説明

情報処理装置およびプログラムおよび表示方法

【課題】情報処理装置に入力している入力ストロークを確認しながら表示面を大きく使っての手書き入力を行なうことの可能な情報処理装置および情報処理装置において実行可能なプログラムおよび表示方法を提供することを課題とする。
【解決手段】手書き入力可能な情報処理装置において、表示面に手書き入力を行なうと手書きを行なったストロークとは異なるサイズの入力ストローク51が表示面に表示され、さらに手書きを行なった軌跡と同様の軌跡のストロークである軌跡ストロークが43が表示される。入力ストローク51を手書きを行ったストロークと異なるサイズで表示することによって、ユーザは入力ストローク51を確認しながら表示面を大きく使っての手書き入力を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置および情報処理装置で実行可能プログラムであって、特に表示部に手書き入力の可能な情報処理装置また該情報処理装置で実行可能なプログラムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC(Personal Computer)やPDA(Portable Digital Assistant)等において、表示部を指やスタイラスペンでなぞることにより、文字や絵を入力する手書き入力の可能な情報処理装置が提供されている。通常、表示部に対する手書き入力では、表示部内に入力の行なわれた情報が表示される入力情報表示領域と手書き入力を行なう手書き領域とが分かれた場所に存在する。ユーザは手書き領域に手書きを行い、入力された情報が入力情報表示領域に表示される。このように手書き領域と入力情報表示領域の場所が分かれている場合では、入力情報表示領域を表示しなければならず表示部内の手書き領域が小さくなる。するとユーザは狭い手書き領域内への書き込みをしなければならず複雑な入力が困難な場合があった。また、近年の情報処理装置の小型化、携帯電話へのタッチパネルの採用によって手書き領域は小さくなり、今後この問題は増大するものと考えられる。
【0003】
上記問題に鑑みて、手書きされた文字を認識し、変換を行って通常のテキストデータとして入力する情報処理装置において、入力情報表示領域内に手書きを行なうことが可能であり、手書き入力が行なわれると、手書きのストロークを囲む矩形領域における入力情報表示を半透明とすることで、広い領域に書き込み可能であって入力情報表示を見やすいものとする手書き文字入力装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−267292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記提案では手書きを行なったデータをテキストデータとして一文字ずつ入力を行ない表示部を手書き入力に使用することの可能な手書き文字入力装置が提案されている。
【0006】
従来技術では入力を行なっている入力ストロークを視覚的に確認しながら表示面を大きく使っての手書き入力を行なうことの可能な情報処理装置は未だ提案されていない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、情報処理装置に入力している入力ストロークを確認しながら表示面を大きく使っての手書き入力を行なうことの可能な情報処理装置および情報処理装置において実行可能なプログラムおよび表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる情報処理装置は表示手段と、前記表示手段の前面に設けられ、物体の接触又は近接箇所を検知するタッチ検知手段と、前記タッチ検知手段によって検知された前記物体の接触又は近接箇所が該表示手段の前面を移動する軌跡を示すストローク情報を検知するストローク情報検知手段と、前記ストローク情報検知手段によって検知された前記ストローク情報の描画サイズを所定のサイズに変更するストローク情報変更手段と、前記表示手段の変更ストローク表示領域に前記ストローク情報変更手段によって変更されたストローク情報を表示する表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるプログラムは表示手段を備えた情報処理装置において実行可能なプログラムであって、物体の接触又は近接箇所を検知する検知手段により前記物体の接触又は近接箇所のストローク情報を検知する工程と、前記ストローク情報の描画サイズを変更するストローク情報変更手段により検知した前記ストローク情報の描画サイズを所定のサイズに変更する工程と、前記表示手段により所定のサイズに変更した前記ストローク情報を表示させる工程とを前記情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる表示方法は表示手段を備えた情報処理装置で行われる表示方法であって、物体の接触又は近接箇所を検知する検知手段により前記物体の接触又は近接箇所のストローク情報を検知し、前記ストローク情報の描画サイズを変更するストローク情報変更手段により検知した前記ストローク情報の描画サイズを所定のサイズに変更し、前記表示手段により所定のサイズに変更した前記ストローク情報の表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手書き入力によって入力された入力ストロークを所定のサイズで表示することで、ユーザは入力ストロークを確認しながら、表示部を広く使っての手書き入力を行なうことの可能な情報処理装置および情報処理装置において実行可能なプログラムおよび表示方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態におけるPCの概観の一例を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるPCのハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【図3】本実施形態における手書き入力機能の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
【図4】本実施形態における手書きアプリケーション実行時のLCDの表示の一例を示す図。
【図5】本実施形態における手書きアプリケーション実行時のLCDの表示の一例を示す図。
【図6】本実施形態における手書き領域の移動方法の一例を示す図。
【図7】本実施形態における手書き入力処理の処理フローの一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本実施形態におけるPC10の概観の一例を示す斜視図である。図1にはPC10、表示部11、キーボード12、およびタッチパッド13が示されている。
【0015】
PC10はユーザの指示によって各種計算処理を行う情報処理装置である。またPC10はユーザが指またはスタイラスペンで表示部11に接触または近接することによりPC10を操作可能なタッチパネル機能を有する情報処理装置である。本実施形態では情報処理装置の一例としてPCを例示しているがこれに限定されるものではなく、本発明はPDAや携帯電話等の様々な情報処理装置に適用可能ある。
【0016】
表示部11はPC10が出力する画像情報をユーザに向けて表示する機能を有している。また表示部11はユーザまたはスタイラスペンの接触を検知し、PC10に電気信号として入力する機能を有している、
キーボード12はユーザのキー押圧を検知し、PC10に検知情報を電気信号として入力する機能を有している。
【0017】
タッチパッド13はユーザが表面を指でなぞるとその動きを検知し、検知情報をPC10に電気信号として入力する機能を有している。
【0018】
図2は本実施形態におけるPC10のハードウェア構成の一例示すブロック図である。図2にはPC10、CPU21、ROM22、RAM23、HDD24、GPU25、LCD26、入力制御部27、タッチ検知部28、キーボード12、タッチパッド13、バス29が示されている。
【0019】
CPU21は中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、PC10全体を制御している。またプログラムを実行し、そのプログラムに応じた所定の処理を実行する機能を有している。
【0020】
ROM22は半導体メモリによって構成されCPU21の実行するプログラムを格納している。
【0021】
RAM23は半導体メモリにより構成され、CPU21がプログラムを処理する際のプログラムおよびデータの格納用領域として利用される。
【0022】
HDD24は例えば磁気ディスク装置であり、PC10のデータを保存する不揮発性の領域として利用される。CPU21の指示により、記憶されたプログラムやデータを読み出すことができる。
【0023】
GPU25は画像処理用の半導体チップであり、CPU21からの描画指示に従って画像を描画し、LCD26に出力する機能を持つ。
【0024】
LCD26はたとえば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)であり、PC10が出力する画像情報をユーザに向けて表示する機能を有している。
【0025】
入力制御部27は、タッチ検知部28、キーボード12、およびタッチパッド13からのユーザの入力情報を制御しているコントローラである。
【0026】
タッチ検知部28はLCD26の表面に設けられ、ユーザまたスタイラスペンの接触を検知し、入力制御部27に検知情報を電気信号として入力する機能を有している。またタッチ検知部28は二つの指を使っての入力操作可能なマルチタッチ機能を有している。タッチ検知部28がマルチタッチ機能を有することは本実施形態における例示であり、これに限定されるものではない。
【0027】
表示部11はLCD26およびタッチ検知部28より構成される。
【0028】
バス29はPC10内の各モジュールを通信可能に接続している。
【0029】
図3は本実施形態における手書き入力機能の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図3にはストローク情報検知部31、認識部32、入力ストローク描画部33、軌跡ストローク描画部34、表示制御部35、および表示装置36が示されている。
【0030】
ストローク情報検知部31は表示部11へのユーザまたはスタイラスペンの接触を検知する手段であり、本実施形態ではタッチ検知部28、入力制御部27によって構成される。ストローク情報検知部31は表示部11への接触の位置情報を座標値、または座標値列(ストローク)として検知し、その座標値また座標値列情報(手書きストローク情報)を認識部32に伝達する。
【0031】
認識部32はタッチ検知部28、キーボード12、およびタッチパッド13からのユーザの手書き入力機能に関する各種操作を認識する機能を有している。さらに認識したユーザ操作情報より各種設定変更等を行ない、入力ストローク描画部33および軌跡ストローク描画部34に描画指示を行なう。本実施形態では入力制御部27およびCPU21によって構成される。
【0032】
入力ストローク描画部33はストローク情報検知部31によって検知される手書きストローク情報、および認識部32からの指示により、入力された情報としてのストローク(入力ストローク)の所定サイズでの描画を行なう機能を有している。入力ストローク描画部33は本実施形態においてGPU25により構成される。入力ストローク描画部33は描画を行なった入力ストローク情報を表示制御部35へと伝達する。
【0033】
軌跡ストローク描画部34はストローク情報検知部31によって検知される手書きストローク情報、および認識部32からの指示により、ユーザが表示部11上の接触を行なった軌跡(指またはスタイラスペンでなぞった軌跡)のストローク(以下、軌跡ストローク)の描画を行なう機能を有している。軌跡ストローク描画部34は本実施形態においてGPU25により構成される。軌跡ストローク描画部34は描画を行なった軌跡ストローク情報を表示制御部35へと伝達する。
【0034】
表示制御部35は入力ストローク描画部33から伝達される入力ストロークと、軌跡ストローク描画部34から伝達される軌跡ストロークとの二つの画像情報を重ね合わせ表示装置36に表示させる機能を有している。本実施形態では表示制御部35はGPU25により構成される。
【0035】
表示装置36は表示制御部35より入力される入力ストロークと軌跡ストロークとが重ねあわされた画像情報の表示を行なう機能を有している。本実施形態では表示装置36はLCD26により構成される。
【0036】
図4は本実施形態における手書きアプリケーション実行時のLCD26の表示の一例を示す図である。図4には手書きアプリウィンドウ41、入力ストローク情報表示領域42、軌跡ストローク43、入力ストローク44、および描画サイズ設定表示45が示されている。
【0037】
本実施形態におけるPC10での手書き入力は、手書きアプリケーション実行時に行なうことが可能となる。手書きアプリケーションのプログラムはHDD24に格納されている。CPU21がユーザの指示によって該プログラムを取り出し、手書きアプリケーションを実行することによって手書き入力が可能となる。
【0038】
手書き入力のユーザ入力方法としてはスタイラスペンを使った入力方法も考えられるが本実施形態においては指を接触させての手書きを例示して説明を行なう。
【0039】
手書きアプリウィンドウ41は手書きアプリケーション実行時にLCD26に表示されるウィンドウであり、このウィンドウの領域にユーザは指による手書きを行なうことによって手書きストローク情報がPC10に入力される。本実施形態においては手書きウィンドウ41内に手書きを行なうことができるものとして例示するが、これに限定されるものではなく、表示部11全体に手書き可能であってもよい。また本実施形態においても、手書きアプリウィンドウ41を最大とすることでほぼ表示部11全体に手書きを行なうことが可能である。
【0040】
入力ストローク情報表示領域42は入力ストロークが表示される領域である。ユーザが手書き入力を行なうとこの領域に所定サイズで描画された入力ストロークが表示される。
【0041】
軌跡ストローク43はユーザが表示部11に手書きを行なった(指でなぞった)軌跡を表示するストロークである。軌跡ストローク43は本実施形態において半透明、太線で入力ストローク44とは異なる色で描画、表示される。図4では半透明を破線で表現している。
【0042】
入力ストローク44は手書きストローク情報よりPC10に入力されるストロークである。本実施形態において入力ストローク44は手書きストロークに対する描画サイズの設定変更が可能である。
【0043】
描画サイズ設定表示45は手書きアプリウィンドウ41内に表示されタッチパネル機能を用いて操作をすることによって、手書きストロークに対する入力ストローク44の描画サイズ比率を設定することが可能となっている。ここでの描画サイズ比率とは単に入力ストロークの表示のサイズに関する比率ではなく、入力ストローク情報表示領域42に対する入力ストロークの描画サイズの比率である。図4では手書きストロークに対する入力ストローク44の描画サイズ比率が20%となっているものを例示する。本実施形態においては入力ストローク44のサイズ設定の基準を手書きストロークに対するサイズ比率として表示するよう例示しているが、これに限定されるものではなく、入力ストロークのサイズ変更を行なうことが可能であればこの基準に限定されるものではない。また、描画サイズ設定表示45において設定可能な描画サイズ比率を0%〜100%(正確には0%は存在しない。)と例示しているがこれに限定されるものではなく、描画サイズ比率を0%〜200%のように手書きストロークから拡大された入力ストローク44の表示を行なうことも可能である。本実施形態のように手書きストロークから縮小された入力ストロークの表示を行なう場合は細かい入力ストロークを大きく手書き入力することが可能となる。
【0044】
本実施形態においてユーザが表示部11に指で接触を行なうとタッチ検知部28が接触を検知する。タッチ検知部28からの検知情報より入力制御部27は接触された座標値情報をCPU21に対して出力する。CPU21はユーザが接触した領域が描画サイズ設定表示45領域内であるか否かを判別し、描画サイズ設定表示領域45内であるならば入力ストロークを描画する際の描画サイズ設定の変更を行なう。CPU21はユーザが接触した領域が描画サイズ設定表示45領域内で無いならば手書きストロークとして認識し、GPU25に対し入力ストロークおよび軌跡ストロークの描画指示を行なう。GPU25はCPU21からの描画指示により入力ストロークおよび軌跡ストロークの描画を行ない、それらの画像情報を重ね合わせて、LCD26に表示させる。
このとき軌跡ストロークは本実施形態において、上述のように半透明で、太線かつ入力ストロークとは異なる色で表示される。これは軌跡ストロークと入力ストロークとが重なってしまった場合、半透明であることで軌跡ストロークおよび入力ストロークのどちらの文字も認識することが可能となる。軌跡ストロークの線の線種を変更し、例えば破線等での描画を行なったとしても前述と同様の効果を得ることが可能である。また、太線で軌跡ストロークの表示を行なうことで、入力ストロークと軌跡ストロークとを混合して認識してしまう危険性を回避することが可能である。入力ストロークと軌跡ストロークとを異なる色で表示することも同様に認識の混合を回避できる。また本実施形態では軌跡ストロークを太線とするように例示しているが、認識の混合を回避できればよいので、軌跡ストロークが入力ストロークと線の太さが異なっていれば(軌跡ストロークを細線で表現しても)よい。またこれらの半透明、太線、色等の設定は設定変更可能としておいてもよい。設定変更可能とする場合は、ユーザはタッチパネル機能、キーボード12、タッチパッド13等で設定の変更を入力すると入力制御部27が設定変更入力情報をCPU21に伝達し、CPU21はGPU25に設定変更後の軌跡ストロークの描画指示を行う。GPU25は該指示に対応した軌跡ストロークの描画を行い、入力ストロークと合わせてLCD26に表示させる。
【0045】
図5は本実施形態における手書きアプリケーション実行時のLCD26の表示の一例を示す図である。図5には手書きアプリウィンドウ41、入力ストローク情報表示領域42、軌跡ストローク43、入力ストローク51、および描画サイズ設定表示52が示されている。図5は描画サイズ設定を変更して図4と同様の手書き書き込みを行なった場合の図である。
【0046】
図5では描画サイズ設定表示52の描画サイズ設定が40%に設定されており、手書きストロークに対する入力ストローク51が40%の大きさで描画、表示されている。このように描画サイズの設定変更によって入力ストローク51の描画サイズを変更することが可能である。本実施形態においてはタッチパネル機能を用いての描画サイズ設定表示52での描画サイズ設定を例示しているがこれに限定されるものではなく、他の入力手段によっての描画サイズの設定変更を行なってよい。他の入力手段の例としてはキーボード12、タッチパッド13等が考えられる。
【0047】
そのときはキーボード12、タッチパッド13からのユーザによる設定変更指示を入力制御部27が受付け、CPU21に伝達することによってCPU21が入力ストローク51の描画サイズの設定変更を行なう。
【0048】
図6は本実施形態における入力可能領域の移動方法の一例を示す図である。図6には手書きアプリウィンドウ41、入力ストローク情報表示領域42、軌跡ストローク43、入力ストローク44、描画サイズ設定表示45、軌跡ストローク61、および領域62が示されている。
【0049】
図6(A)は図4と同様の表示であり、図6(B)は図6(A)の表示からマルチタッチ機能を用いた入力可能領域の移動を行なった後の表示を示している。ここでの入力可能領域とは入力ストローク情報表示領域42におけるユーザが入力ストロークを入力可能な領域であり、手書きアプリウィンドウ41における手書き入力を行なうことの可能な領域と対応した領域である。本実施形態における手書きアプリケーションにおいてタッチパネルのマルチタッチ機能を用いての描画領域の移動を行なうことが可能である。図6(A)で示すようにユーザは表示部11に二つの指で(二点の接触点で)接触し、そのまま表示部11上で指を移動させると、軌跡ストローク43が手書きアプリウィンドウ41上で指の移動方向へ移動量分、移動し、図6(B)の軌跡ストローク61の位置となる。これによって入力ストローク情報表示領域42の入力ストロークの入力可能な領域が移動し、図6(B)の領域62への入力ストロークの入力が可能となる。本実施形態において領域62は説明のために示しているものであるので実際にLCD26に表示されるわけではない。しかし、これに限定されるものではなく、LCD26への領域62の表示が行なわれてもよい。
【0050】
表示部11への同時に2点への指の接触をタッチ検知部28が検知すると、入力制御部27は該接触の情報をCPU21に入力する。入力制御部27からの入力情報によりCPU21は2点への接触が行なわれているマルチタッチであると判別を行い、マルチタッチでの接触点の移動があれば、軌跡ストロークを指の移動方向、移動量分、移動させて描画するようにGPU25に指示を行い、さらに入力ストロークの入力位置を相対的に変更する。
【0051】
以上の処理を行うことで軌跡ストロークの位置が移動し、入力ストローク情報表示領域42における入力ストロークの入力可能位置を変更されるのでユーザは画面を広く使って、それまでの手書き入力と継続的に手書きを行なうことが可能である。本実施形態ではマルチタッチ機能によって入力ストローク情報表示領域42における入力ストロークの入力可能領域の変更を行なったがこれに限定されるものではなく、他の入力方法、例えばキーボード12やタッチパッド13によるユーザ操作によって入力ストロークの入力可能領域の変更を行なってもよい。
【0052】
またマルチタッチ機能を用いて、入力ストロークの入力可能な領域および入力ストロークの描画サイズの変更を行なってもよい。例えば領域62を表示させながら、ユーザがマルチタッチを行いながら2つの指同士を遠ざけると軌跡ストロークが拡大して表示され、それに対応して領域62は縮小される。またそれに応じて入力ストロークの描画サイズが小さくなる。また逆に指同士を近づけると軌跡ストロークが縮小表示され、それに対応して領域62は拡大される。またそれに応じて入力ストロークの描画サイズが大きくなる。このようにすることでユーザは直感的に入力操作を行うことが可能となる。またこのマルチタッチによる拡大縮小機能と上記のマルチタッチによる軌跡ストロークおよび領域62の移動を同時に行えるとしてもよい。
【0053】
また、軌跡ストロークの表示/非表示の切り替えを行なえるとしてもよい。軌跡ストロークの表示/非表示の切り替えを行なうことを可能とすると、入力ストロークの表示がユーザからさらに確認しやすくなる。軌跡ストロークの表示/非表示を切り替えて、非表示としたときにはユーザの操作イベントに対する入力ストロークの表示、入力の対応を表示状態とは異なったものとしてもよい。例えばユーザが一定時間以下の間隔で表示部11上の同じ場所を2度タッチするダブルタッチを行ったとき、またはマルチタッチの状態で指をスライドさせないとき等に軌跡ストロークの表示/非表示を行なうとしてもよい。軌跡ストロークを非表示とさせたときは、マルチタッチにおいて指を広げる操作を行うと、入力ストロークおよび領域62が拡大される。逆に指を近づける操作を行うと、入力ストロークおよび領域62が縮小されるとしてもよい。これらの操作を行った後に、ダブルタッチ等で軌跡ストロークを再度表示させたときには、軌跡ストロークの表示サイズは変更されておらず、ユーザが手書きを行うと入力ストローク情報表示領域に対して、それまでに表示されている入力ストロークが拡大/縮小された比率と同じサイズ比率での入力ストロークの入力が行われるとしてもよい。この機能ではユーザは入力ストロークの描画比率を変更することができる。
【0054】
軌跡ストロークが非表示となっているときは、ユーザは表示部11の領域62の表示部分にタッチし、スライドさせることで、そのときの指の移動方向、移動量に対応して、領域62が移動してもよい。また、領域62の移動に関しては、入力ストローク表示領域42におけるユーザがタッチした場所に移動するとしてもよい。またこのときに再び軌跡ストロークを表示させると、軌跡ストロークは領域62に存在する入力ストロークに対応したものとなっている。この領域62の移動および軌跡ストロークの非表示から表示への切り替えを、スライドを行わないマルチタッチでおこなうとしてもよい。マルチタッチで領域62の移動を行うときには、マルチタッチを行った2本の指の間隔に応じて領域62の大きさが決定される。矩形である領域62の縦と横の長さの比は手書きアプリウィンドウ41の手書き可能な領域の形によって決定されるため、ユーザが指を略水平にしてマルチタッチを行ったときは領域62の右端と左端の距離が指の間隔となっている、またはそれに対応した間隔(例えば領域62の右端と左端の距離が指の感覚の8割の長さのように長さの比率が変化した間隔)となっていればよい。ユーザが指を略垂直にしてマルチタッチを行ったときは領域62の上端と下端の距離が指の間隔、指を斜めとしたときは領域62の対角同士の距離が指の間隔となるようにしてもよい。このように構成するとユーザは直感的に入力ストロークの描画を行う位置の変更を行なうことができる。
【0055】
図7は本実施形態における手書き入力処理の処理フローの一例を示すフロー図である。
【0056】
本実施形態において手書き入力を行なうとき、まず手書きアプリケーションを起動する。手書きアプリケーションが起動されると、CPU21はタッチ検知部28で検知した入力制御部27からの入力情報よりユーザの入力ストロークの描画サイズの設定変更指示が行なわれたか否かの判別を行う(S701)。ユーザより描画サイズの変更指示が行われれば(Yes)、指示に従い描画サイズの変更設定を行なう(S702)。S702が終了すると再び処理フローはS701に戻る。S701において描画サイズの設定変更指示が行なわれなければ(No)、次にCPU21はユーザのマルチタッチによる指の移動があったか否かの判別を行なう(S703)。マルチタッチによる指の移動があれば(Yes)、軌跡ストロークを指の移動方向へ移動量分の移動をさせて描画するようにGPU25に描画指示を行い、入力ストローク情報表示領域42における入力ストロークの入力可能領域を変更する(S704)。S704が終了すると再びS701に戻る。S703にCPU21がマルチタッチによる指の移動が無いと判別すると(No)、次にCPU21は手書きストロークの入力があったか否かを判別する(S705)。手書きストロークの入力を検知すると(Yes)、CPU21はGPU25に軌跡ストロークの描画指示(S706)、また設定されたサイズ比率での入力ストロークの描画指示を行う(S707)。GPU25は軌跡ストローク、入力ストロークの描画を行うと、それらの画像情報を重ね合わせ(S708)LCD26に画像情報を出力する。次にLCDはGPU25からの画像情報を表示する(S709)。S709における処理が終了すると、処理フローはS701へと戻る。S705においてCPU21が手書きストロークを検知しなければ(No)、CPU21はユーザによる手書きアプリケーション終了指示を待機する(S710)。手書きアプリケーション終了指示を受け付けなければ(No)、処理フローはS701へと戻る。S710において手書きアプリケーション終了指示を受け付けると(Yes)、CPU21は手書きアプリケーションを終了し(S711)、以上をもって一連の処理フローは終了する。
【0057】
本実施形態における情報処理装置を用いれば、ユーザは入力ストロークを視認しながら表示部に所望の大きさでの手書き入力を行なうことが可能である。また、入力ストロークの描画サイズを手書きストロークより小さくすることで小さい入力をする際も大きく手書き入力を行なうことが可能である
また本実施形態における情報処理装置を用いれば、入力ストロークと軌跡ストロークの両方が表示されるため、ユーザは同時にその両方を視認することができ、直感的に好適なサイズでの入力ストロークを入力することが可能である。また、それまでに入力された入力ストロークとの位置関係を確認しながらの入力ストロークの入力が可能である。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10:PC
11:表示部
12:キーボード
13:タッチパッド
21:CPU
22:ROM
23:RAM
24:HDD
25:GPU
26:LCD
27:入力制御部
28:タッチ検知部
29:バス
31:ストローク情報検知部
32:認識部
33:入力ストローク描画部
34:軌跡ストローク描画部
35:表示制御部
36:表示装置
41:手書きアプリウィンドウ
42:入力ストローク情報表示領域
43:軌跡ストローク
44:入力ストローク
45:描画サイズ設定表示
51:入力ストローク
52:描画サイズ設定表示
61:軌跡ストローク
62:領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段の前面に設けられ、物体の接触又は近接箇所を検知するタッチ検知手段と、前記タッチ検知手段によって検知された前記物体の接触又は近接箇所が該表示手段の前面を移動する軌跡を示すストローク情報を検知するストローク情報検知手段と、
前記ストローク情報検知手段によって検知された前記ストローク情報の描画サイズを所定のサイズに変更するストローク情報変更手段と、
前記表示手段の変更ストローク表示領域に前記ストローク情報変更手段によって変更されたストローク情報を表示する表示制御手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ストローク情報変更手段は情報処理装置外部からの入力により前記所定のサイズの設定変更を行なうこと
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は前記ストローク情報検知手段によって検知された前記ストローク情報を前記変更されたストローク情報とともに前記表示手段に表示すること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の情報処理装置
【請求項4】
前記表示制御手段は前記ストローク情報を半透明の線で表示すること
を特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は前記ストローク情報を前記変更されたストローク情報を描画する線種と異なる線種で表示すること
を特徴とする請求項3又は請求項4記載の情報処理装置
【請求項6】
前記表示制御手段は前記ストローク情報を前記変更されたストローク情報を描画する線と異なる太さの線で表示すること
を特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置
【請求項7】
前記表示制御手段は前記ストローク情報を前記変更されたストローク情報を描画する線と異なる色の線で表示すること
を特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置
【請求項8】
前記表示手段に表示されている前記ストローク情報の表示位置を移動させるストローク情報表示移動手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ストローク情報表示移動手段は、
前記タッチ検知手段が物体の接触又は近接点が複数であることを検知したとき、
その点が移動する方向と同じ方向に前記ストローク情報の表示位置を移動させること
を特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
以後描画される前記変更ストローク情報が表示される前記変更ストローク表示領域を移動させる変更ストローク表示領域移動手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記変更ストローク表示領域移動手段は、
前記タッチ検知手段が物体の接触又は近接点が複数であることを検知したとき、
その点が移動する方向と逆の方向に前記変更ストローク表示領域を移動させること
を特徴とする請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ストローク情報変更手段は前記タッチ手段が物体の接触又は近接点が2点であることを検知するとき、前記タッチ手段によって検知された前記2点の距離に変化があると、2点の距離の変化量に対応して前記所定のサイズの設定変更を行なうこと
を特徴とする請求項2記載の情報処理装置
【請求項13】
前記表示制御手段は情報処理装置外部からの入力によって前記ストローク情報の表示/非表示を切り替える切り替え手段を有すること
を特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項14】
表示手段を備えた情報処理装置において実行可能なプログラムであって、
物体の接触又は近接箇所を検知する検知手段により前記物体の接触又は近接箇所のストローク情報を検知する工程と、
前記ストローク情報の描画サイズを変更するストローク情報変更手段により検知した前記ストローク情報の描画サイズを所定のサイズに変更する工程と、
前記表示手段により所定のサイズに変更した前記ストローク情報を表示させる工程と
を前記情報処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
表示手段を備えた情報処理装置で行われる表示方法であって、
物体の接触又は近接箇所を検知する検知手段により前記物体の接触又は近接箇所のストローク情報を検知し、
前記ストローク情報の描画サイズを変更するストローク情報変更手段により検知した前記ストローク情報の描画サイズを所定のサイズに変更し、
前記表示手段により所定のサイズに変更した前記ストローク情報の表示を行う
ことを特徴とする表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−218286(P2010−218286A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65059(P2009−65059)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】