説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法及び情報処理装置の制御プログラム

【課題】省電力状態における情報処理装置がシステム状態の問い合わせに対する応答を行う場合において、省電力効果を高めること。
【解決手段】ネットワーク制御装置が省エネモードにおいてクライアント端末からシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットを受信した場合に、問い合わせを送信したクライアント端末のIPアドレスに基づいてSub CPUがその問い合わせに対して応答することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及び情報処理装置の制御プログラムに関し、特に、情報処理装置の省電力状態におけるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置においては、通常の運転状態の他に省電力状態を設定することができるようになっているものがあり、消費電力を低減するために、通常の運転状態の他に画像処理装置が使用されていないときには、省電力状態に遷移するようになっている。省電力状態とは、画像処理装置の消費電力を低減するために、運転状態でないときに複合機の大半の部分を通電されていない状態とするもので、画像処理装置のシステム全体を制御するメインCPU(Central Processing Unit)の通電までも切断してしまう。
【0004】
このため、上述したような画像処理装置は、メインCPUの他にサブCPUを備え、省電力状態におけるネットワーク制御や、省電力状態から通常状態への移行に際してのメインCPUの復帰制御をこのサブCPUが行うように構成されている。尚、このサブCPUは通常、コストダウンや消費電力を低減させるために、メインCPUよりもメモリ容量が少ないものが使用されている。
【0005】
このような画像処理装置において、ネットワーク・パケットの処理を滞りなくサブCPUからメインCPUに移すことにより、省電力状態から通常状態への復帰時においてもネットワーク側からは通常動作中に見えるようにし、滞りなく各処理が行えるようにする技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、メモリ容量の小さなサブCPUでは、限られたネットワーク・パケットにしか応答することができないので、画像処理装置が省電力状態であってもサブCPUで応答できないネットワーク・パケットを頻繁に受信すると、メインCPUを頻繁に復帰させることになる。ここで、サブCPUで応答できないネットワーク・パケットの一つに、クライアントPCなどからネットワークを介して画像処理装置に送信されてくるシステム状態の問い合わせがある。このシステム状態の問い合わせに対する応答は、画像処理装置の状態変化の有無に関わらず、この問い合わせを受けた時点での状態を通知するものであり、前述のようにサブCPUで応答できないのでメインCPUが行う。
【0007】
従って、特許文献1に記載されているような画像処理装置は、省電力状態において頻繁に問い合わせを受けると、その都度メインCPUを復帰させ、通常状態に移行させることになるので、十分な省電力効果が得られないという問題があった。この問題を解決するために、つまり、メインCPUを復帰させないために、サブCPUが応答を行えるようにすることもできる。しかし、そのためにはサブCPUに全システム状態を記憶できるほどの容量のメモリが必要となり、省電力状態においてはサブCPUに制御を移管することによりメインCPUへの電源供給を停止しているそもそもの意義が失われてしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、省電力状態における情報処理装置がシステム状態の問い合わせに対する応答を行う場合において、省電力効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態において装置を制御する第二の制御部を有し、ネットワークを介して外部の情報処理端末とデータの送受信が可能な情報処理装置であって、前記第一の制御部は、前記通常状態において、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末を特定する送信元特定情報を記憶媒体に記憶させ、前記送信元特定情報を記憶した後に装置状態が変化した場合に、前記記憶させた前記送信元特定情報を記憶媒体から消去し、前記第二の制御部は、前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されている場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していないことを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様は、通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態において装置を制御する第二の制御部を有し、ネットワークを介して外部の情報処理端末とデータの送受信が可能な情報処理装置の制御プログラムであって、前記第一の制御部が、前記通常状態において、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末を特定する送信元特定情報を記憶媒体に記憶させるステップと、前記送信元特定情報を記憶した後に装置状態が変化した場合に、前記記憶させた前記送信元特定情報を記憶媒体から消去するステップと、前記第二の制御部が、前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されている場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していないことを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知するステップとを情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の更に他の態様は、通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態において装置を制御する第二の制御部を有し、ネットワークを介して外部の情報処理端末とデータの送受信が可能な情報処理装置の制御方法であって、前記第一の制御部が、前記通常状態において、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末を特定する送信元特定情報を記憶媒体に記憶させ、前記送信元特定情報を記憶した後に装置状態が変化した場合に、前記記憶させた前記送信元特定情報を記憶媒体から消去し、前記第二の制御部が、前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されている場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していないことを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明よれば、省電力状態における情報処理装置がシステム状態の問い合わせに対する応答を行う場合において、省電力効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置のmac_rxifの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置のrx_RAMのメモリマップを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム状態を表す情報の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置が通常モードである時に、Main CPUがシステム状態を問い合わせるネットワーク・パケットに応答する際の処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置のMain CPUがNVRAMからIPアドレスを消去する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置が省エネモードである時に、Sub CPUがシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットに応答する際の処理手順を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置が通常モードから省エネモードへ移行する時のMain CPU及びSub CPUの動作状態と処理タイミングを示す図である。
【図10】省エネモード移行猶予監視時間が経過する前に省エネモード移行を阻害する要因が発生したときのMain CPUとSub CPUの動作状態と処理のタイミングを示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置が省エネモードから通常モードへ移行する時のMain CPU及びSub CPUの動作状態と処理タイミングを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置が電源オフ状態から電源投入時のMain CPUとSub CPUの動作状態と処理タイミングとI/O端子の状態を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置における復帰要因パケットの検知前と検知後のパケット処理の状態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置のpacket type filterによってフィルタリングされるIPパケットの構造を示す図である。
【図15】図14のIPヘッダのフォーマットであるIPヘッダフォーマットの内部構造を示す図である。
【図16】図14のTCPヘッダのフォーマットであるTCPヘッダフォーマットの内部構造を示す図である。
【図17】TCPプロトコルの基本的な接続シーケンスを示す図である。
【図18】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、省エネモード移行要求があった場合、省エネモード復帰要求があった場合、及び、電源オフ要求があった場合の状態遷移を示す省エネ状態遷移図である。
【図19】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、省エネモードの移行取り消し処理を含む省エネモード移行要求、省エネモード復帰要求、及び、電源オフ要求等があった場合の遷移状態を示す省エネ状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、情報処理装置の例として、通常モードと省エネモードに設定可能な情報処理装置であって、ネットワークを介してPC等の外部機器から送信されてきたシステム状態の問い合わせ及びシステム状態変化有無問い合わせに対する応答を行う画像形成装置を例として説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、画像形成装置1、クライアント端末2〜5がネットワーク6に接続されて構成されている。尚、ネットワーク6に接続されている画像形成装置1、及びクライアント端末2〜5の数は一例であり、これらがもっと多く接続された大規模なシステムでも、もっと少ない端末からなる小規模なシステムも同様である。本実施形態においては、クライアント端末2〜5のいずれかから画像形成装置1に印刷指示を送って印刷させることが可能である。また、本実施形態においては、ネットワーク6はイーサネット(登録商標)が使用されている。
【0016】
画像形成装置1は、例えば電子写真方式やインクジェット方式の公知構造の画像形成手段を備えているものであり、このような形式の画像形成装置やプリンタ自体は公知なので、ここでは機械的構成や電気的構成の詳細は省略する。
【0017】
画像形成装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。本実施形態において、画像形成装置1は、クライアント端末2から受信した印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行する。また、本実施形態に係る画像形成装置1は通常モード及び省エネモードという給電状態の異なる複数のモードを有する。通常モードとは、画像形成装置1が待機している状態であり、すぐに装置動作の命令を実行することができる状態である。省エネモードとは、通常モードよりも消費電力が低い状態であり、画像形成装置1全体の制御を司る主制御部をはじめ、装置各部に電力が供給されていない状態である。
【0018】
クライアント端末2〜5は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現され、画像形成装置1に対して、ネットワーク6を介してシステム状態の問い合わせを行う。尚、クライアント端末2乃至5は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などによって実現されても良い。
【0019】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の制御部のハードウェア構成について図2を参照して説明する。図2に示すように、制御システムは、コントローラ100とインタフェースASIC200が、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス300により接続されて構成されている。また、コントローラ100とインタフェースASIC200は、それぞれ電源供給線311、312によりPSU(Power Suplly Unit:電源回路)310と接続され、電源供給線311、312から電源供給を受けることができる。
【0020】
コントローラ100は、Main CPU101、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)102、メモリ103、HDD(Hard Disk Drive)104、及び、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)105から構成されている。Main CPU101、メモリ103、HDD104、及び、NVRAM105は、それぞれASIC102に接続され、ASIC102はPCIバス300に接続されている。
【0021】
Main CPU101は演算装置であり、メモリ103にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、画像形成装置1全体を制御する。ASIC102はメモリ103、HDD104及びNVRAM105へのデータの入出力の制御を行う。また、Main CPU101は、クライアント端末2〜5のいずれかからのシステム状態を問い合わせるネットワーク・パケットに対する返信を行うと、返信先のクライアント端末のIPアドレスをNVRAM105に記憶させる。
【0022】
そして、画像形成動作などにより画像形成装置1のシステム状態に変化が起こった場合には、Main CPU101は上記のIPアドレスをNVRAM105から消去する。尚、本実施形態においては、返信先のクライアント端末を特定するための情報としてIPアドレスを使用しているが、これに限られるものではなく、MAC(Media Access Control address)アドレス等、ネットワーク上で夫々の装置を一意に識別可能な情報であれば良い。
【0023】
メモリ103は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、Main CPU101が演算を行う際の作業領域として用いられる。また、メモリ103は、ネットワーク6を介して送られてくる画像データを記憶する。HDD104は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。NVRAM105は、画像形成装置1の機械的または電気的な特性値(パラメータ)やシステムの状態を記憶する不揮発性メモリである。
【0024】
PSU310は電源スイッチ313を介して商用電源315に接続されている。電源スイッチ313がオンになると、PSU310は、まず電源供給線312からインタフェースASIC200に電源を供給する。続いて、PSU310は、Power ctl251から電源制御線250を介して出力される指令によって、コントローラ100への電源供給を行う。画像形成装置1が通常モードから省エネモードに移行する場合は、PSU310はPower ctl251から電源制御線250を介して出力される指令により、電源供給線311からの電源供給をオフにする。
【0025】
また、PCIバス300とインタフェースASIC200は、PCI260のI/O端子261を介して接続されている。PCI260は、アービタ270とsystem I/F271に接続されている。ネットワーク6には、イーサネット(登録商標)物理層(Ethernet(登録商標) PHY)231とMAC IP(Media Access Control Internet Protocol)232とが直列に接続されている。
【0026】
MAC IP232にはtx buffer232tとrx buffer232rが設けられ、前者にはmac_txif233が、後者にはMAC_rxif235が、それぞれ接続され、また、バス289を介して、DMAC_tx234及びDMAC_rx237が接続されている。さらに、DMAC_tx234及びDMAC_rx237は、アービタ270に接続されている。なお、233a、235aはそれぞれバス切り替え回路であり、mac_config225はMAC IP232、mac_txif233、及びmac_rxif235の設定を行う。
【0027】
mac_rxif235には、rx_RAM236とWake On LAN238が接続されている。このWake On LAN238はPower Manegement241に接続され、またバス289を介してINTコントローラ239に接続されている。Power Manegement241には外部要因入力部240とWake On LAN238からの要因が入力され、Power ctl251に制御信号が出力される。Wake On LAN238にはパターンフィルタが設けられている。後述するように画像形成装置1が省エネモードにある場合、ネットワーク6を介して送られてきたパケットに特定のパターンが含まれていると、含まれるパターンに応じて、Power Manegement241はPower ctl251に対して、Main CPU101の電源をオンにするように指示する。また、Power Manegement241はバス289に接続されている。
【0028】
Power ctl251、Sub CPU280、ROM281、RAM282、ramI/F285及びmasterI/F287はバス290に接続されている。RAM286はバス290及びバス291にramI/F285を介して接続されている。また、master I/F287はアービタ270にも接続され、アービタ270はmaster I/F287からの信号に応じてDMAC_tx234、DMAC_rx237の接続状態を調停する。更に、バス289、290、291はバス・アービタ283に接続され、バス・アービタ283によってバス289、290、291の使用の調停が図られる。尚、バス291にはシステムレジスタ(sysreg)284が接続され、バス290には拡張用I/F288が接続されている。
【0029】
本実施形態に係るsysreg284は、インタフェースASIC200のバージョン情報を記憶している。これにより、バージョンアップやこのASIC200にバグが発見されたときの識別に利用される。本実施形態に係るSub CPU280は、省エネモードの際にMain CPU101の電源をオン/オフ制御し、また、省エネモード時にMain CPU101を使用しなくても処理できる場合にはその処理を実行する。反対に、Main CPU101が動作する通常モード時にはSub CPU280は省エネ状態(低消費電力状態)に設定される。さらに、Sub CPU280は、画像形成装置1が通常モードから省エネモードに移行する際に、NVRAM105に記憶されているIPアドレスをMain CPU101から通知され、そのIPアドレスをRAM282に記憶させる。
【0030】
図3は図2に示す本実施形態に係る画像形成装置1のmac_rxif235の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、mac_rxif235は、MAC IP232とのインタフェースとして機能するmac_rxI/F235−1、Wake On LAN238とのインタフェースとして機能するWOL I/F235−2、packet type filter235−3、rx buffer232rとのインタフェースとして機能するrx buffer I/F235−4、packet entry gen.235−5、packet entry(reg)235−6、mask reg235−7、int reg235−8、CPU I/F235−9、SEL235−10、及び、DMAC I/F235−11から構成されている。
【0031】
このような構成とすることにより、MAC IP232から入力されたネットワーク6からの伝送データは、まず、WOL I/F235−2、packet type filter235−3及びrx buffer I/F235−4に入力される。そして、入力された夫々の伝送データは、WOL I/F235−2からWake On LAN238に、packet type filter235−3からint reg235−8及びpacket entry gen.235−5に、rx buffer I/F235−4からrx_RAM236に入力されるようになっている。また、rx_RAM236に入力された伝送データは、Sub CPU280からの指示によってSEL235−10が動作し、DMAC I/F235−11又はCPU I/F235−9に入力される。
【0032】
packet type filter235−3は、省エネモードにおいて、予め設定された情報が書き込まれたパケットのみを選択するものであり、packet entry gen.235−5に対して選択すべきパケットか否かを通知する。packet entry(reg)235−6がその通知に基づいてrx buffer I/F235−4に対してrx_RAM236に記憶させる情報を指示することにより、packet type filter235−3によって選択された情報のみがrx_RAM236に格納されることになる。ここで格納された情報は、後述するようにSub CPU280によって処理される。
【0033】
図4は図2に示す本実施形態に係る画像形成装置1のrx_RAM236のメモリマップを示す図である。図4に示すように、rx_RAM236はType236−1、LENGTH236−2、Packet236−3及びStatus236−4から構成されている。Type236−1には、パケットフィルタの番号が格納され、その番号はpacket type filter235−3かWakeOn LANに設けられたパターンフィルタのどちらのフィルタで受信したかを示す。LENGTH236−2は、受信パケット長を示し、Packet236−3には、受信したパケットの内容(図4では、Packet1の内容)が格納される。また、Status236−4には、受信パケット情報、すなわち、MAC IP232からのパケット情報が格納される。
【0034】
図3に示すpacket entry(reg)235−6は、rx_RAM236のどこにどのようなパケットが書き込まれているかを登録するアドレス管理の機能を有し、rx_RAM236の受信パケットNの先頭アドレスが格納される。画像形成装置1が通常モードにあるときにはpacket type filter235−3は機能しないので、全ての情報が一旦rx_RAM236に格納され、DMAC I/F235−11からDMAC_rx237を介してコントローラ100側に送られる。コントローラ100側に送られた情報はMain CPU101で処理される。尚、通常モードから省エネモードに移行する際には、図2に示すレジスタ(int reg235−8、msk reg235−7)は割り込み信号をINTコントローラ239に出力し、Main CPU101に対して所定の割り込みを行う。
【0035】
このように構成された制御部を持つ画像形成装置1の通常モードにおける印刷手順について説明する。ネットワーク6を介してクライアント端末2〜5のいずれかから印刷データが画像形成装置1に対して送信されたら、Main CPU101がその印刷データを受け取り、ASIC102がメモリ103に印刷データを書き込む。そして、ASIC102が図示しないプリントエンジン側に印刷データを送って印刷が行われる。
【0036】
クライアント端末から送信された印刷データは、ネットワーク6からイーサネット(登録商標)物理層231、MAC IP232のrx buffer232r、mac_rxif235、DMAC_rx237、アービタ270、PCI260、PCIバス300、ASIC102を経てメモリ103に入力され、メモリ103に書き込まれる。尚、通常モードではpacket type filter235−3は機能しないので、mac_rxif235に入力されたデータはrx_RAM236に一旦格納された後、格納された順に吐き出され、mac_rxif235からDMAC_rx237側に出力される。
【0037】
このとき、Sub CPU280は低消費電力モードに設定され、Sub CPU280は最小限の消費電力で済むような状態になっている。つまり、本実施形態では、通常モードにおいて、Sub CPU280は電源がオフにされるのではなく、クロックを停止状態(DOZE状態)にしてSub CPU280の動作が行われないようにしている。従って、このとき、CPUは通電されているが、クロックは停止しているので、実質的には電力を消費していない状態となっている。但し、このような状態においても漏れ電力等があるので、消費電力はゼロではないが、電力消費は最小限の状態にある。
【0038】
次に、通常モードにおいて、画像形成装置1のメモリ103又はHDD104に格納されているデータを外部機器に送信する手順について説明する。メモリ103又はHDD104に格納されているデータは、ASIC102、PCIバス300、PCI260、アービタ270、DMAC_tx234、mac_txif233、MAC IP232のtxバッファ232t、Ethernet(登録商標)PHY231を経てネットワーク6に送出される。
【0039】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置1の省エネモードについて説明する。省エネモードではコントローラ100への電力供給は行われない。すなわち、省エネモードでは、コントローラ100に電力を供給するPSU310からの通電は行われない。このコントローラ100への通電のオン/オフの制御は、電源制御線250を介してPower ctl251によって行われる。Power ctl251はPower Manegement241からの指示、あるいはSub CPU280からの指示によりコントローラ100への通電のオン/オフを制御する。また、省エネモードへの遷移は、通常モードにおいて、装置動作終了後に所定時間外部から画像形成装置1にデータが入力されない場合、あるいは、Sub CPU280、Power Manegement241や、ネットワーク6に接続されたクライアント端末2〜5のいずれかから指示された場合に実行される。
【0040】
上述したように、省エネモードではコントローラ100に電力供給が行われないので、Main CPU101は動作せず、メモリ103、HDD104及びNVRAM105も使用することができない状態となっている。尚、この状態でも、ネットワーク6、外部要因入力部240及び電力制御線250に関係する各部には通電されている。このように省エネモードにおいてはコントローラ100への電源供給は絶たれるので、ネットワーク6との通信など、省エネモード時に必要な制御をSub CPU280が行う。
【0041】
このような省エネモードにおいて、ネットワーク6を介して画像形成装置1にデータが入力された場合、Sub CPU280がそのデータを処理できるものであれば、画像形成装置1はそのまま省エネモードを継続する。一方、Sub CPU280が処理できないデータがネットワーク6を介して画像形成装置1に入力された場合には、Sub CPU280はコントローラ100への通電を開始するようにPower ctl251に指示を出し、画像形成装置1は省エネモードから通常モードへ移行する。
【0042】
Sub CPU280が処理できないデータとは、例えば、印刷データのようなネットワーク・パケットが大きいデータである。また、他には、システム状態問い合わせとしてNVRAM105に格納されている画像形成装置1のシステムエラー履歴情報の応答などがある。これは、省エネモード時にはNVRAM105は通電されておらずアクセスすることができないためである。
【0043】
省エネモードでは、ネットワーク6から画像形成装置1に入力されるパケットは、mac_rxif235のpacket type filter235−3でフィルタをかけられ、入力されるパケットの内、予め設定された情報が書き込まれたパケットがフィルタ235−3で選択される。そして、選択されたパケットは、rx buffer I/F235−4からrx_RAM236に入力され格納される。一方、予め設定された情報が書き込まれていないパケットは、rx buffer I/F235−4からrx_RAM236に入力されたら、後に入力されてくるパケットにより上書きされ、格納されることはない。尚、本実施形態においては、Main CPU101が第一の制御部として、Sub CPU280が第二の制御部として、RAM282が通知情報記憶部として機能する。
【0044】
このように構成された制御部を持つ画像形成装置1において、本発明に係る要旨の一つは、画像形成装置1が省エネモードにおいてクライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットを受信した場合に、通常モードに移行することなく、Sub CPU280がその問い合わせに対して応答することにある。
【0045】
そのために本実施形態では、画像形成装置1の通常モードにおいてクライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態問い合わせが送信されてきたら、Main CPU101はその問い合わせに対してそのときのシステム状態を問い合わせ元に返信し、その返信先のIPアドレスをNVRAM105に記憶しておく。そして、その後に画像形成装置1のシステム状態が変化したら、Main CPU101は過去のシステム状態を返信した先のIPアドレスをNVRAM105から消去する。つまり、NVRAM105には常に最新のシステム状態を返信した先のIPアドレスが記憶されていることになる。ここで、画像形成装置1が通常モードから省エネモードに移行する際、Main CPU101はNVRAM105に記憶されているIPアドレスをSub CPU280に通知し、Sub CPU280は通知されたIPアドレスをRAM282に記憶させる。
【0046】
このような省エネモードにおいて画像形成装置1がクライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態変化有無の問い合わせを受けた場合、Sub CPU280はその問い合わせ元のIPアドレスがRAM282に記憶されているか否かを判定する。そして、RAM282に記憶されていればSub CPU280はシステム状態変化無とし、記憶されていなければシステム状態変化有と応答する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、省エネモードにおいて、システム状態変化有無の問い合わせに対して応答することができる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1は、頻繁にシステム状態変化有無の問い合わせが送信されてきてもその都度省エネモードから通常モードに移行する必要がないので、省エネ効果を高めることができる。以下、詳細に説明する。
【0047】
図5は本実施形態に係る画像形成装置1のシステム状態を表す情報の例を示す図である。図5に示すように、画像形成装置1のシステム状態を表す情報には、転写紙の使用情報、トナーの使用情報、画像形成動作の有無情報などがある。これらの情報が変化することにより、Main CPU101は画像形成装置1のシステム状態が変化したことを認識することができる。システム状態を表すこれらの情報は、NVRAM105に記憶されている。尚、画像形成装置1のシステム状態を表す情報はこれらに限られてものではなく、適宜設定変更することができる。
【0048】
即ち、これらの情報がシステム状態の問い合わせ元に返信される情報である。このとき返信した先のIPアドレスはNVRAM105に記憶される。また、Main CPU101は、画像形成装置1のシステム状態が変化、つまり、これらの情報のうち一つでも変化した場合には、過去のシステム状態を返信した先のIPアドレスをNVRAM105から消去する。
【0049】
次に、Main CPU101が上述したIPアドレスをNVRAM105に記憶させる動作について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置1が通常モードである時に、Main CPU101がシステム状態を問い合わせるネットワーク・パケットに応答する際の処理手順を説明するフローチャートである。
【0050】
図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1はクライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態を問い合わせるネットワーク・パケットをネットワーク6を介して受信したら(S601)、まず、Main CPU101は、受信したパケットがシステム状態問い合わせのパケットか否か判定する(S602)。システム状態問い合わせパケットであれば(S602/YES)、Main CPU101は、NVRAM105に記憶されている画像形成装置1のシステム状態を読み出して返信する(S603)。
【0051】
そして、Main CPU101は、返信先のIPアドレスがNVRAM105に記憶されているか否かを判定し(S604)、記憶されていなければ(S604/NO)返信先のIPアドレスをNVRAM105に記憶させ(S605)、記憶されていれば(S604/YES)IPアドレスの記憶は行われずそのまま処理を終了する。一方、受信したパケットがシステム状態問い合わせパケットでなければ(S602/NO)そのまま処理を終了する。
【0052】
このような制御により、画像形成装置1はシステム状態を返信した先のIPアドレスを記憶してシステム状態の問い合わせ元を特定することができる。また、NVRAM105にIPアドレスを記憶することにより、省エネモードにおいてコントローラ100への電源供給がない場合であっても画像形成装置1はIPアドレスを保持することができる。
【0053】
次に、Main CPU101がNVRAM105からIPアドレスを消去する動作について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置1のMain CPU101がNVRAM105からIPアドレスを消去する際の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、まず、Main CPU101は画像形成装置1のシステム状態変化の有無を判定する(S701)。
【0054】
Main CPU101は、画像形成装置1のシステム状態が変化したことを認識したら(S701/YES)、NVRAM105に記憶されているIPアドレスを消去する(S702)。このとき、Main CPU101は図5に示す情報が変化したことにより画像形成装置1のシステム状態が変化したことを認識することができる。一方、画像形成装置1のシステム状態に変化がなければ(S701/NO)IPアドレスの消去は行わずそのまま処理を終了する。このような制御により、画像形成装置1のシステム状態が変化すると過去のシステム状態を返信した先のIPアドレスがNVRAM105から消去されるので、NVRAM105には常に最新のシステム状態を返信した先のIPアドレスが記憶されていることになる。
【0055】
次に、画像形成装置1が省エネモードにある時に、Sub CPU280がシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットに応答する動作を図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る画像形成装置1が省エネモードである時に、Sub CPU280がシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットに応答する際の処理手順を説明するフローチャートである。図8に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、クライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットを受信したら(S801)、まず、Sub CPU280は、受信したパケットがシステム状態変化有無の問い合わせパケットか否か判定する(S802)。
【0056】
システム状態変化有無の問い合わせパケットであれば(S802/YES)、Sub CPU280は、上記パケットの送信元であるクライアント端末のIPアドレスがRAM282に記憶されているか否か確認する(S803)。送信元のIPアドレスがRAM282に記憶されていれば(S803/YES)、Sub CPU280はシステム状態変化無を上記パケットの送信元のクライアント端末に返信する(S804)。
【0057】
送信元のIPアドレスがRAM282に記憶されていなければ(S803/NO)、Sub CPU280は状態変化有を上記パケットの送信元のクライアント端末に返信する(S805)。一方、システム状態変化の有無を問い合わせるパケットでなければ(S802/NO)そのまま処理を終了する。このような制御により、メモリ容量が少ないSub CPU280でもシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットに応答することが可能となり、通常モードに復帰することなく省エネモードを継続することができる。
【0058】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1が通常モードから省エネモードへ移行するときのMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理タイミングについて図9を参照して説明する。図9は本実施形態に係る画像形成装置1が通常モードから省エネモードへ移行するときのMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理タイミングを示す図である。図9に示すように、通常モードにおいてまず、Main CPU101はpacket type filter235−3をEnableにし(S901)、次いで、Wake On LAN238に設けられているパターンフィルタをEnableにする(S902)。
【0059】
そして、INTコントローラ239から割り込みが発生し、発生した割り込みに基づいてMain CPU101は省エネモード移行要求をSub CPU280に出力する(S903)。省エネモード移行要求は、最後に行ったジョブ終了時から予め設定された時間が経過したとき、クライアント端末2〜5のいずれかから省エネモード移行指示があったとき、あるいは、画像形成装置1の操作パネルから情報が入力されたときに、INTコントローラ239から発生した割り込みに基づいてMain CPU101からSub CPU280に出力される。ここで挙げた条件は省エネ移行の要因としてWake On LAN238に設けられているパターンフィルタによって確認される。なお、図9を含む以下の説明においてINTは割り込みを示す。
【0060】
このようにして省エネモード移行要求がSub CPU280に出力されると、Sub CPU280はWake On LAN238に設けられているパターンフィルタによって省エネモード移行の要因を確認する。Sub CPU280は省エネモードの移行の要因を確認すると、省エネモード移行処理を開始する(S904)。Sub CPU280は省エネモード移行処理を開始してDOZE状態を解除すると、まずMain CPU101に対してアクセスし、設定情報をMain CPU101に対して確認する(S905)。
【0061】
ここで、設定情報とは、ネットワーク6に関する情報や画像形成装置1における用紙の情報、NVRAM105に記憶されているシステム状態を返信した先のIPアドレスなどである。Main CPU101側で保持している設定情報をSub CPU280側にコピーすることにより、省エネモードでMain CPU101がオフの状態であっても、Sub CPU280はクライアント端末からのシステム状態変化有無の問い合わせパケットに応答することができる。つまり、クライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態変化有無の問い合わせパケットが送信されて来た場合に、Sub CPU280はRAM282にIPアドレスが記憶されていればシステム状態変化無と応答し、記憶されていなければシステム状態変化有と応答することができる。
【0062】
Main CPU101はSub CPU280からの設定情報確認を受けて設定情報をSub CPU280に送信する(S906)。Sub CPU280は設定情報の確認をMain CPU101から受けて移行準備完了通知をMain CPU101に対して送信する(S907)。Main CPU101は移行準備完了通知を確認し(S908)、Main CPU101の省エネモード移行の段階に入る。
【0063】
Sub CPU280は、S907で省エネモードへの移行準備が完了した後、バス切り替え回路233a、235aによりパケット転送バス289をそれぞれSub CPU280側に切り替え、Sub CPU280でのパケット送受信処理を開始する(S909)。そして、Sub CPU280は省エネモードへの移行取り消し猶予監視時間T1の経過を待つ。この猶予監視時間T1を経過する前に省エネモードに移行することを阻害する要因が発生しなければ、Sub CPU280はDMAC_rx237の停止要求をMain CPU101に出力する(S910)。
【0064】
尚、S907からS910までの猶予監視時間T1は、Sub CPU280の省エネモード移行準備が完了した後に、省エネモード移行を阻害する要因が発生したときに対処するために設けられた時間である。例えば、ネットワーク6から送信されてくるパケットに印刷データが含まれていた場合には、Main CPU101で印刷処理を行わなければならないので、省エネモード移行をキャンセルして通常モードに戻るために用意されている。
【0065】
また、猶予監視時間T1はSub CPU280の省エネモード移行準備が完了した後、Main CPU101がネットワーク6から送信されてきたパケットの処理を完了する時間よりも長く設定されている。これによりネットワーク6と画像形成装置1のシステム間で通信が中断されることはなく、送信されてきた処理すべきパケットは、Main CPU101あるいはSub CPU280のどちらかで必ず処理されることになる。
【0066】
さらに、S909でパケット転送パスがSub CPU280側に切り替えられていても処理すべきパケットは切り替え前にDMAC_rx237などに転送されるので、猶予監視時間T1はこれらのパケットをMain CPU101が処理するための時間にも相当する。猶予監視時間T1が経過すれば、DMAC_rx237を停止してもすでにMain CPU101側での処理が終了しているので、未処理のパケットが生じることはない。
【0067】
Main CPU101は、Sub CPU280からDMAC_tx234、DMAC_rx237の停止要求を受けてDMA転送を停止する(S911)。また、Main CPU101は、DMAC_tx234、DMAC_rx237から割り込みを受けてDMA転送が停止したことを確認する(S912)と、Sub CPU280に省エネモード移行要求を出力する(S913)。
【0068】
Sub CPU280は、Main CPU101から省エネモード移行要求を受けると、I/O端子261をSub CPU280側に接続し、後述するI/O端子処理を実行し(S914)、省エネモード移行のためにコントローラ100への電源供給を停止する(S915)。I/O端子処理とは、Sub CPU280が図2に示すI/O端子261を電源が遮断される前にHi−z状態に制御し、電源遮断中もHi−z状態に保持しておくことである。これにより、電源が遮断されている側のASIC102に流れ込む電流を排除し、低消費電力が促進されるようになっている。また、このようにI/O端子261がHi−z状態に保持されることにより、低消費電力化だけではなく誤動作の発生の抑制や制御の確実性も図ることができる。
【0069】
すなわち、電源を遮断しただけでは、遮断したときに溜まっていた電荷が意図しない側に流れて誤作動を引起し、あるいはショートして大電流が流れ、素子が破壊されるなどの危険性がある。そこで、本実施形態ではI/O端子261をHi−z状態として、このような事態が発生しないようにしている。これにより、Main CPU101は電源供給が絶たれ、コントローラ100はシャットダウン状態となる(S916)。このようにしてコントローラ100がシャットダウン状態になることにより、省エネモードへの移行が完了し、制御権がMain CPU101からSub CPU280に移り、省エネモードが解消されるまで、Sub CPU280が画像形成装置1の制御を司ることになる。
【0070】
次に、猶予監視時間T1が経過する前に省エネモード移行を阻害する要因が発生して、省エネモード移行が取り消される処理について、図10を参照して説明する。図10は取り消し猶予監視時間T1が経過する前に省エネモード移行を阻害する要因が発生したときのMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理のタイミングを示す図である。ここでは、S1001からS1009までは、図9に示す省エネモード移行の場合(S901からS909)と同様の処理が同様のタイミングで実行される。
【0071】
Sub CPU280での送受信処理を開始した後(S1009)、移行取り消し猶予監視時間T1中に省エネモード移行を阻害する要因がSub CPU280側に発生したときには、Sub CPU280の省エネモード移行準備が取り消される(S1010)。そして、Sub CPU280は、省エネモード移行準備が取り消されることをMain CPU101に通知する。これを受けて、Main CPU101では省エネモード移行が取り消される(1011)。
【0072】
一方、Main CPU101側に省エネモード移行を阻害する要因が発生したときには、Main CPU101の省エネモード移行準備が取り消される(S1012)。そして、Main CPU101は、省エネモード移行準備が取り消されることをSub CPU280に通知する。これを受けて、Sub CPU280では省エネモード移行が取り消される(S1013)。また、猶予監視時間T1が経過した後にMain CPU101側で処理すべきパケットをSub CPU280側がすでに受信していれば、Sub CPU280はそのパケットをMain CPU101に引渡し(S1014)、Main CPU101はこのパケットを受け取る(S1015)。
【0073】
ここで、省エネモード移行を阻害する要因とは、例えば、Wake On LAN238に後述するウエイクアップフレームが転送されたとき、画像形成装置1の操作部からスタートボタンが押下されたとき、ADFの圧板開閉動作などの画像形成動作に結びつく動作を行わせる指示が入力されたとき、あるいは、クライアント端末から印刷データが送信されてきたときなどである。このような要因が発生すると省エネモードに移行するとSub CPU280では処理できなくなるので、画像形成装置1は省エネモードに移行することなく通常モードで動作する。
【0074】
Sub CPU280側ではS1014の処理の後、Sub CPU280はS1009で切り替えたパケット転送バス289をMain CPU101側に戻し、Sub CPU280での送受信処理を停止する(S1016)。Main CPU101は、パケット転送バス289がMain CPU101側に切り替えられた後、Sub CPU280のDOZE移行を許可する(S1017)。Sub CPU280は省エネモード移行を阻害する要因を確認し、RAM282に記憶しているIPアドレスを消去した後、DOZE移行に問題がなければクロックを停止してDOZE状態に移行する(S1018)。この状態では、Sub CPU280は通常モード(低消費電力モード)に復帰しているので、Main CPU101での制御が実行され、Main CPU101は、Packet Type Filter Disenable(S1019)の状態に、更にPattern Filter Disenable(S1020)の状態にして完全に通常モードに戻る。
【0075】
このような制御により、本実施形態に係る画像形成装置1は省エネモードへの移行処理が開始された後でも、省エネモードに移行することなく通常モードに復帰することができる。また、移行動作及び復帰動作の間はMain CPU101及びSub CPU280ともに作動しているので、ネットワーク6を介した通信が絶えることがなく、データの欠落が生じることもない。
【0076】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1が省エネモードから通常モードへ復帰するときのMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理タイミングについて図11を参照して説明する。図11は省エネモードから通常モードへ復帰するときのMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理のタイミングを示す図である。図11の状態は、Main CPU101は電源オフ(シャットダウン)の状態、Sub CPU280は省エネモード(通常動作状態)で作動している状態である。
【0077】
本実施形態に係る画像形成装置1が省エネモードであるときに、Sub CPU280に省エネモードから通常モードへ復帰する要因が発生すると(S1101)、PSU310はメインコントローラ100への電源供給を開始し、Main CPU101の電源をオンにする(S1102)。Sub CPU280はI/O端子処理を実行し(S1103)、Main CPU101と接続されているI/O端子261のHi−z状態を解除する。これらの操作によって、省エネモードから通常モードへ移行する際にMain CPU101に電源が投入される瞬間に流れ込む電流を排除することが可能になる。
【0078】
省エネモードから通常モードへ復帰する要因には、後述するように、ネットワーク6から送られてきたパケットに特定のパケット、ここではSYNパケット(SYNフラグ)が含まれているとpacket type filter235−3で判断された場合がある。他には、Sub CPU280が処理できないパケットが送られてきた場合、操作部からの入力やADFの圧板が操作された場合のように外部から画像形成処理を行う前の操作信号が入力された場合(外部要因)、Wake On LAN238に設けられているパターンフィルタが復帰要因を示すパターンを検知した場合などである。
【0079】
Main CPU101への電源供給は、PSU310に対して電源制御部251が電源制御線250を介してMain CPU101に電源を供給するよう信号を送ることによって行われる。このようにしてMain CPU101に電源が入ると、Main CPU101はブート処理を実行し、立ち上がるための一連の処理を実行する。一方、Sub CPU280はPattern Filter able(S1104)としてパケット処理を継続する(T2)。
【0080】
これは、Main CPU101が電源オン状態ではあるがブート状態であるのでMain CPU101ではまだパケット処理は不可能であり、Sub CPU280が行う必要があるためである。そして、Sub CPU280は復帰要因パケット(本実施形態では、SYNパケットまたはSub CPU280で処理できないパケット)を検知するまでパケット処理を継続し(S1105)、復帰要因パケットを検知した時点でパケット処理を停止し、Main CPU101の割り込みを待つ(T3)。
【0081】
そこで、Main CPU101はブート処理の終わりに電源オンの要因を確認し(S1106)、その後、稼動状態に入る。そして、Main CPU101はSub CPU280にアクセスして設定条件を確認し(S1107)、送受信バッファ(tx_buffer232t及びrx_buffer232r)を初期化する(S1108)。この段階で画像形成装置1は通常モードに復帰可能となるので、Main CPU101は割り込みをかけて通常モード移行準備が完了したことをSub CPU280に知らせる(S1109)。
【0082】
Sub CPU280はS1109のMain CPU101からの割り込みを確認した時点でRAM282に記憶しているIPアドレスを消去した後、DOZE状態に移行する(S1110)。Main CPU101は、通常モードに復帰したので、DMA転送を開始し(S1111)、packet type filter235−3をDisableにする(S1112)。これによりmac_rxif235に入力されたパケットは一旦rx_RAM236に入るが、フィルタ処理は行われずにそのままコントローラ100側に送信され、メモリ103に格納された後、Main CPU101で処理される。
【0083】
尚、S1104のPattern Filter Disableは、S1101で復帰要因が発生した後、早いタイミングで設定した方が好ましい。これは、早いタイミングの方が、電源オンの信号の重複の可能性が低くなるからである。また、S1112のpacket type filter235−3は、Sub CPU280がDOZE状態に移行した後にDisableとなるように設定する。これは、Sub CPU280が処理すべきパケット処理が残っている可能性を排除するためである。これにより、Sub CPU280側で処理すべきパケット処理が確実に終了し、Sub CPU280が作動しなくなった状態でネットワーク6を介して送信されてくるパケットは全てMain CPU101側に送られる。従って、省エネモードから通常モードへの復帰時においてもネットワーク6上で通信が途絶えることはない。
【0084】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1が電源オフ状態から電源を投入した際のMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理タイミングとI/O端子261の状態を図12を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る画像形成装置1が電源オフ状態から電源投入時のMain CPU101とSub CPU280の動作状態と処理タイミングとI/O端子261の状態を示す図である。本実施形態では、Main CPU101の電源制御をSub CPU280が行っているため、電源投入時には図12に示すように、まずSub CPU280の電源がオンになり(S1201)、次いでMain CPU101の電源がオンになる(S1202)。その後、両者ともブート処理を実行し、Sub CPU280が先に立ち上がり、Sub CPU280のステータスをRAM286にセットする(S1203)。
【0085】
一方、Main CPU101は、電源オンの要因、すなわちRAM286に書き込まれたセット内容を確認した後(S1204)に立ち上がる。そして、Main CPU101はネットワーク関係の各部を初期化して画像形成装置1がネットワーク6と通信可能な状態にし(S1205)、DMA転送と通信を開始する(S1206)。これによりMain CPU101が稼動状態となり通常モードで動作することになる。この時点で、Sub CPU280はDOZE状態となっており、Sub CPU280側は省エネ状態となっている。
【0086】
上述したように本実施形態においては、ネットワーク6を介して画像形成装置1に送信されてくるパケットは、packet type filter235−3とWake On LAN238に設けられたパターンフィルタとによって選択され、所定の処理が実行されるようになっている。図13は、復帰要因パケットの検知前と検知後のパケット処理の状態を示す説明図である。
【0087】
図13は、送信されてくるパケット501の中から黒塗りの四角で示した復帰要因パケットはフィルタ(復帰要因検知手段502)で検知されることを示している。また、図13は、この復帰要因を検知するまではパケット(図13において白丸で示す)の処理をSub CPU(システム)280で行い、復帰要因を検知した後のパケット(図13において白抜きの四角で示す)の処理はMain CPU(システム)101で行うことを示している。このようにパケットを処理すると、省エネモードから通常モードへの復帰時においてもインタフェースASIC200側で受信するパケットの中断がないので、省エネモードから通常モードへの復帰時においてもネットワーク側からは送信を継続して行うことができるように見える。以下、詳述する。
【0088】
図14はpacket type filter235−3によってフィルタリングされるIPパケットの構造を示す図である。図14に示すように、IPパケット400は、IPヘッダ401、TCPヘッダ402及びTCPデータ403からなり、TCPヘッダ402とTCPデータ403でTCPデータグラム404が構成され、TCPデータグラム404とIPヘッダ401でIPデータグラム405が構成されている。
【0089】
図15は、図14のIPヘッダ401のフォーマット、すなわちIPヘッダフォーマットの内部構造を示す図である。IPヘッダフォーマットは、バージョン情報フィールド401a、ヘッダ長フィールド401b、TOS(type of service)フィールド401c、全長(tos_len)フィールド401d、識別(ID)フィールド401e、フラグフィールド401f、フラグメントオフセットフィールド401g、TTLフィールド401h、プロトコルフィールド401i、ヘッダチェックサムフィールド401j、発信元IPアドレスフィールド401k、宛先IPアドレスフィールド401l、及び、オプションフィールド401mから構成されている。
【0090】
このような構成において、バージョン情報フィールド401aは4に固定され、ヘッダ長フィールド401bはオプション領域まで含めたヘッダ長を示す。TOSフィールド401cはパケット処理において何を優先するかの指針を示す。全長フィールド401dはIPパケット400全体の長さを示す。識別フィールド401eとフラグメントオフセットフィールド401gはIPレベルのフラグメント(パケットの分割)とリアセンブルを実現するために利用される。TTLフィールド401hはネットワーク上でのIPパケットの残り生存時間を示す。ヘッダチェックサム401jはIPヘッダ部分のみのチェックサムである。
【0091】
図16は図14のTCPヘッダ402のフォーマット、すなわちTCPヘッダフォーマットの内部構造を示す図である。TCPヘッダフォーマットは、発信ポート番号フィールド402a、宛先ポート番号フィールド402b、シーケンス番号フィールド402c、確認応答番号フィールド402d、ヘッダ長402e、予約フィールド402f、フラグフィールド402g、ウインドウサイズフィールド402h、TCPチェックサムフィールド402i、緊急ポインタフィールド402j及びオプションフィールド402kから構成されている。
【0092】
発信元ポート番号フィールド402aは発信元のTCPポート番号を示し、宛先ポート番号402bは送信先のTCPポート番号を示す。シーケンス番号フィールド402cは、このパケットがデータストリーム中のどこに位置するかを示し、確認応答番号フィールド402dには受信パケットに対する応答(ACK)のシーケンス番号が書き込まれており、どこまで受信パケットを受け取ったかを相手に通知する。
【0093】
ヘッダ長フィールド402eはTCPヘッダ長を示し、オプションフィールド402kの有無に応じてヘッダ長が変化する。フラグフィールド402gにはURGからFINの6種のフラグが書き込まれ、ウインドウサイズフィールド402hは受信ウインドウの大きさを通知する。TCPチェックサム402iはTCPヘッダとデータの両方に対して計算される。緊急ポインタフィールド402jは緊急データの最後を指し示すものである。
【0094】
フラグフィールドの6種のフラグは引出し線で引出して示すように、URGフラグ402g−1、ACKフラグ402g−2、PSHフラグ402g−3、RSTフラグ402g−4、SYNフラグ402g−5、FINフラグ402g−6からなる。URG(緊急)フラグ402g−1は緊急ポインタフィールド402jの緊急ポインタが有効であることを示す。
【0095】
ACK(応答)フラグ402g−2は確認応答番号フィールドの402dの確認応答番号が有効であることを示す。通常このフラグは常にオンとなっている。PSH(PUSH)フラグ402g−3はなるべく早く送信することを示す。RST(RESET)フラグ402g−4はコネクションのリセットを要求するフラグである。SYNフラグ402g−5はコネクションの確立を要求するフラグであり、FINフラグ402g−6はコネクションの終了を要求するフラグである。
【0096】
図17はTCPプロトコルの基本的な接続シーケンスを示す図である。この接続シーケンスにおいては、まず、クライアント端末2〜5はARP(address resolution protocol)リクエストを画像形成装置1に発信する。そして、クライアント端末2〜5は、画像形成装置1からARPレスポンスが返ってきてアドレス解決すると、画像形成装置1にSYNを送り、画像形成装置1からACKが返ってくるとTCPセッションを確立する。更に、クライアント端末2〜5はSYN/ACKを画像形成装置1に送り通信が行われる。
【0097】
本実施形態に係る画像形成装置1は、mac_rxif235に設けられたpacket type filter235−3の他に、Wake On LAN238にパターンフィルタが設けられ、パケットのパターンマッチングによりフィルタリングして所定の処理を実行させるようにしている。Wake On LAN238の機能は、ネットワーク上の他のマシン、本実施形態においてはクライアント端末2〜5、から起動することができる機能であり、クライアント端末2〜5は画像形成装置1が省エネモードであるときに、ウエイクアップフレームを送信することにより起動することができる。ウエイクアップフレームが正しいMACアドレスを含んでいれば、画像形成装置1はスタンバイまたはサスペンド状態から復帰して通常モードで機能する。
【0098】
このようなパケットの選別では、送信されてくるパケットの中に例えば64バイトのパターンマッチング用のフィールドが設けられており、このフィールドに書き込まれたデータと予めWake On LAN238のパターンフィルタに設定されているデータとのパターンマッチングが取られる。パターンマッチングが取れたパターンによって、Wake On LAN238がシステムのウエイクアップやシャットダウンを行う。
【0099】
本実施形態に係る画像形成装置1は、WOLI I/F235−2を介して、Wake On LAN238に送信されてきたパケットに対して、パターンフィルタによりパターンマッチングを行う。そして、Sub CPU280はパターンマッチングが取れたパターンにより、ウエイクアップフレームもしくはシャットダウンフレームが送信されてきたと判断する。
【0100】
Sub CPU280がウエイクアップフレームが送信されてきたと判断した場合は、Wake On LAN238は電源管理部241に対して電源制御部251がMain CPU101の電源をオンにするよう指示する。Sub CPU280がシャットダウンフレームが送信されてきたと判断した場合は、Wake On LAN238は電源管理部241に対して電源制御部251がシステムの電源をオフにするよう指示する。
【0101】
Power ctl251は、これらの指示に基づいて電源制御線250からPSU310に対しての電源供給の制御を行い、Main CPU101とシステム全体の電源制御を行う。ウエイクアップフレームの判断は図11のS1101、及び、S1102に対応する。
【0102】
また、ウエイクアップフレームを検知して省エネモードから通常モードに復帰させる手順が開始されると、パターンフィルタを機能させておく必要がなくなるので図11のS1103でパターンフィルタをディセーブルにする。このように、画像形成装置1が省エネモード若しくは通常モードにあるかによって、パターンフィルタを機能させるか否かが決定される。つまり、パターンフィルタは省エネモードのときに機能すればよく、通常モードのときに機能する必要はない。
【0103】
図18は、省エネモード移行要求があった場合、省エネモード復帰要求があった場合、及び、電源オフ要求があった場合の状態遷移を示す省エネ状態遷移図である。この図に示すように画像形成装置1の電源がオンになると(S1801)、画像形成装置1はまず通常モードで動作する(S1802)。このときpacket type filter235−3もパターンフィルタもオフの状態である。この状態でMain CPU101からSub CPU280に対して省エネモード移行要求があると(S1803)、画像形成装置1は省エネモードに移行し(S1804)、このときpacket type filter235−3及びパターンフィルタはオンとなる。
【0104】
省エネモード(S1804)において復帰要因が発生し、省エネ復帰要求(S1805)により画像形成装置1が通常モードに復帰する際には、パターンフィルタとpacket type filter235−3はオフになる。このようなパターンフィルタ制御が通常モード(Ready状態)と省エネモードとで繰返されることにより省エネ制御は実行される。
【0105】
図19は、図10に示した省エネモードの移行取り消し処理を含む省エネモード移行要求、省エネモード復帰要求、及び、電源オフ要求があった場合の遷移状態を示す省エネ状態遷移図である。
【0106】
図19に示すように、画像形成装置1の電源がオンになると(S1901)、画像形成装置1はまず通常モードで動作する(S1902)。このときpacket type filter235−3及びパターンフィルタはオフの状態である。この状態でMain CPU101からSub CPU280に対して省エネモード移行要求があると(S1903)、画像形成装置1は省エネモード移行を開始し、移行準備が完了するとSub CPU280はパケット転送バスを切り替えてSub CPU280による移行取り消しがあるかどうかを監視する(S1904)。この状態を省エネスタンバイモードと呼ぶ。省エネスタンバイモードでは、packet type filter235−3及びパターンフィルタはオンになっている。
【0107】
S1904の省エネスタンバイモードで、省エネモードの取り消し要求が検知された場合、Sub CPU280はこれをMain CPU101側に転送する(S1908)。これによりMain CPU101はレディ状態に戻り(S1902)、packet type filter235−3及びパターンフィルタはオフになる。S1904の省エネスタンバイモードに移行してから移行取り消し猶予監視時間T1が経過した場合、省エネ移行要求により(S1905)、画像形成装置1は省エネモードに移行する(S1906)。省エネモードにおいて、復帰要因が発生すると、省エネ復帰要求(S1907)により画像形成装置1は省エネ状態から通常モードに移行し、パターンフィルタ及びpacket type filter235−3はオフになってレディ状態となる(S1902)。
【0108】
なお、これらの各工程はコンピュータプログラムによって実現される。プログラムデータは、予めROMに格納されているが、必要に応じて、あるいはバージョンアップなどの要求によりネットワークに接続されたサーバやCD−ROM、SDカード、光磁気ディスクなどの記録媒体から読み出されるように構成されていても良い。
【0109】
以上のように本実施形態によれば、画像形成装置1が省エネモードにおいてクライアント端末2〜5のいずれかからシステム状態変化の有無を問い合わせるネットワーク・パケットを受信した場合に、通常モードに移行することなく、Sub CPU280がその問い合わせに対して応答することができる。
【0110】
従って、本実施形態に係る画像形成装置1は、省エネモードにおいてもシステム状態変化の有無の問い合わせに対して応答することができるので、頻繁にシステム状態変化の有無の問い合わせが送信されてきても、その都度省エネモードから通常モードに移行する必要がないので、省エネ効果を高めることができる。
【0111】
尚、上記実施形態においては、クライアント端末2〜5が送信したシステム状態変化有無問い合わせパケットに対する応答を例として説明した。この他、図6のS602のようなシステム状態問い合わせのパケットに対しても同様に対応することが可能である。即ち、図8のS802において、システム状態問い合わせのパケットであることが確認されると、同様にS803の処理に進み、IPアドレスが記憶されていれば(S803/YES)、Sub CPU280は、システム状態変化無を、問い合わせ元のクライアント端末に送信する(S804)。これにより、問い合わせ元のクライアント端末においては、既に一度取得しているシステム状態から変化していないことを認識することができる。
【0112】
他方、IPアドレスが記憶されていない場合(S803/NO)、Sub CPU280は、上述したように画像形成装置1を通常モードに遷移させ、以降、図6と同様の処理によりシステム状態の返信動作を実行させる。このような処理によれば、省エネモードの場合で且つ通常モードに復帰することなく応答可能な場合、即ち、装置のシステム状態が問い合わせ元のクライアント端末に最後に通知したシステム状態から変化していない場合、通常モードに復帰することなくシステム状態の問い合わせに対して応答することができる。そのため、省エネモードから通常モードへの復帰処理の発生回数を必要最低限に抑えることができる。
【0113】
尚、上記実施形態においては、図6を用いて説明したように、通常モードでは問い合わせ元のIPアドレスはNVRAM105に記憶されるが、元からRAM282に記憶されるように構成されていても良い。このような構成とすることにより、通常モードから省エネモードへ移行する際にMain CPU101は、NVRAM105に記憶されているIPアドレスをSub CPU280に通知して、Sub CPU280がそのIPアドレスをRAM282に記憶させる必要がなくなる。
【符号の説明】
【0114】
1 画像形成装置
2,3,4,5 クライアント端末
6 ネットワーク
100 コントローラ
101 Main CPU
102 ASIC
103 メモリ
104 HDD
105 NVRAM
200 インタフェースASIC
225 mac_config
231 Ethernet(登録商標)PHY
232 MAC IP
232r rx buffer
232t tx beffer
233 mac_txif
234 DMAC_tx
235 mac_rxif
235−1 mac rx I/F
235−2 WOL I/F
235−3 packet type filter
235−4 rx buffer I/F
235−5 packet entry gen.
235−6 packet entry (reg)
235−7 msk reg
235−8 int reg
235−9 CPU I/F
235−10 SEL
235−11 DMAC I/F
235a バス切り替え回路
235b バス切り替え回路
236 rx_RAM
236−1 Type
236−2 LENGTH
236−3 Packet
236−4 Status
237 DMAC_rx
238 Wake On LAN
239 INTコントローラ
240 外部要因入力部
241 Power Manegement
250 電源制御線
251 Power ctl
260 PCI
261 I/O端子
271 system I/F
280 Sub CPU
281 ROM
282 RAM
283 バス・アービタ
284 sysreg
285 ram I/F
286 RAM
287 master I/F
288 拡張用I/F
289 バス
290 バス
300 PCIバス
310 PSU
311 電源供給線
312 電源供給線
313 電源スイッチ
315 商用電源
400 IPパケット
401 IPヘッダ
402 TCPヘッダ
403 TCPデータ
404 TCPデータグラム
405 IPデータグラム
501 パケット
502 復帰要因検知手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】
【特許文献1】特開2005−267100号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態において装置を制御する第二の制御部を有し、ネットワークを介して外部の情報処理端末とデータの送受信が可能な情報処理装置であって、
前記第一の制御部は、
前記通常状態において、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末を特定する送信元特定情報を記憶媒体に記憶させ、
前記送信元特定情報を記憶した後に装置状態が変化した場合に、前記記憶させた前記送信元特定情報を記憶媒体から消去し、
前記第二の制御部は、
前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されている場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していないことを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記送信元特定情報はIPアドレスであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第一の制御部は、前記通常状態から前記省電力状態に移行する際に、記憶媒体に記憶されている前記送信元特定情報を前記第二の制御部に通知し、
前記第二の制御部は、
前記通常状態から前記省電力状態に移行する際に、前記通知された送信元特定情報を通知情報記憶部に記憶させ、
前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が前記通知情報記憶部に記憶されているか否か確認することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第二の制御部は、前記ネットワーク制御装置が前記省電力状態から前記通常状態に移行する際に、前記通知情報記憶部に記憶されている前記送信元特定情報を消去させることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記装置状態に関する問い合わせは、装置状態の変更有無の問い合わせであり、
前記第二の制御部は、前記情報処理端末からの装置状態の変更有無の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されていない場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していることを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記装置状態に関する問い合わせは、装置状態の問い合わせであり、
前記第二の制御部は、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されていない場合、装置を通常状態に遷移させて応答させることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態において装置を制御する第二の制御部を有し、ネットワークを介して外部の情報処理端末とデータの送受信が可能な情報処理装置の制御プログラムであって、
前記第一の制御部が、
前記通常状態において、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末を特定する送信元特定情報を記憶媒体に記憶させるステップと、
前記送信元特定情報を記憶した後に装置状態が変化した場合に、前記記憶させた前記送信元特定情報を記憶媒体から消去するステップと、
前記第二の制御部が、
前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されている場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していないことを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知するステップとを情報処理装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項8】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態において装置を制御する第二の制御部を有し、ネットワークを介して外部の情報処理端末とデータの送受信が可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記第一の制御部が、
前記通常状態において、前記情報処理端末からの装置状態の問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末を特定する送信元特定情報を記憶媒体に記憶させ、
前記送信元特定情報を記憶した後に装置状態が変化した場合に、前記記憶させた前記送信元特定情報を記憶媒体から消去し、
前記第二の制御部が、
前記省電力状態において、前記情報処理端末からの装置状態に関する問い合わせに応じて、問い合わせ元である前記情報処理端末の前記送信元特定情報が記憶媒体に記憶されている場合、前回の装置状態の問い合わせに対する応答から装置状態が変化していないことを前記問い合わせ元である情報処理端末に通知することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−61873(P2013−61873A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200866(P2011−200866)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】