説明

情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム

【課題】発話者が離れた場所にいる対象者に対して話しかける場合に、その離れた場所にいる参加者が、話しかけられた対象者が誰であるかの判断を誤ることを抑制するようにした情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置の状況提示手段は、通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を提示し、発話者判別手段は、発話者を判別し、対象者判別手段は、前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
離れた場所にいる人同士のコミュニケーションを円滑に行うための情報処理装置がある。例えば、会議室と他の場所にある会議室とを通信回線を介して接続して会議を行うための会議システムがある。これらの情報処理装置では、発話者を検知することが行われている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、会議参加者のうちの誰が話者であるかを知ると共に、次の話者や秘話の相手を指示したり、あるいは自分が次の話者に指定されていることを知ることができることを目的とし、話者選択制御手段は、会議参加者の要求により、話者を選択でき、そして、当該話者選択制御手段で選択された話者は、話者表示制御手段の要求により表示装置上に他の会議参加者と区別して表示され、また、遠隔会議集中制御手段は、会議参加者の情報を各会議参加者に送ると共に、前記話者選択制御手段で選択された話者の音声を各会議参加者相互間で送受信するように制御できることが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、相手が知らない人であったり、声が似ていたりする場合においても、誰が発言しているかを特定し、遠隔地との電子音声会議の進行をスムーズに行うことを目的とし、ISDNを利用した3者音声会議システムにおいて、音声送受信部は、音声をステレオヘッドホーンの左右に割り当てたB1チャネル及びB2チャネルのチャネル制御手段を有し、第1の音声出力部は、該音声送受信部に接続され、前記B1チャネルの音声を出力し、第2の音声出力部は、前記B2チャネルの音声を出力し、このような構成により、話者毎に音声の出力位置を変えて、現在、誰が話しているかを特定できることが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、遠隔で提示されるイメージの中で、現実に対応した頭の向きによる実在感と、目の触れ合いが可能なテレビ会議システムを提供することを課題とし、テレビ会議システムにおいて、各会議室に、会議参加者のイメージフレームを表すビデオ信号を生成するビデオカメラと、遠隔の会議参加者のイメージフレームを表示するイメージ受像器があり、そのイメージ受像器とビデオカメラと、その場所の会議参加者の目との視差角θを定義し、テレビ会議システムはさらに、ビデオ信号に対応して、その場所の会議参加者のイメージフレームを分析し、視差補償されたフレームを生成するための、フレーム生成システムを含み、それぞれに視差補償されたフレームを表す信号は、対応するイメージ受像器に送信され、3人以上の参加者がいる場合は、頭の位置について各入力イメージフレームを分析し、頭の向きの修正がなされることが開示されている。
【特許文献1】特開平04−339484号公報
【特許文献2】特開平08−125738号公報
【特許文献3】特開平08−237629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発話者が離れた場所にいる対象者に対して話しかける場合に、その離れた場所にいる参加者が、話しかけられた対象者が誰であるかの判断を誤ることを抑制するようにした情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の情報処理装置は、通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を提示する状況提示手段と、発話者を判別する発話者判別手段と、前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する対象者判別手段を具備することを特徴とする。
【0008】
請求項2の情報処理装置は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記対象者判別手段は、発話者の顔の向き又は発話者の視線を検知することによって、対象者を判別することを特徴とする。
【0009】
請求項3の情報処理装置は、請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、前記対象者判別手段によって判別された対象者を提示する対象者提示手段を具備することを特徴とする。
【0010】
請求項4の情報処理システムは、通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段によって受信された参加者の状況を提示する状況提示手段と、発話者を判別する発話者判別手段と、前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する対象者判別手段と、前記対象者判別手段によって判別された対象者を対象者側情報処理装置に送信する第1の送信手段を備える発話者側情報処理装置と、前記発話者側情報処理装置と通信回線を介して接続されており、前記発話者側情報処理装置に参加者の状況を送信する第2の送信手段と、前記第1の送信手段によって送信された対象者を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段によって受信された対象者を提示する対象者提示手段を備える対象者側情報処理装置を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項5の情報処理システムは、請求項4に記載の情報処理システムであって、前記発話者側情報処理装置の第1の送信手段は、さらに前記発話者判別手段によって判別された発話者を送信し、前記対象者側情報処理装置の第2の受信手段は、さらに発話者を受信し、前記対象者側情報処理装置は、前記第2の受信手段によって受信された発話者を提示する発話者提示手段をさらに具備することを特徴とする。
【0012】
請求項6の情報処理プログラムは、コンピュータを、通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を提示する状況提示手段と、発話者を判別する発話者判別手段と、前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する対象者判別手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の情報処理装置によれば、発話者が離れた場所にいる対象者に対して話しかける場合に、その離れた場所にいる参加者が、話しかけられた対象者が誰であるかの判断を誤ることを抑制できる。
【0014】
請求項2記載の情報処理装置によれば、発話者の指定について明示的な動作を不要とすることができる。
【0015】
請求項3記載の情報処理装置によれば、発話者は誰を対象者としているかを確認することができる。
【0016】
請求項4記載の情報処理システムによれば、発話者が離れた場所にいる対象者に対して話しかける場合に、その離れた場所にいる参加者が、話しかけられた対象者が誰であるかの判断を誤ることを抑制できる。
【0017】
請求項5記載の情報処理システムによれば、発話者と離れた場所にいる参加者は、その発話者が誰であるかを知ることができるようになる。
【0018】
請求項6記載の情報処理プログラムによれば、発話者が離れた場所にいる対象者に対して話しかける場合に、その離れた場所にいる参加者が、話しかけられた対象者が誰であるかの判断を誤ることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、コンピュータ・プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)を含む。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。
【0020】
以下、情報処理システムとして、会議に用いる遠隔会議システムを主に例示して説明する。なお、遠隔とは、通信回線を介して互いに接続されていることを示しており、必ずしも遠距離に離れていることでなくてもよい。
また、この情報処理システムを用いる者を参加者という。ただし、参加者は、明示的に本情報処理システムを用いるという意識を有している必要はない。
また、発話者とは、発言を行う者である。対象者とは、遠隔地にいる者であり、その発話者が対象とする相手(話しかける相手、質問を投げかける相手等)である。つまり、遠隔会議システムの例では、遠隔地の会議室にいる者であって、発話者がコミュニケーションを取りたい特定の者(一人又は複数であってもよい)である。
【0021】
本実施の形態は、図1に示すように、遠隔会議システム(発話者側)110、遠隔会議システム(対象者側)120を有している。遠隔会議システム(発話者側)110は通信回線190を介して相互に遠隔会議システム(対象者側)120と接続されている。なお、遠隔会議システム(発話者側)110と遠隔会議システム(対象者側)120とは離れた場所にある会議室に設置されている。
遠隔会議システム(発話者側)110は、発話者判別モジュール111、相手側状況提示モジュール112、対象者判別モジュール113、対象者確認提示モジュール114、送受信モジュール119を有している。
遠隔会議システム(対象者側)120は、発話者提示モジュール121、対象者提示モジュール122、状況取得モジュール123、送受信モジュール129を有している。
【0022】
なお、遠隔会議システム(発話者側)110と遠隔会議システム(対象者側)120は同じ構成を有していてもよい。つまり、遠隔会議システム(発話者側)110と遠隔会議システム(対象者側)120は、発話者判別モジュール111、相手側状況提示モジュール112、対象者判別モジュール113、対象者確認提示モジュール114、発話者提示モジュール121、対象者提示モジュール122、状況取得モジュール123、送受信モジュール119(129)を有していてもよい。これによって、発話者、対象者がどちらにいてもよい構成となる。
【0023】
発話者は遠隔会議システム(発話者側)110側の会議室におり、対象者は遠隔会議システム(対象者側)120側の会議室にいる。また、遠隔会議システム(発話者側)110と遠隔会議システム(対象者側)120にはそれぞれマイク、ビデオカメラ等(図示せず)が接続されており、それによって参加者の声、映像、動作等を取得して発話者判別モジュール111、対象者判別モジュール113等によって制御される。また、提示装置として、例えば、ディスプレイ、スピーカ等が接続されており、相手側状況提示モジュール112、対象者確認提示モジュール114、発話者提示モジュール121、対象者提示モジュール122等によって制御される。また、参加者の操作を受け付ける操作受付装置として、例えば、マウス、キーボード、ディスプレイ表面に対する接触の位置を検知するタッチセンサー等が接続されており、対象者確認提示モジュール114等によって制御される。
【0024】
まず、遠隔会議システム(発話者側)110内の説明を行う。
送受信モジュール119は、遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129との間で通信回線190を介して互いに送受信を行う。例えば、対象者判別モジュール113によって判別された対象者を遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129に送信する。また、遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129から送信された遠隔会議システム(対象者側)120側の会議室にいる参加者の状況を受信し、相手側状況提示モジュール112へ渡すようにしてもよい。また、発話者判別モジュール111によって判別された発話者を遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129に送信するようにしてもよい。
【0025】
発話者判別モジュール111は、発話者を判別し、その発話者を対象者判別モジュール113へ渡す。また、判別した発話者を送受信モジュール119へ渡してもよい。発話者の判別は、従来から用いられている発話している者の検知によって行う。また、発言ボタン等が参加者毎に用意されており、操作された発言ボタンに対応付けられた者を発話者と判別してもよい。その他に、参加者毎にマイクが設置されており、そのマイクのスイッチが入ったことを検知すること、そのマイクの音量を他のマイクの音量と比較して大きな音量であるマイクを検知すること、複数の指向性マイクが設置されており、発話を捉えたマイクの先にいる参加者を検知すること、発声者を認識する音声認識、又はビデオカメラが撮影している画像から口の動きを検知することにより判別してもよい。
【0026】
相手側状況提示モジュール112は、送受信モジュール119から受け取った遠隔会議システム(対象者側)120がある会議室にいる参加者の状況を提示する。ここで、状況の提示とは、例えば、遠隔会議システム(対象者側)120に接続されたビデオカメラによって撮影された映像、参加者のリスト等をディスプレイ等に提示することである。より具体的には、図2等を用いて説明する。
【0027】
対象者判別モジュール113は、発話者判別モジュール111によって判別された発話者の相手側状況提示モジュール112に対する行動を検知することによって、対象者を判別する。そして、その判別結果を対象者確認提示モジュール114に渡してもよい。また、対象者判別モジュール113は、発話者の顔の向き又は発話者の視線を検知することによって、対象者を判別するようにしてもよい。例えば、相手側状況提示モジュール112によってディスプレイに提示されたものに対する視線の位置等を検知することである。対象者の判別手法については、図4等を用いて後述する。
【0028】
対象者確認提示モジュール114は、対象者判別モジュール113によって判別された対象者を受け取り、その対象者を提示する。また、発話者に対して対象者が正しいか否かを確認させるようにしてもよい。そして、誤っている場合は、対象者を変更できるようにしてもよい。その変更は、ディスプレイのタッチセンサー等に対する操作者の操作に基づいて行う。
【0029】
次に、遠隔会議システム(対象者側)120内の説明を行う。
送受信モジュール129は、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119との間で通信回線190を介して互いに送受信を行う。例えば、状況取得モジュール123から参加者の状況を受け取り、それを遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119に送信する。また、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119から送信された対象者を受け取り、対象者提示モジュール122に渡す。また、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119から送信された発話者を受け取り、発話者提示モジュール121に渡すようにしてもよい。
【0030】
発話者提示モジュール121は、送受信モジュール129によって受信された発話者を提示する。遠隔地の会議室で発話している人が誰であるのかを提示する。例えば、その発話者の名前、画像、似顔絵等の疑似画像等を提示するようにしてもよい。また、遠隔地の参加者の全員を提示して、その中で発話者を他とは異なるように提示(例えば、強調表示)するようにしてもよい。
【0031】
対象者提示モジュール122は、送受信モジュール129によって受信された対象者を提示する。遠隔地の会議室での発話者が、誰に対して発言しているのかを提示する。例えば、その対象者の名前、画像、似顔絵等の疑似画像等を提示するようにしてもよい。また、遠隔地の参加者の全員を提示して、その中で対象者を他とは異なるように提示(例えば、強調表示)するようにしてもよい。また、参加者毎にランプを設置し、そのランプを点灯させて対象者を提示するようにしてもよい。また、参加者毎にスピーカを設置し、対象者のスピーカから発話者の発話を大きな音量で出力するようにしてもよい。また、発話者の似顔絵の視線を対象者に向けるように似顔絵を作成して提示するようにしてもよい。
【0032】
状況取得モジュール123は、遠隔会議システム(対象者側)120側の参加者の状況を取得し、送受信モジュール129へ渡す。例えば、参加者の状況として、ビデオカメラで会議室内を撮影した画像、その会議の参加者のリスト等である。参加者のリストは、参加者の識別子(名前等を含む)を受け取り、リストとして作成したものである。参加者の識別子の受け取りは、例えば、参加者が所持しており個人を特定するデータが入っているICカードを、カードリーダーが読み取るようにしてもよい。
【0033】
図2は、相手側状況提示モジュール112によって提示される相手側(遠隔会議システム(対象者側)120)の会議室の状況例を示す説明図である。
相手側状況表示画面200に提示されるものは、遠隔会議システム(対象者側)120の状況取得モジュール123によって取得されたものであり、送受信モジュール129、通信回線190、送受信モジュール119を介して、相手側状況提示モジュール112が受け取り、これを提示したものである。
【0034】
相手側状況表示画面200は、相手側画像表示領域210と参加者リスト表示領域220を有している。
相手側画像表示領域210には、遠隔会議システム(対象者側)120の会議室の映像を提示している。図2の例では、参加者として会議参加者211A、212A、213A、214A、215Aの5人がいる。また、相手側画像表示領域210内のどの位置にどの参加者がいるのかを対象者判別モジュール113が特定できるようにしてもよい。例えば、各人がICカードを有しており、そのICカードの位置と映像の位置を対応させるようにし、映像内の位置から参加者を特定できるようにしてもよい。映像の位置と参加者の対応に関する情報は、状況取得モジュール123が映像とともに相手側状況提示モジュール112に送信する。対象者判別モジュール113は、参加者リスト表示領域220内の位置にどの参加者が対応しているかを相手側状況提示モジュール112に問い合わせ、相手側状況提示モジュール112は状況取得モジュール123によって送信された情報を用いて、その位置にどの参加者が対応しているかを返せばよい。
【0035】
参加者リスト表示領域220には、遠隔会議システム(対象者側)120の会議室にいる者のリストを提示している。図2の例では、会議参加者211A、212A、213A、214A、215Aのそれぞれの顔写真(参加者顔画像表示領域211B〜215B)、名前(氏名欄211C〜215C)を提示している。もちろん、参加者リスト表示領域220内のどの位置にどの参加者が対応しているかを対象者判別モジュール113が特定できるようにしてもよい。例えば、参加者リスト表示領域220内の位置にどの参加者が対応しているかを相手側状況提示モジュール112に問い合わせ、相手側状況提示モジュール112は描画したときの情報を用いて、その位置にどの参加者が対応しているかを返せばよい。
【0036】
対象者判別モジュール113は、発話者判別モジュール111によって判別された発話者の相手側状況表示画面200に対する行動を検知する。ここで検知する行動として、発話者の相手側状況表示画面200に対する操作、発話者の顔の向き、又は発話者の視線がある。具体的には、例えば、対象者として「富士三郎」を指定する場合、発話者が会議参加者213A、参加者顔画像表示領域213B、氏名欄213Cの位置を触れる操作、又は相手側状況表示画面200内の富士三郎を見ること(つまり視線の先が会議参加者213A、参加者顔画像表示領域213B、氏名欄213Cの位置となる)等がある。そして、対象者判別モジュール113は、前述したように、相手側状況表示画面200内の位置から対応する対象者を特定する。
【0037】
図3は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
遠隔会議システム(発話者側)110による処理はステップS312からステップS324までの処理(図3では左側にある処理)であり、遠隔会議システム(対象者側)120による処理はステップS352からステップS362までの処理(図3では右側にある処理)である。
【0038】
まず、ステップS352では、遠隔会議システム(対象者側)120の状況取得モジュール123が、その会議における参加者の状況を取得する。
ステップS354では、遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129が、ステップS352で取得された参加者の状況を通信回線190を介して遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119へ送信する。
ステップS356では、遠隔会議システム(対象者側)120が、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119から対象者が送信されてくるまで待機状態となる。
【0039】
ステップS312では、遠隔会議システム(発話者側)110が、遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129から参加者の状況が送信されてくるまで待機状態となる。
ステップS314では、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119が、通信回線190を介して遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129から送信されてきた参加者の状況を受信する。
ステップS316では、遠隔会議システム(発話者側)110の相手側状況提示モジュール112が、ステップS314で受信した参加者の状況を提示する。
ステップS318では、遠隔会議システム(発話者側)110の発話者判別モジュール111が、発話者を判別する。
ステップS320では、遠隔会議システム(発話者側)110の対象者判別モジュール113が、対象者を判別する。
ステップS322では、遠隔会議システム(発話者側)110の対象者確認提示モジュール114が、ステップS320で判別された対象者を提示する。そして、発話者にその対象者でよいかの確認を求めるようにしてもよい。
ステップS324では、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119が、ステップS320で判別された対象者を遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129へ送信する。さらに発話者を送信するようにしてもよい。
【0040】
ステップS358では、遠隔会議システム(対象者側)120の送受信モジュール129が、遠隔会議システム(発話者側)110の送受信モジュール119から送信されてきた対象者を受信する。さらに発話者を受信するようにしてもよい。
ステップS360では、遠隔会議システム(対象者側)120の対象者提示モジュール122が、対象者を特定する画像を作成する。
ステップS362では、遠隔会議システム(対象者側)120の対象者提示モジュール122が、ステップS360で作成された画像を対象者として提示する。
また、ステップS360、S362の前又は後で、発話者提示モジュール121が、ステップS358で受信した発話者を特定する画像を作成して提示するようにしてもよい。
【0041】
次に、対象者判別モジュール113による処理例を説明する。対象者判別モジュール113は前述したように発話者の相手側状況表示画面200に対する操作、発話者の顔の向き、又は発話者の視線を検知する。
対象者確認提示モジュール114によって表示されている相手側状況表示画面200を発話者が触れる操作を検知して、その位置に対応する対象者を判別する。この場合、相手側状況表示画面200に触れる者をビデオカメラにて撮影して、その撮影画像を認識して、触れた者が発話者でない場合は、対象者に触れる操作ではないと判断する。
【0042】
次に、発話者の顔の向きの検知について説明する。
図4は、対象者判別モジュール113が画像処理によって発話者の顔の向きを検知して、対象者を判別する処理例を示す説明図である。
図4に示す目411、412、鼻413は、ビデオカメラによって撮影された発話者のものである。
図4に示すように目411、412、鼻413によってできる三角形414(図4(A))又は三角形415(図4(B))の形状から判断して、顔の向きを抽出する。例えば、図4(A)の三角形414の場合は、向かって左側を見ていることを抽出できる。同様に、図4(B)の三角形415の場合は、向かって右側を見ていることを抽出できる。
そして、対象者判別モジュール113は、その顔の向きから相手側状況表示画面200の見ている位置を判断して、対象者を判別する。
また、顔(眼鏡、帽子等を含めてもよい)に反射するもの(マーカ)を貼り付け、その位置関係から顔の向きを検知するようにしてもよい。
この他に、発話者の顔の3次元形状を計測して顔の向きを検知するようにしてもよい。
【0043】
次に、発話者の視線の検知について説明する。
対象者判別モジュール113は、ビデオカメラによって撮影された発話者の瞳孔を画像処理によって取り出して、その視線を検知するようにしてもよい。また、対象者判別モジュール113は、眼球運動の測定装置を用いて、例えば、強膜反射又は筋電位を測定して視線を検知するようにしてもよい。そして、対象者判別モジュール113は、その視線の先の相手側状況表示画面200の位置を求め、対象者を判別する。
【0044】
図5〜7は、対象者提示モジュール122によって提示される対象者の例を示す説明図である。
遠隔会議システム(発話者側)110内に遠隔会議システム(対象者側)120の状況取得モジュール123と同様のモジュールを有しており、遠隔会議システム(対象者側)120内に遠隔会議システム(発話者側)110の相手側状況提示モジュール112と同様のモジュールを有している場合について説明する。つまり、遠隔会議システム(対象者側)120のディスプレイに遠隔会議システム(発話者側)110側の参加者の状況を提示する。例えば、図5の例に示すように、相手側状況表示画面500に相手側画像表示領域510、参加者リスト表示領域520を提示することになる。なお、遠隔会議システム(発話者側)110側の参加者は、会議参加者511A、512A、513Aの3人である。
このような相手側状況表示画面500の表示に対して、対象者提示モジュール122は、対象者表示領域555のように遠隔会議システム(発話者側)110側で対象者と判別された者を提示する。つまり、対象者判別モジュール113によって判別された対象者を送受信モジュール119が送信し、これを送受信モジュール129が受信して対象者提示モジュール122が提示したものである。
【0045】
また、発話者提示モジュール121が、図6の例に示すように、参加者リスト表示領域620内の発話者の参加者顔画像表示領域613B、氏名欄613Cを他と異ならせて提示するようにしてもよい。例えば、発話者を示す表示を強調表示すること、発話者以外を示す表示をフェードアウトさせるように目立たせない表示にすること、又はその両方を行うこと等である。図6の例に示す場合は、発話者以外の参加者を参加者顔画像表示領域611B、参加者顔画像表示領域612Bのように点線表示(薄く表示等)を行い、逆に、発話者を氏名欄613Cのように強調表示している。そして、対象者提示モジュール122が、発話者(参加者顔画像表示領域613B、氏名欄613C)の下に対象者表示領域655を提示するようにしてもよい。
【0046】
また、発話者提示モジュール121が、図7の例に示すように、対象者を発話者が見ていることを示す発話者の疑似画像(例えば、似顔絵、顔写真、その変形等)の表示を行うようにしてもよい。例えば、発話者提示モジュール121は、遠隔会議システム(発話者側)110の発話者判別モジュール111が判別した発話者を受け取り、発話者の左側を向いた疑似画像を生成して、対象者提示モジュール122は、遠隔会議システム(発話者側)110の対象者判別モジュール113が判別した対象者を受け取り、その対象者の疑似画像を生成して、発話者の参加者顔画像表示領域712Bの左側に対象者顔画像表示領域777を表示するようにしてもよい。さらに、図6の例で示したように対象者以外の者を目立たせないように表示(参加者顔画像表示領域711B)するようにしてもよい。
さらに、発話者提示モジュール121は、遠隔会議システム(発話者側)110の発話者判別モジュール111が判別した発話者、対象者提示モジュール113が判別した対象者及びその対象者(実物)の位置を受け取り、遠隔会議システム(対象者側)120側にいる実物の対象者が座っている位置を向いた疑似画像を生成して提示するようにしてもよい。例えば、対象者が遠隔会議システム(対象者側)120のディスプレイに向かって右側又は左側のいずれかの席に座っている場合は、参加者リスト内の発話者の画像をその方向に向けた疑似画像に変更して提示するものである。なお、実物の対象者が座っている位置は、本人が有している前述のICカードの位置を検知して取得する。
【0047】
強調表示としては、対象者を示す表示を点滅させること、コントラスト/解像度等を増加させること、拡大すること等がある。
目立たないように表示することとしては、フェードアウト表示すること、コントラスト/解像度等を低下させること、点線表示すること、縮小すること等がある。
【0048】
その他に、参加者毎にランプを設置し、対象者提示モジュール122は、そのランプを点灯させて対象者を提示するようにしてもよい。また、参加者毎にスピーカを設置し、対象者提示モジュール122は、対象者のスピーカから発話者の発話を大きな音量で出力するようにしてもよい。
【0049】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図8に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。発話者判別モジュール111、相手側状況提示モジュール112、対象者判別モジュール113、対象者確認提示モジュール114、発話者提示モジュール121、対象者提示モジュール122、状況取得モジュール123等のプログラムを実行するCPU801(この例では演算部としてCPUを用いた)と、そのプログラムやデータを記憶するRAM802と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM803と、補助記憶装置であるHD804(例えばハードディスクを用いることができる)と、キーボード、マウス等のデータを入力する入力装置806と、CRTや液晶ディスプレイ等の出力装置805と、通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース807(例えばネットワークインタフェースカードを用いることができる)、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス808により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0050】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、図8に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図8に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図8に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0051】
前記実施の形態においては、会議に用いることを主に示したが、離れた場所にいる人同士のコミュニケーションを行うものであればよい。例えば、遠隔における講義(例えば、先生が学生に質問する場合等)に使用してもよい。
【0052】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】相手側状況提示モジュールによって提示される相手側の会議室の状況例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図4】対象者判別モジュールが画像処理によって対象者を検知する処理例を示す説明図である。
【図5】対象者提示モジュールによって提示される対象者の例を示す説明図である。
【図6】対象者提示モジュールによって提示される対象者の例を示す説明図である。
【図7】対象者提示モジュールによって提示される対象者の例を示す説明図である。
【図8】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
110…遠隔会議システム(発話者側)
111…発話者判別モジュール
112…相手側状況提示モジュール
113…対象者判別モジュール
114…対象者確認提示モジュール
119…送受信モジュール
120…遠隔会議システム(対象者側)
121…発話者提示モジュール
122…対象者提示モジュール
123…状況取得モジュール
129…送受信モジュール
190…通信回線
200…相手側状況表示画面
210…相手側画像表示領域
220…参加者リスト表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を提示する状況提示手段と、
発話者を判別する発話者判別手段と、
前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する対象者判別手段
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記対象者判別手段は、発話者の顔の向き又は発話者の視線を検知することによって、対象者を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象者判別手段によって判別された対象者を提示する対象者提示手段
を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信された参加者の状況を提示する状況提示手段と、
発話者を判別する発話者判別手段と、
前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する対象者判別手段と、
前記対象者判別手段によって判別された対象者を対象者側情報処理装置に送信する第1の送信手段
を備える発話者側情報処理装置と、
前記発話者側情報処理装置と通信回線を介して接続されており、前記発話者側情報処理装置に参加者の状況を送信する第2の送信手段と、
前記第1の送信手段によって送信された対象者を受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段によって受信された対象者を提示する対象者提示手段
を備える対象者側情報処理装置
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
前記発話者側情報処理装置の第1の送信手段は、さらに前記発話者判別手段によって判別された発話者を送信し、
前記対象者側情報処理装置の第2の受信手段は、さらに発話者を受信し、
前記対象者側情報処理装置は、
前記第2の受信手段によって受信された発話者を提示する発話者提示手段
をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
通信回線を介して接続されている場所にいる参加者の状況を提示する状況提示手段と、
発話者を判別する発話者判別手段と、
前記発話者判別手段によって判別された発話者の前記状況提示手段に対する行動を検知することによって、発話者が対象とする相手である前記場所にいる対象者を判別する対象者判別手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−206924(P2009−206924A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48049(P2008−48049)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】