説明

情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム

【課題】センサの配置位置に応じて各センサの検出結果を用いることにより、デバイスの入力操作性を向上させることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、装置表面側に設けられ、情報を表示する表示部と、装置背面側に設けられ、背面への操作入力を検出する第1の検出部と、装置表面側に、表示部への操作入力を検出する第2の検出部と、第1の検出部および第2の検出部の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させる操作入力情報判定部と、を備え、第1の検出部により操作入力が検出され、かつ第2の検出部により表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、操作入力情報判定部は、第1の検出部および第2の検出部により検出された操作入力に対応する機能を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関し、より詳細には、少なくとも表示面と反対側に操作体の接触を検出するセンサを備える情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等として普及しているGUI(Graphical User Interface)のコントローラとして、タッチパネルなどのセンサを用いた入力デバイスがある。
【0003】
従来の入力デバイスは、表示部が設けられた表面側のみ上記センサを設けた構成が主流であるが、このような入力デバイスにおいては表面から操作入力が行われるため、表示部に表示された情報を指で隠してしまい、操作性が悪化するという問題があった。近年の表示部の高解像度化によって、操作性はさらに悪化すると考えられる。また、表面からの入力操作は他人から見えやすく、例えば暗証番号のように機密性の高い情報を入力する際、入力する情報を隠すことが困難であった。さらに、近年のタッチ操作バリエーションの増加に伴い、入力操作時の動作(ジェスチャ)が競合して誤動作が生じやすくなり、操作性が悪化するという問題もあった。
【0004】
近年では、複数の指の接触を同時に検出できる、いわゆるマルチタッチを検出可能なタッチパネルも普及し始めている。また、デバイスに複数のセンサを備えることによって、操作性の向上を実現することも行われている(例えば、特許文献1、2)。このようなデバイスにおいて、センサの1つをデバイスの表示部と反対側の面(背面)に指の接触を検出するタッチパネルを備えることで、背面側で操作入力を行うことができるようになり、小型のデバイスであっても表示画面を指で隠すことがなくなる。また、複数のセンサを設けることで、従来のタッチパネルでは実現できなかったような直感的なインタラクションや、操作系の拡張を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−108061号公報
【特許文献2】特開2009−157908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、使用時にはユーザの目に入らず、意識し難い背面にセンサを配置した場合、表示面に表示された特定のボタンを触るような操作や文字入力等のように、絶対座標による操作が困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、センサの配置位置に応じて各センサの検出結果を用いることにより、デバイスの入力操作性を向上させることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、装置表面側に設けられ、情報を表示する表示部と、装置背面側に設けられ、背面への操作入力を検出する第1の検出部と、装置表面側に、表示部への操作入力を検出する第2の検出部と、第1の検出部および第2の検出部の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させる操作入力情報判定部と、を備え、第1の検出部により操作入力が検出され、かつ第2の検出部により表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、操作入力情報判定部は、第1の検出部および第2の検出部により検出された操作入力に対応する機能を実行する、情報処理装置が提供される。
【0009】
第1の検出部からの操作入力は、表示部に表示させないようにしてもよい。
【0010】
また、操作入力情報判定部は、第1の検出部による検出結果に応じて、第2の検出部の検出結果に応じて入力される情報を切り換えるようにしてもよい。
【0011】
あるいは、操作入力情報判定部は、第1の検出部により操作体の接触が検出されているとき、第2の検出部からの操作入力があっても表示部の表示領域の移動させないようにしてもよい。
【0012】
また、操作入力情報判定部は、第1の検出部により操作体の接触が検出されているとき、第2の検出部からの操作入力に応じて第1の機能を実行させ、第1の検出部により操作体の接触が検出されないとき、第2の検出部からの操作入力に応じて第2の機能を実行させるようにしてもよい。
【0013】
本発明の情報処理装置は、第1の検出部による操作入力に基づいて、認証処理を行う認証処理部と、認証情報を記憶する認証情報記憶部と、をさらに備えてもよい。認証処理部は、第1の検出部による検出結果に基づいて装置背面側から入力された入力情報を特定し、当該入力情報と認証情報とを比較して認証処理を行い、操作入力情報判定部は、認証処理部による認証結果に基づいて、第1の検出部および第2の検出部の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させてもよい。
【0014】
認証処理部は、第1の検出部より検出された操作入力の入力時間に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定してもよい。
【0015】
あるいは、認証処理部は、第1の検出部より最初に検出された位置を起点として、当該起点からの操作体の移動方向に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定してもよい。
【0016】
また、認証処理部は、第1の検出部より最初に検出された位置を起点として、当該起点からの操作体の移動軌跡の形状に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定してもよい。
【0017】
あるいは、認証処理部は、第1の検出部より最初に検出された位置を起点として、当該起点からの操作体の相対移動方向および相対移動距離に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報を表示する表示部が設けられた面と反対側である背面からの操作入力を検出するステップと、表示部が設けられた表面からの操作入力を検出するステップと、背面からの操作入力および前面からの操作入力の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させるステップと、を含み、背面からの操作入力が検出され、かつ前面からの操作入力により表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、背面からの操作入力および前面からの操作入力に対応する機能を実行する、情報処理方法が提供される。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、情報を表示する表示部が設けられた面と反対側である背面からの操作入力を検出する第1の検出部に背面からの操作入力を検出させるとともに、表示部が設けられた表面からの操作入力を検出する第2の検出部に表面からの操作入力を検出させる検出制御部と、背面からの操作入力および前面からの操作入力の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させる操作入力情報判定部と、を備え、背面からの操作入力が検出され、かつ前面からの操作入力により表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、背面からの操作入力および前面からの操作入力に対応する機能を実行する、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
プログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記情報処理装置として機能させることができる。また、プログラムが記録された、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどである。磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、センサの配置位置に応じて各センサの検出結果を用いることにより、デバイスの入力操作性を向上させることが可能な、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理端末の表示面側を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態に係る情報処理端末の背面側を示す概略斜視図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】背面にてタップや長押し入力が行われる様子を示す説明図である。
【図5】背面検出部でのタップや長押し入力の検出結果に基づく認証処理を示すフローチャートである。
【図6】背面にて図形入力が行われる様子を示す説明図である。
【図7】背面検出部での図形入力の検出結果に基づく認証処理を示すフローチャートである。
【図8】背面検出部での図形入力の検出結果に基づくアプリケーション実行処理を示すフローチャートである。
【図9】背面側で表示されたオブジェクトを固定し、表面側でオブジェクトを操作する操作入力を行う様子を示す説明図である。
【図10】図9の操作入力処理を示すフローチャートである。
【図11】背面側でオブジェクトの表示内容を切り換え、表面側でオブジェクトを操作する操作入力を行う様子を示す説明図である。
【図12】図11の操作入力処理を示すフローチャートである。
【図13】背面側の操作入力でオブジェクトを表示させ、表面側でオブジェクトを操作する操作入力を行う様子を示す説明図である。
【図14】図13の操作入力処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末の表示部に複数のオブジェクトが配列されている状態を示す説明図である。
【図16】表示部に表示されたオブジェクトを移動させる操作入力を説明する説明図である。
【図17】同一のオブジェクトへのタッチ操作例を説明する説明図である。
【図18】同一のオブジェクトへのタッチ操作の判定例を説明する説明図である。
【図19】図15〜図18に基づくオブジェクトの操作入力処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】オブジェクトを操作する指を逆方向に移動させる操作入力を説明する説明図である。
【図21】操作対象の移動量に対して、当該操作対象の操作に応じて移動されるオブジェクトの移動量を縮小あるいは拡大する操作入力処理を説明する説明図である。
【図22】表示されたコンテンツの表面および背面からの操作入力によるズームイン・ズームアウト機能を説明するための説明図である。
【図23】情報処理端末の一ハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.第1の実施形態>
[1−1.情報処理端末の外観例]
[1−2.機能構成]
[1−3.背面検出部の活用]
(1−3−1.パスワード入力時の利用)
(1)認証情報としてタップや長押し入力を用いる場合
(2)認証情報として図形入力を用いる場合
(1−3−2.表面検出部との組み合わせによる操作系の拡張)
(1)背面側で表示されたオブジェクトを固定し、表面側でオブジェクトを操作する操作入力
(2)背面側でオブジェクトの表示内容を切り換え、表面側でオブジェクトを操作する操作入力
(3)背面側の操作入力でオブジェクトを表示させ、表面側でオブジェクトを操作する操作入力
<2.第2の実施形態>
[2−1.情報処理端末の機能概要]
[2−2.表面検出部と背面検出部との検出結果の組み合わせによる操作入力処理]
(2−2−1.同時検出による機能実行)
(1)同時検出があった場合に所定の機能を実行させる処理の説明
(2)処理フロー
(3)変形例
(2−2−2.表示されたコンテンツの表面および背面からの操作入力によるズームイン・ズームアウト機能)
<3.ハードウェア構成例>
【0025】
<1.第1の実施形態>
[1−1.情報処理端末の外観例]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る情報処理端末100の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る情報処理端末100の表示面側を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る情報処理端末100の背面側を示す概略斜視図である。
【0026】
本実施形態に係る情報処理端末100には、図1に示すように筺体110の一面(表示面)に表示部120が設けられ、図2に示すように表示面と反対側の面(背面)に指等の操作体の接触を検出可能なタッチセンサ130が設けられている。表示部120は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いることができる。また、タッチセンサ130としては、静電容量式のタッチセンサを用いることができる。本実施形態に係る情報処理端末100は、少なくとも背面側に操作入力を検出するタッチセンサ130を備えていればよいが、表示面側にもタッチセンサを設けてもよい。以下の説明においては、本実施形態に係る情報処理端末100は、表面および背面にタッチセンサを備えるものとして説明する。
【0027】
[1−2.機能構成]
次に、図3に基づいて、本実施形態に係る情報処理端末100の機能構成を説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理端末100の機能構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る情報処理端末100は、図3に示すように、検出表示部140と、背面検出部143と、認証処理部144と、操作入力情報判定部145と、機能実行部146と、表示処理部147と、認証情報記憶部148と、設定記憶部149とを備える。
【0028】
検出表示部140は、情報処理端末100の一面に設けられ、図3に示すように、表面検出部141と、表示部142とからなる。検出表示部140が設けられる情報処理端末100の面を表面とする。表面検出部141は、情報処理端末100の表面への操作体の接触を検出するセンサである。表面検出部141の検出結果は、後述の操作入力情報判定部145へ出力される。表示部142は、情報を表示する出力装置であって、図1に示す表示部120に対応する。表示部142は、表示処理部147より入力された表示情報に基づき、情報を表示する。
【0029】
表面検出部141は、例えば、表示部142と積層して設けることができる。これにより、操作体を表示部142の表示面に接触させて動作させたとき、表示部142に表示されたオブジェクト等を操作体の動きに合わせて移動させる等、操作内容をわかりやすくユーザに提示することができる。また、ユーザは直感的に表示部142に表示されたオブジェクトを操作することができ、操作性を向上することもできる。
【0030】
背面検出部143は、情報処理端末100の背面に設けられ、背面への操作体の接触を検出するセンサである。背面検出部143の検出結果は、後述の認証処理部144および操作入力情報判定部145へ出力される。
【0031】
認証処理部144は、背面検出部143の検出結果に基づいて、情報処理端末100の認証処理を行う。認証処理部144は、背面検出部143の検出結果から特定された入力情報と、後述の認証情報記憶部148に記憶された認証情報とを比較し、これらが一致するか否かを判定する。認証処理部144は、入力情報と認証情報とが一致すると判定した場合に当該情報処理端末100を使用可能状態にする。一方、入力情報と認証情報とが一致しないと判定した場合には、認証処理部144は情報処理端末100を使用不可状態とする。
【0032】
操作入力情報判定部145は、表面検出部141および背面検出部143の各検出結果に基づいて、情報処理端末100へ入力された操作入力の内容を判定する。操作入力情報判定部145は、各検出部による操作体の接触の有無や操作体の動きから、どのような操作入力が入力されているかを判定する。そして、操作入力情報判定部145は、後述の設定記憶部149を参照して、判定された操作入力情報に関連付けられた機能を特定し、機能実行部146へ特定した機能を実行する指示を出力する。
【0033】
機能実行部146は、操作入力情報判定部145により特定された機能を実行する。例えば、機能実行部146は、所定の操作入力に関連付けられたアプリケーションを実行させたりする。この際、機能実行部146は、機能実行に必要な情報を設定記憶部149から取得することもできる。また、機能実行部146は、表示部142に表示されたオブジェクト等の表示形態の変更や表示内容の変更等を行う場合には、表示処理部147に対して表示情報の変更を指示する。
【0034】
表示処理部147は、表示部142に表示される表示情報を生成する処理を行う。表示処理部147は、機能実行部146の指示に基づいて、あるいは他の機能部(図示せず。)からの指示に基づいて、表示内容を表示部142に表示させるための形式に変換した表示情報を生成する。表示処理部147により生成された表示情報は表示部147に出力され、表示部142に表示情報に基づく表示内容が表示される。
【0035】
認証情報記憶部148は、認証処理部144による認証処理に用いる認証情報を記憶する。本実施形態においては、認証情報としてジェスチャを用いる。認証情報は、例えば各ユーザや各端末について固有の情報として設定され、認証する対象(ユーザや端末等)と関連付けて認証情報記憶部148に記憶させる。認証情報の設定は、ユーザが認証情報とするジェスチャを入力して認証する対象との関連付けを行ってもよく、予め設定されているジェスチャの内容を表す情報と認証する対象とをユーザが関連付けて行ってもよい。認証情報記憶部148に認証情報として記憶されているジェスチャは、ユーザが操作体を動かして入力した操作入力の内容とマッチングされる。
【0036】
設定記憶部149は、操作入力情報の判定や、操作入力情報に関連付けられた機能、機能を実行させるために必要な情報等を記憶する。これらの情報は、予め設定されていてもよく、ユーザが適宜設定してもよい。この他、情報処理端末100には、各処理を実行する際に一時的に必要な情報を記憶するメモリ(図示せず。)を備えることもできる。
【0037】
以上、本実施形態に係る情報処理端末100の機能の機能構成について説明した。
【0038】
[1−3.背面検出部の活用]
本実施形態に係る情報処理端末100は、背面への操作体の接触を検出する背面検出部143を備える。背面での操作は、上述したように、通常の表面での操作とは異なり、周囲の人から操作が見え難いという特徴がある。そこで、このような背面検出部143の特徴を活用し、本実施形態に係る情報処理端末100では、背面検出部143をパスワード入力のような機密性の高い情報を入力するために用いる。
【0039】
また、背面での操作は、通常の表面での操作とは別に入力を行うことが可能である。そこで、背面から特定の操作が検出された場合に、例えばアプリケーションにおいて予め登録されたショートカット機能を実行させるようにすることもできる。これにより、通常の表面での操作とコンフリクトすることなく操作を簡略化することできる。この際、背面での操作入力は当該操作入力を行っているユーザにも見えないが、本実施形態に係る情報処理端末100では、背面からの操作入力自体を簡単にすることによって、操作入力が見えなくとも操作性が低下しないようにする。また、背面から入力された情報は、表示部129には表示されないようにして、情報の機密性を保持する。
【0040】
以下、背面検出部143を用いた本実施形態に係る情報処理端末100における操作入力の例を説明していく。
【0041】
(1−3−1.パスワード入力時の利用)
まず、図4〜図7に基づいて、本実施形態に係る情報処理端末100の背面検出部143への操作入力に基づく認証処理について説明する。なお、図4は、背面にてタップや長押し入力が行われる様子を示す説明図である。図5は、背面検出部143でのタップや長押し入力の検出結果に基づく認証処理を示すフローチャートである。図6は、背面にて図形入力が行われる様子を示す説明図である。図7は、背面検出部143での図形入力の検出結果に基づく認証処理を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザ認証等に用いるパスワードは、機密性の高い情報であるため、パスワード入力操作を行っている手の動きや入力内容は周囲の人に見られないようにすべき情報である。本実施形態では、操作入力が周囲の人から見え難い背面側でパスワード入力を行い、背面側で行われた操作入力を背面検出部143で検出する。この際、背面での操作入力はユーザも見ることができないため、入力容易な情報をパスワードとして用いる。
【0043】
(1)認証情報としてタップや長押し入力を用いる場合
入力操作を見ることができなくても入力を容易に行うことができる情報として、例えば、タップや長押し等のように、背面への入力時間を変化させた操作入力情報がある。例えば、図4に示すように、ユーザが背面に対して指を接触させる時間を変化させて行った、タップを1回、長押し1回、タップ2回という動作を操作入力情報とすることができる。背面に指を接触させる時間を変化させることは、ユーザがその入力操作を見ていなくても容易に行うことができる。
【0044】
タップや長押し入力によりパスワード入力を行った場合の認証処理は、図5に示すようになる。すなわち、まず、表示部142にパスワード入力画面を表示させる(S100)。パスワード入力画面は、例えば情報処理端末100に設けられた所定のボタン(図示せず。)を押下したり、表面からパスワード入力画面を表示させる操作入力を行ったりするという所定の操作入力を行うことで表示させることができる。
【0045】
パスワード入力画面が表示されると、背面検出部143により背面への操作入力を検出する(S102)。すなわち、ユーザは、パスワード入力画面が表示されたのを確認して、背面からパスワードを入力することで、入力されたパスワードが背面検出部143により検出される。背面検出部143の検出結果は認証処理部144へ出力される。
【0046】
そして、認証処理部144は、背面検出部143の検出結果より、背面に指が接触されていた入力時間と所定の時間(閾値時間)とを比較する(S104)。閾値時間には、例えばタップ入力とみなすことのできる最大時間を設定することができる。ステップS104にて入力時間が閾値時間より短いと判定した場合、認証処理部144はタップ入力がされたとみなす(S106)。一方、ステップS104にて入力時間が閾値時間以上であると判定した場合、認証処理部144は長押し入力がされたとみなす(S108)。
【0047】
その後、認証処理部144は、認証情報記憶部148に記憶されている認証情報と背面検出部143の検出結果に基づく操作入力情報とを比較し、これらが一致したか否かを判定する(S110)。操作入力情報は、パスワード入力画面が表示されてから背面検出部143により検出された入力からなり、パスワード入力が終了したと判定されるまでに入力された一連の操作入力が1つの操作入力情報となる。なお、タップ入力や長押し入力といった、操作入力情報を構成する各々の動作を入力情報という。すなわち、操作入力情報は、1または複数の入力情報から構成されていることになる。
【0048】
認証処理部144は、操作入力情報と認証情報とが一致すると判定した場合、パスワードロックを解除し、情報処理端末100が使用可能となった際に最初に表示されるホーム画面を表示部142に表示させる(S112)。
【0049】
一方、操作入力情報と認証情報とが一致しないと判定した場合、認証処理部144は、操作入力情報を構成する入力情報の数が規定の入力数を超えていないか判定する(S114)。ステップS114にて、入力情報の数が規定の入力数を超えている場合には、入力数がオーバーしており、認証エラーが発生した旨を表示部142に表示して、ユーザに通知する(S116)。そして、認証処理部144は、これまで入力された入力情報からなる操作入力情報をリセットし、ステップS100からの処理を再度実行する。一方、ステップS114にて、入力情報の数が規定の入力数を超えていない場合には、まだパスワードを入力している途中と判断し、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0050】
以上、タップや長押し入力によりパスワード入力を行った場合の認証処理について説明した。タップや長押しといった背面に指を接触させる時間を変化させて操作入力情報を入力するようにすることで、ユーザは、周囲の人からパスワードの入力操作を見られることが少なくなり、パスワードの機密性を保持することができる。また、ユーザの入力操作も簡単であるため、入力操作を見ることができないことによって操作性が低下することもない。
【0051】
(2)認証情報として図形入力を用いる場合
認証情報の別の例として、背面にて指で描いた図形を認証情報とすることもできる。例えば、図6に示すように、ユーザが情報処理端末100の背面に接触させた指を動かし円を描いたとする。背面検出部143の検出結果より認識された指の軌跡が操作入力情報となる。このように、図形を描くことも、上述したタップや長押し入力と同様、入力操作を見ていなくても容易に行うことができる。
【0052】
図形入力によりパスワード入力を行った場合の認証処理は、図7に示すようになる。なお、図5に示した処理と同様の処理についての詳細な説明は省略する。まず、情報処理端末100に表示部142にパスワード入力画面を表示させる(S120)。パスワード入力画面が表示されると、背面検出部143により背面への操作入力を検出する(S122)。背面検出部143の検出結果は認証処理部144へ出力される。ステップS120およびS122の処理は、図5のステップS100およびS102と同様に行うことができる。
【0053】
そして、認証処理部144は、背面検出部143の検出結果より、背面で指が動いた軌跡と認証記憶部148に記憶されている図形とを比較し、最も近い図形を検索する(S124)。認証処理部144は、認証記憶部148に記憶されている図形と背面検出部143の検出結果より特定された指の軌跡である操作入力情報とを順に比較していく。
【0054】
例えば、認証処理部144は、操作入力情報が丸に近いか否かを判定し(S126)、丸に近いと判定したときには、図形「○」が入力されたとみなす(S128)。また、認証処理部144は、操作入力情報が三角に近いか否かを判定し(S130)、三角に近いと判定したときには、図形「△」が入力されたとみなす(S132)。さらに、認証処理部144は、操作入力情報が四角に近いか否かを判定し(S134)、四角に近いと判定したときには、図形「□」が入力されたとみなす(S136)。このように、認証処理部144は操作入力情報と認証記憶部148に記憶された認証情報である図形とを順に比較し、一致する図形を特定する。
【0055】
そして、認証処理部144は、操作入力情報と認証情報とが一致する図形があったか否かを判定する(S138)。ステップS138にて操作入力情報と認証情報とが一致する図形があったと判定した場合、認証処理部144は、パスワードロックを解除し、情報処理端末100が使用可能となった際に最初に表示されるホーム画面を表示部142に表示させる(S140)。
【0056】
一方、操作入力情報と認証情報とが一致する図形が存在しないと判定した場合、認証処理部144は、操作入力情報を構成する入力情報の数が規定の入力数を超えていないか判定する(S142)。本例での入力情報は、指が背面に接触した始点から指が背面から離隔した終点までの軌跡をいい、操作入力情報はこのような入力情報またはその組み合わせからなる。ステップS142にて、入力情報の数が規定の入力数を超えている場合には、入力数がオーバーしており、認証エラーが発生した旨を表示部142に表示して、ユーザに通知する(S144)。そして、認証処理部144は、これまで入力された入力情報からなる操作入力情報をリセットし、ステップS120からの処理を再度実行する。一方、ステップS142にて、入力情報の数が規定の入力数を超えていない場合には、まだパスワードを入力している途中と判断し、ステップS122からの処理を繰り返す。
【0057】
以上、図形入力によりパスワード入力を行った場合の認証処理について説明した。操作入力情報を背面から入力するようにすることで、ユーザは、周囲の人からパスワードの入力操作を見られることが少なくなり、パスワードの機密性を保持することができる。また、丸、三角、四角等のような簡単な図形をパスワードに用いることで、ユーザの入力操作も簡単となり、入力操作を見ることができないことによって操作性が低下することもない。
【0058】
なお、背面検出部143の検出結果を用いて行われる処理としては、上述したパスワード入力だけでなく、例えば、所定のアプリケーションを実行させるためのコマンド入力にも用いることができる。上記(2)の背面検出部での図形入力の検出結果に基づく認証処理を、アプリケーション実行処理に適用したときのフローチャートを図8に示す。図8において、図7と同様に処理が行われる箇所には図7と同一の符号を付している。
【0059】
図形入力によりアプリケーション実行のためのコマンド入力を行う場合の処理は、図8に示すように、まず、背面検出部143により背面への操作入力を検出する(S122)。背面検出部143の検出結果は操作入力情報判定部145へ出力される。操作入力情報判定部145は、背面検出部143の検出結果より、背面で指が動いた軌跡と設定記憶部149に記憶されている図形とを比較し、最も近い図形を検索する(S124)。
【0060】
すなわち、操作入力情報判定部145は、設定記憶部149に記憶されている図形と背面検出部143の検出結果より特定された指の軌跡である操作入力情報とを順に比較していく。例えば、操作入力情報判定部145は、ステップS126〜S136に示すように、操作入力情報を、図形「○」、「△」、「□」、といった設定記憶部149に記憶されている図形とを順に比較し、一致する図形を特定する。
【0061】
そして、操作入力情報判定部145は、操作入力情報と設定記憶部149に記憶された登録情報とが一致する図形があったか否かを判定する(S138)。ステップS138にて操作入力情報と登録情報とが一致する図形があったと判定した場合、操作入力情報判定部145は、当該登録情報と関連付けられた所定のアプリケーションを起動するように機能実行部146に指示する(S146)。登録情報は、アプリケーション以外にも、特定の機能と関連付けられていてもよく、操作入力情報判定部145により、登録情報と関連付けられた特定の機能を実行させるようにしてもよい。
【0062】
一方、操作入力情報と登録情報とが一致する図形が存在しないと判定した場合、操作入力情報判定部145は、これまで入力された入力情報からなる操作入力情報をリセットし、ステップS122からの処理を再度実行する。
【0063】
このように、図形入力によりアプリケーションを実行させるコマンド入力を行うこともできる。これにより、ユーザは簡単な入力操作でアプリケーションを実行することができ、端末の操作性を向上させることができる。
【0064】
(1−3−2.表面検出部との組み合わせによる操作系の拡張)
次に、本実施形態のように情報処理端末100の表面に表面検出部141を備えている場合、背面検出部143の検出結果と組み合わせることで、表面での操作のみが可能であった従来と比べて表面での操作ステップ数を軽減することが可能となる。また、表面検出部141が複数の操作体の接触を検出可能なマルチタッチに対応していない場合にも、表面検出部141と背面検出部143との検出結果を組み合わせることで、多様な操作入力が可能となる。
【0065】
以下、図9〜図14に基づいて、本実施形態に係る情報処理端末100における、表面検出部141と背面検出部143との検出結果の組み合わせによる操作入力方法について説明していく。なお、図9は、背面側で表示されたオブジェクトを固定し、表面側でオブジェクトを操作する操作入力を行う様子を示す説明図である。図10は、図9の操作入力処理を示すフローチャートである。図11は、背面側でオブジェクトの表示内容を切り換え、表面側でオブジェクトを操作する操作入力を行う様子を示す説明図である。図12は、図11の操作入力処理を示すフローチャートである。図13は、背面側の操作入力でオブジェクトを表示させ、表面側でオブジェクトを操作する操作入力を行う様子を示す説明図である。図14は、図13の操作入力処理を示すフローチャートである。
【0066】
(1)背面側で表示されたオブジェクトを固定し、表面側でオブジェクトを操作する操作入力
まず、図9および図10に基づいて、背面側で表示されたオブジェクトを固定し、表面側でオブジェクトを操作する操作入力について説明する。当該操作入力は、例えば、オブジェクトとしてコンテンツや写真の一覧、地図等が表示部142に表示されているとき、表示部142に表示されたオブジェクトをスクロールする操作と、オブジェクトに対する操作とを行う場合に有効である。具体的には、表面で指を所定の方向に移動させるドラッグ操作が行われたとき、背面検出部143によって背面からの操作入力があるか否かによって実行する機能を切り換えるようにすることで、簡単な操作入力で表面での操作に対して実行される機能を切り換えることができる。
【0067】
図9にはそれぞれコンテンツに関連付けられた複数のオブジェクト210からなるオブジェクト一覧が表示されている。オブジェクト一覧を構成するオブジェクト210の数が多く、すべてを表示面内に表示できていない場合には、表面からドラッグ操作を行うことでオブジェクト一覧をドラッグ操作の方向に応じてスクロールすることができる。また、オブジェクト一覧から所望のオブジェクト210を一度に選択するとき、選択するオブジェクト210を指で囲む操作でオブジェクト210の選択をすることもできる。これらの操作は、ユーザが入力操作を確認しながら行った方が操作し易いため表面から操作入力されるが、操作入力がコンフリクトし、表面からの入力しかできない従来は、これらの操作のいずれか一方しか実現できなかった。
【0068】
そこで本実施形態では、背面からの操作入力を検出できることを利用して、背面の任意の場所で指が接触しているか否かによってこれらの操作を切り換える。すなわち、図10に示すように、まず、操作入力情報判定部145は、表面検出部141からの入力を検出すると(S200)、背面に設けられたタッチセンサである背面検出部143によって背面への指の接触が検出されているか否かを判定する(S202)。
【0069】
ステップS202にて背面への指の接触が検出されている場合、操作入力情報判定部145は、表面検出部141の検出結果に基づき表示面での指F2の動き(ジェスチャ)を特定し、そのジェスチャに対応する機能を機能実行部146に実行させる(S204)。図9の例では、オブジェクト一覧から所望のオブジェクト210を選択する機能が実行される。一方、ステップS202にて背面への指の接触が検出されていないと判定した場合、操作入力情報判定部145は、表面検出部141の検出結果に基づき通常の機能を機能実行部146に実行させる(S206)。図9の例では、オブジェクト一覧のスクロールが実行されることになる。
【0070】
このように、背面検出部143の検出結果に応じて、表面検出部141の検出結果に基づき実行される機能を切り換えることができる。この操作は、背面に指を接触させることで表示部142に表示されたオブジェクト210が動かないように固定させるという、直感的な操作でもあり、ユーザにとって行いやすい操作である。
【0071】
かかる操作を表示面に表示された地図の操作に適用すると、例えば背面検出部143により背面への指の接触が検出されていない場合には、表面での指F2のドラッグ操作で地図をスクロールさせることができる。一方、背面検出部143により背面への指の接触が検出されている場合には、表面での指F2のドラッグ操作で地図の部分選択や拡大縮小等の他の機能を実行させることができる。
【0072】
また、背面への指の接触によって表示部142に表示されたオブジェクト210を固定できるという観点から、例えば筐体110の傾きでオブジェクト210の表示位置を移動できるUIについては、オブジェクト210を操作する際に背面に指を接触させるという操作を行うことで、筐体110が傾いても操作中にオブジェクト210が移動しないようにすることもできる。
【0073】
(2)背面側でオブジェクトの表示内容を切り換え、表面側でオブジェクトを操作する操作入力
次に、図11および図12に基づいて、背面側でオブジェクトの表示内容を切り換え、表面側でオブジェクトを操作する操作入力について説明する。当該入力は、例えば、モードによって異なる操作を入力可能なアプリケーションにおいて、背面からの入力検出がある場合にのみ一時的にモードを切り換える等の操作に有効である。具体的には、キーボードのシフトキーや入力文字を切り換えるキーの代替として、背面検出部143による検出結果を用いる。
【0074】
図12には、表示部142に、文字入力キーと入力文字切換キーとからなるソフトウェアキーボード220が表示されている例を示す。入力文字切換キーを押下する毎に、平仮名が入力される平仮名入力モードと片仮名が入力される片仮名入力モードとが切り換えられる。表面からの操作入力しか検出できなかった従来は、表面に操作入力を行う指F2で、文字入力キーと入力文字切換キーとを操作しなければならず、表面操作ステップ数が多かった。これに対して、本実施形態では、背面の任意の場所に指を接触させている間は入力文字を切り換えるようにして、入力文字切換キーの機能を実現する。これにより、表面操作ステップ数を軽減することができる。
【0075】
すなわち、図12に示すように、まず、操作入力情報判定部145は、表面検出部141からの入力を検出すると(S210)、背面に設けられたタッチセンサである背面検出部143の検出結果に基づき、背面から入力文字切換キー(図11の「カナ」ボタン)に指が接触しているか否かを判定する(S212)。
【0076】
ステップS212にて背面への指の接触が検出されている場合、操作入力情報判定部145は、文字入力キーによって片仮名を入力できる片仮名入力モードにする(S214)。図11に示すように、「カナ」ボタンに背面から指が接触しているとき(すなわち、接触点Pが「カナ」ボタンに対応する領域にあるとき)、文字入力キーによって片仮名を入力できる。一方、ステップS212にて背面への指の接触が検出されていないと判定した場合、操作入力情報判定部145は、文字入力キーによって平仮名を入力できる平仮名入力モードにする(S216)。図11の例において、背面の「カナ」ボタンに対応する領域から指が離隔されると、文字入力キーによって入力される文字を平仮名にすることができる。
【0077】
このように、背面検出部143の検出結果に応じて、表面検出部141の検出結果に基づき実行される機能を切り換えることができる。また、かかる操作では、表面操作ステップ数を軽減できるので、ユーザの操作負荷を軽減することができる。
【0078】
(3)背面側の操作入力でオブジェクトを表示させ、表面側でオブジェクトを操作する操作入力
次に、図13および図14に基づいて、背面側の操作入力でオブジェクトを表示させ、表面側でオブジェクトを操作する操作入力について説明する。当該入力は、例えば、通常表示部142には表示されないメニュー等を、背面の特定領域に指が接触しているときのみ表示部142に表示させる操作に適用することができる。背面の特定領域に指が接触されているときに表示されたメニューは、表面から操作することができる。
【0079】
一例として、背面の特定領域に指が接触されているときにメニュー230が表示部142に表示された例を図13に示す。メニュー230は、背面の特定領域に背面側にある指F1の接触点Pがある場合にのみ表示され、指F1が背面から離隔するとメニュー230は非表示となる。かかる操作入力処理は、図14に示すように、まず、操作入力情報判定部145は、表面検出部141からの入力を検出すると(S220)、背面に設けられたタッチセンサである背面検出部143の検出結果に基づき、指F1の接触点Pが背面のどの領域に存在するかを特定する。そして、操作入力情報判定部145は、接触点Pの存在する領域に応じたメニュー230を表示部142に表示させるように機能実行部146に指示する(S222)。
【0080】
ステップS222にて機能実行部146にメニュー230の表示が指示されると、表示処理部147は表示部142にメニュー230を表示させる。表示部142に表示されたメニュー230は、表面から、例えば指F2によって操作することができる。メニュー230が表示されると、操作入力情報判定部145は、背面検出部143により指F1の接触が検出されているか否かを判定する(S224)。背面検出部143による指F1の接触検出がある場合には、メニュー230は表示され続け、ユーザは表面からメニュー230を操作することができる(S226)。一方、背面検出部143による指F1の接触検出がなくなった場合には、操作入力情報判定部145は、メニュー230を非表示にするよう機能実行部146に指示する(S228)。
【0081】
このように、背面検出部143の検出結果に応じて、表示部142される情報を表示したり非表示にしたりすることができる。また、背面の特定領域に指が接触しているときのみ表示部142に所定のオブジェクト210を表示させることにより、表面操作ステップ数を軽減することができる。
【0082】
以上、本実施形態に係る情報処理端末100の構成とその機能について説明した。本実施形態によれば、背面への操作体の接触を検出可能な背面検出部143の特性を活かし、他人から見られたくない機密性の高い情報の入力を端末の背面側から行うようにすることで、情報の機密性を保持することができる。また、背面での操作は、通常の表面での操作とは別に入力を行うことが可能ことから、背面検出部143と表面検出部141との検出結果を組み合わせることにより、多様な操作を実現することもできる。また、背面検出部143の操作入力を簡単にすることによって、操作入力をユーザが見ることができなくても操作性が低下しないようにすることもできる。
【0083】
<2.第2の実施形態>
[2−1.情報処理端末の機能概要]
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末100の機能について、図15〜図22に基づき説明する。本実施形態に係る情報処理端末100は、第1の実施形態に係る情報処理端末100と同様に構成することができ、外観は、図1および図2に示すとおりである。本実施形態に係る情報処理端末100も、表面および背面にタッチセンサを備える。
【0084】
上述したように、表面からの操作入力は、直感的に行うことができるが、表示領域に操作入力を行う操作体が重なってしまい、表示領域に表示された情報の視認性が低下するという問題がある。また、従来のように表面からのみ操作入力可能な場合、オブジェクトの決定やドラッグ、スクロール、ズーム、回転等の多様な操作をコンフリクトなく実現することは困難である。
【0085】
一方で、背面からの操作は、ユーザの意図しない背面への接触によって誤動作が生じる危険性が高い。例えば、端末100を保持する指が背面に触れることで意図しない機能が実行されることが考えられる。また、背面での入力操作をユーザは見ることができないため、細かな操作を行うことは難しく、実現可能な機能が制限される。例えば、画面上に配列された複数のオブジェクトのうちの1つを、背面から操作入力して選択使用とした場合、所望のオブジェクトに指を接触させることは難しい。
【0086】
そこで、本実施形態に係る情報処理端末100では、表面検出部141と背面検出部143との双方の検出結果を組み合わせることにより、所望の操作を実現する。具体的には、表面検出部141と背面検出部143との双方において指の接触が検出されている場合にのみ、所定の機能を実行させるようにする。以下、本実施形態に係る情報処理端末100による操作入力処理について、説明していく。なお、本実施形態に係る情報処理端末100の機能構成は、図3に示した第1の実施形態に係る情報処理端末100の機能構成と同様であるとする。したがって、本実施形態では情報処理端末100の機能構成についての説明は省略する。
【0087】
[2−2.表面検出部と背面検出部との検出結果の組み合わせによる操作入力処理]
(2−2−1.同時検出による機能実行)
(1)同時検出があった場合に所定の機能を実行させる処理の説明
まず、図15〜図21に基づいて、本実施形態に係る情報処理端末100による操作入力処理について説明する。図15は、本実施形態に係る情報処理端末100の表示部142に複数のオブジェクト210が配列されている状態を示す説明図である。図16は、表示部142に表示されたオブジェクト210を移動させる操作入力を説明する説明図である。図17は、同一のオブジェクト210へのタッチ操作例を説明する説明図である。図18は、同一のオブジェクト210へのタッチ操作の判定例を説明する説明図である。図19は、図15〜図18に基づくオブジェクトの操作入力処理の一例を示すフローチャートである。図20は、オブジェクトを操作する指を逆方向に移動させる操作入力を説明する説明図である。図21は、操作対象の移動量に対して、当該操作対象の操作に応じて移動されるオブジェクトの移動量を縮小あるいは拡大する操作入力処理を説明する説明図である。
【0088】
本例では、表面検出部141と背面検出部143と入力検出が同時に行われた場合に所定の機能を実行可能とする操作入力処理が行われる。例えば、図15に示すように、複数のオブジェクト210が配列表示されているとき、表面からタップ操作を行うことにより、タップされたオブジェクト210の決定を行うことができるとする。また、これらのオブジェクト210は、例えば左右に並べられた複数ページにわたって配列されており、左右のドラッグ操作によってページ自体の移動を行うことができるとする。ここで、特定のオブジェクト210の配置を変更したい場合、ドラッグ操作はページ自体の移動機能に関連付けられているためコンフリクトが生じてしまい、そのままドラッグ操作を行うことでは特定のオブジェクト210の配置を変更することはできない。
【0089】
このような状況において、例えば配置を変更するオブジェクト210を長押しして当該オブジェクト210を移動可能状態にした後、ドラッグ操作によりオブジェクト210を移動させるといった操作入力が適用させることも考えられる。しかし、かかる操作入力は、オブジェクト210を移動可能状態とするために長押しと判定される時間の経過を待たなければならないという問題がある。そこで、本実施形態の情報処理端末100では、表面および背面にタッチセンサを備える構成を利用して、表面検出部141と背面検出部143とが同時に同一のオブジェクト210に対応する領域への指の接触を検出したとき、当該オブジェクト210を移動可能にする。
【0090】
例えば、図16に示すように、表示部142に3つのオブジェクト210a〜210cが表示されているとする。このとき、操作入力情報判定部145は、背面検出部143および表面検出部141の検出結果から、背面から指F1が、表面から指F2が、オブジェクト210cに対応する領域に同時に接触したと判定したとき、オブジェクト210cを表示領域内で移動可能にする。これにより、ユーザは、図16に示すように、表面および背面から指が接触されているオブジェクト210cを指でつまんで動かしているように操作することができ、直感的な操作を実現することができる。
【0091】
なお、背面検出部143および表面検出部141により、同時に同一のオブジェクト210に対応する領域に接触があったことが検出された場合に当該オブジェクト210の移動を可能にしたが、同時とは、厳密に同一時刻でなくてもよい。表面検出部141により接触が検出された時刻と背面検出部143により接触が検出された時刻との時間差が、同時と認識できる程度の所定の時間差である場合には、同時とみなすようにしてもよい。
【0092】
背面からのオブジェクト210へのタッチ操作は、背面からのみの操作で行うことは難しいが、表面の指に近い位置に指を接触させるという指の体性感覚をもとに、ユーザは背面の適切な位置を選択することができる。例えば、背面のみの単純なドラッグ操作によってオブジェクト210を移動させる操作系も実現可能であるが、この場合、ユーザから見えない背面からの操作によって、所望のオブジェクト210に指を接触させることは困難である。
【0093】
これに対して、本例の操作入力処理によって、背面からのオブジェクト210の選択のし易さを提供することができる。表面と背面からのタッチ操作入力は、まず、上述のように体性感覚を利用しておおよそ同時に両方の面からオブジェクト210に指を接触させる方法がある。
【0094】
また、表面と背面からのタッチ操作入力の他の例として、図17に示すように、まず背面に対して指F1を接触させる。このとき、操作入力情報判定部145は、指F1が背面に接触した際に、指F1の接触位置に対応させたカーソルPを表示部142に表示させる。そして、ユーザは、表示部142に表示されたカーソルPを基に、表面からオブジェクト210を選択する。これにより、表裏の両面から同一のオブジェクト210をはさむ操作を実現することができる。
【0095】
さらに、表面と背面からのタッチ操作入力の判定方法として、図18に示すように、背面のタッチ判定領域212を、表面のタッチ判定領域211よりも大きく設定するようにしてもよい。これにより、表面から所望のオブジェクト210に指F2が接触された場合に、背面から表面と同一のオブジェクト210を選択し易くするために、背面のタッチ判定領域212を表面側のタッチ判定領域211よりも大きく設定する。例えば、表面のタッチ判定領域211がオブジェクト210と同一サイズに設定されているとき、背面のタッチ判定領域212は、表面のタッチ判定領域211よりひとまわり程度大きく設定する。これにより、指F1の接触位置が目視できない背面からの操作の押し間違いの問題を軽減することが可能である。
【0096】
なお、上記のタッチ操作入力において、表面と背面から、同一のオブジェクト210を所定の時間間隔以内にタッチ操作した場合にのみ、ドラッグによるオブジェクト210の移動を可能にするようにしてもよい。これにより、意図しないオブジェクト操作(すなわち、誤操作)を軽減させることができる。
【0097】
(2)処理フロー
図19に、図15〜図18にて説明した処理に基づく処理の一例を示す。図19は、図15に示すようなオブジェクト210が複数配列された画面において、通常の表面からのドラッグ操作で画面全体の移動、表面からのタップ操作でオブジェクト210の選択、両面からのドラッグ操作において、オブジェクト単体の移動が実現されるような操作系の処理を示している。
【0098】
図19に示すように、まず、表示部142に表示されたオブジェクト210に対して、表件からタップ操作があったか否かを、操作入力情報判定部145は判定する(S300)。ステップS300にて表面からタップ操作があったと判定したとき、操作入力情報判定部145は、タップされたオブジェクト210を選択決定する(S302)。一方、ステップS300にて表面からタップ操作はないと判定したとき、操作入力情報判定部145は、オブジェクト210に対して表面からの指の接触があったか否かを判定する(S304)。オブジェクト210に対して表面からの指の接触がない場合、操作入力情報判定部145は、さらにオブジェクト210の背面のタッチ判定領域212に対して背面からの指の接触があったか否かを判定する(S306)。
【0099】
ステップS306にてオブジェクト210の背面のタッチ判定領域212に対して背面からの指の接触はないと判定した場合、操作入力情報判定部145は、ステップS300へ戻り、処理を繰り返す。一方、ステップS306にてオブジェクト210の背面のタッチ判定領域212に対して背面からの指の接触があったと判定した場合、操作入力情報判定部145は、背面への指の接触位置に対応したカーソルPを表示部142に表示する(S308)。そして、ステップS300へ戻り、処理を繰り返す。
【0100】
ステップS304の処理に戻り、オブジェクト210に対して表面からの指の接触があった場合、操作入力情報判定部145は、背面のタッチ判定領域212を拡大する(S310)。そして、操作入力情報判定部145は、オブジェクト210の背面のタッチ判定領域212に対して、背面から指の接触があったか否かを判定する(S312)。ステップS312にて背面から指の接触があったと判定したとき、操作入力情報判定部145は、ステップS308と同様、背面への指の接触位置に対応したカーソルPを表示部142に表示する(S314)。そして、操作入力情報判定部145は、オブジェクト210に対して表面および背面の両方からドラッグ操作が行われているか否かを判定し、このようなドラッグ操作が行われていない場合には、そのままステップS300の処理へ戻り、処理を繰り返す。
【0101】
一方、ステップS316にてオブジェクト210に対して表面および背面の両方からドラッグ操作が行われていると判定した場合、操作入力情報判定部145は、当該オブジェクト210をドラッグ方向に移動させる(S318)。
【0102】
ステップS312の処理に戻り、背面から指の接触はないと判定したとき、操作入力情報判定部145は、オブジェクト210に対して表面からのドラッグ操作があるか否かを判定する(S320)。オブジェクト210に対して表面からのドラッグ操作はないと判定したとき、操作入力情報判定部145は、そのままステップS300の処理へ戻り、処理を繰り返す。一方、ステップS320にてオブジェクト210に対して表面からのドラッグ操作があったと判定したとき、操作入力情報判定部145は、画面の表示領域をドラッグ方向に移動させる(S322)。
【0103】
このように、本実施形態に係る情報処理端末100は、背面検出部143と表面検出部141との検出結果とに基づき、オブジェクト単体の移動および表示領域全体の移動を実現することができる。
【0104】
(3)変形例
また、本例の操作入力処理においては、背面検出部143および表面検出部141により、同時に同一のオブジェクト210に対応する領域に接触があったことが検出された場合に当該オブジェクト210の移動を可能にしている。図15〜図18に示す例では、移動対象のオブジェクト210に接触している指F1およびF2を同一方向に移動させることで、オブジェクト210をつまんで動かすという直感的な操作を実現した。一方、例えば、操作対象のオブジェクト210に接触している指F1およびF2を逆方向に移動させてオブジェクト210を操作することも考えられる。
【0105】
例えば、図20に示すように、時計のオブジェクト250が表示されているとする。時計のオブジェクト250のねじ部252を操作することで、時計のオブジェクト250の針を回転させることができる。このときのねじ部252の操作を、表示部142に表示されたオブジェクト250のねじ部252に対して背面と表面とから指F1、F2を同時に接触させた後、指F1、F2を逆方向に移動させることにより行うようにする。
【0106】
これにより、上述の例と同様に誤動作の発生を低減することができ、また、表面からのみドラッグ操作が入力された場合には、当該ドラッグ操作によって時計のオブジェクト250を移動させるといった、通常のドラッグ操作を割り当てることもできる。さらに、操作対象であるねじ部252を背面と表面とから指F1、F2を同時に接触させることでねじ部252をつまみ、そして、指F1、F2を逆方向に移動させることでねじ部252を回転させるという直感的な操作を実現することができる。
【0107】
なお、図20において、操作対象であるねじ部252の回転に対する時計のオブジェクト250の針の操作量は、例えば歯車(図示せず。)の物理メタファによってねじ部252の回転方向が変換されて決定される。このように、本実施形態に係る情報処理端末100では、表面と背面からの同時操作による操作対象の回転において、操作対象の回転をねじや歯車等のメタファに基づいた動作軸の変換により、他のオブジェクトの移動を実現することができる。これにより、操作対象の移動量に対して、当該操作対象の操作に応じて移動されるオブジェクトの移動量を縮小あるいは拡大することもできる。
【0108】
例えば、図21に示すように、情報処理端末100で再生されているコンテンツの音量を、表示部142に表示された音量調節部260により操作する状況を説明する。コンテンツの音量は、音量調節部260のスライダ262を左右に移動させることで変化させることができる。このとき、スライダ262は、調節ローラ264によっても移動可能である。調節ローラ264の回転移動がスライダ262の直線移動に変換されるという物理メタファに基づき、調節ローラ264を回転させることでスライダ262が移動される。ここで、調節ローラ264の回転移動量に対してスライダ262の直線移動量を小さくすることで、スライダ262の位置を高精度に調整することができ、コンテンツの音量を細かく調節することができる。
【0109】
このように、直感的な操作を実現するとともに、操作量も直感的に理解できるようにすることもできる。このような操作入力処理は、例えばカメラのズームやピントの調整を行うためのオブジェクトにも適用することができる。また、操作対象のオブジェクトの表示サイズが小さく、指で実際に操作すると指で隠れてしまったりする場合等にも、操作対象のオブジェクトと関連するオブジェクトを操作して間接的に操作対象のオブジェクトを操作することによって、操作し易くすることもできる。
【0110】
(2−2−2.表示されたコンテンツの表面および背面からの操作入力によるズームイン・ズームアウト機能)
本実施形態に係る情報処理端末100では、例えば図22に示すように、写真閲覧のアプリケーションにおいて、表示されたコンテンツの表面および背面からの操作入力によってズームイン・ズームアウト機能を実現する操作系を提供することもできる。図22は、表示されたコンテンツの表面および背面からの操作入力によるズームイン・ズームアウト機能を説明するための説明図である。
【0111】
情報処理端末100の表示部142に、コンテンツが表示されている状態を考える。情報処理端末100の操作入力情報判定部145は、当該情報処理端末100の表面に指が接触していない状態で背面からタップ操作が行われたことを背面検出部143の検出結果より認識したときには、背面でのタップ操作に対応する機能は実行されない。これは、ユーザの意図しない背面への接触により、当該操作に対応する機能が実行されるのを防止するためである。
【0112】
一方、操作入力情報判定部145は、表示部142に表示されたコンテンツに対して表面および背面からの操作入力がともにある場合にのみ、表面検出部141による検出結果あるいは背面検出部143による検出結果に基づいて、対称的な機能(ここでは、ズームイン・ズームアウト機能)を実行させる。これにより、ユーザは実現される操作の意味を物理メタファに関連付けて直感的に理解することが可能となる。
【0113】
例えば、当該情報処理端末100の背面に指が接触した状態で表面からのタップ操作が表面検出部141の検出結果より認識された場合には、操作入力情報判定部145は、表示部142に表示されたコンテンツのズームインを実行させる。表面からのタップ操作では、そのタップ操作が行われた位置を中心としたズームイン(例えば、ズーム倍率を1倍から1.2倍に変更)が行われる。
【0114】
これに対して、当該情報処理端末100の表面に指が接触した状態で背面からのタップ操作が認識された場合には、操作入力情報判定部145は、表示部142に表示されたコンテンツのズームアウトを実行させる。背面からのタップに対しては、例えばズーム倍率を1.2倍から1倍に変更するといったズームアウトの操作が実現される。ズームアウト時に表示されるエリアは、元々表面からのタップ操作でズームインする以前に表示されていた領域となる。つまり、背面からのタップ操作は、表面からの操作と異なり、ズーム操作の位置を指定しないようにする。これは、背面から操作入力をする指がユーザから見えないため位置の指定がし難いという特性に基づく。
【0115】
なお、本例と同様に、表面からの特定位置に対する長押し操作で、その位置を中心としたズームインを機能させ、背面からの長押し操作で元の表示領域へのズームアウトを機能させる、といった操作も考えられる。
【0116】
以上、本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末100による操作入力処理について説明した。本実施形態によれば、表示部に表示されたオブジェクトに対して表面と背面の双方からの複合的な操作によって、所望する操作を直感的かつ効率的に実現することができる。
【0117】
具体的には、オブジェクトを表面と背面ちからつまむ操作を行うことによりオブジェクトをドラッグ操作可能とする操作系により、ページのドラッグなど、他の操作とのコンフリクトを回避し、かつ直感的なオブジェクト操作を実現できる。また、オブジェクトの表面と背面から、逆方向のドラッグ操作を加えることで回転操作を実現する操作系や、一方の面に触れた状態で他方の面へタップ操作することによるズームイン・ズームアウトを実現する操作系により、同様に、他の操作とのコンフリクトを回避し、かつ直感的なオブジェクト操作を実現できる。また、両面からの操作によりオブジェクトを選択することで、背面からはオブジェクトを高精度に選択することが困難であるという問題も解決できる。
【0118】
これらの操作は、オブジェクトをつまむ、回す、叩いた方向に移動させる、など、物理メタファに基づいた操作系であるために、ユーザが直感的に理解可能である。また、これらの全ての操作系において、表面と背面からの複合的な操作によってコマンドが実行される操作系を実現することにより、例えば背面へのユーザの意図しない接触等による誤操作の問題を回避することができ、ユーザは効率的に操作を実現することが可能となる。
【0119】
<3.ハードウェア構成例>
本実施形態に係る情報処理端末100による処理は、ハードウェアにより実行させることもでき、ソフトウェアによって実行させることもできる。この場合、情報処理端末100は、図23に示すように構成することもできる。以下、図23に基づいて、本実施形態に係る情報処理端末100の一ハードウェア構成例について説明する。
【0120】
本実施形態に係る情報処理端末100は、上述したように、コンピュータ等の処理装置により実現することができる。情報処理端末100は、図23に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104aとを備える。また、情報処理端末100は、ブリッジ104と、外部バス104bと、インタフェース105と、入力装置106と、出力装置107と、ストレージ装置(HDD)108と、ドライブ109と、接続ポート111と、通信装置113とを備える。
【0121】
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理端末100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104aにより相互に接続されている。
【0122】
ホストバス104aは、ブリッジ104を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス104bに接続されている。なお、必ずしもホストバス104a、ブリッジ104および外部バス104bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0123】
入力装置106は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。出力装置107は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置を含む。
【0124】
ストレージ装置108は、情報処理端末100の記憶部の一例であり、データ格納用の装置である。ストレージ装置108は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置108は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置108は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0125】
ドライブ109は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理端末100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ109は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0126】
接続ポート111は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置113は、例えば、通信網10に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置113は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0127】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0128】
100 情報処理端末
110 筺体
120 表示部
130 タッチセンサ
140 検出表示部
141 表面検出部
142 表示部
143 背面検出部
144 認証処理部
145 操作入力情報判定部
146 機能実行部
147 表示処理部
148 認証情報記憶部
149 設定記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置表面側に設けられ、情報を表示する表示部と、
装置背面側に設けられ、背面への操作入力を検出する第1の検出部と、
装置表面側に、前記表示部への操作入力を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部および前記第2の検出部の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させる操作入力情報判定部と、
を備え、
前記第1の検出部により操作入力が検出され、かつ前記第2の検出部により前記表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、前記操作入力情報判定部は、前記第1の検出部および前記第2の検出部により検出された操作入力に対応する機能を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の検出部からの操作入力は、前記表示部に表示させない、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作入力情報判定部は、前記第1の検出部による検出結果に応じて、前記第2の検出部の検出結果に応じて入力される情報を切り換える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作入力情報判定部は、前記第1の検出部により操作体の接触が検出されているとき、前記第2の検出部からの操作入力があっても前記表示部の表示領域の移動させない、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作入力情報判定部は、
前記第1の検出部により操作体の接触が検出されているとき、前記第2の検出部からの操作入力に応じて第1の機能を実行させ、
前記第1の検出部により操作体の接触が検出されないとき、前記第2の検出部からの操作入力に応じて第2の機能を実行させる、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の検出部による操作入力に基づいて、認証処理を行う認証処理部と、
認証情報を記憶する認証情報記憶部と、
をさらに備え、
前記認証処理部は、前記第1の検出部による検出結果に基づいて装置背面側から入力された入力情報を特定し、当該入力情報と前記認証情報とを比較して認証処理を行い、
前記操作入力情報判定部は、前記認証処理部による認証結果に基づいて、前記第1の検出部および前記第2の検出部の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記認証処理部は、前記第1の検出部より検出された操作入力の入力時間に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記認証処理部は、前記第1の検出部より最初に検出された位置を起点として、当該起点からの操作体の移動方向に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記認証処理部は、前記第1の検出部より最初に検出された位置を起点として、当該起点からの操作体の移動軌跡の形状に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記認証処理部は、前記第1の検出部より最初に検出された位置を起点として、当該起点からの操作体の相対移動方向および相対移動距離に基づいて、装置背面側から入力された入力情報を特定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報を表示する表示部が設けられた面と反対側である背面からの操作入力を検出するステップと、
前記表示部が設けられた表面からの操作入力を検出するステップと、
背面からの操作入力および前面からの操作入力の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させるステップと、
を含み、
背面からの操作入力が検出され、かつ前面からの操作入力により前記表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、背面からの操作入力および前面からの操作入力に対応する機能を実行する、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
情報を表示する表示部が設けられた面と反対側である背面からの操作入力を検出する第1の検出部に背面からの操作入力を検出させるとともに、前記表示部が設けられた表面からの操作入力を検出する第2の検出部に表面からの操作入力を検出させる検出制御部と、
背面からの操作入力および前面からの操作入力の検出結果に基づいて、操作入力に対応する機能を実行させる操作入力情報判定部と、
を備え、
背面からの操作入力が検出され、かつ前面からの操作入力により前記表示面に表示されたオブジェクトを操作する操作入力が検出されたとき、背面からの操作入力および前面からの操作入力に対応する機能を実行する、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−141868(P2012−141868A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−344(P2011−344)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】