説明

情報処理装置およびカメラ入力映像制御方法

【課題】 カメラ装置を搭載した電子機器は、悪意のあるプログラムや外部からの侵入により不当に映像が流出する危険をはらんでいる。このような状況を踏まえ、知らぬ間にカメラ装置から映像が流出することを防止するための手段が望まれている。
【解決手段】 起動中のアプリケーションからカメラ入力映像情報の取得要求があったことを検出し、要求があったならばウィンドウを表示してカメラ入力映像情報を出力しても良いかどうかをユーザに確認し、良ければカメラ入力映像情報を出力する。それ以外の場合にはカメラ入力映像情報の代わりに生成した所定の画像の映像情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置を装備した情報処理装置に関し、特にそのカメラで撮影した映像情報の出力を制限する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やモバイルPCなどを中心にカメラ装置を搭載した携帯情報機器が登場している。このようなカメラ装置はその情報機器内で実行されるアプリケーションから自由にアクセスし、ユーザの許可を得ることなく映像を取得することができる場合が多い。
【0003】
昨今、PCのセキュリティホールを突いた進入事件やコンピュータウイルスの感染などにより、知らぬ間に情報が漏洩する事例が報告されている。このような状況を踏まえ、知らぬ間にカメラ装置から映像が流出することを防止するための手段が望まれている。
【0004】
映像を遮断するということでは、たとえばカメラ装置から映像が入力されない場合、ブルーバック画面などを出力する装置が報告されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−242253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラ装置を搭載した電子機器は、悪意のあるプログラムや外部からの侵入により不当に映像が流出する危険をはらんでいる。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、アプリケーションからカメラ装置の映像取得要求に対し不当に映像が流出することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる映像処理装置とすれば、
所定の画像の映像情報を生成する映像情報生成手段と、起動中のアプリケーションからカメラ入力映像情報の取得要求があったことを検出する映像要求検出手段と、前記映像要求検出手段が取得要求を検出した場合、入力手段を備えたウィンドウを表示するウィンドウ表示手段と、前記カメラ入力映像情報と前記映像情報生成手段が生成した映像情報のうち、どちらか一方を出力する切換え手段とを備え、前記切換え手段は、前記入力手段により入力された結果が前記カメラ入力映像情報の出力を容認する場合には該カメラ入力映像情報を出力することを特徴とする映像処理装置が提供される。
【0008】
本発明にかかるカメラ入力映像制御方法は、
カメラ装置の入力映像の出力を制御する方法であって、起動中のアプリケーションからカメラ入力映像情報の取得要求があったことを検出し、取得要求を検出した場合、入力手段を備えたウィンドウを表示し、この入力手段により前記カメラ入力映像情報を出力しても良い旨の入力があった場合、前記カメラ入力映像情報を出力し、それ以外の場合には前記カメラ入力映像情報の代わりに、生成した所定の画像の映像情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
アプリケーションからカメラ装置の映像取得要求に対し不当に映像が流出することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本実施形態にかかる情報機器の一例を示す図である。図1では情報機器100、表示装置101、キーボード102およびカメラ装置103が示されている。
【0011】
情報機器100は、たとえばノードパソコンのように持ち運び可能なパソコンである。
【0012】
表示装置101は、情報機器100に組み込まれた表示装置である。たとえばLCD(Liquid Crystal Display)のようなもので、情報機器100がユーザに対し情報を表示する。
【0013】
キーボード102は、情報機器100に組み込まれた入力装置である。情報機器100のユーザは、キーボード102を打鍵することであらゆる指示を与えることができる。
【0014】
カメラ装置103は、情報機器100に映像情報を取り込むための撮像装置である。たとえばUSB(Universal Serial Bus)で接続される、情報機器100を用いて行われるテレビ電話の撮影用カメラを指す。チャット用など一般に低価格で販売されるこういったカメラ装置は情報機器100に接続されている間は常に電源が供給され続け、さらにカメラ装置には常に映像が映り込んでいるために、接続中はいつでも映像の取り込みができる状態となっている。カメラ装置が撮影中の映像情報が不当に使用されていないか否かについては外見からは判別がしにくいこともあり、知らず知らずのうちに映像情報を悪用される場合も考えられる。
【0015】
図2は、本実施形態にかかる情報機器のブロック構成図の一例を示す図である。図2には、CPU200、メインメモリ201、バスコントローラ202、HDD203、入出力コントローラ204およびUSBコントローラ205が示されている。
【0016】
CPU200は中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、情報機器100全体を制御している。またプログラムを実行し、そのプログラムに応じた所定の処理を実行する機能を有している。
【0017】
メインメモリ201は半導体メモリにより構成され、CPU200がプログラムを処理する際のプログラムおよびデータの格納用領域として利用される。
【0018】
バスコントローラ202は、情報機器100の各構成要素の間の情報を伝達するためのバスを制御する機能を有する。CPU200からの指示はバスを介してメインメモリ201内のデータを読み書きし、あるいは他の機器に指示を与える。
【0019】
HDD203は、たとえば磁気ディスク装置(Hard Disk Drive)により構成された大容量の記憶装置である。CPU200が実行するアプリケーションや実行時に必要なデータなどを記憶しており、必要に応じてバスコントローラ202を介してCPU200に受け渡す。
【0020】
入出力コントローラ204は、CPU200とHDD203、表示装置101、キーボード102のような各種入出力装置とのインタフェースを提供する機能を有する。
【0021】
USBコントローラ205は、USB(Universal Serial Bus)規格のインタフェースを持つ機器を接続するための制御装置である。USB規格に準拠した機器にはさまざまなものが登場しており、PnP(Plug and Play)技術により情報機器100が稼働中であっても接続、切り離しを自由に行える。本実施形態ではカメラ装置103を接続するために用いられる。
【0022】
図3は、本実施形態にかかる機能ブロック図の一例を示す図である。図3は情報機器100における、カメラ装置103の映像が不当に取得されないようにする機能的な構成を示している。
【0023】
USBホストドライバ300は、USB機器のホスト機能を提供するドライバである。USB機器で接続される機器にはホストとクライアントの別があり、本ドライバは情報機器100をホストとして機能させる。この機能によりカメラ装置103はクライアントとして情報機器100と抜き差し可能に接続される。
【0024】
ポップアップウィンドウ画面モジュール301は、表示装置101上にポップアップウィンドウ画面を表示させる機能を有する。カメラ装置103がアプリケーションの指示により撮影を開始するときにこの画面を表示することで、ユーザはカメラ装置103による撮影要求があったことを知ることができる。また、表示画面にはボタン等のインタフェースが用意されており、ユーザの意思により後述する切換え部304の切換えも指示できるように構成される。
【0025】
フィルタドライバ302は、USBドライバ300を介して入力されたカメラ装置103の画像情報をフィルタする機能を有する。内部にはブルーバック生成モジュール303および切換え部304を有する。
【0026】
ブルーバック生成モジュール303は、人工的にブルー一色の画像情報を生成する機能を有する。この画像情報は、必要に応じてカメラ装置103の画像情報の代わりに使用される。
【0027】
切換え部304は、映像情報の入出力先を切り替える機能を有する。本実施形態の切換え部304は2連となっており、切換え指示があるとそれぞれが実線側、点線側に連動して切り替わるようになっている。
【0028】
USBカメラドライバ305は、カメラ装置103をカメラ装置として認識し、USBホストドライバ300を介して取得した情報を映像情報として利用できるようにする機能を有する。
【0029】
アプリケーション306はカメラ装置103の映像を利用するアプリケーション全般を指す。このようなアプリケーションは、たとえばテレビ会議ソフトウェアやチャットプログラムなどが考えられる。このときアプリケーション306は、USBカメラドライバ305から取得した画像情報はカメラ装置103が撮影した映像の情報かそうでないのかは判別できず、受け渡された情報は常にカメラ装置103からの映像情報であると認識する
このように構成することで、アプリケーション306の動作に影響を与えずにカメラ装置103の映像情報を制御することが可能となる。
【0030】
図4は、本実施形態にかかるポップアップウィンドウ画面の一例を示す図である。ポップアップウィンドウ画面はポップアップウィンドウ画面モジュール301により所定の条件が満たされた場合、たとえばアプリケーション306によりカメラ装置103の映像取得要求があったときに表示される。画面には、プレビュー画面400、OKボタン401およびNGボタン402が示されている。
【0031】
プレビュー画面400は、USBホストドライバ300からの映像を表示している。カメラ装置103の映像取得要求があったとき、最初はプレビュー画面400に表示される。このとき、切換え部304は実線側に切り替えられておりアプリケーション306にカメラ装置103の映像情報が流れることはない。
【0032】
OKボタン401は、ポップアップウィンドウ画面が開くことでユーザはカメラ装置103の情報取得要求があったことを知り、情報取得させても良いと思えばこれを押すことでアプリケーション306にカメラ装置103の映像信号が伝達される。このボタンが押されることで切換え部304は点線側に切り替えられる。
【0033】
NGボタン402は、OKボタン401を押した場合とは異なり、映像情報をアプリケーション306に伝達させたくないときに押す。これを押すと切換え部304は点線側に切り替わることなく、カメラ装置103の映像情報はアプリケーション306には渡らない。
【0034】
図5は、本実施形態にかかるフィルタドライバの処理フロー図の一例を示す図である。
【0035】
まず、カメラを利用するアプリケーションが起動されたか否かを判断する(ステップS01)。これはたとえば、いずれかのアプリケーションからカメラ装置103の画像取得要求があったかどうかにより判定できる。カメラ映像情報が要求されていない場合(No)には一連のフローを終了する。
【0036】
カメラ映像情報が要求された場合(Yes)、これを受けてポップアップウィンドウ画面を表示する(ステップS02)。これと同時期に切換え部304をポップアップウィンドウ画面側、つまり実線側に切り替える(ステップS03)。この切換え操作により、カメラ装置103の映像情報はポップアップウィンドウ画面のプレビュー画面400にだけ表示される。一方、USBカメラドライバ305を介して映像情報を取得するアプリケーション306は、ブルーバック生成モジュール303が生成したブルーバック画面の情報をカメラ装置103の映像情報として取得する。
【0037】
つぎに、ポップアップウィンドウ画面上のOKボタン401が押されたか否かを判定する(ステップS04)。ユーザによりOKボタン401が押された場合(Yes)、ポップアップウィンドウ画面モジュール301はポップアップ画面を閉じてフィルタドライバ302に対し切換え部304を点線側に切り替える指示をする(ステップS05)。点線側に切り替えることにより、アプリケーション306は従来の情報機器と同様にカメラ装置103が撮影した映像情報を取得することができる。
【0038】
一方、NGボタン402が押された場合(No)、切換え部304はポップアップウィンドウ画面側(実線側)のまま切り替えられることなく画面を閉じて一連のフローを終了する。USBカメラドライバ305にはブルーバック生成モジュール303が生成するブルーバック画面の映像情報が入力され続ける。
【0039】
たとえば情報機器100を使用中に、カメラの映像を必要とするアプリケーションを起動していないにも関わらずカメラ装置103の画像取得要求があったとすれば、不正な要求であると判断できる。あるいは、カメラ装置を使用するアプリケーションを起動していたとしても、本来カメラを使わない状況で取得要求があった場合、本実施形態のようにそのタイミングを知ることによって不正か否かを判断することができる。
【0040】
このように構成することにより、アプリケーションからカメラ装置の映像取得要求に対し不当に映像が流出することを防止することができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態にかかる情報機器の一例を示す図である。
【図2】本実施形態にかかる情報機器のブロック構成図の一例を示す図である。
【図3】本実施形態にかかる機能ブロック図の一例を示す図である。
【図4】本実施形態にかかるポップアップウィンドウ画面の一例を示す図である。
【図5】本実施形態にかかるフィルタドライバの処理フロー図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
100・・・情報機器、101・・・表示装置、102・・・キーボード、103・・・カメラ装置、200・・・CPU、201・・・メインメモリ、202・・・バスコントローラ、203・・・HDD、204・・・入出力コントローラ、205・・・USBコントローラ、300・・・USBホストドライバ、301・・・ポップアップウィンドウ画面モジュール、302・・・フィルタドライバ、303・・・ブルーバック生成モジュール、304・・・切換え部、305・・・USBカメラドライバ、306・・・アプリケーション、400・・・プレビュー画面、401・・・OKボタン、402・・・NGボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像の映像情報を生成する映像情報生成手段と、
起動中のアプリケーションからカメラ入力映像情報の取得要求があったことを検出する映像要求検出手段と、
前記映像要求検出手段が取得要求を検出した場合、入力手段を備えたウィンドウを表示するウィンドウ表示手段と、
前記カメラ入力映像情報と前記映像情報生成手段が生成した映像情報のうち、どちらか一方を出力する切換え手段と
を備え、
前記切換え手段は、前記入力手段により入力された結果が前記カメラ入力映像情報の出力を容認する場合には該カメラ入力映像情報を出力する
ことを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記ウィンドウ表示手段は、前記カメラ入力映像情報の映像を表示するプレビュー画面を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
カメラ装置の入力映像の出力を制御する方法であって、
起動中のアプリケーションからカメラ入力映像情報の取得要求があったことを検出し、
取得要求を検出した場合、入力手段を備えたウィンドウを表示し、
この入力手段により前記カメラ入力映像情報を出力しても良い旨の入力があった場合、前記カメラ入力映像情報を出力し、
それ以外の場合には前記カメラ入力映像情報の代わりに、生成した所定の画像の映像情報を出力する
ことを特徴とするカメラ入力映像制御方法。
【請求項4】
前記ウィンドウの表示の際、該ウィンドウにカメラ入力映像情報の映像を表示することを特徴とする請求項3に記載のカメラ入力映像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−311775(P2008−311775A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155577(P2007−155577)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】