと、この機能70bによって保管される文書に対し、当該文書が真正なものであることの証拠を示す証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する証拠性向上機能50bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引契約に関わる文書を電子的に処理する情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
取引の契約(例えば、保険の契約など)に必要な契約書は、一般に、紙葉類(紙など)を用いて作成されるが、紙葉類は管理面において煩雑となるため、電子データの形態で管理できるようにすることが、一般に望まれている。但し、重要文書である契約書を電子データの形態で管理する場合、暗号解読や偽造、改竄などに対する十分な安全対策が必要となる。また、電子データとしての契約書は、紙葉類と同程度に長期間安全に保管できるものであることが求められている。更に、技術的に安全であるばかりでなく、契約者が長期間経過後にその契約書を見たときに、自分自身が契約を確かに交わしたという事実(客観的確証)を直感的に思い出せる(取得する)よう、契約者に安心感を与える電子データであることが望まれる。
【0003】
本発明に関連する先行技術情報として、例えば、特許文献1には、人の手による署名を捕捉し、照合IDを生成し、手による署名と照合IDと光学的透かしとを文書に含ませて文書の署名プロセスを行う電子署名方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ディジタル画像に本人を認証する認証子を埋め込み、このディジタル画像全体に暗号化を施すことにより、類推等による偽造及び解読の困難にする方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−60879号公報
【特許文献2】特開2000−66593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、安全対策のために上述の電子署名方法や暗号化方法を採用しただけでは、悪意をもった者が量子コンピュータをはじめとする高度な計算技術を利用して、署名鍵などの鍵情報などを容易に解読してしまう可能性もあり、そのような場合には多大な損害を被る可能性がある。また、電子署名自体は、紙葉類上の実際の筆跡などとは特徴が異なり、契約者がそれを見たときに自分自身の内容であることを直感的に感じ取るには難がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、取引契約に関わる文書を長期間安全に保管できるとともに契約者に安心感を与えることができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成する作成手段と、前記作成手段により作成された前記文書に対し、契約者本人が自分自身のものであることを確認できる個人的特徴を有する個性情報を電子的に付与する第1の付与手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る情報処理装置は、取引契約に関わる内容が記述され、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報が電子的に付与されている文書を、他の装置から受けて電子的に保管する保管手段と、前記保管手段によって保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの証拠を示す証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する第1の付与手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報処理システムは、取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成する作成手段と、この作成手段により作成された前記文書に対し契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報を電子的に付与する第1の付与手段と、この第1の付与手段により前記個性情報が付与された前記文書を送信する送信手段とを有する第1の情報処理装置と、前記第1の情報処理装置から送信されてくる前記文書を受けて電子的に保管する保管手段と、この保管手段によって保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する第2の付与手段とを有する第2の情報処理装置とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る情報処理方法は、作成手段が、取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成し、第1の付与手段が、前記作成された電子文書に対し、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報を電子的に付与し、保管手段が、前記個性情報が付与された前記文書を電子的に保管し、第2の付与手段が、前記保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの根拠となる証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、取引契約に関わる文書を処理するためのプログラムであって、コンピュータに、取引契約に関わる内容が記述され、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報が電子的に付与されている文書を、他の装置から受けて電子的に保管する保管機能と、前記保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの根拠となる証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する付与機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取引契約に関わる文書を長期間安全に保管できるとともに契約者に安心感を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<システムの構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る情報処理システムの構成例について説明する。ここでは、ある一般消費者(以下、「契約者A」と称す)が、ある保険会社(以下、「保険会社B」と称す)の提供する自動車損害保険に加入する場面を考える。
【0014】
図1は、契約者Aが自宅で、訪問スタッフCが持参してきたパーソナルコンピュータもしくは携帯情報端末などの情報処理装置(以下、「PC1」と称す)を用いて、インターネット3を介して保険会社Bのサーバ2にアクセスして契約を成立させる場合のシステム構成例を示している。この場合の訪問スタッフCとは、保険会社Bのある一つの代理店の職員であって、契約者Aの自宅を訪問し、契約書作成の手続き等を支援する者をいう。この構成によれば、契約者Aは訪問スタッフCにより支援を受けながら契約のための手続きを進めることができる。
【0015】
図2の(a)は、契約者Aが自宅で、契約者A自身のPC1を用いて、インターネット3を介して保険会社Bのサーバ2にアクセスして契約を成立させる場合のシステム構成例を示している。この構成によれば、契約者Aは訪問スタッフのPCを用いる必要がなく、また、訪問スタッフの支援を受けずに気兼ねなく契約のための手続きを進めることができる。
【0016】
図2の(b)は、契約者Aが保険会社Bのある一つの代理店Dで、スタッフFの支援を受けながらPC1を用いて、専用線4を介して保険会社Bのサーバ2にアクセスして契約を成立させる場合のシステム構成例を示している。この構成によれば、契約者Aは代理店DにおいてスタッフFにより支援を受けながら契約のための手続きを進めることができる。
【0017】
<処理手順の構成>
図3は、上記情報処理システムにおいて行われる処理手順の概略を示す図である。なお、各処理がPC1側とサーバ2側のいずれで行われるかは限定されない。また、ある処理が他のデバイス上で行われる場合も存在して構わない。
【0018】
この情報処理システムにおける処理手順は、「契約成立プロセス」と「契約性質管理プロセス」との二つのプロセス(手順)からなる。
【0019】
「契約成立プロセス」においては、契約者本人の入力操作などに基づいて、契約書を電子的に作成するに際して必要な契約内容の記述が行われる(ステップS1)。この記述により作成された契約書に対し、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的な特徴(以下、「電子的個性」と称す場合がある)を有する個性情報が電子的に付与される(ステップS2)。この個性情報が付与された契約書に対し、当該契約書が真正なものであることの根拠となる証拠性を向上する証拠性向上情報が電子的に付与され(ステップS3)、基準を満たす契約書が正しく作成されて契約が問題なく成立したことの確認が行われる(ステップS4)。
【0020】
「契約性質管理プロセス」においては、上記「契約成立プロセス」を通じて作成された契約書が電子的に記録媒体に保管され(ステップS5)、保管しておいた契約書が必要に応じて契約者Aに対して契約の事実を示すために提供される(ステップS6)。
【0021】
<機能の構成>
図4は、上記情報処理システムに備えられる各種機能の概略を示す図である。なお、各機能がPC1側とサーバ2側のいずれに設けられるかは限定されない。また、ある機能が他のデバイス上で実現される場合も存在して構わない。
【0022】
この情報処理システムには、各種機能として、契約書管理機能10、契約内容記述画面処理機能20、契約内容記述機能30、個性付与機能40、証拠性向上機能50、契約内容確認機能60、保管機能70、契約書出力機能80、及び途中処理機能90が設けられる。これらの機能10ないし90は、PC1やサーバ2の中央処理装置(CPU[Central Processing Unit]ともいう。)に読み込まれることによって、当該PC1やサーバ2に実装されることによって実現可能となる。この実装については、例えば、上述CPUがPC1やサーバ2に図示しないROM[Read On Memory]やRAM[Random Access Memory]に予め記憶されたプログラムを読み込む場合、又は、当該PC1やサーバ2とは異なる外部からの装置など(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、MO、磁気テープなど)から当該PC1やサーバ2にインストールされた結果、上述CPUがインストール処理によって記憶されたROMやRAMを読み込む場合などが考えられる。
【0023】
契約書管理機能10は、各種の機能20〜90を取りまとめるための機能である。
【0024】
契約内容記述画面処理機能20は、契約書を電子的に作成するときに必要な画面(契約内容記述画面)を生成し、後述する契約内容記述機能30によって記述された内容を処理する機能である。
【0025】
契約内容記述機能30は、契約内容記述画面処理機能20によって生成された契約内容記述画面上で実際の契約の内容(保険の内容や支払いの方法などの情報)を記入する機能である。例えば、キーボードやマウスなどの入力装置、それらを制御するドライバやOS、情報を処理するアプリケーションなどのソフトウェアなどが該当する。
【0026】
個性付与機能40は、電子データとしての契約書に対し、契約者A本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的な特徴を有する個性情報(例えば、契約者Aの電子ペンによる筆跡や印影、もしくは契約者A本人の声(音声情報)や撮影画像等)を電子的に契約書に付与する機能である。この場合の個性情報は、例えば十年後においても、契約者A自身が契約の際に行ったことを思い出すことができる情報である。
【0027】
証拠性向上機能50は、電子署名やタイムスタンプなど、電子データとしての契約書の証拠性を電子技術的に向上するための情報を付与する機能である。
【0028】
契約内容確認機能60は、電子データとしての契約書の内容が電子的個性や証拠性向上情報も含め正当であるか否かを確認する機能である。
【0029】
保管機能70は、電子データとしての契約書を保管する機能である。
【0030】
契約書出力機能80は、電子データとしての契約書を紙やCD−ROM、DVD、磁気テープなどの外部メディアに出力する機能である。
【0031】
途中処理機能90は、契約後に契約者Aからアクセスがあった時などにおいて、アクセス情報などの情報を電子的に契約書に追記する機能である。
【0032】
なお、各機能は、PC1側に設けられる場合とサーバ2側に設けられる場合とで、処理内容が多少異なる場合がある。
【0033】
<各種機能の配置>
図5〜図9は、各種機能の配置の例を示す図である。なお、PC1側及びサーバ2側には、それぞれ通信用のインターフェース5が設けられ、インターネット3を介して通信を行えるようになっている。これら図5〜図9のいずれの配置例も、本システムに適用できる。
【0034】
図5の配置例では、PC1側には、上述の機能10及び30〜80と同等の機能10a及び30a〜80aが設けられ、サーバ2側には、上述の機能10、20、及び50〜90と同等の機能10b、20b、及び50b〜90bが設けられる。
【0035】
図6の配置例では、PC1側には、上述の機能10、30、及び50〜80と同等の機能10a、30a、及び50a〜80aが設けられ、サーバ2側には、上述の機能10、20、及び50〜90と同等の機能10b、20b、及び50b〜90bが設けられる。さらに、本システムには、上述の個性付与機能40と同等の機能40cを有する個性付与デバイスが設けられ、そのインターフェース5cがPC1側のインターフェース5aと通信を行えるようになっている。個性付与デバイスの例としては、スキャナが挙げられる。この場合、手書きの契約書をスキャナでスキャンして電子化処理することで、個性付与機能が実現される。
【0036】
図7の配置例では、PC1側には、上述の機能10及び30〜80と同等の機能10a及び30a〜80aが設けられ、サーバ2側には、上述の機能10、20、及び50〜90と同等の機能10b、20b、及び50b〜90bが設けられる。さらに、本システムには、上述の証拠性向上機能50と同等の機能50cを有する証拠性向上デバイスが設けられ、そのインターフェース5cがPC1側のインターフェース5aと通信を行えるようになっている。証拠性向上デバイスの例としては、住基カードなどの個人用カードが挙げられる。この場合、カードの中にユーザごとに与えられた署名鍵が登録されていて、このデバイスを用いることにより、電子データに電子署名を付与することができる。この電子署名が電子データの証拠性を向上する。
【0037】
図8の配置例では、PC1側には、上述の機能10、30、及び50〜80と同等の機能10a、30a、及び50a〜80aが設けられ、サーバ2側には、上述の機能10、20、及び50〜90と同等の機能10b、20b、及び50b〜90bが設けられる。さらに、本システムには、上述の個性付与機能40と同等の機能40cに加え、上述の証拠性向上機能50と同等の機能50cを有する個性付与・証拠性向上デバイスが設けられ、そのインターフェース5cがPC1側のインターフェース5aと通信を行えるようになっている。個性付与・証拠性向上デバイスの例としては、電子ペン・電子タブレットが挙げられる。電子ペンは、筆跡という個性を表現できる。また、電子ペン・電子タブレットには、機器に特有の電子鍵が登録されていて、機器に特有の電子データに電子ペン・電子タブレットの署名を付与することができる。この署名によって、電子ペン・電子タブレットによって生成される電子データの証拠性を向上させることができる。なぜならば、この署名がないよりもあったほうが、事後に、この電子データがどのデバイスによって発行されたのかが追跡しやすくなるからである。
【0038】
図9の配置例では、PC1側には、上述の機能10及び30〜80と同等の機能10a及び30a〜80aが設けられ、サーバ2側には、上述の機能10、20、及び40〜90と同等の機能10b、20b、及び40b〜90bが設けられる。この配置例では、サーバ2側にも個性付与機能が備わっている。これにより、例えば契約過程で紙も並行して用いている場合に、その紙の高度なスキャン処理(例えば筆圧などの物理的情報やインクなどの化学的情報等の抽出等)を行うことができる。
【0039】
<契約書管理機能の構成>
図10は、図4中に示した契約書管理機能10の構成を示す図である。この契約書管理機能10は、認証部11、契約書検索部12、契約書更新通知部13、及びインターフェース14を含んでいる。
【0040】
認証部11は、サーバ2へのアクセス権限を管理し、アクセスしてきた人にアクセス権限があるかどうかを判断し、アクセス権限がある場合にアクセスを許可するものである。具体的には、次のようなプロセスで行う。サーバ2の認証部11は、事前にユーザを識別する情報(例えばアカウント名とパスワードとの組み合わせ(ペア)や公開鍵証明書など)と、その情報によって識別されるユーザのアクセス権限に関する情報との組み合わせ(ペア)を登録しておく。ユーザは認証部11にユーザを識別する情報を送付する。サーバ2の認証部11は、その情報を受信して、先に述べた事前に登録されているユーザを識別する情報と、当該受信したユーザを識別する情報とを照合する。照合結果が「OK」ならば、事前にその識別情報と組にして登録されていたアクセス権限にしたがって、ユーザにアクセス権限を与える。
【0041】
契約書検索部12は、先に述べたユーザの識別情報から、アクセスしてきた人の契約書の電子データをサーバ2側の保管機能70bを使用して検索するものである。
【0042】
契約書更新通知部13は、サーバ2側の途中処理機能90bなどを通じて契約書が更新されたときにその旨を対象契約者に電子メール等の手段を用いて通知するものである。
【0043】
インターフェース14(図中においては、「I/F」と記載することもある。)は、認証部11とのインターフェース処理(通信処理)を行うものである。この他、インターフェース14は、契約書管理機能10が図4に示す他の機能内において定義されているインターフェース部(具体的には、契約内容記述画面処理機能20のインターフェース(図示しない)、契約内容記述機能30のインターフェース34(図11参照)、個性付与機能40のインターフェース46(図12参照)、証拠性向上機能50のインターフェース54(図13参照)、契約内容確認機能60のインターフェース66(図14参照)、保管機能70のインターフェース74(図15参照)、契約書出力機能80のインターフェース(図示しない)、及び途中処理機能90のインターフェース96(図18参照)など)と通信処理を行うものである。
【0044】
<契約内容記述機能の構成>
図11は、図4中に示した契約内容記述機能30の構成を示す図である。この契約内容記述機能30は、物理的情報センサ部31、物理的情報電子化部32、情報表示部33、及びインターフェース34を含んでいる。
【0045】
物理的情報センサ部31は、入力装置による物理的な操作を検出する機能であり、キーボードならばあるキーが物理的に押されたかどうか、マウスならば物理的にどのように移動したか、などをセンシングするものである。この場合の入力装置の例としては、キーボード、マウス、電子ペン、タッチパネル、光学的文字読取装置(OCR)、マイクなどが挙げられる。また、これらを適宜組み合わせて使用してもよい。
【0046】
物理的情報電子化部32は、物理的情報センサ部31によって検出された情報を電子情報に変換する変換処理を行い、必要に応じてさらに調整的変換を行うものである。ここで、調整的変換とは、例えばマウスであれば、x座標、y座標に変換する処理などのことを指す。
【0047】
情報表示部33は、契約書の作成に必要な情報の画面上への表示などを行うものであり、ブラウザやそれに関わるOSやモニタなどが該当する。この情報表示部33は、単独で画面を生成するものであってもよいし、Webクライアント/サーバシステムのように、Webサーバと通信しながら画面を生成するものであってもよい。Webサーバを使用する場合、Webサーバ内に前述の契約内容記述画面処理機能20が設けられ、これが流用される。
【0048】
インターフェース34は、物理的情報電子化部32と情報表示部33との間の情報のインターフェース処理(通信処理)を行うものである。この他、インターフェース34は、契約内容記述機能30が図4に示す他の機能内において定義されているインターフェース部とも通信処理を行う。以下、各機能におけるインターフェースは、自機能内部の処理部との通信処理を行うばかりでなく、他の機能におけるインターフェース部との通信処理も行うものとする。
【0049】
<個性付与機能の構成>
図12は、図4中に示した個性付与機能40の構成を示す図である。この個性付与機能40は、物理的情報センサ部41、物理的情報電子化部42、個性入力補助部43、個性情報抽出部44、情報表示部45、及びインターフェース46を含んでいる。
【0050】
物理的情報センサ部41は、入力装置による物理的な操作を検出するものであり、キーボードならばあるキーが物理的に押されたかどうか、マウスならば物理的にどのように移動したか、などをセンシングする。この物理的情報センサ部41は省略することも可能である。その場合、前述の契約内容記述機能30の中の物理的情報センサ部31を流用すればよい。
【0051】
物理的情報電子化部42は、物理的情報センサ部41で検出された情報を電子的情報に変換する変換処理を行い、必要に応じてさらに調整的変換を行うものである。ここで、調整的変換とは、例えばマウスであれば、x座標、y座標に変換する処理などのことを指す。この物理的情報電子化部42は省略することも可能である。その場合、前述の契約内容記述機能30の中の物理的情報電子化部32を流用すればよい。
【0052】
個性入力補助部43は、個性情報の生成の補助をするものである。例えば、個性を表すものとして自由記述文章が用いられる場合、トピックス一覧を提供したり、○○が、○○して、○○なった、といったような、文の構成要素のそれぞれに対して選択肢を提供したりする。
【0053】
個性情報抽出部44は、電子化された情報から個性情報の特徴となりうる情報を抽出するものである。例えば、キータッチの特徴であれば、あるキーのあとに押されるキーの頻度や押されるまでにかかる時間的間隔などの情報などが抽出される。なお、物理的情報電子化部42によって電子化された全ての情報がそのまま残される場合もある。その場合、個性情報抽出部44を省略することも可能とするべきである。
【0054】
情報表示部45は、個性情報が付与された契約書の画面上への表示などを行うものであり、ブラウザやそれに関わるOSやモニタなどが該当する。この情報表示部45は省略することも可能である。その場合、契約内容記述機能30の中の情報表示部33を流用すればよい。
【0055】
ここで、上記個性付与機能40に使用される入力装置の例と、その入力装置から得られる個性情報の例を以下に列挙する。これらのいずれか、また、それらの組合せが用いられていてもよい。
【0056】
・キーボード(キータッチの特徴。例えばミスタッチの傾向や、よくタイプする単語のそれぞれのキーを打つタイミングなど)
・マウス(マウスの動かし方の特徴。例えば、ダブルクリックの間隔や、画面を対角線に移動するときの動かし方の特徴、マウスによって描かれた図や文字の特徴など)
・電子ペン(電子ペンの動かし方の特徴、電子ペンによって描かれた図や文字の特徴など)
・タッチパネル(タッチの場所の特徴など)
・OCR(紙に書いた肉筆のスキャンデータなど。光学的な情報以外にエンボス情報などの物理的な情報やインクなどの化学的な情報まで抽出することができることが望ましい)
・マイク(声など。例えば、契約したときの気持ちなどを自分の声で説明する)
・キーボード(契約したときの気持ちなどを自分の文章で記述したもの)
・キーボードとマウス(あるアプリケーションの同一の機能を実行する手段は一般に複数ある。例えば、キーボードのショートカットを使ったり、プルダウンメニューからマウスで選択したりする。このときにあるメニューをどのような手段で実行しているかという特徴など)
・キーボードとマウス(契約書の背景や柄をいくつかの選択肢の中からユーザに選ばせる。例えば、数ある選択肢の中にフレームという要素があれば、「フレームの形はどれにしますか」「フレームの色は何色にしますか」「フレームの太さはどのくらいにしますか」などの選択肢を設け、ユーザに選択させる。このときのユーザがどのような背景や柄を作成したかという特徴など)
・カメラ(PCに向かって契約内容を記述しているときの動画。契約内容が示されている画面と契約者Aの顔、ないし手、及び背景(テーブルクロスやカーテンなどあとで思い出すことのできるもの)が含まれていることが望ましい。静止画であってもよい。)
・キーボード(事前に担当者とのメールのやり取りがあれば、そのメール。ヘッダを含んでいることが望ましい。)
<証拠性向上機能の構成>
図13は、図4中に示した証拠性向上機能50の構成を示す図である。この証拠性向上機能50は、秘密情報格納部52、秘密情報利用処理部53、証拠性向上情報付与部51、及びインターフェース54を含んでいる。
【0057】
秘密情報格納部51は、例えば、ユーザごとに配付された署名鍵などを格納するものである。
【0058】
秘密情報利用処理部52は、秘密情報格納部52に格納されている秘密情報を用いた処理を行うものである。例えば、与えられたメッセージに対して署名鍵を用いて署名を生成する処理などを行う。
【0059】
証拠性向上情報付与部53は、例えば、時刻情報などを、契約内容本体及び電子的個性に追加する処理などを行うものである。この証拠性向上情報付与53の処理の例を以下に列挙する。
【0060】
・時刻情報の追加
・クライアント/サーバ間で通信している場合、その通信路に関わる情報(中継しているルータのIPアドレスなど)の追加
・例えば個性情報が二次元画像イメージで表されている場合、その個性情報に対して契約書内容本体情報などの情報を電子透かしで埋め込む
・他の組織によるタイムスタンプの入手(その具体例については後で述べる。)
・本人情報の追加(例えばPC側に設けられる証拠性向上機能50の中の証拠性向上情報付与部51が、契約者Aの生体情報を取得して付与する。その情報をサーバ側に設けられる契約内容確認機能60の中の後述する契約内容本体確認部が本人認証を行う。)
・本人確認情報の追加(例えば生体情報による本人認証が正当又は不当に行われた旨を証明する証明書など。
【0061】
・対応する保険会社代理店の担当者に関する情報の追加(証拠性向上機能を有するデバイスを担当者が持っている場合、その担当者の署名を付与してもよい。)
<契約内容確認機能の構成>
図14は、図4中に示した契約内容確認機能60の構成を示す図である。この契約内容確認機能60は、確認管理部61、契約内容本体確認部62、契約相手確認部63、電子的個性確認部64、証拠性向上情報確認部65、及びインターフェース66を含んでいる。
【0062】
確認管理部61は、各確認部62〜66を取りまとめるものである。
【0063】
契約内容本体確認部62は、契約書に記述されている契約内容本体を確認するものである。
【0064】
契約相手確認部63は、契約書の契約者Aを確認するものである。
【0065】
電子的個性確認部64は、契約書に付与されている電子的個性を確認するものである。
【0066】
証拠性向上情報確認部65は、契約書に付与されている証拠性向上情報を確認するものである。
【0067】
インターフェース66は、確認管理部61とのインターフェース処理を行うものである。
【0068】
<保管機能の構成>
図15は、図4中に示した保管機能70の構成を示す図である。この保管機能70は、保管管理部71、冗長保管部72、整合性担保部73、及びインターフェース74を含んでいる。
【0069】
保管管理部71は、契約書の保管処理を管理するものである。
【0070】
冗長保管部72は、正本である電子的な契約書の写しを複数担保しているものである。この場合、いつどのタイミングでどの機器のどのディスクに写された、などの情報が割り当てられることが望ましい。
【0071】
整合性担保部73は、正本と写しの契約内容の整合性を管理して監視する機能である。例えば、複数の契約書のハッシュ値を記録しておき、定期的に契約書のハッシュ値を計算し、以前に計算したハッシュ値と照合する。
【0072】
なお、保管機能70は、保険会社だけでなく、他の独立した組織(例えば加入者が組織する団体)を管理することによって、信頼性の客観性が向上すると考えられる。この構成例を図16に示す。この場合、例えばある組織は保管機能70eを有する保管サーバ(A)7を用いて管理を行い、別の組織は保管機能70fを有する保管サーバ(B)8を用いて管理を行うようにする。
【0073】
<タイムスタンプ機能の構成>
図17は、前述のタイムスタンプを用いる場合の情報処理システムの構成例を示す図である。
図17に示されるように、インターネット3にタイムスタンプサーバ6が接続される。このタイムスタンプサーバ6は、インターフェース5dを通じてPC1及びサーバ2に接続できるようになっている。このタイムスタンプサーバ6には、タイムスタンプ機能90が設けられる。
【0074】
図18は、タイムスタンプ機能90の構成を示す図である。
タイムスタンプ機能90は、時刻管理部91、証拠性向上部92、タイムスタンプ付与部93、格納部94、検証部95、及びインターフェース96を含んでいる。
【0075】
時刻管理部91は、現在の時刻を管理するものである。
【0076】
証拠性向上部92は、電子署名やタイムスタンプなど、電子データとしての契約書の証拠性を電子技術的に向上させるものである。
【0077】
タイムスタンプ付与部93は、契約書に対して時刻管理部91から提供される時刻を追加し、証拠性向上部92に署名等を付けさせるものである。
【0078】
格納部94は、処理された契約書もしくはそれを圧縮したデータもしくはそのデータに関わるハッシュ値等の情報を格納するものである。
【0079】
検証部95は、要望に応じてタイムスタンプの正当性を検証し結果を回答するものである。
【0080】
インターフェース96は、証拠性向上部92とタイムスタンプ付与部93と検証部95とのインターフェース処理を行うものである。
【0081】
次に、図19〜図22を参照して、図11中に示した情報表示機能33により実現される画面の例を説明する。
【0082】
サーバ2からPC1へ、図19(a)に示される画面111の情報が送られて表示される。契約者AはPC1上で、プルダウンメニュー112及び契約内容113を含む画面111を見ながら契約内容を決定していく。例えば、図19(a)中のプルダウンメニュー112を選択して、掛け金や保険金額を決定する。プルダウンメニューが展開された様子を図19(b)に示す。また、図20に、図19(b)で「安心コース」が選択されたときの画面変更例を示す。図示の通り、展開されたプルダウンメニュー114の中から「安心コース」が選択され、この「安心コース」に対応する契約内容113が表示される。
【0083】
次に、契約者Aは、図21に示される画面115において、自分自身に関する情報を入力していく。例えば、画面をスクロールさせることにより、図21に示される画面115を表示させ、フィールド116、117、118を埋めていく。
【0084】
図22に、これらのフィールドを埋めた後の例を示す。このようにして決定した契約内容をXML形式で記述したものを図23に示す。これは、契約内容本体に相当するものである。
【0085】
図24は、電子ペンを用いて電子的個性を作成するときの様子を示す図である。
契約者Aは、訪問スタッフCに支援を受けながら、電子ペン121を用いて、電子的個性を作成する。タブレット122は、画像を映すことができ(情報表示部33と同等の機能を備え)、かつ、電子ペン121の位置や状態(力の入り具合などの情報)を捕捉することができる(物理的情報センサ部31と同等の機能を備えた)機器である。ここではタブレットを例に挙げているが、もちろん、電子ペン121の位置や状態を捕捉できるものであれば他のものでもよい。例えば、電子ペン121が、捕捉処理の一部を担ってもよい。図12の個性入力補助部43や情報表示部45に基づき、タブレット122は画像を映すことができなくてもよい。
【0086】
また、電子ペン121、タブレット122及びPC1は相互に通信することができる。PC1は、タブレット122又はPC1の画面に、画面122aを映し出す。画面122aには、タブレット122上に、署名の入力を促す領域122bが表示される。契約者Aは電子ペン121を扱い、タブレット122上に示される領域122b内に署名をする。契約者Aが署名を完了させると、電子的個性122cが形成されることになる。
【0087】
これまでに生成された情報(契約内容本体、電子的個性、証拠性向上情報)に対して、保険会社Bは生成された各情報の内容及び電子署名を検証する。検証は、前述の契約内容確認機能60によって行われる。この機能60は、必要に応じて外部の検証サーバから電子署名の検証作業に必要な情報を収集する。保険会社Bは検証が正当に完了すれば、サーバ2内にある証拠性向上機能50を用いて保険会社情報を追加した上で署名を付与する。こうして生成される情報(契約内容本体、電子的個性、証拠性向上情報、保険会社情報)を図25に示す。
【0088】
なお、前述の証拠性向上機能50は、保険会社情報を追加する以外に、サーバ管理者情報(だれが管理していたサーバなのか)を追加したり、あるいは保険会社情報の追加(保険会社の正式名称など)を行ったりしてもよい。
【0089】
図26は、契約内容を契約者Aに確認させるための画面の例である。
【0090】
契約者Aが契約に必要な情報を入力し終えると、図26に示される画面が表示される。例えば、画面中の「詳細」をクリックすると、権威者XXのホームページにジャンプするように構成されていてもよい。この機能は、前述の契約内容確認機能60によって実現される。また、この機能は、保険会社の署名を検証したり、タイムスタンプサーバの署名を検証したりすることができる。
【0091】
契約者Aは、必要に応じて、PC1内の契約内容確認機能60aを用いて、保険会社の署名鍵を確認したり証券番号から自分の契約内容が登録されているかを確認したりする。問題があれば、保険会社のコールセンターに電話したり、メールやWebなどの手段を使って問い合わせたりする。傍に訪問スタッフCがいれば、そのスタッフに対応を相談してもよい。問題がなければ、図26の画面中のOKボタンを押す。これによって契約が成立する。この場合の契約書の正本は、図25に示される情報に該当する。
【0092】
また、サーバ2側の契約管理機能10bの中の契約書更新通知部13の機能を用いて、保険会社Bから契約者A宛に契約成立の旨のメールが送信されることもある。そのメールには、保険会社Bの電子署名(証拠性向上機能50bの中の秘密情報利用処理部53の機能を用いて)が付与されることもある。また、後述する図31の画面(保険会社Bが契約者Aに提供する登録確認のための画面)へのURL等も追加されることもある。また、図26の画面中のOKボタンを押した日時分秒等が、サーバ2側の証拠性向上機能50bの中の証拠性向上情報付与部51の機能によって契約書に追加されることもある。
【0093】
このように、契約書の正本は保険会社Bが持っている電子データであり、この電子データに対して証拠性を向上させる情報をその都度付加することにより、契約書の証拠力が向上することになる。
【0094】
契約が成立すると、保険会社Bのサーバ2は、電子データを保管する。サーバ2側の証拠性向上機能50bは、例えば通信情報、例えば時刻情報など、証拠性を向上する情報を生成し、保険会社Bの電子署名を付与する。更に、途中処理機能90bは、契約成立後、契約内容確認、保険金支払いなどのアクションなどをトリガにして、そのアクションに関わる情報(図27に示されるように「途中処理情報」を含む情報)を契約書に追加していく。そして、保管機能70bは、契約書を保管する。
【0095】
一方、契約者Aは、PC1側の契約書管理機能10aを用いて、サーバ2から契約書更新通知を受けたり、自分が欲しいと思ったりしたタイミングで契約書に関する電子データのダウンロードを行うことができる。また、契約者Aは、契約書出力機能80aを用いることにより、ダウンロードした契約書を紙などの媒体に印刷することができる。
【0096】
また、契約者Aは、パスワードや生体情報、ないし秘密鍵に対するチャレンジ・レスポンスなどの認証によって、本人確認をサーバ2側の契約書管理機能10bを通じて行った後、保険会社Bのサーバ2に保管されている自分の契約書に関する電子データ(正本)の最新版を常に入手することができる。
【0097】
上述の「途中処理情報」の付与の例としては、以下のようなものが挙げられる。
・契約者Aがホームページ上で自分の登録内容を確認した際に、その時刻や通信路情報を契約書に追記し、それに対して保険会社の署名を施す。
【0098】
・保険会社Bのサーバ2のバックアップ作業等や正本データの格納されているディスクの移動時に、移動元及び移動先の情報、時刻の情報を追記し、保険会社Bの署名を施す。
【0099】
・サーバ2の管理者が変更されるとき、これまでのサーバ管理者の情報及び署名、また、これからのサーバ管理者の情報及び署名、時刻等を追記し、保険会社の署名を施す。
【0100】
・保険会社Bの職員によるデータのアクセスがあったときに、その職員の情報、アクセス目的、日時、アクセス場所等の情報を追記して保険会社の署名を付与する。
【0101】
・契約者Aの要望にこたえて、日時、及び新たな電子的個性情報、及びそれに対する契約者Aの電子署名を追記する。
【0102】
・保険金が契約者Aによって銀行を経由して入金されたとき、入金日時、金融機関名、金額及びこれらに対する銀行ないし保険会社の署名を追記する。
【0103】
・保険会社の保管機能70bに対して監査が入ったときに、監査の日時、監査者情報、監査内容、及びこれらに対する監査者の署名を追記する。
【0104】
以上のように、電子的な契約書(正本)は、証拠性を一層増大させていくことになる。この様子を図28に示す。
【0105】
図28(u)は、図25に示した情報に相当する契約書(もとの契約書)を示している。そこから例えば半年後、契約者Aは契約内容を確認するために保険会社Bのサーバ2にアクセスして内容を確認したとする。このとき、図28(v)のように、(もとの契約書)に対して途中処理情報、記録追加時刻、及び署名が契約書に追加される。ここで途中処理情報とは、契約者Aによる登録確認の際に発生する情報(経路情報から確認時のマウスの動きまで様々なものが考えられる)の一部である。さらに半年後、金融機関Eにある利用者Aの口座から、保険会社Bに、保険料の支払いが実行されたとする。このとき、図28(v)にさらにこのとき発生する情報の一部が追加され、図28(w)のようになる。ここで、図28(w)における(もとの契約書)は、図28(v)全体に相当する。さらに上述の追記の処理により、図28(w)から図28(x)のようになる。
【0106】
上記金融機関Eとの間で処理を行う場合の情報処理システムの構成の例を図29に示す。また、このシステムにおける入金の要求から途中処理情報追加までの処理の流れの一例を図30に示す。
【0107】
まず、保険会社Bのサーバ2から金融機関Eのサーバ9へ入金要求する(ステップS11)。このような引き落とし方法に関する情報も契約書に含めてもよい。
【0108】
金融機関Eは、この要求を受けると、保険契約時に契約者Aが保険会社Bとの契約と同様にして金融機関との契約も結んでいることを確認の上で、契約者Aが確かに保険会社Bによる引き落としを許可しているかどうかを確認し、問題なければ実際に引き落とし処理を行う(ステップS12)。
【0109】
金融機関Eは引き落としが完了するとその旨を保険会社Bに伝える。保険会社Bは、入金が正しく行われているか確認する(ステップS13)。問題なければ、金融機関Eは保険会社B及び契約者Aに対して、入金確認証明書を発行する(ステップS14、S15)。
【0110】
契約者Aは、保険会社Bからの通知(金融機関Eも契約者Aに対して通知を行ってもよい)を受けると、引き落としが行われた事実を知り、必要に応じて保険会社Bのサーバ2にアクセスしてその事実を確認する(ステップS16)。契約者Aによるこのアクションによって、さらに保険会社Bは契約書を更新する(ステップS17)。
【0111】
図31に、保険会社Bが契約者Aに提供する、登録確認のための確認画面の例を示す。契約書には種々な情報が付与されているが、確認画面はそれらの情報について人が理解しやすいビューを提供する。さらに署名検証等のユーティリティも提供する。契約者Aは、自分が望むタイミングで、保険会社Bが持つ契約書の最新データを入手することができる。それを自らの手で保管しておいてもよい。更に、紙に印刷して保管しておいてもよい。
【0112】
例えば、契約者Aと保険会社Bとが契約内容に関して事実の認識が異なるなどの問題が発生して法廷で争うようになったものとする。このとき、保険会社Bはサーバ2にある電子契約書を提出し、一方、契約者Aは自分で確保しておいた電子契約書及び紙へ印刷したものを提出する。契約者A及び保険会社Bは、必要に応じて例えば金融機関Eの保存情報などの関連情報を提出する。また、法廷で電子的個性を契約者Aに再現させてみせる。このとき契約書は、第三者が監査するなどして、前述の契約内容確認機能60bに不正が行われていないことを確認した上で確認されることになる。
【0113】
<紙による契約書の扱い>
なお、契約成立までは従来どおり紙の契約書を用い、契約が完了したときに、完全に電子化し、契約書の正を電子データとするようにしてもよい。この場合の構成を図32に示す。また、図3の契約成立プロセスの部分を本例に書き換えたプロセスを図33に示す。
【0114】
契約書の記入は、紙の契約書に契約者Aが自筆で記入、捺印することで実現する(ステップS21)。それが郵送され代理店に届く。
【0115】
代理店では、契約書を情報収集装置(スキャナなど)151で光学的にスキャンし、契約書を二次元画像データとしての電子的情報に変換する(ステップS22)。また、保険会社において、契約書を高度情報抽出装置(エンボススキャナなど)152でスキャンし、契約書を二次元画像データとしての電子的情報に変換するようにしてもよい。この電子的情報には、電子的個性が含まれている。さらに、この情報をOCR等の技術や人手で電子化処理する。
【0116】
このようにして生成された電子的情報に基づき、代理店及び保険会社は、契約書の記述内容を確認し、必要に応じてやり直しさせる。記述内容の確認がとれたら(ステップS24)、保険会社は代理店からの紙の契約書を受け取る。そこで保険会社は紙の契約書から以下に挙げるような方法で電子的な情報を抽出する(ステップS25)。
【0117】
・赤外線領域及び紫外線領域の情報をスキャン
・化学的成分情報をスキャン
・紙の凹凸の情報をスキャン
・紙を複数の角度から背景込みで(契約内容や筆跡、署名がわかるように)デジタルカメラで撮影
・紙を例えば風などにたなびかせた様子を(契約内容や筆跡、署名がわかるように)デジタルビデオ撮影
このようにして得られた情報は、個性情報として扱われる。この後の証拠性向上や、確認、保管、事実提供の各処理については、前述した場合と同様である(ステップS26)。なお、保管に入った段階で、正の契約書は紙ではなく、電子データとなる。なお、事実提供の際には、契約成立時に紙の契約書から抽出した様々な電子的情報に基づき、契約の事実を確認することができる。
【0118】
<確認処理の変形例>
例えば、契約成立プロセスについては前述した通りに処理を進めておき、契約成立プロセスが完了したら、契約者Aに対して、例えばブラウザ上で内容を確認させるようにしてもよい。この確認画面には、契約内容本体だけでなく、スキャンした光学データのほか、保険会社Bが第2次電子化で紙の契約書から採取したさまざまな情報も契約者Aが望むのならば確認できる状態になっている。このときに契約者Aに対して「OKならば、電子ペンでサインしてください」と、サインを要求する。これにより得られたサインを個性情報として扱う。
【0119】
<契約者本人の操作履歴(経験)情報による個性情報付与処理>
ここでは、図12に示す物理的情報センサ機能として、図34に示すような電子ペンAを用いた契約書本人の操作履歴(経験)情報による個性情報付与処理の例を示す。
【0120】
<電子ペンの例>
電子ペンAの機能構成の一例を図35に示す。電子ペンAは、制御機能201、センサ202、状態管理機能203、およびインターフェース204を有する。
【0121】
制御機能201は、センサ202、状態管理機能203、インターフェース204と通信可能であり、これらを取りまとめる機能である。
【0122】
センサ202は、電子ペンAの空間における状態値(例えば、位置や電子ペンAを利用する契約者本人、代行者などの操作者から加えられている力などのパラメータに基づいて決定される数値。さらに、後述するが、電子ペンAにおける仮想的なインクの残量を示す量も状態値を決定するパラメータとして利用しても良い。)を把握する機能である。ここでいう「位置」とは、図34中に示す原点(b1)を起点とする電子ペンAにおける始点座標P1の位置(x座標、y座標、z座標)、及び終点座標P2の位置(x座標、y座標、z座標)のことを指す。
【0123】
状態管理機能203は、電子ペンAの状態(状態の例を図36に示す)を管理し、制御機能201の要求にしたがって制御機能201に通知する機能である。
【0124】
インターフェース204は、電子ペンAの外部とのインターフェースである。
【0125】
電子ペンAの持つ状態値の例を図36に示す。座標(x1、y1、z1)は、図34中の基準面Bの、(b1)を原点とする三つの軸(b2)、(b3)、(b4)それぞれに対する電子ペンAのペン先(a1)の座標である。同様にして、(x2、y2、z2)は、電子ペンAの後尾部(a2)の座標である。pは、電子ペンAが基準面Bを下向きに押す際の力の数値である。jは、電子ペンAにおける仮想的なインクの残量を示す量であり、(a1)がB上を移動するごとに減少していく。
【0126】
<電子ペンによる個性情報抽出処理の例>
図37に、図12中の個性情報抽出部44の内部の論理的機能構成図を示す。個人情報付与処理は、入力処理部211、状態表示部212、状態格納部213、次状態決定部214、および状態変移制御部215からなる。状態格納部213は、状態を格納する機能である。ここで「状態」とは、図38に例示するような二次元データ、ないしその複数の組み合わせのことである。
【0127】
入力処理部211は、図12中の物理的情報電子化部42から電子ペンの状態(図36で示す情報)を受け取り、次状態決定部214に入力する機能である。
【0128】
状態表示部212は、状態格納部213の情報を図12中の情報表示部45に送信して表示させる機能である。図38に例示される二次元データが、状態表示部212から情報表示部45に送信されて表示されたイメージの一つの例を図39に示す。この例では、図38中の数値がグレースケールで表示されている。(以後、図38の二次元データの状況を図39のようにグレースケールで説明無く表示することがある。)
状態格納部212は、図12中のインターフェース46を介して、図4の契約書管理機能10に格納している二次元データ(の組)を送付する。
【0129】
次状態決定部214は、入力処理部211及び状態格納部213からの情報から、状態格納部213に格納されている二次元データを事前に定められた変換ルールに基づいて変換する機能である。変換ルールについては後で定式化するとともに例を挙げて説明する。
【0130】
状態変移制御部215は、時刻を管理し、一定時間(例えば、0.25秒)ごとに次状態決定部214に動作指示を与える機能である。
【0131】
<変換ルールの定式化>
以上で説明したことを次のように定式化する。サイズA*Bの二次元データがN枚あったとする。このとき、状態格納部212が時刻tの時点で格納しているサイズA*B*Nの層で構成される電子データ(例.契約書原本データ)における状態値をM(t)で表す。(M(t)はA*B*N次元ベクトルである。)j枚目の(x、y)座標の値をM(t)(x、y、j)と書くことにする。時刻tにおける電子ペンの状態値をP(t)で表す。電子ペンが図36の例に示すような状態を持つとき、P(t)は8次元のベクトルとなる。例えば、電子ペンAの状態が時刻t0で図36の場合、P(t0)=(13、43、0、20、67、10、33、923)となる。図37の構成におけるM(t)およびP(t)の受け渡しの様子を図40に示す。このとき、変換ルールは、A*B*N次元ベクトルM(t)および(図36の場合は)8次元ベクトルから、A*B*N次元ベクトルM(t+1)を決める関数Fとなる。すなわち、M(t+1)=F(M(t)、P(t))と表すことができる。このとき、M(t)とP(t)とからF(M(t))、P(t))を計算するのが、次状態決定部214である。関数Fは、時刻tをパラメータに変化してもよい。すなわち、M(t+1)=F(M(t)、P(t)、t)でもよい。Fのもっとも簡単な例は、FをF(M(t)、P(t))=M(t)と定めるものである。このFは、電子ペンの状態は二次元データに一切影響を与えない変換ルールである。他の変換ルールFの例は後述する。
【0132】
<個性情報>
時々刻々と変化する状態格納部212内の二次元データの状態M(t)の一部(N枚の2次元データのうちのQ枚など)L(t)が、契約書本人の操作履歴(経験)情報による個性情報となる。
【0133】
例えば、M(t)を6枚の二次元データ(N=6)とし、L(t)をこのうちの二枚の二次元データとし(Q=2)、M(t)の残りの4枚は、それぞれL(t−1)、L(t−2)とする。これは式で書くとM(t)=(L(t)、L(t−1)、L(t−2))と表すことができる。M(t)およびL(t)をこのように構成することにより、L(t+1)がL(t)、L(t−1)、L(t−2)によって決定するような変換ルールを実現することができる。具体的に例を挙げると、関数FをF(x、y、z)=(x+1/2*y+1/8*z、x、y)で定め(x、y、zはそれぞれA*B*2次元ベクトル)、M(t+1)=F(L(t)、L(t−1)、L(t−2))で定めると、M(t+1)=(L(t+1)、L(t)、L(t−1))=F(L(t)、L(t−1)、L(t−2))=(L(t)+1/2*L(t−1)+1/8*L(t−2)、L(t)、L(t−1))より、L(t+1)=L(t)+1/2*L(t−1)+1/8*L(t−2)と定められることになる。この例でも電子ペンはM(t)に影響を与えない。実際のFの構成は後述するように二次元データの座標を使って定義される。
【0134】
図12中の物理的情報電子化部42が図37中の次状態決定部214と接続されていてもよい。このとき、図37の構成に入力処理部213を設けなくてもよい。同様にして、図12中の情報表示部45が直接、図37の状態格納部212と接続されていてもよい。この場合、図37中の状態表示部211を設けなくてもよい。
【0135】
<以上の設定の使用方法の例>
図42(a)の画面は、契約者本人の署名入りの画像化された電子データの例を示している。161は契約の内容を示す情報であり、162は契約者(例えば「太郎氏」)に関する署名情報を示している。情報161及び情報162は、すでにテキストデータではなく、二次元座標によって表現される画像データである。例えば、グレースケール256階調で縦1000横1000の画素数の場合、1000×1000のテーブルに0から255の間のいずれかの整数値が割り当てられているものとする。そして、情報表示部45によって、0の値が白、255の値が黒、それ以外は数値にしたがってグレーで表示されるものとする。図46は、情報161の中の「万」の字の部分(すなわち、図46中の(b)の部分)がデータXのように二次元座標によって表現される様子を示している。なお、情報161には、契約者Aの個性はほとんど含まれない。
【0136】
情報161と情報162は、例えば、図42(a)のような状態だと、画像的に容易に分離可能である。すなわち、情報162の部分だけをコピーして、他の用途に流用できる心配がある。そこで、次のようにしてこの問題を解決する。
【0137】
例えば、図42(b)のように、情報161と情報162を段階的に変化する画像データで関連付けると、署名部分の不正な部分的利用は、人の感覚(視覚)をもってしてもある程度検出可能になる。そこで、この手法を用いて、情報が悪用されることを防止する。
【0138】
情報161と情報162を段階的に変化する画像データで関連付ける手段の例は、後述する通り、例えば、物理的な和紙の上に水を多めに含んだ墨汁を筆に含ませて文字を書くと、文字の周囲に墨汁がにじんでいくが、このような自然現象を先述したM(t)、P(t)、変換ルールFで、電子的にある程度再現するものである。例えば、既存の描画用アプリケーションにも、画用紙に水彩絵の具で絵を描くときの状況をある程度再現しているものがある。更に、電子的に再現すると、自然界ではありえなかった効果を生み出すことができる。例えば、紙面があたかも水面であるかのように振舞うような状況も電子的に生み出すことができる。
【0139】
図43〜図49に、情報161と情報162を段階的に変化する画像データで関連付ける手段の例を示す。この例では、紙面があたかも水面であるかのように振舞うような状況を電子的に生み出している。図43〜図49中の画像データWは、図42(a)中の画像データと同じものである。図43〜図45中のデータXは、画像データWの中の(a)部の詳細を示している。図43の画像データWの中の(a)部では、すでに「太郎」の画像が描き終わっているが、データXにおいては、図43〜図45のように「太郎」の「太」を電子ペンで描いていくときの時間的経過が表現される。図43中の(x1)は「太」の字の「一」を描きはじめたときに電子ペンが置かれた位置である。(x1)から(x2)にかけての段階的な階調の変化は、ある変換ルールF1のもとに変化するM(t)によって電子的に実現されている。時間的経過や電子ペンによる画像データの時間的変化を決定する変換ルールF1は、例えば水面の状況を記述する波動関数を離散化した差分方程式から構成することができる。波動関数をした差分方程式の具体的な構成方法については後述の<変換ルールの具体例>の(例1)で説明する。図44中のデータXは、「太」の字の「一」を、中ほどまで電子ペンで描いたときの状況を示している。このとき、電子ペンは(x3)の場所にある。図45は、「太」の字の「ノ」を中ほどまで描いたときの状況を示している。このとき、電子ペンは(x4)の場所にある。(x5)は、図43から図45にかけての時間的経過の中で、変換ルールF1のもとで電子ペンによって与えられた影響が波紋として周囲に影響を与えている様子を示している。
【0140】
図46〜図49中のデータYは、図42(a)もしくは図46〜図49中の画像データWの中の(b)部の時間的経過を詳細に示したものである。図46は、「太郎」の字がまだ描かれ始めていないときの状況を示している。図43〜図45に示したように、「太郎」の字が描かれ始めると、その影響が(b)部の領域にも及ぶ。そのときの大局的なイメージを図50及び図51に示す。ペン163のインク164が紙面に付くと、次第に広がり始め、領域161へ達する。図47中の(y1)は、図45中の(x5)で示される変換ルールF1のもとでの電子ペンによる影響が(b)部に及び始めている状況を示している。図48中のデータYは、図47中のデータYが、さらに時間的に経過した状況を示している。(y2)は、変換ルールF1のもとでの電子ペンの影響が、図42中に示す情報161に影響を与えている様子を示している。図49中のデータYは、図48中のデータYがさらに時間的に経過した状況を示している。
【0141】
例えば以上のようにして、図42(a)中の情報161と情報162を経時的かつ段階的に変化する画像データで関連付けることができる。
【0142】
以上の例では、水面をある程度電子的に再現した変換ルールF1を想定したが、他にもさまざまな変換ルールを定義することができる。例えば紙やペンとして次のようなものを使ったときの自然現象をある程度電子的に再現した変換ルールF3、ないし、それらを超越させた変換ルールF4定義して利用してもよい。
【0143】
・紙としてバター・チョコレート・蝋、ペンとして半田ごて(発熱体)。溶解する自然現象を再現する変換ルール
・紙として燃えやすい紙、ペンとして炎。焦げる自然現象を再現する変換ルール
・紙として大地、ペンとして大地の隆起作用。大地が隆起する現象、及び風雨等による浸食作用
先の例では、図42(a)が一枚の画像データ(二次元データ)で表現されていたが、この画像データに、視覚的には表現されていない情報を追加してもよい。例えば図52に示すように、図42(a)のデータを多数の二次元データの集まりとして構成してもよい。図52は、図42(a)の画像データがQ枚の二次元データ(i−1)、・・・、(i−Q)で構成されている様子を示している(これは、先に行った定式化では、L(t)がQ枚の二次元データからなることを意味する。)。図53に示す例では、画像データが層A、層B、層Cの3枚の二次元データから構成されている(Q=3)。それぞれ時刻経緯を層A−1、A−2、A−3、層B−1、B−2、B−3、層C−1、C−2、C−3とする。A−1、B−1、C−1は同じ時刻のそれぞれの層の状態を示している。同様に、A−2、B−2、C−2も同じ時刻のそれぞれの層の状態を示している。同様に、A−3、B−3、C−3同じ時刻のそれぞれの状態を示している。層Aが可視化されている層という想定である。
【0144】
例えば、契約者が、電子ペンなどの個性付与デバイスを用いて、契約書の電子データが示された表示画面上などにおいて、ある層Aの中央位置から右方向への操作を直接又は間接に行った署名を施す操作を行ったとする。
【0145】
ここで、変換ルールF5を、次の条件を満たすように定めることもできる。すなわち、層AにはA−1、A−2、A−3で示すような変化が起こる。さらに層Aの影響が層Bや層Cに図示されたような影響を与える。ただし、層Cには、初期値として縦と横の線からなる幾何学的な初期値が与えられていたとする。層B−3に示される縦と横の幾何学的な図形の影響のように、層Cが層Bに影響を与える。この変換ルールは、縦横高さの三次元の波動関数を離散化した差分方程式などによって構成することができる。波動関数から変換ルールを構成する具体例は後述の<変換ルールの具体例>(例1)で示す。
【0146】
これによって、例えばノートに油性ペンで文字を書いたときに、表面にあるページだけでなく、その次のページ、さらにその次のページなどにインクが浸透していく様子を電子的にM(t)、P(t)、F5を用いてある程度再現することができる。すなわち、2次元的に情報161及び情報162を二次元的に段階的に関連付けるだけでなく、さらに多次元的に関連付けることが可能になる。これによって、部分的に不正に利用しようとしたときに、Q枚の相互作用までも捏造する必要を生じさせることができ、不正利用を困難にすることができる。なお、利用者Aが視覚的に見るのは図52中の(i−1)の画像データである。別途、(i−2)から(i−Q)のうち、選択された画像データを見せる手段を構成してもよい。あるいは(i−1)から(i−Q)までの二次元データからあるアルゴリズム(例えば、すべての層の値の平均を取るなど)でひとつの二次元データを生成して、この二次元データを可視化してもよい。多層の二次元データで構成する場合、各層の初期状態として、例えば、図57(a1)〜(a4)に示す二次元データの例のような幾何学的パターン、ないし図41に例示したような、保険会社の社長のサインやロゴなどの入った初期状態の層を入れても良い。それぞれの層に別の初期状態の層を入れてもよい。これによって、情報161及び情報162は、これらの層とも強い関係を持つことになり、情報161及び情報162の関係の分離を困難にすることができる。
【0147】
先に例として示した変換ルールF5は三層が密接に影響しあう三層で統一的なルールであったが、それぞれの層が独立するような変換ルールF6を定義してもよい。また、それぞれの層が相互作用するにしても、各層で変換の特徴が異なるような変換ルールを定義してもよい。図54に変換ルールF7の例を示す。この例は層A、層D、層Eの三層から構成される(Q=3)。層Dは拡散のスピードが比較的遅く、層Eは拡散のスピードが比較的速いような変換ルールF7が定義されている。変換ルールF7は、層E−1で示されるように、層Eに電子ペンの影響が達すると層E−2、層E−3で示されるように層A、Dよりも高速に拡散していくように定義されている。このような定義は、<変換ルールの具体例>(例1)で示される例のパラメータを適宜定義することによって実現することができる。
【0148】
変換ルールは、自然界ではありえないようなものであってもよい。例えば、図55の層F−1、F−2、F−3(この順に時間的経緯を示している)で示す例のように、拡散の影響が、二次元データの右端から左端へ、上端から下端へあたかも連続しているかのように伝えられるような変換ルールF9を定義してもよい。さらに別の人工的な変換ルールの定義(例えば、上端と右端とを仮想的に接続する、ないし、上下左右の端で拡散効果が反射される、ないし、二次元データなど)を利用してもよい。
【0149】
<変換ルールの具体例>
ここでは先に説明した変換ルールの構成例を示す。
【0150】
(例1)
図58に示すように30×30のサイズの二次元データ、すなわち900個のメモリ領域を考え、座標(x、y)のメモリ領域の値をu(x,y)と記述することにする。値は0〜99まで取りうるとする。一例として、図58中に、座標(4、3)の値が26であったときの記述例を示す。もちろん、サイズや値を定義するときに使った30や99という数は、適宜他のものを選んでよい。また、ここでは縦横同じサイズの例を与えたが、縦と横のサイズが異なっていてもよい。時刻tのときのu(x,y)の値のことをu(x,y)[t] と書くことにする。ここでt=0,1,...(0以上の整数)とする。このu(x,y)[t] を時間の経過ともに決定していく変換ルールF−aを以下のように波動関数を離散化した差分方程式を利用することで定義する。ここでいう「離散化」とは、コンピュータが演算することができるために、ある連続値を取る量(実数)を整数に変換する処理を示す。
【0151】
w(x,y)[t] を、x, y, t を(連続的な)変数として持つ3次元関数(空間軸で2次元、時間軸で1次元)とする。W(x,y)[t]のとりうる値も連続的な数(実数)とする。このとき、2次元波動関数は、λをある定数とすると、次の(1)式で表される。
【数1】

【0152】
(1)式で表される波動関数は、例えば次の(2)式で表されるように離散化される。
【数2】

【0153】
すなわち、(1)式における等式の左辺を、(2)式における「〜」の右辺のように近似する。ここでΔtは微小な量である。Δtが0に近づくときの極限として「〜」は「等式」となる。この離散化は、2階微分関数の離散化としてはもっとも単純なものである。もちろん、他の方法で2階微分の離散化を行うことも可能である。
【0154】
(2)式の右辺から、次の(3)式のようにw(x,y)[t] を 離散化された関数 u(x,y)[t]の関係で表す。ここでは、Δtを1にしてwをuに変えている。
【数3】

【0155】
同様の変換を、(1)式の右辺に対しても行うと、連続関数w(x,y)[t]の微分方程式である(1)式は、離散関数u(x,y)[t]の差分方程式として、次の(4)式のように表すことができる。
【数4】

【0156】
(4)式を変形すると、次の(5)式を得る。ここでは、u(x,y)[t+1]が、それより前の時刻であるtやt-1におけるu(x,y)の値によって記述されている。
【数5】

【0157】
u(x,y)[t]の値はまだ連続量である。最後に、次の(6)式のように、(5)式の右辺に離散化関数Φを施す。ここで離散化関数とは、連続量を離散化(値を整数にする)関数で、例えば0未満は0、0以上1未満は1、1以上2未満は2、・・・、99以上は99、などと変換する関数のことである。もちろん、これ以外にもΦとして様々な離散化関数を定義することができる。
【数6】

【0158】
(6)式を採用し、λおよびΦを適当に定めることにより(例えばλ=1、Φは上述したもの)、u(x,y)[0], u(x,y)[1] (x=1,2,…,30; y=1,2,…,30)をはじめに与えておけば、u(x,y)[2], u(x,y)[3], …(x=1,2,…,30; y=1,2,…,30)は、順次決定される。
【0159】
ここまでは30×30のサイズで考えてきたが、ここからは例えば400×300というサイズを考える。初期値は例えば図56で表される2次元データから定まるものとする。
【0160】
電子ペンによるu(x,y)[t]への影響を次のように定める。すなわち、時刻tのときに筆圧p でペンが操作されたときに、u(x,y)[t] = pにする。ここで筆圧はpは0から99までの値とする。今、座標と筆圧のみを考えたが、先に述べたように、u(x,y)[t]の値は電子ペンの他の状態(図36中のy1、y2、y3、iなど)によって決定してもよい。さらに、座標(x,y) のu(x,y)[t]の値だけでなく、その周辺の値(u(x-1,y)[t] や u(x,y+1)[t]など)の値にも影響を与えてもよい。
【0161】
以上が波動方程式を離散化した差分方程式を利用して変換ルールF−aを定めた例である。前述の(1)式の波動方程式から、別の離散化を行い別の差分方程式を利用して別の変換ルールF−aを定めることもできる。
【0162】
(例2)
前述の(例1)では、自然現象を記述する方程式から変換ルールを決定したが、ここでは人工的に変換ルールを決定する例を示す。
【0163】
図59に示すように、5×5のサイズの二次元データを考え、そこに0〜5(0が白で5が黒とする)という6段階の階調でグレースケールを表現する。時間も離散的に経過するとする。初期状態として、時刻0では図59(a)、時刻1では図59(b)の状態であったとする。時刻2の状態、例えば場所zが時刻2に0から5のどの値をとるのかを決定するルールを、時刻0及び時刻1の、それぞれ図59(a’)及び図59(b’)に示される斜線部分で示される部分の状況に従って決定する例を示す。図60のように、二次元データのそれぞれの座標にa(1,1)〜a(5,5)の名前を付ける。時刻tにおけるa(i,j) の値を a(i,j)(t) と表すとする。図59(a)によると、a(1,2)(0) = 0 で、a(1,3)(0) = 5 である。すると、先のルールは、次の式で表すことができる。
【0164】
a(i,j)(t) = f( a(i-1,j)(t-1), a(i,j+1)(t-1), a(i+1,j)(t-1), a(i,j-1)(t-1), a(i,j)(t-2) )
ここで、fは、5つの0から5の値が定まると、ある0から5の値が定まる関数である。この関数は、6の5乗である7776個の5つの0から5の値ごとに、ある0から5の値が定めることによって定まる。
【0165】
fの例として例えば、
f1(x1, x2, x3, x4, x5) = (x1 + x2 + x3 + x4 + x5) modulo 6
がある。ここで、ある自然数yに対して y modulo 6 とは、yを6で割ったときの余りを表している。次にまた別のfの例を示す。
【0166】
f2(x1, x2, x3, x4, x5) = (x1 + 2*x2 − 3*x3 + 2*x4 + x5) modulo 6
今まで5×5のサイズで考えてきたが、ここからは例えば400×300というサイズを考える。初期値は例えば図56に表される2次元データから定まるものとする。
【0167】
電子ペンの時刻tにおける二次元データへの影響を、次の通り定める。すなわち、ある時刻tに電子ペンがa(i,j) を指していたとき、電子ペンは二次元データをa(i,j)=5 と変える。
【0168】
以上のように、ルールf1、f2と、電子ペンの影響を定めることによって、変換ルールF−bを定義することができる。
【0169】
ここでは、ペンの位置のみで二次元データへの影響を定義したが、電子ペンの(図36で例示したような)他の状態に依存して二次元データへの影響(すなわち変換ルール)を定義してもよい。例えば、iの値が100より小さくなったときは、a(i,j) = p/2と定めるなどである。また、電子ペンの座標が(i,j)であっても、a(i,j)だけでなく、a(i-1,j) やa(i,j+1)などに影響をあたえるようにしてもよい。さらに、その他の座標まで影響をあたえるようにしてもよい。
【0170】
以上の(例1)および(例2)では、時刻tの状態を決めるために、時刻t-1および時刻t-2における二次元データしか用いなかったが、さらに時刻t-3、時刻t-4、…の二次元データを用いる変換ルールも考えることができる。
【0171】
(例3)
以下の例は数学者コンウェイによって定義されたライフゲイムに基づき変換ルールを定める例である。
【0172】
まず、一般的な説明を行う。サイズをNとする(Nは例えば100や1000や10000などである)。以下、便宜上、N=10 とする。(x, y, t) で、x=0, ... , 9; y=0, ... , 9; (これらの x, y の範囲を「定義域」と呼ぶ)t=0, ... に対して、0か1の値(これを「値域」と呼ぶ)を、後述する「ルール」で決めていく。x, y, t に対して決まった値を f(x, y; t) と書くことにする。tを一つ決めると10×10個の0か1の値が決まるが、それを時刻tにおける「状態」と呼ぶことにする。図61に、ある時刻 t=0 における状態の例を示す。この例の場合、f(2, 6; 0) = 0 であり、f(5, 6; 0) = 1 である。定義域内の座標 (x, y) に対して、その上、下、左、右、右上、右下、左上、左下の8つの座標のことを、座標 (x, y) の「近傍」と呼ぶことにする。
【0173】
(ルール)
時刻 t-1 の状態から、時刻tの状態を次のように決める。
【0174】
定義域の (x, y) 全てに対して、次のように f(x, y; t) を決める。
【0175】
f(x, y, t-1) = 1 の場合:
時刻 t-1 において (x, y) の近傍に1が2個又は3個あるならば、f(x, y, t) = 1 とする。そうでない場合は f(x, y, t) = 0 とする。
【0176】
f(x, y, t-1) = 0 の場合:
時刻 t-1 において (x, y) の近傍に1が3個あるならば、f(x, y, t) = 1 とする。そうでない場合は f(x, y, t) = 0 とする。
【0177】
例として、図62で状態0が定められていた場合、状態1における座標 (4, 5) の値 f(4, 5; 1) が何になるか考えてみる。状態0において、f(4, 5; 0) = 1 である。さらに、状態0において、座標 (4, 5) の近傍には1が4つある。したがって、ルールより f(4, 4; 1) = 0 となる。同様にして、f(4, 2; 0) = 0 かつ、時刻0における座標 (4, 2) の近傍には1がちょうど2つあるので f(4, 2; 1) = 0 となる。同様にして、f(4, 1; 0) = 0 かつ、時刻0における座標 (4, 1) の近傍には1がちょうど3つあるので f(4, 1; 1) = 1 となる。同様にして、f(5, 1; 0) = 0 かつ、時刻0における座標 (5, 1) の近傍には1が2つなので f(5, 1; 1) = 0 となる。以上が一般的な説明である。
【0178】
次に、上で説明したルールを電子的経験に適用する様子を説明する。N=10のところをN=1024とする(これは、15インチ液晶モニタの通常の横方向の解像度である)。時刻0の状態として、例えば図63に示されるような、契約書の内容を二次元の画像イメージ化したものとする。時刻0の状態から、時刻1の状態、時刻2の状態、と、上で説明したルールで生成していく。この二次元画像イメージに電子ペンが与える影響は次で定める。すなわち、ある時刻にある座標に電子ペンが置かれると、その時刻におけるあるその座標の値を、ルールを考慮せず強制的に1にする。これによって変換ルールF−cが定義された。
【0179】
ある時刻t−1の状態から次の時刻tの状態に移行する実際の時間間隔を例えば0.5秒に設定する。すると、「太郎」の「太」の字の横棒「一」を書きはじめてから、「郎」の「おおざと」を書き終わるまで、例えば3秒くらいかかるとする。すると、書いている間に6回ルールが適用され二次元データの状態が変換していく。
【0180】
以上の変換ルールF−cは、以下に示すような様々な方法で一般化できる。
【0181】
・値域が0か1であったのを、0から255までの256個の整数などにする(これにしたがって、ルールを決める必要は生じる)。
【0182】
・先のルールによると、ある時刻のある座標の状態は、すぐ前の時刻の、その座標の状態及び近傍の状態から決定されていた。そして近傍は8つの座標だった。この近傍を5×5 − 1 = 24 個に広げたり、6×6 − 1 = 35 個に広げたりすることもできる。この近傍の取り得る数値に特段の限定はない。そして、すぐ前の状態全てを近傍とする(もちろんこの場合、ルールを座標ごとに一つ一つ書き下すことは面倒きわまりない。しかし、関数(例えば波動関数のようなもの)を用いてルール全体を比較的容易に定義することが可能である)。
【0183】
・ルールを、ある時刻の状態は、一つ前の時刻の状態と、さらに二つ前、三つ前、・・・の時刻の状態から決定されるようなものにする。
【0184】
・上述では、定義域は一枚の二次元座標であったが、これを三次元、四次元、・・・の座標にする。これは定義域に含まれる座標が (x1, x2, x3) や (x1, x2, x3, x4) などのように表されることを意味する。次元の増加は表現色の増加など、紙の状態の表現能力を高める意味で用いることができる。
【0185】
(例4)
上述の(例1)、(例2)、及び(例3)においては、主に二次元データの視点から変換ルールの構成を説明したが、(例4)では電子ペンの視点から変換ルールの構成を説明する。電子ペンはある時刻tに座標(x, y)を指し示している。この電子ペンの二次元データへの影響のコピーを次のように複数用意することができる。
【0186】
例えば(例1)においては、電子ペンが二次元データに与える影響を、電子ペンが座標(x, y)を筆圧pで押しているときu(x, y)=p、と定義していたが、座標(x, y)だけでなく、あらかじめ定めておいた定数M, N に対して座標(x+M, y+N)にも同様の影響を与えると定めてもよい。座標(x, y)への影響よりも少なくしてもよい(例えばu(x+M, y+N) = p/2など)。さらに、このコピーは複数個現れてもよい。図64は、タイル状に電子ペンの影響のコピーを用意した時の例を示している。これによって、情報161および情報162の関係を分離することをより困難にすることができる。
【0187】
この電子ペンの影響のコピーは、例えば二次元データとしてオリジナルの筆跡を二倍、三倍などの大きさに拡大されてもよい。図65は、オリジナルの筆跡が一倍および二倍に拡大された影響がタイル状に及ぶように定めたときの例を示している。ここでは筆跡の拡大のコピーのみを例示したが、縮小や回転、反転、などを行った後での筆跡のコピーの影響を考えることができる。
【0188】
筆跡の視点から定義した変換ルールおよび二次元データの視点からの変換ルールは合成することが可能である。例えば、(例1)に示す変換ルール上に、図64に示すような筆跡のコピーの影響を考えることができる。このとき、例えば図43中のデータXに示すような電子ペンの影響が、画像データWの複数箇所で同時に現れることになる。
【0189】
前述の(例1)〜(例4)では、初期値として、例えば図56に示される二次元データを採用していたが、この二次元データは時刻の変化とともに変化し、原型をとどめない場合もある。しかしそれは、すでに説明したように複数の二次元データを用意し、ある一枚の二次元データが次の条件を満たすような変換ルールを定義すればよい。
【0190】
(条件)
初期値は図56に示される二次元データとする。電子ペンが置かれた場所を黒にする。他の層の二次元データとは相互作用しない。
【0191】
これによって、常に原型をとどめた二次元データを持っておくことができる。
【0192】
このように本実施形態によれば、取引契約に関わる契約書を電子的に長期間安全に保管できるとともに契約者に安心感を与えることができる。
【0193】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0194】
例えば、上述した実施形態で述べた本発明に係る各種の処理手順は、コンピュータプログラムとして、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体(例えば磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ)に記憶させておき、必要に応じてそれをコンピュータ(プロセッサ)により読み出して実行するようにしてもよい。また、このようなコンピュータプログラムは、通信媒体を介してあるコンピュータから他のコンピュータに伝送することにより配布することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例。
【図2】同実施形態に係る情報処理システムの他の構成例。
【図3】情報処理システムにおいて行われる処理手順の概略を示す図。
【図4】情報処理システムに備えられる各種機能の概略を示す図。
【図5】各種機能の配置に関する第1の例を示す図。
【図6】各種機能の配置に関する第2の例を示す図。
【図7】各種機能の配置に関する第3の例を示す図。
【図8】各種機能の配置に関する第4の例を示す図。
【図9】各種機能の配置に関する第5の例を示す図。
【図10】図4中に示した契約書管理機能の構成を示す図。
【図11】図4中に示した契約内容記述機能の構成を示す図。
【図12】図4中に示した個性付与機能の構成を示す図。
【図13】図4中に示した証拠性向上機能の構成を示す図。
【図14】図4中に示した契約内容確認機能の構成を示す図。
【図15】図4中に示した保管機能の構成を示す図。
【図16】複数の保管サーバを含む情報処理システムの構成例を示す図。
【図17】タイムスタンプサーバを含む情報処理システムの構成例を示す図。
【図18】図17中に示したタイムスタンプ機能の構成を示す図。
【図19】図11中に示した情報表示機能により実現される画面の第1の表示例。
【図20】図11中に示した情報表示機能により実現される画面の第2の表示例。
【図21】図11中に示した情報表示機能により実現される画面の第3の表示例。
【図22】図11中に示した情報表示機能により実現される画面の第4の表示例。
【図23】契約内容をXML形式で記述した例。
【図24】電子ペンを用いて電子的個性を作成するときの様子を示す図。
【図25】保険会社での検証が完了した後に生成される情報の例を示す図。
【図26】契約内容を契約者に確認させるための画面の例。
【図27】契約成立後の保険金支払いなどにより生成される情報の例を示す図。
【図28】電子的な契約書(正本)の証拠性が増大されていく様子を示す図。
【図29】金融機関との間で処理を行う場合の情報処理システムの構成例。
【図30】入金の要求から途中処理情報追加までの処理の流れの一例を示す図。
【図31】保険会社が契約者に提供する登録確認のための確認画面の例を示す図。
【図32】紙の契約書を用いる場合の情報処理システムの構成例を示す図。
【図33】図32のシステムにおける契約成立プロセスの例を示す図。
【図34】電子ペンを用いた契約書本人の操作履歴(経験)情報による個性情報付与処理の例を示す図。
【図35】電子ペンの機能構成の一例を示す図。
【図36】電子ペンの持つ状態値の例を示す図。
【図37】図12中の個性情報抽出部の内部の論理的機能構成図を示す図。
【図38】図37中の状態格納部が格納する二次元データの例を示す図。
【図39】図38に例示される二次元データが表示されたイメージの一例を示す図。
【図40】図37の構成における電子データの状態値M(t)および電子ペンの状態値P(t)の受け渡しの様子を示す図。
【図41】多層の二次元データに使用される保険会社のロゴの一例を示す図。
【図42】画像化された署名入り電子データの例を示す図。
【図43】電子ペンで「太郎」の「太」の字の「一」を描きはじめたときの状況を示す図。
【図44】電子ペンで「太郎」の「太」の字の「一」を中ほどまで描いたときの状況を示す図。
【図45】電子ペンで「太郎」の「太」の字の「ノ」を中ほどまで描いたときの状況を示す図。
【図46】「万」の字の部分が二次元座標によって表現される様子を示す図。
【図47】変換ルールのもとでの電子ペンによる影響が「万」の字の部分に及び始めている状況を示す図。
【図48】図47の状況よりもさらに時間的に経過した状況を示す図。
【図49】図48の状況よりもさらに時間的に経過した状況を示す図。
【図50】水彩筆による水彩インクのにじみが記載情報まで達しない様子を示す図。
【図51】水彩筆による水彩インクのにじみが記載情報まで達する様子を示す図。
【図52】多段構成の紙におけるにじみを説明するための図。
【図53】画像データが層A、層B、層Cの3枚の二次元データから構成される様子を示す図。
【図54】画像データが層A、層D、層Eの三層で構成される場合に、層Dが拡散のスピードが比較的遅く、層Eが拡散のスピードが比較的速い変換ルールを説明するための図。
【図55】時間的経緯を示す層F−1、F−2、F−3において拡散の影響が、二次元データの右端から左端へ、上端から下端へあたかも連続しているかのように伝えられる変換ルールを説明するための図。
【図56】変換ルールを定める際に使用する初期値としての2次元データの例を示す図。
【図57】幾何学的パターンによる二次元データの例を示す図。
【図58】30×30のサイズの二次元データの例を示す図。
【図59】6段階の階調でグレースケールを有し、時間が離散的に経過する5×5のサイズの二次元データの例を示す図。
【図60】図59の二次元データにおけるそれぞれの位置を定義した様子を示す図。
【図61】10×10のサイズの二次元データの例を示す図。
【図62】図61の例における時間的変化を説明するための図。
【図63】図62に示されるルールが適用される画像イメージの例を示す図。
【図64】タイル状に電子ペンの影響のコピーを用意した時の例を示す図。
【図65】オリジナルの筆跡が一倍および二倍に拡大された影響がタイル状に及ぶように定めたときの例を示す図。
【符号の説明】
【0196】
1…情報処理装置、2…サーバ、3…インターネット、4…専用線、5…インターフェース、6…タイムスタンプサーバ、7…保管サーバ(A)、8…保管サーバ(B)、9…サーバ、10…契約書管理機能、20…契約内容記述画面処理機能、30…契約内容記述機能、40…個性付与機能、50…証拠性向上機能、60…契約内容確認機能、70…保管機能、80…契約書出力機能、90…途中処理機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された前記文書に対し、契約者本人が自分自身のものであることを確認できる個人的特徴を有する個性情報を電子的に付与する第1の付与手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記作成手段は、入力装置を通じて入力される電子情報に基づいて前記文書を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作成手段は、光学的文字読取装置を通じて入力される電子情報に基づいて前記文書を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記個性情報は、契約者本人の生体的特徴を示す電子情報を含むことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記個性情報は、契約者が入力装置を操作した履歴情報を含むことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記個性情報は、契約者自身の少なくとも一部の撮影画像を含むことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の付与手段により個性情報が付与された前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する第2の付与手段を具備することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記証拠性向上情報は、前記契約者の操作に基づく処理が行われた時刻情報を含むことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記証拠性向上情報は、使用される通信媒体に関わる情報を含むことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記証拠性向上情報は、契約者本人の認証を証明する証明書に関わる情報を含むことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記証拠性向上情報は、時間の経過に応じて動きが変化する電子情報を含むことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項12】
少なくとも前記個性情報が付与された文書を他の情報処理装置へ送信する送信手段を具備することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
取引契約に関わる内容が記述され、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報が電子的に付与されている文書を、他の装置から受けて電子的に保管する保管手段と、
前記保管手段によって保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの証拠を示す証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する第1の付与手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
前記証拠性向上情報は、前記契約者の操作に基づく処理が行われた時刻情報を含むことを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記証拠性向上情報は、使用される通信媒体に関わる情報を含むことを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記証拠性向上情報は、契約者本人の認証を証明する証明書に関わる情報を含むことを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記証拠性向上情報は、時間の経過に応じて動きが変化する電子情報を含むことを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記文書の証拠性を更に向上する他の情報を当該文書に電子的に付与する第2の付与手段を具備することを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。
【請求項19】
取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成する作成手段と、この作成手段により作成された前記文書に対し契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報を電子的に付与する第1の付与手段と、この第1の付与手段により前記個性情報が付与された前記文書を送信する送信手段とを有する第1の情報処理装置と、
前記第1の情報処理装置から送信されてくる前記文書を受けて電子的に保管する保管手段と、この保管手段によって保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する第2の付与手段とを有する第2の情報処理装置と
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項20】
前記作成手段は、入力装置を通じて入力される情報に基づいて前記文書を作成することを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項21】
前記作成手段は、光学的文字読取装置を通じて入力される電子情報に基づいて前記文書を作成することを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項22】
前記個性情報は、契約者本人の生体的特徴を示す電子情報を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項23】
前記個性情報は、契約者が入力装置を操作した履歴情報を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項24】
前記個性情報は、契約者自身の少なくとも一部の撮影画像を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項25】
前記証拠性向上情報は、前記契約者の操作に基づく処理が行われた時刻情報を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項26】
前記証拠性向上情報は、使用される通信媒体に関わる情報を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項27】
前記証拠性向上情報は、契約者本人の認証を証明する証明書に関わる情報を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項28】
前記証拠性向上情報は、時間の経過に応じて動きが変化する電子情報を含むことを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項29】
前記文書の証拠性を更に向上させる他の情報を当該文書に電子的に付与する第3の付与手段を具備することを特徴とする請求項19記載の情報処理システム。
【請求項30】
作成手段が、取引契約に関わる内容が記述された文書を電子的に作成し、
第1の付与手段が、前記作成された電子文書に対し、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報を電子的に付与し、
保管手段が、前記個性情報が付与された前記文書を電子的に保管し、
第2の付与手段が、前記保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの根拠となる証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項31】
取引契約に関わる文書を処理するためのプログラムであって、コンピュータに、
取引契約に関わる内容が記述され、契約者本人が自分自身の内容であることを確認できる個人的特徴を有する個性情報が電子的に付与されている文書を、他の装置から受けて電子的に保管する保管機能と、
前記保管される前記文書に対し、当該文書が真正なものであることの根拠となる証拠性を向上する証拠性向上情報を電子的に付与する付与機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【公開番号】特開2006−260489(P2006−260489A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80670(P2005−80670)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】